JPH0753077B2 - 冷凍パン生地 - Google Patents

冷凍パン生地

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JPH0753077B2
JPH0753077B2 JP3119990A JP11999091A JPH0753077B2 JP H0753077 B2 JPH0753077 B2 JP H0753077B2 JP 3119990 A JP3119990 A JP 3119990A JP 11999091 A JP11999091 A JP 11999091A JP H0753077 B2 JPH0753077 B2 JP H0753077B2
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信次 吉野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は改良された冷凍パン生地
に関し、さらに詳しくはラクトバチルス属の乳酸生産菌
を生地の製造段階で加えて得られる冷凍パン生地に関す
る。
【0002】
【従来の技術】冷凍パン生地は、その冷凍保存中にパン
酵母の死滅による減少、及び酵母菌体中のグルタチオン
によるグルテン組織の破壊等が起こる為、これを解凍
し、焼成して得られるパン製品(以下、単にパンあるい
は製品ともいう。)の品質低下が避けられず、特に製品
の不快臭及び食感の劣下が問題となっていた。この問題
を解決するために、従来はパン酵母の減少を補うべく、
パン酵母を生地に多量に添加する方法又は生地製造にお
ける発酵時間を短縮する方法等が行なわれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、パン酵母を多
量に添加する方法では製品に酵母臭が強く残るという欠
点があった。一方、生地製造における発酵時間を短縮す
る方法では生地を十分に熟成させることができず、従っ
て良好な品質の製品を得ることはできなかった。そこで
本発明の課題は冷凍パン生地より得られる製品のボリュ
ーム及び品質低下が改善された冷凍パン生地を提供する
ことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する為、
請求項1の発明は解凍し発酵させ焼成してパンとするた
めの、イーストを含む冷凍された冷凍パン生地であっ
て、小麦粉を主成分とし、食塩及び水を含む培地にラク
トバチルス属に属する乳酸生産菌を、pHが4.0付近
になるまで培養して得られた培養物が、パン生地の製造
段階において、小麦粉100部に対し、100〜300
部の割合いで加えられていることを特徴とする。そし
て、請求項2の発明は請求項1の冷凍パン生地における
乳酸生産菌が、ラクトバチルス・サンフランシスコ及び
/又はラクトバチルス・イタリカスであることを特徴と
する。
【0005】前記ラクトバチルス属に属する乳酸生産菌
としては、ラクトバチルス・サンフランシスコ、ラクト
バチルス・イタリカスなどがあり、具体的菌株として
は、ラクトバチルス・サンフランシスコATCC 27
651、同ATCC27653、同ATCC 2765
2、同NRRLB−3933、ラクトバチルス・イタリ
カスFERM BP−189、同FERM BP−19
0、同TL−1又は同SH−150等がある。また米国
サンフランシスコ地方で用いられるサワー種、イタリヤ
のミラノ地方でパネトーネ又はパンドーロの製造に用い
られるサワー種等にはラクトバチルス属菌が含まれてお
り、これらの菌も本発明において前記乳酸生産菌として
好適に用いられる。
【0006】前記小麦粉を主成分とし食塩及び水を含む
培地としては、例えば小麦粉、食塩及び水を各々1対
0.01〜0.03対0.5〜2(重量比)の割合にて
混合したものを用いる。
【0007】そして前記乳酸生産菌を前記培地に対して
2〜3(重量比)の割合で植菌し、20〜30℃でPH
が3.8〜4.2になる迄培養し、前記培養物を得る。
この培養にはおよそ5〜10時間を要する。得られた培
養物はそのまま本発明に用い得るが、必要に応じて冷蔵
又は冷凍保存しておき、パン生地製造時に解凍して用い
ることもできる。なお前記培養物を冷蔵又は冷凍保存す
る場合は前記乳酸生産菌の培養はPH4.0〜4.4に
なる迄行うのが好ましい。
【0008】前記培養物はパン生地製造時に小麦粉10
0部に対し100〜300部(重量%)の割合いで用い
。これは100部より少ないと本発明の効果が少な
く、一方300部より多いと生地のpHが大きく低下し
すぎ、却って発酵阻害やグルテン軟化による製品のボリ
ュームの低下が生じるためである
【0009】パン生地の製造方法としては公知のノータ
イム法、中種法、直捏法等いずれの方法も用いうる。ノ
ータイム法の場合に本発明はより優れた効果を奏するの
で、ノータイム法が好ましい。
【0010】そして請求項1中、「パン生地の製造段階
で加える」とは小麦粉等のパン生地の原料と一緒に前記
培養物を用いてパン生地を作成することを意味する。
【0011】この様にして作成されたパン生地を通常の
冷凍パン生地における冷凍方法で冷凍することにより、
本発明の冷凍パン生地が得られる。
【0012】
【作用】前記培養物の作用により、本発明の冷凍パン生
地より得られる製品は、その品質低下が改善される。特
に製品のボリュームの向上については乳酸菌によってイ
ーストが活性化され、PHの低下によりグルテン結合が
強化されるためと考えられる。
【0013】
【実施例】次に本発明の具体例である数種類の冷凍パン
生地及びその品質評価について、以下に詳細に説明す
る。 (1)冷凍パン生地の製造 強力小麦粉100g、食塩1g、及び水100gの混合
物に、ラクトバチルス・サンフランシスコATCC 2
7651の凍結乾燥菌2.5g(5×109 個/g)を
植菌し、25℃で8時間培養してPH4.0の培養物A
を得た。強力小麦粉1000g、イースト40g、精糖
50g、ショートニング50g及び水600gに前記培
養物A(100g)を加え、パン用ミキサーを用いて生
地が十分結合するまで混捏し、パン生地を得た。この生
地を直ちに450gに分割、丸目し、−30℃の急速冷
蔵庫で冷凍し、本例の冷凍パン生地(4個)を得た。こ
の冷凍パン生地を−20℃の保存冷凍庫で一定期間
(3、10、20、30又は50日間)保存した。保存
方法はアルミバット上に生地を置き、その全体をビニー
ル袋でおおい密封した。
【0014】(2)冷凍パン生地の解凍及び焼成 前記の如く、一定期間保存した生地を冷凍庫より取り出
し、ポリバット上に並べ30℃の発酵室にて120分解
凍発酵させた。次に、この生地を再丸目し、再び30℃
の発酵室で生地容積が2倍になるまで発酵させた後モル
ダーでガス抜きをしロール状に整形しパン型に詰め、3
8℃のホイロ(最終発酵)内で型上1.5cmの高さに
なるまで発酵させた。発酵の終了した生地を200℃の
オーブンで25分間焼成し、本例の製品を得た。また比
較のために培養物Aを添加しない以外は、上記と同様の
配合及び製造方法及び保存条件によって対照例の冷凍パ
ン生地及び製品を得た。
【0015】(3)ガス発生量及び比容積の測定 前記の製造方法により得られた本例及び対照例の冷凍パ
ン生地を前記条件にて保存後3、10、20、30又は
50日間における各冷凍パン生地中のガス発生量をチモ
タキグラフ(ショパン製)にて測定した。また前記の各
保存期間後の冷凍パン生地を前記の様に解凍、発酵及び
焼成して得られた製品の比容積を測定した。これらの結
果を表1に示す。なお表1の結果は冷凍パン生地又は製
品各4個の平均値である。
【0016】
【表1】
【0017】表1中、ガス発生量の数値単位はccであ
る。また比容積とは焼成30分後に測定した製品の容積
を同時期に測定した製品重量で除した値である。表1に
示される様に、全ての冷凍保存期間において、ガス発生
量及び比容積共に対照例に比べ本例の方がより大きい値
が得られ、両例の値の差は保存期間が長くなる程、より
拡大した。そして対照例及び本例共に、冷凍保存期間が
長くなる程、ガス発生量及び比容積は低下した。しか
し、冷凍期間3日と50日の結果とを比較すると、ガス
発生量はこの間に比較例では643ccも低下したが、
一方、本例ではその半分以下の304ccしか低下しな
かった。また比容積について同様に結果を比較すると、
対照例では97も低下したのに比べ本例ではその半分以
下の44低下したのみであった。すなわち培養物Aを添
加することにより、冷凍パン生地の冷凍保存中の発酵力
低下及び比容積低下が抑制された。
【0018】(4)製品の品質評価 冷凍保存期間30日の本例又は対照例の冷凍パン生地を
前記の様に解凍、発酵及び焼成を行い得られた本例又は
対照例の製品について、パンについての専門知識を有す
るパネル(15人)によりパンの外観、内相及び風味に
ついて表2に示す各項目及び配点により、製品の品質評
価を行った。その結果を表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】表2に示される様に全ての項目について本
例は対照例と同点か又はより高得点であり、合計は本例
の方がより高得点であった。すなわち本例の製品の品質
は比較例よりも優れていた。各評価項目ごとに対照例と
本例の製品を比較してさらに詳しく述べると、まず体積
については、対照例は平均2144ccであったが、本
例は平均2364ccであり、本例の方がかなりボリュ
ームがあり、優れていた。また焼色については対照例は
くすんで冴えない色であったのに対して、本例は明る
く、ツヤがあった。形状は対照例と比べて本例の方が形
に均整がとれており、内相色は本例の方がツヤがみられ
た。スダチ・キメについては、対照例は内相のキメがや
や不均一で目のツマリがあり、やや膜厚状態であったの
に対して、本例は内相のキメが均一で揃っていた。触感
は本例の方がよりソフトでしっとりしていた。香り、味
は対照例はイースト臭が強く残り、味も粉っぽくパン本
来の芳ばしい香り及び旨味がなかったが、本例では小麦
粉臭及びイースト臭が消えて、マイルドで好ましい香り
及びさわやかなやわらかい酸味を伴った旨味が得られ
た。食感は対照例はパサパサした食感であったが、本例
はソフトであった。なお特に焼上げ後の時間経過(パン
の老化)と共に対照例と本例との前記の食感の差違が大
きくなった。
【0021】
【実施例2】(1)冷凍パン生地の製造 強力小麦粉100g、食塩2g及び水150gの混合物
にラクトバチルス・イタリカスFERM BP−189
の凍結乾燥菌2.5g(5×109 /g)を植菌し、2
7℃で8時間培養してPH3.8の培養物Bを得た。強
力小麦粉1000g、精糖200g、食塩10g、ショ
ートニング50g、卵100g、イースト60g及び水
520gに上記培養物B(200g)を加え、パン用ミ
キサーを用いて、生地が十分結合するまで混捏し、パン
生地を得た。この生地から実施例1と同様の冷凍方法に
よって分割重量を80gとして25個の本例の冷凍パン
生地を得た。この本例の冷凍パン生地を実施例1と同様
の保存方法にて一定期間(3、10、20、30又は5
0日間)保存した。
【0022】(2)冷凍パン生地の解凍及び焼成 実施例1と同様に一定期間保存した生地を解凍、一次及
び二次醗酵し、38℃のホイロ内で生地容積が4.0倍
になるまで発酵させ、この発酵の終了した生地を230
℃のオーブンで8分間焼成し、本例の製品を得た。また
比較のために培養物Bを添加しない以外は上記と同様の
配合及び製造方法及び保存条件によって、対照例の冷凍
パン生地及び製品を得た。
【0023】(3)ガス発生量及び比容積の測定 この本例及び対照例の冷凍パン生地及び製品について実
施例1と同様の条件及び方法にて、冷凍パン生地中のガ
ス発生量及び製品の比容積を測定した。その結果を表3
に示す。
【0024】
【表3】
【0025】表3中、ガス発生量の数値単位及び
比容積の意義は表1と同様である。
【0026】表3に示される様に実施例1と同様の結果
がガス発生量及び比容積について得られた。すなわち培
養物Bを添加することにより、冷凍パン生地の冷凍保存
中の発酵力低下及び比容積低下が抑制された。また培養
物A又はBを添加した本例の冷凍パン生地はこれを解凍
して製パンする際にガス発生量が多いので、イースト量
を減らし、発酵時間を短縮することができた。
【0027】次に冷凍保存期間30日の本例又は対照例
の冷凍パン生地を前記の様に解凍、発酵及び焼成を行い
得られた本例又は対照例の製品について実施例1と同様
の方法でパンについての専門知識を有するパネル(15
人)により、製品の品質評価を行った。その結果を表4
に示す。
【0028】
【表4】
【0029】表4に示される様に本例の製品の品質の方
が優れているという実施例1と同様の結果が得られ、各
評価項目についても実施例1に詳細に述べた結果と同様
の結果が得られた。すなわち、培養物A又はBをパン生
地製造時に添加することにより、冷凍パン生地に特有の
欠点であり、かつ冷凍パン生地を長期冷凍保存した場合
により顕著となる欠点であるところの製品のボリューム
の低下及び品質低下が抑制された。
【0030】
【発明の効果】本発明の冷凍パン生地によると、冷凍パ
ン生地特有の及びその長期保存に伴う製品のボリューム
低下及び品質低下が改善される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 解凍し発酵させ焼成してパンとするため
    の、イーストを含む冷凍された冷凍パン生地であって、
    小麦粉を主成分とし、食塩及び水を含む培地にラクトバ
    チルス属に属する乳酸生産菌を、pHが4.0付近にな
    るまで培養して得られた培養物が、パン生地の製造段階
    において、小麦粉100部に対し、100〜300部の
    割合いで加えられていることを特徴とした冷凍パン生
    地。
  2. 【請求項2】 乳酸生産菌が、ラクトバチルス・サンフ
    ランシスコ及び/又はラクトバチルス・イタリカスであ
    ことを特徴とした請求項1記載の冷凍パン生地。
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