JPH0756047B2 - 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0756047B2 JP1128423A JP12842389A JPH0756047B2 JP H0756047 B2 JPH0756047 B2 JP H0756047B2 JP 1128423 A JP1128423 A JP 1128423A JP 12842389 A JP12842389 A JP 12842389A JP H0756047 B2 JPH0756047 B2 JP H0756047B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、結晶粒がミラー指数で{110}<001>方位を
もつ一方向性電磁鋼板或は{100}<001>方位をもつ二
方向性電磁鋼板のように、ある結晶方位に強く配向した
所謂方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
これらの鋼板は、軟磁性材料として主に電気機器の鉄心
として用いられる。
(従来の技術) 方向性電磁鋼板は先に述べたように、一定の方位をもつ
結晶粒から構成された、通常、4.5%以下のSiを含有す
る板厚:0.10〜0.35mmの鋼板である。
この鋼板は、磁気特性として励磁特性と鉄損特性に優れ
ていることが要求される。
磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を得るためには、結晶
粒の方位を高度に揃えることが重要である。この結晶方
位の集積化は、二次再結晶と呼ばれるカタストロフィッ
クな粒成長現象を利用して達成される。
二次再結晶を制御するためには、二次再結晶前の一次再
結晶組織の調整とインヒビターと呼ばれる微細析出物或
は粒界偏析型の元素の調整が必須となる。このインヒビ
ターは、一次再結晶組織の中で一般の一次再結晶粒の成
長を抑え、ある特定の方位粒を選択的に成長させる機能
をもつ。
代表的な析出物として、M.F.Littmann(特公昭30-3651
号公報)およびJ.E.May,D.Turnbull(Trans.Met.Soc.AI
ME 212(1958)p.769〜781)はMnSを、田口、板倉(特
公昭40-15644号公報)はAlNを、今中等(特公昭51-1346
9号公報)はMnSeを、小松等は(Al,Si)Nを、それぞれ
提示している。
一方、粒界偏析型の元素として、斉藤(日本金属学会誌
27(1963)p.186〜195)は、Pb,Sb,Nb,Ag,Te,Se,S等を
提示しているが、これらは工業的には、何れも析出物型
インヒビターの補助的なものとして使用されているにす
ぎない。
上記析出物がインヒビターとしての機能を発揮する上で
必要な条件は、必ずしも明確ではないが、松岡(「鉄と
鋼」53(1967)p.1007〜1023)や黒木等(「日本金属学
会誌」43(1979)p.419〜424)の結果を纏めると、次の
ように考えられる。
(1) 二次再結晶前に、一次再結晶粒の粒成長を抑え
るに十分な量の微細析出物が存在すること。
(2) 析出物の大きさがある程度大きく、二次再結晶
焼鈍時にあまり急激に熱的変化をしないこと。
(発明が解決しようとする課題) 現在、工業生産されている代表的な一方向性電磁鋼板の
製造法としては、3種類ある。
第一の製造法は、T.F.Littmannにより特公昭30-3651号
公報に提示された、MnSをインヒビターとして用いる2
回冷延工程によるものであり、第二の製造法は、田口、
板倉によって特公昭40-15644号公報に提示された、AlN
+MnSをインヒビターとして用い、最終冷間圧延率を80
%以上の強圧下とする工程によるものであり、第三の製
造法は、今中等により特公昭51-13469号公報に開示され
たMnS(またはMnSe)+Sbをインヒビターとして用いる
2回冷延工程によるものである。
これらの製造技術にあっては、何れも析出物の量の確保
とその微細化の要件を満たすために、スラブを熱間圧延
する前に1400℃前後の高温に加熱してインヒビターを完
全に溶体化することを、基本的な要件としている。
しかしながら、高温スラブ加熱には、次の問題点があ
る。
(1) 方向性電磁鋼板専用の高温スラブ加熱炉が必要
である。
(2) 加熱炉のエネルギー原単位が高い。
(3) スラブ表面の酸化が進み、ノロと呼ばれる溶融
物が発生し、加熱炉補修の頻度を高くしてメインテナン
ス・コストを高くし、設備稼働率を低くする。
このような問題点を解消すべく、低温スラブ加熱を実現
するためには、高温スラブ加熱によらないインヒビター
作り込み技術が必要となる。
本発明者等の一部は、材料を最終板厚とした後に鋼板を
窒化処理することによってインヒビターを形成する方向
性電磁鋼板の製造方法を、一方向性電磁鋼板については
特公昭62-45285公報に、また、二方向性電磁鋼板につい
ては特願昭62-297825号にそれぞれ提案している。
特に、鋼板の窒化処理を一次再結晶焼鈍後に施すプロセ
スによる場合には、単に高温スラブ加熱に起因する諸問
題を解決し得るのみならず、一次再結晶をインヒビター
の制約から解放し、自由に粒組織と集合組織を制御する
ことが可能となり、二次再結晶を安定化させ、高い磁束
密度を有する製品を製造することができる。
しかし、前記技術によって、工業的規模で生産を行おう
とするとき、ストリップの長さ方向、幅方向において窒
化の不均一があると、それに対応して磁気特性が不均一
になるという問題を生じる。従って、鋼板の窒化を均一
かつ安定して行わせることが必要である。鋼板(ストリ
ップ)を窒化するときの律速段階は、鋼板表面での反応
であり、一次再結晶焼鈍時に表面に形成される酸化層の
制御が重要となる。また、この酸化層は、焼鈍分離剤と
して鋼板表面に塗布されるMgOと化学反応して仕上焼鈍
中にフォルステライト皮膜を形成する。このフォルステ
ライト皮膜は、製品をたとえばトランスとして積層して
使用するとき、板間の絶縁性を確保しまた、鋼板に張力
を付与し鉄損特性を向上させるという機能をもつ。
従って、一次再結晶焼鈍において鋼板表面に形成せしめ
る酸化層は、窒化を安定化させかつ、フォルステライト
皮膜の形成を安定化させるべく機能しなければならな
い。
本発明は、かかる酸化層を鋼板表面に形成する方法を提
供することを目的としてなされた。
(課題を解決するための手段) 本発明は、鋼板(ストリップ)に一次再結晶焼鈍を施す
に際し、昇温過程における雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)
と均熱過程における雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)を規定
することにより、窒化能に優れかつ、鉄損特性の優れた
フォルステライト皮膜を形成する表面酸化層をつくる方
法を提示するものである。
即ち、重量で、Si:0.8〜6.8%、酸可溶性Al:0.008〜0.0
48%、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、
熱圧延間し、必要に応じて焼鈍した後、冷間圧延によっ
て最終板厚とし、次いで一次再結晶焼鈍を行った後焼鈍
分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施す工程からなり、一次再
結晶焼鈍後から仕上焼鈍における二次再結晶開始前の間
に鋼板の窒化処理を行い、二次再結晶に必要なインヒビ
ターを形成させる方向性電磁鋼板の製造方法において、
一次再結晶焼鈍の雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)を昇温段
階と均熱段階に分け、均熱段階の雰囲気の酸化度(PH2O
/PH2):xに対して昇温段階の650〜800℃の温度域を少な
くとも5秒間、下記不等式で規定する領域内の酸化度
(PH2O/PH2):yを有する雰囲気中で焼鈍することを特徴
とする磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法であ
る。
0.15≦x≦0.80 0.15≦y≦0.80 0.16x+0.11≦y≦−0.41x+0.78 以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、鋼板の窒化に対する一次再結晶焼鈍条件
の影響に関する広汎な研究の結果、一次再結晶焼鈍時の
雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)を規定することにより、窒
化能の優れた表面酸化層をつくることができることを見
出した。
かかる知見は、次の実験によるものである。
重量で、Si:3.3%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.008%、M
n:0.14%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる
鋼熱延板を1100℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延により
0.20mmの最終板厚とした。この材料に酸化度(PH2O/P
H2)を0.02〜1.0の範囲で変化させた雰囲気中で一次再
結晶焼鈍を施した。次いで、MgOを主成分とする焼鈍分
離剤を塗布し、仕上焼鈍した。仕上焼鈍は、N2:25%+H
2:75%の雰囲気中で120℃まで昇温した後、H2:100%の
雰囲気に切り換え、20時間純化焼鈍を行い、昇温過程で
の鋼板(ストリップコイル)の窒化挙動と製品の特性を
調べた。
第2図に、鋼板における窒素量が最大となる850℃での
増窒素量と一次再結晶焼鈍時の雰囲気の酸化度(PH2O/P
H2)の関係を示す。
第2図から明らかなように、雰囲気の酸化度(PH2O/P
H2)が0.15〜0.80、好ましくは0.25〜0.70の範囲で安定
して鋼板が窒化しており、第3図に示す製品の磁束密度
(B8値)もそれに対応して増窒素量が多い場合に高くな
っている。処が、雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)を高くす
ると、フォルステライト皮膜に点状の欠陥が生じたり、
フォルステライト皮膜直下の鋼中に残留酸化物、即ち、
Al2O3が残存し、鉄損特性の劣化する等の問題を生じ、
窒化とフォルステライト皮膜形成を両立させることが極
めて困難であることが分かった。
このフォルステライト皮膜形成に関する問題を調査した
結果、一次再結晶焼鈍後の鋼板の酸素量と密接な関係が
あり、酸素量が多くなると上記問題が発生することが分
かった。
この理由については、MgOと反応してフォルステライト
皮膜を形成するのに必要な量以上の過剰な酸素が仕上焼
鈍中に鋼中の欠陥を起点としてガス化したり、鋼中のAl
と反応してAl2O3となるためであると考えられる。
従って、一次再結晶焼鈍後の鋼板の酸素量を一定レベル
以下に制御した中で窒化能の優れた酸化層をつくる必要
がある。本発明者等は、種々検討の結果、一次再結晶焼
鈍の昇温過程での鋼板の酸化挙動が重要な役割を果たし
ており、昇温時の昇温サイクルと雰囲気の酸化度(PH2O
/PH2)および均熱時の雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)を分
離して制御することにより、窒化とフォルステライト皮
膜形成を両立させ得る表面酸化層をつくることができる
ことを見出した。
かかる知見は、次の実験によるものである。
先ず、一次再結晶焼鈍の昇温過程において重要な温度域
を知るために、前述の冷間圧延板を用いて、酸化度(PH
2O/PH2):0.25の雰囲気中で500〜850℃の温度域の所定
の温度まで鋼板を100℃/sの昇温速度で急熱し、その温
度に5秒間保持し、次いで、100℃/sの昇温速度で再度
急熱し、850℃で焼鈍した。
その後、鋼板に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施し
た。
第4図は、鋼板の保持温度と一次再結晶焼鈍後の酸素
量、仕上焼鈍過程での850℃点での増窒素量の関係を示
す図である。この図から、昇温時の650〜800℃の温度域
に鋼板を少なくとも5秒間保持して一次酸化層をつくる
ことにより、その後の均熱過程での酸化が抑制され、結
果として一次再結晶焼鈍後の酸素量は減少するが、一
方、窒化量はほぼ一定で劣化しないことが分る。
そこで次に、上記加熱条件を満たすように、昇温速度25
℃/sで850℃まで鋼板を加熱し焼鈍するという温度・時
間サイクルで昇温時の均熱時それぞれの雰囲気の酸化度
(PH2O/PH2)の影響を調べた。
第1図に、昇温時の雰囲気の酸化度(PH2O/PH2):y、均
熱時の雰囲気の酸化度(PH2O/PH2):xと製品のフォルス
テライト皮膜の性状の関係を示す。第1図から、下記不
等式の範囲内で窒化とフォルステライト皮膜形成が両立
していることが分かる。
0.15≦x≦0.80 0.15≦y≦0.80 0.16x+0.11≦y≦−0.41x+0.78 鋼板の昇温速度と昇温時の雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)
について検討した結果、昇温速度が高い場合には、雰囲
気の酸化度(PH2O/PH2)を高くする必要があり、昇温速
度が低い場合には、雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)が低く
てもよいことが分った。即ち、鋼板の酸化量は、雰囲気
の酸化度(PH2O/PH2)を高くすると増加するので、昇温
過程の650〜800℃の温度域で、あるレベル以上の厚さの
酸化層をつくれば良いと考えられる。
これらに関する理論的根拠については、必ずしも明確に
なっているわけではないが、本発明者等は、鋼板表面酸
化層の最外層のシリカ(SiO2)とファイアライト(Fe2S
iO4)の構造に起因するものではないかと推定してい
る。
即ち、第5図に、酸化物の平衡状態図を示すが、本発明
の限定範囲は、ほぼファイアライトの形成領域と一致し
ている。処が、実際に赤外分光分析、CDS等の解析手法
によって調査した結果、シリカとファイアライトが共存
し、実質的には平衡状態に到達していない不均一な構造
となっていることが分った。
鋼板の窒化挙動に対して、雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)
が0.15未満で窒化が抑制されるのは、第5図の平衡状態
図からも推測できるように、最外層がシリカの均一なも
のとなるためであると考えられる。また、雰囲気の酸化
度(PH2O/PH2)が0.80超で鋼板の窒化能が劣化するの
は、雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)が高くなると、最外層
のファイアライトの比率が高くなって酸化が促進され、
酸化層が厚くなり過ぎるためであると考えられる。従っ
て、雰囲気酸化度(PH2O/PH2)の上限は、一次再結晶焼
鈍の時間によって変動するものと考えられるが、一次再
結晶を完了させるに十分な時間を勘案し、0.80を上限と
した。
上記最外層は、一次再結晶焼鈍の昇温時に形成されてい
る。酸化層を形成するFe、Si、O等の拡散速度は、温度
によって大きく変わり、酸化層の構造は、これらの元素
の動きに大きく影響される。従って、一次再結晶焼鈍に
おける昇温過程での鋼板の酸化挙動は、最外層の酸化層
の構造形成に対し大きな影響を与え、その後の均熱過程
での酸化挙動を支配しているものと考えられる。
叙上のように、一次再結晶焼鈍において、昇温過程と均
熱過程を分離して管理すること、即ち、昇温過程におい
ては650〜800℃の昇温温度域での滞在時間および雰囲気
の酸化度(PH2O/PH2)を規定して一次酸化層を制御し、
均熱過程においては、昇温時につくられた一次酸化層に
対して雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)を規定することによ
り酸化層の成長を制御し、総合的に窒化を安定に進行せ
しめかつ、フォルステライト皮膜形成を良好ならしめる
表面酸化層をつくることが、本発明の主眼とする処であ
る。
次に、本発明の実施形態を説明する。
本発明において、出発材であるスラブの成分組成は、重
量で、Si:0.8〜6.8%、酸可溶性Al:0.008〜0.048%、残
部Feおよび不可避的不純物であり、これらを必須成分と
してそれ以外は特に限定しない。
Siは、製品の電気抵抗を高め鉄損を下げることで特性を
高めるのに有効であるが、含有量が4.8%を超えると冷
間圧延が不可能となり、さらに、6.8%を超えると温間
圧延によってさえも材料に割れを生じ易くなり、圧延不
可能となる。
一方、Si含有量を低くすると、仕上焼鈍時にα→γ変態
を生じ、結晶の方向性が破壊されてしまう。そこで、二
次再結晶温度の下限と考えられる950℃でα→γ変態を
起こさない0.8%以上をSi含有量の限定範囲とする。
酸可溶性Alは、Nと結合してAlN若しくは(Al,Si)Nと
なり、インヒビターとして機能する。特に、一次再結晶
焼鈍後の鋼板の窒化によるインヒビター形成のために、
フリーのAlとして存在させておくことが必要である。酸
可溶性Alの含有量範囲は、本発明のプロセスによって製
品の磁束密度が高くなる0.008〜0.04%とする。
その他、インヒビター形成元素としてMn,S,Se,B,Bi,Nb,
Sn,Ti等を添加することもできる。
スラブの加熱温度は、特公昭62-45285号公報に記載され
ているように、鋼板の窒化処理によるインヒビター形成
という観点からは、AlとNが完全には溶体化しない温度
域が良い。しかしながら、1000℃未満になると、熱間圧
延工程で鋼板(ストリップ)の形状(平坦さ)を確保し
難くなる。一方、1270℃を超えると、先に述べたノロ発
生等の問題を惹起する。従って、1000〜1270℃の範囲が
好ましい。
加熱されたスラブは、引き続き熱間圧延される。得られ
た熱延板は必要に応じて750〜1200℃の温度域で30秒〜3
0分間焼鈍される。
次いで、所定の最終板厚、集合組織を得るために、1回
或は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施される。
一方向性電磁鋼板に対しては、基本的には、特公昭40-1
5644号公報に開示されているように、最終冷間圧延率を
80%以上とすること、また、二方向性電磁鋼板に対して
は、特公昭35-2657号公報或は特公昭38-8218号公報に開
示されているように、40〜80%という圧下率を適用する
交叉冷間圧延を施す。
その後、鋼中に炭素が含まれているならば脱炭を兼ね、
一次再結晶焼鈍を行う。
ここで、一次再結晶焼鈍における昇温時の熱サイクルと
雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)および均熱の雰囲気の酸化
度(PH2O/PH2)を規定することにより、一次再結晶焼鈍
後の鋼板における酸素量を制御し、かつ、一次再結晶焼
鈍後から仕上焼鈍における二次再結晶開始前までの間に
行う鋼板の窒化処理を安定確実ならしめる表面酸化層を
つくる。このようにして得られた材料に、MgOを主成分
とする焼鈍分離剤を塗布した後、二次再結晶と鈍化を目
的とした仕上焼鈍を施す。
ここで、一次再結晶焼鈍後から仕上焼鈍における二次再
結晶開始前までの間に行う鋼板の窒化処理については、
何等限定するものではない。たとえば、仕上焼鈍時の雰
囲気中の窒素分圧を高くする方法、アンモニアガス等窒
化能のあるガスを雰囲気に添加する方法、窒化マンガ
ン、窒化クロム等窒化能のある金属窒化物を焼鈍分離剤
に添加する方法等を用いることができる。
(実施例) 実施例1 重量で、Si:3.2%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.007%、M
n:0.13%、S:0.007%、C:0.05%、残部Feおよび不可避
的不純物からなるスラブを、1150℃に加熱した後熱間圧
延して1.8mm厚さの熱延板とした。
この熱延板を1120℃で2分間、次いで900℃で2分間焼
鈍(2段階焼鈍)した後、0.20mmの最終板厚へ冷間圧延
した。この冷延板に、酸化度(PH2O/PH2):0.35の雰囲
気中で昇温速度10℃/s、20℃/s、30℃/s、40℃/sで830
℃まで加熱し、830℃で90秒間保持する一次再結晶焼鈍
を施した。
次いで、窒化を目的に5%フェロ窒化マンガンを添加し
たMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上焼
鈍を行った。
一次再結晶焼鈍における昇温速度、一次再結晶焼鈍後の
鋼板の酸素量および製品の磁気特性(磁束密度および製
品にレーザを5mm間隔で照射し磁区細分化処理を行った
後の鉄損値)を第1表に示す。
実施例2 実施例1におけると同一の冷延板を用いて、一次再結晶
焼鈍における雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)を0.15〜0.8
の範囲の種々の条件で、昇温速度20℃/sで830℃まで昇
温し、830℃で雰囲気の酸化度(PH2O/PH2)を0.35に切
り換え90秒間保持する一次再結晶焼鈍を施した。
次いで、アンモニアを含む雰囲気ガス中で鋼板の増窒素
量が0.012%となるような窒化処理を行った後、MgOを主
成分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を行った。
一次再結晶焼鈍における昇温時の雰囲気の酸化度(PH2O
/PH2)、一次再結晶焼鈍後の鋼板の酸素量および製品の
磁気特性を、第2表に示す(鉄損はレーザ照射後)。
(発明の効果) 本発明は、以上述べたように、一次再結晶後の鋼板への
窒化処理により二次再結晶に必要なインヒビターを形成
する方向性電磁鋼板の製造方法において、一次再結晶焼
鈍における昇温過程と均熱過程を分離して雰囲気の酸化
度を管理し鋼板の表面酸化層を制御することにより、磁
気特性の優れた方向性電磁鋼板を安定して製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、一次再結晶焼鈍の昇温過程における雰囲気の
酸化度(PH2O/PH2)y、均熱過程における雰囲気の酸化
度(PH2O/PH2)xとフォルステライト皮膜の性状の関係
を示す図、第2図は、一次再結晶焼鈍時の雰囲気の酸化
度(PH2O/PH2)と仕上焼鈍時の850℃での鋼板の増窒素
量の関係を示す図、第3図は、一次再結晶焼鈍時の雰囲
気の酸化度(PH2O/PH2)と製品の磁気特性の関係を示す
図、第4図は、一次再結晶焼鈍の昇温過程における保持
温度と一次再結晶焼鈍後の鋼板の酸素量および仕上焼鈍
での鋼板の増窒素量の関係を示す図、第5図は、酸化物
(FeO,Fe2SiO4,SiO2)の平衡状態図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西山 敏夫 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日本 製鐵株式會社広畑製鐵所内 (56)参考文献 特開 平2−274813(JP,A) 特公 昭57−1575(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量で、Si:0.8〜6.8%、酸可溶性Al:0.00
    8〜0.048%、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラ
    ブを、熱間圧延、冷間圧延、一次再結晶焼鈍、焼鈍分離
    剤塗布、仕上焼鈍の各工程で処理するプロセスにあっ
    て、前記一次再結晶焼鈍後から仕上焼鈍における二次再
    結晶開始までの間に鋼板を窒化処理する方向性電磁鋼板
    の製造方法において、一次再結晶焼鈍工程の均熱過程に
    おける雰囲気の酸化度(PH2O/PH2):xに対して、昇温過
    程における650〜800℃の温度域を少なくとも5秒間、下
    記不等式で規定する領域内の酸化度(PH2O/PH2):yを有
    する雰囲気中で焼鈍することを特徴とする磁気特性の優
    れた方向性電磁鋼板の製造方法。 0.15≦x≦0.80 0.15≦y≦0.80 0.16x+0.11≦y≦−0.41x+0.78
JP1128423A 1989-04-14 1989-05-22 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JPH0756047B2 (ja)

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