JPH07330878A - 多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリオールの製造法 - Google Patents

多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリオールの製造法

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JPH07330878A
JPH07330878A JP6143787A JP14378794A JPH07330878A JP H07330878 A JPH07330878 A JP H07330878A JP 6143787 A JP6143787 A JP 6143787A JP 14378794 A JP14378794 A JP 14378794A JP H07330878 A JPH07330878 A JP H07330878A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度、高耐熱性、耐水性及び耐加水分解性
に優れる高分子量の芳香族ポリウレタンの原料として有
用な多分岐脂肪族ー芳香族ポリエステルポリオールの製
造法を提供すること。 【構成】 芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル
を主成分とする酸成分と2、2ージアルキル置換ー1、
3ープロパンジオールを主成分とするジオール成分を特
定の比率で、錫化合物を主成分とする触媒を用いて、反
応の最終時には30Pa以下の減圧下、比較的低温且つ
短時間反応を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多分岐脂肪族−芳香族
ポリエステルポリオ−ルの製造方法に関する、更に詳し
くは、高分子量ポリウレタン樹脂を得るために有用な両
末端ヒドロキシ基を有する多分岐脂肪族−芳香族ポリエ
ステルポリオ−ルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】脂肪族ジカルボン酸もしくは脂環式ジカ
ルボン酸またはこれらの混合物からなる酸成分と脂肪族
ジオ−ルもしくは三官能性以上からのポリオ−ルまたは
これらの混合物からなるアルコ−ル成分から脱水重縮合
して得た脂肪族末端ヒドロキシル基含有ポリエステルポ
リオ−ル(以下、脂肪族ポリエステルポリオ−ルと記
す)はポリウレタンの原料として大量に使用されてい
る。これら脂肪族ポリエステルポリオ−ルの原料である
脂肪族ジオ−ルは一般にエチレングリコ−ル、プロピレ
ングリコ−ル、ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−
ル、1,6−ヘキサンジオ−ルがしばしば使用される。
特に、脂肪族ジオ−ルとして、分岐脂肪族ジオ−ルの
2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ−ル(以下、
DMPと記す)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プ
ロパンジオ−ル(以下、DMHと記す)、2−ペンチル
−2−プロピル−1,3−プロパンジオ−ル(以下、D
MNと記す)、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プ
ロパンジオ−ル(以下、DMUと記す)を使用した脂肪
族ポリエステルポリオ−ルを原料としたポリウレタン樹
脂の優れた物性が特開平2−86668号公報および特
開平2−86669号公報に開示されている。
【0003】脂肪族ポリエステルポリオ−ルを原料とし
たポリウレタン樹脂は、脂肪族−芳香族ポリエステルポ
リオ−ルを原料としたポリウレタン樹脂に比べて、強
度、耐熱性および耐候性等の面で劣るために、脂肪族−
芳香族ポリエステルポリオ−ルに注目が集まった。さら
に、近年、強度、耐熱性、耐候性に優れるとともに、耐
水性、耐加水分解性および透明性にも優れた多分岐脂肪
族−芳香族ポリエステルポリオ−ルの例が特開平6−1
00672号公報および特開平6−100674号公報
に開示されている。
【0004】脂肪族−芳香族ポリエステルの製造方法と
して、ブタンジオ−ルとテレフタル酸を原料としたポリ
エステル製造において、反応中にポリマーの分解により
副生するテトラヒドロフランの生成を抑制する製造法が
特開昭50−82196号公報、特開平1−27262
8号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、脂肪族
−芳香族ポリエステルポリオ−ルは脂肪族ポリエステル
ポリオ−ルに比べ、その生成反応であるエステル化反
応、若しくはエステル交換反応における反応速度が遅い
ことから、反応温度を高くしたり、反応時間を長くする
必要がある。そのため原料モノマ−、若しくはポリマー
の熱分解による不純物が発生し、製品の品質を低下させ
ている。特に、多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリ
オ−ルの製造の場合、例えばジオールとして2,2−ジ
アルキル置換−1,3−プロパンジオ−ルを使用した場
合は2位の4級炭素上のアルキル基の炭素数に比例して
アルキル基と4級炭素との結合エネルギ−が小さくな
り、従来のエステル重縮合反応では熱分解を受けてアル
デヒド、カルボン酸、アルコ−ル等の一官能基不純物が
発生することが指摘されている。更に、これらが該ポリ
エステルポリオールの末端に導入されることにより、片
末端ヒドロキシ基若しくは末端にヒドロキシ基の存在し
ないポリエステルポリオールが生成することになるとと
もに、着色の問題にもなる。
【0006】上述した問題をさけるために、エステル化
反応触媒またはエステル交換触媒を用いて、反応温度を
低くしたり、反応時間を短くする試みが検討されてい
る。例えば、硫酸、パラトルエンスルフォン酸(以下、
PTSAと記す)等のアレニウス酸触媒では着色の問題
が残り、チタン化合物やゲルマニウム化合物触媒では反
応温度が高すぎて、充分に原料の熱分解を抑えるに至ら
ず、多くの一官能基不純物が存在したままであった。
又、種々の熱安定剤の添加を検討したが一官能基不純物
発生を押さえるのに十分ではなっかった。
【0007】この様な多分岐脂肪族−芳香族ポリエステ
ルポリオ−ルはジイソシアネ−トとウレタン化反応をす
る際、上記の一官能基不純物に帰因する末端のヒドロキ
シ基の欠損のあるポリエステルポリオールはポリウレタ
ンの高分子量化を阻害するため、高分子量ポリウレタン
樹脂用原料として適切でなく、好ましい高分子量ポリウ
レタン樹脂用多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリオ
−ルが得られていないのが現状である。
【0008】すなわち、本発明の目的は、上記の問題点
を解決することを課題とし、ジオ−ル成分として2,2
−ジアルキル置換−1,3−プロパンジオ−ルを構成成
分とした高分子量ポリウレタン樹脂用分岐脂肪族−芳香
族ポリエステルポリオ−ルの製造方法において、着色が
なく、熱分解による一官能基不純物の発生を抑える製造
方法を提供するものである。本発明者らは鋭意研究を行
った結果、特定の2,2−ジアルキル置換−1,3−プ
ロパンジオ−ルを構成成分とする分岐脂肪族−芳香族ポ
リエステルポリオ−ルが上記の課題に対して優れた効果
があることを見い出し本発明に至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は以下の通りである。芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジ
カルボン酸エステルの1種以上からなる芳香族ジカルボ
ン酸成分を主成分とする酸成分の合計量を1モルに対し
て、2,2−ジアルキル置換−1,3−プロパンジオ−
ルを含む脂肪族ジオ−ルの合計量を1.05〜4モルの
比率で混合し、錫化合物を主成分とする触媒の存在下、
80〜200℃の温度で副生する水及び/又はアルコー
ルを系外に除去しつつ反応を行い、その理論量の85モ
ル%以上を除去した後、最終30Pa以下の減圧下に保
って反応を進め、全反応時間を1〜18時間の範囲に保
って重縮合反応を行うことを特徴とする数平均分子量が
500〜10000である多分岐脂肪族−芳香族ポリエ
ステルポリオ−ルの製造法。
【0010】本発明において好ましい態様として2,2
−ジアルキル置換−1,3−プロパンジオ−ルのアルキ
ル基は炭素数2〜6個の同一又は異なるアルキル基が好
ましく、全脂肪族ジオ−ルのうち2,2−ジアルキル置
換−1,3−プロパンジオ−ルの濃度は50〜100モ
ル%よりなることが好ましい。また、錫化合物触媒とし
てモノアルキル錫トリハライド、モノアルキル錫トリカ
ルボキシレート、ジアルキル錫ジハライド、ジアルキル
錫ジカルボキシレートもしくはジアルキル錫オキサイド
の1種以上を選択することが好ましい。更に、反応温度
は130〜180℃が特に好ましい。
【0011】次に本発明で使用される原料について説明
する。本発明で用いられるジオ−ル成分のうちの主成分
である2,2−ジアルキル置換−1,3−プロパンジオ
−ル成分はそのアルキル基は前述したように炭素数2〜
6個の同一又は異なるアルキル基であり、直鎖状又は分
岐アルキル基である。即ち、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基又はへキシル基から選ばれる。これ
らのうちDMP、DMH、DMN及びDMUが特に好ま
しい。これらのうちの1種以上を任意に選択することが
できる。
【0012】2,2−ジアルキル置換−1,3−プロパ
ンジオ−ル以外の他の脂肪族ジオ−ルとしては特に限定
されないが、エチレングリコ−ル、1,3−プロパンジ
オール、1,4ーブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ
−ル、2,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ
ール、3ーメチルペンタンジオール、2ーエチルー1,
3ーヘキサンジオール、2,2,4−トリメチルー1,
3ーペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2ー
メチルー1、8ーオクタンジオール、ネオペンチルグリ
コ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,4ーシクロヘ
キサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコ−
ルの脂肪族類および脂環族ジオ−ル類が好ましく用いら
れ、また、必要に応じては多分岐脂肪族−芳香族ポリエ
ステルポリオ−ルの特性が大きく変化しない範囲で、例
えばペンタエリスリト−ル、グリセリン等の三又は四価
のポリオール等を含有してもよい。これら脂肪族ジオ−
ルは少なくとも1種類もしくは2種類以上の任意の組合
せで使用することが出来る。
【0013】全脂肪族ジオ−ルに対する2,2−ジアル
キル置換−1,3−プロパンジオ−ルの濃度は50〜1
00モル%が好ましい。2,2−ジアルキル置換−1,
3−プロパンジオ−ルが大になるにつれ、得られたポリ
ウレタンの耐水性、耐加水分解性および耐候性が向上す
る。
【0014】本発明において用いられる芳香族ジカルボ
ン酸成分としては芳香族ジカルボン酸および芳香族ジカ
ルボン酸エステルが挙げられる。芳香族ジカルボン酸と
して特に限定されないが、テレフタル酸、イソフタル
酸、オルソフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸等が特に好ましい。また、5ーメチルイソフタル酸
等の側鎖を有する芳香族ジカルボン酸、更に、1,2−
ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、ビス(4ーカ
ルボキシフェニル)スルフォン、ビスフェノルジカルボ
ン酸あるいはビス(4ーカルボキシフェニル)オキサイ
ド等の多核ジカルボン酸も必要により使用することがで
きる。芳香族ジカルボン酸エステルとしてはこれらのジ
カルボン酸と低級アルコールとのモノ又はジエステルす
なわち、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチ
ル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル等が
好適に使用される。これらの芳香族ジカルボン酸及びそ
のエステルの1種以上を全酸成分の50モル%以上使用
することができる。
【0015】該芳香族ジカルボン酸成分以外の酸成分と
してとしては特に限定されないが、全酸成分の50モル
%以下の範囲でアジピン酸、セバシン酸、シュウ酸、シ
クロヘキサンジカルボン酸等などの脂肪族ジカルボン酸
類を使用することができ、また、必要に応じて、ポリカ
ルボン酸をも使用することができる。
【0016】触媒として使用される錫化合物としては酸
化第1錫等の無機化合物、モノアルキル錫トリハライ
ド、モノアルキル錫トリカルボキシレート、ジアルキル
錫ジハライド、ジアルキル錫ジカルボキシレートもしく
はジアルキル錫オキサイド等のアルキル基含有錫化合物
あるいはオクチル酸錫などの錫塩が用いられる。これら
のうちの1種以上を全触媒当たり70モル%以上含有す
る触媒が用いられる。これらのうちではモノアルキル錫
トリカルボキシレート、ジアルキル錫ジハライド、ジア
ルキル錫ジカルボキシレートもしくはジアルキル錫オキ
サイド等のアルキル基含有錫化合物が特に好ましい。具
体例として、モノブチル錫トリクロライド、モノブチル
錫オキサイド、モノブチル錫脂肪酸塩、ジブチル錫ジク
ロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレ
−ト、ジブチル錫ジオクタノエ−ト、ジブチル錫ジアセ
テ−ト、トリブチル錫ヒドロオキサイド等を挙げること
ができる。
【0017】全触媒成分の30モル%以下の範囲で錫化
合物以外の触媒成分を使用することができるがこれらは
特に限定されるものではない。例えば、テトラメチルゲ
ルマニウム、テトラフェニルゲルマニウム、トリメチル
ゲルマニウムクロライド、酸化ゲルマニウム等のゲルマ
ニウム化合物、ステアリン酸鉛、テトラエチル鉛、テト
ラフェニル鉛、酸化鉛等の鉛化合物、酢酸マンガン、酢
酸カルシウム、酢酸亜鉛、ジブチル酸化チタン、三酸化
アンチモン、チタンテトラブトキシドあるいは硫酸、P
TSA等のアレニウス酸などを挙げることができる。
【0018】本発明の多分岐脂肪酸−芳香族ポリエステ
ルポリオ−ルの製造方法について説明する。芳香族ジカ
ルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステルからなる芳香族
ジカルボン酸成分を50モル%以上含有する酸成分1モ
ルに対して2,2−ジアルキル置換−1,3−プロパン
ジオ−ルを含む脂肪族ジオ−ルを1.05〜4モルの比
率で反応させる。より好ましい比率は酸成分1モルに対
して脂肪族ジオール1.2〜2モルである。脂肪族ジオ
ールが上限を越えると反応容器が不必要に大になり生産
性が低下し、下限未満の場合反応に長時間を要し、反応
がなかなか終結しない。
【0019】反応触媒として錫化合物を70モル%以上
含む触媒を生成するポリエステルポリオールに対し50
〜10000ppm使用される。より好ましくは100
〜3000ppmである。50ppm未満の場合に、エ
ステル化反応に触媒効果が発現せず、反応に長時間を要
し原料から多くの熱分解物を発生し問題であり、100
00ppmを越える場合は本発明の多分岐脂肪族−芳香
族ポリエステルポリオ−ルを原料にしたポリウレタンは
局所的に高分子量化し、粘度が部分的に異なり、品質に
問題を生じる。
【0020】本発明の方法におけるエステル化又はエス
テル交換反応は2段階で行われる。最初の段階ではエス
テル化反応またはエステル交換反応を原料の芳香族ジカ
ルボン酸成分とジオ−ル成分を理論量の85モル%以上
を反応させてエステルオリゴマ−を得、第2段階で該エ
ステルオリゴマーを重縮合させて多分岐脂肪族ー芳香族
ポリエステルポリオールを得ることができる。
【0021】本発明でのエステル化反応またはエステル
交換反応に触媒として錫化合物を用いると、反応時間が
従来の製造方法では考えられなかったが、驚くべきこと
に4割以上も反応時間を短縮できた。さらに驚くべきこ
とには、反応温度も、従来の触媒では200℃を越える
のに対し、本発明の方法では80〜200℃と低温側に
シフトしていることである。さらに好ましい反応温度は
130〜180℃である。この様な低温反応が可能であ
ること及び高活性であることは反応時間も短縮させるこ
とが可能になり、本発明の完成に大きく貢献することが
できた。反応温度が80℃未満では錫化合物が実用上十
分な触媒活性を発現することが出来ず、反応温度が20
0℃を越えると触媒が熱分解するとともに原料もしくは
オリゴマーの熱分解による前述した一官能性不純物の発
生を生じ、その結果末端ヒドロキシ基の欠損のあるポリ
エステルポリオールを生成し好ましくない。
【0022】本発明において触媒の仕込時期は初期の原
料仕込工程、加熱昇温工程、反応工程のいづれの工程時
期でも良いが、エステル化反応またはエステル交換反応
の始まる温度以前に仕込まれていることが好ましい。触
媒の仕込方法は一括でも逐次少量ずつ加えても構わな
い。
【0023】本発明の高分子量ポリウレタン樹脂用多分
岐−芳香族ポリエステルポリオ−ルの製造方法における
酸成分と脂肪族ジオールの仕込順番は、いづれが先であ
っても構わない。酸とジオ−ルの仕込方法は一括でも逐
次少量ずつ加えても構わない。仕込時期はエステル化反
応またはエステル交換反応の始まる温度以前に初期の加
熱前工程、加熱昇温工程のいづれの工程時期に仕込まれ
ていても良い。
【0024】本発明のエステル化反応またはエステル交
換反応は窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスの
雰囲気下で行うことが好ましい。空気中での反応は多分
岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリオ−ルの酸化分解反
応を起こし易く、原料の熱分解を助長して着色等により
品質を低下させることになる。第1段階の反応は常圧又
は減圧下0.5〜17時間行い、その後、第2段階で最
終30Pa以下の減圧下に0.5〜5時間反応を行う。
全反応時間は1〜18時間である。
【0025】これら各段階の反応は連続的に行われて
も、又不連続的に行われても構わない。更に、必要によ
り反応時に熱安定剤を添加することができる。熱安定剤
としては、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニルなど
のリン酸化合物、イルガノックス1010などのヒンダ
−ドフェノ−ル系化合物を使用してもよい。更に、製品
の品質や特性が変わらない範囲でその他の添加剤を加え
てもよい。
【0026】この様にして無色透明の固形物である分岐
脂肪族ー芳香族ポリエステルポリオールを得ることがで
きる。該ポリエステルポリオールのJISK0070に
より測定された数平均分子量は500〜10000であ
り、より好ましくは2000〜7000である。分子量
500未満では脆く、機械強度が小さいポリウレタンし
か得られず、分子量10000を越える場合、その合成
反応に長時間を要するため、一官能不純物を多く発生
し、そのため末端ヒドロキシル基の欠損のあるポリエス
テルポリエーテルしか得られず、高分子量ポリウレタン
用原料としては好ましくない。ここで、数平均分子量は
下式で算出された値であり、Mは数平均分子量、Miは
各分子量、niは分子量Miの分子の数を示す。
【0027】本発明の製造方法により得られた多分岐脂
肪族−芳香族ポリエステルポリオ−ルとジイソシアネ−
トを公知の反応によりポリウレタンを得ることが出来
る。使用されるジイソシアネ−トは公知の如何なる物で
あっても使用できる。例えば、ヘキサメチレンジイソシ
アネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、4,4’−ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、2,4−トリ
レンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ
−ト、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(以
下、MDIと記す)、キシリレンジイソシアネ−トを挙
げることができる。
【0028】更に、必要に応じて鎖長剤を用いることも
できる。鎖長剤としてはヒドラジン、エチレンジアミ
ン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類を
挙げることができるが、必要に応じて、上記の公知のジ
イソシアネ−ト又は前述した脂肪族ジオ−ル類であって
も構わない。鎖長剤は単独もしくは2種類以上を任意に
選ぶことが出来る。
【0029】本発明の方法で製造したポリエステルポリ
オールとジイソシアネ−トからのポリウレタンの製造に
おいてポリイソシアネ−トを イソシアネート基/ヒド
ロキシル基=1 近傍で反応を行うことで高分子量ポリ
ウレタンを得易く、好ましくは0.9〜1.2、より好
ましくは0.95〜1.10の範囲である。この範囲を
外れると高分子量ポリウレタンは得にくい。ポリウレタ
ンの製造方法は公知のワンショット法、プレポリマ−法
のいづれでも構わない。必要に応じては、オクチル酸錫
などのウレタン化触媒を用いて良い。
【0030】このウレタン化反応は溶媒を使用するのが
好ましく、該良溶媒として、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケ
トン類やトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢
酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類やメチルセロソル
ブアセテ−ト、テトラヒドロフランが挙げられる。これ
ら条件下で多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリオ−
ルとジイソシアネ−トを反応せしめたポリウレタンは、
驚くべきことに、従来の芳香族ポリエステルポリオ−ル
から得ることのできない高分子量のポリウレタン樹脂を
得ることができ、この結果、この高分子量ポリウレタン
樹脂に高強度、高耐熱、耐加水分解性および耐水性等の
特性を発現させることを可能にした。本発明で言う高分
子量ポリウレタンの分子量はGPCで測定したポリスチ
レン換算数平均分子量で20000以上であり、好まし
くは50000以上である。
【0031】本発明の製造法により高分子量のポリウレ
タンが得られた原因として必ずしも定量的に把握してい
るわけではないが以下のように推定される。すなわち、
触媒として錫化合物を選択するとともに原料混合比を特
定の範囲に保ち、且つ反応を特定の減圧下で行うことに
より反応温度を低温化するとともに、反応時間を短縮す
ることを可能にし、よって2,2−ジアルキル置換−
1,3−プロパンジオ−ルを含む原料及びポリエステル
ポリオールの熱分解および酸化が大いに抑えられた結果
として、多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリオ−ル
の製造時に一官能基副生成物の生成量を極めて少なくし
たことが原因と推定できる。ここで、多分岐脂肪族−芳
香族ポリエステルポリオ−ルを原料とした高分子量ポリ
ウレタン樹脂は高分子量故に優れた機械強度を有し、構
成成分である特定2,2−ジアルキル置換−1,3−プ
ロパンジオ−ルが疎水性アルキル基をもつ故に耐水性、
耐加水分解性および耐候性に優れ、構成成分に芳香族基
をもつ故に耐熱性および耐候性も有すると推定される。
【0032】本発明の方法で製造した多分岐脂肪族−芳
香族ポリエステルポリオ−ルの用途としては高分子量ポ
リウレタン樹脂の原料以外にも、塗料、接着剤および成
形体等、又はそれらの原料として広い分野に有用なもの
である。
【0033】
【実施例】次に実施例及び比較例で本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。実施例および比較例中に示されたサンプル処理、
物性測定は以下の通り行われた。 1:サンプル処理 (1)フィルム作成 ポリウレタン溶液を0.5mm厚みのバ−コ−タでポリ
エステルフィルム上に塗工して、100℃の熱風循環乾
燥機で約3時間トルエン溶媒を除去して厚さ0.05m
mのフィルムを得た。 (2)加水分解処理 10%水酸化ナトリウム水溶液を70℃に加熱し、これ
に上記フィルムを4時間浸漬させて、フィルムの色の変
化を観察した。 (3)ポリウレタン分子量測定 GPC(ゲルパ−ミエ−ションクロマトッグラフィ)に
よって、テトラヒドロフラン1.0ml/分の流量で測
定した。 2:物性測定 (1)機械強度 東洋精機(株)ストログラフを用いて、上記の作成した
フィルムを20mm/分の引張り速度で測定した。実施
例表1中の機械強度で○は破断強度が40MPa以上の
高強度高弾性の性質を示し、△は破断強度10〜40M
Paの性質を示し、×は破断強度10MPa未満か脆く
て測定不可能の物を示す。 (2)加水分解 上記のサンプル処理をしたフィルムにおいて、表1中の
加水分解性で○は表面の色の変化がまったく無いことを
示し、△は少し白濁を生じたか白濁をしはじめたことを
示す、×は完全に白濁したことを示す。
【0034】(実施例1)温度計、攪はん機、窒素導入
管、コンデンサおよび減圧導管等を備えた反応系容器に
ジメチルテレフタレ−ト(以下、DMTと記す)19
1.6g、DMH352.8g、ジブチル錫ジラウレー
ト0.45gを一括して仕込み、系内を窒素雰囲気とし
た。140〜150℃に加熱し5.5時間エステル交換
反応を行った。生成したメタノ−ル74gを留出させ、
ポリエステルオリゴマ−を得た。次に、ポリエステルオ
リゴマ−の重縮合を行うためと過剰のDMHを抜き出す
ために、同温度で0.5時間反応容器内を300Paで
減圧しDMHを抜き出した。さらに、30Paまで減圧
し、2.5時間反応させて、過剰なDMH169gを取
り出し、水酸基価59.5mgKOH/g,数平均分子
量1880の透明なポリエステルポリオ−ル約288g
を得た。続いて、このポリエステルポリオ−ル30gと
MDI3.6gをトルエン78gに溶かして、固形分濃
度30%溶液とした。窒素雰囲気下80℃で3時間反応
させると、数平均分子量23300のポリウレタンを含
む溶液を得た。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】(実施例2)実施例1と同じ容器にイソフ
タル酸158.1g、DMH352.8g、ジブチル酸
化錫0.45gおよび酸化ゲルマニウム0.09gを一
括して仕込み、系内を窒素雰囲気とした。145〜15
5℃に加熱し9時間エステル化反応を行った。反応は生
成水約33gを留出させることによって、ポリエステル
オリゴマ−を得た。この時酸価は2.5mgKOH/g
であった。次に、ポリエステルオリゴマ−の重縮合を行
うためと過剰のDMHを抜き出すために、同温度で0.
5時間反応容器内を300Paで減圧し、DMHを抜き
出した。さらに、系内を30Paまで減圧し、2.5時
間反応させて、過剰なDMH169gを取り出し、水酸
基価57.4mgKOH/g,数平均分子量1950の
無色透明なポリエステルポリオ−ル約292gを得た。
続いて、このポリエステルポリオ−ル30gとMDI
3.6gをトルエン78gに溶かして、固形分濃度30
%溶液とした。窒素雰囲気下80℃で3時間反応させる
と、数平均分子量83000のポリウレタンを含む無色
透明な溶液を得た。結果を表1に示す。
【0037】(実施例3)実施例1と同じ容器にテレフ
タル酸79.1g、イソフタル酸78.9g、DMH3
53.1g、ジブチル酸化錫0.60gを一括して仕込
み、窒素雰囲気とした。145〜155℃で加熱し8.
5時間エステル化反応を行った。生成水約33gを留出
させポリエステルオリゴマ−を得た。この時酸価は0.
7mgKOH/gであった。次に、ポリエステルオリゴ
マ−の重縮合を行うためと過剰のDMHを抜き出すため
に、同温度で0.5時間反応容器内を300Paで減圧
しDMHを抜き出した。さらに、系内を30Paまで減
圧し、2.5時間反応させて、過剰なDMH169gを
取り出し、水酸基価55.5mgKOH/g,数平均分
子量2030の無色透明なポリエステルポリオ−ル約2
90gを得た。続いて、このポリエステルポリオ−ル3
0gとMDI3.6gをトルエン78gに溶かして、固
形分濃度30%溶液とした。窒素雰囲気下80℃で3時
間反応させると、数平均分子量104000のポリウレ
タンを含む無色透明の溶液を得た。結果を表1に示す。
【0038】(実施例4)実施例1と同じ容器にDMT
192.0g、DMP291.5g及びジブチル錫ジク
ロライド0.42gを一括して仕込み、系内を窒素雰囲
気とした。150〜160℃で加熱し6時間エステル交
換反応を行った。生成したメタノール75gを留出させ
ポリエステルオリゴマ−を得た。次に、ポリエステルオ
リゴマ−の重縮合行うためと過剰のDMHを抜き出すた
めに、同温度で0.5時間反応容器内を300Paで減
圧し、さらに、系内を30Paまで減圧し、2.5時間
反応させて、過剰なDMP140gを取り出し、水酸基
価55.5mgKOH/g,数平均分子量2030の無
色透明なポリエステルポリオ−ル約268gを得た。続
いて、このポリエステルポリオ−ル30gとMDI3.
6gをトルエン78gに溶かして、固形分濃度30%溶
液とした。窒素雰囲気下80℃で3時間反応させると、
数平均分子量102000のポリウレタンを含む淡黄色
の溶液を得た。
【0039】(実施例5)実施例1と同じ容器にDMT
97.1g、イソフタル酸ジメチル95.7g、DMP
293.0g、及びジブチル錫ジクロライド0.40g
を一括して仕込み、系内を窒素雰囲気とした。150〜
160℃で加熱し3.5時間エステル交換反応を行っ
た。生成したメタノール77gを留出させポリエステル
オリゴマ−を得た。次に、ポリエステルオリゴマ−の重
縮合行うためと過剰のDMHを抜き出すために、同温度
で0.5時間反応容器内を300Paで減圧し、さら
に、系内を30Paまで減圧し、2.5時間反応させ
て、過剰なDMP140gを取り出し、水酸基価54.
3mgKOH/g,数平均分子量2070の無色透明な
ポリエステルポリオ−ル約268gを得た。続いて、こ
のポリエステルポリオ−ル30gとMDI3.6gをト
ルエン78gに溶かして、固形分濃度30%溶液とし
た。窒素雰囲気下80℃で3時間反応させると、数平均
分子量168000のポリウレタンを含む淡黄色の溶液
を得た。
【0040】(比較例1)実施例1と同じ容器にテレフ
タル酸79.0g、イソフタル酸78.8g、DMH3
51.3g、トリブトキシチタン0.30gを一括して
仕込み、系内を窒素雰囲気とした。200〜210℃に
加熱しエステル化反応が終了するのに23時間を要し
た。反応は生成水約32gを留出させ、ポリエステルオ
リゴマ−を得た。この時酸価は3.6mgKOH/gで
あった。次に、ポリエステルオリゴマ−の重縮合を行う
ためと過剰のDMHを抜き出すために、同温度で0.5
時間反応容器内を300Paで減圧しDMHを抜き出し
た。さらに、系内を30Paまで減圧し、2.5時間反
応させて、過剰なDMH169gを取り出し、水酸基価
56.0mgKOH/g,数平均分子量2000の淡黄
色なポリエステルポリオ−ル約292gを得た。続い
て、このポリエステルポリオ−ル30gとMDI3.6
gをトルエン78gに溶かして、固形分濃度30%溶液
とした。窒素雰囲気下80℃で3時間反応させると、数
平均分子量8000のポリウレタンを含む黄褐色の溶液
を得た。結果を表1に示す。
【0041】(比較例2)実施例1と同じ容器にテレフ
タル酸80.0g、イソフタル酸78.1g、DMH3
51.3g、パラトルエンスルフォン酸0.90gを一
括して仕込み、系内を窒素雰囲気とした。155〜16
5℃に加熱しエステル化反応が終了するのに6時間を要
した。反応は生成水約34gを留出させ、褐色なポリエ
ステルオリゴマ−を得た。この時酸価は11.9mgK
OH/gであった。次に、ポリエステルオリゴマ−の重
縮合を行うためと過剰のDMHを抜き出すために、同温
度で0.5時間反応容器内を300Paで減圧し、DM
Hを抜き出した。さらに、系内を30Paまで減圧し、
2.5時間反応させて、過剰なDMH169gを取り出
し、水酸基価101.8mgKOH/g,数平均分子量
1100と低分子量で、褐色なポリエステルポリオ−ル
約294gを得た。続いて、このポリエステルポリオ−
ル30gとMDI3.6gをトルエン78gに溶かし
て、固形分濃度30%溶液とした。窒素雰囲気80℃で
5時間反応させると、数平均分子量9500のポリウレ
タンを含む黒褐色の溶液を得た。結果を表1に示す。
【0042】(比較例3)実施例1と同じ容器にDMT
192.2g、DMH229.4g、酸化錫0.45g
を一括して仕込み、系内を窒素雰囲気とした。140〜
150℃で加熱し3時間エステル交換反応を行った。反
応は生成メタノ−ル75gを留出させ、ポリエステルオ
リゴマ−を得た。次に、ポリエステルオリゴマ−の重縮
合を行うためと過剰のDMHを抜き出すために、同温度
で0.5時間反応容器内を300Paで減圧し、DMH
を抜き出した。さらに、系内を30Paまで減圧し、
2.5時間反応させて、過剰なDMH169gを取り出
し、水酸基価53.3mmKOH/g,数平均分子量2
100の無色透明なポリエステルポリオ−ル約298g
を得た。続いて、このポリエステルポリオ−ル30gと
MDI3.6gをトルエン78gに溶かして、固形分濃
度30%溶液とした。窒素雰囲気80℃で6時間反応さ
せると、数平均分子量10800のポリウレタンを含む
溶液を得た。結果を表1に示す。
【0043】表1から明かなように本発明の方法で得ら
れた多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリオ−ルは芳
香族ポリウレタンの原料として、高分子量ウレタンを得
るのに好適であり、外観も無色透明なポリウレタンを得
ることが出来た。しかも、機械強度と耐加水分解性は従
来の脂肪族ポリウレタンに比べて優れていた。
【0044】
【発明の効果】本発明の製造法で得られた高分子量ポリ
ウレタン樹脂用多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリ
オ−ルの製造方法は従来の製造法に比べて反応の低温化
かつ短時間化を可能にしたために加熱等の製造コスト面
及び生産性の面で大きなメリットになるとともに、従来
の製造方法では困難であった高分子量ポリウレタンの製
造を可能とし、その結果得られた高分子量の芳香族ポリ
ウレタンは高強度、高耐熱、耐水および耐加水分解性に
優れ、その工業的意義は大きい。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボ
    ン酸エステルの1種以上からなる芳香族ジカルボン酸成
    分を主成分とする酸成分の合計量を1モルに対して、
    2,2−ジアルキル置換−1,3−プロパンジオ−ルを
    含む脂肪族ジオ−ルの合計量を1.05〜4モルの比率
    で混合し、錫化合物を主成分とする触媒の存在下、80
    〜200℃の温度で副生する水及び/又はアルコールを
    系外に除去しつつ反応を行い、その理論量の85モル%
    以上を除去した後、最終30Pa以下の減圧下で反応を
    進め、全反応時間を1〜18時間の範囲に保って重縮合
    反応を行うことを特徴とする数平均分子量が500〜1
    0000である多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリ
    オ−ルの製造法。
  2. 【請求項2】 2,2−ジアルキル置換−1,3−プロ
    パンジオ−ルのアルキル基が炭素数2〜6個の同一又は
    異なる直鎖又は分岐アルキル基から選ばれることを特徴
    とする請求項1に記載の多分岐脂肪族−芳香族ポリエス
    テルポリオ−ルの製造法。
  3. 【請求項3】 全脂肪族ジオ−ルのうち2,2−ジアル
    キル置換−1,3−プロパンジオ−ル濃度が50〜10
    0モル%よりなることを特徴とする請求項1若しくは2
    に記載の多分岐脂肪族−芳香族ポリエステルポリオ−ル
    の製造法。
  4. 【請求項4】 錫化合物触媒がモノアルキル錫トリハラ
    イド、モノアルキル錫トリカルボキシレート、ジアルキ
    ル錫ジハライド、ジアルキル錫ジカルボキシレートもし
    くはジアルキル錫オキサイドの1種以上であることを特
    徴とする請求項1、2若しくは3に記載の製造法。
  5. 【請求項5】 反応温度が130〜180℃である請求
    項1、2、3若しくは4に記載の製造法。
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