JPH07227243A - 魚節、その加工品ならびに調味エキスの製造法 - Google Patents

魚節、その加工品ならびに調味エキスの製造法

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JPH07227243A
JPH07227243A JP6284579A JP28457994A JPH07227243A JP H07227243 A JPH07227243 A JP H07227243A JP 6284579 A JP6284579 A JP 6284579A JP 28457994 A JP28457994 A JP 28457994A JP H07227243 A JPH07227243 A JP H07227243A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 魚節、魚節加工品または調味エキスに存在す
る苦渋味などの好ましくない味の発現を抑止し、長期間
に亙り好ましい呈味、香味を安定に保持可能な魚節、魚
節加工品または調味エキスを取得する。 【構成】 魚節、魚節加工品または調味エキスの製造工
程においてトレハロ−スを添加する。 【効果】 好ましくない味の発現を抑止し、長期間に亙
り好ましい呈味、香味を安定に保持可能な魚節、魚節加
工品または調味エキスを取得できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚節、その加工品また
は調味エキスの製造法に関するものであり、特に、鰹節
を代表とする各種の魚節製品、それらの切削フレ−ク、
破砕篩分品、粉末、顆粒成形品、調味加工品などの魚節
加工品、並びに鳥獣類、魚介類、野菜類、海藻類または
微生物菌体の水性溶液抽出物を主成分とする調味エキ
ス、及び蛋白質の酸による、または酵素による加水分解
物を主成分とする調味エキスの製造法に関するものであ
る。
【0002】さらに詳しくは、本発明は、魚節、魚節加
工品または各種の調味エキス中に存在する苦渋味あるい
は金属味などの異味を低減、解消し、良質かつ好ましい
呈味性および香味性を強調するとともにその好ましい呈
味性および香味性を長期間に亙って安定に保持可能な、
魚節、魚節加工品または各種の調味エキスの製造法に関
するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、鰹節、鯖節、鰯節、宗太節、うる
め節などの魚節の基本的な製造法としては、鰹、鯖、
鰯、宗太鰹、潤目鰯などの赤身の鮮魚より肉部を採り、
煮熟後整形し、必要により再整形し、焙乾により乾燥
後、かび付けを行い熟成する方法が実施されてきた。
【0004】現在でも、この基本的な製造法には変わり
はないが、恒常的に、良質の原料魚は払底傾向にあるた
め、従来に比較して低品位の原料魚をも利用せざるを得
ないのが現状である。従って、従来の魚節の製造法をそ
のまま低品位の原料魚に適用するときには、低品位の魚
節製品、魚節加工品が齎される結果となっている。
【0005】また、低品位の魚節製品、魚節加工品なら
びに種々の調味エキスの中には、含有する無機成分ある
いは特殊なペプチド並びに原料特有の成分に由来する苦
渋味あるいは金属味などの異味成分、いわゆる嫌味成分
が存在し、魚節製品、魚節加工品ならびに調味エキスの
良質かつ好ましい呈味効果および香味効果を阻害してい
る場合が多い。
【0006】魚節製品、魚節加工品ならびに調味エキス
の呈味および香味の改善のために、これらの異味成分
を、魚節製品、魚節加工品ならびに調味エキスあるいは
それらの原料より分離、除去することも考えられる。し
かしながら、異味成分を効果的かつ選択的に除去するこ
とは相当に困難であり、異味を識別できない程度にまで
除去しようとすると、魚節製品、魚節加工品ならびに調
味エキス中の好ましい呈味成分および香味成分までも除
去され、また、呈味および香味を強調する補助成分、い
わゆる「こく味」、「香味」などの微妙なバランスが損
なわれてしまうことが多い。
【0007】なお、グルタチオン、システインその他の
含硫化合物およびフラクト−ス、グルコ−ス等の糖を含
有する混合物の加熱反応生成物を、魚節製品、魚節加工
品等に添加することも、風味の改善のために有効な方法
であるが、処理工程が複雑化する難点がある。
【0008】従って、異味成分を、魚節製品、魚節加工
品ならびに調味エキスあるいはそれらの原料より分離、
除去する方法、あるいは上記の加熱反応生成物を添加す
る方法は、呈味、香味の改善された魚節製品、魚節加工
品ならびに調味エキスの製造法として、必ずしも適当な
方法とは認められない。
【0009】このため、魚節製品、魚節加工品ならびに
調味エキス中の異味を識別できないように、あるいは異
味をより好ましい呈味に変化せしめるために、可食性の
成分を添加する、いわゆる「マスク」する方法が考えら
れている。この可食性の成分を添加する方法は、他の呈
味成分の性質を変化せしめることなく、また、呈味成分
間、香味成分間のバランスを損なうこともないので、異
味成分を除去する方法より、はるかに有効、且つ、より
実際的な方法と評価できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明にあっては、有
効、且つ、実際的な方法により、魚節製品、魚節加工品
ならびに各種の調味エキス中に存在する異味を感知ぜ
ず、魚節製品、魚節加工品ならびに調味エキス本来のバ
ランスのとれた好ましい呈味および香味を有する魚節製
品、魚節加工品ならびに調味エキスを製造することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題の解決に関し、鋭意、研究を重ねた結果、以下の知見
を得た。すなわち、 (1)魚節製品、魚節加工品ならびに調味エキス中の異
味を識別できないようにするためには、あるいは異味を
より好ましい呈味に変化せしめるためには、特定の可食
性の成分を添加する方法が有効であること。 (2)その可食性の成分としては、魚節製品、魚節加工
品ならびに調味エキス中の呈味成分の呈味性および呈味
成分間のバランスを変化せしめる成分は回避すべきこ
と、すなわち、可食性成分自体の呈味は無味あるいは可
及的低味であるべきこと。 (3)その可食性成分の有効な添加量には、或る特定の
添加量比範囲が存在すること。
【0012】さらに、これらの要件に適合する可食性成
分について、広範囲に及ぶ多種類の可食性成分を検索、
検討の結果、 (4)トレハロ−スが最も適当であること、を見出し
た。本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
【0013】すなわち、請求項1に記載の第1発明は、
呈味、香味の改善された魚節の製造法に関し、魚節の製
造工程においてトレハロ−スを添加することを特徴とす
る魚節の製造法である。
【0014】請求項2に記載の第2発明は、呈味、香味
の改善された魚節加工品の製造法に関し、魚節加工品の
製造工程においてトレハロ−スを添加することを特徴と
する魚節加工品の製造法である。
【0015】請求項3に記載の第3発明は、呈味、香味
の改善された調味エキスの製造法に関し、調味エキスに
トレハロ−スを添加することを特徴とする調味エキスの
製造法である。
【0016】請求項4に記載の第4発明は、前記第3発
明を特定する関係を有する発明であって、請求項3にお
いて、トレハロ−スの添加量が調味エキス中の固形分重
量比5〜70%であることを特徴とする調味エキスの製
造法である。
【0017】請求項5に記載の第5発明は、前記第3発
明を特定する関係を有する発明であって、請求項3にお
いて、調味エキスが、鳥獣類、魚介類、野菜類、海藻類
または微生物菌体の水性溶液抽出物であることを特徴と
する調味エキスの製造法である。
【0018】請求項6に記載の第6発明は、前記第3発
明を特定する関係を有する発明であって、請求項3にお
いて、調味エキスが、蛋白質の酸による、または酵素に
よる加水分解物であることを特徴とする調味エキスの製
造法である。
【0019】
【作用】第1発明〜第6発明の全てにおいて、使用する
トレハロ−スは、低甘味性のオリゴ糖の一種でグルコ−
スが2個結合している非還元性の糖であり、植物、微生
物など自然界に広く存在している。従来、トレハロ−ス
は植物の果実あるいは根茎部から抽出し、あるいは酵母
菌体より分離するトレハラマンナンの加水分解により取
得されているが、最近はアミノ酸生産菌の培養条件の変
更によりトレハロ−スを大量に生産することが可能とな
った(特開昭50-154485、特開平03-130084、特開平05-211
882 各号公報参照)。
【0020】また、トレハロ−スは、通常、二水和物よ
り成る流動性の白色の粉末または微結晶である。水には
比較的容易に溶解する。使用時には粉末または結晶を添
加する。また、必要により、無水物粉末も使用できる。
あるいは溶液を添加することも可能である。
【0021】第1発明における魚節としては、鰹節、鯖
節、鰯節、宗太節、うるめ節などが挙げられる。すなわ
ち、鰹、鯖、鰯、宗太鰹、潤目鰯などの赤身の鮮魚より
肉部を採り、煮熟後整形し、必要により再整形し、焙乾
により乾燥後、かび付けを行い熟成する方法により製造
される魚節である。但し、原料魚あるいは製造方法は上
記の方法、工程に限定されるものではなく、種々の変更
があり得る。
【0022】例えば、原料魚の一部を白身の魚に置換え
る、肉部の採取を省略し魚体全体を利用する、焙乾ある
いはかび付に要する時間を短縮する、あるいはそれらの
工程を省略するなどの変更を採用することができる。従
って、かび付工程を省略して製造する「煮干し」、「焼
干し」などの魚節類似品も亦、本発明の対象に含まれ
る。
【0023】第1発明の方法において、トレハロ−スの
添加は魚節の製造工程中、任意の工程において実施され
る。また、添加は複数の工程において、各工程共、複数
回の添加すなわち分割しての添加が可能である。一般
に、初期の工程において所定量のトレハロ−スの大部分
を高濃度に添加すると好結果を得る。
【0024】トレハロ−スの添加には、結晶あるいは粉
末を散布して添加する、高濃度水性溶液を噴霧して添加
する、採取した肉部に結晶あるいは粉末をまぶして添加
するなどの任意の添加方法が採用されるが、添加終了時
にトレハロ−スが魚節原料に均一に分布していることが
望ましい。
【0025】トレハロ−スの添加量は、魚節製品重量比
0.5〜20%程度が適当である。この添加量範囲以下
では、トレハロ−スの添加効果は明瞭でない。また、こ
の添加量範囲を越える場合には、トレハロ−スに由来す
る甘味が強調され過ぎるので適当でない。
【0026】第2発明における魚節加工品としては、魚
節の切削フレ−ク、破砕篩分品、粉末、顆粒成形品、調
味加工品、うま味調味料との混合顆粒成形品、「ふりか
け」食品、即席「おすまし」食品などが挙げられる。ま
た、それらの多くは乾燥品または半乾燥品であるが、
「液体鰹節だし」などの液状品あるいは「アンチョビ・
ペ−スト」などのペ−スト状品も亦、魚節加工品に含ま
れる。
【0027】第2発明の方法において、トレハロ−スの
添加は魚節加工品の製造工程中、任意の工程において実
施される。すなわち、原料魚節への添加、混合、魚節の
切削工程、破砕工程、粉砕工程で使用する調湿水性溶液
への添加、造粒工程で使用する調湿あるいは粒子結着溶
液への添加、調味工程で使用する調味液への添加、調理
工程で使用する調味液への添加、ペ−スト状品の製造時
における混練工程での添加などの方法で添加する。
【0028】また、添加は、複数の工程において、各工
程共、複数回の添加すなわち分割しての添加が可能であ
る。一般に、初期の工程において所定量のトレハロ−ス
の大部分を高濃度に添加すると好結果を得る。
【0029】トレハロ−スは結晶あるいは粉末を原料魚
節あるいは加工処理中の中間原料に散布して添加する、
加工処理中に高濃度水性溶液を噴霧して添加するなどの
任意の添加方法が採用されるが、添加終了時にトレハロ
−スが魚節加工品に均一に分布していることが望まし
い。
【0030】トレハロ−スの添加量は、魚節加工品の製
品重量比1〜20%程度が適当である。この添加量範囲
以下では、トレハロ−スの添加効果は明瞭でない。ま
た、この添加量範囲を越える場合には、トレハロ−スに
由来する甘味が強調され過ぎるので適当でない。
【0031】第3発明において、対象とする調味エキス
は、各種の調味エキスならびに調味エキスの原料が挙げ
られる。すなわち、鳥獣類のエキス、魚介類のエキス、
野菜類のエキス、海藻類のエキス、微生物菌体のエキス
あるいはこれら各種食品原料を加工した加工品のエキス
である。
【0032】なお、エキスは、上記の各種の食品または
食品原料を中性、酸性、またはアルカリ性の水性溶液に
よる、あるいは塩類を含有する水性溶液による、常温ま
たは熱時抽出物である。また、エキスは、蛋白質など凝
固成分を分離除去した澄明な抽出液あるいは固体成分を
含有する分散溶液である場合もある。
【0033】鳥獣類のエキスとしては、ビ−フ・エキ
ス、豚骨ス−プ、チキン・エキス、鳥がらス−プ、ボ−
ンマロウ・エキスおよびこれらのエキスに食塩、糖類、
アミノ酸などを添加した加工エキスが挙げられる。
【0034】魚介類のエキスとしては、鰹節エキス、宗
太節エキス、煮干しエキス、雑節エキス等の魚節エキ
ス、鮑魚(アワビ)エキス、魚翅(フカヒレ)エキス等
の中華料理用ス−プ原料、「せんじ」、フィシュ・ソル
ブル、フィシュ・ウオタ−、スチック・ウオタ−、貝類
蒸煮汁等の水産加工食品製造時に副生するエキス成分の
濃縮含有物などが挙げられる。尚、魚節エキスとして
は、第1発明又は第2発明の方法で製造される魚節また
は魚節加工品より抽出した調味エキスをも含む。
【0035】野菜類のエキスとしては、セロリ、ニンジ
ン、タマネギ、シイタケ、シメジ、マッシュル−ム、コ
ショウ、ロ−レルなどの抽出物およびこれらの混合エキ
ス、さらに味噌または醤油製造時に副生する大豆蒸煮汁
などが挙げられる。
【0036】海藻類のエキスとしては、昆布の抽出物が
その代表である。
【0037】微生物菌体のエキスとしては、酵母エキス
またはその加工品が挙げられる。
【0038】尚、上記のエキスは水性溶液抽出物、その
濃縮物、濃縮ペ−スト、乾燥粉末、顆粒物、キュ−ブ状
成形品など各種の形態のものを対象とする。
【0039】本発明にあっては、上記の抽出エキスに加
えて、蛋白質の加水分解物をも含むものである。例え
ば、HAP(動物蛋白加水分解物)、HVP(植物蛋白
加水分解物)など、或いは蛋白加水分解酵素による分解
物、例えば醸造醤油(「タマリ醤油」、「モロミ醤油」
を含む)、魚醤類(「ショッツル」、「ニョクマン」、
「ナンプラ−」、「ハオユウ」(牡蛎油)等)、調味用
塩蔵品類(「アミ塩辛」等)なども含まれる。
【0040】添加するトレハロ−スの量は調味エキス中
の固形分重量に対して5〜70%である。この比率は調
味エキス中の異味成分の量、種類、濃度などによって具
体的に決定される。なお、この範囲以下では効果なく、
この範囲以上では、添加量に相応する効果が認められな
いばかりか、調味エキスの呈味のバランスを失うことに
なる。
【0041】添加方法には特に限定はなく、トレハロ−
スの粉末、溶液を調味エキスに均一に混合するように添
加する。調味エキスとトレハロ−スとの混合溶液を噴霧
乾燥してもよい。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明の方法について説
明する。なお、これらの実施例は本発明を限定するもの
ではない。尚、実施例の記載中、「%」は、特記の無い
限り、全て重量%を示す。
【0043】(実施例1)=「荒節」の製造およびその
抽出「だし」の評価= 新鮮なホンガツオより採肉した原料魚肉を煮熟して「身
割り」した魚肉を、25℃に保持したトレハロ−スを1
5%含有する酸性水溶液に10分間浸漬した。浸漬後、
浸漬液の滴下を待って焙乾用のスノコに配列し、送風室
温下、室内で30分間乾燥した。この浸漬操作および風
乾操作により、「身割り」魚肉比で3%のトレハロ−ス
溶液が付着したことを認めた。これは、製品「荒節」に
対して、0.7%のトレハロ−スの添加に相当する。
【0044】この「身割り」魚肉を焙乾風炉中で3日間
連続して焙乾した。なお、焙乾処理中、「身割り」魚肉
を登載したスノコの上下位置を3回変更し、均一な焙乾
を計った。製品「荒節」の原料魚肉に対する歩留は15
%、また、その水分含量は8〜12%、粗脂肪含量は6
〜10%であった。
【0045】また、トレハロ−スを含有しない同様の酸
性水溶液に、同一条件下に浸漬処理を行い、以下同様に
処理した対照「荒節」を製造した。対照「荒節」の歩
留、水分含量および粗脂肪含量は、製品「荒節」のそれ
らと、ほぼ同一であった。
【0046】製品「荒節」および対照「荒節」を、各1
本宛、和紙を用いて包装し、温度25℃、相対湿度60
%に維持した環境下に保存した。
【0047】製品「荒節」および対照「荒節」各1本
を、製造直後、1週間後、3ケ月後および6ケ月後に取
り出し、家庭用の鰹節削り鉋器を使用して「荒節」の長
手方向に全面にわたるように、その略半分を削りおろし
た。取得した削りフレ−クを秤量し、その100gを耐
熱ガラス・ポット中に入れ、500mLのイオン交換樹
脂処理水を注ぎいれた。このフレ−ク分散液を室温より
沸騰に至るまで10分間加熱し、沸騰下に5分間保持し
て抽出を行った。熱時、抽出液、すなわち各々の「だ
し」を、予め充分に水洗してある濾紙を載置した濾斗上
に注下し、フレ−クを分離、除去して製品「荒節」の
「だし」および対照「荒節」の「だし」をそれぞれ取得
した。
【0048】この「だし」を室温(25℃)まで放冷
し、直ちに5名のパネラ−により、製品「荒節」の「だ
し」および対照「荒節」の「だし」について、相互の呈
味あるいは香味の相違の有無ならびに呈味あるいは香味
の好ましさの程度を判別せしめる官能試験に付した。
【0049】製品「荒節」の「だし」および対照「荒
節」の「だし」について、各保存期間経過後における判
別結果をまとめて、表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1に示す通り、製品「荒節」の「だし」
と対照「荒節」の「だし」との間には、何れの保存期間
の場合にあっても、呈味および香味について明瞭な相違
が認められ、何れの場合にあっても、トレハロ−ス処理
を行った製品「荒節」の「だし」を好ましいとするパネ
ラ−が多かった。この人数の相違は有意義と認められ
る。
【0052】また、「荒節」の保存期間が長期に亙るに
従って、製品「荒節」の「だし」と対照「荒節」の「だ
し」との間の呈味および香味の相違は、より判然とする
傾向が認められた。
【0053】即ち、トレハロ−ス処理は「荒節」の「だ
し」の呈味および香味を改善し、また、好ましい呈味お
よび香味を長期間に亙って安定に保存する効果のあるこ
とが認められた。
【0054】(実施例2)=「鰹節フレ−ク」の製造お
よびそらの抽出「だし」の評価= 市販の中位の大きさの高知県産「亀節」を、各1本宛、
和紙を用いて包装し、温度25℃、相対湿度60%に維
持した環境下に1週間保存した。
【0055】1週間後に取り出し、家庭用の鰹節削り鉋
器を使用して、「亀節」の長手方向に魚体の背部および
腹部の全面にわたるように、その略半分を削りおろし
た。取得した削りフレ−クを秤量し、その100gを和
紙上に約30cm角に拡散した後、トレハロ−ス15%
を含有する酸性水溶液10mLを、製パン用噴霧器を使
用して万遍なく散布した。
【0056】散布後、和紙ごと大型のデシケ−タ−に収
容し、減圧下25℃に2時間保持して乾燥した。常圧に
復帰後、直ちに10g宛、ポリプロピレン製の透明袋に
分包し、開口部を加熱溶融封鎖して「製品鰹節フレ−
ク」を取得した。
【0057】また、同様にしてトレハロ−スを含有しな
い酸性水溶液10mLを同様に散布後、乾燥し分包して
「対照鰹節フレ−ク」を取得した。
【0058】これらの袋入り「鰹節フレ−ク」を室温に
て保存した。「製品鰹節フレ−ク」および「対照鰹節フ
レ−ク」の各1袋を、製造直後、1週間後、3ケ月後お
よび6ケ月後に取り出し、開封後、袋内のフレ−ク全量
を耐熱ガラス・ポット中に入れ、100mLのイオン交
換樹脂処理水を注ぎいれた。このフレ−ク分散液を室温
より沸騰に至るまで10分間加熱し、沸騰下に5分間保
持して抽出を行った。熱時、抽出液、即ち各々の「だ
し」を、予め充分に水洗してある濾紙を載置した濾斗上
に注下し、フレ−クを分離、除去して製品の「だし」及
び対照の「だし」をそれぞれ取得した。
【0059】これらの「だし」を室温(25℃)まで放
冷し、直ちに5名のパネラ−により製品の「だし」およ
び対照の「だし」について、相互の呈味あるいは香味の
相違の有無ならびに呈味あるいは香味の好ましさの程度
を判別せしめる官能試験に付した。
【0060】製品の「だし」および対照の「だし」につ
いて、各保存期間経過後における判別結果をまとめて、
表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2に示す通り、製品の「だし」と対照の
「だし」との間には、何れの保存期間の場合にあって
も、呈味および香味について明瞭な相違が認められ、何
れの場合にあっても、トレハロ−ス処理を行った製品の
「だし」を好ましいとするパネラ−が多かった。この人
数の相違は有意義と認められる。また、袋入り「鰹節フ
レ−ク」の保存期間が長期に亙るに従って、製品の「だ
し」と対照の「だし」との間の呈味および香味の相違
は、より判然とする傾向が認められた。すなわち、トレ
ハロ−ス処理は袋入り「鰹節フレ−ク」の「だし」の呈
味および香味を改善し、また、好ましい呈味および香味
を長期間に亙って安定に保存する効果のあることが認め
られた。
【0063】(実施例3)=「ビ−フ・エキス」の評価
= 粉末状のビ−フ・エキス「エキストラクト9267」
[商品名、E.A.ミラ−社製品]4.0gを200g
の熱水に溶解した。この溶液を二等分し、一方にトレハ
ロ−ス1.1gを添加し、完全に溶解せしめた。他方の
区分とも、60℃まで放冷した。
【0064】放冷後、直ちに、訓練された味覚判別パネ
ラ−5名による官能試験に付した。トレハロ−ス添加区
分とトレハロ−ス無添加区分について、相互に他区分と
の味の相違の有無および両区分の好ましさに関する判断
結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】表3に示す通り、ビ−フ・エキスに対する
トレハロ−スの呈味改善効果は明瞭に確認された。
【0067】(実施例4〜実施例5ならびに比較例1〜
比較例4)=ビ−フ・エキスまたは酵母エキスの評価な
らびにトレハロ−スの選択的効果の評価= ビ−フ・エキス「ボルドン」[商品名、ボルドン社製
品]、酵母エキス「ギステックス」[商品名、ギスト−
ブロカデス社製品]各6.0gを各300gの熱水に溶
解した。これらを各3等分し、エキス毎に トレハロ−
ス1g添加区分、エリスリト−ル1g添加区分ならびに
無添加区分を調製した。各区分を60℃まで冷却し、実
施例3と同一のパネラ−による官能試験に付した。評価
項目も実施例3と同一。それらの判断結果を表4に示
す。
【0068】
【表4】
【0069】表4に示す通り、ビ−フ・エキスまたは酵
母エキスに対するトレハロ−スの呈味改善効果は明瞭に
確認された。しかしながら、エリスリト−ルの呈味改善
効果は明らかでなく、トレハロ−スが選択的に呈味改善
効果を有していることが認められた。
【0070】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の製造法
は、得られる魚節、魚節加工品ならびに調味エキスにお
ける異味の発現、即ち、通常の製法による魚節、魚節加
工品ならびに調味エキスに屡々存在する苦渋味や金属味
などの異味の発現を抑止でき、従って長期間に亙り好ま
しい呈味および香味を安定に保持できる保存性の良い製
品を得ることができるという効果が得られるものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石黒 恭佑 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 味 の素株式会社食品総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚節の製造工程においてトレハロ−スを
    添加することを特徴とする魚節の製造法。
  2. 【請求項2】 魚節加工品の製造工程においてトレハロ
    −スを添加することを特徴とする魚節加工品の製造法。
  3. 【請求項3】 調味エキスにトレハロ−スを添加するこ
    とを特徴とする調味エキスの製造法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、トレハロ−スの添加
    量が調味エキス中の固形分重量比5〜70%であること
    を特徴とする調味エキスの製造法。
  5. 【請求項5】 請求項3において、調味エキスが鳥獣
    類、魚介類、野菜類、海藻類または微生物菌体の水性溶
    液抽出物であることを特徴とする調味エキスのの製造
    法。
  6. 【請求項6】 請求項3において、調味エキスが蛋白質
    の酸による、または酵素による加水分解物であることを
    特徴とする調味エキスの製造法。
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