JPH07300362A - 気体不透過性炭素質材の製造方法 - Google Patents
気体不透過性炭素質材の製造方法Info
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- JPH07300362A JPH07300362A JP6119651A JP11965194A JPH07300362A JP H07300362 A JPH07300362 A JP H07300362A JP 6119651 A JP6119651 A JP 6119651A JP 11965194 A JP11965194 A JP 11965194A JP H07300362 A JPH07300362 A JP H07300362A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 焼成炭化過程で組織内部にクラックや割れが
生じない大型板状成形体の生産に有効な気体不透過性炭
素材の製造方法を提供する。 【構成】 熱硬化性樹脂と炭素質粉末の混練物を成形
し、加熱硬化したのち、非酸化性雰囲気下で焼成炭化す
る炭素質材の製造方法において、炭素質粉末として、予
め表面に熱硬化性樹脂液を被覆したのち熱処理して少な
くとも2層の被膜層を順次に形成し、かつ熱処理の温度
を内層側を高く、外層側を低く設定して傾斜機能組織の
被膜層を形成した被覆炭素質粉末を用いるる。好ましく
は、被膜層を内層、中間層、外層の順に熱処理温度を低
く設定した3層として形成する。
生じない大型板状成形体の生産に有効な気体不透過性炭
素材の製造方法を提供する。 【構成】 熱硬化性樹脂と炭素質粉末の混練物を成形
し、加熱硬化したのち、非酸化性雰囲気下で焼成炭化す
る炭素質材の製造方法において、炭素質粉末として、予
め表面に熱硬化性樹脂液を被覆したのち熱処理して少な
くとも2層の被膜層を順次に形成し、かつ熱処理の温度
を内層側を高く、外層側を低く設定して傾斜機能組織の
被膜層を形成した被覆炭素質粉末を用いるる。好ましく
は、被膜層を内層、中間層、外層の順に熱処理温度を低
く設定した3層として形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い強度特性を有する
とともに、気体不透過性に優れた大型板状の炭素質材を
製造する方法に関する。
とともに、気体不透過性に優れた大型板状の炭素質材を
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素質材は耐熱性、耐食性ならびに導電
性等の特性が優れていることから、電気、電子分野をは
じめ各種工業分野で広く使用されている。一般に、炭素
質材はコークス、黒鉛などの粉粒体を骨材としてピッチ
やタールなどのバインダーを加えて混練し、これを成形
したのち焼成炭化さらに黒鉛化処理をして製造されてい
る。このようにして製造される炭素質材は、その組織構
造が多孔質であるために、例えばりん酸型燃料電池のセ
パレータのような高度の気体不透過性が要求される用途
分野にはそのまま使用することができない。
性等の特性が優れていることから、電気、電子分野をは
じめ各種工業分野で広く使用されている。一般に、炭素
質材はコークス、黒鉛などの粉粒体を骨材としてピッチ
やタールなどのバインダーを加えて混練し、これを成形
したのち焼成炭化さらに黒鉛化処理をして製造されてい
る。このようにして製造される炭素質材は、その組織構
造が多孔質であるために、例えばりん酸型燃料電池のセ
パレータのような高度の気体不透過性が要求される用途
分野にはそのまま使用することができない。
【0003】気体不透過性の優れた炭素成形体を得る方
法として、炭素質粉末を熱硬化性樹脂液と混練したのち
成形、硬化し、さらに非酸化性雰囲気中で加熱処理して
樹脂成分を焼成炭化する方法が知られており、気体不透
過性のほか高度の導電性、機械的強度特性などを付与す
ることができる。例えば、黒鉛粉末をフェノール樹脂液
で成形し、焼成して全体が実質的に黒鉛よりなる不透過
性炭素成形体を製造する方法が提案されている(特開昭
57−72273 号公報)。ところが、黒鉛粉末はフェノール
樹脂液との濡れ性が良くないので均一に混合することが
難しいうえに、焼成炭化時に樹脂成分が著しく収縮する
ため、黒鉛との熱収縮率の相違により黒鉛と樹脂との界
面においてクラックが発生し易く、割れを生じることが
多い。
法として、炭素質粉末を熱硬化性樹脂液と混練したのち
成形、硬化し、さらに非酸化性雰囲気中で加熱処理して
樹脂成分を焼成炭化する方法が知られており、気体不透
過性のほか高度の導電性、機械的強度特性などを付与す
ることができる。例えば、黒鉛粉末をフェノール樹脂液
で成形し、焼成して全体が実質的に黒鉛よりなる不透過
性炭素成形体を製造する方法が提案されている(特開昭
57−72273 号公報)。ところが、黒鉛粉末はフェノール
樹脂液との濡れ性が良くないので均一に混合することが
難しいうえに、焼成炭化時に樹脂成分が著しく収縮する
ため、黒鉛との熱収縮率の相違により黒鉛と樹脂との界
面においてクラックが発生し易く、割れを生じることが
多い。
【0004】また、特公平1−31445号公報には、
炭化焼成後に炭素質のうち黒鉛が5〜50重量%を占
め、残部が熱硬化性樹脂の炭化焼成により形成されたガ
ラス質炭素からなるように熱硬化性樹脂粉末と黒鉛粉末
と熱硬化性樹脂液とからなる組成物を成形、硬化させた
後、非酸化性雰囲気下で焼成炭化する不透過性炭素成形
体の製造方法が開示されている。しかしながら、この方
法でも黒鉛と樹脂成分との熱収縮率の差異に基づく内部
応力によるクラックの発生や割れを防止することは困難
である。
炭化焼成後に炭素質のうち黒鉛が5〜50重量%を占
め、残部が熱硬化性樹脂の炭化焼成により形成されたガ
ラス質炭素からなるように熱硬化性樹脂粉末と黒鉛粉末
と熱硬化性樹脂液とからなる組成物を成形、硬化させた
後、非酸化性雰囲気下で焼成炭化する不透過性炭素成形
体の製造方法が開示されている。しかしながら、この方
法でも黒鉛と樹脂成分との熱収縮率の差異に基づく内部
応力によるクラックの発生や割れを防止することは困難
である。
【0005】本出願人は、予め均質に表面酸化を施した
粒度100メッシュ以下のコークスまたは黒鉛微粉末を
フィラーとし、これに少なくとも40%の残炭率を有す
る熱硬化性樹脂の初期縮合物を添加混練して熱圧モール
ド成形したのち、成形体を不活性雰囲気中で焼成する耐
熱不透過性炭素質材の製造方法を開発している(特公昭
63−66783 号公報)。この方法によれば、表面酸化処理
された黒鉛微粉末は表面積が著しく増大し、またその表
面にカルボキシル基などの活性官能ラジカルが生成する
ため、樹脂成分との相互密着性が改善されて結合力の高
い混練物を得ることができる。したがって、焼成炭化後
も強固緻密で高度の気体不透過組織が得られる。
粒度100メッシュ以下のコークスまたは黒鉛微粉末を
フィラーとし、これに少なくとも40%の残炭率を有す
る熱硬化性樹脂の初期縮合物を添加混練して熱圧モール
ド成形したのち、成形体を不活性雰囲気中で焼成する耐
熱不透過性炭素質材の製造方法を開発している(特公昭
63−66783 号公報)。この方法によれば、表面酸化処理
された黒鉛微粉末は表面積が著しく増大し、またその表
面にカルボキシル基などの活性官能ラジカルが生成する
ため、樹脂成分との相互密着性が改善されて結合力の高
い混練物を得ることができる。したがって、焼成炭化後
も強固緻密で高度の気体不透過組織が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
先行技術によってもコークスや黒鉛微粉末と熱硬化性樹
脂との界面における熱収縮率の差異に基づく内部応力に
よって、クラックの発生や割れの発生を防止するには充
分ではない。
先行技術によってもコークスや黒鉛微粉末と熱硬化性樹
脂との界面における熱収縮率の差異に基づく内部応力に
よって、クラックの発生や割れの発生を防止するには充
分ではない。
【0007】本発明の目的は、このような問題点の解消
を図り、焼成炭化過程で炭素質粉末と熱硬化性樹脂との
界面部に熱収縮差に基づくクラックや割れの発生を伴う
ことのない気体不透過性炭素質材の工業的な製造方法を
提供することにある。
を図り、焼成炭化過程で炭素質粉末と熱硬化性樹脂との
界面部に熱収縮差に基づくクラックや割れの発生を伴う
ことのない気体不透過性炭素質材の工業的な製造方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による気体不透過性炭素質材の製造方法は、
熱硬化性樹脂と炭素質粉末の混練物を成形し、加熱硬化
したのち、非酸化性雰囲気下で焼成炭化する炭素質材の
製造方法において、炭素質粉末として、予め表面に熱硬
化性樹脂液を被覆したのち熱処理して少なくとも2層の
被膜層を順次に形成し、かつ熱処理の温度を内層側を高
く、外層側を低く設定して傾斜機能組織の被膜層を形成
した被覆炭素質粉末を用いることを構成上の特徴とす
る。
めの本発明による気体不透過性炭素質材の製造方法は、
熱硬化性樹脂と炭素質粉末の混練物を成形し、加熱硬化
したのち、非酸化性雰囲気下で焼成炭化する炭素質材の
製造方法において、炭素質粉末として、予め表面に熱硬
化性樹脂液を被覆したのち熱処理して少なくとも2層の
被膜層を順次に形成し、かつ熱処理の温度を内層側を高
く、外層側を低く設定して傾斜機能組織の被膜層を形成
した被覆炭素質粉末を用いることを構成上の特徴とす
る。
【0009】本発明において、フィラー基材となる炭素
質粉末としては、コークス粉、炭素粉、黒鉛粉、ガラス
状炭素粉、カーボンブラックなどから選択使用される
が、特に被膜層との密着性が高いガラス状炭素の粉末を
用いることが好適である。また炭素質粉末は、平均粒径
が1.0mm以下の粒度であることが好ましい。平均粒径
が1.0mmを越えると、熱硬化性樹脂と混練する際に均
一に分散し難くなる。
質粉末としては、コークス粉、炭素粉、黒鉛粉、ガラス
状炭素粉、カーボンブラックなどから選択使用される
が、特に被膜層との密着性が高いガラス状炭素の粉末を
用いることが好適である。また炭素質粉末は、平均粒径
が1.0mm以下の粒度であることが好ましい。平均粒径
が1.0mmを越えると、熱硬化性樹脂と混練する際に均
一に分散し難くなる。
【0010】炭素質粉末に被膜層を形成するための熱硬
化性樹脂液には、非酸化性雰囲気中で焼成炭化した際に
ガラス状炭素に転化するものから選択され、焼成時の残
炭率が高いフェノール系樹脂またはフラン系樹脂の初期
縮合物、もしくはこれらの混合樹脂液、ポリイミド樹脂
液等が好ましく用いられる。
化性樹脂液には、非酸化性雰囲気中で焼成炭化した際に
ガラス状炭素に転化するものから選択され、焼成時の残
炭率が高いフェノール系樹脂またはフラン系樹脂の初期
縮合物、もしくはこれらの混合樹脂液、ポリイミド樹脂
液等が好ましく用いられる。
【0011】炭素質粉末の表面に熱硬化性樹脂液を被覆
する方法は特に限定するものではないが、例えば熱硬化
性樹脂をアセトン、アルコール、エーテルなどの有機溶
剤に溶解したコーティング溶液中に炭素質粉末を混合分
散させ、濾過したのち50〜150℃の温度で乾燥およ
び硬化させる方法が均一な被覆化に有効であり、工業的
量産手段としても適している。この場合のコーティング
溶液中の樹脂濃度は、0.4〜20重量%の範囲に設定
することが好ましい。樹脂濃度が0.4重量%未満では
樹脂の被覆が薄くなり過ぎて、熱収縮率の差異による内
部応力を緩和する機能が十分に発揮されず、他方、樹脂
濃度が20重量%を越えると均一に被覆することが困難
となるためである。このようにして炭素質粉末の表面に
熱硬化性樹脂液を被覆したのち、非酸化性雰囲気中で熱
処理する。
する方法は特に限定するものではないが、例えば熱硬化
性樹脂をアセトン、アルコール、エーテルなどの有機溶
剤に溶解したコーティング溶液中に炭素質粉末を混合分
散させ、濾過したのち50〜150℃の温度で乾燥およ
び硬化させる方法が均一な被覆化に有効であり、工業的
量産手段としても適している。この場合のコーティング
溶液中の樹脂濃度は、0.4〜20重量%の範囲に設定
することが好ましい。樹脂濃度が0.4重量%未満では
樹脂の被覆が薄くなり過ぎて、熱収縮率の差異による内
部応力を緩和する機能が十分に発揮されず、他方、樹脂
濃度が20重量%を越えると均一に被覆することが困難
となるためである。このようにして炭素質粉末の表面に
熱硬化性樹脂液を被覆したのち、非酸化性雰囲気中で熱
処理する。
【0012】上記の被覆化工程は、2回以上反復して少
なくとも2層の被膜層を順次に形成する。この際、熱処
理する温度を内層側を高く、外層側を低く設定して被膜
層に傾斜機能組織を付与する。例えば、最初に樹脂コー
ティングした炭素質粉末を800〜1800℃の温度範
囲で熱処理して第1の被膜層を形成したのち、再び前記
コーティング溶液中に混合分散させて同様の操作で樹脂
をコーティングし、非酸化性雰囲気中300〜800℃
の温度で熱処理して第2の被膜層を形成する。このよう
にして形成された被膜層は、内層側が炭化度の進んだ炭
素質に転化し、外層側は殆ど炭化されていないため樹脂
質あるいは炭化度合の低い半炭化層となり、層間に段階
的な傾斜機能組織が付与される。
なくとも2層の被膜層を順次に形成する。この際、熱処
理する温度を内層側を高く、外層側を低く設定して被膜
層に傾斜機能組織を付与する。例えば、最初に樹脂コー
ティングした炭素質粉末を800〜1800℃の温度範
囲で熱処理して第1の被膜層を形成したのち、再び前記
コーティング溶液中に混合分散させて同様の操作で樹脂
をコーティングし、非酸化性雰囲気中300〜800℃
の温度で熱処理して第2の被膜層を形成する。このよう
にして形成された被膜層は、内層側が炭化度の進んだ炭
素質に転化し、外層側は殆ど炭化されていないため樹脂
質あるいは炭化度合の低い半炭化層となり、層間に段階
的な傾斜機能組織が付与される。
【0013】被膜層は、内層、中間層、外層の順に熱処
理温度を低く設定した3層として形成すると一層良好な
傾斜機能組織が付与されて、バインダーとなる熱硬化性
樹脂との界面における熱収縮差に基づく応力がより効果
的に緩和される。この場合の熱処理温度は、例えば内層
1200〜1800℃、中間層800〜1200℃、外
層300〜700℃に設定する。
理温度を低く設定した3層として形成すると一層良好な
傾斜機能組織が付与されて、バインダーとなる熱硬化性
樹脂との界面における熱収縮差に基づく応力がより効果
的に緩和される。この場合の熱処理温度は、例えば内層
1200〜1800℃、中間層800〜1200℃、外
層300〜700℃に設定する。
【0014】しかし、各被膜層の熱処理における温度差
は500℃以下に設定することが好ましく、この熱処理
温度差が500℃を越えると傾斜機能が損なわれて、熱
収縮時の応力緩和の機能が円滑に発揮されなくなること
がある。
は500℃以下に設定することが好ましく、この熱処理
温度差が500℃を越えると傾斜機能が損なわれて、熱
収縮時の応力緩和の機能が円滑に発揮されなくなること
がある。
【0015】上記の処理により予め少なくとも2層の被
膜層を順次に形成した被覆炭素質粉末は、ついでバイン
ダーとなる熱硬化性樹脂と混練したのち、成形硬化され
る。バインダーとなる熱硬化性樹脂としては炭素質粉末
の被覆層形成に用いたと同一の熱硬化性樹脂が好適に用
いられ、被覆炭素質粉末を熱硬化性樹脂100重量部に
対し20〜60重量部の範囲で添加して適宜の混練機に
より望ましくは減圧下で均一に混練し、混練物を所定形
状の板状体に成形したのち300℃以下、好ましくは2
00℃以下の温度に加熱して硬化する。
膜層を順次に形成した被覆炭素質粉末は、ついでバイン
ダーとなる熱硬化性樹脂と混練したのち、成形硬化され
る。バインダーとなる熱硬化性樹脂としては炭素質粉末
の被覆層形成に用いたと同一の熱硬化性樹脂が好適に用
いられ、被覆炭素質粉末を熱硬化性樹脂100重量部に
対し20〜60重量部の範囲で添加して適宜の混練機に
より望ましくは減圧下で均一に混練し、混練物を所定形
状の板状体に成形したのち300℃以下、好ましくは2
00℃以下の温度に加熱して硬化する。
【0016】ついで、成形体を非酸化性雰囲気に保持さ
れた焼成炉に移し、800℃以上の温度域で焼成炭化処
理する。更に、必要があれば前記と同様の非酸化性雰囲
気下で2000℃以上の温度に加熱して黒鉛化処理を施
すことにより、目的とする気体不透過性炭素質材を得
る。
れた焼成炉に移し、800℃以上の温度域で焼成炭化処
理する。更に、必要があれば前記と同様の非酸化性雰囲
気下で2000℃以上の温度に加熱して黒鉛化処理を施
すことにより、目的とする気体不透過性炭素質材を得
る。
【0017】
【作用】本発明によれば、フィラー成分となる炭素質粉
末の表面に予め少なくとも2層の被膜層が順次に形成さ
れ、この被膜層は内層側が炭素質で、外層側は炭化度合
の低い樹脂質に近い性状の段階的な傾斜機能組織を呈し
ている。この傾斜機能組織を備える被膜層は、まず内層
側の炭素質組織が基材となる炭素質粉末と一体強固に密
着しており、樹脂質に近い外層側はバインダーとなる熱
硬化性樹脂と混練する際に界面濡れ性を改善し、樹脂中
への均一な混合分散と強固な結合状態が形成するために
寄与する。
末の表面に予め少なくとも2層の被膜層が順次に形成さ
れ、この被膜層は内層側が炭素質で、外層側は炭化度合
の低い樹脂質に近い性状の段階的な傾斜機能組織を呈し
ている。この傾斜機能組織を備える被膜層は、まず内層
側の炭素質組織が基材となる炭素質粉末と一体強固に密
着しており、樹脂質に近い外層側はバインダーとなる熱
硬化性樹脂と混練する際に界面濡れ性を改善し、樹脂中
への均一な混合分散と強固な結合状態が形成するために
寄与する。
【0018】ついで、成形体の焼成炭化段階に至ると、
被膜層を形成する傾斜機能組織がバインダー樹脂成分と
の界面に生じる熱収縮率の差異に基づく内部応力を徐々
に緩和分散する機能を営み、この作用を介してクラック
や割れ等の発生が効果的に防止される。このような作用
が相乗して、常に組織欠陥のない優れた気体不透過性を
備える炭素質材を工業的に生産することが可能となる。
被膜層を形成する傾斜機能組織がバインダー樹脂成分と
の界面に生じる熱収縮率の差異に基づく内部応力を徐々
に緩和分散する機能を営み、この作用を介してクラック
や割れ等の発生が効果的に防止される。このような作用
が相乗して、常に組織欠陥のない優れた気体不透過性を
備える炭素質材を工業的に生産することが可能となる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。
明する。
【0020】実施例1 炭素質粉末の基材として、ガラス状炭素(東海カーボン
(株)製、GC2000〕を自由粉砕機(奈良機械製作所製、
M−3)で粉砕した平均粒径0.8mmの粉末を用いた。
この炭素質粉末を、フェノール樹脂液をエタノールに溶
解して樹脂濃度2.0重量%に調製したコーティング液
中に24時間浸漬したのち吸引濾過し、温風循環乾燥器
に入れて50℃で5時間乾燥後、90℃で5時間、更に
150℃で5時間硬化処理を施した。ついで、樹脂被覆
した炭素質粉末を高純度黒鉛製の坩堝に入れて焼成炉に
移し、窒素ガス雰囲気下に1000℃で熱処理した。こ
の炭素質粉末を、再び前記コーティング液中に24時間
浸漬して同一の操作を行って被覆樹脂を硬化処理した
後、同様の条件で600℃の温度で熱処理を行った。
(株)製、GC2000〕を自由粉砕機(奈良機械製作所製、
M−3)で粉砕した平均粒径0.8mmの粉末を用いた。
この炭素質粉末を、フェノール樹脂液をエタノールに溶
解して樹脂濃度2.0重量%に調製したコーティング液
中に24時間浸漬したのち吸引濾過し、温風循環乾燥器
に入れて50℃で5時間乾燥後、90℃で5時間、更に
150℃で5時間硬化処理を施した。ついで、樹脂被覆
した炭素質粉末を高純度黒鉛製の坩堝に入れて焼成炉に
移し、窒素ガス雰囲気下に1000℃で熱処理した。こ
の炭素質粉末を、再び前記コーティング液中に24時間
浸漬して同一の操作を行って被覆樹脂を硬化処理した
後、同様の条件で600℃の温度で熱処理を行った。
【0021】上記の処理により予め表面に傾斜機能組織
をもつ2層の被膜層を形成した被覆炭素質粉末1800
gを、被膜層形成に用いたと同一の液状フェノール樹脂
4200g中に添加し、20torrの真空中で混練処理し
た。混練物をプレス成形により縦横1000mm、厚さ4
mmの平板に成形し、70℃で24時間、150℃で24
時間加熱して硬化した。この板状成形体を高純度黒鉛板
〔東海カーボン(株)製G347SS〕で挟み付け、パッ
キングレスの高温加熱炉〔東海高熱工業(株)製、TP
150〕にセットし、炉内雰囲気を不純物10ppm 未満
の窒素ガス雰囲気に保持しながら600℃までは5℃/
hr、600から1500℃までは20℃/hrの昇温速度
で加熱して焼成炭化処理を行った。得られた炭素質材の
諸特性を測定し、その結果を表1に示した。
をもつ2層の被膜層を形成した被覆炭素質粉末1800
gを、被膜層形成に用いたと同一の液状フェノール樹脂
4200g中に添加し、20torrの真空中で混練処理し
た。混練物をプレス成形により縦横1000mm、厚さ4
mmの平板に成形し、70℃で24時間、150℃で24
時間加熱して硬化した。この板状成形体を高純度黒鉛板
〔東海カーボン(株)製G347SS〕で挟み付け、パッ
キングレスの高温加熱炉〔東海高熱工業(株)製、TP
150〕にセットし、炉内雰囲気を不純物10ppm 未満
の窒素ガス雰囲気に保持しながら600℃までは5℃/
hr、600から1500℃までは20℃/hrの昇温速度
で加熱して焼成炭化処理を行った。得られた炭素質材の
諸特性を測定し、その結果を表1に示した。
【0022】実施例2 緻密質炭素材料(2000℃処理品)を粉砕して得た平均粒
径0.8mmの粉末を炭素質粉末の基材とし、その他は実
施例1と同一の条件で2層の被膜層を形成し、引き続き
被覆炭素質粉末を実施例1と同一の条件で液状フェノー
ル樹脂に添加混練、成形、硬化および焼成炭化処理を行
った。得られた炭素質材の諸特性を測定し、その結果を
表1に併載した。
径0.8mmの粉末を炭素質粉末の基材とし、その他は実
施例1と同一の条件で2層の被膜層を形成し、引き続き
被覆炭素質粉末を実施例1と同一の条件で液状フェノー
ル樹脂に添加混練、成形、硬化および焼成炭化処理を行
った。得られた炭素質材の諸特性を測定し、その結果を
表1に併載した。
【0023】実施例3 実施例1において、第1層の熱処理温度を1500℃、
第2層の熱処理温度を1000℃として被覆炭素質粉末
を形成した。更に同一操作により樹脂コーティング液中
に浸漬し、樹脂液の硬化処理を行った後、窒素ガス雰囲
気中500℃の温度で熱処理し、炭素質表面に内層、中
間層および外層の順に熱処理温度を低く設定した3層の
被膜層を形成した。ついで、実施例1と同一工程で熱硬
化性樹脂との混練、成形、硬化ならびに焼成炭化処理を
施して炭素質材を製造した。得られた炭素質材の諸特性
を測定し、その結果を表1に併載した。
第2層の熱処理温度を1000℃として被覆炭素質粉末
を形成した。更に同一操作により樹脂コーティング液中
に浸漬し、樹脂液の硬化処理を行った後、窒素ガス雰囲
気中500℃の温度で熱処理し、炭素質表面に内層、中
間層および外層の順に熱処理温度を低く設定した3層の
被膜層を形成した。ついで、実施例1と同一工程で熱硬
化性樹脂との混練、成形、硬化ならびに焼成炭化処理を
施して炭素質材を製造した。得られた炭素質材の諸特性
を測定し、その結果を表1に併載した。
【0024】比較例1 表面に被膜層を形成しない炭素質粉末を用いたほかは、
実施例1と同一条件で液状フェノール樹脂に添加混練
し、次いで成形、硬化および焼成炭化処理した。得られ
た炭素質材の諸特性を測定し、その結果を表1に併載し
た。
実施例1と同一条件で液状フェノール樹脂に添加混練
し、次いで成形、硬化および焼成炭化処理した。得られ
た炭素質材の諸特性を測定し、その結果を表1に併載し
た。
【0025】比較例2 実施例1と同一条件で炭素質粉末を樹脂コーティング
し、硬化処理をした後、この炭素質粉末を高純度黒鉛製
の坩堝に入れて窒素ガス雰囲気中1000℃の温度で熱
処理して1層の被膜層を形成した。ついで、被覆炭素質
粉末を実施例1と同一の条件で液状フェノール樹脂に添
加混練、成形、硬化および焼成炭化処理して得られた炭
素質材の諸特性を測定し、その結果を表1に併載した。
し、硬化処理をした後、この炭素質粉末を高純度黒鉛製
の坩堝に入れて窒素ガス雰囲気中1000℃の温度で熱
処理して1層の被膜層を形成した。ついで、被覆炭素質
粉末を実施例1と同一の条件で液状フェノール樹脂に添
加混練、成形、硬化および焼成炭化処理して得られた炭
素質材の諸特性を測定し、その結果を表1に併載した。
【0026】
【表1】
【0027】表1の結果から、炭素質粉末の表面に2層
または3層の被膜層を形成した実施例による炭素質材
は、いずれも焼成炭化過程における材質欠陥がなく、優
れた組織強度と気体不透過性を示すことが認められた。
これに対し、被膜層を形成しない比較例1はクラックの
発生を防止することが困難なため気体透過度が大きく、
強度特性も低下している。そのうえ、焼成炭化時におい
て割れ発生による製品歩留りの低下も大きい。また、被
膜層を1層のみ形成した比較例2では被膜層に傾斜機能
がないため、焼成炭化時の内部応力が緩和されず、気体
透過度や強度特性が劣る結果を示した。
または3層の被膜層を形成した実施例による炭素質材
は、いずれも焼成炭化過程における材質欠陥がなく、優
れた組織強度と気体不透過性を示すことが認められた。
これに対し、被膜層を形成しない比較例1はクラックの
発生を防止することが困難なため気体透過度が大きく、
強度特性も低下している。そのうえ、焼成炭化時におい
て割れ発生による製品歩留りの低下も大きい。また、被
膜層を1層のみ形成した比較例2では被膜層に傾斜機能
がないため、焼成炭化時の内部応力が緩和されず、気体
透過度や強度特性が劣る結果を示した。
【0028】実施例4〜7 炭素質粉末の基材として、実施例1と同一のガラス状炭
素を平均粒径0.9mmおよび0.7mmに粉砕した粉末を
用いた。この炭素質粉末を、フェノール樹脂液をエタノ
ールに溶解して樹脂濃度3.0重量%のコーティング液
中に24時間浸漬したのち吸引濾過し、次いで温風循環
乾燥器に入れて実施例1と同様に硬化処理および窒素ガ
ス雰囲気中で熱処理した。この操作を2回および3回反
復して炭素質粉末に2層および3層の被膜層を形成し
た。この際、熱処理温度を変えて被膜層に傾斜機能組織
を形成した。各被覆炭素質粉末を用い、その後は実施例
1と同一操作により炭素質材を製造した。得られた各炭
素質材の諸特性を測定し、その結果を適用した炭素質粉
末の平均粒径および熱処理温度と対比させて表2に示し
た。
素を平均粒径0.9mmおよび0.7mmに粉砕した粉末を
用いた。この炭素質粉末を、フェノール樹脂液をエタノ
ールに溶解して樹脂濃度3.0重量%のコーティング液
中に24時間浸漬したのち吸引濾過し、次いで温風循環
乾燥器に入れて実施例1と同様に硬化処理および窒素ガ
ス雰囲気中で熱処理した。この操作を2回および3回反
復して炭素質粉末に2層および3層の被膜層を形成し
た。この際、熱処理温度を変えて被膜層に傾斜機能組織
を形成した。各被覆炭素質粉末を用い、その後は実施例
1と同一操作により炭素質材を製造した。得られた各炭
素質材の諸特性を測定し、その結果を適用した炭素質粉
末の平均粒径および熱処理温度と対比させて表2に示し
た。
【0029】
【表2】
【0030】表2の結果から、本発明の要件を満たす実
施例の炭素質材は、いずれも気体透過度が低く、緻密で
強度特性が優れたものであることが判る。
施例の炭素質材は、いずれも気体透過度が低く、緻密で
強度特性が優れたものであることが判る。
【0031】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば基材とな
る炭素質粉末の表面に、予め内層側から外層側にかけて
熱処理度合が段階的に変化する傾斜機能組織の被膜層を
形成してフィラーとすることにより、焼成炭化時の熱収
縮率の差異に基づく内部応力を巧に緩和分散し、バイン
ダー樹脂との界面部位にクラックや割れが発生する現象
を効果的に防止することができる。したがって、優れた
気体不透過性を備える緻密かつ高強度の大型板状炭素質
体の製造が可能となるから、リン酸型燃料電池用セパレ
ータをはじめ各種構造部材用の気体不透過性炭素材を工
業生産する製造技術として極めて有用である。
る炭素質粉末の表面に、予め内層側から外層側にかけて
熱処理度合が段階的に変化する傾斜機能組織の被膜層を
形成してフィラーとすることにより、焼成炭化時の熱収
縮率の差異に基づく内部応力を巧に緩和分散し、バイン
ダー樹脂との界面部位にクラックや割れが発生する現象
を効果的に防止することができる。したがって、優れた
気体不透過性を備える緻密かつ高強度の大型板状炭素質
体の製造が可能となるから、リン酸型燃料電池用セパレ
ータをはじめ各種構造部材用の気体不透過性炭素材を工
業生産する製造技術として極めて有用である。
Claims (5)
- 【請求項1】 熱硬化性樹脂と炭素質粉末の混練物を成
形し、加熱硬化したのち、非酸化性雰囲気下で焼成炭化
する炭素質材の製造方法において、炭素質粉末として、
予め表面に熱硬化性樹脂液を被覆したのち熱処理して少
なくとも2層の被膜層を順次に形成し、かつ熱処理の温
度を内層側を高く、外層側を低く設定して傾斜機能組織
の被膜層を形成した被覆炭素質粉末を用いることを特徴
とする気体不透過性炭素質材の製造方法。 - 【請求項2】 炭素質粉末の表面に3層の被膜層を形成
し、内層、中間層、外層の順に熱処理温度を低く設定す
る請求項1記載の気体不透過性炭素質材の製造方法。 - 【請求項3】 各被膜層を形成する熱処理温度差を50
0℃以下に設定する請求項1又は2記載の気体不透過性
炭素質材の製造方法。 - 【請求項4】 炭素質粉末の平均粒径が1.0mm以下で
ある請求項1、2又は3記載の気体不透過性炭素質材の
製造方法。 - 【請求項5】 炭素質粉末がガラス状炭素粉末である請
求項1、2、3又は4記載の気体不透過性炭素質材の製
造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6119651A JPH07300362A (ja) | 1994-05-09 | 1994-05-09 | 気体不透過性炭素質材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6119651A JPH07300362A (ja) | 1994-05-09 | 1994-05-09 | 気体不透過性炭素質材の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07300362A true JPH07300362A (ja) | 1995-11-14 |
Family
ID=14766722
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6119651A Pending JPH07300362A (ja) | 1994-05-09 | 1994-05-09 | 気体不透過性炭素質材の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07300362A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1217675A3 (en) * | 2000-12-22 | 2004-09-15 | Nippon Pillar Packing Co., Ltd. | Separator for fuel cell and manufacture method for the same |
-
1994
- 1994-05-09 JP JP6119651A patent/JPH07300362A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1217675A3 (en) * | 2000-12-22 | 2004-09-15 | Nippon Pillar Packing Co., Ltd. | Separator for fuel cell and manufacture method for the same |
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