JPH0763323B2 - 加工玄米の製造方法 - Google Patents

加工玄米の製造方法

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JPH0763323B2 JP63200382A JP20038288A JPH0763323B2 JP H0763323 B2 JPH0763323 B2 JP H0763323B2 JP 63200382 A JP63200382 A JP 63200382A JP 20038288 A JP20038288 A JP 20038288A JP H0763323 B2 JPH0763323 B2 JP H0763323B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、一般家庭で広く使用されている非加圧型の
炊飯器、すなわち電気炊飯器、ガス炊飯器、鍋釜による
直火炊きなどによって白米と同じ方法で炊飯でき、炊飯
後の食味においても柔かさを有する加工玄米の製造方法
に関するものである。
(産業上の価値) 玄米は白米に比較してビタミン、ミネラル、食物繊維が
豊富で、従来より食品としての有効性が認識されてい
た。しかし、玄米は白米と同じ方法で炊飯しても硬いご
飯になり、しかも胚乳部のα化が不十分な為、消化不良
を起こすなど食用には適さない。このために、圧力釜で
炊飯したり、普通の炊飯器を用いて水を2倍程度加え長
時間炊飯して食用可能とする事はできる。しかしこれら
の方法で炊飯した玄米ご飯はひとまず食用可能ではある
が、玄米の皮が依然として硬いまま残ったり、破裂する
などの欠点を有する。また、圧力釜で一定時間以上の炊
飯を行った場合は、表皮の破裂が進行する一方で胚乳部
はさらに柔らかくなり糊状または餅状となって溶出する
が、玄米の表皮は極めて強靱でこの状態でも玄米の皮は
袋状の形態をとどめかつ依然として硬く異物感の有るご
飯となる。
以上の様に玄米を白米と同じ手法で炊飯して白米と同程
度の柔かさと食味を得ることは不可能であり、仮に長時
間炊飯や圧力釜を用いたとしても胚乳部の溶出が発生
し、広く食べ慣れているご飯の形態にはならない。また
炊飯に関しても玄米と白米はその物性が極端に異なる
為、両者を混合して炊飯した場合、玄米をひとまず食用
可能な状態に炊飯すれば白米は溶解してしまうし、白米
が食用妥当な状態に炊飯すれば玄米は硬くて食用に適さ
ないものとなる。
このように玄米は調理法が困難を極める為に現段階では
常食化されるには至っていないが、近年、玄米の栄養面
に加えて食物繊維の持つ生体調整機能が注目を集め、コ
レステロールの低下、血圧調整、虚血性心疾患の予防、
胆汁酸の排出、大腸癌の予防、便秘の改善、糖尿病の改
善などを目的として毎日の食事に取入れたいとする希望
が多くなっている。
(従来の技術とその問題点) 最近、電気釜で炊飯可能な加工玄米が製造されている
が、その方法は次の様なものがある。
加熱水蒸気を用いて玄米を膨化させ、玄米の外皮に亀
裂を生じさせ同時に胚乳部をポーラス状にすることで胚
乳部への吸水を容易にした易炊玄米。
玄米を飽和状態まで吸水させた後に、玄米を蒸煮して
軟化させローラーで圧偏して玄米の外皮に亀裂を生じさ
せることで胚乳部への吸水を容易にした易炊玄米。
前記はその加工原理上、膨化時に玄米の構造的に最も
弱い部分に亀裂が入るが、観察したところその亀裂は主
に玄米の背部や腹部または頂上部に集中しやすく、全体
として表皮の亀裂数は少なくなる。その結果、炊飯時に
おいて外皮の伸展が不十分となり、胚乳部が玄米の背部
や腹部または頂上部などの亀裂から外部に吹出して崩壊
飯粒が多くなる。これら崩壊飯粒は過剰水分が多くご飯
の食味を低下させる。また加熱膨化処理により胚乳部が
強く加熱され為、胚乳デンプンが糊化し、60分程度の水
浸漬で胚乳部が溶解して、炊飯後の崩壊飯粒がさらに増
加するという問題を有する。また、このタイプの易炊玄
米は加熱膨化処理の際に瞬間的に玄米の水分が7〜8%
に乾燥されるが、この時水分と結合している米の香り成
分が失われ新鮮さに欠けたご飯になるという欠点も有す
る。
また前記の易炊玄米は胚乳部に吸水させた後に蒸煮す
る為に、胚乳デンプンがすでに糊化しており、前記と
同様に60分程度の水浸漬で胚乳部が溶解し始める。その
結果、長時間水浸漬後の炊飯では飯粒の崩壊が発生し、
同時に過剰水分の多いご飯となる。
実際的に多くの家庭では前日の夜に米を研ぎ翌日の朝に
炊飯するというタイマー炊飯方式を採用しているが、前
記の易炊玄米を10時間程度の水浸漬後に炊飯すると
玄米だけが粥状に溶解してしまい、タイマー炊飯に適し
ていない事が判明した。
また前記の両者共に、外皮の亀裂が少なすぎる為に
炊飯後は飯粒に外皮が張付いた状態を呈する。この外皮
はご飯の過剰水分の発散を防げ、ご飯が冷えた時にデプ
ンのβ化を促進し食味を落す結果となる。その理由は、
ご飯が冷える過程で飯粒内の過剰水分は分布が均一にな
るように移動するが、この時、胚乳デンプンのミセル部
に存在しこのミセル結合を緩ませている水分までも移動
させ、結果としてデンプンのβ化を促進するものであ
る。この様な理由から、過剰水分の多いご飯は冷えると
食味が著しく低下し、お弁当などに適さないものとな
る。寿司や弁当を調理する際に種々の方法でご飯の水分
を発散させることが行なわれるが、それはご飯の過剰水
分を除去する事でデンプンのβ化を極力押え、冷えても
おいしいご飯になるようにとの配慮からである。
(玄米の炊飯困難性に関する従来の解釈) 発明者は、玄米が電気釜で容易に炊飯できない理由とし
て 表皮のクチクラ層が防水性を有する。
表皮が胚乳部の膨化を抑制し、一定以上の吸水を阻止
する。
という二つを考えるが、この点について従来の技術では
「表皮の防水性」という第一点にのみ着目し、表皮が水
浸漬時または炊飯時における胚乳部の膨化を阻止してい
るという点については全く着目していない。その為、従
来技術では「玄米の外皮に防水性があるため胚乳部に水
が浸透しない」とし、易炊玄米の製造方法としては外皮
に亀裂を生じさせて胚乳部が直接的に吸水できる様にす
れば充分に食用可能になるとしていた。
玄米が吸水しにくい原因について特開56-99757号では
「外皮、特に種皮が半透過性膜的生理作用を持っていて
〜内胚乳部にまで充分に水分が供給されず〜そしゃく感
の悪い飯米しか得られない」とし、特開60-30650号では
「果皮が硬く米粒の内部に水分が浸透しにくく胚乳部を
糊化することができない」とし、特開61-152251号では
「外皮と言われる果皮・種皮で覆われており水が浸透し
にくい〜そのため〜膨潤、軟化度合が喫食するに相応し
い状態に達しない。」としている。
(本発明の目的) 本発明は従来技術の問題点と実際的に多くの家庭で採用
されている炊飯方法と食事形態を考慮し、次の性能を具
備する加工玄米を得る事を目的とする。
吸水性と膨化性が格段に勝れている事。
家庭用の炊飯器で炊飯できる事。
白米と混合して炊飯した時に白米と同程度の柔かさに
なる事。
冷えてもα化度が高く、弁当にしてもおいしい事。
白米には無い香ばしさを有する事。
10時間程度の水浸漬を行っても胚乳部が溶出せず、タ
イマー炊飯が可能な事。
(玄米の構造と物性について) 本発明では玄米がおいしく炊けない理由について詳細に
研究した結果、玄米の防水性は玄米表皮の表面を覆うク
チクラ層に負うところが大きい事を発見した。ここで玄
米の構造と各部位の物性について述べる。
第1図は玄米の表皮から胚乳部にかけての断面を概念的
に示した図面であるが、玄米の断面構造は第1図に示す
様に表面からクチクラ層1、表皮2、中果皮3、横細胞
4、管細胞5、種皮6、外胚乳7、糊粉層8、デンプン
細胞9となっている。
クチクラ層1、表皮2、中果皮3、横細胞4、管細胞5
までを果皮と呼び、種皮6と外胚乳7を総じて種皮と呼
び、糊粉層8とデンプン細胞9を総じて胚乳と呼んでい
る。各構成部の物性を観察したところ次の特徴が明らか
になった。
クチクラ層1は登熟の過程で表皮の表面がクチン化した
ものであり、不飽和脂肪酸の重合体を主成分とし空気や
水の遮断性が高くかつ比較的硬いが極めて薄い層であ
る。
表皮2は子房の表皮から発達したものでセルロース、リ
グニン等から成り極めて強靱で玄米の外皮の強度的中核
を成す。蒸煮しても溶解したり柔化することは無いがク
チクラ層ほどの防水性は無く、一定の吸水性を有する。
中果皮3は中間層から発達したもので開花後20日位で細
胞内容を失い海綿状またはコルク状の構造を成す。比較
的弾性が有り又吸水性も高いので種皮を接ぎとった状態
で炊飯すると容易に崩壊しておいしいご飯となる。
横細胞4、管細胞5、は極めて脆弱な部位でそのままで
も炊飯上の障害とはならない。
種皮6と外胚乳7は癒着して一体的に構成される。種皮
は内珠皮が伸長してできた薄い被膜であり、外胚乳は珠
心表皮から発達した透明な薄膜である。これらはいわゆ
る甘皮とも呼べるもので、登熟過程ではこれらの層の外
部にある中間層や上表皮に養分を透過させたり、登熟後
は胚乳部の湿度調整を行うなどの半透過性膜としての生
理作用を持つが、極めて薄く脆弱な為に水浸漬や炊飯す
ると容易に崩壊する。
以上、玄米の吸水性に拘る部位の観察的構造について述
べたが、玄米が吸水しにくく又炊飯時に容易に膨化しな
い理由を説明する。まず玄米を水に浸した時の水の侵入
経路について見てみると、クチクラ層が防水効果を持ち
水分の侵入を防ぐ為に水分は最初胚芽部から侵入し続い
て背部一帯が吸水し、頂上部、腹部へと浸透し、最後に
胚乳の中心部へと浸透していく。米がα化する為には重
量比で約30%の水分が必要であるが、玄米を20℃の水に
浸漬した場合は5〜6時間以上の浸漬が必要である。し
かし、3時間経過した頃から水分約24〜25%の状態で吸
水しにくくなる。これは吸水に伴う胚乳の膨化が表皮に
よって制限されて吸水率が低下する為と考えられる。米
の発芽に必要な水分が25%程度とされている事から、生
理的な調整作用が働くものと推測される。さらに長時間
の浸漬を続ける事で玄米全体の平均水分は30%程度まで
上昇するものの、水分分布は胚芽部付近に集中しており
胚乳部の水分は30%に達していない。このように玄米の
吸水性が悪い原因は、クチクラ層が防水効果を有する他
に、表皮が胚乳部の自由膨化を阻止し、一定以上の吸水
ができなくなる為と判断する。この状態は染色技法の
「絞り染め」に似ており、糸で強く括る事で染色液の浸
透を阻止する事を例にとると容易に理解される。
(発明の構成) この発明の加工玄米の構成は、第一工程において玄米の
表面に打撃を加えて、クチクラ層、中果皮、横細胞、管
細胞、種皮、外胚乳、糊粉層などの一般に「糠層」と呼
ばれている部分を柔化し、第二工程においてブレード
(刃物)を用いて上記「糠層」を任意の厚さに切削的に
除去する事を特徴とする。
(実施例) この発明について実施例の一つによって説明する。
回転する打撃体すなわちブレードを有するミキサー様の
機器を用い、上記第一工程と第二工程の処理に同一機器
を兼用するものである。
まず第一工程について説明すると、上記のブレードを有
するミキサー様の機器に玄米を入れ、表皮が剥離しない
程度の回転数でかくはんし、ブレードと玄米との多数回
の衝突によって主に玄米の表皮とクチクラ層とを圧潰的
にかつ破綻的に破壊する。この段階でもクチクラ層の防
水性は著しく低下し、吸水性が向上して電気釜で炊飯す
ることが可能となる。
次に第二工程について説明すると、第一工程完成後にブ
レードの回転数を上げて、クチクラ層または表皮を部分
的にまたは全部的に切削除去する。この処理によって、
クチクラ層の防水性はほぼ失われ、かつ表皮の胚乳部の
膨化を阻止する性質もほぼ失われ、白米と同等の吸水性
と炊飯時の良好な膨化性を得る。
(本発明によって炊飯可能となる理由) つぎにこの発明において玄米が電気釜で炊飯可能となる
理由について説明する。
この発明は、回転ブレード等で玄米の表面に打撃的衝撃
を加えいわゆる「糠層」を柔化する第一工程と、回転ブ
レードでこの柔化した「糠層」を任意の厚さに切削する
第二工程とからなる。第一工程の「糠層」の柔化は第二
工程の「糠層の除去」を容易にかつ高精度に実施するの
に効果を有する。また表皮からの水分の浸透を容易にす
る効果も有する。
この効果を実証的に説明すると、第1表は玄米の吸水特
性を示す表であるが、サンプル2は前記実施例の方法で
玄米の表面に15分間の打撃的衝撃を加えたものである
が、120〜180分の水浸漬で水分30%程度の吸水が得られ
炊飯可能の状態となる。これに対してサンプル1の未加
工玄米は180分の水浸漬時間で26.29%の水分吸収しか得
られず、炊飯に適した状態とはならない。
このように玄米の吸水性が向上する理由は、玄米の表皮
ををブレードで打つ事により表皮が中果皮に押込まれる
が、この作用を多数回連続的に起こす事で、表皮並びに
クチクラ層が圧潰したり破綻したりして柔化し、水分が
浸透しやすくなる為である。この作用は藁加工技法の
「砧打ち」を引用すれば理解しやすいが、中果皮が比較
的弾性のあるコルク状の組織である為に起こる作用であ
る。この様に表皮や糠層を柔化することで水分の浸透透
過性が向上する他、圧潰したり破綻した表皮が吸水時に
拡張しやすくなるので、結果的に胚乳部の自由膨化を促
し玄米全体の吸水性と膨化が著しく促進される。
また、この「糠層」の柔化を行う事で第二工程で表皮の
切削除去を行う時に切削が容易になり、ブレードが比較
的低回転でも、または刃先が比較的鋭利でなくとも切削
が可能となる。この事により「糠層」を薄く剥離するよ
うに多段階に切削しなが任意の厚さで切削することが可
能となる。
この表皮の柔化を効果的に得るには、打撃体の打撃部の
面積が小さいほどその効果は良好であるが、本実施例の
様に打撃対とブレードを兼用した場合、打撃体は刃物状
となるので、第一工程処理中に玄米に深い切傷が入った
り、玄米を切断したりするので好ましくない。従って本
実施例では打撃体の回転数を調整することで玄米に傷を
付けずに打撃する方法を採用した。
また打撃体が刃物状でなくとも回転数を上げ過ぎると玄
米粒が破壊したり、胚乳部の「割れ」が生じる。また、
玄米は品種や産地によって表皮の堅さや厚さが異なるの
でブレード形状とその回転数は以上を考慮して適宜設計
する。
この第一工程並びに第二工程の打撃体またはブレードの
回転数について検討したところ、回転直径46cmの回転ブ
レード(打撃体と兼用)で30kgの玄米を処理した場合、
第一工程は100〜300回転/分、第二工程は300〜600回転
/分各程度が適正である。600〜650回転/分を越えると
破砕米が発生し食味が低下する。ただしこの運転回転数
は玄米とブレードとの相対速度によって決定される、つ
まり玄米とブレードとが同一方向に回転し、その速度は
玄米の方が遅くなる。この時両者の相対速度差が小さけ
れば回転を上げる事が可能となり、速度差が大きい状態
で高回転運転をすると上記の様に玄米粒を破壊してしま
う。この両者の速度差が生じる理由は玄米に回転抵抗が
加わる事によるもので、その要因は容器との壁面摩擦、
容器の直径、玄米の積載圧力等が関連する。従って、こ
れらの要因を考慮の上適宜調整または設計することが必
要である。また、発明者は上記の理由から、ブレードと
同一回転する回転板を設けて玄米の回転を容易にしてい
る。
上記第一工程によって「表皮の柔化加工」を行った後
に、第二工程で表皮またはクチクラ層を一定程度除去す
る事で、玄米の吸水と膨化をさらに向上する事ができ
る。第1表のサンプル3は玄米の表皮を柔化した後に表
皮を重量比で0.2%除去したものであり、サンプル4は
表皮を重量比で0.3%除去したものであるが、サンプル
3では約90分の水浸漬で水分29.68%に達し、サンプル
4も約90分で水分30.25%に達し、いずれも炊飯可能な
吸水状態になる。これは白米と比較してもほぼ同等の吸
水率である。特にサンプル4を120分以上水浸漬した場
合では白米の吸水率を上回る。
この表皮とクチクラ層を除去する方法としては、従来の
摩擦式搗米機や研削式搗米機を使用する方法があるが、
種々実験したところ従来の搗米機は表皮から糊粉層まで
を深く削除する傾向が強く、糠層を任意の厚さで除去し
ようとする本発明の主旨にはそぐわない。本発明の様に
回転ブレードを用いると、玄米のクチクラ層と表皮だけ
を除去するなど高精度の加工が可能となる。その理由は
次の通りである。すなわち、回転ブレードで玄米を一方
向に回転かくはんする事で玄米とブレードは相対的速度
差を伴って同一方向に回転する。この状態で玄米の積載
圧力は軽減し、回転ブレードが相対速度差をもって玄米
に当たった時に、玄米がブレードとの接触点をピボット
としてブレードのいずれかの面に向かって回転する状態
が生じる。これは言替えると、玄米がブレードから逃げ
る状態とも言えるが、この時ブレードが玄米の表面に接
触しながら通過して玄米のクチクラ層と表皮を極めて薄
く切削除去するものである。従って、この第二工程すな
わち表皮を含む「糠層」の切削除去を続ける事で、表皮
から糊粉層に至る任意の層まで除去する事ができる。
この場合、ブレードの切削メカニズムは鉛筆を削る時の
「ナイフ」の作用よりもむしろ「スクレーパー」や「旋
盤バイト」の作用に近い為、ブレードの刃先角の鋭利さ
はあまり重要では無く、刃先が「仕上がっている」事が
重要である。刃先を鋭利にするにしたがい、ブレードが
玄米に深く食込んだり切断するので、回転を下げる事が
必要である。
前記第一工程の「表皮の柔化処理」を行なわず、未加工
玄米を最初から第二工程の処理を行うと、効率的に表皮
除去することが困難である。これは未加工玄米は表皮が
硬くしかもクチクラ層が極めて滑かな為に表皮に刃が立
ちにくい事に基因するもので、いわゆる「刃が滑る」状
態が生じる為である。この問題を解決するのに、ブレー
ドの硬度を極端に高めたり、ブレードを極端に鋭利にし
たり、ブレードの回転数を高くするなどの方法もある
が、これらの方法を取ると、表皮を断面においてV字状
にカットしたり、中果皮も含めて剥離したり、あるいは
胚乳部に亀裂を生じたり、玄米粒を切断してしまうなど
の弊害が生じ易く、調整に手間がかかり生産効率が悪化
する。その点、事前に「柔化処理」を行うと、表皮は切
削しやすくなり品質の均一化と生産効率を向上すること
ができる。
ただし、第一工程の「柔化処理」を行わず、未加工玄米
を回転ブレードでかくはんしていると、初期の段階では
玄米に傷がつかないが、長時間の処理を続けるうちに表
皮が除去できる様になる。これは初期の段階で「柔化」
が行なわれ、その後に表皮の切削除去が行なわれたもの
と判断することができる。いずれにしても、前記の「柔
化処理」を行う事で効率的かつ高精度に表皮を除去する
事ができる。
第二工程において、表皮の除去は玄米粒の全面に渡る必
要はない。玄米粒の表面は決して平滑ではなく、玄米の
長軸方向に走る凹凸が存在する。また、クチクラ層や表
皮の厚さも部位によって異なるので上記の方法で表皮を
除去しても表皮の全てが除去されるものではなく、表面
凹凸の谷部分や表皮の厚い部分は除去されずに残る事と
なる。観察したところ、クチクラ層または表皮を表面積
の30%程度除去すれば炊飯可能となり、70%程度の除去
で所要のおいしさを得る事ができる。また、この除去さ
れずに残った表皮は前記の表皮の柔化処理や後に述べる
蒸煮処理によって炊飯時に容易に散逸し得るものであ
る。
この発明の方法によれば第二工程の処理を調節すること
で、表皮だけ除去した玄米や糊粉層を残した胚芽米など
を製造することができる。特に中果皮や種皮は炊飯によ
って容易に散逸し、人の消化器官に適合した食物繊維と
して働き、また糊粉層にはタンパク質やミネラルが多く
含まれている。この発明の方法によればこれらの有効成
分を適宜に残す事が可能となるので、栄養機能面で従来
の胚芽米とは異なった米製品を製造することが可能とな
る。
またこの発明で得られる易炊玄米は炊飯時に表皮を始め
とする糠層が散逸しやすく、この散逸した糠層が炊飯器
の底部において強加熱されて香ばしいご飯を得ることが
できる。
(実施例2) 第二工程の処理時間を延長したりブレードの回転数を前
記実施例1の範囲内で高くすることで「糠層」を任意の
厚さで切削除去する事が可能となる。
前記の装置を用いた場合、第二工程において300〜330回
転/分で30分程度処理すると部分的に糊粉層が露出し、
かつ胚芽が残った状態の精米を得ることができる。
(実施例3) 第一工程において、処理時間を延長するか又は玄米に割
れが入らない程度に回転数を上げ、玄米の内部すなわち
胚乳部にも打撃的衝撃を加えると胚乳部のの吸水性が向
上して玄米の膨化を促進することができる。これは、打
撃的衝撃によって胚乳部のデンプン粒間に剪断的な「ず
れ」が生じる為に吸水が促進されるものと考えられる。
(実施例4) 打撃体はブレード状のものに限らず、種々の形状が考え
られる。打撃体の断面が角状や丸状の棒材を用いて実験
したところ所要の効果を得られる。ただし、極端に厚い
部材を用いると玄米をかくはんする時に玄米の押し分け
られる距離が大きくなり、玄米の摩擦搗米が発生する。
従って、打撃体に厚い部材を用いる時は玄米の積載圧力
を軽減する必要がある。
(実施例5) 第一工程又は第二工程で処理した玄米の各々を加熱水蒸
気を用いて蒸煮する事で、果皮、種皮、糊粉層などのい
わゆる糠層部分を多孔質化し、吸水性を向上すると同時
に、炊飯時におけるこれら糠層の散逸を促進して胚乳部
の膨化性を著しく向上する事ができる。また蒸煮処理を
行う事で玄米の酵素活性を失活させて日持ちを良くする
事ができる。
この時の蒸煮圧力と時間は実験の結果、常圧〜0.5kg/cm
2の時で5秒程度、2〜3kg/cm2の時で1〜0.5秒程度が
適当である。この条件を越えて極端に高いエネルギーを
与えると胚乳部が糊化し飯粒崩壊や飯粒の水分過多、水
浸漬時の胚乳部溶出等が発生しやすくなるので、適宜の
調整が必要である。
(本発明の効果) 以上の様に本発明の着眼点は、玄米が電気釜等でおいし
く炊けない原因を玄米の構造に求め、観察的に実証した
事にある。すなわち、玄米の防水性がクチクラ層に負う
ところが極めて大きい事実と、表皮が玄米の吸水と膨化
を制限している事実を発見したことである。また、本発
明の易炊玄米の製造方法は、第一工程において玄米の表
皮に打撃的衝撃を加えてクチクラ層を圧潰破綻しその防
水性を喪失させ、同時に糠層を柔化するものであり、第
二工程においてこの柔化した糠層すなわちクチクラ層、
表皮、中果皮、種皮等を任意の厚さに切削的に除去する
ものである。この製造方法は上記の玄米の構造的特性を
充分に解明した結果によるものである。
本発明の製造方法によって得られる易炊玄米は従来のも
のとは異なり、玄米の栄養機能成分や新鮮な米の風味を
損う事無く、普通の炊飯器を用いて、香ばしく、しかも
白米と同程度の柔かさの玄米ご飯を得ることができる。
また、長時間の水浸漬を行っても溶出することが無く、
ご飯が冷えても容易にβ化しない等従来の易炊玄米には
無い勝れた特徴を持つものである。また、その製造方法
においても設備と加工が極めて容易で、少量多品種生産
にも対応しうるものであり、多大の実益を発揮しうるも
のである。
【図面の簡単な説明】
第1図は玄米の糠層の構成を示す断面図である。 図面において、1はクチクラ層、2は表皮、3は中果
皮、4は横細胞、5は管細胞、6は種皮、7は外胚乳、
8は糊粉層、9はデンプン細胞である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程からなる事を特徴とする加工玄米
    の製造方法。 (1)打撃体と玄米との多数回の衝突を得る第一工程。 (2)ブレードによって、玄米のクチクラ層または表皮
    から糊粉層に至る糠層を任意の厚さに切削的に除去する
    第二工程。
  2. 【請求項2】打撃体が移動または回転して玄米と衝突す
    る様にした事を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    加工玄米の製造方法。
  3. 【請求項3】打撃体をブレード状にした事を特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の加工玄米の製造方法。
  4. 【請求項4】ブレードが移動または回転する様にした事
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の加工玄米の製
    造方法。
JP63200382A 1988-08-10 1988-08-10 加工玄米の製造方法 Expired - Fee Related JPH0763323B2 (ja)

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