JPH07253501A - 反射防止層を有する光学物品 - Google Patents

反射防止層を有する光学物品

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JPH07253501A
JPH07253501A JP6068106A JP6810694A JPH07253501A JP H07253501 A JPH07253501 A JP H07253501A JP 6068106 A JP6068106 A JP 6068106A JP 6810694 A JP6810694 A JP 6810694A JP H07253501 A JPH07253501 A JP H07253501A
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layer
refractive index
film
hard coat
plastic
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Application number
JP6068106A
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English (en)
Inventor
Koji Narisawa
孝司 成澤
Kei Ishimura
圭 石村
Tetsuo Suzuki
哲男 鈴木
Kazunori Ohashi
一記 大橋
Shigeo Itagaki
茂男 板垣
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスチック基材(高い屈折率を備えたプラ
スチック基材)の表面に、ハードコート層、及び反射防
止層を形成させた時に、反射防止性能に優れ、干渉縞の
発生を抑えた光学物品を提供すること。 【構成】 プラスチック基材上に少なくとも無機物から
なるハードコート層及び該ハードコート層上に単層又は
多層の反射防止層を有する光学物品において、前記基材
の表面と前記ハードコート層との間に単層又は多層のプ
レコート層を備えたことを特徴とする反射防止層を有す
る光学物品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、メガネレンズ
やカメラレンズ若しくは光学フィルターなどに用いる、
反射防止層を有する光学物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりプラスチックは、ガラスに比べ
て軽量で、且つ加工性、耐衝撃性に優れ、染色し易い等
の有用な利点を備えている点から、ガラスに変わる光学
部材として注目されている。
【0003】例えば、プラスチックレンズは、従来のガ
ラスレンズに比べて軽量であるためガラスレンズに代わ
るものとして、使用目的に応じて改良したプラスチック
レンズが次々に提案されている。最近では、レンズの薄
型化のために高屈折率、低色収差のプラスチックレンズ
が数多く提案されている。
【0004】一般にプラスチックは、前述したような数
多くの有用な利点を有しているが、その反面、硬度が不
十分で傷がつきやすい、溶媒に侵され易い、帯電して埃
を吸着する、耐熱性が不十分である等の欠点もまた有し
ており、実際に、例えば、メガネレンズやカメラレンズ
などの光学部材として使用するには、ガラスに比べ実用
上不満足である。そのため、通常、光学部材に用いられ
ているプラスチック基材には、その表面にプラスチック
基材の欠点をカバーするようなコーティング層が目的に
応じて形成されている。
【0005】その一例として、硬度の向上を図るため
に、例えば、0.5〜5.0μm程度のSiO2 膜のハ
ードコート層を形成させたプラスチックレンズが挙げら
れる。更に、このハードコート層を形成させたプラスチ
ックレンズの表面反射を抑止するために、ハードコート
層上に無機物によって反射防止層を形成させたプラスチ
ックレンズもまた提案され、実用化されている。
【0006】例えば、特開昭56−116003号に
は、合成樹脂基材表面の耐久性、耐擦傷性を向上させる
ための硬化層として、基材表面に0.5〜5.0μm程
度のSiO2 膜を施し、更に、その上に反射防止膜であ
るZrO2 膜を施し、更に、その上に反射防止膜である
SiO2 膜を、というようにZrO2 膜とSiO2 膜と
を交互に真空蒸着してなる合成樹脂光学部品が開示され
ている。
【0007】また別の例として、特開昭56−7420
2号には、合成樹脂成形体の少なくとも一つの面を有機
系ハードコート層を施し、更にその上に無機物の被膜を
形成させてなる光学素子が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】例えば、プラスチック
を用いてレンズを製作した場合、製作するレンズを薄型
にすると、光学設計上、プラスチック基材の屈折率を高
くしなければならない。しかしながら、薄型にした高屈
折率のプラスチック基材の表面の硬度を向上させるため
に、その表面にハードコート層を形成させると、プラス
チック基材の屈折率とハードコート層の屈折率との差が
大きく異なるため、ハードコート層の屈折率とプラスチ
ック基材の屈折率との差に起因する反射光が生じてしま
う。
【0009】また、一般に、ハードコート層を形成させ
たプラスチックレンズの表面反射を抑止するために、更
に無機物によって反射防止層を形成させているが、この
ハードコート層と反射防止層との境界でも反射光が生じ
ている。そのため、前述したハードコート層の屈折率と
プラスチック基材の屈折率との差に起因する反射光と、
このハードコート層と反射防止層との境界で生じた反射
光とが干渉してしまい、分光反射特性におけるリップル
が発生するために反射防止性能が劣るという難点があっ
た。
【0010】また、一般に、ハードコート層は有機系の
物質から形成されているが、膜を形成させる方法として
ディッピング法、スピンコート法等が用いられている。
これらの方法ではレンズ表面での膜厚を一様にすること
が難しく、そのためリップルが干渉縞となって現われ、
反射防止性能の悪化だけでなく、外観上も著しく劣ると
いう難点を生じる。
【0011】そのため、従来よりこのような干渉縞を見
えにくくする方法が提案されている。例えば、特開平4
−366801号には、プラスチック基材と有機系ハ−
ドコ−ト層との間に、λ/4の膜厚の有機系のプライマ
ー層を挟んだプラスチックレンズが提案されている。こ
れは、反射防止コート後の耐衝撃性にも優れ、耐候性の
良好なプラスチックレンズを提供するものであるが、有
機系の物質で膜厚がλ/4の薄い層の膜を形成させるこ
とは非常に困難であり、この発明は実用性に乏しいもの
である。
【0012】本発明は、このような問題点を解決するた
めのものであって、プラスチック基材(高い屈折率を備
えたプラスチック基材)の表面に、ハードコート層、及
び反射防止層を形成させた時に、反射防止性能に優れ、
干渉縞の発生を抑えた光学物品を提供することを目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
請求項1の本発明は、プラスチック基材上に少なくとも
無機物からなるハードコート層及び該ハードコート層上
に単層又は多層の反射防止層を有する光学物品におい
て、前記基材の表面と前記ハードコート層との間に単層
又は多層のプレコート層を備えたものである。
【0014】また、請求項2の本発明は、請求項1に記
載した光学物品において、前記プレコート層が無機物よ
りなることを特徴とするものである。
【0015】更に、請求項3の本発明は、請求項2に記
載した光学物品において、前記プレコート層が、金属あ
るいは半金属の酸化物、フッ化物、ケイ化物、硫化物か
ら選ばれた一種以上の物質からなることを特徴とするも
のである。
【0016】請求項4の本発明は、請求項1〜3に記載
した光学物品において、前記反射防止層を有する光学物
品がプラスチックレンズであるものである。
【0017】更に、請求項5の本発明は、請求項1〜4
に記載した光学物品において、前記プラスチック基材の
屈折率をn1 、前記ハードコート層の屈折率をn2
し、設計中心波長をλとした時、前記プレコート層は、
その屈折率が(n1 ×n21/ 2 であると共に、膜厚が
λ/4であることを特徴とするものである。
【0018】
【作用】本発明は、上記のように構成されているため、
以下の作用を奏する。請求項1の本発明は、プラスチッ
ク基材上に少なくとも無機物からなるハードコート層及
び該ハードコート層上に単層又は多層の反射防止層を有
する光学物品において、前記基材の表面と前記ハードコ
ート層との間に単層又は多層のプレコート層を備えてい
る。
【0019】このプレコート層は、好ましくは、プラス
チック基材の屈折率とハードコート層の屈折率との間の
値の屈折率を備えたものがよい。このような層を設ける
ことによって、ハードコート層の屈折率とプラスチック
基材の屈折率との差に起因する反射光の発生を少なくす
ることができ、プラスチック基材とハードコート層との
間で生じた反射光と、ハードコート層と反射防止層との
間で生じた反射光とが干渉するために発生する干渉縞の
影響を少なくすることができる。
【0020】また、プレコート層を単層又は多層で構成
させることによって、前記反射光の発生防止に有効な屈
折率を備えるように自由に調節することができる。例え
ば、異なる屈折率を持つ二種類以上の物質を混合してプ
ラスチック基材の屈折率とハードコート層の屈折率との
間の値の屈折率を備えるように調整し、これを一層のプ
レコート層として形成させてもよい。
【0021】また別の例として、低屈折率物質からなる
薄膜と高屈折率物質または中屈折率物質からなる薄膜と
を多層に構成させることによって、全体として目的とす
る屈折率を備えるプレコート層を形成させるようにして
もよい。このようにプレコート層を多層に構成させる
と、分散が少なくなるので好ましい。
【0022】プレコート層を多層で構成させることで、
例えば、ハードコート層の屈折率とプラスチック基材の
屈折率との間の値の屈折率を備える実用的な物質が存在
しないか、又は、入手困難である等のようにプレコート
層が一層で形成させることが難しい場合であっても、入
手可能な物質を用いて低コストで簡単にプレコート層を
得ることができる。
【0023】このようにして形成させたプレコート層の
上にハードコート層、反射防止層を設けて得られた光学
物品は、分光反射特性におけるリップルが発生せず、光
学的に良好なものが得られる。光学物品としては、例え
ば、プラスチックレンズ、プラスチックミラー、プラス
チックプリズム等のプラスチック物で構築できる光学物
品であれば特に限定しない。
【0024】また、請求項2の本発明は、前記プレコー
ト層が無機物であるものとしている。一般に、有機物で
膜厚が薄い層の膜を形成させると、表面での膜厚を一様
にすることが難しく、そのためリップルが干渉縞となっ
て現われるなどの難点があるが、無機物で膜厚が薄い層
の膜を形成させる場合は、有機物で薄膜を形成させる場
合に比べて簡単に表面での膜厚を一様にすることができ
る。
【0025】無機物で膜厚が薄い層の膜を形成させる方
法としては、選択した無機物を溶剤に溶かし、この溶液
をスプレー塗布や、刷毛塗り又は浸漬等により基材表面
に塗布した後、溶剤を除去して膜を形成させる方法や、
選択した無機物を溶剤に溶かし(又はそのまま)、この
溶液中の無機物(又は無機物)が蒸気となるような圧力
をかけた密閉容器内で、基材を回転させながら選択した
無機物を蒸着させて膜を形成させる方法など、一般に薄
膜を形成させるために用いられ且つ形成させた膜が一様
になる方法であれば、特に限定しない。
【0026】しかしながら、前者で述べたような、ディ
ッピング法などの浸漬塗布法、スプレー法、スピンコー
ト法等の表面塗布法では、形成させた膜の表面を均一に
且つ極薄くすることが難しいため、後者で述べたよう
な、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリ
ング法等の蒸着法を用いることが好ましい。また、真空
蒸着法においては、イオンアシスト法を併用すると、よ
り耐久性の高い膜を得ることができる。
【0027】更に、このようにして形成させた無機物か
らなるプレコート層は、ハードコート層の屈折率とプラ
スチック基材の屈折率との差に起因する反射光の発生を
少なくするために十分な光学特性を持たせることができ
ると共に、表面での膜厚が一様であるので、リップルの
発生を防止して、外観上も良好な光学物品を得ることが
できる。
【0028】更に、請求項3の本発明では、前記プレコ
ート層が、金属あるいは半金属の酸化物、フッ化物、ケ
イ化物、硫化物から選ばれた一種以上の物質からなるも
のとしている。具体的に例を挙げると、低屈折率物質と
しては、SiO2 、MgF2、中屈折率物質としては、
Al23 、SiOx 、高屈折率物質としては、ZrO
2 、TiO2 、Ta25 、CeO2 、HfO2 、Pr
611、Y23 、ZnS等、またはこれらの混合物を
挙げることができる。
【0029】更に、請求項4の本発明では、前記反射防
止層を有する光学物品がプラスチックレンズであるもの
としている。すなわち、ガラスレンズ又は従来より用い
られているプラスチックレンズに代わるものとして、本
発明の光学物品を用いることができる。
【0030】つまり、プラスチックレンズ基材の表面
に、無機物からなるプレコート層を形成させることによ
って、プレコート層の上にハードコート層、或はハード
コート層と反射防止層を形成させた場合であっても、レ
ンズ基材の屈折率とその上に形成させるハードコート層
の屈折率との差に起因する反射光を防止することができ
る。
【0031】そのため、前記反射光と、ハードコート層
と反射防止層との間で発生する反射光とが干渉して干渉
縞となって現れるという問題がなく、良好な光学特性を
備えたプラスチックレンズを得ることができる。
【0032】また、このプレコート層は無機物を蒸着し
て形成させたものが好ましく、これにより、簡単に表面
での膜厚が一様なプレコート層を得ることができると共
に、、膜厚の不均一さに起因してリップルが生じないた
め、このリップルが干渉縞となって現われることなく、
光学的に良好なプラスチックレンズを得ることができ
る。
【0033】また、本発明の請求項5では、前記プラス
チック基材の屈折率をn1 、前記ハードコート層の屈折
率をn2 とし、設計中心波長をλとした時、前記プレコ
ート層は、その屈折率が(n1 ×n21/2 であると共
に、膜厚がλ/4であるものとしている。
【0034】即ち、レンズ基材およびハードコート層の
屈折率に合わせてプレコート層その屈折率を決定してい
るため、どのような屈折率を備えたレンズ基材およびハ
ードコート層に対しても、最適な屈折率を備えたプレコ
ート層を適時選択して備えさせている。
【0035】このような層を設けることによって、ハー
ドコート層の屈折率とプラスチック基材の屈折率との差
に起因する反射光の発生を防止することができるので、
プラスチック基材とハードコート層との間で生じた反射
光と、ハードコート層と反射防止層との間で生じた反射
光とが干渉するために発生する干渉縞をなくし、外観上
も良好なプラスチックレンズを得ることは勿論、光学特
性も良好なプラスチックレンズを得ることができる。
【0036】
【実施例】以下、実施例を通じて本発明を詳細に説明す
る。 [実施例1]レンズ基材として、屈折率nd=1.60
の市販のプラスチックレンズを用意し、設計の中心波長
λをλ=535nmとして、真空蒸着法により薄膜を形
成させた。この時の条件として、真空容器内の圧力を常
に1.0×10-5torrとなるように調節した真空容
器内でレンズ基材を回転するドームにセットして、プレ
コート膜から順に、ハードコート膜、反射防止膜の真空
蒸着を行った。
【0037】このレンズ基材の表面に、初めにプレコー
ト膜を形成させるが、このプレコート膜は、レンズ基材
と、ハードコート膜との間の反射を防止するための膜で
ある。本実施例1では、プレコート膜として、SiO2
層とAl23 層とからなる二層構造の膜を形成させて
いる。SiO2 層は、レンズ基材側から順に数えた時の
第一層にあたる層で、屈折率が1.47であり、光学的
膜厚が0.09λとなるまで真空蒸着させた。
【0038】SiO2 層形成後、レンズ基材側から順に
数えて第二層にあたる層であるAl23 層を形成させ
た。このAl23 層は、屈折率が1.62であり、光
学的膜厚が0.07λとなるまで真空蒸着させた。
【0039】更に、プレコート膜形成後、ハードコート
膜を形成させるが、このハードコート膜は、プラスチッ
クレンズの表面硬度を上げるための膜である。表面硬度
を上げるためには、0.5〜5.0μm程度の膜厚が必
要である。なぜなら膜厚が、0.5μm以下では十分な
硬度が得られず、5.0μm以上では、成膜時にレンズ
の温度が上昇し、変形、クラック等の問題が発生するた
めである。
【0040】一般に、プラスチックレンズは熱に弱いた
めに、ハードコート層としては、低温で成膜しても硬度
が高く、さらに成膜時にも温度が上がらない物質を選ば
なければならない。そのため、この層に用いる物質とし
ては、SiO2 が適当であり、本実施例1においてもS
iO2 をハードコート膜として用いている。
【0041】ハードコート膜であるSiO2 層は、レン
ズ基材側から順に数えた時の第三層にあたる層で、屈折
率が1.47であり、物理的膜厚が1.0μmとなるま
で真空蒸着させた。
【0042】更に、ハードコート膜の上に、ハードコー
ト膜と空気との間の反射を防止する反射防止膜を形成さ
せている。反射防止膜の構成はどのようなものでもよい
が、反射防止膜の耐久性等を考慮すると、層数が多いも
のはあまり好ましくない。好ましくは、光学的膜厚が、
λ/4、λ/2、λ/4あるいはλ/4、λ/4、λ/
4で構成されるものがよい。この場合、中屈折率のλ/
4層は、低屈折率物質と高屈折率物質とによって構成さ
れる二〜三層の等価膜で置き換えることが多い。
【0043】本実施例1では、反射防止膜として、Si
2 層とZrO2 層を交互に設けた四層構造の膜を形成
させている。まず、レンズ基材側から順に数えて第四層
にあたる層を、屈折率が2.00のZrO2 を光学的膜
厚が0.12λとなるまで真空蒸着させた。
【0044】更に、その上に、第五層として屈折率が
1.47のSiO2 を光学的膜厚が0.06λとなるま
で真空蒸着させた。第六層は屈折率が2.00のZrO
2 を光学的膜厚が0.25λとなるまで真空蒸着させ、
第七層は、屈折率が1.47のSiO2 を光学的膜厚が
0.25λとなるまで真空蒸着させることによって形成
させた。
【0045】このようにして得られた本実施例1のプラ
スチックレンズの分光反射率特性を、図1に示す。図1
において、縦軸は分光反射率(%)、横軸は波長(n
m)である。
【0046】[実施例2]レンズ基材として、屈折率n
d=1.60の市販のプラスチックレンズを用意し、設
計の中心波長λをλ=535nmとして、真空蒸着法に
より薄膜を形成させた。この時の条件として、真空容器
内の圧力を常に1.0×10-5torrとなるように調
節した真空容器内でレンズ基材を回転するドームにセッ
トして、プレコート膜から順に、ハードコート膜、反射
防止膜の真空蒸着を行った。
【0047】このレンズ基材の表面に、初めにプレコー
ト膜を形成させるが、このプレコート膜は、レンズ基材
と、ハードコート膜との間の反射を防止するための膜で
ある。本実施例2では、プレコート膜として、SiO2
層とAl23 層とからなる三層構造の膜を形成させて
いる。
【0048】レンズ基材側から順に数えた時の第一層に
あたる層は、屈折率が1.62のAl23 層であり、
光学的膜厚が0.50λとなるまで真空蒸着させた。第
二層は屈折率が1.47のSiO2 層であり、光学的膜
厚が0.09λとなるまで真空蒸着させた。更に、第三
層は屈折率が1.62のAl23 層であり、光学的膜
厚が0.07λとなるまで真空蒸着させた。以上の第一
層から第三層までが本実施例2のプレコート膜である。
【0049】プレコート膜形成後、ハードコート膜を形
成させるが、このハードコート膜は、レンズ基材側から
順に数えて第四層にあたる層で、屈折率が1.47のS
iO2 からなる層であり、物理的膜厚が1.0μmとな
るまで真空蒸着させた。更に、ハードコート膜の上に、
ハードコート膜と空気との間の反射を防止する反射防止
膜を形成させている。
【0050】本実施例2では、反射防止膜として、Si
2 層とZrO2 層を交互に設けた四層構造の膜を形成
させている。まず、レンズ基材側から順に数えて第五層
にあたる層を、屈折率が2.00のZrO2 を光学的膜
厚が0.12λとなるまで真空蒸着させた。
【0051】更に、その上に、第六層として屈折率が
1.47のSiO2 を光学的膜厚が0.06λとなるま
で真空蒸着させた。第七層は屈折率が2.00のZrO
2 を光学的膜厚が0.25λとなるまで真空蒸着させ、
第八層は、屈折率が1.47のSiO2 を光学的膜厚が
0.25λとなるまで真空蒸着させることによって形成
させた。
【0052】このようにして得られた本実施例2のプラ
スチックレンズの分光反射率特性を、図2に示す。図2
において、縦軸は分光反射率(%)、横軸は波長(n
m)である。
【0053】[実施例3]レンズ基材として、屈折率n
d=1.60の市販のプラスチックレンズを用意し、設
計の中心波長λをλ=535nmとして、真空蒸着法に
より薄膜を形成させた。この時の条件として、真空容器
内の圧力を常に1.0×10-5torrとなるように調
節した真空容器内でレンズ基材を回転するドームにセッ
トして、プレコート膜から順に、ハードコート膜、反射
防止膜の真空蒸着を行った。
【0054】このレンズ基材の表面に、初めにプレコー
ト膜を形成させるが、このプレコート膜は、レンズ基材
と、ハードコート膜との間の反射を防止するための膜で
ある。本実施例3では、プレコート膜として、SiO2
層とAl23 層とからなる二層構造の膜を形成させて
いる。
【0055】レンズ基材側から順に数えた時の第一層に
あたる層は、屈折率が1.47のSiO2 層であり、光
学的膜厚が0.10λとなるまで真空蒸着させた。第二
層は屈折率が1.62のAl23 層であり、光学的膜
厚が0.05λとなるまで真空蒸着させた。
【0056】更に、プレコート膜形成後、ハードコート
膜を形成させるが、このハードコート膜は、レンズ基材
側から順に数えて第三層にあたる層で、屈折率が1.4
7のSiO2 からなる層であり、物理的膜厚が1.0μ
mとなるまで真空蒸着させた。
【0057】更に、ハードコート膜の上に、ハードコー
ト膜と空気との間の反射を防止する反射防止膜を形成さ
せている。本実施例2では、反射防止膜として、SiO
2 層とZrO2 層を交互に設けた四層構造の膜を形成さ
せている。まず、レンズ基材側から順に数えて第五層に
あたる層を、屈折率が2.00のZrO2 を光学的膜厚
が0.12λとなるまで真空蒸着させた。
【0058】更に、その上に、第五層として屈折率が
1.47のSiO2 を光学的膜厚が0.06λとなるま
で真空蒸着させた。第六層は屈折率が2.00のZrO
2 を光学的膜厚が0.25λとなるまで真空蒸着させ、
第七層は、屈折率が1.47のSiO2 を光学的膜厚が
0.25λとなるまで真空蒸着させることによって形成
させた。
【0059】このようにして得られた本実施例3のプラ
スチックレンズの分光反射率特性を、図3に示す。図3
において、縦軸は分光反射率(%)、横軸は波長(n
m)である。
【0060】[比較例1]レンズ基材として、屈折率n
d=1.60の市販のプラスチックレンズを用意し、設
計の中心波長λをλ=535nmとして、真空蒸着法に
より薄膜を形成させた。この時の条件として、真空容器
内の圧力を常に1.0×10-5torrとなるように調
節した真空容器内でレンズ基材を回転するドームにセッ
トして、ハードコート膜の真空蒸着を行った後、反射防
止膜の真空蒸着を行った。
【0061】このレンズ基材の表面に、初めにハードコ
ート膜を形成させるが、このハードコート膜は、プラス
チックレンズの表面硬度を上げるための膜である。レン
ズ基材側から順に数えて第一層にあたる層のハードコー
ト膜は、屈折率が1.47のSiO2 からなる層であ
り、物理的膜厚が1.0μmとなるまで真空蒸着させ
た。
【0062】更に、ハードコート膜の上に、ハードコー
ト膜と空気との間の反射を防止する反射防止膜を形成さ
せている。本比較例1においても前述した実施例1、実
施例2及び実施例3と同様に、反射防止膜として、Si
2 層とZrO2 層を交互に設けた四層構造の膜を形成
させている。まず、レンズ基材側から順に数えて第二層
にあたる層を、屈折率が2.00のZrO2 を光学的膜
厚が0.12λとなるまで真空蒸着させた。
【0063】更に、その上に、第三層として屈折率が
1.47のSiO2 を光学的膜厚が0.06λとなるま
で真空蒸着させた。第四層は屈折率が2.00のZrO
2 を光学的膜厚が0.25λとなるまで真空蒸着させ、
第五層は、屈折率が1.47のSiO2 を光学的膜厚が
0.25λとなるまで真空蒸着させることによって形成
させた。
【0064】このようにして得られた本比較例1のプラ
スチックレンズの分光反射率特性を、図4に示す。図4
において、縦軸は分光反射率(%)、横軸は波長(n
m)である。
【0065】[比較例2]レンズ基材として、屈折率n
d=1.56の市販のプラスチックレンズを用意し、設
計の中心波長λをλ=535nmとして、真空蒸着法に
より薄膜を形成させた。この時の条件として、真空容器
内の圧力を常に1.0×10-5torrとなるように調
節した真空容器内でレンズ基材を回転するドームにセッ
トして、ハードコート膜の真空蒸着を行った後、反射防
止膜の真空蒸着を行った。
【0066】このレンズ基材の表面に、初めにハードコ
ート膜を形成させるが、このハードコート膜は、プラス
チックレンズの表面硬度を上げるための膜である。レン
ズ基材側から順に数えて第一層にあたる層のハードコー
ト膜は、屈折率が1.47のSiO2 からなる層であ
り、物理的膜厚が1.0μmとなるまで真空蒸着させ
た。
【0067】更に、ハードコート膜の上に、ハードコー
ト膜と空気との間の反射を防止する反射防止膜を形成さ
せている。本比較例2においても前述した実施例1、実
施例2及び実施例3と同様に、反射防止膜として、Si
2 層とZrO2 層を交互に設けた四層構造の膜を形成
させている。まず、レンズ基材側から順に数えて第二層
にあたる層を、屈折率が2.00のZrO2 を光学的膜
厚が0.12λとなるまで真空蒸着させた。
【0068】更に、その上に、第三層として屈折率が
1.47のSiO2 を光学的膜厚が0.06λとなるま
で真空蒸着させた。第四層は屈折率が2.00のZrO
2 を光学的膜厚が0.25λとなるまで真空蒸着させ、
第五層は、屈折率が1.47のSiO2 を光学的膜厚が
0.25λとなるまで真空蒸着させることによって形成
させた。
【0069】このようにして得られた比較例2のプラス
チックレンズの分光反射率特性を、図5に示す。図5に
おいて、縦軸は分光反射率(%)、横軸は波長(nm)
である。
【0070】以上示した図1から図5よりも明らかなよ
うに、本発明の実施例1、実施例2及び実施例3のプラ
スチックレンズには、分光反射特性におけるリップルが
発生せず、比較例1、比較例2のプラスチックレンズに
は、いずれも分光反射特性におけるリップルが発生して
いる。
【0071】このように、プラスチックレンズ(薄型の
高い屈折率を備えたプラスチックレンズ)の表面にハー
ドコート層、及び反射防止層を形成させた時に、本発明
のプラスチックレンズは、プレコート層を形成させてい
るため、反射防止性能に優れ、干渉縞の発生を抑えたも
のとなっている。
【0072】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、プラスチ
ック基材(高い屈折率を備えたプラスチック基材)の表
面に、ハードコート層、及び反射防止層を形成させた時
に、反射防止性能に優れ、干渉縞の発生を抑えた光学物
品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例におけるプラスチックレン
ズの分光反射率特性を示す線図である。
【図2】本発明の第二実施例におけるプラスチックレン
ズの分光反射率特性を示す線図である。
【図3】本発明の第三実施例におけるプラスチックレン
ズの分光反射率特性を示す線図である。
【図4】比較例1として挙げた従来のプラスチックレン
ズの分光反射率特性を示す線図である。
【図5】比較例2として挙げた従来のプラスチックレン
ズの分光反射率特性を示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 一記 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 板垣 茂男 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材上に少なくとも無機物
    からなるハードコート層及び該ハードコート層上に単層
    又は多層の反射防止層を有する光学物品において、 前記基材の表面と前記ハードコート層との間に単層又は
    多層のプレコート層を備えたことを特徴とする反射防止
    層を有する光学物品。
  2. 【請求項2】 前記プレコート層が無機物よりなること
    を特徴とする請求項1に記載の光学物品。
  3. 【請求項3】 前記プレコート層が、金属あるいは半金
    属の酸化物、フッ化物、ケイ化物、硫化物から選ばれた
    一種以上の物質からなることを特徴とする請求項2に記
    載の光学物品。
  4. 【請求項4】 前記反射防止層を有する光学物品がプラ
    スチックレンズであることを特徴とする請求項1〜3に
    記載の光学物品。
  5. 【請求項5】 前記プラスチック基材の屈折率をn1
    前記ハードコート層の屈折率をn2 とし、設計中心波長
    をλとした時、 前記プレコート層は、その屈折率が(n1 ×n21/2
    であると共に、膜厚がλ/4であることを特徴とする請
    求項1〜4に記載の光学物品。
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