JPH0734739B2 - 好熱性繊維素分解菌 - Google Patents

好熱性繊維素分解菌

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JPH0734739B2
JPH0734739B2 JP3299897A JP29989791A JPH0734739B2 JP H0734739 B2 JPH0734739 B2 JP H0734739B2 JP 3299897 A JP3299897 A JP 3299897A JP 29989791 A JP29989791 A JP 29989791A JP H0734739 B2 JPH0734739 B2 JP H0734739B2
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lignin
thermophilic
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bacteria
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秀 久米
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合名会社中村産業
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然リグニンの可溶
化,木材その他の難分解性繊維物質,硬タンパク質や余
剰汚泥の分解発酵,堆・厩肥の製造,屎尿の分解等バイ
オマスの腐植熟成化を促進し、土壌の肥沃化,土壌構造
の改善に有用な新菌及びその有効な活用の技術に関す
る。
【0002】明細書でいう難分解性有機資材または難分
解性繊維物質とは、オガ屑,チップダスト,プレーナー
屑,バーク(樹皮)その他木材工業における廃材,モミ
ガラ,イナワラ,ムギワラ等の藁桿類、ダイズ,アズ
キ,落下生等の豆類の種皮や莢殻、コーヒーかす,落
葉,樹皮,ヨシやカヤ等の山野草、それにシイタケの廃
ホダ木,その他キノコの廃菌床等の炭素率40〜100
以上の難分解性の各種植物遺体をいう。これらの植物遺
体を構成している有機成分はきわめて複雑で多種多様で
あるが、一般にその主要成分は繊維素で約30〜75
%、次いでリグニンの15〜40%で、両者を合わせる
と45〜90%以上で、その大部分を占めている。その
次がヘミセルロース7〜25%の順で、そして少量では
あるが、タンパク質等の含窒素化合物,各種糖類,有機
酸,アルコール類、それに油脂,ワックス,精油等が含
まれている。
【0003】
【従来の技術】従来、微生物や酵素を使った分解剤でリ
グニンの可溶化、又は繊維素を迅速に分解させることは
非常困難とされ、又ケラチン,コラーゲン等の硬タンパ
ク質も酵素作用が受け難い。従って、微生物を使った天
然の難分解性有機資材の効果的な可溶化,分解の実用化
は今だになされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来困難とされてきたリグニン可溶化能を
有し、繊維素を旺盛に発酵する新菌株の提供と、これら
の作用能を高めた培養物、及びこれら両細菌の作用発現
を有効ならしめるリグニン可溶化法と、更にこれらの細
菌,微生物資材を使った難分解性の繊維物質,硬タンパ
ク質資材の分解肥料化,土壌改良,屎尿の脱臭分解に有
効な発酵分解剤の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決した本
発明の要旨は 1) リグニン可溶化能を有し、生育適温が65〜72
℃で、40〜80℃の温度範囲で生育し、繊維素を旺盛
に発酵する好熱性繊維素分解菌クロストリジュウム・サ
ーモセルムSK522(Clostriduim thermocellum bio
var SK522,微工研条寄第3459号) 2) 絶対好気性、生育適温が72〜76℃で、40〜
82℃の温度範囲で通常濃度の培地に生育し、作用適温
75〜85℃、作用水素イオン濃度pH=4.0〜1
1.3の高温性広域作用水素イオン濃度活性のタンパク
質分解酵素とカロチノイド系黄色色素を産生するサーマ
ス・アクアティクスSK542 ( Thermusaquaticus b
iovar SK542,微工研条寄第3382号)と、請求
項1記載の好熱性繊維素分解菌クロストリジュウム・サ
ーモセルムSK522とを60℃以上の好熱性環境下で
共生的混合培養させた混合培養物 3) 請求項2記載の混合培養物を60℃以上の好熱性
環境下において有機資材に作用させ、リグニン可溶化能
を強化することを特徴とするリグニン可溶化法 4) 請求項2記載の混合培養物を有効主成分とする有
機資材の発酵分解剤 5) 請求項4記載の発酵分解剤の有効菌が要求するビ
タミン・アミノ酸等の微量栄養素及び微量ミネラルを添
加した賦型剤でもって粉粒状にした請求項4記載の発酵
分解剤 にある。尚、本発明に使用するクロストリジュウム・サ
ーモセルムSK522(微工研条寄第3459号)とサ
ーマス・アクアテックスSK542(微工研条寄第33
82号)は、いずれも本発明者らの発見にかかるもの
で、以下それぞれ単にSK522菌株及びSK542菌
株と称する。本発明でいう賦型剤とは、石灰岩岩粉,ド
ロマイト岩粉,貝化石粉末,カニ・シャコ,貝殻等の甲
殻・貝殻粉末,炭酸カルシウム,消石灰,パーライト,
バーミキュライト,ゼオライト,けいそう土,塩基性岩
岩粉,粉砕ピートモス,木炭・くん炭末等の粉粒体があ
り、これらの一種又は複数種の混合物を示す。本発明の
微量栄養素及び微量ミネラルとは、ビオチン,ニコチン
酸アミド,チアミン,ピリドキサミン,ビタミンB12,
バラアミノ安息香酸等のビタミン類、アルギニン,シス
チン,グルタミン酸,イソロイシン,ロイシン,リジ
ン,メチオニン,フェニルアラニン,スレオニン,トリ
プトファン,チロシン,バリン等のアミノ酸類、又、
鉄,マンガン,コバルト,カルシウム等の微量ミネラル
等がある。以上、これらの賦型剤・微量栄養素及び微量
ミネラルは、有効菌・使用目的・土壌環境・風土・気候
に応じて適宜選択される。
【0006】
【作用】本発明は、有用な新菌SK522菌株を提供す
る。又同SK522菌株とSK542菌株の混合培養物
の提供とその有用な利用にある。SK522菌株とSK
542菌株の共生的混合培養の相乗的効果は、リグニン
の顕著なる可溶化の増強と共に繊維素分解力その他の機
能も高揚する。
【0007】SK522菌株は旺盛なる繊維素分解力と
弱又は微弱なるリグニン可溶化能を有する。又、SK5
42菌株は絶対好気性中等度好熱性細菌で、高温性広域
作用水素イオン濃度活性の強力なタンパク質分解酵素と
カロチノイド系黄色色素を産生する。 SK542菌株の産生するタンパク質分解酵素の理化学
的性質
【表8】 以上のような理化学的性質をもつ新規酵素と思われるプ
ロテアーゼAとプロテアーゼBの他に、不安定な数種の
酵素の複合体である。 SK542菌株の産生する色素の理化学的性質 本菌の産生する黄色色素は、カロチノイド系黄色色素
で、水には不溶、次のような溶剤に可溶である。 メタ
ノール, エタノール, 石油エーテル, ベンジン,
アセトン, クロロホルム, アセン+メタノール
(7:3)及びアセトン+エタノール(1:1)混液。
また、赤外線吸光度最大値450nm。その他430,
435,470nmに小さなピークがある。
【0008】そして、この二つの新菌株の好熱的な共生
的混合培養は、各菌株の機能の相加的作用ではなく、相
互作用によって生ずる相乗的効果によるものであり、互
いにその機能を高め、強力かつ安定してリグニン,繊維
素,タンパク質等の有機成分を迅速かつ強力に分解す
る。本発明の混合培養物を有効主成分とすることで有機
資材の発酵分解剤を得ることができる。この有機資材の
発酵分解剤は、その用途・目的・気候・風土・土壌に応
じてSK522菌株,SK542菌株の他に有用な微生
物を混入すると更にその効果を高め、新しい有用な効果
を得ることができる。請求項5の有効菌とは、選択され
た必須の二種の細菌,好熱性繊維素分解菌(SK522
菌株)とサーマス属の細菌(SK542菌株)の他に、
必要に応じて加えることが望ましい微生物のことであ
る。気候・風土・土壌環境条件・栽培植物等に応じて適
宜取捨選択し、微生物培養物として加える。
【0009】
【実施例】以下、本発明及びその利用実施例について詳
しく説明する。本発明で使用する微生物は、新菌のSK
522菌株とSK542菌株である。新両菌株の諸性質
は下記の通りである。尚、以下記載の菌学的性質の試験
及び分類同定はすべてバージェーズ マニュアル オブ
デタミネイディブ バクテリオロジー 第7版(19
57),第8版(1974)及びバージェーズ マニュ
アル オブ システマテック バクテリオロジー 第1
巻(1984),第2巻(1986)(Bergey’s Manu
al ofDeterminative Bacteriology 7th. Ed.(1957),8t
h.Ed.(1974).Bergey’s Manualof Systematic Bacterio
logy Vol.1(1984), Vol.2(1986).)の記載に基づいて行
った。
【0010】[I]SK522菌株 (Clostridium thermocellum biovar SK522,微工
研条寄第3459号,FERM BP−3459) 菌学的性質 随伴菌なしで、単独では生育ができない。しかし、随伴
菌は、容易に単離純粋培養されるので、単離した随伴菌
を基礎とし、これと共生培養しながら、その諸性質を試
験した結果である。 形 態 直桿状、わずかに湾曲するものもある。単独、ときどき
2連。0.3〜0.5×2.2〜4.0μ。培養が古く
なると糸状に伸延し、長連鎖状、長さ5.7〜12.8
μ。周毛、室温懸滴標本では運動性がみられない。末端
に楕円、または円形の胞子を形成して細胞を膨張し棍棒
状。グラム陰性。
【0011】培養的性質 (1) 平板培養 肉汁寒天、その他一般の常用培地による平板培養には生
育しない。しかし、ビルジョンら(Viljoen et al.)の
提示する培地テトロール(Tetrault)円形ろ紙寒天平板
培養に随伴菌と黄色斑点状のコロニーを形成するが、本
菌単独では作り得ない。 (2) 斜面培養,穿刺培養 シュワイツアー(Schweizer)の試薬処理ろ紙添加ビル
ジョンら(Viljoenet al.)培地寒天斜面培養,及び同
穿刺培養ともに生育しない。 (3) バレイショ培養,ゼラチン培養 表面,穿刺とも生育しない。 (4) 液体培養 ビルジョンらの(Viljoen et al.)培地,繊維素肉汁,
繊維素ペプトン水(生育僅少)等の繊維素を含有する培
地だけに生育が認められる。グルコース,キシロース等
の繊維素以外の物質を炭素源とすれば繊維素の分解力を
失う。
【0012】生理生化学的性質 1.酵素作用等 (1) 繊維素分解 本菌のもつ繊維素分解酵素は、本質的にはいくつかのβ
−1,4−グルカナーゼの複合体である。細胞外に分泌
され、作用温度80℃以上、同水素イオン濃度pH=1
0.0以上の耐熱性,耐アルカリ性の酵素が数種含まれ
ていることを確認した。ミセル構造をなす繊維素の巨大
分子の末端から切断し、グルコース,セロビオース,セ
ロオリゴ糖類等を生成する。これらの酵素を作用する基
質を主体として示すと、 ろ紙を分解する FP−アーゼ:陽性 アビセルを分解する アビセラーゼ:陽性 セロビオースを2分子のグルコースに分解する セロビアーゼ:陽性 (2) リグニン分解 イナワラリグニン可溶化 :陽性 (弱,微弱) (3) タンパク質分解 プロテオリティック酵素(Proteolytic enzymes) :陰性 ペプチダーゼ(peptidase) :陽性 (4) デンプン加水分解テスト :僅かに陽性 (5) ヘミセルロース,キシラン,ペクチンの加水分解テスト :陰性 (6) インベルターゼ,マルターゼ :陽性 (7) 脂肪分解力テスト :陰性 (8) 酸化反応 ハイドロキノン反応 :陽性 チロシン反応 :陰性 (9) 還元作用 :陽性 2.生産物試験 (1) 繊維素発酵 発酵率78〜91%,繊維素を旺盛に発酵してエタノー
ル,メタノール,アセトアルデヒド,酢酸,乳酸,ギ
酸,ラク酸,コハク酸,フマル酸,酒石酸,グルコン
酸,グルコース,セロビオース,セロオリゴ糖類,セロ
デキストリン,多量の炭酸ガス,水素,及び硫化水素等
を生成する。 (2) その他の糖,及びアルコールより生酸 グルコース,ショ糖,マルトース,セロビオースより生
酸。 (3) ガス発生試験 繊維素より猛烈にガス発生するが、グルコース,ショ
糖,マルトース,セロビオースよりガス発生は認められ
ない。 (4) ペプトン水試験 アンモニヤ :僅かに反応あり インドール :陽性 スカトール :陽性 硫化水素 :陽性 (5) 色素生産 通常,カロチノイド黄色色素生産 3.生育条件 (1) 生育温度 至適温度は65〜72℃,温度範囲は40〜80℃,4
0℃以下では生育しない。 (2) 水素イオン濃度 至適水素イオン濃度pH=6.7〜8.0,その範囲は
5.6〜9.6。 (3) 窒素源 ペプトンが最も優れ,尿素,尿酸,アスパラギン,グル
タミン酸ナトリウム等も良好である。アンモニウム塩も
良好な無機窒素源となる。 (4) 炭素源 繊維素以外の炭水化物で継代培養を続けると、その生育
と発酵力を失う。 (5) 酸素との関係 Eh=200〜−250mVと推定され、嫌気性菌であ
る。 (6) 微量栄養素の要求 ビオチン,ピリドキサミン,ビタミンB12,p−アミノ
安息香酸等の微量栄養素を要求する。 4.DNAのG+Cの含有量 G+Cのmol%=38〜40(Tm)と推定される。
【0013】分類学上の位置 生育至適温度65〜72℃,温度範囲40〜80℃とい
う高温に於いて、旺盛に繊維素を発酵する本SK522
菌株に類似するものとして、次のような好熱性繊維素分
解菌が上げられる。 クロストリジュウム・サーモセルム ( Clostridium th
ermocellum Viljoen,Fred and Peterson,1926.: Jour.
Agr. Sci. (London),16,7(1926).) クロストリジュウム・ディゾルベンス ( C. dissolven
s Bergey et al.1925,別名 Bacillus cellulose dessol
vens Khouvine,1923.: Ann. Inst. Past.37,711(1923);
Bergey’s Manual,2nd.Ed.(1925)p.344.) クロストリジュウム・セルラシウム(C.thermocellulas
eum Enebo,1951.:Ber-gey’s Manual,7th.Ed.(1957)p.6
89.) バチルス・サーモセルロリテックス(Bacillus thermoc
ellulolyticus Coolh-aas,1928.:Cent Bakt.II,75,10
1(1928),76,38(1929).) バチルス・サーモフィブリンコルス(B.thermofibrinco
lus Itano and Araka-wa,1929:農化,5,816,921(1929);
6,248,257(1930).) これらの中で、特に次の4つの相違点を除けば形態学
的,培養的,生理生化学的試験において本菌株とよく類
似する細菌はクロストリジュウム・ディゾルベンスであ
る。 (1) 弱又は微弱ではあるが、リグニン可溶化能を有す
る。 (2) 生育適温65〜72℃,生育温度範囲40〜80
℃,40℃以下では生育しない。 (3) 繊維素を旺盛に発酵するが、ヘミセルロース,キシ
ラン,ペクチン等は発酵しない。 (4) リグニン可溶化能はサーマス属(genus Thermus)
のある種の細菌によって共生的に顕著に強調され、同時
に本菌の繊維素分解力,その他作用機能に対して好影響
が与えられる。しかし現在、バージェーズマニアル(Be
rgsy’s Manual of Systematic Bact-eriology Vol.2(1
986)p.1104,p.1141.)において、好熱性分解菌として記
載されているものはクロストリジュウム・サーモセルム
のみである。クロストリジュウム・ディゾルベンス以下
全部当該菌の亜種か変種として取り扱われ、又は研究不
完全なものとされている。そこで、本菌株の分類同定
は、クロストリジュウム・サーモセルムとその菌学的諸
性質を比較検討することとし、同時に他の好熱性繊維素
分解菌についても対比し、参考とした。
【0014】以上のようにして、菌学的諸性質を比較検
討した結果を総括すれば、本菌株と公知のクロストリジ
ュウム・サーモセルムをはじめ列挙した好熱性繊維素分
解菌との特徴的な性状の相違点として、前記の4項目が
あげられるが、その他各種炭水化物に対する作用,微量
栄養素の要求等,色々と数え上げることができるが、特
に強調したいことはリグニンに対する問題である。本菌
株がリグニン可溶化能をもち、その可溶化能がサーマス
・アクアティックスSK542(Thermus aquaticus bi
ovar SK542)との共生的混合培養によって顕著に
増強されることである。これに対して、クロストリジュ
ウム・サーモセルムをはじめその他の好熱性繊維素分解
菌のリグニンに関する記載(descr-iption)は全く見ら
れない。あったとしても、それは繊維素の分解に対する
阻害作用についてである。斯る理由によって、本菌株の
リグニン可溶化能の生理生化学的性質をひとつの根拠と
して新菌株(Strain)とし、クロストリジュウム・サー
モセルムSK522(Clostridium thermocellum biova
r SK522)と名称した。
【0015】微生物受託番号 本菌株の微生物受託番号は、微工研条寄第3459号
(FERMBP−3459)である。本菌株を標準的菌
株とし、クロストリジュウム・サーモセルム(Clostrid
ium thermocellum Viljoen, Fred and Peterson,192
6.)に属する菌種中、リグニン可溶化能を有し、サーマ
ス属(genus Thermus Brock and Freeze1969)に属する
ある種の細菌との共生的混合培養によって顕著にリグニ
ン可溶化能を増強することを特徴し、かつSK522菌
株及び自然並びに人工的変異株を抱括する生理生化学的
性状による新菌株である。
【0016】SK522菌株のスクリーニング 土壌,海浜汚泥,堆・厩肥,人・家畜糞便を分離源とし
て55〜65℃で数回濃縮培養を繰り返した後、ビルジ
ョンら(Viljoen et al.)の提示する培地テトロール
(Tetrault)円形ろ紙寒天平板培養等によって定法通り
分離する。培地としてビルジョンら(Viljoen et al.)
の提示する塩類組成が適当であるが、必要に応じて微量
の無機金属塩類,ビタミン類,生長促進因子,例えば酵
母エキス等を添加するとよい。 ビルジョンらの培地 (Viljoen,Fred and Peterson 1926) ペプトン 5.0g 炭酸カルシウム 過剰 リン酸アンモニウムナトリウム 2.0g 酸性リン酸カリウム 1.0g 硫酸マグネシウム 0.3g 塩化カルシウム 0.1g 塩化第二鉄 痕跡 繊維素(ろ紙) 15.0g 井水 1000ml
【0017】SK522菌株の有用性 本SK522菌株は、もともと旺盛なる繊維素分解菌で
ある。この菌株が弱又は微弱ではあるが、リグニン可溶
化能を有することを本発明者たちが見出し、更にその可
溶化能が本菌株とサーマス属(genus Thermus)のある
種の細菌との共生的混合培養によって顕著に増強される
と共に、本菌株の繊維素分解力、その他作用機能にも好
影響を与えた。又、この混合培養の成功は、多種類の難
分解性有機資材の分解利用を可能にして、その生産性を
向上させ、野積堆肥化法を確実なものにし、好熱性高速
分解方式による堆肥の製造法を確立した。そして、SK
522菌株とSK542菌株を主要菌とする健全活性あ
る土壌微生物フロラーの形成は、環境要因の変化に対し
て有効菌の生育と作用機能を安定させて、土壌病害や連
作障害の消滅,克服した。又、土壌や植物の葉面に直接
撒布する新技術や屎尿の脱臭分解,硬タンパク質の分解
等、新しい次元の微生物利用法の展開が期待される。
【0018】[II]SK542菌株 (Thermus aquaticus biovar SK542,微工研条寄
第3382号,FERM BP−3382) 菌学的性質 形 態 長桿状、0.4〜0.6×3.0〜5.0μ。ある条件
下、例えば培養が古くなると糸状、長さ20〜130
μ。鞭毛なし、室温懸滴標本では運動性がみられない。
内生胞子なし。グラム陰性。
【0019】培養的性質 増殖が活発。ゼェネレーションタイムは20〜50分。 (1) 平板培養 3%寒天,60℃培養:黄色,比較的緻密,小円形コロ
ニー。 (2) 寒天穿刺培養 表面発育だけ,黄色わずかに拡張。 (3) 液体培養 表面に被膜状に生育(静置培養)。
【0020】 生理生化学的性質 1.酵素作用等 (1) タンパク質分解 プロテオリティック酵素 :陽性(強力) (proteolytic enzymes) ゼラチン加水分解 :陽性 ペプチダーゼ(peptidase) :陽性 (2) デンプン加水分解 :僅かに陽性 (3) ペクチン分解 :陽性(弱い) (4) 繊維素分解 :陰性 (5) リグニン分解 :陰性 繊維素及びリグニンの分解は共に陰性ではあるが、好熱
性繊維素分解菌SK522菌株との共生的混合培養によ
って、SK522菌株のリグニン可溶化能を顕著に増強
し、同時に繊維素分解力,その他の作用機能にも好影響
を与える。 (6) 脂肪分解 :陰性 (7) インベルターゼ,マルターゼ :陽性 (8) カタラーゼ,オキシダーゼ反応 :陽性 (9) 硫化水素生成 :陽性(弱い) (10) 硫酸還元反応 :陰性 2.生産物試験 (1) 糖,アルコールより生酸及びガス発生 ガス発生せず。グルコース,ガラクトース,マルトー
ス,ラクトース,グリセロールより生酸。 (2) インドール,スカトールの生成 :陰性 (3) 色素生産 黄色色素(カロチノイド系色素,吸光度最大値450n
m,その他430,435,470nmに小さなピーク
がある)を産生する。しかし、グルコース,その他の糖
類を炭素源とする合成培地ではほとんど産生されない。
【0021】3.生育条件 (1) 培地濃度 サーマス属(genus Thermus)の細菌は一般に有機物濃
度に感受性がある。栄養物は少なく、濃度が低い方がよ
いといわれている。しかし、本菌株はこれらと趣を異に
し、通常の濃度においてもよく生育する。食塩NaCl
5%以上でも生育する。至適濃度2.0〜3.0%。
一般にサーマス属(genus Thermus)の細菌は2%以上
のNaCl存在下では生育しない。グルタミン酸ナトリ
ウム3%以上でも生育する。ショ糖,又はマルトース5
%以上でも生育する。2%ペプトン+1%酵母エキスの
存在下でも、その生育が阻害されない。一般にサーマス
属(genus Thermus)の細菌はトリプトン,酵母エキス
濃度,それぞれ0.1%前後が適当で、各々1%以上に
なると生育しない。 (2) 生育温度 最適温度は72〜76℃,生育温度範囲40〜82℃,
40℃以下では発育できない。 (3) 水素イオン濃度 最適水素イオン濃度pH=6.0〜10.0。生育水素
イオン濃度範囲pH=4.0〜11.0。 (4) 窒素源 ゼラチン等のタンパク質,グルタミン酸塩,尿素,それ
に無機窒素源としてアンモニウム塩がよく利用される。 (5) 炭素源 グルコース,ショ糖,マルトース,ガラクトース,セロ
ビオース,ラフィノース,スタキオース,デンプン,グ
リセロール,酢酸,ラク酸,リンゴ酸,グルタミン酸塩
を利用する。 (6) 酸素との関係 絶対好気性。 (7) 微量栄養素の要求 本菌株は微量栄養素の要求が高い。ビオチン,ニコチン
酸アミド,チアミン等のビタミン類が要求されるほか
に、本菌株の良好な発育には鉄,マンガン,カルシウム
等の金属イオンを比較的高濃度に要求する。そして、こ
れらのミネラル量にも敏感である。 (8) 抗生物質に対する感受性 一般のサーマス属(genus Thermus)の細菌と同様に、
ペニシリンG,クロラムフェニコール,テトラサイクリ
ン,ストレプトマイシン,カナマイシン,その他抗生物
質に高い感受性を示す。 4.DNAのG+Cの含有量 G+Cのmol%=68(Tm)と推定される。
【0022】分類学上の位置 本菌が絶対好気性,生育至適温度72〜76℃,生育温
度範囲40〜82℃,40℃以下では生育しない。無胞
子,グラム陰性の長桿菌であること等から、その他菌学
的諸性質を勘案して、サーマス属 (genus Thermus Bro
ck and Freege1967)と同定される。そして、類似する
サーマス属(genus Thermus)の細菌として、 サーマス・アクアティックス (Thermus aquaticus Bro
ck and Freege 1969.:Bergey’s Manual(1984)Vol.1,P.
337.) サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus Osh
ima and Imahori 1974.:Int.J.Bacteriol.,24,102(197
4)) サーマス・フラブス ( Thermus Flavus Saiki,Kimura
and Arima 1972.:Agr.Biol.Chem.,36,2357(1972)) 等が上げられるが、現在バーゼーズマニアル(Bergey’
s Manual of SystematicBacteriology Vol.1(1984)P.33
3)のサーマス属(genus Thermus Brock and Fr-eeg 19
67)に属する細菌種はサーマス・アクアティックス(Th
ermus aquaticusBrock and Freege 1969)だけであり、
しかも下記のような既知の菌種中に見出し得ない特徴的
な性状を有するので、本菌株をサーマス・アクアティッ
クスの新菌株(strain)として、サーマス・アクアティ
ックスSK542(Thermus aqu-aticus biovar SK5
42)と名称するのが妥当であると結論する。
【0023】下 記 (1) 好熱性繊維素分解菌SK522菌株との共生的混合
培養によって、そのリグニン可溶化能を顕著に増強す
る。と同時に繊維素分解力,その他の作用機能にも好影
響を与える。 (2) 広域の作用水素イオン濃度と作用温度を有する強い
タンパク質分解力を持つ。 (3) 有機物濃度の感受性が、既知のサーマス属(genus
Thermus)の細菌と異なり、非常に弱く、通常濃度の培
地においてもよく生育する。 (4) 微量栄養素の要求が強く、各種ビタミン類及び金属
イオンを要求し、それらのミネラル量にも敏感である。 (5) 黄色色素(カロチノイド系色素,吸光度最大値45
0nm,その他430,435,470nmに小さなピ
ークがある)を産生する。
【0024】微生物受託番号 本菌株の微生物受託番号は、微工研条寄第3382号
(FERMBP−3382)である。SK542菌株と
は、本菌株を標準的菌株とし、サーマス・アクアティッ
クス(Thermus aquaticus Brock and Freege 1969)に
属する細菌種中、好熱性繊維素分解菌(SK522菌
株)との共生的混合培養によって、そのリグニン可溶化
能を顕著に増強し、同時に繊維素分解力にも好影響を与
えることを特徴とし、かつSK542菌株及び自然並び
に人工的変異株を抱括する生理生化学的性状による新菌
株(strain)である。
【0025】SK542菌株のスクリーニング 分離源は九州各地の温泉源及び温泉源付近の土壌,腐植
等である。分離試料を55〜60℃で前培養した後、定
法に従って3%寒天平板培養によって単離する。 分離用培地組成 (カステンホルツの培地:Castenholz,R.W.;Bacteriol.
Rev.,33,467(1969)) ニトリロ三酢酸 100mg CaSO4・2H2O 60mg MgSO4・7H2O 100mg NaCl 8mg KNO3 103mg NaNO3 689mg Na2HPO4 111mg FeCl3 0.28mg MnSO4・H2O 2.2mg ZnSO4・7H2O 0.5mg H3BO3 0.5mg CuSO4 0.016mg Na2M0O4・2H2O 0.025mg (イーストエキス 5000mg) (トリプトン 5000mg) (ショ糖 10000mg) 全量(純水で、pH=〜8) 1000ml 注:( )内の組成は発明者らが改変。
【0026】SK542菌株の有用性 本新菌株の有用性は、次の三つの作用機能によって特徴
づけられる。 (1) 好熱性繊維素分解菌(SK522菌株)との共生的
混合培養によって、該菌のもつリグニン分解能を顕著に
増強する。と同時に、その繊維素分解力、その他の作用
機能にも好影響を与える。 (2) 広域の作用水素イオン濃度と作用温度を有する強い
タンパク質分解力をもつ。 (3) 不溶性、カロチノイド系の黄色色素を産生する。菌
体中のこの黄色色素が他の微生物等による分解を受け水
溶性の低分子量体のものとなり、植物体に吸収されて、
果実の味、色沢、貯蔵性等の果実の品質の向上に役立
つ。又、本SK542菌株菌体を施用すると、これを基
質として繁殖する一般の従属栄養微生物や土壌有効菌の
増殖を促す。 以上のようなことが、既知のサーマス属(genus Thermu
s)の細菌と異なり有機物濃度の感受性の非常に弱いこ
とと相俟って、自然生態や農耕生態系において、多種類
の難分解性繊維物質,硬タンパク質や余剰汚泥、その他
広く各種の有機資材を利用できるようになった。更にこ
のことが、生産性向上、土壌病害や連作障害の克服、そ
して、屎尿の脱臭・分解、土壌又は植物葉面に直接撒布
する新技術の開発等、新次元の微生物利用法の発展へと
繋がる。
【0027】[III]SK522菌株とSK542菌
株の混合培養物 1.SK522菌株の多量培養物 前記ビルジョンら(Viljoen et al.,1926)の培地を用
い嫌気または半嫌気的条件下で、65〜70℃,48〜
60時間培養し、その培養液をもって菌体含有の培養物
とする。 2.SK542菌株の多量培養物 前記カステンホルツ(Castenholz,1969)の培地を用
い、通気または振盪等の好気的条件下で、70〜75
℃,24時間培養し、その培養液をもって培養物とす
る。
【0028】3.SK522菌株とSK542菌株の混
合培養物 下記の培地を用い、SK522菌株及びSK542菌株
の多量培養物の適量をそれぞれ接種して、65〜70
℃,24〜36時間培養して、両菌株の混合培養物とす
る。そして、これを本発明の提示する賦型剤(第3,4
頁参照)を用いて粉粒体となし、水分を5〜7%以下の
製品にすると2ケ年以上の保存に耐える。又、施用直前
に両菌株の多量培養物を等量にとってよく混和して、す
ぐに施用するか、或いは賦型剤(第3,4頁参照)を用
いて粉粒体に製造しても、その最終製品の品質性能は全
くかわらない。又、下記の共生混合培養用E−培地を以
下単にE−培地と称する。 下 記 共生混合培養用 E−培地 K2HPO4 5kg (NH4)2SO4 2kg 尿素 2kg ペプトン 5kg 酵母エキス 5kg ろ紙(繊維素) 15kg CaCO3 過剰 水(〜pH7.0) 1000l 4.両菌株の共生的混合培養のもたらす有用性 共に高温環境という条件下で、絶対好気性のサーマス属
(genus Thermus)のSK542菌株との共生的混合培
養は、嫌気性の好熱性繊維素分解菌SK522菌株単独
ではほとんど不可能な天然の難分解性有機資材の分解発
酵を顕著に高揚する。まず、SK542菌株の増殖はS
K522菌株の欠除するタンパク分解活性を充補する。
しかも、堆・厩肥をはじめ廃木材、都市下水汚泥等の難
分解性有機資材の分解発酵は、すべて固体発酵の状態
で、かなり通気のよい環境下におかれている。そして、
初期の段階におけるSK542菌株の増殖は高温嫌気的
環境へと変移せしめ、これによってSK522菌株の自
然界での生育を可能となる。
【0029】(1) リグニンの可溶化 ここで、特に注目されることは、SK542菌株によっ
てSK522菌株のリグニン可溶化能が顕著に発揮され
ることです。難分解性有機資材は、実際には繊維素がリ
グニン、その他の有機成分と強く結合した状態で存在す
る。こうした天然のリグノセルロースは繊維素分解力の
旺盛なSK522菌株の単独施用ではほとんど分解が不
可能である。リグニンの化学構造は、未だ完全に明らか
にされていないが、ベンゼン環に炭素数3つの側鎖を持
つフエニルプロパンが基本単位になって、この単位体が
パーオキシダーゼによって触媒されるラジカル反応によ
りランダムに三次元的に重合した高分子化合物である。
微生物の分解に対する抵抗がきわめて強く、きわめて分
解困難であることは多くの研究者・技術者の認める一致
した見解である。ところが、本願発明で使用するSK5
22菌株は弱又は微弱ではあるが、リグニンを可溶化す
る。そして、このリグニン可溶化能が、SK542菌株
と共生的混合培養することによって、たとえば、イナワ
ラリグニンの50%以上が10日前後の短日時において
可溶化されるということが、今回、本願発明において、
はじめて明らかにされた。その実際的な施用が本願発明
の重要なる特徴的態様で、その作用効果は50〜80℃
以上という高温期段階で発揮され、分解発酵へその腐植
化が急速に進行する。
【0030】(2) 黄色色素の産生 SK542菌株をはじめ、サーマス属(genus Thermu
s)の産生する黄色色素はカロチノイド系不溶性色素で
ある。菌体中のこの黄色色素が他の微生物等による分解
を受け水溶性の低分子量体のものとなり、植物体に吸収
され、必要部位に移行し、丁度都合の良い前駆物質とな
る。すなわち、このような黄色色素が、ほかの溶菌した
細胞内容物や分泌物、それに発酵生産物等とともに根茎
葉部位の増大繁茂を促すだけでなく、花芽の形成,着
果,果実の肥大等の生殖生長の代謝系に深く関与してい
ることが分子生物学的レベルで行なわれた研究によって
も明らかにされ、その応用利用へと発展し、すでに果実
の味,色沢,貯蔵性等品質向上に役立っている。
【0031】(3) 微生物生態系の混合複合化 また、この黄色色素を含むSK542菌株の菌体を施用
すると、それを基質として繁殖する一般の従属栄養微生
物,土壌有効菌等の増殖を促す。さらに重要なことは、
自然界の堆肥製造のような現場では、SK522菌株の
ような好熱性微生物が、すぐに増殖活性化するわけでは
ない。当初は、一般の常温性従属栄養微生物が増殖し、
これらの作用による発酵熱が蓄積されて品温の上昇に役
立つものであり、単一菌株の好熱性繊維素分解菌や少数
の微生物のみが、天然の難分解性有機資材の腐植化に関
与するわけではない。微生物フロラーの混合複合化多様
化が求められる。さまざまなタイプの有効菌が多く、さ
らに「エサ(基質)」も適度にあるという複合的内容が
望ましい。こうして、難分解性有機物の高温分解は、S
K522菌株を中心とする細菌フロラーがまず形成さ
れ、その腐植化過程が単純な構成成分の変化だけでな
く、きわめて複雑な微生物フロラーの相互作用やその変
遷等が、深い関わりをもって最も効率よく進行するので
ある。請求項5項でいうSK522菌株とSK542菌
株の他の有効菌としては下記のものがある。
【0032】(1) ヘミセルロースの分解菌の培養物 ヘミセルロースは繊維素とともに植物体(細胞壁)を形
成し、これを構成する糖類によって、キシラン,アラバ
ン,デキストラン,マンナン,ガラクタン等と称せられ
る。ヘミセルロース分解菌の培養物は、イナワラキシラ
ン約1%の濃度に加えた岩田の培地(1936)を使用
し、30〜38℃,通性嫌気的に集殖する。通常、バク
テリウム・ブルガトゥス(Bacterium vulgatus),バク
テリウム・プロディギオサム(Bac. prodigiosum),バ
クテリウム・メセンテリクスルバー (Bac.mesentericu
s ruber),ミクロスピラ・アガーリクェフィセンス
(Microspiraagerliquefaciens)等の1株又は2株以上
の混合培養物が獲得される。 (2) ペクチン物質分解菌の培養物 ペクチン物質を強力に分解する細菌は、好気性のもので
は枯草菌群細菌及びエタノール・アセトン菌に、又嫌気
性ではラク酸菌に属するものが多い。本発明では、モリ
シュの培地(Molisch1939)を用い、土壌,堆肥,
馬糞,バガスやチョ麻等の腐敗物を分離源として、27
〜35℃,培養日数3〜5日,厚層及び薄層で数回の集
殖培養で種菌を獲得する。本発明では、その1株以上の
数株の培養物を用いる。
【0033】(3) 土壌放線菌の培養物 放線菌(Actinomycetales Buchanan,1917)の土壌
中の働きについて一般的に言うことが難しい。しかし、
各種の有機性物質、特に難分解性の繊維素,リグニン等
を他の微生物とともに分解し、土壌肥沃のもとになる腐
植の生成に重要な働きをしており、又抗生物質の産生を
通してのミクロフローラ・コントロール面で重要な意義
をもつことは確かである。放線菌の培養は、ワックスマ
ンの培地(Waksman1919),分離源に肥沃な土壌,
又堆・厩肥を用い強力菌を集殖する。 (4) 土壌糸状菌及び酵母の培養物 土壌糸状菌の最も多く存在する場所は、細菌,放線菌と
同様土壌で、土壌中の糸状菌は当然植物根のある耕作土
に多く、特に根圏ではその働きも活発である。植物遺体
等の有機性物質の分解にあずかり、土壌の肥沃度に関係
する。糸状菌は主として分解の初期段階で活躍している
と考えられる。次に土壌酵母の働きについては不明の点
が多い。しかし、土壌中には相当数の酵母菌が存在し、
かつその含有する豊富なビタミン類や生育因子をめぐっ
て他微生物との共存共棲や土壌活性等に影響のあること
は確かである。土壌糸状菌や酵母の培養物は、ツアペッ
ク・ドックスの培地(Czapek & Dox,1910)を用
い、土壌或いは堆・厩肥より分離,培養する。
【0034】(5) 好熱性バチルス属の培養物 一般に好気性,運動性,内生胞子を有する桿菌で、土
壌,葉面,枯草等自然界に広く分布する一群の細菌で、
ほとんどの菌株が強い熱抵抗性をもち、55℃以上でも
生育できるものが多いことから堆肥製造中の主要な微生
物であるという報告もある。又、バシトラシンやバシリ
シン等の抗菌物質を分泌することが、近年土壌植物病理
学の分野で注目されている。このようなことから、本菌
群が作物生産に利用しようとする試みが可能で、肥沃な
土壌や堆・厩肥等の懸濁液を80℃,10分間,加熱処
理して分離源とする。ワックスマンの培地(Waksman,19
22)を用い、50〜60℃,好気的に本菌群を集殖す
る。本発明では、これらの菌の単独又は混合培養を用い
る。 (6) 黄色色素産生菌の培養物 細菌の産生する黄色色素はカロチノイド系の色素であ
る。特に完熟堆肥中に数多く存在し、種類も多い。また
植物葉面にもよく存在する。これらを分離源とし、通常
の肉エキス培地又はペプトン・酵母エキス培地を用い、
25〜35℃,好気的条件下で培養,分離する。黄緑
色,黄色,黄褐色,紅色等の呈色によって容易に識別さ
れ、一般にフラボバクテリウム(Flavobacterium),ク
ロモバクテリウム(Chromobacterium),シュドモナス
(Pseudomonas),セラテラ(Serratia),光合成細菌
(Phototrophic bacteria)等に属する1株又は2株以
上の培養物が獲得される。
【 0035】[IV]SK522菌株とSK542菌
株の共生的混合培養物の応用例 応用例1.リグニン可溶化法の応用例 1.種菌:SK522菌株とSK542菌株共生的多量
混合培養物 SK522菌株の多量培養物 SK542菌株の多量培養物 各培養物いずれも本明細書記載(第11,12,17,
18頁参照)通りである。 2.試料:試験に使用した原材料はイナワラ(粳)で、
その分析値は表1の通りである。
【表1】 3.試験方法 1000ml三角フラスコに風乾試料10.0g,E−培
地700ml(ろ紙を除いたもの)注加、常法通り加圧殺
菌後、適量の種菌を接種,65℃,20日間培養。蒸発
欠減を補い、分析に供する。 4.結果の表示
【数1】
【数2】
【数3】 5.試験結果
【表2】 表2を見ても明らかなように、この522菌株と542
菌株の二つの新株の好熱的な共生的混合培養は、それぞ
れの機能の相加的作用だけでなく、相互作用による相乗
的効果によって互いにその機能を高め、イナワラのよう
な天然の難分解性繊維物質を10〜12日という短日時
で、リグニンの50%以上を可溶化し、繊維素は90%
以上、タンバク質は70%以上を強力かつ安定して発酵
分解している。522菌株,542菌株それぞれ単独培
養とは、顕著な差異がある。
【0036】応用例2.有機資材の発酵分解剤によるノ
コクズの発酵 1.発酵分解剤:SK522菌株とSK542菌株との
共生的混合培養物に酵母エキス10%(wt/vo
l),ペプトン10%(wt/vol)を添加して発酵
分解剤とする。 2.試料:ノコクズ。樹種杉,樹齢17〜20年,木質
部を縦引にし、粒子の大きさ3.0〜1.0mm。
【表3】 3.試験方法及び結果の表示 1000ml三角フラスコに風乾試料10g,E−培地7
00ml(除ろ紙,本明細書第19頁参照)注加,常法通
り加圧殺菌後、適量の発酵分解剤を接種,65℃,20
日間培養。蒸発欠減を補い、分析に供する。その結果に
より、応用例1.と同様にしてリグニン可溶化率,繊維
素発酵率,タンパク質分解率を算出する(本明細書第2
4頁参照) 4.試験結果 試験結果は表4に示される通りで、
【表4】 二つの新菌株SK522菌株とSK542菌株の共生的
混合培養を主成分とする有機資材の発酵分解剤が、ノコ
クズのような天然の難分解性繊維物質を10〜12日前
後で、リグニンの50%以上を可溶化し、繊維素及びタ
ンパク質もSK522菌株単独の場合と同様か、それ以
上に強力かつ安定して発酵分解している。
【0037】応用例3.粉粒状の発酵分解剤と野積堆肥
化法 1.発酵分解剤の製造 そして、本発明の粉粒状の発酵分解剤の製造は、SK5
22菌株とSK542菌株の多量培養物とともに、微量
栄養素と微量ミネラルのある種のものを選択して、石灰
岩岩粉等の賦型剤に添加し、よく攪拌混和して製造基準
に制定された形状の発酵分解剤とする。原材料の配合の
一例は下記の通りで、粉状の製品とする。もし、必要が
あれば、つなぎ剤等を加え顆粒状とすることもできる。 原材料の配合割合 (賦型剤:石灰岩岩粉1000kgに対して) SK522菌株の多量培養物 2kg SK542菌株の多量培養物 2kg ビオチン 1g ビタミンB12 1g シスチン 5g メチオニン 10g マンガン 10g コバルト 1g イーストエキス 100g けいそう土 50kg 2.堆肥の製造 スギ材のバークを主原料として、粉状の本発酵分解剤を
使用し、従来の野積堆肥化法によって堆肥を製造し、そ
の施用効果をみた。 (1) バークの成分組成
【表5】 (2) 原材料の配合 バーク(選別篩の目20mm) 1000kg 米ヌカ 250kg 硫安 2kg 過リン酸石炭(第2回切り返し時に添加) 20kg 本発酵分解剤 60kg 水分 約60% (3) 堆肥の積込み バーク粉砕物1000kgを使用し、本発酵分解剤,そ
の他をよく混合しながら水分が約60%になるように給
水し、180×180cmの木枠の中に積込み、上部を
ビニールシートで覆った。 (4) 製造経過 積込み作業は5月10日に実施し、切り返し3回、2回
目の切り返し時に過リン酸石灰20kgを添加し、7月
10日終了する。品温の上昇は速かで、積込み後5日目
で61℃に達し、爾後60℃以上を継続する。2回目の
切り返し後最高温72℃に達し、暫時次第に品温が低下
し、後熟期にはいった。7月10日までの積算温度の算
出をすると4,383℃・日となり、単純に平均する
と、従来の場合と比較して、1日当り2.7〜3.2℃
の温度上昇を示している。また、切り返し時における色
の変化をマンセルの色彩図表でみると、表6の通りであ
った。
【表6】 (5) 結果 結果は表7に示される通りである。従来3〜6ケ月以上
かかって製造されていたバーク堆肥が60日で可能とな
った。また、60日間の積算温度4,383℃・日、従
来の場合と比較して、1日当り2.7〜3.2℃の品温
上昇を示すことになり、熟成に伴う色彩の変化も好結果
を示している。以上のようにして、バーク堆肥化に本発
酵分解剤の腐熟効果が充分にあったと考えられる。この
ことは最終的に製品の分析結果によってもよくわかる。
いずれの分析値も日本バーク堆肥協会及び全国バーク堆
肥工業会の統一基準値を上まわる優れた結果を示してい
る。
【表7】
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば有用な新
菌SK522菌株を提供する。又、新菌SK522とS
K542の両菌株の共生的混合培養の成功は、自然生態
系や農耕生態系、又工場生産システムにおける微生物フ
ロラーの作用システムの次のような利用を可能にし、そ
の実用化を確実なものとした。 (1) 多種類の天然の難分解性有機質の分解利用を可能に
し、ただ分解消化するだけでなく、いくつかの有用な物
質の生産ができた。 (2) 分解が迅速,安定して、その生産性が向上し、野積
堆肥化法を確実なものにした。 (3) そしてまた、難分解性有機質の複雑な分解工程をで
きるだけ短時間に一段階で行う好熱性高速分解方式を確
立した。 (4) SK522菌株とSK542菌株を主要菌とする健
全活性ある強力な土壌微生物フロラーの形成は、環境要
因の変化に対して有効菌の生育と作用機能を安定させ
た。 (5) また同時に雑菌や有害菌等の汚染に抵抗性を増強し
て、土壌病害や連作障害を消滅,克服することができ
た。 (6) 前項のようにして製造された良質の堆肥,コンポス
トの施用、又は土壌や植物の葉面に直接施用する撒布技
術の開発等は、土壌の物理的性状を改善し、特に緑農地
の植物を活性化し、生産性を維持するための地力を増大
させることができた。 (7) 屎尿の脱臭分解、又硬タンパク質,余剰汚泥の分解
にも有効で、これらを窒素源として難分解性繊維物質を
効果的に分解する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 39/00 9452−4B //(C12N 1/20 C12R 1:145) (C12N 1/20 C12R 1:145 1:01) (C12P 39/00 C12R 1:145 1:01)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグニン可溶化能を有し、生育適温が6
    5〜72℃で、40〜80℃の温度範囲で生育し、繊維
    素を旺盛に発酵する好熱性繊維素分解菌クロストリジュ
    ウム・サーモセルムSK522(Clostriduim thermoce
    llum biovarSK522,微工研条寄第3459号)。
  2. 【請求項2】 絶対好気性、生育適温が72〜76℃
    で、40〜82℃の温度範囲で通常濃度の培地に生育
    し、作用適温75〜85℃、作用水素イオン濃度pH=
    4.0〜11.3の高温性広域作用水素イオン濃度活性
    のタンパク質分解酵素とカロチノイド系黄色色素を産生
    するサーマス・アクアティクスSK542(Thermus aq
    uaticus biovar SK542,微工研条寄第3382
    号)と、請求項1記載の好熱性繊維素分解菌クロストリ
    ジュウム・サーモセルムSK522とを60℃以上の好
    熱性環境下で共生的混合培養させた混合培養物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の混合培養物を60℃以上
    の好熱性環境下において有機資材に作用させ、リグニン
    可溶化能を強化することを特徴とするリグニン可溶化
    法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の混合培養物を有効主成分
    とする有機資材の発酵分解剤。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の発酵分解剤の有効菌が要
    求するビタミン・アミノ酸等の微量栄養素及び微量ミネ
    ラルを添加した賦型剤でもって粉粒状にした請求項4記
    載の発酵分解剤。
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