JPH07250680A - 突然変異の誘発方法 - Google Patents

突然変異の誘発方法

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JPH07250680A
JPH07250680A JP6044512A JP4451294A JPH07250680A JP H07250680 A JPH07250680 A JP H07250680A JP 6044512 A JP6044512 A JP 6044512A JP 4451294 A JP4451294 A JP 4451294A JP H07250680 A JPH07250680 A JP H07250680A
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JP6044512A
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Inventor
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
Hisashi Okamoto
尚志 岡本
Nobuko Yamamoto
伸子 山本
Masahiro Kawaguchi
正浩 川口
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Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安全性が高くかつ効率良く動植物細胞に突然
変異体を誘発する。 【構成】 一般式[I]で定義する複素環化合物を光照
射下に被験細胞に接触させる。 【化1】 (X,Y,R1,R2およびR3は明細書の定義に同じ)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細菌、酵母、かび、藻
類、原生動物などの微生物や、動植物細胞などに突然変
異を誘発する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】微生物の有用性が明らかになるに従い、
微生物をより積極的に活用する目的でより有用な性質を
持った新しい菌株が育種されるようになった。その成果
は近年の発酵工業における、品質の向上、多様化、生産
性の向上、工程の簡素化などから明らかである。ここ
で、微生物の育種に欠かせない手段として、有用菌株の
突然変異処理が汎く用いられている。また応用面のみな
らず、あらゆる生物の遺伝学、あるいは分子遺伝学的な
基礎研究を進めていくうえでも、突然変異を人為的に誘
発し、突然変異株を分離することは、研究の出発点にな
る重要な項目となっている。
【0003】このように、基礎、応用の両面にわたり重
要な技術である突然変異の誘発には、X線あるいは紫外
線を照射することによる物理的な手法、あるいは変異原
となる化学物質などを用いる手法がその生物種、用途な
どにより適宜利用されている。
【0004】この物理的方法としてはX線、紫外線など
の使用があげられる。X線はポリヌクレオチド鎖を切断
したり、塩基や糖にいろいろな反応を引き起こすこと
で、効率良く突然変異体を取得することが可能である。
しかしながら、X線の利用には人体への危険性から、放
射性同位元素などの取り扱いに準じた登録や教育訓練が
必要であること、更に特別の設備が必要であると云う問
題、コスト、簡便さなどに難点が多い。
【0005】なお、紫外線照射ではDNA分子中で隣接
するピリミジン塩基の間で2量体がつくられる、特にチ
ミン2量体が最も効率良く生成されるという特質を利用
して、突然変異体の取得に利用される。これは、先のX
線に比較すれば、線種が紫外線であるために、設備面、
簡便さ、危険性などの観点から突然変異を誘起する手段
としては優れている。しかしながら実際は、光回復現象
により、誘起されたDNA障害が白色光と細胞内酵素と
の協同作用で修復されてしまい、結果的に突然変異体の
取得効率ははなはだ低いものでしかないことが問題であ
る。この問題を避けるためには、実験操作をナトリウム
光源下で行うなどの配慮が必要となり、設備面、簡便さ
などの点での有効性は活かし難いといった不都合が生じ
る。
【0006】さらに、紫外線の場合それがシャーレ、培
養液などで吸収されることが大きな課題である。特に哺
乳類培養細胞の培養液には通常フェノールレッドが着色
の目的で好んで使用されており、それは著しい紫外線の
吸収を起す。また血清を含んでいることでも吸収が生じ
てしまう。このために余計な洗いの操作を必要とするな
ど実験操作が煩雑になる。さらに、底面に生育する細胞
をシャーレを用いて照射する場合は、紫外線を透過する
材料で作ったシャーレを用いる必要があり、コストの点
からも不利になる。また、X線などの放射線よりは危険
性が少ないものの、やはり作業者にとって紫外線は危険
性があり、人体に体するその影響を最小限に押さえ、安
全性を確保するための装備を必要とするなどの不都合も
ある。
【0007】化学物質を用いた突然変異体の取得には、
亜硝酸、ヒドロキシルアミン、硫酸ジメチル、エチルメ
タンスルホン酸、ナイトロジェンマスタード、N−メチ
ル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、5−ブロ
モウラシル、エチジウムブロマイド、アクリジン色素、
などが利用されている。
【0008】亜硝酸は塩基を脱アミノしてケト基に置き
換え、塩基転位を引き起こす。ヒドロキシルアミンは、
シトシンに特異的に働きN4−ヒドロキシシトシンを生
成する。これはアデニンと塩基対をつくるので塩基転位
が引き起こされることになる。
【0009】また、アルキル化剤である硫酸ジメチル、
エチルメタンスルホン酸、ナイトロジェンマスタード、
N−メチル−N’−ニトロ−Nニトロソグアニジンはグ
アニン、アデニンなどをアルキル化し、特に、前2者は
グアニンに特異的に働き、4級アンモニウム窒素を生成
し、デオキシリボシド結合を切断する。その結果4種の
塩基のどれかが挿入されたり、DNAが切れたりする。
5−ブロモウラシルの様な塩基類似体は、通常の塩基に
比べ互変位性を起こしやすく塩基転位型の突然変異を誘
発する。
【0010】エチジウムブロマイド、アクリジン色素は
DNAにインターカレートし、DNA複製の際に塩基対
の1〜数個の挿入もしくは欠失を誘発してフレームシフ
ト型の突然変異を起こす。
【0011】このように、化学物質はそれぞれにさまざ
まな作用機序を持つが、これらの中でもN−メチル−
N’−ニトロ−Nニトロソグアニジンは、その強力な突
然変異誘起性、致死効果が小さくても多くの変異体が取
得できること、緩衝液の方が最小倍地に比べ高い生存率
で高率の変異体が得られること、などの理由によい幅広
く利用されている。
【0012】
【発明が解決しようとしている課題】このように、放射
線、紫外線、ならびに化合物が突然変異誘発に用いられ
るがこれらは他方で強い発癌性を有することが知られて
いる。たとえば、汎用される突然変異誘発剤であるエチ
ルメタンスルホン酸、ナイトロジェンマスタード、N−
メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジンなどに
はきわめて強い癌原性があることが明らかになってお
り、その処理操作はきわめて細心の注意を必要とする。
効率良く突然変異を誘発できる手段は、その反面一般的
により危険性が高くなることが知られており、突然変異
体の取得には安全性の確保がきわめて重要な課題であ
る。また逆に、弱い変異原性しか持たない化合物による
突然変異の誘発では、効率が良くない点が大きな課題と
なっている。
【0013】このように、基礎、応用の両面において重
要な技術である突然変異の誘発には、効率の良い変異の
誘発と安全性の確保という互いに矛盾する課題があり、
効率の良い突然変異体の取得を可能としながらも、さら
に安全な、あるいはより危険性の少ない突然変異体の取
得を可能とする方法に対する要望が高まっている。
【0014】本発明の目的は、突然変異体の取得を高い
効率を維持しながら、従来の方法に比べより安全性の高
い方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の突然変異体の取
得方法は、処理対象に下記一般式[I]で表される化合
物を突然変異原として適用することと、その際に光を照
射することを特徴とする。
【0016】
【化10】 上記一般式[I]において、
【0017】
【化11】 は、複素環を示し、XはO、S、SeまたはTeであ
る。該複素環としては、ピリリウム環もしくはピリリウ
ム類似環のような5員環及び6員環のものを挙げること
ができる。
【0018】R1及びR2は、それぞれ独立して水素原
子、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリ
ル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シ
アノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もし
くは未置換アリール基、置換もしくは未置換低級アルア
ルキル基または置換もしくは未置換シクロアルキル基を
示す。
【0019】R3は、−Aまたは−L−Aである。L
は、−L1−、−L2−L3−または−L 4−L5−L6−で
あり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=CH)
−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される2価
の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または−C
H=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)を表
わす。置換もしくは未置換アリール基から誘導される2
価の基としては、例えばフェニレン基等を挙げることが
でき、オルト、メタ、パラのいずれの位置で結合するも
のでもよい。低級アルキレン基としては、炭素数が1〜
4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を挙げること
ができ、その置換基としては、例えば−L−Aで示され
る基を挙げることができる。オキソ基を有する環構造と
しては、複素環、芳香環、脂肪族環等で少なくともオキ
ソ基を有するものを挙げることができる。
【0020】−L−としては、下記一般式[II]、
[III]、[IV]、[V]または[VI]で表わさ
れる基を好ましいものとして挙げることができる。
【0021】
【化12】 (上記一般式[II]中、Zは水素原子または置換もし
くは未置換低級アルキル基を表し、nは0、1または2
である。)なお、Zがアルキル基である場合のその置換
基としては、例えば上述の−L−Aで定義される基を挙
げることができる。
【0022】
【化13】 (上記一般式[III]中、nは0、1または2であ
り、Φは置換もしくは未置換o−、m−またはp−フェ
ニレン基を表わす。)
【0023】
【化14】 (上記一般式[IV]中、Φは置換もしくは未置換o
−、m−またはp−フェニレン基を表わす。)
【0024】
【化15】
【0025】
【化16】 上記一般式中のフェニレン基の置換基としては先に例示
したものを挙げることができる。
【0026】一般式[I]のR3におけるAは、置換も
しくは未置換アリール基、−CH=R5(R5は、置換も
しくは未置換複素環、置換もしくは未置換のシクロアル
キル基または置換もしくは未置換芳香環を示す)を表わ
す。R5の複素環としては、
【0027】
【化17】 (M及びNは、それぞれ独立して酸素原子、イオウ原子
または窒素原子を、Y-はアニオンを表わす)等から誘
導された基を挙げることができ、その置換基としては、
例えば、置換もしくは未置換アリール基などを挙げるこ
とができる。また、置換もしくは未置換シクロアルキル
基とは、飽和のものでも、不飽和のものでもよく、例え
【0028】
【化18】 等の共鳴系を構成し得るものから誘導された基を挙げる
ことができる。また、置換もしくは未置換芳香環として
はアズレン環を挙げることができる。これらの基の置換
基としては低級アルキル基、置換もしくは未置換アリー
ル基等を挙げることができる。
【0029】Xを含むピリリウム環もしくはその類似環
のR1、R2、R3が結合していない炭素原子に結合して
いる水素原子は、ハロゲン原子、スルホネート基、アミ
ノ基、スチリル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボ
キシル基、シアノ基、置換もしくは未置換低級アルキル
基、置換もしくは未置換アリール基または置換もしくは
未置換低級アルアルキル基で置換されていても良い。
【0030】Y-はアニオンを示し、該アニオンとして
は、例えばBF4 -、過塩素酸イオン、HO3SCH2CO
-、あるいは塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオ
ン、フッ素イオン等のハロゲンイオン、又は、脂肪族炭
化水素や芳香族スルホネート等のようなアニオン機能を
有する化合物、更には、Zn、Ni、Cu、Pt、C
o、Pd、等の遷移金属の錯体イオンなどを挙げること
ができる。
【0031】以上挙げた各種の置換基に更に置換される
基がハロゲン原子の場合には、該ハロゲン原子として
は、Cl、Br、I等を挙げることができる。また、低
級アルキル基は、直鎖状でも分岐状のものでもよく、そ
の炭素数としては1〜4程度のものが好ましい。アリー
ル基としては、例えば、フェニル基等を挙げることがで
きる。アリール基やフェニレン基の置換基としては、例
えば低級アルキル基で置換されたアミノ基(低級アルキ
ルアミノ基)等を挙げることができる。なお、この低級
アルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基等がパラ位で置換しているものが好ましい。
低級アルアルキル基としては、上記の置換もしくは未置
換アリール基で置換された低級アルキル基を挙げること
ができる。
【0032】一般式[I]の化合物の中では、Xを含む
複素環が、置換もしくは未置換アリール基の2以上で置
換されたものが好ましい。例えばXを含む複素環が6員
環の場合のそのような化合物としては、(1)Xを含む
6員環の2位と4位が置換もしくは未置換アリール基で
置換され、3位、5位及び6位のいずれかがR3で置換
されているもの、(2)該6員環の3位と5位が置換も
しくは未置換アリール基で置換され、2位、4位及6位
のいずれかがR3で置換されているもの、(3)該6員
環の2位と6位が置換もしくは未置換アリール基で置換
され、3位、4位及び5位のいずれかがR3で置換され
ているもの、などを挙げることができる。このような位
置に置換もしくは未置換アリール基を導入することは、
核酸塩基対へのインターカレーターとして良好な性質を
得る上で好ましい。更に、Xを含む複素環が、置換もし
くは未置換アリール基の2以上に、これらの置換位置が
隣合わないように置換されたものがより好ましい。
【0033】一般式[I]の化合物の具体例としては、
例えば後述の表1に示すものを挙げることができる。更
に、特に好ましい化合物としては、下記一般式[VI
I]
【0034】
【化19】 (上記一般式[VII]中、XはOまたはSを表わし、
はアニオンを表わす)で表わされる化合物や、下記
一般式[VIII]
【0035】
【化20】 (上記一般式[VIII]中、XはOまたはSを表わ
し、Y-はアニオンを表わす)で表わされる化合物を挙
げることができる。
【0036】さらに、一般式[I]の化合物の水溶性を
高めるために、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、
スルホネート基等の親水性基を適当な部分に導入しても
よい。
【0037】一般式[I]で表わされる化合物はそのま
ま用いて、あるいは適当な溶媒や分散剤に溶解または分
散させることで、本発明に供する突然変異原として利用
することができる。この溶媒や分散剤としては、水、ア
セトニトリル、ジメチルスルホキシド、リン酸緩衝液、
酢酸緩衝液等の各種緩衝液など特に水性媒体が好ましく
用いることができる。その際の一般式[I]で表わされ
る化合物の含有量はその生物種に応じて適宜選択すれば
よい。
【0038】一般式[I]で表される化合物そのもの
は、エチルメタンスルホン酸、ナイトロジェンマスター
ド、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジ
ン、エチジウムブロマイドなどと比較すると、きわめて
弱い変異原性しか持たない。
【0039】ここで、一般式[I]で表される化合物は
それだけを生物種に応じて適宜、望ましい含有量に調製
した緩衝液、培地などを用いて適当な生物種を変異原処
理しても、対照区に比較して突然変異体の出現頻度の上
昇は観察されないか、観察されてもごくわずかなもので
ある。
【0040】ここで、発明者らは、一般式[I]で表さ
れる化合物がインターカレーターとしての機能を有する
ことを明らかとした。すなわち、この化合物が二本鎖核
酸の二重らせんにインターカレートすると、その蛍光強
度が、遊離した状態に比べ大きくなることがわかってい
る。
【0041】一般的に、インターカレーターとして機能
する化合物の多くは、変異原性を持つことが知られてお
り、エチジウムブロマイド、アクリジンオレンジなどは
実際に変異原として多用されている。エチジウムブロマ
イドは、突然変異体を取得するために同様に多用され
る、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジ
ン、ナイトロジェンマスタード、エチルメタンスルホン
酸などのアルキル化剤に比較すれば弱い癌原性しか持た
ないものの、人体に対してやはり重大な危険性を持ち、
実験操作、処理液の廃棄、実験室の汚染などにきわめて
慎重な配慮が必要とされる。
【0042】我々は、一般式[I]で表される化合物
が、それ自体はごく弱い変異原性しか持たない、あるい
は変異原性をまったく持たないものの適用の條件次第で
は、生物種に応じて望ましい含有量に調製した緩衝液、
培地などを用いて、望む生物種を該緩衝液、あるいは培
地に分散し、光を照射することにより、安全に効率良く
変異を誘発できることを見いだし、本発明に至った。
【0043】すなわち、一般式[I]で表される化合物
が強力な変異原性を発揮するのは、強い光の照射下で一
定時間処理を行う、あるいは、低光量でより長時間の照
射を行うといった高い線量投与時のみであり、変異原処
理の前後の処理などの通常の実験操作を行う程度の光の
強さ、操作に要する時間においては注目する程の変異原
性を示すことはない。さらに、突然変異を誘発させる前
や後の処理においてサンプルの廻りをアルミホイルなど
でおおい遮光することで、実験の再現性、信頼性、さら
には安全性をより高めることも可能である。つまり、一
般式[I]の化合物の溶解、適当な濃度への希釈、調
製、生物種の懸濁などの操作においては、該化合物が変
異原であることを意識する必要はない。強力な光照射、
あるいは十分に長時間の光の照射時などの高い線量の投
与を伴ってのみ変異原性化合物として利用可能である。
さらに、実験終了後の廃液の処理、実験室の汚染などに
関しても、従来の変異原に比べて安全性は高いが、従来
の変異原化合物の場合と同様の慎重な操作、処理を行え
ば、さらに高い安全性を確保できる。さらに、処理光は
可視光で十分な効果が得られるので、わざわざ紫外線を
用いる必要がないために、培養液、あるいは細胞懸濁液
などの吸収、シャーレの透過性などの実験上の不都合
や、目や皮膚を紫外線から保護するための装備、さらに
は、処理液からのオゾンの発生などの不都合も併せて排
除できる。
【0044】光照射による突然変異誘発は、一般式
[I]で表される化合物の濃度と、光源の強さ、照射時
間、つまり投与線量により制御可能である。安全性を重
視するならば、低濃度の該化合物存在下で、より強力、
あるいはより長時間の光の照射を選択すればよい。しか
しながら、一般式[I]で表わした化合物は従来公知の
他の変異原化合物において通常利用される程度の濃度で
あれば、なんら問題なく安全に実験操作が可能である。
【0045】一般式[I]の化合物を用いる実際の突然
変異誘発の具体的な実験操作としては、適当な溶媒、緩
衝液に溶解した一般式[I]で表される化合物を、突然
変異を誘発したい細菌、酵母、糸状菌、動植物細胞など
の分散、懸濁液に適当量加え、十分混合の後、可視光を
照射することで行なう。その後、細胞から一般式[I]
で表される化合物を洗い去り、従来の突然変異誘発方法
における処理と同様に突然変異株の濃縮、分離などの操
作を行い、所望の突然変異体を取得することができる。
【0046】ここで、一般式[I]で表される化合物の
処理液における濃度、光源の種類、強さ、照射時間など
はその生物種に応じて適宜選択すればよいが、一般的に
は実際の処理液の濃度は1ng/ml〜1mg/mlの
間で最良の結果が得られる。光源としてはタングステン
ランプ、キセノンランプなどの汎用されている光源が利
用可能であり、また、これらの光源に限定されることな
く、可視領域に波長域を持つような光源ならば連続光、
単色光の区別によって使用が制限されることはない。つ
まり光源の性質に基くその光の性質により本発明の効果
は影響されないから、光源のこの性質についてはそのど
ちらについても好ましく本発明に用いることができる。
しかしここで、連続光が紫外領域あるいは、赤外領域に
そのスペクトルを持つならば、望む波長のみを透過させ
るようなバンドパスフィルターなどを適宜利用すること
は好ましいことである。何故なら紫外線はそれ自体で突
然変異を誘発する作用があり、赤外線は温度を上昇させ
る作用があるので、どちらも意図せざる効果をもたらし
かねないからである。また紫外線は人体に有害であるか
ら取扱いが厄介である。光の照射時間はタングステンラ
ンプ、キセノンランプなど輝度の高い光源を10cm内
外の距離より用いた場合で、数十秒から数分程度の照射
で最良の結果が得られる場合が多い。しかしながら、突
然変異の誘発は生物種、生育フェイズ、処理条件(処理
剤濃度、処理時間など)に大きく左右されるものであ
り、通常の突然変異誘発方法と同様、生存率、突然変異
率などを事前に予備検討し、あらかじめ最も効果的な実
験条件を決めておくことは極めて好ましい。
【0047】なお、本発明の方法が適用されて有効に突
然変異が誘起される動植物細胞の範囲は、格別後記の実
施例に示される種類のものに限られるものでなく、実施
例に示したものは単に例示したものであり世上入手しう
るいずれの種類にも本発明は適用しうるものである。ま
た後記の各種の実験に用いた菌株や動物細胞もいずれも
世上容易に入手しうる有名なものばかりである。
【0048】
【実施例】以下合成例、予備テスト、実施例、比較例に
より本発明をさらに詳しく説明する。
【0049】
【合成例1】無水酢酸100mlと濃硫酸30mlとを
冷却しながら混合し、得られた混合液をウォーターバス
で80℃に保ちながら3時間加温した。そこに無水酢酸
20ml、p−ジメチルアミノアセトフェノン30ml
を室温下で加え、その後45℃に温度を上昇させて24
時間攪拌し反応させた。この反応液に等量のエタノール
を加え、冷却し、更にヨウ化カリウム水溶液を加えると
粗結晶が析出した。この粗結晶を濾過により回収し、エ
タノール/エーテルの混合系(容量比、1:4)で再結
晶させて一般式[I]の化合物である、2−メチル−
4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェニ
ル)ピリリウム アイオダイド(表1の化合物1(ただ
しYはIである))の緑色の結晶を得た。 得られた化合物1(Y:I)の分析結果 融点:254〜257℃ UV/可視(CH3CN ε×10-4)λmax:44
4nm(2.43)、550nm(8.24) NMR(1H、DMSO)δppm:8.3737(1
H、s)、8.2729(1H、d、J=9.0H
z)、8.1795(1H、d、J=9.0Hz)、
7.8864(1H、s)、6.9117(4H、t、
AB=JBC=9.77)、3.1829(6H、s)、
3.1340(6H、s)、2.6809(3H、s) FAB mass m/z 333 IR(KBr)νcm-1:1645、1610(s
h)、1580(s)、1490(s)、1270、1
200、1160 更に、ヨウ化カリウム水溶液の代わりに過塩素酸水溶液
を用いる以外は上記と同様にして同じく一般式[I]の
化合物である2−メチル−4,6−ビス−(4−N,N
−ジメチルアミノフェニル)ピリリウムの過塩素酸塩
(化合物1(Y:ClO4))を得た。
【0050】
【合成例2】硫化ナトリウム9水和物20gをイオン交
換水に溶解させ全量を50mlとした。この溶液に炭酸
水素ナトリウム7gを加え溶解させた後、氷冷下、50
mlのエタノールを更に加えてから、室温で30分間攪
拌した。析出した炭酸ナトリウムを濾別し、25mlの
エタノールで洗浄し、濾液と洗液を合わせ、約125m
lの水硫化ナトリウムの水・エタノール溶液を得た。
【0051】次に、合成例1で得た2−メチル−4,6
−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリ
リウム アイオダイドの0.92gを20mlのDMS
Oに溶解させ、得られた溶液に先に調製した水硫化ナト
リウムの水・エタノール溶液の5mlを加え、室温下で
5分間攪拌した。攪拌後、ヨウ化水素酸0.75mlを
加え、更に5分間攪拌した。以下、常法に従って、ジク
ロロメタン抽出、シリカゲルカラム精製を行った後、エ
タノール/エーテル混合液(容量比、1:4)で再結晶
させて同じく一般式[I]の化合物である0.7gの2
−メチル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミ
ノフェニル)チオピリリウム アイオダイドの結晶(表
1の化合物2(ただし、YはIである))を得た。 得られた化合物2(Y:I)の分析結果 融点:246〜248℃ UV/可視(CH3CN ε×10-4)λmax:49
5nm(2.50)、587nm(4.95) NMR(1H、DMSO)δppm:8.5679(1
H、s)、8.4323(1H、s)、8.2436
(2H、d、J=9.27Hz)、7.9786(2
H、d、J=9.28)、6.8959(4H、t、J
AB=JBC=9.28)、3.1756(6H、s)、
3.1157(6H、s)、2.8323(3H、s) FAB mass m/z 349 IR(KBr)νcm-1:1600(s)、1560
(s)、1460(s)、1430(s)、1370
(s)、1260(s)、1160(s) 更に、ヨウ化水素酸の代わりに過塩素酸水溶液を用いる
以外は上記と同様にして同じく一般式[I]の化合物で
ある2−メチル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチ
ルアミノフェニル)チオピリリウムの過塩素酸塩(化合
物2(Y:ClO4))を得た。
【0052】
【合成例3〜55】表1に示す化合物3〜55をそれぞ
れ用意した。表1においては上記化合物1と2もまとめ
て記し、Φはp−フェニレン基:
【0053】
【化21】 またはフェニル基を表わす。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】
【表12】
【0066】
【表13】
【0067】
【表14】
【0068】
【表15】
【0069】
【表16】
【0070】
【表17】
【0071】
【表18】
【0072】
【表19】 なお、これらの化合物は以下の方法により合成した。な
お、具体的な反応操作は常法に従った。
【0073】化合物7は、W.Foerstらの「Ne
w Methods of Preparative
Organic Chemistry 」、Acad.
Press(1964)に記載の方法に従って、化合
物[i]
【0074】
【化22】 を合成した後、これと
【0075】
【化23】 (p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド)とを
反応させて得られた化合物に更に所望のアニオンを反応
させて得た。化合物17は、化合物[i]と
【0076】
【化24】 (p−ジエチルアミノスチリルベンツアルデヒド)とを
反応させて得られた化合物に更に所望のアニオンを反応
させて得た。また、化合物[i]を水硫化ナトリウムと
反応させることにより化合物[ii]
【0077】
【化25】 を得た後、この化合物[ii]を化合物7、17と同様
にして化合物8、18を合成した。
【0078】R. WizingerらのHelv.
chin. Acta、39、217(1956)に記
載の方法に従い、アセトフェノンとアセトアルデヒドか
ら以下に示すルート
【0079】
【化26】 を経て、化合物[iii]
【0080】
【化27】 を合成した。この化合物[iii]を原料として、p−
ジメチルアミノベンズアルデヒドとの反応から得られた
化合物に更に所望のアニオンを反応させて化合物5を、
p−ジエチルアミノスチリルべンズアルデヒドとの反応
から同様にして化合物15を、p−ジメチルアミノ桂皮
アルデヒドとの反応から同様にして化合物9を、
【0081】
【化28】 との反応から同様にして化合物11をそれぞれ得た。ま
た、化合物[iii]を水硫化ナトリウムと反応させる
ことにより化合物[iv]
【0082】
【化29】 を得た後、化合物[iii]に代えて化合物[iv]を
用いる以外は、化合物5、15、9及び11の合成の場
合と同様の方法で、化合物6、16、10及び12をそ
れぞれ得た。
【0083】更に、原料のアセトアルデヒドをp−ジメ
チルアミノベンズアルデヒドに代える以外は、化合物
[iii]の合成の場合と同様にして、化合物3のカチ
オン部分を得た後、これに硫化ナトリウムを反応させて
得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させ、化合
物4を得た。また、同様にしてp−メチルベンズアルデ
ヒドとアセトフェノンから化合物[v]
【0084】
【化30】 を得た後、それを水硫化ナトリウムと反応させて化合物
[vi]
【0085】
【化31】 を得た。更に、化合物[v]及び[vi]をそれぞれp
−ジメチルアミノベンズアルデヒドと反応させ、得られ
た化合物に更に所望のアニオンを反応させて化合物13
及び14を得た。
【0086】化合物19、20及び21は、化合物
[i]または[ii]と、化合物1または2のカチオン
部分とを
【0087】
【化32】 と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反
応させて得た。化合物22、23及び24は、化合物
[i]または[ii]と化合物1または2のカチオン部
分とを、
【0088】
【化33】 と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反
応させて得た。化合物25及び26は、化合物[i]ま
たは[ii]を
【0089】
【化34】 と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反
応させて得た。化合物27、28及び29は、化合物
[i]または[ii]と化合物1または2のカチオン部
分とを、トリエトキシメタン[HC(OC253]と
反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応
させることにより合成した。化合物30、31及び32
は化合物[iii]または[iv]と、[iii]と
[iv]と同様の方法によりp−ジメチルアミノアセト
フェノンから合成した化合物[iii]と[iv]のジ
メチルアミノ誘導体と、トリエトキシメタンとを反応さ
せ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させる
ことにより合成した。
【0090】化合物33〜55は以下の各反応によりそ
れぞれ合成した。 化合物33の合成
【0091】
【化35】 化合物34の合成
【0092】
【化36】 化合物35の合成
【0093】
【化37】 化合物36の合成
【0094】
【化38】 化合物37の合成
【0095】
【化39】 化合物38の合成
【0096】
【化40】 化合物39の合成
【0097】
【化41】 化合物40は、化合物36の合成で原料を
【0098】
【化42】 から
【0099】
【化43】 に変更して合成した。
【0100】化合物41は、化合物37の合成で原料を
【0101】
【化44】 から
【0102】
【化45】 に変更して合成した。
【0103】化合物42は、化合物38の合成で原料を
【0104】
【化46】 から
【0105】
【化47】 に変更して合成した。
【0106】化合物43は、化合物39の合成で原料を
【0107】
【化48】 から
【0108】
【化49】 に変更して合成した。 化合物44の合成
【0109】
【化50】 化合物45の合成
【0110】
【化51】 化合物46の合成
【0111】
【化52】 化合物47の合成
【0112】
【化53】 化合物48は、化合物44の合成で原料を
【0113】
【化54】 から
【0114】
【化55】 に変更して合成した。
【0115】化合物49は、化合物45の合成で原料を
【0116】
【化56】 から
【0117】
【化57】 に変更して合成した。
【0118】化合物50は、化合物46の合成で原料を
【0119】
【化58】 から
【0120】
【化59】 に変更して合成した。
【0121】化合物51は、化合物47の合成で原料を
【0122】
【化60】 から
【0123】
【化61】 に変更して合成した。 化合物52の合成
【0124】
【化62】 化合物53の合成
【0125】
【化63】 化合物54の合成
【0126】
【化64】 化合物55の合成
【0127】
【化65】
【0128】
【予備テスト】合成例で用意した化合物1、3、4と、
陽性対照としてのエチジウムブロマイド(EB)、2−
(2−furyl)−3−(5−nitro−2−fu
ryl)−acrylamide(AF−2)、ben
zo(α)pyrene(BP)について、Ames法
による突然変異の予備テストを行った。用いた菌株はT
A100、TA98の2菌株で、それぞれ、塩基対置換
型の突然変異原物質の検出、フレームシフト型の突然変
異原物質の検出に利用されている有名な微生物であり市
場で容易に入手することができる。
【0129】寒天平板培地、S−9Mix培地などは常
法により調製した。エチジウムブロマイドは水に、化合
物No.1、3、4、AF2、BPはDMSOにそれぞ
れ適当な濃度になるように溶解し試験に用いた。
【0130】結果を表2に示す。
【0131】この結果EB、NTGなどの化合物に比べ
化合物1、3、4それ自体はごく弱い変異原性しか持た
ないことがわかった。
【0132】
【表20】表2 Ames法による突然変異テスト 枠内の数字は比活性を陽性の強さで示し単位は(Rev
ertants/μg)である。−:活性なしN.D未
試験
【0133】
【実施例1】合成例1で用意した化合物1を10%アセ
トニトリルを含む10mMりん酸緩衝液(pH7.0)
に溶解し、その濃度が50μg/mlになるようにして
化合物1溶液を調製した。
【0134】細胞懸濁液の調製には、37℃であらかじ
め1夜培養したE.coli K−12株の培養液25
mlを遠沈集菌し、全体を200mlの10mMりん酸
緩衝液(pH7.0)に懸濁し500mlの三角フラス
コに集めた。ここで菌濃度は1.5x108cells
/ml程度であった。なおこの菌はタカラ酒造(株)か
ら入手可能である。
【0135】この細胞懸濁液を99ml分取し、上のよ
うにして調製した化合物1溶液を1ml加えたから化合
物1の終濃度は0.5μg/mlとなった。対照とし
て、化合物1を含まない10%アセトニトリルを含む1
0mMりん酸緩衝液(pH7.0)を加えた細胞懸濁液
もあわせて調製した。
【0136】これらの細胞懸濁液をシャーレ(10cm
径)に10mlずつ流し込んだ後氷上に置き、タングス
テンランプ(250W)に800nm以上の波長をカッ
トオフするフィルターを取付け、5cmの距離で予め計
画した時間照射した。なお、この間細胞懸濁液はマグネ
チックスターラーでかくはんを続けた。このように照射
処理した細胞懸濁液は、その0.1mlずつを9.9m
lの10mMりん酸緩衝液(pH7.0)に加え、よく
懸濁し、さらに必要に応じて同様の希釈を行った。
【0137】希釈した細胞懸濁液の0.1mlを2×Y
T固形平板培地に加え、コンラージ棒で寒天面上に均一
に塗布し、37℃で1夜培養した。コロニー同志が重な
り合わない程度に密に生育したプレートを用いて、レプ
リカ法により2×YT固形平板培地と最少培地への植え
継ぎを行い、栄養要求性の突然変異体の出現頻度の評価
を行った。
【0138】結果は表3に示したとうりの変異体の生存
が照射時間240秒までの間で認められた。なお化合物
1を用いなかった対照の細胞懸濁液では生存率の低下さ
らには突然変異体の出現は観察できなかった。
【0139】
【表21】表3 突然変異体の出現頻度(実施例1)
【0140】
【比較例1】突然変異原として公知の化合物を用いた例
を示す。
【0141】使用した細胞懸濁液は実施例1で用いたも
のと同じである。
【0142】この細胞懸濁液の99mlにN−メチル−
N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)濃度
20mg/mlに調製した10mMりん酸緩衝液(pH
7.0)を1ml加え、NTG終濃度を200μg/m
lとし、37℃で30分間保持した。対照として、NT
Gが入っていない10mMりん酸緩衝液(pH7.0)
を加えたサンプルもあわせて調製し、同様の條件で保持
した。
【0143】このようにして処理した細胞懸濁液は、実
施例1と同様に10mMりん酸緩衝液(pH7.0)で
希釈を行なった。
【0144】希釈した細胞懸濁液はその0.1mlを用
いて実施例1と全く同様に処理を行なって栄養要求性の
突然変異体の出現頻度の評価を行った。
【0145】結果は表4に示すとうり実施例1とほぼ同
じか若干低い突然変異体出現率であり、また対照の細胞
懸濁液では、生存率の低下、さらには突然変異体の出現
は観察できなかった。
【0146】
【表22】表4 突然変異体の出現頻度(比較例1)
【0147】
【実施例2】マウスFM3A細胞を用いて、高濃度my
o−イノシトール要求性変異株の取得をおこなった。
【0148】供試細胞の調製については、その継代培養
は組織培養用プラスチックシャーレ(60mm)を利用
し、5%CO2、95%湿度のインキュベーター、許容
温度(33.5℃)の條件で行った。増殖培地には、E
S培地(日水製薬)に、非働化したウシ胎児血清を2%
加えた。コロニー形成とレプリカに用いた寒天培地は、
ES培地に血清5%と寒天(purified aga
r、Difco)を0.5%、またはアガロース(電気
泳動用)を0.35%加えた培地を10mlずつ細菌用
プラスチックシャーレ(100mm)にて固化して用い
た。
【0149】細胞の突然変異処理には、対数増殖期(5
×105cells/ml)の細胞を2×105cell
s/mlに希釈し、これに合成例1で用意した化合物1
を10%アセトニトリルを含む10mMりん酸緩衝液
(pH7.0)に0.5mg/mlになるよう溶解した
ものを加えて、細胞懸濁液における終濃度を0.5μg
/mlとした。次に、これらの細胞懸濁液をシャーレ
(10cm径)に10mlずつ流し込んだ後氷上に置
き、タングステンランプ(250W)に800nm以上
の波長をカットオフするフィルターを取付け、5cmの
距離より所定時間照射した。なお、この間細胞懸濁液は
マグネチックスターラーでかくはんを続けた。照射処理
後、細胞懸濁液は、遠心と洗滌によって化合物1から分
離し1mMのmyo−イノシトールを加えた培養液中で
変異の発現のために4日間、37℃で培養した。さら
に、濃縮処理のために、PBSで2回、血清のみを含む
培地で1回洗浄した。24時間培養の後、培養液の細胞
濃度を2×104cells/mlに希釈し50μMの
5−ブロモデオキシウリジンを加え25時間暗所で培養
し、次に、無血清培地に交換、細胞をシャーレに接着の
後、下方5cmより60Wの白色蛍光灯を1.5時間照
射した。照射後、1mMのmyo−イノシトールを加え
た培養液と交換し、3日間培養した。
【0150】これを、H.Matsuzakiらの方法
(Cell Struct. Func.,11,75
(1986))を用いてレプリカ操作ならびに変異株の
分離に供した。結果は表5に示したとうりの突然変異体
の出現頻度であった。
【0151】
【表23】表5 突然変異体の出現頻度(実施例2)
【0152】
【比較例2】実施例2で用いた化合物1を公知の突然変
異原に代えた例である。
【0153】供試細胞は実施例2に同じである。
【0154】細胞の突然変異処理には対数増殖期(5×
105cells/ml)の細胞を2×105cells
/mlに希釈し、これにN−メチル−N’−ニトロ−N
−ニトロソグアニジンを終濃度を0.5μg/mlとな
るように加え4時間放置した。この後、格別の光照射は
行なわなかった。N−メチル−N’−ニトロ−N−ニト
ロソグアニジンを実施例2の手法と同じ方法で除き、こ
の後は変異の発現のための培養以降H.Matsuza
kiらの方法の適用まで実施例2と全く同様に処理し
た。結果を表6に示すが、実施例2での最適値に比べ若
干低めの突然変異体出現頻度であった。
【0155】
【表24】表6 突然変異体の出現頻度(比較例2)
【0156】
【実施例3】参考例1で用意した化合物No.1を10
%アセトニトリルを含む10mMりん酸緩衝液(pH
7.0)に溶解し、その濃度が50μg/mlになるよ
うに調製した。
【0157】YPD培地(酵母エキス20g、ポリペプ
トン10g、グルコース20g/l)を用いて30℃で
あらかじめ1夜培養したSaccharomyces
cerevisiaeIFO 0224株の培養液25
mlを遠沈集菌し、全体を200mlの10mMりん酸
緩衝液(pH7.0)に懸濁し500mlの三角フラス
コに集めた。ここで菌濃度は3.0×107cells
/ml程度であった。
【0158】この細胞懸濁液を99ml分取し、上のよ
うにして調製した化合物No.1溶液を1ml加え、終
濃度を0.5μg/mlとした。対照として、化合物N
o.1が入っていない10%アセトニトリルを含む10
mMりん酸緩衝液(pH7.0)を加えたサンプルもあ
わせて調製した。
【0159】これらのサンプルをシャーレ(10cm
径)に10mlずつ流し込んだ後氷上に置き、タングス
テンランプ(250W)に800nm以上の波長をカッ
トオフするフィルターを取付け、5cmの距離より所定
時間照射した。なお、この間マグネチックスターラーで
かくはんを続けた。このようにして処理したサンプル
は、0.1mlずつを9.9mlの10mMりん酸緩衝
液(pH7.0)に加え、よく懸濁し、さらに必要に応
じて同様の希釈を行った。
【0160】希釈したサンプル0.1mlをYPD固形
平板培地に加え、コンラージ棒で寒天面上に均一に塗布
し、30℃で1夜培養した。各コロニーが重なり合わな
い程度に密に生育したプレートを用いて、レプリカ法に
よりYPD固形平板培地と最少培地への植え継ぎを行
い、栄養要求性の突然変異体の出現頻度の評価を行っ
た。
【0161】結果を表7に示す。
【0162】
【表25】
【0163】
【比較例3】YPD培地を用いて、30℃であらかじめ
1夜培養したSaccharomyces cerev
isiaeIFO 0224株の培養液25mlを遠沈
集菌し、全体を200mlの10mMりん酸緩衝液(p
H7.0)に懸濁し500mlの三角フラスコに集め
る。
【0164】ここで菌濃度は3.0×107cells
/ml程度であった。
【0165】この細胞懸濁液を99ml分取し、N−メ
チル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NT
G)濃度20mg/mlに調製した10mMりん酸緩衝
液(pH7.0)を1ml加え、終濃度を200μg/
mlとし、30℃で30分間保持した。対照として、N
TGが入っていない10mMりん酸緩衝液(pH7.
0)を加えたサンプルもあわせて調製し、同様に処理し
た。
【0166】このようにして処理したサンプルは、0.
1mlずつを9.9mlの10mMりん酸緩衝液(pH
7.0)に加え、よく懸濁し、さらに必要に応じて同様
の希釈を行った。
【0167】希釈したサンプル0.1mlをYPD固形
平板培地に加え、コンラージ棒で寒天面上に均一に塗布
し、30℃で1夜培養した。各コロニーが重なり合わな
い程度に密に生育したプレートを用いて、レプリカ法に
よりYPD固形平板培地と最少培地への植え継ぎを行
い、栄養要求性の突然変異体の出現頻度の評価を行っ
た。
【0168】結果を表8に示す。
【0169】
【表26】
【0170】
【実施例4】参考例1で用意した化合物No.4を10
%アセトニトリルを含む10mMりん酸緩衝液(pH
7.0)に溶解し、その濃度が50μg/mlになるよ
うに調製した。
【0171】2xYT培地(酵母エキス16g、ポリペ
プトン10g、塩化ナトリウム5g/l)を用いて37
℃であらかじめ1夜培養したE.coliK−12株の
培養液25mlを遠沈集菌し、全体を200mlの10
mMりん酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し500mlの
三角フラスコに集めた。ここで菌濃度は1.5×10 8
cells/ml程度であった。
【0172】この細胞懸濁液を99ml分取し、上のよ
うにして調製した化合物No.4溶液を1ml加え、終
濃度を0.5μg/mlとした。対照として、化合物N
o.4が入っていない10%アセトニトリルを含む10
mMりん酸緩衝液(pH7.0)を加えたサンプルもあ
わせて調製した。
【0173】これらのサンプルをシャーレ(10cm
径)に10mlずつ流し込んだ後氷上に置き、タングス
テンランプ(250W)に800nm以上の波長をカッ
トオフするフィルターを取付け、5cmの距離より所定
時間照射した。なお、この間マグネチックスターラーで
かくはんを続けた。このようにして処理したサンプル
は、0.1mlずつを9.9mlの10mMりん酸緩衝
液(pH7.0)に加え、よく懸濁し、さらに必要に応
じて同様の希釈を行った。
【0174】希釈したサンプル0.1mlを2xYT固
形平板培地に加え、コンラージ棒で寒天面上に均一に塗
布し、37℃で1夜培養した。各コロニーが重なり合わ
ない程度に密に生育したプレートを用いて、レプリカ法
により2xYT固形平板培地と最少培地への植え継ぎを
行い、栄養要求性の突然変異体の出現頻度の評価を行っ
た。
【0175】結果を表9に示す。
【0176】
【表27】
【0177】
【実施例5】マウスFM3A細胞を用いて、高濃度my
o−イノシト−ル要求性変異株の取得をおこなった。
【0178】継代は組織培養用プラスチックシャーレ
(60mm)を利用し、5%CO2、95%湿度のイン
キュベーター、許容温度(33.5℃)で行った。増殖
培地は、ES培地(日水製薬)に、非働化したウシ胎仔
血清を2%加えた。コロニー形成とレプリカに用いた寒
天培地は、ES培地に血清5%と寒天(purifie
d agar,Difco)を0.5%、またはアガロ
ース(電気泳動用)を0.35%加えた培地を10ml
ずつ細菌用プラスチックシャーレ(100mm)にて固
化して用いた。
【0179】対数増殖期(5×105cells/m
l)の細胞を2×105cells/mlに希釈し、こ
れに参考例1で用意した化合物No.4を10%アセト
ニトリルを含む10mMりん酸緩衝液(pH7.0)に
0.5mg/mlになるよう溶解したものを加えて、細
胞懸濁液における終濃度を0.5μg/mlとした。次
に、これらのサンプルをシャーレ(10cm径)に10
mlずつ流し込んだ後氷上に置き、タングステンランプ
(250W)に800nm以上の波長をカットオフする
フィルターを取付け、5cmの距離より所定時間照射し
た。なお、この間マグネチックスターラーでかくはんを
続けた。処理後、化合物No.4を除き、1mMのmy
o−イノシトールを加えた培養液中で変異の発現のため
に4日間、37℃で培養した。さらに、濃縮処理のため
に、PBSで2回、血清のみを含む培地で1回洗浄し
た。24時間培養の後、培養液の細胞濃度を2×104
cells/mlに希釈し50μMの5−ブロモデオキ
シウリジンを加え25時間暗所で培養し、次に、無血清
培地に交換、細胞をシャーレに接着の後、下方5cmよ
り60Wの白色蛍光灯を1.5時間照射した。照射後、
1mMのmyo−イノシトールを加えた培養液と交換
し、3日間培養した。これを、H.Matsuzaki
らの方法(Cell Struct.Func.,1
1,75(1986))を用いてレプリカ操作ならびに
変異株の分離に供した。
【0180】結果を表10に示す。
【0181】
【表28】
【0182】
【実施例6】参考例1で用意した化合物No.4を10
%アセトニトリルを含む10mMりん酸緩衝液(pH
7.0)に溶解し、その濃度が50μg/mlになるよ
うに調製した。
【0183】YPD培地(酵母エキス20g、ポリペプ
トン10g、グリコース20g/l)を用いて30℃で
あらかじめ1夜培養したSaccharomyces
cerevisiaeIFO 0224株の培養液25
mlを遠沈集菌し、全体を200mlの10mMりん酸
緩衝液(pH7.0)に懸濁し500mlの三角フラス
コに集めた。ここで菌濃度は3.0×107cells
/ml程度であった。
【0184】この細胞懸濁液を99ml分取し、上のよ
うにして調製した化合物No.4溶液を1ml加え、終
濃度を0.5μg/mlとした。対照として、化合物N
o.4が入っていない10%アセトニトリルを含む10
mMりん酸緩衝液(pH7.0)を加えたサンプルもあ
わせて調製した。
【0185】これらのサンプルをシャーレ(10cm
径)に10mlずつ流し込んだ後氷上に置き、タングス
テンランプ(250W)に800nm以上の波長をカッ
トオフするフィルターを取付け、5cmの距離より所定
時間照射した。なお、この間マグネチックスターラーで
かくはんを続けた。このようにして処理したサンプル
は、0.1mlずつを9.9mlの10mMりん酸緩衝
液(pH7.0))に加え、よく懸濁し、さらに必要に
応じて同様の希釈を行った。
【0186】希釈したサンプル0.1mlをYPD固形
平板培地に加え、コンラージ棒で寒天面上に均一に塗布
し、30℃で1夜培養した。各コロニーが重なり合わな
い程度に密に生育したプレートを用いて、レプリカ法に
よりYPD固形平板培地と最少培地への植え継ぎを行
い、栄養要求性の突然変異体の出現頻度の評価を行っ
た。
【0187】結果11を表に示す。
【0188】
【表29】
【0189】
【発明の効果】一般式[I]で表わされる化合物を突然
変異原とし光照射下に微生物を含む動植物細胞に接触さ
せる本発明の突然変異の誘発方法は、人体に対する危険
性なく効率の良い突然変異体の取得が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 正浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物、動物または植物の細胞に、光照
    射下に下記一般式[I] 【化1】 で表される化合物を有効成分として含む水性媒体を接触
    させて突然変異を誘発する方法。(ただし上記一般式
    [I]において、 【化2】 は、複素環を示し、XはO、S、SeまたはTeであ
    り、 R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原
    子、スルホネート基、アミノ基、スチリル基、ニトロ
    基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、置換
    もしくは未置換低級アルキル基、置換もしくは未置換ア
    リール基、置換もしくは未置換低級アルアルキル基また
    は置換もしくは未置換シクロアルキル基を示し、 R3は、−Aまたは−L−Aであり、 Lは、−L1−、−L2−L3−または−L4−L5−L6
    であり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=C
    H)−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される
    2価の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または
    −CH=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)
    を表わし、 Aは、置換もしくは未置換アリール基、−CH=R
    5(R5は、置換もしくは未置換複素環、置換もしくは未
    置換シクロアルキル基または置換もしくは未置換芳香環
    を示す)を表わし、 Xを含むピリリウム環もしくはその類似環のR1、R2
    3が結合していない炭素原子に結合している水素原子
    は、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリ
    ル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シ
    アノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もし
    くは未置換アリール基または置換もしくは未置換低級ア
    ルアルキル基で置換されていても良く、Y-はアニオン
    を示す。)
  2. 【請求項2】 R1およびR2がともに置換もしくは未置
    換アリール基であることを特徴とする、請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 Xを含む複素環が、6員環であることを
    特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 Xを含む複素環の2位と4位が置換もし
    くは未置換アリール基で置換され、3位、5位及び6位
    のいずれかがR3で置換されていることを特徴とする請
    求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 Xを含む複素環の3位と5位が置換もし
    くは未置換アリール基で置換され、2位、4位及6位の
    いずれかがR3で置換されていることを特徴とする請求
    項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 Xを含む複素環の2位と6位が置換もし
    くは未置換アリール基で置換され、3位、4位及び5位
    のいずれかがR3で置換されていることを特徴とする請
    求項3に記載の方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも2以上の置換もしくは未置換
    アリール基がXを含むピリリウム環もしくはその類似環
    に一つおきに置換されていることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 −L−が、下記一般式[II]、[II
    I]、[IV]、[V]または[VI]で表わされる基
    であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載
    の方法。 【化3】 (上記一般式[II]中、Zは水素原子または置換もし
    くは未置換低級アルキル基を表し、nは0、1または2
    である。) 【化4】 (上記一般式[III]中、nは0、1または2であ
    り、Φは置換もしくは未置換o−、m−またはp−フェ
    ニレン基を表わす。) 【化5】 (上記一般式[IV]中、Φは置換もしくは未置換o
    −、m−またはp−フェニレン基を表わす。) 【化6】 【化7】
  9. 【請求項9】 一般式[I]で表わされる化合物が、下
    記一般式[VII] 【化8】 (上記一般式[VII]中、XはOまたはSを表わし、
    -はアニオンを表わす)で表わされる化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 一般式[I]で表わされる化合物が、
    下記一般式[VIII] 【化9】 (上記一般式[VIII]中、XはOまたはSを表わ
    し、Y-はアニオンを表わす)で表わされる化合物であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 Xを含むピリリウム環もしくはその類
    似環の置換基に更に親水性基が導入されていることを特
    徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 照射する光の波長が、可視領域のもの
    であることを特徴とする請求項1−11のいずれかに記
    載の方法。
  13. 【請求項13】 照射する光の波長が、470nmから
    800nmまでの波長域を少なくともその一部として含
    む連続光であることを特徴とする請求項1〜12のいず
    れかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 照射する光の波長が、470nmから
    800nmまでの波長域に存在する単色光であることを
    特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111892573A (zh) * 2020-08-26 2020-11-06 中国医学科学院医药生物技术研究所 一种取代硫芳杂环化合物及其制备方法和用途
CN117624102A (zh) * 2023-12-11 2024-03-01 中国科学院深圳先进技术研究院 一种基于硫吡啶盐和吡喃盐结构的核酸染料及其制备方法和应用

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CN111892573B (zh) * 2020-08-26 2021-05-11 中国医学科学院医药生物技术研究所 一种取代硫芳杂环化合物及其制备方法和用途
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