JPH076774A - スカンジア安定化ジルコニア系固体電解質型燃料電池 - Google Patents

スカンジア安定化ジルコニア系固体電解質型燃料電池

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JPH076774A
JPH076774A JP5171206A JP17120693A JPH076774A JP H076774 A JPH076774 A JP H076774A JP 5171206 A JP5171206 A JP 5171206A JP 17120693 A JP17120693 A JP 17120693A JP H076774 A JPH076774 A JP H076774A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体電解質の導電率が高く、高い電力密度が
得られる固体電解質型燃料電池を提供すること。 【構成】 燃料ガスが接する燃料極と空気が接する酸素
極との間に介設される固体電解質がスカンジア安定化ジ
ルコニア材料により構成されており、そのスカンジア固
溶量としては8〜15モル%が適正であり、また燃料極
および酸素極は固体電解質の表面にそれぞれコーティン
グされた自立平板型のものに特に好適なものとして適用
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料電池に関し、さら
に詳しくは固体電解質型燃料電池(SOFC)における
固体電解質材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】燃料電池としては、電解質の種類によっ
てリン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型などが従来よ
り良く知られている。その中で固体電解質型燃料電池
(SOFC)は、電解質としてリン酸水溶液や溶融炭酸
塩のような液体状材料の代わりにイオン導電性を有する
固体材料を用いたものである。
【0003】そしてこの固体電解質型燃料電池(SOF
C)は、リン酸型、溶融炭酸塩型など他の燃料電池に比
べて発電効率が良く、排熱温度も高いため効率的な利用
が可能な発電システムを構築できるということで近年特
に注目を浴びている。ところでこの固体電解質型燃料電
池(SOFC)の形態としては、一般に図6に示した平
板型のものと、図示しないが円筒型のものとに大きく分
類される。またこの図6に示した平板型のものにおいて
も、図7(a)に示した外部マニホールドタイプのもの
と、図7(b)に示した内部マニホールドタイプのもの
とが代表的なものとして挙げられる。
【0004】図6及び図7(a)(b)に示した固体電
解質型燃料電池(SOFC)の構造について簡単に説明
すると、燃料ガスが接する燃料極10と空気が接する酸
素極20との間に固体電解質板30を挟み、燃料極10
の外側および酸素極20の外側にそれぞれセパレータ4
0a、40bを設けた構造の単セルが多数層にわたって
積層状に設けられてなる。そしてこのように構成された
固体電解質型燃料電池(SOFC)においては、燃料極
に燃料ガス(水素、一酸化炭素)が接触し、酸素極には
酸化ガス(空気、もしくは酸素)が接触する。そして酸
素極で生成した酸素イオン(O2-)が電解質を移動して
燃料極に到達し、燃料極ではO2-が水素(H2 )と反応
して電子を放出する。これにより電気が作り出され、電
気の流れが生ずるものである。
【0005】この固体電解質型燃料電池(SOFC)に
おいて、固体電解質材料の電気的特性、特に導電率が電
池の性能に大きく影響する。従来この固体電解質材料に
は、安定化ジルコニアが用いられてきた。この安定化ジ
ルコニアは、ジルコニア(ZrO2 )が高温度(約11
50℃付近)で単斜晶形から正方晶形へ結晶構造が変化
することに伴ない容積変化が生じることから、この容積
変化を防ぐ手段としてカルシウム(Ca)やイットリウ
ム(Y)などの酸化物を固溶させて結晶構造の安定化を
図ったものである。現在ではイットリア安定化ジルコニ
ア(Y23 Stabilized ZrO2)が最も多く使用され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、イット
リア安定化ジルコニア(YSZ)を固体電解質材料に用
いた固体電解質型燃料電池(SOFC)では、そのYS
Z材料そのものの内部抵抗が高いために導電率が低く、
そのために高い電力密度が得られないという問題があっ
た。
【0007】例えば、固体電解質板に燃料極や酸素極を
スラリーコーティング法により形成してなる、いわゆる
自立膜平板型の固体電解質型燃料電池(SOFC)では
その構造上電解質板の板厚を0.2〜0.3mmとせざる
を得ず、そのためにイットリア安定化ジルコニア(YS
Z)では導電率が0.05〜0.15S/cm程度と低く
なり、電力密度は0.5W/cm2程度しか得られなかっ
た。
【0008】このため従来の固体電解質型燃料電池(S
OFC)においては、以下のような欠点があった。すな
わち、 発電セルの大型化によりシステムの設置面積が増大す
る。 電池の内部抵抗が高く、発電効率が低くなる。 高い電流密度で運転した場合にセルの寿命が短くな
る、等々。
【0009】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、材
料としての内部抵抗の低い、そして導電率の高い固体電
解質材料を探索し、高い電力密度が得られる固体電解質
型燃料電池を提供することにある。そしてこれにより、
以下のような効果を達成せんとするものである。すなわ
ち、 発電電力密度の向上によりシステムのコンパクト化を
図る。 電池抵抗を小さくして応答特性を良くし、その結果優
れた発電効率を達成する。 発生電力に余裕を持って運転でき、電池の長寿命化、
恒久的使用の達成を図る。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため本発明者らは、種々の材料特性について実験研究
を重ねた結果、従来のイットリア−ジルコニア系(Y2
3−ZrO2 系)の材料よりもスカンジア−ジルコニ
ア系(Sc23−ZrO2 系)の材料が、固体電解質型
燃料電池(SOFC)における固体電解質材料として優
れていることを見い出した。
【0011】そこで本発明の要旨は、燃料ガスが接する
燃料極と、空気が接する酸素極との間に固体電解質を有
するセル構造の固体電解質型燃料電池であって、前記固
体電解質がスカンジア安定化ジルコニア系材料により構
成されていることにある。その場合に固体電解質は、主
材料であるジルコニア(ZrO2 )中にスカンジア(S
23)が固溶されて結晶構造の安定化が図られている
ことが望ましい。そのSc23の固溶量としては、8〜
15モル%の範囲が適当である。
【0012】さらにこの固体電解質型燃料電池(SOF
C)は、いわゆる自立膜平板型のものに適用されるのが
最も効果的であり、その場合には固体電解質の片側の面
に燃料極が設けられ、反対側の面に酸素極がそれぞれス
ラリーコーティング法により設けられる。その場合の燃
料極材料としては、ニッケル−イットリア安定化ジルコ
ニア(Ni−YSZ系)であってもよいし、他の材料も
考えられる。また酸素極材料としては、ランタンストロ
ンチウムマンガネート(La(Sr)MnO3)が一例
として挙げられる。
【0013】
【実施例】以下に本発明について詳細に説明する。初め
に本発明の固体電解質型燃料電池(SOFC)に供され
る固体電解質板の製造工程について、図1に示した製造
工程図に基づいて順に説明する。それによれば、初めに
固体電解質板の主材料であるジルコニア(ZrO2 )の
粉末粒子と安定化材料であるスカンジア(Sc23)の
粉末粒子とを適当な配合比率で混合する。この混合粉末
の平均粒径は3μm程度である。また、ジルコニア・ス
カンジアの混合粉末を調整する方法として、ゾルゲル法
や共沈法などの液相製造プロセスを適用すれば不純物が
少なく、均一な混合粉末を得ることができる。ZrO2
とSc23の配合比率については、後述するようにいろ
いろな条件(Sc23 の配合比率が8モル%〜15モ
ル%)を選択している。
【0014】次にこの混合粉末を板厚100〜300μ
mの板(およそ20cm角板)に成形する。この成形手
段としては、この実験例では静水圧プレス機(CIP)
を用いて1t/cm2 の押圧力により加圧成形してい
る。ただし、この成形手段に限られるものではなく、従
来一般に用いられているドクターブレード法やカレンダ
ーロール法により薄板を製作するものであってもよい。
そしてしかる後、この成形板を1500〜1700℃の
温度で焼成する。これによりスカンジア (Sc23
がジルコニア(ZrO2)中に固溶化されたスカンジア
安定化ジルコニア(Sc23 Stabilized ZrO2)材
料からなる固体電解質板が得られる。
【0015】次にこのスカンジア安定化ジルコニア(S
cSZ)系固体電解質板に燃料極あるいは酸素極を形成
するに当たっては、これらの極材料のセラミックス粉末
を泥状にしていわゆるスラリーコーティング法によりこ
のScSZ系固体電解質板の片面と反対側の面とにそれ
ぞれ塗布し、しかる後所定温度で焼成する。燃料極の場
合には、例えばニッケル(Ni)40重量%−ジルコニ
ア(ZrO2 )60重量%のNi−サーメット材料を5
0μm程度の厚さでこのScSZ系固体電解質板の片面
にコーティングし、1400〜1500℃の温度で焼成
する。これによりScSZ系固体電解質板の片面に薄膜
状の燃料極が形成されることとなる。
【0016】また酸素極の場合には、例えばランタンス
トロンチウムマンガネート(La(Sr)MnO3 )材
料を50μm程度の厚さで固体電解質板の前述の燃料極
とは反対側の面にコーティングし、1150℃前後の温
度で焼成する。これによりScSZ系固体電解質板の反
対側の面に、同じく薄膜状の酸素極が形成されることと
なる。尚、酸素極の材料の配合比率としては、ランタン
マンガネイト95〜85モル%に対し、ストロンチウム
5〜15モル%程度とするのが適当である。次にこのよ
うにして製作された固体電解質型燃料電池(SOFC)
の固体電解質板について種々の実験を行なったのでこれ
らについて説明する。
【0017】初めに図2に従来のイットリア安定化ジル
コニア(YSZ)電解質と本発明に係るスカンジア安定
化ジルコニア(ScSZ)電解質との固体電解質型燃料
電池(SOFC)としての発電特性の比較を行なったの
でその結果を示して説明する。供試した固体電解質材料
は、YSZ電解質の場合8モル%Y23−92モル%Z
rO2、ScSZ電解質の場合11モル%Sc23−8
9モル%ZrO2のものとしてある。両者は同等の板厚
としている。
【0018】尚、同図中、横軸に電流[mA]を示し、
縦軸に電圧[mV]及び電力密度[W/cm2]を示
し、電圧特性と電力特性について両者を比較した。その
結果、電圧特性をみた場合に電流値を上げていくにつれ
て電圧値が徐々に低下していくことは、ScSZ電解質
の場合もYSZ電解質の場合も同様であるが、ScSZ
電解質の方がYSZ電解質よりも電圧低下の割合が小さ
く、およそ700mAあたりから電流値が高い範囲で、
同等の電流[mA]に対して高い電圧[mV]を示して
いることがわかる。また電流が高いほどその電圧差が大
きいこともわかる。
【0019】一方、電力特性をみた場合もScSZ電解
質は600〜800mAで電力密度のピーク値を示し、
それ以上の電流では徐々に電力密度が低下するのに対し
YSZ電解質は300〜500mAで電力密度のピーク
値を示しているが、そのピーク値がScSZ電解質がお
よそ1.1 W/cm2 であるのに対し、YSZ電解質で
はおよそ0.8W/cm2と低くScSZ電解質の方がY
SZ電解質よりも高い電力密度のピーク値を示すことが
わかる。また電力密度のピーク値を越してからの電力密
度の低下の割合もScSZ電解質の方がYSZ電解質よ
りも小さく、ScSZ電解質の方がYSZ電解質よりも
同等の電流[mA]に対して常に高い電力密度[W/c
2 ]を示している。しかも電流値が高いほどその電力
密度の差が大きいことがわかる。そしてこの図2に示し
た実験結果より、ScSZ電解質の方が材料としての内
部抵抗が低いために導電率が高くなり、高い電力密度が
得られたものと考察されるものである。
【0020】図3は、スカンジア安定化ジルコニア(S
cSZ)電解質中のスカンジア(Sc23)の配合比率
を変え、つまりSc23の固溶量を変えることにより、
このScSZ 電解質の導電率特性に対する温度依存性
を調べた結果を示している。横軸に温度変数1000/
T[1/K](K:絶対温度)を示し、縦軸に導電率変
数log σ[S/cm]を示している。ScSZ電解質中
のスカンジア(Sc23)の配合比率を8〜15モル%
までいろいろ変えてみたが、その結果8モル%ScSZ
電解質が最も導電率特性に優れることがわかる。そして
温度変数1000/T[1/K]がおよそ1.1 以下
(およそ650K以下)程度の温度ではスカンジア配合
比率(スカンジア固溶量)の違いによる導電率特性に有
意差は認められないが、温度変数が1.1 以上(およそ
650K以上)の温度ではスカンジアの配合比率が高く
なるにつれて、つまりスカンジアの固溶量が増すにつれ
て導電率特性の低下が目立つ傾向にある。このことより
この固体電解質型燃料電池(SOFC)の使用温度環境
によってスカンジアの配合比率を考慮することが必要で
あることがわかる。
【0021】図4は、スカンジア安定化ジルコニア(
ScSZ )電解質の室温〜1273Kの温度範囲にお
ける熱膨張(温度歪)を調べた結果を示している。スカ
ンジアの配合比率としては、8モル%のものと11モル
%のものとで比較した。その結果、温度が高くなるにつ
れて11モル%スカンジア固溶量のScSZ電解質の方
が、8モル%スカンジア固溶量のScSZ電解質よりも
熱膨張が少ない、つまり温度歪が小さいことがわかる。
他方、11モル%スカンジア固溶量のScSZ電解質は
700〜800K付近で熱膨張が急激に変化する。この
様な急激な熱膨張はSOFCとして利用した時に熱応力
を生じるので好ましくない。このことからスカンジアの
配合比率を低くした方が良いということが言える。
【0022】図5は、1000℃(1273K)におけ
る導電率とScSZ電解質中のスカンジア(Sc23
配合比率(スカンジア固溶量)との関係を示したもので
ある。これによると、スカンジア固溶量が8〜15モル
%の範囲で少ない方が導電率が高く、スカンジア固溶量
が多くなるにつれて導電率が低下することがわかる。ス
カンジア固溶量が8〜11モル%の範囲が最も好ましい
と言える。表1には、本発明に係る固体電解質(ScS
Z電解質)と、従来から知られているYSZ固体電解質
との間の既に前述した導電率特性のほか、機械的特性
(曲げ強度、破壊靭性強度、ビッカース硬さ、熱膨張係
数、結晶構造)の比較を数値的に示している。
【0023】
【表1】
【0024】YSZ電解質については3モル%と8モル
%のイットリウム固溶量のものを示し、ScSZ電解質
については8モル%と11モル%のスカンジア固溶量の
ものを示している。この表よりわかるように、導電率に
ついては既に図2ないし図5でも説明したようにScS
Z電解質のものがYSZ電解質よりも優れているが、曲
げ強度やビッカース硬さでは若干YSZ電解質の方がS
cSZ電解質よりも高い値を示している。しかし使用上
は耐久性という点ではほとんど有意差がないものと思わ
れる。
【0025】
【発明の効果】以上各種実験例に示したように、本発明
に係る固体電解質型燃料電池(SOFC)は、固体電解
質にスカンジア安定化ジルコニアを用いたことにより内
部抵抗を低減でき、従来にない高い導電率特性が得ら
れ、発電電力密度の向上が図られる。したがって発電電
力密度の向上により発電システムのコンパクト化が図
れ、また電池抵抗が小さいために応答特性が良く発電効
率に優れ、さらに発生電力に余裕を持って運転できるこ
とから電池の長寿命化が図れる等の多くの効果を奏し、
産業上の有益性は極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解質型燃料電池における固
体電解質板及び電極の製造工程図である。
【図2】本発明に係るスカンジア安定化ジルコニア(S
cSZ)電解質と、従来一般に知られているイットリア
安定化ジルコニア(YSZ)電解質との発電比較特性デ
ータを示した図である。
【図3】本発明に係るScSZ電解質の導電率特性に対
する温度依存性のデータを示した図である。
【図4】本発明に係るScSZ電解質の熱膨張(温度
歪)データを示した図である。
【図5】図3に示した本発明に係るScSZ電解質の1
000℃(1273K)における導電率をスカンジア固
溶量との関係データとして示した図である。
【図6】従来一般に知られる平板型の固体電解質型燃料
電池(SOFC)の単セル構造の一例を示した図であ
る。
【図7】(a)は図6に示した平板型燃料電池における
外部マニホールドタイプのもの 、(b)は同じく内部マニホールドタイプのものの概略
構成を示した図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料ガスが接する燃料極と、空気が接す
    る酸素極との間に固体電解質を有するセル構造の固体電
    解質型燃料電池であって、前記固体電解質がスカンジア
    安定化ジルコニア系材料により構成されてなることを特
    徴とするスカンジア安定化ジルコニア系固体電解質型燃
    料電池。
  2. 【請求項2】 前記固体電解質は主材料であるジルコニ
    ア中にスカンジアが8〜15モル%固溶されていること
    を特徴とする請求項1に記載のスカンジア安定化ジルコ
    ニア系固体電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記燃料極及び酸素極は前記固体電解質
    の表面にそれぞれコーティングされてなることを特徴と
    する請求項1に記載のスカンジア安定化ジルコニア系固
    体電解質型燃料電池。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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