JPH07314457A - 金型用多孔質材およびその製造方法 - Google Patents

金型用多孔質材およびその製造方法

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JPH07314457A
JPH07314457A JP10860994A JP10860994A JPH07314457A JP H07314457 A JPH07314457 A JP H07314457A JP 10860994 A JP10860994 A JP 10860994A JP 10860994 A JP10860994 A JP 10860994A JP H07314457 A JPH07314457 A JP H07314457A
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JP
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steel
mold
pores
powder
parallel
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JP10860994A
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Toshinari Kakefuda
俊成 掛札
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Original Assignee
Kanto Special Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスチックの射出成形時に発生するガス除
去を容易にし、さらに耐摩耗性をも有する多孔質金型素
材を開発する。 【構成】材質が工具鋼であり、機械的特性が抗折強度 5
00MPa 以上、硬度HRC 35以上の金型素材であって、平均
ポア直径が5〜20μm 、存在率が4〜15面積%であるオ
ープンポアを有し、かつポアが並列管状であって1の表
面から反対側の表面にまで連続したポア構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック射出成形
用金型などの金型用多孔質材およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチックの射出成形品は薄物
化の傾向にあり、さらに素材であるその樹脂材料は、高
強度、耐熱性を有する難成形性材料が使用されつつあ
る。これらの材料は、成形しにくいだけでなく、射出成
形時に発生するガス量が多い。従って、特に成形品の肉
厚が0.5 mm以下の薄肉製品の場合、そのようなガス発
生によって樹脂素材そのものが、ソリ、曲がりなどの成
形品の変形や、シワ、くもりなどの成形品の表面欠陥を
生じる原因となっている。
【0003】そのような射出成形品の変形や表面欠陥の
発生を防止する手段は、根本的には素材からのガス発生
を抑制することであるが、現状では、製品に対する適正
な樹脂素材選択と、その成形条件などを優先させるため
に、それは困難である。
【0004】従って、肉厚の薄い射出成形品の製造時に
生じる欠陥発生を防止するためには、成形中に発生する
ガスを除去しなければならない。
【0005】従来技術においてもガスを除去する手段に
は、金型の一部に隙間を設ける方法、エジェクターピン
のクリアランスを利用する方法、金型を入れ子構造にし
てそのパーティングラインを利用する方法などがある。
【0006】しかしながら、これらのガス除去方法は、
バリがでやすい、多くのピンを設けることができない、
パーティングラインが付くこと自体望ましくないなどの
理由から、特に薄肉成形品の場合、採用することができ
ない。
【0007】これに対し最も有効と思われる方法は、当
該薄肉部分の金型の一部に多孔質の材料を用い、射出成
形時に発生したガスを真空ポンプで金型表面を通して強
制的に背面から吸引、除去する方法である。しかしなが
ら、現在、この方法に用いられている多孔質金型材( 特
開平3−28303 号、特開平3−159708号の各公報を参
照) はステンレス鋼系統の合金であるため、耐摩耗性に
劣る。そのため、難成形性のプラスチック、フィラー入
りのプラスチックなどの射出成形に使用すると、金型寿
命が非常に短く、一定個数を射出成形する度に金型修
正、交換などのメンテナンスを行わなければならない。
【0008】このように、現在使用されている金型用多
孔質材は、ガス除去の効果はあるが、通常のプラスチッ
ク用金型材と比較して耐摩耗性に劣り、金型寿命が短い
という欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、射出
成形時に発生するガスの除去を容易にし、さらに耐摩耗
性にすぐれた金型用多孔質材とその製造方法を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明者は、上
記課題を解決すべく種々の検討を重ね、金型素材として
工具鋼を用いることに着目してさらに研究開発を続けた
ところ、次の知見を得た。因みに、従来工具鋼を用いる
ことがなかったのは、加工が困難であり、プラスチック
の射出成形時に発生するガスによる腐食の問題があるか
らである。
【0011】金型寿命の決定要因が従来考えられてい
る腐食よりむしろ摩耗であることが分かった。それに基
づき、金型素材の材質を高速度工具鋼または合金工具鋼
としたところ、抗折強度500MPa以上、硬度HRC35 以上の
金型が得られ、しかも一般的に認識されていることに反
して、ステンレス鋼素材からなる金型より長寿命である
ことが判明した。これは工具鋼から構成することで、工
具鋼がもつ耐摩耗性の特徴を十分に発揮できたからであ
る。
【0012】また、金属粉末の焼結品は、従来強度が弱
いとされていたが、予想外にも、後述する焼結品では、
抗折強度500MPa以上、硬度HRC35 以上の金型とすること
が可能であることが判明した。
【0013】金型寿命を維持するとともに所定の通気
性を確保するには、金型素材として上述のような工具鋼
を用いる場合、ポアの平均直径5 〜20μm 、存在率20〜
40vol.%とすればよい。
【0014】任意の表面から他の表面に連続したポア
を設けるために、原料となる金属粉末の大きさや、粒径
分布、樹脂配合量などが臨界性を有する。
【0015】金属粉末は、平均粒径の分布が40%以上
を占める粒度分布の狭い原料粉末が適しており、添加混
合するバインダーである樹脂は、EVA(エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体) 、ポリエチレン、パラフィンワックスな
ど樹脂の混合体が良く、また樹脂の混合比率は1〜10wt
%が適当である。
【0016】ここに、本発明は、材質が工具鋼であり、
機械的特性が抗折強度 500MPa 以上、硬度HRC 35以上の
金型素材であって、平均ポア直径が5〜20μm 、存在率
が20〜40vol.%であるオープンポアを有し、かつ該ポア
が並列管状であって、あるいは直線状の管からなり、1
の表面から背面側の表面にまで連続したポア構造を有す
る金型用多孔質材である。本発明の好適態様によれば、
前記ポア構造が直線状の管であるポアを有する金型用多
孔質材である。
【0017】別の面からは、本発明は、上述の金型用多
孔質材を製造する方法として、工具鋼の組成を有し、平
均粒径が7〜20μm 、かつ粒径10〜20μm の鋼粉末の比
率が鋼粉末全体に対し30〜40重量%、好ましくはさらに
粒径10μm未満が同じく40〜50重量%、である鋼粉末に
平均直径50〜110 μm の樹脂製糸を、例えば4〜13面積
%、並列配合し、得られた混合物を成形して圧粉体と
し、次いで該圧粉体を焼結することを特徴とする金型用
多孔質材の製造方法である。
【0018】別の方法としては、工具鋼の組成を有し、
平均粒径が7〜20μm 、かつ粒径10〜20μm の鋼粉末の
比率が鋼粉末全体に対し30〜40重量%、好ましくはさら
に粒径10μm未満が同じく40〜50重量%、である鋼粉末
に平均直径80〜140 μm の鋼線を束ねて成る複数の鋼線
束を、例えば横断面での面積割合で2〜10面積%、並列
配合し、得られた混合物を成形して圧粉体とし、次いで
該圧粉体を焼結することを特徴とする金型用多孔質材の
製造方法である。
【0019】本発明の好適態様によれば、上記混合粉末
を圧粉体とするに際し、プレスまたはCIP を用いる上記
の多孔質金型素材の製造方法である。本発明の別の好適
態様によれば、多孔質金型素材に前述の所要機械的特性
を持たせるため、大気に触れることなく焼結から焼入焼
戻しまでを一炉で行うようにしてもよい。工具鋼は例え
ば高速度工具鋼または冷間工具鋼などがあげられる。
【0020】
【作用】次に、本発明の作用についてさらに具体的に説
明する。本発明は、ガス除去 (ガス抜き) が可能で、か
つ耐摩耗性を有する、プラスチックの射出成形用の金型
用多孔質材とその製造方法に関するものである。
【0021】本発明にかかる金型用多孔質材は、金型の
一部に組込まれる場合や、小径・長尺のエジェクターピ
ンなどに使用される場合もあるので、金型の組込み時や
使用時において、欠け、折れなどの破損を起こす危険性
が考えられる。そのため、本発明にかかる多孔質金型素
材には、抗折強度、すなわち靱性も必要である。そのと
きの所要強度を検討した結果、材料が500MPa以上の抗折
強度を有すれば、エジェクターピンに使用される場合も
破損を防止できることから、本発明にあっては抗折強度
を500MPa以上、好ましくは700MPa以上、より好ましくは
800MPa以上とする。
【0022】最近のプラスチックは高硬度化の傾向にあ
り、さらに強度向上の目的でフィラーなどを添加したも
のもあるため、金型素材にも耐摩耗性が要求される。し
かしながら、現在使用されている多孔質材は、マトリッ
クスの硬さが、最大でHRC30(HV300) 程度のため、寿命
が短く、メンテナンスのための時間を増大させる。従っ
て、本発明にかかる金型素材では硬さはHRC 35以上、よ
り特定的にはHRC 35〜50に限定する。好ましくはHRC 36
〜42である。
【0023】ここに、本発明において用いる工具鋼とし
ては、JIS 等ですでに規定されている高速度工具鋼(SKH
51、SKH57)、冷間工具鋼(SKD11) などが挙げられ、従来
より工具鋼として使用されているものであれば特定組成
のものに制限されないが、より広義には本発明に云う工
具鋼は次の鋼組成を有するものである。
【0024】C:0.5 〜2.5 wt%、Si:0.5 wt%以下、
Mn:0〜1.2 wt%、Cr:0.2 〜15.0wt% (好ましくは
3.0〜5.0 wt%) 、Mo:0〜10wt%、W:0〜19wt%、
V:0〜6wt%、Co:0〜11wt%より好ましくは、次の
鋼組成を有するものである。
【0025】C:0.95 〜1.35wt%、Si:0.37 〜0.40wt
%、Mn:0.35 〜0.38wt%、Cr:4.0 〜4.3 wt%、Mo:3.5
〜5.1 wt%、W:5.8 〜6.1wt % ここで、各成分は次のような作用を有する。
【0026】C:所定の硬度、強度( 特に硬度) を確保
するために上記の範囲に限定する。 Si:焼入れ性の改善に有効だが、Siは置換型原子である
ので添加量が多すぎると逆に焼入れ性が低下するので上
記の範囲に限定する。
【0027】Mn: MnSとして鋼を劣化させるSを固定さ
せる作用があり、さらにMnS は被削性を改善させる作用
がある。また、上記範囲で組織微細化作用があるため靱
性向上にも効果を有する。 Cr:焼入れ性、硬度の改善のため上記の範囲に限定す
る。
【0028】Mo:硬度、靱性の向上のため上記の範囲に
限定する。Moは析出硬化を起こさせる元素であり硬度の
確保に大きな効果がある。 W、V、Co:硬度向上のため上記の範囲に限定する。
W、V、Coは、炭化物生成元素であり、その炭化物が非
常に高い硬度を示す。
【0029】射出成形時に、裏側から真空ポンプでガス
除去を行うことを可能にするには、金型材にポアが存在
し、さらにそのポアが1の表面から背面側( 反対側また
は側面側) の他の表面にまで連続 (連結) していなけれ
ばならない。
【0030】またポアの平均径は、余り小さい場合、ガ
ス除去の能力が不十分となり、一方、余り大きい場合、
成形品の肌にポアの痕が転写されたり、強度が低くなり
金型破損の原因ともなる。このことは、ポアの素材全体
に対する存在率とも関係し、存在率が低い場合は、ガス
除去の能力が不十分となり、高い場合は、素材強度が低
下する。
【0031】ここに存在率は、電子顕微鏡写真を用い、
次のようにして求めた値である。 存在率=(任意の断面に占めるポアの面積合計/任意の
断面全体の面積)1.5×100(%) 。
【0032】以上から、本発明においては、並列管状の
ポアの平均直径を5〜20μm 、管状ポアの長手方向に対
する垂直横断面 (単に横断面という) における存在率を
4〜15面積%とそれぞれ限定する。好ましくは、それぞ
れ、12〜17μm 、7〜15面積% (樹脂糸を用いた場合)
あるいは4〜13面積% (鋼線を用いた場合) である。
【0033】ここに、「並列管状」とは、長く伸びた複
数の管状の空洞が並列して設けられていることを云い、
具体的には線状体を複数並べて埋設した粉末混合物を圧
粉・焼結したときの線状体に由来する空間の形態を云
う。
【0034】次に、本発明にかかる金型用多孔質材の製
造方法を説明する。一般に、粉末冶金法によって製作さ
れた焼結金属には、多少の差はあるが必ずポアは存在す
る。しかしこれらのポアはほとんどは、それぞれ独立し
たクローズドポアであり、互いに連続したものではな
い。
【0035】これは、原料とする金属粉末の粒度が比
較的細かく、さらにその分布が広い、焼結時の脱脂を
簡便にするため必要最小限しかバインダー (樹脂類) を
加えない、焼結体の密度を上げるため、金属粉末同士
の相互拡散が十分起こるような加熱、雰囲気条件で焼結
する、などの理由によるものである。
【0036】元来、粉末冶金法においては、機械的特性
その他の向上のため、含油軸受など特殊な用途を除き、
生ずるポアを極力減少させることが大前提となっている
ので、これは当然のことであると思われる。
【0037】しかしプラスチック金型材の場合は、前述
のように連続したポア (オープンポア) 、それも1の表
面からその背面側( 反対側あるいは側面側)まで連続し
たものが必要である。さらにガス除去を効率よく行うた
めには、ポアは並列管状に表面から背面側にまで肉厚部
を連通していることが望ましい。さらに好ましくは、ポ
アは直線状の管から成るものとしてもよい。
【0038】ここに、本発明によれば、次のような操作
によって焼結体を製造することによって樹脂製糸の占有
部分、または鋼線束を構成する鋼線の隙間に由来する並
列管状のポア構造とすることができる。
【0039】(i) 原料鋼粉末の粒度を平均粒径7〜20μ
m とある程度大きい粒子とし、全体に占める平均粒量が
40重量%以上であり、好ましくは粒径10〜20μmの粒子
個数を全体の30〜40重量%とその粒度分布を狭くする。
より好ましくは、さらに粒径11〜16μmの粒子が粉末全
体の15〜20重量%を占め、粒径8〜11μmの粒子が全体
の14〜19重量%を占める。
【0040】このように、本発明によれば、金属粉末原
料には、1)形状が比較的整っている、2)平均粒径が7〜
20μm 、3)粒度分布範囲が狭い、すなわち全体に占める
平均粒量が40重量%以上である、などの条件を併せもつ
鋼粉末原料を選択する。
【0041】(ii)ポア形成材として、樹脂製糸の場合に
は、平均直径を50〜120 μm 、好ましくは50〜110 μm
、さらに好ましくは70〜110 μm とし、さらに鋼線の
場合には平均直径を80〜140 μm 、好ましくは80〜100
μm である。
【0042】樹脂糸は粉末中に並列配合されるが、焼結
によって気化し、残った孔は粉末の焼結収縮とともに収
縮し、その形態は、焼結後の並列管状ポアの形態に基づ
いて規定すると、15〜50本/mm、好ましくは20〜45本/
mmの樹脂糸を間隔20〜70μm、好ましくは22〜50μm で
配列する。横断面でみた樹脂糸の並列配合割合は、例え
ば4〜13面積%、好ましくは8〜12面積%である。この
とき焼結後のポアの面積率は4〜15%、好ましくは10〜
12%とする。
【0043】また鋼線の場合の配列配合は、500 〜2000
本、好ましくは 600〜1500本を1束として、それらを15
〜50本/mm、好ましくは20〜45本/mmの鋼線束を20〜70
μm、好ましくは22〜50μm の間隔で配列する。横断面
でみた鋼線の並列配合割合は、例えば2〜10面積%、好
ましくは5〜9面積%である。鋼線の場合、鋼線自体が
マトリックスとなり、鋼線と鋼線との周囲または鋼線の
囲いの隙間によって孔が形成されることになる。したが
って、鋼線は実質上収縮しないから、隙間はわずかに収
縮するだけである。例えば成形前の配列で 2.5〜10面積
%であれば成形後は 4.5〜13面積%となる。このときの
焼結後のポア面積率は4〜15%、好ましくは10〜12%で
ある。
【0044】図1(a) 、(b) は、本発明によって並列管
状ポアが生成される様子を説明すべく、樹脂糸との混合
物から得た圧粉体および焼結体のそれぞれを断面で示す
略式説明図である。
【0045】図1(a) に示すように、金属粉末内に並列
配合された複数の樹脂糸は予め設定された密度および間
隔で設置されその状態で圧粉化される。焼結後は、樹脂
糸および必要により添加されたバインダーはガス化して
除去され、特に樹脂糸の占めていた領域は並列管状のポ
アとなって残る。もちろん、通常の粉末圧粉体の焼結と
同様に、焼結条件を調整することで全体的に多孔質な構
造とすることもでき、同時に上記並列管状ポアの形態を
も変更することができる。
【0046】図2(a) 、(b) 、(c) は、同じく本発明に
よって並列管状ポアが生成される様子を説明する、鋼線
の束と鋼粉末との混合物の圧粉体および焼結体をそれぞ
れ断面で示す略式説明図である。
【0047】図2(a) に示すように、まず鋼線は適宜数
だけ束ね、鋼線束を得る。このとき各鋼線との間には、
図中、白抜き部で示すように隙間が残る。この隙間は、
図2(b) に示すように、圧粉体として上述の鋼線束を鋼
粉末中に埋設させたときにも、残る。鋼線束は図2(c)
に示すように、所定の数だけ所定の間隔で鋼粉末中に並
列配合される。得られる圧粉体は焼結によって各鋼線が
相互拡散によって一体化しても、上記の隙間は残り、並
列管状ポアとなる。しかし、相互拡散が進み過ぎると、
上記隙間も充填される場合がある。したがって、ポア形
態は焼結条件を調整することである程度変更できる。な
お、この場合も図1の場合と同様に、周囲の鋼粉末部分
は多孔質構造とすることもできる。
【0048】ここに、本発明によれば、上述の特性を有
する工具鋼粉末として、前述の組成割合を有する金属粉
末を出発粉末原料として用いる。特に耐摩耗性に優れる
高速度工具鋼(SKH51、SKH57)、冷間工具鋼 (SKD11)など
を用いる場合、これら合金の焼結後のマトリックス硬さ
は、予想外にも、SKH57 の例で最低でもHRC40 と従来品
(HRC30程度) より高硬度が得られた。なお、この従来品
とは、現在ただ1種市販されている多孔質金型材で、ス
テンレス鋼製である。
【0049】また、本発明の製造方法においては、連続
した並列管状ポアを生じさせるためには、直径50〜110
μm の樹脂糸を一定間隔で数十〜数百本ゴム型内の金属
粉末中に並べ、次いでそのゴム型をCIP にて成形する。
【0050】このときの成形圧力は、98M Pa未満では成
形体強度が低く、また焼結後も巣が多くなり実用的でな
い。成形圧力が200 MPa 超の場合は、バックラッシュに
よる亀裂が成形体に生じやすいので実用的でない。以上
から、98〜196 MPa が適当であり、好ましくは120 〜18
0 MPa、より好ましくは145 〜150 MPaである。
【0051】上述の態様の場合、CIP 成形においては、
金属粉末にバインダー (樹脂類) を混合する必要はない
が、取扱い上所望により、0.5 〜2.5 wt%の範囲でパラ
フィンワックスなどの低分子樹脂を混合してもよい。
【0052】樹脂糸の脱脂は、アルゴンないし窒素ガス
をキャリアガスとして流すことが有効であった。その雰
囲気圧力は260 Pa〜4k Paの範囲が最も適正で、脱脂率
もほぼ100 %と高かった。
【0053】本発明において使用できる樹脂糸として
は、上述のような作用が発揮される限り特に制限ない
が、ナイロン系、ABS 樹脂系、ポリエステル、ポリスチ
レン等を例示できるが、好ましくはナイロン系、ABS 樹
脂系である。
【0054】本発明の別の態様の製造方法においては、
並列して連続した直線状の管から成るポアを生じさせる
ため、平均直径80〜140 μm の鋼線を例えば数十〜数百
本密に束ねて鋼線束とし、この鋼線束を複数本並列さ
せ、その周囲を金属粉末が囲むようにゴム型中に充填
し、次いでそのゴム型をCIP にて成形する。
【0055】成形圧力は、特に制限されないが、例えば
98M Pa未満では成形体強度が低く、また焼結後も巣が多
くなり実用的でない。一方、成形圧力が200 MPa 以上の
場合は、バックラッシュによる亀裂が成形体に生じやす
いので実用的でない。そのため成形圧力は98〜196 MPa
が適当であり、好ましくは120 〜180 MPa、より好まし
くは145 〜150 MPaである。
【0056】上述の態様の場合にも、CIP 成形において
は、金属粉末にバインダー (樹脂類) を混合する必要は
ないが、鋼線束の並列配合した混合物の成形後のバック
ラッシュ防止他、取扱い上所望により、0.5 〜2.5 wt%
の範囲でパラフィンワックスに代表される低分子樹脂を
混合してもよい。
【0057】本発明において使用できる鋼線は上述のよ
うな作用が発揮される限り特に制限ないが、通常、ピア
ノ線、硬鋼線、ステンレス鋼線等が使用できるが、好ま
しくはピアノ線である。
【0058】本発明にかかる製造方法においては、鋼粉
末混合物を成形する際添加するバインダとして樹脂を使
用する場合は、その樹脂は成形後粉末と粉末の間隙に存
在し、続く脱脂工程においてガス化するが、前述のよう
に一般の粉末冶金法の場合よりも粒子と粒子との間隙が
大きいので、ガス化した樹脂が抜けやすい。従って、本
発明の場合、樹脂を多量に添加してもフリーカーボンと
して残留したり、ガス化の堆積膨張による破損、亀裂発
生などは起きにくい。
【0059】また、樹脂糸を使用する場合、その量を調
整することによって、ポアの存在率を制御することが可
能である。成形体内部の樹脂糸の存在部分が、脱脂後、
管状の空孔となる。
【0060】さらに、鋼線束を使用する場合、焼結まえ
の鋼線間の隙間が焼結後に残ることとなる。そのため、
並列直線状の管体からなる空孔( ポア) が形成されるの
である。
【0061】所望により混合した樹脂の脱脂は、アルゴ
ンないし窒素ガスをキャリアガスとして流すことが有効
であった。その雰囲気圧力は260 Pa〜4000Paの範囲が最
も適正で、脱脂率もほぼ100 %と高かった。
【0062】圧粉成形手段、条件および焼結条件等は本
発明において特に制限されないが、好ましくはプレス成
形、CIP 成形によって圧粉密度50%以上、好ましくは、
65〜90%の圧粉体を成形し、次いでこれを通常の真空雰
囲気あるいは還元性ガス雰囲気下で焼結する。このと
き、粉末同士が完全に一体とならないような焼結条件を
選択するのが好ましい。
【0063】これらの条件を組み合わせて製作すれば、
連続したオープンポアを有する焼結体が得られることに
なる。本発明による成形体の焼結は、脱脂から焼結、冷
却まで一炉で処理することに特徴がある。すなわち、成
形終了した圧粉体を、大気にさらすことなく熱処理 (焼
入、焼戻し) ができるので、材料劣化を防止するだけで
なく、工程の短縮にもなる。
【0064】焼結保持温度は、金属材料の材質によって
異なるが、融点に対して75〜85%の温度、例えばSKH57
またはSKD 11の場合1050〜1150℃と、一般の粉末冶金法
による焼結温度に対し低温側の温度設定が望ましい。こ
れは、一般の焼結温度にて焼結すると、接触している金
属粉末間の相互拡散が活発に起こり、意識的に設けたポ
アが収縮してしまうことを防止するためである。
【0065】結晶保持に引き続き、処理温度をさらに0
〜100 ℃の範囲で上昇させ、一定時間保持した後、0.4
〜0.6MPaの圧力にアルゴンないし窒素ガスを導入、急冷
を行う。本発明にかかる金型素材は多孔質体であるた
め、通常の焼入方法、すなわち油冷、水冷を行うことが
できない。油または水がポアから合金内部へ侵入してし
まうためである。従って、ガス冷却が必要となる。
【0066】そこで、本発明の製造方法では焼結時の熱
エネルギーをそのまま利用できるよう、焼結からの直接
焼入を行うことが好ましい。さらに、冷却後一定温度以
下に保持後、再加熱をし、焼戻し処理を行う。
【0067】本方法によれば、処理物を大気にさらすこ
ともなく、材料劣化を最小限に抑えることができる。ま
た大幅な工程短縮ともなる。次に、本発明の作用効果に
ついて実施例に基づいてさらに具体的に詳述する。
【0068】
【実施例】
(実施例1)直径104 μm のナイロン糸を1平方センチ当
たり600 本、平均間隔40μmで並べ、これをCIP 成形用
のゴム型に入れ、さらに平均粒径10.8μm の金属粉末の
高速度工具鋼 (材質SKH51)粉末 (粒径10〜20μmのもの
が37.4重量%を占める粒径分布) をこのゴム型内に振動
充填し、密封した後、147MPaの圧力でCIP 成形した。圧
粉密度は90%であった。ナオロン糸の配合割合は横断面
で10面積%であった。
【0069】次にこの圧粉体を、660 Paの真空度に保っ
たN2ガス・フロー下にて1150℃で焼結、2時間の保持
後、0.5MPaの圧力を加え2℃/sの冷却速度で急冷した。
次いで、1.3 ×10-3Paの真空下150 ℃で1時間保持後、
550 ℃で焼戻しを行った後、炉から取り出した。
【0070】焼結・熱処理の終了した本例の処理物のマ
トリックス硬さはHV 400〜450(HRC41〜45) と、同一組
成の溶製法による市販品 (HV300)を大幅に上回り、抗折
強度は900MPaであった。
【0071】また、一方向に連続した管状ポアの平均径
は15μm 、存在率は11% (面積率)であり、このポアと
平行でない管状ポア、別の部分に存在する単独ポアなど
は、その存在が認められなかった。
【0072】この処理物を所定の大きさに加工、射出成
形用の金型に組込み、0.5 mm肉厚部を有するプラスチッ
ク射出成形を行ったところ、従来はソリ、曲がりの発生
した薄肉部分の変形を防止できた。また、市販のステン
レス鋼多孔質材で連続使用回数が4万ショットであった
が10万ショットにまでほぼ2.5 倍延長された。総使用回
数は従来のものが10回の手入れで40万ショットであった
が、本発明例では6回の手入れで60万ショットであっ
た。
【0073】また市販のステンレス鋼の多孔質材より
も、真空ポンプによるガス除去が行いやすく、射出成形
品の表面には、シワ、曇りなど欠陥は認められなかっ
た。従来は5cm毎に3mm程度の反りがみれらたのに、本
例では他の多孔質材の場合と同様、反りはみられなかっ
た。肌荒れも同様にみられなかった。
【0074】(実施例2)直径80μm のABS 樹脂糸を1平
方センチ当たり1500本、平均間隔25μmで並べ、これを
CIP 成形用のゴム型に入れ、さらに平均粒径9.9 μm の
金属粉末の冷間工具鋼 (材質SKD11)粉末 (平均粒径9.9
μm、粒径10〜20μmのものが34重量%) をこのゴム型
内に振動充填し、密封した後、196 MPa の圧力で、φ8
×120 mmの大きさにCIP 成形した。圧粉密度は87%で
あった。樹脂糸の配合割合は10.5面積%であった。
【0075】次に、この圧粉体を、660 Paの真空度に保
ったN2ガス・フロー下にて1150℃で焼結、2時間の保持
後、0.5MPaの圧力を加え2℃/sの冷却速度で急冷した。
次いで、1.3 ×10-3Paの真空下150 ℃で1時間保持後、
550 ℃で焼戻しを行った。
【0076】焼結・熱処理の終了した本例の処理物のマ
トリックス硬さはHV 400 (HRC 41)であり、抗折強度は
800MPa であった。また、ポアの平均径約10μm、存在
率は12% (面積率) であり、長手方向に管状に連続した
ものが得られた。
【0077】この処理物から、エジェクターピンを加工
製作して、射出成形金型に組込み、ピンを介してガス抜
きを行えるようにしたところ、従来のクリアランスを利
用する場合より効率良くガス抜きができ、さらにバリの
発生も抑えることができた。手入れまでの連続使用回数
が市販のステンレス鋼の多孔質体が4万ショットであっ
たのに対し、8万ショットと2倍に延長された。また、
総使用回数は8回の手入れで60万ショットであった。成
形品の品質は実施例1に同じであった。
【0078】(実施例3)直径80μm のピアノ線1500本を
1束として束ね、これを10束、1cm間隔で粉末中に分散
させ、これをCIP 成形用のゴム型に入れ、さらに平均粒
径9.6 μm の金属粉末の高速度工具鋼 (材質SKH57)粉末
(平均粒径 9.6μm、粒径10〜20μmが35.5重量%) を
このゴム型内に振動充填し、密封した後、196MPaの圧力
でCIP 成形した。圧粉密度は、65%であった。このとき
の鋼線配合比率は47面積%、孔存在率は5面積%であっ
た。
【0079】得られた圧粉体を、660 Paの真空度に保っ
たN2ガス・フロー下にて1150℃で焼結、2時間の保持
後、0.5MPaの圧力を加え2℃/sの冷却速度で急冷した。
次いで、1.3 ×10-3Paの真空下150 ℃で1時間保持して
から、550 ℃で焼戻しを行った後、炉から取り出した。
この間、処理物は一度も炉外に出ていない。
【0080】焼結・熱処理の終了した本例の処理物のマ
トリックス硬さはHV 400〜450(HRC41〜45) と、市販品
(HV300)を大幅に上回り、抗折強度は1010MPa であっ
た。また、一方向に直線状に連続した管状ポアの平均径
は10μm 、存在率は9% (面積率) であり、このポアと
平行でない管状ポア、別の部分に存在する単独ポアなど
は、その存在が認められなかった。なお、鋼線存在率は
72%であった。
【0081】この処理物を所定の大きさに加工、射出成
形用の金型に組込み、0.5 mm肉厚部を有するプラスチッ
ク射出成形を行ったところ、従来はソリ、曲がりの発生
した薄肉部分の変形を防止できた。手入れまでの連続使
用回数は従来のものが3万ショットであったのに対し、
9万ショットと3倍延長された。また総使用回数は従来
のものが9回の手入れで45万ショットであったが、本発
明例では7回の手入れで65万ショットであった。成形品
の品質は実施例1と同じであった。
【0082】また市販のステンレス鋼の多孔質材より
も、真空ポンプによるガス除去が行いやすく、その圧力
制御も安易に行えた。これにより、射出成形品の表面に
は、シワ、曇りなどの表面欠陥が認められなかった。
【0083】(実施例4)直径100 μm のピアノ線1000本
を1束とし、CIP ゴム型の中央において、さらに平均粒
径 9.9μm の金属粉末の冷間工具鋼 (材質SKD11)粉末
(平均粒径 9.9μm、粒径10〜20μmが34重量%) をこ
のゴム型内に振動充填し、密封した後、196 MPa の圧力
で、直径10mm×長さ120 mmの大きさにCIP 成形した。
圧粉密度は、70%であった。鋼線配合比率は49% (面積
率) であった。なお、このときの孔存在率は4面積%で
あった。
【0084】次に、この圧粉体を、660 Paの真空度に保
ったN2ガス・フロー下にて1150℃で焼結、2時間の保持
後、0.5MPaの圧力を加え2℃/sの冷却速度で急冷した。
【0085】次いで、1.3 ×10-3Paの真空下150 ℃で1
時間保持後、550 ℃で焼戻しを行った。
【0086】焼結・熱処理の終了した本例の処理物のマ
トリックス硬さはHV 400(HRC 41)であり、抗折強度は11
00MPa であった。また、ポアは平均径約15μm、存在率
は8% (面積率) であり、長手方向に直線的に管状に連
続したものが得られた。なお、鋼線の存在率は70面積%
であった。
【0087】この焼結品から、イジェクターピンを加工
製作、射出成形金型に組込み、ピンを介してガス抜きを
行えるようにしたところ、従来のクリアランスを利用す
る場合より効率良くガス抜きができ、さらにバリの発生
も抑えることができた。連続使用回数は従来のものが4
万ショットであったのに対し6万ショットと1.5 倍増加
した。また総使用回数は30万ショット (7回手入れ) が
50万ショット (8回手入れ) にまで増加した。成形品の
品質は実施例1に同じであった。
【0088】また、ポンプによるガス除去の圧力制御を
容易に行うことができ、射出成形体表面のシワ、曇りな
どを防止できた。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来、金型寿命が短く問題であって射出成形用の多孔質
金型素材として工具鋼を利用でき、通気性はもちろん、
硬度、強度のいずれにおいても従来の溶製品よりも優れ
たものが得られ、多孔質金型の寿命を飛躍的に伸ばすこ
とができるなど、実用上の大きな利益が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) 、(b) は、樹脂系との混合物から得た
圧粉体および焼結体をそれぞれ断面で示す略式説明図で
ある。
【図2】図2(a) 、(b) 、(c) は、鋼線の束と、その鋼
粉末との混合物の圧粉体および焼結体をそれぞれ断面で
示す略式説明図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 材質が工具鋼であり、機械的特性が抗折
    強度 500MPa 以上、硬度HRC 35以上の金型材であって、
    平均ポア直径が5〜20μm 、存在率が4〜15面積%であ
    るオープンポアを有し、かつポアが並列管状であって1
    の表面から反対側の表面にまで連続したポア構造を有す
    る金型用多孔質材。
  2. 【請求項2】 前記ポア構造が直線状の管であるポアを
    有する請求項1記載の射出成形用多孔質金型素材。
  3. 【請求項3】 工具鋼の組成を有し、平均粒径が7〜20
    μm かつ、粒径10〜20μm の鋼粉末の比率が鋼粉末全体
    に対し30〜40重量%である鋼粉末に、平均直径50〜120
    μm の樹脂製糸を並列配合し、得られた混合物を成形し
    て圧粉体とし、次いで該圧粉体を焼結することを特徴と
    する金型用多孔質材の製造方法。
  4. 【請求項4】 工具鋼の組成を有し、平均粒径が7〜20
    μm かつ、粒径10〜20μm の鋼粉末の比率が鋼粉末全体
    に対し30〜40重量%である鋼粉末に平均直径80〜140 μ
    m の鋼線を束ねて成る複数の鋼線束を並列配合し、得ら
    れた混合物を成形して圧粉体とし、次いで該圧粉体を焼
    結することを特徴とする金型用多孔質材の製造方法。
JP10860994A 1994-05-23 1994-05-23 金型用多孔質材およびその製造方法 Withdrawn JPH07314457A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7287975B2 (en) * 2003-06-12 2007-10-30 Towa Corporation Resin mold material and resin mold
WO2012124828A1 (ja) * 2011-03-17 2012-09-20 パナソニック株式会社 三次元形状造形物の製造方法および三次元形状造形物

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