JPH0813114A - 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法およびそのための装置 - Google Patents

溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法およびそのための装置

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JPH0813114A
JPH0813114A JP9575195A JP9575195A JPH0813114A JP H0813114 A JPH0813114 A JP H0813114A JP 9575195 A JP9575195 A JP 9575195A JP 9575195 A JP9575195 A JP 9575195A JP H0813114 A JPH0813114 A JP H0813114A
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雅彦 堀
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茂 若野
Yoshiyuki Kaseda
良之 綛田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】(1)鋼板に溶融亜鉛めっき、または更に合金化
処理を施すにあたり、めっき工程の前の段階で、クロス
角が 0.1〜2°で、圧下率が0.05〜20%のロールクロス
圧延を施す。また、還元雰囲気中での加熱工程の前にロ
ールクロス圧延を施すときは、圧下率を 0.3〜5%とす
るのが好ましい。 (2)めっき槽の上流側に一段以上のワークロールがクロ
スしている圧延機が設けられた連続式溶融亜鉛めっき装
置。 【効果】高Si( 0.2〜2.0 wt%)、高P( 0.020〜0.20
wt%)鋼であっても、この装置で本発明方法を実施すれ
ば、不めっき点のない溶融亜鉛めっき鋼板を製造し、生
産性を低下させることなく合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低炭素鋼または低炭素
合金鋼、特に珪素(Si)または燐(P)を含有する鋼板
を母材とする自動車用および建材用鋼板として好適な溶
融亜鉛めっき鋼板の製造方法およびそのための装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、家電製品、建材、自動車等の産業
分野において溶融亜鉛めっき鋼板が大量に使用されてお
り、とりわけ経済性と防錆機能、塗装後の性能の良さが
評価されて合金化溶融亜鉛めっき鋼板が広く用いられて
いる。
【0003】溶融亜鉛めっき鋼板は、通常、適当な脱脂
洗浄工程を経た後、または脱脂洗浄を行うことなく、鋼
板を弱酸化性または還元性の雰囲気で予熱し、その後水
素と窒素の混合ガスからなる還元性雰囲気で焼鈍し、次
いでめっき温度付近まで冷却して溶融亜鉛浴に浸漬する
ことにより製造される。
【0004】上記の工程における予熱の際には、鋼板表
面に80nm程度の酸化膜を形成させる方が溶融亜鉛との濡
れ性がよく好ましいとされている。しかし、それ以上の
厚さの酸化膜は、ドロスの発生を増加させ、溶融めっき
の密着性を損なうという悪影響があるといわれている。
また、溶融亜鉛浴の中には、後述の合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造の範囲も含めると0.08〜0.20%(以下、特
に断らない限り「%」は「重量%」を意味する)のAl
(アルミニウム)が含まれる。
【0005】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、通常、連続
的に溶融亜鉛めっきした鋼板を熱処理炉(合金化炉)で
500〜600 ℃の材料温度に3〜60秒間加熱して、Fe−Zn
合金めっき層を形成させたものである。めっき層はFe−
Znの金属間化合物からなり、その平均Fe濃度は8〜12%
である。そのめっき皮膜の付着量は、通常片面当たり25
〜70g/m2である。25g/m2以下のものは通常の手段では製
造することが難しく、また70g/m2を超えるものはめっき
皮膜の耐パウダリング性を確保することが困難である。
したがって、この範囲以外のものは一般に供給されてい
ない。
【0006】合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜中
には、0.12〜0.20%前後のAlが含有することが多い。そ
の原因の一つは、通常の溶融亜鉛めっき鋼板と同一のめ
っき浴を用いて合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するた
めである。即ち、通常の溶融亜鉛めっき鋼板の製造は、
めっき皮膜と母材との界面に生成する加工性の悪い合金
層( Fe-Zn合金、ξ相)の生成を抑制するため、めっき
浴中にAlが添加されている。他の一つは、合金化溶融亜
鉛めっき鋼板のめっき皮膜の耐パウダリング性を確保
し、かつ溶融亜鉛めっき時のドロスの発生を抑制するた
めに、めっき浴中にAlを含有させることがむしろ望まし
いとされ、通常合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造では0.
08〜0.12%程度のAl含有溶融亜鉛浴が使用される。しか
し、Alは、めっき時にめっき層中で富化される傾向にあ
るため、上記の浴でめっきすれば皮膜中のAl濃度は0.12
〜0.20%の範囲となる。
【0007】めっき皮膜中のAl濃度が0.12%以上になる
と合金化処理速度が低くなるほか、部分的にFe−Znのバ
ースト反応が起こり、Znを消費するため凹凸欠陥の多い
皮膜となり、外観不良となる。従って、合金化の観点か
らめっき皮膜中の適正なAl濃度は0.08〜0.12%とするこ
とが多い。しかし、この濃度範囲のめっき浴では連続に
溶融亜鉛めっきを行うと、ボトムドロスまたは浮遊ドロ
スと呼ばれる異物が生成し、除去が困難なため、めっき
皮膜中に侵入し、表面欠陥となる。こうした欠陥を改善
するために、めっき浴中のAl濃度を0.14%〜0.20%の範
囲に高める必要がある。高Al浴中で溶融亜鉛めっきされ
た鋼板の合金化処理速度は低下するので、これを促進さ
せることは重要な課題である。
【0008】また、合金化処理速度の低下は上記めっき
浴中のAl濃度だけではなく、鋼板中のSi、P含有量が高
くなることによっても引き起こされる。特に、Si含有量
が高くなると合金化処理速度の低下だけでなく、めっき
浴との濡れ性が低下し、めっき性を劣化(不めっき点を
発生)させるという問題がある。
【0009】上述のようなめっき鋼板の母材としては、
従来低炭素Alキルド鋼板、極低炭素Ti添加鋼板等が使用
されてきた。しかし、近年、自動車、建築等の分野では
熱間圧延サイズの厚手の高張力鋼板を使用するという要
求が高まり、Siが 0.2%を超えて含有する珪素含有鋼板
が用いられようとしている。Siは、鋼の延性を確保した
まま強度を向上させる作用を有しているので、珪素含有
鋼板は加工性に富んだ高強度材料として有望である。ま
た、P含有極低炭素鋼板はPの固溶体硬化作用を利用す
べく、アルミキルド、極低炭素Ti添加鋼に0.2 %以下の
Pを含有させた30〜100 kgf/mm2 級の鋼板である。これ
は高いr値(塑性ひずみ比)を有し、絞り成形加工に適
した鋼板であり、自動車用高張力鋼板として多用されて
いる。
【0010】しかしながら、珪素含有鋼板は、溶融亜鉛
めっきの母材としては大きな欠点を有している。上記の
通常のプロセスに従って珪素含有鋼板を処理すると、焼
鈍過程で雰囲気中の極微量の水分と鋼板中のSiが反応
し、鋼板表面に溶融亜鉛との濡れ性を損なうSi−Oxide
が生成する。従って、鋼中のSi濃度の増加にともない不
めっきが多発するようになる。珪素含有鋼板の表面に予
め酸化雰囲気での加熱によりFe酸化物を形成させること
により濡れ性が改善されることは公知である。しかし、
Si含有量が 0.2%を超えると従来のプロセスにおける酸
化雰囲気(例えば無酸化炉の空燃比を1〜1.35とした雰
囲気)で予熱しただけでは濡れ性の回復が難しい。これ
はSiが鋼の酸化を抑制するからである。
【0011】また、特に、珪素含有鋼板を母材として合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合には合金化処理
速度が著しく低下し、そのため生産能率も低下する。
【0012】上記の問題点を解決する方法として、従来
溶融めっきに先立ってNi、Fe等の下地めっきを施すこと
が知られている(特開昭56−33463 号公報、特開昭57−
79160 号公報参照)。しかし、余分なめっき工程が増え
て製造コストの上昇を招くにもかかわらず、Si含有量の
高い鋼では溶融亜鉛との濡れ性改善に十分な効果が得ら
れない。
【0013】また、めっき浴中および合金化処理中のFe
−Zn反応速度を高めるために、焼鈍後の母材表面を研
削、またはショットブラストなどを行うことが提案(特
公昭63−58225 号公報参照)されている。しかし、これ
らの方法は鋼板表面を削り取るため、切削屑がめっき浴
中に持ち込まれ、めっき皮膜に欠陥を引き起こすことも
ある。
【0014】このように溶融亜鉛めっきには高Al濃度の
めっき浴を使用することの優位性が知られている。しか
し、高Al濃度のめっき浴でめっきされた鋼板の合金化処
理速度を高くする方法がなく、現行の浴中Al濃度(0.08
〜0.12%)を高く(0.12〜0.20%)することはできな
い。また、SiやPを多く含有する鋼板は、現行の低いAl
濃度のめっき浴でも合金化の速度が低下するため、ライ
ン速度を低下させるのが実状である。
【0015】上述のように、材料的には魅力のある珪素
含有鋼も、これに適切な溶融亜鉛めっき、または合金化
溶融亜鉛めっきを施す実際的な方法が見当たらないのが
現状である。
【0016】本発明で対象とする鋼板は、低炭素アルミ
キルド鋼、Ti含有IF鋼に0.02%以上のPまたは0.2 %
以上のSiを含有する高張力鋼である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の溶融
亜鉛めっきプロセスでは、満足できる溶融亜鉛めっきが
不可能であり、かつ合金化処理を施す場合その生産性が
非常に低い合金鋼、特にSiやPを多く含有する鋼を母材
とするめっき鋼板を製造する実用的な方法、ならびにそ
のような方法の実施が可能な連続式溶融亜鉛めっき装置
の開発を課題としてなされたものである。
【0018】本発明の具体的な目的は、低炭素アルミキ
ルド鋼、Ti含有IF鋼、合金鋼、特にSi: 0.2〜2.0
%、P:0〜0.20%含有するそれらの鋼を母材として不
めっき点の発生がないめっきを施し、かつその合金化処
理速度を十分に高くするとともに、溶融亜鉛めっき鋼板
および合金化溶融亜鉛めっき鋼板を経済的に製造する方
法ならびにそのための装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために種々の検討を重ねた結果、溶融亜鉛
めっき工程の前の段階でロールクロス圧延を施すことに
より、めっき浴との濡れ性が向上し、合金化処理速度を
高くできることを見出し、本発明を完成した。
【0020】本発明の要旨は、下記〜の溶融亜鉛め
っき鋼板もしくは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法、または図1または図2に示すような下記のそれら
のための装置にある。
【0021】鋼板に予熱と還元性雰囲気中での加熱を
施した後溶融亜鉛めっきを施すにあたり、溶融亜鉛めっ
き工程の前の段階で、クロス角が 0.1〜2.0 °で、圧下
率が0.05〜20%のロールクロス圧延を施す溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法。
【0022】ここで「溶融亜鉛めっき工程の前の段階」
とは、鋼板の加熱工程の前、または、加熱工程とめっき
工程の間を意味する。
【0023】上記のロールクロス圧延を加熱工程より前
の段階で施す場合は、圧下率を 0.3〜20%とするのが好
ましい。
【0024】鋼板に予熱と還元性雰囲気中での加熱を
施し、次いで溶融亜鉛めっきを施した後、更に合金化処
理するにあたり、溶融亜鉛めっき工程の前の段階で、ク
ロス角が 0.1〜2.0 °で、圧下率が0.05〜20%のロール
クロス圧延を施す合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法。
【0025】上記のロールクロス圧延を加熱工程より前
の段階で施す場合は、圧下率を 0.3〜20%とするのが好
ましい。
【0026】鋼板が酸洗された熱延鋼板で、加熱工程
における鋼板の還元性雰囲気中での加熱温度が 600〜80
0 ℃である上記の溶融亜鉛めっき鋼板、または上記
の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0027】鋼板が冷延鋼板で、かつ加熱工程におけ
る予熱の段階で鋼板を酸化し、還元性雰囲気中での加熱
を 600〜900 ℃で行う上記の溶融亜鉛めっき鋼板、ま
たは上記の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0028】上記鋼板は、重量%でSi含有量を 0.2〜
2.0 %、P含有量を 0〜0.20%含む低炭素鋼または低炭
素合金鋼である上記からまでのいずれかに記載の溶
融亜鉛めっき鋼板、または合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法。
【0029】なお、Pを含有させる場合は0.020 %以上
含有させるのが好ましい。
【0030】予熱炉、還元炉および調整冷却帯を備え
た溶融亜鉛めっきの前処理設備をライン内に有する溶融
亜鉛めっき鋼板の製造装置であって、少なくとも溶融亜
鉛めっき槽より上流側に一段以上のワークロールがクロ
スしている圧延機が設けられている鋼板の連続溶融亜鉛
めっき装置。
【0031】図1は、本発明の方法を実施するための装
置を示す図であり、加熱装置の前にロールクロス圧延機
を配置した連続式溶融亜鉛めっきラインの一例を示す図
である。予熱炉1、還元炉2および調整冷却帯3を備え
た溶融亜鉛めっきの前処理設備において、予熱炉1の前
段(上流側)に一段のワークロールがクロスしている圧
延機4が設置されている。少なくとも鋼板に接している
ロールがクロスしておれば本発明の効果が発揮される。
図示していないが、予熱炉1の前段に脱脂装置が取り付
けられ、その前にワークロールがクロスしている圧延機
4を設置してもよい。通常、ロールクロス圧延の際に鋼
帯5にかかる張力と炉内での張力とを分離するために、
圧延機4の前後にブライドルリール6-1、6-2が設けら
れ、また、圧延速度とめっき速度は一般に異なるので、
下流のブライドルリール6-2と予熱炉1の間、もしくは
脱脂装置が設けられている場合はブライドルリール6-2
と脱脂装置の間にルーパー7が設けられる。
【0032】図2は、同様に本発明の方法を実施するた
めの装置を示す図で、加熱装置の後で、めっき槽の前に
ロールクロス圧延機を配置した連続式溶融亜鉛めっきラ
インの一例を示す図である。
【0033】前記のロールクロス圧延のクロス角とは、
鋼板を挟んで上下のワークロールを交差させた頂角の半
分をいう。
【0034】上記のように、SiやPを含有する鋼板を母
材とする溶融亜鉛めっき鋼板の合金化処理において、予
熱と還元性雰囲気中で加熱する前にロールクロス圧延を
施すと、合金化処理速度の低下を抑制できる理由の詳細
は不明であるが、次のように推測することができる。
【0035】通常の平行圧延の場合は、鋼板とロールと
の間の相対すべりは常にロールの周方向(鋼板の進行方
向)に発生し、ロール入り側の鋼板の板厚が大きい領域
ではロール周速が板速度より大きく、ロール出側では逆
に板速度がロール周速よりも大きい。そして、ロール周
速と板速度が等しくなる中立点を挟んで、ロールと鋼板
の間の相対的なすべりの方向が反転する。そのため、す
べりによって生じた残留応力(表面歪み)は、相互に打
ち消され減少する。
【0036】一方、ロールクロス圧延では、鋼板とロー
ルとの間のすべり成分は、鋼板の進行方向と鋼板の幅方
向との2方向となる。そして、鋼板の進行方向のすべり
成分は、平行圧延の場合と同様にロールと鋼板の間の相
対的なすべりの方向は中立点を挟んで反転している。し
かし、鋼板の幅方向のすべり成分は、ロールのロール軸
がクロスする方向が圧延中変わらないので常に一定方向
に向いており、すべりによって生じた表面歪みが打ち消
されることがなく、高められる。さらに、ロールと鋼板
との間は、一定方向にスリップするので鋼板表面に新生
面が形成されやすい傾向にある。
【0037】その結果、鋼板中のSiやP含有量が高くな
っても、予熱工程で鋼板を酸化する場合、鋼板表面に十
分な酸化鉄が形成され、この酸化鉄が還元工程で還元鉄
層となり、還元工程におけるSiやPの表面濃化が抑制さ
れる。仮に、予熱工程で酸化させない場合でも、還元工
程での加熱温度が低い場合には鋼板表面に歪みが残り、
活性化されているのでめっき浴との濡れ性の改善と、合
金化反応が促進される。従って、SiやPを含有する鋼の
熱延鋼板をめっき母材として用いる場合、還元温度が 7
00℃以下であれば酸化は特に必要ないが、700 ℃を超え
るときは予熱工程で酸化する方が好ましい。冷延鋼板を
用いる場合も、SiやP含有量が高い場合や、 700℃超、
特に 750℃以上で還元・焼鈍する場合は酸化することが
望ましい。
【0038】予熱と還元焼鈍を行った後ロールクロス圧
延を施す場合には、鋼板温度を750℃以下としてロール
クロス圧延を施したとき、高Al濃度のめっき浴でめっき
された溶融亜鉛めっき鋼板であっても合金化処理速度を
高めることができる。また、鋼板中のSiやPの含有量が
高くなっても合金化処理速度を高める効果が得られた。
この詳細は不明であるが、次のように推定される。
【0039】鋼板が焼鈍されて歪みのない状態でロール
クロス圧延されるので、前述したように表面のみに歪み
を導入することができる。この表面の歪みによって溶融
亜鉛めっきの初期反応が活発となり、鋼板とめっき皮膜
界面に反応初期に生じるFe−Al合金層が破壊され易くな
り、合金化処理速度を高めると推定される。
【0040】
【作用】以下、本発明において定めた諸条件について作
用効果と限定理由を説明する。
【0041】本発明の対象として好適な鋼板は、高強度
を確保するためSiを 0.2〜2.0 %、Pを0〜0.20%含有
するものである。Si含有量が 0.2%未満であれば、従来
の技術の工夫で対応が可能であり、必ずしも本発明方法
を適用する必要がない。また、上限は特に規定する必要
がないが、実用的な高張力鋼板としては2.0 %以下とす
るのが好ましい。Pは含有させなくともよいが、強度確
保のため含有させる場合は0.020 %以上含有させること
が必要である。ただし、Pが0.20%を超えると鋼板が硬
くなり、加工性が低下して圧延のとき鋼板に割れまたは
破断を引き起こす。
【0042】前記の発明は、例えば上記のような鋼板
に対して予熱と還元性雰囲気中での加熱を行い、所定の
条件でロールクロス圧延を行った後、溶融亜鉛めっきを
施す方法、また所定の条件でロールクロス圧延を行い予
熱と還元性雰囲気中での加熱を行った後、溶融亜鉛めっ
きを施す方法である。の発明は前記の処理を行った
後、さらに合金化処理を行う方法である。また、の発
明はまたはの発明にあってめっき母材が酸洗後の熱
延鋼板の場合、の発明はめっき母材が冷延鋼板の場合
である。
【0043】前記の発明はめっき鋼板の母材に含有す
るSiとPの含有量を規定するもので、いずれも母材の強
度を高めるために添加されている。しかし、これらの元
素はめっき性および合金化処理性を劣化させる。上記
からまでのいずれかの発明の方法は通常の鋼板にも適
用されるのは当然であるが、高Si、高P含有鋼に適用し
て優れた効果がもたらされる。
【0044】前記の発明は本発明の方法を実施するた
めの装置である。
【0045】以下、めっき母材が熱延鋼板の場合と冷延
鋼板の場合に分けて〜の発明について説明する。
【0046】A.還元雰囲気中での加熱工程より前の段
階でロールクロス圧延を施す方法;鋼板をロールクロス
圧延した後、予熱と還元性雰囲気中で加熱し、溶融亜鉛
めっきする方法(図1参照)である。
【0047】I.めっき母材として熱延鋼板を用いる場
合:めっき母材として熱延鋼板を用いる場合、その熱延
鋼板は、従来技術に従って900〜1300℃に再加熱した
後、その温度範囲で熱間圧延を行って寸法および材料特
性(靱性、引張強さなど)を調整したものであればよ
い。この熱延鋼板を酸洗処理し、ロールクロス圧延した
後、予熱と還元性雰囲気中で加熱し、溶融亜鉛めっきす
る。また、ロールクロス圧延を予熱の前に施す場合は、
酸洗した後施してもよいし、酸洗前であってもよい。
【0048】1.酸洗処理 酸洗に使用する酸洗液は、塩酸、硫酸などいずれでもよ
く、特定の酸に限定するものでない。また、従来使用さ
れている酸洗液に少量のインヒビターを添加したもので
あってもよい。
【0049】2.ロールクロス圧延 ロールクロス圧延は、連続式溶融亜鉛めっきライン(C
GL、以下連続式溶融亜鉛めっきラインを「CGL」と
記載する。)の入り側で行うか、または別ラインで行
う。いずれであっても効果は同じであるが、生産性を高
める上からはCGL入り側でのロールクロス圧延が好ま
しい。なお、ロールクロス圧延は、ペアクロス方式に限
る必要はなく、少なくともワークロールがクロスしてお
ればよい。
【0050】ロールクロス圧延を行うのは、前記のよう
に、鋼板の表面に一定方向のすべりを発生させるためで
ある。これによって鋼板表面を活性にして反応性を高め
ることができ、珪素含有鋼などを母材として用いても不
めっきを発生させずにめっきを施し、かつその合金化処
理速度の低下を抑制することが可能となる。なお、ロー
ルクロス圧延の本来の目的は板クラウンの制御であっ
て、クロス角を変えると圧延形状が変化する。従って、
ロールクロス圧延を行うにあたっては、クラウンの制御
に対してベンダーの付加力を変えるなど、他の制御手段
の併用を考慮することが必要である。
【0051】ロールクロス圧延において、クロス角を
0.1〜2.0 °に規定するのは以下の理由によるものであ
る。
【0052】ロールクロス圧延によって鋼板表面の反応
性を高めることができるのは、前記のように鋼板の幅方
向のすべりによるものであり、このすべり量はロールと
鋼板の接触弧長とロールのクロス角度の正弦との積によ
り与えられる。このすべり量がロールの研磨目の軸方向
粗さピッチより大きくなれば、鋼板の全面に幅方向の塑
性流動のすべりが生じることになる。これは、接触弧長
をL、クロス角度をα、ロールの軸方向の表面粗さピッ
チをβとしたとき、L× sinα>βとなるように設定す
ればよいことになる。
【0053】ロールクロス圧延でのクロス角が 0.1°未
満では、すべり発生の程度は平行圧延の場合とほとんど
差がなく、前記の条件が満たされない。したがって、鋼
板表面を活性化してめっき時の濡れ性の向上を促進する
という目的を達成することはできない。一方、クロス角
を大きくすれば、鋼板幅方向のすべりの発生が助長さ
れ、濡れ性の改善効果は促進される。しかし、2.0 °を
超えると、鋼板の変形などの別問題が発生する。したが
って、クロス角は 0.1〜2.0 °とした。
【0054】熱延鋼板をめっき母材として用い、還元雰
囲気中での加熱の前にロールクロス圧延を施すため、そ
の圧下率は 0.3〜5.0 %とするのが望ましい(の発
明)。
【0055】5.0 %を超える圧下を加えると圧下歪みが
熱延鋼板の内部にまで及び、熱間圧延で付与した材料特
性が維持されなくなるからである。一方、圧下率が0.3
%未満では、圧延による鋼板表面の活性化効果が認めら
れないので、圧下率の下限は0.3 %とするのが好まし
い。
【0056】ロールクロス圧延は、2つ以上のスタンド
で実施しても1スタンドの場合と大差はない。従って、
設備スペースを考慮すれば、溶融めっきラインの入り側
に1スタンド設置するのが好ましい。
【0057】ロールクロス圧延後、必要に応じて鋼板表
面を脱脂する。脱脂処理は、2〜3%のNaOH水溶液中で
のアルカリ脱脂、またはアルカリ脱脂とトリクレンまた
はシンナーなどの溶剤脱脂との併用でもよく、圧延によ
って発生したスマッジなどの汚れを洗浄できるものであ
ればよい。
【0058】3.予備加熱処理 次いで、鋼板を予備加熱処理する。予備加熱処理は、従
来行われている方法に準じて行えばよく、バーナー火炎
を直接鋼板に当てる無酸化炉方式、雰囲気加熱によるラ
ジアントチューブ方式のいずれでもよい。前者の無酸化
炉方式では、バーナーの空燃比を 0.8以上 1.0未満に設
定して還元性の火炎を鋼板に当てる方法、および空燃比
を 1.0以上にし、酸化性の火炎を当てて酸化させる方法
があり、本発明ではどちらの方法も使用可能である。ラ
ジアントチューブ方式では、窒素、アルゴンなどの不活
性ガス中で鋼板を加熱する方法が採られることが多い。
また、酸素または水蒸気を含有する酸化性雰囲気(少量
の水素、二酸化炭素、一酸化炭素などのガスを含有させ
てもよい)とすることも可能である。
【0059】通常、珪素含有鋼などをめっき母材とする
場合、濡れ性確保のために予熱時に鋼板表面を酸化さ
せ、次工程で還元して活性なFeとすることが多い。とこ
ろが本発明方法では、ロールクロス圧延によって活性な
新生面が露出するので、必ずしも酸化処理を行わなくて
もめっき時にFe−Zn反応が進行し、良好な濡れ性が確保
できるとともに、合金化速度の低下を回避することがで
きる。
【0060】4.還元性雰囲気中での加熱(焼鈍) 予備加熱処理の後、還元性雰囲気中で加熱する。熱延鋼
板を母材とする場合の還元性雰囲気中での加熱(焼鈍)
は、熱間圧延で付与された材料特性を変化させないで、
表面に存在する鉄酸化物の還元のみを行う。加熱温度が
600℃未満では、鋼板表面の鉄酸化物の還元反応が進行
しにくいため、不めっき部が発生しやすい。加熱温度が
高くなると、(1) ロールクロス圧延による鋼板表層部の
歪みが消失し、活性化効果が得られない、(2) Siの表面
濃化が増加し、めっき浴の濡れ性を低下させる、(3) 熱
間圧延で付与された材料特性が劣化する、(4) エネルギ
ーロスが多くなる。従って、めっき母材が熱延鋼板の場
合には加熱温度を 600〜800 ℃とした(の発明方
法)。
【0061】還元性雰囲気としては、水素4〜20%を含
み残部が非酸化性ガス(通常は窒素)からなり、露点が
−15℃以下のガスを用いることが多い。処理時間は15〜
250秒とすればよい。
【0062】5.溶融亜鉛めっき 上記の加熱工程を経た後、鋼板を 380〜550 ℃に冷却
し、つづいてめっきを行う。めっき浴中のAl濃度は、0.
08〜0.20%の範囲であればよい。不可避不純物として、
Fe、Co、W、Ni、Pb、Sb、Cd、Tiなどが含まれていても
支障はない。
【0063】上述の方法(およびの発明方法)によ
れば、母材鋼板表面が活性化されていて反応性が大きい
ので、めっき時の濡れ性がよく、不めっき点のない溶融
亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
【0064】6.合金化処理 合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合は、前記の工
程を経てめっきを施した後、合金化処理する(および
の発明方法)。処理条件は、加熱温度を 450〜600
℃、加熱時間を1〜120 秒とすればよい。
【0065】II.めっき母材として冷延鋼板を用いる場
合 めっき母材として冷延鋼板を用いる場合は、冷間圧延の
最後にロールクロス圧延を行うか、またはCGLの入り
側でロールクロス圧延を施す。冷間圧延の最後にロール
クロス圧延を行った場合も、その後は既存のCGLにの
せ、ライン内では、ロールクロス圧延をCGLの入り側
で行った場合と全く同様の処理を施す。
【0066】1.ロールクロス圧延 ロールクロス圧延を行うのは、熱延鋼板を母材とする場
合と同様、鋼板の表面に板幅方向のすべりを発生させ、
鋼板表面の反応性を高めるためである。なお、ロールク
ロス圧延を行うにあたっては、クラウンの制御に対して
他の制御手段の併用も考慮することは熱延鋼板を用いる
場合と同じである。
【0067】クロス角を 0.1〜2.0 °にするのは、熱延
鋼板の場合と同じ理由による。
【0068】圧下率は、還元雰囲気中での加熱前にロー
ルクロス圧延を施すため 0.3〜20%とするのが好まし
い。下限を 0.3%とするのは、通常の調質圧延における
圧下率の下限程度の圧下率で十分鋼板表面を活性化する
ことができるからである。また、上限は、冷間圧延にお
いて1スタンドで容易に平坦性を確保しつつ圧延できる
圧下率をとり、20%とする。
【0069】ロールクロス圧延は、2つ以上のスタンド
で施してもその効果はあまり変わらない。したがって、
溶融めっきラインの入り側に1スタンド設置するのが設
備スペースもとらず、好ましい。
【0070】2.脱脂処理 ロールクロス圧延後、鋼板表面を脱脂する。脱脂処理
は、熱延鋼板の場合と同じ2〜3%のNaOH水溶液中でア
ルカリ脱脂する。また、アルカリ脱脂とトリクレンまた
はシンナーなどの溶剤脱脂と併用してもよい。
【0071】3.予備加熱処理 次いで、鋼板を酸化性雰囲気で予熱(酸化)し、その表
面に酸化鉄を形成させる。この処理は、通常行われてい
る方法に準じて行えばよく、酸素または水蒸気を含有す
る雰囲気で酸化させる方法(雰囲気中には少量の水素、
二酸化炭素、一酸化炭素などのガスが含まれていてもよ
い)、バーナーを空燃比 1.0以上で燃焼させ酸化性の火
炎を直接鋼板表面に当てて酸化させる方法などがある。
いずれの方法を用いても良好な効果が得られる。
【0072】酸化時の材料温度は、特に限定する必要が
ない。しかし、酸化反応を適度な速度で進行させ、かつ
酸化量が過剰にならないように、 300〜700 ℃とするの
が好ましい。処理時間は、 300〜700 ℃に到達してから
60秒以下であれば、ライン速度を変更する必要もなく、
適度な酸化量を得ることが可能である。なお、酸化量
は、 0.5g/m2未満では次工程(還元性雰囲気中での加
熱)での還元鉄の生成量が少ないため不めっきが生じや
すく、 5.0g/m2を超えると、形成された酸化鉄の剥離が
起こり、やはり不めっきが発生しやすくなる。従って、
0.5〜5.0g/m2 とするのが好ましい。
【0073】この酸化処理における酸化物の形成には先
に行ったロールクロス圧延の効果が反映され、珪素含有
鋼などのように酸化鉄が形成されにくい鋼種をめっき母
材として用いた場合でも酸化が促進される。従って、通
常の処理で十分酸化鉄を形成させることができ、還元焼
鈍後の溶融めっき時に濡れ性を改善させることが可能と
なる。
【0074】これは、熱延鋼板の場合と同様に、ロール
クロス圧延を施すことによって鋼板表面が活性化する。
その理由は、鋼板の降伏応力の1/2 以上の残留応力を鋼
板表面に発生させると、表面歪みが発生し、活性化する
と考えられる。なお、残留応力はX線回折法により測定
することができる。
【0075】従来の方法の項で述べたようにショットブ
ラストなど、ロールクロス圧延以外の方法により鋼板表
面の表面歪みを高め、酸化鉄量を増加させることも可能
である。しかし、溶融亜鉛めっき時にピンホール状の不
めっきが発生し、良好なめっき面を得ることはできな
い。これは形成される酸化膜が不均一であることによる
もので、ロールクロス圧延を施した後、酸化した場合は
均一な酸化膜が形成されるので、めっきの濡れ性が向上
するものと考えられる。
【0076】4.還元性雰囲気中での加熱(焼鈍) その後、還元性雰囲気中で加熱する。加熱温度が600 ℃
より低いと還元速度が小さく、鋼板表面の鉄酸化物は還
元されにくいため、不めっきが発生しやすくなる。ま
た、900 ℃を超えると、鋼板の予熱酸化を施しても十分
なSi濃化の抑制が困難になる。従って、めっき母材が冷
延鋼板の場合には、還元性雰囲気中での加熱温度を 600
〜900 ℃とするのが好ましい(の発明方法)。
【0077】還元性雰囲気としては、熱延鋼板を母材と
する場合と同様に、水素4〜20%を含み残部が非酸化性
ガス(通常は窒素)からなり、露点が−15℃以下の雰囲
気が用いられる。処理時間は15〜250 秒とする。
【0078】還元のみを目的とする材料または低温で焼
鈍できる材料については、還元温度は低い方がよい。本
発明方法の対象となる母材鋼板は、主としてC含有量が
極めて低く(例えば、C:0.001〜0.007 %)、高Siや高
P含有鋼板であるため、還元温度(焼鈍温度)は 800℃
を超えるものが多い。
【0079】5.溶融亜鉛めっき 上記の加熱工程を経た後は、熱延鋼板の場合と同様に、
鋼板を 380〜550 ℃に冷却し、続いてめっきを施す。め
っき浴中のAl濃度は、0.08〜0.20%の範囲であればよ
い。不可避不純物として、Fe、Co、W、Ni、Pb、Sb、C
d、Tiなどが含まれていてもよい。
【0080】上述の方法(およびの発明方法)によ
れば、母材鋼板表面の反応性が大きいのでめっき時の濡
れ性がよく、不めっき点のない溶融亜鉛めっき鋼板を得
ることができる。
【0081】6.合金化処理 合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合は、前記の工
程(およびの発明方法)を経てめっきを施した後、
合金化処理する(およびの発明方法)。処理条件
は、 450〜600 ℃の温度で1〜120 秒加熱すればよく、
熱延鋼板の場合と同様である。
【0082】図1に示す装置を用いれば、ペイオフリー
ル8から巻き戻された鋼帯5に対し、上記Aの本発明方
法によって容易にロールクロス圧延を施すことができ
る。また、めっき母材に珪素含有鋼を用いても、不めっ
き点の発生がない溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが
できる。また、この装置で製造される溶融亜鉛めっき鋼
板を合金化処理する場合、合金化処理速度が低下するこ
とがなく高い生産性を維持することができる。
【0083】B.溶融亜鉛めっき工程の前の段階でロー
ルクロス圧延を施す方法;鋼板を還元性雰囲気中で加熱
した後、ロールクロス圧延を施し、溶融亜鉛めっきする
方法である(図2参照)。
【0084】鋼板を還元性雰囲気中で加熱した後、750
℃以下でロールクロス圧延を施す場合を工程順に説明す
る。
【0085】1.脱脂処理 前記Aの熱延鋼板、冷延鋼板の場合で説明した場合と同
様である。
【0086】2.予備加熱処理 予備加熱の方法、条件は前記Aの熱延鋼板、冷延鋼板で
説明した場合と同様である。しかし、この場合は還元性
雰囲気中で加熱した後ロールクロス圧延を行うので、鋼
板表面の新生面が露出した状態で溶融亜鉛めっき浴に浸
漬される。このため、めっき浴との反応性が高く、酸化
・還元させなくともめっき浴との濡れ性がよく、合金化
処理速度を高くする効果が得られる。なお、酸化・還元
焼鈍した後ロールクロス圧延を行うと、その効果がさら
に助長できることはいうまでもない。
【0087】3.還元性雰囲気での加熱(焼鈍) 還元性雰囲気での加熱の目的は、冷延鋼板の場合は材料
特性に合わせて再結晶温度以上に温度を上げることと、
鋼板表面の酸化鉄を還元することであり、熱延鋼板の場
合には熱間圧延時に鋼板の材料特性が調整されているた
め、酸化鉄を還元するだけである。その他加熱条件など
は前記の冷延鋼板、熱延鋼板の場合と同様である。
【0088】4.ロールクロス圧延 ロールクロス圧延は、還元性雰囲気での加熱の後に圧延
されるので、鋼板の温度を750 ℃以下とすることが好ま
しい。また、その下限温度は特に限定する必要はない
が、圧延後溶融亜鉛めっき浴に浸漬されるので、めっき
処理温度の下限温度(380 ℃)以上とするのが好まし
い。ロールクロス圧延は 380〜750 ℃の温度範囲で施さ
れるので、圧下率を0.05%まで下げることができる。従
って、クロス角を 0.1〜2.0 °、圧下率を0.05〜20%と
するのが好ましい。
【0089】5.溶融亜鉛めっき ロールクロス圧延された鋼板は、 380〜550 ℃に冷却さ
れ、溶融亜鉛めっきされ、さらに合金化処理される。
【0090】図2に示す上記Bの方法を実施するための
装置によれば、還元焼鈍された鋼板表面をさらにロール
クロス圧延によって新生面を創出させ、活性化すること
ができる。したがって、めっき浴との反応性が高まり、
高Si、高P含有鋼であっても不めっき点がなく、合金化
処理時間を短縮することができる。
【0091】還元雰囲気中で加熱した後ロールクロス圧
延を施し、溶融亜鉛めっきを行うと、Si含有量の高い鋼
板であってもめっき浴との濡れ性が改善され、不めっき
点のない溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。また、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板については、還元雰囲気中で加熱し
た後ロールクロス圧延した場合には、高Si、高P含有鋼
であってもめっき浴のAl濃度を0.20%まで高めても合金
化処理速度を低下させない。
【0092】
【実施例1】表1に示す化学組成を有する高Si高P鋼熱
延鋼板(A〜D,板厚2.30mm)を 0.1%のイビット〔朝
日化学(株)製〕を含有する10% HCl水溶液中で30秒間
酸洗し、 250mm×100mm に裁断して試験材とした。
【0093】
【表1】
【0094】これらの試験材を直径 300mmのワークロー
ルがクロスする圧延機を用いて、クロス角を0〜2.0 °
の範囲、圧下率を 0.5〜20%の範囲に変化させて圧延し
た後、シンナーでの溶剤脱脂と60℃の 2.0%NaOH水溶液
中でアルカリ脱脂した。
【0095】次いで、所定の雰囲気での熱処理が可能で
かつ還元雰囲気から直接溶融めっき処理を行うことがで
きる竪型溶融めっき装置〔(株)レスカ製〕を用いて、
表2に示す符号a〜cの条件で試験材を予熱酸化し、さ
らにN2+10%H2の雰囲気で温度を 550〜850 ℃の範囲で
変化させ、それぞれ保持時間を60秒として還元焼鈍を施
し、 460℃に冷却した後、Al濃度を0.03〜2.0 %の範囲
に変化させたZn浴中で溶融めっきを行った。なお、めっ
き時間は1秒とし、ガスワイパーによってZn付着量を約
60g/m2(片面当り)に調整した。また、予熱後、イビッ
ト含有塩酸中でFe酸化物を溶解し、溶液を分析するによ
って酸化Fe量を測定した。表3および表4にそれぞれの
予熱条件、予熱によるFe酸化量、還元焼鈍条件およびめ
っき浴中のAl濃度を示した。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】上記のめっき処理材について不めっきの発
生状況を光学顕微鏡で観察し、ピンホールの数と大きさ
を測定し、不めっき部の全体に対する比率を求めた。そ
の比率が、0.1 %未満を○印、0.1 %を超え5 %未満を
▲印、5 %以上を●印として表3および表4に示した。
また、前記の調査で○印および▲印のものについて、50
0 ℃で合金化処理を施し、めっき皮膜のFe濃度が10%に
なるまでの時間を合金化所要時間として測定した。実ラ
インでの合金化処理を考慮すると、合金化所要時間が25
秒以内であれば、合理的かつ生産性がよいので発明例と
した。それらの調査結果を表3および表4に併せて示し
た。なお、合金化所要時間の欄が空欄のものは、合金化
処理を行わなかった場合である。
【0100】表3から明らかなように、ロールクロス角
が 0.1〜2.0 °、圧下率が0.3 〜5.0 %のロールクロス
圧延を行った後、還元雰囲気中で 600〜800 ℃で加熱
(焼鈍)した発明例(No.1〜18)は、溶融亜鉛めっき処
理で不めっきの発生がなく、また合金化処理時間も25秒
以下と良好である。しかし、表4から明らかなように、
圧延を行わなかったもの(熱間圧延ままのものNo.19
)、ロールクロス圧延を行わなかったもの(No.20,21,
No.24 〜26,No.28〜30)、ロールクロス圧延を行って
も還元雰囲気中での加熱温度が低いもの(No.22,27,31,
32)または加熱温度が高いもの(No.23,33)の比較例
は、溶融亜鉛めっき処理で不めっきが発生した。
【0101】また、比較例の内で合金化処理を行ったも
の( No.22,23,26,27,30,31,32)は、合金化処理時間が
44秒以上と長時間を要した。
【0102】このように熱延鋼板をロールクロス圧延を
施した後、還元雰囲気中で加熱処理(焼鈍)し、溶融亜
鉛めっきするとAl濃度の高いめっき浴であっても良好な
めっき性と合金化処理時間の短縮を図ることができた。
【0103】
【実施例2】表5に示す化学組成を有する高Si高P鋼冷
延鋼板(E〜H、板厚0.80mm)を 250mm×100mm に裁断
して試験材とした。
【0104】
【表5】
【0105】これらの試験材を直径80mmのワークロール
を備えた4Hiミルを用いて、クロス角を0〜2.0 °、
圧下率を 0.2〜20%の範囲内に変化させた圧延(乾式)
を行った。その後、シンナーによる溶剤脱脂と、60℃の
2.0%NaOH水溶液中でアルカリ脱脂を行った。
【0106】次いで、実施例1で用いた竪型溶融めっき
装置によって、表6に示す符号d〜gの条件で試験材を
予熱酸化し(ただし、予熱条件dは酸化処理せず)、さ
らにN2+10%H2の雰囲気で温度を 550〜950 ℃の範囲で
変化させ、それぞれ保持時間を60秒として還元処理(還
元焼鈍)を施し、 460℃に冷却した後、Al濃度が0.03〜
2.0 %の範囲で変化させたZn浴中で溶融亜鉛めっきを行
った。なお、めっき処理時間は1秒とし、ガスワイパー
によりZn付着量を約60g/m2(片面当り)に調整した。
【0107】
【表6】
【0108】上記の処理を行った試験材について、実施
例1の場合と同様に不めっきの発生状況の調査と、○印
および▲印のものについて合金化処理を行い、合金化所
要時間を測定した。それらの結果を表7および表8に示
した。
【0109】
【表7】
【0110】
【表8】
【0111】表7から明らかなように、めっき前にクロ
ス角が 0.1〜2.0 °、圧下率が 0.3〜20%でロールクロ
ス圧延を施した発明例(No.34 〜51)は、溶融亜鉛めっ
きで不めっきが発生せず、合金化処理時間も25秒以下と
良好である。しかし、表8から明らかなように、ロール
クロス圧延を行わないもの(No.52 〜54、No.57 〜59、
No.61 〜63)、ロールクロス圧延を行なっても還元雰囲
気中で加熱温度の低いもの(No.55,60,64,65)または加
熱温度の高いもの(No.56,66)の比較例は、不めっきが
観察された。また、比較例の内で合金化処理を行った(N
o.55,59,60,63,64,65)は、合金化処理時間が45秒以上と
長時間を要した。
【0112】このように冷延鋼板をロールクロス圧延を
施した後、還元雰囲気中で加熱処理(焼鈍)し、溶融亜
鉛めっきするとAl濃度の高いめっき浴であっても良好な
めっき性と合金化処理時間の短縮を図ることができた。
【0113】
【実施例3】表9に示す化学組成を有する鋼板(I〜K
は板厚0.80mmの冷延鋼板、LおよびMは板厚 2.3mmの熱
延鋼板)を 250mm×100mm に裁断して試験材とした。
【0114】
【表9】
【0115】これらの試験材をシンナーで溶剤脱脂し、
さらに60℃の 2.0%NaOH水溶液中でアルカリ脱脂した
後、前記竪型溶融めっき装置〔(株)レスカ製〕を用い
て、表10に示す条件で予熱酸化し、さらにN2+10%H2の雰
囲気で温度を 800〜850 ℃の範囲に変え、60秒間保持す
る還元焼鈍を行った。その後、別ラインでロールクロス
圧延を常温(乾式)で行い、N2+10%H2の雰囲気で加熱
温度を 500〜800 ℃に変え、60秒間保持する還元処理を
施し、 460℃に冷却した後、Al濃度が0.03〜0.20%のZn
浴中で溶融めっきを行った。なお、めっき時間は1秒と
し、ガスワイパーによりZn付着量を約60g/m2(片面当
り)に調整した。また、ロールクロス圧延した後に還元
処理を行うのは、別ラインでの圧延で表面に生成した酸
化物を還元させるためであり、ロールクロス圧延の影響
はその還元温度に対応して保持される。そして、ロール
クロス圧延を高温の還元雰囲気で行ったことを再現し
た。その後、500 ℃塩浴中で合金化処理を行い、めっき
皮膜中のFe濃度が10%になる時間を求めた。
【0116】
【表10】
【0117】溶融亜鉛めっきでの不めっき発生の調査、
合金化処理時間の測定は、実施例1と同様な方法で行
い、それらの結果を表11および表12に示した。
【0118】
【表11】
【0119】
【表12】
【0120】表11から明らかなように、予熱酸化と還元
焼鈍を行った後、ロールクロス圧延と 600〜750 ℃での
還元処理を行った後、溶融亜鉛めっきを行った発明例(N
o.67〜86) は、不めっきの発生がなく、また合金化処理
時間は25秒以下と良好である。しかし、表12から明らか
なように、圧延を行わない(No.87,88,90,91,93,94)、
ロールクロス圧延を行っても還元処理温度の高い(No.8
9,92,95 )の比較例は、不めっきの発生が認められ、ま
た合金化処理時間は27秒以上と長時間を要した。
【0121】
【実施例4】表9に示す鋼種について、 100mm幅の鋼板
(鋼帯)を図1で示すミニラインで溶融亜鉛めっきを行
った。
【0122】鋼板を直径 200mmのロールが1.0 °クロス
する圧延機を用い、圧下率を3.0 %でロールクロス圧延
を行った後、表10に示す予備加熱条件で酸化処理と、10
%H2-N2 雰囲気で 550〜950 ℃の温度範囲に変化させて
加熱処理(還元焼鈍)を行った。その後、材料温度を 4
40〜480 ℃まで冷却した後、溶融亜鉛めっきを行った。
溶融亜鉛めっき浴は、Al濃度0.10〜0.12%、温度460 ℃
±5°であった。合金化処理は、別途 500℃の塩浴中で
加熱し、合金化処理時間を測定した。溶融亜鉛めっきの
不めっきの調査は目視による判定を行い、合金化処理時
間の測定は実施例1と同様な方法で行った。それらの結
果を表13に示した。
【0123】
【表13】
【0124】表13から、発明例のNo.A0 〜A9は、いずれ
も不めっきの発生が認められず、合金化時間は 25 秒以
下と良好であった。しかし、還元雰囲気中での加熱温度
が発明で定めた範囲から外れた比較例(No.B0 〜B6)
は、不めっきの発生が認められ、合金化処理時間は 50
秒以上と長時間を要した。
【0125】
【実施例5】表9に示す各鋼種について、 100mm幅の鋼
板を図2で示すミニラインで溶融亜鉛めっきを行った。
【0126】まず、2%NaOH水溶液でアルカリ脱脂、60
0 ℃の窒素中で3秒保持する予備加熱を行い、続いて10
%H2-N2 雰囲気で 850℃で60秒間保持する還元焼鈍を行
った。その後、直径 200mmのロールがクロスする圧延機
を用いて 500〜800 ℃の範囲で圧下率を0.05〜3.0 %、
クロス角を0.2 〜2.0 °に変えたロールクロス圧延を行
った後、材料温度を 440〜480 ℃まで冷却した後、溶融
亜鉛めっきを行った。
【0127】溶融亜鉛めっき浴は、Al濃度0.10〜0.20
%、温度460 ℃±5°であった。合金化処理は、別途50
0 ℃の塩浴中で行い、合金化処理時間を測定した。それ
らの結果を表14に示す。
【0128】
【表14】
【0129】表14から、発明例のNo.C1 〜C9は、いずれ
も不めっきの発生が認められず、合金化時間は 25 秒以
下と良好であった。しかし、還元雰囲気中での加熱温度
が発明で定めた範囲から外れた比較例(No.D1 〜D5)
は、不めっきの発生が認められ、合金化処理時間は 50
秒以上と長時間を要した。
【0130】
【発明の効果】本発明方法によれば、高Si、高P含有鋼
を母材とする鋼板であっても、不めっき点のない溶融亜
鉛めっき鋼板を製造し、生産性を低下させることなく合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。ま
た、本発明の連続式溶融亜鉛めっき装置を用いれば、本
発明方法を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱装置の前にロールクロス圧延機を配置した
本発明の連続式溶融亜鉛めっきラインの一例を示す図で
ある。
【図2】めっき装置の前にロールクロス圧延機を配置し
た本発明の連続式溶融亜鉛めっきラインの一例を示す図
である。
【符号の説明】
1:予熱炉(予備加熱炉) 2:還元炉(還元焼鈍
炉) 3:調整冷却帯 4:ロールクロス圧延機 5:鋼帯 6-1、6-2:ブライドルリール
7:ルーパー 8:ペイオフリール 9:ウェルダー

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板に予熱と還元性雰囲気中での加熱を施
    した後、溶融亜鉛めっきを施すにあたり、溶融亜鉛めっ
    き工程の前の段階で、クロス角が 0.1〜2.0 °で、圧下
    率が0.05〜20%のロールクロス圧延を施すことを特徴と
    する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】還元性雰囲気中での加熱工程より前の段階
    で施す上記ロールクロス圧延を圧下率 0.3〜20%とする
    請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】鋼板に予熱と還元性雰囲気中での加熱を施
    し、次いで溶融亜鉛めっきを施した後、更に合金化処理
    するにあたり、溶融亜鉛めっき工程の前の段階で、クロ
    ス角が 0.1〜2.0 °で、圧下率が0.05〜20%のロールク
    ロス圧延を施すことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】還元性雰囲気中での加熱工程より前の段階
    で施す上記ロールクロス圧延を圧下率 0.3〜20%とする
    請求項3に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】鋼板が酸洗された熱延鋼板で、加熱工程に
    おける鋼板の還元性雰囲気中での加熱温度が 600〜800
    ℃である請求項1もしくは2の溶融亜鉛めっき鋼板、ま
    たは請求項3もしくは4の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造方法。
  6. 【請求項6】鋼板が冷延鋼板で、かつ加熱工程における
    予熱の段階で鋼板を酸化し、還元性雰囲気中での加熱を
    600〜900 ℃で行う請求項1もしくは2の溶融亜鉛めっ
    き鋼板、または請求項3もしくは4の合金化溶融亜鉛め
    っき鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】上記鋼板は、重量%でSiを 0.2〜2.0 %、
    Pを0〜0.20%含む低炭素鋼または低炭素合金鋼である
    請求項1から6までのいずれかに記載の溶融亜鉛めっき
    鋼板、または合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】予熱炉、還元炉および調整冷却帯を備えた
    溶融亜鉛めっきの前処理設備をライン内に有する溶融亜
    鉛めっき鋼板の製造装置であって、少なくとも溶融亜鉛
    めっき槽より上流側に一段以上のワークロールがクロス
    している圧延機が設けられていることを特徴とする鋼板
    の連続溶融亜鉛めっき装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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