JPH07308690A - 原位置微生物分解の分解材料および実施方法 - Google Patents

原位置微生物分解の分解材料および実施方法

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JPH07308690A
JPH07308690A JP6106675A JP10667594A JPH07308690A JP H07308690 A JPH07308690 A JP H07308690A JP 6106675 A JP6106675 A JP 6106675A JP 10667594 A JP10667594 A JP 10667594A JP H07308690 A JPH07308690 A JP H07308690A
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microbiologically
substance
soil layer
harmful chemical
soil
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JP6106675A
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Yukitoshi Okubo
幸俊 大久保
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 土層中における有害化学物質分解性微生物の
分布の制御 【構成】 分解材料に一以上の指標物質を含ませてお
き、採取した試料中の指標物質の濃度から分解材料の所
在、濃度を知る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微生物学的に有害化学物
質を原位置で分解する方法であり、汚染土壌の修復に利
用される。
【0002】更に詳しくは、原位置処理(IN SIT
U)の汚染土壌修復であり、指標物質を含むことを特徴
とする有害化学物質微生物学的分解材料(以下単に分解
材料と云う)、およびこれを用いる汚染土壌の修復に関
する方法である。
【0003】
【従来の技術】近年、芳香族炭化水素、パラフィン、ナ
フテン等の炭化水素、あるいはトリクロロエチレン、テ
トラクロロエチレン、テトラクロロエタン等の有機塩素
系化合物等による環境汚染が問題となっている。これら
化学物質の多くは土壌中に浸透し、分解されずに、徐々
に地下水に溶け地下水を通じて汚染領域が拡大する。
【0004】これらの深刻な環境汚染の再発を防止する
ことが必要であるがこれと共に、すでに汚染されてしま
った環境を浄化し、もとの状態にもどしていく技術を早
急に確立することが強く望まれている。
【0005】この環境修復技術の例としては、汚染され
た地下水を汲み上げて揮発性の有機物を分離し、活性炭
に吸着させる曝気処理、汚染土壌を太陽や熱源にさら
し、揮発性有機物を熱により蒸発させる加熱処理、汚染
土壌にボーリング穴を設け、真空で汚染物質を吸引する
真空抽出、また汚染土壌を真空釜に入れて加熱し吸引し
て抽出する真空釜処理等が行われている。
【0006】特に高濃度で、局部的な汚染の場合ならこ
れらの物理化学的処理が有効となることもあるが、汚染
が低濃度で、広範囲である時にはこのような技術では処
理速度やコストが問題となる。また活性炭によりこれら
有機物が回収できたとしても、汚染問題を起した化学物
質は通常は難分解性の物質であり、これを更に次の段階
として無害化するための処理が必要となる問題が残って
いた。これら物理化学的処理の問題を解決する為の方法
として、近年微生物による生物学的な処理を用いた土壌
修復法が検討されている。
【0007】微生物、特に土壌に棲息できる微生物が汚
染物質を分解する方法であれば、自然のエネルギーによ
り浄化が行われ、投入エネルギーも小さく、また分解も
水や炭酸ガスにまで進められることが期待される。
【0008】さて、土壌汚染を引き起こしている難分解
性化合物、例えば、芳香族炭化水素や有機塩素系化合物
を分解する微生物は数多く知られている。しかしなが
ら、実際の汚染土壌に、これらの微生物や分解材料をそ
のまま散布した場合では、通常は材料の供給に過不足や
不均一を生じ的確な浄化が行われないことは容易に予想
される。
【0009】これは「汚染物質の分布」と「微生物学的
分解材料の散布」に時間的差異、物理化学的性質の差異
があり一致し難いためである。
【0010】これらを克服するため、微生物学的分解材
料を地中内に強制的に配置する施工をするか、材料を土
質層内に挿入したパイプで圧送する等の方法が用いられ
てきた。
【0011】従来USP-5120160(Environ,Reclamation Sy
s.Inc.)やDE-3839093 C2(Buaer Spezialitiefbau Gmbh)
、USP-5080782(Environ.Sci.& Eng.Inc.)等において地
中内へ微生物や栄養物を供給して、汚染物質の生物浄化
する提案があった。
【0012】しかし、必要な領域に掘削等の土木工事を
行い微生物学的分解材料を土質層内に仕込む方法では工
事が大掛かりとなる欠点を有し、パイプで圧送する方法
では微生物学的分解材料がどの程度の濃度で、どの程度
の範囲に分布しているかを、地上から判断することが極
めて難しかった。たとえば微生物学的分解材料の分布を
知る目的で土質層内部からのサンプリングにより微生物
を分析するのでは、時間的なロスや遅れにより、的確な
分解材料の配置を困難にする。
【0013】一方汚染された地下水を汲み上げて物理化
学的もしくは微生物学的に処理する方法も試みられてい
るが、この方法は、汲み上げや処理に莫大なエネルギー
を要し、浄化のための地上施設を要し、更に地盤沈下を
生じたり、地下水流の下流側での利用に支障を生じた
り、伏流水の変化による下流生態系への影響等派生的な
問題が少なくない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来、菌やその栄養素
等の微生物分解材料を土壌中に直接供給する方法では、
汚染物質の分布に対応した分布を、地表面で人為的に作
ることが非常に難しかった。このような不十分な菌の分
布コントロール下では過剰にこれらを供給する等低い分
解の効率や経済性で不利であった。一方地中へ分解材料
を供給する目的で、広い領域を、地中深く堀り起こすこ
とは物理的に困難かコスト的に難点がある。また単に地
上からの散布により自然拡散させる場合は、汚染物質の
拡散し始めた時間と生物学的分解物を供給する時期の時
間的ズレから両者の分布状態を同じにすることは極めて
困難である。特に拡散性の差は、この時間的差に加え、
両者の比重の差、土壌との化学的、もしくは生物学的親
和性の差等も分布の違いを一致させ得ない原因となる。
【0015】土質層汚染の修復を基本的に困難にしてい
る更に他の理由は、地下水移動速度が非常に緩慢である
ことと、難溶解性の汚染物質が土壌に吸着され、これが
水に溶解する時の吸着平衡も緩慢に進行し、流入した非
汚染地下水が汚染物質を吸着した土壌と再平衡に達する
にも時間を要する点にある。このことは、いたずらに地
下水を外部より急激に移動させても効果が得にくいこと
を示唆している。即ち、汚染地域をポンプで吸引した
り、上流側から地下水水位を強制的に上昇させることに
より汚染地下水を押しだすような方法等は意外に効果が
低い。
【0016】また、汚染地の地下水下流側に、面状にバ
リヤー壁を設けたり、ネット状に汚染物質の吸着体や分
解体を設けることも、物理的には可能でも、膨大な工事
や費用を要する問題があった。
【0017】本発明の目的は、上述の土壌修復における
未解決の問題点を解決することにあり、土壌の汚染から
発生する地下水の汚染を浄化することにより実質的に汚
染土壌を修復するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の観
点から土質層汚染を生じている有害化学物質を微生物学
的に分解する土壌浄化方法について、微生物学的分解を
行なうのに必要な材料に検出容易な指標物質を含ませて
おき、期待している注入を確実に行なうことで、増殖や
分解活性を確実にするための材料、および施工方法を発
明したことに基づく。
【0019】以下本発明について詳述する。
【0020】土壌汚染が実質的に環境に影響を与える経
路は、汚染物質の性質や汚染状態により多様である。し
かしながら、近年特に問題とされている有機塩素系の溶
剤による土壌汚染の場合は、地下に漏洩した溶剤が、地
中深くに浸透し、徐々に地下水に溶解し、この地下水の
移動と共に汚染領域の拡大を生じ、地下水下流域におい
て、この地下水を利用する時に初めて問題が表面化した
り、もしくは地下より湧き出た伏流水、更には河川への
流出時に問題となることが多かった。
【0021】汚染土壌が局所的で、汚染の初期であれ
ば、汚染された土壌を直接処理することにより問題を解
決することも可能であるかもしれない。しかしながら、
今日問題となる多くの例は、有機塩素系の溶剤が広く使
用されて10数年以上経過し、初めて問題に気付いた場
合が多く、その実態は土壌に深く浸透した溶剤が土壌物
質に吸着され、ここを通過する地下水に、少しずつ溶解
して、上述の地下水汚染として環境に影響を与えてい
る。
【0022】ここで問題の比重の大きな有機塩素系溶剤
汚染の典型的な機構について述べる。
【0023】図6は典型的な有機塩素系汚染土壌の地下
断面の模式図である。
【0024】まず汚染源Cより土壌I(表土)、H(ロ
ーム層)、G(砂層)やF(砂礫層)へ浸透した溶剤は
土壌に吸着され、ここで吸着されなかった過剰な溶剤は
下層の土壌に次々と吸着が進行する。この時の汚染物質
の分布は上下に急峻な山型となり、下方へ浸透し、吸着
できる土壌があるかぎり、水平方向への分布はあまり進
行しない。
【0025】次に溶剤が十分浸透できない地層E(シル
ト質粘土層)や緻密な土質層にある帯水層に到達する
と、溶剤は、その近辺に滞留することになる。次に地上
から供給された雨水もしくは地下水が、土壌と水の間
で、溶剤の吸着平衡をとり、一定の分配係数により、水
へ溶剤が溶解する。多くの場合有機塩素系溶剤では、溶
解度は低く数千ppm以下である。この数値は物理的に
見れば溶解度としては低い数字であるが、環境汚染とし
ては極めて大きな数値である。
【0026】更に、汚染物質の土壌と地下水への吸着平
衡(分配係数により一定値を保つ)が新規に流入・供給
されてくる地下水により再平衡へズレると、溶け出した
溶剤は水を介して汚染を拡大する。地下水流Jは地下水
位Dより下で生じるが、砂礫層の吸着はローム層やシル
ト層に比較して溶剤の吸着が少なく、このことは地下水
流の移動し易い砂層、砂礫層で汚染物の拡大を増進させ
ることとなる。
【0027】本発明の目的は、このような汚染機構を考
慮して、持続的に有効な汚染浄化対策を提供することに
ある。即ち、土壌中深くに浸透した汚染溶剤を土壌ごと
堀り起こし、除去するには、多くの場合非常な困難を伴
う。浸透する土壌の深さは地層により異なるとしても、
数メートルから数十メートルに達することがある。汚染
地の地上部には稼働中の工場や、施設、住宅等があるこ
とも多い。また当然のことながら、深くなればなるほど
汚染領域は広くなる。緩慢な地下水の移動は、汚染が察
知されるまでに長時間を要し、このことも、汚染領域が
拡大する原因となっている。
【0028】従ってこのような方法で汚染領域全域につ
いての完全な浄化は非現実的にならざるを得ない。
【0029】一方地下のボーリング調査を綿密に実施す
ると、地下水流は地上の河川と同様に一定の流れの方向
が定まっていることが判明する。
【0030】このように、土壌浄化についての修復は、
汚染源を断つことが、あくまでも基本であるが、二次的
には発生した地下水汚染の地下水流を浄化することが、
重要となる。
【0031】本発明はこれらの汚染機構の考案を基に、
地下水流を浄化することを狙いとしている。
【0032】次に微生物学的に有害な化学物質を分解す
る方法について述べる。
【0033】本発明で問題としている土壌汚染を引き起
こす有害化学物質は、難分解性の化合物で、例えば、芳
香族炭化水素系化合物や有機塩素系炭化水素化合物であ
る。これらを分解する微生物は数多く知られており、ま
たあるものについては分解酵素が明らかにされているも
のも知られている。とは言うものの、現実の汚染土壌に
これらの微生物または酵素をそのまま散布しても土壌中
の有害化学物質に対して十分な効果はとうてい期待でき
ない。
【0034】その理由のひとつはこれら微生物材料と有
害化学物質の分布の特性が異なり、しかも分布の時間的
経過を同じにできないためである。
【0035】他の理由は培養器等地上の一定の条件下
で、分解活性が得られても、状況が同じでない地中では
同様な活動条件が得られないからである。
【0036】直接に微生物材料を地上又は地中に散布す
ると、通常散布時の初期濃度に対して、土壌中でこの微
生物又は酵素濃度は時間と共に急速に減少する。
【0037】そのため、微生物材料を頻繁に、大量に蒔
く等の対策が考えられるが、処理時間やコスト等に不都
合を生じる。従って、有害物の存在する土壌中で、微生
物が増殖し、活性を維持する方法が強く求められる。酵
素の場合も同様に活性維持の条件を土壌中にて確保する
必要がある。
【0038】また、分解活性が土壌中で維持されている
かどうかが、何らかの方法によりモニターされていなけ
れば、これら浄化の効果を評価することができない。
【0039】土壌中に放出された微生物材料の活性維持
を直接評価することはかなり難しく、またこれら微生物
材料の活性を地上からコントロールすることも困難であ
る。間接的に観測用井戸等を用いて有害物のモニターを
することは可能であろうが、実時間的な対応は望めない
し、微生物以外の要因が入り解析を困難にする恐れがあ
る。
【0040】この発明では土壌中でそこにある有害化学
物質を微生物学的に分解する材料(有害化学物質微生物
学的分解材料、単に分解材料)に検出容易な指標物質を
含ませておくことにより、分解材料の注入を一定の範囲
へ、必要な微生物量と栄養素等を確実に供給し、増殖や
分解活性を確実にするものである。分解材料の注入は汚
染領域全面に供給することが望ましいが、非常に広範囲
な汚染の場合には、汚染地下水流の下流域に居所的注入
を行うことが経済的でかつ効率的になることがある。即
ち地下水の流れを横断する一部に微生物学的分解を可能
とする汚染物質のバリヤー層を設ける施工方法も有効で
ある。ここに言う分解材料は、微生物又はその産生する
酵素、微生物の増殖材料、活性維持材料更に担体などよ
り構成される。
【0041】増殖材料は微生物の培地に相当するもので
ある。微生物は栄養素により増殖し、有害物の分解に寄
与する。活性維持材料は有害物の分解を実質的に推進す
るためのもので、栄養素と区別できない場合もある。微
生物は特定の物質にすぐに作用できない時、この特定の
物質を分解するため、ある誘導物質(インデューサー)
により分解酵素を生産し、分解を進める機能を持ってい
る。有害物の分解はこうして微生物が生産する酵素によ
り可能となる。この発明ではこの有害物分解酵素を生産
するのに必要な材料も活性維持材料とした。
【0042】このことは微生物そのものを利用しなくて
も、微生物の代謝物である酵素があるだけでも有害化学
物質を分解できることを示している。微生物の代わりに
酵素を使用する場合には、この酵素を保持する担体や酵
素が分解活性を発現するための金属イオン等も用いられ
る。
【0043】次に具体的な材料を示す。微生物としては
分解活性が確認されている菌種が使用されるが、次の属
にあるものから好んで選択される。
【0044】Saccharomyces,Hansenula,Candida,Microc
occus,Staphylococcus,Streptococcus,Leuconostoc,Lac
tobacillus,Corynebacterium,Arthrobacter,Bacillus,C
lostridium,Neisseria,Escherichia,Enterobacter,Serr
atia,Achromobacter,Alcaligenes,Flavobacterium,Acet
obacter,Nitrosomonas,Nitrobacter,Thiobacillus,Gluc
onobacter,Pseudomonas,Xanthomonas,Vibria 増殖材料としては、微生物培養の培地で使用されている
ものを使用するこができる。例えばブイヨン培地、M9
培地、L培地、Malt extract、MY培地、
硝化菌選択培地等が有効である。
【0045】活性維持材料としては、特定の菌について
は、誘導物質として知られているものがあるが、天然材
料ではこれらが混在した状態にあるのが普通であり、ま
た化学的に有効成分が特定できていないものも多い。特
に混合状態の微生物の場合には、ある微生物の代謝物が
別の微生物の誘導物質として機能する共生系であること
も多い。したがって、混合微生物を使用する場合には種
々の物質が共存する天然の有機物が有効となる。特定で
きる誘導物質としてはメタン資化菌ではメタンが、芳香
族資化菌では、トルエン、フェノール、o,m,p−ク
レゾール等、硝化菌ではアンモニウム塩などがある。
【0046】いまトリクロロエタンを分解できる菌とし
て知られているものを例に挙げると、これまでに、十数
種が発見、単離されている。このうち代表的なものはそ
の基質の種類によって大きく2つに分けることができ
る。
【0047】即ちメタン資化菌、フェノール等の芳香族
化合物資化菌である。前者の代表的なものは、メタンモ
ノオキシゲナーゼを有するMethylocystis sp.strain M
(Agri.Biosci.Biotech.Biochem.,56,486(1992) 、同56,
736(1992)) 、Methylosinus trichosporium OB3b(Am.Ch
em.Soc.Natl.Meet.Div.Environ.Chem.,29,365(1989)、A
ppl.biochem.Biotechnol.,28,877(1991))であり、後者
は、トルエンモノオキシゲナーゼあるいはトルエンジオ
キシゲナーゼを有するAcinetobactor sp.strain G4(App
l.Environ.Microbiol.,52,383(1986) 、同53,949(198
7)、同54,951(1989)、同56,279(1990)、同57,1935(199
1))、Pseudomonas putida Fl(Appl.Environ.Microbio
l.,54,1703(1988) 、同54,2578(1988) がその代表格で
ある。これらのうち、芳香族化合物資化性トリクロロエ
タン(TCE)分解菌に関しては、TCEを分解する酵
素が、フェノール、トルエン等の芳香族化合物によって
誘導される誘導酵素であり、そのため、これらの微生物
でTCEを分解させるためには、芳香族化合物を含ん
だ、もしくは芳香族化合物に分解される材料が活性維持
材料として使用される。
【0048】酵素材料を使用する時は、栄養素等の増殖
材料は不要であるが、その酵素が活性を示すのに必要な
金属イオン例えばFe2+等やNADH等の補酵素等を混
合する必要がある。酵素は原理的にはその系に存在すれ
ば、永続的に分解効果があるはずであるが、実際には使
用条件に応じて失活する。従ってこの酵素ができるだけ
長時間活性を維持するために必要な材料を混合一体化す
ることを要する。酵素の例としてはトルエンモノオキシ
ゲナーゼ、トルエンオキシゲナーゼ、アンモニアモノオ
キシゲナーゼ、メタンモノオキシゲナーゼ等がある。
【0049】本発明に係わる分解材料は、上記物質の全
部または一部に指標物質を含ませてあり、水溶液もしく
は懸濁液として用いる。
【0050】本発明に云う指標物質は、請求項1におい
て明瞭に定義している通り、物理特性または化学特性に
おいてそれらのいずれかが地中の内におけるものと有意
の差を有すればよいので、汚染地下水には存在しないま
たはあり得ない物質は勿論、通常の地中の状態と異なる
状態が検出可能であればすべてを含みうる。すなわち物
質として酸素や二酸化炭素での濃度を検出することによ
り、または上に詳しく述べた分解材料そのものを指標物
質とすることで、その温度を検出することにより、本発
明の目的を達成する手段とすることができる。
【0051】しかし指標物質としては、一般的には液体
状の分解材料に溶解し、これが土質層内で流動した時分
解材料液と一緒に移動し、移動地点で容易に検出でき、
かつ実質上人畜無害なものが用いられる。指標物質は移
動到達地点で容易に検出できるもので、汚染地下水に存
在しないか、もしくはあり得ない物理的ないしは化学的
組成の物質から選ばれる。指標物質の例としては食品添
加物で使用されている色素や比較的容易に土壌微生物で
分解できる水溶性有機色素、天然で生じ得ない組成比の
安定同位体からなる水、電気伝導度を変化させる微量の
有機酸や微量の食塩等も用いられる。
【0052】また比較的短時間で到達可能な位置で検出
するときには、注入する材料を土質層内の温度を異なら
せて、指標物質に換えることもできる。
【0053】地下水と注入水の温度差で説明すると、注
入させる距離や透水係数の違いで変える必要があるが、
十分感度の良い温度測定が可能ならば、1〜10mの距
離に対し5〜10℃でも十分効果を上げることができ
る。
【0054】指標物質としては注入液の移動を容易に検
出できるものであればその物質の物理的状態変化であっ
てもよい。
【0055】食品添加物に用いられる水溶性有機着色料
の例はタール系色素では食用赤色2号、3号、102
号、104号、105号、106号、黄色4号、5号、
緑色3号、青色1号、2号があり、また天然色素ではβ
カロチン、クロシン、ベタニン、ビキシン、紅コウジ菌
色素、リボフラビンなどがある。
【0056】電気伝導度に変化を与える塩類には食塩、
塩化カリ、塩化マグネシウムなど、また有機酸は蟻酸、
酢酸、プロピオン酸、酪酸などがある。
【0057】天然安定同位体については、水の構成原子
である水素では 2H(重水素)が0.015%より大き
くズレた組成比、酸素では17O(0.038%)、18O
(0.200%)などカッコ内に示した天然の組成比か
ら異なる値を持つ水が用いられる。また炭素化合物を含
む材料であれば(例えば溶存CO2 やCH4 )13C
(1.10%)も使用できる。
【0058】これら指標物質は微生物の活動に無害であ
るか、有益であるものであるものであることはもちろ
ん、土質層内に残留した時も動植物に無害な材料から選
ばれる。
【0059】指標物質の検出は添加した指標物質に応じ
て検出手段が異なるが、同位体組成比を人為的に変えた
ものでは質量分析器、色素では光度計、有機酸や食塩な
ら電気伝導度計、温度は温度計、その他周囲と異なる性
質を持つ材料に応じて物理的ないしは化学的検出手段が
用いられる。しかしいずれも簡易な携帯用測定器で、実
時間もしくは短時間で測定できる指標物質から選択され
る。
【0060】次に実際の汚染地域における修復方法につ
いて述べる。
【0061】汚染の領域や汚染物質の拡散方向が解析さ
れたら、一般的には、可能な物理的浄化対策が実施され
る。この発明では、物理的な浄化対策が実施できない
時、もしくは可能な対策が施された後に、残留する汚染
物を除去するのに有効に用いられる。
【0062】図1及び2は本発明の実施を説明する図で
ある。
【0063】図1は汚染物質が汚染源Cを頂点として、
地下水下流J方向に放射状に汚染領域が広がる等汚染濃
度地図で示したものである。a〜eまでの各曲線は等し
い汚染濃度の汚染値で、a>b>c>d>eである。
【0064】図2では本発明によるB1 〜Bn+1 までの
注入および汲み揚げ用のボーリング井戸を示す。井戸の
先端は難透水層まで各々達している。吸引および注入用
の網目ストレーナーは一般には地下水位以下で切られて
いるが、必要に応じて深さが調整される。これら複数の
井戸の一群から分解材料を水溶液又は懸濁液にして注入
し、他の群の井戸から揚水することにより、このパイプ
群内の領域の土質層内に分解材料を供給する。この時本
発明では先に挙げた指標物質が添加してあるから、揚水
側でこれを検出することにより注入した液の到達や所定
濃度の地中内での拡散が確認できる。
【0065】これらを実施する方法の幾つかの例を次に
示す。
【0066】第一の方法はB2 ,B4 ,B6 ・・・Bn
の偶数群の井戸より注入を行い、B 1 ,B3 ,B5 ・・
・Bn+1 の奇数群井戸で揚水と、同時に指標物質の検出
を行うものである。この方法により偶数井戸群と奇数井
戸群の中間にある土質層内に分解材料が供給される。本
発明では注入と揚水で分解材料の供給を確実にする場合
を主に述べているが、検出側の井戸では揚水しないで検
出のみを行うこともできる。また注入は容易に拡散する
分解材料であるならば、井戸水内に単に添加するだけで
も良いが、通常は地下水の拡散が遅いこと、また付着性
の微生物では容易に地下の土質層物質に吸着され、十分
な拡散が達成されないので、注入は水圧や空気圧による
圧入の方が有効である。また注入する側と揚水する側で
の水位差を人為的に作ることも十分な供給に効果的であ
る。
【0067】第二の方法は前記第一の方法に引き続き、
偶数井戸群と奇数井戸群の注水揚水・検出を逆転させる
ものである。この方法により、一方の注入井戸群側のみ
の分解材料の濃度勾配を両井戸群間で均等化できる。こ
の時初期の注入側の指標物質に対し、切り替え後の注入
側で指標物質を異なるものにすると、初期の注入液の還
流と切り替え後の注入液の新規な流入が容易に見分けら
れる。一般に取り扱う微生物が吸着性であれば、初期の
注入で拡散させた微生物が土質層物質に付着されるまで
所定の時間放置することにより微生物の還流は抑えられ
る。
【0068】通常の地下水の流速では付着性微生物はほ
とんど拡散しないので、これら強制的な注入・揚水と拡
散状態の検出は特に重要であり、土壌修復に有効とな
る。
【0069】第三の方法は注入井戸の周囲の井戸から揚
水して、順次注入井戸を隣接する井戸へ切り替えていく
方法である。例えば、最初B3 の井戸で注入を行う時、
これを囲む位置にあるB1 ,B2 ,B4 ,B5 で揚水を
行う。揚水井戸側でこれら分解材料が十分検出された
ら、次に注入をB4 から行い今度はB2 ,B3 ,B5 ,
B6 で揚水・検出を行う。このようにすると偶数列、奇
数列でひとつ置きに交互に4回の切り替えで全ての注入
が完了する。この方法を用いると奇数列や偶数列での隣
接する井戸間での材料供給も均一化され、地下水流J方
向に向かう汚染地下水を効率的に捕捉し浄化できる。
【0070】第四の方法では、地下水流の移動が無いか
非常に遅い場合、井戸を汚染地域に均等配置して、分解
材料を供給する。
【0071】これらいずれの場合も注入する側と揚水す
る側で水位の調整を行うと不飽和帯から帯水層までの深
さ方向に対しても有効に分解材料を供給することが可能
となる。
【0072】
【実施例】
実施例1 5m四方のコンクリート容器内にモデル試験土壌として
シルト質の土壌(含水率70〜120%)を満たし、模
擬帯水層を底から1mまで形成した。
【0073】分解性の微生物として、菌株KK01(通
商産業省工業技術院微生物工業研究所に寄託。平成4年
3月11日寄託番号FERM P−12869)をM9
培地で培養し、菌濃度が108 個/mlとなるよう培養
液を作成した。この培養液に指標物質として通常の地下
水と電気伝導度が異なる値を示すよう酢酸を0.6g/
lの割合で加えて分解材料とした。容器の対角線上の一
隅から1mの位置に注入井戸とし、もう一方の隅から1
mに同様のパイプを揚水井戸とし設け、容器の底から5
0cmまで挿入し、パイプ下部50cmの長さにはスト
レイナーとして多数の穴を設けた。揚水井戸のパイプ端
近傍には小型の電気伝導度測定の端子を装着した。分解
材料を注入井戸から入れ、揚水サンプルの一定時間毎の
電気伝導度比と微生物の初期濃度に対する比を測定し
た。各々独立に揚水速度を変えた3例の結果を表1に示
す。採集したサンプル水の時間毎の電気伝導度比を図3
に示す。一定時間経過すると揚水速度の値によらず電気
伝導度比は一定値を示す傾向がある。揚水速度大では立
ち上がりが早いことを示している。図4は揚水速度に対
する飽和伝導度比と飽和微生物濃度比の図である。これ
に対し図4は揚水井戸側での微生物濃度比が一定時間経
過後はあまり増加せず、それぞれの飽和濃度は揚水速度
に依存する傾向にあることを示している。
【0074】
【表1】 これらの例の比較から例1のように比較的緩慢な注入が
行われた時は、微生物濃度が注入井戸近傍で高濃度で、
その分布は狭く、一方急速な注入では微生物分布範囲が
広くしかも全体に薄まる傾向となる。これらの結果を用
い指標物質の濃度曲線と微生物濃度の特性曲線をあらか
じめ類似の土質構成にて得ておけば、実際のサイトにお
いては、指標物質の検出を行うことで、容易に微生物を
所望の分布とすることができる。 実施例2 分解性微生物として、菌株KK01(通商産業省工業技
術院微生物工業研究所に寄託。平成4年3月11日寄託
番号FERM P−12869)を、フェノールでプレ
インデュース(あらかじめトリクロロエタンを分解でき
る酵素の生産遺伝子を発現させた)した培地で、菌濃度
が108 個/mlとなるよう培養液を作成した。この培
養液に指標物質として食用赤色106号を1g/lの割
合で溶解した。
【0075】5m四方のコンクリート容器内にモデル試
験土壌としてシルト質の土壌(含水率70〜120%)
を満たし、モデル汚染水として10ppmのトリクロロ
エチン(TCE)を溶解した模擬帯水層を底から1mま
で形成した。実施例1と同様に容器の対角線上に注入井
戸と揚水井戸を設け、パイプを底から50cmまで挿入
し、パイプ下部50cmにはストレイナーとして多数の
穴を設け、揚水井戸にオプティカルファイバーによる小
型の光度計を装着した。
【0076】揚水井戸から1.8リットル/分の汲み揚
げを行い、注入水の2%まで濃度変化が観察された時点
で揚水を停止した。10時間放置後、今度はモデル汚染
水のみを注入井戸より追加して、揚水井戸から0.6リ
ットル/分で揚水し、2日以後初期のTCE濃度が10
ppmから8〜7ppm程度へ徐々に低下する傾向を示
したが、急激な低下は生じないため3日目で揚水を停止
し、静かに地下水を底部から除去した後対角線方向に切
断するよう片側の土壌を除去し、着色剤の濃度と導入し
た微生物の分布を調べた。図5はこの断面の着色剤の濃
度分布を等高線で示したものである。Aは注入井戸でB
は揚水井戸である。D′は模擬地下水面である。等高線
e,fは地下水を除去した時に生じた可能性もある。最
も強く着色しているQ点を100としてa〜dはほぼ2
0%ずつ段階的に減少している。微生物濃度はこの等高
線に対応するが、その変化は指数的減少を示した。
【0077】
【発明の効果】本発明では有害化学物質で汚染された土
質層内へ汚染物質を分解する分解材料の供給を行う際、
容易に測定できる指標物質を含ませてあるから、これを
検出することにより微生物濃度分布を簡単に知ることが
可能となり、微生物分布を所望の値に設計・施工するこ
とが可能となった。またこの発明を実施することによっ
て、工事が簡単で、地下水脈を乱すこと無く、かつ少な
いエネルギー消費で浄化を行うことができ、原位置で汚
染物質を自然に近い条件下に浄化する有効な技術が提供
された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の説明図。
【図2】本発明実施の説明図。
【図3】電気伝導度比を示す図。
【図4】飽和電気伝導度比及び飽和微生物濃度比を示す
図。
【図5】着色剤濃度分布図。
【図6】汚染地下断面模式図。
【符号の説明】
A 注入部 B 揚水部 C 汚染源 D 地下水位 D′ 模擬地下水面 E シルト質粘土層 F 砂礫層 G 砂層 H ローム層 I 表層 J 地下水流 Q 最も強く着色している点 a〜g 等濃度線 B1 〜Bn+1 ボーリング井戸

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物理特性または化学特性においてそれら
    のいずれかが地中内のものと有意の差を有する指標物質
    を含むことを特徴とする有害化学物質微生物学的分解材
    料。
  2. 【請求項2】 指標物質が汚染地下水に存在しない、も
    しくはありえない物理的ないしは化学的組成の物質であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の有害化学物質微生
    物学的分解材料。
  3. 【請求項3】 指標物質が水溶性色素であることを特徴
    とする請求項1に記載の有害化学物質微生物学的分解材
    料。
  4. 【請求項4】 指標物質が水素、酸素または炭素の化合
    物であってその同位体組成比が自然化合物の同位体比と
    有意に異なるものであることを特徴とする請求項1に記
    載の有害化学物質微生物学的分解材料。
  5. 【請求項5】 指標物質は含まれていてその電気伝導度
    を自然水のそれと有意に異ならせるものであることを特
    徴とする請求項1に記載の有害化学物質微生物学的分解
    材料。
  6. 【請求項6】 指標物質は塩類又は有機酸のいずれかで
    あることを特徴とする請求項5に記載の有害化学物質微
    生物学的分解材料。
  7. 【請求項7】 土質層に少なくとも2以上の開口部を設
    け、少なくとも1以上の開口部から指標物質を含む有害
    化学物質微生物学的分解材料を土質層に注入し残りの少
    なくとも1の開口部から得た試料に含まれている指標物
    質を検査することを特徴とする有害化学物質微生物学的
    分解材料の土質層内に於ける存在を知る方法。
  8. 【請求項8】 土質層に少なくとも2以上の開口部を設
    けて2群に分け、一方の群の開口から指標物質を含む有
    害化学物質微生物学的分解材料を土質層に注入し、他の
    群の開口部から得た試料の検査値が所定の値になった後
    に注入を停止することを特徴とする土質層内微生物分解
    バリヤー施工方法。
  9. 【請求項9】 複数の指標物質を含むことを特徴とする
    有害化学物質微生物学的分解材料。
  10. 【請求項10】 有害化学物質微生物学的分解材料が請
    求項9に記載の有害化学物質微生物学的分解材料である
    ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  11. 【請求項11】 有害化学物質微生物学的分解材料が請
    求項9に記載の有害化学物質微生物学的分解材料であ
    り、土質層に少なくとも2以上の開口部を設けて2群に
    分け、一方の群の開口部からその有害化学物質微生物学
    的分解材料を土質層に注入し、他の群の開口部から得た
    試料の検査値が所定の値になった後に注入を停止し、そ
    の後有害化学物質微生物学的分解材料の土質層への注入
    と、試料の採取を開口部について反転させて行うことを
    特徴とする土質層内微生物分解バリヤー施工方法。
  12. 【請求項12】 注入を停止して後、任意の時間の後に
    微生物増殖材料または微生物活性維持材料を添加した有
    害化学物質微生物学的分解材料の土質層への注入を、反
    転させた後の開口部から行うことを特徴とする請求項1
    1に記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009226229A (ja) * 2008-03-19 2009-10-08 Ritsumeikan 油汚染部の浄化方法
CN106277348A (zh) * 2015-05-20 2017-01-04 水利部交通运输部国家能源局南京水利科学研究院 一种用于裂隙残留napl生物封存的技术
JPWO2018087996A1 (ja) * 2016-11-14 2019-09-26 株式会社竹中工務店 地盤注入剤濃度推定システム

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