JPH0724072A - ステント及びその製造方法 - Google Patents

ステント及びその製造方法

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JPH0724072A
JPH0724072A JP28574993A JP28574993A JPH0724072A JP H0724072 A JPH0724072 A JP H0724072A JP 28574993 A JP28574993 A JP 28574993A JP 28574993 A JP28574993 A JP 28574993A JP H0724072 A JPH0724072 A JP H0724072A
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進一 金澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体適合性、特に抗血栓性に優れ、再狭窄の
危険の少ないステントを提供すること。 【構成】 弾性線材で構成された管状構造物の内面及び
外面に、四弗化エチレン樹脂多孔質体膜からなる被覆層
が設けられていることを特徴とするステント。弾性線材
で構成された管状構造物の内面及び外面に、四弗化エチ
レン樹脂多孔質体の管状膜を配置し、内面側及び外面側
の管状膜相互間を部分的に熱融着させることを特徴とす
るステントの製造方法。管状膜相互間を熱可塑性樹脂を
介して部分的に加熱・加圧接着させることを特徴とする
ステントの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体適合性に優れたス
テント及びステントの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステントは、収縮した管腔部分を拡張し
たり、管腔内に解放通路を設けるための装置であり、疾
病等によって狭窄した血管、尿管、消化管、気管等の管
腔状器官・組織の流路再開、例えば動脈硬化性閉塞症に
おける血流再開を目的として、臨床的に使用されてい
る。
【0003】従来、ステントとして、弾性線材で構成さ
れた管状構造のもの(管状ステントまたはワイヤステン
ト)が知られている。ステントの材質としては、ステン
レス鋼ワイヤ等の金属線が好適に用いられ、これをコイ
ル状またはジグザグ状等に屈9曲及び接続して管状構造
を形成している。このような構造の管状ステントは、圧
縮して細長い形状にすることが可能である。
【0004】このようなステントとしては、例えば、多
数の直線部分が互いに屈曲部により接続されてジグザグ
構造の閉ループに形成されたワイヤからなるステント
(特公平4−32662号公報)、一連の直線部分及び
複数の屈曲部を含む円筒形状のヘビ状形態に形成された
ワイヤからなるステント(特開昭63−230158号
公報)、複数個のワイヤの各端部を互いに溶接してなる
管状ステント2個以上を柔軟なヒンジ部で接合した間接
接合型ステント(特開平3−151983号公報)、ウ
ズ巻バネからなるステント(米国特許第4,553,5
45号明細書)、コイル状に形成した熱記憶合金からな
るステントなどが提案されている。
【0005】ステントの適用方法としては、例えば、ス
テントを圧縮した状態でカテーテル先端に取り付け、経
皮的に血管などの管腔内に挿入して患部付近に運搬し、
次いで、カテーテル先端から管腔内の狭窄部位に遊離さ
せ、ステント自身の弾性的復元力によって形状を復元
し、それによって狭窄部位の内径を拡張して、流路再開
を行う方法、あるいは、カテーテル先端にステントと共
に取り付けたバルーンを膨張させ、それによって圧縮さ
れたステントを拡張させる方法がある。
【0006】ステントによる治療法は、同様の症例で施
行される代替管の移植外科手術のような外科的切開手術
が不要で、簡易な非侵襲的治療法である。また、ステン
トによる治療法は、バルーン、ナイフまたはカッター等
をカテーテル先端に取り付けて行う経皮的管形成術に比
して、効果が確実で、しかも安全性に問題がない。そこ
で、近年、特に血管系において、ステントの使用例が多
く報告されている。
【0007】ところで、従来のステントは、弾性的復元
力または拡張後の形状維持力が必要なことから、ステン
レス鋼ワイヤ等の金属線をコイル状またはジグザグ状に
屈曲加工したもの、あるいはこれらの金属線と接続用プ
ラスチック糸で構成されたものであるため、生体適合性
に乏しいという問題がある。このような構造のステント
を、例えば、血管系で使用する際には、折角確保した血
流路が金属の高い血栓性によって血栓閉塞を引き起こ
し、ごく初期の開存しか得られないか、あるいは血栓性
の低い部位での使用に適用範囲が限られるなどの問題が
あった。また、元々治療対象となる管腔状器官は、ガン
や動脈硬化などの原因でその管腔組織が異常に内腔側に
増殖・膨張する症状を持っている。したがって、ステン
トにより管腔を拡張しても、ステントを構成する金属線
の隙間から管腔組織が増殖・膨張して再び閉塞してしま
うという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生体
適合性、特に抗血栓性に優れ、再狭窄の危険の少ないス
テントを提供することにある。本発明者は、前記従来技
術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、弾性線
材で構成された管状構造物の内面及び外面に、四弗化エ
チレン樹脂多孔質体膜からなる被覆層を設けることによ
り、抗血栓性に優れ、しかも管腔組織の増殖・膨張によ
る管腔の再閉塞が抑制されるなど、優れた特性を有する
ステントの得られることを見出した。
【0009】四弗化エチレン樹脂多孔質体は、その優れ
た生体適合性から、人工血管等の医療材料として使用さ
れている。本発明では、これを金属線等の弾性線材で構
成された管状構造物の内外面に配置することにより、弾
性線材を生体より遮断し、従来得られなかった抗血栓性
等の生体適合性をステントに付与し、しかも再狭窄の危
険を少なくすることに成功した。
【0010】また、内面側及び外面側の四弗化エチレン
樹脂多孔質体膜の相互間を部分的に熱融着させることに
より、弾性線材で構成された管状構造物の圧縮折り畳み
の自由度を保持することができる。多孔質体膜相互間
を、四弗化エチレン樹脂よりも低融点の熱可塑性樹脂を
用いて接着してもよい。本発明は、これらの知見に基づ
いて完成するに至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、弾性線材で構成された管状構造物の内面及び外面
に、四弗化エチレン樹脂多孔質体膜からなる被覆層が設
けられていることを特徴とするステントが提供される。
【0012】また、本発明によれば、弾性線材で構成さ
れた管状構造物の内面及び外面に、四弗化エチレン樹脂
多孔質体の管状膜を配置し、内面側及び外面側の管状膜
相互間を部分的に熱融着させることを特徴とするステン
トの製造方法が提供される。さらに、本発明によれば、
弾性線材で構成された管状構造物の内面及び外面に、四
弗化エチレン樹脂多孔質体の管状膜を配置すると共に、
これら管状膜間に四弗化エチレン樹脂よりも低融点の熱
可塑性樹脂を配置し、四弗化エチレン樹脂の融点未満で
熱可塑性樹脂の融点以上に加温した状態で、内面側及び
外面側の管状膜相互間を部分的に加圧接着させることを
特徴とするステントの製造方法が提供される。
【0013】以下、本発明について詳述する。本発明で
使用する弾性線材で構成された管状構造物としては、特
に限定されず、例えば、従来から知られている金属線を
主とした管状ステントを使用することができる。弾性線
材で構成された管状構造物は、弾性線材を屈曲及び接続
して構成されたものであって、弾性的に圧縮した時、当
初の内径より細径の通路に挿入可能で、かつ、弾性的復
元力を解放した時、当初形状に復元可能なものであるこ
とが好ましい。
【0014】このような管状構造物は、弾性線材をコイ
ル状またはジグザグ状等に屈曲及び接続して、管状構造
を形成することにより作成することができる。その具体
例としては、図2に示すような構造のものを挙げること
ができる。即ち、ステンレス線(9)をジグザグに折り
曲げて円筒状にし、円筒状の両端の各折り曲げ部分に輪
(10)を形成して、その輪の中にステンレスコイル管
(8)を円状に配置して管状構造物を作成する。図1
は、図2の管状構造物(3)を四弗化エチレン樹脂多孔
質体膜(1)及び(2)で被覆した構造のステントの模
式図である。図5に示すように、ステンレス線(4)を
コイル状に巻いて管状構造を形成してもよい。このよう
な構造の管状構造物は、変形させ、当初内径よりも細径
の通路に挿入することができる。
【0015】弾性線材の材質としては、本発明品の製造
工程において、四弗化エチレン樹脂多孔質体をその融点
以上に加熱融着させることから、四弗化エチレン樹脂の
融点付近の温度において溶融切断等の起こらない材質の
ものが好ましい。また、ステントには、弾性的復元力及
び形状維持力が必要である。したがって、弾性線材とし
ては、ステンレス鋼、タングステン、プラチナ等の金属
線、炭素繊維複合線を主として、これらを管状に構成す
る目的で使用されうる接続線も、金属線及び四弗化エチ
レン樹脂糸を使用することが望ましい。
【0016】本発明で使用される四弗化エチレン樹脂多
孔質体膜は、例えば、特公昭42−13560号公報に
記載の方法により製造することができる。即ち、先ず、
四弗化エチレンの未燒結粉末に液状潤滑剤を混和し、押
出・圧延によりチューブ状またはシート状に予備成形す
る。この成形体から液状潤滑剤を除去し、または除去す
ることなく、少なくとも一軸方向に延伸すると未燒結の
多孔質体が膜状で得られる。この多孔質体を収縮しない
ように固定した状態で、四弗化エチレン樹脂の融点であ
る327℃以上に加熱して、延伸した構造を燒結・固定
すると、強度の向上した燒結品が得られる。
【0017】四弗化エチレン樹脂多孔質体膜は、その材
質に由来する無毒性、生体内非分解性、抗血栓性等の生
体適合性に加え、微小な結節とそれを連結する細い繊維
からなる微細な多孔質体構造によって、十分な強度と可
撓性を有している。したがって、四弗化エチレン樹脂多
孔質体膜は、ステントによる治療において、カテーテル
内腔へのステント圧縮挿入の際に、弾性線材からなる管
状構造物の形状変化に追随し、しかも、その弾性的復元
力を妨げない。
【0018】カテーテル内腔へのステント圧縮挿入を考
慮すると、本発明品を構成する四弗化エチレン樹脂多孔
質体膜は、力学的特性を満足する範囲内で、十分に薄く
する必要がある。あまり厚い多孔質体膜を被覆すると、
ステントをカテーテル内腔へ圧縮挿入することが困難に
なる。本発明者の検討では、弾性線材による管状構造物
の形状・径によっても異なるが、内外面ともに膜厚50
μm以下とすることが好ましく、さらに膜厚30μm以
下とすることがより好ましい。しかし、一般に膜厚20
μm以下となると製造上困難な上、力学的強度が低く圧
縮拡張に耐えられなくなるため、実質上、膜厚は25〜
50μmの範囲が最適となる。
【0019】四弗化エチレン樹脂多孔質体の多孔質構造
は、前述のように可撓性の点で重要である。延伸倍率が
小さく、気孔率の低過ぎる多孔質体は、固くて使用し難
い。しかし、逆に、延伸倍率が大きく、気孔率の高過ぎ
る多孔質体は、強度が十分ではなく、弾性線材を生体か
ら遮断することが困難となる。本発明者の検討では、孔
径が0.2μm〜1μmの範囲で、バブルポイントが
0.03〜3.0kg/cm2の範囲の四弗化エチレン
樹脂多孔質体が好ましい。
【0020】従来の金属線で構成された管状ステントを
用いて、例えば、狭窄した血管内面を押し広げると、強
度の低下した患部や柔軟な血栓では、金属線が血管壁に
食い込んで破ったり、血栓中に潜り込んでしまい、血流
路を回復できない場合があった。これに対して、本発明
のステントでは、外面の四弗化エチレン樹脂多孔質体膜
によって、面状に狭窄部位を押し広げるため、このよう
な問題が生じない。また、金属線のみのステントでは、
患部に存在した血栓が回復した流路の内面に必ず残る
が、本発明のステントでは、外面の四弗化エチレン樹脂
多孔質体膜によって、血栓が周辺に押し付けられて流路
から完全になくなってしまう。
【0021】弾性線材からなる管状構造の内外面を多孔
質体膜で遮断した本発明のステントは、生体内において
血流や細胞の浸潤を防止することも可能である。例え
ば、悪性新生物、癌の治療において、患部に対する血管
分岐部に本発明品を挿入することで血流を遮断し、癌の
壊死・発育の抑制を図ったり、癌細胞の流出を阻害して
転移を防止する等の治療に使用することが可能である。
【0022】本発明で使用する四弗化エチレン樹脂多孔
質体膜の多孔質構造は、生体細胞の通過を遮断する孔径
とすることが好ましい。本発明者の検討では、繊維長で
平均15μm以下、バブルポイントで0.3kg/cm
2以上の多孔質体膜を使用することにより、細胞浸潤を
遮断することが可能であり、このような遮断を目的とす
るステント治療においては、このような物性を有する四
弗化エチレン樹脂多孔質体膜を使用することが好まし
い。
【0023】四弗化エチレン樹脂の抗血栓性をより有効
に発揮させるために、ステントの内面は、血流の乱れを
生じる皺や弛みのない滑らかな面にすることが望まし
い。このため、四弗化エチレン樹脂多孔質体膜は、管状
構造物と一体化する際に、形状に応じて伸びてフィット
し易い二軸延伸された未燒結品あるいは半燒結品を使用
することが望ましい。二軸延伸された半燒結品は、例え
ば、配管等のシール材として利用されているグレードの
ものである。四弗化エチレン樹脂ファインパウダーは、
347℃に融点ピークを持ち、これを燒結体とすると3
27℃に融点ピークをもつ。したがって、半燒結品は、
特性として原料である四弗化エチレン樹脂ファインパウ
ダーの347℃の融点ピークを部分的に持つ点で、完全
燒結体と区別される。
【0024】本発明のステントを製造するには、弾性線
材で構成された管状構造物の内面及び外面に、チューブ
状に成形した四弗化エチレン樹脂多孔質体膜(管状膜)
を配置する。次に、四弗化エチレン樹脂の融点より高い
温度に加熱した金属体にて、内外面の四弗化エチエン樹
脂多孔質体膜を挟み込み、熱融着させる。この場合、ス
テントの内径によっては、加熱した金属体を内腔に挿入
することが困難な場合があるが、そのような場合には、
管状構造物の内径と同径の金属棒を挿入し、外側から加
熱した金属体を押しつけることで、内面の金属棒と外面
の加熱金属体の間で内外面の四弗化エチレン樹脂多孔質
体膜を挟み込み、熱融着させることが可能である。
【0025】この熱融着による一体化は、内外両面の四
弗化エチレン樹脂多孔質体膜の全面に行ってもよいが、
熱融着により多孔質構造が無孔化し、四弗化エチレン樹
脂多孔質体膜の可撓性が減少する。また、全面融着は、
管状構造物の圧縮折り畳みの自由度を減少させ、ステン
トのカテーテルへの圧縮挿入性を低下させる。
【0026】このため、内外面の四弗化エチレン樹脂多
孔質体膜の熱融着は、部分的に行うことが望ましい。具
体的には、例えば、水玉模様状あるいは何本かの線状に
熱融着部分を設けると、上記のような問題を回避するこ
とができる。また、管状構造物の変形に対する自由度を
保持するためには、管状構造物が四弗化エチレン樹脂多
孔質体膜間にない部分で、これらの部分接着を行う方が
より有効である。熱融着では、完全に燒結された多孔質
体膜よりも、未燒結品を用いた方が、高い接着力を得る
ことができる。この点でも、本発明に使用される四弗化
エチレン樹脂多孔質体膜は、半燒結品または未燒結品が
好ましい。
【0027】本発明のステントを製造する他の方法とし
ては、内外面の四弗化エチレン樹脂多孔質体膜を、接着
剤として熱可塑性樹脂を用い、加熱・加圧して接着させ
る方法がある。具体的には、弾性線材で構成された管状
構造物の内面及び外面に、四弗化エチレン樹脂多孔質体
の管状膜を配置すると共に、これら2つの管状膜間に四
弗化エチレン樹脂よりも低融点の熱可塑性樹脂を配置
し、四弗化エチレン樹脂の融点未満で熱可塑性樹脂の融
点以上に加温した状態で、内面側及び外面側の管状膜相
互間を部分的に加圧接着させる。
【0028】熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、
ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオ
ノマーなどのヒートシール型の接着剤(シーラント)等
があり、通常、フィルムや不織布などの層状のものを弾
性線材で構成された管状構造物の所要箇所に巻き付け
て、2つの管状膜の間に配置することが好ましい。例え
ば、金属線管状構造物の所要箇所にポリプロピレン不織
布を帯状に巻き付け、その内外面に四弗化エチレン樹脂
多孔質体の管状膜を配置する。
【0029】この熱可塑性樹脂を用いた接着法によれ
ば、四弗化エチレン樹脂の融点よりも低い温度で管状膜
相互間を接着させることができるため、内外面の四弗化
エチレン樹脂多孔質体膜相互間を部分的に熱融着させる
方法と比較して、四弗化エチレン樹脂多孔質体膜の変形
やピンホール発生などのおそれがない。また、四弗化エ
チレン樹脂多孔質体は、完全焼成物よりも半焼成物の方
が細胞等に対するバリヤ性に優れているが、この接着法
によれば、接着部分の四弗化エチレン樹脂多孔質体膜が
焼成されることがない。さらに、架橋型の接着剤は、生
体適合性に難があるが、ポリオレフィン等の熱可塑性樹
脂を用いると、そのような問題はない。
【0030】本発明のステントは、次のような特徴を有
している。 (1)無毒性、生体内非分解性、抗血栓性等の生体適合
性に優れる。 (2)管腔内面を四弗化エチレン樹脂多孔質体膜により
面状で押し広げるため、血栓が、再開通した血流路内に
残らない。 (3)癌治療など、血流・細胞の遮断目的に使用でき
る。 (4)四弗化エチレン樹脂多孔質体の低摩擦性により、
カテーテルへの挿入が容易である。 これらの特徴により、本発明品は、生体適合性、適用範
囲、作業性が著しく改善されたものであり、ステントに
よる治療の有効性をさらに高めることができ、血管など
の狭窄内腔の良好な再開通を実現することができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例を
挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。
【0032】なお、物性の測定方法は以下の通りであ
る。 〈バブルポイント〉四弗化エチレン樹脂多孔質体膜をイ
ソプロピルアルコールに含浸し、膜の孔内をイソプロピ
ルアルコールで充満した後、膜の一方の面より徐々に空
気圧を負荷したときに、初めて反対面から気泡が出てく
るときの圧力。 〈開存率〉ステントを動物の血管内に配置し、ある一定
期間生かした後の、その時点で血流が認められたステン
トの本数の、配置したステント全数に対する比率。 〈形成血栓厚み〉ステントを動物に移植し、ある一定期
間生かした後に取り出したステントをホルマリン固定
後、臨界点乾燥を施し、走査型電子顕微鏡で、長軸方向
に切断した断面の内面に付着した血栓層を測定した平均
値。 〈焼成度〉四弗化エチレン樹脂多孔質体膜を示差走査熱
量計にて10℃/分の昇温速度にて融点解析し、347
℃の時点で吸熱ピークのないものを完全焼成、あるもの
を半焼成、半焼成のうち、融点ピークが345℃以下の
ものを未焼成とした。
【0033】[実施例1]0.35mmφのステンレス
線(9)の両端をつないで円状にし、その接続部に内外
径0.35mm、0.4mmφのステンレス管で被覆し
補強したものを、2.5cm間隔でジグザグに16回折
り曲げて、両端に各8ケの折り曲げ部分が並ぶ図2に示
すような円筒状にした。折り曲げ部は、図2のように
0.2mmφほどの円(10)を形成するように曲げ、
この円内を通って、両端それぞれの折り曲げ部先端をつ
なぐ円状にステンレスコイル管(8)を配置した。ステ
ンレスコイル管としては、80μm線を隙間なくコイル
状に巻き、0.4mmφの円筒状にしたものを用い、全
体として、長さ1cm、内径10mmφの金属線からな
る管状構造物(3)を作製した。
【0034】四弗化エチレン樹脂多孔質体膜として、バ
ブルポイント1.3kg/cm2、厚み30μmの未燒
結品シート(住友電工社製ポアフロン・メンブレンフィ
ルターUP−020−40)を使用し、折り返した端部
を熱融着させた後、熱融着による接着代が内面になるよ
うに内外面を反転させて、9mmφのチューブ状にし
た。
【0035】次に、金属線管状構造物を、内径5mm
φ、外径7mmφの管の内腔に圧縮挿入しておき、この
管の外に、用意した四弗化エチレン樹脂多孔質体チュー
ブを配置し、ここから金属線管状構造物を挿入した管の
みを抜き去ることで、金属線管状構造物の外面に四弗化
エチレン樹脂多孔質体膜を被覆した。四弗化エチレン樹
脂多孔質体チューブは、金属線管状構造物より十分長く
しておいて、図3に示すように、この余分な部分を金属
線管状構造物の内腔に折り込んで反対の端部より出し
(7)、その端部(6)で金属線管状構造物の内外面の
四弗化エチレン樹脂多孔質体を熱融着した。
【0036】このようにして得られた四弗化エチレン樹
脂多孔質体膜(1、2)で内外面を被覆した金属線管状
構造物(3)の内腔に、外径10mmφのステンレス丸
棒を挿入し、図4のように金属線管状構造物の2本の支
柱(4)とステンレスコイル管で成す16個の三角形の
各重心付近に、500℃に加熱した1mmφの円柱の端
部を押し付け、内外の四弗化エチレン樹脂多孔質体膜を
点接着(5)して、長さ2cm、内径10mφのステン
トを作製した。
【0037】[実施例2]実施例1と同じステンレス線
を、1.5mmピッチで内径2mm、長さ1cmのコイ
ル状に巻いたものを金属線管状構造物とし、実施例1と
同じ四弗化エチレン樹脂多孔質体未燒結品シートを内径
1.8mmφのチューブ状に成形したものを四弗化エチ
レン樹脂多孔質体管状膜として、実施例1同様にして金
属線管状構造物に被覆した。次いで、2mmφのステン
レス丸棒を挿入して、金属線管状構造物のコイルと同じ
ピッチで、金属線と重ならないように0.35mmφの
ステンレス線を外周に巻き付けた後に、350℃に加熱
した35mmφガラス管円筒加熱炉に炉内滞在時間2分
間の条件で加熱した。外周に巻いたステンレス線及び内
腔のステンレス丸棒を除去し、図5に示すような長さ1
cm、内径2mφのステントを作製した。
【0038】[実施例3]四弗化エチレン樹脂多孔質体
膜として、バブルポイント1.3kg/cm2、厚み8
0μmの四弗化エチレン樹脂多孔質体未燒結品シート
(住友電工社製ポアフロンメンブレンフィルタ−UP−
020−80)を使用したこと以外は、実施例1と同様
にしてステントを作成した。
【0039】[実施例4]四弗化エチレン樹脂多孔質体
膜として、バブルポイント0.33kg/cm2、厚み
50μmの四弗化エチレン樹脂多孔質体完全燒結品シー
ト(住友電工社製ポアフロンメンブレンフィルタ−WP
−100−50)を使用したこと以外は、実施例1と同
様にしてステントを作成した。
【0040】[実施例5]四弗化エチレン樹脂多孔質体
膜として、バブルポイント0.18kg/cm2、厚み
50μmの四弗化エチレン樹脂多孔質体完全燒結品シー
ト(住友電工社製ポアフロンメンブレンフィルタ−WP
−300−50)を使用したこと以外は、実施例2と同
様にしてステントを作成した。
【0041】[実施例6]実施例1と同様に金属線管状
構造物の周囲に、図4の内外の四弗化エチレン樹脂多孔
質体膜の接着部分を含む円筒帯状にポリプロピレン不織
布(三井石油化学工業社製シンテックスPS−108)
を巻き付け、その内外面に四弗化エチレン樹脂多孔質体
膜を配置して、1mmφの円柱の端部を200℃に加熱
したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレ
ン不織布を介して内外面の四弗化エチレン樹脂多孔質体
膜を接着した構造のステントを作成した。
【0042】[比較例1]実施例1で使用した金属線管
状構造物を管状ステントとした。 [比較例2]実施例2で使用した金属線管状構造物を管
状ステントとした。
【0043】[比較例3]実施例1で作製した四弗化エ
チレン樹脂多孔質体膜で内外面を被覆した金属線管状構
造物の内腔に、外径10mmφのステンレス丸棒を挿入
し、350℃恒温槽に10分間入れることで、四弗化エ
チレン樹脂多孔質体膜を完全燒結したものを比較例3と
した。
【0044】[比較例4]実施例1で金属線管状構造物
の外側に四弗化エチレン樹脂多孔質体膜を被覆した状態
で両端の長さをそろえ、金属線管状構造物の外面にのみ
四弗化エチレン樹脂多孔質体を被覆したものを比較例4
とした。
【0045】[比較例5]実施例2で金属線管状構造物
の外側に四弗化エチレン樹脂多孔質体膜を被覆した状態
で両端の長さを切りそろえ、金属線管状構造物の外面に
のみ四弗化エチレン樹脂多孔質体を被覆したものを比較
例5とした。
【0046】〈圧縮挿入性評価〉各実施例及び比較例で
得られたステントについて、圧縮挿入性を比較した。具
体的には、ステントを径の違うFEPチューブ内腔に挿
入して行き、挿入可能な最小内径を求めた。
【0047】同じ金属線管状構造物を用いた実施例1、
3、4及び6と比較例1、3及び4のステントうち、実
施例1及び6と比較例1及び4のものは、内径2mmφ
と同じで、四弗化エチレン樹脂多孔質体層による圧縮性
の低下はなかった。実施例3のステントは、4mmφ、
実施例4は、3mmφと若干圧縮挿入性が低下したが、
ステントとしての使用において問題はないと考えられ
る。比較例3のステントは、内外面の四弗化エチレン樹
脂多孔質体膜と金属線管状構造物が強固に固定されてお
り、5mmφが限度で多少圧縮挿入性に難があった。
【0048】また、元の内径が2mmφの実施例2と比
較例2及び5のステントは、内径1.2mmφまでと差
はなかったが、実施例5のものについては、1.5mm
φと若干圧縮挿入性が低下した。
【0049】挿入可能な最小径の管に対する挿入・離脱
後の形状復帰性(形状回復性)については、実施例1、
2及び6と比較例1及び2のステントについては、20
回挿入・離脱を繰り返しても全く元と変化はなかった
が、実施例3及び4のものでは、挿入10回を越えるく
らいから、四弗化エチレン樹脂多孔質体膜と金属線管状
構造物の位置関係が微妙にずれだして、部分的に微小な
皺が発生したが、構造が破壊することはなかった。
【0050】これらに対して、比較例3のステントは、
1回の挿入で形状がいびつになり、また、一部の四弗化
エチレン樹脂多孔質体膜が破れた部分、金属線が四弗化
エチレン樹脂多孔質体より露出した部分ができた。比較
例4及び5のステントは、3〜5回の挿入で両端部の四
弗化エチレン樹脂多孔質体膜が皺になり、金属端が露出
して被覆しない部分ができた。
【0051】〈移植評価〉実施例2及び5と比較例2及
び5のステントをそれぞれ、体重13〜15kgのウサ
ギの頚動脈内に挿入移植を行った。先端にステントを予
め内腔に挿入した外径1.5mmφ、内径1.2mmφ
のFEPチューブを、頚動脈の移植部位の1cm下流よ
り血管内に挿入し、FEPチューブ内腔の他端より棒を
挿入してステントを血管内に放出した。移植後5分、1
時間、24時間、及び2週間後、生育後屠殺して、該ス
テントを取り出し、開存率を調査した後に、ホルマリン
固定し、次いで臨界点乾燥を行い、走査型電子顕微鏡
で、ステント内面の血栓形成状態、形成血栓厚みを観察
・測定した。また、2週後のサンプルについては、病理
組織標本を作製し、治癒状態について観察した。
【0052】移植評価の結果、比較例2及び5のステン
トは、移植後5分後にすでに金属線周辺に活性化し偽足
を伸ばす血小板の集積が見られ、1時間後には、形成血
栓層の厚みが不均一で赤血球を含む赤色血栓が形成され
たところも多数散見された。移植後1日でも血小板を含
む安定しない血栓が部分的に観察され、開存率が示すよ
うに、閉塞するものもあった。移植2週後でもまだ赤色
血栓は残存し、開存率は低下していた。病理組織標本の
観察では、形成された血栓層も30〜50μmと厚く、
器質化していない血栓層が多く見られた。特に、比較例
2のものでは、ステンレス線のすぐ外側の血管内膜及び
中膜に圧迫による壊死変性部が認められた。
【0053】それに対して、実施例2及び5のステント
は、開存率は良好で、全般的に形成血栓厚みは薄く均一
であった。移植後5分では少量の血小板の付着が見られ
る程度で、1時間後には、血栓層の増加および活性状態
が見られたが、1日後には既に血小板の少ないフィブリ
ン様物質に覆われた安定な血栓層となっていた。2週後
には、血栓層はほぼ器質化され、ステント両端部で血管
内皮細胞の伸展が見られ、良好な治癒が行われていた。
また、実施例5のものでは、四弗化エチレン樹脂多孔質
体の多孔質内にステント外壁からの組織細胞の侵入が見
られた。
【0054】〈埋植評価〉四弗化エチレン樹脂多孔質体
膜膜で被覆しない比較例1及び2を除く各実施例及び比
較例のステントの両端に栓をした状態で、ウサギの背皮
下に埋植試験を行った。埋植後3週間で各ステントを取
り出し、病理組織標本として組織の侵入性を観察した。
【0055】四弗化エチレン樹脂多孔質体膜のバブルポ
イントが1.3kg/cm2の実施例1〜3、6及び比
較例3〜5、及び被覆した四弗化エチレン樹脂多孔質体
膜のバブルポイントが0.33kg/cm2の実施例4
のステントでは、ステント内腔への組織侵入は全く認め
られなかったが、比較例4及び5のものについては、四
弗化エチレン樹脂多孔質体が若干収縮して、一部に膜が
被覆しない部分が生じ、その隙間より内腔への組織侵入
が起こっているサンプルもあった。
【0056】これに対して、四弗化エチレン樹脂多孔質
体膜のバブルポイントが0.18kg/cm2の実施例
5のステントでは、好中球を主とする細胞がステントの
内腔及び四弗化エチレン樹脂多孔質体膜の多孔質内に散
見され、一部に繊維芽細胞を中心とする組織の侵入が認
められ、細胞の遮断性においては、実施例1〜3、4及
び6が優れている。以上の実施例及び比較例のステント
の構造、圧縮挿入性評価、及び移植評価の結果を表1及
び表2に一括して示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】なお、表1〜2中で示した構造・特性につ
いての略語は、以下のことを示す。 ・内径:ステントの内径。 ・内層PTFE厚:ステントの金属線管状構造物内面に
被覆した四弗化エチレン樹脂多孔質体膜の厚み。 ・外層PTFE厚:ステントの金属線管状構造物外面に
被覆した四弗化エチレン樹脂多孔質体膜の厚み。 ・BP:使用した四弗化エチレン樹脂多孔質体膜のバブ
ルポイント。 ・接着量:内外面に被覆した四弗化エチレン樹脂多孔質
体膜の全接触面積に対する、これらを接着した部分の面
積の割合(百分率)。 ・焼成度:ステントの四弗化エチレン樹脂多孔質体膜の
焼成度。 ・形状復帰挿入回数:元の状態に復帰可能な平均挿入回
数。 ・挿入による変形:挿入可能最小径に対する20回以内
の挿入で発生するステントの形状及び形態の変化。
【0060】
【発明の効果】本発明のステントは、ステントのもつ手
術の簡易性、確実な開存性に加え、四弗化エチレン樹脂
多孔質体の材質がもつ抗血栓性を合わせ持つ。したがっ
て、本発明のステントは、血管系における閉鎖性血管疾
患や動脈瘤などにおける血管の再建に特に有効である。
また、本発明のステントは、バブルポイント0.3kg
/cm2以上の四弗化エチレン樹脂多孔質体膜を使用す
ることにより、生体細胞の遮断が可能となり、癌による
圧迫閉塞などの各種生体管に対する再建にも有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステントの一例を示す模式図で、外面
の四弗化エチレン樹脂多孔質体膜層の一部を切りとった
形状を示す。
【図2】本発明で使用する弾性線材からなる管状構造物
の1例を示す模式図である。
【図3】本発明の製造方法の1例を示す模式図で、金属
線管状構造物に四弗化エチレン樹脂多孔質体膜を被覆す
る工程を断面図で示す。
【図4】本発明の製造方法の1例を示す模式図で、最終
段階を示す。
【図5】本発明のステントの1例を示す模式図で、その
一部を切り取った形状を示す。
【符号の説明】
1:管状構造物内面の四弗化エチレン樹脂多孔質体膜層 2:管状構造物外面の四弗化エチレン樹脂多孔質体膜層 3:弾性線材からなる管状構造物 4:金属線管状構造物が膜に内包された部分(破線) 5:内外の四弗化エチレン樹脂多孔質体層の接着部分
(斜線部) 6:加熱接着する部位(円内) 7:四弗化エチレン樹脂多孔質体チューブの反転して内
側に折り込まれた部分 8:金属線の折り曲げ部に設けた輪をつなぐコイル状金
属線(点線) 9:金属線 10:金属線の折り曲げ部に設けた輪

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性線材で構成された管状構造物の内面
    及び外面に、四弗化エチレン樹脂多孔質体膜からなる被
    覆層が設けられていることを特徴とするステント。
  2. 【請求項2】 弾性線材で構成された管状構造物が、弾
    性線材を屈曲及び接続して構成されたものであって、弾
    性的に圧縮した時、当初の内径より細径の通路に挿入可
    能で、かつ、弾性的復元力を解放した時、当初形状に復
    元可能なものである請求項1記載のステント。
  3. 【請求項3】 弾性線材で構成された管状構造物の内面
    及び外面に、四弗化エチレン樹脂多孔質体の管状膜を配
    置し、内面側及び外面側の管状膜相互間を部分的に熱融
    着させることを特徴とするステントの製造方法。
  4. 【請求項4】 弾性線材で構成された管状構造物の内面
    及び外面に、四弗化エチレン樹脂多孔質体の管状膜を配
    置すると共に、これら管状膜間に四弗化エチレン樹脂よ
    りも低融点の熱可塑性樹脂を配置し、四弗化エチレン樹
    脂の融点未満で熱可塑性樹脂の融点以上に加温した状態
    で、内面側及び外面側の管状膜相互間を部分的に加圧接
    着させることを特徴とするステントの製造方法。
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