JPH0728741B2 - 安定なβ−ガラクトシダ−ゼ水性組成物 - Google Patents

安定なβ−ガラクトシダ−ゼ水性組成物

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JPH0728741B2
JPH0728741B2 JP60100612A JP10061285A JPH0728741B2 JP H0728741 B2 JPH0728741 B2 JP H0728741B2 JP 60100612 A JP60100612 A JP 60100612A JP 10061285 A JP10061285 A JP 10061285A JP H0728741 B2 JPH0728741 B2 JP H0728741B2
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【発明の詳細な説明】 (1) 発明の目的 <産業上の利用分野> 本発明は安定なアスペルギルス・オリーゼ起源のβ−ガ
ラクトシダーゼ水性組成物に関するものである。
β−ガラクトシダーゼは乳糖を加水分解してグルコース
とガラクトースを生成する酵素であり,医薬品,あるい
は食品製造工業に於ける乳糖分解酵素として利用されて
いる。
医薬品としては,乳糖不耐症(乳糖分解酵素欠損症)の
治療や乳幼児の下痢症の治療に広く利用されている。
食品製造工業に於いては,乳糖除去ミルクの製造はホエ
ー(固形分6.3%,乳糖4.5%)及びホエー粉(固形分9
4.6%、乳糖72.3%)その他乳糖を多量含む廃棄物を加
水分解して,グルコース及びガラクトースを製造するた
めに利用されている。
なお,これらの産業分野で実際に利用されているβ−ガ
ラクトシダーゼは,主として,アスペルギルス・オリー
ゼ(Aspergillus oryzae),クルイベロマイセス・ラク
チス(Kluyveromyces lactis)又はクルイベロマイセス
・フラギリス(K.fragilis)により産生されている。
これらの酵素は,起源により理化学的性質がかなり相違
するため,それぞれの酵素が最大活性を発揮するような
使用場面を選んで利用されている。
例えば,医薬品については,経口投与の際,酸性の胃液
中で安定な活性を発揮する必要があるため,至適pHが酸
性側にあり,且つ麹菌として古くからの使用実績により
安全性の点でも問題の無いアスペルギルス・オリーゼ産
生のβ−ガラクトシダーゼが利用されている。
<従来の技術> β−ガラクトシダーゼは一般に酵素製剤としての安定性
が乏しく,特に水溶液の場合は非常に不安定である。
例えば,アスペルギルス・オリーゼ起源のβ−ガラクト
シダーゼを水溶液状態で保存した場合,最大活性は4℃
では数ケ月間維持出来るが,37℃では数日間しか維持出
来ないことが知られている。〔ジヤーナル・オブ・バイ
オケミストリー(Journal of Biochemistry)第80巻,11
95頁,1976年.〕 そのため,医薬品としては,冷所(15℃以下)保存を必
要とする固形製剤のみが市販されている。
使用場面の拡大あるいは使用上の簡便さのため液剤医薬
品の開発が要望されているが,未だ,市販されるに到っ
ていない。
β−ガラクトシダーゼ水溶液の安定化方法としては,
大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼについて,水溶液を
凍結保存する際,その溶液に糖類,ゼラチン又はグリセ
リンを約0.1〜5%程度添加することにより,凍結時の
酵素の失活を防止する方法。(特開昭58−81782号)。
酵母(クルイベロマイセス・フラギリス)起源のβ−
ガラクトシダーゼ水溶液に10〜80%のソルビトールを添
加して,安定な水性組成物を得る方法。(USP 446446
9) 発酵液よりβ−ガラクトシダーゼを分離精製する工程
に於いて,被処理液中に安定剤としてCo ,Mn ,Mg
び含硫アミノ酸の1種以上とリン酸イオンとを共存させ
る方法。
(特公昭49−20515号) などが公知である。
β−ガラクトシダーゼは,個々の酵素を詳細に比較すれ
ば,それらを産生する微生物の種類(起源)により,酵
素分子としての理化学的性質に著しい差異のあることも
亦知られている。
第1表は,起源の異なる9種のβ−ガラクトシダーゼに
ついて諸性質の文献値を比較したものであり,分子量は
10.5〜54(万),至適pHは3.2〜8.3,至適温度は46〜80
(℃),Km値は0.72〜9.8(mM〜ONPG)とそれぞればらつ
きの大きい値を示している。
このように、β−ガラクトシダーゼは起源により性質に
著るしい差異があるため,実際の使用に当ってはその使
用目的に適した理化学的性質のものが選ばれ,その酵素
に適した安定化方法が採用されているのが現状である。
*生産菌 E.コリー:Escherichiia coli. K.フラギリス:Kluyveromyces fragilis. S.プノモニア:Streptococcus pneumoniae. A.オリーゼ:Aspergillus oryzae. A.ニガー:Aspergillus niger. P.シトリナム:Penicillium citrinum. P.マルチカラー:Penicillum multicolor. T.サーモフィルス:Thermus thermophilus. B.ステアロサーモフィルス:Bacillus stearothermophil
us. **文献 メソツド・イン・エンチモロジー(Methods in Enz
ymology)第5巻,212頁,1962年. アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケ
ミストリー(Agricultural and Biological chemistr
y)第36巻,570−577頁,1975年. バイオケミストリー(Biochemistry)第3巻,1535
頁,1964年. ジヤーナル・アブ・バイオケミストリー(Journal
of Biochemistry)第77巻,241−247頁,1975年. メソツド・イン・エンチモロジー第28巻,728−734
頁,1972年. アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカルケミ
ストリー第43巻,943−950頁,1979年. 同上 第47巻,2533−2540頁,1983年. 特開昭56−154991号. カナデイアン・ジヤーナル・オブ・マイクロバイオ
ロジー(Canadian Journal of Microbiology)第22巻,8
17−825頁,1976年. <発明が解決しようとする問題点> 本発明は安定なアスペルギルス・オリーゼ起源のβ−ガ
ラクトシダーゼ水性組成物を提供することを目的とする
ものである。
現在,医薬品として市販されているβ−ガラクトシダー
ゼは,アスペルギルス・オリーゼ起源の固形製剤のみで
ある。
β−ガラクトシダーゼの固形製剤は前述のように冷所保
存が義務付けられており,そのために本酵素を主薬とし
た医薬品の流通過程ならびに取扱いに大きな制約をうけ
ているのが現状である。
また固形製剤を例えば乳児や幼児に与えるとき,そのま
までは飲みずらいため,一般に水や牛乳などに溶解させ
てから与える場合が多く煩わしいことが問題である。
これらの点に鑑み,例えば室温から高温にかけて安定で
あり,微生物汚染の極めて少なく,更に飲みやすい液剤
の開発が望まれるところである。
本発明者等は上述の事情により,種々の安定剤の使用を
検討し,従来困難視されていた安定なアスペルギルス・
オリーゼ起源のβ−ガラクトシダーゼ水性組成物の創製
に成功し,本発明を完成した。
(2) 発明の構成 本発明は「マルチトール,キシリトール及びソルビトー
ルから選ばれる糖アルコールの1種又は2種以上を50〜
80%(W/W)濃度で含有することを特徴とする安定なア
スペルギルス・オリーゼ起源のβ−ガラクトシダーゼ水
性組成物」に関するものである。
本発明に使用する糖アルコールはいづれも粉体あるいは
水溶液として工業的安価に入手し得るものである。
本発明に使用するアスペルギルス・オリーゼ起源のβ−
ガラクトシダーゼは,古くからの使用実績により,安全
性が確認され副作用等の懸念の全く無いものである。
糖アルコールの使用濃度は50〜80%(W/W)が好まし
い。
50%未満の場合は,安定効果が劣り,80%を超えると,
安定性の面では大差無いが糖アルコール溶解度上限を超
えてしまい取扱いにくくなる。
以下実施例によって本発明を更に詳細に説明するが,本
発明はこれによって限定されるものではない。
実施例 アスペルギルスβ−gal.(製造番号914153)685,000Uを
1%ソルビトール500mlで溶解し,この溶液をダイアフ
ローホローファイバーシステム(米国アミコン社製,DC2
型使用,ホローファイバーカートリッジとしてHIP30−2
0タイプ使用)で濃縮と透析(透析外液として蒸留水使
用)を行い,更に限外過(米国アミコン社製PM30過
膜使用)して酵素液68ml(10,000U/ml,96.5mg蛋白質/m
l)を得た。ソルビトール3.45g,蒸留水0.5mlにこの酵素
液1.0mlを加え溶解して酵素濃度2020U/ml,ソルビトール
濃度70%(W/W)のβ−ガラクトシダーゼ水性組成物を
得た。
この水性組成物は、乳幼児に与える牛乳に1回宛約1ml
程度添加することにより下痢症の治療及び予防効果を奏
するものである。
この場合,従来の固形剤(粉剤,顆粒剤等)に比較し
て、牛乳への添加混合が容易であり,50〜60℃に加温し
た牛乳に添加した場合でも殆んど失活しない優れた特性
を示すものである。
また,この水性組成物は好浸透圧酵母のクルイベロマイ
セス・ルクシー(K.rouxii)などごく限られた微生物を
除き,カビ,細菌,酵母など殆んど総べての微生物が生
育しないため,衛生面でも安全に使用出来るものであ
る。
また,所望により,食品添加物として許容される香料,
色素,等を適宜添加出来るのは勿論である。
(3) 発明の効果 本発明により安定なアスペルギルス・オリーゼ起源のβ
−ガラクトシダーゼ水性組成物が提供される。
次下,本発明の効果を説明するため試験例を示す。
試験例1.(起源の異なる酵素の安定性比較試験) 試験方法 酵素起源(酵素産生微生物)の異なる市販のβ−ガラク
トシダーゼを20単位/mlの濃度になるように50%(W/W)
ソルビトール水溶液及び70%(W/W)ソルビトール水溶
液に溶解し,試験管に5ml宛封入して70℃の湯浴中で保
温し,2時間経過した時の酵素活性を測定し,保温前の酵
素活性と比較して各供試酵素の活性残存率を算出した。
なお,酵素1単位(U)は1分間当り1μmolのO−ニ
トロフエニルβ−D−ガラクトピラノシド(以下ONPGと
いう)を加水分解する酵素量とした。但し,起源により
酵素の理化学的性質が異なるため,酵素活性の測定は後
述するようにそれぞれの酵素毎に,pH,温度及び基質濃度
が最適になるような条件で行った。
供試酵素 下記4種の起源の異なる市販のβ−ガラクトシダーゼを
供試酵素とした。
1) エセリシア・コリ産生のβ−ガラクトシダーゼ。
(米国シグマ会社製市販品,カタログ番号T6008番グレ
ード6,以下「大腸菌β−gal」という) 2) クルイベロマイセス・ラクチス産生のβ−ガラク
トシダーゼ。
(合同酒精会社製市販品,ラクターゼGODO−YNL,以下
「酵母β−gal.L」という) 3) クルイベロマイセス・フラギリス産生のβ−ガラ
クトシダーゼ。
(米国シグマ会社製市販品,カタログ番号G−7013番グ
レード12,以下「酵母β−gal.F」という) 4) アスペルギルス・オリーゼ産生のβ−ガラクトシ
ダーゼ。
(新日本化学工業会社製市販品,スミラクトL以下「ア
スペルギルスβ−gal.」という) 試験結果 本試験の結果は第2表に示す通りである。
即ち,ソルビトール50%及び70%の水溶液に溶解したア
スペルギルスβ−galは70℃に2時間保温した場合殆ん
ど失活しなかった。これに対し,大腸菌β−gal,酵母β
−gal.L及びFはいづれも不安定であり,ソルビトール5
0%(W/W)溶液の場合は完全に酵素活性が消滅し,70%
(W/W)溶液の場合でも,活性残存率がそれぞれ25.3%,
66.1%及び3.6%と非常に低い値を示した。
また,第2表の成績から明らかなように,β−ガラクト
シダーゼが同一属(クルイベロマイセス)に属する微生
物起源のものであっても,それらを産生した微生物の種
(ラクチス及びフラギリス)が相違すれば,それぞれの
酵素(酵母β−gal.L及び酵母β−gal.F)のソルビトー
ル添加による安定化効果に大差を示した。
なお,本発明に於いて,各酵素の活性測定はそれぞれの
酵素毎にpH,温度及び基質濃度が最適になるように,次
の方法で行った。
大腸菌β−gal.の活性測定 常法により行った。即ち, 0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)1.25ml,3.36M2−
メルカプトエタノール50μ,30mM塩化マグネシウム水
溶液50μ及び供試酵素液50μからなる溶液を37℃,3
分間保温して酵素を活性化した後,34mMのONPGを含む0.1
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)100μを加え,さ
らに37℃で10分間保温した後1mMのエチレンジアミンテ
トラアセテイト(以下EDTAという)ジナトリウムを含む
1M炭酸ナトリウム0.5mlを加えて反応を停止させ,420nm
での吸光度を測定し,この溶液中に生成したO−ニトロ
フエノールの量を求めた。
酵母β−gal.L及びFの活性測定法 ウエンドルフ(Wendorf)等の方法〔ジヤーナル・オブ
・ミルク・アンド・フッド・テクノロジー(Journal of
Milk and Food Technology)第34巻,451頁,1971年〕を
若干変更して行った。即ち,27mMのONPGを含む0.1Mリン
酸カリウム緩衝液(pH7.0)3ml,5mM塩化マンガン水溶液
1ml及び供試酵素液1mlを混合し,37℃,10分間保温した後
1m MEDTAジナトリウムを含む1M炭酸ナトリウム溶液1ml
を加え,3000rpm,5分間遠心分離して上清を得,その420n
mでの吸光度を測定した。
アスペルギルスβ−gal.の活性測定法 pH4.5に調整した5.7mM ONPG溶液3.5mlと供試酵素0.5ml
の混合液を30℃に10分間保った後,1M炭酸ナトリウム溶
液1mlを加えて反応を停止させ,この溶液の420nmでの吸
光度を測定し,生成したO−ニトロフエノールの量を求
めた。
上記1)〜3)の方法に於いて,酵素1単位(U)は,1
分間当り1μmolのONPGを加水分解する酵素量とした。
試験例2.(糖アルコールの種類別安定性比較試験) アスペルギルスβ−gal.を蒸留水で充分に透析して脱塩
後,濃度50%(W/W)の各種の糖アルコール水溶液に濃
度430U/gになるように溶解し,各溶液を5g宛試験管に封
入し,70℃湯浴中で30分間保温後の酵素活性を測定し,
保温前の活性と比較して酵素活性残存率を算出した。
本試験の結果は第3表に示す通りである。
試験例3.(糖アルコールの濃度別安定性比較試験) アスペルギルスβ−gal.を充分に透析して脱塩後,濃度
10%(W/W),30%(W/W),50%(W/W),70%(W/W)及
び80%(W/W)のソルビトール水溶液に濃度430U/gにな
るように溶解し,各溶液を5g宛試験管に封入し,70℃湯
浴中で30分間保温後の酵素活性を測定し,保温前の活性
と比較して酵素活性残存率を算出した。
なお,比較のためソルビトール水溶液の代りに水を使用
して同様な試験を行った。
本試験の結果は,第4表に示す通りである。
試験例4.(耐熱性試験) アスペルギルス・オリーゼ種に属するが菌株の相違する
微生物によって産生された2種のβ−ガラクトシダーゼ
を,70%(W/W)濃度のソルビトール水溶液中にそれぞれ
所定濃度に溶解し,5ml宛試験管に封入後80℃湯浴中で30
分,1時間及び2時間保温した時の酵素活性を測定し,保
温前の活性と比較して酵素活性残存率を算出した。
なお,供試酵素及び酵素濃度は以下の通りである。
(イ) 供試酵素 試料1:(アスペルギルスβ−gal.) 試料2:〔アスペルギルス・オリーゼU−8(微工研菌寄
第7378号)が産生したβ−ガラクトシダーゼ〕 (ロ) 酵素濃度 試料1:766U/ml 試料2:272U/ml 本試験の結果は第5表に示す通りである。
第5表から明らかなように,本発明のβ−ガラクトシダ
ーゼ水性組成物は,比較的短時間であれば80℃の高温で
も活性低下の少ない耐熱性を示した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マルチトール,キシリトール及びソルビト
    ールから選ばれる糖アルコールの1種又は2種以上を50
    〜80%(W/W)濃度で含有することを特徴とする安定な
    アスペルギルス・オリーゼ起源のβ−ガラクトシダーゼ
    水性組成物。
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