JPH07313190A - 培養液中の基質濃度推算方法 - Google Patents

培養液中の基質濃度推算方法

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JPH07313190A
JPH07313190A JP9605695A JP9605695A JPH07313190A JP H07313190 A JPH07313190 A JP H07313190A JP 9605695 A JP9605695 A JP 9605695A JP 9605695 A JP9605695 A JP 9605695A JP H07313190 A JPH07313190 A JP H07313190A
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carbon dioxide
culture solution
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JP9605695A
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Takekuni Tanaka
猛訓 田中
Kotaro Sano
耕太郎 佐野
Naoto Yamada
直人 山田
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】炭素源を含む基質を用いて好気的培養を実施す
るに際して、基質を含む培養槽内に供給される気体の供
給速度とその気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度、培養
槽内から排出される気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃
度、および培養液のpHを測定し、これらの値を変数と
する炭素源消費速度の式より培養液中の基質濃度を推算
する、培養液中の基質濃度推算方法、並びにpHを測定
せずに経験的に算出した補正係数βを適用する培養液中
の基質濃度推算方法。 【効果】本発明により、好気的培養を行って有用発酵生
産物を生産する場合に、培養液のサンプリングを行うこ
となく、培養液中の基質濃度を高い精度にて、かつリア
ルタイムで知ることが可能となる。また、本発明は、酵
素の生産において特に有用であるが、グルタミン酸発酵
などのような酵素生産以外の場合においても利用するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素源を含む基質を用
いて培養液中で好気的に培養を実施するに際して有利に
利用される培養液中の基質濃度推算方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素源を含む基質を用いて培養液中で好
気的培養を行って酵素などの有用発酵生産物を生産する
場合には、その培養液中の基質濃度を管理する必要があ
る。すなわち、基質を含む培養液中で菌体を好気的培養
する場合において、培養液中の基質の濃度は発酵生産の
効率に大きく関与し、その濃度が過度に低下すると、菌
体の活性が低下するのみならず、菌体の一部が死滅する
場合もある。一方、基質が一定範囲よりも多すぎても、
発酵生産の効率は上がらず、発酵生産を工業的に実施す
る場合には、そのような過度の基質添加は適当でない。
【0003】このため、従来では発酵生産工程におい
て、一定時間毎に培養液をサンプリングし、そのサンプ
リング液を分析することによって培養液中の基質濃度を
確認していた。そして、培養液中の測定基質濃度が、予
め設定した基質濃度の下限付近の値に到達した時に、基
質を添加することによって、培養液中の基質濃度を一定
範囲に制御していた。この培養液のサンプリング方法
は、実際の培養液中の基質濃度が検知できるため有用な
方法であるが、サンプリングしたのちサンプルの分析結
果が判明するまで時間がかかるため、培養液中の基質濃
度をリアルタイムで知ることができないという欠点があ
る。
【0004】一方、好気的培養の実施に際して培養液中
の酵素活性を、培養液のサンプリングなしに、培養液へ
供給される酸素の濃度と二酸化炭素の濃度、そして培養
液から排出される酸素の濃度と二酸化炭素の濃度とから
推算する試みは既に知られている(特開平4−8897
9号公報)。しかし、培養液中の基質の濃度の推算につ
いては、その可能性および方法のいずれについても、こ
れまでに報告されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、例えば糖な
どの炭素源を含む基質を用いて培養液中で好気的培養を
行い、酵素などの有用発酵生産物を生産する場合に、培
養液のサンプリングを行うことなく、培養液中の基質濃
度をリアルタイムで知ることを可能とする方法を提供す
ることを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、炭素源を含
む基質を用いる好気的培養では、 (1)基質を含む培養槽内に供給される気体の供給速
度; (2)その供給気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度; (3)培養槽内から排出される気体中の酸素濃度と二酸
化炭素濃度; (4)培養液のpH をそれぞれ測定し、これらの測定値を、その好気的培養
における発酵が関与する反応式に基づく演算処理に付す
ることにより、培養液中の基質濃度を、培養液のサンプ
リングを行うことなく、高い精度で推算することができ
るとの知見を得て、そして更にその知見が実際のデータ
と高い相関にあることを確認することによって本発明を
完成した。
【0007】即ち、本発明の要旨は、(1) 炭素源を
含む基質を用いて好気的培養を実施するに際して、基質
を含む培養槽内に供給される気体の供給速度とその気体
中の酸素濃度と二酸化炭素濃度、培養槽内から排出され
る気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度、および培養液の
pHを測定し、これらの値を変数とする炭素源消費速度
の式より培養液中の基質濃度を推算する、培養液中の基
質濃度推算方法、(2) 炭素源を含む基質を用いて好
気的培養を実施するに際して、基質を含む培養槽内に供
給される気体の供給速度とその気体中の酸素濃度と二酸
化炭素濃度、および培養槽内から排出される気体中の酸
素濃度と二酸化炭素濃度を測定し、これらの値と補正係
数βを変数とする炭素源消費速度の式を用いて、経験的
に算出した補正係数βを適用して培養液中の基質濃度を
推算する、培養液中の基質濃度推算方法、(3) 炭素
源が糖を含むものである上記(1)又は(2)記載の培
養液中の基質濃度推算方法、(4) 炭素源中の糖含有
率を変数とする炭素源消費速度の式を用い、系の炭素源
中の糖含有率を適用して培養液中の糖濃度を推算する、
上記(3)記載の培養液中の基質濃度推算方法、(5)
炭素源消費速度の式が、培養槽内に供給される気体中
の酸素濃度と二酸化炭素濃度、および培養槽内から排出
される気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度の測定値とか
ら培養液の呼吸商を算出して導出されたものである上記
(1)〜(4)いずれか記載の培養液中の基質濃度推算
方法、(6) 炭素源消費速度の式が、培養槽内に供給
される気体の供給速度とその気体中の酸素濃度と二酸化
炭素濃度、および培養槽内から排出される気体中の酸素
濃度と二酸化炭素濃度の測定値とから培養液の二酸化炭
素放出速度を算出して導出されたものである上記(1)
〜(5)いずれか記載の培養液中の基質濃度推算方法、
並びに(7) 炭素源消費速度の式が、培養槽内に供給
される気体の供給速度とその気体中の酸素濃度と二酸化
炭素濃度、培養槽内から排出される気体中の酸素濃度と
二酸化炭素濃度、および培養液のpHの測定値とから、
二酸化炭素放散速度、二酸化炭素水和速度、および二酸
化炭素水酸化速度を算出して導出されたものである上記
(1)又は(3)〜(6)いずれか記載の培養液中の基
質濃度推算方法、に関する。
【0008】本発明の培養液中の基質濃度推算方法に
は、補正係数βを算出するため培養液のpHを測定する
第1の態様と、補正係数βを変数とする炭素源消費速度
の式を用いて、経験的に算出した補正係数βを適用する
第2の態様が存在する。即ち、本発明の第1の態様は、
炭素源を含む基質を用いて好気的培養を実施するに際し
て、基質を含む培養槽内に供給される気体の供給速度と
その気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度、培養槽内から
排出される気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度、および
培養液のpHを測定し、これらの値を変数とする炭素源
消費速度の式より培養液中の基質濃度を推算する、培養
液中の基質濃度推算方法であり、第2の態様は、炭素源
を含む基質を用いて好気的培養を実施するに際して、基
質を含む培養槽内に供給される気体の供給速度とその気
体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度、および培養槽内から
排出される気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度を測定
し、これらの値と補正係数βを変数とする炭素源消費速
度の式を用いて、経験的に算出した補正係数βを適用し
て培養液中の基質濃度を推算する、培養液中の基質濃度
推算方法である。
【0009】上記の本発明の基礎となる知見について、
炭素源を含む基質を用いる好気的培養の典型的な例であ
る炭素源の基質として糖(フルクトース、グルコース、
シュークロース等の混合物)とアミノ酸とを用いて酵素
を生産する発酵系を例にとって、以下に詳しく説明す
る。
【0010】上記の発酵系の反応式は下記の式1のよう
に表すことができる。 CHx y z +aO2 +bCH1 m n → cCHr s t +dH2 O+eCO2 +fCHu v w ・・・・ (式1)
【0011】式1において、CHx y z は炭素源、
CH1 m n は窒素源、CHr s t は菌体、そし
てCHu v w は生産物である酵素をそれぞれ表す。
式1において菌体と生産物の組成が類似していることを
考慮して、変数を減らすために、菌体と生産物とを併せ
て全バイオマスと考え、その係数を改めて、cとし、さ
らに炭素源、窒素源、そして全バイオマスの元素組成の
分析値(対象発酵反応系において実際に測定して得た分
析値)を、式1に加入させると、下記の式2になる。
【0012】 CH1.910.910.09+aO2 +bCH1.810.932 0.249 → cCH1.661.080.247 +dH2 O+eCO2 ・・・・・・・・・・・・ (式2)
【0013】従って、炭素収支(C収支)、水素収支
(H収支)、酸素収支(O収支)、そして窒素収支(N
収支)は、次のように表すことができる。 C収支:1+b=c+e H収支:1.91+1.81b=1.66c+2d O収支:0.91+2a+0.932b=1.08c+
d+2e N収支:0.09+0.249b=0.247c e/a=RQ ここで、RQは菌体が摂取する酸素と、放出する二酸化
炭素のモル比であり、一般に呼吸商と呼ばれる。
【0014】以上の式を連立させて、eについて解く
と、下記の式3が得られる。 e=0.636RQ/(0.008+RQ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (式3)
【0015】一方、RQ(=e/a)は、供給される気
体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度そして排出される気体
中の酸素濃度と二酸化炭素濃度とから、下記の式4とし
て規定される。
【0016】
【数1】
【0017】なお、上記の式で、〔CO2 out は排出
気体中の二酸化炭素濃度、〔CO2inは供給気体中の
二酸化炭素濃度、〔O2 inは供給気体中の酸素濃度、
そして〔O2 out は排出気体中の酸素濃度をvol.%で
表したものである。
【0018】炭素源の糖は、通常は複数の糖成分から構
成されるが、これらは近似的には全て同一速度で消費さ
れると考えてよい。そこで、炭素源1モルが消費される
と二酸化炭素はeモル生成するから、炭素源中のフルク
トースのモル分率をXとするとフルクトース消費速度F
CR〔g/L時〕は、下記の式5のように表すことがで
きる。
【0019】 FCR=30・β・CDR・X/e ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式5) 式5において、30は炭素源の分子量を意味し、βは補
正係数を意味し、そしてCDRは培養液単位体積当たり
の二酸化炭素放散速度であって、下記の式6〔単位は、
モル/L時〕で表される値である。
【0020】
【数2】
【0021】なお、式6でFは培養液1リットルに対し
て供給される気体の1分間当たりの流速を表し、60は
その流速を1時間当たりに換算するための値、22.4
は気体の体積(リットル)をモルに換算するための値、
そして分母で22.4に乗ずる値の100は右辺のパー
セント単位を無次元化するための値である。
【0022】ここで、補正係数βは、第2の態様におい
ては経験的に求めた補正係数βを適用するが、第1の態
様では以下のようにして、水素イオン濃度、即ちpH値
と関係付けられる。これにより、補正係数βを予め求め
る必要もなく、下記の如く算出することができる。即
ち、第1の態様において式5中の補正係数βは、菌体が
体外に放出する培養液単位体積あたりの二酸化炭素発生
速度CPRと二酸化炭素放散速度CDRの比として定義
することができ、式6−1のような関係が成り立つ。 β=CPR/CDR ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式6−1)
【0023】一般に、菌体が体外に排出した二酸化炭素
は、一部は培養空気中に放散されるが、その他は、培養
液中の水分子と結合した後、炭酸水素イオンに分解する
水和反応と培養液中の水酸イオンと直接結合して炭酸水
素イオンを生成する水酸化反応に供される。したがっ
て、二酸化炭素発生速度CPRは、二酸化炭素放散速度
CDR、二酸化炭素水和速度RHYD 、そして二酸化炭素
水酸化速度ROHの和で表される。
【0024】このうち水和反応の反応速度(水和速度)
HYD は、次式で表される。 RHYD =kHYD 〔CO2 DIS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式6−2) ここに、〔CO2 DIS は液相中の溶存二酸化炭素濃
度、kHYD は反応速度定数である。また、水酸化反応の
反応速度(水酸化速度)ROHは、次式で表される。 ROH=kOH〔OH- 〕〔CO2 DIS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式6−3) ここに、〔OH- 〕は、培養液中の水酸イオン濃度、k
OHは反応速度定数である。水溶液中の水素イオン濃度と
水酸イオン濃度の積は、水のイオン積として公知である
ので、培養液のpHすなわち水素イオン濃度〔H+ 〕を
用いて式6−3は次のように記述できる。 ROH=kOH(KW /[H+ ])〔CO2 DIS ・・・・・・・・・・・・・・・・(式6−4) ここに、KW は水のイオン積である。式6−2および式
6−4のうち、反応速度定数、水のイオン積、および水
素イオン濃度は、文献値およびpH測定により与えられ
るが、溶存二酸化炭素濃度〔CO2 DIS のみが未知数
として残る。これは次のようにして算出できる。
【0025】二酸化炭素放散速度CDRは、発酵槽の液
相物質移動容量係数kL aと、二酸化炭素のように液中
で反応しながら放散する反応放散と反応を伴わない物理
放散の比である反応係数Φを用いて次式で記述すること
もできる。
【0026】
【数3】
【0027】ここに、
【0028】
【数4】
【0029】は培養液中に分散する気体中の二酸化炭素
の平均濃度である。また、Hは二酸化炭素の水に対する
ヘンリー定数であり、公知の文献値である。さらに反応
係数Φは、二酸化炭素に対する種々の条件下での値が公
表されている(Wall:デラウエア大学化学工学専攻
修士論文:1966年)。したがって、二酸化炭素放散
速度CDRを、異なった観点から記述した式6−5と式
6を等しいと置き、溶存二酸化炭素濃度〔CO2 DIS
について解けば、これが求められ、二酸化炭素水和速度
HYD と、二酸化炭素水酸化速度ROHが計算できたこと
になる。
【0030】以上より二酸化炭素発生速度CPRの構成
要素である二酸化炭素放散速度CDR、二酸化炭素水和
速度RHYD 、そして二酸化炭素水酸化速度ROHが求めら
れたことになり、補正係数βは式6−6で計算できる。 β=(CDR+RHYD +ROH)/CDR ・・・・・・・・・・・・・・・・・(式6−6)
【0031】一方、工業生産のように培養条件が同一で
多くの培養を行う場合には、最初の数バッチで実測値と
推算値が一致するようにβの値を調整し、その値を以後
使用する第2の態様でも可能である。この場合は、培養
液のpHを測定する必要がない。βを理論的に決定する
第1の態様を選択するか、経験的に決定する第2の態様
を選択するするかは、本推算手法を使用する目的により
選択可能である。
【0032】したがって、式3、5そして6から導出す
ると、FCRは下記の式7で表されることになる。
【0033】
【数5】
【0034】なお、式7への導出に際してX=0.55
5とした。
【0035】したがって、培養開始期における培養液中
の基質の組成と濃度とが確認されておれば、培養槽内に
供給される気体の供給速度とその気体中の酸素濃度と二
酸化炭素濃度、そして培養槽内から排出される気体中の
酸素濃度と二酸化炭素濃度を測定し、これらの測定値か
ら、例えば呼吸商を求め、次いで培養液中の基質の消費
速度が推算でき、この推算値と基質の初期濃度とから、
培養液中の基質の濃度が推算できることがわかる。
【0036】次に、上記の推算方法により推算した培養
液中の基質濃度と実際のサンプリングにより測定した基
質濃度との相関を調べるために、実験を行った結果を、
実施例として記載する。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定
されるものではない。
【0038】実施例1(第1の態様) 培養槽に供給する気体を空気とし、培養液中の炭素源を
蔗糖のみとし、図1に示すコンピュータに接続された好
気的培養装置(1:培養液、2:培養槽、3:モータ、
4:攪拌機、5:空気導入パイプ、6:空気流量計、
7:インターフェイス、8:通信バス、9:コンピュー
タ、10:除菌フィルタ、11:排気パイプ、12:酸
素・二酸化炭素濃度測定装置、13:pH測定用プロー
ブ、14:pH測定装置)を用い、下記条件にてセルラ
ーゼ生産菌の好気的培養を行った。
【0039】(1)菌体:バチルスエスピーKSM−6
35(微工研条寄第1485号、昭和61年7月24日
(原寄託日)) (2)培地:肉エキス(オキソイド社製)1.5%(重
量%、以下同じ)、酵母エキス(ディフコ社)0.5
%、KH2 PO4 0.1%、NaCL1.0%、蔗糖
1.0%、Na2 CO3 0.5% (3)培養条件:2.6リットル培養槽に培養液1.3
リットルを仕込み、これに24時間振盪して得た種培養
液30mLを添加した。温度33℃、供給空気流量0.
52リットル/分(0℃、大気圧換算)、攪拌速度70
0rpmの一定値で培養を48時間実施した。 (4)基質濃度の測定:培養開始時、10時間後、20
時間後、30時間後、そして45時間後に培養液をサン
プリングし、公知のフェノール硫酸法に従って、蔗糖濃
度を求めた。即ち、試料1mL中に10〜80μgの糖
を含むように水で希釈した培養液1mLを試験管にと
り、5%フェノール1mLを加え良く混ぜる。これに5
mLの濃硫酸を速やかに直接液面に加えて良く混和し、
室温に30分以上放置した後、490nmにおける吸光
度を測定し、予め作成した検量線と対比することにより
蔗糖濃度を求めた。
【0040】次に、本実施例の培養系における推算式の
導出方法を示す。菌体と生産物のタンパク質との元素分
析値がほぼ一致していたため、その分析値に従って、全
バイオマス組成式をCH1.661.080.247 とした。
【0041】(量論式) aC122211+bO2 +cNH3 →CH1.661.08
0.247 +dH2 O+eCO2 C収支:12a=1+e(イ) H収支:22a+3c=1.66+2d(ロ) O収支:11a+2b=1.08+d+2e(ハ) N収支:c=0.247 e/b=RQ(RQは呼吸商)(ニ) (イ)より、a=(1+e)/12(ホ) (ホ)を(ロ)と(ハ)に代入すると、 22・(1+e)/12+3c=1.66+2d d=0.917e+0.457 (ハ)に(ニ)と(ホ)を代入すると、 11・(1+e)/12+2e/RQ =1.08+0.917e+0.457+2e 0.917+0.917e+2e/RQ =1.537+2.917e (0.917−2.917+2/RQ)e =0.62 (2−2RQ)/RQ=0.62 e=0.31RQ/(1−RQ)
【0042】蔗糖消費速度SCR〔g/L・時〕は、下
記のように表される。 SCR=342〔g/モル〕・β・a/e・CDR〔モ
ル/L・時〕 (但し、342は蔗糖の分子量であり、βは補正係数を
表す。)
【0043】また、培養液単位体積当たりの二酸化炭素
放散速度CDRは下記のように表される。
【0044】
【数6】
【0045】(各記号の意味は前述の通りである。)
【0046】前記のSCRの式に、上記のCDRの式、
そして前記aとeとを代入した後、式を整理すると、
【0047】
【数7】
【0048】上記のSCRを〔%/時〕で表すと、
【0049】
【数8】
【0050】ここで、補正係数βは、前述の方法によ
り、呼吸商RQ、二酸化炭素放散速度CDR、二酸化炭
素水和速度RHYD 、二酸化炭素水酸化速度ROHを求め
て、それらより算出することができるので、上式から培
養液中の基質の消費速度が推算できる。従って、培養槽
内に供給される気体の供給速度とその気体中の酸素濃度
と二酸化炭素濃度、培養槽内から排出される気体中の酸
素濃度と二酸化炭素濃度そして培養液のpHを測定する
ことにより、培養液中の基質の消費速度が推算できる。
そして、この式を用いて基質の初期濃度から、培養液中
の基質の濃度を推算できる。
【0051】実験における各気体の濃度の測定値(供給
気体を空気としたため、空気中の酸素濃度と二酸化炭素
濃度は既定値を用いた)と、空気供給速度とから、上記
の推算式に基づく、蔗糖濃度の変化を計算し、前述の実
測値との対応を調べた結果を図2にグラフとして示す。
図2のグラフから、実測値と推算値とが高い対応関係に
あることが明らかである。
【0052】実施例2(第2の態様) 実施例1において、pH測定を行うことなく、補正係数
βを用いて計算を行う以外は、実施例1と同様にしてセ
ルラーゼ生産菌の好気的培養を行って、蔗糖濃度の変化
を計算した。ここで、補正係数βを予め決定する方法と
しては、βを仮に定めた値(β=1.0)で前述の第2
の態様に基づく演算処理を行い、実測値との偏差を求め
る。この偏差が最小となるようβを変化させ、最小偏差
を与える補正係数βmin (=1.3)を定めた。図2に
βmin =1.3を用いて算出した推算値を実測値と共に
示す。図2のグラフが示すように、経験的に定めたβを
用いても、実測値と推算値とが高い対応関係にあること
がわかる。
【0053】
【発明の効果】本発明の基質濃度の推算方法を利用する
ことにより、例えば糖などの炭素源を含む基質を用いて
培養液中で好気的培養を行い、酵素などの有用発酵生産
物を生産する場合に、培養液のサンプリングを行うこと
なく、培養液中の基質濃度を高い精度にて、かつリアル
タイムで知ることが可能となる。なお、本発明の基質濃
度の推算方法は、バッチ式の好気的培養系に限らず、流
加法や半連続法に基づく培養系においても利用すること
ができる。また、本発明の基質濃度の推算方法は、セル
ラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼなどの酵素の生産に
おける基質濃度の変動を推算するのに特に有用である
が、グルタミン酸発酵などのような酵素生産以外の場合
においても利用することが可能である。なお、酵素生産
において、菌体内酵素あるいは菌体外酵素のいずれの生
産を行う場合にも、また菌体そのものが生産物になる場
合でも、本発明の推算方法は有効に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の基質濃度の推算方法を適用す
ることができる好気的培養を実施するためのコンピュー
タが接続された培養装置の概念図を示す。
【図2】図2は、本発明の基質濃度の推算方法により算
出した基質(蔗糖)濃度の変化と実測値との対応を調べ
た結果を示す。
【符号の説明】
1 培養液 2 培養槽 3 モータ 4 攪拌機 5 空気導入パイプ 6 空気流量計 7 インターフェイス 8 通信バス 9 コンピュータ 10 除菌フィルタ 11 排気パイプ 12 酸素・二酸化炭素濃度測定装置 13 pH測定用プローブ 14 pH測定装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素源を含む基質を用いて好気的培養を
    実施するに際して、基質を含む培養槽内に供給される気
    体の供給速度とその気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃
    度、培養槽内から排出される気体中の酸素濃度と二酸化
    炭素濃度、および培養液のpHを測定し、これらの値を
    変数とする炭素源消費速度の式より培養液中の基質濃度
    を推算する、培養液中の基質濃度推算方法。
  2. 【請求項2】 炭素源を含む基質を用いて好気的培養を
    実施するに際して、基質を含む培養槽内に供給される気
    体の供給速度とその気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃
    度、および培養槽内から排出される気体中の酸素濃度と
    二酸化炭素濃度を測定し、これらの値と補正係数βを変
    数とする炭素源消費速度の式を用いて、経験的に算出し
    た補正係数βを適用して培養液中の基質濃度を推算す
    る、培養液中の基質濃度推算方法。
  3. 【請求項3】 炭素源が糖を含むものである請求項1又
    は2記載の培養液中の基質濃度推算方法。
  4. 【請求項4】 炭素源中の糖含有率を変数とする炭素源
    消費速度の式を用い、系の炭素源中の糖含有率を適用し
    て培養液中の糖濃度を推算する、請求項3記載の培養液
    中の基質濃度推算方法。
  5. 【請求項5】 炭素源消費速度の式が、培養槽内に供給
    される気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度、および培養
    槽内から排出される気体中の酸素濃度と二酸化炭素濃度
    の測定値とから培養液の呼吸商を算出して導出されたも
    のである請求項1〜4いずれか記載の培養液中の基質濃
    度推算方法。
  6. 【請求項6】 炭素源消費速度の式が、培養槽内に供給
    される気体の供給速度とその気体中の酸素濃度と二酸化
    炭素濃度、および培養槽内から排出される気体中の酸素
    濃度と二酸化炭素濃度の測定値とから培養液の二酸化炭
    素放出速度を算出して導出されたものである請求項1〜
    5いずれか記載の培養液中の基質濃度推算方法。
  7. 【請求項7】 炭素源消費速度の式が、培養槽内に供給
    される気体の供給速度とその気体中の酸素濃度と二酸化
    炭素濃度、培養槽内から排出される気体中の酸素濃度と
    二酸化炭素濃度、および培養液のpHの測定値とから、
    二酸化炭素放散速度、二酸化炭素水和速度、および二酸
    化炭素水酸化速度を算出して導出されたものである請求
    項1又は3〜6いずれか記載の培養液中の基質濃度推算
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN121610351A (zh) * 2026-02-03 2026-03-06 贵州食品工程职业学院 一种发酵监测预警系统及方法

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