JPH08120593A - 天然繊維を原料とするフィルムの製造方法 - Google Patents

天然繊維を原料とするフィルムの製造方法

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JPH08120593A
JPH08120593A JP23283294A JP23283294A JPH08120593A JP H08120593 A JPH08120593 A JP H08120593A JP 23283294 A JP23283294 A JP 23283294A JP 23283294 A JP23283294 A JP 23283294A JP H08120593 A JPH08120593 A JP H08120593A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】合成樹脂フィルムと同等またはそれ以上の引張
強度を有する天然繊維解繊物からなるフィルムを、有機
溶剤を用いずに製造する方法を提供する。 【構成】天然繊維に水を加えて解繊し、直径0.01〜
2μmの天然繊維解繊物の懸濁液を得る。前記懸濁液の
濃度を0.1〜10重量%の範囲に調整し、平滑面上に
流延し、水分を蒸発除去して乾燥させ、フィルムを得
る。前記天然繊維は、セルロース系、キチン・キトサン
系、コラーゲン系、フィブロイン系、繊維状無機物の中
から選ばれる少なくとも1種の天然繊維である。前記フ
ィルムの厚さを0.1〜500μmの範囲にする。複数
の前記フィルムの相互間に、天然繊維に水を加えて解繊
して得られた懸濁液を塗布して積層し、得られた積層体
を圧縮して水分を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セルロース等の天然繊
維を原料とするフィルムの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂は自然界では殆ど分解されない
ため、その廃棄物の処理が問題となっており、生分解性
を有する合成樹脂の開発が検討されている。生分解性樹
脂は、例えば、そのフィルムを生ゴミ収集用の袋に利用
することにより、収集した生ゴミを袋詰めのまま野積み
して堆肥化することが可能になる。
【0003】ところで、前記生分解性樹脂として合成樹
脂フィルムの代わりに天然繊維からなるフィルムを使用
することが考えられる。従来、天然繊維からフィルム等
のシート状体を製造する方法としては、木材パルプ等か
ら得られるセルロース繊維の懸濁液を細かい金網上でシ
ート状に成形し、水を除去し、乾燥しながら互いに接合
させる紙の抄造方法が知られている。しかしながら、こ
のような抄造方法により得られる紙は、不透明でありか
つ合成樹脂フィルムに対して引張強度が低いとの不都合
がある。
【0004】また、木材パルプ等から得られるセルロー
ス繊維を化学的に変性してフィルムを製造する方法も知
られている。この方法は、酢酸で前処理したパルプに、
硫酸触媒下で無水酢酸を作用させて得られるセルロース
ジアセテートやセルローストリアセテートを、アセトン
・アルコール混合溶剤、塩化メチレンを主成分とする溶
剤等の有機溶剤に溶解し、平滑面に流延して乾燥するも
のであり、合成樹脂フィルムと同等の引張強度を有し、
難燃性、寸法安定性等に優れたアセテートフィルムが得
られる。
【0005】しかしながら、前記アセテートフィルムの
製造には有機溶剤を使用し、該有機溶剤を乾燥、除去す
ることが不可欠であるため、該有機溶剤の蒸気、廃液等
により環境が汚染される虞れがある。さらに、前記のよ
うに天然繊維を化学的に変性してフィルムを製造しよう
とするときに、セルロース系天然繊維に、キチン・キト
サン系天然繊維、コラーゲン系天然繊維、フィブロイン
系天然繊維、繊維状無機物等の異種の天然繊維をブレン
ドしてフィルムの物性を改良しようとしても、セルロー
スは前記のようにアセチル化することによりアセトン・
アルコール混合溶剤、塩化メチレンを主成分とする溶剤
等の有機溶剤に溶解し、コラーゲンは酢酸に溶解すると
いうように、天然繊維の種類によって溶解する溶剤が異
なるため、セルロース系天然繊維と前記異種の天然繊維
とを単一の溶剤に溶解することが難しく、実質的にブレ
ンドができないとの不都合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる不都合を解消し
て、本発明の目的は、合成樹脂フィルムと同等またはそ
れ以上の引張強度を有する天然繊維からなるフィルム
を、有機溶剤を用いずに製造する方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明の天然繊維を原料とするフィルムの製造方
法は、天然繊維に水を加えて解繊し、直径0.01〜2
μmの天然繊維解繊物の懸濁液を得る解繊工程と、前記
懸濁液中の前記天然繊維解繊物の濃度を0.1〜10重
量%の範囲に調整した後、平滑面上に流延し、水分を蒸
発除去し乾燥させてフィルムを成形する成形工程とから
なることを特徴とする。
【0008】本発明の製造方法では、前記天然繊維を解
繊するときの媒体として水を用いるが、必要に応じて物
性向上、機能付加のための補強材料または添加材料を加
えてもよい。このような補強材料または添加材料は、合
成または天然の高分子材料であってよい。
【0009】前記解繊工程では、天然繊維の長さ方向に
垂直な剪断力を与え、該天然繊維の縒りをほぐすことに
より、細胞レベルと分子レベルとの中間にある直径0.
01〜2μmの天然繊維解繊物が得られる。前記天然繊
維解繊物は、その直径を0.01μm未満にすることは
極めて難しい。また、その直径が2μmより大きいと、
フィルムを形成したときに十分な強度が得られない。
【0010】前記天然繊維の長さ方向に垂直な剪断力を
与えることは、例えば、水に分散させた天然繊維を相接
して配置された2枚の回転ディスク間を通過させること
により行われる。このような解繊操作に適した装置とし
て、増幸産業株式会社製のスーパーグラインデル(商
標)を挙げることができる。
【0011】前記成形工程では、前記平滑面上に流延す
る懸濁液中の前記天然繊維解繊物の濃度が0.1重量%
未満ではフィルムを形成することが難しい。また、10
重量%より高いと、乾燥に長時間を要する。また、前記
平滑面としては、例えば、プラスチックの平板等を用い
る。前記乾燥は、前記平滑面上に流延された懸濁液を、
室温〜50℃の範囲の温度に数時間曝すことにより行え
ばよく、通常は自然乾燥で十分である。
【0012】本発明の製造方法では、合成樹脂フィルム
と同等またはそれ以上の引張強度を得るために、前記天
然繊維は、セルロース系天然繊維、キチン・キトサン系
天然繊維、コラーゲン系天然繊維、フィブロイン系天然
繊維、繊維状無機物のなかから選ばれる少なくとも1種
の天然繊維が用いられる。前記セルロース系天然繊維と
しては、綿、麻、ジュート、各種木材パルプ、各種木材
繊維等の他、コウゾ、ミツマタ、ガンピ等の靱皮繊維、
コンブ、ワカメ等の海草、ケナフ、バガス、パピルス、
ヤシ等の植物繊維、バクテリア・セルロース、バロニア
・セルロース等を挙げることができる。また、前記キチ
ン・キトサン系天然繊維としては、種々の甲殻より得ら
れるキチン及びその誘導体としてのキトサンを挙げるこ
とができ、コラーゲン(繊維状タンパク質)系天然繊維
としては各種動物皮革及び各種動物から得られる筋繊維
を挙げることができ、フィブロイン系天然繊維としては
絹を挙げることができる。
【0013】さらに、繊維状無機物としては、アスベス
ト、セピオライト等を挙げることができる。尚、アスベ
ストは前記のように解繊すると、直径が2μm以下とな
り人体に無害になる。
【0014】本発明の製造方法では、前記各種の天然繊
維をそれぞれ単独で用いてもよく、また2種以上組合せ
て用いてもよい。組合せて用いるときには、ある木材の
パルプに異なる木材のパルプを組合せるように同系統の
天然繊維を組合せて用いてもよく、木材パルプとコラー
ゲン、あるいは木材パルプとキトサンというように異な
る系統の天然繊維を組合せて用いてもよい。
【0015】また、本発明の製造方法では、得られるフ
ィルムの物性を改良するために、前記天然繊維が、セル
ロース系天然繊維と、キチン・キトサン系天然繊維、コ
ラーゲン系天然繊維、フィブロイン系天然繊維、繊維状
無機物の中から選ばれる少なくとも1種の天然繊維との
組合せであることを特徴とする。
【0016】また、本発明の製造方法では、優れた耐熱
性を得るために、前記天然繊維が、セルロース系天然繊
維の中から選ばれる少なくとも2種の天然繊維の組合せ
であることを特徴とする。前記セルロース系天然繊維を
組合せて用いるときには、ある木材のパルプに異なる木
材のパルプを組合せるように同系統のセルロース系天然
繊維を組合せて用いてもよく、木材パルプと非木材パル
プというように異なる系統のセルロース系天然繊維を組
合せて用いてもよい。
【0017】本発明の製造方法では、優れた耐熱性を得
るために、前記天然繊維が、セルロース系天然繊維であ
って針葉樹の木材パルプと広葉樹の木材パルプとの組合
せであることが特に好ましい。
【0018】前記成形工程で得られたフィルムの厚さ
は、袋等に形成されたときに、その内容物を識別するた
めに半透明にすることが望まれるときには、0.1〜5
00μmの範囲であることが好ましい。前記フィルムの
厚さが0.1μm未満では十分な強度が得られず、80
0μmを超えると透明性が得られない。
【0019】また、本発明の天然繊維を原料とするフィ
ルムは、前記成形工程で得られた複数のフィルムの相互
間に、天然繊維に水を加えて解繊して得られた懸濁液を
塗布して積層し、得られた積層体を圧縮して水分を除去
するようにしてもよい。尚、前記フィルムに塗布する懸
濁液は、前記フィルムと同種の天然繊維を解繊したもの
でなくともよい。
【0020】
【作用】本発明によれば、まず、天然繊維に水を加えて
解繊することにより、天然繊維が直径0.01〜2μm
の天然繊維解繊物に細分され、該天然繊維解繊物が水に
分散している懸濁液が得られる。前記天然繊維解繊物
は、細胞レベルと分子レベルとの中間にあり、前記解繊
により末端基に−OH基、−NH2 基が多くなる。前記
末端基の−OH基、−NH2 基は反応性に富んでいるの
で、前記懸濁液の濃度を0.1〜10重量%の範囲に調
整した後、平滑面上に流延し、水分を蒸発除去して乾燥
させると、前記末端基が相互に再結合するものと考えら
れ、引張強度に優れたフィルムが得られる。
【0021】本発明によれば、前記天然繊維として、セ
ルロース系天然繊維、キチン・キトサン系天然繊維、コ
ラーゲン系天然繊維、フィブロイン系天然繊維、繊維状
無機物のなかから選ばれる1種又は複数の天然繊維を用
いることにより合成樹脂フィルムと同等またはそれ以上
の引張強度を有するフィルムが得られる。また、本発明
によれば、前記解繊工程で水中に天然繊維解繊物が分散
している懸濁液が得られるので、水が共通媒体となり、
各種天然繊維を解繊した天然繊維解繊物が容易に混合さ
れる。そこで、セルロース系天然繊維と、キチン・キト
サン系天然繊維、コラーゲン系天然繊維、フィブロイン
系天然繊維、繊維状無機物の中から選ばれる1種又は複
数の天然繊維とを組合せ、混合して用いることにより各
種物性が改良されたフィルムが得られる。
【0022】また、本発明によれば、前記天然繊維とし
て、セルロース系天然繊維の中から選ばれる少なくとも
2種の天然繊維を組合せて用いることにより優れた耐熱
性を有するフィルムが得られ、セルロース系天然繊維の
中の針葉樹の木材パルプと広葉樹の木材パルプとの組合
せて用いることにより特に優れた耐熱性を有するフィル
ムが得られる。
【0023】また、本発明によれば、前記成形工程で得
られたフィルムの厚さを0.1〜500μmの範囲とす
ることにより、その内容物を識別する用途に好適な半透
明のフィルムが得られる。さらに、前記成形工程で得ら
れた複数のフィルムを、天然繊維を解繊して得られた懸
濁液を介して積層し、圧縮して水分を除去することによ
り任意の厚さのフィルムが得られる。
【0024】
【実施例1】次に、添付の図面を参照しながら本発明の
天然樹脂からなるフィルムの製造方法についてさらに詳
しく説明する。図1及び図2は本発明の製造方法により
得られたフィルムの熱的変化を示すグラフである。
【0025】本実施例では、まず、エゾマツの晒しクラ
フトパルプ40gに水4000ccを加えて懸濁液を調
製し、該懸濁液を増幸産業株式会社製のスーパーグライ
ンデル(商標)に10回通し、直径0.01〜2μmの
天然繊維解繊物(以下、ウィスカーと記載する)が分散
している懸濁液を得た。この懸濁液を脱水してウィスカ
ー濃度を10重量%とした。
【0026】次に、前記ウィスカー懸濁液のウィスカー
濃度を3重量%に調整し、ウィスカー濃度が調整された
懸濁液を10g/m2 の割合で表面が平滑なプラスチッ
クの平板上に滴下して流延した。次いで、前記懸濁液を
前記プラスチックの平板上で室温〜50℃で4時間自然
乾燥させて、膜厚9μmの半透明フィルムを得た。
【0027】次に、ブナ及びポプラの晒しクラフトパル
プを用いて前記と同様にしてフィルムを製造し、それぞ
れ膜厚10μmと膜厚12μmのフィルムを得た。
【0028】前記各フィルムの引張強度を、JIS−K
7127(プラスチック及びシートの引っ張り試験方
法)に準じて測定した。また、比較のために、市販の中
質紙(厚さ150μm)、ポリプロピレン・フィルム
(厚さ15μm)及びポリエチレン・フィルム(厚さ1
5μm)の引張強度を同様にして測定した。結果を表1
に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から、本実施例の各種木材パルプを原
料とするフィルムの引張強度は、いずれも中質紙より優
れており、ポリプロピレン・フィルム及び、ポリエチレ
ン・フィルムと同等であることが明らかである。
【0031】また、前記各フィルムで袋を作り、家庭の
台所の生ゴミを収容して、深さ10cmの土中に埋めた
ところ、約2週間で半分程度分解し、生分解性を有する
ことが明らかであった。
【0032】
【実施例2】実施例1でエゾマツのパルプを解繊して得
られたウィスカー懸濁液と、ブナのパルプを解繊して得
られたウィスカー懸濁液とを1:4で混合し、得られた
混合ウィスカー懸濁液のウィスカー濃度を3重量%に調
整し、ドクターブレードを用いて表面が平滑なプラスチ
ックの平板上に流延した以外は、実施例1と同様にして
膜厚9μmの半透明フィルムを得た。
【0033】また、実施例1でブナのパルプを解繊して
得られたウィスカー懸濁液と、ポプラのパルプを解繊し
て得られたウィスカー懸濁液とを1:1で混合し、得ら
れた混合ウィスカー懸濁液のウィスカー濃度を3重量%
に調整し、ドクターブレードを用いて表面が平滑なプラ
スチックの平板上に流延した以外は、実施例1と同様に
して膜厚10μmの半透明フィルムを得た。
【0034】また、実施例1でエゾマツのパルプを解繊
して得られたウィスカー懸濁液と、ポプラのパルプを解
繊して得られたウィスカー懸濁液とを1:1で混合し、
得られた混合ウィスカー懸濁液のウィスカー濃度を3重
量%に調整し、ドクターブレードを用いて表面が平滑な
プラスチックの平板上に流延した以外は、実施例1と同
様にして膜厚20μmの半透明フィルムを得た。
【0035】前記各フィルムの引張強度を、JIS−K
7127に準じて測定した。また、比較のために、市販
の上質紙(厚さ150μm)、中質紙(厚さ150μ
m)、ポリプロピレン・フィルム(厚さ15μm)及び
ポリエチレン・フィルム(厚さ15μm)の引張強度を
同様にして測定した。結果を表2に示す。尚、中質紙、
ポリプロピレン・フィルム、ポリエチレン・フィルムに
ついては、表1のものを再掲する。
【0036】
【表2】
【0037】表2から、本実施例の各種木材パルプを原
料とするウィスカー懸濁液をブレンドして得られたフィ
ルムの引張強度は、いずれも中質紙及び上質紙より優れ
ており、ポリプロピレン・フィルム及びポリエチレン・
フィルムと同等であることが明らかである。また、前記
引張強度は、針葉樹のパルプを原料とするウィスカー懸
濁液と、広葉樹のパルプを原料とするウィスカー懸濁液
とをブレンドして得られたフィルムにおいて特に優れて
おり、エゾマツとポプラとを原料とするフィルムにあっ
ては、ポリプロピレン・フィルムよりも優れている。
【0038】前記エゾマツとポプラとを原料とするフィ
ルムから2mgの試料を切り出し、走査熱量計分析装置
により熱安定性を試験した。結果を図1及び図2に示
す。
【0039】図1及び図2で左側の縦軸のDSCとは示
差走査熱量測定をμW(マイクロ・ワット)で示し、右
側の縦軸のDDSCとは単位時間(分)当たりの試料の
発生熱量をμWまたはmWで示している。尚、前記熱量
は、+が発熱、−が吸熱を示している。
【0040】図中、図1及び図2に細線で示される右上
がりの単調増加カーブは基準物質の発生熱量を示し、図
1及び図2に太線で示されるカーブは試料の発生熱量を
示す。また、図1の左端にピークを有する右下がりのカ
ーブ及び図2の右端にピークを有する略水平のラインは
試料の発生熱量の微分曲線を示している。
【0041】本実施例のエゾマツとポプラとを原料とす
るフィルムは、図1から明らかなように235℃まで何
ら熱的変化を示さず、図2から明らかなように270℃
より高い温度で分子鎖の分解が始まる。これは、低密度
ポリエチレンの融点115℃、高密度ポリエチレンの融
点137℃、ポリプロピレンの融点165℃と比較して
極めて熱安定性に優れており、従来熱安定性に優れると
されているポリカーボネートの融点220〜240℃と
比較してもさらに熱的に安定であることがわかる。
【0042】また、本実施例で得られた前記各フィルム
で袋を作り、家庭の台所の生ゴミを収容して、深さ10
cmの土中に埋めたところ、約2週間で半分程度分解
し、生分解性を有することが明らかであった。
【0043】
【実施例3】まず、マングローブの晒しクラフトパル
プ、スプルースのグランドパルプ及びラジアータパイン
の機械パルプを用い、実施例1と同様にして解繊してそ
れぞれのウィスカー懸濁液を得た。
【0044】次に、マングローブの晒しクラフトパルプ
を解繊して得られたウィスカー懸濁液と、スプルースの
グランドパルプを解繊して得られたウィスカー懸濁液と
を、3:7で混合し、得られた混合ウィスカー懸濁液の
ウィスカー濃度を3重量%に調整し、ドクターブレード
を用いて表面が平滑なプラスチックの平板上に流延した
以外は、実施例1と同様にして膜厚10μmの半透明フ
ィルムを得た。この半透明フィルムの引張強度を、JI
S−K7127に準じて測定したところ、5600g/
mm2 であり、エゾマツとブナとを原料とするフィルム
(実施例2)と同等であった。
【0045】次に、スプルースのグランドパルプを解繊
して得られたウィスカー懸濁液と、ラジアータパインの
機械パルプを解繊して得られたウィスカー懸濁液とを、
1:1で混合し、得られた混合ウィスカー懸濁液のウィ
スカー濃度を3重量%に調整し、ドクターブレードを用
いて表面が平滑なプラスチックの平板上に流延した以外
は、実施例1と同様にして膜厚10μmの半透明フィル
ムを得た。この半透明フィルムの引張強度を、JIS−
K7127に準じて測定したところ5800g/mm2
であり、エゾマツとブナとを原料とするフィルム(実施
例2)と同等であった。
【0046】次に、マングローブの晒しクラフトパルプ
を解繊して得られたウィスカー懸濁液と、ラジアータパ
インの機械パルプを解繊して得られたウィスカー懸濁液
とを、1:1で混合し、得られた混合ウィスカー懸濁液
のウィスカー濃度を3重量%に調整し、ドクターブレー
ドを用いて表面が平滑なプラスチックの平板上に流延し
た以外は、実施例1と同様にして膜厚12μmの半透明
フィルムを得た。この半透明フィルムの引張強度を、J
IS−K7127に準じて測定したところ、5000g
/mm2 であり、ブナとポプラとを原料とするフィルム
(実施例2)と同等であった。
【0047】また、本実施例で得られた前記各フィルム
で袋を作り、家庭の台所の生ゴミを収容して、深さ10
cmの土中に埋めたところ、約2週間で半分程度分解
し、生分解性を有することが明らかであった。
【0048】
【実施例4】コラーゲン系天然繊維として0.5cm角
に裁断した牛皮革裁断物、フィブロイン系天然繊維とし
て脱セリシン処理した絹糸、キチン系天然繊維としてキ
トサン(旭ガラス社製キラペース(商品名))を用いた
以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ膜厚10μm、
15μm、20μmの半透明フィルムを得た。
【0049】前記各フィルムの引張強度を、JIS−K
7127に準じて測定した。結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】表3から、セルロース系天然繊維以外の有
機物からなる天然繊維を原料に用いても、エゾマツとポ
プラとを原料とするフィルム(実施例2)と同等の引張
強度を有するフィルムが得られることが明らかである。
【0052】また、本実施例で得られた前記各フィルム
で袋を作り、家庭の台所の生ゴミを収容して、深さ10
cmの土中に埋めたところ、約2週間で半分程度分解
し、生分解性を有することが明らかであった。
【0053】
【実施例5】まず、実施例1でエゾマツのパルプを解繊
して得られたウィスカー懸濁液と、実施例4で牛皮革裁
断物(コラーゲン系天然繊維)を解繊して得られたウィ
スカー懸濁液とを1:1で混合し、得られた混合ウィス
カー懸濁液のウィスカー濃度を2.5重量%に調整した
ウィスカー懸濁液を用いた以外は、実施例1と同様にし
て膜厚7μmの半透明フィルムを得た。
【0054】次に、実施例1でブナのパルプを解繊して
得られたウィスカー懸濁液と、実施例4でキトサン(キ
チン系天然繊維)を解繊して得られたウィスカー懸濁液
とを1:1で混合し、得られた混合ウィスカー懸濁液の
ウィスカー濃度を2.5重量%に調整したウィスカー懸
濁液を用いた以外は、実施例1と同様にして膜厚8μm
の半透明フィルムを得た。
【0055】次に、実施例1でポプラのパルプを解繊し
て得られたウィスカー懸濁液と、実施例4で牛皮革裁断
物を解繊して得られたウィスカー懸濁液と、実施例4で
絹糸(フィブロイン系天然繊維)を解繊して得られたウ
ィスカー懸濁液とを3:3:4で混合し、得られた混合
ウィスカー懸濁液のウィスカー濃度を2.5重量%に調
整したウィスカー懸濁液を用いた以外は、実施例1と同
様にして膜厚8μmの半透明フィルムを得た。
【0056】前記各フィルムの引張強度を、JIS−K
7127に準じて測定した。結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】表4から、セルロース系天然繊維である木
材パルプと、セルロース系以外の有機物からなる天然繊
維とを原料とするフィルムが同一の媒体である水を用い
て製造することができ、しかもエゾマツとポプラとを原
料とするフィルム(実施例2)と同等の引張強度を有す
るフィルムが得られることが明らかである。
【0059】また、本実施例で得られた前記各フィルム
で袋を作り、家庭の台所の生ゴミを収容して、深さ10
cmの土中に埋めたところ、約2週間で半分程度分解
し、生分解性を有することが明らかであった。
【0060】
【実施例6】木材パルプ以外のセルロース系天然繊維と
して、綿(日本薬局方脱脂綿)、麻繊維、コウゾの靱皮
繊維、海草(北海道産コンブ)を用いた以外は、実施例
1と同様にしてそれぞれ膜厚7μm、10μm、20μ
m、30μmの半透明フィルムを得た。
【0061】前記各フィルムの引張強度を、JIS−K
7127に準じて測定した。結果を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】表5から、木材パルプ以外のセルロース系
天然繊維を原料に用いても、エゾマツとポプラとを原料
とするフィルム(実施例2)と同等の引張強度を有する
フィルムが得られることが明らかである。
【0064】また、本実施例で得られた前記各フィルム
で袋を作り、家庭の台所の生ゴミを収容して、深さ10
cmの土中に埋めたところ、約2週間で半分程度分解
し、生分解性を有することが明らかであった。
【0065】
【実施例7】繊維状無機物として、アスベスト及びセピ
オライトを用いた以外は、実施例1と同様にしてそれぞ
れ膜厚30μm、20μmの半透明フィルムを得た。
【0066】前記各フィルムの引張強度を、JIS−K
7127に準じて測定した。結果を表6に示す。
【0067】
【表6】
【0068】表6から、セルロース系天然繊維以外の繊
維状無機物を原料に用いても、エゾマツとポプラとを原
料とするフィルム(実施例2)と同等の引張強度を有す
るフィルムが得られることが明らかである。
【0069】また、本実施例で得られた前記各フィルム
で袋を作り、家庭の台所の生ゴミを収容して、深さ10
cmの土中に埋めたところ、約2週間で半分程度分解
し、生分解性を有することが明らかであった。
【0070】
【実施例8】まず、実施例1でエゾマツの晒しクラフト
パルプを解繊して得られたウィスカー懸濁液と、実施例
7でアスベスト(繊維状無機物)を解繊して得られたウ
ィスカー懸濁液とを7:3で混合し、得られた混合ウィ
スカー懸濁液のウィスカー濃度を2.5重量%に調整し
たウィスカー懸濁液を用いた以外は、実施例1と同様に
して膜厚30μmの半透明フィルムを得た。
【0071】次に、実施例1でエゾマツの晒しクラフト
パルプを解繊して得られたウィスカー懸濁液と、実施例
7でセピオライト(繊維状無機物)を解繊して得られた
ウィスカー懸濁液とを7:3で混合し、得られた混合ウ
ィスカー懸濁液のウィスカー濃度を2.5重量%に調整
したウィスカー懸濁液を用いた以外は、実施例1と同様
にして膜厚20μmの半透明フィルムを得た。
【0072】前記各フィルムの引張強度を、JIS−K
7127に準じて測定した。結果を表7に示す。
【0073】
【表7】
【0074】表7から、セルロース系天然繊維である木
材パルプと、セルロース系以外の無機物からなる天然繊
維とを原料とするフィルムが同一の媒体である水を用い
て製造することができ、しかもエゾマツとポプラとを原
料とするフィルム(実施例2)と同等の引張強度を有す
るフィルムが得られることが明らかである。
【0075】また、本実施例で得られた前記各フィルム
で袋を作り、家庭の台所の生ゴミを収容して、深さ10
cmの土中に埋めたところ、約2週間で半分程度分解
し、生分解性を有することが明らかであった。
【0076】
【実施例9】エゾマツの晒しクラフトのパルプを原料に
用い、実施例1と同様にして、30cm×30cm、厚
さ40μmのフィルムを2枚製造した。次に、前記フィ
ルムの製造に用いたウィスカー懸濁液(3重量%)約2
gを前記フィルムの1枚に塗布し、該ウィスカー懸濁液
を塗布した面に他の1枚のフィルムを積層し、積層体と
した。
【0077】次に前記積層体を相接して回転する2個の
ロール間を通過させ、該ロールで圧縮し、水分を除去し
た。この結果、前記2枚のフィルムが一体化した積層フ
ィルムが得られた。
【0078】前記積層フィルムは厚さ50μmで、JI
S−K7127に準じて測定した引張強度は7700g
/mm2 で、実施例2で得られたエゾマツとポプラとを
原料とするフィルムと同等であった。
【0079】また、本実施例で得られた前記各フィルム
で袋を作り、家庭の台所の生ゴミを収容して、深さ10
cmの土中に埋めたところ、約2週間で半分程度分解
し、生分解性を有することが明らかであった。
【0080】尚、前記各実施例では、ウィスカー懸濁液
を表面平滑なプラスチックの平板上に流延することによ
りフィルムの製造を行っているが、ウィスカー懸濁液を
流延する面はその表面が平滑であれば平面でなくともよ
く、例えばロール形状のものにウィスカー懸濁液を流延
してもよい。
【0081】
【発明の効果】以上のことから、本発明によれば、天然
繊維に水を加え解繊して得られる天然繊維解繊物の懸濁
液を用いて、生分解性を備え、合成樹脂フィルムと同等
またはそれ以上の引張強度を有するフィルムを得ること
ができることが明らかである。しかも、本発明によれ
ば、前記フィルムを水を用い有機溶剤を用いずに製造す
ることができるので、前記有機溶剤により環境を汚染す
る虞れがない。
【0082】また、本発明によれば、前記天然繊維とし
て、セルロース系天然繊維、キチン・キトサン系天然繊
維、コラーゲン系天然繊維、フィブロイン系天然繊維、
繊維状無機物のなかから選ばれる少なくとも1種の天然
繊維を用いることにより合成樹脂フィルムと同等の引張
強度を有するフィルムを製造することができる。しか
も、本発明によれば、どのような天然繊維であっても前
記のようにして水を加えて解繊することにより該天然繊
維解繊物が分散している懸濁液が得られるので、該水を
共通媒体として、各種天然繊維を解繊した天然繊維解繊
物を容易に混合することができ、各種天然繊維解繊物を
相互にブレンドしたフィルムを得ることができる。従っ
て、前記セルロース系天然繊維に、キチン・キトサン系
天然繊維、コラーゲン系天然繊維、フィブロイン系天然
繊維、繊維状無機物の中から選ばれる少なくとも1種の
天然繊維を組合せ、混合して用いることにより各種物性
が改良されたフィルムを製造することができる。
【0083】また、本発明によれば、前記天然繊維とし
て、セルロース系天然繊維の中から選ばれる少なくとも
2種の天然繊維を組合せて用いることにより優れた耐熱
性を有するフィルムを製造することができ、セルロース
系天然繊維の中の針葉樹の木材パルプと広葉樹の木材パ
ルプとの組合せて用いることにより特に優れた耐熱性を
有するフィルムを製造することができる。
【0084】また、本発明によれば、前記フィルムの厚
さを0.1〜500μmの範囲とすることにより半透明
のフィルムを得ることができる。さらに、前記フィルム
を、天然繊維を解繊して得られた懸濁液を介して複数枚
積層し、圧縮して水分を除去することにより任意の厚さ
のフィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により得られたフィルムの熱
的変化を示すグラフ。
【図2】本発明の製造方法により得られたフィルムの熱
的変化を示すグラフ。
【符号の説明】
符号なし。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21D 1/20 // D21H 17/00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然繊維に水を加えて解繊し、直径0.0
    1〜2μmの天然繊維解繊物の懸濁液を得る解繊工程
    と、 前記懸濁液中の前記天然繊維解繊物の濃度を0.1〜1
    0重量%の範囲に調整した後、平滑面上に流延し、水分
    を蒸発除去し乾燥させてフィルムを成形する成形工程と
    からなることを特徴とする天然繊維を原料とするフィル
    ムの製造方法。
  2. 【請求項2】前記天然繊維が、セルロース系天然繊維、
    キチン・キトサン系天然繊維、コラーゲン系天然繊維、
    フィブロイン系天然繊維、繊維状無機物の中から選ばれ
    る少なくとも1種の天然繊維であることを特徴とする請
    求項1記載の天然繊維を原料とするフィルムの製造方
    法。
  3. 【請求項3】前記天然繊維が、セルロース系天然繊維
    と、キチン・キトサン系天然繊維、コラーゲン系天然繊
    維、フィブロイン系天然繊維、繊維状無機物の中から選
    ばれる少なくとも1種の天然繊維との組合せであること
    を特徴とする請求項2記載の天然繊維を原料とするフィ
    ルムの製造方法。
  4. 【請求項4】前記天然繊維が、セルロース系天然繊維の
    中から選ばれる少なくとも2種の天然繊維の組合せであ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の天然
    繊維を原料とするフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】前記天然繊維が、セルロース系天然繊維で
    あって針葉樹の木材パルプと広葉樹の木材パルプとの組
    合せであることを特徴とする請求項4記載の天然繊維を
    原料とするフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】前記成形工程で得られたフィルムの厚さが
    0.1〜500μmの範囲であることを特徴とする請求
    項1乃至請求項5のいずれか1項記載の天然繊維を原料
    とするフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】前記成形工程で得られた複数のフィルムの
    相互間に、天然繊維に水を加えて解繊して得られた懸濁
    液を塗布して積層し、得られた積層体を圧縮して水分を
    除去することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいず
    れか1項記載の天然繊維を原料とするフィルムの製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022528688A (ja) * 2019-04-05 2022-06-15 テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ 高コンシステンシーナノセルロース懸濁液のフィルムを製造するための方法
JP2023160387A (ja) * 2022-04-22 2023-11-02 国立大学法人京都工芸繊維大学 フィブロインナノファイバ複合材料の製造方法、フィブロインナノファイバ複合ゲルおよびフィブロインナノファイバ含有フィルム

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JP2023160387A (ja) * 2022-04-22 2023-11-02 国立大学法人京都工芸繊維大学 フィブロインナノファイバ複合材料の製造方法、フィブロインナノファイバ複合ゲルおよびフィブロインナノファイバ含有フィルム

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