JPH079004B2 - 鉄系粉末成形体の焼結方法 - Google Patents

鉄系粉末成形体の焼結方法

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JPH079004B2 JP60251604A JP25160485A JPH079004B2 JP H079004 B2 JPH079004 B2 JP H079004B2 JP 60251604 A JP60251604 A JP 60251604A JP 25160485 A JP25160485 A JP 25160485A JP H079004 B2 JPH079004 B2 JP H079004B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は鉄系粉末成形体の焼結方法に関し、殊に潤滑剤
としてステアリン酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛や
ステアリン酸リチウム等)を配合してなる鉄系粉末成形
体の焼結時における寸法変化率(成形圧方向と直角方
向)のばらつきを少なくし、最終製品の寸法精度を高め
ることのできる技術に関するものである。
[従来の技術] 還元法やアトマイズ法等により製造した鉄系粉末を圧縮
成形し焼結して得られる鉄系粉末圧縮成形製品は、任意
の形状のものを製造し得るという利点に加えて製品の寸
法精度も優れているところから、自動車部品をはじめと
して各種機械部品の製造に幅広く利用されており、その
生産量は最近急激に増大してきている。
ところで鉄系粉末冶金においては、圧縮成形時における
鉄系粉末の潤滑性(粉末同士及び粉末と成形型表面との
潤滑性)を高める為に少量のステアリン酸塩(主として
ステアリン酸亜鉛やステアリン酸リチウム)が配合さ
れ、また物性改善の為に適量の銅粉や炭素粉等が配合さ
れる。そして圧縮成形後は、以下に示す如く脱ろう、焼
結、冷却の各工程が順次行なわれるが、これらの工程は
圧縮成形体の酸化、脱炭、浸炭等を防止すべき、変成炭
化水素ガス(RXガス)雰囲気中で行なうのが通例であ
る。
鉄系粉末の圧縮成形性を高める為に添加される潤滑剤
(ステアリン酸亜鉛等)を、加熱により気化させて除去
する脱ろう工程。
潤滑剤が除去された後の圧縮成形体を加熱して焼結さ
せる焼結工程。
焼結物を大気中で酸化を受けない温度まで降温させる
冷却工程。
前述の如く粉末冶金製品には寸法精度が高いという特徴
があるが、それでも上記脱ろう→焼結→冷却の各工程
(以下一括して焼結工程又は単に焼結ということがあ
る)における種々の要因によって膨張又は収縮を起こ
し、焼結の前・後で寸法がかなり変わってくる。そこで
従来は、圧縮成形時の成形型寸法について、焼結時の寸
法変化を見越した寸法に調整しておき、焼結後に寸法の
手直を行なわなくともよい様にしている。しかしながら
それでも十分な寸法精度が得られないことも多く、その
様な場合はサイジング或はコイニング等の2次加工が行
なわれる。殊に焼結工程における寸法変化が著しい場合
は焼結体寸法のばらつきも大きく、2次加工が不可欠と
なるばかりでなく、寸法誤差が極端に大きい場合はサイ
ジング等による寸法精度の矯正自体が非常に困難となる
こともある。
また焼結工程における膨張量が大きい場合には圧縮成形
体の密度が低下し、機械部品として必要な機械的強度を
満足し得なくなることもある。
この様なところから機械部品用鉄系粉末冶金材料には、
焼結工程で生ずる寸法変化率に一定の基準が設けられて
おり、現時点で許容される寸法変化率の限界は成形型の
寸法基準で0.4%程度とされている。また多種類の成形
品の製造に適用される鉄系粉末冶金材料については、寸
法変化率のばらつきの標準偏差がσ=0.02%程度と非常
に厳しい値が要求されている。
上記の様な焼結工程における膨張・収縮現象については
様々の原因が考えられ、それらの原因に対応して色々の
解決策が提案されている。これらのうち代表的なものと
しては、焼結時の雰囲気ガスを改善要素とする特公昭57
-9601号や同58-10963号記載の方法、或は鉄系粉末冶金
材料に対する添加剤に工夫を加えた特公昭59-3534号記
載の方法等が挙げられ、夫々それなりの効果を得てい
る。
また「粉体および粉末冶金」第29巻第3号(1982年4
月)の第9〜13頁には、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛
を用いた鉄系圧粉体を脱ろう・焼結するに際し、脱ろう
と焼結をいずれも分解アンモニアガス雰囲気で行なう手
法も開示されているが、この方法では焼結時に表面が激
しく脱炭され、焼結体の硬度及び強度が著しく損なわれ
る。
[発明が解決しようとする問題点] ところが上記公報記載の改善技術にしても、焼結工程前
後における寸法変化率を満足のいく程度まで小さくする
ことができる訳ではなく、特にステアリン酸金属塩系の
潤滑剤を含む鉄系粉末圧縮成形体に適用した場合、「当
該変化率のばらつきの標準偏差をσ=0.02%の範囲に納
める」という現在の厳しい要請には到底答えることがで
きない。
この様な状況のもとで本発明は、焼結時の膨張・収縮に
伴う焼結部品の寸法変化率のばらつきをσ=0.02%それ
以下に抑え得る様な方法を提供しようとするものであ
る。
[問題点を解決する為の手段] 本発明に係る焼結方法の構成は、潤滑剤としてステアリ
ン酸金属塩を配合してなる鉄系粉末を圧縮成形した後該
成形体を脱ろう・焼結処理するに当たり、脱ろう工程に
おける雰囲気ガスとして炭素源を含まない非酸化性ガス
を非酸化性ガスを使用し、次の焼結工程における雰囲気
ガスとしてRXガスを使用して、脱ろう・焼結工程前後で
の該成形体の寸法変化率のばらつきを、標準偏差σ=0.
02%以下に抑えるところに要旨を有するものである。
[作用] 以下実験の経緯を追って本発明の作用を順次明確にして
行く。
本発明者等は鉄系粉末冶金材料の代表例として最も汎用
されている[鉄粉:96.45%、銅粉:2%、炭素粉:0.8%、
ステアリン酸亜鉛:0.75%]を選択し、下記の実験を行
なった。即ち上記粉末冶金材料を用いて常法により直方
体の成形体を圧縮成形した後、この種の分野では最も一
般的なRXガスを雰囲気ガスとし、脱ろう工程ではその露
点を20℃、焼結及び冷却工程ではその露点を−5℃と
し、第2図に示す最も一般的なヒートパターンで脱ろう
→焼結→冷却を行ない、その間の寸法変化を調べた。結
果は第3図に示す通りであり、潤滑剤としてステアリン
酸金属塩を配合した圧縮成形体の場合、脱ろう工程にお
いて異常な体積膨張が認められる。しかも焼結工程に入
って温度が銅の融点(1083℃)を超えると、成形体が収
縮現象を起こす。
そこでまず焼結時に使用する雰囲気ガスの露点に注目
し、脱ろう工程で生ずる膨張及び銅の融点付近で生ずる
収縮の夫々に及ぼす影響を明確にすべく実験を行なった
ところ、第4図に示す結果を得た。
第4図からも明らかな様に、脱ろう時の膨張量は雰囲気
ガスの露点が高くなるほど小さくなり、また理由は不明
であるが銅の融点付近で生ずる収縮量は雰囲気ガスの露
点が高くなる程小さくなっている。そして雰囲気ガスの
露点による膨張・収縮量の変動が最終的に寸法変化のば
らつきとして現われてくるものと考えられた。
次に雰囲気ガスの種類による影響、殊に寸法変化量の大
きい脱ろう工程での雰囲気ガスの影響を調べるため、焼
結工程における雰囲気ガスとしては、脱炭を防止するた
めRXガスとし、脱ろう工程の雰囲気ガスのみを変えた場
合の寸法変化を調べた。但し雰囲気ガスとしては炭素源
を含まない非酸化性ガスであるAr,N2及びH2を選択し
た。結果は第5図に示す通りであり、脱ろう工程で炭素
源を含まない雰囲気ガスを使用した場合は、当該ガスの
露点には殆んど無関係に脱ろう時の寸法変化を激減させ
ることができた。またこれらのガスを使用すると銅の溶
融時における寸法変化の変動も大幅に抑制し得ることが
分かった。ちなみに第1図は、脱ろう時の雰囲気ガスと
してArを使用し、焼結時の雰囲気ガスとして従来通りの
RXを用いた場合の膨張曲線を示したものであり、この図
からも明らかな様に雰囲気ガスとしてArを使用すると脱
ろう時の膨張は殆んど見られなくなる。尚焼結工程に入
ると銅の融点付近で若干の膨張現象を認めたが、こうし
た傾向は、ステアリン酸金属塩を添加しない鉄系粉末を
圧縮成形した後の脱ろう・焼結工程で生ずる銅融点付近
の膨張量とほぼ同等である(第6図…ステアリン酸亜鉛
無添加物の膨張曲線)。尚第1図及び第6図の膨張曲線
で観察される銅融点付近の膨張は、銅の溶融により鉄と
合金化を生じ、或は溶融した銅がマトリックス金属組織
の決勝粒界部へ浸透拡散して金属組織を押し広げる為に
発生したものと考えられる。何れにしても銅溶融時にお
ける寸法変化は、第5図からも明らかな様に雰囲気ガス
の露点には殆んど影響を受けることなくほぼ一定であ
り、又脱ろう時の膨張量は前述の如く殆んど無視し得る
程度に抑えられるから、結局のところ脱ろう・焼結を通
じて発生する膨張量は雰囲気ガスの露点に関係なく略一
定の値が得られ、ばらつきは非常に小さい値に抑えられ
る。しかもその膨張量は予備実験により予め求めておく
ことができるので、当該膨張量を見越して圧縮成形時の
成形型寸法を適正に設計することができ、焼結成形体の
寸法精度を満足の行く程度にまで高めることができる。
尚上記では少量の銅及び炭素粉を含む鉄系粉末冶金材料
をとり上げて説明したが、この他本発明はNi,Sn,Mn,S,
B,P.Sb,Zn,MnS,CaS等を含む鉄系粉末冶金材料について
も同様に適用することができる。
[実施例] 鉄粉:96.45%、銅粉:2%、炭素粉:0.8%、ステアリン酸
亜鉛:0.75%からなる鉄系粉末冶金材料を使用し、成形
圧5t/cm2で5×5×30mmの圧縮成形体を製作した。得ら
れた圧縮成形体を使用し第2図に示したヒートパターン
に準じ、下記第1表に示す雰囲気ガスの存在下で夫々5
回ずつの脱ろう・焼結実験を行ない、焼結成形体の寸法
変化のばらつきを調べた。また各焼結成形品中における
炭素量の増減も調べた。結果を一括して第1表に示す。
第1表からも明らかな様に、脱ろう時の雰囲気ガスとし
てRXガスを用いた従来例(No.1,2)では、脱ろう時の膨
張が著しく且つそのばらつきが大きい為、焼結成形体の
寸法変化のばらつき(σ)は0.02%を超えており、且つ
焼結工程で浸炭現象が起こり炭素量の増大が見られる。
これに対し脱ろう時の雰囲気ガスとして炭素源を含まな
いガスを用いた場合(No.3〜8)は、当該ガスの露点と
は殆んど無関係に脱ろう時の膨張が回避され、焼結成形
体の寸法変化のばらつきは0.013%以下の非常に小さい
値が得られており、しかも炭素量の変動も全く起こって
いない。尚実験No.9は潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)無添
加の鉄系粉末圧縮成形体を用いた場合の例であり、この
場合は脱ろう雰囲気ガスとしてRXガスを用いた場合でも
寸法変化についてそれ程大きなばらつきは見られない。
これに対し本発明の実施例では、適量のステアリン酸金
属塩を併用した場合でも、ステアリン酸金属塩無添加の
場合を陵駕する高レベルの寸法精度を確保し得ることが
分かる。
尚上記の実験では脱ろう時の雰囲気ガスとしてAr,N2,H
2を夫々単独で用いた例を示したが、これらのガスを混
合して用いた場合でも同様の効果を得ることができ、殊
にArやN2を用いる場合は、脱ろう時の酸化を防止する為
5〜70%程度のH2ガスを併用した場合の方が好ましい結
果を得ることができる。
[発明の効果] 本発明は以上の様に構成されるが、要は鉄系粉末冶金材
料中に潤滑剤としてステアリン酸金属塩を配合した場合
の脱ろう工程で生ずる体積変化を、脱ろう雰囲気ガスを
特定することによって可及的に少なくしたので、脱ろう
・焼結時における寸法変化のばらつきを非常に小さく抑
えることができ、焼結成形体の寸法精度を飛躍的に高め
ることができると共に、その焼結工程の雰囲気ガスはRX
ガスとすることにより、脱炭による硬度及び強度の低下
を阻止することができ、寸法精度及び物性の共に優れた
焼結成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明法を採用した場合における膨張曲線を示
す図、第2図は実験で採用したヒートパターンを示す
図、第3図は従来法における膨張曲線を示す図、第4図
は従来法を採用した場合における雰囲気ガスの露点と脱
ろう時及び銅融解時の寸法変化を示すグラフ、第5図は
本発明法を採用した場合における雰囲気ガスの露点と脱
ろう時及び銅融解時の寸法変化を示すグラフ、第6図は
ステアリン酸金属塩無添加の鉄系粉末冶金材料を用いた
場合の膨張曲線を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】潤滑剤としてステアリン酸金属塩を配合し
    てなる鉄系粉末を圧縮成形した後該成形体を脱ろう・焼
    結処理するに当たり、脱ろう工程における雰囲気ガスと
    して炭素源を含まない非酸化性ガスを使用し、次の焼結
    工程における雰囲気ガスとしてRXガスを使用して、脱ろ
    う・焼結工程前後での該成形体の寸法変化率のばらつき
    を標準偏差σ=0.02%以下に抑えることを特徴とする鉄
    系粉末成形体の焼結方法。
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