JPH0799057A - 燃料電池と冷房装置のコンバインシステム - Google Patents

燃料電池と冷房装置のコンバインシステム

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JPH0799057A
JPH0799057A JP5265836A JP26583693A JPH0799057A JP H0799057 A JPH0799057 A JP H0799057A JP 5265836 A JP5265836 A JP 5265836A JP 26583693 A JP26583693 A JP 26583693A JP H0799057 A JPH0799057 A JP H0799057A
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宏之 三井
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Hideto Kubo
秀人 久保
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敬司 藤
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信雄 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エネルギーの利用効率が良好で,燃料電池の
負荷変動に対する応答性がよく,フロンを用いない,電
気自動車などに用いることのできる燃料電池と冷房装置
のコンバインシステムを提供すること。 【構成】 水素を燃料とする燃料電池11と,冷房装置
20の熱交換器21と,熱媒体と熱交換を行うと共に水
素を供給する水素吸蔵合金(MH)内蔵タンク10と,
水素圧送機12と,二次電池31とを有するコンバイン
システム1である。コントローラは,燃料電池11の出
力の過不足に対応して二次電池31を充放電する。冷房
装置20に蓄熱槽25を設けることが好ましい。更に,
過剰電力を吸収する熱電変換手段351〜355を設け
ると好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,燃料電池へ燃料の水素
を供給すると共に冷房装置を同時に駆動する省エネルギ
ーのコンバインシステムに関する。
【0002】
【従来技術】水素を燃料とする燃料電池を用いた電気自
動車において,水素の供給源として,水素吸蔵合金を用
いる方法が従来より提案されている。これらは,水素吸
蔵合金を加熱することにより水素ガスを放出させるもの
である。水素吸蔵合金の加熱は,燃料電池の排熱などを
利用する。
【0003】そして,燃料電池の負荷変動に対しては,
水素吸蔵合金を加熱するヒータを設け,ヒータの電流を
増減させるもの(特開昭51−4714号公報),負荷
変動対応用として補強用の水素吸蔵合金を併設するもの
(特開昭51−4715号公報),別個に補強用の水素
ガスタンクを併設するもの(特開昭51−4716号公
報)などが提案されている。一方,車室内の冷房装置
は,内燃機関を搭載した自動車と同様に,熱媒体にフロ
ンを用いた蒸気圧縮式ヒートポンプを用いるものが一般
的である。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,車両駆動用の
燃料電池と冷房装置とを別個に設ける従来の電気自動車
には次のような問題がある。第1は,冷房装置に大量の
エネルギーが消費され自動車の走行距離が短くなるとい
う問題である。冷房装置と燃料電池(含水素供給源)と
はそれぞれが別個にエネルギーを消費し,互いにエネル
ギーを融通し合う補完関係がない。
【0005】従って,トータルのエネルギー効率が悪
い。例えば,燃料電池の発電に伴う発熱などで水素吸蔵
合金を加熱するため,水素吸蔵合金の水素放出に伴う吸
熱反応を冷房に有効利用できず,別途冷房装置を駆動し
なければならず互いにエネルギーを利用補完し合うこと
がない。その結果,冷房装置に消費される動力が大き
く,電気自動車の走行距離が短くなる。
【0006】第2は,冷房装置と燃料電池とは独立した
別個のシステムであるから制御装置などの各部材は,そ
れぞれが別個に設けられ構成要素の点数が多いという問
題がある。第3は,水素吸蔵合金を加熱して水素放出を
行なう従来の方法は,負荷変動に対する燃料電池の応答
速度や制御精度が良好ではないという問題がある。
【0007】即ち,燃料電池の排熱やヒーターなど用い
て水素吸蔵合金の温度を上昇させ,それによって放出水
素量を増加させる方法は,即応性(応答速度)に欠ける
と共に,水素吸蔵合金から放出される供給水素圧力や水
素流量の制御精度が悪い。従って,負荷変動に十分対応
できないことで,二次電池からの放電量を多くする必要
があり,二次電池容量も増大する。第4は,冷房装置の
熱媒体には,フロンが用いられているからオゾン層破壊
などの環境問題上好ましくないという問題である。
【0008】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みて,
エネルギー利用効率が良好であると共に,燃料電池の負
荷変動に対する応答性が良好であり,かつフロンなどの
環境破壊物質を用いる必要のない燃料電池と冷房装置の
コンバインシステムを提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】本発明は,電動式のアクチュエータ
に電力を供給する燃料電池と,熱媒体を用いた冷房装置
の熱交換器と,上記燃料電池に対して燃料である水素を
供給すると共に上記冷房装置の熱媒体管路を内部に導入
し熱媒体と熱交換を行なう水素吸蔵合金内蔵タンクと,
燃料電池に上記水素を供給する水素供給管路に介設し水
素を圧送する水素圧送機と,上記燃料電池の出力端子間
に並列接続された二次電池と,上記水素圧送機と二次電
池とを操作してアクチュエータへの供給電力と熱交換器
の冷房出力とを同時に制御するコントローラとを有す
る,燃料電池と冷房装置のコンバインシステムであっ
て,上記コントローラは,燃料電池の出力が過剰な場合
には,上記二次電池を充電し,燃料電池の出力が不足す
る場合には二次電池を放電してアクチュエータの駆動電
力と熱交換器の冷房出力とを同時に制御することを特徴
とする燃料電池と冷房装置のコンバインシステムにあ
る。
【0010】本発明のコンバインシステムは,燃料電池
と,水素吸蔵合金内蔵タンク(以下「MH内蔵タンク」
という)と,水素圧送機と,燃料電池と並列接続された
二次電池と,熱交換器とを有している。上記燃料電池
は,水素を燃料とするものである。上記熱交換器は,例
えば,ブライン(不凍液)や水などの熱媒体を用いて被
冷却空気との間に熱交換を行ない空気を冷却するもので
ある。
【0011】そして上記熱媒体はMH内蔵タンクと熱交
換器との間を循環する。そして,上記MH内蔵タンク
は,水素吸蔵合金を内蔵すると共に熱媒体管路を内部に
導入し上記熱媒体との間に熱交換を行なう。また,上記
水素圧送機は,MH内蔵タンクの水素を燃料電池に対し
て圧送するものであり,送出圧力の高いコンプレッサ
や,送出圧力が比較的低い送風機や,ポンプなどがあ
る。
【0012】一方,燃料電池の出力端子間には,アクチ
ュエータと並列に二次電池が接続されている。上記二次
電池は,コントローラに制御され,放電することにより
アクチュエータに電力を供給することができると共に,
燃料電池又はアクチュエータの放出電力により充電する
ことのできる電池である。
【0013】コントローラは,水素圧送機と二次電池と
を適宜操作することができる操作手段を有すると共に,
アクチュエータへの供給電力と熱交換器の冷房出力とを
制御するための演算手段を有する制御装置である。そし
て,コントローラは燃料電池の出力が過剰な場合には,
二次電池を充電し,燃料電池の出力が不足する場合には
二次電池を放電する。
【0014】なお,上記MH内蔵タンクは,複数個に分
割構成してもよい。MH内蔵タンクを複数個設ければ,
貯蔵水素量をより正確に検出することができると共に熱
容量を小さくできることから冷房装置の立上げをより高
速に行なうことができる。
【0015】また,上記コンバインシステムは,更にM
H内蔵タンクと熱交換器との間の熱媒体管路に蓄熱槽を
併設し,MH内蔵タンクの冷熱出力が過剰な場合には,
上記蓄熱槽に冷熱を貯え,一方MH内蔵タンクの冷熱出
力が不足する場合には上記蓄熱槽の冷熱を放出するよう
熱交換器を作動させることが好ましい。
【0016】このようにすることにより,MH内蔵タン
クの冷熱出力を平準化することができる。そして安定し
た冷房装置の出力を得ることができる。また,アクチュ
エータに対する供給電力と冷房装置の出力とを制御する
ための操作要素に蓄熱槽が加わることにより制御が容易
となり調整範囲の拡大を図ることができる。
【0017】また,上記コンバインシステムは,燃料電
池の出力端子間に熱電変換手段を並列接続し,熱電変換
手段に過剰な電力を供給して熱出力を発生させ,発生し
た熱出力によって周辺部材の加熱又は冷却制御を行なう
ことが好ましい。二次電池の容量が一杯になった場合に
は,過剰電力を二次電池に吸収することができない。し
かし熱電変換手段を設ければ,この場合にも過剰電力を
吸収し,その有効利用を図ることができるからである。
【0018】即ち,過剰電力を用いて周辺部材に必要な
熱制御を行い,エネルギーの有効利用を図ることができ
る。また,冷房出力を増大させると,燃料電池に過剰電
力が生じるが,過剰電力を二次電池と熱電変換手段の両
方によって吸収可能となる。それ故,冷房の制御パワー
を向上させ,冷房の応答スピードを向上させることがで
きる。
【0019】熱電変換手段の熱出力による周辺部材の熱
制御には,例えば,アクチュエータの冷却,蓄熱槽の冷
却,冷房装置の補完出力,燃料電池の冷却などの冷却動
作,又は暖房装置の補完出力などの加熱動作の両方があ
る。そして,上記熱電変換手段には,例えば,電流の方
向により吸熱及び発熱を行なうペルチェ素子,電流の方
向に無関係に発熱する発熱素子などがある。
【0020】なお,熱電変換手段に供給する余剰電力に
は,燃料電池の過剰出力の他にアクチュエータからの放
出電力(例えばモータからの回生電力)などがある。上
記コンバインシステムを用いる具体例には,例えば電気
自動車があり,この場合アクチュエータは走行駆動用の
モータである。
【0021】自動車には,冷房装置が必須部材であるか
ら電気自動車に本発明のコンバインシステムは好適であ
る。そして,エネルギー効率を向上することによる走行
距離の増大,及び燃料電池の制御特性の向上による走行
特性の改善が可能である。また,電気自動車の場合に
は,坂道降下時や減速時においてモータからの回生電力
が発生する。
【0022】そして,この回生電力を有効利用すること
は,省エネルギーとなるばかりでなく走行制御特性の改
善に極めて有効である。それ故,上記回生電力によって
コンバインシステムの二次電池を充電し又は熱電変換手
段に通電することは,省エネルギーと制御性の向上のた
めに好適である。
【0023】なお,前記水素圧送機と並列にバイパス管
路を挿入し,このバイバス管路の流量を調整する制御弁
を設けることが好ましい。上記バイパス管路と制御弁と
を用いることにより,水素吸蔵合金の平衡圧力が燃料電
池の作動圧力より高い場合においては,その圧力差によ
り供給可能となるとともに,燃料電池に対する少流量の
水素供給が容易となるからである。これによって,上記
圧力差により水素供給を行っている間は,水素圧送機を
停止あるいは無負荷運転状態にできるから,水素圧送機
の稼働時間が短くなり,省エネルギーのために好適であ
ると共に,水素圧送機を用いた水素の供給制御の範囲が
拡大する。
【0024】
【作用及び効果】本発明のコンバインシステムにおいて
は,水素吸蔵合金内蔵タンク(MH内蔵タンク)の水素
は,コントローラにより水素圧送機によって燃料電池に
供給される。そして,上記MH内蔵タンクの内部には,
冷房装置の熱媒体管路が引き込まれており,水素供給に
伴う水素吸蔵合金の水素放出による吸熱作用により熱媒
体を直接冷却する。
【0025】即ち,水素吸蔵合金の放出水素量を調整す
ることにより,直接的に冷熱を発生させ冷房装置を駆動
する。従って,従来の冷房装置のように熱媒体を圧縮・
膨張させるヒートポンプは不要でありそのための設備と
動力は不要となる。
【0026】また,水素吸蔵合金から水素を放出させる
ために従来装置ではその目的だけ設けていた水素吸蔵合
金の加熱装置が不要となる。上記のように,冷房装置の
ヒートポンプと水素吸蔵合金の加熱装置が共に不要とな
るから,設備が簡素化され,またエネルギーの利用効率
が大幅に上昇する。
【0027】従って,電気自動車に本発明のコンバイン
システムを用いれば設備が簡略化すると共に走行距離が
大幅に上昇する。一方,アクチュエータに供給される電
力は,コントローラにより燃料電池の出力と二次電池の
充放電の両供給源によって調整されるから,冷房装置の
出力とは独立にアクチュエータの供給電力を調整するこ
とができる。
【0028】即ち,コントローラは燃料電池の出力が不
足する場合には二次電池を放電し,燃料電池の出力が過
剰の場合には二次電池を充電してアクチュエータへの供
給電力を冷房出力とは独立に調整することができる。従
って,冷房装置出力とアクチュエータの駆動電力とは独
立してそれぞれを良好な状態に制御することができる。
【0029】また,燃料電池に対する水素の供給は,水
素圧送機によって水素を直接圧送し,急速に供給水素量
を変えることができるから,燃料電池の出力を高速に精
度良く変えることができる。即ち,従来装置の水素吸蔵
合金を加熱しその結果として放出水素量を変える方法
は,熱行程を介するから応答性と制御精度が良好でない
が,本発明はそのようなことがない。
【0030】そして,冷房装置による熱制御は,応答の
遅いゆるやかな制御であるから冷熱出力の平均値が重要
であり,放出水素量(燃料電池出力)の短時間の変動
は,その制御性に殆ど影響しない。従って,燃料電池の
出力を急変させて高速にアクチュエータを制御しても冷
房装置に悪影響を与えることは少なく,冷房装置とアク
チュエータの両装置を共に良好に制御することができ
る。
【0031】なお,冷房装置に更に蓄熱槽を設けて冷熱
出力の平準化を図り,安定した冷房装置出力を得ること
ができることは前記の通りである。そして,冷房装置の
熱媒体は,圧縮・膨張などの行程が不要であり,直接的
に熱交換可能な流体であればよい。
【0032】従って,フロンを用いず,ブライン(不凍
液)や水などを用いることによって良好な冷房特性を得
ることができる。それ故,エコロジーに悪影響を与える
ことのない冷房装置を提供することができる。
【0033】上記のように,本発明によればエネルギー
効率が良好であると共に,燃料電池の負荷変動に対する
応答性が良好であり,かつフロンなどの環境破壊物質を
用いる必要のない,燃料電池と冷房装置のコンバインシ
ステムを提供することができる。
【0034】
【実施例】
実施例1 本発明の実施例にかかる電気自動車の燃料電池と冷房装
置のコンバインシステムにつき,図1〜図4を用いて説
明する。本例は,図1に示すように,電動式のアクチュ
エータ30としての走行用モータ301に電力を供給す
る燃料電池11と,熱媒体を用いた冷房装置20の熱交
換器21と,燃料電池11に対して燃料である水素を供
給すると共に冷房装置20の熱媒体管路22を内部に導
入し熱媒体と熱交換を行なう水素吸蔵合金(MH)内蔵
タンク10と,燃料電池11に水素を供給する水素供給
管路13に介設し水素を圧送する水素圧送機12と,上
記燃料電池11の出力端子間に並列接続された二次電池
31と,水素圧送機12と二次電池31を操作してモー
タ301への供給電力と熱交換器21の冷房出力とを同
時に制御するコントローラ40とを有する,燃料電池1
1と冷房装置20のコンバインシステム1である。
【0035】上記コントローラ40は,燃料電池11の
出力が過剰な場合には,二次電池31を充電し,燃料電
池11の出力が不足する場合には二次電池31を放電し
てモータ301の駆動電力と熱交換器21の冷房出力と
を同時に制御する。
【0036】また,熱交換器21の熱媒体管路22に
は,蓄熱槽25が併設されており,上記コントローラ
は,上記MH内蔵タンク10からの冷熱出力が過剰な場
合には,上記蓄熱槽25に冷熱を蓄え,一方MH内蔵タ
ンク10からの冷熱出力が不足する場合には,上記蓄熱
槽25の冷熱を放出する。
【0037】そして,上記水素圧送機12は,コンプレ
ッサ121であり,コンプレッサ121と並列にバイパ
ス管路14が挿入されており,バイパス管路14には流
量を調節する制御弁15が設けられている。そして,上
記アクチュエータ30は,電気自動車の走行用モータ3
01である。
【0038】図1において符号32は,電気配線であ
り,符号401は,コントローラ40の制御線,符号4
1は,コントローラを構成するモータ制御用のDC−D
Cコンバータである。また,コントローラ40は,水素
圧送機12,制御弁15,及び蓄熱槽25と接続されて
おり,それぞれを操作することができる。また,冷房装
置20は,熱媒体を循環させるポンプ(図示略)や,熱
交換器21を介して車室内に冷風を送る送風機(図示
略)を有している。そして,冷房装置20の熱媒体はブ
ライン(不凍液)である。
【0039】次に,本例のコンバインシステムの運転操
作について説明する。最初に走行パターン全般にわたる
基本的な走行制御方法について述べる。まず,アクセル
の踏み込み量あるいは車速などの車両走行状態,現在の
燃料電池11の発電量,二次電池31の容量などをコン
トローラ40に入力し,車両の走行に必要な所要動力及
びその他の電気消費機器の動作に必要な電力量(以下
「補機動力」という)を算出して車両の走行に必要な電
力量を求める。
【0040】そして,現在の燃料電池11の発電量が必
要電力量より少ない場合は,コンプレッサ121の吐出
圧あるいは吐出量を増加させる。そして,それよりも必
要電力量が多い場合には,二次電池31より不足分を放
電する。
【0041】また,燃料電池11の発電が必要電力量よ
り多い場合は,コンプレッサ121の吐出圧あるいは吐
出量を減少させるか,二次電池31の容量が所定の設定
値Sより減少している場合には二次電池31に充電を行
なう。ここで二次電池を充電する場合には,二次電池3
1に対する充電電力を所定の最高値Mとして燃料電池1
1の発電量を決定する。なお,車両の停止状態において
二次電池31の容量が減少している場合には,燃料電池
11の発電を継続するか,容量の減少割合によっては燃
料電池11の運転を停止しても良い。
【0042】一方,車室内の冷房装置20の制御は水素
吸蔵合金からの水素放出に伴う吸熱反応を利用して行
う。その基本的な制御方法は,最初に車室内の空調条件
などをコントローラに入力することから始まる。そして
それが,例えば車室内の温度を一定に制御するような設
定である場合には,目標温度と車室内温度を比較して目
標値になるように車室内へ送気する風量を増減したり,
車室内の空気と熱媒体との熱交換を行なう熱交換器21
を流れる熱媒体の流量を増減させたり,必要に応じ並列
に配設された蓄熱タンク22へ熱媒体移動を制御するこ
とによって行なう。
【0043】なお,水素吸蔵合金からの水素放出量は,
基本的には燃料電池11の発電量により決定されるか
ら,吸熱反応により得られる冷房出力は,車両の走行条
件などにより過不足が生じる場合がある。この場合,水
素吸蔵合金からの水素放出流量をコントローラ40に入
力し,目標温度を達成するのに必要な熱量(以下「冷房
負荷」という)に対する水素吸蔵合金からの水素放出量
で決定される上記吸熱量の過不足を判断する。
【0044】そして吸熱量が不足する場合は前述の蓄熱
槽25から冷熱の供給を行い,過剰な場合には蓄熱槽2
5に冷熱を蓄熱する制御を付加する。さらに,冷房出力
に過不足がある場合には,燃料電池への水素供給量を増
減することで対応し,それに伴う燃料電池発電量の過不
足は,適宜二次電池の充放電量を変化させることで制御
する。
【0045】次に,本例のコンバインシステム1を用い
た電気自動車の効果について,図2に示す走行パターン
を用いた実験によって説明する。最初に,図2に示す走
行パターンについて説明する。本走行パターンは,停止
状態から車速60km/hまで17秒で加速するモード
81,車速60km/hで定速走行を17秒間行うモー
ド82,停止状態まで28.5秒で減速を行うモード8
3,及び車両を18.5秒間停止状態とするモード84
の4つのモードパターンからなる。
【0046】次に,その他の実験条件を説明する。MH
内蔵タンク10内にMmNi系の水素吸蔵合金を100
kg充填し,必要な水素を発生する。燃料電池11は最
高出力40kwの燃料電池を用いた。そして,所要動力
と燃料電池11の発電量の過不足を補う二次電池31は
8kwhの電池容量を持つ鉛蓄電池であり,乗員を含む
車両の総重量は2.2トンである。
【0047】次に,図3に上記走行パターンで走行させ
た場合の必要電力(所要動力+補機動力)の推移カーブ
85及び燃料電池11の発電量の推移カーブ86(斜線
部)を示す。図3における空白部87は二次電池31の
放電電力を示し,小さな斜線部88は,二次電池31の
充電電力を示す。加速状態となるモード81では,必要
電力が燃料電池11の最高発電量である40kwとなる
までは水素供給量を増加させ燃料電池11の発電量を制
御し,40kwを越える場合は二次電池31からの放電
により補う(空白部87)。本モード81の場合,11
秒以降は二次電池の放電が必要となり,60km/hに
達する17秒近くまで放電状態が続く。この間の二次電
池31の容量の低下は,約20wh程度である。
【0048】次に,60km/h定速走行となるモード
82では,必要電力が10.3kwであるが二次電池3
1への充電が必要となるため,しばらくの間(本実施例
では約4秒間)所定の発電量Mで必要電力以上の発電を
行うことになる。図3は,充電時の設定発電量Mを31
kwとした場合の結果であり,充電時間は設定発電量M
により異なる。
【0049】続いて,減速状態となるモード83では,
本例の場合二次電池31の容量も設定値となっているた
め,燃料電池11の発電量は補機動力分だけとなる。な
お,説明を簡単にするため減速時の回生発電はない状態
として説明したが,回生発電を行うとした場合減速時全
体(34秒から62秒)の平均で約2.6kwが回生可
能である。
【0050】この場合,モード82の二次電池31への
充電時の設定発電量Mを小さくするか,あるいは二次電
池31の設定容量Sから回生電力分を除いた電池容量
S′までを充電し,残りを回生電力で充電する。これに
よりさらに水素消費量を低減することができる。車両停
止状態のモード84では,補機動力分を燃料電池11は
発電とする。
【0051】次に,上記走行モード81〜84における
冷房装置20の運転について説明する。本例の冷房運転
は水素吸蔵合金の水素放出に伴う吸熱反応を利用して行
ない,加速時に最大冷房出力が得られ約12kwとな
る。そして,車両停止状態のモード84まで含めた全サ
イクル平均で約2.5kwの熱出力が得られる。
【0052】なお,上記は,燃料電池11への水素供給
を主体にして二次電池31の容量などを設定したが,冷
房運転を考慮した場合には,二次電池31の容量は前述
の設定値Sの70〜80%程度に設定することができ
る。
【0053】即ち,冷房出力が冷房熱負荷に比べ大幅に
少なく且つ蓄熱槽25内にも冷熱がない場合などに,必
要に応じ燃料電池11への水素供給量を増加させ吸熱量
の不足分を補うように制御する。そして燃料電池11の
発電量の必要電力に対する余剰分を二次電池へ充電す
る。このとき,二次電池31に対する充電時の発電量
は,二次電池の設定容量Sとの関係で最適値に設定す
る。
【0054】次に従来装置と本例との比較を行う。水素
ガスタンク等余分な構成を付加しない従来装置と本例と
を比較する。従来装置の場合には,水素ガスタンク等を
付加しなければ負荷変動に対応して燃料電池の発電量を
追従させることはできない。従って通常行われているよ
うに,燃料電池は一定の発電量とし,必要電力に対する
不足分を二次電池の放電により補うものとして本例と比
較評価する。
【0055】従来装置は,一定の発電を行う燃料電池の
規模を前述の走行モード81〜84を走行するのに必要
な平均所要動力約9.5kwよりやや高めの10kw規
模とすると,不足分を補う二次電池31は18kwh容
量の電池(最大所要動力との差が大きくなるため容量も
増大する)が必要となる。
【0056】最初に本例と従来装置の電池重量を比較す
る。本例の二次電池31の容量8kwhに比べ,従来装
置は2倍強の二次電池の容量が必要となり,そのため二
次電池の重量が約250kg増加する。一方,従来装置
は燃料電池の出力が低いことにより,本例の燃料電池3
1の重量に比べ約130kg減少できる。しかし前述の
二次電池重量との和である総電池重量は,約120kg
増加することになり,車両重量増加を招くこととなる。
【0057】次に本例と従来装置の水素消費量を比較す
る。本例で前述の走行モードを走行した場合の1サイク
ル当たりの水素消費量と,前述の従来装置を用いた車両
(本例より車両重量大)で同じ走行モードを走行した場
合の水素消費量を図4に示す。走行モードの前半は,本
例の水素消費カーブ890が,必要電力に追従して発電
するため水素消費量が多くなっている。しかし走行モー
ド全体では従来装置の水素消費カーブ891に比べ約5
0リットル(約20%)水素消費量が少なくなってお
り,電気自動車の走行距離延長が可能である。
【0058】次に,燃料電池11の負荷変動に対する応
答性について述べる。従来装置では,水素吸蔵合金を加
熱することにより放出水素量を変化させていたため.応
答性に問題があったが,本例は,コンプレッサ121に
より,水素供給量を高速に変化せることができるから燃
料電池の負荷応答性が良好である。
【0059】また,コンプレッサ121にはバイパス管
路14を設けて,制御弁15により,水素吸蔵合金の平
衡圧力が燃料電池の作動圧力より高い場合には,コンプ
レッサ121とは別個に圧力差による水素供給が可能と
なり,事実上コンプレッサの稼働時間を短くできること
から,エネルギーの有効利用につながる。さらに,少流
量の水素供給も容易となる。従って,燃料電池の出力制
御精度を高めることができる。
【0060】また,前記のように熱媒体にはフロンを用
いていない。上記のように,本例によれば,エネルギー
の利用効率が良好であると共に,燃料電池の負荷変動に
対する応答性が良好であり,かつフロンなどの環境破壊
物質を用いる必要のない燃料電池と冷房装置のコンバイ
ンシステムを提供する事が出来る。
【0061】実施例2 次に車室内の冷房を水素吸蔵合金の吸熱を利用して行う
本例と,車室内の冷房を通常用いられている蒸気圧縮式
ヒートポンプ(以下フロン式)を搭載して行う従来装置
について,60km/h定速走行での冷房性能について
説明する。本例の基本的な構成は実施例1と同じである
が,冷房装置作動による影響を明らかにするため,搭載
した燃料電池11及び二次電池31は,従来装置と同一
の発電量10kwの燃料電池と電池容量18kwhの二
次電池とした。
【0062】上記構成の車両を車速60km/hで定速
走行させ,かつ冷房出力3kw程度を得るのに必要な所
要動力は,本例のコンバインシステムが約10.5kw
であるのに対し従来装置では約12kwとなり,それぞ
れ発電に必要な消費水素量は,本例が約135リットル
/min,従来装置が約190リットル/minとなっ
た。
【0063】本例の車両は,実施例1の評価結果に記載
したようにMmNi系合金を100kg充填しており,
約20m3 の水素を貯蔵している。従って,60km/
h定速走行での走行距離は,本例が約150kmであ
る。一方,従来装置では約110kmとなり,本例は従
来装置より約36%走行距離が長い。
【0064】なお,60km/h定速走行中に得られる
本例の冷房出力は,3kwであった。上記のように本例
のコンバインシステムによれば,定速走行して冷房運転
した場合においても,より走行距離の大きな電気自動車
を提供することができる。
【0065】実施例3 本例は,図5に示すように,実施例1又は実施例2にお
いて,燃料電池11の出力端子間に熱電変換手段351
〜355を並列接続すると共に,燃料電池11やモータ
301の排熱を利用した暖房用の熱交換器23を更に設
けたもう1つの実施例である。図5において符号24
は,暖房用の熱媒体管路である。
【0066】上記熱電変換手段351〜355は,冷却
用熱電変換手段351〜354と加熱用熱電変換手段3
55とからなる。上記熱電変換手段351〜355は,
燃料電池11の余剰電力又はモータ301の回生電力に
よって励磁され,電力を冷熱又は温熱に変換する。
【0067】冷却用熱電変換手段351〜354は,図
5に示すように,モータ301,燃料電池11,蓄熱槽
25を冷却すると共に,冷房装置20の補助冷房として
利用する。一方,加熱用熱電変換手段355は,暖房用
熱交換器23を補助するものとして利用する。
【0068】燃料電池11及びモータ301に余剰又は
回生電力が生じた場合には,二次電池31を充電し,余
剰電力を吸収するが,二次電池31が充電完了した場合
には,実施例1及び実施例2においては,余剰電力を有
効に利用することができない。
【0069】しかしながら,本例においては,二次電池
31の充電完了状態においても,熱電変換手段351〜
355が余剰電力を吸収し,余剰電力を熱変換すること
により上記のようにエネルギーの有効利用が可能であ
る。従って,燃料である水素の有効利用が可能となり,
車両の走行距離を延ばすことができる。その他について
は,実施例1又は実施例2と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の燃料電池と冷房装置のコンバインシ
ステムのシステム構成図。
【図2】実施例1の走行実験における走行パターン図。
【図3】実施例1の走行実験における必要電力と燃料電
池発電量の変化図。
【図4】実施例1の走行実験における水素消費量の変化
図。
【図5】実施例3の燃料電池と冷房装置のコンバインシ
ステムのシステム構成図。
【符号の説明】
1...コンバインシステム, 10...水素吸蔵合金(MH)内蔵タンク, 11..燃料電池, 12...水素圧送機, 20...冷房装置, 21...熱交換器, 25...蓄熱槽, 31...二次電池, 251〜355...熱電変換手段,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三井 宏之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 青木 博史 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 久保 秀人 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 藤 敬司 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 藤田 信雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動式のアクチュエータに電力を供給す
    る燃料電池と,熱媒体を用いる冷房装置の熱交換器と,
    上記燃料電池に対して燃料である水素を供給すると共に
    上記冷房装置の熱媒体管路を内部に導入し熱媒体と熱交
    換を行なう水素吸蔵合金内蔵タンクと,燃料電池に上記
    水素を供給する水素供給管路に介設し水素を圧送する水
    素圧送機と,上記燃料電池の出力端子間に並列接続され
    た二次電池と,上記水素圧送機と二次電池とを操作して
    アクチュエータへの供給電力と熱交換器の冷房出力とを
    同時に制御するコントローラとを有する,燃料電池と冷
    房装置のコンバインシステムであって,上記コントロー
    ラは,燃料電池の出力が過剰な場合には,上記二次電池
    を充電し,燃料電池の出力が不足する場合には二次電池
    を放電してアクチュエータの駆動電力と熱交換器の冷房
    出力とを同時に制御することを特徴とする燃料電池と冷
    房装置のコンバインシステム。
  2. 【請求項2】 請求項1において,熱交換器の熱媒体管
    路には,蓄熱槽が併設されており,上記コントローラ
    は,水素吸蔵合金内蔵タンクの冷熱出力が過剰な場合に
    は,上記蓄熱槽に冷熱を蓄え,一方水素吸蔵合金内蔵タ
    ンクの冷熱出力が不足する場合には,上記蓄熱槽の冷熱
    を放出することを特徴とする燃料電池と冷房装置のコン
    バインシステム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において,上記燃
    料電池の出力端子間には,熱電変換手段が並列接続され
    ており,上記コントローラは,上記熱電変換手段に余剰
    な電力を供給して熱出力を発生させ,周辺部材の加熱又
    は冷却制御を行なうことを特徴とする燃料電池と冷房装
    置のコンバインシステム。
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