JPH0775562A - キサントモナス属に属する新拮抗細菌sb−k88とそれを利用したテンサイ健苗育成方法 - Google Patents

キサントモナス属に属する新拮抗細菌sb−k88とそれを利用したテンサイ健苗育成方法

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JPH0775562A
JPH0775562A JP24608293A JP24608293A JPH0775562A JP H0775562 A JPH0775562 A JP H0775562A JP 24608293 A JP24608293 A JP 24608293A JP 24608293 A JP24608293 A JP 24608293A JP H0775562 A JPH0775562 A JP H0775562A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 テンサイの健全な苗の育成に有用な新規微生
物とその利用を提供する。 【構成】 テンサイの健全な苗の育成に有用な新規微生
物がテンサイに病原性を有さないキサントモナス(Xant
homonas)属に属する新拮抗細菌SB−K88、その培養
物もしくはその処理物であり、この新拮抗細菌SB−K
88、その培養物もしくはその処理物をテンサイの種子
に処理することによりテンサイ苗立枯病の防除と初期発
芽を改善し、健全な苗を育成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はテンサイの栽培に有効
なキサントモナス(Xanthomonas)属に属する新拮抗細菌
SB−K88と当該新拮抗細菌を利用するテンサイ健苗
育成方法に係り、特にテンサイの苗立枯病の防除と発芽
促進への利用に関する。
【0002】
【従来の技術】テンサイの重要病害の一つに苗立枯病が
あり、土壌中に生息する土壌菌であるリゾクトニア ソ
ラニ(Rhizoctonia solani)、ピシュウム ウルチマム(P
ythiumultimum)、アファノマイセス コクリオイデス(A
phanomyces cochlioides)が主たる病原菌であることが
知られている。
【0003】上記テンサイの苗立枯病の発生は、ペ−パ
−ポット(登録商標、以下同じ)による育苗にあって
は、タチガレン、リゾレックス、バリダシン(何れも登
録商標、以下同じ)等の薬剤を培土に混合するか、ある
いは培土に灌注することにより、またテンサイ種子を直
接畑に播種する場合にあっては、種子に前記薬剤を粉衣
することにより防除されている。一方、薬剤に代わる生
物的な防除方法も種々提案されていて例えば、生越等
(1988)、遺伝、第42巻、第6号、第25頁〜第
29頁にはテンサイ種子の拮抗細菌によるバクテライゼ
−ション(種子あるいは苗に拮抗性の微生物をまぶす方
法)についての研究結果で、苗立枯病の病原菌に対して
有効な拮抗細菌としてシウドモナス フルオレッセンス
(Pseudomonas fluorescens)、シウドモナスプチダ(Pseu
domonas putida)、シウドモナス セパシア(Pseudomona
s cepacia)、バチルス エスピ−(Bacillus sp.) を挙
げ、 またこれら拮抗細菌のなかには発芽促進効果のある
ものがあることが記載され、築尾(1993)、植物防
疫、第47巻、第3号、第30頁〜第33頁にはテンサ
イのペレット種子(不規則な形状をしたテンサイ種子を
粘土鉱物などで球形に被覆したもの)へのテンサイ苗立
枯病の拮抗細菌の添加について、供試したシウドモナス
セパシア(Pseudomonas cepacia)およびシウドモナス
フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、にテン
サイ苗立枯病の抑制効果のあることが記載され、 MONIKA
RATH 等(1992)、Bulletin OILB/SROP、 第15
巻、第1号、第113頁〜第114頁にはテンサイの拮
抗微生物による種子腐敗と苗立枯病の生物的防除につい
て、有効な拮抗微生物としてシウドモナス フルオレッ
センス(Pseudomonas fluorescens)等が記載され、特開
平5-51305 公報明細書にはバチルス ズブチリス(Baci
llussubtilis)SC−3およびその変異菌を植物の種子
にコ−ト処理することにより植物病害を防除する方法が
記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記で挙げた、テンサ
イ苗立枯病の防除手段において薬剤による方法は、適用
処方等が確立していて実用化されており、効果的な防除
方法を与えるが、化学物質であることから薬剤耐性や人
畜に対する安全性あるいは残留性の点において万全と言
えず、またテンサイ苗立枯病が恒常的に発生する傾向に
あることから営農コスト的にも大きなウエイトを占める
ため低廉な手段が望まれている。
【0005】一方、拮抗微生物による防除手段として上
記の様に種々生物的手段が提案されているが、何れも研
究段階に留り、実用化に向けてなお解決されなければな
らない課題を残している。例えば、上記各種の研究でテ
ンサイ苗立枯病の拮抗細菌として挙げられているシウド
モナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)
、シウドモナス プチダ(Pseudomonas putida) 、 シ
ウドモナス セパシア(Pseudomonas cepacia)、バチル
ス ズブチリス(Bacillus subtilis)SC−3を、テン
サイ苗立枯病の防除に利用しようとする場合には、これ
ら菌の活性が安定していることが重要な要件となるが、
上記シウドモナス(Pseudomonas)属の細菌が生産する物
質の1つであるピロ−ルニトリンをメルクマ−ルとして
活性の持続性についてみてもなお活性の安定性に問題が
あり、またテンサイ栽培は、営農人口の老齢化に伴う省
力化、並びにコストの低減のために、将来的には直播、
無間引き栽培の割合が益々高くなることが予測され、こ
れがため、発芽性を向上させ得苗率を増加させるより有
効な拮抗微生物による生物的防除手段の提供が望まれて
いる。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明者等は、上記事
情に鑑み、テンサイ苗立枯病の防除により有効な拮抗微
生物について鋭意研究した結果、テンサイの細根から分
離した微生物の中に前記要件を満足し、特に低温時にお
ける発芽促進作用をも抱き合わせて有する拮抗微生物を
見出し、同定により従来知られていない新拮抗細菌と断
定し、この知見に基づきこの発明に想到したものであ
り、第1の発明は、テンサイに対して病原性を示さない
キサントモナス(Xanthomonas)属に属する新拮抗細菌S
B−K88自体であり、第2の発明は、第1の発明の新
拮抗細菌SB−K88の利用に係り、テンサイに対して
病原性を示さないキサントモナス(Xanthomonas)属に属
する新拮抗細菌SB−K88をテンサイ種子にコ−ト処
理することにより苗立枯病を防除することを特徴とする
ものであり、第3発明は、同様にテンサイに対して病原
性を示さないキサントモナス(Xanthomonas)属に属する
新拮抗細菌SB−K88をテンサイ種子にコ−ト処理す
ることにより低温時の発芽を促進することを特徴とする
ものであり、第4の発明は、第3発明のテンサイに対し
て病原性を示さないキサントモナス(Xanthomonas)属に
属する新拮抗細菌SB−K88をテンサイ種子にコ−ト
処理しさらにペレット加工することにより低温時の発芽
を促進することを特徴とするものであり、これにより、
拮抗微生物によるテンサイ苗立枯病の防除を安定的に実
施可能とし、合せて低温時における発芽を改善して生育
の揃った苗の確保を可能とできたものである。以下作用
を含めてこの発明を詳細に説明する。
【0007】この発明のテンサイ苗立枯病の病原菌に有
効な新拮抗細菌は、北海道帯広市上清川町のテンサイ連
作圃場に栽培したテンサイ細根より分離された微生物
で、以下の手順により分離されたものである。採取した
細根を蒸留水で洗浄後摩砕し、摩砕液は滅菌水で106
程度に希釈し、希釈液1mlを、培地組成がシュクロ−ス
10g/l、カゼイン加水分解物8g/l、イ−ストエキス4g/
l、寒天15g/l および蒸留水1000mlの寒天培地(培
地1という)で固化寸前の培地に懸濁し、固化後25℃
に7日間培養して生じたコロニ−から、培地組成がばれ
いしょ煎汁200g/l、ペプトン5g/l、グルコ−ス3g/l、
シュクロ−ス2g/l、寒天15g/l、蒸留水1000mlの試
験管斜面培地(培地2という)に分離した。
【0008】分離株の保存はグルタミン酸ナトリウム1
g/l、スキムミルク10g/l、蒸留水1000mlの分散媒に
けん濁後−80℃に凍結保存し、使用に当たっては前記
保存菌株を前記培地1および培地2に植え、25℃で静
置培養する。
【0009】菌学的性質は以下の如くである。なお、菌
学的性質の検討はバ−ジェ−ズ・マニュアル・オブ・シ
ステマチック・バクテリオロジ−(Bergey's Manual of
Systematic Bacteriology(1984)、Vol. 1、 およ
び長谷川武治著、微生物の分類と同定(1985)、学会
出版センタ−による。 (a)形態 (1)細胞の形および大きさ:単独もしくは2〜3連の
直桿菌で0.5×2.0μm (2)べん毛:極べん毛なし (3)胞子形成:なし (4)グラム染色:陰性 (b)生育状態 前記培地1の組成の1.5%寒天培地で25℃、7日間
培養したときの生育状態は以下のとおり。 (1)形状:円形 (2)周縁:円滑 (3)隆起:盛り上がる。ただし乳頭様( umbonate )で
はない。 (4)表面:円滑 (5)色調:黄色 (c)生理学的性質 (1)O−Fテスト(Hugh Leifson法による):陰性 (2)生育の範囲:最適pH:6.5 生育pH:4.
0〜7.0 最適温度:28℃ 生育温度:25〜40℃ (3)塩化ナトリウム5%:陰性 (4)トリフェニ−ルテトラゾリウムクロライド0.1
%:陰性 (5)メチルグリ−ン0.02%:d (6)ユビキノン:Q8 (7)シュクロ−スからのレバノン産生性:陰性 (8)アルギニン加水分解性:陰性 (9)オキシダ−ゼ反応:陰性 (10)脱窒反応:陰性 (11)主要な菌体脂肪酸:13−メチ−ル テトラデカン
酸(i−c15:0) (12) GC(グアニン、シトシン)含量:66.8% (d)炭素源の資化性 培地組成が硫酸アンモニウム8g/l、リン酸一水素カリウ
ム0.3g/l、リン酸ニ水素カリウム0.2g/l、硫酸マグ
ネシウム・7水塩0.5g/l、塩化カリウム10.2g/l、
メチオニン50mg/l、 寒天15g/l、コハク酸塩1g/l、D
−ガラクト−ス2g/l、グルコ−ス2g/l、プロピオン酸塩
1g/l の培地(培地3という)に接種し、30℃で培養
後生育を示したものを陽性とした。 (1)資化されたもの:グルコ−ス、 トレハロ−ス、 コ
ハク酸塩 (2)資化されないもの:D−ガラクト−ス、 プロピオ
ン酸塩、 2−ケトグルコン酸塩、 メソイノシト−ル、 L
−バリン、 β−アラニン、 DL−アルギニン、馬尿酸塩
【0010】(e)在来の類似種との比較 上記菌学的性質および下記の植物に対する病原性からこ
の発明のテンサイ苗立枯病の病原菌に効果的に拮抗作用
を有する微生物は、好気性のグラム陰性桿菌であり、ユ
ビキノンQ8を持ち、主要な菌体脂肪酸は分岐酸である
13−メチル テトラデカン酸を持つこと、GC(グアニ
ン、シトシン)含量が66.8%であることから判断し
てキサントモナス(Xanthomonas)属に属する細菌である
ことが明らかであり、植物に対する病原性およびD−ガ
ラクト−ス、プロピオン酸塩の資化性が何れも陰性であ
ることから、キサントモナス キャンペストリス(Xant
homonas campestris)とは異なり、また、コロニ−の形
状が乳頭様(umbonate) でないこと、塩化ナトリウム4
%およびトリフェニ−ルテトラゾリウムクロライド0.
1%で生育できないことの点からキサントモナス マル
トフィリア(Xanthomonas maltophilia)ではないことか
ら、キサントモナス(Xanthomonas)属に属する新菌種で
あると判断し、キサントモナス エスピ−(Xanthomona
s sp.)SB−K88と命名した。この新拮抗細菌は工業
技術院生命工学工業技術研究所に平成5年8月23日付
でFERM P-13821として寄託されている。
【0011】(f)培養方法 上記で命名したキサントモナス エスピ−(Xanthomona
s sp.)SB−K88の培養は原則的には一般的な細菌の
場合と同様であるが、上記培地1、培地2および培地3
の何れにおいても良く生育する。
【0012】(g)植物に対する病原性 プロテオ−ス ペプトン#3(Difco)20.0g/l、リン
酸一水素カリウム1.5g/l、硫酸マグネシウム・7水塩
1.5g/l、グリセロ−ル15ml、 寒天15.0g/l、蒸留
水1000ml組成の培地に25℃、3日間培養したコロ
ニ−に爪揚枝先端を刺し入れて菌を付着させ、その先端
をダイコンおよびテンサイの幼苗と、ダイコン、ハクサ
イ、キャベツ、シロナ、タイナ、タアサイ、チンゲンサ
イおよびテンサイの切葉のそれぞれの葉部の表裏の葉脈
部に突き刺して接種し、湿室に入れ23℃の陽光定温器
内に静置し、発病の有無を病原性既知のキサントモナス
キャンペストリス パソバ− キャンペストリス(Xant
homonas campestris pv.campestris)との対比により確
認した結果、上記で命名したキサントモナス エスピ−
(Xanthomonas sp.)SB−K88には病原性は認めなか
った。
【0013】次に上記で説明した新拮抗細菌キサントモ
ナス エスピ−(Xanthomonas sp.)SB−K88(以下
単に「SB−K88」という)のスクリ−ニングとテン
サイ苗立枯病の抑制および発芽促進の状況について試験
例をもって説明する。
【0014】 試験例−1(SB−K88のスクリ−ニング) 北海道帯広市上清川町のテンサイ連作圃場に栽培したテ
ンサイ細根から分離した374の菌株を前記培地3で3
日間培養した菌体のそれぞれを同一条件下でコ−ティン
グしたテンサイ単胚種子モノエ−ス・S(品種、以下同
じ)を、自然汚染土壌を充填した素焼鉢(径12cm、 高
さ12cm)1鉢当たり13粒宛播種し温室内で2週間育
苗する育苗試験を行なった結果、苗立枯病の抑制を示し
た41株が選別された。これら41株について、更に上
記同様の育苗テストを反復して苗立枯病の発病抑制に高
い再現性を示した11株が選別された。
【0015】上記で選別できた11株のそれぞれを、上
記と同様にコ−ティングしたテンサイ単胚種子を、自然
汚染土壌単独、およびテンサイ苗立枯病の主要な病原菌
であるリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani) A
G−4、 ピシュウム ウルチマム(Pythium ultimum)、
アファノマイセス コクリオイデス(Aphanomyces coch
lioides)をそれぞれ接種した砂壌土(淡色黒ボク土壌)
を充填したペ−パ−ポット(対角径0.9cm、 高さ13
cmの六角柱状)に1粒/ポット宛で播種しビニ−ルハウ
ス内で35日間育苗テストを行なった。テストの結果を
菌体のコ−ト処理なしの上記種子を上記各土壌に播種し
た場合(無処理)、および同種子を上記各土壌にタチガ
レン(粉剤)とPCNB(粉剤)をそれぞれ有効成分が50
ppm となるように混合した土壌に播種した場合(薬剤処
理)を対照として表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1において、各数値は苗立枯病の罹病度
を示し、発病の程度を各個体ごとに0〜2の4段階の発
病指数で調査し、下記の式により罹病度を求めた。結果
の判定はDuncanの多重検定により行なった。
【0018】 発病指数 判定基準 2 出芽前立枯を起こしているもの 1 出芽後立枯を起こしているもの 0.5 軽症(立枯は起こしていないが罹病しているもの) 0 健全のもの 罹病度={[(個々体×指数)の合計]/(発病指数2
×全個体数)}×100
【0019】その結果によると、SB−K88に自然汚
染土壌、および病原菌接種土壌の全てにおいて薬剤施用
の抑制に同程度の良好な抑制を認めた。残りの菌株につ
いても、生息あるいは接種した病原菌別に一部の菌株に
ある程度の抑制を認めたが、SB−K88のそれには到
底及ばず、テンサイ苗立枯病の防除に有効な菌株として
SB−K88、即ちこの発明の新拮抗細菌SB−K88
が最も有効な菌株として選別された。
【0020】 試験例−2(SB−K88の濃度と抑制) 上記試験例−1で選別されたSB−K88の有効濃度に
ついて上記ペ−パ−ポットによる育苗試験の要領で自然
汚染土を用いて行なった。種子にコ−ティングする菌体
濃度を106、107、108cfu/1粒種子(cfuはcolony for
ming unit の略) と設定し、1試験区30個体(1粒/
ポット)の4反復とした。その結果を上記試験例−1と
同様に無処理、薬剤処理を対照として表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】表2から菌体濃度を高くするにつれて抑制
が強化する傾向が認められ、濃度が106cfu/ 1粒種子
では殆ど抑制は期待できず、薬剤処理に同等の抑制を期
待するには107cfu/1粒種子以上、好ましくは108cfu
/1粒種子以上が実用濃度であることが知れた。
【0023】上記で、この発明の新拮抗細菌SB−K8
8がテンサイ苗立枯病の防除に有効な微生物であること
を明らかにしたが、このような抑制作用はテンサイの種
子にSB−K88をコ−ティング処理することによって
達せられ、その処理は上記試験例のように単に種子に付
着させるだけでもよく、また付着させた後に更に適当な
被覆剤により被覆したペレット状に加工してもよく、処
理の態様によって抑制が影響されるものではなく、栽培
条件に対応して適宜選択すればよい。
【0024】この発明の新拮抗細菌SB−K88による
苗立枯病発病の良好な抑制が如何なる作用機序によるの
かは定かではないが、種子にコ−ティングした菌体がテ
ンサイ苗の根圏で十分に増殖して病原菌に量的に勝り病
原菌の感染、活動を防御するのか、あるいは何か強烈な
抗菌物質を産生して、これによって病原菌そのものを死
滅あるいは不活化せしめるのかは今後の研究に待たれる
ところであるが、この発明の新拮抗細菌SB−K88の
提供がテンサイの栽培を大きく改善することは意義が深
い。なお、この発明の新拮抗細菌SB−K88には、上
記テンサイの苗立枯病防除に有効なばかりではなく、特
に低温時(15℃前後)における発芽を促進する作用も
持ち合わせていることが知れた。そして、この場合には
種子にコ−ティング処理し、更に被覆剤によりペレット
状に加工したときにより良好となる傾向が認められた。
これにつき試験例3で説明する。
【0025】 試験例−3(テンサイ種子の処理別発芽) テンサイの育苗において、育苗開始後3〜5日目の初期
発芽が其の後の苗完成強いてはテンサイの収穫に重要な
要件となるため、可能な限り初期発芽が高い条件を設定
する。そこで、SB−K88が初期発芽にどのように関
与するかについて試験した。
【0026】凍結保存菌株から分取したSB−K88を
前記培地3で3日間培養後、遠心法により洗浄した菌体
に菌体濃度が107 cfu/1粒種子となるように蒸留水を
加えて菌体けん濁液を調製し、これにテンサイ単胚種子
モノエ−ス・S(元種子)40g(約4000粒)を加
えてSB−K88を付着させた後取り出し風乾してSB
−K88コ−ト処理種子を調製した。このSB−K88
コ−ト処理種子を2分し、その一方をSB−K88コ−
ト処理種子として供試し、他方を釜型造粒機(仕様:径
44cm、 深さ14cm、 平底、上部に14cmの開口がある
球形回転釜、 30rpm、回転角度30〜40度) の中に2
0g量で供給し、回転させながら、水と、珪酸塩類を主
剤とする被覆剤とPVA(水溶性糊)を主とする結合剤
の混合粉剤を散布し、粒径がおよそ4.5mmとなるまで
造粒し、これを取り出し、風乾してSB−K88コ−ト
+ペレット処理種子を調製した。
【0027】別に、上記元種子を上記手法でペレット加
工したペレット処理種子を調製し、ここで調製した3形
態の種子と元種子について、瀘紙法(公定法)により、
設定温度15℃、25℃、1区100粒、4反復の条件
設定により発芽試験開始後3日目発芽率を測定した。こ
の結果を表3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】表3から、処理別の発芽率を考察すると、
発芽設定温度が15℃においては、元種子の発芽率を基
準にして、ペレット処理種子では発芽率実数で24.3
%の発芽性上昇の改善が、同様にSB−K88コ−ト処
理種子では8.0%の発芽性上昇の改善が、また、SB
−K88コ−ト+ペレット処理種子では46.3%の発
芽性上昇の改善が認められた。SB−K88コ−ト+ペ
レット処理種子がもたらす46.3%の発芽性上昇の改
善には前二者の発芽性上昇の改善を含むが、前二者の発
芽性上昇の改善を相加した値は32.3%でありこれを
大きく越えるものである。このことから、SB−K88
コ−ト+ペレット処理種子がもたらす発芽性上昇の改善
はSB−K88コ−トとペレット化の二つの処理が相乗
的に効果した結果と認めることができる。
【0030】一方、発芽設定温度が25℃の場合には、
温度の要因が大きく作用し、処理別には殆ど無関係に8
0%台の発芽率を示し、SB−K88コ−ト処理、ペレ
ット化による発芽性改善は殆ど認められない。このこと
から、テンサイ種子のSB−K88コ−ト、ペレット化
の処理は、15℃のような低温の環境、例えば冬期乃至
は春先に育苗を行なう場合に有効な手段を提供する。
【0031】以上詳細に説明したように、この発明のキ
サントモナス(Xanthomonas)属に属する新拮抗細菌SB
−K88はテンサイの栽培に利用して、重要病害である
苗立枯病を防除し、また低温環境にある育苗において初
期の発芽勢を促進して発芽揃いをもたらすので、従来知
られていない産業上極めて有用な微生物である。
【0032】
【実施例】
実施例1 上記試験例3の要領で、濃度107cfu/l粒種子のSB−
K88をテンサイ単胚種子モノエ−ス・Sにコ−ト処理
し、風乾後ペレット加工して、粒径4.3〜4.6mm範
囲のSB−K88コ−ト+ペレット種子20g(約20
00粒)を調製し、対照として、テンサイ単胚種子モノ
エ−ス・Sを単にペレット加工した粒径4.3〜4.6
mm範囲のペレット種子約2000粒を調製した。
【0033】対角径が19mm、 高さ130mmの六角柱状
のペ−パ−ポット50本を1区として、これをA、B、
Cの3区の3反復を用意し、これら3区のペ−パ−ポッ
トのそれぞれに、テンサイ苗立枯病の病原菌の生息が認
められたテンサイ栽培圃場の土壌を常法により詰め、填
圧により上部におよそ15mmの覆土空間部を形成し、A
区には上記で調製したSB−K88コ−ト+ペレット種
子を、B、C区には単にペレット加工したペレット種子
をそれぞれ、1粒/ポットで填圧土壌上部に播種し、A
区、C区の覆土空間部には上記テンサイ栽培圃場の土壌
を、B区の覆土空間部には上記テンサイ栽培圃場の土壌
1Kgに薬剤リゾレックスH(粉剤)を18g混合した薬
剤処理土壌をそれぞれ覆土して播種を完了し、ビニ−ル
ハウス内の同一条件において常法による灌水管理下で育
苗した。
【0034】発芽は育苗開始後5日目から認められ、8
日目に至って略々出揃った。その後40日目まで育苗を
継続して成苗を計った。8日目〜育苗完了の間において
苗立枯病の発生が認められた。8日目の初期出芽率、1
4日目の総出芽率および40日目の得苗率(播種数に対
する健全苗の%)の調査結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】SB−K88コ−ト+ペレット種子を播種
したA区は、他の2区に比して初期出芽が良好で総出芽
も良好に推移し、得苗率も90%に及ぶ成績を認めた。
覆土を薬剤処理したB区は、覆土を何も処理しないC区
に僅少勝るが、得苗率でA区をおよそ実数で30%下回
る成績であった。
【0037】
【発明の効果】この発明によるときは、キサントモナス
(Xanthomonas)属に属する新拮抗細菌SB−K88は凍
結保存でき、使用に当たりその一部を取り出して容易に
増殖できるので、取り扱いが簡単であり、また使用は増
殖した上記新拮抗細菌SB−K88をテンサイの種子に
コ−ト処理するだけ、あるいはコ−ト処理後ペレット加
工する簡単な処理でよく、取り扱いが容易であり、この
様に新拮抗細菌SB−K88をコ−トした種子を播種す
ることにより、常時発芽の揃った健苗をもたらし、これ
により品質の良好なテンサイの収穫を結果するので、テ
ンサイの健苗育成および栽培に極めて有益である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神沢 克一 北海道帯広市稲田町南9線西19番地 (72)発明者 佐山 充 北海道札幌市豊平区羊ケ丘1番地 農試寮

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テンサイに対して病原性を示さないキサ
    ントモナス(Xanthomonas)属に属する新拮抗細菌SB−
    K88、その培養物もしくはその処理物。
  2. 【請求項2】 キサントモナス(Xanthomonas)属に属す
    る新拮抗細菌SB−K88、その培養物もしくはその処
    理物をテンサイ種子にコ−ト処理することにより苗立枯
    病を防除することを特徴とするテンサイ健苗育成方法。
  3. 【請求項3】 キサントモナス(Xanthomonas)属に属す
    る新拮抗細菌SB−K88、その培養物もしくはその処
    理物をテンサイ種子にコ−ト処理することにより発芽を
    促進することを特徴とするテンサイ健苗育成方法。
  4. 【請求項4】 キサントモナス(Xanthomonas)属に属す
    る新拮抗細菌SB−K88、その培養物もしくはその処
    理物をテンサイ種子にコ−ト処理したテンサイ種子をペ
    レット加工することにより低温時の初期発芽を促進する
    ことを特徴とするテンサイ健苗育成方法。
JP24608293A 1993-09-08 1993-09-08 キサントモナス属に属する新拮抗細菌sb−k88とそれを利用したテンサイ健苗育成方法 Expired - Fee Related JP2955642B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6823623B2 (en) 2000-06-22 2004-11-30 Takii & Company, Limited Method of controlling seed disease
JP2013215189A (ja) * 2012-03-16 2013-10-24 National Agriculture & Food Research Organization 非病原性キサントモナス属細菌菌株及び該菌株を用いた微生物農薬

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JP2013215189A (ja) * 2012-03-16 2013-10-24 National Agriculture & Food Research Organization 非病原性キサントモナス属細菌菌株及び該菌株を用いた微生物農薬

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