JPH08109197A - 白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド - Google Patents

白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド

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JPH08109197A
JPH08109197A JP6270496A JP27049694A JPH08109197A JP H08109197 A JPH08109197 A JP H08109197A JP 6270496 A JP6270496 A JP 6270496A JP 27049694 A JP27049694 A JP 27049694A JP H08109197 A JPH08109197 A JP H08109197A
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JP
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amino acid
tumor rejection
cells
rejection antigen
acid sequence
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JP6270496A
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Eiichi Nakayama
睿一 中山
Akiko Uenaka
明子 上中
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 白血病腫瘍拒絶抗原ペプチドを提供するこ
と。 【構成】 AKT遺伝子によりコードされるアミノ酸配
列または該AKT遺伝子の変異によってその非翻訳領域
によりコードされるアミノ酸配列の中に部分的配列とし
て含まれるアミノ酸配列から構成されるペプチドであっ
て、主要組織適合性抗原(MHC)クラスI分子に結合
するモチーフを含むことを特徴とする白血病腫瘍拒絶抗
原ペプチド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、白血病腫瘍拒絶抗原ペ
プチドに関し、さらに詳しくは、癌等の腫瘍の拒絶を誘
導する白血病腫瘍拒絶抗原ペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】免疫系は、生物が生存するために必須な
生体防御機構である。免疫応答の初反応は、侵入してき
た異物を非自己抗原として認識することである。これ
は、遺伝子の再構成により多様性を獲得したT細胞レセ
プターが、細胞表面に提示された非自己に由来する抗原
ペプチドと、主要組織適合複合体(MHC)とを同時に
認識することによって、非自己抗原を厳格に識別するシ
ステムにより行われている(Cell 62:203,
1990)。
【0003】抗原提示機構には、種々の経路が報告され
ているが、主としてクラスI(内因性)−クラスII
(外因性)抗原提示ルールと呼ばれる二経路に大別さ
れ、前者は、細胞性免疫、そして、後者は、体液性免疫
を獲得するための非自己抗原の処理機構である。バクテ
リアなどの外因性抗原は、種々の抗原提示細胞に取り込
まれた後、エンドソーム内でリソゾーム酵素により分解
され、生じた抗原ペプチドは、MHCクラスII分子と
共にCD4+ヘルパーT細胞に提示される。
【0004】ヘルパーT細胞は、遺伝子の再構成により
獲得した多様性に富むT細胞レセプターを発現してお
り、非自己抗原に由来するペプチドとMHCクラスII
分子の両者を同時に認識して、活性化され、増殖する。
活性化されたヘルパーT細胞は、種々のサイトカインを
分泌して、B細胞の増殖と分化(即ち、非自己抗原に反
応する抗体の産生)を誘導する。分泌された特異抗体
は、細胞外の非自己抗原を捕捉し、補体系との協同作用
でこれを破壊する。
【0005】一方、ウィルス、寄生虫、癌抗原などの内
因性抗原は、ほとんど全ての細胞に発現しているMHC
クラスI分子と共にCD8+キラー細胞(細胞傷害性T
細胞:CTL)に提示され、上記と同様に多様性を獲得
したT細胞レセプターを介して、キラーT細胞が活性化
される。活性化されたキラーT細胞は、バーフォリン、
リンホトキシン、腫瘍壊死因子、細胞死因子Fasリガ
ンドなどの細胞傷害性因子を分泌し、内因性抗原を発現
する標的細胞を直接攻撃し、非自己抗原を細胞もろとも
破壊する。このように、クラスI(内因性)−クラスI
I(外因性)抗原提示ルールが、主要な非自己抗原の処
理機構であるとされている。
【0006】この数年間における免疫監視システムの研
究分野の急速な発展は、蛋白質一次構造を決定するマイ
クロシークエンス法が進歩し、細胞表面に提示されてい
るMHCクラスI及びクラスII分子内に結合した抗原
ペプチドの構造が、次々に解析され始めたことに起因し
ている。その結果、クラスI分子には8〜11のアミノ
酸残基、そしてクラスII分子には13〜20のアミノ
酸残基からなる抗原ペプチド群が結合していることが証
明され、これらのペプチド群とMHC分子との複合体の
T細胞に対する反応性が、自己免疫疾患、腫瘍免疫、移
植の際の拒絶等に関連する最も重要な研究課題となって
いる(Annu.Rev.Immunol.9:70
7,1991)。
【0007】ところで、腫瘍抗原は、癌化に伴って細胞
内に出現する蛋白分子であり、これも細胞質内でプロセ
ッシングを受けて、MHC分子上に提示されるものと考
えられている。腫瘍拒絶抗原の存在が明らかにされたの
は、今から約半世紀前にさかのぼる。メチルコラントレ
ンのような化学物質で誘発した腫瘍を、同系マウスに移
植すると、腫瘍は増殖し続け、マウスは腫瘍死する。し
かし、腫瘤形成後に、これを外科的に切除し、回復後に
同じ腫瘍を移植しても、腫瘍の増殖はみられない。つま
り、切除により、宿主マウスは、その腫瘍に対する抵抗
性を獲得する。この抵抗性は、T細胞によって担われて
いることが養子移入の実験から明らかになった。このよ
うな腫瘍に対する移植抵抗性は、数多くの腫瘍で確認さ
れ、それぞれの腫瘍に特異的な拒絶抗原の存在が明らか
になった。
【0008】このように、化学誘発癌には、各腫瘍に固
有の拒絶抗原が存在する。この抗原の特徴は、著しい多
様性である。多様性が分子レベルでどのような機構によ
って生みだされるのかについては、腫瘍免疫学者の最大
の関心事の一つであるが、未だにわかっていない。そこ
で、拒絶抗原を化学的に抽出して、その分子を解析する
試みがなされてきた(Int.J.Cancer,5
4:177−180,1993)。
【0009】例えば、腫瘍拒絶反応においては、それぞ
れの腫瘍、言い換えるとそれぞれの腫瘍抗原に応じて、
CD8あるいはCD4陽性T細胞が種々の程度に関与し
ていることが知られている。そこで、in vitro
で、強い活性を有する細胞傷害性T細胞(CTL)クロ
ーンを樹立し、これを長期にわたり培養で維持しなが
ら、抗原特異性の解析を行うことが可能である。ブーン
(Thierry Boon)らはこのようなCTL
を用い、遺伝子導入法によって、いくつかの拒絶抗原遺
伝子の解析をヒトメラノーマについても行い、自家癌患
者由来のCTLが認識するメラノーマ抗原MZ2−Eの
発現を支配するMAGE−1遺伝子を得た(Scien
ce,254:1643,1991)。MAGE−1遺
伝子の第3エクソン由来の9個のペプチドがCTLの標
的になっており、このペプチドを患者と同じA1陽性細
胞にパルスすると、CTLによりこの細胞は破壊され
る。Al陽性の頻度は、全メラノーマ患者の10%に相
当する。MAGE−1は、肺癌と乳癌の一部にも発現さ
れているが、正常細胞には精巣を除いて発現はみられな
い。
【0010】さらに、ブーンらは、同様にして、HLA
−A2に提示されるヒトメラノーマ抗原として、チロシ
ナーゼを見い出した(J.Exp.Med.,178:
489,1993)。チロシナーゼは、HLA−A2を
もつヒトの頻度が高いため、免疫療法のターゲットとし
て一層期待される。しかし、その遺伝子は、正常のメラ
ノサイトにも発現されており、交差反応の心配がある。
これら同定された遺伝子について、CTLによって認識
される合成ペプチドが明らかにされているが、これらの
ペプチドで、実際に、能動免疫が可能かどうかについて
は未だ報告がない。現在までに報告されている腫瘍拒絶
抗原は、免疫原性の強いメラノーマに関するものであ
り、白血病腫瘍拒絶抗原についての報告はない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、白血
病腫瘍拒絶抗原ペプチドを提供することにある。腫瘍拒
絶反応は、MHC分子上の8ないし11残基のペプチド
の局所的な相互作用により引き起こされている。しかし
ながら、これらのペプチドの多くは、生体中では極めて
微量であり、その有効な解析手法がないために、白血病
細胞における腫瘍免疫に関しては、ほとんどが未知であ
るのが現状であり、新しい白血病腫瘍拒絶抗原の開発が
望まれていた。本願発明者らは、このような状況を踏ま
え、白血病腫瘍拒絶抗原ペプチドを効率よく見つけるた
めに、マウス白血病細胞をモデルに用いて、腫瘍拒絶抗
原メカニズムを詳細に検討すると共に、白血病疾患をは
じめとする各種病態の治療及び診断法を確立することを
目標として、鋭意研究を重ねた結果、新規な白血病腫瘍
拒絶抗原に関与するペプチドを同定することに成功し
て、本発明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、AKT
遺伝子によりコードされるアミノ酸配列または該AKT
遺伝子の変異によってその非翻訳領域によりコードされ
るアミノ酸配列の中に部分的配列として含まれるアミノ
酸配列から構成されるペプチドであって、主要組織適合
性抗原(MHC)クラスI分子に結合するモチーフを含
むことを特徴とする白血病腫瘍拒絶抗原ペプチドが提供
される。
【0013】本発明の好ましい実施態様は、下記の通り
である。 (1)前記ペプチドが、15以下のアミノ酸残基で構成
されている前記の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。 (2)前記ペプチドが、8〜11のアミノ酸残基で構成
されている前記の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。 (3)前記AKT遺伝子が、マウスv−AKT、マウス
c−AKT、ヒトv−AKT、またはヒトc−AKT遺
伝子である前記の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。 (4)マウスv−AKT遺伝子によりコードされるアミ
ノ酸配列が、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列
である前記の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。 (5)マウスc−AKT遺伝子によりコードされるアミ
ノ酸配列が、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列
である前記の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。 (6)AKT遺伝子の変異によって非翻訳領域によりコ
ードされるアミノ酸配列が、c−AKT遺伝子の変異に
よって非翻訳領域がアミノ酸に翻訳された際に得られる
アミノ酸配列である前記の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチ
ド。 (7)マウスc−AKT遺伝子の非翻訳領域が変異して
アミノ酸に翻訳された際に得られるアミノ酸配列が、配
列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列である前記の白
血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。 (8)前記ペプチドが、Ile Pro Gly Le
u Pro Leu Ser Leu (IPGLPL
SL)である白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。 (9)IPGLPLSLが、MHCクラスI分子として
マウスH−2Ldをもつ白血病細胞において活性を示す
ものである前記の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。 (10)前記ペプチドが、Met Tyr Glu M
et Met CysGly Arg Leu (MY
EMMCGRL)である前記の白血病腫瘍拒絶抗原ペプ
チド。 (11)MYEMMCGRLが、MHCクラスI分子と
してマウスH−2Kdをもつ白血病細胞において活性を
示すものである前記の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。
【0014】以下、本発明について詳述する。本発明の
腫瘍拒絶抗原ペプチドは、前記ペプチドのアミノ酸配列
のN末端にメチオニンが結合していないポリペプチド、
及び上記アミノ酸配列のN末端にシグナルペプチドの部
分もしくは全部が結合または欠損した中間体も含包す
る。自然の変異により、あるいは人工の変異により、ポ
リペプチドの主たる活性に変化を与えることなく、ポリ
ペプチドをコードするDNAの構造の一部を変化させる
ことが可能である。本発明の腫瘍拒絶抗原ポリペプチド
は、前記アミノ酸配列を有する相同変異体に相当する構
造を有するポリペプチドも含包する。本発明の腫瘍拒絶
抗原ペプチドは、癌化に伴って細胞内に出現する蛋白分
子であり、細胞質内でプロセッシングを受けて、MHC
分子上に提示されている。
【0015】本発明の腫瘍拒絶抗原ペプチドは、非共有
結合によってMHCクラスI分子に結合しているため、
酸処理によって、容易にMHC分子から離れてくる。こ
の分子量数千ダルトン以下の短いペプチドは、モルカッ
トで5KD以上の蛋白分子と分離することができる。ペ
プチドの含まれた抽出液を逆相カラムを用いて高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)にかけ、アセトニトリ
ル勾配に伴う溶出パターンを調べることができる。これ
ら溶出ペプチドの各ピークを分取し、MHCの一致する
別の腫瘍にパルスして、これを標的細胞とし、51Cr遊
離法でキラーT細胞の感作活性を調べることができる。
活性が検出されたペプチドを、エドマン分解法、さらに
はタンデム質量分析器を用いて、アミノ酸配列の決定を
行うことができる。このようにして、T細胞が認識する
癌抗原ペプチドを同定することが可能である。
【0016】しかしながら、実際には、エドマン分解法
あるいはタンデム質量分析器によるアミノ酸配列の決定
には、少なくとも数十ピコモルのペプチド量が必要であ
り、このためには、莫大な数の腫瘍細胞数が必要とな
る。もう一つの問題点は、HPLCで溶出した各分画内
に含まれるペプチドは、少なくとも数種類であり、この
ため、エドマン分解法によって得られるシグナルも数種
類となり、アミノ酸配列を正確に決定するのは難しい。
このため、タンデム質量分析器を用いて、ペプチドの壊
れ方からアミノ酸配列を読み取る方法が注目されている
が、この方法も実際に得られるデータからアミノ酸配列
を正確に予測するのは簡単ではない。そこで、本発明者
等は、BALB/c放射線白血病RL♂1(以下、RL
1と略記)細胞に特異的なCTLによって認識される固
有抗原が存在することをもとに(Proc.Natl.
Acad.Sci.USA,76:3486,197
9)、腫瘍免疫に関する研究を鋭意重ねてきた結果、白
血病腫瘍拒絶抗原を得ることに成功した。
【0017】以下、本発明者らが白血病腫瘍拒絶抗原を
見いだすに至った経緯を述べる。放射線誘発マウス白血
病RL1をBALB/cとB6マウスのF1に接種する
と、一旦腫瘍を形成した後に拒絶される。宿主マウスに
抗CD8抗体をインビボ(in vivo)投与し、C
D8T細胞を除去すると、拒絶反応は阻止され、宿主マ
ウスはすべて腫瘍死する。一方、抗CD4抗体では、影
響を受けない。このことから、拒絶には、主としてCD
8陽性T細胞が関与していることがわかる。腫瘍を拒絶
したマウス脾細胞を、インビトロでRL1細胞で再刺激
すると、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞(CTL)が誘発
される(Proc.Natl.Acal.Sci.US
A 76:3486−3490,1979)。誘導され
たCTLをBALB/c nu/nuマウスに移入した
後、これらのマウスにRL1を接種すると、RL1細胞
の増殖が阻止される(Immunology 56:1
41−151,1985)。
【0018】RL1細胞の拒絶を担っているこのような
CTLに認識される拒絶抗原ペプチドを明らかにするこ
とを目的に、本発明者らは、腫瘍拒絶マウスの脾細胞か
らCTLの株化を試み、6種類のクローン化CTL株を
樹立した。細胞傷害活性測定の結果、バルクCTL及び
6つのCTLクローンのすべてが、RL1細胞を特異的
に傷害することがわかった(表1)。
【0019】
【表1】 (脚注)実施例1で得られたRL1のCTL細胞の標的
細胞(RL1及びP815)に対する細胞傷害活性の特
異性を示す。CTL細胞としては、RL1に対するバル
クCTLとクローン化CTL細胞6種類(clone
12,14,31,33,44,103)を用いた。細
胞傷害性T細胞(CTL):標的細胞の比=9:1
【0020】表1の結果から、RL1細胞には、これら
のCTLが認識する特異的な抗原が存在していることが
わかる。また、表2にみられるように、抗H−2モノク
ローナル抗体による細胞傷害性抑制試験の結果、これら
のCTLの細胞傷害性は、すべてLd拘束性であること
がわかった。抗CD8抗体で細胞傷害活性の抑制が起こ
り、CTLは、CD8陽性T細胞である。つまり、これ
らCTLのT細胞レセプターは、Ld分子と結合したペ
プチドを認識していることがわかった。
【0021】
【表2】 (脚注)実施例1で得られたマウス主要組織適合抗原
(H−2)に対するモノクローナル抗体による細胞傷害
抑制試験である。マウス主要組織適合抗原として、クラ
スI分子としては、K、D、Lがあり、クラスII分子
としては、A、Eがある。血清及びモノクローナル抗体
は、50倍希釈で使用した。バルクとクローン化傷害性
T細胞(CTL):RL♂1標的細胞の比=5:1。 *:正常マウス血清
【0022】本発明者らは、図1に示すように、RL1
細胞を酸(トリフルオロ酢酸:TFA)で処理してMH
C結合ペプチドを抽出した。分子量5000以下の画分
を、逆相HPLC(ODPカラム)により分画し、各フ
ラクションをRL1と同じH−2分子(H−2d)を発
現するDBA/2由来のマウスサイトーマp815細胞
に加え、感作活性を調べた。p815細胞が、RL1特
異的CTLによって、RL1細胞と同様に細胞傷害を受
けるようになれば、感作に用いたそのフラクションに
は、標的抗原ペプチドが含まれていることになる。12
匹の担癌マウスより得たRL1腹水細胞の分子量500
0以下のTFA抽出物を、TFA存在下で20〜60%
アセトニトリルグラジエント溶出を行った。
【0023】図1に見られるように、23分(ピーク
a)と26分(ピークb)のフラクションに強い感作活
性が認められ、その他のフラクションには認められなか
った。これらのフラクションの感作活性は、バルクCT
L及び6つのCTLクローンですべて同様に認められ
た。この結果から、抽出抗原は、主要なCTL認識抗原
であることがわかった。これらの活性フラクションで感
作したp815が、51Crで標識したRL1に対する細
胞傷害活性を抑制するか否かを調べた結果、感作p81
5は、無標識RL1と同様に、細胞傷害活性を抑制し
た。
【0024】これらの結果より、RL1CTLの認識抗
原は、比較的単一であり、酸により効率よく抽出される
ことがわかる。フラクションの感作活性は、RL1への
細胞傷害活性と同様に、抗Ld抗体によって阻害され、
また、既知のLd結合ペプチドで阻害される(表2)。
これらのことは、フラクションの活性がLd分子に結合
するペプチドによるものであることを示している。RL
1細胞を可溶化し、アフィニティーカラムでLd分子を
TFA処理して、遊離する分子量5000以下の物質を
前述のODPカラムによる逆相HPLCで分画すると、
RL1細胞より直接酸抽出した場合と同じ23分に活性
フラクションを得た。この場合、26分のフラクション
には、感作活性はほとんどみられなかった。
【0025】そこで、活性ペプチドを精製同定するため
に、250匹のRL1担癌マウスより、2.5x1011
個の腹水細胞を集め、TFAにより酸抽出し、前述のO
DPカラムによる逆相HPLCを繰り返し行い、感作活
性のある23分と26分のフラクションを各々プールし
た。プールした各活性フラクションについて、C2/C
18カラムで、中性及び酸性の条件下で、リクロマトク
ロマトグラフィーを行い、単峰性のピークを得た。エド
マン分解法による一次構造の解析を行い、ODPで23
分由来の活性ピークからは、オクタマーのpRLla
(アミノ酸配列;Ile Pro Gly Leu P
ro Leu Ser Leu、即ち、IPGLPLS
L)が、26分由来の活性ピークからは、デカマーのp
RL1b(アミノ酸配列;Ser Ile Ile P
ro Gly Leu Pro Leu Ser Le
u、即ち、SIIPGLPLSL)ペプチドの配列が得
られた。
【0026】これらの配列をもとにした合成ペプチド
は、ODP逆相HPLCで、細胞内でプロセスされたペ
プチドと同じ23分と26分に溶出され、1〜100n
Mの濃度で感作活性を示すことが確認された。ホモロジ
ー検索の配列情報より、これら2種類のペプチドは、オ
ンコジーンAKT−1遺伝子のコードする蛋白の一部分
であることが明らかになった。このことより、pRL1
aは、pRL1bの2個のアミノ酸が切られて、一個の
白血病腫瘍拒絶抗原エピトープを形成しているものと考
えられる。
【0027】本発明で得られた白血病腫瘍拒絶抗原のペ
プチドと相同性がある癌遺伝子AKTの由来に関して
は、以下の通りである。AKT8ウィルスは、T細胞リ
ンパ腫瘍からとられたレトロウィルスであり(Pro
c.Natl.Acad.Sci.U.S.A.74,
3065,1977)、培養ミンク肺細胞をトランスフ
ォームする活性がある。v−AKT遺伝子は、AKT8
ウィルスの感染したミンク肺細胞からクローニングされ
た遺伝子であり、これは、レトロウィルス由来のGag
蛋白と、細胞由来のc−AKTの非翻訳領域(c−AK
TのATGコドン上流60残基)が翻訳された蛋白とc
−AKT蛋白が融合した蛋白であることが報告されてい
る(Science,254,274−277)。
【0028】c−AKTに関しては、マウス及びヒトで
クローニングされており、ヒトとマウスでは、90%の
核酸レベルでのホモロジーがあり、アミノ酸レベルでは
98%のホモロジーがある(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA、89,9267−9271,1
992)。c−AKT遺伝子に関しては、N末端側にs
rcホモロジー2様ドメインがあり、C末端側にはプロ
テインカイネース様ドメインがある。
【0029】本発明により、同定されたペプチドは、c
−AKT遺伝子のATGコドン上流の非翻訳領域部分に
相当するものであり、v−AKT由来か、c−AKT遺
伝子が自然の変異または癌化などに起因する変異(点突
然変異、欠失、挿入、フレームシフトなど)により翻訳
されたものと考えられる。表3に、白血病腫瘍拒絶抗原
ペプチドとAKT遺伝子とのペプチドのアミノ酸配列の
比較結果を示す。
【0030】
【表3】
【0031】本発明の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチドは、
主要組織適合抗原(MHC)クラスI分子のマウスアロ
タイプH−2Ldにおいては、表3に示すようにIPG
LPLSLである。しかしながら、他の主要組織適合抗
原においては、このアミノ酸配列に限定されるものでは
ない。MHCクラスI分子は、マウスでは、第17染色
体上のH−2K、D、L上に存在し、マウスの種類によ
って、b、d、f、j、k、p、q、r、s、u、v、
z等のハロタイプが知られている。一方、ヒトでは、M
HCクラスI分子は、第6染色体上のHLA−A、B、
C上に存在し、ヒトの個体差により、HLA−Aでは、
25種類以上、HLA−Bでは、32種類以上、HLA
−Cでは、11種類以上が報告されている。
【0032】これらMHCクラスI分子上に結合するペ
プチドの解析について、最近になっていくつか報告され
ている(Annu.Rev.Immunol.12:1
81−207,1994)。これは、可溶化した細胞膜
から、マウス及びヒトのクラスI分子を免疫沈降させ、
これらのクラスI分子に自己結合している自己ペプチド
を精製して、アミノ酸分析を行い、その一次構造を解析
することによって行われた。その結果、各クラスI分子
に結合するペプチドのモチーフは、異なる遺伝子座にコ
ードされるクラスI分子ごとに、即ち、ハロタイプごと
に異なることが明らかとなっている。
【0033】例えば、マウス、H−2Ldでは、N末端
から2番目のアミノ酸の位置にPが、C末端側(8−1
1番目)にFやLをもつペプチドが結合する。本発明の
H−2Ld結合性の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチドである
IPGLPLSLも、このモチーフに合致する。この他
にもマウス、H−2Kd(2番目;Y、C末端;I、
L、V)、H−2Kk(2番目;E、C末端;I),H
−2Dd(2番目;G、3番目;P、C末端:L、I、
F)、H−2Db(5番目;N、C末端;M、I)等に
ついて、また、ヒトに関してもHLA−A2.l(2番
目;L、M、I、C末端;V、L、I、A)、HLA−
A3.1(2番目:L、C末端;Y、K)、HLA−B
7(2番目;P、C末端;L、I)等が報告されている
(Annu.Rev.Immunol.12;181−
207,1994)。
【0034】したがって、本発明の白血病腫瘍拒絶抗原
ペプチドは、癌遺伝子AKTのコードする蛋白のアミノ
酸配列のうちで、上記マウス及びヒトのMHCクラスI
分子に結合するモチーフであれば、特にその配列は限定
されることなく、腫瘍拒絶抗原ペプチドとして用いるこ
とができる。本発明者等は、実際に、マウスH−2Kd
のモチーフである2番目のY、C末端のI、L、Vの配
列をv−AKT(配列番号1)で検索したところ、GY
KERPQDV(58−66番目)、DYLHSEKN
V(283−291番目)、MYEMMCGRL(36
0−368番目)、FYNQDHEKL(370−37
8番目)のペプチドが、このモチーフに一致することが
わかった。
【0035】そこで、これらペプチドで感作したバルク
のCTLを用いて、H−2Kdをもつp815細胞に対
する細胞傷害活性を調べたところ、MYEMMCGRL
(360−368番目)が活性のあるペプチドであるこ
とが判明した。このペプチドは、マウスc−AKT(配
列番号2)の339−347番目のペプチドにも相当す
る。したがって、他のマウスのMHCクラスI分子や、
ヒトMHCクラスI分子についても、同様にして白血病
腫瘍拒絶抗原ペプチドを効率よく同定することが可能で
ある。
【0036】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0037】[実施例1] (1)細胞傷害活性測定 本発明における細胞傷害活性の測定は、以下のようにし
て行った。腫瘍細胞(標的細胞)2×106個を、2M
qNa 2 51CrO4と0.3mlの培養液中で1時間
培養し、標識した。これらの細胞を洗浄し、標的細胞と
して用いた。標識化された1×104個の細胞(100
μl)を標的細胞として用い、CTL細胞(100μ
l)をエフェクター細胞として添加し、96穴培養プレ
ートで培養した。抗体を用いたブロッキングアッセイ
は、希釈したモノクローナル抗体100μlをエフェク
ター細胞50μlとラベル化した標的細胞50μlに添
加し、行った。
【0038】HPLCフラクションを用いた刺激試験
は、5〜10μlのHPLC画分を100μlの培養液
に希釈して、1×104個の標識化された標的細胞(5
0μl)と1時間室温でインキュベートし、エフェクタ
ー細胞50μlを添加した。4時間のインキュベーショ
ン後、培養上清(100μl)をとり、ガンマーカウン
ターで放射線活性を測定した。特異的傷害活性は、以下
のように算出した。 CTL活性=〔(a−b)/(c−b)〕×100 a:ターゲット細胞をエフェクター細胞とインキュベー
トした際に遊離する放射線活性 b:エフェクター細胞のみでインキュベートした際に遊
離する自然遊離放射線活性 c:ターゲット細胞を界面活性剤等で処理した際に生じ
る最大遊離放射線活性
【0039】(2)RL1細胞特異的細胞傷害性T細胞
の樹立と維持 CB6F1マウスの脾細胞5×107個と放射線照射
(100Gy)したRL1細胞1×106個を細胞培養
用フラスコで5日間培養した。培養液は、RPMI 1
640、10%牛胎児血清(FCS)、2mMグルタミ
ン酸、100u/mlペニシリン、100μg/mlス
トレプトマイシン、50mM2−メルカプトエタノール
を用いた。培養フラスコから剥離した細胞(5×104
個)は、バルクのCTL細胞として、1週間毎に1×1
5個の放射線照射(100Gy)したRL1細胞を刺
激細胞とし、5×105個の放射線照射(20Gy)し
たCB6F1の脾臓細胞をフィーダー細胞として、5n
g/mlヒトリコンビナントII−2を添加した培養液
中で維持した。CTL細胞のクローン化は、96穴プレ
ートにCTL細胞を3から0.3個の割合でまき、1×
104個の放射線照射したRL1細胞と1×106個の放
射線照射したCB6F1脾細胞とIL−2存在下で培養
した。10〜14日後に増殖してきた細胞の細胞傷害活
性を調べることにより、クローン化し、6種類のクロー
ン化したCTL細胞を得ることができた。
【0040】得られたバルクCTL細胞と、クローン化
CTL細胞のRL1細胞と、p815細胞に対する細胞
傷害活性を表1に示す。マウス主要組織適合抗原(H−
2)に対する各種モノクローナル抗体による細胞傷害抑
制試験の結果を表2に示す。マウス主要組織抗原とし
て、クラスI分子としては、K、D、Lがあり、クラス
II分子としては、A、Eがあるが、これらのモノクロ
ーナル抗体のうち、抗Ld分子のモノクローナル抗体の
みが、細胞傷害活性を抑制していることから、本白血病
腫瘍拒絶抗原は、Ld分子に結合していることがわか
る。
【0041】[実施例2] 白血病腫瘍拒絶抗原ペプチドの精製は、以下の方法で行
った。 (1)高速液体クロマトグラフィーによる精製 RL1細胞2.5×1011個をBalb/cマウス25
0匹の腹水から調製した。得られた細胞は、0.1%T
FA(トリフルオロ酢酸)中、ダンスホモジナイザーで
10ストロークホモジナイズし、ソニケーターで3分間
処理した。ホモジネートは、0.1%TFA(pH2.
0)で30分間撹拌した。10,000Gで30分間遠
心して、上澄みをモレキュラーカットメンブラン(分子
量5000、ミリボア社)で濾過した。マウス10匹分
より得た濾液を0.1%TFAに溶かし、逆相高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)(ODP;10×25
0mm、10μm、ASAHIPAK,KAWASAK
I)で分離した。カラム溶出溶媒は、0.1%TFA中
20%から60%のアセトニトリル濃度勾配で用いた。
フラクションは、2mlづつ分画した。各フラクション
の活性は、RL1細胞に対するキラーT細胞を用いて、
ターゲット細胞として、H−2Ldを持つp815細胞
を用いた。図1に、1回目のC18カラムの結果を示
す。ピークaとピークbの画分にp815細胞に対する
細胞傷害活性があった。
【0042】さらに、精製するために、逆相HPLC
C2/C18カラム(SuperPacTM Pep−
S;4×250mm、5μm particles;P
harmacia LKB,Swerden)にピーク
aとピークbの画分をアプライして、中性条件下で、ア
セトニトリル濃度勾配により1ml/minの速度で溶
出した。逆相HPLCで分画したプロフィール、及び各
フラクションの一部をとり、p815細胞に加え、RL
1特異的CTLによる傷害活性を調べた結果を図2に示
す。図2Aは、ピークa由来の画分をアプライした際の
プロフィールであり、12分(ピークa′)に強い細胞
傷害活性が見られ、図2Bは、ピークb由来の画分をア
プライした際のプロフィールで、29分(ピークb′)
のフラクションに強い細胞傷害活性が見られた。
【0043】図2ピークa′とピークb′の画分を3回
目の逆相HPLC(C2/C18カラム、酸性条件下
0.1%TFA、アセトニトリル濃度勾配;0.5%
(A)あるいは1.66%(B)/分、2ml/mi
m)で分画したプロフィールを図3に示す。各フラクシ
ョンの一部をとり、p815細胞に加え、RL1特異的
CTLによる傷害活性を調べた。図3Aは、ピークa′
由来の画分をアプライした際のプロフィールで、24.
5分(ピークa″)に強い細胞傷害活性が見られ、図3
Bはピークb′由来の画分をアプライした際のプロフィ
ールで、23分(ピークb″)のフラクションに強い細
胞傷害活性が見られた。
【0044】(2)ペプチドシークエンス ペプチドシークエンスは、ペプチドシークエンサー(モ
デル477A;アプライドバイオシステムズ社)を用い
て、エドマン分解法によって決定した。ピークa″画分
は、IPGLPLSL、ピークb″画分は、SIIPG
LPLSLと決定された。
【0045】[実施例3]結合ペプチドのキャラクタライゼイション (1)ペプチド合成 IPGLPLSLとSIIPGLPLSLのペプチド
を、F−moc法を用いた固相合成法で、ペプチド合成
装置(モデル430A、アプライドバイオシステムズ
社)を用いて化学合成した。合成したペプチドは、逆相
HPLCカラム(C8カラム、10×100mm、20
μm Particle size、アプライズドバイ
オシステムズ社)により、0.1%TFAアセトニトリ
ル存在下、アセトニトリル濃度勾配により、98%以上
に精製した。これらのペプチドを用いて、CTL刺激活
性を調べた結果を図4に示す。
【0046】RL1のCTL細胞の細胞傷害活性を標的
細胞として、T1.1.1(Ldトランスフェクトした
L細胞);T4.8.3(Dbをトランスフェクトした
L細胞);p815(Ld−発現細胞)とした場合につ
いて、ペプチド添加効果を調べた。ペプチドとしては、
pRLIa(IPGLPLSL)とpRL1b(SII
PGLPLSL)添加による51Cr遊離能によって調べ
たが、pRL1a(IPGLPLSL)とpRL1b
(SIIPGLPLSL)ともにH−2Ldを発現して
いる細胞であるT1.1.1、p815細胞では、細胞
傷害活性は認められたが、H−2Dbを発現しているT
4.8.3細胞では、この活性は認められなかった。し
たがって、本ペプチドは、特異的にH−2Ld分子に結
合している腫瘍拒絶抗原である。pRL1bにもpRL
1aと同様に活性があったのは、pRL1bが培養液中
の血清等で分解されて、pRL1aに変わるためであ
る。
【0047】[実施例4] (1)マウス、H−2Kdのモチーフである2番目の
Y、C末端のL、L、Vの配列をv−AKTで検索した
ところ、GYKERPQDV(58−66番目)、DY
LHSEKNV(283−291番目)、MYEMMC
GRL(360−368番目)、FYNQDHEKL
(370−378番目)のペプチドであることがわかっ
た。このペプチドをF−moc法を用いた固相合成法
で、ペプチド合成装置(モデル430A、アプライドバ
イオシステムズ社)を用いて化学合成した。合成したペ
プチドは、逆相HPLCカラム(C8カラム、10×1
00mm、20μmParticle size、アプ
ライズドバイオシステムズ社)により、0.1%TFA
アセトニトリル存在下、アセトニトリル濃度勾配によ
り、98%以上に精製した。
【0048】(2)BALB/cマウスの脾細胞3×1
6個と、合成したペプチドを各々1×10-4Mになる
ようにして、細胞培養用プレートで5日間培養した。培
養液は、RPMI 1640,10%牛胎児血清(FC
S)、2mMグルタミン酸、100μ/mlペニシリ
ン、100μg/mlストレプトマイシン、50mM2
−メルカプトエタノールを用いた。培養プレートから細
胞(5×105個)を回収し、バルクのCTL細胞とし
て、細胞傷害活性試験に用いた。これらのペプチドを感
作したH−2Kdをもつp815細胞(標的細胞)に対
する細胞傷害活性を調べたところ(図5)、MYEMM
CGRL(360−368番目)が1×10-4M添加し
た際に活性のあるペプチドであることが判明した。
【0049】
【発明の効果】本発明の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド
は、これを用いることにより、各種病態の診断及び治療
法を解明する技術が提供される。特に、白血病の腫瘍免
疫治療に有効である。本発明の腫瘍拒絶抗原ペプチド
は、免疫系の腫瘍拒絶のメカニズムの解明、腫瘍免疫疾
患などの診断及び治療、免疫活性化剤の開発に有効であ
る。これ以外にも、癌遺伝子AKTは、胃癌細胞(Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA,vol.
84,5034−5037,1987)や卵巣癌(Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA,vol.
89,1992)においても、発現が増大していること
が報告されているので、癌化のメカニズムの解明や癌の
診断及び治療に有用である。
【0050】本発明の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチドのヒ
トでの治療について、例を挙げて述べれば、以下のよう
になる。まず、各々の患者のMHCクラスI分子に結合
するAKT遺伝子のコードする白血病腫瘍拒絶抗原ペプ
チドを選別する。次に、患者の腫瘍細胞、あるいはそれ
と同じMHCクラスI分子をもつ細胞に、この白血病腫
瘍拒絶抗原ペプチドを添加する。次いで、患者のT細胞
を添加し、生体外で培養して、白血病腫瘍拒絶抗原ペプ
チドを認識する細胞傷害性T細胞を特異的に誘導し、患
者に戻して、治療する。この他にも、白血病腫瘍拒絶抗
原ペプチドを単独で、あるいは安定性を増大させる各種
薬剤等、例えば、リポソーム等と結合させて、投与する
ことも可能である。(なお、本明細書において、アミノ
酸などを略号で示す場合は、IUPAC−IUBによる
略号あるいは当該分野における慣用の略号を使用し
た。)
【0051】
【配列表】
【0052】配列番号:1 配列の長さ:501 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ala Arg Glu Glu Thr Leu Ile Ile Ile Pro Gly Leu Pro Leu Ser Leu 1 5 10 15 Gly Ala Thr Asp Thr Met Asn Asp Val Ala Ile Val Lys Glu Gly Trp 20 25 30 Leu His Lys Arg Gly Glu Tyr Ile Lys Thr Trp Arg Pro Arg Tyr Phe 35 40 45 Leu Leu Lys Asn Asp Gly Thr Phe Ile Gly Tyr Lys Glu Arg Pro Gln 50 55 60 Asp Val Asp Gln Arg Glu Ser Pro Leu Asn Asn Phe Ser Val Ala Gln 65 70 75 80 Cys Gln Leu Met Lys Thr Glu Arg Pro Arg Pro Asn Thr Phe Ile Ile 85 90 95 Arg Cys Leu Gln Trp Thr Thr Val Ile Glu Arg Thr Phe His Val Glu 100 105 110 Thr Pro Glu Glu Arg Glu Glu Trp Ala Thr Ala Ile Gln Thr Val Ala 115 120 125 Asp Gly Leu Lys Arg Gln Glu Glu Glu Thr Met Asp Phe Arg Ser Gly 130 135 140 Ser Pro Ser Asp Asn Ser Gly Ala Glu Glu Met Glu Val Ser Leu Ala 145 150 155 160 Lys Pro Lys His Arg Val Thr Met Asn Glu Phe Glu Tyr Leu Lys Leu 165 170 175 Leu Gly Lys Gly Thr Phe Gly Lys Val Ile Leu Val Lys Glu Lys Ala 180 185 190 Thr Gly Arg Tyr Tyr Ala Met Lys Ile Leu Lys Lys Glu Val Ile Val 195 200 205 Ala Lys Asp Glu Val Ala His Thr Leu Thr Glu Asn Arg Val Leu Gln 210 215 220 Asn Ser Arg His Pro Phe Leu Thr Ala Leu Lys Tyr Ser Phe Gln Thr 225 230 235 240 His Asp Arg Leu Cys Phe Val Met Glu Tyr Ala Asn Gly Gly Glu Leu 245 250 255 Phe Phe His Leu Ser Arg Glu Arg Val Phe Ser Glu Asp Arg Ala Arg 260 265 270 Phe Tyr Gly Ala Glu Ile Val Ser Ala Leu Asp Tyr Leu His Ser Glu 275 280 285 Lys Asn Val Val Tyr Arg Asp Leu Lys Leu Glu Asn Leu Met Leu Asp 290 295 300 Lys Asp Gly His Ile Lys Ile Thr Asp Phe Gly Leu Cys Lys Glu Gly 305 310 315 320 Ile Lys Asp Gly Ala Thr Met Lys Thr Phe Cys Gly Thr Pro Glu Tyr 325 330 335 Leu Ala Pro Glu Val Leu Glu Asp Asn Asp Tyr Gly Arg Ala Val Asp 340 345 350 Trp Trp Gly Leu Gly Val Val Met Tyr Glu Met Met Cys Gly Arg Leu 355 360 365 Pro Phe Tyr Asn Gln Asp His Glu Lys Leu Phe Glu Leu Ile Leu Met 370 375 380 Glu Glu Ile Arg Phe Pro Arg Thr Leu Gly Pro Glu Ala Lys Ser Leu 385 390 395 400 Leu Ser Gly Leu Leu Lys Lys Asp Pro Thr Gln Arg Leu Gly Gly Gly 395 410 415 Ser Glu Asp Ala Lys Glu Ile Met Gln His Arg Phe Phe Ala Asn Ile 420 425 430 Val Trp Gln Asp Val Tyr Glu Lys Lys Leu Ser Pro Pro Phe Lys Pro 435 440 445 Gln Val Thr Ser Glu Thr Asp Thr Arg Tyr Phe Asp Glu Glu Phe Thr 450 455 460 Ala Gln Met Ile Thr Ile Thr Pro Pro Asp Gln Asp Asp Ser Met Glu 465 470 475 480 Cys Val Asp Ser Glu Arg Arg Pro His Phe Pro Gln Phe Ser Tyr Ser 485 490 495 Ala Ser Gly Thr Ala 500
【0053】配列番号:2 配列の長さ:479 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Asn Asp Val Ala Ile Val Lys Glu Gly Trp Leu His Lys Arg Gly 1 5 10 15 Glu Tyr Ile Lys Thr Trp Arg Pro Arg Tyr Phe Leu Leu Lys Asn Asp 20 25 30 Gly Thr Phe Ile Gly Tyr Lys Glu Arg Pro Gln Asp Val Asp Gln Arg 35 40 45 Glu Ser Pro Leu Asn Asn Phe Ser Val Ala Gln Cys Gln Leu Met Lys 50 55 60 Thr Glu Arg Pro Arg Pro Asn Thr Phe Ile Ile Arg Cys Leu Gln Trp 65 70 75 80 Thr Thr Val Ile Glu Arg Thr Phe His Val Glu Thr Pro Glu Glu Arg 85 90 95 Glu Glu Trp Ala Thr Ala Ile Gln Thr Val Ala Asp Gly Leu Lys Arg 100 105 110 Gln Glu Glu Glu Thr Met Asp Phe Arg Ser Gly Ser Pro Ser Asp Asn 115 120 125 Ser Gly Ala Glu Glu Met Glu Val Ser Leu Ala Lys Pro Lys His Arg 130 135 140 Val Thr Met Asn Glu Phe Glu Tyr Leu Lys Leu Leu Gly Lys Gly Thr 145 150 155 160 Phe Gly Lys Val Ile Leu Val Lys Glu Lys Ala Thr Gly Arg Tyr Tyr 165 170 175 Ala Met Lys Ile Leu Lys Lys Glu Val Ile Val Ala Lys Asp Glu Val 180 185 190 Ala His Thr Leu Thr Glu Asn Arg Val Leu Gln Asn Ser Arg His Pro 195 200 205 Phe Leu Thr Ala Leu Lys Tyr Ser Phe Gln Thr His Asp Arg Leu Cys 210 215 220 Phe Val Met Glu Tyr Ala Asn Gly Gly Glu Leu Phe Phe His Leu Ser 225 230 235 240 Arg Glu Arg Val Phe Ser Glu Asp Arg Ala Arg Phe Tyr Gly Ala Glu 245 250 255 Ile Val Ser Ala Leu Asp Tyr Leu His Ser Glu Lys Asn Val Val Tyr 260 265 270 Arg Asp Leu Lys Leu Glu Asn Leu Met Leu Asp Lys Asp Gly His Ile 275 280 285 Lys Ile Thr Asp Phe Gly Leu Cys Lys Glu Gly Ile Lys Asp Gly Ala 290 295 300 Thr Met Lys Thr Phe Cys Gly Thr Pro Glu Tyr Leu Ala Pro Glu Val 305 310 315 320 Leu Glu Asp Asn Asp Tyr Gly Arg Ala Val Asp Trp Trp Gly Leu Gly 325 330 335 Val Val Met Tyr Glu Met Met Cys Gly Arg Leu Pro Phe Tyr Asn Gln 340 345 350 Asp His Glu Lys Leu Phe Glu Leu Ile Leu Met Glu Glu Ile Arg Phe 355 360 365 Pro Arg Thr Leu Gly Pro Glu Ala Lys Ser Leu Leu Ser Gly Leu Leu 370 375 380 Lys Lys Asp Pro Thr Gln Arg Leu Gly Gly Gly Ser Glu Asp Ala Lys 385 390 395 400 Glu Ile Met Gln His Arg Phe Phe Ala Asn Ile Val Trp Gln Asp Val 395 410 415 Tyr Glu Lys Lys Leu Ser Pro Pro Phe Lys Pro Gln Val Thr Ser Glu 420 425 430 Thr Asp Thr Arg Tyr Phe Asp Glu Glu Phe Thr Ala Gln Met Ile Thr 435 440 445 Ile Pro Pro Asp Gln Asp Asp Ser Met Glu Cys Val Asp Ser Glu Arg 450 455 460 Arg Pro His Phe Pro Gln Phe Ser Tyr Ser Ala Ser Gly Thr Ala 465 470 475
【0054】配列番号:3 配列の長さ:94 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Arg Asp Gln Arg Thr Asp Arg Ala Ala Ser Cys Gly Arg His Arg Gly 1 5 10 15 Gly Pro Asp Pro Ala Ser Ser Ala Arg Pro Asp Ala Ala Ala Phe Ser 20 25 30 Arg Pro Arg Pro Ala Pro Ala Arg Gly Met Arg Ser Gly Gly Arg Pro 35 40 45 Arg Pro Arg Pro Gly Xaa Ala Gln Ser Pro Ala Arg Gly Gly Pro Thr 50 55 60 Leu Arg Pro Gly Arg Leu Gly Ser Ala Tyr Arg Glu Glu Thr Leu Ile 65 70 75 80 Ile Ile Pro Gly Leu Pro Leu Ser Leu Gly Ala Thr Asp Thr 85 90
【図面の簡単な説明】
【図1】1回目のRL1抗原ペプチドの逆相HPLC分
離パターンと細胞傷害活性試験の結果を示す図である。
23分(ピークa)と26分(ピークb)のフラクショ
ンに強い細胞傷害活性が見られた。
【図2】2回目のRL1抗原ペプチドの逆相HPLC分
離パターンと細胞傷害活性試験の結果を示す図である。
図2Aは、ピークa由来の画分をアプライした際のプロ
フィールで、12分(ピークa″)のフラクションに強
い細胞傷害活性が見られた。図2Bは、ピークb由来の
画分をアプライした際のプロフィールで、29分(ピー
クb″)のフラクションに強い細胞傷害活性が見られ
た。
【図3】3回目のRL1抗原ペプチドの逆相HPLC分
離パターンと細胞傷害活性試験の結果を示す図である。
図3Aは、ピークa′由来の画分をアプライした際のプ
ロフィールで、24.5分(ピークa″)のフラクショ
ンに強い細胞傷害活性が見られた。図3Bは、ピーク
b′由来の画分をアプライした際のプロフィールで、2
3分(ピークb″)のフラクションに強い細胞傷害活性
が見られた。
【図4】実施例3で得られたペプチドフラグメントpR
L1a(IPGLPLSL)とpRL1b(SIIPG
LPLSL)のCTL刺激活性を示す図である。
【図5】Kdに対する抗原ペプチドの細胞傷害活性試験
の結果を示す図である。縦軸は細胞傷害活性(%)を、
横軸はE/T比でエフェクター細胞と標的細胞の割合を
示す。p815細胞にKD3(MYEMMCGRL)を
添加した際に細胞傷害活性を増大させることがわかる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AKT遺伝子によりコードされるアミノ
    酸配列または該AKT遺伝子の変異によってその非翻訳
    領域によりコードされるアミノ酸配列の中に部分的配列
    として含まれるアミノ酸配列から構成されるペプチドで
    あって、主要組織適合性抗原(MHC)クラスI分子に
    結合するモチーフを含むことを特徴とする白血病腫瘍拒
    絶抗原ペプチド。
  2. 【請求項2】 前記ペプチドが、15以下のアミノ酸残
    基で構成されている請求項1記載の白血病腫瘍拒絶抗原
    ペプチド。
  3. 【請求項3】 前記ペプチドが、8〜11のアミノ酸残
    基で構成されている請求項1記載の白血病腫瘍拒絶抗原
    ペプチド。
  4. 【請求項4】 AKT遺伝子が、マウスv−AKT、マ
    ウスc−AKT、ヒトv−AKT、またはヒトc−AK
    T遺伝子である請求項1ないし3のいずれか1項記載の
    白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。
  5. 【請求項5】 マウスv−AKT遺伝子によりコードさ
    れるアミノ酸配列が、配列表の配列番号1に記載のアミ
    ノ酸配列である請求項4記載の白血病腫瘍拒絶抗原ペプ
    チド。
  6. 【請求項6】 マウスc−AKT遺伝子によりコードさ
    れるアミノ酸配列が、配列表の配列番号2に記載のアミ
    ノ酸配列である請求項4記載の白血病腫瘍拒絶抗原ペプ
    チド。
  7. 【請求項7】 AKT遺伝子の変異によって非翻訳領域
    によりコードされるアミノ酸配列が、c−AKT遺伝子
    の変異によって非翻訳領域がアミノ酸に翻訳された際に
    得られるアミノ酸配列である請求項4記載の白血病腫瘍
    拒絶抗原ペプチド。
  8. 【請求項8】 マウスc−AKT遺伝子の非翻訳領域が
    変異してアミノ酸に翻訳された際に得られるアミノ酸配
    列が、配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列である
    請求項7記載の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。
  9. 【請求項9】 前記ペプチドが、Ile Pro Gl
    y Leu ProLeu Ser Leu (IPG
    LPLSL)である請求項1ないし8のいずれか1項に
    記載の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。
  10. 【請求項10】 IPGLPLSLが、MHCクラスI
    分子としてマウスH−2Ldをもつ白血病細胞において
    活性を示す請求項9記載の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチ
    ド。
  11. 【請求項11】 前記ペプチドが、Met Tyr G
    lu Met Met Cys Gly Arg Le
    u (MYEMMCGRL)である請求項1ないし8の
    いずれか1項に記載の白血病腫瘍拒絶抗原ペプチド。
  12. 【請求項12】 MYEMMCGRLが、MHCクラス
    I分子としてマウスH−2Kdをもつ白血病細胞におい
    て活性を示す請求項11記載の白血病腫瘍拒絶抗原ペプ
    チド。
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