JPH0779935B2 - コーディエライト質ガス用フィルタとその製造方法 - Google Patents

コーディエライト質ガス用フィルタとその製造方法

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JPH0779935B2
JPH0779935B2 JP2054984A JP5498490A JPH0779935B2 JP H0779935 B2 JPH0779935 B2 JP H0779935B2 JP 2054984 A JP2054984 A JP 2054984A JP 5498490 A JP5498490 A JP 5498490A JP H0779935 B2 JPH0779935 B2 JP H0779935B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はガス用、特には高温のガス用フィルタとして適
した、コーディエライト質ガス用フィルタおよびその製
造方法に関する。
[技術の背景] セラミックスは一般に、耐熱性や耐腐食性に優れた材料
であって、フィルタ材料として適しており、近年セラミ
ックスガス用フィルタの用途が拡大しつつある。その用
途は公害の防止や製品品質のの向上、更には省エネルギ
ーや石炭エネルギーの開発等におよび、高温の厳しい雰
囲気下で使用できる信頼性のあるセラミックスガス用フ
ィルタの実現に大きな期待が寄せられている。
高温ガスの除塵にセラミックスフィルタを使用する場
合、往々にして急加熱、急冷却が避けられないので、フ
ィルタ用には熱衝撃に強い熱膨張率の小さい材料が必要
とされる。
多種類あるセラミックスの中で、コーディエライト質セ
ラミックスは、相当の耐熱性を備えているとともに熱膨
張率が小さく、熱衝撃にたいして強い材料であるため、
この特性を利用してコーディエライトによる高温用フィ
ルタの開発が行なわれている。
例えば、特開昭58−133810には、コーディエライト質の
ハニカムタイプのフィルタとその製造方法についての開
示があり、特にディーゼルエンジンの排気ガス中に含ま
れる微粒子を除去するのに適した比較的大きな平均気孔
径を有するコーディエライト質フィルタの製造方法を開
示しており、比較的大きい気孔を形成せしめることを目
的として、酸化リチウム成分を加えることが示されてい
る。
また、本出願人は先に特開昭63−31517において、高温
の含塵ガスからの除塵用を目的として、目詰まりしにく
い気孔径分布を有する管状コーディエライト質フィルタ
を提案している。
フィルタとしては通気圧損の小さいものが含塵ガスの処
理容量を大きく取れるので好ましく、このためには気孔
率は大きいほうが良い。
しかし気孔率を大きくすると強度が著しく低下するとい
う問題があり、止むを得ず妥協点を見出してフィルタを
製造しているのが一般的なやり方である。
セラミックスフィルタとして比較的実績のあるアルミナ
や炭化珪素にあってはこれらの材質について研削材や研
磨材としての用途が確立されているので、市販されてい
る適当な粒度の緻密なものを選んで骨材原料に用い、通
気圧損が小さく強度も実用レベルにあるものが比較的容
易に作れる。
これらのフィルタにおいては、通常ガラス質または粘土
による結合部が採用されているが、ガラス質の結合部を
有するものでは800℃における強度が常温の強度の1/3以
下に低下するなど高温の強度が低く、粘土による結合部
を有するものは常温の強度も低いという問題がある。
一方、市販されている合成コーディエライトは大抵気孔
率の大きいものであり、市販の骨材を入手してセラミッ
クスフィルタを試作しても気孔率が大きく、かつ通気圧
損が大きいものとなり、通気圧損を小さくするため気孔
率を大きくすると実用性のある強度が維持できないとい
う問題があった。
コーディエライト質フィルタを高温かつ腐食性の雰囲気
下で長期間利用するためには、信頼性の確保のため、常
温においてはもちろん高温においても強度が大きく、耐
熱衝撃性に優れ、かつ目詰まりしにくく、通気圧損が小
さいことの他に、NOxやSOxなどの腐食性物質を含むガス
を除塵するため、耐腐食性、特に耐酸性に優れたセラミ
ックスフィルタが必要となっている。
本発明の目的は従来技術が有していた前述のコーディエ
ライト質セラミックスフィルタの問題点を解消し、フィ
ルタの通気圧損を小さくするとともに、耐熱性と実用性
のある強度を有し、かつ耐腐食性に優れたコーディエラ
イト質ガス用フィルタおよびその製造方法を提供しよう
とするものである。
[発明の構成] 本発明は前述の問題点を解決すべくなされたものであ
り、本発明のコーディエライト質ガス用のフィルタは、
50wt%以上の、見掛け気孔率が10%以下である粒径74μ
m以上のコーディエライト質骨材と結合部から構成さ
れ、前記結合部の主成分がシリカ(SiO2)とアルミナ
(Al2O3)であり、かつ酸化リチウム(Li2O)を全体の
重量にたいして0.05〜1wt%含むことを特徴とする。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの好ましい
態様では、酸化リチウムをフィルタ全体の重量たいして
0.2〜0.6wt%含む。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの他の好ま
しい態様では、コーディエライト質骨材が概ねコーディ
エライト組成(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を有するガラス
から結晶化されたコーディエライト質骨材である。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの他の好ま
しい態様では、コーディエライト質骨材が、コーディエ
ライト質骨材に、アルミナゾル、シリカゾル、チアニア
ゾル、ジルコニアゾルあるいはこれらの2種以上の混合
液を含浸させたものであり、焼成したとき見掛け気孔率
が10%以下となるものである。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの他の好ま
しい態様ではフィルタ材の気孔率が35%以上であり、か
つ800℃における曲げ強度が75Kg/cm2以上である。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの他の好ま
しい態様では、前記結合部中に、フィルタ全体の重量に
たいして0.5〜12wt%のTiO2および/またはZrO2が添加
されている。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの他の好ま
しい態様では、フィルタの形状が肉厚5mm以上の管状体
である。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの製造方法
では、50wt%以上の、見掛け気孔率が10%以下である粒
径74μm以上590μm以下のコーディエライト質骨材
に、フィルタ全体の重量にたいして酸化リチウムが0.05
〜1wt%となるように、酸化リチウムを含む粉末と粘土
および粒径が74μmより小さいコーディエライト粉末を
配合した結合部を形成する粉末原料を合わせて混合し、
有機質の結合剤を加えて、成形焼成することを特徴とす
る。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの製造方法
の好ましい態様では、見掛け気孔率が10%以下のコーデ
ィエライト質骨材が、マグネシア、アルミナおよび珪砂
を概ねコーディエライト組成(2MgO・2Al2O3・5SiO2)
となるように調合し、電気溶融し、急冷却してガラスと
した後、熱処理により結晶化したものである。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの製造方法
の他の好ましい態様では、酸化リチウムを含む粉末がβ
スポジュウメン粉末である。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの製造方法
の他の好ましい態様では、原料中に燃焼し焼失すること
により気孔を形成する気孔付与材として、コークス粉末
を混合する。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの製造方法
の他の好ましい態様では、フィルタの成形を金属製芯型
とパイプ状ゴム外型を用いてアイソスタチックプレスに
より行ない、管状に成形する。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの製造方法
の他の好ましい態様では、焼成を1310〜1380℃の温度範
囲において行なう。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの製造方法
において、用いるコーディエライト質骨材の見掛け気孔
率を10%以下とする理由は、フィルタの通気圧損を低く
するのに有効なためであり、見掛け気孔率が10%以上あ
ると通気圧損が大きくなるからである。
また、コーディエライト質骨材の見掛け気孔率を10%以
下とすることにより、コーディエライト質骨材の強度が
大きくなり、結果としてフィルタ自体の強度も大きくな
るという効果がある。
粒子径が74μm以上(篩の200メッシュを通過しない粒
度)のコーディエライト質骨材を50wt%以上配合する理
由は、粒子径が74μm以上の骨材が数μm以上のガス用
フィルタに適した大きさの気孔を形成するのに有用なた
めであり、これを50wt%以上配合するのは、フィルタと
しての使用を可能とする通気性をもたらすのに少なくと
も必要な気孔を付与するためであり、粒子径が74μm以
上の骨材が50wt%以下では、焼成時の収縮が大きくな
り、焼成時にフィルタが歪み易く、気孔率が小さくなっ
て通気圧損が大きくなるので好ましくない。
また、コーディエライト質骨材を70wt%以上配合すると
焼成収縮が小さくなるとともに気孔率が増し、かつ通気
圧損が小さくなるので更に好ましい。
ここにおいて残余は通常微細な粉末として配合され、焼
成後のフィルタでは、コーディエライト質骨材の結合部
を形成する。
この結合部は、焼結して強度を付与するために耐火度が
コーディエライト質骨材よりやや低く、骨材との間に生
じる熱応力が大きくならないように熱膨張率がコーディ
エライト質骨材に近いものとするのが好ましい。
フィルタ材の強度を大きくするには、結合部は焼成の際
一部ガラスが形成されるような組成とするのが良い。
粘土を結合部を形成する粉末原料中に配合するのは、結
合部の成分として必要なアルミナとシリカを主成分とし
て含むと同時に、成形性の向上に効果があるためであ
る。
結合部中にアルミナとシリカの他に酸化リチウムを含む
と、焼成時に部分的にガラスが生成し、耐火度が骨材よ
り少々小さく、かつ熱膨張率が骨材のコーディエライト
に近い結合部となり、低気孔率のコーディエライト質骨
材との組み合わせにより、常温は勿論、800℃の高温下
においても十分な強度を保持するフィルタが得られると
いう効果が得られる。
フィルタ材中の酸化リチウムの(Li2O)の含有量は0.05
〜1wt%(βスポジューメンとしては1〜20wt%を配合
することに相当する)であり、0.05wt%以下では強度の
ある焼結体が得られず、1wt%以上では、コーディエラ
イト質セラミックスフィルタの耐熱性が損なわれるため
好ましくない。
酸化リチウム(Li2O)を含む結合部により、高温でも強
度を保持するフィルタが得られる理由は、コーディエラ
イトとβ−スポジューメン(Li2O・Al2O3・4SiO2)の間
の相関係が複雑こともあって(素木洋一 ファインセラ
ミックス P310 1976技報堂)明白でないが、以下のよ
うに推定している。
本発明の酸化リチウム(Li2O)を含みアルミナ(Al
2O3)とシリカ(SiO2)を主成分とするフィルタの結合
部の成分は、焼成時にかなりの部分がガラス化して骨材
間に強固な結合を生じる。このガラス中には大部分の酸
化リチウムが含まれ骨材と比べて低融点になっており、
ガラス中にはその後の冷却により結晶が生成する。
生成した結晶は低熱膨張率となっており、結合部全体と
してはコーディエライト質骨材に近い熱膨張率を有して
いて、室温に冷却された状態でも冷却時に骨材との間の
熱膨張差により生じる残留歪が小さく、室温における強
度が大きいコーディエライト質セラミックスフィルタが
得られる。
結合部を形成する粉末原料にβスポジューメンを加える
のは、酸化リチウムの偏在を避けるのに都合が良いの
と、βスポジューメンがそのままフィルタ材中に残留し
ても結合部全体の熱膨張率を小さくする効果があるため
であり、コーディエライト粉末を加えるのは結合部の熱
膨張率を骨材の熱膨張率に近付けるのに好ましいからで
ある。
また、1000℃程度の高温になっても、相対的に結晶成分
の多い結合部となっているため殆ど軟化することなく強
度が保持される。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタの製造方法
において、ガラスから結晶化したコーディエライト質骨
材を用いるのが好ましい理由は、この骨材が手の込んだ
公定を要するとしても、特に気孔率の小さい骨材が得ら
れること、および通常の焼成によるコーディエライト質
骨材と比べて熱膨張率が約1/2と小さいため、フィルタ
材の熱膨張率が小さく耐熱衝撃性が特に優れたコーディ
エライト質ガス用フィルタが得られるので都合が良く、
骨材が厳密なので耐腐食性にも優れたフィルタとなっ
て、高温の特に厳しい雰囲気中での使用に適するコーデ
ィエライト質ガス用フィルタが製造できるためである。
このガラスから結晶化するコーディエライト質骨材の原
料には、マグネシアクリンカー、バイヤーアルミナ、珪
砂などが好ましく使用でき、その製造は、例えば特公昭
57−20269に開示されているように、一旦急冷却してガ
ラスとしたものを加熱処理して結晶化すると良い。
また合成コーディエライト質骨材としては、滑石と粘土
よび水酸化アルミニウムを原料とする燒結品が好ましく
使用できる。
見掛気孔率が10%以下のコーディエライト質骨材を得る
には、通常の合成コーディエライトの製造段階で十分に
焼き締めるのが経済的であり、ジルコン粉末を添加して
燒結性を向上した原料を用いてもよい。
市販品として入手できる合成コーディエライトは、大抵
気孔率が10%より大きく、そのままでは本発明のコーデ
ィエライト質ガス用フィルタの骨材として使用できな
い。
このため再度焼成して緻密化する方法もあるが、種々検
討した結果、見掛け気孔率のそれほど大きくない骨材で
は、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、ジルコ
ニアゾルなどのコロイド溶液をコーディエライト質骨材
に含浸することにより、10%以下の見掛け気孔率に転換
が可能であり、気孔率を10%以下にできれば本発明のコ
ーディエライト質ガス用フィルタの骨材に問題なく利用
でき、製造したフィルタは通気圧損が小さく強度も大き
いものになる。
コロイド溶液を十分含浸するには減圧を利用するのが好
ましく、骨材を乾燥後繰り返して含浸を行ってさらに緻
密化することも可能である。
本発明の目的には、コロイド溶液を骨材に含浸後、コー
ディエライト質骨材に含浸したコロイド溶液を一度ゲル
化あるいは乾燥すればそのまま骨材として利用できる。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタでは、骨材
の見掛気孔率が10%以下という条件は、焼成後の状態で
達成されている必要がある。
しかし、例えば管状のフィルタに成形した後に、これら
のコロイド水溶液を含浸すると、フィルタ中おいて気体
の流路として利用されるべき気孔を塞ぐことになり、通
気圧損の大きいフィルタになるので好ましくない。
コーディエライト質骨材の見掛け気孔率を10%以下にす
ると通気圧損が小さくなる理由は、およそ以下のとおり
であると推測している。
先ず、セラミックスのフィルタ中を通過するガスの流れ
が、粉体の充填層中を通過する流体の流れを表す式(Ko
zeny−Carmanの式)で近似できるとすると、フィルタ中
を通過するガスが層流の場合、フィルタを隔てての通気
圧損ΔPは次式で表わされる(Fine Particle Measurem
ent,Clyde Orr Jr.et al,Chapter 7,The Macmillan Co.
New York 1959)。
Sv 2=(gcL/2μuLe)(ΔP/L)[ε2/(1−ε)2] ここで、Svは固体の単位容積あたりの表面積であり、gc
は重力定数、Lはフィルタの厚さ、μはガスの粘性、u
はガスの見掛けの速度、Leはフィルタ中における曲がり
くねったキャピラリーの長さ、εは気孔率であり、近似
的に uc=(u/ε)(Le/L)の関係がある。
即ち、フィルタを通過するガスの通気圧損は単位体積中
の粒子の表面積の2乗に比例すると近似できるので、フ
ィルタの通気圧損の低減のためには、フィルタ内に形成
される単位体積中の粒子の表面積を必要最小限の大きさ
にすることにより通気圧損を低減出来ることになる。
また、焼結体においては見掛け気孔率が10%以下になる
と通気率が殆ど無視しうる程度に小さくなる(多孔材料
近藤連一編 技報堂出版(株)1973)ため、気孔率が
10%以下となった粒子内の気孔は通気に関与しなくな
り、通気圧損の原因とならなくなる。
即ち、主に骨材の表面と骨材の間の組織中に形成される
表面積によって通気圧損が決まることになり、通気圧損
の小さいフィルタが製造できると考えられる。
ガス用フィルタとしては、逆洗再生を繰返し行なう都合
上肉厚を余り薄くすると逆洗のガス圧力により破損する
ので、管状体の場合肉厚は5mm以上あるのが好ましい。
通気性をさらによくして通気圧損を小さくするには、焼
成時に焼失して、気孔を形成する気孔付与材を原料に混
入するのがよく、気孔付与材としては、不純物が比較的
少ないので着色が避けられ入手が容易、かつ適度に固く
て成形性に悪影響を及ぼさないコークス粉末、特にピッ
クコークス粉末を混入するのが好ましい。
原料中に有機質の結合剤を混入するのは、生成形体に強
度を付与して成形を容易にし、生成形体の持ち運びに際
して破損を避けることが主な目的であるが、有機質の結
合剤の混入は気孔率の増大にも寄与する。
フィルタの成形方法としては、アイソスタチックプレス
成形、半湿式突き固め成形、押し出し成形などが採用で
き、これらのうちアイソスタチックプレス成形は、従来
緻密な焼結体を製造するのに適する成形方法として多用
されており、多孔質のフィルタの成形方法として利用さ
れている例が見当たらないが、乾燥工程を省略でき、大
型の管状フィルタの成形も可能であり、生産性も良いの
でフィルタの製造にも好ましい成形方法である。
焼成はトネルキルンによることが多いが、シャットルキ
ルンなどでもよく、焼成温度範囲は1310〜1380℃とする
のが好ましい。
焼成温度が1310℃より低いと、焼結不足となって強度が
小さくなり、1380℃より高いと焼結時にフィルタの自重
により変形したり、焼結過剰で気孔率が小さくなってし
まうので好ましくない。
見掛け気孔率を35%以上とする理由は、フィルタとして
実用性のある通気性を得る上で好ましいためであり、80
0℃における曲げ強度の75Kg/cm2という値は見掛け気孔
率が35%以上のコーディエライト質セラミックスフィル
タにおいては前例のない大きさであり、フィルタの信頼
性の向上の点で好ましいためである。
こうして得られた高温でも強度の大きいコーディエライ
ト質セラミックスフィルタはしかしながら実際に高温下
で使用した後、室温の曲げ強度を調べた所、強度が低下
していることが分かった。
その理由は今の所明白でないが、強度の低下があるとき
には、結合部中にβスポジューメンの結晶の存在がX線
粉末回折により検出された。即ち、結合部中の何らかの
組織変化に起因して強度の低下が生じるものと考えられ
る。
この結合部にZrO2および/またはTiO2成分を添加するの
は結晶核となりうるこれらの成分を添加して結合部の結
晶化を促進せしめ、結合部中に存在するガラスを焼成の
冷却時に結晶化して安定な状態にすることを狙ったもの
である。
これらの成分の添加により焼成後にはフィルタの結合部
中にX線粉末回折で確実にβスポジュメン結晶の存在が
確認され、この結果、初期強度は添加しないものと比べ
て少々犠牲になるが、添加しないもののように使用時に
強度低下の傾向を認めず、安定した強度を示し、繰り返
し信頼して使用できるコーディエライト質セラミックフ
ィルタが得られた。
ここにおいて、ZrO2および/またはTiO2の添加量は、フ
ィルタ材中の総量で0.5〜12wt%、特に1〜10wt%とす
るのが好ましく、0.5wt%以下では強度を安定化する効
果が殆ど得られず、また12wt%以上ではフィルタの熱膨
張率が大きくなり、耐熱衝撃性が損なわれることになっ
て好ましくない。
以下本発明を実施例により更に説明する。
[実施例] コーディエライト質骨材としてa,b,c,d,e,f,gの7種類
を準備した。
a.マグネシア、アルミナおよび形砂を2MgO・2Al2O3・5S
iO2のコーディエライト組成になるように調合したもの
をカーボン電極を用いて電気溶融し、融液を水中に注入
して急冷して、コーディエライト組成のガラスとし、取
り出して破砕し粒状のガラスとした。
これを台車に乗せてトンネルキルンに通し、約1380℃で
10時間熱処理して結晶化せしめた。
これを更に砕いて分級し、74〜590μmを取り出した。
この骨材の平均粒径は270μmで、見掛け気孔率は3%
であった。
b.滑石、粘土、水酸化アルミニウムおよびジルコンの微
粉末を化学成分で2MgO・2Al2O3・5SiO2を主成分とし、3
wt%のZrO2を含むコーディエライト組成に調合し、調合
した生原料の100重量部に対して2重量部のメチルセル
ローズと適当量の水を加えて混練し、外径約30mmの棒状
体に押出し成形した。
棒状体を乾燥後、台車に載せてトンネルキルンに通し、
最高温度1360℃で10時間保持し、合成コーディエライト
を得た。これを更に粉砕して分級し、74〜590μmを取
り出した。
この骨材の平均粒径は265μmで、見掛け気孔率は7%
であった。
c.滑石、粘土および水酸化アルミニウムの微粉末を概ね
2MgO・2A12O3・5SiO2のコーディエライト組成となるよ
うに調合し、調合生原料100重量部に対して2重量部の
メチルセルローズと適当量の水を加えて混練し、外径約
30mmの棒状体に押出し成形した。
乾燥後台車に載せてトンネルキルンに通し、最高1360℃
で10時間保持し、合成コーディエライトを得た。これを
更に粉砕して分級し、74〜590μmを取り出した。
この骨材の平均粒径は250μmで、見掛け気孔率は12%
であった。
d.市販品の合成コーディエライト骨材を粉砕して分級
し、74〜590μmを取り出した。
この粗粒子の平均粒径は230μで、見掛け気孔率は30%
であった。
e.cで得られたコーディエライト質骨材にアルミナゾル
を含浸し、減圧下で含浸し、乾燥した。この骨材を1000
℃で加熱した後の見掛け気孔率は8%であった。
f,g.cで得られたコーディエライト質骨材にそれぞれシ
リカゾルとチタニアゾルを減圧下で含浸し、乾燥した。
これらの骨材を1000℃で加熱した後の見掛け気孔率はそ
れぞれ7%と8%であった。
βスポジューメンの粉末は以下の様にして調製した。ロ
ウ石と炭酸リチウムの粉末をそれぞれ85wt%と15wt%の
割合で混合し、更に湿式で混合粉砕した。このフィルタ
ケーキを乾燥後電気炉中で1150℃の温度で焼成してβス
ポジューメンを合成し、これを微粉砕して325メッシュ
の篩を通した。
a〜gの7種類のコーディエライト質骨材を用い、第1
表および第2表に示した条件により、管状のコーディエ
ライト質ガス用フィルタを試作した。
第1表の実施例および比較例は、骨材の気孔率の多少と
骨材の配合量の多少が主にフィルタ特性の及ぼす効果を
調べたものである。
この例では結合部に粘土10重量%のほか同材質のコーデ
ィエライト微粉末を10〜25wt%およびβスポジュメン微
粉末を5wt%加えたものを用い、この混合物100重量部に
対して、気孔付与材として粒度が20〜100μのピッチコ
ークス粉末を25重量部加え、有機結合材としてフェノー
ル樹脂の50wt%水溶液を5重量部加えて混合し、110℃
で乾燥した後解砕して粒径3mm以下の粒状原料とした。
この原料を用いてアイソスタチックプレスで1000Kg/cm2
の圧力により、外径約170mm、内径約140mm、長さ約850m
mの管状体を成形した。
この管状の成形体を電気炉中で最高温度1320℃で5時間
焼成し、管状のコーディエライト質フィルタを得た。
焼成をトンネルキルンで行う場合には約1350℃で焼成す
る時ほぼ同様の焼結状態のフィルタが得られた。
それぞれの管状コーディエライト質フィルタについて調
べた特性を第1表に併せて示した。また、その他の実施
例および比較例についても第1表に示す条件の他は前記
と同様の条件により管状のフィルタを試作し、その特性
を第1表に示した。
ここで、見掛け気孔率は水浸法により測定し平均気孔径
は水銀ポロシメータにより測定した。
また、曲げ強度は14×20×100mmの試験片により、支点
間距離70mmの3点曲げ試験で測定した。
耐酸性は室温においてINのH2SO4水溶液中に72時間浸漬
した後の曲げ強度の変化により調べた。
さらに、除塵性能は逆洗方式の除塵試験装置により平均
粒径約50μmのベンガラ粉末の塵を40g/Nm3の濃度とな
るように空気中に分散させ、雰囲気温度を300℃とし
て、空気のフィルタ通過速度5cm/secでそれぞれ100時間
の試験を行なった。
なお、ベンガラ粉末の粒度分布は1μm以下が1wt%、
1〜10μmが7wt%、10〜40μmが35wt%、40〜100μm
が46wt%、100〜800μmが11wt%であった。
第2表は結合部の成分を変化させることによるフィルタ
の材料特性およびフィルタ特性に及ぼす効果を調べたも
のであり、フィルタの製造条件の内表に示されていない
条件は、前記の実施例と同様の条件によった。
比較例5において、ベントナイト中にはアルカリ成分が
含まれており、焼成時に容易にガラス化するので、常温
では強度のあるフィルタが得られている。
第2表において、ZrO2および/またはTiO2の添加量は骨
材と他の結合成分の合計重量100重量部に対する比であ
る重量部としてある。
使用時の強度低下の有無を調べる方法としては、セラミ
ックスフィルタから切り取った曲げ強度試験片を1000℃
の電気炉中に24時間保持した後、室温における曲げ強度
を測定した。
この結果、結合部中にジルコニアおよび/またはチタニ
アを添加したセラミックスフィルタは初期強度について
は若干小さくなっているが、熱処理後にも強度の低下は
認められなかった。
[発明の効果] 本発明のコーディエライト質ガス用フィルタおよびその
製造方法により、耐熱衝撃性と耐腐食性に優れ、通気圧
損が小さく、かつ800℃程度の高温においても強度が大
きく、特に高温ガスの除塵用に適したコーディエライト
質ガス用フィルタとその製造方法が示された。
本発明においては、10%以下という低気孔率の骨材、特
にガラスから結晶化したコーディエライト質骨材を使用
することにより、フィルタの通気圧損が小さくなり、か
つ低気孔率の骨材と酸化リチウムを含む結合部との組み
合わせにより、気孔率が大きくても強度が大きく、高温
でもこの強度を保持するとともに耐腐食性、特に耐酸性
に優れたコーディエライト質ガス用フィルタが実現され
た。フィルタの通気圧損が小さいことは、同じフィルタ
装置を用いても含塵ガスの処理容量を増すことができ、
フィルタの強度が充分あることにより、フィルタ装置の
設置およびメインテナンス時におけるフィルタの破損が
大幅に減り、装置の信頼性が向上するという効果が得ら
れる。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタにおいて、
高温で使用するとき強度の低下する傾向があったが、結
合部中にTiO2やZrO2を添加することにより、結合部中の
不安定なガラス相を焼成時に結晶に転化し、強度の低下
傾向のない信頼性のあるフィルタに改善することができ
た。
さらに、現在有望とされている炭化珪素質のフィルタに
おいては、燃焼ガス中に含まれる水蒸気により酸化を受
け気孔が閉塞したり通気圧損が大きくなるなどの問題の
存在が明らかになったのにたいし、本発明の製造方法に
よるコーディエライト質ガス用フィルタは、石炭の燃焼
ガスのような水蒸気、NOxおよびSOx等を含む酸性の腐食
性ガス雰囲気中において優れた耐久性があり、発電用の
石炭を燃やす流動層ボイラー、更には加圧流動層ボイラ
ーや石炭ガス化炉による合成ガスの除塵などに好ましく
利用できるものである。
本発明のコーディエライト質ガス用フィルタは高温を利
用する産業が排出する各種の高温含塵ガスの除塵に広く
利用でき、従来塵を含むために回収できず捨てていた熱
エネルギを回収して有効利用するのを可能とするもので
ある。
また、除塵された高温ガスではNOxやSOxの除去も容易と
なり、分離した塵も乾いた状態で回収されるので、有効
利用が容易になるという効果もあるなど、その産業上の
利用効果は多大である。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】50wt%以上の、見掛け気孔率が10%以下で
    ある粒径74μm以上のコーディエライト質骨材と結合部
    から構成され、前記結合部の主成分がシリカ(SiO2)と
    アルミナ(Al2O3)であり、かつ酸化リチウム(Li2O)
    をフィルタ全体の重量にたいし0.05〜1wt%含むことを
    特徴とするコーディエライト質ガス用フィルタ。
  2. 【請求項2】請求項1において、酸化リチウムをフィル
    タ全体の重量にたいし0.2〜0.6wt%含むコーディエライ
    ト質ガス用フィルタ。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、コーディエラ
    イト質骨材が概ねコーディエライト組成(2MgO・2Al2O3
    ・5SiO2)を有するガラスから結晶化されたコーディエ
    ライト質骨材であるコーディエライト質ガス用フィル
    タ。
  4. 【請求項4】請求項1または2において、コーディエラ
    イト質骨材が、コーディエライト質骨材に、アルミナゾ
    ル、シリカゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾルあるい
    はこれらの2種以上の混合液を含浸させたものであり、
    焼成したとき見掛け気孔率が1%以下となるものである
    コーディエライト質ガス用フィルタ。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1つにおいて、フ
    ィルタの気孔率が35%以上であり、かつ800℃における
    曲げ強度が75Kg/cm2以上であるコーディエライト質ガス
    用フィルタ。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1つにおいて、前
    記結合部中に、フィルタ全体の重量にたいして0.5〜12w
    t%のTiO2および/またはZrO2が添加されているコーデ
    ィエライト質ガス用フィルタ。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1つにおいて、フ
    ィルタが肉厚5mm以上の管状体であるコーディエライト
    質ガス用フィルタ。
  8. 【請求項8】50wt%以上の、見掛け気孔率が10%以下で
    ある粒径74μm以上のコーディエライト質骨材に、フィ
    ルタ全体の重量にたいして酸化リチウムが0.05〜1wt%
    となるように、酸化リチウムを含む粉末と粘土および粒
    径が74μmより小さいコーディエライト粉末を配合した
    結合部を形成する粉末原料を合わせて混合し、有機質の
    結合剤を加えて成形し、焼成することを特徴とするコー
    ディエライト質ガス用フィルタの製造方法。
  9. 【請求項9】請求項8において、見掛け気孔率が10%以
    下のコーディエライト質骨材が、マグネシア、アルミナ
    および珪砂を概ねコーディエライト組成(2MgO・2Al2O3
    ・5SiO2)となるように調合し、電気溶融し、急冷却し
    てガラスとした後、熱処理により結晶化したものである
    コーディエライト質ガス用フィルタの製造方法。
  10. 【請求項10】請求項8または9において、酸化リチウ
    ムを含む粉末がβスポジューメン粉末であるコーディエ
    ライト質ガス用フィルタの製造方法。
  11. 【請求項11】請求項8〜10のいずれか1つにおいて、
    原料中に、燃焼して焼失することにより気孔を形成する
    気孔付与材としてコークス粉末を混合するコーディエラ
    イト質ガス用フィルタの製造方法。
  12. 【請求項12】請求項8〜11のいずれか1つにおいて、
    フィルタの成形を金属製芯型とパイプ状ゴム外型を用い
    るアイソスタチックプレスにより行い、焼成を1310〜13
    80℃において行うコーディエライト質ガス用フィルタの
    製造方法。
  13. 【請求項13】概ねコーディエライト組成を有するガラ
    スから結晶化された粒径74μm以上のコーディエライト
    質骨材50wt%以上と、シリカおよびアルミナを主成分と
    する結合部とから構成され、見掛け気孔率が35%以上あ
    り、かつ800℃における曲げ強度が75kg/cm2以上である
    ことを特徴とするコーディエライト質ガス用フィルタ。
  14. 【請求項14】概ねコーディエライト組成を有するガラ
    スから結晶化された粒径74μm以上のコーディエライト
    質骨材と、74μmより細かくシリカおよびアルミナを主
    成分とする結合部を形成する粉末原料と、燃焼して焼失
    することにより気孔を形成する気孔付与材と、有機質結
    合剤とを含む粒状原料を、金属製芯型とパイプ状ゴム外
    型とからなる成形型中に充填してアイソスタチックプレ
    スにより管状に成形し、次いで1310〜1380℃で焼成する
    ことを特徴とするコーディエライト質ガス用フィルタの
    製造方法。
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