JPH075086A - 高温構造材料のクリープと疲労の重畳損傷推定方法 - Google Patents

高温構造材料のクリープと疲労の重畳損傷推定方法

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JPH075086A
JPH075086A JP17103193A JP17103193A JPH075086A JP H075086 A JPH075086 A JP H075086A JP 17103193 A JP17103193 A JP 17103193A JP 17103193 A JP17103193 A JP 17103193A JP H075086 A JPH075086 A JP H075086A
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fatigue
creep
superposed
high temperature
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Takahiro Kubo
保 貴 博 久
Kazunari Kimura
村 和 成 木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クリープと疲労の重畳した損傷を受ける金属
材料の部位の消費寿命を非破損的に推定する方法を提供
する。 【構成】 高温で使用される金属材料からなる構造部品
のクリープと疲労の両方が重畳して蓄積する部位につい
て、損傷状態を反映する複数の材料状態量を非破壊的手
法により計測し、それらを組み合わせて重畳損傷を代表
する規格化パラメータを算出し、あらかじめ実験的に求
めてある規格化パラメータと重畳損傷との関係に照らし
て、重畳損傷を推定することを特徴とする高温構造材料
のクリープと疲労の重畳損傷推定方法。 【効果】 従来は計算に頼らざるを得なかったクループ
と疲労の重畳した損傷の消費寿命を非破壊的にかつ推定
することが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒸気タービンケーシン
グなどに代表されるクリープ損傷と疲労損傷が重畳して
働く高温部品の余寿命診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温雰囲気下で使用される蒸気タービン
部品等は、運転中に経年劣化損傷を受ける。しかもその
多くは、主に起動停止時に蓄積される疲労損傷と、定常
運転の継続により蓄積されるクリープ損傷の双方が重畳
して蓄積される。重畳時の寿命は、それぞれの損傷が単
独で作用する場合に比べ、一般に短くなることが知られ
ており、損傷蓄積の和がある限界値に達すると、巨視き
裂の発生を引き起こして、甚大なる損害をもたらす。こ
れらの損傷は部材各部に均一に蓄積するのではなく、部
材および部位ごとに損傷形態と損傷割合が異なるため、
部材ごとの損傷割合を正確に察知することは、安全性、
信頼性ならびに経済性の点からも極めて重要な課題であ
る。
【0003】従来の方法では、あらかじめ材料に負荷さ
れる温度および応力などの物理量と損傷量の関係を実験
的に求めておき、実機部材の使用条件から実機材料の消
費寿命を推定して算出している。しかし、このような推
定手法では、温度および応力の計測や推定に起因する誤
差が大きく、確実な推定が行なえなかった。また、使用
中の実機部材に作用する応力は、応力緩和や変形にとも
なう応力の再配分により変化するが、従来手法によりこ
れらを考慮した推定を行なうことは困難であった。
【0004】そこで近年では、材料の受けた損傷量を、
非破壊的に測定した材料状態量変化より推定する簡便な
方法が適用されるようになってきた。中でも金属組織と
その状態量の変化を計測する実体評価法は、金属組織を
非破壊的に観察するレプリカ法の技術が向上したこと
と、画像処理技術の高精度化、簡素化が図られたことを
受け、信頼性、簡便性が飛躍的に向上した。例えば、ク
リープ損傷量推定にはボイドあるいは硬さを、疲労損傷
量推定には数ミクロンから数ミリの微視き裂の長さを用
いる方法などが考えられており、一部は実機部材の寿命
評価に適用されている。その他超音波、電磁気、X線な
どを用い、部材から非破壊的に得られる情報で損傷度を
評価する方法も考えられた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法は、本来クリープ損傷と疲労損傷の両方に依存す
る材料状態量変化を、一方の損傷量のみに関連づけるも
ので、他方の損傷の影響が小さい場合のみに適用が限ら
れる。つまり、どちらか一方の損傷だけを受ける部材の
消費寿命推定、余寿命診断は行えるものの、実機部材に
おいて蓄積されるようなクリープと疲労の重畳した損傷
を評価するには不十分である。本発明の目的は、これら
従来未解決であった諸問題を解決し、クリープと疲労の
重畳した損傷を受ける部位の消費寿命を、非破壊的に推
定する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、クリープと疲労の重畳損傷が蓄積される
実機部材の消費寿命を推定する方法において、疲労単独
の損傷蓄積状態を反映する非破壊的計量値、クリープ単
独の損傷蓄積状態を反映する非破壊的計量値、および疲
労とクリープ量の損傷蓄積によってもたらされる金属組
織状態を反映する非破壊的計量値を測定し、それらの計
量値から規格化パラメータの値を算出し、その値から前
記実機部材の消費寿命を求めることを特徴とするもので
ある。
【0007】高温構造材料において、疲労損傷は微視き
裂の発生を引き起こし、クリープ損傷はクリープボイド
の発生を促すが、重畳損傷蓄積時にはその双方が観察さ
れる場合もあり、また、どちらか一方しか観察されない
場合もある。従って、単独パラメータの評価では不十分
であるが、本発明の規格化パラメータを用いて、複数の
指標を複合評価することにより、消費寿命を推定するこ
とが可能である。また、本発明では、重畳損傷の消費寿
命を、レプリカ法を中心とした非破壊手法によって求め
ることができ、従来計算に頼らざるを得なかった消費寿
命推定を、実体計測による非破壊手法のみで、短時間で
容易に且つ的確に推定することが可能となった。
【0008】
【実施例】以下、本発明を実施例に基いて具体的に説明
する。実施例では、過去にクリープと疲労の重畳損傷付
与の形態が過去に多く認められている蒸気タービン高圧
ケーシング(CrMoV鋳鋼)材の消費寿命を推定する
場合について説明する。
【0009】図1は、本発明の内容を示す概念図であ
る。あらかじめ実験室で重畳損傷の中断試験を実施して
(1)、中断試験片の材料組織を採取し(2a)、採取
組織から、クリープ単独の損傷蓄積状態を反映する非破
壊的計量値のひとつであるボイドの定量化指標Aパラメ
ータ(損傷粒界数/全粒界数)と、疲労単独の損傷蓄積
状態を反映する非破壊的計量値のひとつである微視き裂
の定量量化指標最大き裂長さとを求め、平行して金属組
織状態の非破壊的計量値のひとつであるビッカース硬さ
低下量比{(損傷による軟化量−加熱による軟化量)/
加熱による軟化量}を求める(3a)。それらの3指標
から、複合評価パラメータである規格化パラメータを算
出する(4a)。さらに計算した規格化パラメータ値を
縦軸に、中断試験で与えた重畳損傷の消費寿命を横軸に
とり、グラフにプロットして損傷マスターカーブ(5)
を作成しておく。
【0010】前記手順にて重畳損傷マスターカーブを実
験室的に求めたのち、実機材料の金属組織を観察し(2
b)、Aパラメータおよび最大き裂長さを求め、同時に
その硬さを計測して(3b)、それらの計測値から規格
化パラメータ値を算出する(4b)。なお、金属組織の
採取は、前記重畳損傷マスターカーブ作成用データ計測
手順と同様に、レプリカフィルムを用いて行い、硬さ計
測はエコーチップ硬さ計などを利用することにより、実
機材料からの計測は完全に非破壊的に行う。以上の手順
で算出した規格化パラメータ値データを、重畳損傷マス
ターカーブと照らし合せることにより、実機材料の消費
寿命を推定する。
【0011】図2は、重畳損傷マスターカーブ作成手順
を示す。本実施例では、マスターカーブ作成用の重畳損
傷付与試験として、軸ひずみ制御にて単軸保持サイクル
疲労試験を実施する。ここで保持サイクル疲労は引張側
保持疲労試験を意味し、疲労試験の各サイクルの引張ひ
ずみが頂点に達したとき、その状態のまま一定時間保持
するサイクルを繰返すものである。また保持時間は、実
機の運転パターンをすべて模擬するため、数種類変化さ
せる。
【0012】まず、試験条件を決定し、各設定保持時間
での保持サイクル疲労を実施して、破断繰返し数を求め
る。次に、それらと同一条件の下で、試験材料に損傷を
与え、各条件で破断繰返し数の20%、40%、60%
および80%の繰返しサイクルを与えた材料を作成する
(1)。ここで、試験片に与えた繰返し数と、同一保持
時間での破断繰返し数との比を消費寿命と定義する。
【0013】それぞれの損傷付与材の表面を鏡面研磨
し、仕上げ面をエッチングした後、金属組織をレプリカ
フィルムに転写することによって、金属組織の採取を行
う(2)。前記レプリカフィルムを顕微鏡で写真撮影
し、全結晶粒界数とボイドの発生している結晶粒界数を
計測し、その比であるAパラメータを求める(3)。同
様に撮影した写真から、微視き裂を選択し、その一つ一
つについて長さを計測し、最大である微視き裂の長さを
最大き裂長さとする(3)。このとき試験片の有効部全
部の微視き裂長さを計測することが理想であるが、不可
能な場合は観察面積を基にした統計的処理を行って予測
された最大き裂長さをデータとする。さらに、クリープ
損傷を受けた試験片有効部と、加熱損傷のみを受けた試
験片チャック部のビッカース硬さを測定し、この2つの
差を加熱損傷部硬さで除した硬さ低下量比を計算する
(3)。前記のAパラメータ、最大き裂長さの測定は、
試験片を直接観察して実施しても良いが、本実施例で
は、実機材料からのデータ採取がレプリカフィルムにな
ることを考え、実機材料データとの整合性をとるためレ
プリカ法を採用した。
【0014】以上の手順で得たデータを元に、規格化パ
ラメータの値を算出して(4)、未使用材、破断材のデ
ータも加えて、横軸に消費寿命、縦軸に規格化パラメー
タをプロットすると、損傷マスターカーブ(5)が得ら
れる。なお、種々の保持時間での損傷付与材測定結果か
ら、消費寿命と規格化パラメータとの間には有意な差が
なく、保持時間の長短によらず、重畳損傷マスターカー
ブは一つで十分であることが判明している。
【0015】図3は、本実施例における規格化パラメー
タの算出手順である。まず、単独損傷マスターカーブを
3種類作成する(4−1)。なお、ここで単独損傷と
は、クリープ単独損傷と疲労単独損傷の両方を意味す
る。第一に、クリープ単独試験を行い破断寿命を求めた
後、同一の条件下で試験片に種々の割合のクリープ損傷
を付与して、その試験片各々からAパラメータの値を計
測し、単独損傷寿命比を横軸に、Aパラメータ値を縦軸
に取り、単独損傷寿命比vsAパラメータマスターカー
ブを作る。第二に、疲労単独(保持なし)疲労試験を実
施し、その試験片各々から最大き裂長さの値を計測し、
単独損傷寿命比を横軸に、微視き裂の最大き裂長さを縦
軸に取って、単独損傷寿命比vs最大き裂長さマスター
カーブを作る。第三にクリープ単独損傷と、疲労単独損
傷を付与した試験片からビッカース硬さ低下量比を計測
し、単独損傷寿命比を横軸に、ビッカース硬さ低下量比
を縦軸に取って、単独損傷寿命比vsビッカース硬さ低
下量比マスターカーブを作る。
【0016】次に、供試材よりAパラメータ、最大き裂
長さ、ビッカース硬さ低下量比をそれぞれ計測する(4
−2)。これらの計測値を使って、先に求めた3種の単
独損傷マスターカーブより、単独損傷寿命比を逆算す
る。本実施例において、Aパラメータから求めた単独損
傷寿命比をα、最大き裂長さから求めた単独損傷寿命比
をβ、ビッカース硬さ低下量比から求めた単独損傷寿命
比をγとすると、規格化パラメータDは、次式(a)で
求められる(4−4)。 D=Lα+Mβ+Nγ ……………(a) (L,M,N:定数)
【0017】未使用材では、規格化パラメータの値は、
ほぼ0であるのに対し、重畳損傷付与材では、損傷の蓄
積にしたがってD値が増加する。なお、(a)式中の定
数L,M,Nは、重畳損傷の破断材より、供試材の全損
傷を100としたときに損傷中に占める粒界損傷、粒内
損傷および硬さ低下による損傷の3指標の支配度を求
め、その支配度より決定するものである(4−3)。
【0018】図4は、全損傷を100としたときに、そ
の中で粒界損傷、粒内損傷、硬さ低下による損傷が支配
する割合を図示したものである。この割合は重畳損傷の
破断材から3指標を測定し、単独損傷の破断時の3指標
とそれぞれ比較して、得られるものである。例えば、粒
界損傷、粒内損傷、硬さ低下による損傷の3者間におい
て、粒界損傷が支配的である材料については、LがM,
Nに比べて高い値となる。
【0019】また、本実施例においては、規格化パラメ
ータDの推定式として、α、β、γを変数とした一次式
を用いたが、重畳損傷観察例から多次式近似等を用いる
ことにより、(b)式で示した関数fも採用できる。 D=f(α、β、γ) ……………(b) この関数fを用いれば、さらに的確な重畳損傷の消費寿
命推定が可能である。
【0020】図5は、本供試材の未使用材の顕微鏡組織
観察写真に基づく説明図である。本実施例で用いた蒸気
タービン高圧ケーシング(CrMoV鋳鋼)材では、結
晶粒界が明瞭に観察される組織を呈する。この材料にク
リープ単独損傷を付与したとき、クリープ損傷は粒界に
出現するので、図6に示すように結晶粒界に微小なボイ
ドが発生した組織となり、そのボイドが連結、成長し
て、き裂となり、最終的には破断する。したがって、ク
リープ単独損傷の場合は、粒界損傷の評価指標であるA
パラメータで整理できる。
【0021】一方、疲労単独(保持なし疲労)損傷を付
与した場合には、損傷は主に結晶粒内に現れるので、図
7に示すように、結晶粒内に数10ミクロン程度の微視
き裂が発生した組織となり、そのき裂が進展、合体して
破断にいたる。したがって、疲労単独損傷の場合は、粒
内損傷の評価指標である最大き裂長さで整理できる。
【0022】クリープと疲労の重畳損傷付与では、その
保持時間の長短により、ボイド、微視き裂が両方発生す
る場合と、どちらか一方しか発生しない場合とがあり、
一つのパラメータではうまく重畳損傷の消費寿命を評価
することはできない。また、どちらの単独損傷の場合で
も、損傷の進行とともに硬さは一様に低下する傾向にあ
るが、その低下傾向は損傷形態により若干異なるため、
硬さ低下量比では、重畳損傷材の消費寿命を一概に推定
できない。
【0023】しかし、前出の規格化パラメータD値は、
3指標を複合して評価する指標であるので、ボイドと微
視き裂のうちどちらか一方しか発生しない場合でも、両
方発生する場合でも増加し、重畳損傷の保持時間の長短
による損傷機構モード変化に関係なく、寿命消費が進行
するに従い単調に増加する。また、定数L,M,Nを用
いて、3指標にそれぞれ材料固有の重みを付けると、変
化の大きい指標を有効に評価できる。
【0024】以上の手順にて採取した規格化パラメータ
データを、横軸に消費寿命、縦軸に規格化パラメータを
とって整理すると、図1および図2に示す重畳損傷マス
ターカーブ(5)が得られる。
【0025】図8は、実機部材から切り出した同材の消
費寿命を、重畳損傷マスターカーブ(5)より推定した
結果と、材料試験により求めた実寿命とをプロットした
ものである。なお、本実施例では、粒界損傷、粒内損
傷、硬さ低下がすべて出現し、且つその支配割合がほぼ
同等であることが判明したので、規格化パラメータD値
の算出式として、次に示す(c)式を採用した。 D=α+β+γ ……………(c) 図8から明らかなように、本発明方法によればクリープ
と疲労の重畳損傷の消費寿命を精度良く推定できる。
【0026】
【発明の効果】本発明により、従来は計算に頼らざるを
得なかったクリープと疲労の重畳した損傷の消費寿命
を、非破壊的に、かつ的確に推定することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施例の内容を示す概念図。
【図2】実施例における重畳損傷マスターカーブ作成手
順。
【図3】実施例における規格化パラメータの算出手順。
【図4】全損傷中に占める粒界損傷、粒内損傷、硬さ低
下による損傷の支配する割合。
【図5】実施例における未使用材の金属組織観察写真。
【図6】実施例におけるクリープ単独損傷付与材の金属
組織写真。
【図7】実施例における疲労単独損傷付与材の金属組織
観察写真。
【図8】実施例における実機部材の消費寿命と規格化パ
ラメータから推定した消費寿命との関係図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高温で使用される金属材料からなる構造部
    品のクリープと疲労の両方が重畳して蓄積する部位につ
    いて、損傷状態を反映する複数の材料状態量を非破壊的
    手法により計測し、それらを組み合わせて重畳損傷を代
    表する規格化パラメータを算出し、あらかじめ実験的に
    求めてある規格化パラメータと重畳損傷との関係に照ら
    して、重畳損傷を推定することを特徴とする高温構造材
    料のクリープと疲労の重畳損傷推定方法。
  2. 【請求項2】複数の材料状態量は、疲労単独の損傷蓄積
    状態を反映する非破壊的計量値、クリープ単独の損傷蓄
    積状態を反映する非破壊的計量値、および疲労とクリー
    プの両方の損傷蓄積によってもたらされる金属組織状態
    を反映する非破壊的計量値であることを特徴とする請求
    項1に記載の高温構造材料のクリープと疲労の重畳損傷
    推定方法。
  3. 【請求項3】規格化パラメータは請求項2に記載の各非
    破壊的計量値のそれぞれの規格値の総和であることを特
    徴とする請求項1に記載の高温構造材料のクリープと疲
    労の重畳損傷推定方法。
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