JPH075959B2 - 耐摩耗性鋳鉄部材の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性鋳鉄部材の製造方法

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JPH075959B2
JPH075959B2 JP61102549A JP10254986A JPH075959B2 JP H075959 B2 JPH075959 B2 JP H075959B2 JP 61102549 A JP61102549 A JP 61102549A JP 10254986 A JP10254986 A JP 10254986A JP H075959 B2 JPH075959 B2 JP H075959B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) この発明は、耐摩耗性に優れた鋳鉄部品および鋳鉄素材
を得るのに利用される耐摩耗性鋳鉄部材の製造方法に関
するものである。
(従来の技術) 従来、耐摩耗性に優れた鋳鉄部材を製造する方法として
は、例えば鋳鉄素材に対してオーステンパ熱処理する方
法がある。このような耐摩耗性を得るためのオーステン
パ熱処理は、鋳鉄素材を高温のオーステナイト化状態か
ら、220℃〜520℃の適当な温度、例えばより優れた耐摩
耗性が得られる220〜320℃の所定の温度に冷却・恒温保
持することによって、耐摩耗性に優れた下部ベイナイト
組織を得るようにしたものである。(例えば、文献とし
ては、『鉄鋼便覧』 第3版 V 鋳造・鍛造・粉末治
金 第90頁 昭和57年10月1日丸善株式会社発行,特許
公報としては、特開昭60−187621号、特開昭60−121253
号等)。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、このような従来の耐摩耗性鋳鉄部材の製
造方法、すなわちオーステンパ熱処理によって得られた
鋳鉄部材は、すぐれた耐摩耗性を有しているものの、冷
却・恒温保持浴として塩浴を用いるため、塩流出による
公害発生,塩の爆発の危険性などの問題点があった。ま
た、冷却能力の大きな塩浴を用いるため、鋳鉄素材の全
体に下部ベイナイトが析出するため、耐摩耗性が不要な
部位においては靭性が低下するという問題点もあった。
そこで、このような塩浴に代って、熱媒体としてセラミ
ック粒子を用いた流動層炉の使用が検討されている(例
えば、上記特開昭60−121253号ではアルミナ粒子を使用
している)が、冷却能力が塩浴よりも劣るため、鋳鉄溶
湯に合金元素を添加して焼入性を向上させる必要があ
り、素材コストが著しく上昇すると共に、耐摩耗性が要
求されない部位においても下部ベイナイトが析出した組
織となっているため、靭性に劣ったものになるという問
題点があった。
(発明の目的) この発明は、このような従来の問題点に着目してなされ
たもので、素材コストの上昇を極めて小さくしたうえ
で、オーステンパ熱処理によって特定部位の耐摩耗性が
著しく優れていると同時に特定部位以外は靭性に優れて
いる鋳鉄部材(鋳鉄部品,鋳鉄素材)を得ることが可能
である耐摩耗性鋳鉄部材の製造方法を提供することを目
的としている。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) この発明による耐摩耗性鋳鉄部材の製造方法は、鋳鉄部
材に対応する鋳型空隙部を有する鋳型を用い、前記鋳鉄
部材の耐摩耗性を付与すべき部位に相当する鋳型空隙部
に、焼入性を向上させる合金元素の粉末もしくは小塊状
物を設置し、前記鋳型空隙部に鋳鉄溶湯を鋳込んで前記
耐摩耗性を付与すべき部位のみに前記合金元素を含有さ
せた鋳鉄部材を製作した後、前記鋳鉄部材をオーステン
パ熱処理する。
この場合、上記した合金化により鋳鉄の特定部における
焼入性を向上させる元素としては、モリブデン(Mo),
ニッケル(Ni),銅(Cu),マンガン(Mn)のうちの少
なくとも1種以上が選択される。そして、例えば、より
すぐれた焼入性を得ようとする場合には、これらの合金
元素を複合して合金化させる方法をとるのもよい。ま
た、鋳型空隙部内での設置量を増大することにより、合
金化量を増加させる方法をとることもできる。
上記合金元素を鋳型空隙部の所定位置に設置する場合の
金属の形態としては、純粉末のほか、純小塊状物例えば
ポンチくず,ワイヤくず等を用いることができる。さら
には、フェロアロイ等の粉末もしくは小塊状物を用いる
こともできる。
さらに、合金元素を鋳型空隙部の所定位置に設置する方
法としては、鋳型空隙部に上記合金元素を埋設させてお
く方法や、上記合金元素と樹脂等の結合剤との混合物を
鋳型空隙部内に付着させておく方法、例えば、上記合金
元素と水溶性の結合剤(接着剤)との混合ペーストを塗
布して付着させておく方法等をとることができ、鋳造時
には、上記埋設された合金元素を塗布して付着された合
金元素と鋳鉄溶湯とを接触させて特定部位のみに局部的
に合金化させるようになすことができる。
このようにして、特定の部位のみが焼入性向上元素で合
金化された鋳鉄部材を製作したのち、この鋳鉄部材に対
してオーステンパ熱処理を施す。
このオーステンパ熱処理は、好ましくは800〜900℃のオ
ーステナイト安定化温度に加熱・保持した後、好ましく
は220〜320℃の間の所定の温度に急冷・保持してなされ
る。
この際のオーステンパ熱処理条件は、要求される耐摩耗
性によって決定されるが、まず、オーステナイト化温度
については、800℃よりも低いときにはオーステナイト
化が不十分となり、また、900℃よりも高いときには熱
エネルギーの損失が多くなるのみで恒温とする利点がな
くなるので、800〜900℃とするのがとくに好ましい。ま
た、オーステナイト化時間は、十分なオーステナイト化
ができる時間として、0.5〜3時間の間で選定すること
が好ましく、この時間は主に鋳鉄部材の大きさから決定
される。
次に、上記オーステナイト化後の恒温保持温度は、耐摩
耗性にすぐれた下部ベイナイト基地が得られる温度とし
て、220〜320℃の範囲から選択するのが好ましい。すな
わち、恒温保持温度が220℃よりも低いときには脆いマ
ンテンサイトが析出して、耐ピッチング性などが低下し
てしまうためである。そして、220℃以上の温度では温
度の上昇とともに硬さは低下し、耐摩耗性は若干低下す
るが、逆に靭性,引張り強さ等が向上する。しかし、恒
温保持温度が320℃よりも高くなると、靭性はすぐれた
ものとなるものの、硬さ,引張り強さが劣る上部ベイナ
イトとなり、耐摩耗性の点からは不十分となってしまう
ので、オーステナイト化後の恒温保持温度は220〜320℃
とするのがとくに好ましい。
また、恒温保持時間は、通常のオーステンパ熱処理と同
様の範囲、すなわち0.5〜8時間の範囲で選択するのが
好ましい。このとき、恒温保持時間が0.5時間よりも短
いと下部ベイナイトの析出が少なく、脆いマンテンサイ
トが基地の大部分を占めるようになり、反対に、8時間
よりも長くなると炭化物が析出して脆くなってしまうの
で、恒温保持時間は0.5〜8時間とするのがとくに好ま
しい。
この発明において適用されるオーステンパ熱処理にあっ
ては、オーステナイト化温度からベイナイト化温度への
冷却に、強制空冷もしくは流動層炉による冷却を行うこ
とが好ましい。
このような強制空冷もしくは流動層炉による冷却は、塩
浴冷却に比較すると焼入能力が小さいため、合金化がな
されていない部位はパーライトが析出して熱処理前の状
態にもどり、靭性低下も生じない。これに対して、合金
化された部位は、パーライトを析出することなく恒温保
持温度に至り、耐摩耗性に有効な下部ベイナイトが析出
する。
この発明による耐摩耗性鋳鉄部材の製造方法にあって
は、当該鋳鉄部材に対して機械加工を行う必要がある場
合には、この機械加工をオーステンパ熱処理に先立って
行うようにすることが望ましい。これは、下部ベイナイ
トが析出した後では硬さが著しく高くなっているため、
機械加工が困難になるか、工具寿命が低下するようにな
ることによる。
(実施例1) 第1表に示す組成の球状黒鉛鋳鉄溶湯を1400℃でフラン
樹脂鋳型に鋳込んで第3図に示すカム部1のカムプロフ
ィール形状を有する4気筒自動車エンジン用カムシャフ
トを鋳造した。この鋳造の際、鋳型空隙部におけるカム
部1の摺動面部に相当する部位には、フェロモリブデン
(Fe−65%Mo)粉末と純ニッケル粉末を重量比10:7で混
合した粉末を、水溶性接着剤とともにペースト状にして
約0.5〜1.0mmの厚さに塗布して前記合金元素を付着させ
た鋳型を用いた。
次に、この鋳造によって得られた鋳造品の鋳肌面を約1m
m削り取る機械加工を施した後、窒素雰囲気炉中で850
℃,2時間の加熱を行ってオーステナイト化し、次いで、
250℃とした流動層炉中で6時間の恒温保持し、恒温保
持後は空冷するオーステンパ熱処理を施した。
その結果、カム摺動面部は表面から2〜4mmの深さの位
置までに下部ベイナイトの析出が観察され、カムシャフ
ト内部およびカム摺動面以外の表面はほぼ全面がパーラ
イト基地からなっていた。そして、カム摺動面部におい
て表面から深さ方向の硬さ分布を測定したところ、第1
図に示す結果となった。第1図に示すように、カム摺動
面部の硬さが著しく大きなものとなっていることが確め
られた。
次に、上述のようにして製作したカムシャフトを4気筒
エンジンに組込み、回転数1000rpmのモータリングによ
る低速スカッフィング試験を行った。なお、相手材(ロ
ッカアーム)には高炭素高クロム軸受鋼(JIS SUJ2)製
のものを用い、エンジンオイルは7.5w−30の実走行車で
3万km走行使用後のものを用いた。その試験結果を第2
図の実施例1の欄に示す。
第2図に示すように、低速スカッフィング試験後のカム
摩耗量は最も多いところで約50μm,ロッカー摩耗量は最
も多いところで約25μmとなっている。
(比較例1) 比較例1として、第2表に示す組成の球状黒鉛鋳鉄から
前記実施例1と全く同一の比較用カムシャフトを作製し
た。
次に、上記により作製した比較用カムシャフトに対して
前記実施例1と全く同一の方法および条件でオーステン
パ熱処理を実施した後、前記実施例1と全く同一の低速
スカッフィング試験に供した。その結果を第2図の比較
例1の欄に示す。
第2図に示すように、低速スカッフィング試験後のカム
摩耗量は最も多いところで約55μm,ロッカー摩耗量は最
も多いところで約30μmとなっている。
したがって、第2図の実施例1および比較例1のグラフ
から明らかなように、この発明による鋳鉄製のカムシャ
フトは、全体にMo,Niを含むオーステンパ合金鋳鉄から
なる比較例のカムシャフトに対して勝るとも劣らないす
ぐれた耐摩耗性を示しており、合金元素の使用量が著し
く少ないためかなりコストを低下させることができると
共に、耐摩耗性が要求されない部分における靭性が良好
なものであった。
「発明の効果」 以上説明してきたように、この発明による耐摩耗性鋳鉄
部材の製造方法は、鋳鉄部材に対応する鋳型空隙部を有
する鋳型を用い、前記鋳鉄部材の耐摩耗性を付与すべき
部位に相当する鋳型空隙部に、焼入性を向上させる合金
元素の粉末もしくは小塊状物を設置し、前記鋳型空隙部
に鋳鉄溶湯を鋳込んで前記耐摩耗性を付与すべき部位の
みに前記合金元素を含有させた鋳鉄部材を製作した後、
前記鋳鉄部材をオーステンパ熱処理し、オーステンパ熱
処理によって、耐摩耗性が必要な特定部位のみに下部ベ
イナイトを析出させるようにしたから、従来のように鋳
鉄部材全体がNi,Mo,Cu等の焼入性向上元素を含む合金鋳
鉄を素材としたものに比較して著しく安価なものとする
ことが可能であり、合金鋳鉄となっている部位を限定す
ることにより素材価格の上昇を極めて低くおさえたうえ
で、従来のオーステンパ熱処理鋳鉄とほぼ同様のすぐれ
た耐摩耗性を得ることができるという効果が得られ、耐
摩耗性が必要とされない部位には下部ベイナイトが析出
していないようにすることによって、当該部位の靭性を
も著しく優れたものとすることが可能であり、耐摩耗性
と靭性が共に優れた鋳鉄部材(鋳鉄部品,鋳鉄素材)を
提供することができ、実施例で示したカムシャフトのほ
か、ロッカーアーム,バルブシート,バルブリフタ,ク
ランクシャフト等のエンジン部材,自動車の足まわり部
材,駆動部材およびその他各種の機械構造物の素材とし
てその適用範囲は極めて広いものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で作製したカムシャフトのカム摺動面
部における表面から深さ方向の硬さ分布を測定した結果
を示すグラフ、第2図は実施例1および比較例1で作製
したカムシャフトの低速スカッフィング試験後の耐摩量
の測定結果を相手材の測定結果とともに示すグラフ、第
3図は実施例1で作製したカムシャフトのカム部のカム
プロフィール形状を示す説明図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳鉄部材に対応する鋳型空隙部を有する鋳
    型を用い、前記鋳鉄部材の耐摩耗性を付与すべき部位に
    相当する鋳型空隙部に、焼入性を向上させる合金元素の
    粉末もしくは小塊状物を設置し、前記鋳型空隙部に鋳鉄
    溶湯を鋳込んで前記耐摩耗性を付与すべき部位のみに前
    記合金元素を含有させた鋳鉄部材を製作した後、前記鋳
    鉄部材をオーステンパ熱処理することを特徴とする耐摩
    耗性鋳鉄部材の製造方法。
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