JPH0734191A - 深絞り性及び化成処理性に優れた高強度冷延鋼板 - Google Patents
深絞り性及び化成処理性に優れた高強度冷延鋼板Info
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- JPH0734191A JPH0734191A JP17428993A JP17428993A JPH0734191A JP H0734191 A JPH0734191 A JP H0734191A JP 17428993 A JP17428993 A JP 17428993A JP 17428993 A JP17428993 A JP 17428993A JP H0734191 A JPH0734191 A JP H0734191A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 強化成分としてSi、Mn及びPを含み、かつB
並びにTi及びNbの1種又は2種を含有する冷延鋼板であ
って、上記Si,Mn及びPは、それらの各含有量〔%S
i〕,〔%Mn〕,〔%P〕の関係で定めるE値が、次式 【数1】E=6+ 2.5〔%Si〕+ 0.5〔%Mn〕+10.5
〔%P〕≧7 を満足し、板厚中心面における板面に平行な{222 }面
強度I(222) の、板面に平行な{200 }面強度I(200)
に対するX線回折強度比I=I(222) /I(200)が、上
記E値との関係でI×E≧240 を満たし、少なくとも片
方の鋼板表面から厚み方向へ100 μm までの層の平均炭
素濃度とそれより厚み方向内側の平均炭素濃度との差
(ΔC)が、全厚における平均炭素濃度の20%以上であ
る冷延鋼板。 【効果】 従来よりも格段に優れた強度−加工性バラン
スを有し、しかも化成処理性にも優れるものであり、自
動車用のパネル等として特に有用である。
並びにTi及びNbの1種又は2種を含有する冷延鋼板であ
って、上記Si,Mn及びPは、それらの各含有量〔%S
i〕,〔%Mn〕,〔%P〕の関係で定めるE値が、次式 【数1】E=6+ 2.5〔%Si〕+ 0.5〔%Mn〕+10.5
〔%P〕≧7 を満足し、板厚中心面における板面に平行な{222 }面
強度I(222) の、板面に平行な{200 }面強度I(200)
に対するX線回折強度比I=I(222) /I(200)が、上
記E値との関係でI×E≧240 を満たし、少なくとも片
方の鋼板表面から厚み方向へ100 μm までの層の平均炭
素濃度とそれより厚み方向内側の平均炭素濃度との差
(ΔC)が、全厚における平均炭素濃度の20%以上であ
る冷延鋼板。 【効果】 従来よりも格段に優れた強度−加工性バラン
スを有し、しかも化成処理性にも優れるものであり、自
動車用のパネル等として特に有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車用鋼板等の使
途に有用な深絞り性及び化成処理性に優れた高強度冷延
鋼板に関するものである。
途に有用な深絞り性及び化成処理性に優れた高強度冷延
鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のパネル等に使用される冷延鋼板
には、優れた深絞り性が要求される。このように鋼板が
優れた深絞り性を示すためには、鋼板の機械的特性とし
て、高いr値(ランクフォード値)と良好な延性(El.
)とをそなえていることが必要である。
には、優れた深絞り性が要求される。このように鋼板が
優れた深絞り性を示すためには、鋼板の機械的特性とし
て、高いr値(ランクフォード値)と良好な延性(El.
)とをそなえていることが必要である。
【0003】深絞り性の改善のためには各種の方法が提
案されている。例えば特公昭44-17268号公報、特公昭44
-17269号公報及び特公昭44-17270号公報には、低炭素リ
ムド鋼に2回冷延−焼鈍を施すことにより、r値を2.18
まで高めた冷延鋼板の製造方法が開示されている。しか
しながらこれらの方法は、冷間圧延と再結晶焼鈍とを2
回ずつ行わなければならず、そのために要するエネルギ
ー及びコストは莫大なものとなる。
案されている。例えば特公昭44-17268号公報、特公昭44
-17269号公報及び特公昭44-17270号公報には、低炭素リ
ムド鋼に2回冷延−焼鈍を施すことにより、r値を2.18
まで高めた冷延鋼板の製造方法が開示されている。しか
しながらこれらの方法は、冷間圧延と再結晶焼鈍とを2
回ずつ行わなければならず、そのために要するエネルギ
ー及びコストは莫大なものとなる。
【0004】一方、近年になって自動車の車体軽量化及
び安全性向上を目的として、引張強さが35〜60kgf/mm2
の如き、より高強度の鋼板を用いようとする機運が急速
に高まってきた。このように高強度の鋼板であっても、
プレス成形の際は、優れた深絞り性を示すことが要求さ
れることは言うまでもなく、したがって、より高強度で
かつ従来鋼と比べても同等以上の高いr値と優れた延性
とをそなえる鋼板について研究開発が進められている。
び安全性向上を目的として、引張強さが35〜60kgf/mm2
の如き、より高強度の鋼板を用いようとする機運が急速
に高まってきた。このように高強度の鋼板であっても、
プレス成形の際は、優れた深絞り性を示すことが要求さ
れることは言うまでもなく、したがって、より高強度で
かつ従来鋼と比べても同等以上の高いr値と優れた延性
とをそなえる鋼板について研究開発が進められている。
【0005】このような深絞り用高強度冷延鋼板の製造
には、Si、Mn、P等を強化成分として含有させた低炭素
Alキルド鋼を、通常の熱間圧延を施した後に冷間圧延を
行い、引き続き再結晶焼鈍を施すことが一般的であっ
た。しかしながら、高強度を得るためには上記の強化成
分を多量に含有させなければならず、そのため深絞り性
に好ましくない集合組織が形成され、r値の低い鋼板し
か得られていなかった。したがって、引張強さ(T.S.)
とr値との積で評価する強度−加工性バランスは、従来
の35kgf/mm2 以上の高強度冷延鋼板では、100 に満たな
い値しか得られず、そのため十分なプレス成形性を具備
していなかった。引張強度が35kgf/mm2 以上の高強度冷
延鋼板をプレス成形するためには、引張強さとr値との
積(TS×r)が100 以上であることが必要であり、こ
の関係を満足する鋼板が安定して得られなければ、高強
度冷延鋼板のプレス成形が満足できない。
には、Si、Mn、P等を強化成分として含有させた低炭素
Alキルド鋼を、通常の熱間圧延を施した後に冷間圧延を
行い、引き続き再結晶焼鈍を施すことが一般的であっ
た。しかしながら、高強度を得るためには上記の強化成
分を多量に含有させなければならず、そのため深絞り性
に好ましくない集合組織が形成され、r値の低い鋼板し
か得られていなかった。したがって、引張強さ(T.S.)
とr値との積で評価する強度−加工性バランスは、従来
の35kgf/mm2 以上の高強度冷延鋼板では、100 に満たな
い値しか得られず、そのため十分なプレス成形性を具備
していなかった。引張強度が35kgf/mm2 以上の高強度冷
延鋼板をプレス成形するためには、引張強さとr値との
積(TS×r)が100 以上であることが必要であり、こ
の関係を満足する鋼板が安定して得られなければ、高強
度冷延鋼板のプレス成形が満足できない。
【0006】また、自動車用鋼板に要求される特性とし
て化成処理性があるが、前述したように従来の高強度冷
延鋼板では、高強度化のためにSi、Mn、P等を多量に含
有させているため、化成処理性が著しく劣化していると
いう問題があった。
て化成処理性があるが、前述したように従来の高強度冷
延鋼板では、高強度化のためにSi、Mn、P等を多量に含
有させているため、化成処理性が著しく劣化していると
いう問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、鋼板の成分、結晶方位及び
鋼板表面の炭素濃度を規制することにより、引張強さが
35kgf/mm2 以上でかつTS×rが100 以上の特性を有
し、かつ化成処理性に優れた高強度冷延鋼板を提案する
ことを目的とする。
題を有利に解決するもので、鋼板の成分、結晶方位及び
鋼板表面の炭素濃度を規制することにより、引張強さが
35kgf/mm2 以上でかつTS×rが100 以上の特性を有
し、かつ化成処理性に優れた高強度冷延鋼板を提案する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、深絞り性を
向上させるべく鋭意研究を重ねた結果、以下のように鋼
成分、結晶方位及び鋼板表面炭素濃度を限定した高強度
冷延鋼板が、優れた深絞り性と化成処理性とを有するこ
とを見出した。
向上させるべく鋭意研究を重ねた結果、以下のように鋼
成分、結晶方位及び鋼板表面炭素濃度を限定した高強度
冷延鋼板が、優れた深絞り性と化成処理性とを有するこ
とを見出した。
【0009】この発明の要旨構成は次のとおりである。 (1) C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以下、Mn:3.0 wt
%以下、B:0.0001〜0.0080wt%、Al:0.01〜0.20wt
%、P:0.01〜0.20wt%、S:0.05wt%以下及びN:0.
01wt%以下を含み、さらにTi:0.01〜0.2 wt%及びNb:
0.001 〜0.2 wt%の1種又は2種を含有し、かつ上記S
i,Mn,Pは、それらの各含有量〔%Si〕,〔%Mn〕,
〔%P〕の関係で定めるE値が、次式
%以下、B:0.0001〜0.0080wt%、Al:0.01〜0.20wt
%、P:0.01〜0.20wt%、S:0.05wt%以下及びN:0.
01wt%以下を含み、さらにTi:0.01〜0.2 wt%及びNb:
0.001 〜0.2 wt%の1種又は2種を含有し、かつ上記S
i,Mn,Pは、それらの各含有量〔%Si〕,〔%Mn〕,
〔%P〕の関係で定めるE値が、次式
【数3】E=6+ 2.5〔%Si〕+ 0.5〔%Mn〕+10.5
〔%P〕≧7 を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
の組成よりなり、板厚中心面における板面に平行な{2
22}面強度I(222) の、板面に平行な{200}面強
度I(200) に対するX線回折強度比I=I(222) /I
(200) が、上記E値との関係でI×E≧240 を満たし、
少なくとも片方の鋼板表面から厚み方向へ100 μm まで
の層の平均炭素濃度とそれより厚み方向内側の平均炭素
濃度との差(ΔC)が、全厚における平均炭素濃度の20
%以上である、深絞り性及び化成処理性に優れた高強度
冷延鋼板(第1発明)。
〔%P〕≧7 を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
の組成よりなり、板厚中心面における板面に平行な{2
22}面強度I(222) の、板面に平行な{200}面強
度I(200) に対するX線回折強度比I=I(222) /I
(200) が、上記E値との関係でI×E≧240 を満たし、
少なくとも片方の鋼板表面から厚み方向へ100 μm まで
の層の平均炭素濃度とそれより厚み方向内側の平均炭素
濃度との差(ΔC)が、全厚における平均炭素濃度の20
%以上である、深絞り性及び化成処理性に優れた高強度
冷延鋼板(第1発明)。
【0010】(2) C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以
下、Mn:3.0 wt%以下、B:0.0001〜0.0080wt%、Al:
0.01〜0.20wt%、P:0.01〜0.20wt%、S:0.05wt%以
下及びN:0.01wt%以下を含み、さらにTi:0.01〜0.2
wt%及びNb:0.001 〜0.2 wt%の1種又は2種とMo:0.
01〜1.5 wt%、Cu:0.1 〜1.5 wt%及びNi:0.1 〜1.5
wt%の1種又は2種以上とを含有し、かつ上記Si,Mn,
Pは、それらの各含有量〔%Si〕,〔%Mn〕,〔%P〕
の関係で定めるE値が、次式
下、Mn:3.0 wt%以下、B:0.0001〜0.0080wt%、Al:
0.01〜0.20wt%、P:0.01〜0.20wt%、S:0.05wt%以
下及びN:0.01wt%以下を含み、さらにTi:0.01〜0.2
wt%及びNb:0.001 〜0.2 wt%の1種又は2種とMo:0.
01〜1.5 wt%、Cu:0.1 〜1.5 wt%及びNi:0.1 〜1.5
wt%の1種又は2種以上とを含有し、かつ上記Si,Mn,
Pは、それらの各含有量〔%Si〕,〔%Mn〕,〔%P〕
の関係で定めるE値が、次式
【数4】E=6+ 2.5〔%Si〕+ 0.5〔%Mn〕+10.5
〔%P〕≧7 を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
の組成よりなり、板厚中心面における板面に平行な{2
22}面強度I(222) の、板面に平行な{200}面強
度I(200) に対するX線回折強度比I=I(222) /I
(200) が、上記E値との関係でI×E≧240 を満たし、
少なくとも一方の鋼板表面から厚み方向へ100 μm まで
の層の平均炭素濃度とそれより厚み方向内側の平均炭素
濃度との差(ΔC)が、全厚における平均炭素濃度の20
%以上である、深絞り性及び化成処理性に優れた高強度
冷延鋼板(第2発明)。
〔%P〕≧7 を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
の組成よりなり、板厚中心面における板面に平行な{2
22}面強度I(222) の、板面に平行な{200}面強
度I(200) に対するX線回折強度比I=I(222) /I
(200) が、上記E値との関係でI×E≧240 を満たし、
少なくとも一方の鋼板表面から厚み方向へ100 μm まで
の層の平均炭素濃度とそれより厚み方向内側の平均炭素
濃度との差(ΔC)が、全厚における平均炭素濃度の20
%以上である、深絞り性及び化成処理性に優れた高強度
冷延鋼板(第2発明)。
【0011】以下、この発明を開発する基礎となった研
究結果について述べる。 実験1 C:0.002 wt%、Si:1.0 〜1.8 wt%、Mn:0.2 〜2.5
wt%、P:0.01〜0.18wt%、S:0.01wt%、Al:0.05wt
%、N:0.002 wt%、Nb:0.03wt%及びB:0.0015wt%
の成分組成になる種々の鋼スラブを1150℃で加熱−均熱
後、950 ℃で圧下率75%の熱間粗圧延した後、仕上温
度:620 〜980 ℃の潤滑圧延を行った。引き続き得られ
た熱延板を、750 ℃、5hの再結晶焼鈍を施した後、圧
下率75%の冷間圧延を施して板厚0.7 mmとした後、890
℃、20sの再結晶焼鈍を行った。
究結果について述べる。 実験1 C:0.002 wt%、Si:1.0 〜1.8 wt%、Mn:0.2 〜2.5
wt%、P:0.01〜0.18wt%、S:0.01wt%、Al:0.05wt
%、N:0.002 wt%、Nb:0.03wt%及びB:0.0015wt%
の成分組成になる種々の鋼スラブを1150℃で加熱−均熱
後、950 ℃で圧下率75%の熱間粗圧延した後、仕上温
度:620 〜980 ℃の潤滑圧延を行った。引き続き得られ
た熱延板を、750 ℃、5hの再結晶焼鈍を施した後、圧
下率75%の冷間圧延を施して板厚0.7 mmとした後、890
℃、20sの再結晶焼鈍を行った。
【0012】かくして得られた冷延鋼板のr値、引張強
度(T.S.) に及ぼす鋼成分及び板厚中心面の集合組織の
影響を調べた結果を図1に示す。図1から明らかなよう
に、冷延−焼鈍後のr値、T.S.(kgf/mm2) は、鋼成分及
び板厚中心面の集合組織に依存し、鋼成分が、E=6+
2.5 Si+0.5 Mn+10.5P≧7を満足し、かつ板厚中心面
における板面に平行な{222}面強度I(222) の、板
面に平行な{200}面強度I(200) に対するX線回折
強度比I=I(222) /I(200) が、上記E値との関係
で、I×E≧240 を満足することにより、引張強度が35
kgf/mm2 以上で、かつTS×rが100 以上である特性が
得られることが分かった。
度(T.S.) に及ぼす鋼成分及び板厚中心面の集合組織の
影響を調べた結果を図1に示す。図1から明らかなよう
に、冷延−焼鈍後のr値、T.S.(kgf/mm2) は、鋼成分及
び板厚中心面の集合組織に依存し、鋼成分が、E=6+
2.5 Si+0.5 Mn+10.5P≧7を満足し、かつ板厚中心面
における板面に平行な{222}面強度I(222) の、板
面に平行な{200}面強度I(200) に対するX線回折
強度比I=I(222) /I(200) が、上記E値との関係
で、I×E≧240 を満足することにより、引張強度が35
kgf/mm2 以上で、かつTS×rが100 以上である特性が
得られることが分かった。
【0013】実験2 C:0.002 wt%、Si:1.0 wt%、Mn:1.0 wt%、P:0.
05wt%、S:0.005 wt%、Al:0.05wt%、N:0.002 wt
%、Nb:0.03wt%及びB:0.0030wt%の成分組成になる
鋼スラブを1150℃で加熱−均熱後、950 ℃で圧下率75%
の熱間粗圧延した後、仕上温度:700 ℃で潤滑圧延を行
った。引き続き得られた熱延板を、750℃、5hの再結
晶焼鈍を施した後、圧下率75%の冷間圧延を施して板厚
0.7 mmとした後、890 ℃、20sの再結晶焼鈍を行った。
この冷延板の焼鈍時、浸炭雰囲気に調整することによ
り、鋼板表層部の炭素濃度を種々に変化させた。なお、
浸炭処理は、再結晶が完了したのちの均熱時に行った。
05wt%、S:0.005 wt%、Al:0.05wt%、N:0.002 wt
%、Nb:0.03wt%及びB:0.0030wt%の成分組成になる
鋼スラブを1150℃で加熱−均熱後、950 ℃で圧下率75%
の熱間粗圧延した後、仕上温度:700 ℃で潤滑圧延を行
った。引き続き得られた熱延板を、750℃、5hの再結
晶焼鈍を施した後、圧下率75%の冷間圧延を施して板厚
0.7 mmとした後、890 ℃、20sの再結晶焼鈍を行った。
この冷延板の焼鈍時、浸炭雰囲気に調整することによ
り、鋼板表層部の炭素濃度を種々に変化させた。なお、
浸炭処理は、再結晶が完了したのちの均熱時に行った。
【0014】かくして得られた冷延鋼板について、鋼板
表層部の炭素濃度及び化成処理性について調べた。炭素
濃度については、片側の鋼板表面から100 μm までの層
の平均炭素濃度と、それより厚み方向内側の平均炭素濃
度との差を(ΔC)で評価した。また、化成処理性は、
鋼板を脱脂、水洗後、リン酸塩処理を施し、以下に述べ
るピンホールテストを行ったときのピンホール面積率で
評価した。すなわちピンホールテストは、鉄イオンと反
応して発色する試薬(フェロオキシル溶液)を浸したろ
紙を試験面に密着させて、鋼板表面に残留するリン酸結
晶未付着部分を検知し、それを画像解析してピンホール
面積率として評価したものである。冷延−焼鈍後の鋼板
の化成処理性に及ぼす鋼板表層部の炭素濃度の影響につ
いて図2にグラフで示す。図2から、ΔCを20%以上と
することより、Si、Mn、Pを多量に含有させてもピンホ
ール面積率は2%未満であり、化成処理性が著しく改善
されることが分かった。
表層部の炭素濃度及び化成処理性について調べた。炭素
濃度については、片側の鋼板表面から100 μm までの層
の平均炭素濃度と、それより厚み方向内側の平均炭素濃
度との差を(ΔC)で評価した。また、化成処理性は、
鋼板を脱脂、水洗後、リン酸塩処理を施し、以下に述べ
るピンホールテストを行ったときのピンホール面積率で
評価した。すなわちピンホールテストは、鉄イオンと反
応して発色する試薬(フェロオキシル溶液)を浸したろ
紙を試験面に密着させて、鋼板表面に残留するリン酸結
晶未付着部分を検知し、それを画像解析してピンホール
面積率として評価したものである。冷延−焼鈍後の鋼板
の化成処理性に及ぼす鋼板表層部の炭素濃度の影響につ
いて図2にグラフで示す。図2から、ΔCを20%以上と
することより、Si、Mn、Pを多量に含有させてもピンホ
ール面積率は2%未満であり、化成処理性が著しく改善
されることが分かった。
【0015】
(1) 鋼成分 上記したようにこの発明では、鋼成分は重要であり、前
記した成分組成範囲を満足しないと、優れた深絞り性を
確保することができない。以下、各成分について範囲を
限定した理由について説明する。
記した成分組成範囲を満足しないと、優れた深絞り性を
確保することができない。以下、各成分について範囲を
限定した理由について説明する。
【0016】(a) C:0.01wt%以下 Cは、含有量が少なければ少ない程、深絞り性が向上す
るので好ましいが、その含有量が0.01wt%以下ではさほ
ど悪影響を及ぼさないので0.01wt%以下に限定した。よ
り好ましくは0.008 wt%以下である。
るので好ましいが、その含有量が0.01wt%以下ではさほ
ど悪影響を及ぼさないので0.01wt%以下に限定した。よ
り好ましくは0.008 wt%以下である。
【0017】(b) Si:2.0 wt%以下 Siは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量を含有させるものであるが、その含有量が2.0 wt%
を超えると深絞り性及び表面性状に悪影響を与えるので
2.0 wt%以下、好ましくは1.5 wt%以下に限定した。な
お上述した作用を発揮させるためには 0.1wt%程度以上
を含有させるのが好ましい。 (c) Mn:3.0 wt%以下、 Mnは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量を含有させるものであるが、その含有量が3.0 wt%
を超えると深絞り性に悪影響を与えるので3.0wt%以下
に限定した。なお上述した作用を発揮させるためには
0.5wt%程度以上を含有させるのが好ましい。
要量を含有させるものであるが、その含有量が2.0 wt%
を超えると深絞り性及び表面性状に悪影響を与えるので
2.0 wt%以下、好ましくは1.5 wt%以下に限定した。な
お上述した作用を発揮させるためには 0.1wt%程度以上
を含有させるのが好ましい。 (c) Mn:3.0 wt%以下、 Mnは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量を含有させるものであるが、その含有量が3.0 wt%
を超えると深絞り性に悪影響を与えるので3.0wt%以下
に限定した。なお上述した作用を発揮させるためには
0.5wt%程度以上を含有させるのが好ましい。
【0018】(d) B:0.0001〜0.0080wt% Bは、耐二次加工ぜい性を改善させるために含有させ
る。その含有量が0.0001wt%に満たないと効果がなく、
一方0.0080wt%を超えて含有させると深絞り性が劣化す
るため0.0001〜0.0080wt%に限定した。
る。その含有量が0.0001wt%に満たないと効果がなく、
一方0.0080wt%を超えて含有させると深絞り性が劣化す
るため0.0001〜0.0080wt%に限定した。
【0019】(e) Al:0.01〜0.20wt% Alは、脱酸を行い、炭窒化物形成成分の歩留まりを向上
させるために必要量に応じて含有させるが、その含有量
が0.01wt%に満たないと効果がなく、一方0.20wt%を超
えて含有させても、より一層の脱酸効果は得られないた
め、0.01〜0.20wt%に限定した。
させるために必要量に応じて含有させるが、その含有量
が0.01wt%に満たないと効果がなく、一方0.20wt%を超
えて含有させても、より一層の脱酸効果は得られないた
め、0.01〜0.20wt%に限定した。
【0020】(f) P:0.01〜0.20wt% Pは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量を含有させるものであるが、その含有量が0.01wt%
に満たないと高強度化の効果がなく、一方0.20wt%を超
えると深絞り性に悪影響を与えるので0.01〜0.20wt%に
限定した。
要量を含有させるものであるが、その含有量が0.01wt%
に満たないと高強度化の効果がなく、一方0.20wt%を超
えると深絞り性に悪影響を与えるので0.01〜0.20wt%に
限定した。
【0021】(g) S:0.05wt%以下 Sは、少なければ少ない程、深絞り性が向上するので好
ましいが、その含有量が0.05wt%以下ではさほど悪影響
を及ぼさないので 0.05 wt%以下に限定した。
ましいが、その含有量が0.05wt%以下ではさほど悪影響
を及ぼさないので 0.05 wt%以下に限定した。
【0022】(h) N:0.01wt%以下 Nは、少なければ少ない程、深絞り性が向上するので好
ましいが、その含有量が0.01wt%以下ではさほど悪影響
を及ぼさないので0.01wt%以下に限定した。
ましいが、その含有量が0.01wt%以下ではさほど悪影響
を及ぼさないので0.01wt%以下に限定した。
【0023】(i) Ti:0.01〜0.2 wt% Tiは、この発明において重要な成分であり、鋼中の固溶
(C,N)を炭窒化物として析出固定させて低減し、深
絞り性に有利な{111}方位を優先的に形成させる効
果がある。そこでこの発明では、このTiと、次に述べる
Nbとの1種又は2種を含有させる。Tiの含有量が0.01wt
%に満たないとその効果がなく、一方0.2 wt%を超えて
含有させてもそれ以上の効果は得られず、かえって鋼板
表面性状の劣化につながるので0.01〜0.2 wt%に限定し
た。
(C,N)を炭窒化物として析出固定させて低減し、深
絞り性に有利な{111}方位を優先的に形成させる効
果がある。そこでこの発明では、このTiと、次に述べる
Nbとの1種又は2種を含有させる。Tiの含有量が0.01wt
%に満たないとその効果がなく、一方0.2 wt%を超えて
含有させてもそれ以上の効果は得られず、かえって鋼板
表面性状の劣化につながるので0.01〜0.2 wt%に限定し
た。
【0024】(j) Nb:0.001 〜0.2 wt% Nbは、この発明において重要な成分であり、鋼中の固溶
Cを炭化物として析出固定させて低減し、深絞り性に有
利な{111}方位を優先的に形成させる効果がある。
この点でNbはTiと同効成分であり、この発明ではTiとNb
の1種又は2種を含有させる。さらにNbの含有により、
仕上圧延前組織が微細化し、その結果、仕上圧延−再結
晶処理後に深絞り性に有利な{111}方位を優先的に
形成させる効果もある。Nb含有量が0.001 wt%に満たな
いと、その効果がなく、一方0.2wt%を超えて含有させ
てもそれ以上の効果は得られず、かえって延性の劣化に
つながるので0.001 〜0.2 wt%に限定した。
Cを炭化物として析出固定させて低減し、深絞り性に有
利な{111}方位を優先的に形成させる効果がある。
この点でNbはTiと同効成分であり、この発明ではTiとNb
の1種又は2種を含有させる。さらにNbの含有により、
仕上圧延前組織が微細化し、その結果、仕上圧延−再結
晶処理後に深絞り性に有利な{111}方位を優先的に
形成させる効果もある。Nb含有量が0.001 wt%に満たな
いと、その効果がなく、一方0.2wt%を超えて含有させ
てもそれ以上の効果は得られず、かえって延性の劣化に
つながるので0.001 〜0.2 wt%に限定した。
【0025】第2発明では、Mo:0.01〜1.5 wt%、Cu:
0.1 〜1.5 wt%及びNi:0.1 〜1.5wt%の1種又は2種
以上を含有させる。これらの成分は、いずれも鋼の強化
成分である。 (k) Mo:0.01〜1.5 wt% Moは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて含
有させるものであるが、その含有量が0.01wt%に満たな
いと効果がなく、一方1.5 wt%を超えると深絞り性に悪
影響を与えるので0.01〜1.5 wt%に限定した。
0.1 〜1.5 wt%及びNi:0.1 〜1.5wt%の1種又は2種
以上を含有させる。これらの成分は、いずれも鋼の強化
成分である。 (k) Mo:0.01〜1.5 wt% Moは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて含
有させるものであるが、その含有量が0.01wt%に満たな
いと効果がなく、一方1.5 wt%を超えると深絞り性に悪
影響を与えるので0.01〜1.5 wt%に限定した。
【0026】(l) Cu:0.1 〜1.5 wt% Cuは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて含
有させるものであるが、その含有量が0.1 wt%に満たな
いと効果がなく、一方1.5 wt%を超えると深絞り性に悪
影響を与えるので0.1 〜1.5 wt%に限定した。
有させるものであるが、その含有量が0.1 wt%に満たな
いと効果がなく、一方1.5 wt%を超えると深絞り性に悪
影響を与えるので0.1 〜1.5 wt%に限定した。
【0027】(m) Ni:0.1 〜1.5 wt% Niは、鋼を強化する作用があり、また、Cu含有時の鋼板
表面性状の改善にも有効である。その含有量が0.1 wt%
に満たないと効果がなく、一方1.5 wt%を超えると深絞
り性に悪影響を与えるので0.1 〜1.5 wt%に限定した。
表面性状の改善にも有効である。その含有量が0.1 wt%
に満たないと効果がなく、一方1.5 wt%を超えると深絞
り性に悪影響を与えるので0.1 〜1.5 wt%に限定した。
【0028】(n) E=6+2.5 〔%Si〕+0.5 〔%Mn〕
+10.5〔%P〕≧7 Si、Mn及びPの含有量に関しては、前述した範囲でか
つ、 E=6+2.5 〔%Si〕+0.5 〔%Mn〕+10.5〔%P〕≧
7 を満足することが必要である。Si、Mn及びPは前述した
とおりいずれも、鋼を強化する作用があり、所望の強度
に応じて必要量を含有させるわけであるが、その含有量
が、6+2.5 〔%Si〕+0.5 〔%Mn〕+10.5〔%P〕で
計算されるE値で7に満たないと、得られる鋼板の引張
強度が35kgf/mm2 に達しないので、 E=6+2.5 〔%Si〕+0.5 〔%Mn〕+10.5〔%P〕≧
7 を満足させるものとする。
+10.5〔%P〕≧7 Si、Mn及びPの含有量に関しては、前述した範囲でか
つ、 E=6+2.5 〔%Si〕+0.5 〔%Mn〕+10.5〔%P〕≧
7 を満足することが必要である。Si、Mn及びPは前述した
とおりいずれも、鋼を強化する作用があり、所望の強度
に応じて必要量を含有させるわけであるが、その含有量
が、6+2.5 〔%Si〕+0.5 〔%Mn〕+10.5〔%P〕で
計算されるE値で7に満たないと、得られる鋼板の引張
強度が35kgf/mm2 に達しないので、 E=6+2.5 〔%Si〕+0.5 〔%Mn〕+10.5〔%P〕≧
7 を満足させるものとする。
【0029】(2) 集合組織 鋼板の集合組織は、この発明において最も重要な要件の
一つであり、板厚中心面における板面に平行な{22
2}面強度I(222) の、板面に平行な{200}面強度
I(200) に対するX線回折強度比I=I(222) /I
(200) が、上述したSi、Mn及びPの含有量で計算される
E値との関係で I×E≧240 を満たすことが必要である。かかる関係を満たさない
と、TS×rが100 以上である優れた深絞り性が得られ
ない。なおここで{222}面強度、{200}面強度
は、ランダムな集合組織を基準とした相対強度のことを
いう。
一つであり、板厚中心面における板面に平行な{22
2}面強度I(222) の、板面に平行な{200}面強度
I(200) に対するX線回折強度比I=I(222) /I
(200) が、上述したSi、Mn及びPの含有量で計算される
E値との関係で I×E≧240 を満たすことが必要である。かかる関係を満たさない
と、TS×rが100 以上である優れた深絞り性が得られ
ない。なおここで{222}面強度、{200}面強度
は、ランダムな集合組織を基準とした相対強度のことを
いう。
【0030】(3) 鋼板表層の炭素濃度 鋼板表層の炭素濃度は、この発明において最も重要な要
件の一つであり、少なくとも一方の鋼板表面から厚み方
向へ100 μm までの層の平均炭素濃度とそれより厚み方
向内側の平均炭素濃度との差(ΔC)が、全厚における
平均炭素濃度の20%以上であることが必要である。かか
る量の炭素が鋼板表層に存在しないと、優れた化成処理
性は得られない。このように、鋼板表層を相対的に高C
濃度にすることによる化成処理性に関する効果は、鋼板
表層の炭素がリン酸塩結晶の核となったため、Si、Mn、
Pなどが鋼板表層に濃化しても、ピンホールが発生しに
くくなったものと考えられる。具体的な処理手段として
は、浸炭処理が挙げられる。この発明においては、鋼板
表面から100 μm までの高C層は、少なくとも片面にあ
れば良く、勿論、両面にあっても良い。そして、ΔCを
算出するための基準となる厚み方向中心寄りの平均炭素
濃度は、表面高C層が片面にある場合、両面にある場合
を問わず、鋼板の両表面からそれぞれ100 μm までを除
いた領域の平均炭素濃度とする。
件の一つであり、少なくとも一方の鋼板表面から厚み方
向へ100 μm までの層の平均炭素濃度とそれより厚み方
向内側の平均炭素濃度との差(ΔC)が、全厚における
平均炭素濃度の20%以上であることが必要である。かか
る量の炭素が鋼板表層に存在しないと、優れた化成処理
性は得られない。このように、鋼板表層を相対的に高C
濃度にすることによる化成処理性に関する効果は、鋼板
表層の炭素がリン酸塩結晶の核となったため、Si、Mn、
Pなどが鋼板表層に濃化しても、ピンホールが発生しに
くくなったものと考えられる。具体的な処理手段として
は、浸炭処理が挙げられる。この発明においては、鋼板
表面から100 μm までの高C層は、少なくとも片面にあ
れば良く、勿論、両面にあっても良い。そして、ΔCを
算出するための基準となる厚み方向中心寄りの平均炭素
濃度は、表面高C層が片面にある場合、両面にある場合
を問わず、鋼板の両表面からそれぞれ100 μm までを除
いた領域の平均炭素濃度とする。
【0031】(4) 製造方法 以下、この発明の鋼板の好ましい製造方法について説明
する。 熱間圧延工程 熱間圧延工程では、Ar3 変態点以下500 ℃以上の温度域
にて、潤滑を施しつつ合計圧下率が50%以上95%以下に
なる仕上圧延工程を施すことが特に好ましい。ここにAr
3 変態点より高い温度域では、いくら圧延をおこなって
もγ−α変態により集合組織がランダム化するため、熱
延板に{111}集合組織が形成されず、そのため冷延
−焼鈍後には低いr値しか得られない。一方、500 ℃未
満に圧延温度を低下させても、より一層のr値の向上が
望めず、圧延荷重が増大するのみであるので、圧延温度
はAr3 変態点以下500 ℃以上が適する。
する。 熱間圧延工程 熱間圧延工程では、Ar3 変態点以下500 ℃以上の温度域
にて、潤滑を施しつつ合計圧下率が50%以上95%以下に
なる仕上圧延工程を施すことが特に好ましい。ここにAr
3 変態点より高い温度域では、いくら圧延をおこなって
もγ−α変態により集合組織がランダム化するため、熱
延板に{111}集合組織が形成されず、そのため冷延
−焼鈍後には低いr値しか得られない。一方、500 ℃未
満に圧延温度を低下させても、より一層のr値の向上が
望めず、圧延荷重が増大するのみであるので、圧延温度
はAr3 変態点以下500 ℃以上が適する。
【0032】この仕上圧延の圧下率は、50%に満たない
と熱延板に{111}集合組織が形成されず、一方、95
%を超えると熱延板にr値に好ましくない集合組織が形
成するという不都合を生じるので50%以上95%以下が好
ましい。
と熱延板に{111}集合組織が形成されず、一方、95
%を超えると熱延板にr値に好ましくない集合組織が形
成するという不都合を生じるので50%以上95%以下が好
ましい。
【0033】さらにかかるAr3 変態点以下の圧延を無潤
滑圧延とすると、ロールと鋼板との間の摩擦力に起因す
るせん断変形により、深絞り性に好ましくない{11
0}方位の結晶粒が鋼板表層部に優先的に形成され、r
値の向上が望めないので深絞り性を確保するためには潤
滑圧延とすることが必要である。
滑圧延とすると、ロールと鋼板との間の摩擦力に起因す
るせん断変形により、深絞り性に好ましくない{11
0}方位の結晶粒が鋼板表層部に優先的に形成され、r
値の向上が望めないので深絞り性を確保するためには潤
滑圧延とすることが必要である。
【0034】ここに上記圧延におけるロール径、ロール
の構造、潤滑剤の種類並びに圧延機の種類は任意で良
い。また、上記の圧延より前の工程については特に限定
するものではなく、例えば圧延素材については、連続鋳
造スラブを再加熱又は連続鋳造後、Ar3 変態点以下に降
温することなく直ちに、又は保温処理したものを粗圧延
にてシートバーにしたものを使用するのが好適である。
かかる粗圧延条件としては、仕上圧延前の組織の微細化
を目的に、粗圧延終了温度をAr3 変態点〜(Ar3 変態点
+100 ℃)とすることが好ましい。
の構造、潤滑剤の種類並びに圧延機の種類は任意で良
い。また、上記の圧延より前の工程については特に限定
するものではなく、例えば圧延素材については、連続鋳
造スラブを再加熱又は連続鋳造後、Ar3 変態点以下に降
温することなく直ちに、又は保温処理したものを粗圧延
にてシートバーにしたものを使用するのが好適である。
かかる粗圧延条件としては、仕上圧延前の組織の微細化
を目的に、粗圧延終了温度をAr3 変態点〜(Ar3 変態点
+100 ℃)とすることが好ましい。
【0035】熱延板再結晶処理工程 次にこの発明の鋼は、熱延仕上温度がAr3 変態点以下で
あるため、熱延板は加工組織を呈している。そのため、
この熱延板に再結晶処理を施して{111}方位を形成
させる必要がある。再結晶処理を施さないと、熱延板に
{111}方位が形成されないため、その後の冷延−焼
鈍によってもr値の向上は望めない。この熱延板再結晶
処理は、熱延後の巻取工程又は再結晶焼鈍工程によって
行う。巻取工程より再結晶処理を施す場合には、巻取温
度は650 ℃以上が適する。巻取温度が650 ℃に満たない
と、熱延板は再結晶し難く、熱延板に{111}方位が
形成され難いので、その後の冷延−焼鈍によってもr値
の向上は望めない。また再結晶焼鈍工程により再結晶処
理を施す場合には、バッチ焼鈍又は連続焼鈍のいずれも
が適し、その焼鈍温度は、650 〜950 ℃が好ましい。
あるため、熱延板は加工組織を呈している。そのため、
この熱延板に再結晶処理を施して{111}方位を形成
させる必要がある。再結晶処理を施さないと、熱延板に
{111}方位が形成されないため、その後の冷延−焼
鈍によってもr値の向上は望めない。この熱延板再結晶
処理は、熱延後の巻取工程又は再結晶焼鈍工程によって
行う。巻取工程より再結晶処理を施す場合には、巻取温
度は650 ℃以上が適する。巻取温度が650 ℃に満たない
と、熱延板は再結晶し難く、熱延板に{111}方位が
形成され難いので、その後の冷延−焼鈍によってもr値
の向上は望めない。また再結晶焼鈍工程により再結晶処
理を施す場合には、バッチ焼鈍又は連続焼鈍のいずれも
が適し、その焼鈍温度は、650 〜950 ℃が好ましい。
【0036】冷間圧延工程 この工程は、高いr値を得るために施すものであり、冷
延圧下率は50〜95%とすることが好ましい。かかる冷延
圧下率が50%未満又は95%を超えると、優れた深絞り性
が得られない。
延圧下率は50〜95%とすることが好ましい。かかる冷延
圧下率が50%未満又は95%を超えると、優れた深絞り性
が得られない。
【0037】焼鈍工程 冷間圧延工程を経た冷延鋼帯又は冷延鋼板は、再結晶焼
鈍を施す必要がある。この再結晶焼鈍は、箱型焼鈍法及
び連続型焼鈍法のいずれでもよい。焼鈍温度は700 〜95
0 ℃の範囲が好ましい。かかる焼鈍に引き続いて、浸炭
処理を施して、鋼板表層の炭素濃度を高めるのが望まし
い。この浸炭処理は、500 ℃以上の温度域における加熱
保持中あるいは冷却中に浸炭雰囲気とするか、又は一旦
冷却したのちに、500 ℃以上に再加熱して行う。
鈍を施す必要がある。この再結晶焼鈍は、箱型焼鈍法及
び連続型焼鈍法のいずれでもよい。焼鈍温度は700 〜95
0 ℃の範囲が好ましい。かかる焼鈍に引き続いて、浸炭
処理を施して、鋼板表層の炭素濃度を高めるのが望まし
い。この浸炭処理は、500 ℃以上の温度域における加熱
保持中あるいは冷却中に浸炭雰囲気とするか、又は一旦
冷却したのちに、500 ℃以上に再加熱して行う。
【0038】なおこの焼鈍後の鋼帯に、形状矯正あるい
は表面粗度等の調整のために、10%以下の調質圧延を施
しても良いことは言うまでもない。またこの発明にて得
られた冷延鋼板は、加工用表面処理鋼板の原板にも適用
できる。表面処理としては、亜鉛めっき(合金系を含
む)、すずめっき、ほうろう等がある。
は表面粗度等の調整のために、10%以下の調質圧延を施
しても良いことは言うまでもない。またこの発明にて得
られた冷延鋼板は、加工用表面処理鋼板の原板にも適用
できる。表面処理としては、亜鉛めっき(合金系を含
む)、すずめっき、ほうろう等がある。
【0039】
【実施例】表1に示す種々の成分組成になる鋼スラブを
準備した。なお表1において、数値がこの発明の範囲を
外れるものには下線をひいてある。
準備した。なお表1において、数値がこの発明の範囲を
外れるものには下線をひいてある。
【0040】
【表1】
【0041】これらのスラブに熱間粗圧延、仕上圧延を
施し、その後再結晶処理を行った。得られた熱延板を酸
洗後、冷間圧延を施し板厚0.7 mmの冷延鋼帯にした後、
連続焼鈍設備にて890 ℃、20秒の再結晶焼鈍を施し、引
き続き連続焼鈍ライン内の浸炭処理設備にて鋼板の再結
晶が完了した後に浸炭処理を、5% H2−0.5 〜1.5%
CO 、処理温度750 〜850 ℃、処理時間:0〜10 sで施
した。これらの熱延条件、熱延板焼鈍条件、冷延条件及
び再結晶焼鈍条件を表2に示す。
施し、その後再結晶処理を行った。得られた熱延板を酸
洗後、冷間圧延を施し板厚0.7 mmの冷延鋼帯にした後、
連続焼鈍設備にて890 ℃、20秒の再結晶焼鈍を施し、引
き続き連続焼鈍ライン内の浸炭処理設備にて鋼板の再結
晶が完了した後に浸炭処理を、5% H2−0.5 〜1.5%
CO 、処理温度750 〜850 ℃、処理時間:0〜10 sで施
した。これらの熱延条件、熱延板焼鈍条件、冷延条件及
び再結晶焼鈍条件を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】かくして得られた冷延鋼板の材料特性につ
いて調べた結果を表2に併記した。なおΔCは、板厚方
向にサンプルを化学研磨したもののC分析を行うことに
より測定した。引張特性は、JIS 5 号引張試験片を用い
て測定した。またr値は、15%引張予ひずみを与えたの
ち、3点法にて測定し、L方向(圧延方向)、D方向
(圧延方向から45度方向)及びC方向(圧延方向から90
度方向)の平均値を 平均r値=(rL +2rD +rC )/4 の式から求めた。さらに集合組織の測定は、板面に平行
な{222}面強度及び{200}面強度を、X線回折
法により板厚中心面について行った。またさらに、化成
処理性は、鋼板を脱脂、水洗後、リン酸塩処理を施し、
ピンホールテストとして鉄イオンと反応して発色する試
薬(フェロオキシル溶液)を浸したろ紙を試験面に密着
させて、鋼板表面に残留するリン酸結晶未付着部分を検
知し、それを画像解析してピンホール面積率を調べ、ピ
ンホール面積率が2%未満を○、2〜9%を△、9%超
過については×として評価した。
いて調べた結果を表2に併記した。なおΔCは、板厚方
向にサンプルを化学研磨したもののC分析を行うことに
より測定した。引張特性は、JIS 5 号引張試験片を用い
て測定した。またr値は、15%引張予ひずみを与えたの
ち、3点法にて測定し、L方向(圧延方向)、D方向
(圧延方向から45度方向)及びC方向(圧延方向から90
度方向)の平均値を 平均r値=(rL +2rD +rC )/4 の式から求めた。さらに集合組織の測定は、板面に平行
な{222}面強度及び{200}面強度を、X線回折
法により板厚中心面について行った。またさらに、化成
処理性は、鋼板を脱脂、水洗後、リン酸塩処理を施し、
ピンホールテストとして鉄イオンと反応して発色する試
薬(フェロオキシル溶液)を浸したろ紙を試験面に密着
させて、鋼板表面に残留するリン酸結晶未付着部分を検
知し、それを画像解析してピンホール面積率を調べ、ピ
ンホール面積率が2%未満を○、2〜9%を△、9%超
過については×として評価した。
【0044】表2から明らかなように、この発明に従う
適合例は、いずれも比較例に比べて優れた深絞り性と化
成処理性と兼ね備えている。
適合例は、いずれも比較例に比べて優れた深絞り性と化
成処理性と兼ね備えている。
【0045】
【発明の効果】この発明の高強度冷延鋼板は、鋼成分及
び結晶方位を限定することにより、従来よりも格段に優
れた強度−加工性バランスを有し、しかも化成処理性に
も優れるものであり、自動車用のパネル等として特に有
用である。
び結晶方位を限定することにより、従来よりも格段に優
れた強度−加工性バランスを有し、しかも化成処理性に
も優れるものであり、自動車用のパネル等として特に有
用である。
【図1】図1は、冷延鋼板のr値、引張強度(T.S.) に
及ぼす鋼成分及び板厚中心面の集合組織の影響を調べた
結果を示すグラフである。
及ぼす鋼成分及び板厚中心面の集合組織の影響を調べた
結果を示すグラフである。
【図2】冷延−焼鈍後の鋼板の化成処理性に及ぼす鋼板
表層部の炭素濃度の影響について示すグラフである。
表層部の炭素濃度の影響について示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 敬 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 加藤 俊之 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.01wt%以下、 Si:2.0 wt%以下、 Mn:3.0 wt%以下、 B:0.0001〜0.0080wt%、 Al:0.01〜0.20wt%、 P:0.01〜0.20wt%、 S:0.05wt%以下及び N:0.01wt%以下 を含み、さらに Ti:0.01〜0.2 wt%及び Nb:0.001 〜0.2 wt% の1種又は2種を含有し、かつ上記Si,Mn,Pは、それ
らの各含有量〔%Si〕,〔%Mn〕,〔%P〕の関係で定
めるE値が、次式 【数1】E=6+ 2.5〔%Si〕+ 0.5〔%Mn〕+10.5
〔%P〕≧7 を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
の組成よりなり、 板厚中心面における板面に平行な{222}面強度I
(222) の、板面に平行な{200}面強度I(200) に対
するX線回折強度比I=I(222) /I(200) が、上記E
値との関係でI×E≧240 を満たし、 少なくとも片方の鋼板表面から厚み方向へ100 μm まで
の層の平均炭素濃度とそれより厚み方向内側の平均炭素
濃度との差(ΔC)が、全厚における平均炭素濃度の20
%以上である、深絞り性及び化成処理性に優れた高強度
冷延鋼板。 - 【請求項2】 C:0.01wt%以下、 Si:2.0 wt%以下、 Mn:3.0 wt%以下、 B:0.0001〜0.0080wt%、 Al:0.01〜0.20wt%、 P:0.01〜0.20wt%、 S:0.05wt%以下及び N:0.01wt%以下 を含み、さらに Ti:0.01〜0.2 wt%及び Nb:0.001 〜0.2 wt% の1種又は2種と Mo:0.01〜1.5 wt%、 Cu:0.1 〜1.5 wt%及び Ni:0.1 〜1.5 wt% の1種又は2種以上とを含有し、かつ上記Si,Mn,P
は、それらの各含有量〔%Si〕,〔%Mn〕,〔%P〕の
関係で定めるE値が、次式 【数2】E=6+ 2.5〔%Si〕+ 0.5〔%Mn〕+10.5
〔%P〕≧7 を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
の組成よりなり、 板厚中心面における板面に平行な{222}面強度I
(222) の、板面に平行な{200}面強度I(200) に対
するX線回折強度比I=I(222) /I(200) が、上記E
値との関係でI×E≧240 を満たし、 少なくとも一方の鋼板表面から厚み方向へ100 μm まで
の層の平均炭素濃度とそれより厚み方向内側の平均炭素
濃度との差(ΔC)が、全厚における平均炭素濃度の20
%以上である、深絞り性及び化成処理性に優れた高強度
冷延鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17428993A JP3336079B2 (ja) | 1993-07-14 | 1993-07-14 | 深絞り性及び化成処理性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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