JPH0737363B2 - 抗菌抗カビ性セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

抗菌抗カビ性セラミックス及びその製造方法

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JPH0737363B2
JPH0737363B2 JP4242640A JP24264092A JPH0737363B2 JP H0737363 B2 JPH0737363 B2 JP H0737363B2 JP 4242640 A JP4242640 A JP 4242640A JP 24264092 A JP24264092 A JP 24264092A JP H0737363 B2 JPH0737363 B2 JP H0737363B2
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垰田博史
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌抗カビ性セラミッ
クス及びその製造方法に関するものである。詳しく言え
ば、本発明は耐水性、耐光性、耐熱性のみならず、抗菌
抗カビ力及び抗菌抗カビ効果の持続性という面からも優
れた特性を有する安全な抗菌抗カビ性セラミックス及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銀、銅、亜鉛、白金のイオンが抗菌抗カ
ビ力を有することは古くから知られていたが、溶液状の
利用では取り扱いも不便であり、抗菌抗カビ効果の持続
性や耐久性、安全性という面からも問題があった。最
近、ゼオライトや粘土鉱物であるモンモリロナイトにこ
れらの金属イオンを担持して上述の欠点を克服した無機
系抗菌抗カビ剤が開発されてきた(例えば、萩原善次、
安藤聡、ゼオライト、Vol.4, 1 (1987)、山本達雄、内
田眞志、栗原靖夫、防菌防カビ誌、Vol.19, 425 (199
1)、A. Oya, T. Banse, F. Ohashi, S. Otani, Appl. C
lay Sci., Vol.6, 135(1991))。
【0003】しかしながら、ゼオライト系抗菌抗カビ剤
では金属イオンが強く担持され過ぎるため、抗菌抗カビ
効果が小さく、しかも耐水性が悪いという欠点があり、
モンモリロナイト系抗菌抗カビ剤では逆に金属イオンの
担持力が弱いため、金属イオンの溶出速度が速く、抗菌
抗カビ効果の持続性に問題があった。また、米国の水質
基準では銀イオン濃度は50ppb以下であり、ドイツ
では100ppb以下、スイスでは200ppb以下で
あるため、モンモリロナイト系抗菌抗カビ剤では安全性
に問題があり、さらに使用の際の変色の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
み、耐水性、耐熱性、耐光性、耐候性、安定性、安全性
のみならず、抗菌抗カビ力及び抗菌抗カビ効果の持続性
という面からも優れた特性を有する経済的な抗菌抗カビ
性セラミックス及びその製造方法の提供を目的とするも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的を
達成するため、無機系抗菌抗カビ性組成物について鋭意
研究を重ねた結果、基板あるいは導電性の皮膜を施した
基板あるいは導電性の基板に、銀、銅、亜鉛、白金の内
から選ばれた少なくとも一種の金属イオンを含有した酸
化チタン膜を被覆すること、あるいはその上にさらに酸
化チタン膜あるいは白金膜を被覆することによって製造
した抗菌抗カビ性セラミックスが、金属イオンの作用に
加えて、太陽光や電灯などの光を受けて酸化チタン膜に
電子や正孔が生成して酸化還元を行うことにより、溶液
中あるいは膜上の雑菌及びカビの繁殖を効果的に防止で
きることを見い出し、本発明をなすに至った。
【0006】すなわち、本発明は基板あるいは導電性の
皮膜を施した基板あるいは導電性の基板に、銀、銅、亜
鉛、白金の内から選ばれた少なくとも一種の金属イオン
を含有した酸化チタン膜を被覆すること、あるいはその
上にさらに酸化チタン膜あるいは白金膜を被覆すること
を特徴とする抗菌抗カビ性セラミックス、及び、チタニ
アゾル液を基板あるいは導電性の皮膜を施した基板ある
いは導電性の基板の上にコートして焼成した後、銀、
銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少なくとも一種の金属
イオンを含有した溶液に浸漬し、乾燥、焼成することを
特徴とする抗菌抗カビ性セラミックスの製造方法、ある
いは銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少なくとも一
種の金属イオンを含有したチタニアゾル液を基板あるい
は導電性の皮膜を施した基板あるいは導電性の基板の上
にコートして焼成することを特徴とする抗菌抗カビ性セ
ラミックスの製造方法で、さらにその表面をチタニアゾ
ル液でコートして焼成したり、白金膜で被覆することを
特徴とする抗菌抗カビ性セラミックスの製造方法であ
る。
【0007】本発明に用いられる基板の材質は、必要な
強度を持っていればコンクリート、ガラス、プラスチッ
ク、セラミックス、金属など、何でもよい。また、本発
明に用いられる基板は透明であっても不透明であっても
よいが、基板が透明の方が光が外側から基板を透過して
入射できるため、好都合である。
【0008】本発明に用いられる導電性の皮膜を施した
基板としては、銅やアルミニウムなどを施したものや酸
化錫やITO(インジウム・錫酸化物)、酸化亜鉛など
の透明導電膜を施したものが挙げられる。基板に導電膜
を被覆する方法としては、電解鍍金法やCVD法、PV
D法、スパッタリング法などが挙げられる。
【0009】本発明に用いられる導電性の基板として
は、銅やアルミニウム、チタンなどの金属や酸化錫ガラ
ス、ITO(インジウム・錫酸化物)ガラスなどが挙げ
られる。酸化錫ガラスやITOガラスは無色透明である
ため、外側から基板を透過して光が入射でき、好都合で
ある。
【0010】本発明に用いられる基板の形状は、角柱
状、円柱状、球状、円錐状、瓢箪型、ラグビーボール型
など、どのような形であってもよい。また、基板が閉じ
た形であっても、蓋があってもなくてもよく、円管状や
角管状であってもよい。
【0011】本発明による抗菌抗カビ性セラミックスに
用いられる金属イオンは銀、銅、亜鉛、白金のイオンで
あり、これらから選ばれた二種以上の金属イオンを用い
てもよい。
【0012】本発明に用いられる酸化チタン膜はチタン
フィルムをガス炎などで加熱・酸化して作ってもよい
が、四塩化チタンとアルコールとの反応などによって得
られるチタンのアルコキシドからチタニアゾル液を作
り、ディップコーティング法やスピンコーティング法、
塗布法、スプレー熱分解法などによって基板上にコート
した後、焼成して製造した方が好ましい。また、超微粒
子の酸化チタンの懸濁液をディップコーティング法やス
ピンコーティング法、塗布法、スプレー法などによって
基板上にコートした後、焼成して製造してもよい。その
際、基板に強く接着した丈夫な酸化チタン膜を得るため
には、チタニアゾル液の濃度を小さくして粘度が小さい
ときに塗布あるいはスプレーあるいはスピンコートした
り、基板の引き上げ速度を小さくしたりして、酸化チタ
ン膜の膜厚を0.1〜0.3μmにすることが望まし
い。そして、そのときの焼成温度は500℃〜550℃
程度が最も好ましい。この作業を繰り返すことにより、
厚くて丈夫な酸化チタン膜を得ることができる。
【0013】本発明による銀、銅、亜鉛、白金の内から
選ばれた少なくとも一種の金属イオンを含有した酸化チ
タン膜を基板に被覆した抗菌抗カビ性セラミックスは、
上記の方法で製造された酸化チタン膜を銀、銅、亜鉛、
白金の内から選ばれた少なくとも一種の金属イオンを含
有した金属塩を水及び/または有機溶媒に溶解した溶液
に浸漬した後、乾燥して製造することができるし、チタ
ニアゾル液あるいは超微粒子の酸化チタンの懸濁液に
銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少なくとも一種の
金属イオンを含有した金属塩溶液を添加あるいは金属塩
を溶解し、ディップコーティング法やスピンコーティン
グ法、塗布法、スプレー熱分解法などによって基板上に
コートした後、焼成して製造することができる。その
際、金属塩溶液の濃度や金属塩の量、あるいはディップ
コーティング法やスピンコーティング法、塗布法、スプ
レー熱分解法などによって基板上にコートして焼成する
回数を変えることにより、抗菌抗カビ性セラミックスが
含有する銀、銅、亜鉛、白金の金属イオン濃度を変える
ことができる。このとき用いられる金属塩は硫酸塩、硝
酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、塩化物や臭化
物などのハロゲン化物、ステアリン酸塩や酢酸塩などの
有機の塩など、いろいろな塩が挙げられるが、これらに
限られるものではない。また、無水塩であっても含水塩
であってもそれらの混合物であってもよいし、銀塩ある
いは銅塩、亜鉛塩、白金塩の混合物であってもよい。
【0014】本発明による銀、銅、亜鉛、白金の内から
選ばれた少なくとも一種の金属イオンを含有した酸化チ
タン膜を基板に被覆し、その上にさらに酸化チタン膜を
被覆した抗菌抗カビ性セラミックスは、上記の方法で製
造された銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少なくと
も一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜を基板に被
覆した抗菌抗カビ性セラミックスに、チタニアゾル液あ
るいは超微粒子の酸化チタンの懸濁液を、ディップコー
ティング法やスピンコーティング法、塗布法、スプレー
熱分解法などによって基板上にコートした後、焼成して
製造される。このときディップコーティング法やスピン
コーティング法、塗布法、スプレー熱分解法などによっ
て基板上にコートして焼成する回数を変えることによっ
て、表面の酸化チタン膜の厚さを調節することができ、
それによって銀、銅、亜鉛、白金の金属イオンの徐放速
度や抗菌抗カビ性セラミックスの有効期間を適当に調節
することができ、水中の金属イオンの濃度が水質基準を
超えないようにすることができる。
【0015】本発明による抗菌抗カビ性セラミックスに
用いられる金属イオンの濃度は、酸化チタン膜に対して
銀の場合は0.0001〜10重量%、銅の場合は0.
01〜15重量%、亜鉛の場合は0.02〜20重量
%、白金の場合は0.01〜25重量%であり、これ以
下であると抗菌抗カビ効果が弱く、それ以上では金属イ
オンの溶出量が多くなる。抗菌抗カビ性セラミックスの
金属イオンの濃度はその使用期間や必要とされる抗菌抗
カビ効果の程度などによって最適量を決めることができ
る。
【0016】また、本発明に用いられる白金膜を表面に
被覆する方法としては、光電着法やCVD法、PVD
法、スパッタリング法などが挙げられる。白金膜の厚さ
を調節することによっても銀、銅、亜鉛、白金の金属イ
オンの徐放速度や抗菌抗カビ性セラミックスの効力を適
当に調節することができ、水中の金属イオンの濃度が水
質基準を超えないようにすることができる。
【0017】こうして得られた本発明による抗菌抗カビ
性セラミックスは、銀などの抗菌抗カビ性金属イオンの
作用に加えて、太陽光や電灯などの光を受けて酸化チタ
ン膜に生成する電子と正孔の酸化還元作用により、溶液
中あるいは膜上の雑菌及びカビの繁殖を効果的に防止す
ることができる。したがって、これをタイルなどに適用
してプールの内側に張れば、プールの底や壁などにぬめ
りが付いて滑りやすくなるのを防止でき、風呂場のタイ
ルや建物の外壁に適用すれば、かびなどによる黒ずみな
どを防止することができる。また、飲料水などを容れる
容器に適用すれば、雑菌の繁殖や腐敗を防止でき、飲料
水などを室温で長期間保存することができる。さらに基
板が薄いフィルムやシート、織物である場合には衣類や
医療用品、包装袋としても使用できる。本発明による抗
菌セラミックスはその外にも、すのこや風呂桶、浴槽、
噴水のタイル、流し、流しの三角コーナー、プールや風
呂場のてすり、洗面器、まな板、洗面台、魚のショウケ
ース、医療用器具、靴、スリッパ、加湿器の水槽、ヒゲ
剃り、カーペットなど、幅広い応用が可能である。
【0018】
【実施例】本発明の実施例の内で特に代表的なものを以
下に示す。
【0019】実施例1 0.1molのチタンイソプロポキシドを100mlの
無水エタノールで希釈し、攪拌しながら、2規定の塩酸
2.7mlを添加して透明なゾル液を調製し、ディップ
コーティング法によりスライドガラス基板上に酸化チタ
ン膜をコートした。すなわち、このゾル液にスライドガ
ラス基板を浸漬して引き上げ、乾燥した後、400℃で
焼成した。これを20回繰り返した後、550℃で焼成
して約4μmの酸化チタン膜をスライドガラス基板上に
作った。これを0.5mol/lの硝酸銀の水溶液に浸
漬して引き上げ、乾燥した後、先ほどのゾル液に浸漬し
て、ディップコーティング法により酸化チタン膜をさら
に5層コートした。得られた抗菌抗カビ性セラミックス
の抗菌抗カビ効果を次の方法で調べた。まず、食品機械
からの採取雑細菌を肉エキスブイヨン培地にて24時間
静置培養を行い、得られた菌液1mlを試料の上に2か
所滴下し、その上にメンブラン・フィルターを乗せ、3
7℃にて24時間静置培養を行った。その後、燐酸緩衝
液を加え、振とうした後、1ml取り出し、混釈平板培
養法により生残菌数を測定した。その結果、生残菌数が
ほぼ0になっており、ただのスライドガラスを用いて行
ったブランクテストに比べ、99.9%の減菌率が得ら
れた。
【0020】実施例2 125mlのチタンイソプロポキシドを20mlのイソ
プロピルアルコールに加えた後、750mlの蒸留水に
攪拌しながら滴下し、硝酸銀5gと硝酸亜鉛6水和物1
2g、70%の硝酸6mlを添加した。この溶液を80
℃で8時間加熱して透明なゾル液を調製し、スピンコー
ティング法により酸化錫ガラス基板上に酸化チタン膜を
コートした。まず、酸化錫ガラス基板を1分間に300
0回転の速度で回転させながらこのゾル液を滴下し、乾
燥した後、400℃で焼成した。これを20回繰り返し
た後、550℃で焼成して約5μmの酸化チタン膜を酸
化錫ガラス基板上に作った。これを2g/lの塩化白金
酸カリウムのエタノール水溶液に入れ、マグネチックス
ターラーで攪拌しながら、100Wの水銀ランプの光を
4時間照射し、光電着法で酸化チタン膜の表面に白金を
コートした。得られた抗菌抗カビ性セラミックスの抗菌
抗カビ効果を次の方法で調べた。まず、肉エキスブイヨ
ン培地で培養したブドウ球菌または大腸菌の菌液1ml
を試料の上に2か所滴下し、その上にメンブラン・フィ
ルターを乗せ、37℃にて24時間静置培養を行った。
その後、燐酸緩衝液を加え、振とうした後、1ml取り
出し、混釈平板培養法により生残菌数を測定した。その
結果、ただの酸化錫ガラスを用いて行ったブランクテス
トに比べ、ブドウ球菌の場合で99.2%の、または大
腸菌の場合で94.2%の減菌率が得られた。
【0021】実施例3 125mlのチタンイソプロポキシドを20mlのイソ
プロピルアルコールに加えた後、750mlの蒸留水に
攪拌しながら滴下し、硫酸銅5水和物20gと70%の
塩酸5mlを添加した。この溶液を80℃で8時間加熱
して透明なゾル液を調製し、金属製の洗面器に刷毛で塗
った後、乾燥し、300℃で焼成した。これを15回繰
り返した後、硫酸銅を加えないで作った透明なゾル液で
同様に5回繰り返し、500℃で焼成した。得られた洗
面器に金魚鉢の水を容れて蛍光灯の下で1か月間放置し
たが、その表面にぬめりは生じず、水は透明のままで雑
菌や藻も生えてこなかった。酸化チタン膜で被覆してい
ない金属製の洗面器を用いた場合には1週間で藻が生え
てぬめりが生じ、水が濁ってきた。
【0022】実施例4 ITOの透明導電膜を施した無色透明のガラス玉に実施
例3と同様にして硫酸銅を含んだ酸化チタン膜を被覆し
その上にさらに酸化チタン膜を被覆したものを2g/l
の塩化白金酸カリウムのエタノール水溶液に入れ、マグ
ネチックスターラーで攪拌しながら、100Wの水銀ラ
ンプの光を4時間照射し、光電着法で酸化チタン膜の表
面に白金をコートした。天然の清水を容れた透明なガラ
ス瓶に得られた球状抗菌抗カビ性セラミックスを入れ、
明るいところに1か月間放置しておいた。その結果、球
状抗菌抗カビ性セラミックスを入れなかった場合には水
が白く濁ってきて雑菌が繁殖してきたが、球状抗菌抗カ
ビ性セラミックスを入れた場合には水は透明のままで雑
菌もほとんど検出されなかった。
【0023】実施例5 125mlのチタンイソプロポキシドを20mlのイソ
プロピルアルコールに加えた後、750mlの蒸留水に
攪拌しながら滴下し、70%の硝酸6mlを添加した。
この溶液を80℃で8時間加熱して透明なゾル液を調製
し、実施例1と同様にしてディップコーティング法によ
り白色の陶磁器タイル上に酸化チタン膜を20層コート
した。これを200g/lの塩化亜鉛と5g/lの塩化
白金酸カリウムを含有する水溶液に浸漬して引き上げ、
乾燥した後、先ほどと同様にディップコーティング法に
より酸化チタン膜をさらに6層コートした。得られた抗
菌抗カビ性セラミックスタイルを池の壁に貼り、池に水
を張った。そのまま2か月間放置しておいたが、タイル
にぬめりは生じなかった。
【0024】実施例6 直径5mmの無色透明のガラス玉に実施例1と同様にし
て調製した透明なゾル液をスプレーした後、乾燥し、3
50℃で焼成した。これを20回繰り返し500℃で焼
成した後、硝酸銀15gと硝酸銅6水和物20gと硝酸
亜鉛6水和物25gを含んだ100mlの水溶液に漬
け、取り出して乾燥した。これにさらにゾル液をスプレ
ーした後、乾燥し、350℃で焼成した。これを5回繰
り返し500℃で焼成した後、2g/lの塩化白金酸カ
リウムのエタノール水溶液に入れ、マグネチックスター
ラーで攪拌しながら、100Wの水銀ランプの光を4時
間照射し、光電着法で酸化チタン膜の表面に白金をコー
トした。得られた球状抗菌抗カビ性セラミックスの抗菌
抗カビ効果を次の方法で調べた。まず、食品機械からの
採取雑細菌を肉エキスブイヨン培地にて24時間静置培
養を行い、得られた菌液の5mlを球状抗菌抗カビ性セ
ラミックスを入れた燐酸緩衝液70mlの中にいれ、振
とう培養を行った。24時間後に菌液を1ml取り出
し、混釈平板培養法により生残菌数を測定した。その結
果、ただのガラス玉を用いて行ったブランクテストに比
べ、97%の減菌率が得られた。また、振とう培養の際
に白熱灯の光を照射した場合には、減菌率が99%に向
上した。
【0025】実施例7 2.5kgのチタンイソプロポキシドに400gのイソ
プロピルアルコールを加えた後、15kgの蒸留水に攪
拌しながら滴下し、硝酸銀100gと70%の塩酸12
0mlを添加して80℃で24時間加熱した。得られた
透明なゾル液にアルミナ製のまな板を浸漬し、実施例1
と同様にして、ディップコーティング法により酸化チタ
ン膜を15層コートした。そして、その表面を硝酸銀を
加えないで作った透明なゾル液で同様に酸化チタン膜を
5層コートし、500℃で焼成した。得られた抗菌抗カ
ビ性まな板を2か月間使用したが、その表面にかびや雑
菌の繁殖あるいは変色などは見られなかった。また、得
られた抗菌抗カビ性まな板を2日間水に浸漬しておいた
が、水中の銀イオンの濃度は10ppb以下と水質基準
以下であった。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、耐水性、
耐熱性、耐光性、耐候性、安定性、安全性のみならず、
抗菌抗カビ力及び抗菌抗カビ効果の持続性という面から
も優れた特性を有する経済的な抗菌抗カビ性セラミック
ス及びその製造方法の提供を目的としたものである。基
板あるいは導電性の皮膜を施した基板あるいは導電性の
基板に、銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少なくと
も一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜を被覆する
こと、あるいはその上にさらに酸化チタン膜あるいは白
金膜を被覆することによって製造された本発明の抗菌抗
カビ性セラミックスは、金属イオンの作用に加えて、太
陽光や電灯などの光を受けて酸化チタン膜に電子や正孔
が生成して酸化還元を行うことにより、溶液中あるいは
膜上の雑菌及びカビの繁殖を効果的に防止できる。した
がって、これをタイルなどに適用してプールの内側に張
れば、プールの底や壁などにぬめりが付いて滑りやすく
なるのを防止でき、風呂場のタイルや建物の外壁に適用
すれば、かびなどによる黒ずみなどを防止することがで
きる。また、飲料水などを容れる容器に適用すれば、雑
菌の繁殖や腐敗を防止できるため飲料水などを室温で長
期間保存することができ、さらに基板が薄いフィルムや
シート、織物である場合には衣類や医療用品、包装袋と
しても使用できる。本発明に用いられる酸化チタンは塗
料や化粧品、歯磨き粉などにも使われており、耐候性や
耐久性に優れ、無毒かつ安全という利点を持っているた
め、本発明による抗菌抗カビ性セラミックスは耐水性、
耐熱性、耐光性、耐候性、安定性、安全性に優れてい
る。本発明による抗菌抗カビ性セラミックスはその外に
も、すのこや風呂桶、浴槽、噴水のタイル、流し、流し
の三角コーナー、プールや風呂場のてすり、洗面器、ま
な板、洗面台、魚のショウケース、医療用器具、靴、ス
リッパ、加湿器の水槽や出口のノズル、ヒゲ剃り、カー
ペットなど、幅広い応用が可能である。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にコートした材料を焼成すること
    により、銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少なくと
    も一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜を基板に被
    覆したことを特徴とする抗菌抗カビ性セラミックス。
  2. 【請求項2】 銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少
    なくとも一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜を基
    板に被覆し、その上にさらに白金膜を被覆したことを特
    徴とする抗菌抗カビ性セラミックス。
  3. 【請求項3】 銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少
    なくとも一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜を基
    板に被覆し、その上にさらに酸化チタン膜を被覆したこ
    とを特徴とする抗菌抗カビ性セラミックス。
  4. 【請求項4】 銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少
    なくとも一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜を基
    板に被覆した後、その上に酸化チタン膜を被覆し、さら
    にその上に白金膜を被覆したことを特徴とする抗菌抗カ
    ビ性セラミックス。
  5. 【請求項5】 基板として導電性の皮膜を施した基板あ
    るいは導電性の基板を用いることを特徴とする請求項1
    または2、3、4記載の抗菌抗カビ性セラミックス。
  6. 【請求項6】 酸化チタン膜に対して0.0001〜1
    0重量%の銀または0.01〜15重量%の銅、0.0
    2〜20重量%の亜鉛、0.01〜25重量%の白金を
    含有することを特徴とする請求項1または2、3、4、
    5記載の抗菌抗カビ性セラミックス。
  7. 【請求項7】 チタニアゾル液を基板あるいは導電性の
    皮膜を施した基板あるいは導電性の基板の上にコートし
    て焼成した後、銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少
    なくとも一種の金属イオンを含有した溶液に浸漬し、乾
    燥、焼成することを特徴とする抗菌抗カビ性セラミック
    スの製造方法。
  8. 【請求項8】 チタニアゾル液を基板あるいは導電性の
    皮膜を施した基板あるいは導電性の基板の上にコートし
    て焼成した後、銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少
    なくとも一種の金属イオンを含有した溶液に浸漬し、乾
    燥、焼成した後、さらにその表面を白金膜で被覆するこ
    とを特徴とする抗菌抗カビ性セラミックスの製造方法。
  9. 【請求項9】 チタニアゾル液を基板あるいは導電性の
    皮膜を施した基板あるいは導電性の基板の上にコートし
    て焼成した後、銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少
    なくとも一種の金属イオンを含有した溶液に浸漬し、乾
    燥した後、さらにチタニアゾル液をコートし焼成するこ
    とを特徴とする抗菌抗カビ性セラミックスの製造方法。
  10. 【請求項10】 チタニアゾル液を基板あるいは導電性
    の皮膜を施した基板あるいは導電性の基板の上にコート
    して焼成した後、銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた
    少なくとも一種の金属イオンを含有した溶液に浸漬し、
    乾燥した後、さらにチタニアゾル液をコートし焼成し、
    次いでその表面を白金膜で被覆することを特徴とする抗
    菌抗カビ性セラミックスの製造方法。
  11. 【請求項11】 銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた
    少なくとも一種の金属イオンを含有したチタニアゾル液
    を基板あるいは導電性の皮膜を施した基板あるいは導電
    性の基板の上にコートして焼成することを特徴とする抗
    菌抗カビ性セラミックスの製造方法。
  12. 【請求項12】 銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた
    少なくとも一種の金属イオンを含有したチタニアゾル液
    を基板あるいは導電性の皮膜を施した基板あるいは導電
    性の基板の上にコートして焼成した後、さらにその表面
    を白金膜で被覆することを特徴とする抗菌抗カビ性セラ
    ミックスの製造方法。
  13. 【請求項13】 銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた
    少なくとも一種の金属イオンを含有したチタニアゾル液
    を基板あるいは導電性の皮膜を施した基板あるいは導電
    性の基板の上にコートして焼成した後、チタニアゾル液
    をコートし焼成することを特徴とする抗菌抗カビ性セラ
    ミックスの製造方法。
  14. 【請求項14】 銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた
    少なくとも一種の金属イオンを含有したチタニアゾル液
    を基板あるいは導電性の皮膜を施した基板あるいは導電
    性の基板の上にコートして焼成した後、チタニアゾル液
    をコートし焼成し、さらにその表面を白金膜で被覆する
    ことを特徴とする抗菌抗カビ性セラミックスの製造方
    法。
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