JPH0723788A - 神経栄養因子の生産方法及びそのためのべクター - Google Patents
神経栄養因子の生産方法及びそのためのべクターInfo
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- JPH0723788A JPH0723788A JP5190937A JP19093793A JPH0723788A JP H0723788 A JPH0723788 A JP H0723788A JP 5190937 A JP5190937 A JP 5190937A JP 19093793 A JP19093793 A JP 19093793A JP H0723788 A JPH0723788 A JP H0723788A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 脳由来神経栄養因子(BDNF)を効率良く
生産する。 【構成】 BDNFの生産に適した発現ベクター、具体
的には調節遺伝子とシグナル配列及びBDNFをコード
する遺伝子を有するベクター、該ベクターで大腸菌を形
質転換して得られた形質転換体、及び、該形質転換体を
培養してBDNFを生産する方法からなる。 【効果】 本発明によれば、生物活性を有するBDNF
を効率良く、且つ、大量に生産する技術を提供すること
ができる。
生産する。 【構成】 BDNFの生産に適した発現ベクター、具体
的には調節遺伝子とシグナル配列及びBDNFをコード
する遺伝子を有するベクター、該ベクターで大腸菌を形
質転換して得られた形質転換体、及び、該形質転換体を
培養してBDNFを生産する方法からなる。 【効果】 本発明によれば、生物活性を有するBDNF
を効率良く、且つ、大量に生産する技術を提供すること
ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脳由来神経栄養因子の
遺伝子と大腸菌の調節遺伝子及び大腸菌のシグナル配列
をコードするDNAを有するベクター、該ベクターで形
質転換された形質転換体、及び該形質転換体を用いて脳
由来神経栄養因子を生産する方法に関する。
遺伝子と大腸菌の調節遺伝子及び大腸菌のシグナル配列
をコードするDNAを有するベクター、該ベクターで形
質転換された形質転換体、及び該形質転換体を用いて脳
由来神経栄養因子を生産する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】脊椎動物の神経細胞は、その生存に、神
経栄養因子と呼ばれる一群のポリペプチドを必要とす
る。これらのポリペプチドは、神経系の機能や発生、老
化等の機構の解明に役立ち、医薬としても期待されてい
る。
経栄養因子と呼ばれる一群のポリペプチドを必要とす
る。これらのポリペプチドは、神経系の機能や発生、老
化等の機構の解明に役立ち、医薬としても期待されてい
る。
【0003】脳由来神経栄養因子(以下、BDNFと略
記する)はその一種であるが、中枢神経系において重要
な役割を果たしていると考えられており、特に注目され
ている。天然からのBDNFの単離は、Barde,Y.-A.
らによって初めて報告され、3kgのブタ脳から2μg
のBDNFが得られている(ジ エンボ ジャーナル(EMB
O J.) 1,549(1982))。BDNFの生体内における存
在量はこのように極微量であるため、神経系の研究や医
療への利用は非常に困難であると考えられた。
記する)はその一種であるが、中枢神経系において重要
な役割を果たしていると考えられており、特に注目され
ている。天然からのBDNFの単離は、Barde,Y.-A.
らによって初めて報告され、3kgのブタ脳から2μg
のBDNFが得られている(ジ エンボ ジャーナル(EMB
O J.) 1,549(1982))。BDNFの生体内における存
在量はこのように極微量であるため、神経系の研究や医
療への利用は非常に困難であると考えられた。
【0004】その後、Leibrock,J.らによってブタB
DNF遺伝子がクローニングされ(ネイチャー(Nature)
341,149(1989))、アミノ酸配列が完全に解明され
てからは、動物細胞を宿主とするBDNFの遺伝子工学
的生産が盛んに試みられている。例えば、Knusel,B.
らは、組換え動物細胞の培養液3lから精製を行ない、
1μgのBDNFを主成分として含む分画を得ている
(プロシーディング オブ ナショナル アカデミー オブ
サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)USA 88,961(19
91))。一方、Negro,A.らは、大腸菌を宿主に用い、
N末端にメチオニンが付加したBDNFの生産を報告し
ている(バイオケミカル バイオフィジカル リサーチ
コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Commu
n.)186,1553(1992))。全菌体蛋白質の25%に相当
する大量のBDNFが細胞質内に蓄積したが、生物活性
が認められなかったため、これを変性剤と酸化還元剤に
よって処理することにより生物活性を回復させ、培養液
1l当たり約100μgのBDNFを得ている。
DNF遺伝子がクローニングされ(ネイチャー(Nature)
341,149(1989))、アミノ酸配列が完全に解明され
てからは、動物細胞を宿主とするBDNFの遺伝子工学
的生産が盛んに試みられている。例えば、Knusel,B.
らは、組換え動物細胞の培養液3lから精製を行ない、
1μgのBDNFを主成分として含む分画を得ている
(プロシーディング オブ ナショナル アカデミー オブ
サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)USA 88,961(19
91))。一方、Negro,A.らは、大腸菌を宿主に用い、
N末端にメチオニンが付加したBDNFの生産を報告し
ている(バイオケミカル バイオフィジカル リサーチ
コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Commu
n.)186,1553(1992))。全菌体蛋白質の25%に相当
する大量のBDNFが細胞質内に蓄積したが、生物活性
が認められなかったため、これを変性剤と酸化還元剤に
よって処理することにより生物活性を回復させ、培養液
1l当たり約100μgのBDNFを得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】BDNFの遺伝子工学
的生産はこれまで盛んに試みられてきたが、動物細胞を
宿主とする方法では生産量が少なく、培養に要する時間
やコストを考えた場合、生産性に問題がある。一方、培
養が容易な大腸菌を宿主とする方法では、生産されたB
DNFが生物活性を示さず、これを回復させるために煩
雑な操作が必要になる。また、N末端に余分なアミノ酸
が付加することも大腸菌の問題点であり、BDNFの医
療への利用を考える上で障害となりうる。天然からの単
離も含めて、これら従来技術でBDNFの大量生産を考
えた場合、問題が多い。
的生産はこれまで盛んに試みられてきたが、動物細胞を
宿主とする方法では生産量が少なく、培養に要する時間
やコストを考えた場合、生産性に問題がある。一方、培
養が容易な大腸菌を宿主とする方法では、生産されたB
DNFが生物活性を示さず、これを回復させるために煩
雑な操作が必要になる。また、N末端に余分なアミノ酸
が付加することも大腸菌の問題点であり、BDNFの医
療への利用を考える上で障害となりうる。天然からの単
離も含めて、これら従来技術でBDNFの大量生産を考
えた場合、問題が多い。
【0006】本発明の課題は、BDNFの生産性を向上
させるべく、大腸菌を宿主とする発現効率の高いベクタ
ー及び該ベクターで形質転換された形質転換体を提供す
ることにあり、更に、該形質転換体を培養して、生物活
性を有するBDNF成熟蛋白質を効率良く生産する方法
を提供することにある。
させるべく、大腸菌を宿主とする発現効率の高いベクタ
ー及び該ベクターで形質転換された形質転換体を提供す
ることにあり、更に、該形質転換体を培養して、生物活
性を有するBDNF成熟蛋白質を効率良く生産する方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、大腸菌の
細胞質内に生産されたBDNFは細胞質内の還元雰囲気
下では正しい立体構造をとることができず、その結果、
生物活性を示さないものと考え、ペリプラズムへのBD
NFの分泌生産を試みた。BDNFは分泌性の蛋白質で
あり、大腸菌の細胞質膜の透過に支障は無いものと予想
されたが、天然のプレプロ配列をそのまま膜透過に利用
することは問題があると考えた。そこで、プレプロ配列
を含まない成熟蛋白質としてのBDNFをコードする遺
伝子と大腸菌のシグナル配列を有する発現ベクターを作
製し、該ベクターで形質転換された大腸菌を培養した結
果、著量のBDNFが成熟蛋白質として生産されること
を見出した。更に、大腸菌の分泌機構を利用して生産さ
れたBDNFは生物活性を有していることを見出し、こ
れに基づいて研究を重ねた結果、本発明を完成した。
細胞質内に生産されたBDNFは細胞質内の還元雰囲気
下では正しい立体構造をとることができず、その結果、
生物活性を示さないものと考え、ペリプラズムへのBD
NFの分泌生産を試みた。BDNFは分泌性の蛋白質で
あり、大腸菌の細胞質膜の透過に支障は無いものと予想
されたが、天然のプレプロ配列をそのまま膜透過に利用
することは問題があると考えた。そこで、プレプロ配列
を含まない成熟蛋白質としてのBDNFをコードする遺
伝子と大腸菌のシグナル配列を有する発現ベクターを作
製し、該ベクターで形質転換された大腸菌を培養した結
果、著量のBDNFが成熟蛋白質として生産されること
を見出した。更に、大腸菌の分泌機構を利用して生産さ
れたBDNFは生物活性を有していることを見出し、こ
れに基づいて研究を重ねた結果、本発明を完成した。
【0008】
【作用】本発明では、大腸菌のシグナル配列を利用し
て、BDNFを大腸菌のペリプラズムに生産させている
ため、BDNFのポリペプチド鎖が適切に折りたたま
れ、また、S-S結合による架橋が適切に行なわれ、そ
の結果、本来の立体構造を保持し生物活性を有するBD
NFが生産できる。また、N末端に余分なアミノ酸が付
加することなく、完全な成熟蛋白質としてBDNFを生
産することができる。
て、BDNFを大腸菌のペリプラズムに生産させている
ため、BDNFのポリペプチド鎖が適切に折りたたま
れ、また、S-S結合による架橋が適切に行なわれ、そ
の結果、本来の立体構造を保持し生物活性を有するBD
NFが生産できる。また、N末端に余分なアミノ酸が付
加することなく、完全な成熟蛋白質としてBDNFを生
産することができる。
【0009】本発明では、大腸菌の調節遺伝子を利用し
て、大腸菌の増殖とBDNFの生産が制御できるため、
BDNFの生産性が向上する。
て、大腸菌の増殖とBDNFの生産が制御できるため、
BDNFの生産性が向上する。
【0010】本発明では、増殖が速く、取扱いが簡便で
ある大腸菌を宿主としているため、動物細胞を宿主とす
る方法よりも高い生産性が実現できる。
ある大腸菌を宿主としているため、動物細胞を宿主とす
る方法よりも高い生産性が実現できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を詳述する。
【0012】BDNFのポリペプチド鎖のアミノ酸配列
は、BDNF遺伝子の塩基配列を翻訳することにより決
定されている。前述のLeibrock,J.らによるブタBD
NF遺伝子のクローニングに続いて、Jones,K.らがヒ
トBDNF遺伝子を(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
7,8060(1990))、Hofer,M.らがマウスBDNF遺
伝子を(EMBO J.9,2459(1990))、Maisonpierre,
P.C.らがラットBDNF遺伝子を(ジェノミクス(Gen
omics) 10,558(1991))それぞれクローニングし、そ
の塩基配列を翻訳してBDNFのアミノ酸配列を報告し
ている。ブタBDNFも含めて、これら哺乳動物のBD
NFのアミノ酸配列は、生物種を超えて完全に一致して
いる。その他の動物のBDNFについては、例えば、Ha
llbook,F.らがニワトリやサケなどのBDNFのアミ
ノ酸配列を報告しているが(ニューロン(Neuron) 6,84
5(1991))、ヒトBDNFとは幾つかのアミノ酸の置
換が認められているだけで、全体として良く類似してい
る。生物種を超えたアミノ酸配列の高い相同性はBDN
Fの特徴の一つであり、従って、本発明は特定のBDN
Fに限定されず、様々な生物のBDNFに適用できる。
は、BDNF遺伝子の塩基配列を翻訳することにより決
定されている。前述のLeibrock,J.らによるブタBD
NF遺伝子のクローニングに続いて、Jones,K.らがヒ
トBDNF遺伝子を(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
7,8060(1990))、Hofer,M.らがマウスBDNF遺
伝子を(EMBO J.9,2459(1990))、Maisonpierre,
P.C.らがラットBDNF遺伝子を(ジェノミクス(Gen
omics) 10,558(1991))それぞれクローニングし、そ
の塩基配列を翻訳してBDNFのアミノ酸配列を報告し
ている。ブタBDNFも含めて、これら哺乳動物のBD
NFのアミノ酸配列は、生物種を超えて完全に一致して
いる。その他の動物のBDNFについては、例えば、Ha
llbook,F.らがニワトリやサケなどのBDNFのアミ
ノ酸配列を報告しているが(ニューロン(Neuron) 6,84
5(1991))、ヒトBDNFとは幾つかのアミノ酸の置
換が認められているだけで、全体として良く類似してい
る。生物種を超えたアミノ酸配列の高い相同性はBDN
Fの特徴の一つであり、従って、本発明は特定のBDN
Fに限定されず、様々な生物のBDNFに適用できる。
【0013】本発明のベクターは、BDNFのポリペプ
チド鎖をコードするDNAを有しており、該DNAとし
ては、上記のように天然からクローニングされたBDN
F遺伝子及びこれと同一の塩基配列からなるDNAが挙
げられる。天然からクローニングされた遺伝子は、成熟
蛋白質としてのBDNFをコードするDNAの他に、B
DNFのプレプロ配列をコードするDNAやポリペプチ
ドをコードしていないDNAを含んでいる場合が多い。
本発明では、BDNFのポリペプチド鎖をコードするD
NAとして、成熟蛋白質としてのBDNFをコードする
DNAを用いており、このようなDNAは、例えば、次
のような方法で取得することができる。制限酵素を用
いて、天然からクローニングされた遺伝子から目的のD
NAを分離する方法。天然からクローニングされた遺
伝子を鋳型として、PCR法(Saiki,R.K.ら,サイ
エンス(Science) 239,487(1988))により目的のDN
Aを増幅する方法。目的のDNAを化学合成する方
法。
チド鎖をコードするDNAを有しており、該DNAとし
ては、上記のように天然からクローニングされたBDN
F遺伝子及びこれと同一の塩基配列からなるDNAが挙
げられる。天然からクローニングされた遺伝子は、成熟
蛋白質としてのBDNFをコードするDNAの他に、B
DNFのプレプロ配列をコードするDNAやポリペプチ
ドをコードしていないDNAを含んでいる場合が多い。
本発明では、BDNFのポリペプチド鎖をコードするD
NAとして、成熟蛋白質としてのBDNFをコードする
DNAを用いており、このようなDNAは、例えば、次
のような方法で取得することができる。制限酵素を用
いて、天然からクローニングされた遺伝子から目的のD
NAを分離する方法。天然からクローニングされた遺
伝子を鋳型として、PCR法(Saiki,R.K.ら,サイ
エンス(Science) 239,487(1988))により目的のDN
Aを増幅する方法。目的のDNAを化学合成する方
法。
【0014】本発明のベクターが有する、BDNFのポ
リペプチド鎖をコードするDNAとしては、更に、BD
NFのアミノ酸配列を逆翻訳して塩基配列を設計したD
NAが挙げられる。BDNFのアミノ酸配列を逆翻訳す
ると、遺伝子コドンの縮重によって、複数の塩基配列が
得られるが、この中から適切な塩基配列を選択し設計す
る。設計した塩基配列を有するDNAは化学合成するこ
とにより取得できる。設計の基準としては、使用する
遺伝子コドンが、BDNFの生産に用いる大腸菌の中で
出現頻度の高いものであるかどうか、合成した一本鎖
DNAからDNA全体を構築する際、DNA断片の間違
った連結が生じにくいかどうか、DNAから転写され
たmRNAがヘアピン構造等の二次構造を取り、リボソ
ームにおける翻訳の効率低下が生じないかどうか、など
の点が挙げられる。
リペプチド鎖をコードするDNAとしては、更に、BD
NFのアミノ酸配列を逆翻訳して塩基配列を設計したD
NAが挙げられる。BDNFのアミノ酸配列を逆翻訳す
ると、遺伝子コドンの縮重によって、複数の塩基配列が
得られるが、この中から適切な塩基配列を選択し設計す
る。設計した塩基配列を有するDNAは化学合成するこ
とにより取得できる。設計の基準としては、使用する
遺伝子コドンが、BDNFの生産に用いる大腸菌の中で
出現頻度の高いものであるかどうか、合成した一本鎖
DNAからDNA全体を構築する際、DNA断片の間違
った連結が生じにくいかどうか、DNAから転写され
たmRNAがヘアピン構造等の二次構造を取り、リボソ
ームにおける翻訳の効率低下が生じないかどうか、など
の点が挙げられる。
【0015】本発明のベクターは、上記BDNFのポリ
ペプチド鎖をコードするDNAを有し、該DNAの5'末
端上流側には大腸菌のシグナル配列をコードするDNA
が結合している。この二種類のDNAは、その間に余分
な塩基を介することなく、且つ、シグナル配列部分とB
DNF部分の間でフレームシフトが起こることがないよ
うに結合する。このような結合は、二種類のDNA
の、該結合に関与する側の末端を、結合後に目的の配列
が生じるように制限酵素、DNAポリメラーゼ、S1ヌ
クレアーゼなどを用いて加工した後、DNAリガーゼを
用いて両DNAを結合する方法、正しく結合した状態
の結合部分を含み、二種類のDNAの一部または全部の
配列を化学合成する方法、などを用いることにより実現
される。
ペプチド鎖をコードするDNAを有し、該DNAの5'末
端上流側には大腸菌のシグナル配列をコードするDNA
が結合している。この二種類のDNAは、その間に余分
な塩基を介することなく、且つ、シグナル配列部分とB
DNF部分の間でフレームシフトが起こることがないよ
うに結合する。このような結合は、二種類のDNA
の、該結合に関与する側の末端を、結合後に目的の配列
が生じるように制限酵素、DNAポリメラーゼ、S1ヌ
クレアーゼなどを用いて加工した後、DNAリガーゼを
用いて両DNAを結合する方法、正しく結合した状態
の結合部分を含み、二種類のDNAの一部または全部の
配列を化学合成する方法、などを用いることにより実現
される。
【0016】シグナル配列としては、大腸菌β−ラクタ
マーゼのシグナル配列が好適に用いられる他、大腸菌の
細胞内で機能するものであれば使用することができ、例
えば、大腸菌アルカリホスファターゼのシグナル配列、
大腸菌の各種外膜蛋白質のシグナル配列などが挙げられ
る。
マーゼのシグナル配列が好適に用いられる他、大腸菌の
細胞内で機能するものであれば使用することができ、例
えば、大腸菌アルカリホスファターゼのシグナル配列、
大腸菌の各種外膜蛋白質のシグナル配列などが挙げられ
る。
【0017】シグナル配列を結合することにより、本発
明のベクターを有する大腸菌を培養してBDNF遺伝子
を発現させると、BDNFはN末端にシグナル配列が付
加した融合蛋白質として合成される。シグナル配列の作
用によって該融合蛋白質は大腸菌のペリプラズムに輸送
され、シグナル配列が解離して、BDNFは正しいN末
端を有する成熟蛋白質へと変化する。ペリプラズムの環
境はBDNFのポリペプチド鎖の折りたたみ、特に、S
-S結合による架橋反応に適しており、その結果、BD
NFは本来の立体構造を保持し、生物活性を示すことが
できる。
明のベクターを有する大腸菌を培養してBDNF遺伝子
を発現させると、BDNFはN末端にシグナル配列が付
加した融合蛋白質として合成される。シグナル配列の作
用によって該融合蛋白質は大腸菌のペリプラズムに輸送
され、シグナル配列が解離して、BDNFは正しいN末
端を有する成熟蛋白質へと変化する。ペリプラズムの環
境はBDNFのポリペプチド鎖の折りたたみ、特に、S
-S結合による架橋反応に適しており、その結果、BD
NFは本来の立体構造を保持し、生物活性を示すことが
できる。
【0018】本発明のベクターは、また、大腸菌のシグ
ナル配列をコードするDNAの上流側に調節遺伝子を有
する。調節遺伝子としては、大腸菌の細胞内で機能する
ものであれば特に制限はないが、プロモータとしての作
用が強く、遺伝子発現の誘導及び抑制が容易な調節遺伝
子であるトリプトファン調節遺伝子が好適に用いられ
る。トリプトファン調節遺伝子は、RNA合成酵素の結
合部位であるプロモータ領域とリプレッサ蛋白質の結合
部位であるオペレータ領域からなる。DNAを鋳型とす
るメッセンジャーRNA(mRNA)の合成はRNA合
成酵素がプロモータ領域に結合することによって開始さ
れ、合成されたmRNAはリボソームと結合して、ポリ
ペプチド鎖が合成される。大腸菌の細胞内の L-トリプ
トファン(Trp)濃度が増大すると、リプレッサ蛋白
質はTrpと結合して活性化され、オペレータ領域に結
合する。この結果、RNA合成酵素がプロモータ領域に
結合できなくなり、mRNAの合成と、これに続くポリ
ペプチド鎖の合成が停止することになる。一方、Trp
濃度が低下してリプレッサ蛋白質がTrpと結合できな
くなるか、あるいは、リプレッサ蛋白質がTrpの類似
物質である3-インドールアクリル酸と結合して不活性
化されると、mRNAが合成され、ポリペプチド鎖の合
成が始まる。従って、トリプトファン調節遺伝子を用い
た本発明のベクターを有する大腸菌を培養する場合、培
地中にTrpを添加することにより発現を抑制すること
ができ、逆に、培地中のTrpを除去するか、または、
培地中に3-インドールアクリル酸を添加することによ
り、発現を誘導することができる。
ナル配列をコードするDNAの上流側に調節遺伝子を有
する。調節遺伝子としては、大腸菌の細胞内で機能する
ものであれば特に制限はないが、プロモータとしての作
用が強く、遺伝子発現の誘導及び抑制が容易な調節遺伝
子であるトリプトファン調節遺伝子が好適に用いられ
る。トリプトファン調節遺伝子は、RNA合成酵素の結
合部位であるプロモータ領域とリプレッサ蛋白質の結合
部位であるオペレータ領域からなる。DNAを鋳型とす
るメッセンジャーRNA(mRNA)の合成はRNA合
成酵素がプロモータ領域に結合することによって開始さ
れ、合成されたmRNAはリボソームと結合して、ポリ
ペプチド鎖が合成される。大腸菌の細胞内の L-トリプ
トファン(Trp)濃度が増大すると、リプレッサ蛋白
質はTrpと結合して活性化され、オペレータ領域に結
合する。この結果、RNA合成酵素がプロモータ領域に
結合できなくなり、mRNAの合成と、これに続くポリ
ペプチド鎖の合成が停止することになる。一方、Trp
濃度が低下してリプレッサ蛋白質がTrpと結合できな
くなるか、あるいは、リプレッサ蛋白質がTrpの類似
物質である3-インドールアクリル酸と結合して不活性
化されると、mRNAが合成され、ポリペプチド鎖の合
成が始まる。従って、トリプトファン調節遺伝子を用い
た本発明のベクターを有する大腸菌を培養する場合、培
地中にTrpを添加することにより発現を抑制すること
ができ、逆に、培地中のTrpを除去するか、または、
培地中に3-インドールアクリル酸を添加することによ
り、発現を誘導することができる。
【0019】トリプトファン調節遺伝子以外で、本発明
のベクターで用いることができる調節遺伝子としては、
例えば、ラクトース調節遺伝子、タック(tac)調節遺
伝子、アルカリホスファターゼ調節遺伝子などが挙げら
れる。また、T7ファージのRNAポリメラーゼ遺伝子
を組み込んだ大腸菌を宿主とした場合、T7プロモータ
を用いることができる。
のベクターで用いることができる調節遺伝子としては、
例えば、ラクトース調節遺伝子、タック(tac)調節遺
伝子、アルカリホスファターゼ調節遺伝子などが挙げら
れる。また、T7ファージのRNAポリメラーゼ遺伝子
を組み込んだ大腸菌を宿主とした場合、T7プロモータ
を用いることができる。
【0020】本発明のベクターを作製するには、公知の
方法、例えば、Maniatis,T.らのモレキュラー クロー
ニング,ア ラボラトリー マニュアル(Molecular Clon
ing,A Laboratory Manual),コールド スプリング ハ
ーバー ラボラトリー(ColdSpring Harbor Laborator
y)(1982)に記載された方法を用いることができる。
方法、例えば、Maniatis,T.らのモレキュラー クロー
ニング,ア ラボラトリー マニュアル(Molecular Clon
ing,A Laboratory Manual),コールド スプリング ハ
ーバー ラボラトリー(ColdSpring Harbor Laborator
y)(1982)に記載された方法を用いることができる。
【0021】本発明の形質転換体は、以上のようにして
作製したベクターを用いて大腸菌を形質転換することに
より取得できる。
作製したベクターを用いて大腸菌を形質転換することに
より取得できる。
【0022】大腸菌としては、例えば、HB101株、
JM105株、JM109株などが挙げられる。
JM105株、JM109株などが挙げられる。
【0023】大腸菌を形質転換する方法としては、例え
ば、Maniatis,T.らのモレキュラー クローニング,ア
ラボラトリー マニュアル(Molecular Cloning,A Lab
o-ratory Manual),コールド スプリング ハーバー ラ
ボラトリー(Cold SpringHarbor Laboratory)(1982)
に記載された方法が挙げられる。プラスミドベクターを
用いる場合は塩化カルシウム法または塩化カルシウム/
塩化ルビジウム法が、ファージベクターを用いる場合は
インビトロパッケージング法が適用できる。
ば、Maniatis,T.らのモレキュラー クローニング,ア
ラボラトリー マニュアル(Molecular Cloning,A Lab
o-ratory Manual),コールド スプリング ハーバー ラ
ボラトリー(Cold SpringHarbor Laboratory)(1982)
に記載された方法が挙げられる。プラスミドベクターを
用いる場合は塩化カルシウム法または塩化カルシウム/
塩化ルビジウム法が、ファージベクターを用いる場合は
インビトロパッケージング法が適用できる。
【0024】本発明の神経栄養因子の生産方法は、以上
のようにして得られた形質転換体を培養し、培養物中に
BDNFを生産せしめるものである。
のようにして得られた形質転換体を培養し、培養物中に
BDNFを生産せしめるものである。
【0025】培養に用いる培地としては、大腸菌の種類
及びベクターの種類により異なるが、例えば、M9培
地、NZCYM培地、LB培地などが挙げられる。pH
は約6〜8であるのが望ましい。また、前述のように、
培地条件によって遺伝子発現を抑制、誘導すると、形質
転換体の増殖とBDNFの生産を制御することができ、
その結果、効率良くBDNFを生産することができる。
及びベクターの種類により異なるが、例えば、M9培
地、NZCYM培地、LB培地などが挙げられる。pH
は約6〜8であるのが望ましい。また、前述のように、
培地条件によって遺伝子発現を抑制、誘導すると、形質
転換体の増殖とBDNFの生産を制御することができ、
その結果、効率良くBDNFを生産することができる。
【0026】培養は、通常約37℃で約4〜24時間行
ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0027】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0028】実施例1 BDNF発現ベクターの作製 (1) プライマーDNAの合成(図1) ラットBDNF遺伝子の、BDNF成熟蛋白質のN末端
であるヒスチジン(His)から6番目のアルギニン(Ar
g)まで及び7番目のArgの一部をコードする部分のセン
ス配列に一致する一本鎖DNA(5'-CACTCCGA
CCCCGCCCGCCG)と、114番目のトレオニ
ン(Thr)の一部及び115番目のイソロイシン(Ile)
から119番目の Arg までをコードする部分のアンチ
センス配列に一致し、更に、翻訳の終止コドンをコード
する配列を付加した一本鎖DNA(5'-GATCCTA
TTATCTTCCCCTTTTAATGG)を自動D
NA合成機380B(アプライド・バイオシステムズ社)を
用いて固相合成した。
であるヒスチジン(His)から6番目のアルギニン(Ar
g)まで及び7番目のArgの一部をコードする部分のセン
ス配列に一致する一本鎖DNA(5'-CACTCCGA
CCCCGCCCGCCG)と、114番目のトレオニ
ン(Thr)の一部及び115番目のイソロイシン(Ile)
から119番目の Arg までをコードする部分のアンチ
センス配列に一致し、更に、翻訳の終止コドンをコード
する配列を付加した一本鎖DNA(5'-GATCCTA
TTATCTTCCCCTTTTAATGG)を自動D
NA合成機380B(アプライド・バイオシステムズ社)を
用いて固相合成した。
【0029】合成した一本鎖DNAを樹脂から切り離し
た後、OPCカートリッジ(アプライド・バイオシステ
ムズ社)を用いて精製し、85〜150μgの一本鎖D
NA(プライマーDNA)を得た。
た後、OPCカートリッジ(アプライド・バイオシステ
ムズ社)を用いて精製し、85〜150μgの一本鎖D
NA(プライマーDNA)を得た。
【0030】(2) BDNF遺伝子の合成(図1、図2) ラットBDNFcDNAを有するプラスミドpcBDN
F/CDM8 0.1μgに各1μMのプライマーDN
A、各200μMのdATP、dCTP、dGTP、d
TTP、2.5UのTaq DNAポリメラーゼ及び緩衝
液を加えて100μlとし、PCRを行った。94℃で
1.5分間、55℃で2.5分間、72℃で3.4分間の
反応サイクルを25回繰返し、最後に72℃で7分間反
応させた。反応混合物をエタノール沈殿で濃縮した後、
5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行ない、目的の
367塩基対のDNAを含むゲル片を切取り、電気溶出
法によりDNAを回収した。回収したDNAをフェノー
ル処理とエタノール沈殿によって精製し、4UのT4D
NAポリメラーゼと共に37℃で5分間反応させて、末
端を平滑化した。再度、フェノール処理とエタノール沈
殿によって精製した後、10UのT4ポリヌクレオチド
キナーゼと37℃で1時間反応させて末端をリン酸化
し、10μlのBDNF遺伝子を得た。
F/CDM8 0.1μgに各1μMのプライマーDN
A、各200μMのdATP、dCTP、dGTP、d
TTP、2.5UのTaq DNAポリメラーゼ及び緩衝
液を加えて100μlとし、PCRを行った。94℃で
1.5分間、55℃で2.5分間、72℃で3.4分間の
反応サイクルを25回繰返し、最後に72℃で7分間反
応させた。反応混合物をエタノール沈殿で濃縮した後、
5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行ない、目的の
367塩基対のDNAを含むゲル片を切取り、電気溶出
法によりDNAを回収した。回収したDNAをフェノー
ル処理とエタノール沈殿によって精製し、4UのT4D
NAポリメラーゼと共に37℃で5分間反応させて、末
端を平滑化した。再度、フェノール処理とエタノール沈
殿によって精製した後、10UのT4ポリヌクレオチド
キナーゼと37℃で1時間反応させて末端をリン酸化
し、10μlのBDNF遺伝子を得た。
【0031】得られたBDNF遺伝子0.5μlを用い
てDNAシーケンシングを行なった結果、図1に示す塩
基配列が得られ、蛋白質をコードする部分の塩基配列
は、BDNFcDNAの塩基配列と完全に一致した。
てDNAシーケンシングを行なった結果、図1に示す塩
基配列が得られ、蛋白質をコードする部分の塩基配列
は、BDNFcDNAの塩基配列と完全に一致した。
【0032】(3) BDNF発現ベクターの作製(図2) プラスミドベクターpTRSNGF 0.6μgを制限酵
素SacI 20U、次いで、BamHI 18Uとそれ
ぞれ37℃で1時間反応させて切断した。仔ウシ腸アル
カリホスファターゼ13Uと共に37℃で15分間、続
いて55℃で15分間反応させて末端を脱リン酸した
後、0.8%アガロースゲル電気泳動を行ない、トリプ
トファン調節遺伝子及び大腸菌β-ラクタマーゼのシグ
ナル配列をコードするDNAを有するDNA断片を回収
した。次いで、T4DNAポリメラーゼ4Uと37℃で
5分間反応させ、末端を平滑化した。
素SacI 20U、次いで、BamHI 18Uとそれ
ぞれ37℃で1時間反応させて切断した。仔ウシ腸アル
カリホスファターゼ13Uと共に37℃で15分間、続
いて55℃で15分間反応させて末端を脱リン酸した
後、0.8%アガロースゲル電気泳動を行ない、トリプ
トファン調節遺伝子及び大腸菌β-ラクタマーゼのシグ
ナル配列をコードするDNAを有するDNA断片を回収
した。次いで、T4DNAポリメラーゼ4Uと37℃で
5分間反応させ、末端を平滑化した。
【0033】得られたDNA断片の1/10量とBDN
F遺伝子0.5μlを混合し、DNAライゲーションキ
ット(宝酒造)を用いて、4℃で一晩、結合反応を行っ
た。反応混合物を用いて大腸菌C600株を形質転換
し、生成したコロニー52個からプラスミドDNAを調
製した。各種制限酵素による切断及び塩基配列の解析を
行った結果、目的のベクターを保持するクローンが10
個得られた。この中の1クローンを培養し、培養物中か
ら単離したBDNF発現ベクターをpTRSBDNFと
命名した。
F遺伝子0.5μlを混合し、DNAライゲーションキ
ット(宝酒造)を用いて、4℃で一晩、結合反応を行っ
た。反応混合物を用いて大腸菌C600株を形質転換
し、生成したコロニー52個からプラスミドDNAを調
製した。各種制限酵素による切断及び塩基配列の解析を
行った結果、目的のベクターを保持するクローンが10
個得られた。この中の1クローンを培養し、培養物中か
ら単離したBDNF発現ベクターをpTRSBDNFと
命名した。
【0034】実施例2 BDNF遺伝子の発現 (1) 形質転換体の作製 発現ベクターpTRSBDNF 0.1μgを用いて大腸
菌HB101株を形質転換し、103個のコロニーを得
た。この中の1クローンをLB培地中で、37℃、16
時間培養し、保存菌株とした。
菌HB101株を形質転換し、103個のコロニーを得
た。この中の1クローンをLB培地中で、37℃、16
時間培養し、保存菌株とした。
【0035】この菌株を大腸菌HB101[pTRSB
DNF]と命名し、工業技術院生命工学工業技術研究所
に微工研菌寄第13703号(FERM P−1370
3)の受託番号で寄託した。
DNF]と命名し、工業技術院生命工学工業技術研究所
に微工研菌寄第13703号(FERM P−1370
3)の受託番号で寄託した。
【0036】(2) 形質転換体の培養 保存菌株10μlを10mlの培地(NH4Cl 1g、
Na2HPO4 6g、KH2PO4 3g、NaCl 0.5
g、CaCl2・2H2O 15mg、MgSO4・7H2O 0.
5g、カザミノ酸 2.5g、グルコース 5g、酵母エ
キス 1.5g、L-トリプトファン 40mg、L-プロリ
ン 0.1g、塩酸チアミン 0.1g、アンピシリン 5
0mg、水 1l、pH7)に接種し、37℃で一晩培
養した。培養液全量を90mlの培地(NH4Cl 1
g、Na2HPO4 6g、KH2PO4 3g、NaCl 0.
5g、CaCl2・2H2O 15mg、MgSO4・7H2O
0.5g、カザミノ酸 2.5g、グルコース 5g、L-プ
ロリン 0.1g、塩酸チアミン0.1g、アンピシリン
50mg、水 0.9l、pH7)に加え、37℃で24
時間培養した。
Na2HPO4 6g、KH2PO4 3g、NaCl 0.5
g、CaCl2・2H2O 15mg、MgSO4・7H2O 0.
5g、カザミノ酸 2.5g、グルコース 5g、酵母エ
キス 1.5g、L-トリプトファン 40mg、L-プロリ
ン 0.1g、塩酸チアミン 0.1g、アンピシリン 5
0mg、水 1l、pH7)に接種し、37℃で一晩培
養した。培養液全量を90mlの培地(NH4Cl 1
g、Na2HPO4 6g、KH2PO4 3g、NaCl 0.
5g、CaCl2・2H2O 15mg、MgSO4・7H2O
0.5g、カザミノ酸 2.5g、グルコース 5g、L-プ
ロリン 0.1g、塩酸チアミン0.1g、アンピシリン
50mg、水 0.9l、pH7)に加え、37℃で24
時間培養した。
【0037】(3) 培養物中のBDNFの検出(図3) 培養24時間目の菌体を遠心分離で回収し、0.15M
食塩水、次いで、10mMトリス塩酸緩衝液(pH8、
4℃)で洗浄後、550nmの吸光度が約28になるよ
うに10mMトリス塩酸緩衝液(pH8、4℃)に懸濁
した。懸濁液4mlに0.5M EDTA(pH8)40
μlを加え、氷冷下で20kHz、70W、計5.4分
間、超音波を照射し、菌体を破砕した。4,000×g、4
℃、10分間の遠心分離で未破砕の菌体を除去して得ら
れた菌体抽出液中のBDNFを、以下の手順で検出し
た。
食塩水、次いで、10mMトリス塩酸緩衝液(pH8、
4℃)で洗浄後、550nmの吸光度が約28になるよ
うに10mMトリス塩酸緩衝液(pH8、4℃)に懸濁
した。懸濁液4mlに0.5M EDTA(pH8)40
μlを加え、氷冷下で20kHz、70W、計5.4分
間、超音波を照射し、菌体を破砕した。4,000×g、4
℃、10分間の遠心分離で未破砕の菌体を除去して得ら
れた菌体抽出液中のBDNFを、以下の手順で検出し
た。
【0038】菌体抽出液10μlに緩衝液(40%グリ
セロール、2%SDS、0.04%クマシーブリリアン
トブルーR-250、20mMトリス塩酸緩衝液、pH
6.8)10μlを加え、100℃、5分間加熱した。
この溶液を試料として0.1%SDS-15%ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を行なった後、ゲル中の蛋白質を
ニトロセルロース膜に転写し、マウスNGF(2.5
S)に対するポリクローナル抗体(コラボレイティブ
社)と反応させたところ、分子量14,000付近に抗
体の結合が認められた。
セロール、2%SDS、0.04%クマシーブリリアン
トブルーR-250、20mMトリス塩酸緩衝液、pH
6.8)10μlを加え、100℃、5分間加熱した。
この溶液を試料として0.1%SDS-15%ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を行なった後、ゲル中の蛋白質を
ニトロセルロース膜に転写し、マウスNGF(2.5
S)に対するポリクローナル抗体(コラボレイティブ
社)と反応させたところ、分子量14,000付近に抗
体の結合が認められた。
【0039】これに対して、培地に L-トリプトファン
を添加し、BDNF遺伝子の発現を抑制した状態で培養
した菌体を同様に処理したところ、分子量14,000
付近に抗体の結合は全く認められなかった。
を添加し、BDNF遺伝子の発現を抑制した状態で培養
した菌体を同様に処理したところ、分子量14,000
付近に抗体の結合は全く認められなかった。
【0040】BDNFとの構造の類似性が高いNGFに
対する抗体と結合し、その分子量がラットBDNFの分
子量約13,500と一致したことから、大腸菌による
BDNFの生産が確認できた。抗体の結合量から、BD
NFの生産量は培養液1lあたり1mg以上と算出され
た。尚、高分子量側に認められる抗体の結合は、BDN
F遺伝子の発現に無関係であり、宿主である大腸菌の蛋
白質が抗体と反応したものである。
対する抗体と結合し、その分子量がラットBDNFの分
子量約13,500と一致したことから、大腸菌による
BDNFの生産が確認できた。抗体の結合量から、BD
NFの生産量は培養液1lあたり1mg以上と算出され
た。尚、高分子量側に認められる抗体の結合は、BDN
F遺伝子の発現に無関係であり、宿主である大腸菌の蛋
白質が抗体と反応したものである。
【0041】更に、生産されたBDNFを精製し、プロ
テインシーケンサ477A(アプライド・バイオシステムズ
社)を用いてN末端アミノ酸配列を分析したところ、N
末端から10個目までのアミノ酸配列が、BDNF遺伝
子を翻訳して得られるBDNFのアミノ酸配列と完全に
一致した。この結果、BDNFが成熟蛋白質として生産
されたことが確認できた。
テインシーケンサ477A(アプライド・バイオシステムズ
社)を用いてN末端アミノ酸配列を分析したところ、N
末端から10個目までのアミノ酸配列が、BDNF遺伝
子を翻訳して得られるBDNFのアミノ酸配列と完全に
一致した。この結果、BDNFが成熟蛋白質として生産
されたことが確認できた。
【0042】 実施例3 BDNFの生物活性評価(図4) コラーゲンコーティングした24穴プレートに無血清P
IT培地200μlとニワトリ8日胚の脊髄後根神経節
(dorsal root ganglia;DRG)を入れ、CO2インキ
ュベータ内で37℃で保温し、DRGをプレート底面に
付着させた。実施例2で調製した菌体抽出液を無菌ろ過
した溶液10μlとPIT培地300μlをプレート内
に添加し、CO2インキュベータ内で37℃で39時間
培養したところ、神経線維の伸長が促進された。これに
対して、BDNF遺伝子の発現を抑制した状態で培養し
た菌体から得られた抽出液では、神経線維の伸長はほと
んど認められなかった。
IT培地200μlとニワトリ8日胚の脊髄後根神経節
(dorsal root ganglia;DRG)を入れ、CO2インキ
ュベータ内で37℃で保温し、DRGをプレート底面に
付着させた。実施例2で調製した菌体抽出液を無菌ろ過
した溶液10μlとPIT培地300μlをプレート内
に添加し、CO2インキュベータ内で37℃で39時間
培養したところ、神経線維の伸長が促進された。これに
対して、BDNF遺伝子の発現を抑制した状態で培養し
た菌体から得られた抽出液では、神経線維の伸長はほと
んど認められなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明で得られたBDNFは生物活性を
有しており、神経系の研究用試薬として有効に利用でき
る。また、N末端に余分なアミノ酸が付加されていない
ため、これを高度に精製することにより、神経症に対す
る医薬品としての利用も可能になると考えられる。
有しており、神経系の研究用試薬として有効に利用でき
る。また、N末端に余分なアミノ酸が付加されていない
ため、これを高度に精製することにより、神経症に対す
る医薬品としての利用も可能になると考えられる。
【0044】本発明のベクターは、生物活性を有するB
DNFの発現ベクターとして優れており、BDNFの蛋
白質工学的な研究に有効に利用できる。
DNFの発現ベクターとして優れており、BDNFの蛋
白質工学的な研究に有効に利用できる。
【0045】本発明の形質転換体はクローン化されてお
り、BDNF遺伝子を安定して発現させることができ、
生物活性を有するBDNFの生産系として有効に利用で
きる。
り、BDNF遺伝子を安定して発現させることができ、
生物活性を有するBDNFの生産系として有効に利用で
きる。
【0046】
配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置:1..18 特徴を決定した方法:S 配列 CAC TCC GAC CCC GCC CGC CG 20 His Ser Asp Pro Ala Arg 1 5 配列番号:2 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列番号:3 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA アンチセンス:yes 配列 GATCCTATTATCTTCCCCTTTTAATGG 27 配列番号:4 配列の長さ:476 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 特徴を表す記号:-10 signal 存在位置:2..7 特徴を決定した方法:S 特徴を表す記号:CDS 存在位置:41..466 特徴を決定した方法:S 配列 GTTAACTAGT ACGCAAGTTC ACGTAAAAAG GGTATCGACA ATG AGT ATT CAA CAT 55 Met Ser Ile Gln His -20 TTC CGT GTC GCC CTT ATT CCC TTT TTT GCG GCA TTT TGC CTT CCT GTT 103 Phe Arg Val Ala Leu Ile Pro Phe Phe Ala Ala Phe Cys Leu Pro Val -15 -10 -5 TTT GCG CAC TCC GAC CCC GCC CGC CGT GGG GAG CTG AGC GTG TGT GAC 151 Phe Ala His Ser Asp Pro Ala Arg Arg Gly Glu Leu Ser Val Cys Asp 1 5 10 AGT ATT AGC GAG TGG GTC ACA GCG GCA GAT AAA AAG ACT GCA GTG GAC 199 Ser Ile Ser Glu Trp Val Thr Ala Ala Asp Lys Lys Thr Ala Val Asp 15 20 25 30 ATG TCC GGT GGG ACG GTC ACA GTC CTG GAG AAA GTC CCG GTA TCA AAA 247 Met Ser Gly Gly Thr Val Thr Val Leu Glu Lys Val Pro Val Ser Lys 35 40 45 GGC CAA CTG AAG CAA TAT TTC TAC GAG ACC AAG TGT AAT CCC ATG GGT 295 Gly Gln Leu Lys Gln Tyr Phe Tyr Glu Thr Lys Cys Asn Pro Met Gly 50 55 60 TAC ACG AAG GAA GGC TGC AGG GGC ATA GAC AAA AGG CAC TGG AAC TCG 343 Tyr Thr Lys Glu Gly Cys Arg Gly Ile Asp Lys Arg His Trp Asn Ser 65 70 75 CAA TGC CGA ACT ACC CAA TCG TAT GTT CGG GCC CTT ACT ATG GAT AGC 391 Gln Cys Arg Thr Thr Gln Ser Tyr Val Arg Ala Leu Thr Met Asp Ser 80 85 90 AAA AAG AGA ATT GGC TGG CGG TTC ATA AGG ATA GAC ACT TCC TGT GTA 439 Lys Lys Arg Ile Gly Trp Arg Phe Ile Arg Ile Asp Thr Ser Cys Val 95 100 105 110 TGT ACA CTG ACC ATT AAA AGG GGA AGA TAATAGGATC 476 Cys Thr Leu Thr Ile Lys Arg Gly Arg 115 配列番号:5 配列の長さ:142 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴 特徴を表す記号:sig peptide 存在位置:-23..-1 特徴を決定した方法:S 特徴を表す記号:mat peptide 存在位置:1..119 特徴を決定した方法:S 配列 Met Ser Ile Gln His Phe Arg Val Ala Leu Ile Pro Phe Phe Ala Ala -20 -15 -10 Phe Cys Leu Pro Val Phe Ala His Ser Asp Pro Ala Arg Arg Gly Glu -5 1 5 Leu Ser Val Cys Asp Ser Ile Ser Glu Trp Val Thr Ala Ala Asp Lys 10 15 20 25 Lys Thr Ala Val Asp Met Ser Gly Gly Thr Val Thr Val Leu Glu Lys 30 35 40 Val Pro Val Ser Lys Gly Gln Leu Lys Gln Tyr Phe Tyr Glu Thr Lys 45 50 55 Cys Asn Pro Met Gly Tyr Thr Lys Glu Gly Cys Arg Gly Ile Asp Lys 60 65 70 Arg His Trp Asn Ser Gln Cys Arg Thr Thr Gln Ser Tyr Val Arg Ala 75 80 85 Leu Thr Met Asp Ser Lys Lys Arg Ile Gly Trp Arg Phe Ile Arg Ile 90 95 100 105 Asp Thr Ser Cys Val Cys Thr Leu Thr Ile Lys Arg Gly Arg 110 115
【図1】実施例1で作製したBDNF発現ベクターpT
RSBDNFの部分塩基配列、及びこれを翻訳して得ら
れるシグナルペプチドとBDNFのアミノ酸配列を示
す。
RSBDNFの部分塩基配列、及びこれを翻訳して得ら
れるシグナルペプチドとBDNFのアミノ酸配列を示
す。
【図2】実施例1で作製したBDNF発現ベクターpT
RSBDNFの作製方法を示す。
RSBDNFの作製方法を示す。
【図3】実施例2で得られた菌体抽出液中の蛋白質をS
DS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、ニト
ロセルロース膜に転写後、抗体との結合反応を行なった
結果を示す。(a)はBDNF遺伝子の発現を抑制した
場合の菌体抽出液、(b)はBDNF遺伝子を発現させ
た場合の菌体抽出液を示す。
DS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、ニト
ロセルロース膜に転写後、抗体との結合反応を行なった
結果を示す。(a)はBDNF遺伝子の発現を抑制した
場合の菌体抽出液、(b)はBDNF遺伝子を発現させ
た場合の菌体抽出液を示す。
【図4】実施例3で述べた菌体抽出液中のBDNFの、
ニワトリ8日胚DRGに対する神経線維伸長促進活性を
示す。(A)はBDNF遺伝子の発現を抑制した場合の
菌体抽出液、(B)はBDNF遺伝子を発現させた場合
の菌体抽出液を示す。
ニワトリ8日胚DRGに対する神経線維伸長促進活性を
示す。(A)はBDNF遺伝子の発現を抑制した場合の
菌体抽出液、(B)はBDNF遺伝子を発現させた場合
の菌体抽出液を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 高橋 健一 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 清水 範夫 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内
Claims (7)
- 【請求項1】脳由来神経栄養因子のポリペプチド鎖をコ
ードするDNAを有し、該DNAの5'末端上流側に大腸
菌のシグナル配列をコードするDNAが結合し、更に、
該シグナル配列をコードするDNAの上流に大腸菌の調
節遺伝子を有するベクター。 - 【請求項2】大腸菌のシグナル配列がβ−ラクタマーゼ
のシグナル配列である請求項1記載のベクター。 - 【請求項3】大腸菌の調節遺伝子がトリプトファン調節
遺伝子である請求項1記載のベクター。 - 【請求項4】大腸菌の調節遺伝子がトリプトファン調節
遺伝子である請求項2記載のベクター。 - 【請求項5】請求項1、2又は3記載のベクターで大腸
菌を形質転換して得られた形質転換体。 - 【請求項6】請求項5記載の形質転換体を培養し、培養
物中に脳由来神経栄養因子を生産せしめることを特徴と
する神経栄養因子の生産方法。 - 【請求項7】下式の配列を有するベクター。 GTTAACTAGT ACGCAAGTTC ACGTAAAAAG GGTATCGACA ATG AGT ATT CAA CAT 55 Met Ser Ile Gln His -20 TTC CGT GTC GCC CTT ATT CCC TTT TTT GCG GCA TTT TGC CTT CCT GTT 103 Phe Arg Val Ala Leu Ile Pro Phe Phe Ala Ala Phe Cys Leu Pro Val -15 -10 -5 TTT GCG CAC TCC GAC CCC GCC CGC CGT GGG GAG CTG AGC GTG TGT GAC 151 Phe Ala His Ser Asp Pro Ala Arg Arg Gly Glu Leu Ser Val Cys Asp 1 5 10 AGT ATT AGC GAG TGG GTC ACA GCG GCA GAT AAA AAG ACT GCA GTG GAC 199 Ser Ile Ser Glu Trp Val Thr Ala Ala Asp Lys Lys Thr Ala Val Asp 15 20 25 30 ATG TCC GGT GGG ACG GTC ACA GTC CTG GAG AAA GTC CCG GTA TCA AAA 247 Met Ser Gly Gly Thr Val Thr Val Leu Glu Lys Val Pro Val Ser Lys 35 40 45 GGC CAA CTG AAG CAA TAT TTC TAC GAG ACC AAG TGT AAT CCC ATG GGT 295 Gly Gln Leu Lys Gln Tyr Phe Tyr Glu Thr Lys Cys Asn Pro Met Gly 50 55 60 TAC ACG AAG GAA GGC TGC AGG GGC ATA GAC AAA AGG CAC TGG AAC TCG 343 Tyr Thr Lys Glu Gly Cys Arg Gly Ile Asp Lys Arg His Trp Asn Ser 65 70 75 CAA TGC CGA ACT ACC CAA TCG TAT GTT CGG GCC CTT ACT ATG GAT AGC 391 Gln Cys Arg Thr Thr Gln Ser Tyr Val Arg Ala Leu Thr Met Asp Ser 80 85 90 AAA AAG AGA ATT GGC TGG CGG TTC ATA AGG ATA GAC ACT TCC TGT GTA 439 Lys Lys Arg Ile Gly Trp Arg Phe Ile Arg Ile Asp Thr Ser Cys Val 95 100 105 110 TGT ACA CTG ACC ATT AAA AGG GGA AGA TAATAGGATC 476 Cys Thr Leu Thr Ile Lys Arg Gly Arg 115
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5190937A JPH0723788A (ja) | 1993-07-05 | 1993-07-05 | 神経栄養因子の生産方法及びそのためのべクター |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5190937A JPH0723788A (ja) | 1993-07-05 | 1993-07-05 | 神経栄養因子の生産方法及びそのためのべクター |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0723788A true JPH0723788A (ja) | 1995-01-27 |
Family
ID=16266164
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5190937A Pending JPH0723788A (ja) | 1993-07-05 | 1993-07-05 | 神経栄養因子の生産方法及びそのためのべクター |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0723788A (ja) |
-
1993
- 1993-07-05 JP JP5190937A patent/JPH0723788A/ja active Pending
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