JPH07267822A - 絹フィブロイン・ムコ多糖類複合顔料及びその製造法 - Google Patents

絹フィブロイン・ムコ多糖類複合顔料及びその製造法

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JPH07267822A
JPH07267822A JP8242694A JP8242694A JPH07267822A JP H07267822 A JPH07267822 A JP H07267822A JP 8242694 A JP8242694 A JP 8242694A JP 8242694 A JP8242694 A JP 8242694A JP H07267822 A JPH07267822 A JP H07267822A
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mucopolysaccharide
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Kiyoshi Otoi
清 音居
Osami Yamamoto
修身 山本
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KANEBO SILK EREGANSU KK
Kanebo Ltd
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KANEBO SILK EREGANSU KK
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高機能の保湿性能を持つムコ多糖類を吸蔵して
いる絹フィブロイン複合顔料であって、高温高湿条件で
ムコ多糖類の溶出が無い化粧料基剤、及びそれを工業的
有利に製造する手段を提供する。 【構成】本発明の絹フィブロイン複合顔料はムコ多糖類
の高保湿機能を保持したままこれに適度の耐水性を付与
するため、ムコ多糖類と絹フィブロインが共晶体を形成
しさらに該絹フィブロインが熱水不溶性(β型)である
ことを特徴とする。又、その製法としては絹フィブロイ
ンとムコ多糖類の混合水溶液、又はこれに基体顔料を加
えた混合分散液を凍結乾燥してこれの共晶体を生成さ
せ、該共晶体を湿熱処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はムコ多糖類等の機能性成
分を絹フィブロインに吸蔵分散させた、特に化粧料基剤
に好適な複合顔料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】蛋白質微粉末、殊に再生絹フィブロイン
微粉末(シルクパウダー)は、その適度の吸湿性及び保
湿性、皮膚に対する優れた親和性、良好な親水性と親油
性のバランス、更には紫外線吸収性等の特性を有し、従
来から主としてメーキャップ化粧料基剤に添加使用され
ている(特公昭58−88449号公報)。
【0003】又、本発明者等は上述の絹フィブロインの
好ましい性質を活用して、再生絹フィブロイン皮膜によ
り、一般的な顔料の粒子表面を実質的に被覆することに
よる、付着性、伸展性、分散性、被覆性、吸油性、親水
性と親油性のバランス、発汗防止性、感触、皮膚保護
性、染色性等に著しく優れた塗料及び化粧料顔料(絹フ
ィブロイン被覆顔料)及びその製造法を特公昭57−1
1577号公報として提供した。
【0004】近年、化粧料の高級化に伴い、顔料につい
ても従来の一般的な機能では不充分で、より広範で高度
ないわゆる高機能が要求されていて、シルクパウダーや
絹フィロイン被覆顔料についても前述の機能のみではも
はや満足されないのが実情である。
【0005】顔料の高機能化の一手法として、顔料と高
機能成分との複合化を図ることが考えられるが、化粧料
基剤顔料として複合化が最も望まれる機能は紫外線遮蔽
効果と高い保湿効果であり、前者については先に油性体
吸蔵再生蛋白質微粉末及びその製造法として提案した
(特公昭61−92695号公報)。
【0006】ムコ多糖類、特にヒアルロン酸及びコンド
ロイチン硫酸及びこれ等のアルカリ塩は皮膚などの細胞
間隙中で蛋白質と特殊な方法で結合して存在し、組織の
水分、潤滑性、柔軟性等の保持効果がある。ムコ多糖類
は自重の数百〜数千倍の水分を包含できると言われてい
て、その保水力により皮膚などに潤いを与えている。従
って、化粧料基剤顔料と保水成分としてのムコ多糖類の
複合化は化粧料の高機能化の手法として優れた効果が期
待できる。この場合、製造工程中の水や化粧料使用時の
汗での溶出や顔料の粘結を回避するために、ムコ多糖類
に適度の耐水性を付与して常温水難溶性化するのが望ま
しい。その意味でムコ多糖類及びそれ等の塩の単なる混
合物は不適当である。
【0007】本発明者等は先に基体顔料の粒子表面が、
酸性ムコ多糖類と長鎖第4級アンモニウム型カチオン活
性剤との塩を分散吸蔵している絹フィブロインにより被
覆されていることを特徴とする絹フィブロイン被覆顔料
を提案した(特開平1−144469号公報)。該顔料
は絹フィブロイン、ムコ多糖類、第4級アンモニウムの
間の相互作用を利用して複合体を形成せしめたものであ
る。
【0008】即ち、該発明の酸性ムコ多糖類絹フィブロ
イン被覆顔料は、絹フィブロイン皮膜がムコ多糖類第4
級アンモニウム塩を、好ましくは微小粒子状に、分散吸
蔵している構造であり、その為、該塩を高率で内蔵した
被覆顔料であるにもかかわらず高温高湿の環境下でも該
塩の溶出が無く、顔料の粘結団粒化が惹起されないもの
と考えられる。
【0009】しかしながら、長鎖第4級アンモニウム型
活性剤は化粧料の表示成分であり、これを配合すること
は化粧料の商品企画上若干の問題がある。
【0010】
【発明が解決しょうとする課題】本発明者等は、絹フィ
ブロインとムコ多糖類の相互作用に付き鋭意研究した結
果、本発明を完成したものである。本発明の目的とする
ところは、高機能の保湿性能を持つムコ多糖類を吸蔵し
ていて、しかも吸蔵の手段として長鎖第4級アンモニウ
ム等の表示成分を用いることなくこれを実現し、その上
で得られた絹フィブロイン・ムコ多糖類複合体又は該複
合体による基体顔料の被覆顔料が高温高湿の環境に曝さ
れても、皮膚上での付着性、伸展性、隠蔽性、分散性、
親水性と親油性のバランス、発汗防止性、感触、皮膚保
護性に優れた、化粧料顔料として極めて有用な複合顔料
を提供することにある。さらに他の目的は斯かる複合顔
料を工業的有利に製造する方法を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は絹フィブ
ロインとムコ多糖類とが共晶体の形で複合した絹フィブ
ロイン・ムコ多糖類複合顔料又は基体顔料の粒子表面が
該共晶体より成る皮膜により被覆されている絹フィブロ
イン・ムコ多糖類被覆複合顔料であって、絹フィブロイ
ンの少なくとも50重量%が熱水不溶性の再生絹フィブ
ロイン(β型)であり、ムコ多糖類組成が0.1〜20
重量%、基体顔料量が絹フィブロイン量の20倍以下で
あることを特徴とする絹フィブロイン・ムコ多糖類複合
顔料であり、本発明方法は絹フィブロイン水溶液に、ム
コ多糖類を溶解し、又はさらに該溶解液に基体顔料を混
合分散させ、得られた混合液をを凍結乾燥し、該凍結乾
燥で生成した絹フィブロインとムコ多糖類の共晶体を8
0℃以上の飽和水蒸気により湿熱処理(β化)すること
を特徴とする、ムコ多糖類組成が0.1〜20重量%、
基体顔料量が絹フィブロイン量の20倍以下、絹フィブ
ロインの50重量%以上が熱水不溶性の再生絹フィブロ
インである絹フィブロイン・ムコ多糖類複合顔料の製造
法である。
【0012】本発明は要するに、絹フィブロインとムコ
多糖類をその水溶液から共晶体の形で析出させ、さらに
得られた共晶体を湿熱処理し該絹フィブロインを熱水不
溶性変性(β化)させることで両成分を部分架橋(β
化)させ、その結果としてムコ多糖類に適度の耐水性を
付与し、化粧料の製造工程中の水や使用時の汗でのムコ
多糖類の溶出や顔料の粘結を回避するにある。
【0013】得られた絹フィブロイン・ムコ多糖類複合
顔料はシルクパウダーや絹フィブロイン被覆顔料の化粧
料基剤としての特性である付着性、伸展性、隠蔽性、分
散性、親水性と親油性のバランス、発汗防止性、感触、
皮膚保護性等の優れた機能及びムコ多糖類の機能である
保水効果による高保湿機能を合わせ持った顔料である。
【0014】上述の共晶体及びその製造方法は一見通常
の加熱濃縮・乾燥方法で簡単に実施できそうに見える。
しかしながら絹フィブロインとムコ多糖類の混合水溶液
を加熱濃縮していった場合、両者の水溶解度の差からま
ず絹フィブロインの粒状物〜粘稠物がムコ多糖類と分離
した形で析出し、最終的に絹フィブロインとムコ多糖類
は共晶体を形成せず、両者の単なる粗粉体の混合物が得
られる。該粗粉体の混合物を微粉砕後湿熱処理しても絹
フィブロインとムコ多糖類は部分架橋せず(絹フィブロ
インのみのβ化)、該微粉体を配合した化粧料はその製
造工程中の水や使用時の汗で、ムコ多糖類が溶出粘結し
化粧料基剤として不適当である。
【0015】本発明において、絹フィブロインとムコ多
糖類の共晶体を凍結乾燥によって製造し、その共晶体を
湿熱処理で部分架橋(β化)させるのが技術のポイント
である。
【0016】本発明の絹フィブロイン成分は平均分子量
として5万以上の再生絹フィブロインであることが、得
られた該複合顔料の化粧料基剤としての要求特性から好
ましい。
【0017】本発明に適用するムコ多糖類としては、特
に限定されるものではないが、ヒアルロン酸、デルマタ
ン硫酸、コンドロイチン硫酸又はヘパラン硫酸およびそ
れ等のアルカリ塩及びこれ等の組合せが好ましい。
【0018】複合顔料中のムコ多糖類組成は0.1〜2
0重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
ムコ多糖類が0.1重量%未満の場合、ムコ多糖類の機
能がほとんど認められない粉体となり易く、又、20重
量%を越す場合複合顔料がムコ多糖類を吸蔵しきれずに
溶出し該複合顔料の表面に滲み出して粉体が団子状に固
まったり、化粧料基剤としての平滑性や分散性等の性能
が低下する傾向を示す。
【0019】即ち、ムコ多糖類の量が複合顔料の20重
量%以下である場合、驚くべきことに、例えば50℃×
65%R.H.の温湿度条件で一昼夜放置しても、粉体
の粘結は全く認められず、絹フィブロイン顔料特有の極
めて良好な感触を完全に保持しており好適である。
【0020】比較として、ムコ多糖類を混合せずに絹フ
ィブロイン水溶液のみを凍結乾燥して製造した絹フィブ
ロイン微粉末に、後からムコ多糖類アルカリ塩の微粉末
を均一に混合し、これを湿熱処理した単なる混合顔料の
場合、ムコ多糖類が複合顔料の0.1重量%以下でも、
例えば50℃×65%R.H.の温湿度条件で1昼夜放
置するとき、粉体は顕著に粘結して粗硬な感触のものに
変化している。
【0021】本発明における被覆複合顔料の基体顔料と
しては、化粧料用の白色顔料、体質顔料、パール顔料等
の総称であって、例えばタルク、カオリン、マイカ、酸
化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグ
ネシウム、ケイ酸マグネシウム、有機顔料、又はそれ等
の混合物を挙げることができ、一種又は二種以上組み合
わせて適用される。基体顔料の平均粒径は通常0.03
〜20μである。
【0022】本発明における被覆複合顔料の基体顔料は
絹フィブロイン・ムコ多糖類の共晶体より成る皮膜によ
り被覆されていて、前述のような両者の機能により基体
顔料は化粧料基剤としてより好ましく改質される。基体
顔料の絹フィブロイン量に対する割合は0〜20倍、よ
り好ましくは0〜10倍である。20倍を越えると絹フ
ィブロインによる基体顔料の改質効果は認められない。
【0023】本発明に適用する絹フィブロイン原料とし
ては、繭、生糸、繭屑、生糸屑、ビス、キキ、揚り綿、
絹布屑、ブーレット等を、常法に従い活性剤又は酵素の
存在下温水中で処理しセリシンを除去し乾燥した精練絹
を使用する。
【0024】本発明方法において、絹フィブロイン原料
は、例えば特公昭58−88449号公報記載の方法で
溶解するが、溶媒としてはコスト及び使用上の点からカ
ルシウム又はマグネシウム或いは亜鉛の塩酸塩又は硝酸
塩の水溶液が好ましい。又これ等の水溶液の塩濃度は使
用する溶媒の種類、溶解温度等により異なるが、金属塩
等の濃度は通常10〜80重量%、好ましくは20〜7
0重量%、特に好ましくは25〜60重量%である。
【0025】絹フィブロイン水溶液は、透析脱塩して絹
フィブロイン原料の溶解に使用した塩酸塩又は硝酸塩を
完全に除去することが好ましい。
【0026】本発明方法に使用する絹フィブロイン水溶
液の濃度は通常2.0重量%以上である。2.0%未満
では後工程の凍結乾燥の生産性が低く経済的でない。但
し、12重量%程度を越えた濃度で凍結乾燥する場合は
透析脱塩で得られた絹フィブロイン水溶液を濃縮する必
要がある。
【0027】本発明方法は絹フィブロイン、ムコ多糖類
の混合水溶液又は該混合水溶液に基体顔料を加えた混合
分散液を凍結乾燥する。凍結乾燥は通常の凍結乾燥機に
より実施し得る。例えば該混合液を浅いバツト状の容器
に、深さ5〜10mmになるよう注入し、全体を一旦−
20〜−40℃に急冷して凍結させる。これを凍結乾燥
機のチャンバー中の棚に複数段挿入し、初期は0.5t
orr程度、終了時は0.05torr程度の減圧下で
乾燥する。減圧乾燥中は棚に埋め込んだヒータで気化熱
を補給し、凍結物の温度を適当な範囲(共晶点)に調節
する。かくして得られた乾燥物は、絹フィブロインとム
コ多糖類又は/及び基体顔料が柔らかくケーキ状に固ま
ったものである。
【0028】本発明方法においては、得られた乾燥物の
絹フィブロインを熱水不溶性変性(β化)し絹フィブロ
インとムコ多糖類とを部分架橋(β化)せしめ、ムコ多
糖類に適度の耐水性を付与する目的で続いてケーキ状物
の湿熱処理を実施する。
【0029】湿熱処理は80℃〜120℃の飽和水蒸気
で加熱処理する方法で実施する。湿熱処理の効果は顕著
であり、例えば50℃×65%R.H.の温湿度条件で
ケーキ状物を一昼夜放置した場合、湿熱処理前のケーキ
状物が粘結質に変化し微粉砕が困難であったのに対し、
湿熱処理後のケーキ状物はコーヒーミル程度の簡単な粉
砕で容易に微粉砕された。但し、複合顔料中のムコ多糖
体組成が20重量%を越えた場合、複合顔料がムコ多糖
体を吸蔵しきれないためケーキ状物は粘結質に変化し
た。
【0030】かくして得られた湿熱処理後の乾燥物は、
ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を使用すること
により容易に微粉末化される。その粒子径(平均粒子
径)は通常0.5〜100μ、好ましくは1〜60μ、
特に好ましくは3〜30μに調整される。平均粒径が1
00μよりも大きくなると、皮膚に対する付着性、親和
性、伸展性が悪くなりやすい。
【0031】さらに本発明の複合顔料中の絹フィブロイ
ンは、該湿熱処理の効果により、少なくとも50重量
%、好ましくは90重量%が熱水不溶性の絹フィブロイ
ン(β型構造)である。50重量%未満ではムコ多糖類
の耐水性が不十分であるばかりでなく、絹フィブロイン
の親水性が極度に強くなり水や汗で粘着、粘結を起こし
て粉体粒子が二次凝固(粒子が凝集して巨大粒子とな
る)して水分散媒(水系の化粧料)や油分散媒(油系の
化粧料)の中で分散性が低下しやすい。又、塗付時の伸
び、感触等が悪くなる。
【0032】
【実施例】以下実施例で本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中の熱水不溶性絹フィブロインとは、100
℃の熱水中で15分間煮沸しても溶解しない絹フィブロ
インを言う(実際には煮沸で溶解した絹フィブロインを
定量して計算量の全絹フィブロインから差し引く。この
場合、ムコ多糖類は熱水に全量溶解するとする)。
【0033】実施例1 絹フィブロイン原料として生糸くずを用いて、これの1
00部をマルセル石けん30部、水3000部の溶液で
95〜98℃において3時間攪拌精練し、残膠を0.1
%以下にまで減少させ、水洗後80℃で熱風乾燥した。
一方、塩化カルシウム(CaCl2 ・2H2 O)100
部に水100部を混合して38重量%の塩化カルシウム
水溶液200部を調整して110℃に加熱した。これに
精練ずみの生糸くず40部をニーダーを用いて5分間で
攪拌しながら投入後、さらに30分間攪拌し完全に溶解
させた。
【0034】次に、内径200μ、膜厚20μ、長さ5
00mmの再生セルロース系中空糸を2000本束ね、
これの両端を中空穴を閉塞することなく集束固定(シー
ル)したホローファイバー型の透析装置を用いて、前記
溶解液を0.3l/時間の割合で流入させて脱イオン水
を用いて透析し絹フィブロイン水溶液を得た。該水溶液
の絹フィブロイン濃度は10.0重量%で、残留塩化カ
ルシウムは0.001重量%であった。
【0035】該絹フィブロイン水溶液950grにヒア
ルロン酸ナトリウム5.0grを混合し、該混合水溶液
を30cm×44cmのトレーに深さ約7.5mm注入
し凍結乾燥した。凍結乾燥は該水溶液を−30℃に急冷
し凍結せしめた。これを乾燥初期は0.5torr、終
了時点では0.05torr程度の通常の凍結乾燥で乾
燥し、約8時間の乾燥の結果、純白で柔らかく均質なケ
ーキ状の絹フィブロインとヒアルロン酸の共晶体10
3.5grを得た(対絶乾量での計算値:ムコ多糖類5
重量%、絹フィブロイン95重量%)。
【0036】次に該ケーキ状の共晶体を115℃の飽和
水蒸気で湿熱処理し(β化)、続いてこれをジェットミ
ルで粉砕し、平均粒径8.5μの微粉末にし絹フィブロ
イン・ムコ多糖類複合顔料を得た。
【0037】得られた該複合顔料は皮膚状上での付着
性、伸展性、感触のきわめて良好な粉末で化粧料顔料と
して好適であった。又、熱水不溶性絹フィブロインの割
合(β構造率)は98%であった。さらに、該複合顔料
を50℃×65%R.H.の温湿度条件で24時間放置
した。その結果、該顔料は吸湿し17.5%増量(吸
湿)したが皮膚上での感触等に全く変化はなかった。シ
ルクパウダーの保湿機能の向上に本発明の絹フィブロイ
ン・ムコ多糖類複合が顕著に効果があることが分かる。
【0038】比較例1−1 実施例1で得られた湿熱処理前のケーキ状の共晶体をジ
ェットミルで粉砕し、平均粒径8.3μにした。該複合
顔料の熱水不溶性絹フィブロインの割合は23%で皮膚
上での付着性、伸展性、感触は不良であった。これは熱
水不溶性絹フィブロインの割合が50重量%以下である
為である。又、該複合顔料を50℃×65%R.H.の
温湿度条件で24時間放置した。その結果、該顔料は吸
湿し20.7%増量したが、それと同時に粉体は二次凝
固し感触はさらに粗硬なものに変化していた。絹フィブ
ロインとムコ多糖類を部分架橋(β化)させるために湿
熱セットが必須であることが分かる。
【0039】比較例1−2 実施例1に準じて絹フィブロインとヒアルロン酸ナトリ
ウムの混合水溶液950grを同じトレーに注入し、箱
型乾燥機で時々攪拌しながら常圧で濃縮乾燥した。得ら
れた乾燥物は全体としては褐色半透明の厚さ1mm程の
凹凸の激しいフィルムであった。次いで該乾燥物10
1.0gr(対絶乾量計算値:ムコ多糖類5.0重量
%)を実施例1と同条件で湿熱処理し、ジェットミルで
微粉砕し8.0μの微粉体を得た。該微粉体は皮膚上で
の付着性、伸展性、感触は実施例1と同程度に良好であ
ったが、これを50℃×65%の温湿度条件で24時間
放置した結果、微粉体は二次凝固し、付着性、伸展性、
感触が粗硬で、化粧品基剤として不適当であった。上記
混合水溶液の常圧での濃縮乾燥が共晶体を形成せず、共
晶体でない絹フィブロインとムコ多糖類の単なる混合物
を湿熱セットしても部分架橋(β化)せず、ムコ多糖類
が湿熱条件で溶出し粉体が粘結し粗硬なものになること
が分かる。
【0040】実施例2 実施例1の絹フィブロイン水溶液170grにヒアルロ
ン酸ナトリウム3.0grを溶解し、これに平均粒径
1.0μのアナターゼ型酸化チタン80grを水800
grに混合した分散液を加え、これを実施例1に準じて
凍結乾燥した。得られた乾燥物は100.5grで純白
で柔らかく均質なケーキ状であった(対絶乾量計算値:
絹フィブロイン17重量%、ムコ多糖類3重量%、酸化
チタン80重量%)。
【0041】次ぎに該ケーキ状物を実施例1に準じて湿
熱処理し、続いてジェットミルで微粉砕し平均粒径5.
3μの酸化チタンを基体顔料とする絹フィブロイン・ム
コ多糖類被覆複合顔料を得た。
【0042】得られた該複合顔料は皮膚上での付着性、
伸展性、感触等のきわめて良好な粉末で化粧料顔料とし
て好適であった。又、熱水不溶性絹フィブロインの割合
(β構造率)は100%であった。さらに、該複合顔料
を50℃×65%R.H.の温湿度条件で24時間放置
した。その結果、該複合顔料は10.5%増量(吸湿)
したが皮膚上での感触等には全く変化はなかった。酸化
チタン顔料の保湿機能の改善に本発明の絹フィブロイン
・ムコ多糖類被覆が顕著に効果があることが分かる。
【0043】実施例3及び比較例3 実施例1に準じ、表1に示すムコ多糖類の複合顔料に対
する割合(重量%)で複合顔料を製造した。ムコ多糖類
としてはコンドロイチン硫酸ナトリウムを用いた。得ら
れた絹フィブロイン・ムコ多糖類複合顔料の化粧料基剤
としての評価試験を10人のモニターで実施した。又、
50℃×65%R.H.で24時間放置し増量率(吸湿
率)を測定した。その結果を表1に示す。表1において
比較例3−(1)は通常のシルクパウダーである。比較
例3−(8)の粉体は二次凝固していて粗硬なものであ
った。
【0044】
【表1】
【0045】実施例4及び比較例4 実施例2に準じ、表2に示すムコ多糖類の複合顔料に対
する割合(重量%)で被覆複合顔料を製造した。この場
合、絹フィブロインの該被覆複合顔料中の組成は20重
量%で固定し、ムコ多糖類及び基体顔料の組成を変化さ
せた。ムコ多糖類としてはコンドロイチン硫酸ナトリウ
ム、基体顔料としては平均粒径3μの酸化亜鉛を使用し
た。得られた酸化亜鉛を基体顔料とする絹フィブロイン
・ムコ多糖類被覆複合顔料の化粧料基剤としての評価試
験を10人のモニターで実施した。又、50℃×65%
R.H.で24時間放置し増量率(吸湿率)を測定し
た。その結果を表2に示す。表2において比較例4−
(1)の粉体は通常の絹フィブロイン被覆酸化亜鉛顔料
である。比較例4−(8)は粉体全体が二次凝固してい
て粗硬なものであった。
【0046】
【表2】
【0047】実施例5及び比較例5 実施例2に準じ、表3に示す割合(重量比)で絹フィブ
ロイン・ムコ多糖類被覆複合顔料を製造した。この場
合、ムコ多糖類の該被覆顔料中の組成は10重量%で固
定し、絹フィブロインと基体顔料の組成を変化させた。
ムコ多糖類としてはヒアルロン酸ナトリウム、基体顔料
としては平均粒径1μの酸化チタンを使用した。得られ
た酸化チタンを基体顔料とする絹フィブロイン・ムコ多
糖類被覆複合顔料の化粧料基剤としての評価試験を10
人のモニターで実施した。又、50℃×65%R.H.
で24時間放置し増量率(吸湿率)を測定した。その結
果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】以上の如く、本発明の絹フィブロイン・
ムコ多糖類複合顔料はシルクパウダーや絹フィブロイン
被覆顔料の化粧料基剤としての特性である付着性、伸展
性、感触等のすぐれた機能に加えて、ムコ多糖類の機能
である保水効果による高保湿機能を合わせ持った顔料で
ある。
【0050】即ち、ムコ多糖類が絹フィブロイン顔料に
混合しているだけの単なる混合顔料では、顔料製造中の
水や化粧料使用時の汗でムコ多糖類が溶出し、混合顔料
全体が二次凝固し粗硬なものになるが、本発明の絹フィ
ブロイン・ムコ多糖類複合顔料は、絹フィブロインとム
コ多糖類の共晶体がさらに部分架橋しているため、高温
高湿度条件でもムコ多糖類が溶出することが無く、通常
の絹フィブロイン顔料の化粧料顔料としての好特性に加
えてムコ多糖類の効果が発現する。しかも本発明方法に
よれば該共晶体は絹フィブロインとムコ多糖類の混合水
溶液、又はこれに基体顔料を加えた混合分散液の凍結乾
燥で生成し、該部分架橋は該共晶体の湿熱処理という工
業的有利な方法で実施できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絹フィブロインとムコ多糖類が共晶体の
    形で複合した絹フィブロイン・ムコ多糖類複合顔料又は
    基体顔料の粒子表面が該共晶体より成る皮膜により被覆
    されている絹フィブロイン・ムコ多糖類被覆複合顔料で
    あって、絹フィブロインの少なくとも50重量%が熱水
    不溶性の再生絹フィブロイン(β型)であり、ムコ多糖
    類組成が0.1〜20重量%、基体顔料量が絹フィブロ
    イン量の20倍以下であることを特徴とする絹フィブロ
    イン・ムコ多糖類複合顔料。
  2. 【請求項2】 絹フィブロイン水溶液にムコ多糖類を溶
    解し、又はさらに該溶解液に基体顔料を混合分散させ、
    得られた混合液を凍結乾燥し、該凍結乾燥で生成した絹
    フィブロインとムコ多糖類の共晶体を80℃以上の飽和
    水蒸気により湿熱処理(β化)することを特徴とする、
    ムコ多糖類組成が0.1〜20重量%、基体顔料量が絹
    フィブロイン量の20倍以下、絹フィブロインの50重
    量%以上が熱水不溶性の再生絹フィブロインである絹フ
    ィブロイン・ムコ多糖類複合顔料の製造法。
JP8242694A 1994-03-28 1994-03-28 絹フィブロイン・ムコ多糖類複合顔料及びその製造法 Pending JPH07267822A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013177328A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 Daito Kasei Kogyo Kk ヒアルロン酸被覆処理粉体およびその製造方法並びに化粧料
US12263273B2 (en) * 2018-03-12 2025-04-01 MERZ PHARMA GmbH &CO. KGaA Porous biomaterials for tissue regeneration

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