JPH0761698B2 - 溶接性に優れた防錆塗装鋼板 - Google Patents

溶接性に優れた防錆塗装鋼板

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JPH0761698B2
JPH0761698B2 JP1162868A JP16286889A JPH0761698B2 JP H0761698 B2 JPH0761698 B2 JP H0761698B2 JP 1162868 A JP1162868 A JP 1162868A JP 16286889 A JP16286889 A JP 16286889A JP H0761698 B2 JPH0761698 B2 JP H0761698B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、特に自動車用に適した、溶接性に優れた防錆
塗装鋼板に関する。
(従来の技術) 電気抵抗溶接可能な防錆塗装鋼板は、たとえば積雪地帯
の道路に融雪剤として散布される塩による自動車の錆を
防ぐ目的で、我国においても次第に使われるようになっ
てきている。
従来の溶接可能な防錆塗装鋼板としては、ジンクロメタ
ル(商品名:米国ダイヤモンド・シャムロック社)で代
表されるジンクリッチ・プライマーを塗装した鋼板があ
る。ジンクロメタルは、鋼板の上に亜鉛末およびクロム
酸を主成分とする下地クロメート層(ダクロメット)
と、大量の亜鉛を含有するエポキシ樹脂からなるジンク
リッチ・プライマー層(ジンクロメット)とを形成した
防錆塗装鋼板であり、冷延鋼板に比べて著しく優れた耐
食性を示す。
一般に自動車用の防錆塗装鋼板には、耐食性に加えて、
成形加工性および溶接性が要求されるが、上述したジン
クロメタルは特に成形加工性と耐食性が十分でない。こ
れは、これらの鋼板に使用されているジンクリッチ・プ
ライマーが溶接性確保の目的で体積%で50%前後、重量
%では約85〜90%という大量の亜鉛末を含有しているた
め、形成された塗膜が脆く、加工時に剥離を生じやすい
ためである。これにより耐食性が低下すると共に、脱落
した塗膜がプレス型に付着して傷の原因となるため、金
型の手入れ頻度が増して作業性が悪化する。また、ジン
クリッチ・プライマーは塗膜中への水分の透過性が大き
く、これも耐食性の低下傾向につながる。塗膜剥離およ
び耐食性低下を軽減するには亜鉛末の量を減少させるこ
とが有効であるが、塗膜の電気抵抗が増すため、抵抗溶
接が不利ないし不可能になる。
また、従来のジンクロメタルではジンクリッチプライマ
ーの焼付に250〜280℃という高温焼付を必要とするた
め、鋼板の焼付硬化性が損なわれる欠点を有していた。
焼付硬化性とは、ユーザーにおいてプレス等の加工を行
い、電着塗装等で焼付を行うことにより、鋼板の降伏応
力が増加する性質をいう。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、ジンクリッチ・プライマーの上述した欠
点を解消すべく検討した結果、めっき鋼板を母材とし、
その上に下地層としてクロム酸とコロイダルシリカとを
含有する水性懸濁液を塗布・焼付してクロメート皮膜を
形成させた後、顔料を含有しないか、またはクロム酸塩
系顔料を含有させたポリヒドロキシポリエーテル樹脂溶
液の塗布・焼付により上層のクリアー塗膜を形成する
と、抵抗溶接可能でしかも耐食性および成形加工性に優
れた防錆塗装鋼板が得られることを先に提案した(特開
昭63−69917号公報)。この鋼板は、焼付硬化性を損な
わない比較的低温での焼付が可能であるので、得られた
塗装鋼板は安定して焼付硬化性を保持している。
さらに、本発明者らは、上記防錆塗装鋼板の改良とし
て、各種無機充填材および架橋剤の少なくとも1種を上
層塗膜形成用の樹脂液に配合することにより、上層塗膜
を汎用のエポキシ樹脂もしくは変性エポキシ樹脂から形
成でき、しかも、クロム酸塩系顔料を含有させずに優れ
た耐食性を得ることができることも提案した(特開平1
−80522号公報)。
しかし、最近、自動車用鋼板としては、より高度の溶接
作業性が要求されるようになってきており、従来の溶接
性のレベルでは対応が困難となる場合がある。特に、シ
リーズ・スポット溶接において、溶接電極のチップが樹
脂塗装面に当たるような組合わせで連続打点性を調査す
ると、不十分な結果になることがある。
溶接性を向上させる手段として、例えば、上述のジンク
リッチ・プライマーの如く、導電粉を含有させるという
方法があるが、耐食性やプレス作業性に問題が出てく
る。その他の手段として、本発明者らが提案した、母材
めっき鋼板の表面上に上層クリアー膜厚に応じた適切な
突起を設けることにより良好な通電性を確保するという
方法もある(特願昭63−297886号)。しかし、この方法
にも、ダルロールによる圧延などの余分な工程を必要と
するという欠点がある。
(課題を解決するための手段) 防錆塗装鋼板の下層皮膜に用いられるクロメート処理方
法は、塗布型クロメート処理、反応型クロメート処
理、および電解クロメート処理の3種類に大別され
る。このうち、反応型クロメート処理および電解クロメ
ート処理は、塗布型クロメート処理に比べると耐食性が
劣り、また処理条件の管理も難しい。そのため一般的に
は塗布型クロメート処理が用いられている。
塗布型クロメート処理液には、ほとんどの場合、コロイ
ダルシリカなどのコロイド状物質が添加されている。こ
れは、耐食性、電着塗装性および耐クロム溶出性の改善
を目的としている。ところが、本発明者らは、クロメー
ト皮膜中および上層樹脂皮膜中のコロイド状物質が防錆
塗装鋼板の溶接性に及ぼす影響を調査した結果、クロメ
ート皮膜中のコロイド状物質の量が溶接性を大きく左右
することを見出した。
すなわち、下層のクロメート皮膜に存在するコロイド状
物質の量が多いほど溶接性が低下し、下層にコロイド状
物質が存在しない場合には、溶接性、特にダイレクト・
スポット溶接やシリーズ・スポット溶接の連続打点性が
大きく改善された。上層のクリアー皮膜中のコロイド状
物質の量が溶接性に及ぼす影響は、クロメート皮膜中の
コロイド状物質の量ほどは大きくなく、そのため上層の
みにコロイダルシリカを含有させることにより、良好な
溶接性が確保されることが判明した。
この理由の詳細は不明であるが、同じコロイダルシリカ
でも、クロメート皮膜中と樹脂皮膜中では、溶接時にお
ける挙動が異なるためではないかと推察される。つま
り、クロメート皮膜中にコロイダルシリカが存在する
と、コロイダルシリカはクロメートに比べてかなり高い
電気抵抗を有する物質であるので、電極−鋼板間での発
熱が高くなって電極損傷が激しくなり、連続打点性が劣
化すると考えられる。それに対して、樹脂皮膜中に存在
するコロイダルシリカは、溶接時の樹脂の熱分解に伴っ
てほとんどが周囲に飛散するので、溶接性にあまり影響
を与えないものと考えられる。
本発明の基本的な考え方は、従来の通常の塗布型クロメ
ート処理液とは異なり、クロメート処理液にコロイド状
物質を存在させないことで溶接性を向上させ、クロメー
ト皮膜からコロイド状物質を抜いたことによる耐食性、
電着塗装性、耐クロム溶出性の低下を、クロメートの二
段還元および上層樹脂皮膜に適量のコロイダルシリカを
存在させることにより補償するというものである。この
ような組合わせの2層皮膜の各層を比較的薄くすること
によって、亜鉛末などの金属粉を混入しなくても優れた
溶接性を確保することができ、自動車用に適した溶接性
に優れた防錆塗装鋼板が得られることが判明した。
本発明の要旨は、亜鉛もしくは亜鉛系合金めっき鋼板上
に、Cr3+/全Crの比が0.4〜0.6となるように部分還元
し、さらに未還元のCr6+に対して1〜4当量倍の還元剤
を添加した、コロイド状物質を実質的に含有しない塗布
型のクロメート処理液の塗布および焼付により形成し
た、Cr付着量として20〜100mg/m2の下層皮膜と、樹脂液
中の全樹脂固形分とコロイダルシリカとの合計量に対し
て10〜25重量%のコロイダルシリカを添加したエポキシ
樹脂をベース樹脂とする樹脂液の塗布および焼付により
形成した、膜厚0.3〜1.6μmの上層皮膜とを有すること
を特徴とする、溶接性に優れた防錆塗装鋼板である。
本発明の好適態様において、クロメート処理液に添加す
る還元剤は、多価アルコールおよび/または多価カルボ
ン酸および/またはオキシカルボン酸であり、このクロ
メート処理液は、モル比で未還元Cr6+の0.01倍以上のシ
ランカップリング剤をさらに含有していてもよい。ま
た、上記樹脂液はさらに、該エポキシ樹脂中のエポキシ
基とヒドロキシ基との合計量に対する架橋剤中の官能基
のモル比が0.1〜0.2となる量の架橋剤および/または樹
脂全固形分に対して50重量%以下のエポキシ樹脂以外の
樹脂を含有していてもよい。エポキシ樹脂は、変性エポ
キシ樹脂あるいは単核型および二核型の2価フェノール
から得られた1種もしくは2種以上の2価フェノールと
エピハロヒドリンとの重縮合により得られたポリヒドロ
キシポリエーテル樹脂であってもよい。使用する母材鋼
板が焼付硬化性を有する鋼板である場合には、下層およ
び上層のいずれの皮膜も200℃以下の温度で焼付けるこ
とが好ましい。
(作用) 本発明において、各皮膜形成用の処理液の組成を上述の
ように限定した理由および各成分の作用について詳述す
る。
下層クロメート皮膜 クロメート膜はクロム酸の還元と水の蒸発により形成さ
れるが、低温において効率良く還元・造膜させるため、
次に述べる二段還元法を用いた。
すなわち、その一段目は、クロム酸水溶液中のクロム酸
(Cr6+)を予め部分還元することである。これにより、
加熱乾燥(焼付)時に還元するクロム酸量を減少させ、
効果的に造膜させることができる。一段目の部分還元率
としては、Cr3+/全Cr[=Cr3+/(Cr3++Cr6+)]の比を
0.4〜0.6とする。0.4未満であると還元効率が劣り、0.6
を超えるとCr3+が過剰となり、処理液の安定性が損なわ
れる恐れがある。
一段目の還元に用いる還元剤は限定されるものではな
く、多価アルコール、多価カルボン酸等が用いられる。
また、市販の部分還元クロメート処理液を用いてもよ
い。
このクロメート処理液には、シランカップリング剤を添
加してもよい。シランカップリング剤は、加水分解して
ポリシロキサンを生成することにより、クロメート皮膜
を強化し、上層皮膜との密着性を向上させる。加水分解
により遊離したアルコールはクロム酸の還元剤として作
用する。使用しうるシランカップリング剤の例には、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキ
シエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N
−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシランなどがある。シランカップリン
グ剤を添加する場合、添加量は未還元クロム酸に対して
モル比で0.01倍以上とする。0.01倍未満ではその効果が
小さい。ただし、あまり多量に添加することは経済的に
不利であるばかりか、電着塗装性、耐食性をも低下させ
る恐れがあるので、添加量は未還元クロム酸に対するモ
ル比で3倍以下とすることが好ましい。
クロメート処理液には、耐食性を向上させるために、全
クロム酸に対して等モル以下のリン酸を含有させてもよ
い。
一段目の還元がなされた処理液には、未還元のCr6+に対
して1〜4当量倍の還元能力を有する量の還元剤を添加
する。この還元剤の量が1当量倍未満であると、クロメ
ート皮膜の耐食性、耐クロム溶出性が不十分となり、4
当量倍を越えると、還元剤の還元作用が飽和するばかり
でなく、還元剤がクロメート皮膜中に残存して皮膜の耐
食性を阻害する。
還元剤としては、多価アルコール、多価カルボン酸、お
よびオキシカルボン酸の1種もしくは2種以上を用いる
ことが好ましい。多価アルコールとしては、例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等
がある。多価カルボン酸としては、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸等がある。オキシカルボン酸としては、
クエン酸、乳酸等がある。
この還元剤を添加する時期は、塗装の直前であることが
最も望ましいが、少なくとも塗装前、数日以内とする。
この理由は、二段目の還元剤が添加された処理液は、放
置するとゲル化を生じ易いためである。
本発明で使用するクロメート処理液は、上述のように、
コロイダルシリカなどのコロイド状物質を実質的に含有
させない。また、クロム酸塩系あるいはその他の耐食性
顔料やリン化鉄などの導電性微粒子も含有させないこと
が好ましい。すなわち、好ましくは実質的に水溶液状の
クロメート処理液を使用する。
本発明の防錆塗装鋼板において、クロメート処理液の付
着量はクロム量として20〜100mg/m2、好ましくは40〜70
mg/m2である。付着量が20mg/m2未満では、耐食性が不十
分となり、100mg/m2を超えると、溶接時にチップの損傷
が激しくなり、溶接性が低下する。
塗布は、ロールコーター、バーコーターなどの慣用手段
により実施できる。クロメート処理液の焼付は、60〜20
0℃、好ましくは100〜150℃で行う。焼付温度が200℃を
超えると鋼板の焼付硬化性が阻害される。
上層皮膜 上述のように形成された下層のクロメート皮膜の上に、
本発明の防錆塗装鋼板においては、エポキシ樹脂をベー
ス樹脂とし、樹脂液中の全樹脂固形分とコロイダルシリ
カとの合計量に対して10〜25重量%のコロイダルシリカ
を添加した樹脂液の塗布および焼付により、膜厚0.3〜
1.6μmの上層皮膜が形成される。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA系、ノボラッ
ク系、ビスフェノールF系等の任意のグリシジルエーテ
ル型エポキシ樹脂が使用できる。また、エポキシ樹脂中
のエポキシ基およびヒドロキシル基を乾性油脂肪酸中の
カルボキシル基と反応させたエポキシエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂をイソシアネートと反応させることにより得
られるウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂をアク
リル酸、メタクリル酸等で変性したエポキシアクリレー
ト樹脂などの変性エポキシ樹脂も使用でき、本明細書で
は、これらもエポキシ樹脂に含める。これらの樹脂は、
低温焼付により硬化反応が起こらなくても塗膜がタッキ
ングを起こさない程度に乾燥するように、分子量1000以
上のものが望ましい。
本発明においてエポキシ樹脂の1種として好適に使用で
きるものに、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂がある。
この樹脂は、単核型もしくは二核型の2価フェノールも
しくは単核型と二核型との混合2価フェノールを、アル
カリ触媒の存在下にほぼ等モル量のエピハロヒドリンと
重縮合させて得られる重合体である。単核型2価フェノ
ールの例はレゾルシン、ハイドロキノンおよびカテコー
ルであり、二核型フェノールの例はビスフェノールAで
あり、これらは単独で使用しても、あるいは2種以上併
用してもよい。エピハロヒドリンの代表例はエピクロロ
ヒドリンである。2価フェノールがレゾルシンとビスフ
ェノールAのモル比1/1の混合物である場合のポリヒド
ロキシポリエーテル樹脂は下記構造式で示される反復単
位から構成される。
また、2価フェノールがレゾルシン単独である場合の樹
脂の反復単位は下記構造式で示される。
ポリヒドロキシポリエーテル樹脂はエポキシ樹脂と同様
の原料から製造されるので、本発明ではこれもエポキシ
樹脂の中に含めるものとする。ただし、この樹脂は、エ
ポキシ樹脂とは違って末端エポキシ基を持たず、数平均
分子量が約5000以上、好ましくは約8000〜50,000と通常
のエポキシ樹脂よりかなり大きな熱可塑性樹脂である。
ビスフェノールAとエピクロロヒドリンから製造したポ
リヒドロキシポリエーテル樹脂は米国ユニオン・カーバ
イド社よりフェノキシ樹脂PKHHとして市販されている。
上記構造式から明らかなように、ポリヒドロキシポリエ
ーテル樹脂は連鎖中にOH基と−O−基を多数含んでい
る。通常のエポキシ樹脂も、やはり多くのOH基と−O−
基とを連鎖内に有している。OH基は基体と水素結合を形
成するので、密着力の増大に寄与し、−O−基は分子内
の回転を容易に生じるため、樹脂の可撓性増大に寄与す
る。2価フェノールがビスフェノールAのような二核型
のものであるよりもレゾルシンのような単核型のもので
ある方が、2価フェノールの分子量が小さいために、重
量当たりのこれらの官能基の個数が増大する。従って、
レゾルシンのような単核型2価フェノールの含有率が多
いほど、上記官能基の連鎖中の含有率が増大し、得られ
る塗膜の密着性や可撓性が増大する傾向がある。この意
味で、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂を使用する場
合、2価フェノールはレゾルシンのような単核型のもの
を少なくとも一部、例えば、約50モル%もしくはそれ以
上含有するものが好ましい。同様に、他のエポキシ樹脂
を使用する場合であっても、樹脂中のOH基と−O−基の
個数が多いものを使用する方が一般に有利である。
以上のようなポリヒドロキシポリエーテル樹脂を含むエ
ポキシ樹脂の1種もしくは2種以上を使用し、これを、
乾燥速度、平滑性などの要求特性を考慮して選択した適
当な有機溶剤に溶解させて塗布用の樹脂液を調製するこ
とができる。適当な溶剤としては、エポキシ樹脂用とし
て、例えば、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、炭
化水素類、ハロゲン化炭化水素類、もしくはこれらの混
合溶剤などがある。ポリヒドロキシポリエーテル樹脂の
場合には、ケトン類、セロソルブ類、これらの混合溶媒
などが使用できる。
本発明においては、上記樹脂液に、樹脂全固形分に対し
て10〜25重量%、好ましくは15〜20重量%のコロイダル
シリカが添加される。このシリカは耐食性および電着塗
装性の向上を目的として添加される。添加量が10重量%
未満であると、これらの性能の向上効果が十分でなく、
また、25重量%を越えると、溶接性の低下を招く。
コロイダルシリカの市販品の例には、日本アエロジル製
のアエロジル、デュポン製のLudox、日産化学のスノー
テックス、触媒化成製のカタロイドおよびオスカル、旭
電化製のものなどがあり、本発明に用いるのは、表面を
親有機性としたアルコールタイプのものがよい。
上記樹脂液には、耐食性の一層の向上を目的として、架
橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、エポキシ樹脂
塗料の硬化剤として知られているものが利用でき、具体
例としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリアミ
ド、アミン、ブロックイソシアネート、酸無水物などが
ある。
架橋剤の添加量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基および
ヒドロキシル基の合計量に対する架橋剤中の官能基のモ
ル比が0.1〜2.0の範囲内となる量である。このモル比が
0.1未満では、効果が小さく、2.0を超えると、皮膜の可
撓性が失われ、加工時に塗膜が割れて、耐食性の低下を
生ずる恐れがある。
樹脂液には、上記成分の他に、皮膜の種々の性能(例、
加工性、可撓性、潤滑性、電着塗装性など)をさらに改
善することを目的として、エポキシ樹脂以外の他の樹
脂、潤滑性付与剤などの各種添加剤をさらに添加しても
よい。例えば、皮膜に可撓性を与える目的で、ブチラー
ル樹脂などの柔軟性の樹脂を1種の可塑剤として添加で
きる。また、電着塗装性を向上させる目的で、水溶性樹
脂を添加することができる。水溶性樹脂としては、ポリ
ビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミ
ド等が挙げられる。エポキシ樹脂以外の樹脂の添加量
は、あまり多くなると耐食性の低下を生ずるので、樹脂
液中の全樹脂固形分の約50重量%以下とする。また、上
層皮膜に適当量の着色顔料あるいは充填剤などを添加す
ることもできる。
樹脂液の塗布も、ロールコーター、バーコーターなどの
慣用手段により実施でき、乾燥後に膜厚0.3〜1.6μm、
好ましくは0.6〜1.3μmの皮膜が得られるように塗布す
る。膜厚が0.3μm未満では耐食性が劣り、1.6μmを越
えると溶接性が低下する。
樹脂液を塗布した後、塗膜を80〜300℃の温度で焼付け
て、上層皮膜を形成する。この温度範囲内で焼付温度が
高いほど架橋反応が進み、強固な皮膜を形成できるが、
焼付硬化性の鋼板を使用した場合には、200℃以上に加
熱すると鋼板の焼付硬化性が失われるので、焼付温度上
限を200℃以下とする。
本発明の防錆塗装鋼板では、優れた耐食性を確保するた
めに、母材として亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板を用い
る。この亜鉛系めっきは、電気めっき、溶融亜鉛めっ
き、あるいは合金化溶融亜鉛めっきのいずれでもよい。
亜鉛合金めっきの種類も特に制限されず、Zn−Ni,Zn−A
lを始めとする各種の亜鉛合金めっきが利用できる。ま
た、2層以上の亜鉛系めっき層を有する複層めっき鋼板
も使用できる。加工性を低下させないためには、亜鉛系
めっきは比較的薄目付のものが好ましい。
本発明の防錆塗装鋼板は、鋼板基体上に亜鉛系めっき
層、下層のクロメート皮膜層、上層のコロイダルシリカ
含有エポキシ樹脂皮膜層が順次積層された断面構造を有
する。自動車用には、かかる塗装は通常は鋼板の片面の
みに行われるが、用途によっては本発明の防錆塗装鋼板
は両面に上記塗装を設けたものでもよい。
次に本発明を実施例により説明する。実施例中、%およ
び部は特に指定のない限り重量%および重量部である。
(実施例) (a)母材 厚さ0.8mmの冷延鋼板上に片面目付量20g/m2で12%Ni−Z
nをめっきした合金亜鉛電気めっき鋼板を母材として使
用した。このめっき鋼板は、使用前に、日本パーカライ
ジング製のアルカリ脱脂液であるファインクリーナ4336
を用いて脱脂した。
(b)クロメート液 CrO3120g/を含有するクロム酸水溶液に、還元剤とし
てエチレングリコールを添加し、80℃で6時間加熱し
た。反応終了後、クロム酸水溶液を加えてCr3+/全Cr比
を調整し、さらに水を加えて、全クロム酸濃度をCrO3換
算で40g/(=0.4モル/)に調整した。得られた部
分還元クロム酸水溶液に、使用前に還元剤として多価ア
ルコールであるグリセリンを添加した。また、一部のク
ロメート処理液には、シランカップリング剤としてγ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシンを添加した。
比較のために、下記樹脂液に使用したのと同じコロイダ
ルシリカを添加・分散させたクロメート処理液も用意し
た。
(c)樹脂液 冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールAのジグリ
シジルエーテル(油化シエル社製エピコート828)230
部、レゾルシン55部、メチルエチルケトン200部、5N Na
OH水溶液4容量部を仕込み、還流温度において18時間反
応させた。得られた樹脂状物質を攪拌器内の水中に投入
し、攪拌し、水中で再沈殿させ、水不溶性の樹脂を回収
した。これを減圧乾燥して、2価フェノールがレゾルシ
ンとビスフェノールA(モル比1/1)である粉末状ポリ
ヒドロキシポリエーテル樹脂(以下、樹脂Aという)を
得た。
得られた粉末樹脂を、酢酸セロソルブ/シクロヘキサノ
ンの1/1(容量比)混合溶媒に溶解させ、樹脂固形分20
重量%の樹脂液を得た。
また、別のポリヒドロキシポリエーテル樹脂として、市
販のユニオン・カーバイド社製フェノキシ樹脂PKHH(分
子量30,000)も、上層皮膜形成用に、上と同様の樹脂液
状で用いた(樹脂B)。
さらに、汎用のエポキシ樹脂として、油化シェル社製エ
ピコート1009(分子量3750)を、キシレン/メチルエチ
ルケトン混合溶媒(重量比で6/4)に溶解した樹脂液も
用いた(樹脂C)。
コロイダルシリカ(触媒化成製、オスカル1432平均粒径
10〜20mμ)、架橋剤(樹脂AおよびBに対しては解離
温度80℃のブロックイソシアネート、樹脂Cに対しては
フェノール樹脂)および可塑剤(ブチラール樹脂)の添
加は、所定量を樹脂溶液に加え、攪拌、分散させること
により行った。
(d)塗装鋼板の調製 上記(a)の脱脂した鋼板の片面のめっき面上に、クロ
メート液(b)をバーコーターにより各種Cr付着量で塗
布し、板温度が140℃となるように30秒間加熱して、ク
ロメート皮膜を形成した。次いで、室温まで放冷後、ク
ロメート皮膜上に樹脂液(c)をバーコーターにより各
種厚みで塗布し、板温度が140℃となるように60秒間加
熱して焼付を行い、樹脂塗膜を形成した。得られた防錆
塗装鋼板について、下記試験を行って、溶接性、耐食
性、電着塗装性、およびクロム溶出性を評価した。
(e)試験方法 溶接性試験:塗装面と未塗装面が接触するように2枚
の塗装鋼板を重ねた試験片に対して、交流シングルスポ
ット溶接器を使用し、先端径6.0mmの電極により、溶接
電流10,000A、通電時間12サイクル、加圧力200kgfの条
件でスポット溶接を行った。溶接性は次の2種類の方法
で評価した。
A.導電の安定性:1000打点後に100個の無作為サンプリン
グを行い、局部的な電流集中により生じた不安定な圧痕
が得られた個数で評価した。第1図に、良好な圧痕と不
安定な圧痕の模式図を示す。
B.連続打点後の電極径:1000打点後の連続打点電極径を
感圧紙にて測定し、下記基準で評価した。
○:電極径<7.0mm △:電極径=7.0〜8.0mm ×:電極径>8.0mm 耐食性試験:耐食性試験に供する試験片は、平板およ
び直径50mmの円筒絞り加工を行ったものである。円筒絞
りのダイス肩は、その表面粗さが常に一定になるよう
に、各回ごとにトリクレン洗浄と120番エメリー紙によ
る研磨とを行った。これらの試験片を、日本パーカライ
ジング製の脱脂液FC−L4410中に43℃で2分30秒間浸漬
し、水洗後、165℃で25分の空焼きを行った。次いで、
各試験片について、35℃での塩水噴霧4時間、60℃の温
風乾燥2時間、および50℃、相対湿度95%以上の湿潤雰
囲気2時間を1サイクルとする複合腐食試験を行い、20
0サイクル(試験時間1600時間)での発生赤錆の面積率
(%)で耐食性を評価した。
電着塗装性試験:試験片を耐食性試験と同様に脱脂し
た後、日本ペイント製電着塗料U−600を用い、化成処
理冷延鋼板に20μm付着する条件で電着塗装を行い、16
5℃で25分間焼付けた。塗装外観は下記基準で評価し
た。
○:良好な外観、 △:肌荒れの大きいもの、 ×:クレーターがあるかまたは電着不能なもの。
クロム溶出性試験:試験片を日本パーカライジング製
脱脂液FC−L4410中に43℃で2分30秒間浸漬した場合、
およびさらに同社製リン酸亜鉛化成処理液PB−L3080に4
3℃で2分間浸漬した場合のそれぞれにおけるクロム溶
出量を、蛍光X線分析により測定した浸漬前後の塗装鋼
板のクロム付着量から算出した。
次の第1表に、下層皮膜および上層皮膜の詳細と共に、
試験結果をまとめて示す。
(発明の効果) 第1表の結果から明らかなように、コロイダルシリカを
従来のように下層クロメート皮膜に含有させると、少量
の添加でも溶接性が著しく劣化した(試験No.16〜1
8)。これに対して、コロイダルシリカを上層の樹脂皮
膜中に存在させた本発明の防錆塗装鋼板は、溶接性に優
れ、しかも耐食性、電着塗装性、クロム溶出量の結果も
遜色ない。ただし、25重量%を越える量のコロイダルシ
リカを上層皮膜中に存在させた比較例では、溶接性に悪
影響があった(試験No.24)。
また、他の比較例のうち、部分還元したクロメート処理
液に還元剤を添加しないか、過剰の還元剤を添加した場
合、樹脂液へのコロイダルシリカの添加量が少ない場
合、あるいは上下のいずれかの層の塗布量が少ない場合
には耐食性が十分でなかった。上下のいずれかの層の塗
布量が多過ぎると、溶接性に加えて、電着塗装性も劣化
した。
このように、本発明の防錆塗装鋼板は、加工性に悪影響
のある金属粉を皮膜中に存在させないにもかかわらず優
れた溶接性を確保することができ、また耐食性、電着塗
装性、クロム溶出量の点でも十分に満足すべき性能を示
す。従って、特に自動車用に適した優れた性能の防錆塗
装鋼板を比較的安価に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)および(b)は、それぞれ良好な圧痕およ
び不安定な圧痕を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高 隆夫 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 福井 清之 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−107781(JP,A) 特開 昭62−152578(JP,A) 特開 昭61−5845(JP,A) 特開 昭64−56878(JP,A) 特開 昭62−268636(JP,A) 特開 昭63−270479(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛もしくは亜鉛系合金めっき鋼板上に、
    Cr3+/全Crの比が0.4〜0.6となるように部分還元し、さ
    らに未還元のCr6+に対して1〜4当量倍の還元剤を添加
    した、コロイド状物質を実質的に含有しない塗布型のク
    ロメート処理液の塗布および焼付により形成した、Cr付
    着量として20〜100mg/m2の下層皮膜と、樹脂液中の全樹
    脂固形分とコロイダルシリカとの合計量に対して10〜25
    重量%のコロイダルシリカを添加したエポキシ樹脂をベ
    ース樹脂とする樹脂液の塗布および焼付により形成し
    た、膜厚0.3〜1.6μmの上層皮膜とを有することを特徴
    とする、溶接性に優れた防錆塗装鋼板。
  2. 【請求項2】前記クロメート処理液が、モル比で未還元
    のCr6+の0.01倍以上のシランカップリング剤をさらに含
    有する、請求項1記載の防錆塗装鋼板。
  3. 【請求項3】前記樹脂液がさらに架橋剤を、該エポキシ
    樹脂中のエポキシ基およびヒドロキシル基の合計量に対
    する架橋剤の官能基のモル比が0.1〜2.0となる量で含有
    する、請求項1または2記載の防錆塗装鋼板。
  4. 【請求項4】前記樹脂液が、エポキシ樹脂以外の樹脂
    を、樹脂の全固形分に対して50重量%以下の量でさらに
    含有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の防錆塗
    装鋼板。
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