JPH07278826A - 酸化物系複合被膜を有する低鉄損一方向性珪素鋼板およびその製造方法 - Google Patents

酸化物系複合被膜を有する低鉄損一方向性珪素鋼板およびその製造方法

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JPH07278826A
JPH07278826A JP6073613A JP7361394A JPH07278826A JP H07278826 A JPH07278826 A JP H07278826A JP 6073613 A JP6073613 A JP 6073613A JP 7361394 A JP7361394 A JP 7361394A JP H07278826 A JPH07278826 A JP H07278826A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼板に大きな張力を付与する被膜を表面に有
することで鉄損が低減した一方向性珪素鋼板、およびそ
の製造方法を提供する。 【構成】 表面に酸化マグネシウム−酸化アルミニウム
−酸化珪素系複合被膜、また酸化マグネシウム−酸化ア
ルミニウム−酸化珪素−非晶質酸化物系複合被膜を有す
ることを特徴とする。特に結晶質コーディエライトおよ
び/または結晶質サフィリンを含有した場合に著しい張
力付与効果が得られる。また、酸化マグネシウム前駆体
化合物、酸化アルミニウム前駆体化合物、酸化珪素前駆
体化合物を含む懸濁液を塗布、乾燥後、所定の温度で焼
き付けることを特徴とする製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼板に大きな張力を付
与する被膜を表面に有することで、鉄損が低減された一
方向性珪素鋼板、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性珪素鋼板は、(110),〔0
01〕を主方位とする結晶組織を有し、磁気鉄芯材料と
して多用されており特にエネルギーロスを少なくするた
めに鉄損の小さい材料が求められている。一方向性珪素
鋼板の鉄損を低減する手段としては、仕上げ焼鈍後の鋼
板表面にレーザービームを照射して局部的な歪を与え、
それによって磁区を細分化する方法が特開昭58−26
405号公報に開示されている。また鉄芯加工後の歪取
り焼鈍(応力除去焼鈍)を施した後もその効果が消失し
ない磁区細分化手段が、例えば特開昭62−86175
号公報に開示されている。
【0003】一方で、鉄および珪素を含有する鉄合金は
結晶磁気異方性が大きいため、外部張力を付加すると磁
区の細分化が起こり、鉄損の主要素である渦電流損失を
低下させることができる。したがって、5%以下の珪素
を含有する一方向性珪素鋼板の鉄損の低減には鋼板に張
力を付与することが有効であり、1.5kgf/mm2 程度ま
での張力付与によって効果的に鉄損が低減できることが
知られている。この張力は通常、表面に形成された被膜
によって付与される。
【0004】従来、一方向性珪素鋼板には、仕上げ焼鈍
工程で鋼板表面の酸化物と焼鈍分離剤とが反応して生成
するフォルステライトを主体とする1次被膜、および特
開昭48−39338号公報等に開示されたコロイド状
シリカとりん酸塩とを主体とするコーティング液を焼き
付けることによって生成する2次被膜の2層の被膜によ
って1.0kgf/mm2 程度の張力が付与されている。した
がって、これら現行被膜の場合、より大きな張力付与に
よる鉄損改善の余地は残されているものの、被膜を厚く
することによる付与張力の増加は占積率の低下をもたら
すため好ましくない。
【0005】また、一方向性珪素鋼板の鉄損を改善する
もうひとつの方法として、仕上げ焼鈍後の鋼板表面の凹
凸や表面近傍の内部酸化層を除去して鏡面仕上げを行
い、その表面に金属メッキを施す方法が特公昭52−2
4499号公報に、さらにその表面に張力被膜を形成す
る方法が例えば特公昭56−4150号公報、特開昭6
1−201732号公報、特公昭63−54767号公
報、特開平2−213488号公報等に開示されてい
る。これらの場合においても、被膜による鋼板への張力
付与の大きい方が鉄損改善効果が大きい。これらのこと
から、密着性に優れ、薄くて鋼板に大きな張力が付与で
きる被膜が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術における問題点を解決し、鋼板に大きな張力を付与
する被膜を表面に有することにより鉄損が低減された一
方向性珪素鋼板、およびその製造方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に酸化
マグネシウム−酸化アルミニウム−酸化珪素系複合被膜
を有する一方向性珪素鋼板、酸化マグネシウム−酸化
アルミニウム−酸化珪素系複合被膜が結晶質コーディエ
ライトおよび/または結晶質サフィリンを含有する一方
向性珪素鋼板、表面に酸化マグネシウム−酸化アルミ
ニウム−酸化珪素−非晶質酸化物系複合被膜を有する一
方向性珪素鋼板、酸化マグネシウム−酸化アルミニウ
ム−酸化珪素−非晶質酸化物系複合被膜が結晶質コーデ
ィエライトおよび/または結晶質サフィリンおよび/ま
たは珪素、ほう素、りんの少なくとも1種を成分として
含む非晶質相を含有する一方向性珪素鋼板を要旨とす
る。
【0008】また、仕上げ焼鈍が完了した鋼板表面に酸
化マグネシウム前駆体化合物、酸化アルミニウム前駆体
化合物、酸化珪素前駆体化合物を含む懸濁液を塗布、乾
燥後、500〜1350℃の温度で焼き付け、酸化物被
膜を形成せしめる製造方法を要旨とする。さらに、酸化
アルミニウム前駆体化合物が酸化アルミニウム前駆体ゾ
ル、酸化珪素前駆体化合物が酸化珪素前駆体ゾルである
製造方法を要旨とする。また、仕上げ焼鈍が完了した鋼
板表面に酸化マグネシウム前駆体化合物、酸化アルミニ
ウム前駆体化合物、酸化珪素前駆体化合物、ほう酸およ
び/またはほう酸塩、りん酸および/またはりん酸塩を
含む懸濁液を塗布、乾燥後、500〜1350℃の温度
で焼き付け、酸化物被膜を形成せしめることによる製造
方法を要旨とする。さらに、酸化アルミニウム前駆体化
合物が酸化アルミニウム前駆体ゾル、酸化珪素前駆体化
合物が酸化珪素前駆体ゾルである製造方法を要旨とす
る。
【0009】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の一方
向性珪素鋼板は、その表面に酸化マグネシウム−酸化ア
ルミニウム−酸化珪素系複合被膜を有している。従来よ
り、珪素鋼板への張力付与には熱膨張係数の小さい被膜
材質を選択し、鋼板との熱膨張係数差によって冷却時に
生じる応力を利用していた。しかしながら、熱膨張係数
だけではなく、被膜材質のヤング率も鋼板への張力付与
に影響をおよぼす因子であることが指摘されている。本
発明の被膜構成成分の役割を明確に規定することは不可
能であるが、酸化アルミニウム成分はヤング率が比較的
大きく、また酸化珪素成分は熱膨張係数を比較的小さく
することができ、これに酸化マグネシウムを複合化する
ことで鋼板に大きな張力が付与されていると推察してい
る。
【0010】酸化マグネシウムはペリクレースとよばれ
るものだけが結晶相として知られているが、酸化アルミ
ニウムには、α−,γ−,δ−,θ−等いくつかの結晶
系が存在し、鋼板への張力付与効果はそれぞれの結晶系
において必ずしも同一ではない。しかしながら、本発明
の酸化アルミニウムはこのいずれであっても差し支えな
い。また必ずしも良好な結晶性を有する結晶である必要
はなく、結晶性のあまり良くない非晶質的なもの、ある
いは結晶の前駆体となるような化合物であっても構わな
い。酸化珪素も数種類の結晶系と非晶質相が知られてい
るが、このうち、シリカガラスとよばれる非晶質相が熱
膨張係数が比較的小さく、特に好適に用いられる。結晶
質SiO2 は非晶質相と比較すると熱膨張係数は大きく
なるものの、被膜の耐スティッキング性向上等の観点か
ら用いられる場合がある。
【0011】またこれらの被膜中に結晶質コーディエラ
イトおよび/または結晶質サフィリンを含有することで
より大きな張力付与が可能となる場合がある。コーディ
エライトは、2MgO・2Al2 3 ・5SiO2 の化
学式で表記される結晶であり、低熱膨張係数、高いヤン
グ率という性質によって鋼板に対して高い張力付与をも
たらすと推察される。サフィリンは、4MgO・5Al
2 3 ・2SiO2 の化学式で表記される結晶であり、
コーディエライトの場合と同様の理由により、鋼板に対
して高い張力付与をもたらしている。
【0012】本発明の複合被膜中の酸化マグネシウム、
酸化アルミニウムと酸化珪素の存在割合は、比較的幅広
い範囲とすることが可能であり、いかなる割合とするこ
ともできる。しかしながら複合被膜の特長を最大限に発
揮させるためにはそれぞれの成分を最低でも被膜全体に
対する重量割合で5%、好ましくは10%以上含有させ
るのが良い。また、結晶質コーディエライト、サフィリ
ンの量もいかなる割合とすることもでき、これらの化合
物をできるだけ多く含有させることでより高い張力の付
与が可能となるが、被膜の表面性状が悪くなる傾向があ
るため、必要に応じて最適な量を決定することが好まし
い。結晶質コーディエライト、サフィリンの好ましい含
有量としては、被膜全体に対する重量割合で90%以
下、より好ましくは80%以下であり、通常は、5〜7
5%程度の範囲から選択される。
【0013】本発明のもうひとつの一方向性珪素鋼板表
面には、酸化マグネシウム−酸化アルミニウム−酸化珪
素−非晶質酸化物系複合被膜を有している。酸化マグネ
シウム成分、酸化アルミニウム成分、酸化珪素成分の役
割はすでに述べた通りであるが、非晶質酸化物成分の役
割として、鋼板への張力付与にはそれほど大きな効果は
なく、表面平滑性、下地鋼板との密着性等を大きく改善
していると推察している。なかでも、珪素、ほう素、り
んの少なくとも1種を成分として含む非晶質相がとりわ
けこの効果が顕著であることを見い出した。特にガラス
状物質を形成しているときに著しく大きな効果が得られ
る。非晶質相中の珪素、ほう素、りんの含有量は、それ
ぞれの酸化物換算の合計で非晶質相全体に対する重量割
合で50%以上、好ましくは70%以上である。
【0014】また、非晶質相には珪素、ほう素、りん以
外に微量の成分を含有していても一向に差し支えない。
可能性のある元素としては、被膜主成分であるAl,M
g、母材構成成分であるFe、1次被膜成分であるT
i,Mn,Sの他にLi,Na,K,Ca,Sr,B
a,V,Cr,Ni,Co,Cuをはじめとするアルカ
リ金属、アルカリ土類金属、遷移金属元素、あるいはS
n,Pb,Bi,Sb等があげられる。
【0015】非晶質相全体としての含有量は特に制限は
ないが、あまり多くなりすぎると鋼板への張力付与が十
分でなくなるため、被膜全体に対する重量割合で90%
以下、より好ましくは70%以下である。また少なすぎ
る場合には、十分に平滑な被膜表面、良好な密着性が得
られない場合があるため、被膜全体に対する重量割合で
5%以上、より好ましくは10%wt以上含有することが
望ましい。本発明の一方向性珪素鋼板表面の被膜は、厚
すぎる場合には占積率が低下するため目的に応じてでき
るだけ薄いものが良く、ひとつの目安としては鋼板厚さ
の5%以下である。より好ましくは、鋼板厚さの2%以
下である。また張力付与の観点からは、極端に薄くては
十分な効果が得られず、0.1μm以上が望ましい。
【0016】以下に、本発明の一方向性珪素鋼板を好適
に製造する方法について述べる。ひとつは、仕上げ焼鈍
が完了した鋼板表面に、酸化マグネシウム前駆体化合
物、酸化アルミニウム前駆体化合物、酸化珪素前駆体化
合物を含む懸濁液を塗布、乾燥後、500〜1350℃
の温度で焼き付け、酸化物被膜を形成することによる製
造方法である。
【0017】ここでいう仕上げ焼鈍が完了した鋼板と
は、:従来公知の方法によって仕上げ焼鈍を行い、表
面にフォルステライト質の1次被膜が形成された鋼板、
:1次被膜、および付随的に生成している酸化層を酸
に浸漬して除去した鋼板、:で得た鋼板を水素中で
平坦化焼鈍を行った鋼板、あるいは化学研磨、電解研磨
等の研磨を施した鋼板、:被膜生成に対して不活性で
あるアルミナ粉末等、または塩化物等の微量添加物を添
加した従来公知の焼鈍分離材を塗布し、1次被膜を生成
させない条件下で仕上げ焼鈍を行った鋼板、等を含む。
【0018】酸化マグネシウム前駆体化合物は、焼き付
け後(熱処理)に酸化マグネシウムとなる化合物の総称
であり、酸化マグネシウムはもとより、水酸化マグネシ
ウム、あるいは硝酸マグネシウム、塩化マグネシウムを
はじめとする各種のマグネシウム塩等を指す。酸化アル
ミニウム前駆体化合物も同様に、焼き付け後(熱処理)
に酸化アルミニウムとなる化合物の総称であり、酸化ア
ルミニウムはもとより、ベーマイトのようなAl2 3
・nH2 Oで表記される酸化アルミニウムの水和物、水
酸化アルミニウム、あるいは硝酸アルミニウム、塩化ア
ルミニウムをはじめとする各種のアルミニウム塩等を指
す。酸化珪素前駆体化合物も、やはり焼き付け後に酸化
珪素となる化合物の総称であり、酸化珪素の水和物、酸
化水酸化珪素、各種珪素化合物等が好適に用いられる。
【0019】これらの原料を分散媒に分散させて懸濁液
(スラリー)を作製する。分散媒は作業性、コスト等の
点から水が最も好適であるが、他の工程で特に支障がな
ければ有機溶媒、あるいはこれらの混合物が使用でき
る。スラリーを作製した時点で原料のうちのある種のも
のは溶解する可能性があるが、これは一向に差し支えな
い。
【0020】こうして得たスラリーをロールコーター等
のコーター、ディップ法、スプレー吹き付け、あるいは
電気泳動等、従来公知の方法によって仕上げ焼鈍が完了
した一方向性珪素鋼板表面に塗布する。乾燥後、500
〜1350℃で焼き付けることによって表面に酸化物被
膜を形成する。焼き付け時の雰囲気は、窒素等の不活性
ガス雰囲気、窒素−水素混合雰囲気等の還元雰囲気が好
ましく、空気、あるいは酸素を含む雰囲気は鋼板を酸化
させる可能性があり、好ましくない。雰囲気ガスの露点
については特に制限はない。焼き付け温度が500℃未
満の場合、塗布した前駆体が酸化物とならない場合があ
り、また焼き付け温度が低いため十分な張力が発現せ
ず、好ましくない。一方、1350℃を超える場合、特
に大きな不都合はないものの経済的でなく、より好まし
くは1250℃以下である。
【0021】前述のスラリーのうち、酸化アルミニウム
前駆体、酸化珪素前駆体化合物として、いわゆるゾルと
よばれる微粒子分散系を用いることにより薄くて均一、
かつ密着性の良い被膜が得られる場合がある。これは表
面に非金属物質が存在せず、金属面上に直接被膜を形成
するような場合に特に顕著である。かかるときには上述
の微粒子分散系ゾル、あるいは可溶性成分を含んだゾル
が好適に用いられる。塗布液としてゾル溶液を用いる場
合には、酸化アルミニウム前駆体化合物として上述のベ
ーマイトゾル、および/またはアルミナゾルとよばれて
いるものが作業性、あるいは価格の点から特に好適に用
いられる。一方、酸化珪素前駆体ゾルとしては種々のも
のが使用可能であるが、SiO2 ・nH2 O、またはS
iOx・(OH)y なる化学式で表記されるシリカゾ
ル、および/またはコロイダルシリカがやはり作業性、
価格の点から好適に用いられる。
【0022】なかでも、酸化珪素前駆体ゾルとしてSi
(OCz 2z+14 なる化学式のアルキルシリケート、
および/またはその加水分解物が好適に用いられる。ア
ルキルシリケートは金属アルコキシドの1種であるが、
加水分解が比較的緩慢であり、前駆体として安定した性
状が得られる。アルキルシリケートは通常、加水分解に
よって珪素の水酸化物、あるいは酸化珪素の水和物を形
成するが、ある種の被膜を形成する場合においてはアル
キルシリケートをそのまま用いるより、その加水分解物
を用いた方が好ましいケースが存在する。このような場
合には加水分解後の前駆体ゾルが好適に用いられる。こ
れには、あらかじめ加水分解した後、他の成分と混合
する方法、他の成分と混合しつつ加水分解を並行さ
せ、必要に応じて熟成を加える、等いくつかの方法が考
えられるが、本発明ではこのいずれであっても特に支障
はない。
【0023】好ましいアルキルシリケート化合物として
は、なかでも加水分解速度の速い、炭素数zの少ないも
のであり、好ましくはz≦3程度であるが、z=1のメ
チルシリケートは加水分解によって生成するメチルアル
コールに有害性が存在するため、z=2のエチルシリケ
ートが特に好適に用いられる。上述のように酸化アルミ
ニウム前駆体化合物として酸化アルミニウム前駆体ゾ
ル、酸化珪素前駆体化合物として酸化珪素前駆体ゾルを
用いる場合、酸化マグネシウム前駆体化合物としては気
相法等によって作製した酸化マグネシウム超微粉末、液
相法等によって作製した微粉末あるいはその分散系、可
溶性マグネシウム塩類を用いることが好ましく、これに
よってきわめてミクロなレベルでの均一混合が実現す
る。
【0024】酸化アルミニウム、酸化珪素の前駆体ゾル
の使用においても、前述のスラリーの場合と同様に分散
媒、特に水に分散させて使用することが可能である。特
に良好な分散性を得るために、酸、アルカリ等の添加に
よる塗布液のpH制御等はしばしば用いられる手法であ
り、本発明においても特に支障なく行うことができる。
また、鋼板への塗布性を改善するための極微量の界面活
性剤等の添加についても全く問題がない。もうひとつの
製造方法としては、仕上げ焼鈍が完了した鋼板表面に酸
化マグネシウム前駆体化合物、酸化アルミニウム前駆体
化合物、酸化珪素前駆体化合物、ほう酸および/または
ほう酸塩、りん酸および/またはりん酸塩を含む懸濁液
を塗布、乾燥後、500〜1350℃の温度で焼き付
け、酸化物被膜を形成することによる製造方法である。
【0025】ほう酸および/またはほう酸塩としてはH
3 BO3 で表わされるオルトほう酸が価格等の点から最
も好ましいが、HBO2 で表わされるメタほう酸、B2
3で表わされる酸化ほう素、あるいはこれらの混合物
も用いることができる。また、ほう酸塩として、ほう酸
リチウム、ほう酸ナトリウム等のほう酸アルカリ、ほう
酸アルミニウム、ほう酸亜鉛、ほう酸バリウム、ほう酸
鉛等が好適に用いられる。りん酸および/またはりん酸
塩としては、りん酸、オルトりん酸が特に好適に用いら
れる。これ以外にりん酸塩として、りん酸リチウム、り
ん酸ナトリウム等のりん酸アルカリ、りん酸マグネシウ
ム、りん酸カルシウム等のアルカリ土類りん酸塩、りん
酸アンモニウム、りん酸アルミニウム、りん酸亜鉛、り
ん酸バリウム、りん酸鉛、りん酸鉄、りん酸クロム等が
好適に用いられる。
【0026】第2の製造方法においても前述の第1の製
造方法と同様に、酸化アルミニウム前駆体、酸化珪素前
駆体化合物として、いわゆるゾルとよばれる微粒子分散
系を用いることにより薄くて均一、かつ密着性の良い被
膜が得られる場合がある。かかるときには上述の微粒子
分散系ゾル、あるいは可溶性成分を含んだゾルが好適に
用いられる。ほう酸および/またはほう酸塩、りん酸お
よび/またはりん酸塩の配合量は、幅広い範囲から選択
することが可能であるが、高い張力付与という本被膜の
優れた特徴を損なわないためには、酸化物換算の合計量
で全固形分量(酸化物換算)の50wt%以下、好ましく
は30wt%以下である。以下に本発明を実施例を用いて
具体的に説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定
されるものではない。
【0027】
【実施例】
実施例1 市販の酸化マグネシウム微粉末、酸化アルミニウム粉末
(α−Al2 3 )、酸化珪素粉末を表1に示した割合
に混合し、これに蒸留水を加えてスラリーを作製した。
これを、Siを3.2%含有する厚さ0.2mmの仕上げ
焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板(フォルステライト質
の1次被膜あり)に片面4g/m2 となるように塗布、
乾燥後、H2 を5 vol%含有するN2 雰囲気中で800
℃、5分間焼き付けることによって表面に酸化物被膜を
形成した。
【0028】化学分析、X線回折、電子顕微鏡等の結果
から、得られた被膜はMgO,α−Al2 3 、および
とSiO2 系の非晶質相を主体としていることがわかっ
た。20mmφの円柱の周囲に、その角度が180度とな
るように巻き付け試験を行い、その剥離状況から評価し
た被膜の密着性はきわめて良好であった。片面の被膜を
除去し、板の曲がりから測定した鋼板への付与張力、お
よび磁気特性を表1に記した。表1の結果から、いずれ
も著しく鉄損の低い一方向性珪素鋼板が得られているこ
とがわかる。また表面に形成された被膜の化学的安定性
もきわめて良好であった。
【0029】
【表1】
【0030】実施例2 市販の酸化マグネシウム微粉末、ベーマイト粉末(平均
粒径:100nm)、コロイダルシリカ(平均粒径:15
nm)を固形分相当で表2に示した割合に混合し、これに
必要に応じて蒸留水を加えて混合ゾルを作製した。これ
を、Siを3.2%含有し、酸化アルミニウムを焼鈍分
離剤として塗布し、2次再結晶と同時に鏡面化処理を施
した厚さ0.2mmの一方向性珪素鋼板に片面4g/m2
となるように塗布、乾燥後、H2 を10 vol%含有する
2 雰囲気中で1100℃、10分間焼き付けることに
よって表面に酸化物被膜を形成した。
【0031】化学分析、X線回折、電子顕微鏡等の結果
から測定した被膜の構成相を表2に記した。表中のいく
つかの組成では、コーディエライトの生成が確認され
た。実施例1と同様に評価した被膜の密着性はきわめて
良好であった。片面の被膜を除去し、板の曲がりから測
定した鋼板への付与張力、および磁気特性を表2に併記
した。表2の結果から、いずれも著しく鉄損の低い一方
向性珪素鋼板が得られていることがわかる。また表面に
形成された被膜の化学的安定性もきわめて良好であっ
た。
【0032】
【表2】
【0033】実施例3 市販の酸化マグネシウム微粉末、ベーマイト粉末(平均
粒径:100nm)、エチルシリケート、ほう酸試薬を表
3に示した割合に混合し、これに蒸留水を加えて混合ゾ
ルを作製した。これを、Siを3.2%含有する厚さ
0.2mmの仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板(フ
ォルステライト質の1次被膜あり)に片面4g/m2
なるように塗布、乾燥後、H2 を3 vol%含有するN2
雰囲気中で850℃、3分間焼き付けることによって表
面に酸化物被膜を形成した。
【0034】化学分析、X線回折、電子顕微鏡等の結果
から測定した被膜の構成相を表3に記した。ほう素を含
有する結晶質相が観察されないことより、ほう素成分は
非晶質相となって存在していることがわかる。実施例1
と同様にして評価した被膜の密着性はきわめて良好であ
った。片面の被膜を除去し、板の曲がりから測定した鋼
板への付与張力、および磁気特性を表3に併記した。表
3の結果から、いずれも著しく鉄損の低い一方向性珪素
鋼板が得られていることがわかる。また表面に形成され
た被膜の化学的安定性もきわめて良好であった。
【0035】
【表3】
【0036】実施例4 市販の酸化マグネシウム微粉末、ベーマイト粉末(平均
粒径:0.4nm)、エチルシリケート、ほう酸試薬、り
ん酸を表4に示した割合に混合し、これに蒸留水を加え
てスラリーを作製した。これを、Siを3.2%含有
し、酸化アルミニウムを焼鈍分離剤として塗布し、2次
再結晶と同時に鏡面化処理を施した厚さ0.2mmの一方
向性珪素鋼板に片面4g/m2 となるように塗布、乾燥
後、H2 を5 vol%含有するN2 雰囲気中で950℃、
5分間焼き付けることによって表面に酸化物被膜を形成
した。
【0037】化学分析、X線回折、電子顕微鏡等の結果
から測定した被膜の構成相を表4に記した。ほう素、り
んを含有する結晶質相が観察されないことより、ほう素
およびりんを含有する結晶質相が観察されないことによ
り、ほう素およびりん成分は非晶質相となって存在して
いることがわかる。実施例1と同様に評価した被膜の密
着性はきわめて良好であった。片面の被膜を除去し、板
の曲がりから測定した鋼板への付与張力、および磁気特
性を表4に併記した。表4の結果から、いずれも著しく
鉄損の低い一方向性珪素鋼板が得られていることがわか
る。また表面に形成された被膜の化学的安定性もきわめ
て良好であった。
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明により、特定成分の被膜を有し、
化学的に安定で、かつその張力付与効果によって鉄損が
著しく改善された一方向性珪素鋼板、およびその製造方
法を提供することができる。本発明は特に、従来から用
いられている1次被膜を有する鋼板、あるいは著しい低
鉄損化を目的とした鏡面化鋼板のいずれに対しても良好
な特性を示し、汎用性の観点からも工業的効果は甚大で
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年6月14日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 酸化物系複合被膜を有する低鉄損一方
向性珪素鋼板およびその製造方法

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に酸化マグネシウム−酸化アルミニ
    ウム−酸化珪素系複合被膜を有する低鉄損一方向性珪素
    鋼板。
  2. 【請求項2】 酸化マグネシウム−酸化アルミニウム−
    酸化珪素系複合被膜が結晶質コーディエライトおよび/
    または結晶質サフィリンを含有する請求項1に記載の低
    鉄損一方向性珪素鋼板。
  3. 【請求項3】 表面に酸化マグネシウム−酸化アルミニ
    ウム−酸化珪素−非晶質酸化物系複合被膜を有する低鉄
    損一方向性珪素鋼板。
  4. 【請求項4】 酸化マグネシウム−酸化アルミニウム−
    酸化珪素−非晶質酸化物系複合被膜が、結晶質コーディ
    エライト、および/または結晶質サフィリン、および/
    または珪素、ほう素、りんの少なくとも1種を成分とし
    て含む非晶質相を含有する請求項3に記載の低鉄損一方
    向性珪素鋼板。
  5. 【請求項5】 仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板
    表面に、酸化マグネシウム前駆体化合物、酸化アルミニ
    ウム前駆体化合物、酸化珪素前駆体化合物を含む懸濁液
    を塗布、乾燥後、500〜1350℃の温度で焼き付
    け、酸化物被膜を形成せしめる低鉄損一方向性珪素鋼板
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸化アルミニウム前駆体化合物が酸化ア
    ルミニウム前駆体ゾル、酸化珪素前駆体化合物が酸化珪
    素前駆体ゾルである請求項5に記載の低鉄損一方向性珪
    素鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板
    表面に、酸化マグネシウム前駆体化合物、酸化アルミニ
    ウム前駆体化合物、酸化珪素前駆体化合物、ほう酸およ
    び/またはほう酸塩、りん酸および/またはりん酸塩を
    含む懸濁液を塗布、乾燥後、500〜1350℃の温度
    で焼き付け、酸化物被膜を形成せしめる低鉄損一方向性
    珪素鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 酸化アルミニウム前駆体化合物が酸化ア
    ルミニウム前駆体ゾル、酸化珪素前駆体化合物が酸化珪
    素前駆体ゾルである請求項7に記載の低鉄損一方向性珪
    素鋼板の製造方法。
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