JPH08129738A - 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録再生装置

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JPH08129738A
JPH08129738A JP26903694A JP26903694A JPH08129738A JP H08129738 A JPH08129738 A JP H08129738A JP 26903694 A JP26903694 A JP 26903694A JP 26903694 A JP26903694 A JP 26903694A JP H08129738 A JPH08129738 A JP H08129738A
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JP
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magnetic
film
recording medium
magnetic film
substrate
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JP26903694A
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Yukio Honda
幸雄 本多
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Yoshiyuki Hirayama
義幸 平山
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気記録再生したとき優れた低ノイズ特性を
有し超高密度記録に好適な磁気記録媒体を提供する。 【構成】 非磁性基板1上に下地層2、磁性膜3及び保
護層4を積層してなる磁気記録媒体において、非磁性基
板、下地層又は磁性膜のうち少なくとも1つの選択され
た領域にイオン打込み領域5を形成する。選択された領
域は同心円状、らせん状、又は中心から外周部に向かう
放射状とする。磁性膜3は非磁性中間層を介して多層に
積層してもよい。また、多層に積層した磁性膜の少なく
とも1層の全面にイオン打ち込み領域を形成する。 【効果】 基板にテクスチャ溝を形成することなく磁性
膜の結晶配向や磁気異方性、あるいは磁性粒子間の相互
作用を制御することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度磁気記録に好適
な磁気記録媒体及びこれを用いた磁気記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、実用的に用いられている磁気記録
方式は、磁気記録媒体面に平行に、かつ磁極のN極とN
極、S極とS極を互いに突き合わせる方向に磁化して磁
気記録を行う面内磁気記録方式である。この方式で記録
密度を上げるには、記録時の反磁界の影響を減少するた
めに記録磁性膜の膜厚を薄くし、保磁力を約3kOe
(キロエルステッド)以上に増大する必要があるが、こ
れにより将来の数Gb/in2 オーダの高密度磁気記録
の有力な記録方式の一つと考えられている。
【0003】また、垂直磁気記録方式は、記録媒体面に
垂直方向に、かつ隣合う記録ビットが互いに反平行にな
るように磁区を形成する記録方式であり、高密度記録に
際して磁区の境界での反磁界が小さいため、先鋭な記録
磁区が形成され、高密度磁気記録の有力な手段の一つで
ある。面内磁気記録や垂直磁気記録用媒体の磁性膜とし
ては、Co−Cr,Co−Ni,Co−V,Co−Mo
などのCo基合金薄膜が用いられ、中でもCo−Crを
主成分とする合金にTa,Pt,Mo,Ru,Re,F
e,Rh,Oなどを添加した合金が用いられている。こ
れらCo基合金は六方稠密構造(hcp構造)をもち、
この結晶のc軸、<001>方向に磁化容易軸がある。
【0004】面内磁気記録媒体は、NiP被覆したAl
基板、ガラス基板、あるいはポリイミド、ポリエチレン
テレフタレートなどのプラスチックフィルムなどの非磁
性基板上に前述のCo合金薄膜を形成して用いられる。
面内記録では、前記Co合金磁性結晶のc軸を基板面内
に高配向する必要があり、この目的から前記基板上に体
心立方(bcc)格子構造のCr等の下地層を形成し、
この上に上記Co合金磁性薄膜を形成する方法が提案さ
れている。また磁性薄膜に磁気的な配向性を与えるため
に、基板上にテクスチャ溝を設け、この溝に沿った方向
と、これに直交する方向で異なる磁気異方性を付加する
方法も知られている。
【0005】垂直磁気記録媒体は、NiP被覆したAl
基板、ガラス基板、あるいはポリイミド、ポリエチレン
テレフタレートなどのプラスチックフィルムなどの非磁
性基板上に前述のCo合金薄膜を形成して用いられる。
垂直記録では、磁気記録したときの記録密度や再生出
力、再生ノイズ特性などの磁気記録特性を向上するため
に、前記Co合金磁性結晶のc軸を基板面に垂直に高配
向する必要がある。この目的から前記基板上にTiなど
のhcp構造の下地層、又はSi,Geなどの非晶質下
地層を形成し、この上に上記Co合金磁性薄膜を形成す
る方法が提案されている。また再生感度を上げるため
に、前記Co合金磁性薄膜の下部にパーマロイなどの軟
磁性材料薄膜を設ける方法が IEEE Trans. Magnetics,
MAG-15, 1456(1979)の“複合異方性膜による垂直磁気記
録(Perpendicular Magnetic Recording with Composit
e Anisotropy Film)”と題する論文に掲載されている。
【0006】再生信号における媒体ノイズは記録磁区の
境界(磁化遷移領域)の構造や記録ビット内部の磁区構
造と密接な関係があり、これには磁性膜を構成する粒子
間の磁気的な相互作用の強さや磁気異方性の分散などが
関係している。媒体ノイズの低減のために従来試みられ
ている方法としては、(1)CoCr系合金中の非磁性
Crを結晶粒界に偏折させて磁性粒子間の磁気的相互作
用を小さくする方法、(2)スパッタリングガスの圧力
を制御して構造制御用の下地層や磁性膜を形態的に孤立
させる方法などがある。さらに、磁性膜の平面方向だけ
でなく、膜厚方向においても磁性粒子間の相互作用を小
さくする方法、例えばCoCr系合金磁性膜の間にCr
のような非磁性中間膜を設ける方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】数Gb/in2 以上の
超高密度磁気記録装置では、媒体と磁気ヘッド間のスペ
ーシングは数十nm以下に接近する。このため、従来の
ごとくテクスチャ溝を設けた基板では表面の平滑性が悪
く、媒体と磁気ヘッド間のスペーシングを十分接近する
ことが困難になり、動作中に媒体と磁気ヘッドが衝突し
て破壊の原因となる。
【0008】また、媒体ノイズ低減のために単に磁性膜
の間に非磁性中間膜を設けた場合、同じ厚さの単層磁性
膜に比べて保磁力が低下し、超高密度記録に必要とされ
る2kOe以上の高保磁力の実現が困難である。本発明
の第1の目的は、上述の従来技術の欠点を解消し、基板
にテクスチャ溝を形成することなく磁性膜に磁気的な異
方性を付与する方法を提供することにある。本発明の第
2の目的は、基板上に形成する磁性膜の結晶配向や磁気
異方性、あるいは磁性粒子間の相互作用を制御すること
によって、磁気記録再生したとき優れた低ノイズ特性を
有し超高密度記録に好適な磁気記録媒体を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、非磁
性基板上に磁性膜の構造制御用の下地層を形成し、この
上に1層以上の磁性膜、保護層を形成してなる磁気記録
媒体において、基板、下地層、及び磁性膜のうち少なく
とも1つの選択された領域にイオン打ち込み領域を設け
ることにより前記第1の目的を達成する。選択されたイ
オン打ち込み領域は同心円状、らせん状、又は円形基板
の中心から外周に向かって放射状に設定するのが好都合
である。
【0010】また、本発明においては、非磁性基板上に
下地層、非磁性層を介した複数の磁性膜及び保護層を積
層してなる磁気記録媒体において、最上層以外の少なく
とも1層の磁性膜の全面にイオン打込み領域を形成する
ことにより前記第2の目的を達成する。全面にイオン打
ち込み領域を形成した磁性膜以外の磁性膜の選択された
領域、たとえば同心円状、らせん状、あるいは中心から
外周部に向かう放射状にイオン打ち込み領域を形成して
もよい。
【0011】イオン打ち込み領域に打ち込むイオンは、
Cr,Mo,V,Ta,Pt,Si,B,Ir,W,H
f,Nb,Ru,Ti,O,Ar,Kr,Xe元素の中
から選ばれる少なくとも1種類以上の元素とすることが
でき、イオン打ち込み領域の厚さは1原子層以上、下地
層又は磁性膜の厚さの範囲内で任意に設定できる。磁性
膜は、Coを主成分とし、これにCr,Fe,Mo,
V,Ta,Pt,Si,B,Ir,W,Hf,Nb,T
i,Ni,CoO及び希土類元素の中から選ばれる少な
くとも1種類の元素又は化合物を含む材料からなる六方
稠密構造を有する。前記磁性膜は構造制御用の下地層の
上にエピタキシャル的に成長した薄膜である。磁性膜を
多層に積層する場合、各磁性膜は同一組成とすることも
異なる組成とすることもできる。
【0012】磁性膜の磁化容易軸は、基板面に対して平
行もしくは垂直とし、あるいは多層磁性膜の場合には第
1層と第2層以降の磁性膜の磁化容易軸が基板面に対し
ていずれも平行、もしくは平行な膜と垂直膜の組合せで
構成する。磁化容易軸の向きは磁性膜の下層に設ける下
地層又は非磁性層を選択することによって任意に制御で
きる。さらに前記多層磁性膜において、第1層と第2層
以降の磁性膜の間にイオン打ち込み領域を設けることに
より、第1層と第2層以降の磁性膜の磁化容易軸を独立
に制御することができる。
【0013】構造制御用の下地層及び非磁性層は、この
上に形成する磁性膜と結晶格子の整合性の良い材料を選
択する。例えばCr,V,W,Mo,Pt,Pd,S
i,Ge,Bから選ばれた少なくとも1種類を含む面心
立方構造、体心立方構造もしくは非晶質構造の材料、あ
るいはCo,Ti,Ru,Hf,Ta,Cr,V,W,
Mo,Pt,Pd,Si,Ge,Bから選ばれた少なく
とも1種類を含む六方稠密格子構造、又は非晶質構造の
材料を選択する。薄膜の形成には、真空蒸着法、高周波
スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法ある
いは電子サイクロトロン共鳴スパッタリング法などの物
理蒸着法を用いることができる。
【0014】
【作用】六方稠密格子(hcp)構造のCo基合金はそ
のc軸方向に大きな結晶磁気異方性を有し、面内磁気記
録媒体はこのc軸を基板面内に配向させ、また垂直磁気
記録媒体はc軸を基板面に垂直配向させる。構造制御用
の下地層や非磁性層はこのc軸を高配向させるために用
いる。例えばCr合金などの体心立方格子(bcc)構
造の下地層は、この上に形成するCo基合金磁性膜結晶
の面内配向性や結晶粒径を制御する作用をし、またTi
合金などのhcp構造の下地層は、この上に形成するC
o基合金磁性膜結晶の垂直配向性や結晶粒径を制御する
作用をする。また、構造制御用の下地層や非磁性層は、
合金薄膜を用いることにより、単一の材料を用いた薄膜
の場合に比べて結晶粒径を小さくでき、従ってこの上に
形成する磁性膜の結晶粒径も小さくでき、記録密度や再
生ノイズなどの磁気記録特性を向上できる。
【0015】イオン打ち込みは、打ち込まれた領域に局
所的なストレスを付与する作用をする。従って、基板や
下地層あるいは磁性膜のうちの選択された領域に、円周
方向又は放射状にイオン打ち込み領域を設けることによ
り、磁性膜に円周方向又は半径方向に磁気的な異方性を
与えることができる。磁性薄膜は下層に設けた下地層又
は非磁性層の上にエピタキシャル的に成長し、Co基合
金磁性膜のc軸は下層の下地層又は非磁性層の材料の性
質を反映して面内又は垂直方向に配向する。
【0016】前記磁性膜は、非磁性層を介して多層に積
層して用いることができ、これにより磁性粒子間の相互
作用の強さを面内方向に加えて、膜厚方向にも制御する
機能を付与でき再生ノイズを低減することができる。さ
らに第1層目の磁性膜の上に非磁性層を介して第2層目
以降の磁性膜を形成するに際して、前記第1層目の磁性
膜の全面に前記イオン打ち込み領域を形成し、この上に
非磁性層を介して第2層目以降の磁性膜を形成すること
ができる。このイオン打ち込み領域の厚さは単原子層以
上、10nm以下が望ましく、イオン打ち込み領域の形
成によりこの上に積層する第2層目以降の磁性膜の結晶
の面内配向を第1層目の磁性膜の配向と変化して形成す
ることができる。これにより第1層目の磁性膜と第2層
目以降の磁性膜の静磁気的な結合を弱めることができ、
単に非磁性層を介して第1磁性膜から第2磁性膜以降を
エピタキシャル的に成長させた多層磁性膜媒体に比べて
再生ノイズを低減する効果はさらに大きくなる。
【0017】また、面内配向させた下層の磁性層の全面
にイオンを打ち込み、その上に結晶配向制御用の非磁性
層を介して磁性層を積層することにより、2層の磁性層
の結晶配向性を独立に制御することができる。この方法
によると、下層の磁性層が面内配向し、その上の磁性層
が垂直配向した、高再生出力化に適した多層磁性膜を容
易に作製することが可能となる。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例について、図面を参照
しながら詳細に説明する。図において同一符号を付した
部分は、同じ機能を有する部分を表す。 〔実施例1〕洗浄したガラス基板1をスパッタリング装
置に設置し、2×10-7Torrの真空度まで排気し
た。続いて基板を250℃に加熱して、磁性膜の構造制
御用として厚さ50nmの下地層2を形成した。ここで
はCrを下地層2として用いた例で説明するが、Crを
主成分としてこれにV,W,Mo,Pt,Pd,Si,
Ge,B,Ru,Hf,Ir,Re,Ti,Ta,Zr
などの元素を0〜20at%の範囲で添加して用いるこ
とも可能である。X線回折法で測定したところ、上記下
地層2は体心立方格子(bcc)構造を有し、その成長
方位は<110>もしくは<100>方位であった。こ
の下地層の上に磁性膜3を形成し、さらにその上に保護
層4として膜厚10nmのカーボン膜を形成した。
【0019】本実施例では、イオン打ち込みの効果を調
べるために、次の4種類の媒体を作成した。1つは、図
1(a)に断面略図を示すように、基板1の表面に図2
のごとく同心円状にイオン打ち込み領域5を形成し、こ
の上に下地層2、磁性膜3、及び保護層4の順に形成し
た媒体Aである。2つめの媒体は、図1(b)に断面略
図を示すように、基板1上に下地層2を形成した後、下
地層2の表面に図2のごとく同心円状のイオン打ち込み
領域5を形成し、この上に磁性膜3、及び保護層4の順
に形成した媒体Bである。3つめの媒体は、図1(c)
に断面略図を示すように、基板1上に下地層2、磁性膜
3を形成した後、磁性膜3の表面に図2のごとく同心円
状にイオン打ち込み領域5を形成し、この上に保護層4
を形成した媒体Cである。比較用として、基板、下地層
及び磁性膜のいずれにもイオン打ち込み領域を設けない
媒体を作成した。
【0020】図2に示したイオン打ち込み領域は、線幅
0.1〜1μmに収束したイオンビームを上記円板状の
媒体の所定の位置に照射し、これと共に媒体を中心軸の
回りに回転することによって形成できる。半径方向に隣
接する同心円状のイオン打ち込み領域間の間隔は0.2
〜2μmとした。イオン打ち込み領域の深さや打ち込み
量は、イオンビーム照射時の加速電圧やビーム電流、も
しくは円板の回転速度を調整することによって制御可能
である。本実施例では、加速電圧100V〜30kV、
ビーム電流1μA〜10mAの範囲で実験を行った。加
速電圧が500V以下ではイオン打ち込みの効果が少な
く、また20kV以上では試料表面が加工され、凹凸が
形成される場合があった。
【0021】表1に、打ち込みイオンとしてBイオンを
用い、イオンビームの加速電圧10kV、ビーム電流5
0μAの条件でイオン打ち込み領域を形成した時の各媒
体の円周方向の保磁力Hc(θ)と半径方向の保磁力H
c(R)で示す。磁性膜3は、Coを主成分とし、これ
にCr,Fe,Mo,V,Ta,Pt,Si,B,I
r,W,Hf,Nb,Ti,Ni,CoO及び希土類元
素の中の少なくとも1つを添加した材料を用いることが
でき、ここではCoCr16Ta6 ,CoCr20Pt12
及びCoCr20Pt12Ta6 を用い、膜厚20nmとし
た例を示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1から明らかなように、基板、下地層又
は磁性膜に円周方向に沿ってイオン打ち込み領域を形成
することにより、基板上に形成した下地層や磁性膜結晶
に歪を与えることができ、その結果半径方向の保磁力に
比べて、円周方向の保磁力が大きい、いわゆる磁気的な
異方性をもつ面内磁気記録媒体を得ることができた。打
ち込みイオン種としては、B以外にも、Cr,Mo,
V,Ta,Pt,Si,B,Ir,W,Hf,Nb,R
u,Ti,Ga,O,Ar,Kr,Xeなどの元素、又
はこれらのうちの2種以上の元素を同時に用いることが
でき、いずれの場合でも同様の効果が得られる。打ち込
みイオン種として2種以上の元素を用いる場合には、ガ
ス状のイオン種を混合して収束イオンビームを作成して
用いる。また、イオン打ち込み領域は、らせん状として
も同様の効果を得ることができる。
【0024】〔実施例2〕実施例1と同様のスパッタリ
ング装置を用いて、円板状の媒体に図3のごとく中心か
ら外周に向かって放射状にイオン打ち込み領域5を形成
した媒体を作成した。イオン打ち込みの効果を調べるた
めに、次の4種類の媒体を作成した。1つは、図1
(a)に断面略図を示すように、基板1の表面に図3の
ごとく放射状にイオン打ち込み領域5を形成し、その上
に下地層2、磁性膜3、及び保護層4の順に形成した媒
体AAである。2つめの媒体は、図1(b)に断面略図
を示すように、基板1上に下地層2を形成した後、下地
層2の表面に図3のごとく放射状にイオン打ち込み領域
5を形成し、その上に磁性膜3及び保護層4を形成した
媒体BBである。3つめの媒体は、図1(c)に断面略
図を示すように、基板1上に下地層2、磁性膜3を形成
した後、磁性膜3の表面に図3のごとく放射状にイオン
打ち込み領域5を形成し、この上に保護層4を形成した
媒体CCである。比較用として、基板、下地層及び磁性
膜のいずれにもイオン打ち込み領域を設けない媒体を作
成した。
【0025】図3に示したイオン打ち込み領域5は、線
幅0.1〜1μmに収束したイオンビームを上記円板状
の媒体の所定の位置に照射し、イオンビームを半径方向
に走査すると共に前記円板の回転中心を軸に円板を回す
ことによって形成できる。また複数のイオンビームを同
時に照射することも可能である。イオン打ち込み領域5
の間隔は、イオンビームの線幅と送り間隔をイオンビー
ムの線幅の1倍以上の範囲で任意に設定することによっ
て制御できる。
【0026】表2は、一例として基板1に超平滑NiP
被覆Al基板を用い、下地層2としてCr−15at%
Tiを50nm厚、磁性膜3として実施例1と同様のC
oCr16Ta6 ,CoCr20Pt12,及びCoCr20
12Ta6 を膜厚20nm形成し、イオン種としてCa
を用いた場合の各媒体の磁気特性を示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2から明らかなように、基板又、下地
層、又は磁性膜の半径方向に放射状にイオン打ち込み領
域を形成することにより、基板上に形成した下地層や磁
性膜結晶に歪を与えることができ、その結果円周方向の
保磁力に比べて、半径方向の保磁力が大きい、いわゆる
磁気的な異方性をもつ面内磁気記録媒体を得ることがで
きた。
【0029】〔実施例3〕実施例1と同様のスパッタリ
ング装置を用いて、図4(a)に示すように、非磁性層
を介して多層に積層した磁性膜を有する媒体Dを作製し
た。媒体Dの作製に当たっては、超平滑処理したNiP
被覆Al基板1の上に、磁性膜の構造制御用の下地層2
としてCr−15at%Ti合金下地層2を膜厚50n
m形成した。X線回折法で測定した結果、この下地層2
は、bcc構造を有し、(100)面が基板面に平行に
配向していた。この下地層2の表面に深さ約5nmのイ
オン打ち込み領域5を、図2のごとく同心円状に形成し
た。この下地層2の上に第1磁性膜31として膜厚15
nmのCoCr18Pt12合金膜を形成し、続いて下地層
と同じ組成のCr−15at%Ti合金膜からなる膜厚
2nmの非磁性層6を形成した。引き続いて、非磁性層
6の上に第2磁性膜32として第1磁性膜31と同じ組
成のCoCr18Pt12合金膜を膜厚15nm形成した。
第1、第2磁性膜及び非磁性層は、下地層上にエピタキ
シャル的に成長していた。さらに、この上に膜厚10n
mのカーボン保護層4を形成した。
【0030】比較のために、図4(b)のごとく、下地
層2の表面にイオン打ち込み領域を形成せず、非磁性層
6を介して磁性膜を2層積層した媒体Eを作製した。こ
の媒体は、下地層2、第1磁性膜31、非磁性層6、第
2磁性膜32、及び保護層4は材料組成、膜厚ともに同
図(a)と同じにした。第1、第2磁性膜及び非磁性層
は、下地層上にエピタキシャル的に成長していた。
【0031】更に比較のために、超平滑処理したNiP
被覆Al基板1の上に、磁性膜の構造制御用の下地層2
としてCr−15at%Ti合金下地層2を膜厚50n
m形成し、この上に同図(a),(b)における第1磁
性膜と同じ組成のCoCr18Pt12合金膜からなる単一
層の磁性膜31を形成し、この上に膜厚10nmのカー
ボン保護層4を形成した媒体Fを作製した。磁性膜31
は、下地層2の上にエピタキシャル的に成長していた。
【0032】表3に、上記3種類の媒体D,E,Fの保
磁力と、記録再生したときの再生ノイズの相対値比較を
線記録密度20kFCI(FCI:Flux Change per Inc
h)、100kFCI及び250kFCIについて行っ
た結果を示す。再生ノイズの相対値は、その値が小さい
程、媒体から発生するノイズが小さいことを示す。
【0033】
【表3】
【0034】表3から明らかなように、媒体の円周方向
にイオン打ち込み領域を設け、かつ磁性膜を非磁性層で
分割して多層に積層した媒体Dは、半径方向に比べて円
周方向の保磁力が大きい、いわゆる円周方向に磁気的な
異方性が付与され、また磁気記録再生特性におけるノイ
ズの値も他の比較媒体に比べて小さく、性能が改善され
た。
【0035】ここでは磁性膜が2層の場合を例に説明し
たが、磁性膜を3層以上に多層化しても同様の効果が得
られた。また、非磁性層6としては、Cr,V,W,M
o,Pt,Pd,Si,Ge,Bから選ばれた少なくと
も1種類の材料を含む、bcc,fcc又は非晶質構造
の材料を用いても同様の効果を得ることができる。
【0036】〔実施例4〕実施例1と同様のスパッタリ
ング装置を用いて、図5(a)に断面略図を示す多層膜
構造の媒体Gを作製した。媒体Gの作製に当たっては、
ガラス基板1の上に膜厚50nmの構造制御用の下地層
2、膜厚15nmの第1磁性膜31を順次形成した。次
に、この第1磁性膜31の表面に逆スパッタ法によって
一様に数原子層のイオン照射層55を形成した。イオン
種は、Cr,Mo,V,Ta,Pt,Si,B,Ir,
W,Hf,Nb,Ru,Ti,O,Ar,Kr,Xeな
どを用いることができる。ここでは1keVに加速した
Arイオンを第1磁性膜31の表面全体に照射した。続
いてこのイオン照射層55の上に膜厚2nmの非磁性層
6、膜厚15nmの第2磁性膜32及び膜厚10nmの
カーボン保護層4を順次形成した。
【0037】ここでは、下地層2としてCr−10at
%V合金薄膜を、第1磁性膜31としてCoCr18Ta
6 合金薄膜を、第2磁性膜32としてCoCr20Pt12
合金薄膜を、さらに非磁性層6として下地層2と同じC
r−10at%V合金薄膜を用いた例により説明する。
この媒体Gの構造をX線回折法と透過電子顕微鏡により
調べた結果、第1磁性膜31は下地層2の上にエピタキ
シャル的に成長しており、また第2磁性膜32は非磁性
層6の上にエピタキシャル的に成長していることが確認
された。しかし、第1磁性膜31の磁性結晶と第2磁性
膜32の磁性結晶は、エピタキシャル的には成長してい
なかった。すなわち、第2磁性膜32の磁性結晶の磁化
容易軸は第1磁性膜31の磁性結晶の磁化容易軸に対し
て平行でかつ面内でランダムであり、いわゆる面内で等
方的であつた。
【0038】比較用として、同様のスパッタリング装置
を用いて、図5(b)に断面略図を示すように、ガラス
基板1の上に膜厚50nmの構造制御用のCr−10a
t%V合金下地層2、膜厚15nmのCoCr18Ta6
合金薄膜からなる第1磁性膜31、膜厚2nmのCr−
10at%V合金非磁性層6、膜厚15nmのCoCr
20Pt12合金薄膜からなる第2磁性膜32及び膜厚10
nmのカーボン保護層4を順次形成した多層磁性膜構造
の媒体Hを作成した。この媒体HをX線回折法と透過電
子顕微鏡により調べた結果、第1磁性膜31、第2磁性
膜32は非磁性層6を介して下地層2の上にエピタキシ
ャル的に成長しており、さらに両磁性膜31,32の磁
化容易軸は面内で同一方向に揃っていた。表4に、前記
2種類の媒体G,Hの保磁力と、記録再生したときの再
生ノイズの相対値比較を線記録密度20kFCI、10
0kFCI及び250kFCIについて行った結果を示
す。
【0039】
【表4】
【0040】表4から明らかなように、第1磁性膜と非
磁性層の間にイオン照射層を設け、かつ磁性膜を非磁性
層で分割して第1磁性膜と第2磁性膜の磁化容易軸を面
内で等方的に配向させ静磁気的な相互作用を磁性膜の膜
厚方向でも弱めるように多層に構成した媒体Gは、磁気
記録再生特性におけるノイズの値が比較媒体Hに比べて
小さく、性能が改善された。ここでは磁性膜が2層の場
合を例に説明したが、磁性膜を3層以上に多層化しても
同様の傾向があることを確認した。
【0041】〔実施例5〕実施例4と同様のスパッタリ
ング装置を用いて、図6に断面略図を示す多層磁性膜構
造の媒体Iを作製した。媒体Iの作製に当たっては、ガ
ラス基板1の上にCr−10at%V合金薄膜からなる
膜厚50nmの構造制御用の下地層2を形成した。続い
て、この下地層の表面に収束したB(ボロン)イオンビ
ームを照射し、深さ約2nmのイオン打ち込み領域5
を、図2のごとく同心円状に形成した。この下地層上に
第1磁性膜31として膜厚15nmのCoCr18Ta6
合金薄膜を形成した。次に、この第1磁性膜31の表面
に逆スパッタ法によって一様に数原子層のイオン照射層
55を形成した。イオン種は、1keVに加速したAr
イオンを第1磁性膜31の表面全体に照射した。続いて
このイオン照射層55の上に膜厚2nmのCr−10a
t%V合金薄膜からなる非磁性層6、CoCr20Pt12
合金薄膜からなる膜厚15nmの第2磁性膜32及び膜
厚10nmのカーボン保護層4を順次形成した。
【0042】比較のために、基板1、下地層2、第1磁
性膜31、第2磁性膜32、非磁性層6、及びイオン照
射層55の材料と膜厚等を同じに設定して、図5(a)
と同じ構成の媒体Jを作成した。表5に、前記2種類の
媒体I,J及び図5(b)に示した媒体Hの保磁力と、
記録再生したときの再生ノイズの相対値比較を線記録密
度20kFCI、100kFCI及び250kFCIに
ついて行った結果を示す。
【0043】
【表5】
【0044】表5から明らかなように、第1磁性膜と非
磁性層の間にイオン照射層を設け、かつ磁性膜を非磁性
層で分割して第1磁性膜と第2磁性膜の磁化容易軸を面
内で等方的に配向させ静磁気的な相互作用を磁性膜の膜
厚方向でも弱めるように多層に構成した媒体Jは、磁気
記録再生特性におけるノイズの値が他の比較媒体Hに比
べて小さく、性能が改善されている。さらに、媒体の円
周方向にイオン打ち込み領域を設け、かつ磁性膜をイオ
ン照射層と非磁性層で分割して多層に構成した媒体I
は、半径方向に比べて円周方向の保磁力が大きい、いわ
ゆる円周方向に磁気的な異方性が付与され、記録再生特
性等の性能改善の効果は明らかである。ここでは磁性膜
が2層の場合を例に説明したが、磁性膜を3層以上に多
層化しても同様の効果が得られることを確認した。
【0045】〔実施例6〕実施例1と同様のスパッタリ
ング装置を用いて、図7(a)に断面略図を示す多層磁
性膜構造の媒体Kを作製した。媒体Kの作製に当たって
は、ガラス基板1の上に膜厚30nmの構造制御用の下
地層2、膜厚50nmの第1磁性膜33を順次形成し
た。下地層2にはhcp構造のTi−10at%Cr合
金薄膜を用いたが、Co,Ti,Ru,Hf,Ta,C
r,V,W,Mo,Pt,Pd,Si,Ge,Bから選
ばれた少なくとも1種類を含む六方稠密構造もしくは非
晶質構造の材料を用いることもできる。第1磁性膜33
としては、Coを主成分とするhcp構造のCo基合金
薄膜を用い、本実施例ではCoCr18Ta6 合金薄膜を
用いた。次に、この第1磁性膜33の表面に逆スパッタ
法によって一様に数原子層のイオン照射層55を形成し
た。イオン種には、Cr,Mo,V,Ta,Pt,S
i,B,Ir,W,Hf,Nb,Ru,Ti,O,A
r,Kr,Xeなどを用いることができる。ここでは
0.5keVに加速したKrイオンを第1磁性膜33の
表面全体に照射した。
【0046】続いて、このイオン照射層55の上に膜厚
2nmの非磁性層6、膜厚50nmの第2磁性膜34及
び膜厚10nmのカーボン保護層4を順次形成した。非
磁性層6としては、Co,Ti,Ru,Hf,Ta,C
r,V,W,Mo,Pt,Pd,Si,Ge,Bから選
ばれた少なくとも1種類を含む六方稠密構造もしくは非
晶質構造の材料を用いる。ここでは、hcp構造のTi
−10at%Cr合金薄膜を用いた例により説明する。
第2磁性膜34は、第1磁性膜33と異なる組成の材料
を用いることができるが、ここでは第1磁性膜33と同
じCoCr18Ta6 合金薄膜を用いた例により説明す
る。
【0047】X線回折法や媒体断面の透過電子顕微鏡観
察の結果、第1磁性膜33は下地層2の上に、第2磁性
膜34は非磁性層6の上にそれぞれエピタキシャル的に
成長しており、hcp構造の第1及び第2磁性膜の磁化
容易軸のc軸はそれぞれ基板面に垂直に配向していた。
またこの媒体薄膜の平面方向からの透過電子顕微鏡観察
の結果、第1磁性膜と第2磁性膜は、面内方向では独立
した結晶配向であった。
【0048】比較のために、図7(b)のごとく、ガラ
ス基板1の上に膜厚30nmの構造制御用の下地層2、
膜厚50nmの第1磁性膜33、膜厚2nmの非磁性層
6、膜厚50nmの第2磁性膜34及び膜厚10nmの
カーボン保護層4を順次形成した多層磁性膜構造の媒体
Lを作製した。下地層、第1と第2磁性膜及び非磁性層
の材料組成は上記の媒体Kと同じにした。
【0049】この媒体Lの構造をX線回折法や媒体断面
の透過電子顕微鏡観察により調べた結果、第1磁性膜3
3と第2磁性膜34は、非磁性層6を介して下地層2の
上にエピタキシャル的に成長しており、hcp構造の磁
性膜の磁化容易軸のc軸が基板面に垂直に配向してい
た。また、この媒体薄膜の平面方向からの透過電子顕微
鏡観察の結果、第1磁性膜33と第2磁性膜34は、面
内方向でも結晶軸は一致していることが確認された。
【0050】更に比較のために、図7(c)のごとく、
ガラス基板1の上に膜厚30nmの構造制御用の下地層
2を形成し、この上に膜厚100nmの磁性膜33及び
膜厚10nmのカーボン保護層4を順次形成した単層の
磁性膜からなる媒体Mを作製した。この媒体の下地層は
前記媒体Kの非磁性層と同じ材料を用い、磁性膜は、前
記媒体Kにおける第1磁性膜と同じCoCr18Ta6
金薄膜を用いた。
【0051】この媒体Mの構造をX線回折法や媒体断面
の透過電子顕微鏡観察により調べた結果、磁性膜33は
下地層2の上にエピタキシャル的に成長しており、hc
p構造の磁性膜33の磁化容易軸のc軸は基板面に垂直
に配向していた。表6に、上記3種類の媒体K,L,M
の膜面垂直方向の保磁力Hc(垂直)と、磁性粒子の平
均粒径、及び記録再生したときの再生ノイズの相対値比
較を線記録密度20kFCI、100kFCI及び25
0kFCIについて行った結果を示す。磁性粒子の平均
粒径は走査電子顕微鏡観察により求めた。
【0052】
【表6】
【0053】表6から明らかなように、第1磁性膜と非
磁性層の間にイオン照射層を設け、かつ磁性膜を非磁性
層で分割して第1磁性膜と第2磁性膜の磁化容易軸を面
内で独立に配向させ静磁気的な相互作用を磁性膜の膜厚
方向でも弱めるように多層に構成した媒体Kは、磁性膜
を非磁性層で単に分割した多層膜媒体Lや単層磁性膜媒
体Mなどに比べて、磁気記録再生特性におけるノイズを
小さくできる。これは磁性粒子の平均粒径を小さくで
き、また磁化した時の磁区サイズを小さくできることに
起因すると考えられる。ここでは磁性膜が2層の場合を
例に説明したが、磁性膜を3層以上に多層化しても同様
の効果が得られた。
【0054】〔実施例7〕実施例1と同様のスパッタリ
ング装置を用いて、図8(a)に断面略図を示す多層磁
性膜構造の媒体Nを作製した。媒体Nの作製に当たって
は、ガラス基板1上に膜厚50nmの構造制御用の下地
層2、膜厚15nmの第1磁性膜31を順次形成した。
下地層2にはCr−15at%Ti合金下地層2を用い
た。この下地層はbcc構造を有し、(100)面が基
板面に平行に配向していた。第1磁性膜31としてCo
Cr18Ta6 合金薄膜を用いた。この磁性膜の磁化容易
軸は基板面に平行に配向していた。次に、この第1磁性
膜31の表面に一様に数原子層のイオン照射層55を形
成した。イオン種には、Cr,Mo,V,Ta,Pt,
Si,B,Ir,W,Hf,Nb,Ru,Ti,O,A
r,Kr,Xeなどを用いることができる。ここでは
0.5keVに加速したArイオンを第1磁性膜31の
表面全体に照射した。
【0055】続いて、このイオン照射層55の上に膜厚
2nmの非磁性層6、膜厚70nmの第2磁性膜34及
び膜厚10nmのカーボン保護層4を順次形成した。非
磁性層6としては、Co,Ti,Ru,Hf,Ta,C
r,V,W,Mo,Pt,Pd,Si,Ge,Bから選
ばれた少なくとも1種類を含む六方稠密構造もしくは非
晶質構造の材料を用いる。ここでは、hcp構造のTi
−10at%Ru合金薄膜を用いた。第2磁性膜34に
は、CoCr18Pt12Ta5 合金膜を用いた。
【0056】X線回折法と薄膜断面の透過電子顕微鏡観
察で調べたところ、上記非磁性層6はhcp構造のc軸
が基板面に垂直方向に配向しており、前記第2磁性膜3
4は、この非磁性層の上にエピタキシャル的に成長して
いて、その磁化容易軸は膜面垂直方向に配向していた。
すなわち、この媒体Nは、第1磁性膜の磁化容易軸は基
板面に平行、第2磁性膜の磁化容易軸は基板面に垂直に
配向した多層膜構造からなっている。
【0057】比較のために、図8(b)のごとく、基板
1上にhcp構造のTi−10at%Ru合金薄膜から
なる膜厚50nmの下地層2を形成し、この上にCoC
18Ta6 合金薄膜からなる膜厚15nmの第1磁性膜
33、Ti−10at%Ru合金薄膜からなる膜厚2n
mの非磁性層6、CoCr18Pt12Ta5 合金薄膜から
なる膜厚膜厚70nmの第2磁性膜34及び膜厚10n
mのカーボン保護層4を順次形成した多層磁性膜構造の
媒体Oを作成した。この媒体Oは、第1磁性膜33及び
第2磁性膜34が非磁性層6を介して下地層2の上にエ
ピタキシャル的に成長しており、第1磁性膜33も第2
磁性膜34も磁化容易軸は膜面垂直方向に配向してい
た。
【0058】さらに比較のために、図8(c)のごと
く、基板1上にhcp構造のTi−10at%Ru合金
薄膜からなる膜厚50nmの下地層2を形成し、この上
にCoCr18Ta6 合金薄膜からなる膜厚70nmの磁
性膜33、及び膜厚10nmのカーボン保護層4を順次
形成した単層磁性膜構造の媒体Pを作成した。この媒体
Pの磁性膜33は下地層2の上にエピタキシャル的に成
長しており、磁化容易軸は膜面垂直方向に配向してい
た。
【0059】表7に、上記の3種類の媒体N,O,Pの
膜面垂直方向の保磁力Hc(垂直)と、線記録密度10
0kFCIにおける再生出力(信号振幅の電圧にて相対
比較)、及び記録再生したときの再生ノイズの相対値比
較を線記録密度20kFCI、100kFCI及び25
0kFCIについて行った結果を示す。
【0060】
【表7】
【0061】表7から明らかなように、第1磁性膜と非
磁性層の間にイオン照射層を設け、かつ磁性膜を非磁性
層で分割し、第1磁性膜の磁化容易軸を基板面内に配向
させ、第2磁性膜の磁化容易軸を膜面垂直方向に配向し
て多層に構成した媒体Nは、磁性膜を非磁性層で単に分
割した多層膜媒体Oや単層磁性膜媒体Pなどの比較媒体
に比べて、再生出力を大幅に増大でき、また磁化した時
の磁区サイズを他の比較媒体に比べて小さくできるた
め、磁気記録再生特性におけるノイズの値が他の比較媒
体に比べて小さく、性能改善の効果は明らかである。こ
こでは磁性膜が2層の場合を例に説明したが、磁性膜を
3層以上に多層化しても同様の効果が得られる。
【0062】〔実施例8〕図9に、実施例1から7の例
で説明した本発明による面内、及び垂直磁気記録媒体を
組み込んだ磁気記録再生装置の模式図を示す。磁気ディ
スク61は、モータにより回転する保持具により保持さ
れ、それぞれの各磁性膜に対応して情報の書き込み、読
み出しの磁気抵抗効果素子再生複合ヘッド62が配置さ
れている。この磁気抵抗効果素子再生複合ヘッド62の
磁気ディスク61に対する位置は、アクチュエータ63
とボイスコイルモータ64により制御する。さらにこれ
らを制御するために記録再生回路65、位置決め回路6
6、インターフェース制御回路67が設けられている。
【0063】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明の磁
気記録媒体によれば、基板上、磁性膜の構造制御用下地
層上、磁性膜上のいずれかの選択された位置にイオン打
ち込み領域を形成し、また組成が同じもしくは異なる磁
性膜を多層に積層してなる面内、もしくは垂直磁気記録
膜を用いることにより、記録再生ノイズが小さい超高密
度磁気記録に好敵な磁気記録媒体と磁気記録再生装置を
提供でき、工業上の利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】イオン打ち込み領域を設けた磁気記録媒体の一
実施例の断面模式図。
【図2】イオン打ち込み領域形成法の一実施例の説明
図。
【図3】イオン打ち込み領域形成法の他の実施例の説明
図。
【図4】イオン打ち込み領域を設けた多層面内磁気記録
媒体の一実施例及び比較例の断面模式図。
【図5】イオン打ち込み領域を設けた多層面内磁気記録
媒体の一実施例及び比較例の断面模式図。
【図6】イオン打ち込み領域を設けた多層面内磁気記録
媒体の一実施例の断面模式図。
【図7】イオン打ち込み領域を設けた多層垂直磁気記録
媒体の一実施例及び比較例の断面模式図。
【図8】イオン打ち込み領域を設けた多層垂直磁気記録
媒体の一実施例及び比較例の断面模式図。
【図9】磁気記録再生装置の模式図。
【符号の説明】
1…基板、2…下地層、3…磁性膜、4…保護層、5…
イオン打ち込み領域、6…非磁性層、31,33…第1
磁性膜、32,34…第2磁性膜、55…イオン照射
層、61…磁気ディスク、62…磁気抵抗効果素子再生
複合ヘッド、63…アクチュエータ、64…ボイスコイ
ルモータ、65…記録再生回路、66…位置決め回路、
67…インターフェース制御回路

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に下地層、磁性膜及び保護
    層を積層してなる磁気記録媒体において、前記非磁性基
    板、下地層又は磁性膜のうち少なくとも1つの選択され
    た領域にイオン打込み領域を形成したことを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性基板上に下地層、非磁性層を介し
    て複数層積層された磁性膜、及び保護層を積層してなる
    磁気記録媒体において、前記非磁性基板、下地層又は複
    数層積層された磁性膜中の個々の磁性膜のうち少なくと
    も1つの選択された領域にイオン打込み領域を形成した
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記イオン打ち込み領域は同心円状又は
    らせん状であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記イオン打ち込み領域は中心から外周
    部に向かう放射状であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 非磁性基板上に下地層、非磁性層を介し
    た複数の磁性膜及び保護層を積層してなる磁気記録媒体
    において、最上層以外の少なくとも1層の磁性膜の全面
    にイオン打込み領域を形成したことを特徴とする磁気記
    録媒体。
  6. 【請求項6】 前記全面にイオン打ち込み領域を形成し
    た磁性膜以外の磁性膜の選択された領域にイオン打ち込
    み領域を形成したことを特徴とする請求項5記載の磁気
    記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記イオン打ち込み領域は同心円状又は
    らせん状であることを特徴とする請求項6記載の磁気記
    録媒体。
  8. 【請求項8】 前記イオン打込み領域はCr,Mo,
    V,Ta,Pt,Si,B,Ir,W,Hf,Nb,R
    u,Ti,O,Ar,Kr,Xe元素の中から選ばれる
    少なくとも1種類以上の元素を含んでなることを特徴と
    する請求項1〜7のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記磁性膜はCoを主成分とし、これに
    Cr,Fe,Mo,V,Ta,Pt,Si,B,Ir,
    W,Hf,Nb,Ti,Ni,CoO及び希土類元素の
    中から選ばれる少なくとも1種類の元素又は化合物を含
    む材料からなり、六方稠密構造を有することを特徴とす
    る請求項1〜8のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記下地層及び非磁性層が面心立方構
    造、体心立方構造、又は非晶質構造を有することを特徴
    とする請求項2、5、6又は7記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記下地層及び非磁性層がCr,V,
    W,Mo,Pt,Pd,Si,Ge,Bから選ばれた少
    なくとも1種類を含む材料、又はこれを含む合金材料か
    らなることを特徴とする請求項2、5、6又は7記載の
    磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記下地層が面心立方構造、体心立方
    構造又は非晶質構造を有し、前記非磁性層が六方稠密構
    造又は非晶質構造をすることを特徴とする請求項2、
    5、6又は7記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 前記非磁性層がTi,Ru,Coを主
    成分とし、これにCo,Ti,Ru,Hf,Ta,C
    r,V,W,Mo,Pt,Pd,Si,Ge,Bから選
    ばれた少なくとも1種類を含む六方稠密構造又は非晶質
    構造の材料からなることを特徴とする請求項12記載の
    磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 前記下地層及び非磁性層が六方稠密構
    造、又は非晶質構造を有することを特徴とする請求項
    2、5、6又は7記載の磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】 前記下地層及び非磁性層がCo,T
    i,Ru,Hf,Ta,Cr,V,W,Mo,Pt,P
    d,Si,Ge,Bから選ばれた少なくとも1種類を含
    む材料、又はこれを含む合金材料からなることを特徴と
    する請求項14記載の磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】 磁性膜が非磁性基板に近い側の第1磁
    性膜及び基板から遠い側の第2磁性膜の少なくとも2層
    からなり、前記第1磁性膜及び第2磁性膜の磁化容易軸
    が基板面内方向に配向していることを特徴とする請求項
    2、5、6又は7記載の磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 前記第1磁性膜の磁化容易軸に対して
    前記第2磁性膜の磁化容易軸が基板面内で等方的である
    ことを特徴とする請求項16項記載の磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 磁性膜が非磁性基板に近い側の第1磁
    性膜及び基板から遠い側の第2磁性膜の少なくとも2層
    からなり、前記第1磁性膜が基板面内方向に磁化容易軸
    を有し、前記第2磁性膜が基板面に対して垂直方向に磁
    化容易軸を有することを特徴とする請求項2、5、6又
    は7記載の磁気記録媒体。
  19. 【請求項19】 磁性膜が非磁性基板に近い側の第1磁
    性膜及び基板から遠い側の第2磁性膜の少なくとも2層
    からなり、前記第1磁性膜及び第2磁性膜が基板面に垂
    直な磁化容易軸を有することを特徴とする請求項2、
    5、6又は7記載の磁気記録媒体。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19のいずれか1項に記載
    の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に磁気情報を記録
    再生するための磁気ヘッドと、前記磁気記録媒体と前記
    磁気ヘッドを相対運動させる駆動機構と、前記磁気ヘッ
    ドを前記磁気記録媒体上の適当な場所に位置決めするた
    めのアクチュエータとを含むことを特徴とする磁気記録
    再生装置。
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