JPH07233378A - 石炭およびタールの混合物の処理方法 - Google Patents

石炭およびタールの混合物の処理方法

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JPH07233378A
JPH07233378A JP32328794A JP32328794A JPH07233378A JP H07233378 A JPH07233378 A JP H07233378A JP 32328794 A JP32328794 A JP 32328794A JP 32328794 A JP32328794 A JP 32328794A JP H07233378 A JPH07233378 A JP H07233378A
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武史 小西
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Shinji Ishii
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Abstract

(57)【要約】 【目的】石炭およびタールの混合物(TCM)から発生
する熱分解ガスの所望の成分ガスを比較的簡単な手法に
より選択的に回収する。 【構成】複数の異なる温度の熱処理区域(16a〜16
e)を有し、内部をTCM(15)が移動するにつれて
TCMの熱分解が進行するように温度勾配を設けたパイ
プ型熱処理装置(16)内にTCM(15)を移送して
熱分解に供し、所望の成分ガスの生成温度に対応する熱
分解区域(16c〜16e)からその所望の成分ガスを
選択的に回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭およびタールの混
合物の処理方法に関する。また、本発明は、石炭および
タールの混合物の熱処理を利用した、熱分解ガスの所望
の成分ガスを選択的に回収する方法に関する。また、本
発明は、石炭およびタールの混合物の熱処理を利用し
た、石炭およびタールの混合物のガス化方法に関する。
また、本発明は、石炭およびタールの混合物の熱処理を
利用した冶金用コークスの製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】石炭は、熱分解(乾留)
により高カロリーガスを含む種々のガスを発生する。例
えばコークス炉では、熱分解の進行に伴って石炭から発
生する熱分解ガスの主成分は水分、コールタール、ガス
液からエチレン、エタン等の高級炭化水素、メタン、炭
酸ガス、一酸化炭素、水素へと変化する。
【0003】しかしながら、コークス炉においては、上
記成分ガスは全て同一の上昇管に集められるので、得ら
れるコークス炉ガスはこれらの成分ガスの混合物となっ
ている。そこで、例えば化学工業、半導体工業、食品工
業、石油精製などに利用され今後はクリーンエネルギー
としての利用が期待されるタールの水添改質等に用いる
高濃度水素ガスをこのコークス炉ガスから得ようとする
と、そのためのガス精製設備が別途必要となる。
【0004】また、コークス炉ガスは製鉄所内の副生ガ
スの中で最もカロリーが高いが、その低位発熱量はせい
ぜい4000〜5000kcal/Nm3 程度である。
現在、製鉄所内では、このようなコークス炉ガスを高炉
ガス、転炉ガス及び購入燃料ガスと組合せて各種の需要
に応えるようにしているが、今後の製鉄所内でのガス需
要に対しては、それだけでは対応が困難であるとされて
おり、より高カロリーのガスが望まれている。
【0005】ところで、石炭資源の有効利用を背景とし
て、コークス炉ガスをより高カロリーのガスに転化すべ
く、これをメタン化する技術が提案されている(例え
ば、QYuan及びB.K.Huang、「常圧下のメ
タン化による都市ガスの製造」Proc.Pittsb
urgh Coal Conf.VOL.6th、Vo
l.12,pp721−724,1989)。しかしな
がら、このメタン化技術を実施する場合、コークス炉に
加えてメタン化反応装置をはじめとするガス変成設備が
必要となり、コスト高の原因となる。加えて、このメタ
ン化技術によると、得られたメタン化ガス中の二酸化炭
素濃度が非常に高いものとなる。従って、これを実用化
するためには、別途脱炭酸設備が必要である。
【0006】また、コークス炉への石炭装入から乾留が
終了するまでの所要時間の内、最初の55〜75%の時
間内に発生する炭化水素含有率の高い高カロリー成分ガ
スと残りの45〜25%の時間内に発生する水素含有率
の高い成分ガスとを別々に回収する技術が特開昭57−
3882号公報に開示されている。しかしながら、コー
クス炉では、炉壁部と炉中心部とで乾留温度が異なり、
発生するガスの成分は炉幅方向において均一でない。そ
のため、炭化水素成分ガス中への水素の混入あるいは高
濃度水素への炭化水素の混入が避けられず、目的とする
高カロリーガスや水素ガスを高濃度で得ることができな
い。
【0007】さらに、石炭資源の有効利用を背景として
既に種々の石炭ガス化技術が確立されている。このよう
な石炭ガス化プロセスの評価基準の一つとして炭素利用
率が挙げられる。すなわち、石炭ガス化プロセスでは、
最終的に生成される飛灰や主灰中に残留する炭素分が低
いことが要求される。このため、多くの石炭ガス化プロ
セスで石炭ガス化で発生したチャー等の固体炭素分を別
途燃焼させる必要が生じている。
【0008】また、従来の石炭ガス化技術では、石炭中
の灰分(無機不純物)は、スラグとして1500℃以上
の極めて高い温度で溶融させてガス化装置から排出して
いる。このため、溶解スラグによる閉塞などの操業上の
トラブルが起こりやすい。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、第
1に、石炭およびタールの混合物の処理方法であって、
複数の異なる温度の区域を有し、内部を該混合物が移動
するにつれて該混合物の熱分解が進行するように温度勾
配を設けたパイプ型熱処理装置内に該混合物を移送して
熱分解に供することを特徴とする方法を提供する。
【0010】本発明は、第2に、石炭およびタールの混
合物からその熱分解ガスの所望の成分ガスを選択的に回
収するための方法であって、複数の異なる温度の区域を
有し内部を該混合物が移動するにつれて該混合物の熱分
解が進行するように温度勾配を設けたパイプ型熱処理装
置内に該混合物を移送して熱分解に供し、該所望の成分
ガスの生成温度に対応する区域から該所望の成分ガスを
選択的に回収することを特徴とする方法を提供する。
【0011】本発明は、第3に、石炭およびタールの混
合物のガス化方法であって、複数の異なる温度の区域を
有し、内部を該混合物が移動するにつれて該混合物の熱
分解が進行するように温度勾配を設けたパイプ型熱処理
装置内に該混合物を移送して熱分解に供し、該所望の成
分ガスの生成温度に対応する区域から該所望の成分ガス
を選択的に回収し、さらに残留した固体炭素分をガス化
剤存在下でガス化することを特徴とする石炭およびター
ルの混合物のガス化方法を提供する。
【0012】本発明は、第4に、石炭およびタールを混
合してスラリー状原料を形成する第一工程と、得られた
スラリー状原料を 100〜400 ℃の温度で加熱して膨潤固
化させる第二工程と、この膨潤固化した原料を 400〜10
00℃の温度で徐々に加熱して乾留する第三工程とを具備
し、前記第二工程および第三工程は、100 〜1000℃の温
度勾配を設けたパイプ状加熱炉内で前記スラリー状原料
を移送することにより行なわれる冶金用コークスの製造
方法を提供する。
【0013】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0014】本発明者らは、石炭の熱分解過程におい
て、熱分解温度によって発生するガスの成分が異なる点
に着目した。すなわち、一般に、石炭を熱分解すると、
350〜400℃付近で石炭は熱軟化性を示し、コール
タールやガス液を発生する。450〜500℃付近で
は、石炭を構成する高分子中の官能基や側鎖が分解して
エチレン、エタン等の高級炭化水素、メタン、一酸化炭
素、二酸化炭素等を放出しながら固化による収縮現象を
示す。さらに高温になると、芳香族縮合環周辺部の分解
によって水素を多く放出するようになり、700℃以上
になると熱分解ガスの主成分は水素となり、最終的に残
留炭素(チャーあるいはコークス)が生成する。
【0015】そこで、各熱分解温度において発生する成
分ガスをその発生領域において抽出すれば所望の成分ガ
ス(例えば、高カロリー成分ガス、高濃度水素ガス)を
選択的に得ることができる。本発明者らは、この点につ
きさらに研究した結果、石炭の熱処理装置としてパイプ
型装置を用い、その内部を石炭が移動するにつれ熱分解
が進行するようにこれに温度勾配を設け、所望の成分ガ
スの発生温度に対応する熱分解域から該所望の成分ガス
を回収するようにした。しかしながら、このパイプ型熱
処理装置に石炭単味を供給すると、移送過程における石
炭の微粉化、熱分解過程における石炭の溶融、融着等の
閉塞トラブルが生じる恐れがある。そこで、石炭をター
ルとの混合物の形態でパイプ型熱処理装置に供給するこ
とによってこの問題を解決できることを見い出し、上述
の第2の発明を完成した。
【0016】ここで、石炭およびタールとの混合物(T
CM)は、100〜400℃で膨潤・固化し、それより
高温では、上に述べた石炭の熱分解と同様に熱分解し、
同様の熱分解生成物を生成する。
【0017】以下、図面を参照しながら、第2の発明を
さらに詳しく説明する。
【0018】図1は、本発明の方法の一例を示す概念図
である。図1に示すように、石炭11とタール12を例
えば、ボールミル13でよく混合し、スラリー状TCM
15としてタンク14に収容する。このTCMを以後詳
述する本発明のパイプ型熱処理装置16に供給し、その
内部を図示しない圧送手段により順次移送して熱分解さ
せる。
【0019】本発明において使用される石炭11に特に
制限はなく、泥炭、褐炭、亜瀝青炭瀝青炭等の各種石炭
を粒状または粉状で使用することができる。また、ター
ル12としては、コールタールが好ましいが、水素供与
性を有する石油系タールを用いることもできる。石炭お
よびタールの混合割合は、重量比で1:1ないし1:1
0であることが好ましい。
【0020】熱処理装置16には、TCMの供給側から
出口側に向かってTCMの膨潤固化・熱分解が進行する
ように温度勾配(例えば、100℃から1,000℃ま
でに渡る)が設けられている。そして、パイプ型熱処理
装置16は、この温度勾配に沿って複数の異なる温度の
区域(図1では16a〜16eの5つの領域)が設定さ
れており、各区域は、図示しない加熱手段によりそれぞ
れの温度に加熱される。
【0021】区域16aは、TCMの膨潤・固化領域で
あり、例えば、100℃〜400℃の温度に設定するこ
とができる。
【0022】区域16b〜16eは、膨潤・固化区域1
6aで固化したTCMの熱分解区域であり、それぞれの
区域で発生する熱分解生成物を装置外部に回収するため
の回収手段(例えば、回収管)17〜20が設けられて
いる。
【0023】熱分解区域16b〜16eは、回収すべき
所望熱分解生成物の発生温度に対応した温度に設定され
るが、各熱分解区域の温度によって構成される温度勾配
は、スロープ勾配よりもステップ勾配の方が好ましい。
【0024】具体的には、例えば、熱分解区域16bを
400℃に設定してCO2 、CO主体のガス成分を回収
手段17から回収し、熱分解区域16cを450℃の温
度に設定してエチレン及びエタンを主成分とする高カロ
リー成分ガスを回収手段18から回収し、熱分解区域1
6dを500℃の温度に設定してメタンを主成分とする
高カロリーガス成分を回収手段19から回収し、熱分解
区域16eを700℃以上の温度に設定して水素を主成
分とする成分ガスを回収手段20から回収することがで
きる。
【0025】装置16内のTCMの移動速度は、各区域
16a〜16eにおいて膨潤・固化及び各熱分解生成物
の発生が充分に終了するようにTCMが各区域16a〜
16e内に滞留できるような速度であることが望まし
い。
【0026】こうして熱分解を受けたTCMは、残留炭
素(図中コークスとして表示してあるが、あるいはチャ
ー)として装置16から排出される。
【0027】図2は、図1に関して説明した本発明のパ
イプ型熱処理装置16の一具体例を示すものである。
【0028】図2に示す熱処理装置16は、円筒状内管
21と、内管21から離間して同心的に配置された円筒
状外管22との二重管構造からなる。内管21と外管2
2は例えばSUSステンレス鋼で形成することができ
る。内管21の内部は、TCMの熱処理(膨潤固化及び
熱分解)領域23を規定している。内管21と外管22
との間の間隙は、円環状加熱領域24を規定している。
【0029】加熱領域24は、ドーナツ型円板状断熱板
25a〜25dで仕切られ、個々の加熱室24a〜24
eに区画されている。加熱室24a〜24eは、それぞ
れに対応する熱処理領域23の区域を所定の温度に加熱
するものであり、この加熱に対応して熱処理領域23
は、図1に関して説明した区域16a〜16eを構成す
る。すなわち、加熱室24a〜24eには、燃料ガスと
空気がそれぞれの供給源26及び27からラインL1及
びL2を介して各合流ラインL3から混合物として供給
され、各加熱室24a〜24e内部の各バーナーBで燃
焼され、熱分解区域16a〜16eを例えば図1に関し
て例示した温度に加熱する。燃料ガスの流量は、目標と
する温度に応じた比率で燃料ガスと空気が各加熱室24
a〜24e内で燃焼されるように、合流ラインL3前段
の各流量調整弁Vで調整される。なお、各加熱室24a
〜24e内のバーナーBは、各加熱室の容積に応じその
本数を適宜決定することができる。
【0030】内管21内には、TCM15の圧送手段と
してプランジャーポンプ式押出機28が設置されてい
る。この押出機28は、行程距離の小さいものであり、
そのヘッド28aは、内管21の内壁に摺接する。TC
M15を熱処理領域23内に供給するための供給管29
の先端には、逆止弁30が設けられている。逆止弁30
は、押出し機28の前進時に閉じ、後退時に開いてTC
Mを少量ずつ熱処理領域23内へ供給する。押出機28
の駆動により、TCM15は、各区域16a〜16eに
おける充分な滞留時間をもって熱処理領域23を移送さ
れる。例えば、TCM15は、熱処理領域23の容積に
応じて約30時間かけて供給部から出口まで移送され
る。加熱室24a〜24eは円環状であり、熱処理領域
23を均一に加熱できるので、特に熱分解区域16b〜
16eにおいて熱分解の程度はそれぞれ均一となる。
【0031】熱分解区域16b〜16eにおける石炭の
熱分解生成物は、回収管の形態にある各回収手段17a
〜17b、18、19a〜19b、及び20から回収さ
れるなお、回収管17a〜17b、18、19a〜19
b、及び20は、それぞれ共通回収管(図示せず)に接
続し、各熱分解生成物が集められる。
【0032】こうして熱分解された石炭は、装置16か
ら残留炭素(チャーあるいはコークス)31として容器
32内に回収される。
【0033】なお、熱処理区域は、上記例に示した5つ
に限らず、所望の成分ガスの発生温度、石炭の種類その
他に応じて適宜設定することができる。
【0034】さらに、本発明者らは、上述の熱分解によ
り残された固体炭素分を、酸素または水蒸気のようなガ
ス化剤の存在下でガス化して、固体炭素分由来の生成ガ
スを回収し、炭素利用効率を向上させることを見い出
し、上述の第3の発明を完成した。
【0035】図3は、第3の発明の方法の一例を示す概
念図である。この方法では、温度勾配に沿って異なる温
度の区域16a〜16eの後段に、内部にガス化剤10
2が供給されるガス化領域16fが設けられた熱処理装
置101が用いられる。
【0036】まず、上述と同様に、石炭11およびコー
ルタール12を混合して得られたTCMを、熱処理装置
101に供給し、その内部を図示しない圧送手段により
順次移送して熱分解させる。熱分解区域16a〜16e
では、上述と同様に、TCMが膨潤・固化および熱分解
されて、残留炭素分が残される。残留炭素分は、ガス化
領域16fに導入される。ガス化領域16fには、ガス
化剤102が供給される。ここで、残留炭素分は、ガス
化剤存在下でガス化され、CO2 、CO、H2を主成分
とした低カロリーガスと、灰分が生成される。残留炭素
分由来の中カロリーガスは回収手段103から回収さ
れ、灰分104は排出される。
【0037】ここで、ガス化剤102としては、酸素ま
たは水蒸気が好ましい。その吹き込み温度や吹き込み量
は熱分解領域でのTCMの移動速度にあわせて決定され
る。また、残留炭素分を完全にガス化させるために、ガ
ス化剤102の吹き込み口を二つ以上設けても良い。
【0038】図4は、図3に関して説明した本発明の熱
処理装置101のガス化領域部分Bの具体例を示すもの
である。
【0039】図4に示す熱処理装置101のうち熱分解
領域部分Aは、図1に示す熱処理装置16と同じ構成で
ある。この熱分解領域部分Aの出口側には、管110の
一重管構造からなるガス化領域部分Bが連設されてい
る。
【0040】この管110には、4つのガス化剤吹き込
み口112a〜112dが設けられている。ガス化剤吹
き込み口112a〜112dは、ガス化剤供給源113
に接続されている。ガス化領域部分Bの管110には熱
分解領域部分Aから送り出されてきた、例えば、700
〜800℃の固体炭素分111がガス化剤の存在下でガ
ス化して、中カロリーガスを生成する。この際、固体炭
素分111のガス化処理は、熱分解領域部分Aでの加熱
の顕熱を利用することも可能である。しかし、別途、加
熱手段を設けて行っても良い。
【0041】生成した中カロリーガスは、ガス化剤吹き
込み口112a〜112dよりも前段に設けられた、回
収管の形態にある回収手段114a,114bから回収
される。回収管114a,114bには、中カロリーガ
スの回収タンク115が接続されている。
【0042】一方、残留炭素分ガス化領域部分Bの最後
段部には、残された灰分116を排出するための排出部
117が設けられている。適当な間隔で排出部117の
排出管118の途中に設けられたストッパ119を開
き、回収容器120に灰分116を回収する。
【0043】ここで、灰分116は1200℃以上で加
熱すると溶融して管110の内部に付着残留するおそれ
があるので、比較的低温、例えば、1100℃未満、好
ましくは800〜900℃の温度でガス化することが好
ましい。これにより、灰分116を粉体の状態で簡単に
排出させることができる。
【0044】本発明者らは、さらに、上述のパイプ型の
熱処理装置を用いたTMCの熱処理を応用して、冶金用
コークスの製造を行なうことについて検討した。すなわ
ち、冶金用コークスの製造においては、原料の石炭が加
熱過程で必ず軟化溶融することが必要とされるため、コ
ークス原料としては一定の石炭化度を有する高品質の石
炭、即ち粘結炭と称される石炭が用いられている。その
結果、発電用または燃料用等に用いられる石炭に比較し
て、コークスの原料炭はかなり高価である。しかも、近
年では将来的なコークス原料炭の枯渇と、それに伴う価
格の高騰が予測されるに至っている。従って、今後は風
化炭、非粘結炭、微粘結炭および弱粘結炭のような劣質
炭を改質し、これをコークス原料に使用することが重要
な課題となる。
【0045】かかる事情から、発明者らは既に、劣質炭
を冶金用コークスの原料として使用し得るように、比較
的簡単なプロセスで劣質炭を改質する方法について研究
を行なってきた。
【0046】一方、プロセスおよび装置の側面からみる
と、現在、冶金用コークスは水平室炉式コークス炉で製
造されている。該コークス炉は炉幅 400〜600 mm、高さ
4〜7.65m、奥行12〜17mの耐火煉瓦製の炭化室を具備
している。原料の石炭をこの炭化室内に投入し、炭化室
の両側に設けられた燃焼室からの伝熱により15〜17時間
かけて約1000℃まで加熱し、乾留して冶金用コークスが
製造される。上記従来のプロセスによって製造された冶
金用コークスは、亀裂の入った不均一な形状となる。こ
れは、乾留過程で石炭の軟化溶融および揮発成分の脱気
が生じ、また炭化室内の温度分布が不均一であるため、
炭化室内の塊状生成物に亀裂が発生するからである。こ
のような亀裂が多く発生すると、塊コークス歩留り、す
なわち製品コークスの歩留りの低下という問題が生じ
る。
【0047】また、石炭およびコークスの熱伝導率は著
しく低く、炭化室の炉壁から供給される熱が中心部まで
充分に伝わらないため、炭化室内の温度は炉壁の近傍部
分では高いが中心部分ではかなり低い。その結果、炉壁
近傍で得られるコークスと炉の中心部で得られるコーク
スとでは性状が大きく異なることとなり、均質な製品が
得られない問題がある。
【0048】さらに、従来のコークス製造炉に用いられ
ている耐火煉瓦は、高温状態から冷却するとクラックを
発生するため、炉を一端運転し始めた後は停止すること
なく運転を継続しなければならない。このため、大幅な
生産調整を行なうことはできない。
【0049】加えて、従来のコークス製造プロセスにお
いては、開口部が多いというコークス炉の構造上の特徴
に起因して、石炭充填時、乾留時およびコークス取出し
時に石炭微粉、乾留ガス、タール及びコークス粉末が大
気中に放散されてしまい、環境汚染を生じる問題があ
る。
【0050】そこで、本発明者らは、石炭およびタール
の混合物を、上述のパイプ型の熱処理装置において、膨
潤・固化し、熱分解させることにより、高品質の冶金用
コークスを製造できることを見出し、上述の第4の発明
を完成した。
【0051】以下、第4の発明について詳細に説明す
る。
【0052】本発明の第一工程では、石炭とタールとを
混合してスラリー状のコークス原料を調製する。ここ
で、石炭としては、粘結炭粉末に限らず、風化炭非粘結
炭、微粘結炭および弱粘結炭のような劣質炭の粉末を用
いることができる。好ましくは、粘結炭粉末と劣質炭粉
末の混合粉末を用いる。その際の粘結炭粉末と劣質炭粉
末との比率は特に臨界的ではなく、使用する粘結炭およ
び劣質炭の種類により変化する。
【0053】使用するタールは特に限定されず、製鉄プ
ロセスでコークス炉から副生するコールタールが代表的
であるが、石炭の熱分解プロセスまたはガス化プロセス
において副生する熱分解タールを用いてもよい。
【0054】また、石炭とタールとの比率も特に臨界的
ではなく、使用する石炭粉末の種類によって変化する。
しかし、一般には石炭粉末 100重量部に対してタール50
重量部以上であり、好ましくは 100重量部以上である。
【0055】石炭とタールとの混合は、例えばボールミ
ル等の通常の混合装置を用いて行なうことができる。こ
こで、石炭とタールとがスラリーを形成し易いように、
石炭は粉末状であることが好ましく、その粒径は、約5
mm以下が好ましい。こうして形成されたスラリー状原料
は、液状であるためパイプラインを介しての輸送および
貯蔵が容易であるという利点を有している。
【0056】上記のように、石炭の全部または一部とし
て劣質炭を用い得ることが、本発明の大きな特徴であ
る。このように劣質炭の使用が可能である理由は、次に
述べる第二工程および第三工程において、混合されたコ
ールタールにより劣質炭が改質されるからである。
【0057】本発明の第二工程では、第一工程で得られ
たスラリー状原料を 100〜400 ℃の温度で加熱する。こ
の加熱によって、原料中のタールは石炭粉末の容積およ
び細孔径を増大させながら石炭の微細構造内に浸透す
る。その結果、石炭粉末は膨潤化し、やがてスラリー状
原料は固化する。加熱温度を 100〜400 ℃とした理由
は、加熱温度が100 ℃未満だと膨潤化に長時間を要し、
加熱温度が400℃を越えると脱油が生じるため効率的
な膨潤化ができないからである。
【0058】第三工程では、第二工程で膨潤・固化され
た原料を、 400〜1000℃の温度で徐々に加熱して乾留す
る。この第三工程における反応は、次のような略二つの
段階に分けられる。
【0059】最初の段階では、添加されたコールタール
中の軽質成分が石炭粒子から分離除去される。この反応
は 500℃以下の比較的低い温度領域で行なわれる。その
結果コールタールに含まれる重質成分、即ち、石炭の粘
結性に寄与する成分のみが石炭の微細構造中に添加され
たことになる。従って、原料に用いた石炭の粘結性が改
善され、高品質の粘結炭を原料に用いたのと同様の結果
となる。
【0060】次の段階は、上記のようにして改質された
石炭が乾留される反応であり、比較的高い温度領域で行
なわれる。この乾留反応により、石炭は熱分解されてガ
スおよびタールを発生し始める。同時に或いはこれに続
いて、石炭は軟化溶融および膨脹収縮を経て粘結し、固
化してコークスとなる。こうして得られたコークスは添
加されたコールタールによる原料炭の改質を経て乾留さ
れているいるため、劣質炭を原料として製造されたとき
でも、冶金用コークスとして良好な品質を有している。
【0061】本発明のもう一つの大きな特徴は、第二工
程および第三工程が、100 〜1000℃の温度勾配を設けた
パイプ状加熱炉内で前記スラリー状原料を移送すること
により行なわれる点にある。この炉内の移送は、連続的
であっても断続的であってもよい。炉内に供給されたス
ラリー状原料は、通常は10〜33時間、好ましくは15〜22
時間かけて炉内を移送され、これによって所定の加熱処
理が行なわれる。より詳細にいうと、第二工程の温度領
域(100 〜400 ℃)を通過するための時間は、通常は
0.2〜3時間、好ましくは 0.5〜2時間である。また、
第三工程の温度領域(400 〜1000℃)を通過するための
時間は、通常は10〜30時間、好ましくは15〜20時間であ
る。なお、このときの炉内の移送は、炉の原料供給端か
ら必要な圧力を供給することによって行なわれる。パイ
プ状加熱炉としては、加熱温度に耐え得る金属、例えば
ステンレス鋼製の炉を使用することができ、高価な耐火
煉瓦を用いる必要はない。従って、設備費を低減でき、
また耐火煉瓦のように温度の昇降が制限されないから、
需要に応じて生産調整をすることができる。その他、こ
の特徴によって次のような作用および効果が得られる。
【0062】第一は、温度勾配を設けた加熱炉内を移送
して加熱を行なうから、従来の水平室炉式コークス炉の
場合に比較して、コークス製造における最も重要な温度
領域即ち、石炭の溶融および粘結を生じる 400〜500 ℃
の温度領域での加熱時間を長くとれることである。これ
によって、粘結状態の良好な冶金用コークスを得ること
ができる。
【0063】第二は、加熱温度に応じて異なる種々の反
応が、コークス炉内の異なった位置で行なわれることで
ある。その結果、ガスおよびタールの発生が終了した後
に溶融および粘結が完了するように調節することができ
る。これにより、亀裂の少ない良好な形状のコークスを
得ることが可能となる。また、副生する種々のガス成分
やタール成分を、炉の異なった位置から別々に回収する
ことが可能となる。
【0064】第三は、加熱乾留工程を連続方式で行なえ
るから、生産能力をそれほど低下させることなく、炉の
径を小さくして炉の断面方向での温度分布を均一化でき
る。
【0065】特に金属製の炉を用いるときには均熱加熱
が可能であり、加熱の制御性が向上するため、均質な冶
金用コークス製品を得ることができる。
【0066】第四は、プロセスを完全な密封方式で実施
できるので、石炭粉、コークス粉、乾留過程で生成する
ガス及びタールが大気中に放出されて環境汚染を生じる
事態を防止できることである。
【0067】第五は、原料の移送のために炉に圧力が供
給されるから、この移送圧によって石炭の膨脹時に必要
とされる一定の圧力が賄われることである。
【0068】以下、この第4の発明をより詳細に説明す
る。
【0069】図5は、本発明の冶金用コークスの製造方
法を示す概念図である。この方法では、まず、石炭20
1をタール202と共にボールミル203内に供給し、
混合してスラリー状のTCMを得る。このTCMは、パ
イプラインを通してタンク204内に送給され、貯蔵さ
れる。タンク204に貯蔵されたTCMは、パイプライ
ン205を介して随時パイプ型の熱処理装置206に供
給される。熱処理装置206には、TCMの供給側から
出口側に向かってTCMの膨潤固化・熱分解が進行する
ように温度勾配(例えば、100℃から1,000℃ま
でに渡る)が設けられている。そして、パイプ型の熱処
理装置206は、この温度勾配に沿って少なくとも2つ
の異なる温度の区域が設定されており、各区域は、図示
しない加熱手段によりそれぞれの温度に加熱される。例
えば、熱処理装置206は、上述の図2に示す熱処理装
置16と同様に、6つの区域206a〜206fからな
る。区域206aは、TCMの膨潤・固化領域であり、
例えば、100℃〜400℃の温度に設定する。区域2
06b〜206eは、区域206aで固化したTCMの
熱分解区域である。これらの区域206b〜206eに
は、各区域で発生した熱分解生成物を回収するための回
収管207〜210が設けられている。各区域の設定温
度は、例えば図1に示す熱処理装置16と同様に設定す
ることができる。従って、熱処理装置206内をTCM
が移送される間に、膨潤、固化され、さらに乾留され
る。また、この過程で生成した、コールタール、ガス
液、各種ガス等の熱分解生成物は、回収管207〜21
0から排出される。しかしながら、本発明は冶金用コー
クスの製造を目的とするため、必ずしも、それぞれの区
域で発生する熱分解生成物を装置外部に分離回収する必
要はない。従って、区域16b〜16eから発生する全
ての熱分解生成物をまとめて回収しても良い。また、分
離回収する必要がないので、各熱分解区域の温度によっ
て構成される温度勾配は、スロープ勾配でもステップ勾
配でもどちらでも良い。
【0070】一方、生成したコークス211は、熱処理
装置206の取り出し口から回収される。
【0071】なお、熱処理装置206には、燃料ガス2
12および空気213が供給され、熱処理装置206内
でこれらを燃焼させることで加熱が行われる。400℃
以下の低温領域での加熱には、水蒸気や低レベルの廃熱
を利用することもできる。
【0072】本発明の冶金用コークスの製造方法で用い
られる熱処理装置206は、図2に示すパイプ型の熱処
理装置16と同じ構成である。しかし、上述のように熱
分解生成物の分離回収を必ずしも目的としていないの
で、例えば、回収管17a、17b、18、19a、1
9b、20の数または配置の変更があっても良い。
【0073】
【実施例】本発明のTCMから所望熱分解成分ガスを選
択的に回収する方法の効果を確認するために、以下の実
施例1〜4を行った。
【0074】実施例1 図2に示す熱分解装置16を使用し、各区域16a〜l
6fにおいて、下記に示すように100℃から1000
℃にわたって段階的に温度を上昇させる実質的にステッ
プ状の温度勾配を呈するように温度を設定し、また、各
区域に16a〜l6fにおける滞留時間を下記のように
設定した。
【0075】 区域 温度(℃) 滞留時間(時間) 膨潤・固化 16a 100〜380 5 熱分解 16b 400 3 16c 450 3 16d 500 3 16e 700〜1000 5 粒度−3mm以下80%、即ち、粒径3mm以下の石炭
粒子の全体に対する重量割合が80%以上であるように
粉砕調製されたプリマ炭(水分6.0%、灰分4.6
%、揮発分43.7%)を、供給速度12.1kg/時
でボールミルに供給した。同時に、コールタールを供給
速度18.1kg/時でボールミルに供給し、両者を混
合した。こうして得られたスラリー状の石炭/コールタ
ール混合物(TCM)をタンクに貯蔵した。このタンク
からTCMを供給速度30.2kg/時の割合で熱分解
装置16に供給した。TCMの供給から排出までの所要
時間は約20時間であった。
【0076】はじめ液体であったTCMは、膨潤・固化
のための100〜380℃の区域16aを5時間かけて
移動する間に膨潤および固化して固体となった。その
後、TCMが400〜1000℃の温度勾配を有する熱
分解のための各区域16b〜16eを約14時間かけて
移動する間に、TCMが熱分解して発生した熱分解ガス
が夫々の区域に設けられた回収管17〜20から回収さ
れた。得られたガスの成分組成および低位発熱量を表1
に示す。また、400〜500℃の温度範囲内の区域1
6b〜16dにおいて、熱分解ガスと共にコールタール
およびガス液が18.6kg/時回収された。最後に、
熱処理装置16の最後端部からコークスが約9.6kg
/時の割合で排出された。得られたコークスの塊歩留ま
り及びコークス性状を表3に示す。
【0077】実施例2 被処理体として、プリマ炭に代えて、粒度−3mm以下
80%に粉砕調製されたオプティマ炭(水分5.2%、
灰分11.3%、揮発分33.0%)を使用した以外
は、上記実施例1と同じ手順に従って操作を行った。
【0078】この場合、タンクからTCMを供給し、熱
処理装置16から排出されるまでの所要時間は約20時
間であった。はじめ液体であったTCMは、膨潤・固化
のための100〜380℃の区域16aを5時間かけて
移動する間に膨潤および固化して固体となった。その
後、TCMが400〜1000℃の温度勾配を有する熱
分解のための各区域16b〜16eを約14時間かけて
移動する間に、TCMが熱分解して発生した熱分解ガス
が夫々の区域に設けられた回収管17〜20から回収さ
れた。得られたガスの成分組成および低位発熱量を表1
に示す。また、400〜500℃の温度範囲内の区域1
6b〜16dにおいて、熱分解ガスと共にコールタール
およびガス液が14.5kg/時回収された。最後に、
熱処理装置16の最後端部からコークスが約11.7k
g/時の割合で排出された。得られたコークスの塊歩留
まりおよびコークス性状を表3に示す。
【0079】実施例3 被処理体として、プリマ炭に代えて、粒度−3mm以下
80%(3mm以下の重量割合が80%以上)に粉砕調
整されたサラジ炭(水分1.9%、灰分9.7%、揮発
分18.6%)を使用した以外は、上記実施例1と同じ
手順に従って操作を行った。
【0080】この場合、タンクからTCMを供給し、熱
処理装置16から排出されるまでの所要時間は約20時
間であった。はじめ液体であったTCMは、膨潤・固化
のための100〜380℃の区域16aを5時間かけて
移動する間に膨潤および固化して固体となった。その
後、TCMが400〜1000℃の温度勾配を有する熱
分解のための各区域16b〜16eを約14時間かけて
移動する間に、TCMが熱分解して発生した熱分解ガス
が夫々の区域に設けられた回収管17〜20から回収さ
れた。得られたガスの成分組成および低位発熱量を表1
に示す。また、400〜500℃の温度範囲内の区域1
6b〜16dにおいて、熱分解ガスと共にコールタール
およびガス液が13.1kg/時回収された。最後に、
熱処理装置16の最後端部からコークスが約12.3k
g/時の割合で排出された。得られたコークスの塊歩留
まりおよびコークス性状を表3に示す。
【0081】実施例4 図2に示す熱分解装置16を使用し、膨潤・固化区域1
6aを100〜380℃に設定し、一方、熱分解区域1
6b〜16eを、400℃から1000℃にわたってな
だらかに温度が上昇する実質的にスロープ状の温度勾配
を呈するように設定した。
【0082】粒度−3mm以下80%に粉砕調製された
プリマ炭(水分6.0%、灰分4.6%、揮発分43.
7%)を供給速度12.1kg/時でボールミルに供給
した。同時に、コールタールを供給速度18.1kg/
時でボールミルに供給し、両者を混合した。こうして得
られたスラリー状のTCMをタンクに貯蔵した。
【0083】タンク4から、TCMを供給速度30.2
kg/時の割合で熱分解装置16に供給した。TCM1
5の供給から排出までの所要時間は約22時間であっ
た。
【0084】はじめ液体であったTCMは、膨潤・固化
のための100〜380℃の区域16aを5時間かけて
移動する間に膨潤および固化して固体となった。その
後、TCMが400〜1000℃の温度勾配を有する各
熱分解区域16b〜16eを約15時間かけて移動する
間に、TCMが熱分解して発生した熱分解ガスが夫々の
区域に設けられた回収管17〜20から回収された。得
られたガスの成分組成および低位発熱量を表2に示す。
また、400〜500℃の温度範囲内の区域16b〜1
6dにおいて、熱分解ガスと共にコールタールおよびガ
ス液が16.1kg/時回収された。最後に、熱処理装
置16の最後端部からコークスが約10.1kg/時の
割合で排出された。得られたコークスの塊歩留まり及び
コークス性状を表3に示す。
【0085】次に、本発明のTCMのガス化方法の効果
を確認するために、以下の実施例5を行った。
【0086】実施例5 図4に示すガス化領域部分Bを備えた熱分解装置を使用
し、各区域16a〜l6fにおいて、下記に示すように
100℃から1000℃にわたって段階的に温度を上昇
させる実質的にステップ状の温度勾配を呈するように温
度を設定し、また、各区域に16a〜l6fにおける滞
留時間を下記のように設定した。
【0087】 区域 温度(℃) 滞留時間(時間) 膨潤・固化 16a 100〜380 4 熱分解 16b 400 2 16c 450 2 16d 500 2 16e 700〜1000 4 16f 800〜900 5 粒度−3mm以下80%、即ち、粒径3mm以下の石炭
粒子の全体に対する重量割合が80%以上であるように
粉砕調製されたプリマ炭(水分6.0%、灰分4.6
%、揮発分43.7%)を、供給速度12.1kg/時
でボールミルに供給した。同時に、コールタールを供給
速度18.1kg/時でボールミルに供給し、両者を混
合した。こうして得られたスラリー状の石炭/コールタ
ール混合物(TCM)をタンクに貯蔵した。このタンク
からTCMを供給速度30.2kg/時の割合で熱分解
装置16に供給した。TCMの供給から排出までの所要
時間は約20時間であった。
【0088】はじめ液体であったTCMは、膨潤・固化
のための100〜380℃の区域16aを4時間かけて
移動する間に膨潤および固化して固体となった。その
後、TCMが400〜1000℃の温度勾配を有する熱
分解のための各区域16b〜16eを約10時間かけて
移動する間に、TCMが熱分解して発生した熱分解ガス
が夫々の区域に設けられた回収管17〜20から回収さ
れた。得られたガスの成分組成および低位発熱量を表2
に示す。また、400〜500℃の温度範囲内の区域1
6b〜16dにおいて、熱分解ガスと共にコールタール
およびガス液が19.1kg/時回収された。
【0089】このようにして熱分解処理が施された後に
残された固体炭素分は、図4に示すガス化領域区分Bに
おいて、酸素および水蒸気雰囲気下で800〜900℃
の温度でガス化され、回収管114a、114bから回
収した。また、排出部117から残留物が0.8kg/
時の割合で排出された。
【0090】比較例1,2 従来のコークス炉ガスおよび前記「常圧下のメタン化に
よる都市ガスの製造」によるメタン化コークス炉ガスを
上述の実施例1〜5において得られた高カロリー成分ガ
スと比較して表2に併記する。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】実施例6 (1) 粘結性配合炭の調製:下記表4に示した5種類の石
炭を、同表中に記載した配合割合で配合した。これによ
り、平均反射率(R0 )=1.0 、ギーセラー最高流動度
(log MF)=2の性状を有する粘結性配合炭を調製し
た。
【0095】
【表4】
【0096】(2) コークス用原料炭の調製:非粘結炭と
して、下記表4に記載した性状値を有するウィットバン
ク炭を用いた。このウィットバンク炭50重量部に対し
て、上記(1) で調製した粘結性配合炭50重量部を配合
し、これをコークス用原料炭とした。
【0097】
【表5】
【0098】(3) 冶金用コークスの製造:上記(2) で調
製した原料炭を粒度−3mm80%に粉砕調製し、この
石炭粉末を供給速度12.1kg/時でボールミルに供
給した。同時に、コールタールを供給速度18.1kg
/時でボールミルに供給し、両者を混合した。こうして
得られたスラリー状のTCMをタンクに貯蔵した。
【0099】タンクからTCMを供給速度30.2kg
/時で図2に示す熱処理装置16に供給した。加熱炉内
に供給されたスラリー状のTCMは、加熱炉内における
100〜400℃の温度領域を約3時間かけて移送され
た。その間に、スラリー状原料は膨潤・固化した。こう
して形成された固体は、その後、400〜1000℃の
温度領域を移送され、乾留されてコークスが製造され
た。得られたコークスの塊歩留りおよびコークス性状
は、表3に示した通りであった。
【0100】なお、全工程において、石炭粉およびコー
クス粉、並びに乾留過程で生成するガス及びタールが大
気中に放散されることはなかった。
【0101】比較例3 実施例6の (2)で得たコークス用原料炭を、コールター
ルを添加せずに、混炭機で10分間混炭することにより
乾留用試料を調製した。この試料16kgを、260mm×
260mm× 350mmの鋼製乾留缶中に嵩密度 0.73 で充填し
た。次いで、この乾留用試料を充填した乾留缶を、予め
1000℃に加熱された乾留炉内に導入して6時間乾留を行
なった。乾留終了後に乾留缶を炉から取り出し、約20
分間散水して消火および冷却した。得られたコークスの
塊歩留りおよびコークス性状は、表3に示した通りであ
った。
【0102】比較例4 実施例1の (1)で得た粘結性配合炭のみを原料炭として
用いた点を除き、比較例1と全く同様にしてコークスを
製造した。得られたコークスの塊歩留りおよびコークス
性状は、下記の表3に示した通りであった上述の実施例
1〜6および比較例1〜4に基づいて考察すると、第1
に、所望の熱分解成分ガスを選択的に回収することがで
きる。すなわち、本発明によって得られた高カロリーガ
スは、低位発熱量が高く(例えば、実施例1における4
00℃の熱分解区域16bから回収された成分ガスの低
位発熱量は10,100kcal/Nm3 である)、ま
た、水素濃度も高い(例えば、実施例3における700
〜1000℃の熱分解区域16eから回収された成分ガ
スに至っては90%に達している)。さらに、高カロリ
ーガス中の二酸化炭素濃度も低く、かつ、高カロリーガ
ス中への水素ガスの混入もわずかであった。
【0103】また、本発明によれば、固体炭素分をガス
化して中カロリーガスを回収することができるので、上
述の熱分解区域で発生する高カロリーガスと併せて、原
料のTCMが保有する炭素分のほとんど全てをガスとし
て回収することができ、石炭の炭素利用率が著しく向上
された。また、熱分解区域16a〜16eでの加熱によ
る顕熱を固体炭素分のガス化に利用できるので熱効率に
優れ、経済的であった。 さらに、固体炭素分のガス化
の際の温度が灰分の溶融温度よりも低いため、灰分を粉
末状態で回収することができた。このため、操業上のト
ラブルが回避され、かつ、灰分の溶融および排出のため
の特別な設備が不要である。
【0104】第2に、本発明によれば劣質炭を原料に用
いた場合でも簡単なプロセスで冶金用コークスを製造で
きることが確認された。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明によれ
ば、TCMを複数の異なる温度の区域を有し、内部をT
CMが移動するにつれてTCMの熱分解が進行するよう
に温度勾配を設けたパイプ型熱処理装置内にTCMを移
送して熱分解に供することにより、TCMを膨潤・固化
する処理および異なる温度での熱分解処理を順次行うこ
とができる。このため、特別な付帯設備を必要とせず、
比較的簡単な装置・手法により、TCMのガス化や冶金
用コークスの製造を行うことができる。
【0106】第2の発明によれば、TCMから発生する
熱分解ガスの所望の成分ガス、例えば高カロリーガス、
水素ガスを付帯設備を必要とせず比較的簡単な装置・手
法により選択的に回収できる。また、TCMは、液状で
あるので、その装置の閉塞トラブルがなく、安定して連
続運転ができる。
【0107】第3の発明によれば、TCMから発生する
熱分解ガスの所望の成分ガス、例えば高カロリーガス、
水素ガスを付帯設備を必要とせず比較的簡単な装置・手
法により選択的に回収できる。また、同時に残留した固
体炭素分のガス化により中カロリーガスも回収すること
ができるので、石炭資源からのエネルギーの回収効率を
著しく向上することができる。
【0108】第4の発明によれば、劣質炭を原料に用い
た場合でも、簡単なプロセスで均質かつ高品質な冶金用
コークスを製造することができる。また、金属製の炉を
使用できるため、運転の停止および再開が容易であり、
生産弾力性に優れている。更に、環境汚染を防止できる
等、顕著な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2の発明の方法を示す概念図。
【図2】第2の発明の方法を実施するための熱処理装置
の一例を示す部分断面図。
【図3】第3の発明の方法を示す概念図。
【図4】第3の発明の方法を実施するための熱処理装置
の一例を示す部分断面図。
【図5】第4の発明の方法を示す概念図。
【符号の説明】
11…石炭、12…タール、16…パイプ型熱処理装
置、16a〜16e…熱処理区域、17a〜20…回収
管、21…内管、114…外管、23…熱処理領域 24a〜24e…加熱室、28…プランジャーポンプー
式押出機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C10G 1/02 2115−4H (72)発明者 小西 武史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 浅沼 稔 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 石井 伸治 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭およびタールの混合物の処理方法で
    あって、複数の異なる温度の区域を有し、内部を該混合
    物が移動するにつれて該混合物の熱分解が進行するよう
    に温度勾配を設けたパイプ型熱処理装置内に該混合物を
    移送して熱分解に供することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 石炭およびタールの混合物からその熱分
    解ガスの所望の成分ガスを選択的に回収するための方法
    であって、 複数の異なる温度の区域を有し、内部を該混合物が移動
    するにつれて該混合物の熱分解が進行するように温度勾
    配を設けたパイプ型熱処理装置内に該混合物を移送して
    熱分解に供し、 該所望の成分ガスの生成温度に対応する区域から該所望
    の成分ガスを選択的に回収することを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 石炭およびタールの混合物のガス化方法
    であって、 複数の異なる温度の区域を有し、内部を該混合物が移動
    するにつれて該混合物の熱分解が進行するように温度勾
    配を設けたパイプ型熱処理装置内に該混合物を移送して
    熱分解に供し、 該所望の成分ガスの生成温度に対応する区域から該所望
    の成分ガスを選択的に回収し、 さらに残留した固体炭素分をガス化剤存在下でガス化す
    ることを特徴とする石炭およびタールの混合物のガス化
    方法。
  4. 【請求項4】 石炭およびタールを混合してスラリー状
    原料を形成する第一工程と、得られたスラリー状原料を
    100〜400 ℃の温度で加熱して膨潤固化させる第二工程
    と、この膨潤固化した原料を 400〜1000℃の温度で徐々
    に加熱して乾留する第三工程とを具備し、前記第二工程
    および第三工程は、100 〜1000℃の温度勾配を設けたパ
    イプ状加熱炉内で前記スラリー状原料を移送することに
    より行なわれる冶金用コークスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CZ306183B6 (cs) * 2008-11-03 2016-09-14 Výzkumný Ústav Pro Hnědé Uhlí A.S. Způsob štěpení vysokovroucích organických látek na pyrolýzním zbytku po zpracování odpadního polyetylentereftalátu

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