JPH0787337B2 - 音響信号処理装置 - Google Patents

音響信号処理装置

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JPH0787337B2
JPH0787337B2 JP2000307A JP30790A JPH0787337B2 JP H0787337 B2 JPH0787337 B2 JP H0787337B2 JP 2000307 A JP2000307 A JP 2000307A JP 30790 A JP30790 A JP 30790A JP H0787337 B2 JPH0787337 B2 JP H0787337B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、音響信号処理装置に関し、詳しくは複数の
巡回型ディジタルフィルタを具備する音響信号処理装置
において各ディジタルフィルタから発生するリミットサ
イクルノイズの影響を最少限に抑えた音響信号処理装置
に関する。
[従来技術] 従来、電子楽器に用いる音源あるいは電子楽器などの効
果装置として、各種のディジタル・エフェクタ、例えば
ディジタルリバーブあるいはディジタルディレイ装置な
どが知られている。これらの装置および各種の楽音合成
装置などには、音響信号の周波数特性を制御するために
ディジタルフィルタが多用されている。
ディジタルフィルタには、基本的に信号帰還路のないFI
R(非巡回)型と、帰還路を有するIIR(巡回)型があ
る。得られる周波数特性からみると、IIRフィルタの方
が比較的簡単な構成(より少ない演算器の数あるいは乗
加算の回数)で急峻な特性を得やすい。
かかるIIRフィルタが多用されるシステムの一例とし
て、ディジタルリバーブ(残響音付加装置)がある。残
響音付加装置の典型的な構成としては、たとえば特開昭
58−14898号報に開示されたものなどがある。
[発明が解決しようとする課題] ところで、IIRフィルタは帰還路を持ち、また現実のフ
ィルタにおいては信号および係数を有限語長で構成して
処理を行うため、入力信号がゼロに落ちても出力信号が
ゼロに落ちず、一定の値(DC値)あるいはある周期の連
続寄生振動を起こすことがある。これがいわゆるリミッ
トサイクルの問題である。
第13図は、1次のIIRフィルタの典型的な回路例を示
す。同図のIIRフィルタは、加算器21、メモリ22および
乗算器23を具備する。メモリ22は2語の記憶アドレスを
有するディレイ用のメモリであり、現在時刻nにy
(n)が書き込まれる際には、一つ前の時刻n−1にお
ける出力信号y(n−1)が読み出されるように構成さ
れている。一つ前の出力信号y(n−1)は乗算器23に
おいて振幅レベル制御用の係数bと乗算され、その結果
は加算器21に入力する。加算器21は時刻nにおける入力
信号x(n)と乗算器23からの出力b・y(n−1)と
を加算して、出力信号y(n)を生成出力する。以上よ
り、例えば振幅データなどの入力ディジタル信号x
(n)に対し、IIR演算式 y(n)=x(n)+b・y(n−1) で規定される出力ディジタル信号y(n)と1つ前のy
(n−1)とが出力される。
第13図のような1次のIIRフィルタで、処理するディジ
タル信号の語長がBである場合を例にとると、ディレイ
の出力y(n−1)の絶対値は、下式の範囲値(デッ
ドバンド)に収束、または正負に振動することが公知と
なっている。
|y(n−1)| ≦[0.5×2-(B-1)]/(1−|b|) ……… 例えば、b=+0.75、B=4の時は、一定値1/4に収束
し、b=−0.75、B=4の時は、振幅±1/4、fS/2の周
波数で振動する。
このように、有限語長の問題からIIRフィルタは、出力
に一定値(DC値)が出続けたり、fS/2(fS:サンプリン
グ周波数)の周波数で振動を起こしてしまう危険性を持
っている。フィルタは、式で与えられるデッドバンド
値を越える入力が与えられるまでリミットサイクル信号
を出力し続ける。
第14図は、DC値が連続して出力されるリミットサイクル
が発生した場合の入力および出力信号のグラフを示す。
時刻T1において入力信号SI1が与えられ、これに対し出
力信号SO1が出力される。LC10はリミットサイクルが生
じた区間を示し、この区間では入力がゼロであるのに一
定のDC値が出力され続けている。
第15図は、周期的なリミットサイクルが生じた場合の入
力および出力信号のグラフを示す。ある時刻T2において
入力信号SI2が入力し、これに対し出力信号SO2が出力さ
れている。LC20がリミットサイクルが生じた区間を示
し、この区間では絶対値が一定で符号が+および−の信
号がサンプリングの時刻ごとに交互に出力され続けてい
る。
このようなリミットサイクルは、入力信号が途絶えて
も、リミットサイクルによる微少な信号が出力されるこ
とになるので、音響信号処理システムにとってはノイズ
に等しい。たとえDC的なリミットサイクルであっても、
クリックノイズや後段におけるDCレベルずれなどの問題
の原因となる。以上のように、リミットサイクルによっ
てIIRフィルタが一種のノイズ源と化してしまうという
問題点があった。
このため、上述した特開昭58−14898号報に開示された
ような残響音付加装置においては、残響音形成部に多数
のIIRフィルタが並列に用いられているため、各フィル
タがリミットサイクルを生じるとすると、S/Nの低下を
招いたりダイナミックレンジが狭くなるという問題点が
あった。一方、リミットサイクルの影響を低減するため
には、語長を十分に大きくとればよいが、これでは構成
が大規模化するという不都合があった。
この発明は、上述の従来例における問題点に鑑み、IIR
フィルタにおいて生じるリミットサイクルの影響を極力
低減せしめ、構成の大規模化を招くことなくS/Nの良い
信号処理を可能とする音響信号処理装置を提供すること
を目的とする。
[課題を解決するための手段] この目的を達成するため、この発明は、音響信号を入力
する複数の巡回型ディジタルフィルタを具備し、この複
数の巡回型ディジタルフィルタの出力を合成(例えば加
算など)して出力信号を生成する音響信号処理装置にお
いて、各巡回型ディジタルフィルタから発生する各リミ
ットサイクルノイズが相殺するように、各巡回型ディジ
タルフィルタの出力信号の位相を制御する手段を具備す
ることを特徴とする。
このような各巡回型ディジタルフィルタの出力信号の位
相の制御は、例えばこれらの各出力信号に乗算する各係
数の絶対値および/または符号(+/−)を適宜選択し
て設定することにより実現される。
さらに、複数の巡回型ディジタルフィルタの出力信号を
所定時間遅延させ、これによりリミットサイクルノイズ
を相殺して合成した出力信号を生成することもできる。
[作 用] 上記構成によれば、複数の巡回型ディジタルフィルタの
出力信号はその位相が制御され、各巡回型ディジタルフ
ィルタにて発生するリミットサイクルノイズは、これら
の出力が合成された後には相殺されるようになってい
る。
例えば、複数の巡回型ディジタルフィルタの出力信号を
加算して出力する音響信号処理装置において各巡回型デ
ィジタルフィルタのリミットサイクルノイズが第14図に
示すようなDC値のノイズであったとすると、これら複数
ある巡回型ディジタルフィルタの出力信号に乗算する各
係数の絶対値および/または符号を適宜選択し、これら
の出力信号を加算した後にリミットサイクルノイズ(DC
値)を相殺するようにできる。
また、複数の巡回型ディジタルフィルタの出力信号を加
算して出力するような音響信号処理装置において第15図
に示すような振動するリミットサイクルノイズが各巡回
型ディジタルフィルタにおいて発生したとすると、これ
らの出力信号を適宜遅延させその後加算することによ
り、このリミットサイクルノイズを相殺することができ
る。
[実施例] 以下図面を用いてこの発明の実施例を説明する。
まず、第1図を参照してこの発明の原理を説明する。第
1図(a)において、巡回型ディジタルフィルタ(IIR
フィルタ)11,12は並列に接続され、これらの出力は加
算器14において加算され、最終的な出力信号が生成され
る。13はIIRフィルタ12の出力に所定の係数を乗算する
乗算器である。このような構成例は、IIRフィルタ11,12
において発生するリミットサイクルノイズが、第14図に
示すような一定値の出力である場合、または第15図に示
すような周期的なリミットサイクルノイズが同位相で発
生するような場合に用いられる。
簡単な例としてIIRフィルタ11とIIRフィルタ12のリミッ
トサイクルノイズが第13図に示すような同じ絶対値|a|
のDC値であったとする。このとき、乗算器13の乗算の係
数を−1とすれば、リミットサイクルの区間において
は、IIRフィルタ11から+|a|のリミットサイクルノイズ
が出力され、乗算器13からはIIRフィルタ12からのリミ
ットサイクルノイズに係数−1を乗算した−|a|の信号
が出力される。したがって、加算器14では、これらのリ
ミットサイクルノイズが相殺され出力信号はゼロとな
る。
同様にIIRフィルタ11のリミットサイクルノイズが第15
図に示すような周期的なものであって、これと同位相で
同振幅のリミットサイクルノイズがIIRフィルタ12にお
いて発生する場合も、乗算器13の係数を−1とすれば、
加算器14においてこれらのリミットサイクルノイズが相
殺し出力号がゼロとなる。
乗算器13の係数すなわち乗算する絶対値および/または
符号は、リミットサイクルノイズが相殺するように適宜
設定すればよい。なお、IIRフィルタにおいてフィルタ
の各定数値が定まればそのフィルタからどのようなリミ
ットサイクルノイズが発生するかは、あらかじめ計算に
より求めることができるので、IIRフィルタの組合せや
各IIRフィルタからの出力の合成のしかたなどが定まれ
ば乗算器の係数も定めることができる。
第1図(b)は、IIRフィルタ11の出力、およびIIRフィ
ルタ12の出力をディレイ回路15で所定時間遅延させた出
力を、加算器14で加算して最終的な出力を生成するもの
である。例えば、IIRフィルタ11および12から発生する
リミットサイクルノイズがどちらも同位相同振幅の第15
図に示すような周期的なノイズであった場合、一方のII
Rフィルタ12の出力をディレイ回路15により1サンプリ
ング期間遅延させることにより、加算器14にてこれらの
リミットサイクルノイズが相殺される。
なお、例えばリバーブ回路などにIIRフィルタを適用し
た場合を考えると、以上のように乗算器13あるいは遅延
回路15を設けたとしても、リミットサイクルノイズが発
生する区間前に出力される残響音信号の残響感にはほと
んど影響がない。
第2図は、この発明の一実施例に係る音響信号処理装置
のブロック回路図である。この回路はこの発明の音響信
号処理装置を残響音付加装置に適用した例である。
この図において、音響信号を所定周期でサンプリングし
た振幅データ(ディジタルデータ)の入力はまず初期反
射音形成部1に入力する。初期反射音形成部1は構成的
にはFIRフィルタであるので、リミットサイクルは生じ
ない。同図の回路において、ディジタルデータである音
響信号および係数語長はある所定の有限ビット数に決め
られているものとする。
初期反射音形成部1は所定の個数(例えば、2048個)の
記憶アドレスを有するメモリD0と、このメモリD0の所定
のアドレス位置に設けられたタップT02,T03,T04に接続
された乗算器101,102,103と、乗算器101および102の出
力を加算して初期反射音のデータECH1を出力する加算器
111と、乗算器101および103の出力を加算して初期反射
音のデータECH2を出力する加算器112とを具備してい
る。メモリD0のタップT02,T03,T04の位置および乗算器1
01,102,103の係数K01,K02,K03は得ようとする初期反射
音に応じて定める。
一方、初期反射音形成部1のタップT01の出力はオール
パスフィルタAPF1を介して残響音形成部2へと入力す
る。残響音形成部2は初期反射音に続く残響音を形成す
る部分である。
オールパスフィルタAPF1は周波数特性が平坦な遅延回路
であり、第3図に示すような構成である。
第3図を参照して、オールパスフィルタAPFへの入力デ
ータは加算器RR1に供給されるが、その前に所定の語数
の記憶アドレスを有するディレイ用のメモリDDに所定時
間前に書き込まれたデータを読み出すためのアドレスAD
nが指定される。これによりディレイ用メモリDDから所
定時間前に書き込まれたデータ(アドレスADnのデー
タ)が読み出され、このデータは加算器RR2に入力す
る。一方、オールパスフィルタAPFへの入力データは、
乗算器AN2において所定の振幅レベル制御用の係数AN2と
乗算され、その結果は加算器RR2に入力する。加算器RR2
は、メモリDDからの所定時間遅延したアドレスADnのデ
ータと乗算器AN2からの出力データとを加算し、この結
果がオールパスフィルタAPFの現在時刻における出力デ
ータとして出力される。この出力データは、乗算器MM1
において振幅レベル制御用の係数AN1と乗算され、その
結果が加算器RR1に帰還される。そして、加算器RR1にお
いてこの帰還データと現在時刻において供給されるデー
タとを加算し、その結果をディレイ用メモリDDの現在時
刻におけるアドレス位置に記憶する。以上のようにし
て、オールパスフィルタAPFの出力信号が生成される。
再び第2図を参照して、オールパスフィルタAPF1の出力
は、残響音形成部2を構成する巡回型ディジタルフィル
タIIR1〜IIR4へと入力する。これらのフィルタIIR1〜II
R4は遅延時間の異なるくし型フィルタ構成の遅延回路で
あり、ここでは4回路を並列に設けている。
フィルタIIR1は所定の遅延時間を得るための所定語長の
メモリD1、乗算器211、加算器212、および乗算器214を
具備している。フィルタIIR1への入力は、まず乗算器21
1において振幅レベル制御用の係数K11と乗算される。そ
してその結果は加算器212に入力する。ここで、所定語
長の記憶アドレスを有するメモリD1に所定時間前に書き
込まれた振幅データが読み出され、この振幅データは乗
算器214において振幅レベル制御用の係数K12と乗算さ
れ、その結果が加算器212に入力される。加算器212は、
乗算器211からの入力および乗算器212からの遅延した入
力を加算する。加算の結果は、メモリD1の現在時刻デー
タを書き込むべきアドレスに書き込まれる。メモリD1に
は適当なアドレス位置に出力タップT11,T12を設けてお
き、これらのタップT11,T12から出力信号を取り出して
いる。
フィルタIIR1と並列に設けられているフィルタIIR2〜II
R4はフィルタIIR1と同様の構成である。ただし、これら
のフィルタIIR1〜IIR4の各係数あるいはタップ位置など
は、所望の遅延信号を得るために適宜選択される。
フィルタIIR1〜IIR4の出力すなわち残響音が形成された
音響信号は、IIR出力混合部3に入力する。IIR出力混合
部3においては、まずフィルタIIR1〜IIR4の出力信号に
対し、乗算器311,312,321,322,331,332,341,342におい
て所定の係数(後述するような所定の絶対値および符
号)を乗算する。この乗算結果を加算器351,352でそれ
ぞれ加算する。
乗算器311,321,331,341の係数M11,M12,M13,M14は、加算
器351における加算の際にフィルタIIR1〜IIR4にて発生
するリミットサイクルノイズができる限り相殺するよう
に、適宜選択する。これにより、加算器351の出力にお
けるリミットサイクルノイズの影響が低減される。同様
にして、乗算器312,322,332,342の係数M21,M22,M23,M24
は、加算器352における加算の際にフィルタIIR1〜IIR4
にて発生するリミットサイクルノイズができる限り相殺
するように、適宜選択する。これにより、加算器352の
出力におけるリミットサイクルノイズの影響が低減され
る。
加算器351の出力信号は、オールパスフィルタAPF2およ
びAPF3を介して加算器361に入力する。加算器361では、
初期反射音形成部1からの出力ECH1とオールパスフィル
タAPF3の出力とを加算し、最終的な音響信号(残響音が
付与された信号)として出力する。同様にして、加算器
352の出力信号は、オールパスフィルタAPF4およびAPF5
を介して加算器362に入力する。加算器362では、初期反
射音形成部1からの出力ECH2とオールパスフィルタAPF5
の出力とを加算し、最終的な音響信号(残響音が付加さ
れた信号)として出力する。
ここで2系列の出力としたのは、所定の遅延時間でそれ
ぞれのチャンネルを駆動し、疑似ステレオとするためで
ある。
第2図の回路において、各係数および遅延時間などはパ
ラメータ供給部から供給される。第4図は、このパラメ
ータ供給部を示す。
パラメータ供給部400はどのような残響音を付与するか
を指定する特性指定情報REVを入力し、これに基づいて
第2図の回路の各係数あるいは各遅延時間などを特定す
るデータを出力する。
第5図は、このパラメータ供給部400の詳細な回路図で
ある。パラメータ供給部400はパラメータテーブルメモ
リ401および乗算器411〜424を具備する。パラメータテ
ーブルメモリ401は特性指定情報REVを入力し、これに応
じて各係数および遅延量などを出力する。
パラメータテーブルメモリ401から出力されるDxxはディ
レイ用のメモリD0〜D4のそれぞれのディレイ時間を特定
するためのパラメータである。Txxはディレイ用のメモ
リD0〜D4のタップ位置を指定するパラメータ、Axxはオ
ールパスフィルタAPF1〜APF5における振幅レベル制御用
のパラメータ、ADxxはオールパスフィルタAPF1〜APF5の
ディレイ用のメモリの読み出しアドレス位置を示すパラ
メータ、Kxxは乗算器101〜103およびフィルタIIR1〜IIR
4内の乗算器の乗算係数を示すパラメータである。
乗算器411〜414,421〜424は第2図の回路の乗算器311,3
12,321,322,331,332,341,342の乗算係数M11〜M14,M21〜
M24の符号(極性)を決定するための乗算器である。こ
れらの乗算器411〜414,421〜424は、パラメータテーブ
ルメモリ401から出力される符号制御情報S11〜S14,S21
〜S24に基づいて絶対値|M11|〜|M14|,|M21|〜|M24|に符
号を付与する。すなわち、これらの乗算器411〜414,421
〜424の乗算係数は、符号制御情報S11〜S14,S21〜S24に
基づき+1または−1のいずれかとなる。
フィルタIIR1〜IIR4の乗算器の係数K12,K22,K32,K42が
定まれば、各フィルタIIR1〜IIR4のリミットサイクルの
特性が定まるから、符号制御情報S11〜S14,S21〜S24
は、係数K12,K22,K32,K42に基づいて定めればよい。す
なわち、IIRフィルタの信号語長および係数語長は所定
の有限ビット数であるから、そのビット数および係数K1
2,K22,K32,K42の関係(前記式)からDC的あるいは周
期的(fS/2)リミットサイクルを生じることが分かる。
例えば、第2図の実施例において、特性指定情報REVに
応じて乗算係数K12,K22,K32,K42が決定されると、対応
するフィルタIIR1〜IIR4のリミットサイクルの性質が定
まる。
4系列のIIRフィルタがすべてDCリミットサイクルを生
じる場合は、混合段(加算器351,352)出力においてリ
ミットサイクルによるDCオフセットがゼロになるように
乗算係数Mxxを選んでキャンセルするか、係数の絶対値
を替えたくなければ係数の極性(符号)もにを替えてリ
ミットサイクルの影響が最小になるようにすればよい。
一方、fS/2での周期的リミットサイクルが生じるIIRフ
ィルタがある場合も、同様にしてリミットサイクルの影
響がゼロまたは最小になるように係数を設定選択あるい
は係数の符号の組合せを適宜考慮して選択するようにす
ればよい。
第5図の例は特性指定情報REVに対応した残響パラメー
タとともに、最適な符号制御情報(極性指定データ)Sx
xを読み出して供給する例である。乗算器411〜414,421
〜424を使用するときはSxxは+1あるいは−1である
が、乗算器の乗算係数が−1である場合には、符号反転
器を用いて乗算器に代えることができる。第6図は、符
号反転器430を用いた例である。このような符号反転器4
30を制御する場合は、符号制御情報Sxxは論理値ゼロ又
は1となる。
第7図は、係数Kn2(nは1〜4)の値の組合せをアド
レスとするような乗算係数テーブルから最適な乗算係数
(ミキシング係数)の極性指定データSxxを読み出して
最適化を図る例である。
アドレス生成部531は、特性指定情報REVに応じてパラメ
ータテーブルメモリ501から出力される係数値Kn2に基づ
いて、極性データSxxテーブルメモリ532をアクセスする
アドレスを生成する。極性データSxxテーブルメモリ532
には、係数値Kn2の組合せにより特定される所定のアド
レス位置に極性データSxxが記憶されている。したがっ
て、係数値Kn2に応じた極性データSxxが、乗算器511〜5
14,521〜524に入力し、係数の絶対値|M11|〜|M14|,|M21
|〜|M24|に符号を付与して係数を出力する。
次に、第8図および第9図の参照してリミットサイクル
の打消し動作の説明をする。第8図は、4系列のIIRフ
ィルタ610,620,630,640の出力をOUT1〜OUT4に対し乗算
器615,625,635,645にて所定の係数M1〜M4を乗算し、加
算器650でミキシングして出力する例である。IIRフィル
タ610は単純1次のフィルタであり、加算器611、ディレ
イ用のメモリ612、乗算器613を具備している。フィルタ
620,630,640も同様の構成である。
ここでIIRフィルタ610から発生するリミットサイクルノ
イズは第9図(a)に示すようなDC的なものとする。LC
1はリミットサイクルが生じた区間を示す。同様にし
て、IIRフィルタ620,630,640において発生するリミット
サイクルノイズは、それぞれ第9図(b),(c),
(d)に示すようなものとする。すなわち、IIRフィル
タ610,640からはDC的なリミットサイクルノイズが発生
し、IIRフィルタ620,630からは周期的なリミットサイク
ルノイズが発生するものとする。
このとき、リミットサイクルの振幅が等しいとすれば、 M1=+0.25 M2=+0.25 M3=−0.25 M4=−0.25 と設定すれば、加算器650においてリミットサイクルノ
イズが相殺され出力がゼロとなる。このようにしてリミ
ットサイクルノイズの影響を低減させることができる。
上述の実施例ではミキシング係数の極性(符号)のみの
制御でリミットサイクルの影響を最小化したが、所定の
許容範囲内(所望する残響特性から大きくはずれない範
囲)で、係数値およびディレイタップ位置(周期的リミ
ットサイクルを位相的に打消すようにする)などの関連
パラメータに対し、本来の設定値に対して若干の補正を
行うようにして、さらにリミットサイクルによる影響の
軽減化を図ってもよい。
第10図は、IIRフィルタ内のディレイ用のメモリのタッ
プ位置を適宜選択して出力しリミットサイクルの影響を
軽減化を図る例である。
同図のフィルタIIRは、乗算器701、加算器702、ディレ
イ用のメモリ703および乗算器704を具備する。これらは
上述した例と同様である。フィルタIIRの出力はディレ
イ用のメモリ703の適当なタップ位置から出力するよう
にしている。ここでディレイタップ位置Tn1−1,Tn1,Tn1
+1からの出力がセレクタ705に入力し、セレクタ705は
パラメータ供給手段から出力されるパラメータSn1に基
づいて3のタップ位置のうち1つを選択し、出力信号と
して出力する。同様にして、3つのタップ位置Tn2−1,T
n2,Tn2+1はセレクタ706に入力し、セレクタ706はパラ
メータ供給手段からのパラメータSn2に応じてこれらの
タップのうち1つを選択し出力する。乗算器707,708は
第2図の乗算器311,312などに対応する乗算器である。
第10図に示すフィルタIIRによれば、パラメータ供給部
からのパラメータSn1,Sn2に応じてディレイ時間が定め
られる。したがって、あらかじめフィルタIIRの特性に
応じたパラメータSn1,Sn2を設定しておけば、最終的に
リミットサイクルによる影響の低減化を図ることができ
る。
なお、第11図に示すようなディレイが複数段になって帰
還しているIIRフィルタ単体では、ディレイの分だけ実
行的なサンプリング周波数が下がる。したがって、リミ
ットサイクルの出力周期もそれに対応したものとなる。
第11図は、加算器801、m段の遅延を実現するメモリ80
2、乗算器803からなる複数ディレイの1次IIRフィルタ
を示している。サンプリング周期は1/fSである。このと
き第12図に示すように、入力信号901に対して出力サン
プル902はm/fSの周期で出力される。これらの出力サン
プル902の間のサンプル時刻における出力はゼロであ
る。したがって、このような場合は、ノイズの軽減ある
いはリミットサイクルを正負に散らすあるいは一種のパ
ルスともいえるリミットサイクルノイズの発生を時間軸
上で散らすこと(ディレイで位相を若干ずらすなど)に
より、聴感上耳につきにくい性質のもの(ホワイトノイ
ズ的なもの)になるようにもっていくことができる。
上記実施例では、最適なパラメータをテーブルから出力
する方式としたが、リミットサイクルを定量的に解析す
るような手段を設け、各種演算解析を行ったうえで最適
化を図るようにしてもよい。
また、上記実施例では残響音付与装置(リバーブ)につ
いて述べたが、この発明はリバーブに限らず、電子楽器
の音色調整装置や種々の信号処理装置に適用することが
できる。
さらに、上記実施例はハードウェア的に記載したが、各
種コンピュータ、DSP(ディジタル信号処理プロセッ
サ)などを用いて信号処理あるいは係数供給などのアル
ゴリズムをソフトウェアによって実現するようにしても
よい。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、IIR構成のフィ
ルタを含む複数の信号路からの出力信号の混合時に、II
Rフィルタ係数に応じて混合係数をリミットサイクルの
影響が最小になるように選択設定して与えるようにして
いるので、構成の大規模化を招くことなくS/Nの良い信
号処理が可能である楽音信号処理装置を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の概念を説明するためのブロック構成
図、 第2図は、本発明の一実施例に係る音響信号処理装置の
構成を示すブロック構成図、 第3図は、オールパスフィルタのブロック構成図、 第4図は、パラメータ供給部のブロック構成図、 第5図は、パラメータ供給部の詳細なブロック構成図、 第6図は、係数Mxxに符号反転器を用いて符号を反転し
た様子を示すブロック構成図、 第7図は、本発明の第2の実施例に係る音響信号処理装
置のパラメータ供給部のブロック構成図、 第8図は、リミットサイクルノイズの相殺の動作を説明
するためのブロック構成図、 第9図は、第8図の回路において各フィルタで発生する
リミットサイクルノイズを示すグラフ、 第10図は、IIRフィルタの遅延時間を選択できるように
した実施例のブロック構成図、 第11図は、m段の遅延を行うフィルタのブロック構成
図、 第12図は、第11図のフィルタを用いてサンプリングした
様子を示すグラフ、 第13図は、1次IIRフィルタの典型的な例を示す構成
図、 第14図および第15図は、リミットサイクルノイズの発生
の様子を示すグラフである。 1:初期反射音形成部、2:残響音形成部、3:IIR出力混合
部、11,12:IIRフィルタ、13:乗算器、14:加算器、15:デ
ィレイ回路、211,214,311,312,321,322,331,332,341,34
2:乗算器、212:加算器、D0,D1,D2,D3,D4:メモリ、APF1
〜APF5:オールパスフィルタ、351,352:加算器、411〜41
4,421〜424:乗算器、401,501:パラメータテーブルメモ
リ、REV:特性指定情報、430:符号反転器、531:アドレス
生成部、532:極性データテーブルメモリ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】音響信号を入力する複数の巡回型ディジタ
    ルフィルタを具備し、該複数の巡回型ディジタルフィル
    タの出力を合成して出力信号を生成する音響信号処理装
    置において、 上記各巡回型ディジタルフィルタから発生する各リミッ
    トサイクルノイズが相殺するように、上記各巡回型ディ
    ジタルフィルタの出力信号の位相を制御する手段を具備
    することを特徴とする音響信号処理装置。
  2. 【請求項2】前記位相制御手段は、前記複数の巡回型デ
    ィジタルフィルタの出力信号に乗算する各係数の絶対値
    および/または符号を適宜選択することにより、前記リ
    ミットサイクルノイズを相殺することを特徴とする請求
    項1に記載の音響信号処理装置。
  3. 【請求項3】前記位相制御手段は、前記複数の巡回型デ
    ィジタルフィルタの出力信号を所定時間遅延させること
    により、前記リミットサイクルノイズを相殺することを
    特徴とする請求項1または2に記載の音響信号処理装
    置。
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