JPH07328421A - 無機化合物微粒子、その製造方法およびその用途 - Google Patents

無機化合物微粒子、その製造方法およびその用途

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JPH07328421A
JPH07328421A JP14857594A JP14857594A JPH07328421A JP H07328421 A JPH07328421 A JP H07328421A JP 14857594 A JP14857594 A JP 14857594A JP 14857594 A JP14857594 A JP 14857594A JP H07328421 A JPH07328421 A JP H07328421A
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zinc
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compound fine
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Mitsuo Takeda
光生 武田
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 見る角度または光を受ける角度が変わること
によって色調が変化するという意匠効果と透明感とを有
し、近赤外線を効率良くカットする無機化合物微粒子を
得る。 【構成】 この無機化合物微粒子は、無機化合物を60
〜100重量%含み、外向きに突出する先端を有する薄
片部群を表面に有する。この微粒子は、たとえば、亜鉛
とモノカルボン酸と乳酸とが、少なくともアルコールか
らなる媒体中に溶解または分散されている混合物を準備
し、この混合物を100℃以上の温度に保持して混合物
中の亜鉛を析出させることにより作られる。この微粒子
を、バインダー成分と混合して塗料組成物とし、樹脂と
混合して樹脂組成物や樹脂成形品とし、パルプと混合し
て紙とし、または、その微粒子を含む化粧料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機化合物を主成分と
する微粒子、その製造方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】板状、鱗片状などの薄片形状を有する無
機化合物微粒子としては、酸化チタン微粒子(特開昭5
8−88121号公報)、酸化チタン被覆マイカ(特公
昭31ー9355号公報、特公昭33ー294号公報、
特開平2ー173060号公報)、および、薄片状酸化
亜鉛微粒子(特公昭55ー25133号公報、特開平6
ー80421号公報)が知られている。
【0003】これらの無機化合物微粒子は、付加価値を
高めるために、フィルム、繊維および樹脂板等を構成す
る樹脂組成物;フィルム、繊維、樹脂板、ガラスおよび
紙等に塗装される塗料;紙;および化粧品等に添加され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】生活様式の高度化に伴
う生活資材の外観の向上、省エネルギー化、快適さの向
上などのために、フィルム、繊維、樹脂板等を構成する
樹脂組成物;フィルム、繊維、樹脂板、ガラス、紙等に
塗装される塗料;紙;化粧品等に添加される無機化合物
微粒子には、次の特性が要求される。 (1)見る角度または光を受ける角度が変わることによ
って色調が変化するという意匠効果と透明感とを有する
ことによる美観性。 (2)省エネルギー化、快適さの追求の観点から、熱
線、特に近赤外線を効率良くカットする性能。
【0005】さらに、人体、特に毛髪,目,肌の保護、
樹脂製品の劣化防止などのためには、上記(1)と
(2)の特性と下記(3)の特性を有する無機化合物微
粒子が要求される。 (3)太陽光や蛍光灯から放射される電磁波に含まれ、
人体にとって有害であり樹脂製品等の劣化を引き起こす
原因となる紫外線を効率良くカットする性能。無機化合
物微粒子からなる紫外線遮断剤は、有機系紫外線吸収剤
に比べて毒性が低い、耐熱性や経時安定性に優れる等の
点で優れており、透明性を向上させる目的でTiO2
ZnOにおいて超微粒子化や薄片化することが行われて
いる。
【0006】超微粒子状または薄片状酸化チタン微粒子
は、紫外線カット効果を有し、白色顔料であるチタン白
に比べて可視光の透過性に優れているが、上記意匠効果
を持たない。酸化チタン被覆マイカは、真珠光沢を有
し、熱線および紫外線の透過を防ぐことができるが、透
明感がないため、上記美観性の点で劣っている。
【0007】超微粒子状または薄片状酸化亜鉛微粒子
は、可視光域において透明性を有し、酸化チタン微粒子
に比べて、紫外線のカット波長領域が長波長側まで広
く、かつ、紫外線カット効果が長期にわたって持続す
る。しかし、酸化亜鉛微粒子は、上記意匠効果を持たな
いし、熱線を透過する。本発明の目的は、従来にないユ
ニークな微粒子の幾何学的特性に基づき、異常な光の透
過特性を有する無機化合物微粒子を提供することであ
る。
【0008】本発明の別の目的は、そのような無機化合
物微粒子を生産性良く作ることができる製造方法を提供
することである。本発明のさらに別の目的は、微粒子の
異常な光の透過特性に基づく色調またはファッション
性、透明感を損なわない性質および近赤外線遮蔽性を有
する、塗料組成物、塗装品、樹脂組成物、樹脂成形品、
紙、化粧品を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の無機化合物微粒
子は、無機化合物を60〜100重量%含み、表面に外
向きに突出する先端を有する薄片部群を有する。本発明
の無機化合物微粒子の製造方法は、亜鉛およびモノカル
ボン酸が少なくともアルコールからなる媒体中に溶解ま
たは分散されている混合物(m)を100℃以上の温度
に保持し、かつ、乳酸を共存させることにより、酸化亜
鉛を60〜100重量%含み、表面に外向きに突出する
先端を有する薄片状酸化亜鉛結晶群を有する無機化合物
微粒子を析出させるものである。
【0010】本発明の塗料組成物は、本発明の無機化合
物微粒子と、無機化合物微粒子を結合する被膜を形成し
うるバインダー成分(またはマトリックス成分)とを含
む。無機化合物微粒子とバインダー成分の量は、これら
両者の固形分合計重量に対して、無機化合物微粒子0.
1〜99重量%、バインダー成分1〜99.9重量%の
割合である。
【0011】本発明の塗装品は、樹脂成形品、ガラスお
よび紙からなる群から選ばれる1つの基材と、前記基材
表面に形成された塗膜とを備えている。前記塗膜は、本
発明の無機化合物微粒子と、前記無機化合物微粒子を結
合するバインダー成分とを、これら両者の合計重量に対
して、前記無機化合物微粒子0.1〜99重量%、前記
バインダー成分1〜99.9重量%の割合で含む。樹脂
成形品は、たとえば、板、シート、フィルムおよび繊維
からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0012】本発明の樹脂組成物は、本発明の無機化合
物微粒子と、無機化合物微粒子が分散された連続相を形
成しうる樹脂(またはマトリックス樹脂)とを含む。無
機化合物微粒子と樹脂の量は、これら両者の固形分合計
重量に対して、無機化合物微粒子0.1〜99重量%、
樹脂1〜99.9重量%の割合である。本発明の樹脂成
形品は、本発明の樹脂組成物を、板、シート、フィルム
および繊維からなる群から選ばれる形状に成形したもの
である。
【0013】本発明の紙は、抄造されたパルプと、パル
プ中に分散された本発明の無機化合物微粒子とを備えて
いる。無機化合物微粒子の量は、パルプに対して0.0
1〜50重量%である。本発明の化粧料は、微粒子を構
成する無機化合物が、酸化亜鉛、酸化チタンおよび酸化
セリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである
本発明の無機化合物微粒子を0.1重量%以上含有す
る。無機化合物は好ましくは酸化亜鉛である。無機化合
物微粒子の量は、通常、化粧料の固形分の合計重量に対
して0.1〜50重量%である。
【0014】本発明の無機化合物微粒子の形状および大
きさは特に限定されない。本発明の無機化合物微粒子の
形状は、特に限定はなく、たとえば、球状、亜球状、円
筒状、円柱状、六角柱状、紡錘状、四角錐状(ピラミッ
ド状)、立方体状などである。無機化合物微粒子が球状
および亜球状から選ばれる少なくとも1つの形状を有す
るときには、塗料や樹脂に配合する際などに、分散し易
く、また、機械的シェアによって破砕されにくい。球状
とは、微粒子が全体的に丸みを帯びた形状を持ってお
り、しかも、長短度(長径(L)/短径(B))が1.
0以上、1.2未満の範囲にあるものと定義される。亜
球状とは、微粒子が全体的に丸みを帯びた形状を持って
おり、しかも、長短度(L/B)が1.2以上、5.0
以下の範囲にあるものと定義される。微粒子が、5.0
よりも大きいの長短度(L/B)を有するときには、樹
脂に分散しにくいか、または、機械的シェアにより破砕
されやすいことがある。長径(L)は、無機化合物微粒
子について測定された三軸径のうちの最長の長さであ
り、短径(B)は、その三軸径のうちの幅および高さの
うちの大きくない方である。
【0015】本発明の無機化合物微粒子は、長径(L)
基準で、たとえば数平均粒子径0.1〜10μmおよび
粒子径の変動係数30%以下、特に数平均粒子径0.1
〜10μmおよび粒子径の変動係数10%以下であると
きには実用上有用である。数平均粒子径が前記範囲を下
回ると前記した意匠効果、美観性が発揮されない場合が
あり、前記範囲を上回ると該微粒子を塗料化したときに
分散安定性が悪くなるおそれがある。粒子径の変動係数
が前記範囲を上回ると微粒子の分散性が低下する場合が
ある。
【0016】本発明の無機化合物微粒子は、中空であっ
てもよい。微粒子が中空であるときには、異常な光散乱
透過特性がより顕著になって透過光のフィルター機能が
より高くなる。中空部を有するか、および/または、薄
片部間に細孔を有する無機化合物微粒子は、組成物とし
たときのマトリックス成分やマトリックス樹脂との結着
性がさらに高まり、また、多孔質微粒子またはマイクロ
カプセルとしての機能、たとえば、吸油能、吸湿能、有
害金属イオンの吸着能、有毒ガス・悪臭などの吸収能な
どの吸着分離、除去、捕集機能;断熱性、遮音性等の熱
や音の遮蔽機能(断熱フィラー、遮音フィラー);金属
イオン、酵素・菌固定等の固定化機能(触媒担体、クロ
マトグラフィー充填剤など);軽量性;内部に保持した
液体、香料などの徐放機能を持つようになる。
【0017】本発明の無機化合物微粒子は、無機化合物
を60〜100重量%含む。無機化合物は、特に限定さ
れないが、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性などの化学
的安定性、機械的強度等に優れるという理由から、金属
の、酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物および硫化物か
らなる群から選ばれる少なくとも1つの金属化合物であ
ることが好ましい。中でも、酸化物、水酸化物、炭化
物、窒化物は、機械的堅牢性、耐熱性に優れるため、さ
らに好ましい。
【0018】本発明の無機化合物微粒子を構成する無機
化合物は、金属酸化物の、結晶および/または非晶質で
あってもよい。無機化合物は、より好ましくは、金属の
単独酸化物と、金属の単独水酸化物と、少なくとも2つ
の金属の複合酸化物と、少なくとも2つの金属の複合水
酸化物とからなる群から選ばれる少なくとも1つであ
る。これは、機械的堅牢性、耐熱性に特に優れ、しか
も、安価に製造することができるという理由による。
【0019】好ましい金属は、チタン、ジルコニウム、
バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、
タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜
鉛、カドミウム、水銀、ランタン、セリウム、ベリリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ガリウ
ム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ア
ンチモン、ビスマス、セレンおよびテルルからなる群か
ら選ばれる少なくとも1つである。これらの金属は、比
較的安価な材質であり、しかも、その酸化物および水酸
化物は安定な化合物として経時安定性に優れるからであ
る。
【0020】本発明の無機化合物微粒子を構成する無機
化合物としては、チタン、アルミニウム、ジルコニウ
ム、ケイ素、亜鉛およびセリウムからなる群から選ばれ
る少なくとも1つの金属の、酸化物および/または水酸
化物が好ましい。該酸化物は単独酸化物でも複合酸化物
でもよく、該水酸化物は単独水酸化物でも複合水酸化物
でもよい。これらの金属の、酸化物および/または水酸
化物は、化学的、熱的安定性に優れ、特に原料が安価に
供給されるという点で有利である。より好ましい酸化物
および/または水酸化物は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸
化セリウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンおよび水酸化セ
リウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである。
この酸化物および/または水酸化物は、優れた紫外線遮
蔽能を有するという点からは、結晶であることが好まし
い。さらに好ましい酸化物は酸化亜鉛である。酸化亜鉛
は、可視光の透過性に優れ着色がなく、紫外線の吸収波
長が広いため紫外線を効率良くカットでき、毒性が低い
という点からは、結晶であることが好ましい。
【0021】本発明の無機化合物微粒子は、無機化合物
の量が上述した範囲内であれば、シラン系、アルミニウ
ム系、ジルコニウム系、チタン系等のカップリング剤ま
たはオルガノシロキサン、キレート化合物等の有機金属
化合物が無機化合物の表面に結合または表面に被覆層を
形成していたり、あるいは、ハロゲン元素、硫酸根、硝
酸根等の無機酸根、または脂肪酸根、アルコール残基、
アミン残基等の有機化合物が微粒子内部および/または
表面に含有されていたりしてもよい。
【0022】本発明の無機化合物微粒子を構成する無機
化合物が酸化亜鉛である場合には、該微粒子は、亜鉛原
子と酸素原子を必須成分としZnOとして60〜100
重量%、好ましくは80〜100重量%含む。酸化亜鉛
の量が前記範囲を下回ると微粒子の機械的強度が低下す
るという問題がある。酸化亜鉛は、通常、六方晶(ウル
ツ鉱型構造)、立方晶(食塩型構造)、立方晶面心構造
いずれかのX線回折パターンを示す。従って、亜鉛原子
と酸素原子の量が上述した範囲内であれば、アルカリ金
属、アルカリ土類金属等の亜鉛以外の金属元素が原子ま
たはイオンとして酸化亜鉛結晶と複合化している微粒
子、亜鉛以外の金属元素の酸化物、水酸化物、硫化物、
窒化物、炭化物、炭酸塩等の無機化合物が酸化亜鉛結晶
中に固溶している微粒子、シラン系、アルミニウム系、
ジルコニウム系、チタン系等のカップリング剤またはオ
ルガノシロキサン、キレート化合物等の有機金属化合物
が、酸化亜鉛結晶の表面に結合または表面に被覆層を形
成してなる微粒子、ハロゲン元素、硫酸根、硝酸根等の
無機酸根、または脂肪酸根、アルコール残基、アミン残
基等の有機化合物が、微粒子内部および/または表面に
含有されている粒子等も本発明の無機化合物微粒子に包
含される。
【0023】本発明の無機化合物微粒子は、表面に外向
きの先端を有する薄片部群を有する。薄片部群を構成す
る薄片部は、主成分が上記のように無機化合物であり、
先端が微粒子の外側に向いているのであれば、他端にお
いて、ばらばらになったり凝集力により密着したりして
いてもよく、主成分が上記のように無機化合物である部
分で互いにつながっていてもよく、特に制限はないが、
無機化合物を主成分とする薄片部が積層および/または
放射状に集合している場合に前記した異常な光の透過特
性が顕著に現れ、そのために意匠効果、美観付与効果が
高くなる点で好ましい。
【0024】薄片部群を構成する薄片部は、偏平であ
り、たとえば2〜200、好ましくは4〜100の範囲
の偏平度〔長径(l)/厚み(t)〕を有する。偏平度
(l/t)が前記範囲よりも小さいと薄片形状に基づく
特性のうち、光のフィルター機能が低下するおそれがあ
り、前記範囲よりも大きいと薄片部の機械的強度が低下
するおそれがある。薄片部群を構成する薄片部は、本発
明の微粒子が工業的に有用であるという点からは、長径
(l)が5〜1000nmの範囲にあることが好まし
く、50〜400nmの範囲にあることがより好まし
い。前記範囲を下回ると薄片形状に基づく特性のうち、
光のフィルター機能が低下するおそれがあり、前記範囲
を上回ると薄片部の機械的強度が低下するおそれがあ
る。薄片部は、また、厚み(t)が1〜100nmの範
囲にあることが好ましく、2〜50nmの範囲にあるこ
とがより好ましい。前記範囲を下回ると薄片部が機械的
に破砕され易くなるおそれがあり、上回ると可視光透過
性が低下するおそれがある。長径(l)および厚み
(t)は、それぞれ、薄片部について測定された三軸径
のうちの長さと高さである。
【0025】本発明の無機化合物微粒子は、無機化合物
を60〜100重量%含み、表面に外向きの先端を有す
る薄片部群を有するので、従来の無機化合物微粒子が持
たなかった次の特性を有する。 (a)異常な光散乱・透過特性(透過光のフィルター機
能)を有する。このため、美しい色彩を放つ意匠性(フ
ァッション性)フィラーとして有用である。 (b)可視域に於ける拡散透過率を低下させずに近赤外
領域の電磁波を遮断する。このため、透明感のある赤外
線カット用フィラーとして有用である。 (c)表面凹凸に富む。
【0026】本発明の無機化合物微粒子は、全部の粒子
が同様の形状を持ち、上記範囲の粒子径の変動係数を有
することが好ましい。このような微粒子が内部に分散さ
れたフィルムは、個々の微粒子がフィルム表面に突出す
ることにより微細な表面凹凸を付与することができ、し
かも、微粒子の粒子径と形状が比較的揃っていることか
らフィルム中で微粒子が凝集せずに分散しているので、
前記微粒子の突出が比較的大きさの揃ったものとなるた
め表面凹凸が均一になり、その上、表面平坦性を損なわ
ずに滑り性あるいはアンチブロッキング性を付与するこ
とができる。本発明の無機化合物微粒子をこのような目
的で使用した場合、微粒子表面が凹凸に富む為にアンカ
ー効果によりマトリックス樹脂(フィルム)またはバイ
ンダー成分(塗膜)との結着力が優れる。このため、従
来の滑らかな表面を有する球状微粒子で問題とされた粒
子の脱落が解消される。
【0027】本発明の無機化合物微粒子は、無機化合物
として酸化亜鉛、酸化チタンおよび酸化セリウムからな
る群から選ばれる少なくとも1つの酸化物結晶を60〜
100重量%含むときには、上記(a)〜(c)の特性
と下記(d)の特性も有する。 (d)紫外線遮蔽能に優れる。
【0028】本発明の無機化合物微粒子は、無機化合物
として酸化亜鉛を60〜100重量%含むときには、上
記(a)〜(d)の特性と下記(e)と(f)の特性も
有する。 (e)光半導体である。 (f)抗菌性と防かび能を有する。
【0029】本発明の微粒子は、耐熱性に優れるため、
成形温度の高い樹脂例えばポリエステルやポリカーボネ
ート等に配合できることは勿論、ガラス等に無機系バイ
ンダーを用いて該微粒子を含有する膜を製膜した後、高
温で加熱することも可能であり、熱的にも用途制限のな
い微粒子である。本発明の無機化合物微粒子を製造する
方法は特に限定されない。
【0030】本発明の無機化合物微粒子が無機化合物と
して酸化亜鉛を含む場合には、本発明の製造方法により
生産性良く作られる。本発明の製造方法によれば、亜鉛
およびモノカルボン酸が少なくともアルコールからなる
媒体中に溶解または分散されている混合物(m)を10
0℃以上の温度に保持し、かつ、乳酸を共存させること
により、酸化亜鉛を60〜100重量%含み、表面に外
向きに突出する先端を有する薄片状酸化亜鉛結晶群を有
する無機化合物微粒子を析出させる。
【0031】本発明に使用される亜鉛は、金属亜鉛およ
び亜鉛化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの
亜鉛源から供給される。亜鉛源は特に限定されないが、
金属亜鉛(亜鉛末)、酸化亜鉛(亜鉛華等)、水酸化亜
鉛、塩基性炭酸亜鉛、置換基があってもよいモノ−また
はジ−カルボン酸塩(たとえば、酢酸亜鉛、オクチル酸
亜鉛、ステアリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛 乳酸亜鉛、酒
石酸亜鉛およびナフテン酸亜鉛)からなる群から選ばれ
る少なくとも1つが好ましい。これらの亜鉛源を用いる
ときには脱塩工程が不要となり、脱塩工程が必要な塩化
亜鉛、硝酸亜鉛または硫酸亜鉛を使用するときに比べて
工程が少なくなる。
【0032】中でも、金属亜鉛(亜鉛末)、酸化亜鉛
(亜鉛華)、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛および酢酸亜
鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つの亜鉛源は、
安価で取扱いが容易な点で好ましい。酸化亜鉛、水酸化
亜鉛および酢酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも
1つの亜鉛源は、加熱過程に於ける酸化亜鉛の薄片状結
晶の生成反応を阻害するような不純物を実質的に含ま
ず、しかも、結晶と微粒子との大きさと形状を制御しや
すいので、さらに好ましい。
【0033】酸化亜鉛および/または水酸化亜鉛は安価
に入手できるばかりかモノカルボン酸の種類を任意に選
択できることに加えて、これらの原料を用いることによ
り薄片状結晶の三軸径および微粒子の粒子径等の制御さ
れた微粒子が特に得られ易いので、特に好ましい。亜鉛
源の量は、亜鉛源、モノカルボン酸および前記媒体の合
計量に対して、ZnO換算で、たとえば0.1〜95重
量%、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは
1〜30重量%である。前記範囲を下回ると生産性が低
くなるおそれがあり、上回ると微粒子同士の2次凝集が
起こり易くなり、分散性が良く粒度分布の揃った微粒子
が得にくくなるおそれがある。
【0034】本発明に使用されるモノカルボン酸は、分
子内にカルボキシル基を1個だけ有する化合物である。
該化合物の具体例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ
酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸(飽
和モノカルボン酸);アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、オレイン酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸(不
飽和モノカルボン酸);シクロヘキサンカルボン酸等の
環式飽和モノカルボン酸類;安息香酸、フェニル酢酸、
トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸;無水酢酸等の上
記モノカルボン酸無水物;トリフルオロ酢酸、モノクロ
ル酢酸、o−クロロ安息香酸等のハロゲン含有モノカル
ボン酸などである。これらの化合物のうちのいずれかが
単独で使用されたり、2以上の化合物が併用される。
【0035】好ましいモノカルボン酸は、1気圧で20
0℃以下の沸点を有する飽和脂肪酸である。具体的に
は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸が好ま
しい。その理由は、混合物の調製過程から加熱する過程
において反応系内に於けるモノカルボン酸の含有量を制
御し易く、従って酸化亜鉛結晶の析出反応を厳密に制御
し易いからである。該飽和脂肪酸は、モノカルボン酸総
量に対して、60〜100モル%の範囲で使用すること
が好ましく、80〜100モル%の範囲で使用すること
がより好ましい。前記範囲を下回ると得られる微粒子に
おける酸化亜鉛の結晶性が低くなるおそれがある。
【0036】モノカルボン酸としては、酢酸亜鉛等の亜
鉛のモノカルボン酸塩も含まれ、該亜鉛塩を使用する場
合は、原料として必ずしも前記モノカルボン酸を別途添
加する必要はない。混合物(m)を得るためのモノカル
ボン酸の使用(または仕込み)量は、亜鉛源のZn原子
の量に対するモル比で、たとえば0.5〜50、好まし
くは2.2〜10である。前記範囲内であると経済性、
微粒子の生成し易さ、凝集しにくく分散性に優れる微粒
子の得られ易さ等の点で好ましい。前記範囲を下回ると
結晶性の良い酸化亜鉛微粒子や形状および粒子径等の均
一性に富む微粒子が得られにくいおそれがあり、上回る
と経済性の低下につながるばかりか、分散性の良い微粒
子が得られにくいことがある。
【0037】本発明に用いられるアルコールは、脂肪族
1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコー
ル、ステアリルアルコール等)、脂肪族不飽和1価アル
コール(アリルアルコール、クロチルアルコール、プロ
パギルアルコール等)、脂環式1価アルコール(シクロ
ペンタノール、シクロヘキサノール等)、芳香族1価ア
ルコール(ベンジルアルコール、シンナミルアルコー
ル、メチルフェニルカルビノール等)、複素環式1価ア
ルコール(フルフリルアルコール等)等の1価アルコー
ル類;アルキレングリコール(エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,
10−デカンジオール、ピナコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール等)、芳香環を有する脂
肪族グリコール類(ヒドロベンゾイン、ベンズピナコー
ル、フタリルアルコール等)、脂環式グリコール類(シ
クロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−
1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール
等)、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール等)等のグリコ
ール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノア
セテート等の上記グリコール類のモノエーテル及びモノ
エステル;ヒドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオー
ル及びこれらのモノエーテル及びモノエステル;グリセ
リン等の3価アルコール及びこれらのモノエーテル、モ
ノエステル、ジエーテル及びジエステルなどである。こ
れらのアルコールのうちのいずれか1つを単独で使用し
ても良く、あるいは、2以上を併用してもよい。
【0038】少なくともアルコールからなる媒体におけ
るアルコールの量は、特に限定されないが、酸化亜鉛微
粒子生成反応を短時間で行わせる為には、亜鉛源に由来
するZn原子に対するアルコールのモル比で、たとえば
1〜100、好ましくは5〜80、より好ましくは10
〜50である。前記範囲を下回ると結晶性の良い酸化亜
鉛微粒子が得られにくく、または、分散性、形状・粒子
径の均一性において優れる微粒子が得られにくくなるお
それがあり、上回ると経済的に不利であるおそれがあ
る。
【0039】前記媒体は、上記アルコールのみからなる
媒体、上記アルコールと水との混合溶媒、上記アルコー
ルと、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、エー
テル類等の、アルコール以外の有機溶剤との混合溶媒な
どであり、上記アルコールと他の溶媒との比率は、混合
物(m)を調製するために使用した仕込み(使用)料換
算で、アルコール5〜100重量%、好ましくは40〜
100重量%、より好ましくは60〜100重量%であ
る。アルコールの量が前記範囲を下回ると結晶性、形状
・粒子径の均一性、分散性において良好な微粒子が得に
くくなるおそれがある。
【0040】本発明に用いられる乳酸源は、乳酸;乳酸
アンモニウム、乳酸ナトリウム、乳酸リチウム、乳酸カ
ルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸亜鉛、乳酸アルミニ
ウム、乳酸マンガン、乳酸鉄、乳酸ニッケル、乳酸銀等
の金属乳酸塩;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチ
ル等の、加水分解などにより乳酸を生成しうる乳酸エス
テル化合物などであり、いずれか1つを単独で使用して
も良く、あるいは、2以上を併用してもよい。
【0041】使用される乳酸源の量は特に限定されない
が、混合物(m)中の亜鉛に対するモル比で、たとえば
0.001〜0.4の範囲で行われる。前記範囲を下回
ると乳酸の共存効果が不充分であるために薄片状酸化亜
鉛結晶が得られず、一方上記範囲を超えると酸化亜鉛結
晶の析出反応が起こり難くなるため目的とする微粒子が
得られにくい。粒子形状の揃った微粒子を得るために
は、亜鉛に対する乳酸のモル比は0.001〜0.2の
範囲が好ましく、粒子径が揃っていて分散性のよい微粒
子を得るためには、亜鉛に対する乳酸のモル比は0.0
01〜0.1が好ましい。
【0042】本発明の製造方法は、下記の工程I〜III
を必須工程として有し、かつ、工程I、工程IIおよび工
程III からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程に
おいて乳酸源を添加するものである。 (I)亜鉛源とモノカルボン酸とからなる混合物(n)
を作る工程。 (II)混合物(n)を少なくともアルコールからなる媒
体と混合することにより、亜鉛およびモノカルボン酸が
少なくともアルコールからなる媒体中に溶解または分散
されている混合物(m)を作る工程。
【0043】(III)混合物(m)を100℃以上の温度
に保持することにより、酸化亜鉛を60〜100重量%
含み、表面に外向きに突出する先端を有する薄片状酸化
亜鉛結晶群を有する無機化合物微粒子を析出させる工
程。 本発明の製造方法では、工程Iが、亜鉛源をモノカルボ
ン酸と水との混合溶媒に溶解する工程を有することが好
ましい。この工程により、溶液状の混合物(n)が得ら
れる。
【0044】本発明の製造方法では、工程IIが、100
℃以上の温度に保持された少なくともアルコールからな
る媒体に混合物(n)を添加して混合する工程を有する
ことが好ましい。この工程により、混合物(m)が作ら
れる。前記亜鉛源とモノカルボン酸とからなる混合物
(n)を少なくともアルコールからなる媒体に添加する
場合、混合物(n)が溶液であることが好ましい。混合
物(n)が溶液である場合、亜鉛源とモノカルボン酸と
が相溶しているか、あるいは、これらとの相溶性の高い
溶媒に溶解していることが望ましい。そのために使用す
る溶媒としては、亜鉛源及びモノカルボン酸を室温〜1
00℃程度までの温度で容易に溶解することができ、し
かも、前記媒体とも相溶性の高い点で、水、アルコール
類、ケトン類、エステル類が好ましい。ここでいうアル
コール類とは、前記したアルコールを全て包含する。
【0045】混合物(n)の添加混合は、常圧、加圧又
は減圧いずれで行ってもよいが、製造コスト的に常圧で
行うことが好ましい。添加混合を常圧下で行う場合に
は、粒子径、形状等に於いて均一性に富み、しかも分散
性に優れる微粒子の分散体を得たいときには、添加混合
中に少なくともアルコールからなる媒体を60℃以上の
温度、特に100℃以上300℃以下に維持しておくこ
とが好ましい。添加混合する際の前記媒体の温度が60
℃未満では、添加混合中又は添加混合後に混合物(m)
の粘度が急激に高まり、ゲル状になることがある。この
ような場合、攪拌が不能になり均一な混合が達成されな
いとか、あるいは次の工程すなわち加熱を行う際に伝熱
が不十分となって温度分布ができる等の問題を誘発し、
結晶性、粒子径、粒子形状等に於いて均一な微粒子が得
られ難い。このような問題は、混合物(m)に於ける亜
鉛濃度とも関連し亜鉛濃度が高い場合ほど起こり易い。
従って、これらの最適温度の下限温度は、系の圧力に応
じて異なり、減圧下あるいは加圧下で行う場合は、圧力
に応じて前記媒体の温度を適宜選択する必要がある。前
記媒体を上記範囲内の温度に維持しながら混合物(n)
を添加した場合等に、モノカルボン酸の一部及び/又は
アルコールの一部が蒸発に依って系外に留去されてもよ
い。
【0046】混合物(n)の前記媒体への添加方法とし
ては、例えば、混合物(n)を一挙に前記媒体に添加混
合する方法、混合物(n)を前記媒体に滴下することに
より混合する方法、あるいは混合物(n)を前記媒体に
噴霧する方法等が採用し得る。中でも混合物(n)を前
記媒体上または中に連続的または間欠的に滴下する方法
が、生産性高く分散性に優れる微粒子を得易い点で好ま
しい。
【0047】上記のようにして調製された混合物(n)
は、たとえば60℃以上、好ましくは100℃以上30
0℃未満の温度に加熱維持された前記媒体に添加混合す
ることにより、混合物(m)が得られる。混合物(n)
を前記媒体に添加することによって混合物(m)を得る
際、混合物(n)および/または(m)中の揮発成分
(モノカルボン酸、アルコール、水など)の一部を留去
しながら添加(滴下など)することが好ましく採用され
る。
【0048】前記媒体は、混合物(n)が添加混合され
るときには、均一な混合物を得るために攪拌されている
ことが特に好ましい。本発明の製造方法では、乳酸源の
添加時期は、薄片状酸化亜鉛結晶群を含む微粒子が生成
する前の段階であれば、上記いずれの工程でもよい。た
だし、乳酸源として金属乳酸塩を用いる場合には、工程
Iにおいて、亜鉛源と共に、あるいは、亜鉛源として
(乳酸亜鉛を用いる場合)、混合物(n)中に添加し、
溶解するのが好ましい。これは、粒子形状、粒子径の均
一な微粒子が得られやすいからである。
【0049】乳酸源の添加は、たとえば、次のとおりで
ある。乳酸(CH3 CH(OH)COOH)および/ま
たは乳酸エステルを使用する場合には、上記工程I〜II
I の任意の時期でよく、直接添加する方法、または、溶
媒(たとえばアルコール)に溶解した溶液を添加する方
法などが採用できる。後者の添加方法は、乳酸が速やか
に拡散し易いので、特に工程III で乳酸源を添加する場
合には好ましい。金属乳酸塩を使用する場合には、上記
工程I〜III の任意の時期でよく、好ましくは工程Iに
おいて亜鉛源と共にまたは亜鉛源として混合物(n)中
に溶解する。たとえば、亜鉛源粉末と金属乳酸塩粉末
を、モノカルボン酸を含有する溶液に添加混合し、攪拌
することにより、均一溶液を調製する。この際、各粉末
の溶解速度、溶解度を高めるために加熱しながら攪拌す
ることは、短時間で且つ高濃度溶液を得ることができる
点で好ましく採用される。
【0050】混合物(m)は、亜鉛とモノカルボン酸と
アルコールとの3成分を必須成分として混合されて得ら
れるものであればよく、薄片状酸化亜鉛結晶群を含む微
粒子が生成する前の段階において乳酸源が添加され、必
要に応じて、該3成分以外の成分、例えば、水;ケトン
類、エステル類、(シクロ)パラフィン類、エーテル
類、芳香族化合物等の有機溶剤;後述する添加剤等の成
分;亜鉛以外の金属成分(例えば金属の酢酸塩、硝酸
塩、塩化物等の無機塩や金属アルコキシド等の有機金属
アルコキシド)等を含んでいてもよい。水及び有機溶剤
は、通常溶媒成分として含有される。
【0051】混合物(m)の状態は特に限定されず、例
えば、溶液、ゾル、乳化物、懸濁物等であってもよい。
上述のごとくして得られた混合物(m)を100℃以
上、好ましくは100〜300℃、より好ましくは15
0〜200℃の範囲内の温度で0.1〜30時間、好ま
しくは0.5〜10時間、より好ましくは0.5〜5時
間維持することにより、原料の種類や組成比に応じた本
発明の無機化合物微粒子が実用的な生産性で得られる。
すなわち、前記媒体中に溶解または分散された亜鉛は、
混合物(m)が上記範囲内の温度で上記範囲内の時間維
持されることにより、X線回折学的に結晶性の酸化亜鉛
に転換される。前記媒体中には、乳酸も溶解または分散
されているので、酸化亜鉛結晶が異方成長することによ
って薄片状酸化亜鉛結晶を生成し、これらの薄片状酸化
亜鉛結晶が先端を外向きにして群集した表面を有する無
機化合物微粒子を含む分散体が得られる。乳酸の亜鉛に
対するモル比が0.001〜0.4の範囲であるときに
は、生成する薄片状酸化亜鉛結晶は、薄片部群が2〜2
00の偏平度を有する薄片部からなる薄片部群を有して
おり、その薄片部が5〜1000nmの長径を有する。
【0052】混合物(m)中における各成分の存在形態
は、特に限定されない。上記の反応過程に於いて、上記
媒体中に溶解または分散した亜鉛が、薄片状酸化亜鉛結
晶に転換される過程において、1つ又は複数の酸化亜鉛
前駆体を経る場合がある。例えば亜鉛又はその化合物
に、酸化亜鉛等を使用した場合が挙げられる。該酸化亜
鉛前駆体としては、酸化亜鉛以外の少なくとも亜鉛原子
を含むイオン又は化合物の状態を意味し、例えば亜鉛
(水和物)イオン(Zn2+)、亜鉛の多核水酸化物イオ
ン、(塩基性)酢酸亜鉛、(塩基性)サリチル酸亜鉛、
(塩基性)乳酸亜鉛等の(塩基性)カルボン酸塩等とし
て存在する場合等が挙げられる。該前駆体としてその一
部又は全部が、モノカルボン酸及び/又はアルコールと
の錯塩等複合組成物として存在する場合も含まれる。
【0053】混合物(m)の温度を前記範囲に設定する
ことは、酸化亜鉛微粒子を得るために、過剰又は不要と
なる成分の蒸発除去の速度・量を含めた反応系の組成制
御を厳密に行い易く、そのために得られる微粒子の粒子
径等の制御を行い易い利点がある。例えば、混合物
(n)を100℃以上の前記媒体に添加混合することに
より100℃以上の混合物(m)を得たときは、そのま
ま、その温度を維持してもよく、あるいは100℃以上
に昇温又は降温した後、加熱してもよく、また、混合物
(n)を100℃未満の前記媒体に添加混合することに
より混合物(m)を得たときは、100℃以上に昇温す
ればよい。
【0054】混合物(m)中の亜鉛が微粒子に変換され
る過程において、混合物(m)中のモノカルボン酸は変
化しないか、あるいは、その一部又は全部が混合物
(m)中のアルコールの一部又は全部とエステル化反応
を起こし、エステル化合物を生成する。前記分散体を得
るための過程に於いて、アルコール、加熱により生成す
る前記エステル化合物又は必要に応じて混合物中に存在
せしめた溶媒の一部又は全部を蒸発除去しても構わな
い。
【0055】混合物(m)が水を含む場合には、得られ
た分散体に於ける遊離の水の量が、好ましくは5重量%
以下、さらに好ましくは1重量%以下になるまで留去を
行うことが好ましい。水の量が前記範囲を越えると、前
記分散体中に含有されるアルコール等他の成分の種類に
よっては、微粒子中の酸化亜鉛結晶の結晶性が低くなり
酸化亜鉛としての機能が十分発揮されない場合がある。
【0056】生成した微粒子分散体中に於ける最終組成
として、前記モノカルボン酸の量は、生成した該分散体
中に含有される亜鉛原子換算での総量に対して、0.5
倍モル以下とすることが好ましい。その理由は、0.5
倍モルを越える場合には、酸化亜鉛微粒子の結晶性が低
くなり酸化亜鉛としての機能が十分発揮されない場合が
ある為である。従って、混合物(m)中に存在せしめた
モノカルボン酸量が、生成した該分散体中に含有される
亜鉛原子換算での総量に対して、0.5倍モルを越える
場合には、加熱する過程で、少なくとも過剰分を留去す
る必要がある。勿論上記比率が0.5倍モル以下であっ
ても、加熱する過程で留去を行っても構わない。
【0057】最終的に得られる微粒子の粒子径、粒子形
状、微粒子表面の極性等の制御を行う目的で、モノカル
ボン酸のうちの長鎖飽和脂肪酸(たとえば、カプリル
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸などの炭素数6〜20の飽和脂肪酸)および/ま
たは特定の添加剤を、加熱する過程に於いて共存させる
ことも可能である。該添加剤の添加時期は特に限定され
ず、混合物(m)又は混合物(n)を調製する過程又は
加熱処理の過程、いずれでもよく、目的及び添加剤の種
類に応じて適宜選択される。表面処理を目的とする場合
は本発明の微粒子が生成した後に添加するのが好まし
い。
【0058】該特定の添加剤としては、オクタデシル
アミン、ステアリルアミン等の脂肪族アミン、メチル
トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベ
ンジルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ステア
リルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;イ
ソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジ
オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネ
ート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル
アミノエチル)チタネート等のチタネート系カップリン
グ剤;エチルアセトアセテ−トアルミニウムジイソプロ
ピレート等のアルミニウム系カップリング剤等の各種カ
ップリング剤およびこれらの部分加水分解物、トリメ
チルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチ
ルホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェ
ート、(ポリオキシエチレン)ビス[ビス(2−クロロ
エチル)ホスフェート]等のリン酸エステル;メチルア
シッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、
ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホ
スフェート、ビス−2−エチルヘキシルホスフェート、
ジイソデシルホスフェート等の酸性リン酸エステル;ト
リメチルホスファイト等の亜リン酸エステル;ジメチル
ジチオリン酸、ジイソプロピルジチオリン酸等のチオリ
ン酸エステル等の有機リン化合物、分子中に少なくと
も1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級ア
ンモニオ基等のアミノ基、カルボキシル基、スルホン酸
基、リン酸基、水酸基、エポキシ基等の前記した原子団
を含有するオルガノポリシロキサン類、ラウリル硫酸
ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸(ナトリウ
ム)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリ
ウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリ
ン酸カルシウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキ
シエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルアミン、ポリエチレングリコールモノラウレート、
グリセロールモノステアレート等のノニオン性界面活性
剤、ラウリルジメチルアミン、ステアリルトリメチル
アンモニウムクロリド等のカチオン性界面活性剤、ラ
ウリルベタイン、ステアリルアミンアセテート等の両性
界面活性剤、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸等
が例示され、これらのうちのいずれか1つが単独で使用
されたり、あるいは、2以上が併用されたりする。
【0059】本発明の製造方法に従えば、薄片状酸化亜
鉛結晶が先端を微粒子の外側に向けて積層および/また
は放射状に集合してなり、0.1〜10μmの数平均粒
子径と30%以下の粒子径の変動係数を有して粒径が揃
っており、しかも形状の均一性に富む微粒子が1〜80
重量%の範囲で分散含有され、アルコール及び/又は前
記エステル化合物及び/又は有機溶媒を溶媒とする分散
体が得られる。
【0060】本発明の製造方法で得られた微粒子の分散
体は、そのまま使用することもできるが、必要に応じ
て、微粒子粉体、溶媒置換による他の溶媒に微粒子が分
散した分散体等に容易に転換する事ができる。微粒子の
粉体は、分散体を濾過、遠心分離、溶媒蒸発など通常行
われている方法によって微粒子を分散媒から分離した
後、乾燥するか、または、必要に応じて乾燥物を焼成す
ることにより得られる。必要に応じて分散体の濃縮操作
を行った後、真空瞬間蒸発装置を用いる溶媒蒸発法によ
る粉体化方法は、乾燥過程で起こりがちな微粒子の2次
凝集が抑制される方法であるため分散性に優れる微粒子
の粉体化方法として好ましい。
【0061】得られた粉体を必要に応じて焼成すること
も可能である。焼成は、通常、100℃〜800℃の範
囲で行われる。微粒子の幾何学的構造およびこれに基づ
く光学的物性を始めとする諸物性および化学的性質が損
なわれない温度を適宜選択すればよい。焼成する際の雰
囲気は任意であり、目的に応じて選択すればよい。例え
ば空気中、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰
囲気中等で行うことができる。
【0062】本発明の製造方法で得られた微粒子を含有
する分散体とは異なる溶媒に酸化亜鉛微粒子が分散した
分散体を得る方法としては、上述した方法に従って得ら
れた粉体を水等の分散させたい溶媒に混合した後、ボー
ルミル、サンドミル、超音波ホモジナイザーなどの機械
的エネルギーにより分散させる公知の方法、あるいは、
分散体を加熱することにより分散体中の溶媒の一部又は
全部を蒸発・留去しつつ、置換したい溶媒を混合するい
わゆる加熱溶媒置換法等が採用し得る。分散体を構成す
る溶媒成分としては、特に限定されず、アルコール類、
脂肪族及び芳香族カルボン酸エステル類、ケトン類、エ
ーテル類、エーテルエステル類、脂肪族及び芳香族炭化
水素類、ハロゲン化炭化水素類等の有機系溶剤、水、鉱
物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が例示さ
れ、使用目的に応じて適宜選択すればよい。本発明の無
機化合物微粒子は、たとえば、これを含む組成物とし
て、種々の産業用途あるいは工業用途で使用されうる。
フィルム、シート、繊維、樹脂板、ガラス、紙、化粧料
などの付加価値を高めるために、フィルム、シート、繊
維、樹脂板等を構成する樹脂組成物;フィルム、繊維、
樹脂板、ガラス、紙等に塗装される塗料組成物;紙;化
粧料等に本発明の無機化合物微粒子が添加される。
【0063】〔1〕本発明の、塗料組成物および塗装品 本発明の塗料組成物は、本発明の無機化合物微粒子と、
無機化合物微粒子を結合する被膜を形成しうるバインダ
ー成分とを含む。無機化合物微粒子とバインダー成分の
量は、これら両者の固形分合計重量に対して、無機化合
物微粒子0.1〜99重量%、バインダー成分1〜9
9.9重量%の割合である。
【0064】本発明の塗装品は、樹脂成形品、ガラスお
よび紙からなる群から選ばれる1つの基材と、前記基材
の表面に形成された塗膜とを備えている。前記塗膜は、
本発明の無機化合物微粒子と、前記無機化合物微粒子を
結合するバインダー成分とを含む。無機化合物微粒子と
バインダー成分の量は、これら両者の固形分合計重量に
対して、無機化合物微粒子0.1〜99重量%、バイン
ダー成分1〜99.9重量%の割合である。樹脂成形品
は、たとえば、板、シート、フィルムおよび繊維からな
る群から選ばれる少なくとも1つである。基材は、透明
基材でもよく、半透明基材でもよい。
【0065】無機化合物微粒子の量が前記範囲を上回る
と塗膜の基材への密着性、塗膜自体の耐擦傷性、耐摩耗
性等が不十分であるという問題があり、下回ると微粒子
の添加効果が不十分となるという問題がある。本発明の
塗料組成物では、本発明の無機化合物微粒子とバインダ
ー成分との合計量は、塗料組成物全量に対して、たとえ
ば、1〜80重量%の範囲であり、使用目的、作業性等
に応じて適宜選択される。塗料組成物の残部は、無機化
合物微粒子を分散し、バインダー成分を溶解または分散
する溶媒、塗料組成物の使用目的に応じて使用される顔
料等の添加剤である。
【0066】塗料組成物に使用可能なバインダー成分は
特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系、
塩化ビニル系、シリコーン系、メラミン系、ウレタン
系、スチレン系、アルキド系、フェノール系、エポキシ
系、ポリエステル系等の熱可塑性もしくは熱硬化性合成
樹脂;エチレンープロピレン共重合ゴム、ポリブタジエ
ンゴム、スチレンーブタジエンゴム、アクリロニトリル
ーブタジエンゴム等の合成ゴムもしくは天然ゴムなどの
有機系バインダー、シリカゾル、アルカリ珪酸塩、シ
リコンアルコキシド、リン酸塩等の無機系バインダーな
どが使用できる。これらのバインダー成分は、塗料組成
物を基材に塗布乾燥して得られる膜に対する耐熱性や耐
擦傷性等の要求性能、基材の種類等の使用目的に応じて
適宜選択され、いずれか1つが単独で、または、2以上
が混合して使用される。
【0067】本発明の塗料組成物では、バインダー成分
は、溶媒に溶解、乳化または懸濁していてもよい。バイ
ンダー成分の溶媒としては、塗料組成物の使用目的、バ
インダーの種類などに応じて適宜選択され、例えば、ア
ルコール類、脂肪族及び芳香族カルボン酸エステル類、
ケトン類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族及
び芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等の有機系
溶剤;水;鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油
等が例示され、使用目的に応じて適宜選択すればよく、
また必要に応じて2以上を任意の割合で混合して使用し
てもよい。バインダー成分の溶媒としては、本発明の無
機化合物微粒子の上記分散体の溶媒を使用することがで
きる。
【0068】本発明の塗料組成物を製造する方法は特に
限定されない。例えば、本発明の無機化合物微粒子の粉
末を、バインダー成分を含む溶媒に添加混合して分散さ
せる方法、微粒子を溶媒に分散させた分散体とバインダ
ー成分を含む溶媒とを混合する方法、微粒子を溶媒に分
散させた分散体にバインダー成分を添加して混合する方
法等が採用し得る。分散方法は、特に限定されず、例え
ば攪拌機、ボールミル、サンドミル、超音波ホモジナイ
ザー等を用いた従来公知の方法が採用し得る。
【0069】本発明の塗料組成物は、前記した無機化合
物微粒子の製造方法によって得られた微粒子分散体に直
接、バインダー成分またはバインダー成分を含む溶媒を
添加混合することによっても得られる。上述した塗料組
成物の製造方法に従えば、少なくとも無機化合物微粒
子、バインダー成分および溶媒を含む塗料組成物を得る
ことができる。
【0070】得られた塗料組成物は、任意の基材、例え
ば、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムま
たはシート;天然繊維、合成繊維等の繊維;塩化ビニル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂等の透明または半透明の合成樹
脂板;ガラス;紙等に塗布、乾燥することによって、無
機化合物微粒子を含む膜を形成することができる。
【0071】膜を形成するために、必要に応じて、基材
の変形温度以下の温度で加熱してもよい。加熱を行うの
は、たとえば、バインダー成分にシリコンアルコキシド
等の無機系バインダーを使用しバインダー成分の分子間
の縮合反応を充分に進めることによって強靱な膜を形成
したり、バインダー成分に熱硬化性樹脂を使用し熱硬化
性樹脂の硬化反応を充分に進めることによって硬化膜を
形成したり、バインダー成分の少なくとも1部にポリエ
ーテルおよび/またはポリエステル等の活性水素原子を
2つ以上有する樹脂とイソシアネート類等の架橋剤とを
使用し最終的にポリウレタン膜を形成させたい場合など
架橋反応を行う場合に架橋反応を効率良く行わせたりす
るためである。
【0072】本発明の塗装品におけるバインダー成分
は、上記有機系および/または無機系バインダーが乾燥
または乾燥硬化(乾燥架橋)してなる被膜である。本発
明の塗料組成物を塗布する方法は特に限定されず、ディ
ッピング法、スプレー法、スクリーン印刷法、ロールコ
ーター法、フローコート法等従来公知の方法が採用され
る。
【0073】以上のようにして本発明の塗料組成物から
形成された塗膜、および、以上のようにして得られた本
発明の塗装品は、バインダー成分中に本発明の無機化合
物微粒子が分散されて含有されている。このため、該塗
膜および塗装品は、該無機化合物微粒子の有する特徴が
反映された機能、すなわち、 (1)微粒子の異常な光散乱特性に基づく色調、ファッ
ション性と (2)透明感を損なわない性質と (3)近赤外遮弊性と を有する。
【0074】本発明の無機化合物微粒子が、無機化合物
として酸化亜鉛、酸化チタンおよび酸化セリウムからな
る群から選ばれる少なくとも1つの酸化物結晶を60〜
100重量%含むときには、本発明の塗料組成物から形
成された塗膜、および、本発明の塗装品は、上記(1)
〜(3)の特性と紫外線遮蔽性を有する。本発明の無機
化合物微粒子が、無機化合物として酸化亜鉛を60〜1
00重量%含むときには、本発明の塗料組成物から形成
された塗膜、および、本発明の塗装品は、上記(1)〜
(3)の特性、紫外線遮蔽性および抗菌・防かび性を有
する。
【0075】本発明の無機化合物微粒子が、無機化合物
の種類に関わらず、全部の粒子が同様の形状を持ち、数
平均粒子径0.1〜10μmで粒子径変動係数30%以
下であるときには、本発明の塗料組成物から形成された
塗膜、および、本発明の塗装品は、上記(1)〜(3)
の特性を有し、表面平坦性を損なわずに滑り性およびア
ンチブロッキング性を有する。
【0076】〔2〕本発明の、樹脂組成物および樹脂成
形品 本発明の樹脂組成物は、本発明の無機化合物微粒子と、
無機化合物微粒子が分散される連続相を形成しうる樹脂
とを含む。無機化合物微粒子と樹脂の量は、これら両者
の固形分合計重量に対して、無機化合物微粒子0.1〜
99重量%、樹脂1〜99.9重量%、好ましくは無機
化合物微粒子0.1〜10重量%、樹脂90〜99.9
重量%の割合である。
【0077】無機化合物微粒子の量が前記範囲を上回る
と成形品を得難く、たとえ得られたとしても成形品が機
械的強度において不十分であるという問題があり、下回
ると微粒子の添加効果が十分に発揮されないという問題
がある。本発明の樹脂成形品は、本発明の樹脂組成物
を、板、シート、フィルムおよび繊維からなる群から選
ばれる形状に成形したものである。
【0078】本発明の、樹脂組成物および樹脂成形品に
使用し得る樹脂の種類は特に限定されないが、使用目的
に応じて適宜選択される。樹脂としては、例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;
ポリスチレン樹脂;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹
脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;
ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリメチル(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹
脂;ユリア樹脂;メラミン樹脂;不飽和ポリエステル樹
脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ樹脂等の熱可塑性
または熱硬化性樹脂、エチレンープロピレン共重合ゴ
ム、ポリブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、
アクリロニトリルーブタジエンゴム等の合成ゴムもしく
は天然ゴムなどが例示され、いずれか1つが単独で使用
されたり、または、2以上が併用されたりする。
【0079】本発明の樹脂組成物を製造する方法は特に
限定されない。樹脂中に本発明の無機化合物微粒子を混
合、分散させることによって目的とする樹脂組成物は得
られるが、例えば、ペレット状または粉末状の樹脂を溶
融混練する際に、微粒子粉末を添加混合するマスターバ
ッチ法、樹脂を溶解した溶液に微粒子を混合分散させた
後に溶媒を除去する方法等の従来公知の方法を採用でき
る。別法として、樹脂を製造する過程に微粒子を混合分
散させる方法、例えば、樹脂がポリエステル樹脂の場
合、ポリエステルの製造工程中すなわちエステル交換反
応〜重合反応に於ける一連の工程の任意の時期に微粒子
の粉末好ましくは微粒子をポリエステル原料であるグリ
コールに分散させてなる分散体を添加混合する方法も採
用し得る。
【0080】上述の方法に従えば、本発明の無機化合物
微粒子が樹脂中に分散含有された樹脂組成物が得られ
る。前記樹脂組成物は、ペレットなど、通常の成形材料
の形態であってもよい。得られた樹脂組成物を板状、シ
ート状、フィルム状、繊維状等に成形することによっ
て、本発明の無機化合物微粒子が含有され、以下の機能
を同時に有する樹脂成形品を得ることができる。 (1)微粒子の異常な光散乱特性に基づく色調、ファッ
ション性 (2)透明感を損なわない性質 (3)近赤外遮弊性 本発明の無機化合物微粒子が、無機化合物として酸化亜
鉛、酸化チタンおよび酸化セリウムからなる群から選ば
れる少なくとも1つの酸化物結晶を60〜100重量%
含むときには、本発明の樹脂成形品は、上記(1)〜
(3)の特性と紫外線遮蔽性を有する。
【0081】本発明の無機化合物微粒子が、無機化合物
として酸化亜鉛を60〜100重量%含むときには、本
発明の樹脂成形品は、上記(1)〜(3)の特性、紫外
線遮蔽性および抗菌・防かび性を有する。本発明の無機
化合物微粒子が、無機化合物の種類に関わらず、全部の
粒子が同様の形状を持ち、数平均粒子径0.1〜10μ
mで粒子径変動係数30%以下であるときには、本発明
の樹脂成形品は、表面平坦性を損なわずに滑り性および
アンチブロッキング性を有する。該成形品は、フィルム
状、特に延伸操作などによって延伸されたフィルムとさ
れることによって、微粒子の存在に基づく凹凸が形成さ
れる。本発明の好ましい態様にしたがって得られた微粒
子を含有せしめた場合は、微粒子の粒度分布が揃ってお
り高分散しているために、フィルム表面の凹凸は、均一
微細なものとなり、極めて平坦性に優れながら、滑り
性、アンチブロッキング性に優れたフィルムとなる。例
えばこのようにして得られたポリエステルフィルムは、
磁気テープ用ベースフィルム、包装用フィルム、コンデ
ンサー用フィルム等として有用である。
【0082】本発明の樹脂組成物より所望の形状の成形
体を得る方法は特に限定されず、従来公知の方法をその
まま採用できる。以下に一例を挙げて説明する。本発明
の無機化合物微粒子の分散含有されたポリカーボネート
樹脂板を得たいときには、例えば、ポリカーボネート樹
脂ペレットまたは粉末と所定量の微粒子粉末を、溶融混
練することによって樹脂中に微粒子が均一に混合された
組成物を得た後、そのまま連続的にあるいは一旦ペレッ
ト化した後、射出成形、押出成形、圧縮成形等によっ
て、平面状または曲面状の板状に加工する方法が採用さ
れる。勿論、平板状成形体をさらに後加工することによ
って、波板状などの任意の形状に成形することも可能で
ある。アクリル系樹脂板、塩化ビニル系樹脂板、ポリエ
ステル系樹脂板等の樹脂板も同様にして得られる。
【0083】本発明の無機化合物微粒子の分散含有され
たナイロン繊維やポリエステル繊維等の繊維、ポリオレ
フィンフィルムやポリアミドフィルム、ポリエステルフ
ィルム等のフィルムを得たい場合には、例えば、微粒子
粉末と樹脂ペレットまたは粉末を溶融混練することによ
って樹脂中に微粒子が均一に混合された組成物を得た
後、そのまま連続的にあるいは一旦ペレット化した後、
溶融紡糸等の従来公知の繊維化方法、あるいは押出成形
によりシート状に成形した後、必要に応じて一軸または
2軸に延伸操作を施すという従来公知の(延伸)フィル
ムの製法を採用すればよい。
【0084】本発明の無機化合物微粒子の分散含有され
たポリエステル繊維あるいはポリエステルフィルムを得
るためには、従来公知の以下の別法も採用し得る。すな
わち、ポリエステル繊維を得る方法としては、ポリエス
テルの製造工程中すなわちエステル交換反応〜重合反応
に於ける一連の工程の任意の時期に微粒子を、たとえば
0.1〜50重量%の割合でグリコールに分散させてな
る分散体を添加混合し、ポリエステルの重合反応を完結
させることによって、ポリエステル中に微粒子が分散含
有されたポリエステル重合物を得た後、従来公知の方法
に従って溶融紡糸する方法を採用すればよい。
【0085】一方、ポリエステルフィルムを得る為に
は、同様にしてポリエステル中に微粒子が分散含有され
たポリエステル重合物を得た後、押出成形によってシー
ト状に押しだした後、必要に応じて一軸または2軸方向
に延伸処理を施す方法を採用することができる。 〔3〕本発明の紙 本発明の紙は、抄造されたパルプと、前記パルプ中に分
散された本発明の無機化合物微粒子とを有する。無機化
合物微粒子の量は、パルプに対して0.01〜50重量
%、好ましくは0.1〜20重量%である。前記範囲を
下回ると微粒子の添加効果が不十分であるという問題が
あり、上回ると紙の機械的特性を低下させるという問題
がある。
【0086】紙とは、本発明の微粒子を含有するもので
あればよく、例えば内添紙、塗工紙、含浸紙、フィルム
ラミネート紙等の加工紙が例示される。内添紙とは、パ
ルプの叩解時から抄紙されるまでの工程に於いて該微粒
子を任意の時期に添加混合せしめることにより得られ
る、該微粒子を紙の内部および/または外表面に分散含
有する紙を意味する。微粒子の添加混合方法は特に限定
されず、通常、本発明の微粒子を粉体のまま、あるい
は、水等に分散せしめた分散液の状態で行うことができ
る。また、抄紙、乾燥するまでの工程は、従来公知の抄
紙方法に準じて行えばよい。用いられる原料も従来公知
のものをそのまま使用できる。例えば、パルプをパルパ
ー等によって叩解することによってパルプスラリーを調
製する。該スラリーに本発明の微粒子の水性分散液を添
加混合した後、抄紙工程、乾燥工程を経て、微粒子の分
散含有された紙を得ることができる。この際、必要に応
じて、サイズ剤、硫酸バンド、紙力増強剤等を任意の段
階で添加しても良い。
【0087】塗工紙とは、該微粒子が含有された塗料を
紙基材上に塗布、乾燥することにより該微粒子を含有す
る膜の形成されたものである。含浸紙とは、該微粒子が
分散含有されたバインダーを含むまたは含まない水性ま
たは有機溶媒分散液等に紙基材を含浸、乾燥することに
より、該微粒子が紙の内外表面に固着してなるものを意
味する。
【0088】これら、塗工紙、含浸紙の製法は特に限定
されず、本発明の微粒子を使用することを除けば、従来
公知の一般的な製法により得られる紙を基材とし、従来
公知の塗工法、含浸法をそのまま適用できる。使用する
微粒子を含有する塗料組成物、分散液の組成、使用する
溶媒、バインダーの種類およびこれらの調製方法等は、
従来公知の原料をそのまま使用でき、従来公知の調製方
法に従って調製すればよい。
【0089】塗料組成物、分散液に於ける微粒子の含有
量は、固形分中0.1〜100重量%の範囲であればさ
らに限定されず、使用目的等によって適宜選択される。
ここでいう固形分とは、該塗料、分散液中に含有される
本発明の無機化合物微粒子とバインダーの総量を意味す
る。塗工紙を作るために使用される塗料組成物として
は、上述の本発明の塗料組成物のうちの溶媒を含むもの
が挙げられる。塗工紙を作るために使用される分散液の
分散媒としては、上述の本発明の塗料組成物に使用され
うる溶媒が挙げられる。塗料組成物中に、その使用目的
に応じて、これら以外の顔料、耐水化剤、潤滑剤、消泡
剤、流動変性剤、保水剤等の添加剤を混合せしめてもよ
い。
【0090】フィルムラミネート紙は前記した方法に従
って得られた該微粒子を分散含有する高分子フィルムを
紙基材に貼り付けてなるものを意味する。高分子フィル
ムとしては、上述の本発明の樹脂成形品が使用されう
る。以上の製造方法に従って得られる本発明の無機化合
物微粒子を配合してなる紙は、外観に優れる紙として有
用である。得られる紙の用途は任意であり、例えばアー
ト紙、壁紙をはじめ多様な用途で使用することができる
ものである。
【0091】本発明の無機化合物微粒子が、無機化合物
の種類に関わらず、全部の粒子が同様の形状を持ち、数
平均粒子径0.1〜10μmで粒子径の変動係数30%
以下であるときには、従来にない美観を有し、且つ印刷
適性の改善された紙を得ることができる。 〔4〕本発明の化粧料 本発明の化粧料は、微粒子を構成する無機化合物が、酸
化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、水酸化亜鉛、水酸
化チタンおよび水酸化セリウムからなる群から選ばれる
少なくとも1つである本発明の無機化合物微粒子を0.
1重量%以上含有する。無機化合物は好ましくは酸化亜
鉛である。無機化合物微粒子の量は、通常、化粧料の固
形分の合計重量に対して0.1〜50重量%である。上
記必須成分の他に目的に応じて、液体油脂、固体油
脂、ロウ類、炭化水素等の油分と、ポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール等の多価アルコール類と、
からなる群から選ばれる少なくとも1つ、界面活性
剤、増粘剤、香料、薬剤、酸化防止剤、キレート剤、色
素、水、防腐・防カビ剤からなる群から選ばれる少なく
とも1つなど、通常、化粧料に用いられる成分が本発明
の効果を損なわない範囲で配合される。さらに、カオ
リン、タルク、マイカ等の体質顔料と、酸化鉄系、Ti
2 系等の無機着色顔料と、赤色202、黄色4等の有
機着色顔料とからなる群から選ばれる少なくとも1つ、
および/または、安息香酸系、桂皮酸系、サリチル酸
系、ベンゾフェノン系等の有機系紫外線吸収剤からなる
群から選ばれる少なくとも1つも、本発明の微粒子と併
用することができる。
【0092】本発明の化粧料は、従来にない色調を付与
でき、しかも、紫外線、熱線を遮蔽することのできる化
粧料である。即ち、本発明の化粧料に於ける無機化合物
微粒子の配合目的は、主に日焼け止め、美観の付与にあ
る。本発明の化粧料の用途は特に限定されず、パウダー
状、クリーム状あるいは油性ファンデーション、化粧
水、乳液、化粧油、クリーム等のフェーシャル化粧料、
口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料等として使
用することができる。
【0093】該化粧料の組成は、該微粒子を含有するも
のであれば、さらに限定されず、化粧料の用途(種類)
に応じた従来公知の化粧料組成物中に該微粒子を含有せ
しめたものである。従って、一般に化粧料で使用されて
いる原料をそのまま使用することができる。従って、本
発明の化粧料を製造する方法は特に限定されず、化粧料
の用途(種類)に応じた従来公知の化粧料組成物を製造
する任意の時期に該微粒子を、必要量を添加混合し分散
せしめればよい。本発明の微粒子は、凝集しにくく、通
常の化粧料組成物に対して容易に分散し得るものであ
る。従って、該微粒子の分散方法は、一般に化粧料粉末
に用いられている混合分散方法をそのまま適用すること
ができるとともに該方法に従えば該微粒子が高分散した
化粧料が得られる。また、該微粒子を添加混合する際、
該微粒子はそのまま添加混合してもよいが、必要に応じ
て、例えばアニオン性、カチオン性、ノニオン性および
両性等の界面活性剤、金属石鹸、シリコーン等による、
化粧料粉末に一般に用いられている親油化あるいは親水
化等を目的とした表面処理法を行ってもよい。表面処理
は、添加混合に先だって行ってもよく、あるいは添加混
合過程で行ってもよい。
【0094】本発明の無機化合物微粒子を含有する本発
明の化粧料は、 (1)微粒子の異常な光散乱・透過特性に基づく色調、
ファッション性 (2)透明感を損なわない性質 (3)近赤外遮弊性 (4)紫外線遮蔽性 を有する。
【0095】本発明の無機化合物微粒子が、無機化合物
として酸化亜鉛を60〜100重量%含むときには、本
発明の樹脂成形品は、上記(1)〜(4)の特性および
抗菌・防かび性(殺菌性)を有する。本発明の無機化合
物微粒子が、薄片状結晶の間隙に細孔を有するか、およ
び/または、中空である場合には、本発明の化粧料は、
保湿性、しっとり感を持つことができ、香料などを微粒
子に保持させることにより香料などの徐放機能を持たせ
ることも可能である。
【0096】ただし、本発明の微粒子の用途は上述した
ものに限定されない。
【0097】
【実施例】以下に、この発明の実施例と、この発明の範
囲を外れた比較例とを示すが、この発明は下記実施例に
限定されない。実施例および比較例で得られた微粒子に
ついて、結晶性、粒子径および形状、分散性、微粒子組
成、薄片部群の大きさおよび形状、分散体中の微粒子濃
度等の物性又は物性値、微粒子を含有する膜の形成され
たフィルム、ガラス等の光学的特性などは以下の方法に
より分析、評価した。分析、評価に先だって粉末化する
必要のある場合は、以下の方法に従って、粉末化した
後、得られた粉末を測定試料とした。
【0098】(粉末試料の作製法)得られた分散体中の
微粒子を遠心分離操作によって分散媒から分離し、分離
された微粒子を80℃にて真空乾燥して遊離の揮発成分
を完全に除去し、微粒子の粉末を得、これを粉末試料と
した。 (結晶性)微粒子を粉末化した後、粉末X線回折測定に
より結晶の種類を同定した。
【0099】(微粒子の平均粒子径、粒子径の変動係
数)1万倍の走査型電子顕微鏡像の任意の粒子100個
の粒子径(長径)を実測して、数平均粒子径と粒子径の
変動係数とを下式より求めた。
【0100】
【数1】 ここで、dn は数平均粒子径、Di は個々の粒子の長
径、nは粒子数である。
【0101】
【数2】 ここで、CVは粒子径の変動係数、σn-1 は粒子径分布
標準偏差である。粒子径分布標準偏差は、次式で計算さ
れる。
【0102】
【数3】 分散体中に於ける微粒子の平均粒子径(重量平均粒子径
dw )を遠心沈降式粒度分布測定装置(島津製作所製S
A−CP3)により測定評価した。 (粒子形状)1万倍の走査型電子顕微鏡により、微粒子
100個につき下式により求めた長短度(長径/短径
比)を判定基準として判定した。
【0103】
【数4】 ここで、Liは個々の粒子の長径、Biは個々の粒子の
短径である。判定基準は、長短度が1.0以上、1.2
未満を球状とし、1.2以上、5.0以下を亜球状とし
た。 (微粒子の比表面積および細孔径分布)微粒子粉末を試
料として、全自動ガス吸着量測定装置(AUTOSOR
B−6、湯浅アイオニクス(株))により、BET法に
よる比表面積、細孔径分布等を測定し評価した。
【0104】(薄片状結晶粒子の大きさ、形状)1万倍
〜10万倍の走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡に
より判定した。微粒子断面像は、微粒子粉末を樹脂に包
埋し薄片を切り出しこれを試料として透過型電子顕微鏡
像より得た。 (分散・凝集状態)光学顕微鏡及び遠心沈降式粒度分布
測定装置により評価した。評価基準は次のとおりであ
る。
【0105】A:微粒子が凝集せず分散、 B:一部凝
集、 C:凝集 分散体中に於ける微粒子の重量平均粒子径dw を遠心沈
降式粒度分布測定装置により測定した。 (分散体中の微粒子濃度)分散体の一部を100℃に於
て溶媒等の遊離の揮発成分を完全に除去し得るまで真空
乾燥することにより乾燥粉末を得、得られた粉末の分散
体に対する重量分率を求め、この値を分散体中の微粒子
濃度とした。
【0106】(微粒子組成:酸化亜鉛濃度)粉末試料
を、空気中600℃で2時間焼成し、灰分を酸化亜鉛と
して重量基準で求めた。 (微粒子含有膜の形成されたフィルム等の光学的特性)
美観等は視覚により判定した。
【0107】分光特性については、自記分光光度計(U
V−3100、(株)島津製作所)により照射波長22
00nm〜200nmに於ける拡散透過率、垂直透過率
を測定し評価した。 (実施例1)攪拌機、滴下口、温度計、還流冷却器を備
えたガラス製反応器中で、市販の酸化亜鉛粉末0.3k
gを、酢酸1.5kgとイオン交換水1.5kgの混合
溶媒に添加混合した後、混合物を攪拌しながら80℃ま
で昇温することにより酸化亜鉛を混合溶媒に溶解して均
一な亜鉛含有溶液(A1)を得た。
【0108】次に、攪拌機、滴下口、温度計、留出ガス
出口を備え外部より熱媒加熱し得る20リットルのガラ
ス製反応器に2−ブトキシエタノール12kgを仕込
み、内温を154℃まで加熱昇温し、その温度に保持し
た。これに、80℃に保持された亜鉛含有溶液(A1)
3.3kgを、定量ポンプにより30分かけて滴下して
混合した。この滴下混合により、ボトムの温度は154
℃から134℃まで低下した。滴下終了後、内温を昇温
し、167℃に達した時点で、この混合物に、乳酸6.
6gを2−ブトキシエタノールに溶解した溶液0.15
kgを添加して混合し、さらに170℃に達した後、該
温度で2時間保持することにより、分散体(D1)1
0.0kgを得た。
【0109】得られた分散体(D1)に含まれている微
粒子について、遠心沈降式粒度分布測定法により測定し
た重量平均粒子径は2.0μmであった。分散体(D
1)中に含有されている微粒子を遠心分離によって分散
媒から分離し、分離された微粒子をメタノールで洗浄し
た後、80℃で12時間真空乾燥(10Torr)する
ことによって微粒子粉体(P1)を得た。
【0110】微粒子粉体(P1)は、走査型電子顕微鏡
像より求めた数平均粒子径が2.0μmであり、粒子径
の変動係数が3.4%、長短度が1.06の球状の微粒
子からなっていた。分散体(D1)と微粒子粉体(P
1)の重量からの計算により、分散体(D1)は、微粒
子粉体(P1)が3.1重量%の濃度で個々の微粒子が
さらに2次凝集することなく分散した分散体であった。
【0111】分散体(D1)中の微粒子の微細構造を走
査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡により解析した
結果、薄片部群は平均厚み70nm、平均長径250n
mの薄片状結晶であり、該結晶が積層した微粒子である
ことが確認された。また、薄片状結晶は、該微粒子の粉
末X線回折測定より酸化亜鉛であること、および、該微
粒子は酸化亜鉛(ZnO)を96.0重量%含むもので
あることが確認された。
【0112】得られた微粒子粉体(P1)中の微粒子の
走査型電子顕微鏡像および微粒子の切断面の透過型電子
顕微鏡像を図に示す。図1は、粉体(P1)の走査型電
子顕微鏡像であり、画面の下部の11個の白点の端から
端までの長さが15.0μmである。図1において白色
〜グレーのビーズが粉体(P1)の微粒子である。図2
は、粉体(P1)中の微粒子の走査型電子顕微鏡像であ
り、画面の下部の11個の白点の端から端までの長さが
860nmである。図2において、微粒子は、その表面
に丸みを帯びた細長い形をしている薄片部群を有する。
この薄片部群は、薄片部である薄片状酸化亜鉛結晶から
なっている。図3は、粉体(P1)中の微粒子の切断面
の透過型電子顕微鏡像であり、画面の下部の三重線の長
さが500nmである。図3において、微粒子は、外向
きの先端を有する薄片部群(黒く尖った像)を表面に有
している。薄片部群は薄片部間に細孔を有する。この微
粒子の内部は結晶がほとんどなく中空になっている。
【0113】微粒子の比表面積は16.9m2 /gであ
り、細孔径4nmの細孔を有する多孔性の微粒子である
ことが確認された。得られた分散体(D1)より、エバ
ポレーターを用いて減圧下、温度120℃の条件下で、
該分散体(D1)中の溶媒の一部を留去させることによ
り濃縮した後、イソプロピルアルコールで濃度調整する
ことにより、微粒子を40重量%含有する分散体(D
2)を得た。
【0114】(実施例2)実施例1において、添加する
乳酸の量を表1記載の量に変えたこと以外は実施例1と
同様にして微粒子の分散体(D3)を得た。得られた微
粒子分散体(D3)中の微粒子の分散・凝集状態、含有
される微粒子の諸物性を表1に示した。実施例2で得ら
れた微粒子粉体中の微粒子の走査型電子顕微鏡像を図4
に示す。図4は、画面の下部の11個の白点の端から端
までの長さが2.00μmである。図4において中央の
大きな明るい細長い像が微粒子である。図4において、
微粒子は、その表面に丸みを帯びた細長い形ないしは扇
形をしている薄片部群を有する。この薄片部群は、薄片
部である薄片状酸化亜鉛結晶からなっている。
【0115】(実施例3)実施例1において、亜鉛原料
として酸化亜鉛の代わりに酢酸亜鉛を、モルカルボン酸
としてプロピオン酸を併用し、添加する乳酸の量を表1
記載の量に変えたこと以外は実施例1と同様にして微粒
子の分散体(D4)を得た。得られた微粒子分散体(D
4)中の微粒子の分散・凝集状態、含有される微粒子の
諸物性を表2に示した。
【0116】(実施例4)攪拌機、滴下口、温度計、還
流冷却器を備えたガラス製反応器中で、市販の酸化亜鉛
粉末0.3kgと乳酸亜鉛3水和物11.1gとを、酢
酸1.5kgとイオン交換水1.5kgの混合溶媒に添
加混合した後、混合物を攪拌しながら80℃まで昇温す
ることにより酸化亜鉛と乳酸亜鉛とを混合溶媒に溶解し
て均一な亜鉛含有溶液(A2)を得た。
【0117】次に、攪拌機、滴下口、温度計、留出ガス
出口を備え外部より熱媒加熱し得る20リットルのガラ
ス製反応器に2−ブトキシエタノール12kgを仕込
み、内温を160℃まで加熱昇温し、その温度に保持し
た。これに、80℃に保持された亜鉛含有溶液(A2)
全量を、定量ポンプにより30分かけて滴下して混合し
た。この滴下混合により、ボトムの温度は160℃から
140℃まで低下した。滴下終了後、内温を昇温し、1
70℃に達した時点で、該温度で2時間保持することに
より、分散体(D5)9.1kgを得た。
【0118】得られた微粒子分散体(D5)中の微粒子
の分散・凝集状態、含有される微粒子の諸物性を表2に
示した。 (実施例5)実施例4において、亜鉛含有溶液の調製に
用いた原料の量を表1記載のごとく変えたこと以外は実
施例4と同様にして微粒子の分散体(D6)を得た。得
られた微粒子分散体(D6)中の微粒子の分散・凝集状
態、含有される微粒子の諸物性を表2に示した。
【0119】(実施例6)実施例4において、亜鉛含有
溶液の調製に用いた原料と量を表1記載のごとく変えた
こと以外は実施例4と同様にして微粒子の分散体(D
7)を得た。得られた微粒子分散体(D7)中の微粒子
の分散・凝集状態、含有される微粒子の諸物性を表2に
示した。
【0120】実施例1〜6での反応条件を表1に、実施
例1〜6で得られた微粒子の物性を表2に示した。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】 (実施例7)実施例1で得られた分散体(D2)にメタ
ノールを添加混合し酸化亜鉛濃度10重量%に調製した
ものを粉体原料スラリー(S1)として以下の如き真空
瞬間蒸発装置を用いた方法によって粉体化した。
【0123】内径が8mmで長さが9mのステンレス鋼
製の長管は、これを覆っているジャケットに加圧水蒸気
を通じる事によって200℃に加熱されており、その長
管の一端(原料スラリーの供給口)から粉体原料スラリ
ー(S1)を定量ポンプで10kg/hrの流量で連続
的に送入した。長管の他端は、50Torrの一定の減
圧度に維持されていて、粉体と蒸発した溶媒を分離する
バッグフィルターに連結されており、そこで分離された
酸化亜鉛微粒子の粉体(P2)は、同じ50Torrの
減圧度である粉体捕集室で捕集された。
【0124】得られた粉体(P2)は、トルエン等の芳
香族炭化水素、MEK等のケトン類、酢酸ブチル等のエ
ステル類、メタノール、イソプロピルアルコール等のア
ルコール類等の有機溶剤に、容易に分散した。得られた
微粒子粉体(P2)の粒子径、形状、酸化亜鉛結晶の大
きさ、形状などは、分散体(D1)中に含まれる微粒子
のそれらと実質的に変わらないものであった。
【0125】(実施例8)実施例1で得られた分散体
(D2)を用いて以下の組成よりなる塗料を調製した。 塗料組成: 分散体(D2) 100重量部 トルエン 250重量部 アロセット5247 4.5重量部 ((株)日本触媒製、一般名アクリル樹脂系水性エマル
ション、固形分45重量%) 該塗料をバーコーターを用いてガラス板、ポリエステル
フィルム、アクリル板の各基材に塗布し、乾燥すること
により塗膜(膜厚約2μm)を得た。いずれの基材に塗
布した場合でも、得られた塗膜は、可視域に於ける拡散
透過率が高く、紫外線防止効果に優れるとともに熱線遮
蔽効果を有する、しかも視る角度や光の当たる角度によ
って淡いピンク色あるいは緑色を呈する極めて美観に優
れるものであった。ガラス板の場合について、該塗膜の
形成されたガラス板の分光透過率曲線(拡散透過率曲線
および垂直透過率曲線)を図5に示す。図5において、
1 は拡散透過率曲線、T2 は垂直透過率曲線、T3
ガラス板のみの拡散透過率曲線である。
【0126】(比較例1)実施例8に於いて、分散体
(D2)の代わりに、フランス法で得られた酸化亜鉛微
粒子(亜鉛華1号:堺化学製)をイソプロピルアルコー
ルに分散させた分散物を用いる以外は、実施例8と同様
にして酸化亜鉛濃度10重量%の塗料を作製し、ガラス
板上に塗膜(厚み10μm)を形成した。該塗膜は、色
彩的に特徴のない白色膜であった。該塗膜の形成された
ガラス板の分光透過率曲線(拡散透過率曲線T1 および
垂直透過率曲線T2 )を図6に示す。
【0127】図5,図6の比較より、実施例1で得られ
た微粒子を含む膜は紫外線をカットするだけでなく、可
視域の拡散透過率を低下せずに近赤外光を遮蔽するもの
であることが示される。 (実施例9)実施例1で得られた粉体(P1)15重量
部とポリカーボネート樹脂ペレット485重量部を混合
し溶融混練りすることにより、微粒子3重量%が均一に
分散した溶融物を得、引き続き押し出し成形することに
よって、厚み1.5mmのポリカーボネート板(A)を
得た。得られたポリカーボネート板(A)は、透明性に
優れ、紫外線防止効果に優れるとともに熱線遮蔽効果を
有し、しかも視る角度や光の当たる角度によって淡いピ
ンク色あるいは緑色を呈する極めて美観に優れるもので
あった。
【0128】(比較例2)実施例9に於いて、粉体(P
1)の代わりに、フランス法で得られた酸化亜鉛微粒子
(亜鉛華1号:堺化学製)15重量部を用いる以外は、
実施例9と同様にして、微粒子3重量%を含有する、厚
み1.5mmのポリカーボネート板(B)を得た。得ら
れたポリカーボネート板は、色彩的に特徴のない白濁し
たものであった。
【0129】(実施例10)実施例1で得られた微粒子
粉体(P1)5重量部とポリエステル樹脂ペレット95
重量部を混合し溶融混練りすることにより酸化亜鉛微粒
子5重量%が均一に分散したポリエステル組成物を得、
押し出し成形によってシート状に成形した後、さらに延
伸することによって厚み20μmのポリエステルフィル
ムを得た。該フィルムは、微粒子が均一に高分散したフ
ィルムであり、透明感があり、紫外線防止効果に優れる
とともに熱線遮蔽効果を有し、しかもフィルムを視る角
度や光の当たる角度によって淡いピンク色あるいは緑色
を呈する美観に優れるものであった。
【0130】(比較例3)実施例10において、実施例
1で得られた微粒子粉体(P1)の代わりにフランス法
で得られた酸化亜鉛微粒子(亜鉛華1号:堺化学製)を
用いる以外は、実施例10と同様にして、該酸化亜鉛微
粒子が含有されたポリエステルフィルムを得た。得られ
たフィルムは紫外線防止効果を有するものの、白濁した
ものであった。
【0131】実施例10および比較例3でそれぞれ得ら
れたフィルムの表面を透過型電子顕微鏡により観察した
結果、実施例10で得られたフィルムの表面は、微粒子
の存在に基づく均一微細な突起で覆われているのに対
し、比較例3で得られたフィルムの表面は、微粒子が凝
集しているために粗大な突起が存在する等不均一な突起
を有する、粗悪なものであった。
【0132】(実施例11)実施例10と同様にして、
微粒子が5重量%含有されたポリエステル組成物を得た
後、溶融紡糸することによって、ポリエステル繊維を得
た。該繊維は、微粒子が均一に高分散した繊維であり、
透明感があり、紫外線防止効果に優れるとともに熱線遮
蔽効果を有し、しかも実施例10で得られたフィルム同
様、美観に優れるものであった。
【0133】(比較例4)実施例11において、実施例
1で得られた微粒子粉体の代わりにフランス法で得られ
た酸化亜鉛微粒子(亜鉛華1号:堺化学製)を用いる以
外は、実施例11と同様にして、該酸化亜鉛微粒子が含
有されたポリエステル繊維を得た。得られた繊維は紫外
線防止効果を有するものの、白濁したものであった。
【0134】(実施例12)実施例1で得られた分散体
(D2)より分散体(D2)中に含まれる溶媒を遠心分
離操作によって除去した。得られた若干量の溶媒分を含
む酸化亜鉛微粒子をイオン交換水に分散させ、再度遠心
分離した。この操作を数回繰り返した後、酸化亜鉛微粒
子をイオン交換水に分散させることによって、微粒子が
20重量%含まれる水分散体50重量部を得た。
【0135】該水分散体50重量部、アクリルエマルシ
ョン(株式会社日本触媒製アクリセットR 285E、
固形分量50重量%)20重量部をバインダー樹脂とし
て混合することにより塗料を調製し、該塗料にポリエス
テル繊維を浸漬して乾燥することによって微粒子目付け
量7.0g/m2 のポリエステル繊維を得た。該繊維
は、紫外線および熱線を有効にカットするのみならず、
実施例10で得られたフィルム同様、美観に優れるもの
であった。
【0136】(比較例5)フランス法で得られた酸化亜
鉛微粒子(亜鉛華1号:堺化学製)10重量部をイオン
交換水40重量部に添加して混合し、超音波ホモジナイ
ザーによって分散させることによって、微粒子が20重
量%分散含有される水分散体50重量部を得た。該水分
散体を用いて、実施例12と同様の操作を行うことによ
って、微粒子目付け量6.8g/m2 のポリエステル繊
維を得た。得られた繊維は紫外線防止効果を有するもの
の、白濁したものであった。
【0137】(実施例13)実施例1で得られた微粒子
粉体(P1)を配合した、下記組成を有する化粧料(O
/W型クリーム)を製造した。 <組成> (水相部) (a) 微粒子粉体 6重量部 (b) プロピレングリコール 5重量部 (c) グリセリン 10重量部 (d) 水酸化カリウム 0.2重量部 (e) イオン交換水 45重量部 (油相部) (f) セタノール 5重量部 (g) 流動パラフィン 5重量部 (h) ステアリン酸 3重量部 (i) ミリスチン酸イソステアリル 2重量部 (j) モノステアリン酸グリセリン 2重量部 成分(a)〜(e)を攪拌混合して80℃に保って水相部を調
製した。一方、成分(f)〜(j)を均一混合して80℃に保
つことにより油相部を調製した。水相部に油相部を加え
て攪拌し、ホモミキサーで乳化させた後、室温に冷却す
ることによってクリームを製造した。得られたクリーム
は透明感を有し、淡いピンク色を呈するため美観に優
れ、しかも紫外線防止効果に優れ、熱線防止効果も有す
るものであった。
【0138】(比較例6)実施例13において、実施例
1で得られた微粒子粉体の代わりにフランス法で得られ
た酸化亜鉛微粒子粉末(亜鉛華1号:堺化学製)を用い
る以外は、実施例13と同様にしてクリームを製造し
た。得られたクリームは紫外線防止効果を有するもの
の、白色度が高く不透明なものであった。
【0139】(比較例7)実施例13において、実施例
1で得られた微粒子粉体の代わりに平均粒子径0.8μ
m、平均の厚みが0.1μmの薄片状酸化亜鉛微粒子粉
末を用いる以外は、実施例13と同様にしてクリームを
製造した。得られたクリームは若干透明感があり、紫外
線防止効果を有するものの、色調的には白色であり美観
を有するものではなかった。
【0140】(実施例14)実施例1で得られた微粒子
粉体(P1)をイオン交換水に添加混合することによ
り、微粒子濃度が10重量%の水性分散液を調製した。
次に、定量用濾紙(東洋製紙(株)製:品番5C)をナ
イアガラ方式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタ
ンダード・フリーネス400mlに調製したパルプに、
水性分散液を、パルプに対する微粒子重量比が1重量%
となるよう添加混合した。次に得られたパルプスラリー
を、固形分濃度0.1重量%となるよう希釈し、タッピ
・シートマシンにより脱水し、プレスすることによって
坪量75g/m2 に抄紙した。引き続いて回転型乾燥機
で100℃で乾燥することによって、微粒子を1重量%
含有する紙を得た。得られた紙は、見る角度や光の当た
る角度によって淡いピンク色あるいは緑色を呈する美観
に優れるものであり、しかも表面がなめらかなものであ
った。
【0141】(比較例8)実施例14において、実施例
1で得られた微粒子粉体の代わりに、平均粒子径0.8
μm、平均の厚みが0.1μmの薄片状酸化亜鉛微粒子
粉末を用いる以外は、実施例14と同様にして紙を製造
した。得られた紙は、色調的には白色であり美観を有す
るものではなく、しかも表面が粗悪なものであった。
【0142】
【発明の効果】本発明の無機化合物微粒子は、無機化合
物を60〜100重量%含み、外向きに突出する先端を
有する薄片部群を表面に有するので、(1)異常な光散
乱特性を示し、(2)可視域における拡散透過率を低下
させずに近赤外領域の電磁波を遮断し、(3)表面が凹
凸形状をしており、高表面積の多孔体であり、(4)紫
外線吸収・散乱能を有し、(5)光半導体であり、
(6)抗菌性、防かび能を有する、多機能微粒子であ
る。
【0143】本発明の微粒子が0.1〜10μmの数平
均粒子径であり、粒子径の変動係数が30%以下である
ときには、これを含むフィルムは微細な表面凹凸を有す
ることができ、表面平坦性を損なわずに滑り性とアンチ
ブロッキング性を有することができる。本発明の微粒子
は、中空であるときには、意匠性、美観性の付与効果が
特に高くなるばかりか、多孔質微粒子またはマイクロカ
プセルとしての機能を有することができる。
【0144】本発明の微粒子は、薄片部群が2〜200
の偏平度を有する薄片部からなっているとき、および/
または、薄片部が5〜1000nmの長径を有するとき
には、鮮やかな色調の透過光を得ることができ、意匠性
付与、美観の付与効果が特に大きいという利点を有す
る。本発明の微粒子は、薄片部が1〜100nmの厚み
を有するときには、可視光透過性に優れながら、意匠性
および美観の付与効果が高いという利点を有する。
【0145】本発明の微粒子は、無機化合物として金属
の、酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物および硫化物か
らなる群から選ばれる少なくとも1つの金属化合物を6
0〜100重量%含むときには、耐溶剤性、耐酸性、耐
アルカリ性などの化学的安定性、機械的強度等に優れる
という利点を有する。本発明の微粒子は、無機化合物が
金属酸化物であると、化学的、熱的安定性に優れてお
り、原料が安価に供給されるという利点を有する。
【0146】本発明の微粒子は、無機化合物が酸化亜鉛
であると紫外線遮蔽能に優れ、可視光の透過性に優れ着
色がなく、紫外線の吸収波長域が広いため紫外線を効率
良くカットでき、毒性が低く無害であり、光半導体とな
りことができ、抗菌性、防かび能を有する。従って、本
発明の微粒子は、種々のフィルム、繊維、シート等の樹
脂製品、ガラス製品、塗料、化粧料等に配合することに
より、これらに、紫外線吸収能、抗菌性、防かび性、可
視域〜赤外域における特定波長の光に対する反射(散
乱)・透過能に基づく美観性の付与、熱線遮断能、断熱
性、遮音性等を付与することができる。
【0147】該微粒子をフィルム、紙等の基材に含有せ
しめることにより、これらの基材に良好な滑り性を付与
することもできる。本発明の微粒子の製造方法は、該微
粒子を生産性良く簡易なプロセス製造することのできる
極めて実用性に富んだ製法であり、同時に該微粒子中の
薄片部の大きさや微粒子形状、粒子径、粒度分布等の厳
密に制御された分散性に優れる微粒子の製法である。
【0148】本発明の製造方法において、乳酸の亜鉛に
対するモル比が0.001〜0.4であると、2〜20
0の偏平度と5〜1000nmの長径を有する薄片状酸
化亜鉛結晶からなる薄片部群を生成する。本発明の製造
方法において、亜鉛源として酸化亜鉛、水酸化亜鉛およ
び酢酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つの亜
鉛化合物を用いると、薄片状酸化亜鉛結晶の生成反応を
妨げる不純物を実質的に含まず、しかも、結晶と微粒子
との大きさと形状を制御しやすい。
【0149】本発明の製造方法において、1気圧で20
0℃以下の沸点を有する飽和脂肪酸をモノカルボン酸と
して用いると、反応系内におけるモノカルボン酸の量を
制御し易く、従って酸化亜鉛結晶の析出反応を厳密に制
御し易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた粉体(P1)の走査型電子
顕微鏡像である。
【図2】実施例1で得られた粉体(P1)中の微粒子の
走査型電子顕微鏡像である。
【図3】実施例1で得られた粉体(P1)中の微粒子の
切断面の透過型電子顕微鏡像である。
【図4】実施例2で得られた微粒子粉体中の微粒子の走
査型電子顕微鏡像である。
【図5】実施例8で得られた塗装品の分光透過率曲線で
ある。
【図6】比較例1で得られた塗装品の分光透過率曲線で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09C 1/04 PAE D01F 1/10 6/92 301 M Q D21H 17/67

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機化合物を60〜100重量%含み、表
    面に外向きに突出する先端を有する薄片部群を有する無
    機化合物微粒子。
  2. 【請求項2】1.0〜5.0の長短度を有する、請求項
    1に記載の無機化合物微粒子。
  3. 【請求項3】0.1〜10μmの数平均粒子径を有し、
    粒子径の変動係数が30%以下である、請求項1または
    2に記載の無機化合物微粒子。
  4. 【請求項4】中空である請求項1から3までのいずれか
    に記載の無機化合物微粒子。
  5. 【請求項5】前記薄片部群が2〜200の偏平度を有す
    る薄片部からなっている、請求項1から4までのいずれ
    かに記載の無機化合物微粒子。
  6. 【請求項6】前記薄片部が5〜1000nmの長径を有
    する、請求項5に記載の無機化合物微粒子。
  7. 【請求項7】前記無機化合物が、金属の、酸化物、水酸
    化物、炭化物、窒化物および硫化物からなる群から選ば
    れる少なくとも1つの金属化合物である、請求項1から
    6までのいずれかに記載の無機化合物微粒子。
  8. 【請求項8】前記無機化合物が金属酸化物である、請求
    項1から6までのいずれかに記載の無機化合物微粒子。
  9. 【請求項9】前記金属酸化物が酸化亜鉛である請求項8
    に記載の無機化合物微粒子。
  10. 【請求項10】亜鉛およびモノカルボン酸が少なくとも
    アルコールからなる媒体中に溶解または分散されている
    混合物(m)を100℃以上の温度に保持し、かつ、乳
    酸を共存させることにより、酸化亜鉛を60〜100重
    量%含み、表面に外向きに突出する先端を有する薄片状
    酸化亜鉛結晶群を有する無機化合物微粒子を析出させ
    る、無機化合物微粒子の製造方法。
  11. 【請求項11】(I)亜鉛源とモノカルボン酸とからな
    る混合物(n)を作る工程と、 (II)混合物(n)を少なくともアルコールからなる媒
    体と混合することにより、亜鉛およびモノカルボン酸が
    少なくともアルコールからなる媒体中に溶解または分散
    されている混合物(m)を作る工程と、 (III)混合物(m)を100℃以上の温度に保持するこ
    とにより、酸化亜鉛を60〜100重量%含み、表面に
    外向きに突出する先端を有する薄片状酸化亜鉛結晶群を
    有する無機化合物微粒子を析出させる工程と、を有し、
    工程I、工程IIおよび工程III からなる群から選ばれる
    少なくとも1つの工程において乳酸源を添加する請求項
    10に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】工程Iが、前記亜鉛源を前記モノカルボ
    ン酸と水との混合溶媒に溶解する工程を有する請求項1
    1に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】工程IIが、100℃以上の温度に保持さ
    れた少なくともアルコールからなる媒体に混合物(n)
    を添加して混合する工程を有する、請求項11または1
    2に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】前記乳酸源が、乳酸、金属乳酸塩および
    乳酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つで
    ある、請求項11から13までのいずれかに記載の製造
    方法。
  15. 【請求項15】前記乳酸源が金属乳酸塩であり、混合物
    (n)が乳酸源をも含有する、請求項11から14まで
    のいずれかに記載の製造方法。
  16. 【請求項16】前記亜鉛源が、酸化亜鉛、水酸化亜鉛お
    よび酢酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つの
    亜鉛化合物である、請求項11から15までのいずれか
    に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】前記モノカルボン酸が、1気圧で200
    ℃以下の沸点を有する飽和脂肪酸である、請求項10か
    ら16までのいずれかに記載の製造方法。
  18. 【請求項18】前記乳酸源の量が、乳酸の亜鉛に対する
    モル比で0.001〜0.4である、請求項10から1
    7までのいずれかに記載の製造方法。
  19. 【請求項19】請求項1から9までのいずれかに記載の
    無機化合物微粒子と、前記無機化合物微粒子を結合する
    被膜を形成しうるバインダー成分とを、これら両者の固
    形分合計重量に対して、前記無機化合物微粒子0.1〜
    99重量%、前記バインダー成分1〜99.9重量%の
    割合で含む塗料組成物。
  20. 【請求項20】前記無機化合物微粒子と前記バインダー
    成分の固形分合計重量が1〜80重量%であり、残部が
    溶媒である請求項19に記載の塗料組成物。
  21. 【請求項21】樹脂成形品、ガラスおよび紙からなる群
    から選ばれる1つの基材と、 請求項1から9までのいずれかに記載の無機化合物微粒
    子と、前記無機化合物微粒子を結合するバインダー成分
    とを、これら両者の合計重量に対して、前記無機化合物
    微粒子0.1〜99重量%、前記バインダー成分1〜9
    9.9重量%の割合で含み、前記基材の表面に形成され
    た塗膜と、を備えた塗装品。
  22. 【請求項22】前記樹脂成形品が、板、シート、フィル
    ムおよび繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つで
    ある、請求項21に記載の塗装品。
  23. 【請求項23】請求項1から9までのいずれかに記載の
    無機化合物微粒子と、前記無機化合物微粒子が分散され
    た連続相を形成しうる樹脂とを、これら両者の固形分合
    計重量に対して、前記無機化合物微粒子0.1〜99重
    量%、前記樹脂1〜99.9重量%の割合で含む樹脂組
    成物。
  24. 【請求項24】請求項23に記載の樹脂組成物を、板、
    シート、フィルムおよび繊維からなる群から選ばれる形
    状に成形した樹脂成形品。
  25. 【請求項25】抄造されたパルプと、前記パルプ中に分
    散された請求項1から9までのいずれかに記載の無機化
    合物微粒子とを備え、 前記無機化合物微粒子の量が前記パルプに対して0.0
    1〜50重量%である、紙。
  26. 【請求項26】請求項8または9に記載の無機化合物微
    粒子を0.1重量%以上含有する化粧料。
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