JPH074280B2 - ササ類からキシロオリゴ糖を主成分とする糖液を 製造する方法、 - Google Patents

ササ類からキシロオリゴ糖を主成分とする糖液を 製造する方法、

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JPH074280B2
JPH074280B2 JP4361889A JP36188992A JPH074280B2 JP H074280 B2 JPH074280 B2 JP H074280B2 JP 4361889 A JP4361889 A JP 4361889A JP 36188992 A JP36188992 A JP 36188992A JP H074280 B2 JPH074280 B2 JP H074280B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ササ類からキシロオリ
ゴ糖を主成分とする糖液を、工業的に安価にかつ効率よ
く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】広葉樹やササ類、稲わらなどに含まれる
キシランを、甘味料や医薬品、化学工業原料などとして
利用しようとする試みは、古くから行われている。その
方法の多くは、疏酸、塩酸などの鉱酸類や酢酸などの有
機酸類によって加水分解し、キシロースあるいはフルフ
ラールを製造しようとするものである。しかしこれらの
方法は、同時に、セルロースの糖化も目的としているの
で、一般に、高温高圧下で行われる。したがって、反応
に多大のエネルギーを要すること、キシロース系以外の
成分も可溶化され、加水分解液中にさまざまな2次的副
生物が生じ、糖液の精製コストが増大すること、さらに
は、装置に耐酸性が要求されることなどの難点があり、
これらの方法による工業化は実現されるに至っていな
い。
【0003】最近、木材やササ類などのキシラン含有天
然物を、高温の飽和水蒸気で処理し、その処理物から水
抽出物としてキシロオリゴ糖を得る方法が提案されてい
る(例えば、「木材の科学と利用技術、4.バイオマス
転換利用」、日本木材学会研究分科会報告書、1989
年刊、「バイオマス変換計画研究報告、第21号、木質
系資源有用成分の利用技術」、農林水産省農林水産技術
会議、平成2年1月刊)。この方法は、特殊な薬品や装
置を必要とせず、簡単な操作で、キシランが低分子化さ
れ、水を溶媒とした抽出・分離が可能になるという特徴
を持つ。しかし、ササ類をこの方法で処理すると、キシ
ランの低分子化と同時に、生成されるキシロオリゴ糖や
キシロースがフルフラールに変化し、水に可溶となる糖
類の収量が著しく低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ササ類を高
温の飽和水蒸気で処理するときの上述の欠点を改善しよ
うとするものである。すなわち、上述した欠点であるキ
シロオリゴ糖やキシロースがフルフラールに変化する反
応(キシランの二次分解反応)を抑制し、ササ類からキ
シロオリゴ糖を主成分とする糖液を高収率で得ようとす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記のキシランの二次分
解反応を抑制する方法について鋭意検討した結果、飽和
水蒸気による処理に先立ち、ササ類に含まれる酢酸カリ
ウムや酢酸ナトリウムなどの有機酸塩を、アセトン、ア
ルコール、水等の溶媒を用いて除去するという簡単な操
作によって、上記課題が解決できることを発見した。
【0006】すなわち、粗砕したササ類の稈部あるいは
稈部と葉部の混合物を、まず、アセトンあるいはアルコ
ールなどの有機溶媒や冷水あるいは温水で、あるいはこ
れらの溶媒を適宜組み合わせた混合液で十分洗浄し、可
溶化する成分を除去する。次いで、この可溶物を除去し
た残さについて、その含水率(湿量基準)を30%〜6
0%の範囲に調整し、耐圧釜に入れ、230℃〜150
℃、好ましくは、200℃〜1700℃の飽和水蒸気で
加圧加熱処理する。処理時間は、使用する飽和水蒸気の
温度によって異なり、処理温度が低い場合には数時間を
要し、処理温度が高い場合には数分でよい。このように
して調製した飽和水蒸気処理物に水を加え、十分混合す
る。そして、常温で水溶液と固形物を分離する。ここで
分離された水溶液中に、キシロオリゴ糖を主成分とする
糖類が高純度で含まれる。なお、水溶液と固形物の分離
には、遠心分離、ろ過、圧搾など、通常、固液分離に用
いられる方法が適用できる。
【0007】以上のような方法によって、ササ類の稈部
あるいは稈部と葉部の混合物からキシロオリゴ糖を主成
分とする糖液が高純度でかつ高収率で得られる。
【0008】
【作用】ササの桿部および葉部中に存在するキシラン
が、飽和水蒸気処理によって低分子化され、水に可溶と
なる過程は次のように考えられる。すなわち、まず、飽
和水蒸気処理によってササから酢酸などの酸成分が遊離
する。この酸成分によってキシランは、分子量数万程度
の比較的高分子のキシロース重合物に分断される。生成
したキシロース重合物は、次々と水に可溶な低分子のオ
リゴ糖や単糖まで加水分解され、さらに二次分解を受け
てフルフラールやその重合物へ変化する。
【0009】これまで、広葉樹やササ類の飽和水蒸気処
理によって生成する酸成分は、主として、キシラン分子
を構成するアセチル基に由来するものと考えられてき
た。しかし、本発明者らは、ササ類の構成成分が飽和水
蒸気処理に伴うキシランの加水分解反応に及ぼす影響に
ついて詳細な検討を行った結果、キシラン分子を構成す
るアセチル基以外に、ササの桿部に数%含まれる酢酸カ
リウムや酢酸ナトリウムなどの有機酸塩が、キシランの
加水分解反応や二次分解反応に関与しており、これらの
成分が、キシロオリゴ糖やキシロースの収率を著しく低
下させる原因物質であることを発見した。
【0010】本発明は、飽和水蒸気処理に先立ち、アセ
トン、アルコール、水などの溶媒による抽出処理を行う
ことを特徴としている。この抽出処理は、キシランの二
次分解反応を促進する原因物質である有機酸塩を、予め
当該原料から除去しておくことを目的とするものであ
り、この処理によって、飽和水蒸気処理に伴うキシラン
の加水分解物であるキシロオリゴ糖やキシロースの収率
を高めることができる。
【0011】さらに、本発明においては、飽和水蒸気処
理時の原料の含水率を30%〜60%の範囲にすること
を特徴としている。これは、キシランの二次分解反応、
すなわち、キシランの加水分解によって生成されるキシ
ロースがフルフラールに変化する反応が脱水反応である
ことから、飽和水蒸気処理時の原料を湿潤状態に保つこ
とで、この脱水反応を抑制することを意図したものであ
る。しかし、その効果発現の機作については不明であ
る。以下に本発明の詳細を実施例で説明する。
【0012】
【実施例1】クマイザサ稈部をハンマーミルで粗砕し
た。これに10倍量の水を加え、80℃で3時間処理し
たのち、ろ過した。この抽出操作を2回繰り返して、温
水抽出物を除去したクマイザサ稈部を調製した。次い
で、これを含水率45%に調整し、乾物として約50g
をオートクレーブに入れ、185℃の飽和水蒸気で10
分〜40分の処理を行った。また、比較のため、温水抽
出物を除去していない原料のクマイザサ稈部について
も、含水率を10%(比較例1)と45%(比較例2)
に調整し、上記と同一条件で、それぞれ飽和水蒸気によ
る処理を行った。
【0013】得られた各飽和水蒸気処理物は、JISの
木材分析法にしたがって温水抽出を行い、飽和水蒸気処
理で温水に可溶となったキシラン量を分折した。結果を
表1に示す。なお、飽和水蒸気処理で温水に可溶となっ
たキシランは、その大部分がキシロースの重合物である
ため、これを硫酸で加水分解し、キシロースとして定量
した。そして、この定量値を温水可溶全キシロースとし
て表示した。また、表中の温水可溶全キシロースの収率
というのは、抽出物を除去していない初めの粗砕原料に
対する温水可溶全キシロースの重量パーセントである。
【0014】表1から明らかなように、本発明による場
合、温水抽出物を除去していないクマイザサ桿部を飽和
水蒸気処理した比較例1(水分を10%に調整)や比較
例2(水分を45%に調整)と比べ、著しく温水可溶全
キシロースの収率が増加しており、本発明が、飽和水蒸
気処理で水に可溶となるキシランの収率、すなわち、キ
シロオリゴ糖を主成分とする糖類の収量を高める方法と
して優れたものであることがわかる。
【0015】
【0016】前述したように、本発明によって水に可溶
となるキシランの収量が増加する理由は、キシランの二
次分解反応が抑制されたことによる。この二次分解反応
の抑制は、単に水に可溶となるキシランの収率を高める
効果を与えるだけではなく、飽和水蒸気で処理するとき
の温度や時間によって、水に可溶となるキシランの重合
度をある程度コントロールできるという効果も生み出し
た。
【0017】このことは、各飽和水蒸気処理物から温水
で抽出した糖類の分子量分布を測定した表2の結果から
理解される。すなわち、比較例1の場合、飽和水蒸気処
理によってキシランが加水分解され、低分子化すると同
時に、生成されたキシロオリゴ糖やキシロースは、速や
かにフルフラールに変化し消失するので、結果として、
飽和水蒸気による処理時間を変えても、温水で抽出され
た糖類の分子量分布は大きく変化していない。一方、本
発明による場合は、処理時間が短いと、比較的分子量の
高い区分(分子量3000以上)が多くなり、処理時間
が長くなると、低分子区分(分子量3000〜300の
オリゴ糖や分子量150の単糖)が増加する。このよう
な傾向は、飽和水蒸気の温度を変えても同様であり、本
発明によれば、飽和水蒸気による処理温度と処理時間の
組み合わせによって、様々な分子量分布を持ったキシロ
ースの重合物あるいはキシロースを主成分とする糖液を
調製することができる。
【0018】
【0019】
【実施例2】実施例1と同様にして、クマイザサ稈部か
ら温水抽出物を除去したのち、含水率を10%、20
%、30%、50%、60%に調整した。これを実施例
1と同様にして200℃の飽和水蒸気で5分間処理し
た。得られた処理物について、実施例1と同様にして温
水可溶全キシロースを定量した。結果を表3に示す。
【0020】表3からわかるように、飽和水蒸気で処理
する際の水分が30%より低い場合、30〜60%の場
合と比べ、明らかに温水可溶全キシロースの収量が低く
なっている。このことから、当該原料を飽和水蒸気で加
熱加圧してキシロオリゴ糖を主成分とする糖類を高収率
で得るためには、まず当該原料から水に可溶な成分を除
去したのち、水分を30〜60%の範囲に調整して飽和
水蒸気処理を行うことが有効であることがわかる。
【0021】 表3
【0022】
【実施例3】粗砕したクマイザサ稈部を原料として、ま
ず、ソックスレー抽出器を用い、アセトン抽出物および
メチルアルコール抽出物を除去した試料を調製した。次
いで、この試料を風乾し、抽出溶媒を完全に除去した
後、水分を45%に調整し、実施例1と同様にして、1
85℃の飽和水蒸気で10分〜40分処理した。得られ
た飽和水蒸気処理物について、実施例1と同様にして、
温水可溶全キシロースを定量した。その結果を表4に示
す。
【0023】
【0024】表4からわかるように、アセトン抽出物除
去あるいはメチルアルコール抽出物除去のいずれの場合
も、185℃の飽和水蒸気で処理した時、処理時間30
分で温水可溶全キシロースの収率が最大となった。その
収率は、それぞれ14.0%、15.1%であった。こ
の値は、抽出物を除去せずに飽和水蒸気処理した実施例
1の比較例1(最大6.9%)や比較例2(最大12.
2%)の最大値よりも高くなっている。このことから、
アセトンあるいはメチルアルコールなどの有機溶媒を用
いて、ササ桿部に含まれる抽出物を予め除去しておく処
理も、その後の飽和水蒸気処理によって水可溶となるキ
シランの収率を高めるために有効であることがわかる。
【0025】
【実施例4】クマイザサ(稈部:葉部の重量比、7:
3)を採取後、葉部と桿部を分けずにそのまま粗砕し、
実施例1と同様にして温水抽出物を除去した。次いで、
これを水分50%に調整し、実施例1と同様にして18
5℃の飽和水蒸気で10分〜30分処理した。得られた
飽和水蒸気処理物の温水可溶全キシロースを実施例1と
同様にして定量し、表5に示した。
【0026】
【0027】通常、ササの葉部は稈部よりキシランの含
有量が少ないので、葉部が混ざると桿部だけを原料とし
た場合よりキシランから得られる糖類の収量は低下す
る。本実施例においても、表6に示す通り、温水可溶全
キシロースの収率は、最大15.2%であり、稈部だけ
を用いた実施例1(表1)の本発明による場合(最大1
7.5%)よりやや低い。しかし、実施例1の比較例1
(最大6.9%)や比較例2(最大12.2%)の場合
よりも高い値を示している。このことから、本発明は、
特に桿部と葉部を分別しない原料についてもキシランの
二次分解反応を抑制し、キシロオリゴ糖を主成分とする
糖類の収率を高める方法として効果的であることがわか
る。
【0028】
【実施例5】500l容量のステンレス製容器に粗砕し
たクマイザサ程部20kgと水200kgを入れ、攪拌
しながら80℃に加温した。3時間後、容器底部のバル
ブを開け、温水抽出物を含んだ水を除去した。さらに水
200kgを加え、同様にして80℃に加温し、3時間
後、温水抽出物を含んだ水を除去した。そして、容器内
のクマイザサ稈部(含水率55%)を取り出し、これを
500l容量のオートクレーブに入れ、200℃の飽和
水蒸気で5分処理した。次いで、得られた飽和水蒸気処
理物に、含水率が60%となるように水を加え、これを
スクリュウプレスで圧搾した。そして固形分濃度13%
の糖液19kgを得た。圧搾残さには、再び水分が60
%となるように水を加え、スクリュウプレスで圧搾し
た。そして固形分濃度4%の糖液19kgを得た。この
ようにして調製した糖液をスプレイドライヤーで乾燥し
粉末3.2kgを得た。
【0029】なお、比較のため粗砕したクマイザサ桿部
20kgそのままを200℃の飽和水蒸気で5分間処理
し、上記と同様にして粉末3.0kg(比較例3)を得
た。
【0030】
【0031】以上のようにして調製した粉末の構成糖を
分折して表6に示した。なお、前述したように、飽和水
蒸気処理で水に可溶となる糖類は、様々な重合度のオリ
ゴマーやモノマーの混合物であるため、これらを硫酸で
加水分解し、全て単糖にして定量した。
【0032】得られた粉末の収量は、本発明による場合
も比較例3の場合も約3kgであり、ほぼ等しい。しか
し、表6に示す通り、粉末中に含まれる糖類の主要構成
単位となっているキシロースは、絶乾粉末に対し、比較
例3の場合には44.9%であるが、本発明による場合
には71.4%と高い値となっている。このことから、
本発明によれば、ササ類に含まれるキシランは、高収率
で水に可溶となり、純度の高い糖液として分離されるこ
とがわかる。
【0033】
【発明の効果】本発明は、原料であるササ類の稈部ある
いは稈部と葉部の混合物から、アセトンやアルコール、
あるいは水などの溶媒に可溶な成分を除去したのち、飽
和水蒸気で加圧加熱処理することを特徴とするものであ
る。このような簡単な操作を行うだけで、ササ類の主要
構成成分であるキシランから、十分工業化に耐え得る収
率で、かつ高い純度で、種々重合度のキシロオリゴ糖や
キシロースあるいはそれらの混合物の生産が可能とな
る。本発明の原料であるササ類は、未だ有効な用途が見
いだされないまま、我が国の林地に大量に自生し、森林
施業上の邪魔物として扱われている。本発明の成果は、
このササ類の高度利用を可能にするものであり、貴重な
森林資源を有効に活用するものとして、その意義は大き
い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. ササ類の稈部あるいは稈部と葉部の混合物を原料とし
    て、まず、これらの原料から、アセトン、アルコールな
    どの有機溶媒や冷水あるいは温水で抽出される成分を除
    去したのち、残部の含水率(湿量基準)を30%〜60
    %の範囲に調整して、これを飽和水蒸気で加圧加熱処理
    することを特徴とする、ササ類からキシロオリゴ糖を主
    成分とする糖液を製造する方法。
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