JPH077019A - 有機薄膜及びその製造法 - Google Patents

有機薄膜及びその製造法

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JPH077019A
JPH077019A JP6054768A JP5476894A JPH077019A JP H077019 A JPH077019 A JP H077019A JP 6054768 A JP6054768 A JP 6054768A JP 5476894 A JP5476894 A JP 5476894A JP H077019 A JPH077019 A JP H077019A
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thin film
organic thin
zndbpc
substrate
vapor deposition
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JP6054768A
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English (en)
Inventor
Akira Yamashita
山下  明
Toru Maruno
透 丸野
Takayoshi Hayashi
孝好 林
Hirohisa Kanbara
浩久 神原
Masahiro Hatano
昌弘 籏野
Hideo Konami
秀雄 小波
Yuichi Shiratori
裕一 白鳥
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NTT Inc
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フタロシアニン系化合物を含有し、かつ配向
性を有する有機薄膜を提供する。 【構成】 2層以上の多層構造を有する有機薄膜におい
て、少なくとも1層が、中心配位原子が金属、酸化金
属、又はH2 である構造の2,3:12,13−ジベン
ゾフタロシアニン系化合物を含有する薄膜層である有機
薄膜。当該有機薄膜を形成する方法が、真空蒸着法であ
る有機薄膜の製造方法。他の少なくとも1層が、その他
のフタロシアニン系化合物、テトラシアノキノジメタナ
ート類、及び/又はテトラメチルテトラチア(若しくは
セレナ)フルバレン塩を含有する薄膜層であることが好
ましい。 【効果】 非線形光学特性、又は一次元電気伝導性を利
用する材料として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機エレクトロニクス
や光エレクトロニクス用デバイスに使用して好適な、配
向性を有する有機薄膜とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機エレクトロニクス、光エレクトロニ
クスの分野においては、有機π電子系化合物の非線形光
学特性、導電性、光導電性、半導体性を利用したデバイ
ス開発が盛んに検討されている。その好例としては、フ
タロシアニン系化合物や、スチルベン系化合物を使用し
たゼログラフィー感光体、太陽電池、二次及び三次の非
線形光学材料等が挙げられる。有機材料をデバイス化す
るためには、薄膜作製技術が必要となる。薄膜の非線形
光学特性や導電性、光導電性等の電気・光学的特性は、
材料の純度のみでなく、結晶性や配向性にも大きく依存
し、薄膜中の分子の結晶性や配向性が高くなるほど特性
が向上することが知られている。また、薄膜光デバイス
では導波のため1μm以上の膜厚が必要であるが、この
程度の膜厚でも光が減衰せずに透過するためには、分子
の結晶性、配向性を高めて薄膜内部での光散乱を減少さ
せる必要がある。有機材料の薄膜化技術としては、LB
法、キャスト法、蒸着法等がある。LB法は分子を配向
させることができるためデバイス作製に適した薄膜形成
法である。しかし、同一分子中に親水性基と疎水性基が
必要であるため適用できる分子が大幅に制限される。ま
た、疎水性基として分子内に導入する炭化水素鎖が非線
形光学特性や導電性等の機能を低下させる傾向にあるこ
と、作製した薄膜の分子間の結合が弱く熱及び機械的強
度が不十分であること、作製に長時間を要することが欠
点として挙げられる。キャスト法も特定の分子について
は配向させることが可能であるが、汎用性は低い。また
薄膜材料を溶解し、かつ薄膜材料と反応しない溶媒が必
要であるが、一般に有機π電子系化合物でこの様な溶媒
を見出すことは困難であり、この点で適用できる材料は
更に制限される。また薄膜中に残留した溶媒が特性を低
下させる、という問題がある。これに対し、蒸着法は、
昇華又は蒸発温度より低温で分解する材料には適用でき
ないという欠点があるものの、非線形光学特性や導電
性、光導電性等の電気・光学的特性が優れる大部分の有
機π電子系材料について成膜可能である。また溶媒を必
要としないため、純度の高い薄膜が作製できる。更に、
LB法等に比べて高速な成膜が可能であり、その制御範
囲も1Å/分〜数1000Å/分と大きい。したがって
蒸着法による有機エレクトロニクス、光エレクトロニク
ス用有機薄膜の作製が盛んに行われるようになってきて
いる。例えば、金属フタロシアニンの蒸着膜は、3次の
非線形感受率χ(3) が10-11 esu 台と比較的大きな3
次非線形光学特性を示すことが報告されている〔M.ホ
ソダ、T.ワダ、A.ヤマダ、A.F.ガリト及びH.
ササベ(M.Hosoda、T.Wada、A.Yamada、A.F.
Garito、H.Sasabe) 、ジャパニーズ ジャーナル オ
ブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Ap
plied Physics)、第30巻、第L1486〜L1488
頁(1991)〕。しかし、蒸着法で金属フタロシアニ
ン等の有機π電子系化合物を成膜した場合、サブミクロ
ン以下の結晶グレインの集合体となるのが一般的で、配
向薄膜を得ることは困難であった。従来、配向性の高い
金属フタロシアニン薄膜を作製することができるのは、
アルカリハライド、グラファイト、MoS2 等の特定の
基板上で膜厚10nm程度までに限られており、これ以上
の厚さでは分子を高度に配向させることはできず、薄膜
は多結晶状態となる〔戸嶋直樹、化学工業、1989年
11月号、第31頁(1989)〕。そのため蒸着法で
作製された薄膜の電気伝導性、光学非線形性等の特性
は、分子が一方向に配向した場合に期待される特性を大
きく下回っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フタ
ロシアニン系化合物を含有し、かつ配向性を有する有機
薄膜を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は有機薄膜に関する発明であって、2
層以上の多層構造を有する有機薄膜において、少なくと
も1層が、下記一般式(化1):
【0005】
【化1】
【0006】(式中Mは金属、酸化金属、又はH2 を示
す)で表される構造の2,3:12,13−ジベンゾフ
タロシアニン系化合物を含有する薄膜層であることを特
徴とする。また、本発明の第2の発明は有機薄膜の製造
方法に関する発明であって、第1の発明の有機薄膜を、
真空蒸着法により形成することを特徴とする。
【0007】2,3:12,13−ジベンゾフタロシア
ニン化合物は近紫外部と可視部に強い吸収を有する化合
物であり、その電子スペクトルの帰属については、既に
報告されている〔H.コナミ、Y.イケダ、M.ハタ
ノ、及びK.モチヅキ(H.Konami、Y.Ikeda 、M.
Hatano、K.Mochizuki )、モレキュラー フィジクス
(Molecular Physics )、第80巻、第153〜160
頁(1993)〕。本発明者らは、2,3:12,13
−ジベンゾフタロシアニン化合物を真空中で加熱するこ
とによりフタロシアニン系化合物と同様昇華することを
見出した。更に本化合物を用いた場合には、蒸着時に基
板上で配向薄膜を作製可能であるという、従来のフタロ
シアニン系化合物には無い特徴を有することを既に明ら
かにした(特願平4−121060号)。2,3:1
2,13−ジベンゾフタロシアニン系化合物及びフタロ
シアニン系化合物は昇華開始温度より高い温度領域にお
いても熱分解しないため、ガラスや金属などの基板上に
1Å/分〜数1000Å/分の広範囲の蒸着速度で薄膜
を作製することが可能である。更に基板上に作製した
2,3:12,13−ジベンゾフタロシアニン系化合物
の配向薄膜上にフタロシアニン系化合物、若しくはその
他の有機化合物を、同時、若しくは交互に蒸着すること
により、従来配向薄膜が得られなかった有機化合物につ
いても配向薄膜を作製することが可能となることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】上記発明の実施により、フタロシアニン系
化合物の配向性制御が可能となり、その結果としてフタ
ロシアニン系化合物の配向薄膜が作製できたことから、
薄膜の電気的・光学的特性も無配向時に比べて大幅な向
上が認められた。例えば、亜鉛2,3:12,13−ジ
ベンゾフタロシアニンの配向薄膜上に蒸着したチタニル
フタロシアニンでは3次非線形感受率χ(3) が3×10
-10 esu 以上の大きな値を示し、無配向時に比べて約2
倍に向上した。また電気伝導率は4×10-4S/cm以上
の値を示し、無配向時に比べて約5倍に向上した。この
ように配向膜の作製によって、薄膜の非線形光学特性や
電気的特性が顕著に向上することがわかった。
【0009】本発明において、使用する2,3:12,
13−ジベンゾフタロシアニン系化合物は中心配位原子
Mの種類には制約されないが、その一例としてMが亜鉛
(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(M
n)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、錫(S
n)、酸化チタン(TiO)、酸化バナジウム(V
O)、鉛(Pb)及びランタニド系元素や無金属(H
2 )である化合物等を挙げることができる。これらの
2,3:12,13−ジベンゾフタロシアニン系化合物
は、フタロニトリル、ナフタロニトリル及び金属酢酸
塩、あるいは金属塩化物塩を混合し、220℃以上に加
熱した後、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)に溶解させ、これをGPCクロマ
トグラフィーにより分離して得ることができる。また、
2,3:12,13−ジベンゾフタロシアニン系化合物
と同時、若しくは、交互に薄膜作製する材料の具体例と
しては、従来のフタロシアニン系化合物、ナフタロシア
ニン系化合物、スチルベン系化合物、フルバレン系化合
物、アルミキノリノ錯体等の有機金属錯体、テトラシア
ノキノジメタンや芳香族アミン等の電子受容性化合物、
カルバゾール等の化合物の1種以上が挙げられる。すな
わち、例えば、一般式(化1)の化合物以外のフタロシ
アニン系化合物、テトラチアフルバレニウムテトラシア
ノキノジメタナート、ペリレンテトラシアノキノジメタ
ナート、テトラメチルテトラチアフルバレン(以下、T
MTTFと略する)塩、及びテトラメチルテトラセレナ
フルバレン(以下、TMTSFと略する)塩よりなる群
から選択した少なくとも1種の化合物である。
【0010】本発明における有機薄膜の作製方法として
は、真空蒸着法を適用するのが好適である。2,3:1
2,13−ジベンゾフタロシアニン系化合物は加熱によ
り昇華し基板表面に堆積するため、LB法で行う長鎖置
換基の導入やキャスト法で必要な溶媒探索を行うこと無
しに配向薄膜作製が可能である。また、長鎖置換基導入
による薄膜の熱的特性低下や残留溶媒による薄膜の純度
低下、結晶性低下を招くこともない。多層薄膜作製に当
っても、蒸発源を2つ以上有する真空蒸着装置を使用す
ることにより、真空中の清浄な条件下で連続して成膜で
きる。成膜時の真空度は3次非線形感受率χ(3) や導電
性等の薄膜特性に影響を与え、高い真空度で作製した場
合に特性が向上する傾向にある。薄膜作製時の真空度を
10-8torr以下の超高真空条件とすることが好適であ
り、これより悪い真空度では特性が劣る。なお、2,
3:12,13−ジベンゾフタロシアニン系化合物は、
中心金属Mを適当に選択することによりTHF等の有機
溶媒に可溶となるため、キャスト法での成膜は可能であ
るが、現在のところキャスト法での配向薄膜作製例は無
い。
【0011】薄膜製造時に用いる基板としては、例え
ば、SiO2 やBK7等のガラス基板、KBr、NaC
l、サファイア、CaF2 、BaF2 、Si、GaAs
等の単結晶基板、ITO、SnO2 等の透明電極を持つ
ガラス基板、白金、金、アルミ、マグネシウム等の金属
電極を持つ基板、ポリイミド、ポリビニルアルコール、
ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリユリア等の
高分子膜をコーティングしたガラス基板、マイカ、グラ
ファイト、MoS2 等に加えて、これらの基板の表面を
一定方向にラビングした基板等が使用できる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されない。
【0013】実施例1 図1に示した装置を使用する。すなわち図1は本発明で
使用する真空蒸着装置の概略図であって、符号1は真空
蒸着装置、2、3は試料を加熱して昇華させるためのK
−セル、4は蒸着時の基板温度を制御するためのヒータ
ーブロック、5、6はそれぞれ試料を入れるK−セルの
石英るつぼ、7はサファイア基板を意味する。真空蒸着
装置1内に2種類の試料を加熱して昇華させるためのK
−セル2、K−セル3と、蒸着時の基板温度を制御する
ためのヒーターブロック4を設置する。K−セルの石英
るつぼ5と6にそれぞれ中心金属が亜鉛の2,3:1
2,13−ジベンゾフタロシアニン系化合物(以下、Z
nDBPcと略する)と中心金属部分が酸化チタンのフ
タロシアニンすなわちチタニルフタロシアニン(以下、
TiOPcと略する)を0.1gずつ入れる。ヒーター
ブロック4にサファイア基板7を密着させて固定し、装
置内を8×10-10 torr以下の超高真空に保つ。ZnD
BPcは昇華開始温度が400℃であり、蒸着源温度を
430℃に設定することにより、約10Å/分の蒸着速
度で熱分解なしに蒸着作業を容易に行うことができた。
この時の圧力は3×10-9torrであった。また、TiO
Pcは、昇華開始温度が250℃であり、蒸着源温度を
310℃に設定することにより、約10Å/分の蒸着速
度で、やはり熱分解なしに蒸着作業を容易に行うことが
できた。この時の圧力は8×10-10 torrであった。
【0014】石英るつぼ5を420℃、サファイア基板
7を200℃に設定して、ZnDBPcを30分間蒸着
し、サファイア基板7の上に150ÅのZnDBPc薄
膜を作製した。次に石英るつぼ6を300℃、サファイ
ア基板7を150℃に設定して、TiOPcを3時間蒸
着し、ZnDBPc薄膜上に850ÅのTiOPc薄膜
を作製した。この薄膜のX線回折パターンを図2に示
す。この図において、横軸は回折角度2θ(度)、縦軸
は回折強度(任意単位)を示す。作製した薄膜(以下、
ZnDBPc/TiOc薄膜と称する)は2θ=7.2
5°、7.51°、14.60°、15.12°、2
2.85°に回折ピークを持つ。このうち2θ=7.5
1°、15.12°、22.85°は既に報告されてい
るTiOPcのフェーズ(Phase)II結晶の回折線に相当
し、TiOPc薄膜による回折である〔W.ヒラー、
J.シュトレーレ、V.コーベル、M.ハナク(W.Hi
ller、J.Stra¨hle 、V.Kobel 、M.Hanack)、ツ
ァイトシュリフト フュル クリスタログラフィー
(Z.Kristallogr.)、第159巻、第173頁(19
82)〕。それ以外の2θ=7.25°、14.60°
のピークはZnDBPc薄膜による回折である。TiO
Pc薄膜での回折線の半値幅は0.18°(2θ=7.
51°)、ZnDBPc薄膜では0.15°(2θ=
7.25°)であるからTiOPc薄膜、ZnDBPc
薄膜とも良好な結晶性を有していることがわかった。ま
たTiOPc薄膜では、結晶の(010)面が基板に平
行になっており、フタロシアニン環が基板に対してほぼ
直立した構造となっていることもわかった。
【0015】蒸着膜の可視・近赤外領域での偏光吸収ス
ペクトルを図3に示す。図中、横軸は波長(nm)、縦軸
は吸光度(任意単位)を示す。基板に対して偏光が常に
垂直入射となるように試料を配置し、基板を面内で回転
しながらスペクトル測定を行った。図3中、実線は86
0nmにおけるTiOPcのQ−バンドピークが最も強く
なくなる角度θ1 でのスペクトル、破線は最も弱くなる
角度θ2 でのスペクトルである。作製した薄膜は、50
0〜1000nmのQ−バンドが著しい二色性を示してい
る。ZnDBPcのQ−バンドピークが630nm付近で
あること、θ2−θ1 がほぼ90°になっていること、
Q−バンドがπ−π* 遷移に起因し分子面に平行な方向
に振動する光の電場だけを吸収することを合せて考える
と、ZnDBPcとTiOPcは各々配向しており、両
者の分子面は互いにほぼ直交していることが推察され
た。また、使用した分光器のスポットサイズは5mm×5
mmであり、広い面積にわたって高い配向性を示している
ことは明らかである。蒸着時間を更に長くして、膜厚を
1μm以上とした場合にも、同様の結果が得られている
ことから、この薄膜を使用した導波路の作製が可能とな
った。
【0016】以上述べたようにサファイア上にZnDB
Pcを蒸着し、その上にTiOPcを蒸着すことによ
り、配向性の高いTiOPc薄膜が作製可能であること
がわかった。なお基板としてSiO2 やBK7等のガラ
ス、KBr、NaCl、CaF2 、BaF2 等の単結晶
を用いた場合にも、吸収スペクトルは同様に二色性を示
したが、二色比はサファイアを用いた場合が最大であっ
た。
【0017】次に石英るつぼ5を400℃、石英るつぼ
6を300℃、サファイア基板7を150℃に設定し
て、ZnDBPcとTiOPcを同時に3時間蒸着し、
サファイア基板上に1000Åの共蒸着薄膜を作製し
た。この薄膜の偏光吸収スペクトルを測定したところ、
二色性は観測されなかった。この結果から、TiOPc
の高配向薄膜を作製するには、ZnDBPcとTiOP
cの共蒸着よりも、ZnDBPcとTiOPcを別々の
薄膜層として積層した方が効果があることがわかった。
【0018】実施例2 実施例1で作製したZnDBPc/TiOPc薄膜の三
次非線形光学効果の効率を測定した。測定方法を以下に
概説する。波長1.9μm、パルス幅6ns、繰り返し1
0Hz、強度20MW/cm2 のレーザーパルス光を試料に
垂直に入射し、試料を面内で回転させながら、第三高調
波の出力を測定した。既に効率が既知の材料(ここでは
石英ガラス)を同一の観測系で測定して、χ(3) を算出
した。結果を図4に示す。図中、横軸は回転角(度)、
縦軸はχ(3) (esu) を示す。横軸は回転角0°は、便宜
的に基板の長辺の方向に取っている。χ(3) は角度θ1
で値が最も大きくなり、角度θ2 で最も小さくなる。こ
の時のθ1 、θ2 はそれぞれ実施例1の偏光スペクトル
の吸収ピークが最も強くなる角度、最も弱くなる角度に
一致している。θ1 におけるχ(3) の最大値は3.0×
10-10 esu に達した。この値はほぼ非共鳴と見なせる
波長領域でのχ(3) の値としては極めて大きい。またサ
ファイア上に直接TiOPcを蒸着した場合の従来値
1.7×10-10 esu に比べて2倍近い増大を示してい
る。このことからZnDBPcを薄膜層として使用する
ことにより、金属フタロシアニンの非線形光学材料とし
ての特性を大きく向上させることができることが明らか
となった。
【0019】次に同様な方法で実施例1で作製したZn
DBPcとTiOPcの共蒸着膜のχ(3) を測定したと
ころ、2.0×10-10 esu という値を得た。この値は
サファイア上に直接TiOPcを蒸着した場合の従来値
1.7×10-10 esu に比べると、僅かに増大してはい
るが、ZnDBPcとTiOPcを別々の層として積層
した場合の値χ(3) =3.0×10-10 esu に比べると
小さい。この結果から、ZnDBPcとTiOPcを共
蒸着した場合に比べて、ZnDBPcとTiOPcを別
々の薄膜層として積層した方が、高い三次非線形光学特
性を得られることがわかった。
【0020】実施例3 実施例1と同じ真空装置を使用し、蒸着時の装置内圧力
を変化させて実施例1と同じ操作を行い、サファイア基
板上、及び石英基板上にZnDBPcとTiOPcの2
層薄膜を作製した。このときのχ(3) の圧力依存性を図
5に示す。図5において横軸は圧力(torr)、縦軸はχ
(3) ( 10-10 esu )であり、斜線部分は石英では膜消
失により測定不能の部分である。χ(3) の測定条件は実
施例3と同様で、ポンプ光強度は20MW/cm2 であ
る。蒸着時の装置内圧力を低くするとχ(3) が大きくな
る傾向があること、サファイア基板上に低装置内圧力で
蒸着した場合に最も大きな値が得られることが明らかと
なった。石英基板上に蒸着した薄膜では、装置内圧力が
高くなると光照射により薄膜が消失することから、耐レ
ーザー特性が低下する傾向にあることがわかった。以上
の結果より、ZnDBPc/TiOPc蒸着薄膜で大き
なχ(3) 値と良好な耐レーザー光特性を得るためには、
蒸着時の装置内圧力を10-7torrよりも低くした方が有
利であることがわかった。このような高真空は、本発明
で使用した蒸着装置によって実現可能となったものであ
る。
【0021】実施例4 実施例1で作製した薄膜の電気伝導度の異方性を、試料
を基板面内で回転させて4端子法で測定した。結果を図
6に示す。図中、横軸は試料の回転角(度)、縦軸は電
気伝導率(S/cm)である。横軸の回転角0°は、便宜
的に基板の長辺方向に取っている。電気伝導度は大きな
異方性を有しており、最大値は6×10-4S/cm、最小
値は9×10-7S/cmであった。次に表面をナイロンク
ロスで一方向にラビングしたITO電極付BK7ガラス
を基板とし、実施例1と同様の蒸着操作を行ってZnD
BPc/TiOPc配向薄膜を作製した。この上に金電
極を蒸着法で作製し、薄膜の膜厚方向の電気伝導率を測
定したところ、4×10-2S/cmであった。以上の結果
から、ZnDBPcを薄膜層として使用することによ
り、TiOPc薄膜は擬一次元電気伝導材料として優れ
た特性を発現することが明らかとなった。
【0022】実施例5 実施例1で使用した図1の装置において、K−セルの石
英るつぼ5、6にそれぞれ中心金属が銅の2,3:1
2,13−ジベンゾフタロシアニン(以下、CuDBP
cと略する)と中心金属部分が酸化バナジウムのフタロ
シアニンすなわちバナジルフタロシアニン(以下、VO
Pcと略する)を0.1gずつ入れる。ヒーターブロッ
ク4にサファイア基板7を密着させて固定し、装置内を
8×10-10 torr以下の超高真空に保つ。CuDBPc
は昇華開始温度が380℃であり、蒸着源温度を410
℃に設定することにより、約10Å/分の蒸着速度で熱
分解なしに蒸着作業を容易に行うことができる。この時
の圧力は3×10-9torrであった。また、VOPcは、
昇華開始温度が250℃であり、蒸着源温度を300℃
に設定することにより、約10Å/分の蒸着速度で、や
はり熱分解なしに蒸着作業を容易に行うことができる。
この時の圧力は2×10-9torrであった。石英るつぼ5
を400℃、サファイア基板7を200℃に設定して、
CuDBPcを30分間蒸着し、サファイア基板7の上
に150ÅのCuDBPc薄膜を作製した。次に石英る
つぼ6を290℃、サファイア基板7を100℃に設定
して、VOPcを3時間蒸着し、CuDBPc薄膜上に
850ÅのVOPc薄膜を作製した。実施例2と同様に
して、この薄膜のほぼ非共鳴と見なせる条件下でのχ
(3) を測定したところ、ZnDBPc/TiOPc薄膜
と同様の異方性が観測された。χ(3) の最大値は2.3
×10-10 esu であった。この値はVOPcを直接サフ
ァイア基板に蒸着した場合の値1.3×10-10 esu に
比べて大幅な増大を示している。このことからZnDB
Pcと同様CuDBPcを薄膜層として用いることによ
り、金属フタロシアニンの非線形光学特性を大幅に向上
させられることが明らかとなった。
【0023】実施例6 実施例1で使用した図1の装置において、K−セルの石
英るつぼ5、6にそれぞれ中心金属がマンガンの2,
3:12,13−ジベンゾフタロシアニン(以下、Mn
DBPcと略する)とVOPcを0.1gずつ入れる。
ヒーターブロック4にサファイア基板7を密着させて固
定し、装置内を8×10-10 torr以下の超高真空に保
つ。MnDBPcは昇華開始温度が390℃であり、蒸
着源温度を410℃に設定することにより、約11Å/
分の蒸着速度で熱分解なしに蒸着作業を容易に行うこと
ができる。この時の圧力は5×10-9torrであった。石
英るつぼ5を400℃、サファイア基板7を200℃に
設定して、MnDBPcを30分間蒸着し、サファイア
基板7の上に150ÅのMnDBPc薄膜を作製した。
次に石英るつぼ6を290℃、サファイア基板7を10
0℃に設定して、実施例4と同様、VOPcを3時間蒸
着し、MnDBPc薄膜上に850ÅのVOPc薄膜を
作製した。実施例2と同様にしてこの薄膜のほぼ非共鳴
と見なせる条件下でのχ(3) を測定したところ、ZnD
BPc/TiOPc薄膜と同様の異方性が観測された。
χ(3) の最大値は2.0×10-10 esu であった。この
値はVOPcを直接サファイア基板に蒸着した場合の値
1.3×10-10 esu に比べて増大している。このこと
からZnDBPcと同様MnDBPcを薄膜層として用
いることにより、金属フタロシアニンの非線形光学特性
を大幅に向上させられることが明らかとなった。なお、
2,3:12,13−ジベンゾフタロシアニン系化合物
でMがNi、Co、Sn、Fe、H2 であるものをサフ
ァイア基板の上に蒸着し、その上に金属フタロシアニン
を蒸着した場合にも、金属フタロシアニンは高配向し、
優れた非線形光学特性を示すことが確認された。
【0024】実施例7 実施例1で使用した図1の装置において、K−セルの石
英るつぼ5、6にそれぞれZnDBPcとテトラチオフ
ルバレニウムテトラシアノキノジメタナート(以下、T
TF−TCNQと略する)を0.1gずつ入れる。ヒー
ターブロック4にサファイア基板7を密着させて固定
し、装置内を8×10-10 torr以下の超高真空に保つ。
石英るつぼ5を420℃、サファイア基板7を200℃
に設定して、ZnDBPcを30分間蒸着し、サファイ
ア基板7の上に150ÅのZnDBPc薄膜を作製し
た。次に石英るつぼ6を80℃、基板7を室温に保って
TTF−TCNQを6時間蒸着し、ZnDBPc薄膜上
に1500ÅのTTF−TCNQ薄膜を作製した。蒸着
膜の可視・近赤外領域の偏光吸収スペクトルを測定した
結果、この薄膜は800/1000nmの電荷移動吸収バ
ンドが、二色比2以上の二色性を示した。また、使用し
た分光器のスポットサイズは5mm×5mmであり、広い面
積にわたって高い配向性を示していることは明らかであ
る。蒸着時間を更に長くして、膜厚を1μm以上とした
場合にも、同様の結果が得られている。サファイア上に
ZnDBPc層を作製し、その上にTTF−TCNQを
蒸着することにより、配向性の高いTTF−TCNQ薄
膜が作製可能であることがわかった。また実施例2と同
様にして、この薄膜のほぼ非共鳴と見なせる条件下での
χ(3) を測定したところ、ZnDBPc/TiOPc薄
膜と同様の異方性が観測された。χ(3) の最大値は2.
0×10-11 esu であった。一方TTF−TCNQをア
ルカリハライドやサファイアに直接蒸着した場合の薄膜
は無配向若しくは二方向以上の配向方向を有することが
既に確かめられている。またこれらの薄膜はレーザー耐
性に乏しく、χ(3) は測定できなかった。以上の結果か
らZnDBPc薄膜層を用いることによりTTF−TC
NQの配向性、レーザー耐性が向上し、非線形光学特性
も増大していることがわかる。
【0025】実施例8 実施例7で作製した薄膜の電気伝導度の異方性を、実施
例4と同様な方法で測定した。電気伝導度は大きな異方
性を有しており、最大値は50S/cm、最小値は0.2
S/cmであった。次に表面をナイロンクロスで一方向に
ラビングしたITO電極付BK7ガラスを基板とし、実
施例1と同様の蒸着操作を行ってZnDBPc/TTF
−TCNQ配向薄膜を作製した。この上に金電極を蒸着
法で作製し、薄膜の膜厚方向の電気伝導度を測定したと
ころ、その最大値は1.6S/cmであった。以上の結果
から、ZnDBPcを薄膜層として使用することによ
り、TTF−TCNQ薄膜は擬一次元電気伝導材料とし
て優れた特性を発現することが明らかとなった。
【0026】実施例9 実施例1で使用した図1の装置において、K−セルの石
英るつぼ5、6にそれぞれCuDBPcとTTF−TC
NQを0.1gずつ入れる。ヒーターブロック4にサフ
ァイア基板7を密着させて固定し、装置内を8×10
-10 torr以下の超高真空に保つ。石英るつぼ5を400
℃、サファイア基板7を200℃に設定して、CuDB
Pcを30分間蒸着し、サファイア基板7の上に150
ÅのCuDBPc薄膜を作製した。次に石英るつぼ6を
80℃、基板7を室温に保ってTTF−TCNQを6時
間蒸着し、CuDBPc薄膜上に1500ÅのTTF−
TCNQ薄膜を作製した。実施例2と同様にして、この
薄膜のほぼ非共鳴と見なせる条件下でのχ(3) を測定し
たところ、ZnDBPc/TTF−TCNQ薄膜と同様
の異方性が観測された。χ(3) の最大値は1.2×10
-11 esu であった。また実施例4と同様にして薄膜の電
気伝導度を測定したところ、最大値32S/cm、最小値
は0.8S/cmであり、大きな異方性を有することがわ
かった。これらの結果から、ZnDBPcと同様CuD
BPcを用いても、TTF−TCNQの非線形光学特性
及び擬一次元電導材料としての特性を大幅に向上させる
ことができることがわかった。
【0027】実施例10 実施例1で使用した図1の装置において、K−セルの石
英るつぼ5、6にそれぞれZnDBPcとペリレン−T
CNQを0.1gずつ入れる。ヒーターブロック4にサ
ファイア基板7を密着させて固定し、装置内を8×10
-10 torr以下の超高真空に保つ。石英るつぼ5を420
℃、サファイア基板7を200℃に設定して、ZnDB
Pcを30分間蒸着し、サファイア基板7の上に150
ÅのZnDBPc薄膜を作製した。次に石英るつぼ6を
100℃、基板7を室温に保ってペリレン−TCNQを
5時間蒸着し、ZnDBPc薄膜上に1500Åのペリ
レン−TCNQ薄膜を作製した。実施例2と同様にし
て、この薄膜のほぼ非共鳴と見なせる条件下でのχ(3)
を測定したところ、ZnDBPc/TTF−TCNQ薄
膜と同様の異方性が観測された。χ(3) の最大値は1.
2×10-11 esu であった。また実施例4と同様にして
薄膜の電気伝導度を測定したところ、最大値は2×10
-2S/cm、最小値は7×10-4S/cmであり、大きな異
方性を有することがわかった。以上の結果から、TTF
−TCNQと同様ペリレン−TCNQも、ZnDBPc
薄膜上に蒸着することによって配向させることができ、
またそれによって非線形光学特性及び擬一次元電導材料
としての特性を大幅に向上させることができることがわ
かった。
【0028】なお他の電荷移動錯体例えば、TMTTF
塩やTMTSF塩等においても、同様の特性の向上が見
られることが確認された。また、2,3:12,13−
ジベンゾフタロシアニン系化合物から成る薄膜層上に例
えばフタロシアニン化合物とTTF−TCNQ等、複数
の化合物の共蒸着を行った場合においても、同様の特性
の向上が見られることが確認された。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
配向性に優れる有機薄膜とその製造法を提供できること
は明らかである。その結果、その優れた非線形光学特性
を利用した、光スイッチをはじめとする光エレクトロニ
クス用デバイスの作製が可能となる。また、一次元電気
伝導性を利用した有機エレクトロニクスデバイス用材
料、電子写真感光体の電荷発生材料として使用するのに
好適な有機薄膜が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する真空蒸着装置の概略図であ
る。
【図2】ZnDBPc/TiOPc薄膜のX線回折パタ
ーンを示す図である。
【図3】ZnDBPc/TiOPc薄膜の可視・近赤外
波長領域での偏光吸収スペクトルを示す図である。
【図4】ZnDBPc/TiOPc薄膜のχ(3) の異方
性を示す図である。
【図5】サファイア基板上、及び石英基板上にZnDB
Pc薄膜を蒸着した場合の、蒸着時の装置内圧力と薄膜
のχ(3) の関係を示す図である。
【図6】ZnDBPc/TiOPc薄膜の電気伝導度の
異方性を示す図である。
【符号の説明】
1:真空蒸着装置、2、3:試料を加熱して昇華させる
ためのK−セル、4:蒸着時の基板温度を制御するため
のヒーターブロック、5、6:K−セルの石英るつぼ、
7:サファイア基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/06 370 9221−2H H01L 21/203 8122−4M 51/00 (72)発明者 神原 浩久 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 籏野 昌弘 宮城県仙台市青葉区片平2丁目1番1号 東北大学反応化学研究所内 (72)発明者 小波 秀雄 宮城県仙台市青葉区片平2丁目1番1号 東北大学反応化学研究所内 (72)発明者 白鳥 裕一 宮城県仙台市青葉区中央3丁目3番3号 三丸製薬合資会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2層以上の多層構造を有する有機薄膜に
    おいて、少なくとも1層が、下記一般式(化1): 【化1】 (式中Mは金属、酸化金属、又はH2 を示す)で表され
    る構造の2,3:12,13−ジベンゾフタロシアニン
    系化合物を含有する薄膜層であることを特徴とする有機
    薄膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の有機薄膜において、他
    の少なくとも1層が、その他のフタロシアニン系化合
    物、テトラチアフルバレニウムテトラシアノキノジメタ
    ナート、ペリレンテトラシアノキノジメタナート、テト
    ラメチルテトラチアフルバレン塩、及びテトラメチルテ
    トラセレナフルバレン塩よりなる群から選択した少なく
    とも1種の化合物を含有する薄膜層であることを特徴と
    する有機薄膜。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の有機薄膜を、真
    空蒸着法により形成することを特徴とする有機薄膜の製
    造方法。
JP6054768A 1993-03-12 1994-03-02 有機薄膜及びその製造法 Pending JPH077019A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002076391A (ja) * 2000-09-01 2002-03-15 Japan Science & Technology Corp 有機半導体薄膜太陽電池
JPWO2022045235A1 (ja) * 2020-08-27 2022-03-03

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