JPH07236416A - 保存中の酸度上昇を抑制した発酵乳の製造法 - Google Patents

保存中の酸度上昇を抑制した発酵乳の製造法

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JPH07236416A
JPH07236416A JP6056579A JP5657994A JPH07236416A JP H07236416 A JPH07236416 A JP H07236416A JP 6056579 A JP6056579 A JP 6056579A JP 5657994 A JP5657994 A JP 5657994A JP H07236416 A JPH07236416 A JP H07236416A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 保存中の酸度上昇が抑制される発酵乳を製造
する方法を提供する。 【構成】 ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピ
ーシズ・ブルガリクス(Lactobacillus
delbrueckii subsp.bulgari
cus)の酸生成抑制株とストレプトコッカス・サリバ
リウス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Strep
tococcus salivariussubsp.
thermophilus)の粘性物生産株をスタータ
ー乳酸菌として併用し、発酵乳を製造する。 【効果】 この発酵乳は、適度のソフトな酸味を有する
と共に、保存中に過剰の酸を生成することがないので、
適度の酸味を維持することができ、さらに風味や組織な
ども高品質なものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラクトバチルス・デル
ブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lact
obacillus delbrueckii sub
sp.bulgaricus)の酸生成抑制株とストレ
プトコッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモ
フィルス(Streptococcus saliva
rius subsp.thermophilus)の
粘性物生産株からなる乳酸菌二菌種混合スターターを用
いて発酵乳を製造する方法に関する。本発明の方法で製
造した発酵乳は、低温保存下において酸度の上昇が少な
く、適度にマイルドな酸味を呈し、風味および組織が良
好であるという特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】ヨーグルト、乳酸菌飲料およびそれらの
類似物を含めた発酵乳は、一般的に獣乳を主原料として
調製した原料ミックスに、ラクトバチルス・デルブルッ
キー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactoba
cillus delbrueckii subsp.
bulgaricus)、ストレプトコッカス・サリバ
リウス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Strep
tococcus salivarius subs
p.thermophilus)などの伝統的な乳酸菌
やビフィズス菌(Bifidobacterium s
pecies)、ラクトバチルス・アシドフィルス(L
actobacillus acidophilus)
などの腸内有用細菌をスターターとして併用あるいは単
独で接種し、発酵させることにより製造されている。し
かし、1973年に国際酪農連盟(IDF)に於いて、
ヨーグルトとは、スターターとしてラクトバチルス・デ
ルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lac
tobacillus delbrueckii su
bsp.bulgaricus)とストレプトコッカス
・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモフィルス(S
treptococcus salivarius s
ubsp.thermophilus)を用いたもので
あるという定義付けがなされたことから〔第57回ID
F議事録(1973)〕、現在の発酵乳は、これら二菌
種の混合スターターによるものが主体となっている。
【0003】従来、発酵乳の風味は、スターターとして
用いる乳酸菌が生産する乳酸や酢酸などの有機酸、アセ
トアルデヒドやジアセチルなどのカルボニル化合物およ
び原料ミックスに添加した甘味料や香料などに影響され
るが、特に乳酸などによる酸味が重要な因子となる。す
なわち、上述した乳酸菌は何れも乳糖発酵性であり、低
温保存下においても製品中の乳糖を発酵して乳酸を産生
するために、製品の酸度が経時的に上昇し、風味を害す
ることとなる。特にラクトバチルス・デルブルッキー・
サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactobacil
lus delbrueckii subsp.bul
garicus)とストレプトコッカス・サリバリウス
・サブスピーシズ・サーモフィルス(Streptoc
occus salivarius subsp.th
ermophilus)の二菌種混合スターターにより
製造した発酵乳においては、主にラクトバチルス・デル
ブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lact
obacillus delbrueckii sub
sp.bulgaricus)による酸生成が顕著なた
めに、保存中に発酵乳の酸度が上昇するという問題があ
る。
【0004】そこで、このような酸生成量が過剰となっ
て発酵乳の酸味が強くなる現象を抑制しようとする試み
が行われ、いくつかの方法が報告されている。例えば、
乳糖非発酵性人工変異株を利用する方法〔特公昭54−
38187号公報、特公昭42−27293号公報〕、
低温感受性変異株を利用する方法〔特公昭62−239
号公報〕、完全に菌が死滅しない温度で一定時間加熱し
て菌の活力を弱める方法〔特公昭50─6745号公
報、G.Waes,Milchwissenschaf
t,42,146〜148(1987)〕、乳糖を除去
した低乳糖脱脂乳を原料として用いる方法〔R.L.R
ichter,J.Food Sci.,38,796
〜798(1973)〕、低生酸性乳酸菌を利用する方
法〔特開平4−271777号公報〕などである。
【0005】しかし、乳糖非発酵性人工変異株を利用す
る方法は、単一菌種のスターターを使用することによる
発酵乳の製造法に関するものであり、IFO/WHO合
同委員会で規定している乳酸菌の菌種を満たしておら
ず、低温感受性変異株を利用する方法では、ラクトバチ
ルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス
(Lactobacillus delbruecki
i subsp.bulgaricus)の低温感受性
変異株を用いているが、この変異株はラクトバチルス・
デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(La
ctobacillus delbrueckii s
ubsp.bulgaricus) ATCC1184
2株を親株とし、分離培地で培養して低温感受性変異株
を分離したものであって、低温感受性という点でのみ親
株と相違し、その他の性質は親株と同様であるので、低
温貯蔵中の酸度上昇は極端に低いものの発酵工程中の酸
度上昇は通常と同様であり、得られる発酵乳の風味も従
来の発酵乳とほぼ同様である。また、完全に菌が死滅し
ない温度で一定時間加熱して菌の活力を弱める方法で
は、一定の温度および時間での加熱処理プロセスは操作
が煩雑であり、菌の調製が難しく、加熱のためのエネル
ギーを要し、加えて製品の風味や組織などの品質低下を
招き易いなどの問題点がある。さらに、乳糖を除去した
低乳糖脱脂乳を原料として用いる方法では、原料乳から
の乳糖を除去するプロセスが必要であり、経済上実用的
とは言えない。そして、低生酸性乳酸菌を利用する方法
は、先に本発明者らが提案した方法であるが、保存中の
酸度上昇を抑制できたものの、製品の風味や組織などの
品質については、必ずしも満足できるものではなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来の
技術に列挙したこれらの問題点を解決するために鋭意検
討を行ったところ、特定の性質を有する各種乳酸菌の菌
株を組み合わせて用いることにより、適度にマイルドな
酸味を発酵乳に付与し、この発酵乳の低温保存中にもマ
イルドな酸味を維持しつつ、かつ風味や組織などの点で
高品質な発酵乳を製造できることを見出し、本発明を完
成するに至った。したがって、本発明は、発酵乳の発酵
時間を遅延させることなく、適度にマイルドな酸味を有
し、これを維持することのできる嗜好性の高い発酵乳を
製造する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明で発酵乳のスター
ターとして用いる乳酸菌株は、発酵乳から分離したラク
トバチルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガ
リクス(Lactobacillus delbrue
ckii subsp.bulgaricus)の酸生
成抑制株とストレプトコッカス・サリバリウス・サブス
ピーシズ・サーモフィルス(Streptococcu
s salivarius subsp.thermo
philus)の粘性物生産株であって、このラクトバ
チルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリク
ス(Lactobacillusdelbruecki
i subsp.bulgaricus)の酸生成抑制
株は、発酵乳に適度のまろやかな風味を付与し、かつ低
温保存中に過剰の酸を生成することのない性質を有して
おり、また、このストレプトコッカス・サリバリウス・
サブスピーシズ・サーモフィルス(Streptoco
ccus salivarius subsp.the
rmophilus)の粘性物生産株は、発酵乳の風味
や組織などを良好なものとする性質を有している。
【0008】ここで、本発明で用いる乳酸菌の各菌株に
ついて説明する。ラクトバチルス・デルブルッキー・サ
ブスピーシズ・ブルガリクス(Lactobacill
us delbrueckii subsp.bulg
aricus)の酸生成抑制株は、以下のようにして取
得し得る。市販の発酵乳から常法に従って分離したラク
トバチルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガ
リクス(Lactobacillus delbrue
ckii subsp.bulgaricus)を12
重量%還元脱脂乳培地で3回継代培養した後、12重量
%還元脱脂乳培地に1重量%接種して37℃、16時間
培養し、さらに、10℃で14日間保存する。そして、
保存開始前後の乳酸酸度の測定結果から、保存開始前後
の乳酸酸度の上昇率が0.25%以下の菌株を分離す
る。本発明では、このようにして分離されたラクトバチ
ルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス
(Lactobacillus delbruecki
i subsp.bulgaricus)の菌株を酸生
成抑制株と称する。そして、このような酸生成抑制株と
して、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシ
ズ・ブルガリクス(Lactobacillus de
lbrueckii subsp.bulgaricu
s)SBT−2118B株(FERM P−1191
8)およびSBT−1511株(FERM P−119
17)を例示することができる。
【0009】ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシズ・ブルガリクス(Lactobacillus
delbrueckii subsp.bulgar
icus)SBT−2118B株(FERM P−11
918)の菌学的性質は、表1の通りである。
【0010】
【表1】 A 形態的性状 (1)細胞の形: 桿菌 (2)運動性: なし (3)胞子の有無: なし (4)グラム染色性: 陽性 (5)異染色体: 有する B 培地上の生育状態 (1)プレートカウントアガー培地上のコロニー形態(37℃、24〜48時間 培養): R型 C 生理学的性質 (1)硝酸塩の還元: 陰性 (2)インドールの生成: 陰性 (3)ゼラチンの液化: 陰性 (4)カタラーゼ: 陰性 (5)でんぷんの分解: 陰性 (6)酸素に対する態度: 陽性 (7)グルコースよりホモ乳酸発酵によりD(−)乳酸
を産生する。 (8)リンゴ酸塩よりCO2 を産生しない。 (9)脱脂乳培地に培養すると酸を生成し、凝乳する。 (10)各種炭水化物の分解性 1.グルコース + 2.ラクトース + 3.フラクトース + 4.マンノース + 5.ガラクトース − 6.シュークロース − 7.マルトース − 8.セロビオース − 9.トレハロース − 10.メリビオース − 11.ラフィノース − 12.メレジトース − 13.マンニトール − 14.ソルビトール − 15.エスクリン − 16.サリシン − 17.アミグダリン −
【0011】その他、Nアセチルグルコサミンを分解
し、グリセロール、エリスリトール、DまたはL−アラ
ビノース、リボース、DまたはL−キシロース、アドニ
トール、βメチル−D−キシロシド、L−ソルボース、
ラムノース、ダルシトール、イノシトール、α−メチル
−D−マンノシド、α−メチル−D−グルコシド、アル
ブチン、サッカロース、イヌリン、アミドン、グリコー
ゲン、キシリトール、β−ゲンチオビオース、D−トラ
ノース、D−キリソーゼ、D−タガトーゼ、DまたはL
−フコース、DまたはL−アラビトール、グルコネー
ト、2セト−グルコネート、5セト−グルコネートを分
解しない。
【0012】上記の菌学的性質から、Bergey’s
manual of systematic bac
teriology,vol.2(1986)により同
定するとSBT−2118B株(FERM P−119
18)は、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピ
ーシズ・ブルガリクス(Lactobacillusd
elbrueckii subsp.bulgaric
us)の菌学的性質と一致したが、脱脂乳培地での37
℃における増殖がきわめて遅く、酸の生成が少ない点で
酸生成抑制株と同定された。また、このSBT−211
8B株(FERM P−11918)を継代培養したと
ころ、10℃、14日間における乳酸の産生能力は常に
低く、乳酸酸度は0.1〜0.25%であった。
【0013】さらに、酸生成抑制株は発酵中の酸生成速
度が遅く、所定の乳酸酸度を得るために時間を要するこ
とがあるので、このSBT−2118B株(FERM
P−11918)の発酵を促進する条件について検討し
た。すなわち、12重量%還元脱脂乳培地に酵母エキス
を少量添加して加熱殺菌した後、この培地にSBT−2
118B株(FERM P−11918)とストレプト
コッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモフィ
ルス(Streptococcus salivari
us subsp.thermophilus)SBT
−1020株(FERM P−13956)とを接種
し、42℃における発酵時間を測定した。その結果を表
2に示す。
【0014】
【表2】 ────────────────────────── 酵母エキス(重量%) 発酵時間(時間) ────────────────────────── 0 4.25 0.02 4.0 0.05 3.75 0.10 3.5 0.30 3.25 ──────────────────────────
【0015】この結果、還元脱脂乳培地に酵母エキスを
0.02〜0.3重量%添加することにより発酵が促進
され、発酵時間の遅延は抑制された。
【0016】また、ラクトバチルス・デルブルッキー・
サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactobacil
lus delbrueckii subsp.bul
garicus)SBT−1511株(FERM P−
11917)の菌学的性質は、表3の通りである。
【0017】
【表3】 A 形態的性状 (1)細胞の形: 桿菌 (2)運動性: なし (3)胞子の有無: なし (4)グラム染色性: 陽性 (5)異染色体: 有する B 培地上の生育状態 (1)プレートカウントアガー培地上のコロニー形態(37℃、24〜48時間 培養): R型 C 生理学的性質 (1)硝酸塩の還元: 陰性 (2)インドールの生成: 陰性 (3)ゼラチンの液化: 陰性 (4)カタラーゼ: 陰性 (5)でんぷんの分解: 陰性 (6)酸素に対する態度: 陽性 (7)グルコースよりホモ乳酸発酵によりD(−)乳酸
を産生する。 (8)リンゴ酸塩よりCO2 を産生しない。 (9)脱脂乳培地に培養すると酸を生成し、凝乳する。 (10)各種炭水化物の分解性 1.グルコース + 2.ラクトース + 3.フラクトース + 4.マンノース + 5.ガラクトース − 6.シュークロース − 7.マルトース − 8.セロビオース − 9.トレハロース − 10.メリビオース − 11.ラフィノース − 12.メレジトース − 13.マンニトール − 14.ソルビトール − 15.エスクリン − 16.サリシン − 17.アミグダリン −
【0018】その他、Nアセチルグルコサミンを分解
し、グリセロール、エリスリトール、DまたはL−アラ
ビノース、リボース、DまたはL−キシロース、アドニ
トール、βメチル−D−キシロシド、L−ソルボース、
ラムノース、ダルシトール、イノシトール、α−メチル
−D−マンノシド、α−メチル−D−グルコシド、アル
ブチン、サッカロース、イヌリン、アミドン、グリコー
ゲン、キシリトール、β−ゲンチオビオース、D−トラ
ノース、D−キリソーゼ、D−タガトーゼ、DまたはL
−フコース、DまたはL−アラビトール、グルコネー
ト、2セト−グルコネート、5セト−グルコネートを分
解しない。
【0019】上記の菌学的性質から、Bergey’s
manual of systematic bac
teriology,vol.2(1986)により同
定するとSBT−1511株(FERM P−1191
7)は、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピー
シズ・ブルガリクス(Lactobacillusde
lbrueckii subsp.bulgaricu
s)の菌学的性質と一致したが、脱脂乳培地での37℃
における増殖がきわめて遅く、酸の生成が少ない点で酸
生成抑制株と同定された。また、このSBT−1511
株(FERMP−11917)を継代培養したところ、
10℃、14日間における乳酸の産生能力は常に低く、
乳酸酸度は0.1〜0.3%であった。
【0020】さらに、酸生成抑制株は発酵中の酸生成速
度が遅く、所定の乳酸酸度を得るために時間を要するこ
とがあるので、このSBT−1511株(FERM P
−11917)の発酵を促進する条件について検討し
た。すなわち、12重量%還元脱脂乳培地に酵母エキス
を少量添加して加熱殺菌した後、この培地にSBT−1
511株(FERM P−11917)とストレプトコ
ッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモフィル
ス(Streptococcus salivariu
s subsp.thermophilus)SBT−
1020株(FERM P−13956)とを接種し、
42℃における発酵時間を測定した。その結果を表4に
示す。
【0021】
【表4】 ────────────────────────── 酵母エキス(重量%) 発酵時間(時間) ────────────────────────── 0 4.25 0.02 3.75 0.05 3.5 0.10 3.4 0.30 3.25 ──────────────────────────
【0022】この結果、還元脱脂乳培地に酵母エキスを
0.02〜0.3重量%添加することにより発酵が促進
され、発酵時間の遅延は抑制された。
【0023】一方、ストレプトコッカス・サリバリウス
・サブスピーシズ・サーモフィルス(Streptoc
occus salivarius subsp.th
ermophilus)の粘性物生産株は、以下のよう
にして取得し得る。市販の発酵乳から常法に従って分離
したストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピーシ
ズ・サーモフィルス(Streptococcus s
alivariussubsp.thermophil
us)を12重量%還元脱脂乳培地で3回継代培養した
後、12重量%還元脱脂乳培地に1重量%接種して37
℃、16時間培養する。そして、10℃における50c
mの高さからの滴下状態の観察結果から、粘性を示す菌
株を分離する。本発明では、このようにして分離された
ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・
サーモフィルス(Streptococcus sal
ivarius subsp.thermophilu
s)の菌株を粘性物生産株と称する。そして、このよう
な粘性物生産株として、ストレプトコッカス・サリバリ
ウス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Strept
ococcus salivarius subsp.
thermophilus)SBT−1020株(FE
RM P−13956)を例示することができる。
【0024】ストレプトコッカス・サリバリウス・サブ
スピーシズ・サーモフィルス(Streptococc
us salivarius subsp.therm
ophilus)SBT−1020株(FERM P−
13956)の菌学的性質は、表5の通りである。
【0025】
【表5】 A 形態的性状 (1)細胞の形: 球菌 (2)運動性: なし (3)胞子の有無: なし (4)グラム染色性: 陽性 (5)異染色体: 有する B 培地上の生育状態 (1)プレートカウントアガー培地上のコロニー形態(37℃、24〜48時間 培養): R型 C 生理学的性質 (1)10℃生育能: 陰性 (2)40℃生育能: 陽性 (3)50℃生育能: 陽性 (4)2.0%塩化ナトリウム生育能: 陽性 (5)4.0%塩化ナトリウム生育能: 陰性 (6)6.5%塩化ナトリウム生育能: 陰性 (7)60℃,30分耐熱性: 陽性 (8)pH9.6生育能: 陰性 (9)40%胆汁酸耐性: 陰性 (10)硝酸塩の還元: 陰性 (11)インドールの生成: 陰性 (12)ゼラチンの液化: 陰性 (13)カタラーゼ: 陰性 (14)でんぷんの分解: 陰性 (15)酸素に対する態度: 陽性 (16)グルコースよりホモ乳酸発酵によりL(+)乳
酸を産生する。 (17)リンゴ酸塩よりCO2 を産生しない。 (18)脱脂乳培地に培養すると酸を生成し、凝乳す
る。 (19)各種炭水化物の分解性 1.グルコース + 2.ラクトース + 3.フラクトース + 4.マンノース + 5.ガラクトース − 6.シュークロース + 7.マルトース − 8.セロビオース − 9.トレハロース − 10.メリビオース − 11.ラフィノース − 12.メレジトース − 13.マンニトール − 14.ソルビトール − 15.エスクリン − 16.サリシン − 17.アミグダリン −
【0026】その他、Nアセチルグルコサミン、グリセ
ロール、エリスリトール、DまたはL−アラビノース、
リボース、DまたはL−キシロース、アドニトール、β
メチル−D−キシロシド、L−ソルボース、ラムノー
ス、ダルシトール、イノシトール、α−メチル−D−マ
ンノシド、α−メチル−D−グルコシド、アルブチン、
サッカロース、イヌリン、アミドン、グリコーゲン、キ
シリトール、β−ゲンチオビオース、D−トラノース、
D−キリソーゼ、D−タガトーゼ、DまたはL−フコー
ス、DまたはL−アラビトール、グルコネート、2セト
−グルコネート、5セト−グルコネートを分解しない。
【0027】上記の菌学的性質から、Bergey’s
manual of systematic bac
teriology,vol.2(1986)により同
定するとSBT−1020株(FERM P−1395
6)は、ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピ
ーシズ・サーモフィルス(Streptococcus
salivarius subsp.thermop
hilus)の菌学的性質と一致したが、10℃におい
て50cmの高さから滴下したときに粘性を示した点で
粘性物生産株と同定された。
【0028】本発明では、上述したような性質のラクト
バチルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリ
クス(Lactobacillus delbruec
kii subsp.bulgaricus)の酸生成
抑制株とストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピ
ーシズ・サーモフィルス(Streptococcus
salivarius subsp.thermop
hilus)の粘性物生産株をスターター乳酸菌として
併用する。なお、発酵乳の製造については、通常行われ
ている方法に従って行うことができる。
【0029】また、本発明では、発酵を促進し、発酵時
間の遅延を制御するために、酵母エキスに代えてプロテ
オースペプトンなどの動物性または植物性タンパクの分
解物、ミートエキスなどの動物性または植物性の抽出
物、あるいはアミノ酸などを用いることもできる。この
アミノ酸としては、バリン、ロイシン、メチオニン、ヒ
スチジンおよびグルタミン酸などがあり、これらを単独
で使用しても良く、あるいは併用して使用しても構わな
い。そして、タンパク分解物として、例えば市販のプロ
テオースペプンを使用するときは、培地に対して0.0
5〜0.2重量%程度添加し、また、タンパク抽出物と
して、例えば市販のミートエキスを使用するときは、
0.05〜0.2重量%程度添加することが好ましい。
さらに、アミノ酸を使用するときは、前記のアミノ酸を
0.05〜0.2重量%程度添加することが好ましい。
【0030】このように、本発明の製造法に従って発酵
乳を製造することにより、低温保存下において酸度の上
昇が少なく、適度にマイルドな酸味を呈し、風味および
組織が良好であるという特徴を有する発酵乳を得ること
ができる。また、本発明の方法で製造した発酵乳を原料
とし、常法に従って同様の特徴を有する乳酸菌飲料を製
造することも可能である。以下に実施例を示し、本発明
を具体的に説明する。
【0031】
【実施例1】12重量%還元脱脂乳培地に、ラクトバチ
ルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス
(Lactobacillus delbruecki
isubsp.bulgaricus)の酸生成抑制株
であるSBT−2118B株(FERM P−1191
8)を1%接種した。また、酵母エキスを0.05重量
%添加した12重量%還元脱脂乳培地に、ストレプトコ
ッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモフィル
ス(Streptococcus salivariu
s subsp.thermophilus)の粘性物
生産株であるSBT−1020株(FERM P−13
956)を1%接種した。そして、これらの菌株をそれ
ぞれ37℃、20時間培養し、スターター乳酸菌を調製
した。
【0032】一方、ヨーグルト用原料ミックス0.5k
gを100℃、60分間殺菌し、42℃に冷却した殺菌
原料ミックスに、上記のラクトバチルス・デルブルッキ
ー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactobac
illus delbrueckii subsp.b
ulgaricus)SBT−2118B株スターター
2.67重量%およびストレプトコッカス・サリバリウ
ス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Strepto
coccus salivarius subsp.t
hermophilus)SBT−1020株スタータ
ー0.33重量%をそれぞれ接種した。なお、スタータ
ー接種時の生菌数は、ラクトバチルス・デルブルッキー
・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactobaci
llusdelbrueckii subsp.bul
garicus)が1.3×106 cfu/ml、スト
レプトコッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サー
モフィルス(Streptococcus saliv
arius subsp.thermophilus)
が1.5×107 cfu/mlであった。
【0033】そして、42℃で乳酸酸度が0.65%に
達するまで発酵させた後、直ちに冷却してヨーグルトを
得た。なお、この発酵に要した時間は4時間25分であ
り、発酵終了直後の生菌数は、ラクトバチルス・デルブ
ルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lacto
bacillus delbrueckii subs
p.bulgaricus)が1.6×108 cfu/
ml、ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピー
シズ・サーモフィルス(Streptococcus
salivarius subsp.thermoph
ilus)が5.8×108 cfu/mlであった。
【0034】このようにして得られたヨーグルトを10
℃で14日間保存したところ、保存中の乳酸酸度上昇率
は0.25%に過ぎず、また、生菌数は、ラクトバチル
ス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス
(Lactobacillusdelbrueckii
subsp.bulgaricus)が1.1×10
8 cfu/ml、ストレプトコッカス・サリバリウス・
サブスピーシズ・サーモフィルス(Streptoco
ccus salivarius subsp.the
rmophilus)が3.9×108 cfu/mlで
あり、生菌数の低下は殆ど認められなかった。
【0035】これに対し、ラクトバチルス・デルブルッ
キー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactoba
cillus delbrueckii subsp.
bulgaricus)SBT−2118B株に代えて
市販のヨーグルトから分離した株であるラクトバチルス
・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(L
actobacillus delbrueckii
subsp.bulgaricus)MRC−32−R
O株を用いて製造したヨーグルトは、保存中の乳酸酸度
上昇率が0.46%であり、また、生菌数は、ラクトバ
チルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリク
ス(Lactobacillus delbrueck
ii subsp.bulgaricus)が1.5×
108 cfu/ml、ストレプトコッカス・サリバリウ
ス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Strepto
coccus salivarius subsp.t
hermophilus)が4.0×108 cfu/m
lであった。
【0036】
【実施例2】12重量%還元脱脂乳培地に、ラクトバチ
ルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス
(Lactobacillus delbruecki
isubsp.bulgaricus)の酸生成抑制株
であるSBT−2118B株(FERM P−1191
8)を1重量%接種した。また、酵母エキスを0.05
重量%添加した12重量%還元脱脂乳培地に、ストレプ
トコッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモフ
ィルス(Streptococcus salivar
ius subsp.thermophilus)の粘
性物生産株であるSBT−1020株(FERM P−
13956)を1重量%接種した。そして、これらの菌
株をそれぞれ37℃、20時間培養し、スターター乳酸
菌を調製した。なお、これらのスターター乳酸菌の生菌
数は、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシ
ズ・ブルガリクス(Lactobacillus de
lbrueckii subsp.bulgaricu
s)が3.7×108 cfu/ml、ストレプトコッカ
ス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモフィルス
(Streptococcus salivarius
subsp.thermophilus)が8.0×
108 cfu/mlであった。
【0037】一方、ヨーグルト用原料ミックス200k
gを100℃、60分間殺菌し、42℃に冷却した殺菌
原料ミックスに、上記のラクトバチルス・デルブルッキ
ー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactobac
illus delbrueckii subsp.b
ulgaricus)SBT−2118B株スターター
2kgおよびストレプトコッカス・サリバリウス・サブ
スピーシズ・サーモフィルス(Streptococc
us salivarius subsp.therm
ophilus)SBT−1020株スターター4kg
をそれぞれ接種し、42℃で乳酸酸度が0.68%に達
するまで発酵させた後、直ちに冷却してヨーグルトを得
た。なお、発酵に要した時間は3時間45分であり、発
酵終了直後の生菌数は、ラクトバチルス・デルブルッキ
ー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactobac
illus delbrueckii subsp.b
ulgaricus)が1.9×108 cfu/ml、
ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・
サーモフィルス(Streptococcus sal
ivarius subsp.thermophilu
s)が8.2×108 cfu/mlであった。
【0038】このようにして得られたヨーグルトを10
℃で14日間保存したところ、保存中の乳酸酸度上昇率
は0.22%に過ぎず、また、生菌数は、ラクトバチル
ス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス
(Lactobacillusdelbrueckii
subsp.bulgaricus)が1.8×10
8 cfu/ml、ストレプトコッカス・サリバリウス・
サブスピーシズ・サーモフィルス(Streptoco
ccus salivarius subsp.the
rmophilus)が8.0×108 cfu/mlで
あり、生菌数の低下は認められなかった。
【0039】これに対し、ラクトバチルス・デルブルッ
キー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactoba
cillus delbrueckii subsp.
bulgaricus)SBT−2118B株に代えて
市販のヨーグルトから分離した株であるラクトバチルス
・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(L
actobacillus delbrueckii
subsp.bulgaricus)SBT−0098
株(FERM P−9440)を用いて製造したヨーグ
ルトは、保存中の乳酸酸度上昇率が0.38%であり、
また、生菌数は、ラクトバチルス・デルブルッキー・サ
ブスピーシズ・ブルガリクス(Lactobacill
us delbrueckii subsp.bulg
aricus)が3.5×108 cfu/ml、ストレ
プトコッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモ
フィルス(Streptococcus saliva
rius subsp.thermophilus)が
6.8×108 cfu/mlであった。
【0040】さらに、これらのヨーグルトについて、保
存3日目および13日目に官能試験パネラー30人で官
能評価を行ったところ、SBT−2118B株を用いて
製造したヨーグルトは、SBT−0098株を用いて製
造したヨーグルトより、酸味のみが有意に低く、風味や
組織の点で高品質であり、まろやかでソフトであると評
価された。
【0041】
【実施例3】酵母エキスを0.05重量%添加した12
重量%還元脱脂乳培地に、ラクトバチルス・デルブルッ
キー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactoba
cillus delbrueckii subsp.
bulgaricus)の酸生成抑制株であるSBT−
2118B株(FERM P−11918)0.6重量
%およびストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピ
ーシズ・サーモフィルス(Streptococcus
salivarius subsp.thermop
hilus)の粘性物生産株であるSBT−1020株
(FERM P−13956)2.4重量%をそれぞれ
接種し、42℃で4時間培養して二菌種混合スターター
を調製した。なお、この二菌種混合スターターの乳酸酸
度は1.10%であり、また、生菌数は、ラクトバチル
ス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス
(Lactobacillus delbruecki
isubsp.bulgaricus)が1.5×10
8 cfu/ml、ストレプトコッカス・サリバリウス・
サブスピーシズ・サーモフィルス(Streptoco
ccus salivarius subsp.the
rmophilus)が7.5×108 cfu/mlで
あった。
【0042】一方、ヨーグルト用原料ミックス200k
gを100℃、60分間殺菌し、42℃に冷却した殺菌
原料ミックスに、上記の二菌種混合スターター6kgを
接種し、42℃で乳酸酸度が0.68%に達するまで発
酵させた後、直ちに冷却してヨーグルトを得た。なお、
発酵に要した時間は3時間15分であり、発酵終了直後
の生菌数は、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシズ・ブルガリクス(Lactobacillus
delbrueckii subsp.bulgar
icus)が2.0×108 cfu/ml、ストレプト
コッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモフィ
ルス(Streptococcus salivari
us subsp.thermophilus)が9.
3×108 cfu/mlであった。
【0043】このようにして得られたヨーグルトを10
℃で14日間保存したところ、保存中の乳酸酸度上昇率
は0.24%に過ぎず、また、生菌数は、ラクトバチル
ス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス
(Lactobacillusdelbrueckii
subsp.bulgaricus)が1.7×10
8 cfu/ml、ストレプトコッカス・サリバリウス・
サブスピーシズ・サーモフィルス(Streptoco
ccus salivarius subsp.the
rmophilus)が8.9×108 cfu/mlで
あった。
【0044】これに対し、ラクトバチルス・デルブルッ
キー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactoba
cillus delbrueckii subsp.
bulgaricus)SBT−2118B株に代えて
市販のヨーグルトから分離した株であるラクトバチルス
・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(L
actobacillus delbrueckii
subsp.bulgaricus)SBT−0098
株(FERM P−9440)を用いて製造したヨーグ
ルトは、発酵に3時間15分を要し、保存中の乳酸酸度
上昇率は0.45%であり、また、生菌数は、ラクトバ
チルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリク
ス(Lactobacillus delbrueck
ii subsp.bulgaricus)が3.5×
108 cfu/ml、ストレプトコッカス・サリバリウ
ス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Strepto
coccus salivarius subsp.t
hermophilus)が7.1×108 cfu/m
lであった。
【0045】さらに、これらのヨーグルトについて、保
存3日目および13日目に官能試験パネラー30人で官
能評価を行ったところ、SBT−2118B株を用いて
製造したヨーグルトは、SBT−0098株を用いて製
造したヨーグルトより、酸味のみが有意に低く、風味や
組織の点で明らかに高品質であり、まろやかでソフトで
あると評価された。
【0046】
【実施例4】酵母エキスを0.05重量%添加した12
重量%還元脱脂乳培地に、ラクトバチルス・デルブルッ
キー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactoba
cillus delbrueckii subsp.
bulgaricus)の酸生成抑制株であるSBT−
2118B株(FERM P−11918)およびSB
T−1511株(FERM P−11917)を各々
0.3重量%と、ストレプトコッカス・サリバリウス・
サブスピーシズ・サーモフィルス(Streptoco
ccus salivarius subsp.the
rmophilus)の粘性物生産株であるSBT−1
020株(FERM P−13956)2.4重量%を
それぞれ接種し、42℃で4時間培養して二菌種混合ス
ターターを調製した。なお、この二菌種混合スターター
の乳酸酸度は1.20%であり、また、生菌数は、ラク
トバチルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガ
リクス(Lactobacillus delbrue
ckii subsp.bulgaricus)が1.
8×108 cfu/ml、ストレプトコッカス・サリバ
リウス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Strep
tococcus salivarius subs
p.thermophilus)が8.0×108 cf
u/mlであった。
【0047】一方、ヨーグルト用原料ミックス200k
gを100℃、60分間殺菌し、42℃に冷却した殺菌
原料ミックスに、上記の二菌種混合スターター6kgを
接種し、42℃で乳酸酸度が0.68%に達するまで発
酵させた後、直ちに冷却してヨーグルトを得た。なお、
発酵に要した時間は3時間20分であり、発酵終了直後
の生菌数は、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシズ・ブルガリクス(Lactobacillus
delbrueckii subsp.bulgar
icus)が2.1×108 cfu/ml、ストレプト
コッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモフィ
ルス(Streptococcus salivari
us subsp.thermophilus)が9.
2×108 cfu/mlであった。
【0048】このようにして得られたヨーグルトを10
℃で14日間保存したところ、保存中の乳酸酸度上昇率
は0.25%に過ぎず、また、生菌数は、ラクトバチル
ス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス
(Lactobacillusdelbrueckii
subsp.bulgaricus)が1.8×10
8 cfu/ml、ストレプトコッカス・サリバリウス・
サブスピーシズ・サーモフィルス(Streptoco
ccus salivarius subsp.the
rmophilus)が8.8×108 cfu/mlで
あった。
【0049】なお、このヨーグルトについては、10℃
で保存中の乳酸酸度を経時的に測定したところ、保存中
の乳酸酸度上昇は少なく、通常の賞味期間においては過
剰の酸を生成することなく、適度のソフトな酸味を維持
することが判った。その結果を図1に示す。
【0050】これに対し、ラクトバチルス・デルブルッ
キー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactoba
cillus delbrueckii subsp.
bulgaricus)SBT−2118B株に代えて
市販のヨーグルトから分離した株であるラクトバチルス
・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(L
actobacillus delbrueckii
subsp.bulgaricus)SBT−0098
株(FERM P−9440)を用いて製造したヨーグ
ルトは、発酵に3時間20分を要し、保存中の乳酸酸度
上昇率は0.47%であり、また、生菌数は、ラクトバ
チルス・デルブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリク
ス(Lactobacillus delbrueck
ii subsp.bulgaricus)が3.6×
108 cfu/ml、ストレプトコッカス・サリバリウ
ス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Strepto
coccus salivarius subsp.t
hermophilus)が7.0×108 cfu/m
lであった。
【0051】さらに、これらのヨーグルトについて、保
存3日目および13日目に官能試験パネラー30人で官
能評価を行ったところ、SBT−2118B株を用いて
製造したヨーグルトは、SBT−0098株を用いて製
造したヨーグルトより、酸味のみが有意に低く、風味や
組織の点でも明らかに高品質であり、まろやかでソフト
であると評価された。
【0052】
【試験例1】ここでは、本発明の方法で製造したヨーグ
ルトと通常の乳酸菌株を用いて製造したヨーグルトにつ
いて、滑らかさと美味しさを比較した。実施例4で製造
したヨーグルトと比較例としてラクトバチルス・デルブ
ルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lacto
bacillus delbrueckii subs
p.bulgaricus)SBT−0098株(FE
RM P−9440)とストレプトコッカス・サリバリ
ウス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Strept
ococcus salivarius subsp.
thermophilus)SBT−0104株(FE
RM P−9442)の二菌種混合スターターを用いて
同様に製造したヨーグルトについて、官能試験パネラー
30人で滑らかさと美味しさの官能評価を行った。各ヨ
ーグルトサンプルを約50mlずつプラスチック容器に
分注して供試し、室温は23℃、サンプル供試温度は1
0℃とした。滑らかさについては二点識別法を行い、正
答者に対して引き続き二点嗜好法を行った。また、美味
しさについては二点嗜好法を行った。その結果を表6に
示す。
【0053】
【表6】 ──────────────────────────────────── 滑らかさ 2点識別試験法** 正答数 誤答数 23 7 2点嗜好試験法* 比較例 実施例 6 17 ──────────────────────────────────── 美味しさ 2点嗜好試験法 比較例 実施例 12 18 ────────────────────────────────────* は有意差5%、**は有意差1%を示す。
【0054】この結果によると、滑らかさについては有
意に識別され、実施例のヨーグルトが圧倒的に滑らかに
感じられ好まれた。また、美味しさについては比較例よ
り実施例のヨーグルトが好まれる傾向にあった。
【0055】
【試験例2】ここでは、実施例3で製造したヨーグルト
と実施例4で製造したヨーグルトについて、10℃で保
存中の組織と食感を評価した。組織については、ヨーグ
ルトをシャーレの中で一方向に拡げ、粒の発生状況を写
真撮影し10点法で格付けした。(組織が良好な程、点
数が高い。)また、食感については、ヨーグルトを食べ
たときの口当たり、舌触り、喉ごしを官能評価し、良い
を1、非常に良いを2で格付けした。その結果を表7に
示す。
【0056】
【表7】 ──────────────────────────────────── 保存1日目 保存7日目 保存14日目 ──────────────────────────────────── 実施例3 組織 8 4 4 食感 1 1 1 実施例4 組織 8 7 7 食感 2 2 2 ────────────────────────────────────
【0057】この結果によると、ラクトバチルス・デル
ブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lact
obacillus delbrueckii sub
sp.bulgaricus)の酸生成抑制株について
は、SBT−2118B株(FERM P−1191
8)およびSBT−1511株(FERM P−119
17)の二菌株を併用することにより、ヨーグルトの組
織や食感がさらに良好となることが判った。
【0058】
【発明の効果】本発明のように、ラクトバチルス・デル
ブルッキー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lact
obacillus delbrueckii sub
sp.bulgaricus)の酸生成抑制株とストレ
プトコッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモ
フィルス(Streptococcus saliva
rius subsp.thermophilus)の
粘性物生産株をスターター乳酸菌として用いて製造した
発酵乳は、適度のソフトな酸味を有し、低温保存下(1
0℃、14日間)で通常の賞味期間内に過剰の酸を生成
することがなく、適度の酸味を維持することができ、さ
らに風味や組織なども高品質な発酵乳を提供することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシズ・ブルガリクス(Lactobacillus
delbrueckii subsp.bulgar
icus)の酸生成抑制株であるSBT−2118B株
およびSBT−1511株とストレプトコッカス・サリ
バリウス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Stre
ptococcus salivarius subs
p.thermophilus)の粘性物生産株である
SBT−1020株とを二菌種混合スターターとして用
いて製造したヨーグルトとラクトバチルス・デルブルッ
キー・サブスピーシズ・ブルガリクス(Lactoba
cillus delbrueckii subsp.
bulgaricus)SBT−0098株をスタータ
ーとして用いて製造したヨーグルトについて、10℃で
保存したときの乳酸酸度の経時的変化を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクトバチルス・デルブルッキー・サブ
    スピーシズ・ブルガリクス(Lactobacillu
    s delbrueckii subsp.bulga
    ricus)の酸生成抑制株とストレプトコッカス・サ
    リバリウス・サブスピーシズ・サーモフィルス(Str
    eptococcus salivarius sub
    sp.thermophilus)の粘性物生産株をス
    ターター乳酸菌として併用することを特徴とする保存中
    の酸度上昇を抑制した発酵乳の製造法。
  2. 【請求項2】 ラクトバチルス・デルブルッキー・サブ
    スピーシズ・ブルガリクス(Lactobacillu
    s delbrueckii subsp.bulga
    ricus)の酸生成抑制株が、SBT−2118B株
    (FERMP−11918)および/またはSBT−1
    511株(FERM P−11917)であり、ストレ
    プトコッカス・サリバリウス・サブスピーシズ・サーモ
    フィルス(Streptococcus saliva
    rius subsp.thermophilus)の
    粘性物生産株が、SBT−1020株(FERM P−
    13956)である請求項1記載の発酵乳の製造法。
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