JPH0720872B2 - 白血球除去フィルターおよび白血球除去方法 - Google Patents

白血球除去フィルターおよび白血球除去方法

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JPH0720872B2
JPH0720872B2 JP3255963A JP25596391A JPH0720872B2 JP H0720872 B2 JPH0720872 B2 JP H0720872B2 JP 3255963 A JP3255963 A JP 3255963A JP 25596391 A JP25596391 A JP 25596391A JP H0720872 B2 JPH0720872 B2 JP H0720872B2
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blood
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愼一郎 岡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は白血球除去フィルター及
び白血球除去方法に関する。詳しくは、輸血用の血液製
剤、即ち全血、赤血球製剤または血小板製剤等の白血球
含有血液製剤から白血球を除去するためのフィルターお
よび白血球除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、輸血分野においては、血液製剤中
に含まれる混入白血球を除去して輸血する、いわゆる白
血球除去輸血が行われるようになってきている。これ
は、輸血に伴う頭痛、吐き気、悪寒、非溶血性発熱反応
などの副作用や、受血者に、より深刻な影響を及ぼすア
ロ抗原感作、輸血後GVHD、ウィルス感染などの重篤
な副作用が、主として輸血に用いられた血液製剤中に混
入している白血球が原因で引き起こされる事が明らかに
なったためである。
【0003】頭痛、吐き気、悪寒、発熱などの比較的軽
微な副作用を防止するためには、1回の輸血で受血者に
注入される白血球数を1億個程度以下に抑える必要があ
るとされており、このためには血液製剤中の白血球の残
存率を10-1〜10-2以下になるまで除去する必要があ
る。またアロ抗原感作は、現在の輸血学分野において最
も注目され、その予防が期待されている副作用の一つで
あるが、これを予防するには、1回の輸血で注入される
白血球数を500万個ないしは100万個以下に抑える
必要があるとされており、このためには血液製剤中の白
血球の残存率を10-4以下になるまで除去することが必
要である。輸血後GVHDやウィルス感染については、
いまだ定説はないものの、輸血後GVHDおよびサイト
メガロウィルスや成人T細胞白血病ウィルスのように、
白血球内にのみ存在すると考えられているウィルスにつ
いては、白血球残存率10-4〜10-6以下にまで除去す
ることで、その発生及び感染を予防できると期待されて
いる。またHIVの様に、白血球及び血漿の両方に存在
するウィルスに関しても、白血球除去により、感染の頻
度を下げられる可能性があると期待されている。
【0004】血液製剤から白血球を除去する方法には、
大別して、遠心分離機を用いて赤血球と白血球の比重の
違いを利用して分離する方法と、繊維素材やスポンジ状
構造物を濾材とするフィルターを用いて白血球を除去す
るフィルター法の2種類があるが、ことに不織布を用い
て白血球を吸着除去するフィルター法が、白血球除去能
に優れていること、操作が簡便であること及びコストが
低いことなどの利点を有するために広く用いられてい
る。
【0005】不織布を用いた白血球除去フィルターのほ
とんどは、平均繊維直径が3〜30μm程度の、比較的
目の粗い、凝集物を除去するためのプレフィルターと、
平均繊維直径が1.7〜3μm程度の繊維からなる白血
球を除去するための主フィルターの、機能的に異なる2
種類のフィルター要素から構成されている。このうちプ
レフィルターは、血液入り口から血液出口に向かって順
に、比較的平均繊維直径が太く目の粗いものから平均繊
維直径が細く目の細かいものへと多段階の構成になって
いるものが好ましいとされている(特公平2−1358
8号、WO89/03717号)。凝集物は、フィブリ
ノーゲン、フィブリン、変性タンパク質、核酸及び/ま
たは脂肪球などを構成成分として含有する血液変性成分
や、白血球、血小板などの細胞成分が凝集して出来たも
ので粘着性に富んでおり、そのサイズも数μmから10
0μm、場合によっては1mmを越える、非常に広い分
布を有するものである。従って、ふるいで粒子を分離す
るように、大きな凝集物をまず目の粗いフィルターで捕
捉して取り除き、段階的に目を細かくしていくことによ
って、順次、より小さな凝集物を取り除いていく必要が
ある。小さな凝集物を除去するために用いるプレフィル
ターの最も目の細かい層において、一部の白血球がいわ
ば副次的に捕捉されることがあるが、極く一部であって
白血球を除くためには、以下にのべる主フィルターを用
いなければならない。
【0006】主たる除去目的である白血球は、直径が5
〜20μmであり、凝集物に比較してはるかに均一なサ
イズを有しており、フィルターによる除去機構は、繊維
による吸着除去であると考えられている。本発明者ら
は、さきに繊維積層物を通過する白血球濃度が、繊維積
層物の厚みに対して指数関数的に減少することを見いだ
しており(特願平1−269269号)、これは白血球
が繊維積層物を厚み方向に流れていく際に、繊維と繊維
の交絡部付近に接触するごとに、一定の確率で吸着され
ていくことを示唆するものであり、上記の吸着除去説を
裏付けている。ここにいう交絡部とは次のように定義さ
れる。即ち交絡部とは多数の繊維によって構成されるフ
ィルター要素内において、少なくとも2本の繊維が交接
している部分、少なくとも2本の繊維が白血球の径より
も小さい微小間隔をあけて立体交差している部分、及び
少なくとも2本の繊維が白血球の径よりも小さい繊維間
距離をもって隣接する部分をいう。
【0007】それ故、従来の白血球除去フィルターにお
ける主フィルターの検討は、もっぱら前記の吸着確率を
高めること、即ち平均繊維直径を小さくすること、充填
密度を高めること、或いはより均一な繊維直径分布を有
する不織布を用いること(特開平2−203909号)
などに集中していた。一方、 H. Prins; USE OF MICROF
IBRE NONWOVENS IN BLOOD FILTRATION, SESSION APPLIC
ATIONS 1-FILTRATION & SEPARATION, INDEX 90 CONGRES
S, N.P.B.I.,The Netherlands. には、白血球のうち顆
粒球は粘着によって除去され、リンパ球はふるい機構に
よって除去されるので、各々に適した、機能的に異なる
フィルター要素を用いることが必要である旨の記載があ
り、顆粒球除去用として、平均繊維直径5μmのフィル
ター要素を、またリンパ球除去用として平均繊維直径
2.5μmのフィルター要素を用いた旨の記載がある。
しかしながら、該文献に開示されているフィルターは大
型であり、しかも最終的な白血球除去率を10-4以下に
高めることなどの高性能化についての、考察は見当らな
い。実際、平均繊維直径が5μmのフィルター要素は前
述の通りプレフィルターのレベルであり、これは白血球
の一部を除去はするものの、該文献でも微小凝集物除去
の機能が筆頭に挙げられている。またリンパ球除去用と
して用いている平均繊維直径2.5μmのフィルター要
素においても、多くの顆粒球が除去されており、しかも
該フィルター要素は前述の従来一般に用いられていた主
フィルターに該当するものであるので、平均繊維直径5
μmのフィルター要素で顆粒球を除去せずに、平均繊維
直径2.5μmのフィルター要素で顆粒球及びリンパ球
の双方を除去しても、何らの問題も生じない。即ち、平
均繊維直径が5μmのフィルター要素は、白血球除去に
必要不可欠な要素とは考えられず、実際該文献におい
て、平均繊維直径が2.5μmのフィルター要素に至る
前に、平均繊維直径が5μmのフィルター要素で顆粒球
を除去しなければならない必然性について全く考察され
ていない。また、平均繊維直径が2.5μmのフィルタ
ー要素は前述の通り、従来一般に用いられていた主フィ
ルターに該当するものであるので、白血球の高除去率は
期待できない。即ち、該文献においては、白血球除去率
を高めるために、該文献における主フィルターと考えら
れる平均繊維直径が2.5μmのフィルター要素に至る
前に、プレフィルターと考えられる平均繊維直径が5μ
mのフィルター要素を用いて顆粒球を除去しようという
意図もなければ、その必要性についての認識もない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】最近になって、白血球
除去輸血の重要性の認識が高まると共に、白血球除去フ
ィルターも、より白血球除去能力に優れ、しかもより小
型で内空間容積の小さいものが求められるようになって
きた。白血球除去操作終了後にフィルター内に残留する
血液製剤は、通常フィルターと共に廃棄される。それ故
無駄に捨ててしまう血液製剤の量をできるだけ少なくす
るために、内空間容積の小さいフィルターが求められて
いる。また、ここでフィルターの内空間容積とは、フィ
ルター要素を収容するフィルターのフィルター要素の空
隙部を含むフィルター内の全空間部の内積を意味する。
また、白血球除去能力については、これまでに知られて
いる最も高性能のフィルターでも、白血球残存率10-3
程度が限界であり、前述の重篤な副作用を防止するには
不十分であった。
【0009】一般に、フィルターと共に廃棄される血液
製剤の量を10〜15%以内の低いレベルにとどめるこ
とが望ましく、そのためには、全血または赤血球製剤用
としては1単位あたり内空間容積35ml以下、血小板
製剤用としては5単位あたり内空間容積20ml以下の
小型のフィルターとすることが好ましいが、従来のフィ
ルターでは高い白血球除去能と共に十分に小さい内空間
容積を実現することは不可能である。
【0010】白血球除去能を高めるための方法として、
当業者が容易に思いつくのは、主フィルターを増量する
か、より平均繊維直径の小さいフィルター要素に切り替
えることである。主フィルターを増量する場合には、内
空間容積を前述の値以下にするために、主フィルター
の、容器内への充填密度を高めることによって、内空間
容積の増加を抑えなければならない。通常充填密度の上
限は、0.4g/cm3程度であり、これ以上高める
と、不織布の反発力によって、容器内に充填することが
困難になるか、これを避けるために熱プレスなどを行え
ば不織布がフィルム状につぶれてしまい、もはやフィル
ターとしての機能を果たさなくなる。従って、白血球除
去能を高めるための方法としては、充填密度0.4g/
cm3 以下の範囲内で主フィルターを増量するか(本発
明者らの研究によれば、通常この範囲内で白血球残存率
10-4以下を達成するためには、平均繊維直径1.6μ
m以下でなければならない)、より平均繊維直径の小さ
な主フィルターを用いなければならない。
【0011】しかしながら、これら何れの場合において
も、白血球除去能力の向上にともなって、血液製剤を通
過させる際の主フィルター部分の圧力損失が増大してし
まい、期待する血液量を処理し終わる前に、処理速度が
極端に低下するという問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述したように、本発明
者らの知見によれば繊維積層物に血液製剤を通過させる
と、繊維積層物を通過する白血球の濃度が繊維積層物の
厚みに対して、指数関数的に減少する。また、この減少
の程度は繊維の平均直径が小さくなるほど、そして充填
密度が高くなるほど大きいことがわかった。従って、限
られた内空間容積の範囲で白血球除去能力を高めるため
には、主フィルターを平均繊維直径の小さな繊維に切り
替えるか、充填密度を高めれば良いが、これらの方法で
実際に白血球残存率を10-4以下にまで高めようとする
と、上記したように白血球除去能力の向上にともなっ
て、血液製剤を通過させる際の主フィルター部分の圧力
損失が増大してしまい、期待する血液量を処理し終わる
前に、処理速度が極端に低下するという問題点が明らか
となった。本発明者らは、この問題がいかなる原因によ
って生じたかを明らかにするために、フィルターの圧力
損失を増大させる因子について鋭意検討した結果、意外
なことにその主たる要因が白血球の目詰りにあることを
見いだした。
【0013】本発明に至るまでは、フィルターの圧力損
失は基本的にはフィルターを通過する血液の粘性抵抗で
あり、血液の処理に伴う圧力損失の増大は、凝集物の目
詰りによって本来血液の通過できる空隙が閉塞されてゆ
く結果、残存空隙部分における血液の線速度が高まるこ
とによって起こるというのが従来の知見であった。ま
た、平均繊維直径の小さい繊維を用いると流速が極端に
下げること、また充填密度を高めても同様の問題のある
ことは、白血球除去フィルターに綿状繊維塊が用いられ
ていた当時から知られていたが、この場合には血液処理
の初期段階から流速が低く、今回本発明者らが直面した
ように、血液処理の途中から急激に速度が低下する問題
とは明らかに異なる現象であった。即ち当時の問題は、
綿状繊維塊を用いて、細径化または高充填密度化をはか
れば血液の粘性抵抗が極端に増大することに起因してお
り、特公平2−13587号に開示されているが如く、
この問題は不織布をフィルター素材として用いることに
よって解決されたのである。実際これまでの、白血球残
存率が10-3程度以下の、不織布からなる白血球除去フ
ィルターにおいては、血液の粘性抵抗が過大であること
が問題になったことはなく、圧力損失または流速の関連
で問題があったとすれば、特に保存日数の経過した古い
血液を処理する際に、保存に伴って増大する凝集物が目
詰りを起こすことであり、このため血液処理の途中から
圧力損失の増大ないしは処理速度の低下が起こることで
あった。しかしながら、この問題も特公平2−1358
8号に開示されているが如く、凝集物除去用のプレフィ
ルターを用いることによって解決され、広く実用化され
ていたのである。
【0014】今回我々の解決しなければならなかった問
題は、白血球残存率を10-4以下にまで高めようとして
初めて直面した問題であり、更に白血球残存率10-4以
下のきわめて低濃度の白血球を測定できるようになって
後、かつ白血球濃度が繊維積層物の厚みに対して指数関
数的に減少してゆく事実が見出されてはじめてその実態
が明らかになったのである。即ち、従来の1.8〜2.
5μm程度の主フィルターからなる、白血球残存率が1
0-3程度のフィルターを用いる限り、白血球の目詰りに
起因する圧力損失の増大が見いだされることはなく、従
ってこの問題の発生を予想できなかったのである。
【0015】本発明者らは、本発明に至る過程で、種々
の平均繊維直径の不織布を用いて、不織布の充填密度、
フィルターの濾過断面積、厚みなど、白血球除去フィル
ターを設計する際に通常考慮されるファクターについて
検討を行ったが、単一の主フィルターを用いる限りつい
にこの問題は解決しえなかった。そしてこれら各種条件
下における、主フィルターの厚みに対する白血球濃度の
減少挙動、並びに血液処理量に対する圧力損失挙動を繰
り返し注意深く観察した結果、驚くべきことに圧力損失
の増大は、白血球が主フィルターの最上流部分に吸着し
その空隙を狭めるために起こることが明らかとなった。
【0016】前述したように、主フィルターを通過する
白血球数は主フィルターの厚みに対して、指数関数的に
減少するため、血液製剤と初めに接触する上流側に位置
するフィルター部分ほど、多くの白血球を吸着する。従
って、主フィルターを増量、圧縮して充填密度を高めた
場合、圧縮されて空隙率が減少したフィルターに、圧縮
前と同等以上の白血球が吸着されることになり、その分
吸着された白血球による主フィルターの目詰りはフィル
ター上流面を中心に、圧縮前と比べて格段に増大し、圧
力損失が著しく増大するものと考えられる。また平均繊
維直径の小さな主フィルターを用いる場合には、もとも
と空隙が狭く血液が通過する際の粘性抵抗が高い上、単
位厚みあたりの白血球除去能力が高いため、白血球の目
詰りも激しく、圧力損失の増大が顕著になる。この現象
は、白血球除去能力を高めようとして、充填密度を高め
るか、平均繊維直径の小さい不織布を使おうとした場合
に、ある白血球除去能力以上を達成しようとしてはじめ
て顕著に見出される現象であり、従来の白血球残存率1
0-3程度の性能に設計された、比較的平均繊維直径が大
きく(1.7〜3.0μm)、充填密度が低い(0.2
g/cm3 程度以下)フィルターでは、観察されなかっ
たのである。この問題の本質は、高性能化に不可欠な高
充填密度、平均繊維直径の小さな主フィルターの上流部
分、特に最上流層に、白血球の吸着が集中することにあ
る。
【0017】本発明者らは、この問題を解決するために
鋭意研究の結果、白血球除去フィルターに内蔵されるフ
ィルター要素のうち、白血球除去のための極細繊維から
なる主フィルター部分を、極細繊維の中でも比較的小さ
い平均繊維直径を有する第1のフィルター要素と、比較
的大きい平均繊維直径を有する第2のフィルター要素と
の少なくとも2段階構成とし、血液製剤が第2フィルタ
ー要素を先に通過し、かつこの段階までに白血球の60
%以上が除去されるように該第2のフィルター要素を含
む血液上流側のフィルター要素を設計し、その後に第1
のフィルター要素を血液製剤が通過するようにフィルタ
ーを構成することによって、目詰りを起こさずに極めて
高い白血球除去能を達成できることを見いだした。ま
た、上記の構成のフィルターを、現在普及しているレベ
ル(白血球残存率が10-2〜10-3)のものに応用すれ
ば、フィルターの著しい小型化を可能にすることを見い
だした。また、遠心分離法や公知の白血球除去フィルタ
ーなどを用いて、処理すべき血液製剤中の全白血球数の
少なくとも60%を除去して貧白血球血液製剤を得、該
貧白血球製剤を更に上記の第1フィルター要素を有する
白血球除去フィルターで処理することにより、該白血球
除去フィルターに目詰りを起こさず白血球残存率の極め
て低い血液製剤を得ることのできることを見いだした。
本発明はこれらの知見に基いてなされたものである。
【0018】従って、本発明の1つの目的は、アロ感作
を防止し得る白血球残存率10-4以下の高い白血球除去
能を有し、同時に、フィルターと共に廃棄される血液製
剤の量を10〜15%以内の低いレベルにとどめるため
に、全血または赤血球製剤用としては1単位当たりフィ
ルターの内空間容積35ml以下、血小板製剤用として
は5単位当たりフィルターの内空間容積20ml以下の
小型の白血球除去フィルターを提供することにある。本
発明の他の1つの目的は、現在普及している白血球除去
フィルターと同等の白血球残存率を有し、且つ著しく小
型化された白血球除去フィルターを提供することにあ
る。本発明の更に他の1つの目的は、白血球含有血液製
剤中の白血球残存率を10-4以下にまで白血球を除去す
ることの出来る白血球除去方法を提供することにある。
即ち、本発明の1つの態様によれば、平均繊維直径の異
なる複数のフィルター要素からなる白血球除去フィルタ
ーであって、平均繊維直径が0.3〜1.6μmである
第1のフィルター要素を有し、且つ被処理血液中の白血
球の60%以上を除去する、該第1のフィルター要素よ
りも平均繊維直径の大きな第2のフィルター要素が、前
記第1のフィルター要素よりも被処理血液の上流側に配
置されていることを特徴とする白血球除去フィルターが
提供される。
【0019】また、本発明の他の態様によれば、被処理
血液中の白血球を60%以上除去した後に、平均繊維直
径が0.3〜1.6μmである第1のフィルター要素を
有する白血球除去フィルターによってさらに白血球を除
去することを特徴とする白血球含有血液製剤からの白血
球除去方法が提供される。
【0020】本発明のフィルター及び方法に用いられる
第1のフィルター要素及び第2のフィルター要素は不織
布または織布よりなる繊維布層の1層または複数層から
構成され、該複数繊維布層の各層の平均繊維直径は該複
数繊維布層全体の平均繊維直径と実質的に同じである繊
維布構造体である。また、不織布とは、編繊によらずに
繊維あるいは糸の集合体が、化学的、熱的、または機械
的に結合された布状のものをいう。なお、繊維と繊維と
が互いに接触することによる摩擦により、或いは互いに
もつれ合うことなどにより一定の形状を保っている場
合、これも機械的に結合されたことに含める。織布と
は、一般に定義されるように、縦糸と横糸とが交錯して
できた布地を意味する。また第1のフィルター要素及び
第2のフィルター要素が剥離不可能な1つの層の下流部
分及び上流部分によりそれぞれ構成されているような構
造をとることもできる。
【0021】本発明のフィルターおよび方法における、
第1のフィルター要素は平均繊維直径が0.3〜1.6
μmであることが必要であり、0.5〜1.4μmであ
ることが好ましい。より詳しくは、全血もしくは赤血球
製剤用のものとしては、0.7〜1.3μmがより好ま
しく、更に0.7〜1.0μmがより好ましい。また血
小板製剤用には0.5〜1.0μmがより好ましく、更
に0.5〜0.8μmがより好ましい。
【0022】0.3μm未満のものは、もはや安定して
不織布を製造することがむずかしく、血液の粘性抵抗も
高くなりすぎるために不適である。また、1.6μmを
超えるものは、本発明のフィルターに用いる第1フィル
ター要素として用いるには、白血球除去能力が低く、充
填密度0.4g/cm3 以上にしなければ目的とする内
空間容積を満足できないため不適である。
【0023】なお、本発明における平均繊維直径とは、
以下の手順に従って求められる値をいう。即ちフィルタ
ー要素の一部をサンプリングし、走査電子顕微鏡を用い
て、写真に撮る。サンプリングに際しては、フィルター
要素の有効濾過断面積部分を、1辺が0.5cmの正方
形によって区分し、その中から6ヶ所をランダムサンプ
リングする。ランダムサンプリングするには、たとえば
上記各区分に番地を指定した後、乱数表を使うなどの方
法で、必要ヶ所の区分を選べば良い。また初めにサンプ
リングした3区分は、上流側の面について、また残り3
区分は下流側の面について、その中央部分を拡大倍率2
500倍で写真に撮る。サンプリングした各区分につい
て中央部分及びその近傍の箇所の写真を撮っていき、そ
の写真に撮られた繊維の合計本数が100本を超え、且
つ最もその数が少ない本数になるまで写真に撮る。この
ようにして得た写真について、写っている全ての繊維の
直径を測定する。ここで直径とは、繊維軸に対して直角
方向の繊維の幅をいう。測定した全ての繊維の直径の和
を、繊維の数で割った値を平均直径とする。但し、複数
の繊維が重なりあっており、他の繊維の陰になってその
幅が測定できない場合、また複数の繊維が溶融するなど
して、太い繊維になっている場合、更に著しく直径の異
なる繊維が混在している場合、等々の場合には、これら
のデータは削除する。又、上流側と下流側とで明らかに
平均繊維直径が異なる場合には、もはや、これを単一な
フィルター要素とは認めない。ここで「明らかに平均繊
維直径が異なる」とは統計的に有意差が認められる場合
をいう。この場合は上流側と下流側とを異なるフィルタ
ー要素としてとらえ、両者の境界面を見つけた後両者の
平均繊維直径を別々に測定し直す。
【0024】本発明のフィルターおよび方法において
は、第1のフィルター要素に至るまでにあらかじめ、被
処理血液製剤中の全白血球数の少なくとも60%の白血
球を除去しておくことが必要であり、好ましくは60〜
99%、更に好ましくは85〜99%除去しておく。白
血球の除去率が60%未満の場合には第1のフィルター
要素での白血球の目詰りが十分に改善されないため不適
である。即ち、本発明のフィルターに用いる第2のフィ
ルター要素は、CPD液を全血の抗凝固に必要な量加え
た全血1単位から血漿をヘマトクリットが約67%にな
るまでの量取り除いて得られる赤血球濃厚液を濾過した
時に、全白血球数の少なくとも60%の白血球を除去す
ることができることが必要である。
【0025】また本発明のフィルターにおいては、第2
のフィルター要素は、第1のフィルター要素よりも平均
繊維直径の大きいことが必要であり、本発明のフィルタ
ー及び白血球除去方法では更に平均繊維直径が1.2〜
2.0μm、かつ第1のフィルター要素の平均繊維直径
の1.2倍以上であることが好ましく、より詳しくは、
全血または赤血球製剤用としては1.5〜1.8μm
が、また血小板製剤用としては、1.0〜1.5μmが
それぞれ好ましい。第2のフィルター要素の平均繊維直
径の第1のフィルター要素の平均繊維直径に対する比が
1.2より小さいと、充填密度の差によってのみ、第1
のフィルター要素と第2のフィルター要素とを機能的に
異なるように設計しなければならず、設計可能な範囲が
限定されてしまうため不適である。
【0026】また本発明のフィルターにおいては、第1
のフィルター要素の平均ポアサイズが2〜18μmであ
ることが好ましく、更に4〜12μmであることが好ま
しい。また、第2のフィルター要素の平均ポアサイズは
4〜25μmであることが好ましく、更に6〜20μm
がより好ましい。本発明における平均ポアサイズとは、
容器に充填する前のフィルター要素の最小単位(1枚)
の平均ポアサイズであり、コールターポロメータIIによ
って測定したMFP(Mean Flow Pore
Size)をいう。平均ポアサイズは、フィルター要素
を構成する繊維の絡み具合や空隙の大きさなどに関連し
ているらしい指標であるが、必ずしも理論的な裏付けは
とれておらず、従って原因も明らかではないが、上記の
範囲を逸脱すると、圧力損失と白血球除去能力との好適
なバランスが崩れることがあり、この範囲にあることが
好ましい。
【0027】また第1,第2のフィルター要素は、血液
製剤が第2のフィルター要素を通過した後に第1のフィ
ルター要素を通過するように構成されていることが必要
であるが、各要素が別々のフィルター層であってそれを
積層したものでも、または剥離不可能な一つの層の中の
上流部分が第2のフィルター要素の条件を満たし、下流
部分が第1のフィルター要素の条件を満たすものであっ
ても良い。更に、平均繊維直径の異なる3種以上のフィ
ルター要素が、おおむね平均繊維直径の大きいものから
順に上流側から下流側へかけて積層されている部分を有
するフィルターにおいて、その中の何れか2つのフィル
ター要素が、本発明の用件を満たすものであれば、それ
らが本発明でいう第1,第2のフィルター要素に該当す
る。また、本発明のフィルターには、上記の第1及び第
2のフィルター要素からなる主フィルターの他に、公知
のプレフィルターが上流側に積層されていても良く、又
第1フィルター要素の下流側に平均繊維直径0.3〜
1.6の範囲内で順次平均繊維直径が小さくなるように
第3、第4……のフィルター要素を配置することも可能
である。
【0028】また、本発明の白血球除去方法において、
白血球を60%以上除去するに際しては、遠心分離法や
公知の白血球除去フィルターなどを採用しても良く、ま
たこれらを一つの装置内に組み込んでシステム化しても
良く、更に一つの容器内に白血球を60%以上除去する
能力を有する、第1のフィルター要素よりも平均繊維直
径の大きな繊維からなるフィルター要素を組み込むこと
によって実施しても良い。
【0029】本発明は、上記したように小型で白血球除
去能力の高いフィルター、詳しくはアロ感作を防止し得
る白血球残存率10-4以下の高い白血球除去能を有し、
同時に、フィルターと共に廃棄される血液製剤の量を1
0〜15%以内の低いレベルにとどめるために、赤血球
製剤用としては1単位あたり内空間容積35ml以下、
血小板製剤用としては5単位あたり内空間容積20ml
以下の小型のフィルターを設計する上で特に好適な技術
手段を提供するが、本技術を白血球残存率10-2〜10
-3程度の、普及型の白血球除去フィルターに適用すれ
ば、従来と同等の圧力損失でより小型のフィルターを提
供することが可能であり、或いは従来と同等の内空間容
積でより圧力損失の小さなフィルターを提供することが
出来る。
【0030】本発明に従えば、全血または赤血球製剤用
の白血球除去フィルターとしては、白血球残存率が10
-4以下の高性能のものであれば、1単位当たりの内空間
容積が15〜35ml、有効濾過断面積が20〜110
cm2 、好ましくは内空間容積が20〜30ml、有効
濾過断面積が25〜95cm2 という小型、且つ高性能
のものが実現できる。また、白血球残存率が10-2〜1
0-3程度の普及型のものであれば、内空間容積が7〜1
8ml、有効濾過断面積が10〜65cm2 、好ましく
は内空間容積が7〜15ml、有効濾過断面積が10〜
55cm2 、更に好ましくは内空間容積が10〜15m
l、有効濾過断面積が20〜55cm2という小型のも
のが実現できる。
【0031】また5単位の血小板製剤用の白血球除去フ
ィルターとしては、白血球残存率が10-4以下の高性能
のものであれば、内空間容積が6〜20ml、有効濾過
断面積が3〜108cm2 、好ましくは内空間容積が6
〜15ml、有効濾過断面積が3〜81cm2 、更に好
ましくは内空間容積が6〜10ml、有効濾過断面積5
〜54cm2 という小型、且つ高性能のものが実現でき
る。また、白血球残存率が10-2〜10-3程度の普及型
のものであれば、内空間容積が3〜8ml、有効濾過断
面積が3〜43cm2 、好ましくは内空間容積が3〜6
ml、有効濾過断面積が5〜32cm2 という小型のも
のが実現できる。
【0032】内空間容積が、上記の各々の下限値を下回
ると、本発明の効果を持ってしても、圧力損失が上昇す
る傾向もしくは処理時間が延長する傾向が強まるため好
ましくない。一方、内空間容積の上限値を上回ると、フ
ィルターと共に廃棄される各血液製剤の量が増すため好
ましくない。有効濾過面積が、上記の各々の下限値を下
回ると、第1のフィルター要素における白血球の目詰り
が無視できなくなってくると共に、血液処理に際する線
速度の上昇にともなって、血液の粘性抵抗が高まるので
好ましくない。一方、有効濾過面積が、上位の各々の上
限値を上回ると、内空間容積を所定の範囲内に抑えるた
めには、フィルターの厚みを極端に薄くしなければなら
ないが、そのような制約を設けた上で各々の目標とする
白血球除去能を得るために必要な量の各フィルター要素
を充填すると、充填密度が極めて高くなり製造が困難に
なる傾向が強まるため好ましくない。
【0033】また、主フィルターの充填密度は、第1,
第2フィルター要素とも、0.1〜0.4g/cm3 で
あることが好ましく、更に0.15〜0.38g/cm
3 が好ましく、第1のフィルター要素は更に0.25〜
0.38g/cm3 が最も好ましい。0.1g/cm3
未満では、白血球が吸着する部位である繊維と繊維の交
絡部が少なく、また取扱い性や性能安定性の面でも問題
があり好ましくない。一方、0.4g/cm3 以上が好
ましくないのは、前述した通り、製造が困難になるため
である。
【0034】また、第1のフィルター要素は、以下に記
すA値が、0.1〜0.5の範囲にあることが好まし
く、0.15〜0.4の範囲であることがより好まし
く、更に0.22〜0.35の範囲がより好ましい。A
値=充填密度(g/cm3 )/平均繊維直径(μm)A
値が0.1より小さいときは、白血球除去能が低い傾向
があるため好ましくなく、また0.5よりも大きい場合
には、血液の粘性抵抗が高まる傾向が強まるため好まし
くない。
【0035】なお、本発明において全血1単位とは40
0〜500ml(全血1単位で規定される血液量は国に
より異なり、例えば日本では400ml、ドイツでは5
00ml,アメリカ、フランスなどでは450mlであ
る)の採血した血液にCPD、CPDA、ACDなどの
抗凝固剤を添加したものをいい、赤血球製剤1単位と
は、全血1単位から血漿の一部もしくは多血小板血漿を
取り除いて調製した赤血球濃厚液、及び赤血球濃厚液に
Adsol、Neutricel、SAGM、MAPな
どの赤血球保存剤を加えたものをいう。また血小板製剤
5単位とは、全血1単位から調製される血小板濃厚液を
1単位として、その5倍量、もしくは該5倍量に相当す
る量の血小板を含むアフェレーシス血小板製剤をいう。
【0036】本発明のフィルターにおける第1及び第2
のフィルター要素の各々は、容器内に収納される以前
に、あらかじめ決められた厚み、密度になるように公知
の方法によって予備形成されていても良く、更に各要素
の集合体として一体化した形で予備形成されていても良
い。本発明におけるフィルター要素の具体例としては、
メルトブロー不織布やフラッシュ不織布あるいはスパン
ボンド不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、乾式
不織布、ニードルパンチ不織布等の不織布の他、紙、織
布、メッシュなどを挙げることが出来る。また繊維素材
の例を挙げるならば、ポリアミド、芳香族ポリアミド、
ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリトリフルオ
ロクロルエチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ
スチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維
や、セルロース、セルロースアセテート等の再生繊維な
どである。また本発明においては、フィルター要素の白
血球除去能力や必要に応じて血小板除去能力を高めるた
めに公知の表面改質を行っても良い(The Role
of Leukocyte Depletionin
Blood Transfusion Practi
ee.Proceedings of the Int
ernational Workshop,Londo
n,9 July 1988,B.Brozovic:
p.38,Blackwell Scientific
Publications,oxford,Lond
on.)。又、フィルター要素に白血球を効率よく吸着
させ、血小板をほとんど通過させるために、公知の表面
改質を行っても良い(EP0267286)。
【0037】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明をより詳細に説
明する。なお、本発明におけるフィルター要素の充填密
度とは、使用される状態でのフィルター要素の有効濾過
断面積部分についてのフィルター要素の重量を、フィル
ター要素の(有効濾過断面積×厚み)で割った値であ
る。またフィルターの内空間容積は、フィルターの入り
口から水、生理食塩水もしくはアルコール水溶液などの
液体を注入し、フィルター内の空気を追い出した後、フ
ィルターの入り口及び出口を密封して、フィルターの重
量増加分を測定し、この値を注入液体の比重で割った値
である。
【0038】実施例1. プレフィルターとして平均繊維直径32μmと13μm
の2種のスパンボンド不織布を、平均充填密度0.28
g/cm3 、合計厚み1.1mmになるように、有効濾
過面積67mm×67mmの容器に充填し、同一容器内
下流側に、主フィルターの第2要素として、平均繊維直
径1.80μm、平均ポアサイズ10.2μmのポリエ
ステルメルトブロー不織布を、充填密度0.26g/c
m3 、厚み3.0mmになるように充填し、更にその下
流側に第1のフィルター要素として同じく平均繊維直径
1.23μm、平均ポアサイズ9.5μmのポリエステ
ルメルトブロー不織布を、充填密度0.32g/cm
3 、厚み2.0mmになるように充填し、白血球除去フ
ィルターを作成した(第1フィルターの要素のA値は
0.26)。本フィルターの内空間容積は32.4m
l、有効濾過面積は(6.7cm)2 =44.9cm3
であった。
【0039】460mlの血液に63mlのCPDを加
えて調製した全血513mlから、採血後8時間以内に
遠心分離によって多血小板血漿243mlを除去して調
製し、4℃で3日間保存した後、生理食塩水を加えて3
60mlとした赤血球製剤(ヘマトクリット63%)
を、25℃になるまで室温(26℃)に放置した後、上
記のフィルターで濾過した。濾過を開始するに当たり、
フィルターを血液回路を介して赤血球製剤が入っている
血液バッグに接続した後、血液バッグを加圧し、強制的
にフィルター内に血液を満たした。
【0040】かくして血液がフィルター内に満たされた
後、ペリスタポンプ(アトー株式会社製、日本)を用い
て15ml/分の一定流速で流し続け、濾過に伴う圧力
損失をデジタル式の圧力計で測定した。血液バッグ内の
血液がなくなった時点で濾過を終了し、フィルター下流
に血液回路を介して接続した回収バッグをフィルターの
血液出口の下流30〜40cmのところで回路ごと切断
し、回路及び回収バッグ内の赤血球製剤を回収液とし
た。
【0041】濾過前の赤血球製剤(以下、濾過前液とい
う)及び回収液の体積、ヘマトクリット、白血球数を測
定し、赤血球回収率及び白血球残存率を求めた。 赤血球回収率={回収液体積×ヘマトクリット(回収
液)}/{濾過前液体積×ヘマトクリット(濾過前
液)} 白血球残存率={白血球数(回収液)}/{濾過前液体
積×白血球濃度(濾過前液)} なお、濾過前液及び回収液の体積は、各々の重量を1.
075(赤血球製剤の代表的な比重)で割った値とし
た。また濾過前液の白血球濃度の測定は次の方法で行っ
た。
【0042】濾過前液の白血球濃度の測定:チュルク液
によって、10倍希釈した濾過前液をバーカーチュルク
型の血球計算板(エルマ社、日本)に注入し、光学顕微
鏡を用いて大区画4区画中に存在する白血球をカウント
し、この値をnpre とした。 白血球濃度=npre ×(1/4)×105 個/ml また、回収液の白血球数の測定は、以下に記す、きわめ
て高感度の方法によった。
【0043】回収液の入ったバッグ内に5%フィコール
400DL(シグマケミカル社、セントルイス、米国)
のEBSS溶液(以下フィコール液という)を回収液と
同容量を振とう混和しながら加え、血漿分離スタンド上
で回収バッグを固定し、40分静置した。静置後、沈降
している赤血球層を乱さぬように、静かに上澄を回収し
た後、再びフィコール液を前回と同容量回収液バッグに
加え、同様の操作を繰り返した。2回の操作により回収
された上澄をコーニング25350−250遠心チュー
ブ(コーニングラボラトリー サイエンス社、ニューヨ
ーク、米国)4本に分注し、840×g、15分遠心
し、沈査を吸い上げぬように注意しながら、上澄をアス
ピレータで廃棄した。各遠心チューブに200mlの溶
血液(1.145%しゅう酸アンモニウム生理食塩液)
を加えて振とう混和し、直ちに468×g、10分間遠
心し、前述と同様の注意を払いながら、上澄をアスピレ
ータで廃棄した。
【0044】4本分の沈査を15mlの遠心チューブに
集め、溶血液を加えて全量を15mlとした後、10分
間室温に静置し、468×g、10分間遠心し、沈査を
含む0.5mlを残し、上澄を慎重に廃棄した。沈査を
含む液を十分に撹拌して単一細胞浮遊液とした後、蛍光
染色液[69.9mg/lアクリジンオレンジ液(ナカ
ライテスク、インク.日本)]50μlを加え、更に撹
拌した。この液を、改良型ノイバウエル式血球計算板
(ライシェルト社、バッファロー、米国)6枚に注入
し、落射式蛍光顕微鏡(株式会社ニコン、日本)を用い
て大区画108区画中に存在する白血球をカウントし
た。このカウント値npostから次式によって、白血球
(回収液)を算出した。 白血球数(回収液)=n post ×(1/108)×10 4
×0.55×(1/0.55)
【0045】下線部が回収液からフィコール液を用いて
最終的に0.55mlまで濃縮した液(以下濃縮液とい
う)中の白血球濃度(個/ml)であり、これに濃縮液
の体積0.55mlを乗じて白血球数を算出する。更に
0.55で割るのは、フィコール液を用いて白血球を回
収する際の回収率が55%であるためである。以上の結
果、白血球残存率は10-4.5、濾過終了時の圧力損失は
75mmHg、赤血球回収率は90.2%であった。主
フィルターの第2フィルター要素の白血球除去率は、9
7.6%であった。なお、第2フィルター要素の白血球
除去率は、第2フィルター要素による濾過後の白血球濃
度が比較的高いので、第2フィルター要素による濾過
前、濾過後とも、前記した「濾過前液の白血球濃度の測
定」の項に記載した方法により求める。
【0046】比較例1. 主フィルターとして、平均繊維直径1.80μmのポリ
エステルメルトブロー不織布のみを、充填密度0.40
g/cm3 、厚み5.0mmになるように充填した以外
は、実施例1と同一の条件で実験を行った。本フィルタ
ーの内空間容積は、30.0mlであった。実験の結
果、白血球残存率は10-3.8、濾過終了時の圧力損失は
77mmHg、赤血球回収率は90.3%であった。
【0047】比較例2. 主フィルターとして、平均繊維直径1.23μmのポリ
エステルメルトブロー不織布のみを、充填密度0.23
g/cm3 、厚み5.0mmになるように充填した以外
は、実施例1と同一の条件で実験を行った。本フィルタ
ーの内空間容積は、32.2mlであった。実験の結
果、白血球残存率は10-4.4、濾過終了時の圧力損失は
147mmHg、赤血球回収率は90.1%であった。
【0048】実施例2. プレフィルターとして平均繊維直径32μmと13μm
の2種のスパンボンド不織布を、平均充填密度0.30
g/cm3 、合計厚み1.1mmになるように、有効濾
過面積67mm×67mmの容器に充填し、同一容器内
下流側に、主フィルターの第2フィルター要素として、
平均繊維直径1.75μm、平均ポアサイズ13.7μ
mのポリエステルメルトブロー不織布を、充填密度0.
17g/cm3 、厚み0.8mmになるように充填し、
更にその下流側に第1のフィルター要素として同じく、
平均繊維直径1.23μm、平均ポアサイズ10.4μ
mのポリエステルメルトブロー不織布を、充填密度0.
27g/cm3 、厚み4.2mmになるように充填し、
白血球除去フィルターを作成した(第1フィルターのA
値は0.22)。本フィルターの内空間容積は32.3
ml、有効濾過面積は(6.7cm)2 =44.9cm
2 であった。
【0049】400mlの血液に56mlのCPD液を
加えて調製した全血456mlから、採血後8時間以内
に遠心分離によって多血小板血漿200mlを除去して
調製し、4℃で3日間保存した赤血球濃厚液(ヘマトク
リット67%)を、25℃になるまで室温(26℃)に
放置した後、上記のファルターで濾過した。濾過を開始
するに当たり、フィルターを血液回路を介して赤血球製
剤が入っている血液バッグに接続した後、血液バッグを
加圧し、強制的にフィルター内に血液を満たした。かく
して血液がフィルター内に満たされた後、落差1.5m
にて濾過を開始した。濾過の終了は血液バッグ中の赤血
球濃厚液がなくなり、血液の流れが実質的に停止した時
点とした。濾過が終了した後、フィルター下流に血液回
路を介して接続した回収バッグをフィルターの血液出口
の下流30〜40cmのところで回路ごと切断し、回路
及び回収バッグ内の赤血球製剤を回収液とした。赤血球
回収率、白血球残存率は、実施例1と同様の方法で測定
した。
【0050】その結果、白血球残存率は10-4.7、濾過
時間は31分、赤血球回収率は91.0%であった。な
お、主フィルターの第2のフィルター要素の白血球除去
率は、62.0%であった。
【0051】実施例3. プレフィルターとして平均繊維直径32μmと13μm
の2種のスパンボンド不織布を平均充填密度0.4g/
cm3 、合計厚み0.7mmに、またパネロンPF86
0(ダイニック株式会社製、日本、平均繊維直径12μ
m)の不織布と平均直径4.1μmのスパンレース不織
布の2種を、平均充填密度0.30g/cm3 、合計厚
み0.5mmになるように、有効濾過面積90mm×9
0mmの容器に充填し、同一容器内下流側に、主フィル
ターの第2フィルター要素として、平均繊維直径1.7
5μm、平均ポアサイズ14.0μmのポリエステルメ
ルトブロー不織布を、充填密度0.38g/cm3 、厚
み0.7mmになるように充填し、更にその下流側に第
1のフィルター要素として同じく平均繊維直径1.23
μm、平均ポアサイズ10.5μmのポリエステルメル
トブロー不織布を、充填密度0.38g/cm3 、厚み
2.5mmになるように充填し、白血球除去フィルター
を作成した(第1フィルター要素のA値は0.31)。
本フィルターの内空間容積は52.0ml、有効濾過面
積は(9.0cm)2 =81.0cm2 であった。
【0052】400mlの血液に56mlのCPDを加
えて調製した全血456mlから、採血後8時間以内に
遠心分離によって多血小板血漿200mlを除去して調
製し、4℃で14日間保存した赤血球濃厚液(ヘマトク
リット67%)を、25℃になるまで室温(26℃)に
放置した後、該赤血球濃厚液2単位を600mlの血液
バッグに集め、上記のフィルターで濾過した。落差1.
2mで濾過を行った以外は、実施例2と同様の方法で実
験した。
【0053】その結果、白血球残存率は10-4.2、濾過
時間は54分、赤血球回収率は89.4%であった。な
お、主フィルターの第2フィルター要素の白血球除去率
は、81.8%であった。
【0054】実施例4. プレフィルターとして、平均繊維直径32μmと13μ
mの2種のスパンボンド不織布を、平均充填密度0.4
7g/cm3 、合計厚み0.6mmに、またパネロンP
F869(ダイニック株式会社製、日本、平均繊維直径
12μm)と平均直径4.1μmのスパンレース不織布
との2種を、平均充填密度0.375g/cm3 、合計
厚み0.4mmになるように有効濾過面積67mm×6
7mmの容器に充填し、同一容器内下流側に、主フィル
ターの第2フィルター要素として、平均繊維直径1.6
8μm、平均ポアサイズ13.3μmのポリエステルメ
ルトブロー不織布を、充填密度0.33g/cm3 、厚
み1.2mmになるように充填し、更にその下流側に第
1のフィルター要素として同じく、平均繊維直径0.8
9μm、平均ポアサイズ8.1μmのポリエステルメル
トブロー不織布を、充填密度0.30g/cm3 、厚み
2.3mmになるように充填し、白血球除去フィルター
を作成した。本フィルターの内空間容積は24.3m
l、有効濾過面積は(6.7cm)2 =44.9cm2
であった。
【0055】400mlの血液に56mlのCPDを加
えて調製した全血456mlから、採血後8時間以内に
遠心分離によって多血小板血漿200mlを除去して調
製し、4℃で12日間保存した赤血球濃厚液(ヘマトク
リット68%)を、25℃になるまで室温(26℃)に
放置した後、上記のフィルターで濾過した。落差1.2
mで濾過を行った以外は、実施例2と同様の方法で実験
を行った。
【0056】その結果、白血球残存率は10-4.3、濾過
時間は48分、赤血球回収率は90.0%であった。な
お、主フィルターの第2フィルター要素の白血球除去率
は85.2%であった。
【0057】実施例5. プレフィルターとして、平均繊維直径32μmと13μ
mの2種のスパンボンド不織布を、平均充填密度0.2
4g/cm3 、合計厚み2.2mmになるように、有効
濾過面積47mm×47mmの容器に充填し、同一容器
内下流側に、主フィルターの第2フィルター要素とし
て、平均繊維直径1.80μm、平均ポアサイズ12.
8μmのポリエステルメルトブロー不織布を、充填密度
0.20g/cm3 、厚み2.0mmになるように充填
し、更にその下流側に第1のフィルター要素として同じ
く、平均繊維直径1.23μm、平均ポアサイズ10.
2μmのポリエステルメルトブロー不織布を、充填密度
0.20g/cm3 、厚み2.0mmになるように充填
し、白血球除去フィルターを作成した(第1フィルター
のA値は0.16)。本フィルターの内空間容積は1
5.8ml、有効濾過面積は(4.7cm)2 =22.
1cm2 であった。450mlの血液に63mlのCP
Dを加えて調製した全血513mlから、採血後8時間
以内に遠心分離によって多血小板血漿243mlを除去
して調製し、4℃で10日間保存した後、生理食塩水を
加えて360mlとした赤血球製剤(ヘマトクリット6
3%)を、25℃になるまで室温(26℃)に放置した
後、上記のフィルターで濾過した。回収液の白血球数を
下記の方法で求めた以外は、実施例2と同様の方法で実
験を行った。
【0058】白血球濃度(回収液):回収液100μl
に溶血液200μlおよび蛍光染色液30μlを加えて
撹拌した後、この液を改良型ノイバウエル式血球計算板
(ライシェルト社、バッファロー、米国)1〜3枚に注
入し、落射式の蛍光顕微鏡(株式会社ニコン、日本)を
用いて大区画4〜54区画中に存在する白血球をカウン
トし、この値をnpost’とした。 白血球濃度(回収液)=npost’×(1/測定区画数)
×(1/3.3)×104 個/ml 白血球数=回収液体積×白血球濃度(回収液) その結果、白血球残存率は10-2.5、濾過時間は15.
2分、赤血球回収率は91.4%であった。なお、主フ
ィルターの第2フィルター要素の白血球除去率は、8
4.5%であった。
【0059】比較例3. 主フィルターとして、平均繊維直径1.80μmのポリ
エステルメルトブロー不織布のみを、充填密度0.23
g/cm3 、厚み4.0mmになるように充填した以外
は、実施例4と同一の条件で実験を行った。本フィルタ
ーの内空間容積は、15.5mlであった。実験の結
果、白血球残存率は10-1.9、濾過時間は16.4分、
赤血球回収率は92.0%であった。
【0060】比較例4. 主フィルターとして、平均繊維直径1.23μmのポリ
エステルメルトブロー不織布のみを、充填密度0.17
g/cm3 、厚み4.0mmになるように充填した以外
は、実施例4と同一の条件で実験を行った。本フィルタ
ーの内空間容積は、15.8mlであった。実験の結
果、白血球残存率は10-2.4、濾過時間は24.3分、
赤血球回収率は91.5%であった。
【0061】実施例6. プレフィルターとして、平均繊維直径13μmのスパン
ボンド不織布を、平均充填密度0.28g/cm3 、厚
み2.8mmに、平均繊維直径4.1μmのスパンレー
ス不織布を平均充填密度0.28g/cm3 、厚み1.
6mmに、主フィルターとしては、第2フィルター要素
として、平均繊維直径1.23μmのメルトブロー不織
布を、平均充填密度0.20g/cm3 、(平均ポアサ
イズ10.2μm)、厚み4.6mmに、第1フィルタ
ー要素として同じく、平均繊維直径0.72μmのメル
トブロー不織布を平均充填密度0.28g/cm3 、
(平均ポアサイズ9.6μm、A値0.39)、厚み
3.0mmに、以上の不織布を有効濾過面積30mm×
30mm=9.0cm2 の容器内に上流側から下流側に
上記の順になるように充填した。一方、2−ヒドロキシ
エチル メタアクリレートとジメチルアミノエチル メ
タアクリレートのモル比で97:3の共重合体(以下H
M−3と略称する)を通常の溶液ラジカル重合によって
合成した。重合条件としては、エタノール中の総モノマ
ー濃度1.0モル/1で、開始剤としてアゾビスイソブ
チロニトリル1/200モル/1存在下、60℃で8時
間重合反応を行った。得られたHM−3を40℃のエタ
ノールに1.0%濃度に溶解させ、上記の不織布を充填
した容器に通過させ、乾燥窒素を送りながら乾燥させ、
更に40〜120℃で真空で4時間引いて十分に乾燥さ
せることにより、不織布の繊維の表面にHM−3をコー
トし、血小板製剤用の白血球除去フィルターを作成し
た。本フィルターの内空間容積は11.0mlであっ
た。
【0062】日本赤十字社より入手した血小板濃厚液1
0単位(4日間保存)を、室温にて落差1.2mで、上
記フィルターで濾過した。濾過時間は28分であった。
血小板回収率及び白血球残存率は下記の式により求め
た。 濾過前後の血小板濃度及び濾過前の白血球濃度は、自動
血球計数装置(Symex MICROCELL−CO
UNTER F−800、東亜医用電子株式会社)を用
いて測定し、濾過後の白血球濃度は高橋らの開発したサ
イトスピン法(日本輸血学会雑誌、第35巻、第5号、
497〜503頁、1989年)によって測定した。濾
過前後の体積は、濾過前後の重量を比重1.025で割
った値とした。以上の結果、血小板回収率89.6%、
白血球残存率10-4.6であった。なお、主フィルターの
第2フィルター要素の白血球除去率[{1−(白血球残
存率)}×100]は87.3%であった。
【0063】
【発明の効果】本発明の白血球除去フィルター及び白血
球除去方法は、濾過時の圧力損失が小さく、血液処理に
伴う流速の極端な低下を起こさずに白血球残存率10-4
以下という臨床上きわめて意義の深い、高い白血球除去
能と85〜90%の高い赤血球もしくは血小板の回収率
を達成することが出来る。また、本発明を白血球残存率
10-2〜10-3程度の、普及型の白血球除去フィルター
に適用すれば、従来と同等の圧力損失でより小型のフィ
ルター、或いは従来と同等の内容積でより圧力損失の小
さなフィルターを提供することが出来る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均繊維直径の異なる複数のフィルター
    要素からなる白血球除去フィルターであって、平均繊維
    直径が0.3〜1.6μmである第1のフィルター要素
    を有し、かつ被処理血液中の白血球の60%以上を除去
    する、該第1のフィルター要素よりも平均繊維直径の大
    きな第2のフィルター要素が、前記第1のフィルター要
    素よりも被処理血液の上流側に配置されていることを特
    徴とする白血球除去フィルター。
  2. 【請求項2】 第2のフィルター要素が、平均繊維直径
    が0.8〜3.0μmであり、且つ第1のフィルター要
    素の1.2倍以上であるフィルター要素を含むことを特
    徴とする、請求項1記載の白血球除去フィルター。
  3. 【請求項3】 第1のフィルター要素の平均ポアサイズ
    が2〜18μmである、請求項1記載の白血球除去フィ
    ルター。
  4. 【請求項4】 第2のフィルター要素が、平均ポアサイ
    ズ4〜25μmのフィルター要素を含む、請求項1ない
    し3記載の白血球除去フィルター。
  5. 【請求項5】 被処理血液中の白血球を60%以上除去
    した後に、平均繊維直径が0.3〜1.6μmである第
    1のフィルター要素を有する白血球除去フィルターによ
    って更に白血球を除去することを特徴とする白血球除去
    方法。
  6. 【請求項6】 白血球を60%以上除去するに際し、平
    均繊維直径が0.8〜3.0μm且つ第1のフィルター
    要素の1.2倍以上である第2のフィルター要素を用い
    る請求項5記載の白血球除去方法。
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