JPH07223818A - 絶縁体とその製造方法及び超電導体薄膜とその製造方法 - Google Patents
絶縁体とその製造方法及び超電導体薄膜とその製造方法Info
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- JPH07223818A JPH07223818A JP6016187A JP1618794A JPH07223818A JP H07223818 A JPH07223818 A JP H07223818A JP 6016187 A JP6016187 A JP 6016187A JP 1618794 A JP1618794 A JP 1618794A JP H07223818 A JPH07223818 A JP H07223818A
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- Y02E40/00—Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
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- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
- Inorganic Insulating Materials (AREA)
- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 膜厚数10nm程度でも特性を補償する絶縁
体とその製造方法及び安定な超電導体薄膜とその製造方
法を提供する。 【構成】 スパッタリングターゲットとして、Biメタ
ルディスクターゲットとBi−Pb−Ti−O焼成ディ
スクターゲットを用いる。基体として、既にMgO(1
00)上に形成したBi−Sr−Ca−Cu−O超電導
体薄膜を用いる。アルゴン・酸素(4:1)混合雰囲気
1.0Paのガス中で各ターゲットのスパッタリングを
行い、650℃に加熱した基体の上に、(Bi−O)→
(Bi−Pb−Ti−O)→(Bi−O)のサイクルで
Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜を作製する。
体とその製造方法及び安定な超電導体薄膜とその製造方
法を提供する。 【構成】 スパッタリングターゲットとして、Biメタ
ルディスクターゲットとBi−Pb−Ti−O焼成ディ
スクターゲットを用いる。基体として、既にMgO(1
00)上に形成したBi−Sr−Ca−Cu−O超電導
体薄膜を用いる。アルゴン・酸素(4:1)混合雰囲気
1.0Paのガス中で各ターゲットのスパッタリングを
行い、650℃に加熱した基体の上に、(Bi−O)→
(Bi−Pb−Ti−O)→(Bi−O)のサイクルで
Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜を作製する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物高温超電導体等
の600〜900℃の比較的高い生成過程を経る材料を
デバイス化する際に有用な絶縁体とその製造方法及び超
電導体薄膜とその製造方法に関する。
の600〜900℃の比較的高い生成過程を経る材料を
デバイス化する際に有用な絶縁体とその製造方法及び超
電導体薄膜とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、応用が急がれている材料の一つに
酸化物高温超電導体がある。このペロブスカイト系化合
物は、金属化合物超電導体よりもさらに高い転移温度が
期待され、Ba−La−Cu−O系の高温超電導体が提
案された[J.G.Bednorz and K.A.Muller,ツァイトシュ
リフト・フュア・フィジーク(Zeitshrift Fur Physik
B)-Condensed Matter Vol.64,189-193(1986)]。さら
に、Bi−Sr−Ca−Cu−O系の材料が100ケル
ビン以上の転移温度を示すことも発見された[H.Maeda,
Y.Tanaka,M.Fukutomi and T.Asano,ジャパニーズ・ジャ
ーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Japanese Jo
urnal of Applied Physics)Vol.27,L209-L210(198
8)]。この種の材料の超電導機構の詳細は明らかでな
いが、転移温度が室温以上に高くなる可能性もあり、高
温超電導体として従来の2元系化合物よりも電子デバイ
ス分野での応用が期待されている。
酸化物高温超電導体がある。このペロブスカイト系化合
物は、金属化合物超電導体よりもさらに高い転移温度が
期待され、Ba−La−Cu−O系の高温超電導体が提
案された[J.G.Bednorz and K.A.Muller,ツァイトシュ
リフト・フュア・フィジーク(Zeitshrift Fur Physik
B)-Condensed Matter Vol.64,189-193(1986)]。さら
に、Bi−Sr−Ca−Cu−O系の材料が100ケル
ビン以上の転移温度を示すことも発見された[H.Maeda,
Y.Tanaka,M.Fukutomi and T.Asano,ジャパニーズ・ジャ
ーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Japanese Jo
urnal of Applied Physics)Vol.27,L209-L210(198
8)]。この種の材料の超電導機構の詳細は明らかでな
いが、転移温度が室温以上に高くなる可能性もあり、高
温超電導体として従来の2元系化合物よりも電子デバイ
ス分野での応用が期待されている。
【0003】そして、これらの酸化物超電導体の開発と
相俟って、この材料の電子デバイスへの応用を考え、酸
化物超電導体を作製する際に経る高熱過程に対しても安
定な絶縁体及び絶縁薄膜の開発が行われている[Y.Ichi
kawa,H.Adachi,T.Mitsuyu and K.Wasa,ジャパニーズ・
ジャーナル・オブ:アプライド・フィジックス(Japane
se Journal of Applied Physics)Vol.27,L381-L383(198
8)]。
相俟って、この材料の電子デバイスへの応用を考え、酸
化物超電導体を作製する際に経る高熱過程に対しても安
定な絶縁体及び絶縁薄膜の開発が行われている[Y.Ichi
kawa,H.Adachi,T.Mitsuyu and K.Wasa,ジャパニーズ・
ジャーナル・オブ:アプライド・フィジックス(Japane
se Journal of Applied Physics)Vol.27,L381-L383(198
8)]。
【0004】また、超電導体と絶縁体とを交互に積層す
ることにより、さらに高い超電導転移温度が従来から期
待されていた[M.H.Cohen and D.H.Douglass,Jr.,フィ
ジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letter
s)Vol.19,118-121(1967)]。
ることにより、さらに高い超電導転移温度が従来から期
待されていた[M.H.Cohen and D.H.Douglass,Jr.,フィ
ジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letter
s)Vol.19,118-121(1967)]。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、酸化物超電導
体の材料は、良好な超電導特性を得るためには少なくと
も600℃以上の熱処理又は形成時の加熱を必要とす
る。このため、絶縁体の結晶性が崩れ、絶縁体及び絶縁
薄膜と超電導体との間で各元素の相互拡散が起こり、ま
た、超電導体並びに絶縁体の特性が劣化し、特に高温酸
化物超電導体と絶縁膜との周期的な積層構造を得ること
は極めて困難であり、ジョセフソンデバイスが代表応用
例として挙げられるこの構造を利用した集積化デバイス
の構成を不可能なものとしていた。
体の材料は、良好な超電導特性を得るためには少なくと
も600℃以上の熱処理又は形成時の加熱を必要とす
る。このため、絶縁体の結晶性が崩れ、絶縁体及び絶縁
薄膜と超電導体との間で各元素の相互拡散が起こり、ま
た、超電導体並びに絶縁体の特性が劣化し、特に高温酸
化物超電導体と絶縁膜との周期的な積層構造を得ること
は極めて困難であり、ジョセフソンデバイスが代表応用
例として挙げられるこの構造を利用した集積化デバイス
の構成を不可能なものとしていた。
【0006】さらに、高温超電導体及び薄膜にとって最
適な絶縁薄膜が得られていないために、超電導体と絶縁
体との有効な積層構造が実現されておらず、超電導材料
そのものの超電導転移温度の上昇は望めないのが現状で
あった。
適な絶縁薄膜が得られていないために、超電導体と絶縁
体との有効な積層構造が実現されておらず、超電導材料
そのものの超電導転移温度の上昇は望めないのが現状で
あった。
【0007】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、膜厚数10nm程度でも特性を補償する絶縁体と
その製造方法及び安定な超電導体薄膜とその製造方法を
提供することを目的とする。
ため、膜厚数10nm程度でも特性を補償する絶縁体と
その製造方法及び安定な超電導体薄膜とその製造方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る絶縁体は、主体成分として少なくとも
ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、チタン(Ti)及び酸
素(O)を含む薄膜の積層体からなるという構成を備え
たものである。
め、本発明に係る絶縁体は、主体成分として少なくとも
ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、チタン(Ti)及び酸
素(O)を含む薄膜の積層体からなるという構成を備え
たものである。
【0009】また、本発明に係る絶縁体の製造方法は、
基体上に少なくともBiを含む酸化物層と、少なくとも
Bi、Pb及びTiを含む酸化物層とを交互に積層する
という構成を備えたものである。
基体上に少なくともBiを含む酸化物層と、少なくとも
Bi、Pb及びTiを含む酸化物層とを交互に積層する
という構成を備えたものである。
【0010】また、本発明に係る超電導体薄膜は、基体
上に主体成分として少なくともBi、Cu及びアルカリ
土類(IIa族)を含む酸化物層と、少なくともBi、
Ti及びPbを含む絶縁体酸化物層とが周期的に積層さ
れた構造を有するものである(ここで、アルカリ土類
は、IIa族元素のうちの少なくとも一種又は二種以上
の元素を示す。)。
上に主体成分として少なくともBi、Cu及びアルカリ
土類(IIa族)を含む酸化物層と、少なくともBi、
Ti及びPbを含む絶縁体酸化物層とが周期的に積層さ
れた構造を有するものである(ここで、アルカリ土類
は、IIa族元素のうちの少なくとも一種又は二種以上
の元素を示す。)。
【0011】また、本発明に係る超電導体薄膜の製造方
法は、基体上に主体成分として少なくともBiを含む酸
化物層と、少なくともCu及びアルカリ土類(IIa
族)を含む酸化物層と、少なくともBi、Ti及びPb
を含む酸化物層とを周期的に積層堆積するという構成を
備えたものである(ここで、アルカリ土類は、IIa族
元素のうちの少なくとも一種又は二種以上の元素を示
す。)。
法は、基体上に主体成分として少なくともBiを含む酸
化物層と、少なくともCu及びアルカリ土類(IIa
族)を含む酸化物層と、少なくともBi、Ti及びPb
を含む酸化物層とを周期的に積層堆積するという構成を
備えたものである(ここで、アルカリ土類は、IIa族
元素のうちの少なくとも一種又は二種以上の元素を示
す。)。
【0012】また、前記構成においては、元素の比率
が、Bi:Pb:Ti=4:(n−1):(2+n)で
表記されるのが好ましい(ここで、nは1以上の整数を
示す。)。
が、Bi:Pb:Ti=4:(n−1):(2+n)で
表記されるのが好ましい(ここで、nは1以上の整数を
示す。)。
【0013】
【作用】前記本発明の絶縁体の構成によれば、熱的にも
極めて安定なBi2 O2 酸化膜層又はこれを主体とした
層によって覆われた結晶構造を有し、酸化物超電導体と
ほぼ等しい形成温度であることから、特に酸化物高温超
電導体と接触させても高温熱処理等の過程を経ても、本
発明による絶縁体、超電導体薄膜の結晶性並びに特性が
互いに劣化することはない。さらに、本発明の絶縁体の
結晶構造は酸化物超電導体のそれと同じペロブスカイト
構造であり、特にa軸及びb軸の長さがほぼ等しいこと
から、酸化物超電導体と絶縁体の安定な連続積層が可能
となる。
極めて安定なBi2 O2 酸化膜層又はこれを主体とした
層によって覆われた結晶構造を有し、酸化物超電導体と
ほぼ等しい形成温度であることから、特に酸化物高温超
電導体と接触させても高温熱処理等の過程を経ても、本
発明による絶縁体、超電導体薄膜の結晶性並びに特性が
互いに劣化することはない。さらに、本発明の絶縁体の
結晶構造は酸化物超電導体のそれと同じペロブスカイト
構造であり、特にa軸及びb軸の長さがほぼ等しいこと
から、酸化物超電導体と絶縁体の安定な連続積層が可能
となる。
【0014】また、本発明の絶縁体の製造方法の構成に
よれば、上記絶縁体の構成を達成するために、基体上に
少なくともBiを含む酸化物層と、少なくともBi、P
b及びTiを含む酸化物層とを交互に積層することによ
り、Bi系超電導体薄膜と絶縁膜との積層構造を再現性
良く実現することができ、また、ジョセフソンデバイス
の設計に必要とされる厚さ数10nm以下の層間絶縁膜
を安定に形成することが可能となる。
よれば、上記絶縁体の構成を達成するために、基体上に
少なくともBiを含む酸化物層と、少なくともBi、P
b及びTiを含む酸化物層とを交互に積層することによ
り、Bi系超電導体薄膜と絶縁膜との積層構造を再現性
良く実現することができ、また、ジョセフソンデバイス
の設計に必要とされる厚さ数10nm以下の層間絶縁膜
を安定に形成することが可能となる。
【0015】また、本発明の超電導体薄膜の構成によれ
ば、Bi2 O2 酸化膜層又はこれを主体とした層によっ
て共に覆われた結晶構造となっているBi系超電導体薄
膜と第1の発明に係る絶縁体の薄膜とが、交互に積層さ
れた構造を採ることにより、超電導体薄膜と絶縁膜との
間における元素の相互拡散のない積層構造を実現するこ
とができ、その結果、Bi系超電導体薄膜における超電
導転移温度を安定に再現性良く実現することができる。
ば、Bi2 O2 酸化膜層又はこれを主体とした層によっ
て共に覆われた結晶構造となっているBi系超電導体薄
膜と第1の発明に係る絶縁体の薄膜とが、交互に積層さ
れた構造を採ることにより、超電導体薄膜と絶縁膜との
間における元素の相互拡散のない積層構造を実現するこ
とができ、その結果、Bi系超電導体薄膜における超電
導転移温度を安定に再現性良く実現することができる。
【0016】また、本発明の超電導体薄膜の製造方法の
構成によれば、第3の発明に係る超電導体薄膜を極めて
安定に、しかも微細スケールで実現するために、基体上
に主体成分として少なくともBiを含む酸化物層と、少
なくともCu及びアルカリ土類(IIa族)を含む酸化
物層と、少なくともBi、Ti及びPbを含む酸化物層
とを周期的に積層堆積することにより、Bi系超電導体
薄膜と絶縁膜との積層を再現性良く実現することができ
る。
構成によれば、第3の発明に係る超電導体薄膜を極めて
安定に、しかも微細スケールで実現するために、基体上
に主体成分として少なくともBiを含む酸化物層と、少
なくともCu及びアルカリ土類(IIa族)を含む酸化
物層と、少なくともBi、Ti及びPbを含む酸化物層
とを周期的に積層堆積することにより、Bi系超電導体
薄膜と絶縁膜との積層を再現性良く実現することができ
る。
【0017】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。酸化物高温超電導体の中で、安定性、超電
導転移温度の高さの観点からBi系超電導体が実用化に
最も有望な材料であると考えられる。また、この種の材
料の素子化を考えた場合、ジョセフソン接合等に用いら
れる層間絶縁膜の作製が問題となってくる。そこで、本
発明者らは、まず、Bi系超電導体薄膜についての層間
絶縁膜として種々の絶縁膜について検討した。
に説明する。酸化物高温超電導体の中で、安定性、超電
導転移温度の高さの観点からBi系超電導体が実用化に
最も有望な材料であると考えられる。また、この種の材
料の素子化を考えた場合、ジョセフソン接合等に用いら
れる層間絶縁膜の作製が問題となってくる。そこで、本
発明者らは、まず、Bi系超電導体薄膜についての層間
絶縁膜として種々の絶縁膜について検討した。
【0018】Bi−Sr−Ca−Cu−O系の酸化物超
電導体薄膜は、通常、600〜700℃に加熱した基体
上に蒸着することによって得られる。蒸着後そのままで
も、この薄膜は超電導特性を示すが、蒸着後に700〜
950℃の温度で熱処理を施せば超電導特性をさらに向
上させることができる。しかし、基体温度が高い時に絶
縁膜を超電導体薄膜に連続して積層したり、絶縁膜を形
成した後に熱処理を施すと、超電導体薄膜と絶縁膜との
間で元素の相互拡散が起こり、超電導特性が大きく劣化
することが判明した。元素の相互拡散を起こさないため
には、超電導体薄膜及び絶縁膜の結晶性が優れているこ
と、超電導体薄膜・絶縁膜間での格子の整合性が優れて
いること、絶縁膜が700〜950℃の熱処理に対して
安定であることが不可欠であると考えられる。
電導体薄膜は、通常、600〜700℃に加熱した基体
上に蒸着することによって得られる。蒸着後そのままで
も、この薄膜は超電導特性を示すが、蒸着後に700〜
950℃の温度で熱処理を施せば超電導特性をさらに向
上させることができる。しかし、基体温度が高い時に絶
縁膜を超電導体薄膜に連続して積層したり、絶縁膜を形
成した後に熱処理を施すと、超電導体薄膜と絶縁膜との
間で元素の相互拡散が起こり、超電導特性が大きく劣化
することが判明した。元素の相互拡散を起こさないため
には、超電導体薄膜及び絶縁膜の結晶性が優れているこ
と、超電導体薄膜・絶縁膜間での格子の整合性が優れて
いること、絶縁膜が700〜950℃の熱処理に対して
安定であることが不可欠であると考えられる。
【0019】まず、本発明者らは、Bi系層状強誘電体
の結晶の基本構造がBi2 O2 酸化物層とTiを含むペ
ロブスカイト状酸化物層とからなり、Bi系超電導体と
極めて似通っていることに着目し、絶縁材料として検討
を行った。また、超電導体と誘電体とを組合せてデバイ
ス化を図る場合、真空中での加熱状態は避けて通れない
工程であることから、Bi系超電導体薄膜の上に誘電体
薄膜を成長させて評価を行った。
の結晶の基本構造がBi2 O2 酸化物層とTiを含むペ
ロブスカイト状酸化物層とからなり、Bi系超電導体と
極めて似通っていることに着目し、絶縁材料として検討
を行った。また、超電導体と誘電体とを組合せてデバイ
ス化を図る場合、真空中での加熱状態は避けて通れない
工程であることから、Bi系超電導体薄膜の上に誘電体
薄膜を成長させて評価を行った。
【0020】図1に、Bi系超電導体薄膜の上にBi−
Ti−O誘電体薄膜を成長させたときのX線回折スペク
トルの変化を示す。図1(a)、(b)、(c)はそれ
ぞれBi−Ti−O誘電体薄膜、Bi−Sr−Ca−C
u−O超電導体薄膜、Bi−Ti−O/Bi−Sr−C
a−Cu−O薄膜のX線回折スペクトルである。基体と
してSrTiO3 (100)を用い、焼成されたBi−
Ti−Oターゲット、Bi−Sr−Ca−Cu−Oター
ゲットからなる2元の高周波マグネトロンスパッタ装置
を用いて薄膜を作製した。この場合、基体の温度は65
0℃とした。また、Bi−Ti−O誘電体薄膜、Bi−
Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜の膜厚はそれぞれ5
0nm、150nmとした。図1(a)、(b)に示す
ように、Bi−Ti−O誘電体薄膜、Bi−Sr−Ca
−Cu−O超電導体薄膜はそれぞれ結晶性に優れたc軸
配向の誘電体Bi4 Ti3 O12、超電導体Bi2 Sr2
CaCu2 O8 となっていることが分かる。しかし、B
i−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜を作製した後、
その上に直ちにBi−Ti−O誘電体薄膜を堆積した場
合には、Bi4 Ti3 O12、Bi2 Sr2 CaCu2 O
8 のいずれの結晶相も現れず、図1(c)に示すよう
に、Bi−Sr−Oの固溶体結晶が出来てしまうことが
分かった。また、Bi−Ti−Oは本来絶縁体である
が、導通が確認された。この現象は、例えば、Bi−S
r−Ca−Cu−O超電導体薄膜を作製した後に基体温
度を室温まで下げ、再び基体の温度をBi−Ti−O誘
電体薄膜の作製温度まで上げてBi−Ti−O誘電体薄
膜を堆積した場合や、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電
導体薄膜を作製した後に酸素ガスを含む雰囲気中でBi
2 Sr2 CaCu2 O8 結晶を成長させるための熱処理
を十分に施した後、その上にBi−Ti−O誘電体薄膜
を堆積した場合にも同様に観察された。この原因は正確
には未だ不明であるが、およそ次のように考えることが
できる。すなわち、少なくともBi4 Ti3 O12の結晶
化に必要な状態に加熱されたBi−Sr−Ca−Cu−
O超電導体薄膜中においては、Bi、Sr、Ca、C
u、Oは結合が弱く、その上に飛来したBi、Ti、O
の中でも最も活性力の強いTiの影響を受け、特にTi
はOと結合し易いことから、Bi、Sr、Ca、Cuが
必ず何らかの形態で結合しているOとの結合を切ってし
まい、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi
−Ti−O誘電体薄膜の界面からBi2 Sr2 CaCu
2 O 8 の元素比率がBi:Sr:Ca:Cu=2:2:
1:2から崩れてしまい、界面からBi−Sr−Oの固
溶体結晶が出来てしまうのではないかと考えられる。
Ti−O誘電体薄膜を成長させたときのX線回折スペク
トルの変化を示す。図1(a)、(b)、(c)はそれ
ぞれBi−Ti−O誘電体薄膜、Bi−Sr−Ca−C
u−O超電導体薄膜、Bi−Ti−O/Bi−Sr−C
a−Cu−O薄膜のX線回折スペクトルである。基体と
してSrTiO3 (100)を用い、焼成されたBi−
Ti−Oターゲット、Bi−Sr−Ca−Cu−Oター
ゲットからなる2元の高周波マグネトロンスパッタ装置
を用いて薄膜を作製した。この場合、基体の温度は65
0℃とした。また、Bi−Ti−O誘電体薄膜、Bi−
Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜の膜厚はそれぞれ5
0nm、150nmとした。図1(a)、(b)に示す
ように、Bi−Ti−O誘電体薄膜、Bi−Sr−Ca
−Cu−O超電導体薄膜はそれぞれ結晶性に優れたc軸
配向の誘電体Bi4 Ti3 O12、超電導体Bi2 Sr2
CaCu2 O8 となっていることが分かる。しかし、B
i−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜を作製した後、
その上に直ちにBi−Ti−O誘電体薄膜を堆積した場
合には、Bi4 Ti3 O12、Bi2 Sr2 CaCu2 O
8 のいずれの結晶相も現れず、図1(c)に示すよう
に、Bi−Sr−Oの固溶体結晶が出来てしまうことが
分かった。また、Bi−Ti−Oは本来絶縁体である
が、導通が確認された。この現象は、例えば、Bi−S
r−Ca−Cu−O超電導体薄膜を作製した後に基体温
度を室温まで下げ、再び基体の温度をBi−Ti−O誘
電体薄膜の作製温度まで上げてBi−Ti−O誘電体薄
膜を堆積した場合や、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電
導体薄膜を作製した後に酸素ガスを含む雰囲気中でBi
2 Sr2 CaCu2 O8 結晶を成長させるための熱処理
を十分に施した後、その上にBi−Ti−O誘電体薄膜
を堆積した場合にも同様に観察された。この原因は正確
には未だ不明であるが、およそ次のように考えることが
できる。すなわち、少なくともBi4 Ti3 O12の結晶
化に必要な状態に加熱されたBi−Sr−Ca−Cu−
O超電導体薄膜中においては、Bi、Sr、Ca、C
u、Oは結合が弱く、その上に飛来したBi、Ti、O
の中でも最も活性力の強いTiの影響を受け、特にTi
はOと結合し易いことから、Bi、Sr、Ca、Cuが
必ず何らかの形態で結合しているOとの結合を切ってし
まい、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi
−Ti−O誘電体薄膜の界面からBi2 Sr2 CaCu
2 O 8 の元素比率がBi:Sr:Ca:Cu=2:2:
1:2から崩れてしまい、界面からBi−Sr−Oの固
溶体結晶が出来てしまうのではないかと考えられる。
【0021】そこで、本発明者らは、Tiを活性力の低
い粒子の状態でBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄
膜の上に飛来させるための実験及び検討を行った。その
結果、Bi系強誘電体結晶を構成するBi2 O2 酸化物
層とTiを含むペロブスカイト状酸化物層の中で、ペロ
ブスカイト状酸化物層にTiとPbを添加していくこと
により、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜の結
晶構造は保持されたままBi系誘電体が成長すること、
及び強誘電体としても優れた特性を示す可能性があるこ
とを見い出し、一連の発明をするに至った。
い粒子の状態でBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄
膜の上に飛来させるための実験及び検討を行った。その
結果、Bi系強誘電体結晶を構成するBi2 O2 酸化物
層とTiを含むペロブスカイト状酸化物層の中で、ペロ
ブスカイト状酸化物層にTiとPbを添加していくこと
により、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜の結
晶構造は保持されたままBi系誘電体が成長すること、
及び強誘電体としても優れた特性を示す可能性があるこ
とを見い出し、一連の発明をするに至った。
【0022】以下、具体的実施例を挙げて本発明をさら
に詳細に説明する。 (実施例1)図2に、本実施例1で用いた薄膜作製装置
の概略図を示す。本実施例1においては、Bi−Sr−
Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Ti−O誘電体薄
膜とを連続的に積層するために、2元ターゲットの高周
波マグネトロンスパッタ法によってそれぞれの膜を蒸着
した。基体としてはMgO(100)基体5を用い、ス
パッタリングターゲットとしては、空気中において90
0℃の温度で5時間焼成した混合酸化物のBi2 Sr2
Ca2 Cu3 O10+xディスクターゲット1とBi4 Ti
3 O12+yディスクターゲット2を用いた。また、スパッ
タリングガスとしてはArとO2 の混合ガス(Ar:O
2 =1:9、0.5Pa)を用いた。各ターゲット1、
2は、MgO(100)基体5に焦点を結ぶように約3
0°傾けて設置されている。ターゲット1、2の前方に
はそれぞれシャッター3、4が設けられており、Bi−
Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Ti−O誘
電体薄膜とを連続的に基体5の上に積層することができ
るようにされている。尚、図2中、6は基体加熱用のヒ
ーターである。
に詳細に説明する。 (実施例1)図2に、本実施例1で用いた薄膜作製装置
の概略図を示す。本実施例1においては、Bi−Sr−
Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Ti−O誘電体薄
膜とを連続的に積層するために、2元ターゲットの高周
波マグネトロンスパッタ法によってそれぞれの膜を蒸着
した。基体としてはMgO(100)基体5を用い、ス
パッタリングターゲットとしては、空気中において90
0℃の温度で5時間焼成した混合酸化物のBi2 Sr2
Ca2 Cu3 O10+xディスクターゲット1とBi4 Ti
3 O12+yディスクターゲット2を用いた。また、スパッ
タリングガスとしてはArとO2 の混合ガス(Ar:O
2 =1:9、0.5Pa)を用いた。各ターゲット1、
2は、MgO(100)基体5に焦点を結ぶように約3
0°傾けて設置されている。ターゲット1、2の前方に
はそれぞれシャッター3、4が設けられており、Bi−
Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Ti−O誘
電体薄膜とを連続的に基体5の上に積層することができ
るようにされている。尚、図2中、6は基体加熱用のヒ
ーターである。
【0023】ターゲット1、2にそれぞれ80W、40
Wのスパッタ電力を注入してターゲット1、2をスパッ
タし、ヒーター6によって650℃に加熱した基体5の
上にまずBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜を1
50nmの膜厚で堆積し、続いてその上にBi−Ti−
O誘電体薄膜を50nmの膜厚で積層堆積した。Bi−
Ti−O誘電体薄膜を堆積した後の薄膜の結晶構造は図
1(c)に示すとおりであり、薄膜の最表面は絶縁性を
示さなかった。
Wのスパッタ電力を注入してターゲット1、2をスパッ
タし、ヒーター6によって650℃に加熱した基体5の
上にまずBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜を1
50nmの膜厚で堆積し、続いてその上にBi−Ti−
O誘電体薄膜を50nmの膜厚で積層堆積した。Bi−
Ti−O誘電体薄膜を堆積した後の薄膜の結晶構造は図
1(c)に示すとおりであり、薄膜の最表面は絶縁性を
示さなかった。
【0024】本発明者らは、Bi−Ti−Oターゲット
にBiとPbを添加していくと絶縁性が向上することを
見い出した。すなわち、Bi4 Ti3 O12+yディスクタ
ーゲットを粉砕し、TiO2 粉体とPbO粉体を加えて
再度焼成したものをターゲット2として使用し、Bi−
Pb−Ti−O誘電体薄膜をBi−Sr−Ca−Cu−
O超電導体薄膜の上に堆積すれば、Bi−Pb−Ti−
O誘電体薄膜はBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄
膜の上であっても絶縁性を示すことを見い出した。尚、
TiO2 粉体とPbO粉体はTi:Pb=1:1の割合
で加えた。Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜上
のBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜の上に、スパッタ法
を用いて直径0.3mm、膜厚約50nmのPt電極を
1.5mm間隔で2個蒸着し、100Hzから1MHz
の周波数を有する振幅5Vの電圧に対するインピーダン
ス変化からBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜の誘電率、
抵抗率、リーク(漏れ)電流を測定した。この中で絶縁
性を最も的確に表現するパラメーターはリーク電流であ
った。
にBiとPbを添加していくと絶縁性が向上することを
見い出した。すなわち、Bi4 Ti3 O12+yディスクタ
ーゲットを粉砕し、TiO2 粉体とPbO粉体を加えて
再度焼成したものをターゲット2として使用し、Bi−
Pb−Ti−O誘電体薄膜をBi−Sr−Ca−Cu−
O超電導体薄膜の上に堆積すれば、Bi−Pb−Ti−
O誘電体薄膜はBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄
膜の上であっても絶縁性を示すことを見い出した。尚、
TiO2 粉体とPbO粉体はTi:Pb=1:1の割合
で加えた。Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜上
のBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜の上に、スパッタ法
を用いて直径0.3mm、膜厚約50nmのPt電極を
1.5mm間隔で2個蒸着し、100Hzから1MHz
の周波数を有する振幅5Vの電圧に対するインピーダン
ス変化からBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜の誘電率、
抵抗率、リーク(漏れ)電流を測定した。この中で絶縁
性を最も的確に表現するパラメーターはリーク電流であ
った。
【0025】図3に、Bi−Ti−O誘電体薄膜に添加
したTi+Pbの量に対するリーク電流の変化を示す。
Ti+Pbの量は、添加したTiとPbの比率が1:1
であることから、Bi4 Pbz Ti3+z O12+yのzで表
記した。z>0でリーク電流は減少し、z≧5で再び増
加することが分かった。また、本発明者らは、z=2の
とき添加するTiとPbの比率について同様にリーク電
流の変化を調べた。図4に、添加するTiとPbの比率
(Pb/Ti)に対するBi−Pb−Ca−Cu−O超
電導体薄膜上のBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜のリー
ク電流の変化を示す。図4から明らかなように、Ti:
Pb=1:1のときに、リーク電流が最も小さく、絶縁
性に優れていることが分かる。すなわち、Bi−Pb−
Ti−O誘電体薄膜中の元素の比率がBi:Pb:Ti
=4:(n−1):(2+n)で表記されるときに、絶
縁性に最も優れていることが分かる。ここで、nは1以
上の整数である。
したTi+Pbの量に対するリーク電流の変化を示す。
Ti+Pbの量は、添加したTiとPbの比率が1:1
であることから、Bi4 Pbz Ti3+z O12+yのzで表
記した。z>0でリーク電流は減少し、z≧5で再び増
加することが分かった。また、本発明者らは、z=2の
とき添加するTiとPbの比率について同様にリーク電
流の変化を調べた。図4に、添加するTiとPbの比率
(Pb/Ti)に対するBi−Pb−Ca−Cu−O超
電導体薄膜上のBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜のリー
ク電流の変化を示す。図4から明らかなように、Ti:
Pb=1:1のときに、リーク電流が最も小さく、絶縁
性に優れていることが分かる。すなわち、Bi−Pb−
Ti−O誘電体薄膜中の元素の比率がBi:Pb:Ti
=4:(n−1):(2+n)で表記されるときに、絶
縁性に最も優れていることが分かる。ここで、nは1以
上の整数である。
【0026】このように良好な絶縁体が得られた原因は
未だ不明確であるが、およそ次のように考えることがで
きる。すなわち、Tiは、比率1:1のPbとPb−T
i−Oの単位でBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜を作製
する時にBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜の上
に飛来し、既にエネルギー的に安定した状態にあるた
め、他の元素に影響を及ぼすことがなく、Bi−Sr−
Ca−Cu−O超電導体薄膜との界面で固溶体の結晶を
作ることがないことによるものと考えられる。
未だ不明確であるが、およそ次のように考えることがで
きる。すなわち、Tiは、比率1:1のPbとPb−T
i−Oの単位でBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜を作製
する時にBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜の上
に飛来し、既にエネルギー的に安定した状態にあるた
め、他の元素に影響を及ぼすことがなく、Bi−Sr−
Ca−Cu−O超電導体薄膜との界面で固溶体の結晶を
作ることがないことによるものと考えられる。
【0027】さらに本発明者らは、本実施例1に示した
Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜が強誘電体として優れ
ていることも併せて見い出した。すなわち、Ti、Pb
を添加しないBi−Ti−O誘電体薄膜に比べて誘電率
が大きくなることを見い出した。図5に、Bi−Ti−
O誘電体薄膜に添加したTi+Pbの量に対する室温で
のBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜の比誘電率の変化を
示す。尚、本発明者らは添加したTiとPbの比率が
1:1のときに比誘電率が最も高いことを併せて見い出
した。
Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜が強誘電体として優れ
ていることも併せて見い出した。すなわち、Ti、Pb
を添加しないBi−Ti−O誘電体薄膜に比べて誘電率
が大きくなることを見い出した。図5に、Bi−Ti−
O誘電体薄膜に添加したTi+Pbの量に対する室温で
のBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜の比誘電率の変化を
示す。尚、本発明者らは添加したTiとPbの比率が
1:1のときに比誘電率が最も高いことを併せて見い出
した。
【0028】さらに本発明者らは、Bi系層状強誘電体
が(Bi2 O2 )2+(Bi2 Pbn- 1 Ti2+n O3n+7)
2-の組成式で表記されることに着目し、Bi−O層と仮
相ペロブスカイト層であるBi−Pb−Ti−O層とを
原子オーダーで周期的に積層したときにBi系層状強誘
電体薄膜の結晶性及び特性が向上することを見い出し
た。そして、この方法によって第1の発明の絶縁体を作
製すれば、本実施例1に示した作製方法よりも格段に制
御性良く、安定した膜質の、しかも膜表面が極めて平坦
な絶縁膜を得ることができることを見い出した。
が(Bi2 O2 )2+(Bi2 Pbn- 1 Ti2+n O3n+7)
2-の組成式で表記されることに着目し、Bi−O層と仮
相ペロブスカイト層であるBi−Pb−Ti−O層とを
原子オーダーで周期的に積層したときにBi系層状強誘
電体薄膜の結晶性及び特性が向上することを見い出し
た。そして、この方法によって第1の発明の絶縁体を作
製すれば、本実施例1に示した作製方法よりも格段に制
御性良く、安定した膜質の、しかも膜表面が極めて平坦
な絶縁膜を得ることができることを見い出した。
【0029】Bi4 Pbn-1 Ti2+n O3n+9結晶は、c
軸方向に(Bi2 O2 )2+層と(Bi2 Pbn-1 Ti
2+n O3n+7)2-層とからなる積層構造を有していると考
えられる。これは、それぞれ層状構造を構成する異なる
元素又は単位層を別々に順次積層していくことにより、
基体表面に対し平行な面内だけで積層された蒸着元素が
動くだけで、基体表面に対し垂直方向への元素の移動が
ないと考えられるからである。
軸方向に(Bi2 O2 )2+層と(Bi2 Pbn-1 Ti
2+n O3n+7)2-層とからなる積層構造を有していると考
えられる。これは、それぞれ層状構造を構成する異なる
元素又は単位層を別々に順次積層していくことにより、
基体表面に対し平行な面内だけで積層された蒸着元素が
動くだけで、基体表面に対し垂直方向への元素の移動が
ないと考えられるからである。
【0030】さらに、良好な超電導特性を得るために必
要な基体温度、熱処理温度も従来より低いことを見い出
した。Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜を作製する方法
として、Bi−O→(Bi−Pb−Ti−O)→Bi−
Oのサイクルで積層する方法が考えられる。一般に、M
BE装置又は多元のEB蒸着装置で蒸発源の前を開閉シ
ャッターで制御したり、気相成長法で作製する際にガス
の種類を切り替えることにより、周期的積層構造を実現
することができる。しかし、従来、この種の非常に薄い
層を積層するにはスパッタリング蒸着は不向きとされて
いた。その理由は、成膜中のガス圧の高さに起因する不
純物の混入及びエネルギーの高い粒子によるダメージが
あるからと考えられている。しかし、本発明者らは、こ
のBi−Ti−O誘電体薄膜に対しスパッタリング蒸着
によって異なる薄い層を積層したところ、良好な積層膜
を作製することが可能であることを見い出した。
要な基体温度、熱処理温度も従来より低いことを見い出
した。Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜を作製する方法
として、Bi−O→(Bi−Pb−Ti−O)→Bi−
Oのサイクルで積層する方法が考えられる。一般に、M
BE装置又は多元のEB蒸着装置で蒸発源の前を開閉シ
ャッターで制御したり、気相成長法で作製する際にガス
の種類を切り替えることにより、周期的積層構造を実現
することができる。しかし、従来、この種の非常に薄い
層を積層するにはスパッタリング蒸着は不向きとされて
いた。その理由は、成膜中のガス圧の高さに起因する不
純物の混入及びエネルギーの高い粒子によるダメージが
あるからと考えられている。しかし、本発明者らは、こ
のBi−Ti−O誘電体薄膜に対しスパッタリング蒸着
によって異なる薄い層を積層したところ、良好な積層膜
を作製することが可能であることを見い出した。
【0031】スパッタリング蒸着によって異なる物質を
積層する方法としては、組成分布を設けた1個のスパッ
タリングターゲットの放電位置を周期的に制御するとい
う方法があるが、組成の異なる複数個のターゲットをス
パッタするという方法を用いれば比較的簡単に実現する
ことができる。この場合、複数個のターゲットの各々の
スパッタ量を周期的に制御したり、あるいはターゲット
の前にシャッターを設けて周期的に開閉することによ
り、周期的積層膜を作製することができる。また、基板
を周期運動させて各ターゲットの上を移動させるという
方法を採用しても、同様に周期的積層膜を作製すること
ができる。レーザースパッタやイオンビームスパッタを
用いた場合には、複数個のターゲットを周期運動させ
て、ビームを照射するターゲットを周期的に変えること
により、周期的積層膜を実現することができる。このよ
うに複数個のターゲットを用いたスパッタリング蒸着を
採用すれば、比較的簡単にBi−Pb−Ti−O系酸化
物の周期的積層膜を作製することが可能となる。
積層する方法としては、組成分布を設けた1個のスパッ
タリングターゲットの放電位置を周期的に制御するとい
う方法があるが、組成の異なる複数個のターゲットをス
パッタするという方法を用いれば比較的簡単に実現する
ことができる。この場合、複数個のターゲットの各々の
スパッタ量を周期的に制御したり、あるいはターゲット
の前にシャッターを設けて周期的に開閉することによ
り、周期的積層膜を作製することができる。また、基板
を周期運動させて各ターゲットの上を移動させるという
方法を採用しても、同様に周期的積層膜を作製すること
ができる。レーザースパッタやイオンビームスパッタを
用いた場合には、複数個のターゲットを周期運動させ
て、ビームを照射するターゲットを周期的に変えること
により、周期的積層膜を実現することができる。このよ
うに複数個のターゲットを用いたスパッタリング蒸着を
採用すれば、比較的簡単にBi−Pb−Ti−O系酸化
物の周期的積層膜を作製することが可能となる。
【0032】(実施例2)本実施例2においても、実施
例1と同様に図2に示す装置を用いた。図2中、1はB
iメタルディスクターゲット、2はBi−Pb−Ti−
O焼成ディスクターゲットである。基体5としては、既
にMgO(100)上に形成されたBi−Sr−Ca−
Cu−O超電導体薄膜を用いた。ターゲット1、2の前
方にはそれぞれシャッター3、4が設けられており、各
ターゲット1、2のサイクル及びスパッタ時間を設定す
ることができるようにされている。尚、スパッタリング
ガスとしてはArとO2 の混合ガス(Ar:O2 =4:
1、1.0Pa)を用いた。
例1と同様に図2に示す装置を用いた。図2中、1はB
iメタルディスクターゲット、2はBi−Pb−Ti−
O焼成ディスクターゲットである。基体5としては、既
にMgO(100)上に形成されたBi−Sr−Ca−
Cu−O超電導体薄膜を用いた。ターゲット1、2の前
方にはそれぞれシャッター3、4が設けられており、各
ターゲット1、2のサイクル及びスパッタ時間を設定す
ることができるようにされている。尚、スパッタリング
ガスとしてはArとO2 の混合ガス(Ar:O2 =4:
1、1.0Pa)を用いた。
【0033】ターゲット1、2にそれぞれ60W、20
0Wのスパッタ電力を注入してターゲット1、2をスパ
ッタし、650℃に加熱した基体5の上に、(Bi−
O)→(Bi−Pb−Ti−O)→(Bi−O)のサイ
クルでBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜を作製した。
0Wのスパッタ電力を注入してターゲット1、2をスパ
ッタし、650℃に加熱した基体5の上に、(Bi−
O)→(Bi−Pb−Ti−O)→(Bi−O)のサイ
クルでBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜を作製した。
【0034】このようにして作製したBi−Pb−Ti
−O誘電体薄膜のリーク電流を実施例1と同様にして測
定した。その結果を図6に示す。図6に示すように、絶
縁膜の作製方法として上記のような方法を採用すること
により、リーク電流が約1桁下がることが分かった(図
4参照)。このようにリーク電流が下がったのは、(B
i−O)層と(Bi−Pb−Ti−O)層とを順次積層
したことにより、層状結晶本来の特性が向上したことに
よるものと考えられる。
−O誘電体薄膜のリーク電流を実施例1と同様にして測
定した。その結果を図6に示す。図6に示すように、絶
縁膜の作製方法として上記のような方法を採用すること
により、リーク電流が約1桁下がることが分かった(図
4参照)。このようにリーク電流が下がったのは、(B
i−O)層と(Bi−Pb−Ti−O)層とを順次積層
したことにより、層状結晶本来の特性が向上したことに
よるものと考えられる。
【0035】(実施例3)図7に、本実施例3で作製し
た薄膜の断面図を模式的に示す。図7に示すように、基
体上にBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi
−Pb−Ti−O誘電体薄膜とを交互に積層した。積層
方法としては、実施例1と同様に2元高周波マグネトロ
ンスパッタ法を用いた。ターゲット1として焼成Bi−
Sr−Ca−Cu−O、ターゲット2としてBi−Pb
−Ti−Oを用い、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導
体薄膜100nmとBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜と
を5周期交互にスパッタし、Bi−Pb−Ti−O誘電
体薄膜の膜厚を変えて薄膜の抵抗率の変化を調べた。そ
の結果を図8に示す。図8に示すように、Bi−Pb−
Ti−O誘電体薄膜が20nmのときに最も高い超電導
転移温度及びゼロ抵抗温度、すなわち特性8を得ること
ができた。特性8の超電導転移温度、ゼロ抵抗温度はB
i−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜本来のそれらの
値よりも約8ケルビン高いものであった。この効果の詳
細な理由は未だ不明であるが、図7に示すように、Bi
−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb−T
i−O誘電体薄膜とを周期的に積層することにより、B
i−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb−
Ti−O誘電体薄膜とが互いにBi2 O2 層を介してエ
ピタキシャル成長するために積層界面での元素の相互拡
散の影響がなく、かつ、結晶性に優れた薄いBi−Pb
−Ti−O誘電体薄膜を介して同じく結晶性に優れたB
i−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜を積層すること
により、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜にお
いて超電導機構に何らかの変化が引き起こされたことに
よるものと考えられるが、機構は未だ明らかではない。
た薄膜の断面図を模式的に示す。図7に示すように、基
体上にBi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi
−Pb−Ti−O誘電体薄膜とを交互に積層した。積層
方法としては、実施例1と同様に2元高周波マグネトロ
ンスパッタ法を用いた。ターゲット1として焼成Bi−
Sr−Ca−Cu−O、ターゲット2としてBi−Pb
−Ti−Oを用い、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導
体薄膜100nmとBi−Pb−Ti−O誘電体薄膜と
を5周期交互にスパッタし、Bi−Pb−Ti−O誘電
体薄膜の膜厚を変えて薄膜の抵抗率の変化を調べた。そ
の結果を図8に示す。図8に示すように、Bi−Pb−
Ti−O誘電体薄膜が20nmのときに最も高い超電導
転移温度及びゼロ抵抗温度、すなわち特性8を得ること
ができた。特性8の超電導転移温度、ゼロ抵抗温度はB
i−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜本来のそれらの
値よりも約8ケルビン高いものであった。この効果の詳
細な理由は未だ不明であるが、図7に示すように、Bi
−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb−T
i−O誘電体薄膜とを周期的に積層することにより、B
i−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb−
Ti−O誘電体薄膜とが互いにBi2 O2 層を介してエ
ピタキシャル成長するために積層界面での元素の相互拡
散の影響がなく、かつ、結晶性に優れた薄いBi−Pb
−Ti−O誘電体薄膜を介して同じく結晶性に優れたB
i−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜を積層すること
により、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜にお
いて超電導機構に何らかの変化が引き起こされたことに
よるものと考えられるが、機構は未だ明らかではない。
【0036】(実施例4)図9に、本実施例4で用いた
薄膜作製装置の概略図を示す。本実施例4においては、
Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb
−Ti−O誘電体薄膜とを連続的に積層するために、3
元ターゲットの高周波マグネトロンスパッタ法によって
それぞれの膜を蒸着した。基体としてはMgO(10
0)基体16を用い、スパッタリングターゲットとして
は、Biディスクターゲット10、焼成Sr−Ca−C
u−Oディスクターゲット11及び焼成Bi−Pb−T
i−Oディスクターゲット12を用いた。ここで、ター
ゲット11の元素比率はSr:Ca:Cu=2:2:
3、ターゲット12の元素比率はBi:Pb:Ti=
2:2:5である。各ターゲット10、11、12は、
MgO(100)基体16に焦点を結ぶように約30°
傾けて設置されている。ターゲット10、11、12の
前方にはそれぞれシャッター13、14、15が設けら
れており、ターゲット10、11、12から基体16の
上に別々に膜を蒸着させることができるようにされてい
る。そして、シャッター13、14、15の開閉を制御
することにより、(Bi−O)→(Sr−Ca−Cu−
O)→(Bi−O)のサイクルと(Bi−O)→(Bi
−Pb−Ti−O)→(Bi−O)のサイクルでスパッ
タ蒸着を行うことができる。尚、図9中、17は基体加
熱用のヒーターである。積層の様子を概念的に図7に示
したが、ターゲット10、11、12への入力電力及び
各ターゲット10、11、12のスパッタ時間を制御す
ることにより、基体16の上に蒸着するBi−Sr−C
a−Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb−Ti−O誘電
体薄膜の膜厚を変えることができる。
薄膜作製装置の概略図を示す。本実施例4においては、
Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb
−Ti−O誘電体薄膜とを連続的に積層するために、3
元ターゲットの高周波マグネトロンスパッタ法によって
それぞれの膜を蒸着した。基体としてはMgO(10
0)基体16を用い、スパッタリングターゲットとして
は、Biディスクターゲット10、焼成Sr−Ca−C
u−Oディスクターゲット11及び焼成Bi−Pb−T
i−Oディスクターゲット12を用いた。ここで、ター
ゲット11の元素比率はSr:Ca:Cu=2:2:
3、ターゲット12の元素比率はBi:Pb:Ti=
2:2:5である。各ターゲット10、11、12は、
MgO(100)基体16に焦点を結ぶように約30°
傾けて設置されている。ターゲット10、11、12の
前方にはそれぞれシャッター13、14、15が設けら
れており、ターゲット10、11、12から基体16の
上に別々に膜を蒸着させることができるようにされてい
る。そして、シャッター13、14、15の開閉を制御
することにより、(Bi−O)→(Sr−Ca−Cu−
O)→(Bi−O)のサイクルと(Bi−O)→(Bi
−Pb−Ti−O)→(Bi−O)のサイクルでスパッ
タ蒸着を行うことができる。尚、図9中、17は基体加
熱用のヒーターである。積層の様子を概念的に図7に示
したが、ターゲット10、11、12への入力電力及び
各ターゲット10、11、12のスパッタ時間を制御す
ることにより、基体16の上に蒸着するBi−Sr−C
a−Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb−Ti−O誘電
体薄膜の膜厚を変えることができる。
【0037】基体16をヒーター17によって約700
℃に加熱し、アルゴン・酸素(1:1)混合雰囲気0.
5Paのガス中で各ターゲット10、11、12のスパ
ッタリングを行った。そして、薄膜を作製した後、酸素
雰囲気中において850℃の熱処理を5時間施した。本
実施例4では、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄
膜の元素の組成比率がBi:Sr:Ca:Cu=2:
2:2:3、Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜の元素の
組成比率がBi:Pb:Ti=4:2:5となるよう
に、スパッタ時間及びスパッタ電流を調節した。尚、本
発明者らによれば、結晶性を維持したまま薄くできる膜
厚の限界は数nmであると思われる。絶縁膜はできるだ
け薄い方が好ましいので、本発明者らはh・[(Bi−
O)→(Sr−Ca−Cu−O)→(Bi−O)]→i
・[(Bi−O)→(Bi−Pb−Ti−O)→(Bi
−O)]と書き表せる周期を20周期行った。その結
果、良好な結晶構造を保ったまま作製できるBi−Pb
−Ti−O誘電体薄膜の膜厚はi=2が限度であった。
そこで、本発明者らはi=2のとき、hを変化させて作
製した薄膜の抵抗率の温度変化を調べた。その結果を図
10に示す。図10において、18はh=2、19はh
=6、20はh=10のときの結果である。図10から
明らかなように、h=6のとき超電導転移温度並びにゼ
ロ抵抗温度が絶縁膜Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜と
積層しない場合に比べ最も上昇することが分かった。こ
の物理的な原因は明らかでないが、Bi−Sr−Ca−
Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb−Ti−O誘電体薄
膜の両方を極めて制御性良く積層することができたこと
によるものと考えられる。
℃に加熱し、アルゴン・酸素(1:1)混合雰囲気0.
5Paのガス中で各ターゲット10、11、12のスパ
ッタリングを行った。そして、薄膜を作製した後、酸素
雰囲気中において850℃の熱処理を5時間施した。本
実施例4では、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄
膜の元素の組成比率がBi:Sr:Ca:Cu=2:
2:2:3、Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜の元素の
組成比率がBi:Pb:Ti=4:2:5となるよう
に、スパッタ時間及びスパッタ電流を調節した。尚、本
発明者らによれば、結晶性を維持したまま薄くできる膜
厚の限界は数nmであると思われる。絶縁膜はできるだ
け薄い方が好ましいので、本発明者らはh・[(Bi−
O)→(Sr−Ca−Cu−O)→(Bi−O)]→i
・[(Bi−O)→(Bi−Pb−Ti−O)→(Bi
−O)]と書き表せる周期を20周期行った。その結
果、良好な結晶構造を保ったまま作製できるBi−Pb
−Ti−O誘電体薄膜の膜厚はi=2が限度であった。
そこで、本発明者らはi=2のとき、hを変化させて作
製した薄膜の抵抗率の温度変化を調べた。その結果を図
10に示す。図10において、18はh=2、19はh
=6、20はh=10のときの結果である。図10から
明らかなように、h=6のとき超電導転移温度並びにゼ
ロ抵抗温度が絶縁膜Bi−Pb−Ti−O誘電体薄膜と
積層しない場合に比べ最も上昇することが分かった。こ
の物理的な原因は明らかでないが、Bi−Sr−Ca−
Cu−O超電導体薄膜とBi−Pb−Ti−O誘電体薄
膜の両方を極めて制御性良く積層することができたこと
によるものと考えられる。
【0038】さらに本発明者らは、スパッタリング法を
用いなくても、Biの酸化物と、Sr、Ca、Cu、T
i、Pbの酸化物を異なる蒸発源から真空中で別々に蒸
発させ、同様の構造を周期的に積層させた場合、実施例
2、4に示したスパッタリングを用いた積層構造作製方
法と同様に制御性良く、安定した膜質の薄膜を得ること
が可能であることも併せて見い出した。Bi−O、Sr
−Ca−Cu−O、Bi−Pb−Ti−Oを周期的に積
層させる方法としては、いくつか考えられる。一般に
は、MBE装置又は多元のEB蒸着装置で蒸発源の前を
開閉シャッターで制御したり、気相成長法で作製する際
にガスの種類を切り替えることにより、周期的積層構造
を実現することができる。しかし、従来、この種の非常
に薄い層を積層するにはスパッタリング蒸着は不向きと
されていた。その理由は、成膜中のガス圧の高さに起因
する不純物の混入及びエネルギーの高い粒子によるダメ
ージがあるからと考えられている。しかし、本発明者ら
は、このBi系酸化物超電導体又は絶縁薄膜に対しスパ
ッタリング蒸着によって異なる薄い層を積層したとこ
ろ、良好な積層膜を作製することが可能であることを見
い出した。スパッタ中の高い酸素ガス圧及びスパッタ放
電により、膜内への酸素導入が促進され、超電導特性の
再現性、安定化が図られ、Bi系の100ケルビン以上
の臨界温度を有する相の形成及び絶縁薄膜の形成に都合
がよいためではないかと考えられる。
用いなくても、Biの酸化物と、Sr、Ca、Cu、T
i、Pbの酸化物を異なる蒸発源から真空中で別々に蒸
発させ、同様の構造を周期的に積層させた場合、実施例
2、4に示したスパッタリングを用いた積層構造作製方
法と同様に制御性良く、安定した膜質の薄膜を得ること
が可能であることも併せて見い出した。Bi−O、Sr
−Ca−Cu−O、Bi−Pb−Ti−Oを周期的に積
層させる方法としては、いくつか考えられる。一般に
は、MBE装置又は多元のEB蒸着装置で蒸発源の前を
開閉シャッターで制御したり、気相成長法で作製する際
にガスの種類を切り替えることにより、周期的積層構造
を実現することができる。しかし、従来、この種の非常
に薄い層を積層するにはスパッタリング蒸着は不向きと
されていた。その理由は、成膜中のガス圧の高さに起因
する不純物の混入及びエネルギーの高い粒子によるダメ
ージがあるからと考えられている。しかし、本発明者ら
は、このBi系酸化物超電導体又は絶縁薄膜に対しスパ
ッタリング蒸着によって異なる薄い層を積層したとこ
ろ、良好な積層膜を作製することが可能であることを見
い出した。スパッタ中の高い酸素ガス圧及びスパッタ放
電により、膜内への酸素導入が促進され、超電導特性の
再現性、安定化が図られ、Bi系の100ケルビン以上
の臨界温度を有する相の形成及び絶縁薄膜の形成に都合
がよいためではないかと考えられる。
【0039】スパッタリング蒸着によって異なる物質を
積層させる方法としては、組成分布を設けた1個のスパ
ッタリングターゲットの放電位置を周期的に制御すると
いう方法があるが、組成の異なる複数個のターゲットを
スパッタするという方法を用いれば比較的簡単に実現す
ることができる。この場合、複数個のターゲットの各々
のスパッタ量を周期的に制御したり、あるいはターゲッ
トの前にシャッターを設けて周期的に開閉することによ
り、周期的積層膜を作製することができる。また、基板
を周期的に運動させて各ターゲットの上を移動させると
いう方法を採用しても、同様に周期的積層膜を作製する
ことができる。レーザースパッタやイオンビームスパッ
タを用いた場合には、複数個のターゲットを周期運動さ
せて、ビームを照射するターゲットを周期的に変えるこ
とにより、周期的積層膜を実現することができる。この
ように複数個のターゲットを用いたスパッタリング蒸着
を採用すれば、比較的簡単にBi系酸化物の周期的積層
膜を作製することが可能となる。
積層させる方法としては、組成分布を設けた1個のスパ
ッタリングターゲットの放電位置を周期的に制御すると
いう方法があるが、組成の異なる複数個のターゲットを
スパッタするという方法を用いれば比較的簡単に実現す
ることができる。この場合、複数個のターゲットの各々
のスパッタ量を周期的に制御したり、あるいはターゲッ
トの前にシャッターを設けて周期的に開閉することによ
り、周期的積層膜を作製することができる。また、基板
を周期的に運動させて各ターゲットの上を移動させると
いう方法を採用しても、同様に周期的積層膜を作製する
ことができる。レーザースパッタやイオンビームスパッ
タを用いた場合には、複数個のターゲットを周期運動さ
せて、ビームを照射するターゲットを周期的に変えるこ
とにより、周期的積層膜を実現することができる。この
ように複数個のターゲットを用いたスパッタリング蒸着
を採用すれば、比較的簡単にBi系酸化物の周期的積層
膜を作製することが可能となる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る絶縁
体によれば、熱的にも極めて安定なBi2 O2 酸化膜層
又はこれを主体とした層によって覆われた結晶構造を有
し、酸化物超電導体とほぼ等しい形成温度であることか
ら、特に酸化物高温超電導体と接触させても高温熱処理
等の過程を経ても、本発明による絶縁体、超電導体薄膜
の結晶性並びに特性が互いに劣化することはない。さら
に、本発明の絶縁体の結晶構造は酸化物超電導体のそれ
と同じペロブスカイト構造であり、特にa軸及びb軸の
長さがほぼ等しいことから、酸化物超電導体と絶縁体の
安定な連続積層が可能となる。
体によれば、熱的にも極めて安定なBi2 O2 酸化膜層
又はこれを主体とした層によって覆われた結晶構造を有
し、酸化物超電導体とほぼ等しい形成温度であることか
ら、特に酸化物高温超電導体と接触させても高温熱処理
等の過程を経ても、本発明による絶縁体、超電導体薄膜
の結晶性並びに特性が互いに劣化することはない。さら
に、本発明の絶縁体の結晶構造は酸化物超電導体のそれ
と同じペロブスカイト構造であり、特にa軸及びb軸の
長さがほぼ等しいことから、酸化物超電導体と絶縁体の
安定な連続積層が可能となる。
【0041】また、本発明に係る絶縁体の製造方法によ
れば、上記絶縁体の構成を達成するために、基体上に少
なくともBiを含む酸化物層と、少なくともBi、Pb
及びTiを含む酸化物層とを交互に積層することによ
り、Bi系超電導体薄膜と絶縁膜との積層構造を再現性
良く実現することができ、また、ジョセフソンデバイス
の設計に必要とされる厚さ数10nm以下の層間絶縁膜
を安定に形成することが可能となる。
れば、上記絶縁体の構成を達成するために、基体上に少
なくともBiを含む酸化物層と、少なくともBi、Pb
及びTiを含む酸化物層とを交互に積層することによ
り、Bi系超電導体薄膜と絶縁膜との積層構造を再現性
良く実現することができ、また、ジョセフソンデバイス
の設計に必要とされる厚さ数10nm以下の層間絶縁膜
を安定に形成することが可能となる。
【0042】また、本発明に係る超電導体薄膜によれ
ば、Bi2 O2 酸化膜層又はこれを主体とした層によっ
て共に覆われた結晶構造となっているBi系超電導体薄
膜と第1の発明に係る絶縁体の薄膜とが、交互に積層さ
れた構造を採ることにより、超電導体薄膜と絶縁膜との
間における元素の相互拡散のない積層構造を実現するこ
とができ、その結果、Bi系超電導体薄膜における超電
導転移温度を安定に再現性良く実現することができる。
ば、Bi2 O2 酸化膜層又はこれを主体とした層によっ
て共に覆われた結晶構造となっているBi系超電導体薄
膜と第1の発明に係る絶縁体の薄膜とが、交互に積層さ
れた構造を採ることにより、超電導体薄膜と絶縁膜との
間における元素の相互拡散のない積層構造を実現するこ
とができ、その結果、Bi系超電導体薄膜における超電
導転移温度を安定に再現性良く実現することができる。
【0043】また、本発明に係る超電導体薄膜の製造方
法によれば、第3の発明に係る超電導体薄膜を極めて安
定に、しかも微細スケールで実現するために、基体上に
主体成分として少なくともBiを含む酸化物層と、少な
くともCu及びアルカリ土類(IIa族)を含む酸化物
層と、少なくともBi、Ti及びPbを含む酸化物層と
を周期的に積層堆積して作製することにより、Bi系超
電導体薄膜と絶縁膜との積層を再現性良く実現すること
ができる。
法によれば、第3の発明に係る超電導体薄膜を極めて安
定に、しかも微細スケールで実現するために、基体上に
主体成分として少なくともBiを含む酸化物層と、少な
くともCu及びアルカリ土類(IIa族)を含む酸化物
層と、少なくともBi、Ti及びPbを含む酸化物層と
を周期的に積層堆積して作製することにより、Bi系超
電導体薄膜と絶縁膜との積層を再現性良く実現すること
ができる。
【図1】本発明の一実施例のBi−Ti−O誘電体薄
膜、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜、Bi−
Ti−O/Bi−Sr−Ca−Cu−O積層薄膜のX線
回折スペクトルを示す図である。
膜、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体薄膜、Bi−
Ti−O/Bi−Sr−Ca−Cu−O積層薄膜のX線
回折スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の実施例1で用いた薄膜作製装置の概略
図である。
図である。
【図3】本発明の実施例1のBi−Ti−O誘電体薄膜
に添加したTi+Pbの量に対するリーク電流の変化を
示す図である。
に添加したTi+Pbの量に対するリーク電流の変化を
示す図である。
【図4】本発明の実施例1のBi−Pb−Ti−O誘電
体薄膜の添加したTiとPbの比率に対するリーク電流
の変化を示す図である。
体薄膜の添加したTiとPbの比率に対するリーク電流
の変化を示す図である。
【図5】本発明の実施例1のBi−Ti−O誘電体薄膜
に添加したTi+Pbの量に対する室温でのBi−Pb
−Ti−O誘電体薄膜の比誘電率の変化を示す図であ
る。
に添加したTi+Pbの量に対する室温でのBi−Pb
−Ti−O誘電体薄膜の比誘電率の変化を示す図であ
る。
【図6】本発明の実施例2のBi−Pb−Ti−O誘電
体薄膜に添加したTi+Pbの量に対するリーク電流の
変化を示す図である。
体薄膜に添加したTi+Pbの量に対するリーク電流の
変化を示す図である。
【図7】本発明の実施例3で作製したBi−Pb−Ti
−O強誘電体/Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体の
積層構造結晶を示す概略図である。
−O強誘電体/Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導体の
積層構造結晶を示す概略図である。
【図8】本発明の実施例3で作製したBi−Sr−Ca
−Cu−O超電導体薄膜の抵抗率の温度変化を示す図で
ある。
−Cu−O超電導体薄膜の抵抗率の温度変化を示す図で
ある。
【図9】本発明の実施例4で用いた薄膜作製装置の概略
図である。
図である。
【図10】本発明の実施例4のBi−Sr−Ca−Cu
−O超電導体薄膜の抵抗率の温度変化を示す図である。
−O超電導体薄膜の抵抗率の温度変化を示す図である。
1、2、10、11、12 スパッタリングターゲット 3、4、13、14、15 シャッター 5、16 基体 6、17 基体加熱用のヒーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 12/06 ZAA 13/00 565 D H01L 39/24 ZAA D
Claims (5)
- 【請求項1】 主体成分として少なくともビスマス(B
i)、鉛(Pb)、チタン(Ti)及び酸素(O)を含
む薄膜の積層体からなる絶縁体。 - 【請求項2】 基体上に少なくともBiを含む酸化物層
と、少なくともBi、Pb及びTiを含む酸化物層とを
交互に積層する絶縁体の製造方法。 - 【請求項3】 基体上に主体成分として少なくともB
i、Cu及びアルカリ土類(IIa族)を含む酸化物層
と、少なくともBi、Ti及びPbを含む絶縁体酸化物
層とが周期的に積層された構造を有する超電導体薄膜。
ここで、アルカリ土類は、IIa族元素のうちの少なく
とも一種又は二種以上の元素を示す。 - 【請求項4】 基体上に主体成分として少なくともBi
を含む酸化物層と、少なくともCu及びアルカリ土類
(IIa族)を含む酸化物層と、少なくともBi、Ti
及びPbを含む酸化物層とを周期的に積層堆積する超電
導体薄膜の製造方法。ここで、アルカリ土類は、IIa
族元素のうちの少なくとも一種又は二種以上の元素を示
す。 - 【請求項5】 元素の比率が、Bi:Pb:Ti=4:
(n−1):(2+n)で表記される請求項1に記載の
絶縁体、又は請求項2に記載の絶縁体の製造方法、又は
請求項3に記載の超電導体薄膜、又は請求項4に記載の
超電導体薄膜の製造方法。ここで、nは1以上の整数を
示す。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6016187A JPH07223818A (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | 絶縁体とその製造方法及び超電導体薄膜とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6016187A JPH07223818A (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | 絶縁体とその製造方法及び超電導体薄膜とその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07223818A true JPH07223818A (ja) | 1995-08-22 |
Family
ID=11909521
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6016187A Pending JPH07223818A (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | 絶縁体とその製造方法及び超電導体薄膜とその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07223818A (ja) |
-
1994
- 1994-02-10 JP JP6016187A patent/JPH07223818A/ja active Pending
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