JPH07284392A - 鶏ロイコチトゾーン免疫原性蛋白質を発現する遺伝子クローン及び鶏ロイコチトゾーン症に対する遺伝子組換えワクチン - Google Patents

鶏ロイコチトゾーン免疫原性蛋白質を発現する遺伝子クローン及び鶏ロイコチトゾーン症に対する遺伝子組換えワクチン

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JPH07284392A
JPH07284392A JP6080643A JP8064394A JPH07284392A JP H07284392 A JPH07284392 A JP H07284392A JP 6080643 A JP6080643 A JP 6080643A JP 8064394 A JP8064394 A JP 8064394A JP H07284392 A JPH07284392 A JP H07284392A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鶏、ヌカカを用いずロイコチトゾーン症を予
防するために、遺伝子組換え技術を応用して作出した組
換え体により発現させた蛋白質でワクチンを作製し得る
ようにして安価で安定した大量供給が可能なワクチンを
提供するものである。 【構成】 鶏ロイコチトゾーン由来の免疫原性蛋白質を
認識する単クローン抗体を用いることにより、イムノス
クリーニングにより選別することからなる免疫原性蛋白
質遺伝子クローンである。 【効果】 本組換え微生物は病原性、有毒物質産生性及
び伝達性がないことから本ワクチンもそのような性質は
なく、しかも感染性もなく安全であるとともに環境への
病原体汚染の問題がない。原虫採取のためヌカカ、鶏に
要する費用を全て省くことができるので経済的で、組換
え微生物の宿主菌は大腸菌であるため、容易に大量培養
が可能で、発現蛋白質の精製の操作を必要としないので
生産性が高く、均一なワクチンを提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鶏のロイコチトゾーン
症に対する遺伝子工学的手法により製造されたワクチン
に関する。更に詳しくは本発明は、真コクシジウム目、
住血胞子虫類(亜目)に分類され、鶏のロイコチトゾー
ン症を引き起こすロイコチトゾイダエ科、ロイコチトゾ
ーン属に属するロイコチトゾーン・カウレリーの免疫原
生蛋白質をコードする組換えDNA分子を挿入した発現
ベクターを移入した宿主細胞により発現された蛋白質を
有効成分として用いた、鶏のロイコチトゾーン症に対す
るワクチンに関する。
【0002】
【従来の技術】鶏のロイコチトゾーン症は、住血胞子虫
類であるロイコチトゾーン・カウレリー(Leucoc
ytozon caulleryi)の感染によって引
き起こされる疾病である。L.caulleryiは、
最初、1909年ベトナムにおいて、鶏の血液中にマラ
リア顆粒を持たない円形のガメトサイト(生殖母体)と
して認められ、ロイコチトゾーン属の原虫としてそのよ
うに命名がなされたものである。
【0003】わが国における鶏のロイコチトゾーン症
は、1954年に兵庫県下で初めて確認され、その病原
体は、L.caulleryiと同定され、その後、本
原虫は吸血昆虫の一種である双翅目Dipteraのヌ
カカ科Ceratopogonidaeに属するニワト
リヌカカCulicoides arakawae(以
下ヌカカと略称する)によって生物学的に伝播されるこ
とが実験的に証明され、その生活環がほぼ明らかにされ
た。ロイコチトゾーン・カウレリーは、宿主の鶏の体内
でのジゾゴニー(増員生殖)とガメトゴニー(生殖体形
成生殖)、伝播者であるヌカカの体内でのスポロゴニー
(胞子形成生殖)の3つの発育期を持っている。
【0004】本原中に感染したヌカカの吸血の際にその
唾液と共に鶏の体内に侵入したスポロゾイト(種虫)
は、種として肺、肝、脾、腎などの血管内皮系の細胞に
寄生して第1代シゾント(分裂体)を形成する。感染後
5〜7日目にはそれより第1代メロゾイト(分裂小体)
が血液中に放出され、そらは全身に分布する血管内皮系
細胞に再び侵入して第2代シゾントとして増殖し、後記
には宿主細胞から離れて細胞間隙でさらに発育する。1
4日目にはこれらシゾントから第2代メロゾイトが血液
中に放出され、次いでそれらは赤血球細胞に侵入して発
育、18〜19日目には宿主細胞から遊離してそれぞれ
マクロガメトサイト(雌性生殖母体)、ミクロガメトサ
イト(雄性生殖母体)として成熟する。
【0005】両ガメトサイトはヌカカの吸血時に鶏の血
液と共にその中腸内に取り込まれ、マクロガメート(雌
性生殖体)とミクロガメート(雄性生殖体)を形成して
融合(受精)し、チゴート(融合体)を経てオオキネー
ト(虫葉体)となり、虫腸壁の細胞間隙に侵入し、次い
でその外膜下に移行してオオシスト(胞のう体)に発育
する。オオシストの内部には数十個のスポロゾイトが形
成され、それらはオオシスト壁のふおかいに伴ってヌカ
カの対腔に出た後の唾液腺に移動してその発育環を完了
する。
【0006】本原虫感染による鶏の症状と病変は、主と
して第2代シゾントが発育するシゾゴニーの末期と第2
代メロゾイトが赤血球系細胞に寄生してガメトサイトに
発育する過程のガメトゴニーの時期に認められる。本症
の最も特徴的な各臓器及び組織の出血病変と貧血症状
は、第2代シゾントによる血管栓塞に伴う出血とガメト
ゴニーの原虫の寄生によって赤血球が破壊されるために
引き起こされるものと考えれている。
【0007】本原虫の媒介体であるヌカカは、水田など
に生息するため水田を有する東南アジア、中国、北朝
鮮、韓国が流行地と認められている。わが国においても
初めてロイコチトゾーン症が確認されて以来、毎年夏期
にその流行が繰り返され、鶏の生産性に対して多くの損
失を与えてきたが、1964年以降にはピリメタミン
が、1968年からはピリメタミンとサルファ剤の合剤
が本症の予防薬として試料に添加されるようになってか
らはその発生は激減した。しかしその後、原虫のこのよ
うな薬剤に対する耐性の獲得や薬剤の残留性の問題か
ら、有効薬剤の使用期間が限定されたこと、また一部有
効薬剤が安全性の問題により、その使用が禁止になった
こと等によりその防圧は困難なものとなってきており、
被害も恒常的なものになってきている。
【0008】鶏ロイコチトゾーン症に対し従来試作され
ていたワクチンには、スポロゾイトを用いた生ワクチン
と虫体由来物質を抗原とする不活化ワクチン、さらには
原虫感染した鶏の臓器乳剤を材料とした不活化ワクチン
がある。スポロゾイトを用いた生ワクチンはヌカカの唾
液腺よりスポロゾイトを分離し、その少数で鶏を免疫す
るものである〔椎原ら、静岡県養鶏試験場研究報告、1
3:25−27(1978)〕。また虫体由来物質を抗
原とした不活化ワクチンは次のようなものである。
【0009】虫体由来抗原には鶏体及び発育鶏卵由来の
第1代シゾント、第1代メロゾイト、第2代シゾント、
第2代メロゾイトならびに可溶性抗原などがあるが、こ
の中スポロゾイト接種後10〜15日目に感染鶏の血清
中に検出される可溶性の抗原は第2代シゾントと抗原性
状がほぼ同じで、それと同様に比較的強い免疫原生が認
められている。そこで、この血清抗原材料をホルマリン
で不活化して試作したワクチンで、その有用性が認めら
れている〔Isobe and Suzuki,Jp
n,J.Parasitol.,37:214−219
(1988)〕。
【0010】更に臓器乳剤不活化ワクチンは、上述のよ
うな原虫抗原を大量に得る困難さを改善するためになさ
れたもので、スポロゾイト接種後13日目の感染鶏より
胸腺、肺、肝、脾、腎、F嚢を採取して臓器乳剤とし、
これをホルマリンで不活化した材料でワクチンを試作す
るものであり、やはりその効果が認められている〔Mo
rii,T.et al.,J.Parasitol.
Res.,76:630−632(1990)〕。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように、ワクチン
の有効性は一応確かめられているものの、前記したよう
に量産が難しく供給に問題があること、抗原材料として
血清、臓器などを使用することによる品質の一定性、安
全性などに問題があることにより、依然として、合成薬
剤に依存しなければならないのが現状であり、従って、
前記したような問題が生じている。これに対処するため
には、新たな医薬品に開発が必要とされるが、産卵鶏に
使用することから残留性の問題が生じないワクチンが望
まれる。しかし、原虫は最近やウイルスと比較して生活
環が複雑であること、その培養が困難であることから有
効でかつ安全性の高い、安価な量産供給可能なワクチン
に開発は未だなされていないのが現状である。
【0012】しかしながら一方で、本原虫の生活環が明
らかにされたことからヌカカの人工飼育技術が確立さ
れ、スポロゾイトの確保が可能となり、鶏に対する原虫
感染実験を計画的に行うことができるようになったと同
時に、鶏体内での原虫発育環の各ステージでの原虫の採
取も可能となった。これらの成果によりロイコチトゾー
ン症の免疫学的研究も可能となり、感染鶏の血中抗体価
の測定が可能となり、血清中への特異抗原の出現及びそ
れに対する抗体の産生も確かめられている。更に、原虫
の第2代シゾントには、免疫原性の存在を示唆する成績
も得られている。そこで、このような基礎的試験研究に
基づいた本疾病に対する予防法で、養鶏業界の損失を可
及的に少なくするために、効果的で安価なワクチンの安
定した量産供給が切望されている。
【0013】鶏ロイコチトゾーン症に対処するには前記
したような予防法では一般的な実用化にはかなりの制約
がある。即ち、スポロゾイトによる免疫ではヌカカから
スポロゾイトを得るため、大量供給、スポロゾイトの保
存方法に難点があり、また、ヌカカは本症以外の伝染病
の媒介昆虫でもあることが知られていることから、ヌカ
カに潜む可能性のある他の病原体をも鶏に移入してしま
うおそれがある。また血清抗原を得るにも、臓器乳剤を
得るにも常に実験感染した鶏を材料とせねばならず、こ
れらによるワクチンは生産効率が低いため、大量供給や
低価化には限界がある。
【0014】このようなことから、本発明の目的は鶏、
ヌカカを用いずロイコチトゾーン症を予防するために、
遺伝子工学的手法により作出した組換え体により発現さ
せた蛋白質でワクチンを作製し、それによって安価で安
定した大量供給が可能な鶏ロイコチトゾーン免疫原性蛋
白質を発現する遺伝子クローン及び鶏ロイコチトゾーン
症に対する遺伝子組換えワクチンを提供するものであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、ロイコチトゾーン・カウレリーの発育期
のシゾゴニーで形成され、感染防御に重要な抗原を含む
とされる第2代シゾント(2GS)を分離、精製し、こ
れよりmRNAを抽出、精製し、これに対するcDNA
を作成後、ラムダファージλgt11を用いてインビト
ロパッケージングによってcDNAライブラリーを調製
した。次に、このcDNAライブラリーで大腸菌Y10
90株を形質転換し、2GS抗原に対する単クローン抗
体を用いたイムノスクリーニングで免疫原性蛋白質遺伝
子クローンを選別した。
【0016】このクローン由来遺伝子を発現ベクターp
MAL−cR1に挿入し、挿入発現プラスミドを大腸菌
TB1株に移入した組換え微生物の免疫原性蛋白質遺伝
子(R7遺伝子、R7:クローン番号に由来する)の蛋
白質(グルタミン酸45.1%を含む酸性蛋白質)をマ
ルトース結合蛋白質との融合蛋白質として発現させ、こ
の蛋白質を含む菌体の超音波抽出液を製剤化した。
【0017】クローンの選別は、2GSの超音波抽出液
を出発材料として作製した単クローン抗体を用いたイム
ノスクリーニングで行ったが、この単クローン抗体はあ
らかじめ、単クローン抗体結合アフィニティーカラムで
精製した2GS抗原が免疫賦与能を有することを認め、
2GSの免疫原性蛋白質遺伝子の選別に有効であること
を確認したものである。R7遺伝子によつて発現される
蛋白質はELISAにより、クローンの選別に用いた単
クローン抗体ともロイコチトゾーン原虫に感染した鶏血
清とも反応し、かつ蛋白質で免疫された鶏はロイコチト
ゾーン感染に対して抵抗性を獲得することが認められ
た。このような知見に基づいて本発明は完成されたもの
である。
【0018】本発明において、ベクターに挿入されるc
DNAは、ロイコチトゾーン・カウレリーに分類される
原虫由来ならば株には特に限定されない。本発明におい
て、免疫原性蛋白質遺伝子クローンとは、特にロイコチ
トゾーン原虫の第2代シゾントが有している蛋白質をコ
ードしているmRNAから調製されるcDNAライブラ
リーから、免疫原性蛋白質を認識する単クローン抗体に
よって認識されて得られる一部のクローンをいい、又、
サザーンハイブリダイゼーションによってその一部と反
応が示されるクローンをいい、実質的には下記に塩基配
列を示す。
【0019】
【化11】
【化12】
【化13】
【0020】本発明において使用可能なベクターとして
は、大腸菌発現ベクター、大腸菌フアージ系ベクター、
大腸菌−培養細胞シヤトルベクター、ウイルスベクター
等であって、宿主細胞、特に大腸菌内で蛋白質を発現で
きるものであれば特に限定されない。本発明における発
現蛋白質によりロイコチトゾーン症のワクチンを調製す
る場合、特に精製の操作なしに感染細胞の抽出液をその
まま使用しても防御効果が認められる。濃縮は例えば大
腸菌体内での発現の場合であるが、培養液の遠心沈澱菌
体の超音波処理時の浮遊液量で、または超音波抽出液の
硫安濃縮沈澱の溶解液量でその度合が加減できる。鶏に
はアジュバンドとしては例えば水酸化アルミニウムゲル
と混合して、公知の方法により免疫ができる。
【0021】本発明に用いられる原材料と好ましい組合
せについて以下に述べる。 (1)組換え微生物TB1/pMAL−cR1−R7 マスターセルストック及びワーキングシードストックと
して−20℃で保存されていて、ワクチンを作出する出
発材料となる保存株である。 (2)アンピシリン 宿主大腸菌TB1株に移入された発現ベクターpMAL
−cR1−R7はアンピシリン耐性遺伝子を有し、これ
が宿主菌の培養に一つの選択性を与える。 (3)L−ブロス寒天培地 ワーキングシードから一次元培養を行うための培地で、
1%トリプトン、0.5%イーストエキストラクト及び
1%塩化ナトリウムを主成分とし、1%細菌用寒天末お
よび100μg/mlアンピシリンを含む。
【0022】(4)L−ブロス培地、pH7.0 一次元培養から二次元培養を行うための培地で、上記L
−ブロス寒天培地で寒天末を除いたもの。 (5)L−ブロス発現培養培地、pH7.0 組換え微生物の発現培養を行うための培地で、上記のL
−ブロス培地でさらに0.2%グルコースを含む。 (6)イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド 発現培養時の対数増殖期に培養液に添加する発現誘発
剤。 (7)リシスバッファー、pH7.0 培養菌体を超音波処理する際に、菌体を浮遊させる緩衝
液で、10mMリン酸塩、30mM塩化ナトリウム、
0.25%ツイーン20、10mM 2−メルカプトエ
タノール、10mMEDTA、及び10mMEGTAを
含む。
【0023】(8)飽和硫酸アンモニウム 菌体の超音波抽出液の有効成分を沈澱させる。 (9)生理緩衝食塩水(PBS)、pH7.0 飽和硫酸アンモニウムによる有効成分の沈澱物を溶解さ
せる。 (10)ホルマリン ワクチンの不活化及び防腐を目的として終濃度0.2%
に添加する。 (11)水酸化アルミニウム ワクチンのアジュバントとして、終濃度500μgA1
/mlに添加する。
【0024】本発明に用いられる原材料の一般的使用
量、好ましい使用量の範囲 (1)組換え微生物TB1/pMAL−cR1−R7の
ワーキングシードストツクス:1回にエーゼルのループ
フル量または数μ1 (2)アンピシリン:100μg/ml (3)L−ブロス寒天培地、pH7.0:1回に20m
l/プレートの1プレート 以下は組換え微生物100l 培養トその処理に対する使
用量である。 (4)L−ブロス培地、pH7.0:2l (5)L−ブロス発現培養培地、pH7.0:100l (6)イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシ
ド:1M溶液、100ml
【0025】(7)リシスバッファー、pH7.0:
6.7l (発現培養液の約1/15量) (8)飽和硫酸アンモニウム:6.7l (リシスバッフ
ァーと同量) (9)PBS、pH7.0:5l (10)ホルマリン:10%、100ml×2(下記の
水酸化アルミニウムゲル添加後の添加量を含む) (11)水酸化アルミニウムゲル:1000μgA1/
ml、5l
【0026】
【作用及び効果】
(1)作用 本発明によるワクチンは形質転換微生物による生産物で
あることから、次の点で鶏で生産される原虫抗原採取法
より優れている。 1)安全性:本ワクチンに使用される組換え微生物は病
原性、有毒物質産生性、及び伝達性はないことから本ワ
クチンもそのような性質はない。また本ワクチンは組換
え微生物の超音波処理による抽出液で、しかもホルマリ
ンで不活化したものであるので、感染性のおそれもな
い。 2)経済性:原虫採取のためのヌカカ、鶏及びそれらに
要する飼育設備、施設、人手などの全てを省くことがで
きるので、経済性に優れている。 3)生産性:組換え微生物の宿主菌は大腸菌であるた
め、容易に大量培養が可能となり、また発現蛋白質の精
製の操作を必要としないので、生産性が高い。
【0027】(2)効果 1)本ワクチンは実施例4に記載したように免疫後、ス
ポロゾイトを鶏あたり13000〜15000匹を静脈
内に接種して実験感染させても、非免疫群に比較して明
らかに原虫の発育を抑えることから、本目的を適えるも
のである。 2)前記の安全性の点から環境への病原体汚染の問題は
ない。 3)発現培養による各標品のELISA抗原価はほぼ一
定していることから、抗原の量的変動が少なく、均一な
ワクチンを提供できる。
【0028】
【実施例】以下に本発明の実施例を具体的に説明する
が、本発明はこれにより制限されるものでないことはい
うまでもまない。 実施例 ロイコチトゾーン・カウレリー第2代シゾントの免疫原
性蛋白質遺伝子のクローニング、ワクチンクローンの選
定、及び遺伝子組換えワクチンの感染防御機能試験 (1)ロイコチトゾーン・カウレリー第2代シゾント由
来cDNAライブラリーの調製 ヌカカより調製したロイコチトゾーン・カウレリーのス
ポロゾイトを約5週令の鶏1羽当たり約10000匹静
脈内に接種して実験感染させた。感染後第2代シゾント
(2GS)が出現する時期の13日目に鶏を解剖し、胸
腺、肺、肝、腎、脾、F嚢の各臓器を採取し、それらの
臓器乳剤から2GSを分離、精製した。
【0029】これよりRNAをグアニジウムイソチオシ
アネート法により抽出し、塩化リチウムによる分別沈澱
を行い、さらにエタノール沈澱を行って総RNAを得た
後、mRNAをオリゴテックス−dT30(宝酒造社
製)を用いて、2回精製を繰り返して得た。次に、市販
のキット(アマーシャム社製)を用いmRNAを鋳型と
して、オリゴ(dT)ヌクレオチドまたはランダムヘキ
サヌクレオチドをプライマーとして逆転写酵素でギュブ
ラーとホフマンの方法に準じてcDNAを合成した。
【0030】得られた1本鎖cDNAにRNaseHと
DNAポリメラーゼとを作用させて2本鎖cDNAにし
た後、EcoRIアダプター(宝酒造社製)を付加した
ものをラムダファージλgt11(アマーシャム社製)
の両アームとライゲーションさせ、インビトロパッケー
ジングキット(ストラタジーン社製)を用いてラムダフ
ァージのパッケージングを行ってcDNAライブラリー
を調製した。cDNAライブラリーを調製するにあた
り、EcoRIアダプター付加cDNAをアガロース電
気泳動で4つにサイズ分画した。これらについてのライ
ゲーション操作後にインビトロパッケージングを行っ
た。従って、cDNAライブラリーは2種のプライマー
のcDNAライブラリーは2種のプライマーのcDNA
についてそれぞれ4種が調製された。
【0031】(2)cDNAライブラリーのプラークイ
ムノスクリーニング及びクローンの選定 2種のプライマーに基づいた画cDNAライブラリー
で、その調製前のサイズ分画に由来する各サイズの小さ
い方の2種(<500bp)は省き、大きい方の2種
(>500bp)について、それぞれ大腸菌Y1090
株に感染させ、100μg/mlのアンピシリンを含む
L−ブロス寒天培地上で常法にしたがってプラークの生
成を行った。常法にしたがって、1acプロモーターの
誘発剤であるイソプロピル−β−D−チオガラクトピラ
ノシド(IPTG)を含浸させたニトロセルロースフィ
ルターに写し取り、イムノスクリーニングを行った。ス
クリーニングに用いた1次抗体には、2GS抗原の67
kDa付近を認識するM5と100〜200kDaを認
識するR1の2種の単クローン抗体の等量混合物を用い
た。2次抗体にはHRP標識家兎抗マウスIgG+Ig
M+IgAを、発色反応の基質にはジアミノベンチジン
を用いた。
【0032】単クローン抗体は、予めそれぞれの単クロ
ーン抗体結合アフィニティーカラムで精製した各2GS
抗原の混合物での試験であるが、感染防御製が認めら
れ、本スクリーニングに適していると判断されたもので
ある。スクリーニングの見落としを防止することから
も、両者の混合物を用いて行った。尚、両者共それによ
って認識される抗原は分子量的に単一ではなく、それぞ
れ上述したようなある範囲のものが認識されることか
ら、本原虫抗原は同一エピトープの繰り返し構造を有し
ているものと推察される。
【0033】クローニングの結果、オリゴ(dT)ヌク
レオチドプライマーに基づいたcDNAの場合で33種
(T番号を付す)の、ランダムヘキサヌクレオチドプラ
イマーに基づいたcDNAの場合で44種(R番号を付
す)の組換えDNAが得られた。それらを再クリーニン
グした後、クローンの選定を行った。
【0034】即ち、再スクリーニングした際にも発色が
比較的強い陽性反応を示したファージを増殖後、大腸菌
Y1089株に感染させて溶原菌を調製した後、誘発剤
にIPTGを用いた発現培養を行い、細胞ライセートを
調製して同単クローン抗体の混合物を用いてイムノドッ
トブロットテストを行って抗原の発現を再確認すると共
に、一方、陽性ファージを増殖、精製後EcoRI−切
断フラグメント生成の確認を行い、その結果R1a、R
1b、R4a、R4b、R6、R7、R11、R13、
R15、R18、R29、R35、R42、T3、T
4、T9、T10の17種を免疫原性蛋白質遺伝子の有
力なクローンとして選定した。以上の工程の要約を図
1、図2及び図3に示した。
【0035】このようにして得られたクローンが、実際
に免疫原性を賦与し得るものかをみるために、この段階
でR15、T10の任意の2種の細胞ライセートについ
て、アジュバントとして水酸化アルミニウムゲルを50
0μgAl/mlに添加して感染防御試験を試みた。感
染防御試験の方法と効果判定の方法の概略については実
施例の(4)に述べるが、R15及びT10λgt11
クローンの発現蛋白質の感染防御試験の結果は表1に示
すように未接種対照群も含めて全例に発症、死亡が認め
られなかったが、免疫鶏にスポロゾイト19500匹/
羽で攻撃を行った後、13日目に血清中に出現する原虫
の発育過程に由来する血清可溶性抗原(SSA)の量的
値(SSA価)では、その値の低い羽数が免疫群は未接
種対照群を上回ったことから、R15、T10には弱い
ながらも免疫性が認められたと判断した。
【0036】また攻撃直前の血清の2GS抗原に対する
ワクチン抗体価(ELISA抗体価)も免疫群では全例
未接種対照群に比較して上昇していることが認められ
た。このことから本スクリーニングによって得られたク
ローンは本目的に適うものと判断した。
【0037】
【表1】 1)陽性を示した血清の最高希釈倍数2) 沈降線の見られた血清の最高希釈倍数
【0038】(3)発現ベクターpMAL−cRIサブ
クローン及びワクチンクローンの選定 ワクチン実用化の発現培養のために、上記17種のクロ
ーンの当該遺伝子をそれぞれ発現ベクターpMAL−c
RI(バイオラブス社製)に挿入し、上述と同様のイム
ノスクリーニングでpMAL−cRIサブクローンを得
て、大腸菌TB1株に移入した。これらのサブクローン
について2種の単クローン抗体それぞれに対するELI
SA抗原価測定とサザーンハイブリダイゼーションによ
りクローンの群別を試みてワクチンクローンの選定を行
った。ELISAには発現培養を行って調製した試料
を、サザーンハイブリダイゼーションには、一方で当該
遺伝子をpUC19にもサブクローンして調製したプラ
スミドを用いた。
【0039】製剤の作製方法でもある発現培養による試
料の調製方法は次の通りである。宿主菌のL−ブロス液
体培地を用いた37℃での振とう培養で対数増殖期にI
PTGを終濃度1mMに添加して、さらに37℃で4〜
6時間培養して蛋白質をマルトース結合蛋白質との融合
蛋白質として発現させた後、遠心分離して得られた菌体
をリシスバッファーに浮遊、超音波処理し、再び遠心分
離して超音波抽出液を得た。さらにこの抽出液を飽和硫
酸アンモニウムで処理して得られた沈澱をPBSに溶解
し、ホルマリンを終濃度0.2%に添加し、4℃で1晩
以上静置後試料とした。
【0040】ELISA抗原価の測定結果では、単クロ
ーン抗体M5及びR1のいずれかと明らかな反応性を示
したクローンは17種の中8種であり、その中、単クロ
ーン抗体M5反応群はR1、R4a、R13及びT3
で、単クローン抗体R1反応群はR7、R15、R35
及びT10でいずれも4種ずつであった。なお、単クロ
ーン抗体R1と強い反応性を示したR7、R15は、培
養によっては単クローン抗体M5とも反応性を示した。
【0041】pMAL−cRIサブクローンの発現蛋白
質(粗物質)のELISA抗体価及びサザーンハイブリ
ダイゼーションによる群別とクローンのサイズ、並びに
ELISA抗原価:単クローン抗体M5及びR1それぞ
れに対する反応性、サザーンハイブリダイゼーション:
プローブR4a、R7及びR15に対する反応性の測定
結果を表2に示した。
【0042】一方、プローブとしてR4a、R7及びR
15の各プラスミド由来精製フラグメントを用いたサザ
ーンハイブリダイゼーションの結果では図3に示すよう
にプローブR4に対してR4a、T3が、プローブR7
とR15に対してはいずれの場合もR7、R15、R3
5及びT10が反応性を示した。これらについて各クロ
ーンのDNAサイズ(近似値)とともに表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】サザーンハイブリダイゼーションで、プロ
ーブR4aと反応したものはR4aとT3で、ELIS
A抗原価による単クローン抗体M5反応群としては同一
群であるR1a、R13との反応性は認められなかった
が、ELISA抗原価による2種の単クローン抗体を認
識するクローンの群別と、サザーンハイブリダイゼーシ
ョンによる遺伝子の相互類似性を示すクローンの群別と
は一致するものと判断した。
【0045】そこで、単クローン抗体R1認識群とM5
認識群の各4種のクローンの発現試料の混合物を用いた
感染防御試験の比較を試みた。その結果は表3に示し
た。スポロゾイト攻撃時の血清の2GS抗原に対するE
LISA抗体価では明らかにR1群はM5群を上回り、
また攻撃後13日目のSSAの抑制程度もR1群はPB
S対照群を有意に上回っていた。さらに8種の個々のク
ローンを任意に選んで行った感染防御成績からは、単ク
ローン抗体M5と反応する代表的なクローンR4aによ
る免疫抗体は、ELISAで同じR4aの抗原とは反応
するが2GS抗原とは常に反応性を示さず、これに対し
て単クローン抗体R1と反応するクローンによる免疫抗
体は、同法で同じ抗原ともまた2GS抗原とも反応性を
示すことがわかった。
【0046】一方、また8種のウエスタンブロットの成
績からも、単クローン抗体M5は、当該遺伝子を挿入し
ないベクターを移入した宿主菌由来の抽出液(発現の陰
性対照)の数多くの蛋白質をも認識するが、これに対し
単クローン抗体R1はそのような現象を示さず、常に発
現によって生じた蛋白質を主として認識するものである
ことがわかった。
【0047】
【表3】
【0048】以上のことから、ワクチンクローンには2
GS抗原に対して特異性を示すR1単クローン抗体認識
クローンから選定することが適切であると判断した。こ
れらのクローンについてさらに感染防御試験で検討した
結果、R7、R15の両クローンがワクチンクローンの
候補に挙げられたが、効果を示す回数が上回ったR7が
最終的にワクチンクローンとして決定された。このよう
にして得られたR7クローンの組換え微生物をTB1/
pMAL−cR1−R7と命名し、これを発現させて作
製したワクチンをロイコチトゾーン症遺伝子組換えワク
チン(R7ワクチンと略称)した。なお、本組換え微生
物TB1/pMAL−cR1−R7は工業技術院生命工
学工業技術研究所に平成6年3月22日、受託番号FE
RM P−14240として寄託されている。
【0049】次に、本微生物TB1/pMAL−cR1
−R7について以下の成績を説明する。 pMAL−cR1−R7切断R7フラグメントの電気泳
動像:組換え微生物TB1/pMAL−cR1−R7の
増殖培養菌から精製したpMAL−cR1−R7プラス
ミドとこれのEcoRI−切断DNAについて、1.2
%アガロースゲル電気泳動を行い、エチジウムブロマイ
ドで染色した。図4は当該組換え微生物からpMAL−
cR1−R7プラスミドが得られ、このプラスミドから
EcoRI−切断により、約6.1kbpのベクターと
約2.0kbpのR7フラグメントが生じることを示
す。
【0050】本微生物TB1/pMAL−cR1−R7
の発現材料の電気泳動像及びウエスタンブロット像:発
現培養液の液量に対し1/10量の菌体浮遊液の超音波
破砕抽出液を、さらに飽和硫酸アンモニウムで処理して
1/40量とした発現材料に、等量の泳動用試料緩衝液
を加え、これの20μlをSDS−ポリアクリルアミド
ゲル(8%濃度のゲル)にアプライして泳動を行った
(SDS−PAGE)。ウエスタンブロットの1次抗体
には単クローン抗体R1を用いた。このときのSDS−
PAGE像を図6(a)、(b)に、ウエスタンブロッ
ト像を図7のそれぞれ示した。
【0051】図6(a)、(b)に示すように発現材料
では200kDa近くに2本のバンドが出現したが、一
方、発現の誘発をかけない非発現材料ではそれらのバン
ドはみられなかった。また、図7に示すように発現材料
ではそれらのバンドに反応性がみられたが、一方、非発
現材料では反応性はみられなかった。なお、発現材料の
20倍希釈での反応性は2本のバンドの中、一方だけに
なったとみられる。
【0052】このように200kDa近くにバンドがみ
られる材料は、後述の単クローン抗体R1との反応でE
LISA抗原価が示されるが、さらにそれらの関連性を
みるために、発現材料についてセファクリルS200に
よるカラムクロマトグラフイー行い、その画分F1、F
2及びF3のカラムアプライ量に対して各4倍濃縮材料
について、同様にしてSDS−PAGE像およびウエス
タンブロット像を調べた。このときのSDS−PAGE
像およびウエスタンブロット像をそれぞれ図8及び図9
に示した。
【0053】SDS−PAGEで200kDa近くに2
本のバンドがF1では、やはりウエスタンブロット反応
性がみられるが、それらのバンドがみられないF2およ
びF3では反応性はみられなかった。なお、F1の20
倍希釈での反応性はやはり2本のバンドの中、一方だけ
になったとみられる。また、これらの画分についてのE
LISA抗原価はF1では認められたが、F2には認め
られなかった。
【0054】発現材料及びその濾過画分のELISA抗
原価(100倍に希釈した単クローン抗体R1を用いた
ときのELISA抗体価)はつぎの通りである。
【0055】このように、発現材料ではSDS−PAG
Eにおいて200kDa近くにバンドが出現し、それら
がウエスタンブロット反応を示すのに対し、同様の非発
現材料ではそれらのバンドは出現せず、ウエスタンブロ
ットでも反応性がみられないこと、またELISA抗原
価はそれらのバンドが出現する材料にのみ認められるこ
とから、それらの物質が発現融合蛋白質と判断された。
R7遺伝子の塩基配列は以下の通りで、その両末端の下
線部分はEcoRIアダプター領域を示す。
【0056】
【化14】
【化15】
【化16】
【0057】本微生物TB1/pMAL−cR1−R7
の発現融合蛋白質領域 融合蛋白質領域は、
【0058】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】 で示すように、マルトース結合蛋白質遺伝子の最初の開
始コドンATGから1acZa遺伝子の最後の終止コド
ンTGAまでの3399bp(1132個のアミノ酸)
である。その中に2019bpのR7遺伝子がEcoR
Iアダプターを介して挿入されている。EcoRIアダ
プター領域は破線で、R7領域は実線で示した。R7遺
伝子の両末端のEcoRIアダプターを含めた領域の蛋
白質は689個のアミノ酸から成り、その組成は次の通
りである。
【0059】 Ala 3(0.4) Leu 2(0.3) Arg 2(0.3) Lys 68(9.9) Asn 25(3.6) Met 5(0.7) Asp 12(1.7) Phe 2(0.3) Cys 1(0.1) Pro 5(0.7) Gln 14(2.0) Ser 6(0.9) Glu 311(45.1) Thr 54(7.8) Gly 9(1.3) Trp 0(0.0) His 68(9.9 Tyr 8(1.2) Ile 35(5.1) Val 59(8.6) End 0(0.0)
【0060】 酸性アミノ酸 (Asp+Glu) 323(46.9) 塩基性アミノ酸 (Arg+Lys) 70(10.2) 芳香族アミノ酸 (Phe+Trp+Tyr) 10(1.5) 疏水性アミノ酸 (芳香族アミノ酸+Ile +Leu +Met +Val ) 111 (16.1) 分子量=84144
【0061】(4)本R7ワクチンの感染防御試験 本原虫症ワクチンの感染防御試験による効果判定には、
免疫鶏にスポロゾイトで攻撃後、主として13日目の血
清の可溶性抗原(SSA)価の測定、21日目までの発
症、生・死判定を含む臨床症状の観察、及び21日目の
血液中のガメトサイト数の測定等の評価の結果がその評
価の対象となり、その他ワクチン抗体価(攻撃直前の血
清抗体価)の測定及び攻撃後21日目の血液中の赤血球
数の測定等の結果も評価の参考とした。
【0062】SSA価またはガメトサイト数の測定は、
スポロゾイトで攻撃後21日目を経ても発症、生・死で
は効果判定不能の場合にも評価の対象になるものであ
る。SSA価の測定は、攻撃スポロゾイトにより血清中
に出現する原虫の発育過程に由来するSSA価の量を、
感染耐過鶏血清を用いたゲル内沈降反応で調べ、陽性反
応の程度が低いもの程、スポロゾイトの発育が抑えられ
たことになり、したがってその反応が少ない羽数が非免
疫対照群の羽数に比較して多いもの程、防御効果が認め
られたことになる。同様にガメトサイト数の測定はやは
りスポロゾイトがガメトサイトにまで発育するその数を
測定するもので、血液中いその数が少ない羽数が非免疫
対照群の羽数に比較して多いもの程、防御効果が認めら
れたことになる。
【0063】ワクチンは前述の実施例の(3)に記載し
た通りに調製し、最終的に水酸化アルミニウムゲルを加
えた時点でその量は培養液量に対して1/10とした。
以下3ロットの試作品についてそれぞれ試験−1、試験
−2及び試験−3として行った。鶏は試験−1、試験−
2及び試験−3ではそれぞれ36日令、23日令および
21日令のいずれもSPF鶏由来ひなを用い、ワクチン
を左右大腿部筋肉内に0.5mlずつ計1mlを2週間
隔で2回注射した。試験−3ではさらに1.5mlずつ
の計3mlでも試みた。ワクチン2回注射2週間後に血
清を採取した後、攻撃はロイコ原虫静岡株のスポロゾイ
トを1羽あたり、試験−1では13600匹、試験−2
では12500匹、試験−3では15000匹を静脈内
接種して行った。
【0064】攻撃直前に採血し、攻撃後21日間臨床症
状の観察を行い、この間13日目に採血し、また観察終
了時に血液サンプルを採取した。さらに攻撃時及び試験
終了時の体重を測定した。それらによる試験−1、試験
−2及び試験−3における主として、ワクチン抗体価
(攻撃直前のELISAによる血清抗体価)、攻撃後1
3日目のSSA価、攻撃後21日目までの臨床症状観
察、試験終了時のガメトサイト数等及び増体重の結果を
それぞれ表4、表5及び表6に示した。
【0065】試験−1
【0066】
【表4】 1)陽性を示した血清の最高希釈倍数 2)沈降線のみられた血清の最高希釈倍数 3)攻撃後日数 4)死亡のための検査できず 5)血液凝固のため検査できず
【0067】表4の結果から明らかように、ELISA
抗体価はワクチン群では<100〜16000倍で、対
照群の全例<100倍に比較して上昇が認められた。S
SA価は、ワクチン群では認められた抗原は2〜32倍
(平均14.5倍)であったのに対し、対照群では8〜
>512倍(平均64.0倍)の抗原が認められ、両者
の間には明らか差が認められた。
【0068】臨床症状観察結果では、ワクチン群では8
例中3例が発症、その中2例が死亡したのに対し、対照
群では8例中全例が発症し、その中4例が死亡した。ガ
メトサイト数は、ワクチン群では平均204万匹/ml
で、対照群の平均110万匹/mlより多かったが、む
しろ差はないとみるのが適切と思われる。ヘマトクリッ
ト値(試験終了時)は、ワクチン群では平均20.6で
あったのに対し、対照群では16.3で、ワクチン群に
おけるヘマトクリット値の回復が対照群より早い傾向が
見られた。更に、増体重はワクチン群では平均60gで
あったのに対し、対照群では−45gであった。以上の
試験結果から、特にSSA価の測定及び臨床症状の観察
の結果から効果が認められると判定された。
【0069】試験−2
【0070】
【表5】 表5の結果から明らかなように、ELISA抗体価は、
ワクチン群では100〜12800倍で、対照群の全例
<100倍に比較して上昇が認められた。SSA価は、
ワクチン群では7例中3例に4〜32倍の抗原が認めら
れたが、残る4例には抗原は認められなかった。これに
対し対照群では全例に32〜256倍の抗原が認められ
た。
【0071】臨床症状観察結果では、ワクチン群では全
例に死亡する例は認められなかったが、発症は全例に認
められ、その程度はワクチン群では7例中1例が+++
の重度の発症を示した他は1例が++の中等度であり、
5例は+の軽度であった。これに対し対照群では7例中
1例が++の中等度以外は、残り6例が+++の重度で
あった(肉冠褪色、元気なくうずくまり、嗜眠状態の何
れか1つの症状を示した場合は+、2つの症状を示した
場合は++、全ての症状を示した場合は+++とし
た)。
【0072】ガメトサイト数は、ワクチン群では163
万匹/mlで、対照群の601万匹/mlに比較して少
なかった。赤血球数は、ワクチン群では311万個/m
m3であったのに対し、対照群では224万個/mm3
であった。更に増体重は、ワクチン群では平均140g
であり、対照群の平均43gを上回った。以上の結果か
ら、特にSSA価の測定および臨床症状の観察結果から
効果が認められると判定された。
【0073】試験−3
【0074】
【表6】 表6の結果から明らかなように、ELISA抗体価は、
ワクチン群では100〜800倍で、対照群の全例<1
00倍に比較して上昇が認められた。SSA価は、ワク
チン群と対照群と共に臨床的に特に所見は認められなか
った。臨床症状観察結果では、ワクチン群と対照群と共
に、臨床的に特に所見は認められなかった(表中の+
は、肉冠に軽度の白色化がみられたことを示す)。
【0075】ガメトサイト数は、ワクチン群では全例ガ
メトサイトは認められるず、これに対し対照群では平均
612万個/mm3 で、両者には明らかな差が認められ
た。増体重は、両者間に差は認められなかった。なお、
こお試験ではワクチンの1回に1ml接種でも効果に差
は認められなかった。以上3例の試験成績より、本ワク
チンはロイコチトゾーン症ワクチンとして効果が認めら
れると判定された。
【0076】
【配列表】
【0077】配列番号:1 配列の長さ:2019 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:塩基配列 起源 生物名:ロイコチトゾーン・カウレリー第2代シゾント 株名:静岡株 配列
【0078】
【化21】
【化22】
【化23】
【0079】配列番号:2 配列の長さ:3399 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:塩基配列 起源 生物名:ロイコチトゾーン・カウレリー第2代シゾント
及び大腸菌プラスミドpBR322由来発現プラスミド
pKK233−2由来pMAL−cRI 株名:静岡株 配列
【0080】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【図面の簡単な説明】
【図1】ロイコチトゾーン・カウレリー第2代シゾント
の免疫原性蛋白質遺伝子のクローニング及びワクチンク
ローンの選定の工程図である。
【図2】ロイコチトゾーン・カウレリー第2代シゾント
免疫原性蛋白質遺伝子のクローニングを示すものであ
る。
【図3】クローン化第2代シゾント免疫原生蛋白質遺伝
子の発現ベクターpMAL−cRIへの挿入を示すもの
である。
【図4】R7及びR15及びR4aプローブをそれぞれ
に対するpUC19−クローンプラスミド反応のハイブ
リダイゼーションを示すものである。
【図5】pMAL−cRI−R7切断R7フラグメント
のアガロース電気泳動像を示すものである。
【図6】(a)および(b)はTB1/pMAL−cR
I−R7発現材料のSDS−PAGE像を示すものであ
る。
【図7】TB1/pMAL−cRI−R7発現材料のウ
エスタンブロット像を示すものである。
【図8】発現材料のカラムクロマト画分のSDS−PA
GE像を示すものである。
【図9】発現材料のカラムクロマト画分のウエスタンブ
ロット像を示すものである。
【手続補正書】
【提出日】平成6年11月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】(a)および(b)はTB1/pMAL−cR
I−R7発現材料のSDS−PAGE像を顕微鏡写真に
よって示すものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】TBI/pMAL−cRI−R7発現材料のウ
エスタンブロット像を顕微鏡写真によって示すものであ
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】発現材料のカラムクロマト画分のSDS−PA
GE像を顕微鏡写真によって示すものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】発現材料のカラムクロマト画分のウエスタンブ
ロット像を顕微鏡写真によって示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤崎 優次郎 東京都武蔵野市吉祥寺南町1−6−18− 904

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鶏ロイコチトゾーン由来の免疫原生蛋白
    質を認識する単クローン抗体を用いることにより、イム
    ノスクリーニングにより選別されることを特徴とする免
    疫原生蛋白質遺伝子クローン。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の遺伝子クローンが発現す
    る免疫原生蛋白質、及びアジュバントを含むことを特徴
    とする鶏ロイコチトゾーン症に対するワクチン。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の遺伝子クローンの全てま
    たは一部を含むことを特徴とする下記の配列に示す組換
    えDNA分子。 【化1】 【化2】 【化3】
  4. 【請求項4】 発現制御配列に操作的に結合された請求
    項3記載の組換えDNA分子。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の組換えDNA分子が挿入
    されたベクター。
  6. 【請求項6】 下記の配列 【化4】 【化5】 【化6】 に示す組換えDNA分子によ発現された下記の配列に示
    すポリペプチド。 【化7】 【化8】 【化9】 【化10】
  7. 【請求項7】 請求項6記載のポリペプチドにより調製
    されたロイコチトゾーン症ワクチン。
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