JPH07314456A - 金型用多孔質材およびその製造方法 - Google Patents

金型用多孔質材およびその製造方法

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JPH07314456A
JPH07314456A JP10860894A JP10860894A JPH07314456A JP H07314456 A JPH07314456 A JP H07314456A JP 10860894 A JP10860894 A JP 10860894A JP 10860894 A JP10860894 A JP 10860894A JP H07314456 A JPH07314456 A JP H07314456A
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mold
powder
pores
particle size
tool steel
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JP10860894A
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Toshinari Kakefuda
俊成 掛札
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Kanto Special Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスチックの射出成形時に発生するガス除
去を容易にし、さらに耐摩耗性をも有する金型用多孔質
材を開発する。 【構成】材質が工具鋼であり、機械的特性が抗折強度 5
00MPa 以上、硬度HRC 35以上の金型材であって、平均ポ
ア直径が5〜20μm 、存在率が20〜40vol.%であるオー
プンポアを有し、かつポアが1の表面から別の側の表面
にまで連通している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック射出成形
用の金型などの金型用多孔質材およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチックの射出成形品は薄物
化の傾向にあり、さらに素材であるその樹脂材料は、高
強度、耐熱性を有する難成形性材料が使用されつつあ
る。これらの材料は、成形しにくいだけでなく、射出成
形時に発生するガス量が多い。従って、特に成形品の肉
厚が0.5 mm以下の薄肉製品の場合、そのようなガス発生
によって樹脂素材そのものが、ソリ、曲がりなどの成形
品の変形や、シワ、くもりなどの成形品の表面欠陥を生
じる原因となっている。
【0003】そのような射出成形品の変形や表面欠陥の
発生を防止する手段は、根本的には素材からのガス発生
を抑制することであるが、現状では、製品に対する適正
な樹脂素材選択と、その成形条件などを優先させるため
に、それは困難である。従って、肉厚の薄い射出成形品
の製造時に生じる欠陥発生を防止するためには、成形中
に発生するガスを除去しなければならない。
【0004】従来技術においてもガスを除去する手段に
は、金型の一部に隙間を設ける方法、エジェクターピン
のクリアランスを利用する方法、金型を入れ子構造にし
てそのパーティングラインを利用する方法などがある。
【0005】しかしながら、これらのガス除去方法は、
バリがでやすい、多くのピンを設けることができない、
パーティングラインが付くこと自体望ましくないなどの
理由から、特に薄肉成形品の場合、採用することができ
ない。
【0006】これに対し最も有効と思われる方法は、当
該薄肉部分の金型の一部に多孔質の材料を用い、射出成
形時に発生したガスを真空ポンプで金型表面を通して強
制的に背面に吸引、除去する方法である。しかしなが
ら、現在、この方法に用いられている多孔質金型材( 特
開平3−28303 号、特開平3−159708号の各公報を参
照) はステンレス鋼系統の合金であるため、耐摩耗性に
劣る。そのため、難成形性のプラスチック、フィラー入
りのプラスチックなどの射出成形に使用すると、金型寿
命が非常に短く、一定個数を射出成形する度に金型修
正、交換などのメンテナンスを行わなければならない。
【0007】このように、現在使用されている金型用多
孔質材は、ガス除去の効果はあるが、通常のプラスチッ
ク用金型材と比較して耐摩耗性に劣り、金型寿命が短い
という欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、射出
成形時に発生するガスの除去を容易にし、さらに耐摩耗
性にすぐれた金型用多孔質材とその製造方法を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明者は、上
記課題を解決すべく種々の検討を重ね、金型素材として
工具鋼を用いることに着目してさらに研究開発を続けた
ところ、次の知見を得た。因みに、従来工具鋼を用いる
ことがなかったのは、加工が困難であり、プラスチック
の射出成形時に発生するガスによる腐食の問題があるか
らである。
【0010】金型寿命の決定要因が従来考えられてい
る腐食よりむしろ摩耗であることが分った。それに基づ
き、金型素材の材質を高速度工具鋼または合金工具鋼と
したところ、抗折強度500MPa以上、硬度HRC35 以上の金
型が得られ、しかも一般的に認識されていることに反し
て、ステンレス鋼素材からなる金型より長寿命であるこ
とが判明した。これは工具鋼から構成することで、工具
鋼がもつ耐摩耗性の特徴を十分に発揮できたからであ
る。
【0011】また、金属粉末の焼結品は、従来強度が弱
いとされていたが、予想外にも、後述する焼結品では、
抗折強度500MPa以上、硬度HRC35 以上の金型とすること
が可能であることが判明した。
【0012】金型寿命を維持するとともに所定の通気
性を確保するには、金型素材として上述のような工具鋼
を用いる場合、ポアの平均直径5 〜20μm 、存在率20〜
40vol.%とすればよい。
【0013】任意の表面から他の表面に連続したポア
を設けるために、原料となる金属粉末の大きさや、粒径
分布、樹脂配合量などが臨界性を有する。
【0014】金属粉末は、平均粒径7〜20μmであっ
て粒度分布の狭い原料粉末が適しており、添加混合する
バインダーである樹脂は EVA (エチレン−酢酸ビニル共
重合体) 、ポリエチレン、パラフィンワックスなど樹脂
の混合体が良く、また樹脂の混合比率は1〜10wt%が適
当である。
【0015】ここに、本発明は、材質が工具鋼であり、
機械的特性が抗折強度 500MPa 以上、硬度HRC 35以上の
金型素材であって、平均ポア直径が5〜20μm 、存在率
が20〜40vol.%であるオープンポアを有し、かつポアが
1の表面から反対側の表面にまで連続したポア構造を有
する金型用多孔質材である。
【0016】別の面からは、本発明は、工具鋼の組成を
有し、平均粒径が7〜20μm かつ、粒径10〜20μm の鋼
粉末の比率が鋼粉末全体に対し30〜40重量%、粒径10μ
m 未満が同じく40〜50重量%である鋼粉末に樹脂1〜10
wt%を配合し、得られた混合粉末を成形して圧粉体と
し、次いで該圧粉体を焼結することを特徴とする金型用
多孔質材の製造方法である。
【0017】本発明の好適態様によれば、上記混合粉末
を圧粉体とするに際し、プレスまたはCIP を用いる上記
の金型用多孔質材の製造方法である。本発明の別の好適
態様によれば、金型用多孔質材に前述の所要機械的特性
を持たせるため、大気に触れることなく焼結から焼入、
焼戻しまでを1つの炉で行うようにしてもよい。工具鋼
としては例えば高速度工具鋼または冷間工具鋼などが挙
げられる。
【0018】
【作用】次に、本発明の作用についてさらに具体的に説
明する。本発明は、ガス除去 (ガス抜き) が可能で、か
つ耐摩耗性を有する、プラスチックの射出成形用の多孔
質金型材とその製造方法に関するものである。
【0019】本発明にかかる金型用多孔質材は、金型の
一部に組込まれる場合や、小径・長尺のエジェクターピ
ンなどに使用される場合もあるので、金型の組込み時や
使用時において、欠け、折れなどの破損を起こす危険性
が考えられる。そのため、本発明にかかる多孔質金型素
材には、抗折強度、すなわち靱性も必要である。そのと
きの所要強度を検討した結果、材料が500MPa以上の抗折
強度を有すれば、エジェクターピンに使用される場合も
破損を防止できることから、本発明にあっては抗折強度
を500MPa以上、好ましくは700MPa以上、より好ましくは
800MPa以上とする。
【0020】最近のプラスチックは高硬度化の傾向にあ
り、さらに強度向上の目的でフィラーなどを添加したも
のもあるため、金型素材にも耐摩耗性が要求される。し
かしながら、現在使用されている多孔質材は、マトリッ
クスの硬さが、最大でHRC30(HV300) 程度のため、寿命
が短く、メンテナンスのための時間を増大させる。従っ
て、本発明にかかる金型素材では硬さはHRC 35以上、よ
り特定的にはHRC 35〜50に限定する。好ましくはHRC 36
〜42である。
【0021】ここに、本発明において用いる工具鋼とし
ては、JIS 等ですでに規定されている高速度工具鋼(SKH
51、SKH57)、冷間工具鋼(SKD11) などが挙げられ、従来
より工具鋼として使用されているものであれば特定組成
のものに制限されないが、より広義には本発明に云う工
具鋼は次の鋼組成を有するものである。
【0022】C:0.5 〜2.5 wt%、Si:0.5 wt%以下、
Mn:0〜1.2 wt%、Cr:0.2 〜15.0wt% (好ましくは
3.0〜5.0 wt%) 、Mo:0〜10wt%、W:0〜19wt%、
V:0〜6wt%、Co:0〜11wt%より好ましくは、次の
鋼組成を有するものである。 C:0.95 〜1.35wt%、Si:0.37 〜0.40wt%、Mn:0.35 〜
0.38wt%、Cr:4.0 〜4.3 wt%、Mo:3.5 〜5.1 wt%、
W:5.8 〜6.1wt % ここで、各成分は次のような作用を有する。
【0023】C: 所定の硬度、強度( 特に硬度) を確保
するために上記の範囲に限定する。 Si: 焼入れ性の改善に有効だが、Siは置換型原子である
ので添加量が多すぎると逆に焼入れ性が低下するので上
記の範囲に限定する。
【0024】Mn: MnS として鋼を劣化させるSを固定さ
せる作用があり、さらにMnS は被削性を改善させる作用
がある。また上記範囲で組織微細化作用があるため靱性
向上にも効果を有する。 Cr: 焼入れ性、硬度の改善のため上記の範囲に限定す
る。
【0025】Mo: 硬度、靱性の向上のため上記の範囲に
限定する。Moは析出硬化を起こさせる元素であり硬度の
確保に大きな効果がある W、V、Co:硬度向上のため上記の範囲に限定する。
W、V、Coは、炭化物生成元素であり、その炭化物が非
常に高い硬度を示す。
【0026】射出成形時に、裏側から真空ポンプでガス
除去を行うことを可能にするには、金型材にポアが存在
し、さらにそのポアが1の表面から背面側( 反対側また
は側面側) の他の表面にまで連続 (連結) していなけれ
ばならない。
【0027】またポアの平均径は、余り小さい場合、ガ
ス除去の能力が不十分となり、一方、余り大きい場合、
成形品の肌にポアの痕が転写されたり、強度が低くなり
金型破損の原因ともなる。このことは、ポアの素材全体
に対する存在率とも関係し、存在率が低い場合は、ガス
除去の能力が不十分となり、高い場合は、素材強度が低
下する。
【0028】ここに存在率は、電子顕微鏡写真を用い、
次のようにして求めた値である。 存在率=(任意の断面に占めるポアの面積合計/任意の
断面全体の面積)1.5×100(%) 以上から、本発明においては、ポアの平均直径を5〜20
μm 、存在率を20〜40vol.%とそれぞれ限定する。好ま
しくは、それぞれ、12〜17μm 、34〜36vol.%である。
【0029】次に、本発明にかかる多孔質金型素材の製
造方法を説明する。一般に、粉末冶金法によって製作さ
れた焼結金属には、多少の差はあるが必ずポアは存在す
る。しかしこれらのポアはほとんどは、それぞれ独立し
たクローズドポアであり、互いに連続したものではな
い。
【0030】これは、原料とする金属粉末の粒度が比
較的細かく、さらにその分布が広い、焼結時の脱脂を
簡便にするため必要最小限しかバインダー (樹脂類) を
加えない、焼結体の密度を上げるため、金属粉末同士
の相互拡散が十分起こるような加熱、雰囲気条件で焼結
する、などの理由によるものである。
【0031】元来、粉末冶金法においては、機械的特性
その他の向上のため、含油軸受など特殊な用途を除き、
生ずるポアを極力減少させることが大前提となっている
ので、これは当然のことであると思われる。
【0032】しかしプラスチック金型材の場合は、前述
のように連続したポア (オープンポア) 、それも1の表
面からその背面側( 反対側あるいは側面側)まで連続し
たものが必要である。さらにガス除去を効率よく行うた
めには、ポアは表面から背面側にまで肉厚部を連通して
いることが望ましい。
【0033】ここに、本発明によれば、次のような操作
によって焼結体を製造することによって粉体粒間の間隙
に由来する枝分かれのある網目状のポア構造とすること
ができる。
【0034】(i) 原料鋼粉末の平均粒度を7〜20μm と
ある程度大きい粒子とし、さらに全体に占める平均粒量
が40重量%以上であり、好ましくは粒径10〜20μm の粒
子個数を全体の30〜40重量%、粒径10μm 未満が同じく
40〜50重量%と分布を狭くする。より好ましくは、さら
に粒径11〜16μm の粒子が粉末全体の15〜20重量%を占
め、粒径8〜11μm の粒子が全体の14〜19重量%を占め
る。
【0035】(ii)バインダー (樹脂類) を1 〜10重量%
とする。
【0036】このように、本発明によれば、金属粉末原
料には、1)形状が比較的整っている、2)平均粒径が10〜
20μm 、3)粒度分布範囲が狭い、すなわち全体に占める
平均粒量が40重量%以上である、などの条件を併せもつ
金属粉末原料を選択する。
【0037】すなわち、粉末のプレス成形 (金型成形)
、 CIP成形などにおいて、粉末の粒形状が整ってお
り、その粒度分布が狭いと、粉末同士のブリッジングが
起きやすくなり成形密度が低くなる。
【0038】したがって、本発明では粉末の形状、粒度
が揃っているため、粉末相互の間隙も形状、寸法がある
程度揃う。さらにこの間隙の寸法は、金属粉末の平均粒
径を決めることによって制御することができる。
【0039】因みに、一般の粉末成形においては、粒度
分布が広く、粒形状が整っていない粉末を用いるため、
粗粒粉末同士の間隙に細かい粉末が侵入し、その結果と
して高い成形密度が得られるが、ポア生成は十分でな
く、まして表裏貫通したポアは得られない。
【0040】ここに、本発明によれば、上述の特性を有
する工具鋼粉末として、前述の組成割合を有する金属粉
末を出発粉末原料として用いる。特に耐摩耗性に優れる
高速度工具鋼(SKH51、SKH57)、冷間工具鋼 (SKD11)など
を用いる場合、これら合金の焼結後のマトリックス硬さ
は、予想外にも、SKH57 の例で最低でもHRC40 と従来品
(HRC30程度) より高硬度が得られた。なお、この従来品
とは、現在ただ1種市販されている多孔質金型材で、ス
テンレス鋼製である。
【0041】本発明にかかる製造方法においては、粉末
を成形する際添加するバインダとして樹脂を使用する場
合は、成形後粉末と粉末の間隙に存在し、続く脱脂工程
においてガス化するが、前述のように一般の粉末冶金法
の場合よりも間隙が大きいので、ガス化した樹脂が抜け
やすい。従って、樹脂を多く添加してもフリーカーボン
として残留したり、ガス化の堆積膨張による破損、亀裂
発生などは起きにくい。
【0042】本発明の実施に際しては、添加する樹脂量
を調整することによって、ポアの存在率を制御すること
が可能である。成形体内部の樹脂存在部分が、脱脂後空
孔となるからである。樹脂の添加量は、前述のように、
1〜10wt%が適当である。
【0043】添加する樹脂の種類は、EVA(エチレン−酢
酸ビニル共重合体) 、ポリエチレン、パラフィンワック
スなどの混合添加が望ましく、その混合比率は、EVA:ポ
リエチレン: パラフィンワックス: その他=0〜5:0
〜5:1〜5:0〜2が最適である。なお、その他の樹
脂としては、具体的には例えば、ポリプロピレン、ポリ
スチレン、ジブチルフタレート、ステアリン酸などが例
示できる。
【0044】これらの樹脂は室温〜180 ℃の加熱温度範
囲で前述の鋼粉末と混合し、冷却、固化後粒状にし、金
型プレスも用いてまたはCIP 法により、室温〜180 ℃の
温度下で成形する。
【0045】成形圧力は、特に制限されないが、例えば
98MPa 未満では成形体強度が低く、また焼結後も巣が多
くなり実用的でない。一方、成形圧力が200 MPa 以上の
場合は、バックラッシュによる亀裂が成形体に生じやす
く、また焼結後の密度は高くなりこれも実用的でない。
以上から、98〜196MPaの成形圧力が適当である。好まし
くは、120 〜180MPa、より好ましくは、145 〜150MPaで
ある。
【0046】混合した樹脂の脱脂には、アルゴンないし
窒素ガスをキャリアガスとして流すことが有効である。
その雰囲気圧力は260 Pa〜4000Paの範囲が最も適正で、
脱脂率もほぼ100 %と高い。
【0047】圧粉成形手段、条件および焼結条件等も本
発明において特に制限されないが、好ましくはプレス成
形、CIP 成形によって圧粉密度60〜80%、好ましくは65
〜75%の圧粉体を成形し、次いでこれを通常の真空雰
囲気あるいは還元性ガス雰囲気下で焼結する。このと
き、粉末同士が完全に一体とならないような焼結条件を
選択するのが好ましい。これらの条件を組み合わせて製
作すれば、連続したオープンポアを有する焼結体が得ら
れることになる。
【0048】本発明による成形体の焼結は、脱脂から焼
結、冷却まで一炉で処理することにしてもよい。すなわ
ち、成形終了した圧粉体を、大気にさらすことなく熱処
理 (焼入、焼戻し) ができるので、材料劣化を防止する
だけでなく、工程の短縮にもなる。
【0049】焼結保持温度は、金属材料の材質によって
異なるが、融点に対して75〜85%の温度、例えばSKH57
あるいはSKD11 の場合1050〜1150℃と、一般の粉末冶金
法による焼結温度に対し低温側の温度設定が望ましい。
これは、一般の焼結温度にて焼結すると、接触している
金属粉末間の相互拡散が活発に起こり、意識的に設けた
ポアが収縮してしまうことを防止するためである。
【0050】焼結保持に引き続き、処理温度をさらに0
〜100 ℃の範囲で上昇させ、一定時間保持した後、0.4
〜0.6MPaの圧力にアルゴンないし窒素ガスを導入、急冷
を行う。本発明にかかる金型素材は多孔質体であるた
め、通常の焼入方法、すなわち油冷、水冷を行うことが
できない。油または水がポアから合金内部へ侵入してし
まうためである。従って、ガス冷却が必要となる。
【0051】そこで、本発明の製造方法では焼結時の熱
エネルギーをそのまま利用できるよう、焼結からの直接
焼入を行うことが好ましい。さらに、冷却後一定温度以
下に保持後、再加熱をし、焼戻し処理を行う。
【0052】本方法によれば、処理物を大気にさらすこ
ともなく、材料劣化を最小限に抑えることができる。ま
た大幅な工程短縮ともなる。次に、本発明の作用効果に
ついて実施例に基づいてさらに具体的に詳述する。
【0053】
【実施例】
(実施例1)金属粉末としての平均粒径9.6 μm の高速度
工具鋼 (材質SKH57)粉末 (粒径10〜20μm のものが35.5
重量%、粒径10μm未満が47.6重量%を占める粒径分
布)と、EVA 、ポリエチレン、パラフィンワックスをそ
れぞれ95wt%、2wt%、2wt%、1wt%の割合で混練
し、えられた混合物をヒーターにより加熱した金型に
て、147MPaの圧力で加圧成形し、圧粉体とした。圧粉密
度は68%であった。
【0054】次に、この圧粉体を、660 Paの真空度に保
ったN2ガス・フロー下にて1150℃で焼結、2時間の保持
後、0.5MPaの圧力を加え2℃/sの冷却速度で急冷した。
次いで、1.3 ×10-3Paの真空下150 ℃で1時間保持後、
550 ℃で焼戻しを行った後、炉から取り出した。この
間、処理物は一度も炉外に出ていない。
【0055】このようにして焼結・熱処理の終了した本
例の焼結体のマトリックス硬さはHRC 41〜45 (HV 400〜
450)と、同一組成の市販ステンレス鋼多孔質品 (HV300)
を大幅に上回り、抗折強度は800MPaが得られた。
【0056】また、全体に存在するポアの平均直径は15
μm、存在率は35vol%であった。ポアが連通ポアである
ことは水中にて一方の面からエアを吹込み他の側の面か
らエアが抜けることで確認した。
【0057】このようにして得られた焼結体を所定の大
きさに加工、射出成形用の金型に組込み、0.5 mm肉厚部
を有するプラスチック射出成形を行ったところ、従来は
ソリ、曲がりの発生した薄肉部分の変形を防止できた。
また、本例では市販のステンレス鋼製の多孔質材を用い
た場合が連続使用回数が3万ショットであったのに対
し、本例のものでは同じく連続使用回数8万ショット
と、手入れ前にほゞ2.7 倍の個数の製品を射出成形でき
た。
【0058】また、総使用回数は本例のものは5回手入
れを行い40万ショット、従来例では10回手入れを行い30
万ショットであった。なお、従来は5cm毎に3mm程度の
反りがみられたのに本例では他の多孔質材の場合と同
様、反りはみられなかった。肌荒れも同様にみられなか
った。
【0059】(実施例2)平均粒径9.9 μm の鋼粉末 (材
質SKD11)粉末 (粒径分布: 粒径10〜20μm が38.2重量
%、粒径10μm未満が45.8重量%) とパラフィンワック
スを98.5wt%、1.5 wt%の割合で混練し、これをゴム型
にて196MPaの圧力で、直径6.5 ×120 mmの大きさにCIP
成形した。圧粉密度72%であった。
【0060】次に、この圧粉体を、260 Paの真空度に保
ったN2ガス・フロー下にて1150℃で焼結、2時間の保持
後、さらに1050℃で30分保持し、0.5MPaの圧力を加え2
℃/sの冷却速度で急冷した。次いで、1.3 ×10-3Paの真
空下150 ℃で1時間保持後、500 ℃で焼戻しを行った。
【0061】焼結・熱処理の終了した本例の焼結体のマ
トリックス硬さはHRC 48〜51(HV 480 〜530)、抗折力は
1020 MPaであった。また、全体に存在するポアの平均径
は10μm、存在率は30vol%であった。実施例1の場合と
同様にして連通ポアであることを確認した。
【0062】この焼結体から、エジェクターピンを加工
製作して、射出成形金型に組込み、ピンを介してガス抜
きを行えるようにしたところ、従来のクリアランスを利
用する場合より良好にガス抜きができただけでなく、バ
リの発生も抑えることができた。手入れを要するまでの
連続使用回数が従来の3万ショットが6万ショットにま
で延長された。本例の寿命は7回手入れにより40万ショ
ットであった。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来、金型寿命が短く問題であった射出成形用の多孔質
金型素材として、工具鋼を利用でき、通気性はもちろ
ん、硬度、強度のいずれにおいても従来の溶製品よりも
優れたものが得られ、多孔質金型の寿命を飛躍的に伸ば
すことができるなど、実用上の大きな利益が得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 材質が工具鋼であり、機械的特性が抗折
    強度 500MPa 以上、硬度HRC 35以上の金型素材であっ
    て、平均ポア直径が5〜20μm 、存在率が20〜40vol.%
    であるオープンポアを有し、かつポアが1の表面から反
    対側の表面にまで連続したポア構造を有する金型用多孔
    質材。
  2. 【請求項2】 工具鋼の組成を有し、平均粒径が7〜20
    μm かつ、粒径10〜20μm の鋼粉末の比率が鋼粉末全体
    に対し30〜40重量%、粒径10μm 未満が同じく40〜50重
    量%である鋼粉末に樹脂1〜10wt%を配合し、得られた
    混合粉末を成形して圧粉体とし、次いで該圧粉体を焼結
    することを特徴とする金型用多孔質材の製造方法。
JP10860894A 1994-05-23 1994-05-23 金型用多孔質材およびその製造方法 Withdrawn JPH07314456A (ja)

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