JPH0742208B2 - 抗菌性組成物 - Google Patents

抗菌性組成物

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JPH0742208B2
JPH0742208B2 JP2124260A JP12426090A JPH0742208B2 JP H0742208 B2 JPH0742208 B2 JP H0742208B2 JP 2124260 A JP2124260 A JP 2124260A JP 12426090 A JP12426090 A JP 12426090A JP H0742208 B2 JPH0742208 B2 JP H0742208B2
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hydrolyzate
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好男 市川
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Nippan Kenkyujo Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、抗菌性組成物に関し、さらに詳細には、セメ
ント、窯業製品、プラスチック、紙、繊維、木材、鉱産
物、金属、その他の製品の表面に、または有機系もしく
は無機系塗膜の表面にコーテイングもしくは印刷し、低
温で短時間の加熱もしくは常温乾燥のみで抗菌性、消臭
性、調湿性、熱放射性、さらに耐熱性、耐候性、耐水
性、耐薬品性などに優れた透明または有色の薄膜を形成
させるための抗菌性組成物に関する。
〔従来の技術〕
従来より、基材を抗菌性にする抗菌性組成物として、抗
菌性金属を使用した抗菌性ゼオライトや抗菌性活性炭な
どを充填剤として使用する抗菌性樹脂系塗料や抗菌性樹
脂あるいは充填用有機系抗菌剤やバイオ系抗菌剤が数多
く開示されているが、 いずれも 抗菌性が結合剤となる樹脂の被覆力に阻害される、 抗菌剤を均一に分散することが難しい、 抗菌剤が耐薬品性、耐熱水性、耐候性(特に、耐紫外
線)に劣る、 抗菌性の長期間の持続性に問題がある、 抗菌性を有効に発現させる大きな比表面積を得ること
が難しい(抗菌性が、抗菌性金属塩の触媒作用により接
触する酸素の一部を活性酸素化させ、この活性酸素によ
るものであるため接触面積が重要である)、 などいくつかの問題点を有している。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、前記従来技術の課題を背景になされたもの
で、抗菌性、脱臭性に優れた塗膜を提供することがで
き、またセメント、窯業製品、プラスチック、紙、繊維
(特に糸)、木材、鉱産物、金属、その他の製品に比表
面積の大きな塗膜を形成することもでき、さらに塗膜が
不溶出性で安全であり、熱放射性、耐熱性(無煙性)、
耐候性、耐薬品性、調湿性などに優れ、さらにまた低温
ないし常温で加工ができ、製造コストの安い抗菌性組成
物を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、(a)一般式Si(OR1(式中、R1は炭素
数1〜5の炭化水素残基を示す)で表されるテトラアル
コキシシラン、該テトラアルコキシシランの加水分解物
および該加水分解物の部分重縮合物からなる群から選ば
れた少なくとも1種のシラン化合物100重量部に対し、 (b)一般式Zr(OR2(式中、R2は炭素数1〜5の
炭化水素残基を示す)で表されるジルコニウムテトラア
ルコキシド、該ジルコニウムテトラアルコキシドの加水
分解物および該加水分解物の部分重縮合物からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種のジルコニウム化合物および
/または一般式B(OR3(式中、R3は炭素数1〜5
の炭化水素残基を示す)で表されるトリアルコキシボロ
ン、該トリアルコキシボロンの加水分解物および該加水
分解物の部分重縮合物からなる群から選ばれた少なくと
も1種のボロン化合物10〜80重量部、 (c)有機溶剤300〜4,000重量部、 (d)超微粒子状金属酸化物、シリカゲル、ゼオライト
および活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の
充填剤5〜400重量部、 (e)銀、銅および亜鉛の金属塩から選ばれた少なくと
も1種の金属塩からなる抗菌性金属塩0.3〜50重量部、 を混合してなることを特徴とする抗菌性組成物を提供す
るものである。
本発明は、徐々に加水分解が進行するテトラアルコキシ
シラン;Si(OR1に、急速に加水分解に進行するジル
コニウムテトラアルコキシド;Zr(OR2またはトリア
ルコキシボロン;B(OR3の1種または2種以上を加
え、これに加水分解速度調整・濃度調整用としての有機
溶剤、さらに透明で比表面積の大きな充填剤として超微
粒子状の金属酸化物、吸着能に優れたシリカゲル、イオ
ン交換能に優れたゼオライト、活性炭および銀、銅、ま
たは亜鉛の抗菌性金属塩を加えて配合することにより、
容易に密着性に優れた効果的な抗菌性の無機質塗膜が形
成できるという知見に基づいてなされたものである。
従って、この塗膜は、短時間の常温乾燥により指触硬化
し、さらに60〜300℃で1〜60分の加熱により硬化する
ものである。さらに、この塗膜は常温下において2〜10
日間にわたり硬化が進行するものである。
以下、本発明を構成要件別に詳述する。
(a)シラン化合物 本発明に使用されるテトラアルコキシシラン;Si(OR1
は、水の存在により加水分解し加水分解物(テトラシ
ラノール)となり、また該加水分解物が重縮合して部分
重縮合物または完全縮合物を生じ、部分縮合物がさらに
高分子量化して塗膜となった場合に加熱により硬化する
もので、本発明の組成物中において(b)ジルコニウム
化合物および/またはボロン化合物とともに、結合剤と
しての働きをするものである。
かかるテトラアルコキシシラン中のR1は、炭素数1〜5
の炭化水素残基、例えば炭素数1〜5のアルキル基であ
り、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチ
ル基などである。
これらのテトラアルコキシシランの具体例としては、例
えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシ
シラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−
ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどを挙
げることができる。
また、これらのテトラアルコキシシランのうち、特にテ
トラメトキシシランが好ましい。
これらのテトラアルコキシシランは、1種または2種以
上を併用することができる。
なお、かかるテトラアルコキシシランは、加水分解によ
って部分的にアルコールを遊離し、対応する加水分解物
(テトラシラノール)を生ずるとともに、水媒体中でシ
ラノールの生成によるヒドロオキシル置換基の重縮合が
行われ、シラノールの部分重縮合物が生成し、さらに重
縮合して完全重縮合物であるシリカ成分が生成する。
従って、本発明における(a)シラン化合物とは、前記
テトラアルコキシシランのほかに、その加水分解物およ
び該加水分解物の部分重縮合物をも包含するものであ
る。
かかる加水分解物、部分重縮合物は、組成物中でテトラ
アルコキシシランより生成したものでもよく、また組成
物調製の際にあらかじめ加水分解物、部分重縮合物、例
えばエチルシリケート40(コルコート(株)製)を配合
してもよい。
(b)ジルコニウム化合物 本発明に使用される(b)ジルコニウムテトラアルコキ
シド;Zr(OR2は、大気中の湿分または組成物中の水
の存在により容易に加水分解し、加水分解物(ジルコニ
ウムテトラヒドロキシド)となり、また該加水分解物が
重縮合して部分重縮合物を生じ、部分縮合物がさらに高
分子量化して塗膜となった場合に加熱により硬化するも
ので、本発明の組成物中においては(a)シラン化合
物、(b)ボロン化合物とともに結合剤としての働きを
するものである。
かかるジルコニウムテトラアルコキシド中のR2は、炭素
数1〜5の炭化水素残基、例えば炭素数1〜5のアルキ
ル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、t−ブチル基などである。
これらのジルコニウムテトラアルコキシドの具体例とし
ては、例えばジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニ
ウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシ
ド、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニ
ウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−se
c−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシド
などを挙げることができる。
また、これらのジルコニウムテトラアルコキシドのう
ち、特にジルコニウムテトラ−n−ブトキシドが好まし
い。
これらのジルコニウムテトラアルコキシドは、1種また
は2種以上を併用することができる。
なお、かかるジルコニウムテトラアルコキシドは、急速
に加水分解することによってアルコールを遊離し、対応
するジルコニウムテトラヒドロキシドを生ずるととも
に、該ヒドロキシドの生成によるヒドロオキシル置換基
の重縮合が行われ、該ヒドロキシドの部分重縮合物が生
成し、さらに重縮合して完全重縮合物であるジルコニア
成分が生成する。
従って、本発明における(b)ジルコニウム化合物と
は、前記ジルコニウムテトラアルコキシドのほかに、そ
の加水分解物、該加水分解物の部分重縮合物をも包含す
るものである。かかる加水分解物、部分重縮合物は、組
成物中でジルコニウムテトラアルコキシドより生成した
ものでもよく、また組成物調製の際にあらかじめ配合し
たものでもよい。
(b)ボロン化合物 本発明に使用される(b)トリアルコキシボロン;B(OR
3は、大気中の湿分または組成物中の水の存在によ
り容易に加水分解し加水分解物となり、また該加水分解
物が重縮合して部分重縮合物を生じ、部分縮合物がさら
に高分子量化して塗膜となるもので、(a)シラン化合
物、(b)ジルコニウム化合物とともに結合剤としての
働きをするものであるが、本発明組成物中においては
(b)ジルコニウムテトラアルコキシドとともに(a)
テトラアルコキシシランの加水分解を促進するものであ
り、また塗膜を常温下で硬化させる働きや、150〜200℃
でピロホウ酸(H2B4O7)とガラス状になって塗膜の硬化
を一段と進行させる働きをもつものである。
かかるトリアルコキシボラン中のR3は、例えば炭素数1
〜5のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、
n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec
−ブチル基、t−ブチル基などである。
これらのトリアルコキシボロンの具体例としては、トリ
メトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−n−プロ
ポキシボロン、トリ−i−プロポキシボロン、トリ−n
−ブトキシボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ
−t−ブトキシボロンなどを挙げることができる。
これらのトリアルコキシボロンのうち、特にトリメトキ
シボロンが好ましい。
これらのトリアルコキシボロンは、1種または2種以上
を併用することができる。
なお、かかるトリアルコキシボロンは、急速に加水分解
することによってアルコールを遊離し、対応するボロン
トリヒドロキシドを生ずるとともに、該ヒドロキシドの
生成によるヒドロオキシル置換基の重縮合が行われ、該
ヒドロキシドの部分重縮合物が生成し、さらに重縮合し
て完全重縮合物である無水ホウ酸;B2O3が生成する。
従って、本発明における(b)ボロン化合物とは、前記
トリアルコキシボロンのほかに、その加水分解物、該加
水分解物の部分重縮合物をも包含するものである。かか
る加水分解物、部分縮合物は、組成物中でトリアルコキ
シボロンよりも生成したものでもよく、また組成物調製
の際にあらかじめ配合したものでもよい。
本発明組成物における(b)成分は、前記ジルコニウム
化合物およびボロン化合物の少なくとも1種であり、こ
の(b)成分の組成物中の割合は(a)成分100重量部
に対し、10〜80重量部、好ましくは15〜50重量部であ
る。
(b)成分が、10重量部未満では短時間に加水分解が進
行せず、作業性が悪く、また塗膜硬度が低く、密着性が
悪くなり、一方80重量部を超えると加水分解が早すぎて
作業性が悪くなり、また造膜性も悪くなり好ましくな
い。
(c)有機溶剤 有機溶剤は、前記(a)シラン化合物と(b)ジルコニ
ウム化合物および/または(b)ボロン化合物の濃度調
整剤であり、さらにこれら(a)、(b)成分の加水分
解を調整するためのものである。
かかる有機溶剤としては、例えばアルコール類、グリコ
ール誘導体、あるいは沸点が120℃以下の低沸点有機溶
剤が好適である。
このうち、前記アルコール類あるいはグリコール誘導体
としては、1価アルコールまたは2価アルコールである
エチレングリコールもしくはこの誘導体を挙げることが
でき、このうち1価アルコールとしては炭素性1〜8の
脂肪族アルコールが好ましく、具体的にはメタノール、
エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルア
ルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコ
ール、t−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコー
ル、n−ヘキシルアルコール、4−メチル−2−ペンタ
ノール、4−メチル−n−ペンタノールなどを挙げるこ
とができ、またエチレングリコールもしくはこの誘導体
としてはエチレングリコール、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエ
ーテルなどを挙げることができる。これらのアルコール
類およびグリコール誘導体は、好ましくはi−プロピル
アルコール、sec−ブチルアルコール、n−プロピルア
ルコール、n−ブチルアルコール、酢酸エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチ
ルエーテルである。
また、沸点が120℃以下の低沸点有機溶剤としては、例
えばトルエン、ベンゼン、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサン、テトラヒドロフランなどをあげる
ことができる。
これらの有機溶剤は、1種でもまた2種以上を併用する
こともできる。
本発明の組成物中、(c)有機溶剤の割合は、(a)成
分100重量部に対し、300〜4,000重量部、好ましくは450
〜3,000重量部であり、300重量部未満では組成物の粘度
が上昇しすぎたり、保存安定性が悪化し、一方4,000重
量部を超えると組成物自体の保存安定性は良好化する
が、組成物中の固形分が少なくなり得られる塗膜の厚膜
化を達成することができず、また加水分解速度が低下し
て短時間での硬化が不充分となる。
(d)充填剤 本発明の(d)充填剤は、抗菌性金属を組成物中におい
てイオンの状態で吸着またはイオン交換させるもので、
超微粒子状金属酸化物、シリカゲル、ゼオライトおよび
活性炭からなる群から選ばれる。
以下、本発明の(d)充填剤を成分別に説明する。
(超微粒子状金属酸化物) 本発明の超微粒子状金属酸化物には、水またはアルコー
ルを分散媒として無水ケイ酸の超微粒子を分散させたコ
ロイド状シリカ、水を分散媒とするアルミナゾルである
コロイド状アルミナ、精製金属塩の高温加水分解法によ
って作成された超微粒子状のシリカ、超微粒子状のアル
ミナ、超微粒子状のチタニアなどが含まれる。これら
は、大きな比表面積をもつ塗膜を作成するという観点か
ら平均粒径が5〜100mμであることが好ましい。
また、超微粒子状金属酸化物は、本発明の組成物が酸性
領域下で微量の水分により加水分解し、ゲル膜を作ると
いう観点から、アルコール性のコロイド状金属酸化物ま
たはpHが酸性の水性コロイド状金属酸化物を含むことが
好ましい。
ただし、水性コロイドの場合、その使用量は、組成物の
可使時間に影響を与えるため制限される。
(シリカゲル) シリカゲルは、一般式SiO2・nH2Oで表される化合物で、
ガラス状の透明または半透明の粒子で、微細構造が粗シ
ョウをなして、例えば1gのものが450m3以上の大きな比
表面積をもつものである。
本発明のシリカゲルとしては、耐摩耗性に優れた薄膜を
形成するために、平均粒径が5μm以下が好ましい。
(ゼオライト) 本発明におけるゼオライトは、天然または合成ゼオライ
トで、一般式 x M2/nO・Al2O3・ySiO22H2O (式中、Mはイオン交換可能な金属イオンを表し、通常
は、1価〜2価の金属であり、nはこの原子価で、xは
金属酸化物の係数、yはシリカの係数、zは結晶水の数
をそれぞれ示す)で表され、その組成比および細孔径、
比表面積などの異なる多くの種類がある。
例えば、天然ゼオライトとしては、アナルシン、チャバ
サイト、クリノプチロライト、エリオナイト、フォジャ
サイト、モルデナイトなどがあり、一方合成ゼオライト
としては、A型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型
ゼオライト、T−ゼオライトなどを挙げることができ
る。
ゼオライトの形状は、粒子状がよく、その粒子径は5μ
m以下が適する。好ましいゼオライトは、粒子径が2μ
m以下、比表面積が150m2/g以上でSiO2/Al2O3のモル比
が14以下のものである。
本発明の充填剤としては、好ましくは比表面積が大きく
吸着能に優れたゼオライトであり、天然のモルデナイト
または前記の合成ゼオライトである。
(活性炭) 活性炭は、有機物質を炭化して得られる炭素物質で黒色
の粒子で、特株の多孔性構造をもっており、吸着性に優
れている。
活性炭の粒子径は、通常、0.3〜5μm、好ましくは0.5
〜2μm程度であり、また比表面積は、通常、600〜1,0
00m2/g以上である。この活性炭の具体例としては、木
炭、ヤシ殻、石炭チャー系のもの、骨炭あるいは獣炭な
どである。
本発明の組成物中における(d)充填剤の割合は、固形
物質換算で、(a)成分100重量部に対し、5〜400重量
部、好ましくは40〜300重量部である。(d)充填剤の
使用量が5重量部未満では、後記(e)抗菌性金属塩を
吸着するには少なすぎ、あるいはイオン交換容量が不足
し溶出することがあり好ましくない。一方、400重量部
を超えると組成物の粘度が増大したり、塗膜硬度が低下
したりして好ましくない。
(e)抗菌性金属塩 (e)抗菌性金属塩は、バクテリア、カビ、藻などの微
生物に対する抗菌性の付与およびあらゆる臭気の酸化剤
としての働きをするものである。
また、(e)抗菌性金属塩は、金属塩であるため、前記
(a)成分を構成するテトラアルコキシシラン、(b)
成分を構成するテトラアルコキシジルコニウムおよび/
またはトリアルコキシボロンの加水分解時における酸性
触媒としての働きもするものである。
(e)抗菌性金属塩は、イオンの状態で前記(d)充填
剤を含む塗膜に担持されるもので、抗菌性および酸化性
は、この金属イオンの触媒機能により接触する空気中の
酸素または水中の溶存酸素の一部が活性酸素化されこの
活性酸素によるものと考えられる。
この触媒機能説は、浸漬水より銀および銅が全く検出さ
れないことから推測される。このことから、本発明の抗
菌・消臭材の効果が非常に長期間にわたり有効であると
いえる。
また、(e)抗菌性金属塩は、前記(d)充填剤のみに
担持されるものではなく、前記結合剤としての(a)成
分であるテトラアルコキシシラン、(b)成分であるテ
トラアルコキシジルコニウムおよび/またはトリアルコ
キシボロンの超微粒子状ゲルにも担持されるため、本発
明の抗菌性塗膜は強力な抗菌力、酸化力をもつものであ
る。
かかる(e)抗菌性金属塩は、銀、銅、または亜鉛の金
属塩であり、具体的には硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、硝酸
銅(II)、硫酸銅、臭化銅、酢酸銅、硝酸亜鉛(II)、
過塩素酸亜鉛などを挙げることができる。ただし、本発
明はこれらに限定されるものではない。これらの金属塩
は、1種または2種以上をアルコールまたは水に溶解さ
せ混合溶液として使用される。
前記の混合溶液は、組成物中において(d)充填剤に吸
着またはイオン交換させることができる。
本発明の組成物中における(e)抗菌性金属塩の割合
は、(a)成分100重量部に対し、0.3〜50重量部、好ま
しくは1〜20重量部である。
(e)抗菌性金属塩が0.3重量部未満では、本発明の目
的である抗菌力が小さすぎ、一方50重量部を超えると溶
出する危険があり好ましくない。
本発明の組成物には、各種顔料、染料、界面活性剤、各
種キレート剤やアルカリ金属塩、カルボン酸金属塩、各
種の酸、アミン類などの硬化触媒など従来公知のその他
の添加剤を使用することもできる(以下、これらの成分
を(f)成分ということがある)。
本発明の組成物を調製するに際しては、例えば(e)成
分に(c)成分を加えて溶解させ、これに(d)成分を
加えて撹拌し、次いで(a)成分および(b)成分を加
えて撹拌したのちろ過して作製することができる。
このように、本発明によって得られたコーテイング用組
成物は、対象物であるセメント、窯業製品、ガラス、プ
ラスチック、紙、繊維(布地または糸)、木材、無機系
または有機系塗膜などの表面に刷毛、スプレー、デイッ
ピング、ロール、スピンコート、グラビア印刷法などの
塗装手段により1回塗りで乾燥膜厚0.1〜5μm程度の
塗膜を形成することができ、さらに2〜5回程度塗り重
ねることもできる。
本発明の組成物は、基材にコーテイングされると、該組
成物は常温〜60℃の温度で短時間に加水分解し、これと
同時に生起する重縮合反応によってゾルとなり、さらに
反応が進行してゲルになる。これを60〜300℃で1〜60
分間程度加熱すると硬化する。さらに、この塗膜は常温
下において2〜10日間にわたり硬化が進行するものであ
る。
また、セメント系材料に塗布した場合は、セメント中の
アルカリが硬化触媒の働きをして、常温下で硬化する。
この場合、セメントの表面層を密にするためセメント材
の中性化防止に大きな効果がある。
そして、比表面積の大きな基材に塗布する場合、組成物
に硬化触媒としてアルカリ金属塩を微量加えることによ
り常温下において硬化させることもできる。
また、前記硬化条件の「60〜300℃で1〜60分間程度加
熱する」ことは、あくまでも例示であってこれに限定さ
れるものではない。
すなわち、塗膜の硬化条件は、本発明の組成物の内容お
よび用途によって適宜変更することが可能である。例え
ば、150℃の予熱面にスプレーで塗布した場合、瞬時に
硬化する。また、400℃の予熱面にスプレーで塗布した
場合、瞬時に酸化物の膜ができる。
本発明の組成物は、硬化条件により塗膜の性能、例えば
硬度、耐水性、耐薬品性、密着性、密度などが異なるた
め、用途に応じて対応することが必要である。
本発明の組成物は、重ね塗りによって厚膜にすることが
可能であり、これにより耐熱性の透明な抗菌、耐候性紡
食膜を作成することもできる。
あるいは無機顔料を加えて化粧膜とすることもできる。
この場合、塗布、硬化を繰り返して2回、3回と塗り重
ねるもので5回程度塗り重ねても得られる塗膜に亀裂や
剥離などが生起しない。
本発明の組成物より得られた塗膜は、抗菌性、消臭性で
密着性に優れ、高密度で耐熱性、耐衝撃性、耐候性が良
く、水、海水、有機薬品に侵されないため金属の防食、
高温酸化防止、セメント材の強化および中性化防止、プ
ラスチックの耐熱、硬化、紙の難燃化、繊維の熱放射に
よる保温、乾燥性(調湿性)などの広範囲の用途に使用
することが可能である。特に、糸に加工し、織布にする
と理想的な繊維(例えば肌着)にすることができる。
〔作用〕
本発明の抗菌性組成物は、基材に塗布し、常温乾燥、ま
たは低温加熱で硬化させることにより、抗菌性金属イオ
ンを担持した大比表面積の塗膜を形成するものである。
すなわち、この塗膜は、大比表面積の充填剤である微粒
子が組成物中で抗菌性金属イオンを吸着またはイオン交
換し、これが結合剤となるテトラアルコキシシランとテ
トラアルコキシジルコニウムおよび/またはトリアルコ
キシボロンの加水分解および縮重合により形成される超
微粒子を敷き詰めたような膜に組み込まれて強く固着さ
れ、大比表面積の抗菌性膜を作成するものである。
このようにして本発明の抗菌性組成物で被覆された抗菌
性材料は、抗菌性金属イオンを担持した大比表面積の膜
に接触する空気中または水中の酸素の一部が抗菌性金属
イオンの触媒機能により活性酸素化され、この活性酸素
により殺菌性、抗菌性を発現するものである。
また、この抗菌性組成物から得られる膜は、脱臭性にも
非常に優れる。すなわち、前記の大比表面積の膜が臭気
を吸着し同時に前記の活性酸素により酸化分解するもの
であり、活性炭などと異なり、容易に飽和状態にならず
長期間効果が持続する脱臭膜である。そして、この膜
は、耐熱性、耐水性、耐候性、耐薬品性、などにも優
れ、さらに大比表面積による調湿性、熱放射性による保
温性、帯電防止性などの特性を付与することが可能であ
る。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は特に断らない限り重量基
準である。
実施例1〜7および比較例1 まず、以下の実施例において、種々の特性を調べるため
第1表に示す配合により組成物A〜Gの7種と比較例と
して組成物Hを作成した。
作成方法は、組成物Aは、(c)成分に(e)成分を加
え50℃に加熱して溶解させた。次に、この溶解液に
(d)成分を加え軽く撹拌した。これに(a)成分と
(b)成分を加えて5分間撹拌し、48時間室内に静置し
た。
組成物Bは、(c)成分に(e)成分を加え溶解させた
のち、(d)成分を加え軽く撹拌し、325メッシュの濾
綱でろ過した。この溶液に(a)および(b)成分を加
え3,000rpmで10分間撹拌し、48時間室内に静置した。
組成物Cは、(c)成分に(e)成分を加え溶解させた
のち、(d)成分、続いて(a)および(b)成分を軽
く撹拌した。この溶液に(f)水を加えて5分間撹拌し
たのち直ちに使用した。
組成物DおよびHは、組成物Aと同様の方法で作成し
た。
組成物EおよびFは、(c)成分に(e)成分を加え溶
解させたのち、(d)成分を加え軽く撹拌した。
この溶液を約6時間熟成したのち、(a)成分、続いて
(b)成分を加え軽く撹拌したのち、325メッシュの濾
網でろ過し、48時間室内に静置した。
組成物Gは組成物Bと同様な方法で作成した。
試験例1 抗菌力を調べるため300×300×1mmのポリエチレンとポ
リプロピレンのフィルムを各4枚用意し、組成物A、G
およびHを用いて塗布し、テストピースを作成した。こ
のテストピースの内容を第2表に示す。なお、作成方法
は、まずフィルムの前処理としてコロナ放電処理をし、
バーコーターを用いて各組成物をそれぞれ1m2当たり8g
相当を塗布し、60℃で5分間加熱処理をして作成した。
次に、このテストピースを用いて真空成形法により200
×150×20mmの容器を作成し、抗菌力試験を実施した。
試験概要 テストピース容器を5cm角に切り、これに大腸菌および
黄色ブドウ球菌を添加した普通ブイヨン培地を滴下して
5℃または25℃で保存し、6または24時間後の生菌数を
測定した。
菌液の調製 普通ブイヨン培地で35℃一夜振とう培養した試験液の培
養液を1mlあたりの菌数が約105個となるように同培地で
希釈して調製した。
菌数測定 テストピース上の菌液をSCDLP液体培地で洗い出し、こ
の洗い出し液について標準寒天培地を用いた混釈平板培
養法(35℃、2日間培養)により生菌数を測定し、テス
トピース1枚あたりの生菌数に換算した。以上の試験結
果の大腸菌液の生菌数を第3表−1に、黄色ブドウ球菌
の生菌数を第3表−2に示す。
ただし、表中、「10以下」表示は、本試験で用いた菌数
測定法の検出限界によるもので、菌が検出されなかった
ことを意味する。
試験例2 繊維の抗菌、消臭性を調べるため、錦糸、ナイロン糸を
用意し、組成物CおよびDを用いて浸漬法により塗布
し、60℃で30分間加熱し、2日間室温で放置して加工糸
を作成した。
次に、この加工糸を40%、無加工糸を60%使用して織布
を作成した。さらに、この織布を洗濯機により市販の洗
剤を用いて30回洗濯し、これをテストピースとした。な
お、比較するため、無加工糸のみの織布も作成し、これ
を対照とした。
このテストピースの内容を第4表に示す。
第4表のテストピースを用いてまず抗菌力試験を実施し
た。
(試験概要) シュークフラスコ法に準じて試験した。すなわち、三角
フラスコ内の大腸菌、緑膿菌の試験液中にテストピース
を入れて振とうし、6および24時間後の試験液中の生菌
数を測定した。
以上の試験結果の大腸菌液の生菌数(菌液1ml当たりの
生菌数)を第5表−1に、また緑膿菌液の生菌数(菌液
1ml当たりの生菌数)を第5表−2に示す。
次に、第4表のテストピースを用いて消臭力試験を実施
した。
(試験概要) 内容積3のガラスびん中にテストピース(約204cm2
を入れたのち、一定濃度の悪臭ガスを容器内に注入し、
経時的に内部のガスを採取してその臭気強度を測定し
た。悪臭ガスとしては、アンモニア、酢酸、トリメチル
アミンの3種類を用いた。なお、臭気強度は、環境庁告
示の6段階臭気強度表示を用いて測定し、被検者数は6
名(男子4名、女子2名)である。以上の試験結果を第
6表に示す。
試験例3 セメント材に対する本発明の組成物の海洋におけるおけ
る抗藻力を調べるため、40×40×80mmのモルタル4個を
作成した。このモルタルは、市販の普通ポルトランドセ
メントと細骨材として市販の川砂(5mm以下)を使用
し、重量調合比はセメント/水/砂で1/0.65/2.5とし
た。このモルタルを28日間20℃の水中で養生して作成し
たものである。
このモルタルに組成物B、E、Fを全面塗布し、室内に
7日間放置してテストピースとした。
また、比較対照として、組成物を塗布しないモルタルを
用意した。その仕様を第7表に示す。
第7表のテストピースを用いて東京湾千葉港において抗
藻力を調べるため、海水面より約30cmの深さのところに
テストピースを吊るし、6ケ月間にわたり藻の発生状況
を目視により観察した。
この試験結果を第8表に示す。
試験例4 塗膜の不溶出性を調べるため、テストピース1と6を用
いて昭和57年厚生省告示第20号による器具、容器包装の
規格試験を行った。試験検査成績は次のとおりであっ
た。
一般規格 材質試験;カドミウム 適 鉛 適 溶出試験;重金属(pbとして) 適 過マンガン酸カリウム消 費量 適 個別規格 溶出試験;蒸発残留物 n−ヘプタン 適 20%エタノール 適 水 適 4%酢酸 適 〔発明の効果〕 本発明の抗菌性組成物は、抗菌性、脱臭性に優れた塗膜
を提供することができ、またセメント、窯業製品、プラ
スチック、紙、繊維、木材、鉱産物、金属、その他の製
品に比表面積の大きな塗膜を形成することもでき、さら
に塗膜が不溶出性で安全であり、熱放射性、耐熱性(無
煙性)、耐候性、耐薬品性、調湿性などに優れ、さらに
また低温ないし常温で加工ができ、製造コストが安く、
さらにまた寝具、衣類、靴中敷や医療用品、水および空
調フィルター、壁紙などの布帛をはじめ、食品容器や各
種家庭用品、建材、医療、農業、水産、工業関連品に至
るまで広範囲の各種製品を提供することができるなどの
数々の利点を有し、この工業的意義は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(A01N 59/16 55:00 55:02 55:08) (A01N 59/20 55:00 55:02 55:08)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)一般式Si(OR1(式中、R1は炭
    素数1〜5の炭化水素残基を示す)で表されるテトラア
    ルコキシシラン、該テトラアルコキシシランの加水分解
    物および該加水分解物の部分重縮合物からなる群から選
    ばれた少なくとも1種のシラン化合物100重量部に対
    し、 (b)一般式Zr(OR2(式中、R2は炭素数1〜5の
    炭化水素残基を示す)で表されるジルコニウムテトラア
    ルコキシド、該ジルコニウムテトラアルコキシドの加水
    分解物および該加水分解物の部分重縮合物からなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種のジルコニウム化合物および
    /または一般式B(OR3(式中、R3は炭素数1〜5
    の炭化水素残基を示す)で表されるトリアルコキシボロ
    ン、該トリアルコキシボロンの加水分解物および該加水
    分解物の部分重縮合物からなる群から選ばれた少なくと
    も1種のボロン化合物10〜80重量部、 (c)有機溶剤300〜4,000重量部、 (d)超微粒子状金属酸化物、シリカゲル、ゼオライト
    および活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の
    充填剤5〜400重量部、 (e)銀、銅および亜鉛の金属塩から選ばれた少なくと
    も1種の金属塩からなる抗菌性金属塩0.3〜50重量部、 を混合してなることを特徴とする抗菌性組成物。
  2. 【請求項2】超微粒子状金属酸化物がアルコール性のコ
    ロイド状金属酸化物および/またはpHが酸性の水性コロ
    イド状金属酸化物である請求項1記載の抗菌性組成物。
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