JPH08140528A - 異種抗体を産生することができるトランスジェニック非ヒト動物 - Google Patents

異種抗体を産生することができるトランスジェニック非ヒト動物

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JPH08140528A
JPH08140528A JP6289067A JP28906794A JPH08140528A JP H08140528 A JPH08140528 A JP H08140528A JP 6289067 A JP6289067 A JP 6289067A JP 28906794 A JP28906794 A JP 28906794A JP H08140528 A JPH08140528 A JP H08140528A
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JP6289067A
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Nils Lonberg
ロンバーグ ニルス
Robert M Kay
エム.カイ ロバート
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Genpharm International Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒト以外の動物を利用してヒト抗体を得るた
めの新規な方法の提供。 【構成】 機能的に分断された内因性重鎖対立遺伝子の
同型接合対、機能的に分断された内因性軽鎖対立遺伝子
の同型接合対、非相同免疫グロブリン重鎖トランスジー
ンの少なくとも1つのコピー、及び異種性免疫グロブリ
ン重鎖トランスジーンの少なくとも1つのコピーを含
み、抗原での免疫化に続いて抗体応答を行なう、トラン
スジェニックマウス;このマウスから得られるハイブリ
ドーマ、及びそれにより生産されるモノクローナル抗
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異種抗体を産生するこ
とができるトランスジェニック非ヒト動物、そのような
トランスジェニック動物を産生するのに使うトランスジ
ーン(transgene) 、V−D−J組換えにおいて異種D遺
伝子を機能的に再配列させることのできるトランスジー
ン、異種抗体を産生することのできる不死化B細胞、多
数のイソタイプの異種抗体を産生せしめる方法およびそ
のためのトランスジーン、内因性免疫グロブリン遺伝子
座の発現を不活性化または抑制する方法およびそのため
のトランスジーン、生殖細胞系列の再配列された可変領
域配列に比較すると可変領域配列が体細胞変異を含んで
成る異種抗体を産生せしめる方法およびそのためのトラ
ンスジーン、ヒト一次配列を有する抗体を産生し且つヒ
ト抗原に結合するトランスジェニック非ヒト動物、その
様なトランスジェニック動物のB細胞から作られたハイ
ブリドーマ、並びに該ハイブリドーマにより発現される
モノクローナル抗体に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒトにおけるモノクローナル抗体の生体
内治療および診断用途の開発に直面する主な障害の1つ
は、非ヒト免疫グロブリンの本質的免疫原性である。例
えば、免疫寛容性のヒト患者に治療量の齧歯類モノクロ
ーナル抗体を投与すると、患者は齧歯類免疫グロブリン
配列に対して抗体を産生し、それらのヒト抗マウス抗体
(HAMA)は治療抗体を中和し、急性毒性を引き起こし得
る。よって、有望な治療および/または診断上の標的で
ある特異的ヒト抗体と反応性であるヒト免疫グロブリン
を作製することが望ましい。
【0003】モノクローナル抗体を作製するための現在
の技術は、動物(通常はラットまたはマウス)を抗原に
予備暴露するか、または抗原で感作せしめ、該動物から
B細胞を収得し、そしてハイブリドーマクローンのライ
ブラリーを作製することを伴う。ハイブリドーマ集団を
抗原結合特異性(イディオタイプ)についてスクリーニ
ングし、更に免疫グロブリンクラス(イソタイプ)につ
いてもスクリーニングすることにより、所望の抗体を分
泌するハイブリドーマクローンを選択することが可能で
ある。
【0004】しかしながら、モノクローナル抗体を作製
する現行法を、ヒト抗原に対して結合特異性を有するヒ
ト抗体を産生せしめる目的に適用すると、ヒトは典型的
には自己抗原に対しては免疫応答を生じないであろうか
ら、ヒト免疫グロブリンを産生するBリンパ球を得るこ
とは深刻な妨げになる。よって、ヒト抗原と特異的に反
応するヒトモノクローナル抗体を作製する現行法は明ら
かに不十分である。ハイブリドーマを作製するためのB
細胞源として非ヒト種を使用する場合にも、真の自己抗
原に対するモノクローナル抗体を作製することに同じ制
限が当てはまる。
【0005】機能的異種免疫グロブリントランスジーン
を含有するトランスジェニック動物の作製は、自己抗原
と反応する抗体を産生させることができる方法である。
しかしながら、療法上有用な抗体の発現、またはそのよ
うな抗体を産生するハイブリドーマクローンを得るため
には、トランスジェニック動物がBリンパ球発生過程を
経て成熟することのできるトランスジェニックB細胞を
産生しなければならない。そのような成熟はトランスジ
ェニックB細胞上の表面IgMの存在を必要とするが、療
法利用にはIgM以外のイソタイプが所望される。よっ
て、機能的V−D−J再配列を受けて組換え多様性と接
合多様性を生じることのできるトランスジーンおよびそ
のようなトランスジーンを有する動物が要求される。更
に、そのようなトランスジーンとトランスジェニック動
物は、好ましくは、B細胞成熟に必要とされる第一のイ
ソタイプから優れた療法的効用を有する次なるイソタイ
プへのイソタイプ転換を促進するシス作用性配列を含有
する。
【0006】多数の実験は、Ig遺伝子再配列に必要な
特異的DNA配列を決定するためのトランスフェクトさ
れた細胞系の使用を報告している〔Lewis およびGeller
t (1989), Cell, 59, 585-588 〕。そのような報告は推
定上の配列を同定し、そして再配列に使う組換え酵素へ
のそれらの配列の近づきやすさ(accesibility)が転写に
より変更されると結論づけている〔Yancopoulos および
Alt (1985), Cell, 40, 271-281 〕。V(D)J結合の
ための配列は、報告によれば、高度に保存されたほぼ回
文式のヘプタマーと、12または23 bp のいずれかのスペ
ーサーにより隔てられたあまり保存されていない高AT
ナノマーである〔Tonegawa(1983), Nature, 302, 575-5
81 ; Hesseら(1989), Genes in Dev., 3, 1053-1061
〕。効率的組換えは、伝えられるところによれば、異
なる長さのスペーサー領域を有する組換えシグナル配列
を含む部位の間でのみ起こる。
【0007】Ig遺伝子再配列は、組織培養細胞におい
て研究されているが、トランスジェニックマウスでは詳
しく研究されていない。マウス中に導入された再配列試
験構成物を記載している少数の報告が発表されているに
過ぎない〔Buchini ら、Nature, 326: 409-411 (1987)
(再配列されていないニワトリλトランスジーン);Go
odhartら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:4229-4233
(1987) (再配列されていないウサギκ遺伝子);およ
び Bruggemann ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U SA 86:6
709-6713 (1989) (ハイブリッドマウス−ヒト重
鎖)〕。しかしながら、そのような実験の結果は変動的
であり、場合によって、トランスジーンの不完全なまた
は最小の再配列を生じることがある。
【0008】更に、分子のFc部分により抗体分子の多
様な生物学的機能、例えばFcεを介したマスト細胞ま
たは好塩基球との相互作用、およびFcμまたはFcγ
による補体の結合、が発揮され、イソタイプの変化によ
り特定の特異性を有する機能的に多様な抗体を生成せし
めることが更に望ましい。異種抗体の1または複数の鎖
をコードするトランスジーンを含むトランスジェニック
動物は作製されているけれども、好結果のイソタイプス
イッチを受ける異種トランスジーンについての報告は全
くない。イソタイプをスイッチすることのできないトラ
ンスジェニック動物は単一のイソタイプの異種抗体を産
生するものに限定され、より詳しくは、B細胞成熟に不
可欠であるイソタイプ、例えばIgMとおそらくIgDを産
生するものに限定され、それらの抗体は療法的効用が限
定され得る。
【0009】上記に基づくと、第二の種において産生さ
れる第一の種の遺伝子配列によってコードされる異種抗
体を効率的に産生せしめる方法に対する要求が存在する
ことは明らかである。より詳しくは、組換え多様性に貢
献するDセグメントの全部または一部を含む機能的V−
D−J遺伝子再配列を受けることができる異種免疫グロ
ブリントランスジーンおよびトランスジェニック動物に
対する要求が当業界に存在する。更に、(1)機能的な
B細胞発達が起こり、そして(2)療法上有用な異種抗
体が産生されるようにV−D−J組換えとイソタイプス
イッチングを支えることができるトランスジーンおよび
トランスジェニック動物に対する要求が当業界に存在す
る。抗体が設計される特定の種において療法または診断
用のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを製
造することができるB細胞源に対する要求も存在する。
機能的V−D−J組換えおよび/またはイソタイプスイ
ッチングを受けることができる異種免疫グロブリントラ
ンスジーンはそれらの要求を満たすことができる。
【0010】上記目的に従って、異種抗体、例えばヒト
抗体、を産生することができるトランスジェニック非ヒ
ト動物が提供される。更に、異種抗体を発現することが
できるそのようなトランスジェニック動物からのB細胞
であって、特定抗原に特異的なモノクローナル抗体の源
を提供するために不死化されている前記B細胞を提供す
ることが本発明の目的である。
【0011】この上記目的に従って、そのような異種モ
ノクローナル抗体を産生することができるハイブリドー
マ細胞を提供することが本発明の更なる目的である。更
にまた、上述の非ヒトトランスジェニック動物の製造に
有用な再配列されていないおよび再配列された異種免疫
グロブリン重鎖および軽鎖トランスジーンを提供するこ
とが本発明の目的である。
【0012】更にまた、トランスジェニック動物中の内
因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊する方法を提供する
ことが本発明の目的である。更にまた、上述のトランス
ジェニック非ヒト動物において異種抗体産生を誘導する
方法を提供することが本発明の目的である。本発明の更
なる目的は、本発明の1または複数のトランスジーンを
作製するために使われる免疫グロブリン可変領域遺伝子
セグメントレパートリーを作製する方法を提供すること
である。
【0013】上記の参考文献は、単に本出願の出願日よ
り前のそれらの開示のために提供される。本発明者らが
先行発明によってそのような開示より以前は権利がない
と認めることと解釈してはならない。
【0014】
【発明の要約】異種抗体、例えばヒト抗体を産生するこ
とのできるトランスジェニック非ヒト動物が提供され
る。そのような異種抗体は、IgG1, IgG2, IgG3, IgG4,
IgM, IgA1, IgA2, IgAsec , IgD またはIgE を含む様々
なイソタイプのものであることができる。そのようなト
ランスジェニッグ非ヒト動物が免疫応答を行うには、B
細胞の発達と抗原刺激成熟を果たすためにトランスジェ
ニックB細胞および前B細胞が表面結合型免疫グロブリ
ン、特にIgM(ことによるとIgD)イソタイプのものを
産生することが必要である。そのようなIgM(またはIg
D)表面結合型免疫グロブリンの発現はB細胞発達の抗
原刺激成熟期の間にのみ要求され、一時期には一回スイ
ッチしたイソタイプだけが産生されるが、成熟B細胞は
他のイソタイプを産生し得る。
【0015】典型的には、B細胞系統の細胞は一時期に
単一のイソタイプだけを産生するだろうが、μS (分泌
型μ)およびμM (膜結合型μ)型、並びにμおよびδ
免疫グロブリン鎖で天然に起こるような、シスまたはト
ランス二者択一RNAスプライシングは、単一細胞によ
る複数のイソタイプの同時代発現をもたらし得る。従っ
て、複数のイソタイプの異種抗体、特に療法上有用なIg
G,IgAおよびIgMイソタイプの異種抗体を産生せしめ
るためには、イソタイプスイッチングが起こることが必
要である。そのようなイソタイプスイッチングは古典的
クラススイッチであってもよく、または1もしくは複数
の非古典的イソタイプスイッチ機構から生じてもよい。
【0016】本発明は、異種免疫グロブリントランスジ
ーンおよびそのようなトランスジーンを有するトランス
ジェニック動物を提供し、ここで該トランスジェニック
動物はイソタイプスイッチを受けることにより複数のイ
ソタイプの異種抗体を産生することができる。古典的イ
ソタイプスイッチは、トランスジーン中の少なくとも1
つのスイッチ配列領域を巻き込む組換え現象によって起
こる。非古典的イソタイプスイッチは、例えば、ヒトσ
μ配列とヒトΣμ配列の間の相同組換え(δ−関連欠
失)により起こり得る。別の非古典的スイッチ機構、例
えば特にトランスジーン間および/または染色体間組換
えは、イソタイプスイッチを果たすことができる。
【0017】そのようなトランスジーンおよびトランス
ジェニック動物は、抗原刺激型B細胞成熟に必要である
第一の免疫グロブリンイソタイプを産生し、そして療法
的および/または診断的効用を有する1または複数の第
二の異種イソタイプをコードし産生するようにスイッチ
することができる。よって本発明のトランスジェニック
非ヒト動物は、一態様では、ヒト免疫グロブリン遺伝子
配列によりコードされ且つ高親和力で特異的ヒト抗原に
結合するIgG,IgAおよび/またはIgE抗体を産生する
ことができる。
【0018】本発明は、様々なイソタイプの異種抗体を
発現することのできるトランスジェニック動物からのB
細胞にも関し、そのようなB細胞は、特定抗原に対して
特異的なモノクローナル抗体の源を提供するために不死
化される。そのようなB細胞から誘導されたハイブリド
ーマ細胞は、そのような異種モノクローナル抗体の1つ
の源として働くことができる。
【0019】本発明は、上述の非ヒトトランスジェニッ
ク動物中でまたはそのようなトランスジェニック動物か
ら外植されたB細胞系統のリンパ球中で生体内イソタイ
プスイッチを受けることができる、再配列されていない
および再配列された異種免疫グロブリン重鎖および軽鎖
トランスジーンを提供する。そのようなイソタイプスイ
ッチは自然に起こるか、またはトランスジェニック動物
もしくは外植されたB細胞系統リンパ球をイソタイプス
イッチ促進剤、例えばT細胞由来のリンホカイン(例え
ばIL-4および IFNγ)で処理することによって誘導する
ことができる。
【0020】更に、本発明は、上述のトランスジェニッ
ク非ヒト動物中での異種抗体産生を誘導する方法を包含
し、ここでそのような抗体は様々なイソタイプのもので
あることができる。それらの方法は、異種抗体、特にス
イッチされたイソタイプ(IgG.IgAおよびIgM)の異
種抗体の産生のためにトランスジェニック非ヒト動物に
おいて抗原刺激型免疫応答を生じさせることを含む。
【0021】本発明は、トランスジェニック動物中で産
生される異種免疫グロブリンおよび前記動物のB細胞か
ら誘導されるモノクローナル抗体クローンが多様なイソ
タイプのものであり得るように、トランスジーンがイソ
タイプスイッチを果たす配列を含む方法を提供する。本
発明は更に、特定のイソタイプ間のスイッチが、生殖細
胞免疫グロブリン遺伝子座中で典型的に起こるよりもず
っと高頻度もしくは低頻度でおこるかまたは異なる時間
順序で起こるように、トランスジーンのイソタイプスイ
ッチを促進する方法を提供する。スイッチ領域は、様々
なCH 遺伝子から移植しそしてトランスジーン構成物中
の別のCH 遺伝子に連結せしめることができる。そのよ
うな移植スイッチ配列は典型的には結合されたCH 遺伝
子とは独立的に機能し、そのため、トランスジーン構成
物中でのスイッチは結合されたスイッチ領域の元の機能
であろう。あるいはまた、スイッチ配列と共に、δ−結
合欠失配列が様々なCH遺伝子に連結され、2つのδ−
結合欠失配列の間の配列の欠失により非古典的スイッチ
を果たすことができる。よって、特定のCH 遺伝子が異
なるスイッチ配列に連結され、それによって天然に結合
されたスイッチ領域を使用した時に起こるよりも頻繁に
スイッチされるトランスジーンを作製することができ
る。
【0022】本発明はまた、免疫グロブリントランスジ
ーンを含有するトランスジェニック動物においてトラン
スジーン配列のイソタイプスイッチが起こったかどうか
を決定する方法を提供する。本発明は、その内の幾つか
は生殖細胞の免疫グロブリン遺伝子座配列(欠失を含ん
でもよい)のサブセットを含有する免疫グロブリントラ
ンスジーン構成物、および免疫グロブリントランスジー
ン構成物の作製方法を提供する。本発明は、免疫グロブ
リントランスジーンの容易なクローニングと作製のため
の特別な方法であって、2つのユニークNotI部位により
隣接されたユニークXhoIおよびSalI制限部位を使用する
ベクターを必要とする方法を包含する。
【0023】本発明のトランスジーンは、少なくとも1
つの可変遺伝子セグメント、1つの連結遺伝子セグメン
トおよび1つの定常領域遺伝子セグメントをコードする
DNAを含んで成る重鎖トランスジーンを包含する。免
疫グロブリン軽鎖トランスジーンは、少なくとも1つの
可変遺伝子セグメント、1つの連結遺伝子セグメントお
よび1つの定常領域遺伝子セグメントをコードするDN
Aを含んで成る。軽鎖および重鎖遺伝子セグメントをコ
ードする遺伝子セグメントは、それらが誘導されるトラ
ンスジェニック非ヒト動物にとって異種であるか、また
はトランスジェニック非ヒト動物から成らない種からの
免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子セグメントをコー
ドするDNAに相当する。
【0024】本発明の一観点によれば、個々の遺伝子セ
グメントが再配列されておらず、即ち機能的な免疫グロ
ブリン軽鎖または重鎖をコードするようには再配列され
ていないようなトランスジーンが作製される。そのよう
な再配列されていないトランスジーンは、トランスジェ
ニック非ヒト動物が抗原に暴露されると、前記動物中で
の該遺伝子セグメントの組換え(機能的再配列)並びに
生成した再配列された免疫グロブリン重鎖および/また
は軽鎖の発現を可能にする。
【0025】本発明の一観点によれば、異種重鎖および
軽鎖免疫グロブリントランスジーンは、再配列された異
種DNAの比較的大きい断片を含んで成る。そのような
断片は、典型的には異種免疫グロブリン遺伝子座からの
C,J(および重鎖の場合にはD)セグメントの実質的
部分を含む。加えて、そのような断片は可変遺伝子セグ
メントの実質的部分も含んで成る。
【0026】一態様では、そのようなトランスジーン構
成物は、調節配列、例えばプロモーター、エンハンサ
ー、クラススイッチ領域、組換えシグナル、異種DNA
から誘導された対応配列等を含んで成る。あるいは、そ
のような調節配列を、本発明に使われる非ヒト動物と同
一のまたは関連の種からのトランスジーン中に組み込む
ことができる。例えば、トランスジェニックマウスに使
うために、齧歯類免疫グロブリンエンハンサー配列を有
するトランスジーン中にヒト免疫グロブリン遺伝子セグ
メントを組み合わせることができる。
【0027】本発明の方法では、生殖細胞再配列されて
いない軽鎖および重鎖免疫グロブリントランスジーン─
即ちD細胞分化中にVDJ結合を受けるもの─を抗原と
接触せしめ、二次レパートリーB細胞における異種抗体
の産生を誘導する。本発明に使われる非ヒト動物中の内
因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊するベクターおよび
方法も本発明に包含される。そのようなベクターおよび
方法は、トランスジーン、好ましくはポジティブ−ネガ
ティブ(positive-negative)選別ベクターを使用し、該
ベクターは、それが本発明において使用する非ヒト動物
にとって内因性である重鎖および/または軽鎖免疫グロ
ブリンをコードする遺伝子セグメントのクラスの機能的
破壊を標的するように構成される。そのような内因性遺
伝子セグメントとしては、多様性領域、連結領域および
定常領域遺伝子セグメントが挙げられる。
【0028】本発明のこの観点によれば、ポジティブ−
ネガティブ選別ベクターを少なくとも1つの非ヒト動物
の胎児性幹細胞と接触させた後、ポジティブ−ネガティ
ブ選別ベクターが相同組換えによって非ヒト動物のゲノ
ム中に組み込まれている細胞を選択する。移植後、得ら
れたトランスジェニック非ヒト動物は、該ベクターの相
同組み込みの結果として、免疫グロブリン媒介の免疫応
答を開始することが実質的に不可能である。そのような
免疫不全非ヒト動物は、その後、免疫不全症の研究に使
うことができ、または異種免疫グロブリン重鎖および軽
鎖トランスジーンの受容体として使うことができる。
【0029】本発明はまた、内因性免疫グロブリン遺伝
子座を破壊することなく、1または複数の種の免疫グロ
ブリン鎖の発現を抑制するのに有用なベクター、方法お
よび組成物を提供する。そのような方法は、トランスジ
ーンによってコードされる1または複数の免疫グロブリ
ン鎖の発現を許容しながら、トランスジーンによってコ
ードされる1または複数の免疫グロブリン鎖の発現を抑
制するのに有用である。内因性免疫グロブリン鎖遺伝子
座の遺伝的破壊とは異なり、免疫グロブリン鎖発現の抑
制は、破壊された内因性Ig遺伝子座についてホモ接合
性であるトランスジェニック動物の確立に必要である時
間のかかる飼育を必要としない。
【0030】内因性Ig遺伝子破壊法に比較した時の抑
制法の追加の利点は、ある態様では、個体動物内で鎖抑
制が可逆的であることである。例えば、Ig鎖抑制は、
(1)内因性Ig鎖遺伝子配列に特異的にハイブリダイ
ズするアンチセンスRNAをコードし発現するトランス
ジーン、(2)内因性Ig鎖遺伝子配列に特異的にハイ
ブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチド、およ
び(3)内因性Ig鎖ポリペプチドに特異的に結合する
免疫グロブリン、を使って達成することができる。
【0031】本発明は、機能的に分断された内因性重鎖
対立遺伝子の同型接合対、機能的に分断された内因性軽
鎖対立遺伝子の同型接合対、非相同免疫グロブリン重鎖
トランスジーンの少なくとも1つのコピー、及び非相同
免疫グロブリン重鎖トランスジーンの少なくとも1つの
コピーを含み、ヒト抗原(例えばCD4)といった抗原で
の免疫化に続いて抗体応答を行なう、ヒト以外のトラン
スジェニック動物を提供する。本発明は同様に、前記機
能的に分断された内因性重鎖対立遺伝子がJH領域相同
組換えノックアウトであり、前記機能的に分断された内
因性軽鎖対立遺伝子がJk 領域相同組換えノックアウト
であり、前記非相同免疫グロブリン重鎖トランスジーン
がHC1又はHC2ヒトミニ遺伝子トランスジーンであり、
前記非相同軽鎖トランスジーンがKC2又はKCleヒトκト
ランスジーンであり、前記抗原がヒト抗原であるよう
な、ヒト以外のトランスジェニック動物をも提供する。
【0032】本発明は同様に、内因性ヒト免疫グロブリ
ン遺伝子座を抑制、切除及び/又は機能的に分断するた
めのさまざまな実施態様をも提供している。本発明は同
様に、ヒト配列重鎖可変領域及びマウス配列重鎖恒常領
域を含むキメラ重鎖及びヒト配列重鎖の両方を発現する
トランスジェニックマウスをも提供する。このようなキ
メラ重鎖は一般に、機能的に再配置されたヒトトランス
ジーンと内因性マウス重鎖恒常領域(γ1,γ2a,γ
2b,γ3)の間でのトランススイッチにより産生され
る。標準的にはトランスジーンコードされたヒト配列軽
鎖又は内因性マウス軽鎖と組合わされたこのようなキメ
ラ重鎖を含む抗体は、予め定められた抗原での免疫化に
応答して形成される。これらの実施態様のトランスジェ
ニックマウスは、第1の時点でヒト配列重鎖を産生(発
現)し、第2(次に続く)時点でヒト可変領域及びマウ
ス恒常領域(例えば、γ1,γ2a,γ2b,γ3)か
ら成るキメラ重鎖を産生(発現)するべくトランススイ
ッチするB細胞を含むことができる;このようなヒト配
列及びキメラ重鎖は軽鎖をもつ機能的抗体内に組込まれ
る:このような抗体は、かかるトランスジェニックマウ
スの血清中に存在する。
【0033】かくして換言すると、これらの実施態様の
トランスジェニックマウスは、ヒト配列重鎖を発現しそ
の後、ヒト可変領域及び交互の恒常領域(例えばマウス
γ1,γ2a,γ2b,γ3:ヒトγ,α,ε)から成
るキメラ又はアイソタイプスイッチを受けた重鎖を発現
するべくスイッチ(トランススイッチ又はシススイッチ
による)するB細胞を含むことができ;かかるヒト配列
及びキメラ又はアイソタイプスイッチされた重鎖は軽鎖
を伴う機能的抗体(ヒト又はマウス)の中に組込まれ;
かかる抗体はかかるトランスジェニックマウスの血清内
に存在する。
【0034】本明細書中に引用された参考文献は本出願
の出願日より前にそれらの開示があったことを示すため
だけに提供される。先行発明によって本発明者らがその
ような開示よりも先であるという権利を与えられること
を認めるものと解釈してはならない。(化2)及び(化
3)はベクターpGPeの配列を示す。
【0035】(化4)及び(化5)は遺伝子VH 49.8の
配列を示す。表1は本発明のトランスジェニックマウス
の血清中のヒトIgMおよびIgGの検出を示す。(化6)
及び(化7)はVDJ接合の配列を示す。表2は、成人
の末梢血リンパ球(PBL)において見つかるJセグメ
ントに対する、pHC1トランスジーンによってコードされ
る転写物中に組み込まれたJセグメントの分布を示す。
【0036】表3は、成人の末梢血リンパ球(PBL)
において見つかるDセグメントに対する、pHC1トランス
ジーンによってコードされる転写物中に組み込まれたD
セグメントの分布を示す。(化8)及び(化9)は、pH
C1トランスジェニックマウス中またはヒトPBL中のフ
レーム内VDJ接合を有する転写物からのCDR3ペプチド
の長さを示す。
【0037】表4は、pHC1トランスジェニックマウスか
ら分析された30クローンのVDJ領域の推定アミノ酸配
列を示す。表5は、指摘の実験において使用したライン
112 のトランスジェニックマウスを示す;(+)は各ト
ランスジーンの存在を示し、(++)は該動物がJH
突出トランスジーンについてホモ接合性であることを示
す。
【0038】(表A) 複数の0011マウスの遺伝子型を
示す。 <表7> トランスジェニックマウスにおけるHC2重鎖
トランスジーン内の体細胞突然変異の発生を示す。
【0039】
【具体的な説明】上述したように、有望な治療および/
または診断上の標的である特異的ヒト抗原と反応するヒ
ト免疫グロブリンを製造することが望ましい。しかしな
がら、ヒト抗原と特異的に結合するヒト免疫グロブリン
は問題がある。第一に、B細胞源として働く免疫処置動
物が、与えられた抗原に対して免疫応答を生じなければ
ならない。動物が免疫応答を生じるには、与えられた抗
原が外来でなければならず、且つ動物が該抗原に寛容性
でなければならない。よって、例えばヒトタンパク質に
結合するイディオタイプを有するヒトモノクローナル抗
体を製造しようと所望するならば、自己寛容性がヒトタ
ンパク質に対する実質的な免疫応答を生じるのを妨げる
だろう。何故なら、免疫原性となり得る該抗原の唯一の
エピトープが、ヒト集団の中のタンパク質の多形性に由
来するもの(同種異系間エピトープ)であろうからであ
る。
【0040】第二に、ハイブリドーマを形成させるため
のB細胞の源として働く動物(一例ではヒト)が真正自
己抗原に対して免疫応答を生じるならば、該動物におい
て深刻な自己免疫病が発生し得る。ハイブリドーマ用の
B細胞源としてヒトを使う場合には、そのような自己免
疫化は現代の道徳的規範により非論理的であると見なさ
れる。
【0041】かくして予め定められたヒト抗原に対する
抗体応答を誘発できるヒト抗体分泌B細胞が必要とされ
ることから、予め定められたヒト抗原と特異的反応性を
もつヒト免疫グロブリン鎖を分泌するハイブリドーマを
開発することには問題が多い。ヒト抗原と特異的に反応
するヒト抗体を得るのに利用することができる1つの方
法論は、本発明のヒト免疫グロブリントランスジーン構
成物を含有するトランスジェニックマウスの製造であ
る。簡単に言えば、ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖
遺伝子座の全部もしくは部分を含有するトランスジー
ン、またはヒト重鎖および軽鎖遺伝子座の必須機能要素
を含んで成る合成「小遺伝子座」(下記、並びに1990年
8月29日に出願された同時係属米国出願第07/574,748号
および1990年8月31日に出願された同第07/575,962号、
並びに1991年8月28日に出願されたPCT/US91/06185号中
に記載されている)を含有するトランスジーンを使って
トランスジェニック非ヒト動物を作製する。
【0042】そのようなトランスジェニック非ヒト動物
は、ヒト免疫グロブリン遺伝子によりコードされる免疫
グロブリン鎖を産生する能力を有し、その上、ヒト抗原
に対して免疫応答を生じることができるだろう。よっ
て、そのようなトランスジェニック非ヒト動物は特定の
ヒト抗原と反応する免疫血清の源として働くことがで
き、そのようなトランスジェニック動物からのB細胞を
ミエローマ細胞と融合せしめることにより、ヒト抗原と
特異的に反応するモノクローナル抗体を分泌するハイブ
リドーマを製造することができる。
【0043】様々な形の免疫グロブリン遺伝子を含有す
るトランスジェニックマウスの製造は以前に報告されて
いる。トランスジェニックマウスの製造には、再配列さ
れたマウス免疫グロブリン重鎖または軽鎖遺伝子が使わ
れている。加えて、μまたはγ1定常領域を含む機能的
に再配列されたヒトIg遺伝子がトランスジェニックマ
ウス中で発現されている。しかしながら、トランスジー
ンが再配列されていない(再配列されないV−D−Jま
たはV−J)免疫グロブリン遺伝子を含んで成る実験は
変動的であり、場合によって、トランスジーンの不完全
なまたは最少の再配列を生じることがあった。しかし、
トランスジーン中のCH 遺伝子間での好結果のイソタイ
プスイッチを受ける再配列されたまたは再配列されてい
ない免疫グロブリントランスジーンの例は1つも報告さ
れていない。
【0044】本発明は同様に、基本的にヒト恒常領域配
列に対するポリペプチド結合におけるヒトVDJ配列か
ら成るヒト免疫グロブリン鎖を含むモノクローナル抗体
を分泌するハイブリドーマ候補を同定するための方法を
も提供する。かかるハイブリドーマ候補は、(1)基本
的にヒトVDJ領域とヒト恒常領域から成る免疫グロブ
リン鎖を発現するハイブリドーマクローン、及び(2)
基本的にヒトVDJ領域及びマウス恒常領域から成るヘ
テロハイブリッド免疫グロブリン鎖を発現するトランス
スイッチされたハイブリドーマを含むハイブリドーマク
ローンのプールから同定される。個々の又はプールされ
たハイブリドーマクローンの上清は、予め定められた抗
原結合特異性をもつ抗体を選択するための結合条件下
で、標準的には固定基質(例えばマイクロタイターウエ
ル)上に吸着により不動化される抗原である予め定めら
れた抗原と接触させられる。
【0045】ヒト恒常領域に特異的に結合する抗原も同
様に、抗体が少なくとも1つのヒト恒常領域エピトープ
に選択的に結合するもののマウス恒常領域エピトープに
は結合しないような結合条件下で、ハイブリドーマ上清
及び予め定められた抗原と接触させられ、かくして予め
定められた抗原及び特異的にヒト恒常領域と結合する抗
体に結合されたハイブリドーマ上清(トランスジェニッ
クモノクローナル抗体)で基本的に構成されている複合
体を形成する(そして、これは検出可能な標識又はリポ
ーターで標識付け可能である)。このような複合体の形
成の検出は、ヒト免疫グロブリン鎖を発現するハイブリ
ドーマクローン又はプールを表わす)。
【0046】定義 本明細書中で使用する時、用語「抗体」は、少なくとも
2本の同一の軽ポリペプチド鎖と2本の同一の重ポリペ
プチド鎖を含んで成る糖タンパク質を言う。重および軽
ポリペプチド鎖は各々、抗原と相互作用する結合ドメイ
ンを含む可変領域(通常はポリペプチド鎖のアミノ末端
部分)を含有する。重および軽ポリペプチド鎖は各々、
ポリペプチド鎖の定常領域(通常はカルボキシ末端部
分)も含んで成り、その配列の一部は、免疫系の種々の
細胞、或る種の食細胞および典型的補体系の第一成分
(C1q )を含む宿主組織への免疫グロブリンの結合を媒
介する。
【0047】本明細書中で使用する時、「異種抗体」
は、そのような抗体を産生するトランスジェニック非ヒ
ト生物に関連して定義される。それは、トランスジェニ
ック非ヒト動物から成らない生物において見つかるもの
に対応するアミノ酸配列を有するかまたはDNA配列を
コードする抗体である。本明細書中で使用する時、「ヘ
テロハイブリッド抗体」は、異なる生物体起源の軽鎖と
重鎖を有する抗体を言う。例えば、マウス軽鎖と会合さ
れたヒト重鎖を有する抗体はヘテロハイブリッド抗体で
ある。
【0048】本明細書中で使用する時、「イソタイプ」
は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる抗体クラス
(例えばIgMまたはIgG1)を言う。本明細書中で使用す
る時、「イソタイプスイッチ」は、抗体のクラスまたは
イソタイプが或るIgクラスから別のIgクラスのうち
の1つへ変化する現象を言う。
【0049】本明細書中で使用する時、「非スイッチイ
ソタイプ」は、イソタイプスイッチが起こらなかった時
に産生される重鎖のクラスを言う。非スイッチイソタイ
プをコードするCH 遺伝子は、典型的には機能的に再配
列されたVDJ遺伝子のすぐ下流の最初のCH 遺伝子で
ある。本明細書中で使用する時、用語「スイッチ配列」
は、スイッチ組換えを招くそれらのDNA配列を言う。
「スイッチ供与体」配列、典型的にはμスイッチ領域
は、スイッチ組換え中に欠失されるであろう定常領域の
5′(即ち上流)にあるだろう。「スイッチ受容体」領
域は、欠失されるであろう定常領域と代替定常領域(例
えばγ,ε等)との間であろう。組換えが常に起こる特
異部位は1つもないので、典型的には最終遺伝子配列は
構成物から予想不可能であろう。
【0050】本明細書中で使用する時、「グリコシル化
パターン」は、タンパク質、より詳しくは免疫グロブリ
ンタンパク質に共有結合している炭化水素単位のパター
ンとして定義される。当業者が異種抗体のグリコシル化
パターンをトランスジーンのCH 遺伝子が由来する種よ
りも非ヒトトランスジェニック動物の種の中のグリコシ
ル化パターンに一層類似していると認識するような時に
は、異種抗体のグリコシル化パターンは、非ヒトトラン
スジェニック動物の種によって産生される抗体上に天然
に存在するグリコシル化パターンと実質上類似している
と特徴付けることができる。
【0051】本明細書中で使用する時、「特異的結合」
は、抗体が(1)予め決定された抗原に少なくとも1×
107 -1の親和力で結合し、そして(2)予め決定され
た抗原以外の非特異的抗原(例えばBSA、カゼイン)
への結合親和力よりも少なくとも2倍大きい親和力で、
予め決定された抗原に優先的に結合する性質を言う。本
明細書中で使用する時「天然に存在する」という用語
は、対象物に用いた時に対象物が天然に見つけることが
できることを言う。例えば、天然源から単離することが
でき且つ人間によって実験室で故意に変更されていな
い、生物体(ウイルスを含む)中に存在するポリペプチ
ドまたはポリヌクレオチド配列は、「天然に存在する」
ものである。
【0052】本明細書中で使用する時「再配列された」
という用語は、Vセグメントがそれぞれ本質的に完全な
H またはVL ドメインをコードする構造においてD−
JまたはJセグメントのすぐ近くに位置する重鎖または
軽鎖免疫グロブリン遺伝子座の配置を言う。再配列され
た免疫グロブリン遺伝子座は生殖細胞DNAとの比較に
よって同定することができ;再配列された遺伝子座は少
なくとも1つのヘプタマー/ナノマー相同性要素を有す
るだろう。
【0053】Vセグメントに関して本明細書中で使用す
る時、「再配列されていない」または「生殖細胞配置」
なる用語は、DまたはJセグメントのすぐ近くになるよ
うにVセグメントが組換えられない配置を言う。核酸に
ついては、「実質的相同性」ともいうのは、最適な形で
整列され比較された場合、2つの核酸又はその指定配列
が、少なくとも約80%のヌクレオチド、通常は少なくと
も約90%〜95%、より好ましくは少なくとも約98〜99.5
%のヌクレオチドにおいて適当なヌクレオチド挿入又は
欠失を伴って同一であることを表わす。代替的には、選
択的ハイブリダイゼーション条件下でストランドの補体
に対しセグメントがハイブリッド形成するときに実質的
な相同性が存在する。核酸は、全細胞中に、細胞リゼイ
ト中に、又は部分的に精製された形又は実質的に純粋な
形で存在しうる。核酸は、アルカリ/SDS処理、CS
Clバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロー
スゲル電気泳動及び当該技術分野において周知のその他
の技術を含む標準的技術により、例えばその他の細胞核
酸又はタンパク質といったその他の細胞成分はその他の
汚染物質から精製された時点で、「分離され」又は「実
質的に純粋な状態にされ」ている。F. Ausubel, et. a
l., ed.「分子生物学における現在のプロトコル」、Gre
ene,Publishing and Wiley-Interscience、ニューヨー
ク(1987)参照。
【0054】本発明の核酸組成物は、往々にして、cD
NAゲノミック又は混合物のいずれかからの未変性配列
(修正された制限部位などを除く)にあるものの、標準
的技術に従って遺伝子配列を提供するべくそこからの突
然変異を受けることができる。コーディング配列につい
ては、これらの突然変異は望まれるとおりにアミノ酸配
列に影響を及ぼしうる。特に、未変性にD,J.結合ス
イッチと実質的に相同な又はこれらから誘導されたDN
A配列及び本書に記されているその他のこのような配列
が考慮される(ここで「誘導された」というのは、1つ
の配列がもう1つの配列と同一であるか又はそれから修
正されたものであることを表わす)。
【0055】核酸は、他の核酸と機能的関係におかれた
とき、それは「使用可能に連結される。」例えば、プロ
モーター又はエンハンサーは、それが配列の転写に影響
を与えるとき、「作用可能に連結される。転写抑制配列
に関し、作用可能に連結されるとは、連結されたDNA
配列が隣接することを意味し、2つの蛋白質コード領域
を連結するのに必要な場合、隣接しており、そしてリー
ディングフレーム内にある。スイッチ配列については、
作用可能に連結されるとは、配列がスイッチ組換えを行
うことができることを意味する。
【0056】異種抗体を産生することのできるトランス
ジェニック非ヒト動物 異種抗体レパートリーによる外来抗原刺激に応答するト
ランスジェニック非ヒト動物のデザインは、トランスジ
ェニック動物の内部に含まれた異種免疫グロブリントラ
ンスジーンがB細胞発達経路を通して正しく機能するこ
とを必要とする。好ましい態様では、異種重鎖トランス
ジーンの正しい機能がイソタイプスイッチを含む。従っ
て、イソタイプスイッチを生じ且つ下記のうちの1つま
たは複数をもたらすように本発明のトランスジーンが作
製される:(1)高レベルで且つ細胞型特異的な発現、
(2)機能的な遺伝子再配列、(3)対立遺伝子排除の
活性化およびそれに対する応答、(4)十分な一次レパ
ートリーの発現、(5)シグナル形質導入、(6)体細
胞高度突然変異(hyper-mutation)、および(7)免疫
応答の間のトランスジーン抗体遺伝子座の優性化。
【0057】下記開示から明らかなように、上記の基準
の全てを満たす必要はない。例えば、トランスジェニッ
ク動物の内因性免疫グロブリン遺伝子座が機能的に破壊
されるそれらの態様では、トランスジーンは対立遺伝子
排除を活性化する必要がない。更に、トランスジーンが
機能的に再配列された重鎖および/または軽鎖免疫グロ
ブリン遺伝子を含んで成る態様では、2番目の基準であ
る機能的な遺伝子再配列は、少なくとも既に再配列され
ているトランスジーンには不要である。分子免疫学に関
する背景については、Fundamental Immunolo- gy, 第2
版 (1989), Paul William E.編, Raven Press, N.Y. を
参照のこと。これは参考として本明細書中に組み込まれ
る。
【0058】本発明の一観点では、トランジェニック動
物の生殖細胞(ジャームライン)中に再配列された、再
配列されていない、または再配列されたものと再配列さ
れていないものとの組み合わせの、異種免疫グロブリン
重鎖および軽鎖トランスジーンを含有する、トランスジ
ェニック非ヒト動物が提供される。重鎖トランスジーン
の各々は少なくとも1つのCH 遺伝子を含んで成る。加
えて、重鎖トランスジーンは、トランスジェニック動物
のB細胞中で多数のCH 遺伝子をコードする異種トラン
スジーンのイソタイプスイッチを支持することができる
機能的イソタイプスイッチ配列を含んでもよい。そのよ
うなスイッチ配列は、トランスジーンCH 遺伝子の源と
して働く種からの生殖細胞免疫グロブリン遺伝子座に天
然に存在するものであることができ、またはトランスジ
ーン構成物を受け入れることになっている種(トランス
ジェニック動物)に存在するものから誘導することもで
きる。
【0059】例えば、トランスジェニックマウスを製造
するのに使われるヒトトランスジーン構成物は、それが
マウス重鎖遺伝子座中に天然に存在するものに類似した
スイッチ配列を含むならば、より高頻度のイソタイプス
イッチ現象をもたらすことができる。というのは、恐ら
くマウススイッチ配列はマウススイッチレコンビナーゼ
酵素系が機能するように最適化されるが、一方ヒトスイ
ッチ配列は最適化されないだろうからである。スイッチ
配列は、常用のクローニング法により単離しクローニン
グすることができ、または免疫グロブリンスイッチ領域
配列に関する発表された配列情報に基づいてデザインし
た重複合成オリゴヌクレオチドから初めから合成するこ
とができる(Mills ら、Nucl. Acids Res. 18:7305-73
16 (1991) ; Siderrasら、Intl. Immunol. 1:631-642
(1989)、これらは参考として本明細書中に組み込まれ
る)。
【0060】上記トランスジェニック動物の各々につい
て、機能的に再配列された異種重鎖および軽鎖免疫グロ
ブリントランスジーンは、トランスジェニック動物の有
意な率(少なくとも10パーセント)のB細胞中に検出さ
れる。本発明のトランスジーンは、少なくとも1つの可
変遺伝子セグメント、1つの連結遺伝子セグメントおよ
び1つの定常領域遺伝子セグメントをコードするDNA
を含んで成る重鎖トランスジーンを包含する。免疫グロ
ブリン軽鎖トランスジーンは、少なくとも1つの可変遺
伝子セグメント、1つの連結遺伝子セグメントおよび1
つの定常領域遺伝子セグメントをコードするDNAを含
んで成る。軽鎖および重鎖遺伝子セグメントをコードす
る遺伝子セグメントは、それらが誘導されるトランスジ
ェニック非ヒト動物にとって異種であるか、またはトラ
ンスジェニック非ヒト動物から成らない種からの免疫グ
ロブリン重鎖および軽鎖遺伝子セグメントをコードする
DNAに相当する。
【0061】本発明の一観点によれば、個々の遺伝子セ
グメントが再配列されておらず、即ち機能的な免疫グロ
ブリン軽鎖または重鎖をコードするようには再配列され
ていないようなトランスジーンが作製される。そのよう
な再配列されていないトランスジーンは、抗原に暴露さ
れると、トランスジェニック非ヒト動物内でV,Dおよ
びJ遺伝子セグメントの組換え(機能的再配列)を支持
し、そして好ましくは結果として得られる再配列された
免疫グロブリン重鎖中へのD領域遺伝子セグメントの全
部または部分の組み込みを支持する。
【0062】本発明の別の観点によれば、該トランスジ
ーンは、再配列された「小遺伝子座」を含んで成る。そ
のようなトランスジーンは、典型的にはC,DおよびJ
セグメントの実質的部分並びにVセグメントのサブセッ
トを含んで成る。そのようなトランスジーン構成物で
は、様々な調節配列、例えばプロモーター、エンハンサ
ー、クラススイッチ領域、RNAプロセシング用のスプ
ライス供与体およびスプライス受容体、組換えシグナル
等は、異種DNAから誘導された対応配列を含んで成
る。
【0063】あるいは、そのような調節配列を本発明に
使われる非ヒト動物と同一のまたは関連の種からのトラ
ンスジーン中に組み込むことができる。例えば、トラン
スジェニックマウスに使うために、トランスジーン中に
ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントを齧歯類免疫グロ
ブリンエンハンサー配列と組み合わせることができる。
あるいは、トランスジーン中に合成調節配列を組み込む
こともでき、この場合、そのような合成調節配列は哺乳
類のゲノム中に天然に存在することが知られている機能
的DNA配列とは相同でない。合成調節配列は共通規則
に従ってデザインされ、例えば、スプライス受容体部位
またはプロモーター/エンハンサーモチーフの許容配列
を特定するものである。
【0064】例えば、ミニ遺伝子座は、天然に発生する
生殖細胞系Ig遺伝子座と異なり、可欠DNA部分(例
えば介在配列;イントロン又はその一部分)の少なくと
も1つの内部(すなわちこの部分の末端にはない)の欠
失を有するゲノミック免疫グロブリン遺伝子座の一部分
を含む。本発明はまた、重鎖および軽鎖トランスジーン
を有する生殖細胞を含有するトランスジェニック動物に
も関し、ここで前記トランスジーンの一方は再配列され
た遺伝子セグメントを含み、他方は再配列されていない
遺伝子セグメントを含む。好ましい態様では、再配列さ
れたトランスジーンが軽鎖免疫グロブリントランスジー
ンであり、再配列されていないトランスジーンが重鎖免
疫グロブリントランスジーンである。
【0065】抗体の構造および産生 全ての免疫グロブリンの基本構造は、2つの軽鎖ポリペ
プチドと2つの重鎖ポリペプチドとから成る単位に基づ
く。各軽鎖は、可変軽鎖領域および定常軽鎖領域として
知られる2つの領域を含んで成る。同様に、免疫グロブ
リン重鎖は、可変重鎖領域および定常重鎖領域と呼ばれ
る2つの領域を含んで成る。
【0066】重鎖または軽鎖の定常領域は、重鎖または
軽鎖定常領域遺伝子(CH )セグメントと呼ばれるゲノ
ム配列によりコードされる。特定の重鎖遺伝子セグメン
トの使用が免疫グロブリンのクラスを限定する。例え
ば、ヒトでは、μ定常領域遺伝子セグメントが抗体のIg
Mクラスを限定し、一方でγ,γ2,γ3またはγ4定
常領域遺伝子セグメントが抗体のIgGクラス並びにIgG
のサブクラスIgG1 〜IgG4 を限定する。同様に、α1
またはα2 定常領域遺伝子セグメントの使用が抗体のIg
Aクラス並びにIgA1 およびIgA2 サブクラスを限定す
る。δおよびε定常領域遺伝子セグメントがそれぞれIg
DおよびIgE抗体クラスを限定する。
【0067】重鎖および軽鎖免疫グロブリンの可変領域
は、一緒になって抗体の抗原結合領域を含む。広範囲の
抗原を結合できるようにするために抗体のこの領域に多
様性が必要なため、初期または一次レパートリー可変領
域をコードするDNAは、特定の可変領域遺伝子セグメ
ントのファミリーに由来する多数の異なるDNAセグメ
ントを含んで成る。軽鎖可変領域の場合、そのようなフ
ァミリーは可変(V)遺伝子セグメントと連結(J)遺
伝子セグメントを含んで成る。よって、軽鎖の初期可変
領域は1つのV遺伝子セグメントと1つのJ遺伝子セグ
メントによってコードされ、各セグメントはその生物の
ゲノムDNA中に含まれるVおよびJ遺伝子セグメント
のファミリーから選ばれる。重鎖可変領域の場合、重鎖
の初期または一次レパートリー可変領域をコードするD
NAは、1つの重鎖V遺伝子セグメント、1つの重鎖多
様性(D)遺伝子セグメントおよび1つのJ遺伝子セグ
メントを含んで成り、各セグメントはゲノムDNA中の
適当な免疫グロブリン遺伝子セグメントのV,Dおよび
Jファミリーから選ばれる。
【0068】抗体結合部位の形成に貢献する配列の多様
性を増加させるために、重鎖トランスジーンが再配列さ
れたV−D−J遺伝子配列中にD領域の全部または部分
を組み込むことができる機能的V−D−J再配列を支持
するシス作用性配列を含むことが好ましい。典型的に
は、発現されたトランスジーンによってコードされる重
鎖(またはmRNA)の少なくとも約1%がV領域中に認識
可能なD領域配列を含有する。好ましくは、トランスジ
ーンによってコードされるV領域の少なくとも約10%、
より好ましくは少なくとも約30%、最も好ましくは50%
が認識可能なD領域配列を含有する。
【0069】認識可能なD領域配列は一般に、重鎖トラ
ンスジーンのD領域遺伝子セグメント中に存在する配列
に相当する少なくとも約8個の連続するヌクレオチドお
よび/またはそのようなD領域ヌクレオチド配列により
コードされるアミノ酸配列である。例えば、トランスジ
ーンがD領域遺伝子DHQ52 を含むならば、V遺伝子セグ
メント配列とJ遺伝子セグメント配列の間のV領域中に
配列 5'-TAACTGGG- 3'を含有するトランスジーンによっ
てコードされるmRNAは、D領域配列、特にDHQ52 配列を
含むものとして認識可能である。同様に、例えば、トラ
ンスジーンがD領域遺伝子DHQ52 を含むならば、V遺伝
子セグメントアミノ酸配列とJ遺伝子セグメントアミノ
酸配列の間のV領域中に置かれたアミノ酸配列 -DAF-を
含有するトランスジーンによってコードされる重鎖ポリ
ペプチドは、D領域配列、特にDHQ52 配列を含むものと
して認識可能である。
【0070】しかしながら、D領域セグメントをさまざ
まな程度までのさまざまな読み取り枠内でのVDJジョ
イニング内に取り込むことができることから、特定のD
セグメントの取込みを見極めるには、トランスジーン内
に存在するD領域セグメントに対する重鎖可変領域のD
領域部域の比較が必要である。その上、組換え中の潜在
的エキソヌクレアーゼ消化は、V−D−J組換え中の不
精確なV−D及びD−J連結を導く可能性がある。
【0071】しかしながら、体細胞突然変異またはN領
域付加のために、幾つかのD領域は、認識可能であるが
連続するD領域配列と全く同一には一致しないことがあ
る。例えば、ヌクレオチド配列 5′-CTAAXTGGGG-3 ′
(ここでXはA,TまたはGであり、該配列は重鎖V領
域中にあり、V領域遺伝子配列とJ領域遺伝子配列によ
って隣接されている)は、DH52配列 5′-CTAACTGGG- 3
′に相当すると認識され得る。同様に、例えば、V領
域中にありそしてアミノ末端側でトランスジーンV遺伝
子配列によってコードされるアミノ酸配列により隣接さ
れそしてカルボキシ末端側でトランスジーンJ遺伝子配
列によってコードされるアミノ酸配列により隣接されて
いるポリペプチド配列 -DAFDI-, -DYFDY- または -GAFD
I-は、D領域配列として認識され得る。
【0072】従って、体細胞突然変異やN領域付加はト
ランスジーンD領域に由来する配列中に変異をもたらし
得るので、認識可能なD領域配列の存在を決定するため
の指標として次の定義が与えられる。アミノ酸配列また
はヌクレオチド配列は次のような場合にD領域として認
識可能である:(1)該配列がV領域中に存在し、一方
の側がV遺伝子配列(ヌクレオチド配列または推定アミ
ノ酸配列)により隣接されており、そして他方の側がJ
遺伝子配列(ヌクレオチド配列または推定アミノ酸配
列)により隣接されており、且つ(2)該配列が既知の
D遺伝子配列(ヌクレオチド配列または推定アミノ酸配
列)と実質的に同じであるかまたは実質的に相同である
場合。
【0073】ここで使用する用語「実質的な同一」は、
ポリペプチド配列が参照配列に比較して少なくとも50%
の配列一致を有し、核酸配列が参照配列に比較して少な
くとも70%の配列一致を有する、ポリペプチド配列また
はヌクレオチド配列の特徴を表す。配列一致の%は、参
照配列の合計35%未満である小さな欠失または付加を除
いて計算される。参照配列は、より大きな配列のサブセ
ット、例えば完全なD遺伝子であってもよい;しかしな
がら、参照配列はポリヌクレオチドの場合長さが少なく
とも8ヌクレオチドであり、ポリペプチドの場合長さが
少なくとも3アミノ酸残基である。典型的には、参照配
列は少なくとも8〜12ヌクレオチドまたは少なくとも3
〜4アミノ酸であり、好ましくは12〜15ヌクレオチドも
しくはそれ以上または少なくとも5アミノ酸である。
【0074】ここで使用する用語「実質的な相同」は、
ポリペプチド配列が参照配列に対して少なくとも80%の
相同性を有する、ポリペプチド配列の性質を表す。配列
相同性の%は、同一アミノ酸または位置保存性アミノ酸
置換を相同であるとして数えることにより算出される。
位置保存性アミノ酸置換は、単一ヌクレオチド置換から
生じ得るものである。単一ヌクレオチド置換により最初
のアミノ酸のコドンと二番目のアミノ酸のコドンが異な
り得る場合、最初のアミノ酸が二番目のアミノ酸と置き
換えられる。例えば、配列-Lys-Glu-Arg-Val- は配列 -
Asn-Asp-Ser-Val-と実質的に相同である。何故なら、コ
ドン配列 -AAA-GAA-AGA-GUU-は、わずか3つの置換変異
(2つの元のコドンのうちの3つに単一ヌクレオチド置
換)を導入することによって -AAC-GAC-AGC-GUU-に変異
せしめることができるからである。参照配列はより大き
な配列のサブセット、例えば完全なD遺伝子であっても
よい;しかしながら、参照配列は長さが少なくとも4ア
ミノ酸残基である。典型的には参照配列は少なくとも5
アミノ酸であり、好ましくは6アミノ酸またはそれ以上
である。
【0075】一次レパートリー 重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子をコードするDN
Aを作製する方法は、主としてB細胞を発達させること
に存する。種々の免疫グロブリン遺伝子セグメントの結
合前、V,D,Jおよび定常(C)遺伝子セグメント
は、大部分、一次レパートリーB細胞の前駆体中にV,
D,JおよびC遺伝子セグメントのクラスターとして見
つかる。通常、重鎖または軽鎖の遺伝子セグメントの全
てが単一の染色体上に比較的近くに密接して置かれてい
る。様々な免疫グロブリン遺伝子セグメントの組換え前
のそのようなゲノムDNAは、本明細書中「再配列され
ていない」ゲノムDNAと呼称される。B細胞分化の間
に、V,D,J(または軽鎖遺伝子の場合はVとJの
み)の適当なファミリーメンバーのいずれか1つの遺伝
子セグメントが組み換えられて機能的に再配列された重
鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子を形成する。
【0076】そのような機能的再配列は、機能的な可変
領域をコードするDNAを形成する可変領域セグメント
の再配列である。この遺伝子セグメント再配列過程は連
続的であると思われる。最初に、重鎖D−J接合が作ら
れ、次いで重鎖V−DJ接合と軽鎖V−J接合が作られ
る。軽鎖および/または重鎖中の機能的可変領域のこの
初期形態をコードするDNAは、「機能的に再配列され
たDNA」または「再配列されたDNA」と呼ばれる。
重鎖の場合、そのようなDNAは「再配列された重鎖D
NA」と呼ばれ、そして軽鎖の場合、そのようなDNA
は「再配列された軽鎖DNA」と呼ばれる。本発明のト
ランスジーンの機能的再配列を記述するためにも同様な
用語が使われる。
【0077】機能的な重鎖および軽鎖可変領域を形成す
るための可変領域遺伝子セグメントの組換えは、組換え
応答能のあるV,DおよびJセグメントに隣接する組換
えシグナル配列(RSS)により媒介される。組換えを
指令するのに必要且つ十分なRSSは、二分子対称ヘプ
タマー、高ATノナマー、および12塩基対または23塩基
対のいずれかの中断スペーサー領域を含んで成る。それ
らのシグナルは、D−J(またはV−J)組換えを行い
そして機能的に相互交換可能である異なる遺伝子座およ
び種の間で保存されている。Oettinger ら(1990), Scie
nce, 248, 1517-1523およびその中に引用された参考文
献を参照のこと。
【0078】配列 CACAGTGまたはその類似体を含んで成
るヘプタマーの後に非保存性配列のスペーサー、次いで
配列 ACAAAAACCまたはその類似体を有するノナマーが存
在する。それらの配列は、各VおよびD遺伝子セグメン
トのJ側、即ち下流側上に見つかる。生殖細胞型たおよ
びJ遺伝子セグメントの直前に、再び2つの組換えシグ
ナル配列があり、最初にノナマーそして非保存性配列に
より隔てられて次にヘプタマーがある。VL ,VH また
はDセグメントの後ろのヘプタマーおよびノナマー配列
は、それらが組み換わるJL , DまたはJH セグメント
の前方のものと相補的である。ヘプタマーとノナマー配
列との間のスペーサーは12塩基対の長さかまたは22〜24
塩基対の長さかのいずれかである。
【0079】V,DおよびJセグメントの再配列に加え
て、軽鎖のVセグメントとJセグメントとの間および重
鎖のDセグメントとJセグメントとの間の可変的組換え
によって、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の一次レパー
トリーにおいて更なる多様性が生まれる。そのような様
々な組換えは、そのようなセグメントが結合する正確な
場所の変位(ずれ)によって生成される。軽鎖における
そのようなずれは、典型的にはV遺伝子セグメントの最
後のコドンの内部およびJセグメントの最初のコドンの
内部に起こる。同様な結合のずれは、重鎖染色体上では
DセグメントとJH セグメントとの間に起こり、10ヌク
レオチドほどの多数に及ぶことがある。更に、Dセグメ
ントとJH セグメントとの間およびVH セグメントとD
セグメントとの間に、ゲノムDNAによりコードされな
い幾つかのヌクレオチドが挿入されることがある。それ
らのヌクレオチドの付加はN領域多様性として知られて
いる。
【0080】VJおよび/またはVDJ再配列の後、再
配列された可変領域遺伝子セグメントおよび再配列され
た可変領域の下流に置かれた1または複数の定常領域遺
伝子セグメントの転写は、一次RNA転写物を生成し、
これが適当なRNAスプライシングを受けると、全長の
重鎖または軽鎖免疫グロブリンをコードするmRNAを生じ
る。そのような重鎖および軽鎖は、B細胞の経膜領域中
への免疫グロブリンの挿入および/またはB細胞からの
分泌を行うリーダー配列を含む。このシグナル配列をコ
ードするDNAは、免疫グロブリン重鎖または軽鎖の可
変領域を形成するのに使うVセグメントの第一エクソン
の内部に含まれる。コードされる免疫グロブリン重鎖お
よび軽鎖ポリペプチド(これは互いとの適切な会合によ
って抗体分子を形成する)を生成するmRNAの翻訳を調節
するためにmRNA中に適当な調節配列も存在する。
【0081】可変領域遺伝子セグメント中のそのような
再配列およびそのような連結中に起こり得る可変的組換
えの最終結果は、一次抗体レパートリーの生成である。
一般に、この段階まで分化された各B細胞は、単一の一
次レパートリー抗体を産生する。この分化過程の間に、
機能的に再配列されたIg遺伝子内に含まれるもの以外の
遺伝子セグメントの機能的再配列を抑制する細胞現象が
起こる。二倍体B細胞がそのような単一特異性を維持す
る過程は、対立遺伝子排除と呼ばれる。
【0082】二次レパートリー 一次レパートリーを含んで成る配列の組の中からの免疫
グロブリンを発現するB細胞クローンは、外来抗原に応
答させるのにすぐに利用できる。単純なVJおよびVD
J結合により生じる限定された多様性のため、いわゆる
一次応答によって産生される抗体は比較的低い親和性の
ものである。2つの異なる型のB細胞がこの初期応答を
作成する:一次抗体形成細胞の前駆体および二次レパト
リーB細胞の前駆体〔Lintonら、Cell, 59:1049-1059
(1989) 〕。最初の型のB細胞は或る種の抗原に応答し
てIgM 分泌性形質細胞に成熟する。他方のB細胞は、T
細胞依存性成熟過程に入ることにより、抗原への初期暴
露に応答する。
【0083】抗原により感作されたB細胞クローンのT
細胞依存性成熟の間に、細胞表面上の抗体分子の構造が
2つの経路で変化する。第一は、定常領域が非IgMサブ
タイプにスイッチし、そして可変領域の配列が多数の単
一アミノ酸置換により変更されて一層高い親和性の抗体
分子を生成することができる。前に指摘したように、Ig
重鎖または軽鎖の各可変領域は、抗原結合領域を含む。
二次応答の間の体細胞突然変異は、アミノ酸および核酸
配列決定により、3つの相補性決定領域(CDR1, CDR2お
よびCDR3;これは超可変領域1,2または3とも呼ばれ
る)を含むV領域の至るところで起こることが決定され
ている〔Kabatら、Sequences of Proteins of Immunolo
gical Interest (1991) U.S. Department of Health an
d Human Services, Washington, DC ;これは参考とし
て本明細書中に組み込まれる〕。CDR1とCDR2は可変遺伝
子セグメント内部に位置し、一方CDR3は大部分がV遺伝
子セグメントとJ遺伝子セグメントの間またはV,Dお
よびJ遺伝子セグメントの間の組換えの結果である。
【0084】CDR1, 2 または3 を構成しない可変領域の
部分は、一般に、FR1, FR2, FR3 およびFR4 と名付けら
れたフレームワーク領域と呼ばれる。図1を参照のこ
と。高度突然変異の間に、再配列されたDNAが変異さ
れて異なるIg分子を有する新しいクローンを生じる。外
来抗原に対して一層高い親和性を有するそれらのクロー
ンがヘルパーT細胞によって選択的に増大されて、発現
抗体の親和力成熟を引き起こす。クローン選択は、典型
的にはCDR1, CDR2および/またはCDR3領域中に新規変異
を含むクローンの発現をもたらす。しかしながら、抗原
結合領域の特異性および親和性に影響を及ぼすようなそ
れらの領域の外側の変異も起こる。
【0085】異種抗体を産生することができるトランス
ジェニック非ヒト動物 本発明の1観点では、トランスジェニック非ヒト動物
は、少なくとも1つの本発明の免疫グロブリントランス
ジーン(後述)を非ヒト動物の接合子または初期胚中に
導入することにより製造される。本発明に有用である非
ヒト動物は、一般に、免疫グロブリン遺伝子セグメント
を再配列して一次抗体応答を生ぜしめることができる任
意の哺乳類を包含する。そのような非ヒトトランスジェ
ニック動物としては、例えば、トランスジェニックブ
タ、トランスジェニックラット、トランスジェニックウ
サギ、トランスジェニックウシ、および当業界で既知で
ある他のトランスジェニック動物種、特に哺乳動物種が
挙げられる。特に好ましい非ヒト動物はマウスまたは齧
歯類の他のメンバーである。
【0086】しかしながら、本発明はマウスの使用に限
定されない。むしろ、一次および二次抗体応答を開始す
ることができる任意の非ヒト哺乳動物を使うことができ
る。そのような動物としては、非ヒト霊長類、例えばチ
ンパンジー、ウシ、ヒツジおよびブタの種、齧歯科の他
のメンバー、例えばラット、並びにウサギおよびモルモ
ットが挙げられる。特に好ましい動物はマウス、ラッ
ト、ウサギおよびモルモットであり、最も好ましくはマ
ウスである。
【0087】本発明の一態様では、ヒトゲノム由来の様
々な遺伝子セグメントが再配列されていない形で重鎖お
よび軽鎖トランスジーンに使われる。この態様では、そ
のようなトランスジーンがマウスに導入される。軽鎖お
よび/または重鎖トランスジーンの再配列されていない
遺伝子セグメントは、マウスゲノム中の内因性免疫グロ
ブリン遺伝子セグメントと識別可能である、ヒト種に固
有のDNA配列を有する。それらは生殖細胞やB細胞か
ら成らない体細胞では再配列されていない形態でそして
B細胞では再配列された形態で容易に検出することがで
きる。
【0088】本発明の別の態様では、トランスジーン
は、再配列された重鎖および/または軽鎖免疫グロブリ
ントランスジーンを含んで成る。そのようなトランスジ
ーンの機能的に再配列されたVDJまたはVJセグメン
トに相当する特定セグメントは、マウス中の内因性免疫
グロブリン遺伝子セグメントから明らかに識別可能であ
る免疫グロブリンDNA配列を含む。
【0089】そういったDNA配列の相違は、マウスB
細胞によりコードされるアミノ酸配列に比較するとその
ようなヒト免疫グロブリントランスジーンによりコード
されるアミノ酸配列にも反映される。よって、ヒト免疫
グロブリン遺伝子セグメントによりコードされる免疫グ
ロブリンエピトープに特異的な抗体を使って、本発明の
トランスジェニック非ヒト動物において、ヒト免疫グロ
ブリンアミノ酸配列を検出することができる。
【0090】ヒトまたは他の種由来の再配列されていな
いトランスジーンを含有するトランスジェニックB細胞
は、適当な遺伝子セグメントを機能的に組換えると、機
能的に再配列された軽鎖および重鎖可変領域を形成す
る。そのような再配列されたトランスジーンによりコー
ドされる抗体は、本発明を実施するのに用いる非ヒト動
物中で通常遭遇するものとは異種であるDNAおよび/
またはアミノ酸配列を有することは容易に明らかであろ
う。
【0091】再配列されていないトランスジーン 本明細書中で使用する時、「再配列されていない免疫グ
ロブリン重鎖トランスジーン」は、少なくとも1つの可
変遺伝子セグメント、1つの多様性遺伝子セグメント、
1つの連結遺伝子セグメントおよび1つの定常領域遺伝
子セグメントをコードするDNAを含んで成る。前記重
鎖トランスジーンの各遺伝子セグメントは、前記トラン
スジーンが導入される非ヒト動物から成らない種の免疫
グロブリン重鎖遺伝子セグメントをコードするDNAか
ら誘導されるか、またはそれに相当する配列を有する。
【0092】同様に、本明細書中で使用する時、「再配
列されていない免疫グロブリン軽鎖トランスジーン」
は、少なくとも1つの可変遺伝子セグメント、1つの連
結遺伝子セグメントおよび少なくとも1つの定常領域遺
伝子セグメントをコードするDNAを含んで成る。ここ
で、前記軽鎖トランスジーンの各遺伝子セグメントは、
前記軽鎖トランスジーンが導入される非ヒト動物から成
らない種の免疫グロブリン軽鎖遺伝子セグメントをコー
ドするDNAから誘導されるか、またはそれに相当する
配列を有する。
【0093】本発明のこの観点でのそのような重鎖およ
び軽鎖トランスジーンは、再配列されていない形態で上
述の遺伝子セグメントを含有する。即ち、重鎖トランス
ジーン中のV,DおよびJセグメントの間および軽鎖ト
ランスジーン中のVとJセグメントの間には、適当な組
換えシグナル配列(RSS)が置かれる。加えて、その
ようなトランスジーンは、定常領域遺伝子セグメントを
VJまたはVDJ再配列された可変領域と結合するため
の適当なRNAスプライシングシグナルも含む。
【0094】複数のC領域遺伝子セグメント、例えばヒ
トゲノムからのCμおよびCγ1 を含む重鎖トランスジ
ーン内でのイソタイプスイッチを促進するために、各定
常領域遺伝子セグメントの上流で且つ可変領域遺伝子セ
グメントの下流に、免疫グロブリンクラススイッチ、例
えばIgMからIgGへのクラススイッチを考慮した前記定
常領域間の組換えを可能にするため、下記に説明するよ
うな「スイッチ」領域が組み込まれる。そのような重鎖
および軽鎖免疫グロブリントランスジーンは、可変領域
遺伝子セグメントの上流に置かれたプロモーター領域を
含む転写調節配列(典型的にはTATAモチーフを含む)も
含有する。
【0095】プロモーター領域は、下流配列に作用可能
に連結されると該下流配列の転写を指令することができ
るDNA配列として大体定義することができる。プロモ
ーターは、効率的転写を指令するために連結された追加
のシス作用性配列の存在を必要とすることがある。更に
好ましくは、繁殖不能性転写物の転写に関係する他の配
列が含まれる。繁殖不能性転写物の発現に関係する配列
の例は、Rothman ら、Intl. Immunol. 2: 621-627 (19
90) ; Reidら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA86:840-844
(1989) ; Stavnezer ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
85:7704-7708 (1988) および Millsら、Nucl. Acids
Res. 18:7305-7316 (1991) (この各々は参考として本
明細書中に組み込まれる)を包含する、発表文献中に見
つけることができる。
【0096】それらの配列は、典型的にはスイッチ領域
のすぐ上流の少なくとも約50 bp 、好ましくはスイッチ
領域の上流の少なくとも約200 bp、より好ましくはスイ
ッチ領域の少なくとも約200 〜1000 bp またはそれ以上
を含む。適当な配列はヒトSγ1,Sγ2,Sγ3,Sγ4,S
α1,Sα2 およびSεスイッチ領域のすぐ上流に存在す
るが、ヒトSγ1 およびSγ3 スイッチ領域のすぐ上流
の配列が好ましい。それに代えて、又はそれと組合わせ
て、ネズミIgスイッチ配列を用いることができる。ト
ランスジェニック非−ヒト動物と同じ種のIgスイッチ
配列を用いるのが、しばしば有利である。特に、インタ
ーフェロン(IFN)誘導性転写調節要素、例えばIF
N誘導性エンハンサーがトランスジーンスイッチ配列の
すぐ上流に含まれるのが好ましい。
【0097】プロモーターに加えて、主にB系列細胞中
で機能する他の調節配列が使われる。例えば、軽鎖トラ
ンスジーン上の好ましくはJセグメントと定常領域遺伝
子セグメントとの間に置かれた軽鎖エンハンサー配列
は、トランスジーンの発現を増強し、それによって対立
遺伝子排除を促進するために使われる。重鎖トランスジ
ーンの場合、調節エンハンサーも使われる。そのような
調節配列は、トランスジーンの転写および翻訳を最大に
し、その結果対立遺伝子排除を誘導しそして比較的高い
レベルのトランスジーン発現を提供するために用いられ
る。
【0098】上述のプロモーターおよびエンハンサー調
節配列は包括的に記載されているけれども、そのような
調節配列は非ヒト動物に対して異種であることができ、
異種トランスジーン免疫グロブリン遺伝子セグメントが
得られるゲノムDNAから誘導することができる。ある
いは、そのような調節遺伝子セグメントは、重鎖および
軽鎖トランスジーンを含む、非ヒト動物または密接に関
連した種のゲノム中の対応する調節配列から誘導され
る。
【0099】好ましい態様では、遺伝子セグメントはヒ
トから誘導される。そのような重鎖および軽鎖トランス
ジーンを含有するトランスジェニック非ヒト動物は、そ
のような動物に投与される特異抗原に対してIg介在型免
疫応答を開始することができる。そのような動物中では
異種ヒト抗体を産生することのできるB細胞が産生され
る。不死化後、および適当なモノクローナル抗体(Mab
)、例えばハイブリドーマの選択後、治療用ヒトモノ
クローナル抗体の源が提供される。そういったヒトMab
は、ヒトに療法的に投与した時に実質的に減少された免
疫原性を有する。
【0100】好ましい態様はヒト遺伝子セグメントを含
む重鎖および軽鎖トランスジーンの作製を開示するけれ
ども、本発明はそれに限定されない。この点に関して
は、本明細書中に記載される教示は、ヒト以外の種から
の免疫グロブリン遺伝子セグメントの使用に合わせて容
易に改変できると理解すべきである。例えば、本発明の
抗体によるヒトの療法的処置に加えて、適切な遺伝子セ
グメントによりコードされた療法的抗体を用いて獣医科
学において使用するためのモノクローナル抗体を生成せ
しめることができる。
【0101】再配列されたトランスジーン 別の態様では、トランスジェニック非ヒト動物は、トラ
ンスジェニック動物の生殖細胞中に機能的に少なくとも
1つの再配列された異種重鎖免疫グロブリントランスジ
ーンを含有する。そのような動物は上述のような再配列
された重鎖トランスジーンを発現する一次レパートリー
B細胞を含有する。そのようなB細胞は、好ましくは、
抗原と接触すると体細胞突然変異を受け、該抗原に対し
て高い親和性を特異性を有する異種抗体を形成すること
ができる。前記再配列されたトランスジーンは、少なく
とも2つのCH 遺伝子とイソタイプスイッチに必要な関
連配列を含むだろう。
【0102】本発明はまた、重鎖および軽鎖トランスジ
ーンを有する生殖細胞を含み、前記トランスジーンのう
ちの一方が再配列された遺伝子セグメントを含み、他方
が再配列されていない遺伝子セグメントを含む、トラン
スジェニック動物にも関する。そのような動物では、重
鎖トランスジーンが少なくとも2つのCH 遺伝子とイソ
タイプスイッチに必要な関連配列を有するだろう。
【0103】本発明は更に、本発明のトランスジーンに
おいて使うことができる合成可変領域遺伝子セグメント
レパートリーを作製する方法にも関する。該方法は、免
疫グロブリンVセグメントDNAの集団を作製すること
を含んで成る。ここで前記VセグメントDNAの各々は
免疫グロブリンVセグメントをコードし、そして各末端
に制限エンドヌクレアーゼの開裂認識部位を含む。免疫
グロブリンVセグメントDNAの前記集団は、その後、
鎖状に連結されて合成免疫グロブリンVセグメントレパ
ートリーを形成する。そのような合成可変領域重鎖トラ
ンスジーンは、少なくとも2つのCH 遺伝子とイソタイ
プスイッチに必要な関連配列を有するだろう。
【0104】イソタイプスイッチ Bリンパ球の発達過程において、該細胞は、生産的に再
配列されたVH およびVL 領域によって決定される結合
特異性を有するIgMを最初に産生する。続いて、各B細
胞とその子孫の細胞が同じLおよびH鎖V領域を有する
抗体を合成するが、それらはH鎖のイソタイプをスイッ
チすることができる。
【0105】μまたはδ定常領域の使用は、大部分は、
IgMおよびIgDを単一細胞中で同時発現できるようにす
る、交互スプライシングによって決定される。その他の
重鎖イソタイプ(γ,αおよびε)は、遺伝子再配列現
象がCμおよびCδエクソンを欠失させた後で本質的に
のみ発現される。この遺伝子再配列過程はイソタイプス
イッチと呼ばれ、典型的には各重鎖遺伝子(δを除く)
のすぐ上流に置かれたいわゆるスイッチセグメントの間
での組換えによって起こる。
【0106】個々のスイッチセグメントは長さが 2〜10
kb であり、主として短い反復配列から成る。組換えの
正確な位置は個々のクラススイッチ現象ごとに異なる。
cDNA由来のCH プローブを用いるサザンブロット法また
は溶液ハイブリダイゼーション速度論を使った実験は、
スイッチが細胞からのCH 配列の消失に関係し得ること
を確証した。
【0107】μ遺伝子のスイッチ(S)領域、Sμは、
コード配列の約1〜2kb5′側に位置し、そして (GAGC
T)n (GGGGT) の形の配列の多数の縦列反復から成る。こ
こでnは通常2〜5であるが、17ほどの大きさに及ぶこ
とができる。〔T. Nikaidoら、Nature, 292: 845-848(1
981)を参照のこと。〕 他のCH 遺伝子の5′にも、数キロ塩基対に及ぶ同様な
内部反復性スイッチ配列が見つかっている。Sα領域は
配列決定されており、縦列に反復した80 bp の相同性単
位から成ることが判明した。一方、S2a,S2bおよびS
3 は全て、互いに非常に類似している反復した49 bp の
相同性単位を含む〔P. Szurek ら、J. Immunol, 135: 6
20-626 (1985) およびT. Nikaidoら、J. Biol. Chem.
257:7322- 7329 (1982) を参照のこと;これらは参考と
して本明細書中に組み込まれる〕。全ての配列決定され
たS領域は、Sμ遺伝子の基本的反復配列であるペンタ
マーGAGCT およびGGGGT の多数の存在を含む〔T. Nikai
doら、J. Biol. Chem. 257: 7322-7329 (1982) ;これ
は参考として本明細書中に組み込まれる〕;他のS領域
では、それらのペンタマーはSμのようには正確に縦列
に反復されていないが代わりに大きな反復単位中に埋も
れている。Sγ1 領域は追加の高次構造を有し、即ち、
2つの直接反復配列が49 bp の縦列反復の2つのクラス
ターの各々に隣接する〔M.R.Mowattら、J. Immunol. 13
6: 2674-2683 (1986) を参照のこと;これは引用して本
明細書中に組み込まれる〕。
【0108】ヒトH鎖遺伝子のスイッチ領域はそれらの
マウス同族体に非常に類似していることがわかってい
る。実際、CH 遺伝子の5′側のヒトクローンとマウス
クローンの間の類似性はS領域に限られることがわかっ
ており、これは、それらの領域の生物学的重要性を確証
する事実である。μ遺伝子とα遺伝子の間のスイッチ組
換えは複合Sμ−Sα配列をもたらす。典型的には、組
換えが常に起こるような特異部位はSμ領域中にも他の
S領域中にも存在しない。
【0109】一般に、V−J組換えの酵素的機構とは異
なり、スイッチ機構は、明らかに生殖細胞S前駆体の反
復相同領域の種々の整列を適応させることができ、次い
で該配列を異なる位置で一直線上に連結することができ
る。〔T.H. Rabbitts ら、Nucleic Acids Res. 9: 450
9-4524 (1981) およびJ. Ravetchら、Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 77:6734-6738 (1980) を参照のこと;こ
れらは参考として本明細書中に組み込まれる。〕 特定のイソタイプへのスイッチを選択的に活性化する機
構の詳細は未知である。リンホカインやサイトカインの
ような外因性影響物質はイソタイプ特異的レコンビナー
ゼを増加調節するかもしれないが、この酵素機構はあら
ゆるイソタイプへのスイッチを触媒し、そして特異性が
この酵素機構の標的を特定のスイッチ領域に向けること
にある可能性もある。
【0110】T細胞由来のリンホカインIL-4および IFN
γは、幾つかのイソタイプの発現を特異的に促進するこ
とが証明されている:IL-4はIgM,IgG2a, IgG2bおよ
びIgG3 発現を減少させ、IgEおよびIgG1 発現を増加
させる; IFNγはIgG2a発現を選択的に刺激し拮抗する
一方、IgEとIgG1 発現の増加を誘導する〔Coffman
ら、J. Immunol. 136: 949-954 (1986) およびSnapper
ら、Science 236: 944-947(1987);これらは参考とし
て本明細書中に組み込まれる〕。
【0111】スイッチに関するT細胞作用に関係する実
験のほとんどは、特定のスイッチ組換えを有する細胞に
おいて観察される増加が事前スイッチされた細胞または
事前傾倒された細胞の選択を反映し得る可能性を無視す
ることができなかった。しかし、最もありそうな説明は
リンホカインが実際にスイッチ組換えを促進するという
ものである。
【0112】クラススイッチの誘導は、スイッチセグメ
ントの上流で始まる繁殖不能転写物(stelile transcrip
t)に関係があるらしい〔Lutzekerら、Mol. Cell Biol.
8:1849 (1988) ; Stavnezer ら、Proc. NatlAcad. Sc
i. USA 85:7704 (1988) ; EsserおよびRadbruch, EMBO
J. 8: 483 (1989) ; Bertonら、Proc. Natl. Acad.Sc
i. USA 86:2829 (1989) ; Rothmanら、Int. Immunol.
2:621 (1990);これらの各々は参考として本明細書中に
組み込まれる〕。例えば、観察されるIL-4によるγ1繁
殖不能転写物の誘導および IFNγによる阻害は、IL-4が
B細胞中でのγ1へのクラススイッチを促進し、 IFNγ
がγ1発現を阻害するという観察結果と一致する。従っ
て、繁殖不能転写物の転写に影響を及ぼす調節配列の包
含は、イソタイプスイッチの速度にも影響を及ぼし得
る。例えば、特定の繁殖不能転写物の転写を増加せしめ
ることが、典型的には近隣のスイッチ配列を伴うイソタ
イプスイッチ組換えの頻度を増加させると期待できる。
【0113】それらの理由により、トランスジーンがイ
ソタイプに使用する予定の各スイッチ領域の約1〜2 k
b 上流以内に転写調節配列を含むことが望ましい。それ
らの転写調節配列は、好ましくはプロモーターとエンハ
ンサー要素を含み、より好ましくはスイッチ領域と生来
関連している(即ち生殖細胞配置で存在する)5′隣接
(即ち上流)領域を含む。この5′隣接領域は、典型的
には長さが少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは長さ
が少なくとも約200 ヌクレオチド、より好ましくは少な
くとも500 〜1000ヌクレオチドである。
【0114】1つのスイッチ領域からの5′隣接配列を
トランスジーン構成物用の別のスイッチ領域に作用可能
に連結させることができる(例えば、ヒトSγ1 スイッ
チからの5′隣接配列をSα1 スイッチのすぐ上流に融
合させることができ;ネズミSγ1フランキング領域を
ヒトγ1スイッチ配列の隣りに移植することができ;あ
るいはネズミSγ1スイッチをヒトγ1コード領域に移
植することができる)けれども、或る態様では、トラン
スジーン構成物中に含まれる各スイッチ領域が、天然に
存在する生殖細胞配置においてすぐ上流に存在する5′
隣接配列を有することが好ましい。
【0115】モノクローナル抗体 モノクローナル抗体は、当業者にとっては周知のさまざ
まな技術によって得ることができる。簡単に言うと、望
ましい抗原で免疫化された動物からの脾細胞を、一般に
は骨髄腫細胞との融合によって不死化させる。(Kohler
及びMilstein,Eur. J. Immunol., ; 511-519 (197
6)を参照のこと)。不死化の代替的方法としては、エ
プスタイン−バーウイルス、オンコ遺伝子又はレトロウ
イルスでの形質転換、又はその他の当該技術分野におい
て周知の方法が含まれる。
【0116】単一の不死化された細胞から発生したコロ
ニーは、抗原に対する望ましい特異性及び親和力を有す
る抗体の産生についてスクリーニングされ、かかる細胞
により産生されるモノクローナル抗体の収量は、脊椎動
物宿主の腹腔内への注入を含むさまざまな技術によって
増強できる。免疫グロブリンを産生するための動物の免
疫化、モノクローナル抗体の産生;プローブとしての使
用を目的とした免疫グロブリンの標識付け;イムノアフ
ィニティ精製;及び免疫学的検定法を含め、これらの技
術分野で有効なさまざまな技法が、例えば、Harlow及び
Lane、抗体:その研究室マニュアル、Cold Spring Harb
or, New York (1988)の中で論述されている。
【0117】トランスジェニック一次レパートリー A.ヒト免疫グロブリン遺伝子座 トランスジーン機能のための重要な必要条件は、広範囲
の抗原に対して二次免疫応答を開始させるのに十分な程
度に多様である一次抗体レパートリーの作製である。再
配列された重鎖遺伝子は、シグナルペプチドエクソン、
可変領域エクソン、および各々が数個のエクソンにより
コードされる多ドメイン定常領域の縦列整列領域から成
る。定常領域遺伝子の各々は異なる免疫グロブリンクラ
スの定常部分をコードする。B細胞発達の間に、定常領
域に近いV領域が欠失されて新規重鎖クラスの発現をも
たらす。各重鎖クラスについては、RNAスプライシン
グの別パターンが経膜型と分泌型の両方の免疫グロブリ
ンをもたらす。
【0118】ヒト重鎖遺伝子座は、2 Mbにわたる約200
個のV遺伝子セグメント(今回のデーターは約50−100
V遺伝子セグメントの存在を支持している。)、約40 k
b にわたる約30個のD遺伝子セグメント、3 kbの範囲内
に密集した6個のJセグメント、および約300 kbにわた
る9個の定常領域遺伝子セグメントから成ると予想され
る。全遺伝子座は、染色体14の長い方の腕の遠位部分約
2.5 Mbに及ぶ(図4)。
【0119】B.遺伝子断片トランスジーン 1.重鎖トランスジーン 好ましい態様では、免疫グロブリン重鎖および軽鎖トラ
ンスジーンは、ヒト由来の再配列されていないゲノムD
NAを含んで成る。重鎖の場合、好ましいトランスジー
ンは670 〜830 kbの長さを有する NotI断片を含んで成
る。この断片の長さは、3′制限部位が実際にマッピン
グされていないため、不明瞭である。しかしながら、α
1とψα遺伝子セグメントとの間にあることが知られて
いる。この断片は、6つの既知VH ファミリーの全部の
メンバー、DおよびJ遺伝子セグメント、並びにμ,
δ,γ3,γ1およびα1定常領域を含む。Bermanら、
EMBOJ. 7:727-738 (1988)。このトランスジーンを含
有するトランスジェニックマウス系は、B細胞の発達に
必要とされる重鎖クラス(IgM)を正しく発現し、そし
てほとんどの抗原に対して二次応答を開始せしめのに十
分な程多数のレパートリーと共に、少なくとも1つのス
イッチされた重鎖クラス(IgG1 )を発現する。
【0120】2.軽鎖トランスジーン ヒト軽鎖遺伝子座からの必要な遺伝子セグメントおよび
調節配列を全て含有するゲノム断片を同様に作製するこ
とができる。そのような構成物は本実施例中に記載のよ
うにして作製される。
【0121】C.生体内組換えにより細胞内的に作製さ
れるトランスジーン 単一DNA断片上の重鎖遺伝子座の全部または一部分を
単離する必要はない。例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖
遺伝子座からの670-830 kp NotI断片は、トランスジー
ン形成(transgenesis)の間に非ヒト動物の生体内で形成
させることができる。そのような生体内トランスジーン
作製は、2以上の重複するDNA断片を非ヒト動物の胎
児性核に導入することにより行われる。DNA断片の重
複部分は、実質的に相同であるDNA配列を有する。胎
児性核内に含まれるレコンビナーゼに暴露されると、重
複しているDNA断片が適切な方向において相同的に組
み換わって670-830 kbの NotI重鎖断片を形成する。
【0122】生体内トランスジーン作製は、そのサイズ
のために現存の技術による作製または操作が困難である
かまたは不可能である多数の免疫グロブリントランスジ
ーンを形成せしめるのに使うことができると理解すべき
である。例えば、生体内トランスジーン作製は、YAC
ベクター〔MurrayおよびSzostak, Nature 305:189-19
3 (1983)〕により操作することができるDNA断片より
も大きい免疫グロブリントランスジーンを作製するのに
有用である。そのような生体内トランスジーン作製は、
トランスジェニック非ヒト動物から成らない種の実質的
に完全な免疫グロブリン遺伝子座を非ヒト動物中に導入
する場合にも使うことができる。
【0123】ゲノム免疫グロブリントランスジーンを形
成させることに加えて、実施例に記載の如く「小遺伝子
座」トランスジーンを形成させるのにも生体内相同組換
えを使うことができる。生体内トランスジーン作製を利
用する好ましい態様では、各々の重複するDNA断片
は、好ましくは第一のDNA断片の末端部分と第二のD
NA断片の末端部分の間で重複する実質的に相同なDN
A配列を有する。DNA断片のそのような重複部分は、
好ましくは約500 bp〜約2000 bp、最も好ましくは1.0
kb〜2.0 kbを含む。生体内でトランスジーンを形成させ
るための重複DNA断片の相同組換えは、1992年3月19
日に公開された「哺乳類細胞における相同性組換え(Ho
mologous Recombination in Mammalian Cells)と称する
PCT 公開WO 92/03917 に更に詳しく記載されている。
【0124】D.小遺伝子座トランスジーン 本明細書中で使用する時、「免疫グロブリン小遺伝子
座」なる用語は、通常は約150 kb未満、典型的には約25
〜100 kbのDNA配列であって、前記DNA配列が少な
くとも1つの実質的不連続性(例えば、相同ゲノムDN
A配列に関して、通常は少なくとも約 2〜5 kb、好まし
くは10〜25 kb またはそれ以上の欠失)を有するよう
な、次のものを各々少なくとも1つ含むDNA配列を言
う:機能的可変(V)遺伝子セグメント、機能的連結
(J)領域セグメント、少なくとも1つの機能的定常
(C)領域遺伝子セグメント、および重鎖小遺伝子座の
場合には、機能的多様性(D)領域セグメント。軽鎖小
遺伝子座トランスジーンは、長さが少なくとも25 kb 、
典型的には50〜80 kb であるだろう。重鎖トランスジー
ンは、スイッチ領域に作用可能に連結された2つの定常
領域を有する、典型的には約70〜80 kb 、好ましくは少
なくとも約60 kb の長さであろう。更に、小遺伝子座の
個々の要素は好ましくは生殖細胞(ジャームライン)配
置にあり、そして小遺伝子座の該要素により完全にコー
ドされる多様な抗原特異性を有する機能的抗体分子を発
現するように、トランスジェニック動物の前駆体B細胞
において遺伝子再配列を受けることができる。更に、少
なくとも2つのCH 遺伝子と必要なスイッチ配列とを含
んで成る重鎖小遺伝子座は、典型的には、異なる免疫グ
ロブリンクラスの機能的抗体分子が生成されるように、
イソタイプスイッチを受けることができる。そのような
イソタイプスイッチは、トランスジェニック非ヒト動物
内に存在するB細胞中で生体内で起こるか、またはトラ
ンスジェニック非ヒト動物から外植されたB細胞系列の
培養細胞中で起こり得る。
【0125】他の好ましい態様では、免疫グロブリン重
鎖および軽鎖トランスジーンはVH,DおよびJH 遺伝
子セグメントを各々1つまたは複数並びにCH 遺伝子を
2つ以上含んで成る。適当なタイプの遺伝子セグメント
の少なくとも1つが小遺伝子座トランスジーンに組み込
まれる。重鎖トランスジーンのCH セグメントに関して
は、トランスジーンが少なくとも1つのμ遺伝子セグメ
ントと、少なくとも1つの他の定常領域遺伝子セグメン
ト、より好ましくはγ遺伝子セグメント、最も好ましく
はγ3またはγ1遺伝子セグメントとを含むことが好ま
しい。この優先性は、コードされる免疫グロブリンのIg
M形とIgG形の間のクラススイッチおよび分泌形の高親
和性非IgM免疫グロブリンの産生を考慮したものであ
る。他の定常領域遺伝子セグメント、例えばIgD,IgA
およびIgEの産生をコードするものも使うことができ
る。
【0126】当業者は、重鎖CH 遺伝子の発生の順序が
該CH 遺伝子の供与体として働く種の生殖細胞において
見つかる天然に存在する空間的順序とは異なるであろう
トランスジーンも作製するだろう。更に、当業者は、1
つの種の複数の個体からCH 遺伝子を選択することがで
き(例えば、同種異系CH 遺伝子)、そしてイソタイプ
スイッチを受けることができる過剰のCH 遺伝子として
前記遺伝子をトランスジーン中に組み込むことができ
る。次いで、結果として生じたトランスジーン非ヒト動
物は、或る態様では、トランスジーンCH 遺伝子を得た
前記種に象徴されるアロタイプの全てを包含する様々な
クラスの抗体を生産することができる。
【0127】更にまた、当業者は、異なる種からCH
伝子を選択してトランスジーン中に組み込むことができ
る。各CH 遺伝子と共に機能的スイッチ配列が含まれる
が、使用するスイッチ配列は必ずしもCH 遺伝子の隣に
天然に存在するものである必要はない。種間のCH 遺伝
子組み合わせは、様々な種からのCH 遺伝子に相当する
多様なクラスの抗体を産生することのできるトランスジ
ェニック非ヒト動物をもたらすだろう。種間CH トラン
スジーンを含有するトランスジェニック非ヒト動物は、
獣医学用のモノクローナルを産生するハイブリドーマを
作製するためのB細胞の源として働くことができる。
【0128】ヒトの重鎖J領域セグメントは、3kbのD
NA長さにおいて密集した6個の機能的Jセグメントと
3個の偽遺伝子を含んで成る。それが比較的小さいサイ
ズであることとそれらのセグメントがμ遺伝子およびδ
遺伝子の5′部分と一緒に単一の23 kb SFiI/SpeI断片
として単離できること〔Sadoら、Biochem. Biophys.Re
s. Commun.154:246-271 (1988);これは参考として本明
細書中に組み込まれる〕を仮定すれば、小遺伝子座構成
物において全部のJ領域遺伝子セグメントを使うことが
好ましい。更に、この断片はμ遺伝子とδ遺伝子の間の
領域に広がるため、μ発現に必要とされるシス結合した
3′調節要素の全部を含むことが適当である。
【0129】更に、この断片は完全なJ領域を含むた
め、重鎖エンハンサーとμスイッチ領域を含む〔Mills
ら、Nature 306:809 (1983) ; Yancopoulosおよび Al
t, Ann.Rev. Immunol. 4:339-368 (1986);これらは参
考として本明細書中に組み込まれる〕。それは、VDJ
結合を開始させて一次レパートリーB細胞を形成させる
転写開始部位も含む〔Yancopoulos およびAlt, Cell
40:271-281 (1985) ;これは参考として本明細書中に組
み込まれる〕。あるいは、23 kb SfiI/SpeI 断片の代わ
りに、D領域の一部を含む36 kb BssHII/SpeI 断片を使
うことができる。そのような断片の使用は、効率的D−
J結合を促進させる5′隣接配列の量を増加させる。
【0130】ヒトD領域は、縦列に結合した4または5
個の相同な9 kbの亜領域から成る〔Siebenlistら、Natu
re 294:631-635 (1981)〕。各亜領域は10個までの個々
のDセグメントを含む。それらのセグメントの一部はマ
ッピングされており、それを図4に示す。2つの異なる
方策を使って小遺伝子座D領域を作製する。第一の方策
は、1つまたは2つの反復D亜領域を含む短いDNAの
連続鎖の中に置かれたそれらのDセグメントのみを使う
ものである。候補となるのは、12個の個々のDセグメン
トを含む単一の15 kb 断片である。
【0131】DNAのこの断片は2つの連続するEcoRI
断片から成り、そして完全に配列決定されている〔Ichi
haraら、EMBO J. 7:4141-4150 (1988)〕。12のDセグメ
ントが一次レパートリーに十分であろう。しかしなが
ら、D領域の分散性質があるとすれば、別の方策は、幾
つかの不連続D断片含有断片を一緒に連結して、より多
数のセグメントを有する一層小型のDNA断片を作製す
ることである。例えば、特徴的な隣接ノナマーまたはヘ
プタマー配列(前傾)の存在により、および文献への参
照により、追加のDセグメント遺伝子を同定することが
できる。
【0132】重鎖小遺伝子座トランスジーンを作製する
のには、少なくとも1つ、好ましくは複数のV遺伝子セ
グメントが使われる。隣接配列を伴うまたは伴わない、
再配列されたまたは再配列されていないVセグメント
は、「異種性抗体を生産することができるトランスジェ
ニック非−ヒト動物」(Transgenic Non-Human AnimalC
apable of Producing Heterologous Artibodies) と称
する。1992年3月19日に公開されたPCT 公開WO 92/0391
8 に記載の通りに単離することができる。
【0133】隣接配列を伴うまたは伴わない、再配列さ
れたまたは再配列されていないVセグメント、Dセグメ
ント、JセグメントおよびC遺伝子は、1992年3月19日
に公開されたPCT 公開WO 92/03918 に記載の通りに単離
することができる。小遺伝子座軽鎖トランスジーンは、
ヒトλまたはκ免疫グロブリン遺伝子座から同様にして
作製することができる。すなわち、例えば、複数のDN
A断片、少なくとも2つ、3つまたは4つのDNA断片
から、V,D,Jおよび定常領域配列(各配列はヒト遺
伝子配列に実質的に相同である)をコードする、例えば
約75kbの、免疫グロブリン重鎖小遺伝子座トランスジー
ン構成物を形成せしめることができる。好ましくは、前
記配列は転写調節配列に作用可能に連結され、そして再
配列を受けることができる。2以上の適当に置かれた定
常領域配列(例えばμおよびγ)およびスイッチ領域で
は、スイッチ組換えも起こる。典型的な軽鎖トランスジ
ーン構成物は、1990年8月29日出願の同時係属出願 USS
N 07/574,748に記載の通りに、ヒトDNAに実質的に相
同であり且つ再配列を受けることのできる複数のDNA
断片から同様に形成せしめることができる。
【0134】E.イソタイプスイッチを受けることがで
きるトランスジーン構成物 理想的には、クラススイッチを受けることになっている
トランスジーン構成物は、繁殖不能転写物を調節するの
に必要なシス作用性配列の全てを含むべきである。天然
に存在するスイッチ領域並びに上流のプロモーターおよ
び調節配列(例えばIFN誘導性要素)は、イソタイプ
スイッチを受けることができるトランスジーン構成物中
に含まれる好ましいシス作用性配列である。スイッチ領
域、好ましくはヒトγ1スイッチ領域のすぐ上流の少な
くとも約50塩基対、好ましくは少なくとも約200 塩基
対、より好ましくは少なくとも500 〜1000塩基対または
それ以上の配列が、スイッチ配列、好ましくはヒトγ1
スイッチ配列に作用可能に連結されるだろう。更に、ス
イッチ領域は、特定のスイッチ領域の隣に天然には存在
しないCH 遺伝子の上流に(且つ近隣に)連結せしめる
ことができる。例えば、限定のつもりでないが、ヒトγ
1スイッチ領域をヒトα2CH 遺伝子の上流に連結して
もよく、またはマウスγ1スイッチ領域をヒトCH 遺伝
子に連結してもよい。
【0135】トランスジェニックマウスにおいて非古典
的イソタイプスイッチ(例えばδ−関連欠失)を得るた
めの別法は、ヒトμ遺伝子に隣接する400 bpの直接反復
配列(σμおよびεμ)〔Yasui ら、Eur. J. Immunol.
19:1399 (1989)〕の包含を伴う。それらの二配列の間
の相同組換えはIgD型のみのB細胞においてμ遺伝子を
欠失せしめる。重鎖トランスジーンは、次の式によって
表すことができる: (VH ) x-(D) y-(JH ) z -(S D ) m -(C1) n -[(T)-
(SA ) p -(C2)]q 上式中、VH は重鎖可変領域遺伝子セグメントであり、
Dは重鎖D(多様性)領域遺伝子セグメントであり、J
H は重鎖J(連結)領域遺伝子セグメントであり、
【0136】SD はイソタイプスイッチが起こるような
a 受容体領域セグメントとの組換え現象に参加するこ
とのできる供与体領域セグメントであり、C1 はB細胞
発達において使われるイソタイプ(例えばμまたはδ)
をコードする重鎖定常領域遺伝子セグメントであり、T
は少なくともプロモーターを含有するシス作用性転写調
節領域セグメントであり、SA はイソタイプスイッチが
起こるような選択されたSD 供与体領域セグメントとの
組換え現象に参加することのできる受容体領域セグメン
トであり、
【0137】C2 はμ以外のイソタイプ(例えばγ1
γ2 ,γ3 ,γ4 ,α1 ,α2 ,ε)をコードする封鎖
定常領域遺伝子セグメントであり、x,y,z,m,
n,pおよびqは整数であり、xは1〜100 、nは0〜
10、yは1〜50、pは1〜10、zは1〜50、qは0〜5
0、mは0〜10である。典型的には、トランスジーンが
イソタイプスイッチを受けることができる時、qは少な
くとも1であり、mは少なくとも1であり、nは少なく
とも1であり、そしてmはnと等しいかまたはそれより
大きくなければならない。
【0138】VH ,D,JH ,SD ,C1 ,T,SA
よびC2 セグメントは様々な種、好ましくは哺乳動物
種、より好ましくはヒトおよびマウス生殖細胞DNAか
ら選択することができる。VH セグメントは、ヒト生殖
細胞中に天然に存在するVH セグメント、例えばVH251
から選択することができる。典型的には、約2個のVH
セグメント、好ましくは約4個、より好ましくは少なく
とも約10個のVH セグメントが含まれる。
【0139】典型的には少なくとも1個のDセグメント
が含まれるが、好ましくは少なくとも10個のDセグメン
トが含まれ、態様によっては、10個以上のDセグメント
が含まれる。幾つかの好ましい態様はヒトDセグメント
を含む。典型的には少なくとも1個のJH セグメントが
トランスジーンに含まれるが、約6個のJH セグメント
を含むことが好ましく、幾つかの好ましい態様は約6個
以上のJH セグメントを含み、非ヒトJH セグメントを
1つも含まない。
【0140】SD セグメントは該トランスジーンのSA
セグメントとの組換え現象に参加することができる供与
体領域である。古典的なイソタイプスイッチでは、SD
およびSA 領域はSμ,Sγ1 ,Sγ2 ,Sγ3 ,Sγ
4 ,Sα,Sα2 およびSεといったスイッチ領域であ
る。好ましくは、スイッチ領域はマウスまたはヒトであ
り、より好ましくはSD がヒトまたはマウスSμであ
り、SA がヒトまたはマウスSγ1 である。非古典的イ
ソタイプスイッチ(δ関連欠失)では、SD およびSA
領域は、好ましくはヒトμ遺伝子に隣接する400 塩基対
の直接反復配列である。
【0141】C1 セグメントは、典型的にはμまたはδ
遺伝子であり、好ましくはμ遺伝子であり、より好まし
くはヒトまたはマウスμ遺伝子である。Tセグメント
は、典型的には天然に存在する(即ち生殖細胞)スイッ
チ領域に隣接する5′隣接配列を含む。Tセグメントは
典型的には長さが少なくとも約50ヌクレオチド、好まし
くは長さが少なくとも約200 ヌクレオチド、より好まし
くは長さが少なくとも500 〜1000ヌクレオチドである。
好ましくはTセグメントは、生殖細胞配置においてヒト
またはマウススイッチ領域のすぐ上流に存在する5′隣
接配列である。前記Tセグメントが動物の生殖細胞に天
然に存在しないシス作用性転写調節配列(例えばウイル
スのエンハンサーおよびプロモーター、例えばSV40、ア
デノウイルス、および真核細胞に感染する他のウイルス
中に見つかるもの)を含んでもよいことは当業者にとっ
て明白である。
【0142】C2 セグメントは、典型的にはγ1
γ2 ,γ3 ,γ4 ,α1 ,α2 またはεCH 遺伝子であ
り、好ましくはそれらのイソタイプのヒトCH 遺伝子で
あり、より好ましくはヒトγ1 またはγ3 遺伝子であ
る。様々な種からの下流(スイッチされる)イソタイプ
遺伝子としてマウスγ2aおよびγ2bを使ってもよい。重
鎖トランスジーンが免疫グロブリン重鎖小遺伝子座を含
む場合、該トランスジーンの全長は典型的には150 キロ
塩基対未満であろう。
【0143】一般に、該トランスジーンは、生来の重鎖
Ig遺伝子座以外のものであるだろう。例えば、不必要
な領域の欠失または他の種からの対応領域との置換が存
在するだろう。
【0144】F.Igトランスジーン中の機能的イソタ
イプスイッチを決定する方法 トランスジェニック非ヒト動物におけるイソタイプスイ
ッチの発生は、当業界で公知である任意の方法によって
同定することができる。好ましい態様としては次のもの
が挙げられ、それらは単独でまたは組み合わせて使用さ
れる。 1. δ以外の少なくとも1つのトランスジーン下流CH
遺伝子に相同である配列とトランスジーンVH −DH
H 再配列された遺伝子に相同である隣接配列とを含有
するmRNA転写物の検出;そのような検出はノーザンハイ
ブリダイゼーション、S1 ヌクレアーゼ保護アッセイ、
PCR増幅、cDNAクローニングまたはその他の方法によ
ることができる。
【0145】2. トランスジェニック動物の血清中の、
または該トランスジェニック動物のB細胞から作製した
ハイブリドーマ細胞の培養上清中の、下流CH 遺伝子に
よりコードされる免疫グロブリンタンパク質の検出。こ
こで免疫化学的方法により、そのようなタンパク質が機
能的可変領域を含んで成ることを証明することもでき
る。
【0146】3. トランスジェニック動物のB細胞から
のDNA中の、またはハイブリドーマ細胞からのゲノム
DNA中の、該トランスジーン中のイソタイプスイッチ
の発生と一致するDNA再配列の検出。そのような検出
はサザンブロットハイブリダイゼーション、PCR増
幅、ゲノムクローニングまたは他の方法によって達成す
ることができる。
【0147】4. イソタイプスイッチの他の徴候、例え
ば繁殖不能転写物の産生、スイッチに関与する特徴的な
酵素の産生(例えば「スイッチレコンビナーゼ」)、あ
るいは現行技術によって検出、測定または観察され得る
他の徴候の同定。各々のトランスジェニック系列はトラ
ンスジーンの異なる組み込み部位とトランスジーン挿入
断片の潜在的に異なる縦列整列を表し、そしてトランス
ジーンと隣接DNA配列の各々の異なる配置は遺伝子発
現に影響を与え得るため、高レベルのヒト免疫グロブリ
ン、特にIgGイソタイプのものを発現し、且つ最少コピ
ー数の該トランスジーンを含有するマウスの系統を同定
しそれを使用することが好ましい。単一コピーのトラン
スジェニック動物は、起こり得る不完全な対立遺伝子発
現の問題を最少にする。
【0148】トランスジーンは典型的には宿主染色体D
NA中、最も普通には生殖細胞DNA中に組み込まれ、
そしてその後の生殖細胞系列トランスジェニック飼育用
動物の飼育によって繁殖される。しかしながら、実施者
は、適宜および所望により、当業界において既知である
かまたは後に開発される他のベクターおよびトランスジ
ェニック法に置換することができる。
【0149】内因性非ヒト重鎖恒常領域遺伝子に対する
トランススイッチが起こって、キメラ重鎖及びかかるキ
メラヒト/マウス重鎖を含む抗体を産生する可能性があ
る。かかるキメラ抗体は、本書で記述するいくつかの用
途には望まれるかもしれないが、望ましくない場合もあ
る。
【0150】G.内因性免疫グロブリン遺伝子鎖の機能
的破壊 好結果に再配列された免疫グロブリン重鎖および軽鎖ト
ランスジーンの発現は、トランスジェニック非ヒト動物
中の内因性免疫グロブリン遺伝子の再配列を抑制するこ
とにより優性作用を有すると予想される。しかしなが
ら、内因性抗体を欠く非ヒト動物を生成せしめる別の方
法は、内因性免疫グロブリン遺伝子座を突然変異せしめ
ることによるものである。胎児性幹細胞技術および相同
組換えを使って、内因性免疫グロブリンレパートリーを
容易に排除することができる。下記はマウス免疫グロブ
リン遺伝子座の機能的破壊を説明する。しかしながら、
開示されるベクターおよび方法は、他の非ヒト動物にお
ける使用に合わせて容易に改変することができる。
【0151】簡単に言えば、この技術は、生殖細胞組織
に分化することができる多分化能性細胞系における、相
同組換えによる遺伝子の不活性化を包含する。マウス免
疫グロブリンの変更コピーを含むDNA構成物を胎児性
幹細胞の核に導入する。その細胞の一部において、導入
されたDNAマウス遺伝子の内因性コピーと組み換わ
り、それを変更コピーで置き換える。新たに操作された
遺伝的損傷を含む細胞を宿主マウス胚に注入し、それを
受容体の雌に再移植する。それらの胚の一部が変異細胞
系に完全に由来する生殖細胞を有するキメラマウスに発
達する。従って、キメラマウスを交配することにより、
導入された遺伝的損傷を含むマウスの新規系列を獲得す
ることが可能である〔Capecchi (1989) Science, 244,
1288-1292により概説されている〕。
【0152】マウスλ遺伝子座は免疫グロブリンのわず
か5%に寄与するため、重鎖および/またはκ軽鎖遺伝
子座の不活性化で十分である。それらの遺伝子座の各々
を破壊するのには3つの方法があり、J領域の欠失、J
−Cイントロンエンハンサーの欠失、および終結コドン
の導入による定常領域コード配列の破壊である。DNA
構成物デザインの見地から、最後の方法の選択が最も簡
単である。μ遺伝子の排除はB細胞の成熟を破壊し、そ
れによっていずれかの機能的重鎖セグメントにクラスス
イッチすることを防ぐ。それらの遺伝子座を破壊(ノッ
クアウト)する方策を下記に概説する。
【0153】マウスμおよびκ遺伝子を破壊するために
は、Jaenischおよび共同研究者〔Zijlstraら(1989), Na
ture, 342, 435-438〕によりマウスβ2ミクログロブリ
ン遺伝子の好結果の破壊に使われたデザインを基にした
標的ベクターを用いる。プラスミドpMCIneo からのネオ
マイシン耐性遺伝子(neo )を標的遺伝子のコード領域
中に挿入する。pMCIneo 挿入断片は neo発現を指令する
のにハイブリッドウイルスプロモーター/エンハンサー
配列を使う。このプロモーターは胎児性幹細胞中で活性
である。従って、破壊(ノックアウト)構成物の組込み
のための選択マーカーとしてneo を使うことができる。
ランダム挿入現象に対する陰性選択マーカーとしてHSV
チミジンキナーゼ(tk)遺伝子を該構成物の末端に付加す
る(Zijlstraら、前掲)。
【0154】重鎖遺伝子座を破壊するための好ましい方
策はJ領域の削除である。この領域はマウスではかなり
小さく、わずか1.3 kbに及ぶ。遺伝子標的ベクターを作
製するために、分泌されるA定常領域エクソンの全部を
含む15 kb の KpnI断片をマウスゲノムライブラリーか
ら単離する。1.3 kbのJ領域をpMCIneo からの1.1 kb挿
入断片により置き換える。次いで該 KpnI断片の5′末
端にHSV tk遺伝子を付加する。相同組換えによるこの構
成物の正しい組込みは、 neo遺伝子によるマウスJH
域の置換をもたらすだろう。neo 遺伝子を基にしたプラ
イマーとD領域中の KpnI部位の5′のマウス配列に相
同のプライマーとを使って、PCRにより組換え体をス
クリーニングする。
【0155】あるいは、μ遺伝子のコード領域を破壊す
ることにより重鎖遺伝子座を破壊(ノックアウト)す
る。このアプローチは、上記のアプローチで使ったもの
と同じ15 kb のKpn I断片を必要とする。pMCIneo から
の1.1 kb挿入断片をエクソンII中のユニークBamHI 部位
のところに挿入し、そしてHSK tk遺伝子を3′Kpn I末
端に付加する。neo 挿入断片の片側における二重交差
(これはtk遺伝子を削除する)を選択する。それらは、
選択されたクローンのプールからPCR増幅により検出
される。PCRプライマーの一方はneo 配列に由来し、
そして他方は標的ベクターの外側のマウス配列に由来す
る。マウス免疫グロブリン遺伝子座の機能的破壊は実施
例に記載される。
【0156】G.内因性免疫グロブリン遺伝子座の発現
の抑制 内因性Ig遺伝子座の機能的破壊に加えて、内因性Ig
遺伝子座の発現を防ぐ別の方法は抑制である。内因性I
g遺伝子の抑制は、1または複数の組み込まれたトラン
スジーンから産生されるアンチセンスRNAにより、ア
ンチセンスオリゴヌクレオチドにより、および/または
1または複数の内因性Ig鎖に特異的な抗血清の投与に
より達成することができる。アンチセンスポリヌクレオチド 特定の遺伝子の発現を部分的または全体的に破壊するた
めにアンチセンスRNAトランスジーンを使うことがで
きる〔Pepin ら(1991)Nature 355: 725 ; Helene, C.
およびToulme, J. (1990) Biochi- mica Biophys. Acta
1049: 99 ; Stout, J.およびCaskey, T.(1990)Somat.
Cell Mol. Genet. 16: 369 ; Munirら (1990) Soma
t. Cell Mol. Genet. 16: 383 ; これらの各々は参考
として本明細書中に組み込まれる〕。
【0157】「アンチセンスポリヌクレオチド」は、
(1)参照配列、例えば内因性IgのC H またはCL 領域
配列の全部または一部に相補的であり、且つ(2)相補
的な標的配列、例えば染色体遺伝子座またはIg mRNA に
特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドである。
そのような相補的アンチセンスポリヌクレオチドは、関
連する標的配列への特異的ハイブリダイゼーションが該
ポリヌクレオチドの機能的性質として保持される限り、
ヌクレオチド置換、付加、欠失または転位を含んでもよ
い。
【0158】相補的アンチセンスポリヌクレオチドとし
ては、個々のmRNA種に特異的にハイブリダイズしそして
該mRNA種の転写および/またはRNAプロセシングおよ
び/またはコードされるポリペプチドの翻訳を防ぐこと
ができる、可溶性アンチセンスRNAまたはDNAオリ
ゴヌクレオチドが挙げられる〔Ching ら、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 86:10006-10010 (1989) ; Broderら、
Ann. Int. Med. 113:604-613 (1990) ; Loreau ら、FE
BS Letters 274: 53-56 (1990) ; Holcenbergら、 W09
1/11535 ; U.S.S.N 07/530,165(「新規ヒトCRIPTO遺伝
子」); WO91/09865 ; WO91/04753 ; WO90/ 13641 およ
びEP 386563 ;これらの各々は参考として本明細書中に
組み込まれる〕。
【0159】アンチセンス配列は、長さが少なくとも約
15の連続ヌクレオチド、より好ましくは長さが約30以上
の連続ヌクレオチドの少なくとも1つの免疫グロブリン
遺伝子配列に相補的であるポリヌクレオチド配列であ
る。しかしながら、或る態様では、アンチセンスポリヌ
クレオチドの特性として特異的ハイブリダイゼーション
が保持される限り、アンチセンス配列は相補的免疫グロ
ブリン遺伝子配列に比較して置換、付加または欠失を有
することができる。一般的に、アンチセンス配列は、免
疫グロブリン鎖をコードするか、またはDNA再配列後
に免疫グロブリン鎖をコードする潜在能力を有する内因
性免疫グロブリン遺伝子配列に相補的である。ある場合
には、免疫グロブリン遺伝子配列に一致するセンス配列
が特に転写を妨害することによって発現を抑制する働き
をすることがある。
【0160】従ってアンチセンスポリヌクレオチドは、
コードされるポリペプチドの産生を阻害する。この点に
関して、1または複数の内因性Ig遺伝子座の転写およ
び/または翻訳を阻害するアンチセンスポリヌクレオチ
ドは、内因性Ig遺伝子座によりコードされる免疫グロ
ブリン鎖を産生する非ヒト動物の能力および/または特
異性を変更することができる。
【0161】アンチセンスポリヌクレオチドは、トラン
スフェクタント細胞またはトランスジェニック細胞中、
例えば個体の造血幹細胞集団の全部または一部を再構成
するのに使われるトランスジェニック多分化能性造血幹
細胞中、あるいはトランスジェニック非ヒト動物中で異
種発現カセットから生産され得る。あるいは、アンチセ
ンスポリヌクレオチドは、試験管内では培地中または生
体内では循環系もしくは間質液中のいずれかの外部環境
に投与される可溶性オリゴヌクレオチドを含んで成るこ
とができる。外部環境中に存在する可溶性アンチセンス
オリゴヌクレオチドは、細胞質に接近しそして特定のmR
NA種の翻訳を阻害することが証明されている。
【0162】ある態様では、アンチセンスポリヌクレオ
チドがメチルホスホネート成分を含んで成るか、あるい
はホスホロチオネートまたはO−メチルリボヌクレオチ
ドを使用してもよく、そしてキメラオリゴヌクレオチド
を使用してもよい〔Dagle ら(1990) Nucleic Acids Re
s. 18: 4751〕。ある用途には、アンチセンスオリゴヌ
クレオチドはポリアミド核酸を含んでもよい〔Nielsen
ら (1991) Science254: 1497 〕。アンチセンスポリヌ
クレオチドに関する一般法については、Antisense RNA
and DNA (1988), D.A. Melton編, Cold Spring Harbor
Labo-ratory, Cold Spring Harbor, NYを参照のこと。
【0163】1または複数の配列に相補的なアンチセン
スポリヌクレオチドを使って、転写、RNAプロセシン
グ、および/または同起源のmRNA種の翻訳を阻害し、そ
れによってコードされる各ポリペプチドの量を減少させ
る。そのようなアンチセンスポリヌクレオチドは、生体
内で1または複数の内因性Ig遺伝子座の形成を阻害す
ることにより治療機能を提供することができる。
【0164】可溶性アンチセンスポリヌクレオチドとし
てまたはアンチセンストランスジーンから転写されたア
ンチセンスRNAとしてのいずれにせよ、本発明のアン
チセンスポリヌクレオチドは、生体内の生理的状態にお
いて内因性Ig配列に優先的にハイブリダイズするよう
に選択される。最も典型的には、選択されたアンチセン
スポリヌクレオチドは、本発明の重鎖または軽鎖トラン
スジーンによりコードされる異種Ig配列にそれほど多
くはハイブリダイズしないだろう(即ち、アンチセンス
オリゴヌクレオチドは約25〜35%以上トランスジーンI
gf発現を阻害しないであろう)。抗血清抑制 内因性Ig鎖発現の部分的または完全な抑制は、マウス
に1または複数の内因性Ig鎖に対する抗血清を注入す
ることにより達成することができる〔Weiss ら(1984) P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 81:211;これは参考とし
て本明細書中に組み込まれる〕。抗血清は、1または複
数の内因性Ig鎖とは特異的に反応するが本発明のIg
トランスジーンによりコードされる異種Ig鎖とは最少
の反応性を有するかまたは全く反応性を持たないように
選択される。よって、Weiss ら(前掲)のものにより代
表されるようなスケジュールに従った選択抗血清の投与
は、内因性Ig鎖発現を抑制するが本発明のトランスジ
ーンによりコードされる1または複数の異種Ig鎖の発
現を許容する。
【0165】抗体の適切な抗体供給源としては、以下の
ものが含まれる: (1)特異的にマウスμ,γ,κ又は入鎖に結合するも
のの本発明のヒトIgトランスジーンによりコードされ
るヒト免疫グロブリン鎖と反応しない、モノクローナル
抗体といったようなモノクローナル抗体、 (2)混合物が、内因性Ig鎖の単一種上の多重エピト
ープと、多重内因性Ig鎖(例えばマウスμ及びマウス
γ)と、又は多重エピトープ及び多重の鎖又は内因性免
疫グロブリンと結合するような、かかるモノクローナル
抗体の混合物; (3)ポリクローナル抗血清又はその混合物。標準的に
は、かかる抗血清(単鎖)は、内因性Ig鎖の単一種
(例えばマウスμ,マウスγ,マウスκ,マウスλ)又
は内因性Ig鎖の多重種)に結合するため単一特異性の
ものであり、最も好ましくは、かかる抗血清は、本発明
のトランスジーンによりコードされたヒト免疫グロブリ
ン鎖に対して無視できる結合力しか有していない:及び
/又は
【0166】(4)内因性Ig鎖の単一又は多重種に対
し結合し、最も好ましくは本発明のトランスジーンによ
りコードされるヒト免疫グロブリン鎖に対して無視でき
るほどの結合力しかもたないポリクローナル抗血清とモ
ノクローナル抗体の混合物。一般にポリクローナル抗体
が好まれ、かかる実質的に単一特異性のポリクローナル
抗体は、有利には、ヒト以外の動物種(例えばマウス)
から誘導される抗体での予備吸着及び/又は例えば不動
化されたヒトIgを含む親和性樹脂上での抗血清又はそ
の精製分画のアフィニティクロマトグラフィ(ここで結
合された分画は抗血清中の望ましい抗ヒトIgについて
富化されており、この結合分画は標準的には低pH又はカ
オトロピック塩溶液という条件で溶離される)によりヒ
ト免疫グロブリンに対して生成された抗血清から産生で
きる。
【0167】内因性の(例えばマウスの)免疫グロブリ
ン鎖を発現するリンパ球の抗体により誘導された細胞の
枯渇を増強させるため、細胞分裂及び/又は補体固定を
利用することができる。例えば、一実施態様において
は、マウスIgを発現する外植された造血細胞及び/又
はヒトIgトランスジーンを宿すトランスジェニックマ
ウスから得たB−系列のリンパ球の半ビボ枯渇のために
抗体が利用される。かくして、造血細胞及び/又はB系
列リンパ球が、ヒトIgトランスジーンを宿す(好まし
くはヒト重鎖トランスジーン及びヒト軽鎖トランスジー
ンの両方を宿す)ヒト以外のトランスジェニック動物か
ら外植され、外植された細胞は、(1)内因性免疫グロ
ブリン(例えばマウスμ及び/又はκ)に結合し、
(2)トランスジーンによりコードされるヒト免疫グロ
ブリン鎖に対する実質的な結合力に欠ける抗体(単数又
は複数)と共にインキュベートされる。
【0168】このような抗体は、明確化を期して「抑制
抗体」と呼ばれる。外植された細胞集団は、抑制抗体
(単複)に結合する細胞を選択的に枯渇させられる;こ
のような枯渇は、(1)未結合細胞から抑制抗体結合細
胞を除去するための物理的分離(例えば、抑制抗体に結
合している細胞を不動化し除去するため固体支持体又は
磁気ビードに抑制抗体を結合させることができる)、
(2)抑制抗体により結合された細胞の抗体依存型細胞
死滅(例えば、ADCC、補体固定、又は抑制抗体に連関さ
れた毒素による)、及び(3)抑制抗体により誘発され
たクローンアネルギー、などのさまざまな方法により達
成できる。
【0169】往々にして、内因性Ig鎖産生の抗体抑制
のために用いられる抗体は、補体を固定することができ
る。ウサギ又はモルモットといったように半ビボイン
ビトロ枯渇のための便利な補体源と充分反応するように
かかる抗体を選択できることが往々にして好ましい。
ンビボ枯渇については、一般に抑制抗体がヒト以外のト
ランスジェニック動物種においてエフェクター機能を有
することが好ましい。かくして、トランスジェニックマ
ウスでの使用のためには、一般に、マウスエフェクター
機能(例えば、ADCC及び補体固定)を含む抑制抗体が好
ましい。
【0170】1変形実施態様においては、内因性免疫グ
ロブリンを発現するリンパ球の半ビボインビトロ枯渇
のために、予め定められた内因性免疫グロブリン鎖に特
異的に結合する抑制抗体が用いられる。ヒト免疫グロブ
リントランスジーンを宿すヒト以外のトランスジェニッ
ク動物からの細胞外植体(例えばリンパ球試料)は抑制
抗体と接触させられ、抑制抗体に特異的に結合する細胞
は枯渇させられ(例えば、不動化、補体固定などによ
り)、かくして内因性(非ヒト)免疫グロブリンを発現
する細胞(例えばマウスIgを発現するリンパ球)内で
枯渇された細胞副次集団を生成する。
【0171】結果として得られた枯渇したリンパ球集団
(T細胞、ヒトIg−陽性B細胞など)は、内因性抗体
を産生する能力が実質的に無い同じ種の免疫適合性ある
(すなわちMHC 適合性ある)ヒト以外の動物(例えばSC
IDマウス、RAG-1又はRAG-2ノックアウトマウス)の体
内へとトランスファさせることができる。再構成された
動物(マウス)を次に抗原で免疫化させ(又は外植体を
提供したドナー動物を免疫化するのに使用した抗原を用
いて再免疫化させる)、高親和性(親和性成熟した)抗
体及びかかる抗体を産生するB細胞を得ることができ
る。かかるB細胞は、従来の細胞融合によりハイブリド
ーマを生成するのに使用でき、スクリーニングできる。
抗体抑制はその他の内因性Igの失活/抑制方法(例え
ばJH ノックアウト、CH ノックアウト、D−領域切
除、アンチセンス抑制、補償されたフレームシフト失
活)と組合わせて使用することもできる。
【0172】完全な内因性Ig遺伝子座失活 或る種の実施態様では、ヒト可変領域及び非ヒト(例え
ばマウス)恒常領域を含むハイブリッド免疫グロブリン
鎖が形成され得ないような形で(例えばトランスジーン
及び内因性Ig配列の間のトランス切換えにより)、内
因性Ig遺伝子座の完全な失活を行なうことが望まし
い。JH 領域においてのみ機能的に分断されている(原
文with→which の誤り)内因性重鎖対立遺伝子を支持す
るノックアウトマウスは、標準的にはトランスジーンに
よりコードされた再配置されたヒト可変領域(VDJ)
が内因性マウス恒常領域に連鎖された融合タンパク質と
して発現されるトランススイッチを頻繁に示すが、その
他のトランススイッチされた連結も可能である。
【0173】この潜在的問題を克服するためには、一般
に、制限的な意味なく以下のものを含むさまざまな方法
のうちのいずれかにより内因性重鎖遺伝子座を完全に失
活することが望ましい:(1)少なくとも1つ、好まし
くは全ての内因性重鎖恒常領域遺伝子を、相同組換えに
よって機能的に分断及び/又は欠失させること、(2)
少なくとも1つ好ましくは全ての内因性重鎖恒常領域遺
伝子を突然変異させて、終止コドン(又はフレームシフ
ト)をコードし、切形又はフレームシフトされた産物
(トランススイッチされた場合)を産生すること、及び
当業者にとっては明白なその他の方法及び戦略。重鎖恒
常領域遺伝子及び/又はD−領域遺伝子の実質的部分又
は全ての欠失は、特に「ヒット・エンド・ラン」タイプ
などの相同組換えターゲティングベクターによる逐次欠
失を含むさまざまな方法によって達成できる。同様にし
て、内因性軽鎖恒常領域遺伝子を切除するための少なく
とも1つの内因性軽鎖遺伝子(例えばκ)の機能的分断
及び/又は欠失が往々にして好ましい。
【0174】頻繁に、非相同トランスジーンがJセグメ
ント(単複)内のフレームシフト及びトランスジーン恒
常領域遺伝子のうちの単数又は複数のもの(好ましくは
全て)の初期領域(すなわちアミノ末端コーディング部
分)内の補償フレームシフト(例えば原読取り枠を再生
させるため)を含んでいるようなフレームシフトされた
トランスジーンを利用することが好ましい。内因性IgH
遺伝子座恒常遺伝子(補償フレームシフトを含まないも
の)に対するトランススイッチは、切形又はミスセンス
産物を結果としてもたらすことになり、その結果、トラ
ンススイッチされたB細胞は欠失されるか又は選択され
なくなり、かくしてトランススイッチされた表現型は抑
制されることになる。
【0175】内因性Ig遺伝子産物発現(例えば、マウ
ス重鎖及び軽鎖配列)及び/又はトランススイッチされ
た抗体(例えばヒト可変/マウス恒常キメラ抗体)の実
質的に完全な機能的失活を実施するためにはアンチセン
ス抑制及び抗体抑制も同様に使用することができる。内
因性(例えばマウスの)Ig鎖発現の基本的に完全な抑
制を行なうためには、失活及び抑制戦略のさまざまな組
合せを使用することが可能である。
【0176】(トランス−スイッチ)いくつかの変形態
様においては、トランススイッチされた免疫グロブリン
を産生することが望ましい場合がある。例えば、このよ
うなトランススイッチされた重鎖は、キメラのものであ
りうる(すなわち非マウス(ヒト)可変領域及びマウス
恒常領域)。このようなトランススイッチされたキメラ
免疫グロブリンを含む抗体は、非ヒト(例えばマウス)
恒常領域を有することが望まれるさまざまな利用分野
(例えば、ヒト恒常領域を結合しない二次抗体の結合の
ためといったようなマウス免疫学的決定因子の存在につ
いて宿主内のエフェクター機能の保持のため)のために
使用することができる。1例を挙げると、或る種の抗原
に関して、マウス可変領域能力範囲(レパートリー)に
比べて、ヒト可変領域能力範囲が有利である可能性があ
る。
【0177】おそらくは、ヒトVH ,D,JH ,VL
びJL 遺伝子は、進化の間に、或る種の進化上重要な抗
原を結合する免疫グロブリンをコードするその能力のた
めに選択されてきたのであろう:マウスの能力範囲のた
めの進化上選択的な圧力を提供した抗原は、ヒトの能力
範囲を形作るのに進化的圧力を提供した抗原と全く異な
るものである可能性がある。マウス恒常領域(例えばト
ランススイッチされたマウスの)アイソタイプと組合わ
されたときヒト可変領域能力範囲を有利なものにするそ
の他の能力範囲の利点も存在しうる。マウス恒常領域の
存在は、ヒト恒常領域に比べ利点を提供する可能性があ
る。
【0178】例えば、トランススイッチによりヒト可変
領域に連鎖されたマウスγ恒常領域は、予め定められた
抗原(例えばヒトIL−2レセプター)と反応性あるキメ
ラ抗体(好ましくはモノクローナル)を、マウス内のT
リンパ球が機能的ヒトIL−2レセプターを発現する移植
細胞対宿主病のマウスモデルといったマウス疾病モデル
の中でテストできるように、マウスエフェクター機能
(例えばADCC、マウス補体固定)を有する抗体を提供し
うる。これに続いて、ヒト可変領域コーディング配列を
(例えば供給源(ハイブリドーマクローン)からのcD
NAクローニング又はPCR 増幅により)分離させ、望ま
しいヒト恒常領域をコードする配列にスプライシングし
て、免疫原性が好ましくは最小限にされているヒトの治
療用途により適したものであるヒト配列抗体をコードす
ることが可能である。
【0179】結果として得られる完全にヒトのコーディ
ング配列(単複)を有するポリヌクレオチド(単複)を
宿主内で発現させ(例えば哺乳動物細胞中の発現ベクタ
ーから)、医薬品のため精製することが可能である。い
くつかの利用分野では、マウス恒常領域をヒト恒常領域
と置換することなく直接キメラ抗体を使用することがで
きる。トランススイッチされたキメラ抗体のその他の変
形態様及び用途は、当事者にとって明白であろう。
【0180】本発明は、一般にヒト重鎖トランスジーン
と内因性マウス重鎖恒常領域遺伝子の間のトランススイ
ッチの結果として得られるキメラ抗体を発現するBリン
パ球を含む、ヒト以外のトランスジェニック動物を提供
する。このようなキメラ抗体は、一般にマウスのスイッ
チされた(すなわち非μ、非δ)アイソタイプであるマ
ウス恒常領域とヒト配列可変領域を含む。予め定められ
た抗原に対するキメラ抗体を作ることのできるヒト以外
のトランスジェニック動物は、通常、ヒト可変及びヒト
恒常領域遺伝子をコードするヒト重鎖及びヒト軽鎖トラ
ンスジーンの両方が組込まれた場合、完全にヒトの配列
の抗体を作る能力もある。
【0181】最も標準的には、機能的に分断された重鎖
遺伝子座及び/又は軽鎖遺伝子座について同型接合であ
るが、トランススイッチできる単数又は複数の内因性重
鎖恒常領域遺伝子(例えばγ,α,ε)を保持し、頻繁
にシス連鎖したエンハンサーを保持する。このようなマ
ウスは、通常アシュバントと組合わせた形で予め定めら
れた抗原を用いて免疫化され、マウス恒常領域配列に連
鎖されたヒト配列可変領域から成る重鎖を含む検出可能
な量のキメラ抗体を含む免疫応答が生み出される。標準
的には、かかる免疫化された動物の血清は少なくとも約
1μg/ml往々にして約10μg/ ml以上、頻繁には30μ
g/ml以上、そして最高50〜100 μg/ml以上の濃度で
このようなキメラ抗体を含みうる。
【0182】キメラヒト可変/マウス恒常領域重鎖を含
む抗体を含む抗血清は標準的に、ヒト可変/ヒト恒常領
域(完全ヒト配列)重鎖を含む抗体をも含んでいる。ト
ランススイッチされたキメラ抗体は通常、(1)ヒト可
変領域とマウス恒常領域(標準的にはマウスガンマ)か
ら成るキメラ重鎖及び(2)ヒトのトランスジーンコー
ディングを受けた軽鎖(標準的にはけカッパ)又はマウ
ス軽鎖(標準的にはカッパノックアウトパックグラウン
ド内のラムダ)を含んでいる。
【0183】かかるトランススイッチされたキメラ抗体
は、一般に、約1×107 -1以上、好ましくは5×107
-1以上、より好ましくは1×108 -1〜1×109 -1
以上の親和力で予め定められた抗原(例えば免疫原)に
結合する。頻繁には、予め定められた抗原は、ヒトタン
パク質、例えばヒト細胞表面抗原(例えばCD4,CD8,
IL−2レセプター、EGF レセプター、PDGFレセプタ
ー)、その他のヒト生物学的巨大分子(例えばトロンボ
モジュリン、プロテインC、炭水化物抗原、シアリル−
ルイス抗原、L−セレクチン)又は非ヒト疾病関連巨大
分子(例えば細菌性LPS 、ビリオン・カプシドタンパク
質又は外被糖タンパク質)などである。
【0184】本発明は、次のものを含むゲノムを含むヒ
ト以外のトランスジェニック動物を提供する:すなわ
ち、(1)(例えば、機能的スイッチ組換え配列、標準
的には機能的エンハンサーに対するシス連鎖における)
トランススイッチすることのできる少なくとも1つのマ
ウス恒常領域遺伝子を含む同型接合で機能的に分断され
た内因性重鎖遺伝子、(2)機能的ヒト重鎖可変領域を
コードし発現するよう再配置することができかつトラン
ススイッチすることのできる(例えばシス連鎖されたR
SSを有する)ヒト重鎖トランスジーン;さらに任意に
は(3)機能的ヒト軽鎖可変領域をコードするべく再配
置しかつヒト配列軽鎖を発現することのできるヒト軽鎖
(例えばカッパ)トランスジーン;さらに任意には、
(4)同型接合で機能的に分断された内因性軽鎖遺伝子
座(κ、好ましくはκ及びλ);そしてさらに任意に
(5)ヒトトランスジーンによりコードされたヒト配列
可変領域及び内因性マウス重鎖恒常領域遺伝子(例えば
γ1,γ2a,γ2b,γ3)によりコードされたマウ
ス恒常領域配列から成るキメラ重鎖を含む抗体を含む血
清。
【0185】かかるトランスジェニックマウスはさら
に、約1×104 -1以上、好ましくは約5×104 -1
上、より好ましくは1×107 -1〜1×109 -1以上の
親和力で、予め定められたヒト抗原(例えば、CD4,CD
8,CEA )に結合するキメラ抗体を含む血清を含みう
る。頻繁には、こうして産生されたモノクローナル抗体
が少なくとも8×107 -1の親和力をもつハイブリドー
マを作ることができる。往々にして非ヒト抗原に結合す
ることができる、マウス恒常領域とヒト可変領域から成
る重鎖を含むキメラ抗体が同様に血清中に、又はハイブ
リドーマから分泌された抗体として、存在しうる。
【0186】いくつかの変形態様においては、無傷の重
鎖恒常領域遺伝子を保持する失活した内因性マウス重鎖
遺伝子座を有し、トランススイッチできるヒト重鎖トラ
ンスジーンを有し、任意には単数又は複数の失活した内
因性マウス軽鎖遺伝子座を伴い、ヒト軽鎖トランスジー
ンをも有するトランスジェニックマウスを生成すること
が望ましい。かかるマウスは有利にも、トランススイッ
チにより、完全にヒトの重鎖を含む抗体及びキメラ(ヒ
ト可変/マウス恒常)重鎖を含む抗体を交互に発現する
ことのできるB細胞を産生することができる。このマウ
スの血清には、完全にヒトの重鎖を含む抗体及び、好ま
しくは完全にヒトの軽鎖と組合わせた状態でキメラ(ヒ
ト可変/マウス恒常)重鎖を含む抗体を含む抗体が含ま
れる。ハイブリドーマは、このマウスのB細胞から生成
されうる。
【0187】一般にこのようなキメラ抗体はトランスス
イッチにより生成でき、ここで、インビボで産生能ある
V−D−J再配置によりコードされるヒト可変領域及び
ヒト恒常領域、標準的にはヒトμをコードするヒトトラ
ンスジーンは、非トランスジーン免疫グロブリン恒常遺
伝子スイッチ配列(RSS)でのスイッチ組換えを受
け、かくして、標準的に内因性マウス免疫グロブリン重
鎖恒常領域又は第2のトランスジーン上でコードされた
非相同(例えばヒト)重鎖恒常領域である、前記トラン
スジーンによりコードされていないヒト重鎖恒常領域と
トランスジーンコーディングを受けたヒト可変領域を作
動的に連鎖させる。シス−スイッチというのは、トラン
スジーン内のRSS要素の組換えによるアイソタイプス
イッチのことであるが、トランススイッチには、往々に
してトランスジーンを宿す染色体とは異なる染色体上
で、トランスジーンRSSとこのトランスジーンの外側
のRSS要素の間での組換えが関与する。
【0188】トランススイッチは、一般に、発現された
トランスジーン重鎖恒常領域遺伝子と、(非μアイソタ
イプ、標準的にはγの)内因性マウス恒常領域遺伝子の
RSS又は往々にして別々の染色体上に組込まれている
第2のトランスジーン上に含まれたヒト恒常領域遺伝子
のRSSのいずれか一方の間で起こる。トランススイッ
チが第1の、発現されたトランスジーン重鎖恒常領域遺
伝子(例えばμ)のRSSと、第2のトランスジーン上
に含まれたヒト重鎖恒常領域遺伝子のRSSの間で起こ
る場合、実質的に完全にヒトの配列をもつ非キメラ抗体
が産生される。制限的な意味のない例として、ヒト重鎖
恒常領域(例えば、γ1)及び作動的に連鎖されたRS
S(例えばγ1RSS)をコードするポリヌクレオチド
を、トランスジーンコーディングと受けたヒトμ鎖を含
む抗体を発現するトランスジェニックマウスのB細胞
(又はB細胞集団)から生成されたハイブリドーマ細胞
の集団内に導入(例えばトランスフェクション)するこ
とができる。
【0189】結果として得られたハイブリドーマ細胞
を、導入されたポリヌクレオチドの存在について、及び
/又は、ヒトμ鎖の可変領域(イディオタイプ/抗原反
応性)を有しかつ導入されたポリヌクレオチド配列(例
えば、ヒトγ1)によりコードされる恒常領域をもつ重
鎖を含むトランススイッチされた抗体の発現について、
選択することができる。トランスジーンにコードされた
ヒトμ鎖のRSSと下流のアイソタイプ(例えばγ1)
をコードする導入されたポリヌクレオチドのRSSの間
のトランススイッチ組換えは、かくしてトランススイッ
チされた抗体を生成することができる。
【0190】本発明はと同様に、(1)トランススイッ
チすることのできる少なくとも1つのマウス恒常領域遺
伝子(例えばγ2a,γ2b,γ1,γ3)を含む、同
型接合で機能的に分断された内因性重鎖遺伝子座、
(2)機能的ヒト重鎖可変領域をコードするべく再配置
しヒト配列重鎖を発現することができ、かつアイソタイ
プスイッチ(及び/又はトランススイッチ)を受けるこ
とのできるヒト重鎖トランスジーン;さらに任意には
(3)機能的ヒト軽(例えばカッパ)鎖可変領域をコー
ドするべく再配置しヒト配列軽鎖を発現することができ
るヒト軽鎖(例えばカッパ)トランスジーン、そしてさ
らに任意には(4)同型接合で機能的に分断された内因
性軽鎖遺伝子座(標準的にはκ、好ましくはκとλの両
方)、そしてさらに任意には(5)ヒトトランスジーン
によりコードされたヒト配列可変領域及び内因性マウス
重鎖恒常領域遺伝子(例えば、γ1,γ2a,γ2b,
γ3)によりコードされるマウス恒常領域配列から成る
キメラ重鎖を含む抗体を含む血清、を含むゲノムを含む
トランスジェニックマウスを予め定められた抗原で免疫
化する段階を含む、このようなトランススイッチされた
キメラ抗体を産生するための方法も提供している。
【0191】親和性標識:スイッチされたアイソタイプ
についての選択 有利なことに、体細胞突然変異のプロセスは、トランス
スイッチ(及びシススイッチ)と結びつけられる。体細
胞突然変異は、B細胞のクローン後代によりコードされ
る抗体親和力の範囲を拡張する。例えば、スイッチ(ト
ランス−又はシス−)を受けたハイブリドーマ細胞によ
り産生された抗体は、スイッチを受けなかったハイブリ
ドーマ細胞内に存在するよりも広い抗原結合親和力範囲
を示す。従って、第1のヒト重鎖恒常領域(例えばμ)
に対するポリペプチド結合において第1のヒト重鎖可変
領域を含む重鎖を含む第1の抗体を発現するハイブリド
ーマ細胞集団(標準的にはクローンの)を、第2の重鎖
恒常領域(例えばヒトγ、α又はε恒常領域)に対する
ポリペプチド結合において前記第1のヒト重鎖可変領域
を含む重鎖を含む抗体を発現するハイブリドーマ細胞ク
ローン変異株についてスクリーニングすることができ
る。
【0192】かかるクローン変異株は、インビトロでシ
ススイッチを生成する天然クローン変異によって、又は
T細胞誘導されたリンホカイン(例えばIL−4及びIF
Nγ)といったアイソタイプスイッチを促進する作用物
質の投与を通してといったようなクラススイッチ(トラ
ンス−又はシス−)の誘発によって、又はトランススイ
ッチのための基質として役立つべき非相同(例えばヒ
ト)重鎖恒常領域遺伝子及び機能的RSSを含むポリヌ
クレオチドの導入によって、又は上述のものの組合せな
どによって、産生させることができる。往々にして、作
動的に連鎖されたRSSを伴うヒト下流アイソタイプ恒
常領域(例えばγ1,γ3など)を含むポリヌクレオチ
ドが同様に、ハイブリドーマ細胞内に導入され、トラン
ス・スイッチメカニズムを介してアイソタイプスイッチ
を促進する。
【0193】クラススイッチ及び親和性成熟は、本発明
のトランスジェニック動物から誘導されたB細胞の同じ
集団内で発生する。従って、クラススイッチされたB細
胞(又はそれから誘導されたハイブリドーマ)の同定
を、高親和力のモノクローナル抗体を得るための1つの
スクリーニング段階として使用することができる。シス
−スイッチ(トランスジーン内スイッチ)、トランスス
イッチ又はその両方といったクラススイッチ事象を容易
にするため、さまざまなアプローチを利用することがで
きる。例えば、付随するRSS要素及びスイッチ調節要
素(例えば不稔写しプロモーター)を伴うμ及びγの両
方の恒常領域遺伝子を含む単一の連続ヒトゲノミックフ
ラグメントを、トランスジーンとして使用することがで
きる。
【0194】しかしながら、望まれる単一の隣接するヒ
トゲノミックフラグメントの一部分は、例えばクローニ
ング宿主などの中で複製されるときの不安定さの問題な
どにより、効果的にクローニングすることが困難であり
うる:特にδとγ3の間の領域は、特にμ遺伝子、γ3
遺伝子、V遺伝子、D遺伝子セグメント及びJ遺伝子セ
グメントを含む隣接するフラグメントのように効率良く
クローニングしにくいことが判明する可能性がある。
【0195】同様に例として、ヒトμ遺伝子、ヒトγ3
遺伝子、ヒトV遺伝子(単複)、ヒトD遺伝子セグメン
ト及びヒトJ遺伝子セグメントから成り、介入する(イ
ントロンの)又はその他の形で可欠な配列(例えば単数
又は複数のV,D、及び/又はJセグメント及び/又は
単数又は複数の非μ恒常領域遺伝子)の単数又は複数の
欠失を伴う、不連続のヒトトランスジーン(ミニ遺伝
子)、がある。このようなミニ遺伝子は、効率良い免疫
グロブリンの発現及びスイッチのための必須要素の全て
にまたがるゲノミックDNAの単一の隣接セグメントを
分離することに比べて、いくつかの利点を有する。
【0196】例えば、このようなミニ遺伝子は、クロー
ニングし難い配列(例えば、不安定配列、毒物配列な
ど)を内含しうるDNAの大きい断片を分離する必要性
を無くする。さらに、シス−又はトランス−スイッチの
ためのアイソタイプスイッチのために必要な要素(例え
ば、ヒトγ不稔写しプロモータ)を含むミニ遺伝子座
は、有利にもインビボで体細胞突然変異及びクラススイ
ッチを受けることができる。多くの真核性DNA配列が
クローニングし難いものであることが立証されているた
め、可欠配列を削除することが有利であることが判明す
る。
【0197】一変形態様においては、高い結合親和力
(例えば1×107 -1以上、好ましくは1×108 -1
上、より好ましくは1×109 -1以上)をもつ抗体を産
生するハイブリドーマクローンは、産生力ある(枠内)
V−D−J再配置を受けることができる内因性マウス重
鎖遺伝子座が実質的に欠如しアイソタイプスイッチを行
なうことのできる(以上参照)ヒト重鎖トランスジーン
を宿すトランスジェニックマウスのB細胞から誘導され
たハイブリドーマ細胞のプールから、ヒト(又はマウ
ス)非μ重鎖恒常領域に対するポリペプチド結合におい
てヒト配列重鎖可変領域を含む重鎖を含む抗体を発現す
るハイブリドーマを選択することによって得られる。こ
れらの抗体は、インビボ又は細胞培養中でのシス−スイ
ッチ及び/又はトランス−スイッチの結果として産生さ
れる「スイッチされた重鎖」を含むことから、「スイッ
チされた抗体」と呼ばれる。
【0198】スイッチされた抗体を産生するハイブリド
ーマは、一般に、体細胞突然変異プロセスを受けてお
り、このハイブリドーマのプールは一般により広い抗原
結合親和力範囲を有することになり、この中から高親和
力の抗体を分泌するハイブリドーマクローンを選択する
ことができる。標準的には、予め決定された抗原につい
て実質的な結合親和力(1×107 -1〜1×108 -1
上)をもつヒト配列抗体を分泌し、このヒト配列抗体が
ヒト免疫グロブリン可変領域(単複)を含んでいるよう
なハイブリドーマを、2段階プロセスを含む方法により
選択することができる。1つの段階は、(例えば、スイ
ッチされた重鎖に特異的に結合しスイッチされていない
アイソタイプ、例えばμ、に対して実質的に結合しない
不動化された免疫グロブリンに対しハイブリドーマ細胞
を結合することにより)、スイッチされた重鎖を含む免
疫グロブリンを分泌するハイブリドーマ細胞を同定し分
離することにある。
【0199】もう1つの段階は、(例えばハイブリドー
マクローン上清のELISA 、標識づけされた抗原を用いた
FACS分析などにより) 実質的な結合親和力で予め定めら
れた抗原に結合するハイブリドーマ細胞を同定すること
にある。標準的には、スイッチされた抗体を分泌するハ
イブリドーマの選択は,予め定められた抗原を結合する
ハイブリドーマ細胞を同定する前に行なわれる。予め定
められた抗原に対する実質的な結合親和力をもつスイッ
チされた抗体を発現するハイブリドーマ細胞が分離さ
れ、標準的には個々の選択されたクローンとして当該技
術分野において既知の適切な成長条件下で培養される。
任意には、この方法には、モノクローナル抗体の発現に
適した条件下で前記選択されたクローンを培養する段階
が含まれる。このモノクローナル抗体を収集し、これを
治療、予防及び/又は診断の目的で投与することができ
る。
【0200】往々にして、選択されたハイブリドーマク
ローンは、予め定められた抗原に結合する(又はこれに
対する結合力を付与する)免疫グロブリン(例えば可変
領域)をコードする免疫グロブリン配列を分離するため
のDNA又はRNA源として役立ちうる。これに続い
て、ヒト可変領域コーディング配列を分離し(例えばPC
R 増幅又は供給源(ハイブリドーマクローン)からのc
DNAクローニングによる)、好ましくは免疫原性が最
小限にされるヒトの治療用途により適したヒト配列抗体
をコードするべく望ましいヒト恒常領域をコードする配
列に対しスプライシングする。結果として得られた完全
にヒトのコーディング配列(単複)をもつポリヌクレオ
チド(単複)を宿主細胞(例えば哺乳細胞内の発現ベク
ターから)の中で発現させ、医薬品のために精製するこ
とが可能である。
【0201】キセノ(異種)エンハンサー ヒト免疫グロブリン(例えば重鎖)をコードすることの
できる非相同トランスジーンは、有利にも、マウスゲノ
ムから誘導されていない、及び/又は非相同トランスジ
ーンのエキソンとシスで自然に結びつけられていないシ
ス−連鎖されたエンハンサーを含んでいる。例えば、ヒ
トκトランスジーン(例えばκミニ遺伝子座)は有利に
も、ヒトVK 遺伝子、ヒトJK 遺伝子、ヒトCK 遺伝子
及びキセノエンハンサーを含んでいる可能性があり、標
準的には、このキセノエンハンサーは、標準的にJK
伝子とCK 遺伝子の間にあるか又はCK 遺伝子の下流に
位置づけされた、ヒト重鎖イントロンエンハンサー及び
/又はマウス重鎖イントロンエンハンサーを含む。例え
ば、マウス重鎖J−μイントロンエンハンサー(Banerji
etal. (1983) Cell 33: 729)は、プラスミドpKVe2
の 0.9kbのXba Iフラグメント上で分離されうる(下記
参照)。
【0202】ヒト重鎖J−μイントロンエンハンサー
(Hayday etal. (1984) Nature 307: 334)は、 1.4k
bのMlu I/Hind IIIフラグメントとして分離されうる
(下記参照)。基本的にマウスJ−μイントロンエンハ
ンサーに対しシスで連鎖されたヒトJ−μイントロンエ
ンハンサーで構成されている組合されたキセノエンハン
サーといった、トランスジーンに対する転写的に活性な
キセノエンハンサーの付加は、特にこのトランスジーン
がヒトκといった軽鎖をコードする場合、トランスジー
ンの高い発現レベルを付与することができる。同様に、
ラット3′エンハンサーを、ヒト重鎖とコードできるミ
ニ遺伝子座構成体内に有利にも含み入れることができ
る。
【0203】核酸 「実質的相同性」なる用語は、2つの核酸またはデザイ
ンしたその配列を最適に整列しそして比較した時に、少
なくとも約80%のヌクレオチド、通常は少なくとも約90
%〜95%、より好ましくは少なくとも約98%〜99.5%の
ヌクレオチドが同一であることを指摘する。あるいは、
セグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件下でそ
の鎖の相補体にハイブリダイズする時、実質的相同性が
存在する。核酸は完全細胞中に、細胞溶解物中に、また
は部分的に精製されたもしくは実質的に純粋な形で、存
在することができる。
【0204】核酸は、標準技術により、例えばアルカリ
/SDS 処理、CsClバンド沈降、カラムクロマトグラフィ
ー、アガロースゲル電気泳動および当業界で公知の他の
方法により、他の細胞成分または他の汚染物、例えば他
の細胞性核酸もしくはタンパク質から分離精製された
時、「単離され」または「実質的に純粋にされ」る。F.
Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biolog
y, Greene Publishingand Wiley-Interscience, New Yo
rk (1987) を参照のこと。
【0205】本発明の核酸組成物は、遺伝子配列を提供
するための標準技術に従って、しばしばcDNA、ゲノ
ムDNAまたは混合物のいずれかからの生来の配列(修
飾された制限部位等を除く)を変異せしめることができ
る。コード配列については、それらの変異は、所望であ
ればアミノ酸配列に影響してもよい。特に生来のV,
D,J,定常,スイッチおよび他の本明細書中に記載の
そのような配列に実質的に相同であるかまたはそれから
誘導されるDNA配列が考えられる(ここで、「誘導さ
れる」とは、ある配列が別の配列と同一であるかまたは
変更されていることを指摘する)。
【0206】核酸はそれが別の核酸配列と機能的関係に
置かれる時、「作用可能に連結される」という。例え
ば、プロモーターまたはエンハンサーがコード配列の転
写に作用するならば、それらはコード配列に作用可能に
連結されている。転写調節配列については、作用可能に
連結されるとは、連結されるDNA配列が連続であっ
て、そして2種のタンパク質コード領域を連結すること
が必要な場合には、連続であって且つ読み枠内であるこ
とを意味する。スイッチ配列については、作用可能に連
結されるとは、該配列がスイッチ組換えを行うことがで
きることを意味する。
【0207】特定の好ましい態様 本発明の好ましい態様は、実施例5,6,8または14に
記載の軽鎖トランスジーンの単一コピーを含有する動物
と交配させた実施例12に記載のトランスジーン(例えば
pHC1またはpHC2)の少なくとも1回のコピー、典型的に
は2〜10回のコピー、時には25〜50回以上のコピーを含
有する動物、並びに実施例10に記載のJ H 欠失動物から
繁殖させた子孫である。動物はそれらの3つの特性につ
いて同型接合に交配される。
【0208】そのような動物は次の遺伝子型を有する:
再配列されていないヒト重鎖小遺伝子座(実施例12に記
載)の単一コピー(染色体の一倍体1組あたり)、再配
列されたヒトκ軽鎖構成物(実施例14に記載)の単一コ
ピー(染色体の一倍体1組あたり)、および機能的JH
セグメントの全部を除去する各内因性マウス重鎖遺伝子
座のところの欠失(実施例10に記載)。そのような動物
は、JH セグメントの欠失について同型接合であるマウ
スと交配させる(実施例10)と、JH 欠失について同型
接合でありそしてヒト重鎖および軽鎖構成物については
半接合である子孫を生産する。生じた動物に抗原を注入
し、それらの抗原に対するヒトモノクローナル抗体の産
生に使う。
【0209】そのような動物から単離されたB細胞は、
それらが各遺伝子の単一コピーのみを含むため、ヒト重
鎖および軽鎖に関して単一特異性である。更に、それら
はヒトまたはマウス重鎖に関して単一特異性であろう。
というのは、実施例9および12に記載のようにして導入
されたJH 領域に広がる欠失によって、両方の内因性マ
ウス重鎖遺伝子コピーが非機能的であるためである。更
に、B細胞の実質的部分はヒトまたはマウス軽鎖に関し
て単一特異性であろう。何故なら、再配列されたヒトκ
軽鎖遺伝子の単一コピーの発現が、B細胞の実質的部分
における内因性マウスκおよびλ鎖遺伝子の再配列を対
立的におよび同位的に排除するだろうからである。
【0210】好ましい態様のトランスジェニックマウス
は、理想的には生来のマウスのものと実質的に同じであ
る、有意なレパートリーを有する免疫グロブリン産生を
示すだろう。例えば、内因性Ig遺伝子が不活性化されて
いる態様では、総免疫グロブリンレベルは約0.1 〜10mg
/ml血清、好ましくは0.5 〜5 mg/ml、理想的には少な
くとも約1.0 mg/mlの範囲であろう。IgM からIgG にス
イッチすることができるトランスジーンをトランスジェ
ニックマウスに導入した時、血清IgG対IgMの成熟マウ
ス比は好ましくは約10:1 である。もちろん、IgG対Ig
M比は、未成熟マウスではずっと低いだろう。一般に、
脾臓およびリンパ節B細胞の約10%より多く、好ましく
は40〜80%が、もっぱらヒトIgGタンパク質のみを発現
する。
【0211】レパートリーは理想的には非トランスジェ
ニックマウス中にしめされるものとほぼ等しく、通常は
少なくとも約10%ほど高く、好ましくは25〜50%または
それ以上高いだろう。マウスゲノム中に導入される異な
るV,JおよびD領域の数に主として依存して、通常少
なくとも約1000種の異なる免疫グロブリン(理想的には
IgG)、好ましくは104 〜106 またはそれ以上の免疫グ
ロブリンが産生されるだろう。それらの免疫グロブリン
は、典型的には、高抗原性タンパク質の約半分またはそ
れ以上を認識するだろう。
【0212】抗原性タンパク質としては、ハトチトクロ
ームC、ニワトリリゾチーム、アメリカヤマゴボウのマ
イトジェン(PWM) 、ウシ血清アルブミン、アオガイヘモ
シアニン、インフルエンザ赤血球凝集素、スタフィロコ
ッカスプロテインA、マッコウクジラミオグロビン、イ
ンフルエンザノイラミニダーゼおよびλリプレッサータ
ンパク質が挙げられるがそれに限定されない。上記免疫
グロブリンの幾つかは、予め選択された抗原に対して、
少なくとも約10 7 -1、好ましくは10 8 -1〜10 9 -1
またはそれ以上の親和性を示すだろう。
【0213】いくつかの実施態様においては、予め定め
られた抗原タイプに対する抗体応答において表わされる
V遺伝子の選択を制限する目的で、予め定められた能力
範囲をもつマウスを生成することが好まれる可能性があ
る。予め定められた能力範囲をもつ重鎖トランスジーン
は例えば、人間における予め定められた抗原タイプに対
する抗体応答で好んで用いられるヒトVH 遺伝子を含み
うる。代替的には、さまざまな範囲により(例えば、予
め定められた抗原に対する高い親和力のV領域をコード
する確率が低い;体細胞突然変異及び親和力激化を受け
る傾向が弱い;又は一定の人間に対する免疫原性をも
つ)、規定された能力範囲からいくつかのVH 遺伝子を
除外することができる。
【0214】様々な重鎖または軽鎖遺伝子セグメントを
含むトランスジーンの再配列の前に、それらの遺伝子セ
グメントは、例えばハイブリダイゼーションまたはDN
A配列決定により、トランスジェニック動物以外の生物
種に由来するものであると容易に同定することができ
る。上記に本発明のトランスジェニック動物の好ましい
態様を記載したけれども、他の態様は本明細書の開示に
より、そしてより特定的には実施例に記載のトランスジ
ーンにより定義される。トランスジェニック動物の4つ
のカテゴリーが定義され得る:
【0215】I.再配列されていない重鎖免疫グロブリ
ントランスジーンと再配列された軽鎖免疫グロブリント
ランスジーンとを含有するトランスジェニック動物。 II.再配列されていない重鎖免疫グロブリントランスジ
ーンと再配列されていない軽鎖免疫グロブリントランス
ジーンとを含有するトランスジェニック動物。 III .再配列された重鎖免疫グロブリントランスジーン
と再配列されていない軽鎖免疫グロブリントランスジー
ンとを含有するトランスジェニック動物。
【0216】IV.再配列された重鎖免疫グロブリントラ
ンスジーンと再配列された軽鎖免疫グロブリントランス
ジーンとを含有するトランスジェニック動物。 トランスジェニック動物の上記カテゴリーの好ましい優
先順序は、内因性軽鎖遺伝子(または少なくともκ遺伝
子)が相同組換え(または他の方法)により破壊されて
いる場合にはII>I>III >IVであり、そして内因性軽
鎖遺伝子が破壊されておらず且つ対立遺伝子排除により
優性になるに違いない場合にはI>II>III >IVであ
る。
【0217】
【実施例】方法および材料 トランスジェニックマススは、Hogan ら、"Manipulatin
g the Mouse Embryo :A Laboratory Manual", Cold Spr
ing Harbor Laboratory(これは参考として本明細書中
に組み込まれる)に従って誘導される。
【0218】胎児性幹細胞は、発表された方法に従って
操作される〔Terato- carcinomas and embryonic stem
cells : a practical approach, E.J. Robertson編, IR
L Press, Washington, D.C., 1987 ; Zjilstraら、Natu
re 342:435-438 (1989)およびSchwartzberg, P.ら、Sc
ience 246:799-803 (1989);この各々は参考として本
明細書中に組み込まれる〕。
【0219】DNAクローニング方法は、J. Sambrook
ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 第2
版,1989, Cold Spring Harbor Labo-ratory Press, Co
ld Spring Harbor, N.Y.(これは参考として本明細書中
に組み込まれる)に従って実施される。オリゴヌクレオ
チドは、製造業者により与えられた規格書に従ってAppl
ied Biosystemsのオリゴヌクレオチド合成装置上で合成
される。
【0220】ハイブリドーマ細胞および抗体は、"Antib
odies: A Laboratory Manual", Harlow およびDavid La
ne編, Cold Spring Harbor Labo-ratory (1988) (これ
は参考として本明細書中に組み込まれる)に従って操作
される。
【0221】実施例1 ゲノム重鎖ヒトIgトランスジーン この実施例は、マウスの接合子中にマイクロインジェク
トされるヒトゲノム重鎖免疫グロブリントランスジーン
のクローニングとマイクロインジェクションを記載す
る。
【0222】Marzluff, W.F.ら、 "Transcription and
Translation : A Pra-ctical Approach", B.D. Hammes
およびS.J. Higgins編, 89-129頁, IRL Press, Oxford
(1985)により記載されたようにして、新鮮なヒト胎盤組
織から核を単離する。単離された核(またはPBSで洗
浄したヒト精母細胞)を低融点アガロース母材中に埋め
込み、EDTAとプロテイナーゼKで溶解せしめて高分子量
DNAを暴露させ、このDNAを次いでM. Finney によ
り Current Protocols in Molecular Biology(F. Ausu
belら編, John Wiley & Sons,増補4版, 1988, 第2.5.1
章)中に記載された通りにアガロース中で制限酵素Not
Iで消化する。
【0223】次いでNot I消化されたDNAを、Anand,
R. ら、Nucl. Acids Res., 17:3425-3433 (1989) によ
り記載されたようにパルスフィールドゲル電気泳動によ
り分画する。Not I断片に富む画分をサザンブロットハ
イブリダイゼーションによりアッセイし、この断片によ
りコードされる1または複数の配列を検出する。そのよ
うな配列は、重鎖Dセグメント、Jセグメント、μおよ
びγ1定常領域と一緒に6種のVH ファミリーの全部の
代表物を含む〔この断片は、Bermanら (1988)前掲によ
りHeLa細胞から670 kb断片として同定されているが、本
発明者らはヒト胎盤および精子DNAからは830 kb断片
としてであることを発見した〕。
【0224】この NotI断片を含む画分(図4参照)を
プールし、そして酵母細胞中のベクターpYACNNの NotI
部位にクローニングする。プラスミドpYACNNは、pYAC-4
Neo〔Cook, H.ら、Nucl. Acids Res. 16:11817 (198
8) 〕をEcoRI で消化しそしてオリゴヌクレオチド 5′
−AAT TGC GGC CGC −3 ′の存在下で連結せしめること
により調製する。
【0225】Brownsteinら(1989), Science, 244, 134
8-1351およびGreen, E. ら、Proc.Natl. Acad. Sci. US
A 87:1213-1217 (1990) (これらは参考として本明細
書中に組み込まれる)により記載されたようにして、重
鎖 NotI断片を含む YACクローンを単離する。M. Finne
y (前掲)により記載されたパルスフィールドゲル電気
泳動により、高分子量酵母DNAからクローン化 NotI
挿入断片を単離する。1mMのスペルミンの添加によりこ
のDNAを凝縮させ、上述の単細胞胚の核に直接マイク
ロインジェクトする。
【0226】実施例2 生体内相同組換えにより形成されるゲノムκ軽鎖ヒトIg
トランスジーン ヒトκ軽鎖の地図はLorenz. W.ら、Nucl. Acids Res.
15:9667-9677 (1987)に記載されており、これは参考と
して本明細書中に組み込まれる。全てのCκ、3′エン
ハンサー、全てのJセグメントおよび少なくとも5つの
異なるVセグメントを含む450 kbの XhoI−Not I断片
を実施例1に記載の如く単離し、そして単一の細胞胚の
核の中にマイクロインジェクトする。
【0227】実施例3 生体内相同組換えにより形成されるゲノムκ軽鎖ヒトIg
トランスジーン 前記成分の全部と少なくとも20個多いVセグメントとを
含む750 kp MluI−Not I断片を実施例1に記載の如く
単離し、そしてBssHIIで消化して約400 kbの断片を生成
せしめる。
【0228】450 kb XhoI−Not I断片と約400 kb Mlu
I−BssHII断片は、Bss H II制限部位とXho I制限部位
とにより限定される配列重複を有する。マウス接合子の
マイクロインジェクションによるそれらの2断片の相同
組換えは、450 kb XhoI/Not I断片(実施例2)中に
見つかるものよりも少なくとも15〜20個追加のVセグメ
ントを含むトランスジーンをもたらす。
【0229】実施例4 重鎖小遺伝子座の作製 A.pGP1およびpGP2の作製 pBR322をEcoRI とStyIで消化し、下記のオリゴヌクレオ
チドと連結せしめることにより、図8に記載の制限部位
を有する147 塩基対の挿入断片を含むpGP1を作製する。
それらのオリゴの概括的重複は図9にも示される。
【0230】オリゴヌクレオチドは下記のものである: オリゴ−1 5′−CTT GAG CCC GCC TAA TGA GCG GGC
TTT TTT TTG CAT ACTGCG GCC −3′ オリゴ−2 5′−GCA ATG GCC TGG ATC CAT GGC GCG
CTA GCA TCG ATA TCTAGA GCT CGA GCA −3′
【0231】オリゴ−3 5′−TGC AGA TCT GAA TTC
CCG GGT ACC AAG CTT ACG CGT ACTAGT GCG GCC GCT −
3′ オリゴ−4 5′−AAT TAG CGG CCG CAC TAG TAC GCG
TAA GCT TGG TAC CCGGGA ATT −3′ オリゴ−5 5′−CAG ATC TGC ATG CTC GAG CTC TAG
ATA TCG ATG CTA GCGCGC CAT GGA TCC −3′ オリゴ−6 5′−AGG CCA TTG CGG CCG CAG TAT GCA
AAA AAA AGC CCG CTCATT AGG CGG GCT −3′
【0232】このプラスミドは、マイクロインジェクシ
ョン用のベクター配列から単離することができる大挿入
断片を構築するための、稀少な切断性Not I部位により
隣接された大きなポリリンカーを含む。このプラスミド
は、pUC 系プラスミドに比べて比較的低コピー数である
pBR322に由来する(pGP1は複製開始点の近くにpBR322コ
ピー数調節領域を保持している)。低コピー数は挿入配
列の潜在的毒性を減少させる。加えて、pGP1は、アンピ
シリン耐性遺伝子と前記ポリリンカーとの間に挿入され
た、trpA由来の強力な転写ターミネーター配列〔Christ
ie, G.E.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:4180 (1
981)〕も含む。これは、アンピシリンプロモーターから
起こる読み通し転写を防ぐことにより、或る種の挿入断
片に関係する毒性を減少させる。
【0233】プラスミドpPG2は、ポリリンカー中に追加
の制限部位(Sfi I)を導入するようにpGP1から誘導さ
れる。pGP1を MluIと SpeIで消化し、該プラスミドの
ポリリンカー部分の中の認識配列を切除する。このよう
に消化されたpGP1に次のアダプターオリゴヌクレオチド
を連結せしめてpGP2を作製する。
【0234】 5′CGC GTG GCC GCA ATG GCC A 3′ 5′CTA GTG GCC ATT GCG GCC A 3′ pGP2は MluI部位と SpeI部位の間に置かれた追加の S
fiI部位を含むこと以外はpGP1と同じである。これは挿
入断片を SfiIで並びに NotIで完全に切除することを
可能にする。 B.pRE3(ラットエンハンサー3′)の作製 ラット定常領域の下流に置かれたエンハンサー配列を重
鎖構成物中に導入する。
【0235】Petterssonら、Nature 344:165-168 (199
0)により記載された重鎖領域3′エンハンサーを単離
し、クローニングする。次のオリゴヌクレオチド: 5′CAG GAT CCA GAT ATC AGT ACC TGA AAC AGG GCT TGC
3′ 5′GAG CAT GCA CAG GAC CTG GAG CAC ACA CAG CCT TCC
3′ を使って、ラットIGH 3′エンハンサー配列をPCR増
幅せしめる。
【0236】こうして形成された3′エンハンサーをコ
ードする二本鎖DNAをBamHI とSphIで切断し、BamHI/
SphIで切断されたpGP2中にクローニングしてpRE3(ラッ
トエンハンサー3′)を得る。 C.ヒトJ−μ領域のクローニング この領域の実質的部分を、λファージ挿入断片から単離
された2以上の断片を組み合わせることによりクローニ
ングする。図9を参照のこと。
【0237】オリゴヌクレオチド GGA CTG TGT CCC TGT
GTG ATG CTT TTG ATGTCT GGG GCCAAG を使って、全部
のヒトJセグメントを含む6.3 kbBamHI /HindIII 断片
〔Matsuda ら、EMBO J. 7: 1047-1051 (1988) ; Ravete
chら、Cell 27:583-591 (1981) 、これらは参考として
本明細書中に組み込まれる〕をヒトゲノムDNAライブ
ラリーから単離する。
【0238】オリゴヌクレオチド CAC CAA GTT GAC CTG
CCT GGT CAC AGA CCTGAC CAC CTATGA を使って、エン
ハンサー、スイッチおよび定常領域コードエクソンを含
む隣接の10 kb HindIII /BamHI 断片〔Yasui ら、Eur.
J. Immunol. 19:1399-1403(1989) 〕を同様にして単
離する。プローブとしてクローンpMUM挿入断片(pMUM
は、μ膜エクソン1オリゴヌクレオチド:CCT GTG GAC
CAC CGC CTC CAC CTT CAT CGT CCT CTT CCT CCT を使っ
てヒトゲノムDNAライブラリーから単離された4 kb E
coRI/HindIII 断片である)を使って隣接の3′1.5 kb
BamHI 断片を同様に単離し、そしてpUC19 中にクローニ
ングする。
【0239】pGP1をBamHI とBgl IIで消化した後、子ウ
シ腸アルカリホスファターゼで処理する。図9からの断
片(a)および(b)を前記消化pGP1中にクローニング
する。次いで5′BamHI 部位が BamHI/Bgl II融合によ
り破壊されるように置かれたクローンを単離する。それ
をpMU と命名する(図10参照)。pMU をBamHI で消化
し、図9からの断片(c)を挿入する。HindIII 消化に
より方向性を確認する。生じたプラスミドpHIG1 (図1
0)は、JおよびCμセグメントをコードする18 kb 挿
入断片を含有する。 D.Cμ領域のクローニング pGP1をBamHI とHindIII で消化し、次いで子ウシ腸アル
カリホスファターゼで処理する(図14)。このように処
理された図14の断片(b)および図14の(c)を、 Bam
HI/HindIII で切断したpGP1中にクローニングする。Hi
ndIII 消化により断片(c)の正しい方向を確認し、C
μ領域をコードする12 kb 挿入断片を含むpCON1 を得
る。
【0240】pHIG1 は、Not I部位により隣接されたポ
リリンカー中に SfiI3′部位と SpeI5′部位を有す
る18 kb 挿入断片内にJセグメント、スイッチおよびμ
配列を含む故に、再配列されたVDJセグメントに使わ
れるだろう。pCON1 はJ領域を欠き12 kb 挿入断片のみ
を含むこと以外はpHIG1 と同じである。再配列されたV
DJセグメントを含む断片の作製におけるpCON1 の使用
については後で記載する。 E.γ−1定常領域のクローニング(pREG2 ) ヒトγ−1領域のクローニングは図16に描写される。
【0241】Yamamuraら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
86:2152-2156 (1986) は、組込み時に部分的に削除さ
れたトランスジーン構成物からの膜結合ヒトγ−1の発
現を報告している。彼らの結果は、3′BamHI 部位が、
5 kb未満のV−Cイントロンを有する経膜再配列されそ
してスイッチされたγ遺伝子コピーを含む配列の輪郭と
なることを指摘している。従って、再配列されていない
スイッチされていない遺伝子では、最初のγ−1定常エ
クソンの5′末端から5 kb未満のところで始まる配列中
にスイッチ領域全体が含まれる。
【0242】従ってそれは5′5.3 kb Hind III 断片中
に含まれる〔Ellison, J.W. ら、Nucleic.Acids Res.
10:4071-4079 (1982) ;これは参考として本明細書中に
組み込まれる〕。Takahashi ら、Cell 29:671-679 (19
82) (これは参考として本明細書中に組み込まれる)も
また、この断片がスイッチ配列を含むことを報告してお
り、この断片と7.7 kb Hind III −BamHI 断片とを合わ
せると我々がトランスジーン構成物に必要とする配列の
全部を含むに違いない。イントロン配列は、特定遺伝子
のイントロン中に存在する少なくとも15の連続ヌクレオ
チドのヌクレオチド配列である。
【0243】γ−1の第三エクソン(CH 3)に特異的
である次のオリゴヌクレオチドを使って、γ−1領域を
含むファージクローンを同定し単離する。 5′ TGA GCC ACG AAG ACC CTG AGG TCA AGT TCA ACT GG
T ACG TGG 3 ′ 7.7 kb Hind III −Bgl II断片(図11中の断片(a))
をHindIII /Bgl IIで切断されたpRE3中にクローニング
してpREG1 を作製する。上流の5.3 kb Hind III 断片
(図11中の断片(b))をHindIII 消化されたpREG1 中
にクローニングしてpREG2 を作製する。 BamHI/Spe I
消化により正しい方向を確かめる。 F.CγとCμの結合 上述したプラスミドpHIG1 はヒトJセグメントとCμ定
常領域エクソンを含む。Cμ定常領域遺伝子セグメント
を含むトランスジーンを提供するために、pHIG1 をSfi
Iで消化した(図10)。プラスミドpREG2 も SfiIで消
化し、ヒトCγエクソンとラット3′エンハンサー配列
を含む13.5 kb 挿入断片を得た。それらの配列を連結
し、31.5 kb 挿入断片上にヒトJセグメント、ヒトCμ
定常領域、ヒトCγ1定常領域およびラット3′エンハ
ンサー配列を含むプラスミド pHIG3′を作製した(図1
2)。
【0244】pCON1 を SfiIで消化し、そしてpREG2 を
Sfi Iで消化して得られたヒトCγ領域とラット3′エ
ンハンサーとを含むSfi I断片と連結せしめることによ
り、ヒトCμおよびヒトCγ1をコードするがJセグメ
ントを含まない第二のプラスミドを作製する。得られた
プラスミドpCON(図12)は、ヒトCμ、ヒトγ1および
ラット3′エンハンサー配列を有する 26 kbの NotI/
Spe I挿入断片を含有する。 G.Dセグメントのクローニング ヒトDセグメントをクローニングするための方策は図13
に描写される。Dセグメントを含むヒトゲノムライブラ
リーからのファージクローンを、多様性領域配列〔Y. I
chihara ら、EMBO J. 7: 4141-4150 (1988) 〕に特異的
なプローブを使って同定しそして単離する。次のオリゴ
ヌクレオチドを使用する。
【0245】DXP1: 5′−TGG TAT TAC TAT GGT TCG
GGG AGT TAT TAT AAC CAC AGT GTC−3′ DXP4: 5′−GCC TGA AAT GGA GCC TCA GGG CAC AGT
GGG CAC GGA CAC TGT−3′ DN4: 5′−GCA GGG AGG ACA TGT TTA GGA TCT GAG
GCC GCA CCT GAC ACC−3′ オリゴ DXP1 を使って同定されたファージクローンか
ら、DLR1, DXP1, DXP'1およびDA1 を含む5.2 kb XhoI
断片(図13中の断片(b))を単離する。
【0246】オリゴ DXP4 を使って同定されたファージ
クローンから、DXR4, DA4 およびDK4 を含む3.2 kb Xba
I断片(図13中の断片(c))を単離する。図13中の断
片(b),(c)および(d)を結合し、pGP1のXba I
/ XhoI部位中にクローニングして、10.6 kb 挿入断片
を含むpHIG2 を形成せしめる。このクローニングは連続
的に行われる。まず、図13の5.2 kb断片(b)と図13の
2.2 kb断片(d)を子ウシ腸アルカリホスファターゼで
処理し、そして XhoIとXba Iで消化されたpGP1中にク
ローニングする。生じたクローンを該 5.2 kbおよび2.2
kb挿入断片を用いてスクリーニングする。5.2 kbおよ
び2.2 kb挿入断片での試験に陽性であるそれらのクロー
ンの半分が、BamHI 消化により確かめると正しい方向で
5.2 kb挿入断片を有する。次いで図13の3.2 kb XbaI断
片を、断片(b)と(d)を含むこの中間プラスミド中
にクローニングし、pHIG2 を形成せしめる。このプラス
ミドは、ユニーク5′Sfi I部位とユニーク3′Spe I
部位を有するポリリンカー中にクローニングされた多様
性セグメントを含む。完全なポリリンカーは NotI部位
により隣接される。 H.重鎖小遺伝子座の作製 下記は、1または複数のVセグメンントを含むヒト重鎖
小遺伝子座の作製を説明する。
【0247】Newkirk ら、J. Clin. Invest. 81:1511-
1518 (1988) (これは参考として本明細書中に組み込ま
れる)のハイブリドーマ中に含まれるVセグメントとし
て同定されたものに相当する再配列されていないVセグ
メントを、次のオリゴヌクレオチド: 5′−GAT CCT GGT TTA GTT AAA GAG GAT TTT ATT CAC C
CC TGT GTC −3 ′ を使って単離する。
【0248】再配列されていないVセグメントの制限地
図を調べて、消化すると3′および5′隣接配列と一緒
に再配列されていないVセグメントを含む約2 kbの長さ
を有するDNA断片を提供するユニーク制限部位を同定
する。5′開始配列はプロモーターおよび他の調節配列
を含み、一方3′隣接配列はV−DJ結合に必要な組換
え配列を提供するだろう。この約3.0 kbVセグメント挿
入断片をpGB2のポリリンカー中にクローニングし、pVH1
を形成せしめる。
【0249】pVH1を SfiIで消化し、得られた断片をpH
IG2 の SfiI部位にクローニングして pHIG5′を作製す
る。pHIG2 はDセグメントのみを含むので、生成した p
HIG5′プラスミドはDセグメントと一緒に単一のVセグ
メントを含む。pHIG5 中に含まれる挿入断片のサイズ
は、10.6 kb +Vセグメント挿入断片のサイズである。
Not Iと SpeIでの消化によりpHIG5 から挿入断片を切
り出す。J,CμおよびCγ1セグメントを含む pHIG
3′を SpeIと NotIで消化し、そして上記配列とラッ
ト3′エンハンサーとを含む3kb断片を単離する。それ
らの2断片を一緒にして、 NotIで消化されたpGP1中に
連結せしめ、Vセグメント、9つのDセグメント、6つ
の機能的なJセグメント、Cμ、Cγおよびラット3′
エンハンサーを含むpHIGを作製する。この挿入断片のサ
イズは約43 kb +Vセグメント挿入断片のサイズであ
る。 I.相同組換えによる重鎖小遺伝子座の作製 前の章で指摘したように、pHIGの挿入断片は単一のVセ
グメントを使用すると約43〜45 kb である。この挿入断
片サイズは、プラスミドベクター中に容易にクローニン
グすることができる限界かまたはそれに近い。より多数
のVセグメントの使用に備えるために、接合子またはE
S細胞内での相同組換えによってラット3′エンハンサ
ー配列、ヒトCμ、ヒトCγ1、ヒトJセグメント、ヒ
トDセグメントおよび多数のヒトVセグメントを含むト
ランスジーンを形成する、重複DNA断片の生体内相同
組換えを下記に記載する。
【0250】ヒトJセグメントを含む6.3 kb BamHI/Hi
ndIII 断片(図9中の断片(a)を参照のこと)を、次
のアダプター: 5′GAT CCA AGC AGT 3′ 5′CTA GAC TGC TTG 3′ 5′CGC GTC GAA CTA 3′ 5′AGC TTA GTT CGA 3′ を使って、Mlu I/Spe Iで消化された pHIG5′中にク
ローニングする。
【0251】生成したプラスミドを pHIG5'O(重複)と
命名する。このプラスミド中に含まれる挿入断片はヒト
V,DおよびJセグメントを含む。pVH1からの単一Vセ
グメントが使われる時、この挿入断片のサイズは約17 k
b +2 kbである。この挿入断片を単離し、そしてヒト
J,Cμ,γ1およびラット3′エンハンサー配列を含
む pHIG3′からの挿入断片と組み合わせる。両挿入断片
は、2つのDNA断片の間の約6.3 kbの重複部分に備え
るヒトJ配列を含む。これらをマウス接合子中に同時注
入すると、生体内相同組換えが起こり、pHIG中に含まれ
る挿入断片と同等のトランスジーンを生成する。
【0252】このアプローチは生体内で形成されるトラ
ンスジーン中への多数のVセグメントの付加に備える。
例えば、単一のVセグメントを pHIG5′中に組み込む代
わりに、(1)単離されたゲノムDNA、(2)ゲノム
DNAから誘導された連結DNA、または(3)合成V
セグメントレパートリーをコードするDNA、上に含ま
れる多数のVセグメントを pHIG2の SfiI部位にクロー
ニングして pHIG5′VN を作製する。次いで図9のJセ
グメント断片(a)を pHIG5′V N 中にクローニング
し、そして挿入断片を単離する。この挿入断片は、pHIG
3 ′から単離した挿入断片上に含まれるJセグメントと
重複するJセグメントと多数のVセグメントを含むよう
になる。これをマウス接合子の核中に同時注入すると、
相同組換えが起こり、多数のVセグメントおよび多数の
Jセグメント、多数のDセグメント、Cμ領域、Cγ1
領域(全てヒト由来)並びにラット3′エンハンサー配
列をコードするトランスジーンを生成する。
【0253】実施例5 軽鎖小遺伝子座の作製 A.pEμ1 の作製 pEμ1 の作製は図16に描写される。オリゴ: 5′GAA TGG GAG TGA GGC TCT CTC ATA CCC TAT TCA GAA
CTG ACT 3 ′ を使ってファージクローンから678 bpの XbaI−EcoRI
断片〔J.Banerji ら、Cell 33:729-740 (1983) 〕にお
いてマウス重鎖エンハンサーを単離する。
【0254】このEμ断片を、EcoRI 部位の平滑末端フ
ィルインにより、EcoRV /Xba I消化されたpGP1中にク
ローニングする。生じたプラスミドをpEμ1 と命名す
る。 B.κ軽鎖小遺伝子座の作製 κ構成物は、少なくとも1つのヒトVκセグメント、5
つのヒトJκセグメント全部、ヒトJ−Cκエンハンサ
ー、ヒトκ定常領域エクソン、および理想的にはヒト
3′κエンハンサーを含む〔K. Meyerら、EMBO J. 8:19
59-1964 (1989)〕。マウスのκエンハンサーはCκから
9 kb下流である。しかしながら、ヒトではまだ同定され
ていない。加えて、該構成物はマウス重鎖J−Cμエン
ハンサーの1コピーも含む。
【0255】この小遺伝子座は次の4つの成分断片から
作製される: (a)マウス遺伝子座との類推によりヒトCκエクソン
と3′ヒトエンハンサーとを含む16 kb Sma I断片; (b)5つのJセグメント全部を含む5′隣接5 kb Sma
I断片; (c)pEμ1 から単離されたマウス重鎖イントロンエン
ハンサー(この配列は、B細胞発達のできるだけ初期に
軽鎖構成物の発現を誘導するために含まれる。重鎖遺伝
子は軽鎖遺伝子よりも初期に転写されるため、この重鎖
エンハンサーはおそらくイントロンκエンハンサーより
も早い段階で活性であろう。);および (d)1または複数のVセグメントを含む断片。
【0256】この構成物の調製は次の通りである。ヒト
胎盤DNAをSmaIで消化し、電気泳動によりアガロース
上で分画する。同様に、ヒト胎盤DNAを BamHIで消化
し、電気泳動により分画する。SmaIで消化したゲルから
16 kb 画分を単離し、同様にBamHIで消化したDNAを
含むゲルから11 kb 領域を単離する。16 kb Sma I画分
を、 XhoIで消化されXho I制限消化生成物をフィルイ
ンするためにクレノウ断片DNAポリメラーゼで処理さ
れているラムダFIX II (Stratagene, La Jolla, Califo
rnia) 中にクローニングする。16 kb Sma I画分の連結
はSma I部位を破壊するがXho I部位はそのまま残す。
【0257】11 kb BamHI 画分を、クローニング前に B
amHIで消化したラムダFIX II(Stratagene, La Jolla,
California)中にクローニングする。各ライブラリーか
らのクローンを、Cκ特異的オリゴ: 5′GAA CTG TGG CTG CAC CAT CTG TCT TCA TCT TCC CGC
CAT CTG 3 ′ を用いて探査する。
【0258】Cκが SmaIに隣接するように、16 kb Xh
o I挿入断片をXho Iで切断されたpEμ1 中にサブクロ
ーニングする。生じたプラスミドをpKap1 と命名する。
上記Cκ特異的オリゴヌクレオチドを用いてλ EMBL3/B
amHIライブラリーを探査し、11 kb クローンを同定す
る。5 kb SmaI断片(図25の断片(b))をサブクロー
ニングし、次いで SmaIで消化されたpKap1 中に挿入す
る。正しい方向のJセグメント、CκおよびEμエンハ
ンサーを含むそれらのプラスミドをpKap2と命名する。
【0259】その後、1または複数のVκセグメントを
pKap2 の MluI中にサブクローニングし、ヒトVκセグ
メント、ヒトJκセグメント、ヒトCκセグメントおよ
びヒトEμエンハンサーをコードするプラスミドpKapH
を生ぜしめる。pKapH を NotIで消化することによりこ
の挿入断片を切り出し、そしてアガロースゲル電気泳動
により精製する。こうして精製された挿入断片を上述の
如くマウス接合子の前核中にマイクロインジェクトす
る。 C.生体内相同組換えによるκ軽鎖小遺伝子座の作製 11 kb BamHI 断片を、その3′末端が SfiI部位の方に
向くように、BamHI で消化されたpGP1中にクローニング
する。生じたプラスミドをpKAPint と命名する。pKAPin
t 中のBamHI 部位とSpe I部位との間のポリリンカー中
に1または複数のVκセグメントを挿入してpKapHVを作
製する。pKapHVの挿入断片を NotIでの消化により切り
出し、そして精製する。pKap2 からの挿入断片を NotI
での消化により切り出し、精製する。それらの2断片の
各々は、pKapHVからの断片が、pKap2 から得られる挿入
断片中に含まれる5 kb SmaI断片と実質的に相同である
Jκセグメントを含む5kbのDNA配列を含むという点
で、相同性領域を含有する。それ故に、それらの挿入断
片は、マウス接合子中にマイクロインジェクトされると
相同組換えして、Vκ,JκおよびCκをコードするト
ランスジーンを形成することができる。
【0260】実施例6 免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子の再配列され発現されるコ
ピーに相当するゲノムクローンの単離 この実施例は、着目の免疫グロブリンを発現する培養細
胞からの免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子のクローニングを
記載する。そのような細胞は、与えられた免疫グロブリ
ン遺伝子の多数の対立遺伝子を含み得る。例えば、ハイ
ブリドーマは4コピーのκ軽鎖遺伝子を含み、その2コ
ピーは融合相手の細胞系からのものであり、2コピーは
着目の免疫グロブリンを発現するもとのB細胞からのも
のである。それらの4コピーのうち、数個が再配列する
ことができるという事実にもかかわらず、ただ1つだけ
が着目の免疫グロブリンをコードする。この実施例に記
載の手順は、κ軽鎖の発現コピーの選択的クローニング
を考慮したものである。 A.二本鎖cDNA ヒトハイブリドーマもしくはリンパ腫からの細胞、また
は細胞表面形態もしくは分泌形態またはその両形態のκ
軽鎖含有IgM を合成する他の細胞系を、ポリA+ RNA の
単離に使用する。次いで該RNA を、逆転写酵素を使った
オリゴdT開始cDNAの合成に使用する。次いで一本鎖cDNA
を単離し、ポリヌクレオチドターミナルトランスフェラ
ーゼ酵素を使って3′末端にG残基を付加する。次いで
G末端が付けられた一本鎖cDNAを精製し、そしてプライ
マーとして次のオリゴヌクレオチド: 5′−GAG GTA CAC TGA CAT ACT GGC ATG CCC CCC CCC C
CC − 3′ を使った第二鎖合成(DNAポリメラーゼ酵素により触
媒される)のための鋳型として用いる。
【0261】二本鎖cDNAを単離し、発現される免疫グロ
ブリン分子の重鎖および軽鎖をコードするmRNAの5′末
端のヌクレオチド配列を決定するために使用する。次い
で、それらの発現される遺伝子のゲノムクローンを単離
する。発現される軽鎖遺伝子のクローニング方法は、下
記のB部に要約される。 B.軽鎖 A部に記載された二本鎖cDNAを変性せしめ、次のオリゴ
ヌクレオチドプライマー: 5′−GTA CGC CAT ATC AGC TGG ATG AAG TCA TCA GAT G
GC GGG AAG ATG AAG ACA GAT GGT GCA − 3′ を使った第3巡目のDNA合成のための鋳型として使用
する。
【0262】このプライマーは、κ軽鎖情報の定常部分
に特異的な配列(TCA TCA GAT GGCGGG AAG ATG AAG ACA
GAT GGT GCA )並びに新たに合成されるDNA鎖のP
CR増幅のためのプライマーとして使うことができるユ
ニーク配列(GTA CGC CAT ATC AGC TGG ATG AAG )を含
む。この配列を、次の2つのオリゴヌクレオチドプライ
マー: 5′−GAG GTA CAC TGA CAT ACT GGC ATG −3 ′ 5′−GTA CGC CAT ATC AGC TGG ATG AAG −3 ′ を使ってPCRにより増幅せしめる。
【0263】PCR増幅された配列をゲル電気泳動によ
り精製し、そしてプライマーとして次のオリゴヌクレオ
チド: 5′−GAG GTA CAC TGA CAT ACT GGC ATG −3 ′ を使うジデオキシ配列決定反応のための鋳型として使用
する。次いで、該配列の最初の42ヌクレオチドを使っ
て、免疫グロブリン情報が転写された遺伝子を単離する
ためのユニークプローブを合成する。このDNAの合成
42ヌクレオチドセグメントを、以後o−カッパと称する
ことにする。
【0264】Ig発現細胞系から単離しそして個別におよ
びSmaIを含む幾つかの異なる制限エンドヌクレアーゼと
対に組み合わせて消化したDNAのサザンブロットを、
32P標識したユニークオリゴヌクレオチドo−カッパを
用いて探査する。ユニーク制限エンドヌクレアーゼ部位
は、再配列されたVセグメントの上流に同定される。次
いでIg発現細胞系からのDNAを SmaIおよび第二の酵
素(Vセグメントの内側に SmaI部位がある場合にはBa
mHI またはKpnI)で切断する。いずれかの生成した非平
滑末端をT4 DNAポリメラーゼ酵素で処理し、平滑末端化
DNA分子を与える。次いで制限部位をコードするリン
カー(断片中にどの部位が存在しないかに応じてBamHI,
EcoRIまたは XhoI)を付加し、そして対応するリンカ
ー酵素で切断してBamHI, EcoRIまたは XhoI末端を有す
るDNA断片を与える。次いで該DNAをアガロースゲ
ル電気泳動によりサイズ分画し、発現されるVセグメン
トを包含するDNA断片を含む画分をラムダEMBL3 また
はラムダFIX (Stratagene, La Jolla, California)中に
クローニングする。ユニークプローブo−カッパを使っ
て、Vセグメント含有クローンを単離する。陽性クロー
ンからDNAを単離し、そしてpKap1 のポリリンカー中
にサブクローニングする。生じたクローンをpRKLと命名
する。
【0265】実施例7 免疫グロブリン重鎖μ遺伝子の再配列され発現されるコ
ピーに相当するゲノムクローンの単離 この実施例は、着目の免疫グロブリンを発現する培養細
胞からの免疫グロブリン重鎖μ遺伝子のクローニングを
記載する。この実施例に記載の手順は、μ重鎖遺伝子の
発現コピーの選択的クローニングを考慮したものであ
る。
【0266】上述した如く、二本鎖cDNAを調製し単離す
る。この二本鎖cDNAを変性せしめ、次のオリゴヌクレオ
チドプライマー: 5′−GTA CGC CAT ATC AGC TGG ATG AAG ACA GGA GAC G
AG GGG GAA AAG GGT TGG GGC GGA TGC − 3′ を使った3巡目のDNA合成のための鋳型として使用す
る。
【0267】このプライマーは、μ重鎖情報の定常部分
に特異的な配列(ACA GGA GAC GAGGGG GAA AAG GGT TGG
GGC GGA TGC )並びに新たに合成されるDNA鎖のP
CR増幅のためのプライマーとして使うことができるユ
ニーク配列(GTA CGC CAT ATC AGC TGG ATG AAG )を含
む。この配列を、次の2つのオリゴヌクレオチドプライ
マー: 5′−GAG GTA CAC TGA CAT ACT GGC ATG −3 ′ 5′−GTA CTC CAT ATC AGC TGG ATG AAG −3 ′ を使ってPCRにより増幅せしめる。
【0268】PCR増幅された配列をゲル電気泳動によ
り精製し、そしてプライマーとして次のオリゴヌクレオ
チド: 5′−GAG GTA CAC TGA CAT ACT GGC ATG −3 ′ を使ったジデオキシ配列決定反応のための鋳型として使
用する。次いで、該配列の最初の42ヌクレオチドを使っ
て、免疫グロブリン情報が転写された遺伝子を単離する
ためのユニークプローブを合成する。このDNAの合成
42ヌクレオチドセグメントを、以後o−ミューと称する
ことにする。
【0269】Ig発現細胞系から単離しそして個別におよ
びMluI(MluIは、JセグメントとμCH1 との間を開裂す
る稀少切断性酵素である)を含む幾つかの異なる制限エ
ンドヌクレアーゼと対に組み合わせて消化したDNAの
サザンブロットを、32P標識したユニークオリゴヌクレ
オチドo−ミューを用いて探査する。ユニーク制限エン
ドヌクレアーゼ部位は、再配列されたVセグメントの上
流に同定される。
【0270】次いでIg発現細胞系からのDNAを MluI
と第二の酵素で切断する。次いで MluIまたは SpeIア
ダプターリンカーを末端に連結せしめ、切断して上流部
位をMluIまたは SpeIに変換する。次いで該DNAを
アガロースゲル電気泳動によりサイズ分画し、発現され
るVセグメントを包含するDNA断片を含む画分をプラ
スミドpGP1中に直接クローニングする。ユニークプロー
ブo−ミューを使ってVセグメント含有クローンを単離
し、その挿入断片を MluIでまたはMlu I/Spe Iで切
断されたプラスミドpCON2 中にサブクローニングする。
生じたクローンをpRMGH と命名する。
【0271】実施例8 ヒトκ小遺伝子座トランスジーンの作製 軽鎖小遺伝子座 κ軽鎖特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いてヒト
ゲノムDNAファージライブラリーをスクリーニング
し、Jκ−C領域に及ぶクローンを単離した。Jκ1 を
含む5,7 kb ClaI/Xho I断片をJκ2-5 とCκを含む
13 kb XhoI断片と一緒にpGP1d 中にクローニングし、
そしてプラスミドpKcor を作製するのに使った。このプ
ラスミドは、4.5 kbの5′隣接配列と9 kbの3′隣接配
列と共に、Jκ1-5 、κインロトンエンハンサーおよび
Cκを含有する。それはVセグメントのクローニング用
のユニークな5′Xho I部位と追加のシス作用性調節配
列の挿入用のユニークな3′Sal I部位も有する。Vκ遺伝子 Vκ軽鎖特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いてヒ
トゲノムDNAファージライブラリーをスクリーニング
し、ヒトVκセグメントを含むクローンを単離した。D
NA配列分析により機能的Vセグメントを同定した。そ
れらのクローンは、TATAボックス、リーダーと可変性ペ
プチド(2つのシステイン残基を含む)をコードする転
写解読枠、スプライス配列、および組換えヘプタマー−
12 bスペーサー−ノナマー配列を含有する。該クローン
のうちの3つをマッピングし、配列決定した。該クロー
ンのうちの2つ、65.5と65.8が機能的であり、それらが
TATAボックス、リーダーと可変性ペプチド(2つのシス
テイン残基を含む)をコードする転写解読枠、スプライ
ス配列、および組換えヘプタマー−12 bスペーサー−ノ
ナマー配列を含有すると思われる。3つめのクローン6
5.4は、非規準的組換えヘプタマーを含むことからVκ
I偽遺伝子をコードすると思われる。
【0272】VkIII ファミリー遺伝子をコードする機能
的クローンのうちの1つVκ 65-8を使って軽鎖小遺伝
子座構成物を作製した。pKC1 Vκ 65-8 を含む7.5 kb XhoI/Sal I断片を pKcorの
5′Xho I部位に挿入することにより、κ軽鎖小遺伝子
座pKC1(図38)を作製した。注入前に NotIでの消化に
より該トランスジーン挿入断片を単離した。
【0273】精製した挿入断片を、受精した(C57BL/6×
CBA)F2 マウス胚の前核中にマイクロインジェクトし、
次いでHogan ら(Methods of Manipulating the Mouse
Embryo, 1986, Cold Spring Harbor Laboratory, New Y
ork)に記載の通りに、生存している胚を偽妊娠雌に移し
た。注入された胚から発育したマウスを、尾部DNAの
サザンブロット分析によりトランスジーン配列の存在に
ついて分析した。既知量のクローン化DNAを含有する
対照標準に比較したバンド強度により、トランスジーン
コピー数を評価した。それらの動物から血清を単離し、
そしてHarlowおよびLane (Antibodies: A Laboratory M
anual, 1988, Cold Spring Harbor Laboratory, New Yo
rk) により記載された通りに、トランスジーンによりコ
ードされるヒトIgκタンパク質の存在についてELISA に
より分析した。
【0274】マイクロタイタープレートウエルをヒトIg
κ(クローン 6E1, #0173, AMAC Inc., Westbrook, ME
)、ヒトIgM(クローン AF6, #0285, AMAC Inc., Wes
tbrook, ME )およびヒトIgG1(クローンJL512, #0280,
AMAC Inc., Westbrook, ME )に特異的なマウスモノク
ローナル抗体でコーティングした。血清試料を該ウエル
中に系列希釈し、そしてマウス免疫グロブリンとの交差
反応性を最少にするために予備吸着されているアフィニ
ティー精製済アルカリホスファターゼ接合ヤギ抗ヒトIg
(多価)を使って特定の免疫グロブリンの存在を検出し
た。
【0275】図41は、8匹のマウス(I.D. #676, 674,
673, 670, 666, 665, 664 および496 )からの血清のEL
ISA アッセイの結果を示す。それらのマウスの最初の7
匹はpKC1トランスジーン挿入断片が注入された胚から発
育し、そして8番目のマウスはpHC1トランスジーン(前
記)のマイクロインジェクションにより生まれたマウス
に由来する。pKC1注入胚からの7匹のマウスのうちの2
匹(I.D. #666 と664)は、DNAサザンブロット分析
により分析するとトランスジーン挿入断片を含んでおら
ず、5匹(I.D. #676, 674, 673, 670および665 )は該
トランスジーンを含んでいた。
【0276】pKC1トランスジーン陽性動物の一匹を除く
全てが検出可能なレベルのヒトIgκタンパク質を発現
し、残りの一匹の非発現性動物はDNAサザンブロット
分析に基づくと遺伝的モザイクであるらしい。pHC1陽性
トランスジェニックマウスはヒトIgMとIgG1 を発現す
るがIgκを発現せず、これは該アッセイに使用する試薬
の特異性を証明する。pKC2 Vκ 65.5 を含む8 kb XhoI/Sal I断片をpKC1の5′
Xho I部位に挿入することにより、κ軽鎖小遺伝子座pK
C2を作製した。2つのVκセグメントを含む生成トラン
スジーン挿入断片をマイクロインジェクション前に Not
Iでの消化により単離した。pKVe2 この構成物は、Jκの5′に1.2 kbの追加配列を含みそ
してVκ65.8の3′の4.5 kbの配列を欠いていること以
外は、pKC1と同じである。該構成物は更に、マウス重鎖
J−mイントロンエンハンサー〔Banerji ら、Cell 3
3:729-740 (1982) 〕を含む0.9 kb XbaI断片と、下流
に挿入されたヒト重鎖J−mイントロンエンハンサー
〔Haydayら、Nature 307:334-340 (1984)〕を含む1.4
kb MluI−HindIII 断片を含有する。この構成物を、対
立遺伝子排除とイソタイプ排除を果たす軽鎖小遺伝子座
の初期再配列を開始する可能性について試験する。異な
るエンハンサー、即ちマウスまたはラットの3′κまた
は重鎖エンハンサー〔Meyer およびNeuberger, EMBO J.
8:1959-1964 (1989) ; Pettersonら、Nature 344:16
5-168 (1990);これらは参考として本明細書中に組み込
まれる〕を有する類似構成物を作製することができる。再配列された軽鎖トランスジーン ヒトB細胞DNAからPCRにより増幅され機能的に再
配列された軽鎖遺伝子を再構成するためにκ軽鎖発現カ
セットをデザインした。方策を図39に示す。PCR増幅
させた軽鎖遺伝子を、κ軽鎖遺伝子65.5から単離した3.
7 kbの5′隣接配列を含むベクターpK5nx 中にクローニ
ングする。次いで、Jκ2-4 、Jκイントロンエンハン
サー、Cκおよび9 kbの下流配列を含むベクターpK31s
のユニーク XhoI部位中に、5′転写調節配列に融合さ
せたVJセグメントをクローニングする。生じたプラス
ミドは、再構成された機能的に再配列されたκ軽鎖トラ
ンスジーンを含有し、このトランスジーンは胚へのマイ
クロインジェクションのために NotIで切り出すことが
できる。該プラスミドは追加のシス作用性調節配列の挿
入のために3′末端にユニーク SalI部位も含有する。
【0277】ヒト脾臓ゲノムDNA由来の再配列された
κ軽鎖遺伝子を増幅せしめるのに2つの合成オリゴヌク
レオチド(o-130, o-131)を使った。オリゴヌクレオチ
ドo-130 (gga ccc aga (g,c)gg aac cat gga a(g,a)
(g,a,t,c) )は、VκIII ファミリー軽鎖遺伝子の5′
領域に相補的でありそしてリーダー配列の最初のATC
と重複している。オリゴヌクレオチド o-131(gtg caa
tca att ctc gag ttt gac tac aga c )は、Jκ1の約
150 bp 3′よりの配列に相補的であり、Xho I部位を
含む。それらの2つのオリゴヌクレオチドは、Jκ1セ
グメントに連結された再配列されたVκIII 遺伝子に相
当するヒト脾臓DNAからの0.7 kbのDNA断片を増幅
する。
【0278】PCR増幅されたDNAを NcoIと XhoI
で消化し、個々のPCR生成物をプラスミドpNN03 中に
クローニングした。5つのクローンのDNA配列を決定
すると、機能的VJ連結(転写解読枠)を有する2つの
クローンが同定された。追加の機能的に再配列された軽
鎖クローンも収集される。機能的に再配列されたクロー
ンは上記軽鎖発現カセット(図39)中に個別にクローニ
ングすることができる。再配列された軽鎖構成物を用い
て生産されたトランスジェニックマウスを重鎖小遺伝子
座トランスジェニックマウスと交配せしめることによ
り、一次レパートリーの多様性の全てが重鎖により与え
られる完全にヒトの抗体のスペクトルを発現するマウス
株を生産することができる。
【0279】軽鎖多様性の1つの起源は体細胞突然変異
からであることができる。全ての軽鎖が様々な異なる重
鎖と結合する能力に関して同等であるわけではないの
で、各々が異なる軽鎖構成物を含有する異なるマウス株
を生成せしめ試験することができる。この方策の利点
は、再配列されていない軽鎖小遺伝子座の使用とは反対
に、容易に重鎖と対を作りすぐに重鎖VDJ連結が起こ
るような軽鎖を有することから生まれる軽鎖対立遺伝子
およびイソタイプ排除の増加である。この組み合わせ
は、完全にヒトの抗体を発現するB細胞の頻度の増加を
もたらし、かくしてヒトIg発現性ハイブリドーマの単離
を容易にすることができる。
【0280】プラスミドpIGM1, pHC1, pIGH1, pKC1およ
びpKC2の NotI挿入断片をアガロースゲル電気泳動によ
りベクター配列から単離した。精製されたそれらの挿入
断片を、受精した(C57BL/6×CBA) F2 マウスの前核中に
マイクロインジェクトし、そしてHogan らにより記載さ
れた通りに〔Hogan ら、Methods of Manipulating the
Mouse Embryo, Cold Spring Harbor Laboratory, New Y
ork (1986)〕、生存している胚を偽妊娠雌中に移した。
【0281】実施例9 相同組換えによるマウスκ軽鎖遺伝子の不活性化 この実施例は、胎児性幹(ES)細胞中での相同組換えによ
るマウス内因性κ遺伝子座の不活性化に次いで、不活性
化されたκ対立遺伝子を有する標的ES細胞を初期マウス
胚(胚盤胞)中に注入することによるマウス生殖細胞系
中への変異遺伝子の導入を記載する。
【0282】方策は、Jκ遺伝子とCκセグメントに及
ぶ遺伝子座の4.5 kbセグメントが削除されそして選択マ
ーカーneo により置き換えられているマウスκ遺伝子座
に相同なDNA配列を含むベクターを用いた相同組換え
によりJκ遺伝子とCκ遺伝子を欠失せしめることであ
る。κ標的ベクターの作製 プラスミドpGEM7(KJ1) (M.A. Rudnicki, Whitehead Ins
titute) は、クローニングベクター 7Zf(+) 中のマウス
ホスホグリセレートキナーゼ(pgk) プロモーター〔Xba
I/ TaqI断片;Adra,C.N.ら、Gene 60:65-74 (198
7) 〕の転写調節下に、トランスフェクトされたES細胞
の薬剤選択に使うネオマイシン耐性遺伝子(neo) を含
む。このプラスミドは、マウスpgk 遺伝子の3′領域に
由来する、neo 遺伝子にとって異種のポリアデニル化部
位〔Pvu II/HindIII 断片;Boer, P.H.ら、Biochemica
l Genetics 28:299-308 (1990) 〕も含む。このプラス
ミドをκ標的ベクターの作製のための出発点として使っ
た。第一段階はneo 発現カセットの3′のκ遺伝子座に
相同な配列を挿入することであった。
【0283】Cκ遺伝子座に特異的なオリゴヌクレオチ
ドプローブ: 5 ′−GGC TGA TGC TGC ACC AAC TGT ATC CAT CTT CCC
ACC ATC CAG − 3′ とJκ遺伝子セグメントに特異的なオリゴヌクレオチド
プローブ: 5 ′−CTC ACG TTC GGT GCT GGG ACC AAG CTG GAG CTG
AAA CGT AAG − 3′ を使って、肝臓DNAから誘導されたゲノムファージラ
イブラリーから、マウスκ鎖配列(図25a)を単離し
た。
【0284】陽性ファージクローンから2断片におい
て、即ち1.2 kb BglII/Sac I断片と6.8 kb SacI断片
として、マウスCκセグメントの3′に及ぶ8 kb BglII
/SacI断片を単離し、それを BglII/Sac Iで消化さ
れたpGEM(KJ1) 中にサブクローニングし、プラスミド p
NEO-K3′を作製した(図25b)。Jκ領域の5′に及ぶ
1.2 kb EcoRI/Sph I断片も陽性ファージクローンから
単離した。この断片の SphI部位に SphI/Xba I/Bg
l II/EcoRI アダプターを連結せしめ、生じたEcoRI 断
片をneo 遺伝子および下流の3′κ配列と同じ5′→
3′方向で、 EcoRIで消化された pNEO-K3' に連結せし
め、pNEO-K5'3'(図25c)を作製した。
【0285】次いで、Mansour ら、Nature 336: 348-3
52 (1988) (これは参考として本明細書中に組み込まれ
る)により記載されたようにして、相同組換え体を有す
るESクローンの富化に備えるために、該構成物中に単純
ヘルペスウイルス(HSV) チミジンキナーゼ(TK)遺伝子を
含めた。プラスミドpGEM7(TK) からHSV TKカセットを得
た。このカセットは、pGEM7(KJ1)について上述したのと
同様に、マウスpgk プロモーターとポリアデニル化配列
とにより隣接されたHSV TK遺伝子の構造配列を含む。pG
EM7(TK) の EcoRI部位を BamHI部位に変更し、そしてTK
カセットを BamHI/HindIII 断片として切り出し、pGP1
b 中にサブクローニングしてpGP1b-TKを作製した。この
プラスミドをXho I部位のところで線状化し、Jκの
5′からのゲノム配列とCκの3′からのゲノム配列と
により隣接された neo遺伝子を含む、pNEO-K5'3'由来の
XhoI断片をpGP1b-TK中に挿入し、標的ベクターJ/C KI
(図25d)を作製した。J/C K1を用いた相同組換え後の
ゲノムκ遺伝子座の推定構造を図25eに示す。κ対立遺伝子の標的不活性化によるES細胞の作製および
分析 使用したES細胞は、本質的には記載された通りに〔Robe
rtson, E. J., Teratocarcinomas and Embryonic Stem
Cells: A Practical Approach, E.J.Robertson編 (Oxfo
rd: IRL Press) 71-112 頁(1987)〕、分裂上不活性なSN
L76/7 支持細胞層〔McMahon およびBradley, A. Cell
62:1073-1085 (1990) 〕上で増殖させたAB-1系であっ
た。他の適当なES系としては、E14 系〔Hooperら、Natu
re 326:292-295 (1987)〕、D3系〔Doetschmanら、J. E
mbryol. Exp. Morph. 87:27-45(1985) 〕、およびCCE
系〔Robertson ら、Nature 323:445-448 (1986)〕が
挙げられるが、それらに限定されない。特異的な標的変
異を有するES細胞からマウス系統をうまく作製できるの
は、ES細胞の多分化能性(即ち、宿主胚盤胞中に注入さ
れれば、胚形成に参加することができ且つ生じた動物の
生殖細胞に貢献することができるそれらの能力)に依存
している。
【0286】任意の与えられたES細胞系の多分化能性
は、培養時間およびそれに取り払った注意によって異な
り得る。多分化能性についての唯一の決定的アッセイ
は、使用することになっているES細胞の特定集団がESゲ
ノムの生殖細胞伝達を行うことができるキメラ体を生成
することができるかどうかを決定することである。この
理由により、遺伝子標的の前に、AB-1細胞の親集団の一
部をC57B1/6J胚盤胞中に注入し、該細胞がキメラマウス
を生成できるかどうか、およびそれらのキメラ体の大部
分がESゲノムを子孫に伝達できるかどうかを確かめる。
【0287】κ鎖不活性化ベクターJ/C K1を NotIで消
化し、そして記載された方法〔Hasty, P.R. ら、Nature
350:243-246 (1991)〕によりAB-1細胞中にエレクトロ
ポレートせしめた。エレクトロポレートされた細胞を10
0 mm皿上に2 〜5 ×106 細胞/皿の密度で塗抹した。24
時間後、G418(200 μg/mlの活性成分)およびFIAU(0.
5 μM)を培地に添加し、10〜11日に渡り薬剤耐性クロ
ーンを発達させた。クローンを採取し、トリプシン処理
し、2部分に分け、更に増殖させた。次いで、各クロー
ンからの細胞の半分を凍結させ、もう半分をベクターと
標的配列との間の相同組換えについて分析した。
【0288】サザンブロットハイブリダイゼーションに
よりDNA分析を行った。記載の如く〔Laird, P.W.
ら、Nucl. Acids Res. 19:4293 (1991)〕クローンから
DNAを単離し、 XbaIで消化し、そして標特的プロー
ブとして図25eに指摘の800 bpEcoRI/Xba I断片を用
いて探査した。このプローブは野生型遺伝子座中の3.7k
b XbaI断片、および標的ベクターと相同組換えされた
遺伝子座中の標徴的な1.8 kbバンドを検出した(図25a
およびeを参照のこと)。サザンブロット分析によりス
クリーニングした 901個のG418およびFIAU耐性クローン
のうち、7つのクローンがκ遺伝子のうちの1つへの相
同組換えを示す1.8 kb XbaIバンドを表した。それらの
4つのクローンを更に BglII, Sac Iおよび PstI酵素
で消化し、κ遺伝子のうちの1つに該ベクターが相同的
に組み込まれたことを確認した。標徴的800 bp EcoRI/
Xba I断片(プローブA)を用いて探査すると、野生型
DNAの BglII, Sac IおよびPst I消化物がそれぞれ
4.1, 5.4, および7 kbの断片を生成し、一方標的された
κ対立遺伝子の存在はそれぞれ2.4, 7.5および5.7 kbの
断片により指摘された(図25aおよびeを参照のこ
と)。 XbaI消化物により検出された7つの陽性クロー
ンの全てが、κ軽鎖のところでの相同組換えに標徴的で
ある期待の BglII, Sac Iおよび PstI制限断片を示し
た。不活性化されたκ鎖を有するマウスの作製 前の章で記載した標的されたESクローンのうちの5つ
を、記載の如く〔Bradley, A. , Teratocarcinomas and
Embryonic Stem Cells: A Practical Approach,E.J. R
obertson 編 (Oxford: IRL Press), 113-151 頁(198
7)〕C57B1/6J胚盤胞中に注入し、そして偽妊娠雌の子宮
に移し、注入ES細胞から誘導された細胞と宿主の胚盤胞
との混合物に由来するキメラマウスを作製する。黒いC5
7B1/6J背景上において、ES細胞系由来のアグーチ皮膜着
色の量により、キメラ体へのES細胞の貢献の程度を外観
的に同定する。標的クローンの胚盤胞注入から得られた
子孫のほぼ半分がキメラであり(即ち、アグーチ並びに
黒い着色を示した)、それらの大部分が皮膜着色への過
剰のES細胞の貢献(70%以上)を示した。AB1 ES細胞は
XY細胞系であり、それらの高率キメラ体の大部分が、コ
ロニー形成された雄ES細胞による雌胚の性転換のために
雄であった。
【0289】雄のキメラをC57BL/6Jと交配させ、ESゲノ
ムの生殖細胞伝達の指標である優性のアグーチ皮膜色の
存在について子孫を観察する。それらのクローンのうち
の2つからのキメラ体が一貫してアグーチ子孫を生産し
た。κ遺伝子座の唯一のコピーが注入ESクローンに標的
されたので、各アグーチ子孫は変異遺伝子座を受け継ぐ
見込みを50%有した。尾部生検試料からの BglII消化D
NAのサザンブロット分析により、標的ESクローンの同
定に用いたプローブ(プローブA、図25e)を使って、
標的遺伝子のスクリーニングを行った。予想通り、アグ
ーチ子孫の約50%が4.1 kbの野生型バンドに加えて2.4
kbのハイブリダイズする BglIIバンドを示した。この結
果は、標的されたκ遺伝子座の生殖細胞伝達を証明す
る。
【0290】該変異に対して同型接合性のマウスを生成
せしめるために、異型接合体同士を交配し、そして上述
のようにして子孫のκ遺伝子型を決定した。予想通り、
異型接合体交配から3つの遺伝子型が誘導された:2コ
ピーの正常κ遺伝子座を有する野生型マウス、1コピー
の標的κ遺伝子と1つのNTκ遺伝子を有する異型接合
体、およびκ変異に対して同型接合性であるマウス。そ
れらの後者のマウスからのκ配列の欠失は、Jκに特異
的なプローブ(プローブC、図25a)を使ったサザンブ
ロットハイブリダイゼーションにより確認した。該Jκ
プローブのハイブリダイゼーションは異型接合性子孫と
野生型子孫からのDNA試料に観察されたが、一方で同
型接合体には全くハイブリダイゼーションシグナルが検
出されなかった。これは、標的変異の結果としての欠失
によりκ遺伝子座の両方のコピーが不活性化されている
新規マウス株の発生を証明する。
【0291】実施例10 相同組換えによるマウス重鎖遺伝子の不活性化 この実施例は、胎児性幹(ES)細胞中での相同組換えによ
る内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子の活性化を記
載する。方策は、JH 領域が削除されそして選択マーカ
ー遺伝子neo により置き換えられている重鎖配列を含む
ベクターとの相同組換えにより内因性重鎖Jセグメント
を欠失せしめることである。重鎖標的ベクターの作製H 4 特異的オリゴヌクレオチドプローブ: 5′−ACT ATG CTA TGG ACT ACT GGG GTC AAG GAA CCT C
AG TCA CCG − 3′ を使って、D3 ES 細胞系〔Gossler ら、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A. 83:9065-9069 (1986) 〕から誘導され
たゲノムファージライブラリーから、JH 領域を含むマ
ウス重鎖配列(図26a)を単離した。
【0292】JH 領域に及ぶ3.5 kbのゲノムSac I/St
u I断片を陽性ファージクローンから単離し、それをSa
c I/Sma Iで消化されたpUC18 中にサブクローニング
した。生じたプラスミドをpuc18 J H と命名した。トラ
ンスフェクトされたES細胞の薬剤選別に用いるネオマイ
シン耐性遺伝子(neo) は、プラスミド pGEM7 (KJ1)の修
復変形から誘導された。文献中の報告〔Yenofskiら、Pr
oc. Natl. Acad. Sci.U.S.A. 87: 3435-3439 (1990)〕
は、pGEM7 (KJ1) 中に使用されるneo 遺伝子の源として
働いた pMC1neo〔ThomasおよびCappechi,Cell 51: 50
3-512 (1987)〕を含む幾つかの常用の発現ベクターの n
eoコード配列の点変異を証明している。
【0293】この変異は neo遺伝子産物の活性を減少さ
せるが、該変異を含む制限断片を野生型 neoクローンか
らの対応配列と置き換えることにより修復された。pGEM
7 (KJ1) 中のHindIII 部位を合成アダプターの付加によ
って SalI部位に変更し、そして XbaI/Sal Iでの消
化によりneo 発現カセットを切り出した。次いで neo断
片の両端をDNA polIのクレノウ形での処理により平
滑末端化し、pUC18 JH の NaeI部位中にサブクローニ
ングし、プラスミドpUC18 JH -neo(図26b)を作製し
た。
【0294】標的ベクターの更なる作製は、プラスミド
pGP1b の誘導体において行った。pGP1b を制限酵素 Not
Iで消化し、アダプターとして次のオリゴヌクレオチ
ド: 5′−GGC CGC TCG ACG ATA GCC TCG AGG CTA TAA ATC T
AG AAG AAT TCC AGC AAA GCT TTG GC− 3′ と連結せしめた。
【0295】生じたプラスミド(pGETと命名)を使って
マウス免疫グロブリン重鎖標的構成物を構築した。Mans
our ら、Nature 336: 348-352 (1988) により記載され
たようにして、相同組換え体を有するESクローンの富化
に備えるために、該構成物中に単純ヘルペスウイルス(H
SV) チミジンキナーゼ(TK)遺伝子を含めた。プラスミド
pGEM(TK)からEcoRI とHindIII での消化によりHSV TK遺
伝子を得た。このTK DNA断片をpGMTのEcoRI 部位とHind
III 部位との間にサブクローニングし、プラスミドpGMT
-TK(図26c)を作製した。
【0296】標的配列に対する広範な相同性領域を提供
するために、陽性ゲノムファージクローンから XhoIで
のDNAの限定消化および XbaIでの部分消化により、
H領域の5′に位置する5.9 kbのゲノムXba I/Xho
I断片を誘導した。図26aに示されるように、このXba
I部位はゲノムDNA中には存在せず、むしろ陽性ファ
ージクローン中のクローン化ゲノム重鎖挿入断片にすぐ
に隣接するファージ配列から誘導される。この断片をXb
a I/Xho Iで消化されたpGMT-TK 中にサブクローニン
グし、プラスミド pGMT-TK-JH 5'(図27d)を作製し
た。
【0297】作製の最終段階は、neo 遺伝子および隣接
するゲノム配列を含むpUC18 JH -neoからの2.8 kb Eco
RI断片の切除を含んだ。この断片をクレノウポリメラー
ゼにより平滑末端にし、同様に平滑末端化されたpGMT-T
K-JH 5'の XhoI部位中にサブクローニングした。生じ
た構成物JH KO1 (図27e)は、JH 遺伝子座を隣接す
る6.9 kbのゲノム配列を含み、neo 遺伝子が中に挿入さ
れているJH 領域に及ぶ2.3 kbの欠失を有する。図27f
は、標的用構成物との相同組換え後の内因性重鎖遺伝子
の構造を示す。
【0298】実施例11 標的されたES細胞の生産および分析 本質的には記載された通りに〔Robertson, E.J.(1987)
Terato- carcinomas and Embryonic Stem Cells: A Pra
ctical Approach, E.J. Robertson編 (Oxford: IRL Pr
ess), 71-112頁〕、分裂上不活性なSNL76/7 支持細胞層
〔McMahon および Bradley, Cell 62: 1073-1085 (199
0)〕上でAB-1 ES 細胞を増殖させた。前の実施例に記載
した通り、標的指向性構成物JH KO1 によるES細胞のエ
レクトロポレーションの前に、ESゲノムの生殖細胞伝達
能力を有することが証明されたAB-1由来のキメラの作製
により、ES細胞の多分化能性を決定した。
【0299】重鎖不活性化ベクターJH KO1 をNot Iで
消化し、そして記載された方法〔Hasty ら、Nature 35
0: 243-246 (1991) 〕によりAB-1細胞中にエレクトロポ
レートせしめた。エレクトロポレートされた細胞を100
mm皿上に1 〜2 ×106 細胞/皿の密度で塗抹した。24時
間後、G418(200 mg/mlの活性成分)およびFIAU(0.5m
M )を培地に添加し、8〜10日間に渡り薬剤耐性クロー
ンを発達させた。クローンを採取し、トリプシン処理
し、2部分に分け、更に増殖させた。次いで、各クロー
ンからの細胞の半分を凍結させ、もう半分をベクターと
標的配列との間の相同組換えについて分析した。
【0300】サザンブロットハイブリダイゼーションに
よりDNA分析を行った。記載の如く〔Laird ら、Nuc
l. Acids Res. 19:4293 (1991)〕クローンからDNA
を単離し、 StuIで消化し、そしてプローブAとして図
27fに示される500 bp EcoRI/Stu I断片を用いて探査
した。このプローブは野生型遺伝子座中の 4.7 kb Stu
I断片を検出し、一方で3 kbバンドは標的指向ベクター
と内因性配列の相同組換えに標徴的である(図26aおよ
び27fを参照のこと)。サザンブロットハイブリダイゼ
ーションによりスクリーニングした525 個のG418および
FITU二重耐性クローンのうち、12個が標的指向ベクター
との組換えに標徴的な3 kb断片を含むことがわかった。
それらのクローンがJH 遺伝子座のところに期待の標的
現象(図27fに示されるような)を示すことは、HindII
I 、Spe IおよびHpa Iでの更なる消化により確認され
た。
【0301】HindIII 、Spe IおよびHpa Iで消化され
たDNAのサザンブロットへのプローブA(図27f参
照)のハイブリダイゼーションは、野生型遺伝子座につ
いてはそれぞれ2.3 kb、>10 kb および>10 kb のバン
ドをもたらし、一方標的された重鎖遺伝子座については
それぞれ5.3 kb、3.8 kbおよび1.9 kbのバンドが予想さ
れる(図27f参照)。 StuI消化物により検出された12
個の陽性クローンの全てが、標的JH 遺伝子に標徴的な
推定HindIII 、Spe IおよびHpa Iバンドを示した。加
えて、neo-特異的プローブ(プローブB、図27f)を使
った12個のクローン全ての StuI消化物のサザンブロッ
ト分析は3 kbの推定断片のみを生じ、それらのクローン
が各々標的指向ベクターの単一コピーを含有することを
証明した。 H 欠失を有するマウスの作製 前の章で記載した標的されたESクローンのうちの3つを
解凍し、記載の如く〔Bradley, A. (1987)Teratocarcin
omas and EmbryonicStem Cells: A PracticalApproach,
E.J. Robertson編 (Oxford: IRL Press), 113-151 頁
(1987)〕C57B1/6J胚盤胞中に注入し、そして偽妊娠雌の
子宮に移した。黒色C57B1/6J背景上において、ES細胞系
由来のアグーチ皮膜着色の量から、キメラ体へのES細胞
の貢献の程度を外観的に同定する。2つの標的クローン
の胚盤胞注入から得られた子孫のほぼ半分がキメラであ
り(即ち、アグーチ並びに黒い着色を示した)、3つ目
の標的クローンはキメラ動物を生じなかった。それらの
キメラ体の大部分が皮膜着色へのES細胞のかなりの貢献
度(70%以上)を示した。AB1 ES細胞はXY細胞系であ
り、キメラ体の大部分は、コロニー形成された雌胚が雄
ES細胞により性転換されたために雄であった。雄キメラ
をC57BL/6J雌と交配させ、ESゲノムの生殖細胞伝達の標
徴である優性のアグーチ皮膜色の存在について子孫を観
察する。
【0302】それらのクローンのうちの両方からのキメ
ラ体が一貫してアグーチ子孫を生産した。重鎖遺伝子座
の唯一のコピーが注入ESクローン中に標的されたので、
各アグーチ子孫は変異遺伝子座を受け継ぐ見込みを50%
有した。尾部生検試料からのStuI消化DNAのサザン
ブロット分析により、標的ESクローンの同定に用いたプ
ローブ(プローブA、図27f )を使って、標的遺伝子の
スクリーニングを行った。予想通り、アグーチ子孫の約
50%が4.7 kbの野生型バンドに加えて約3 kbのハイブリ
ダイズする StuIバンドを示した。この結果は、標的さ
れたJH 遺伝子座の生殖細胞伝達を証明する。
【0303】該変異に対して同型接合のマウスを作製す
るために、異型接合体同士を交配し、そして上述のよう
にして子孫の重鎖遺伝子型を決定した。予想通り、異型
接合体交配から3つの遺伝子型が誘導された:2コピー
の正常JH 遺伝子座を有する野生型マウス、該遺伝子の
1つの標的コピーと1つの正常コピーを有する異型接合
体、およびJH 変異に対して同型接合であるマウス。そ
れらの後者のマウスからのJH 配列の欠失は、JH に特
異的なプローブ(プローブC、図26)を使ったサザンブ
ロットハイブリダイゼーションにより確認した。異型接
合性子孫と野生型子孫からのDNA試料において4.7 kb
断片へのJH プローブのハイブリダイゼーションが観察
されたが、一方でJH 変異体同型接合体からの試料には
全くシグナルが検出されなかった。これは、JH 配列の
欠失により重鎖遺伝子の両方のコピーが変異されている
新規マウス株の生成を証明する。
【0304】実施例12 重鎖小遺伝子座トランスジーン A.大型DNA配列をクローニングするためのプラスミ
ドベクターの作製 1. pGP1a プラスミドpBR322を EcoRIと StyIで消化し、そして次
のオリゴヌクレオチド: オリゴ−42 5′−caa gag ccc gcc taa tga gcg ggc
ttt ttt ttg cat act gcg gcc gct − 3′ オリゴ−43 5′−aat tag cgg ccg cag tat gca aaa
aaa agc ccg ctc att agg cgg gct − 3′ と連結せしめた。
【0305】生じたプラスミド pGP1aを、稀少切断性制
限酵素 NotIにより切除することができる非常に大型D
NA構成物をクローニングするために改変する。それ
は、trpA遺伝子に由来する強力な転写終結シグナル〔Ch
ristieら、Proc. Natl. Acad.Sci. USA 78:4180 (198
1)〕の下流に(アンピシリン耐性遺伝子AmpRに関して)
NotI制限部位を含む。この終結シグナルは、AmpR遺伝
子からの読み通し転写を排除することにより、 NotI部
位中に挿入されるコード配列の潜在的毒性を低下させ
る。加えて、このプラスミドは、pBR322コピー数調節領
域を保持しているために pUCプラスミドに比較して低コ
ピー数である。この低コピー数も挿入配列の潜在的毒性
を更に低下させ、そしてDNA複製による大型挿入断片
に対する選択を減少させる。ベクター pGP1b, pGP1c, p
GP1dおよびpGP1f はpGP1a から誘導され、そして異なる
ポリリンカークローニング部位を含む。そのポリリンカ
ー配列を下記に与える。
【0306】
【化1】
【0307】それらの各プラスミドは大型トランスジー
ン挿入断片の作製に利用することができ、該挿入断片は
NotIで切り出すことができ、その結果トランスジーン
DNAをマイクロインジェクション前にベクター配列か
ら精製することができる。 2. pGP1b pGP1a を NotIで消化し、そして次のオリゴヌクレオチ
ド: オリゴ−47 5′−ggc cgc aag ctt act gct gga tcc
tta att aat cga tag tga tct cga ggc − 3′ オリゴ−43 5′−ggc cgc ctc gag atc act atc gat
taa tta agg atc cag cag taa gct tgc − 3′ と連結せしめた。
【0308】生じたプラスミド pGP1bは、 NotIにより
隣接された短いポリリンカー領域を含む。これは、 Not
Iにより切除することができる大型挿入断片の作製を容
易にする。 3. pGPe 次のオリゴヌクレオチド: オリゴ−44 5′−ctc cag gat cca gat atc agt acc
tga aac agg gct tgc −3′ オリゴ−45 5′−ctc gag cat gca cag gac ctg gag
cac aca cag cct tcc −3′ を使って、ポリメラーゼ連鎖反応技術によりラット肝臓
DNA由来の免疫グロブリン重鎖3′エンハンサー〔S.
Pettersonら、Nature344:165-168 (1990)〕を増幅せし
めた。
【0309】増幅生成物を BamHIとSph Iで消化し、そ
して BamHI/Sph Iで消化されたpNNO3 (pNNO3 は、記
載順に次の制限部位: NotI, BamHI, NcoI, Cla I,
EcoRV, XbaI, Sac I, Xho I, Sph I, Pst I, Bgl
II, EcoRI, SmaI, Kpn I,HindIII および NotIを有
するポリリンカーを含む pUC由来のプラスミドである)
中にクローニングした。生じたプラスミドpRE3を BamHI
とHindIII で消化し、そしてラットIg重鎖3′エンハン
サーを含む挿入断片を、 BamHI/HindIII で消化された
pGP1b 中にクローニングした。生じたプラスミドpGPe
(図28および(化2)及び(化3))は、配列をクロー
ニングすることができそして次いで NotI消化によって
3′エンハンサーと一緒に切り出すことができる幾つか
のユニーク制限部位を含有する。
【0310】
【化2】
【0311】
【化3】
【0312】B.IgM を発現する小遺伝子座トランスジ
ーン pIGM1の作製 1. J−μ定常領域クローンの単離およびpJM1の作製 ファージベクターλEMBL3/SP6/T7 (Clonetech Laborato
ries, Inc., Palo Alto, CA)中にクローニングしたヒト
胎盤ゲノムDNAライブラリーを、ヒト重鎖J領域特異
的オリゴヌクレオチド: オリゴ−1 5′−gga ctg tgt ccc tgt gtg atg ctt
ttg atg tct ggg gcc aag − 3′ を用いてスクリーニングし、そしてファージクローンλ
1.3 を単離した。6つのJセグメント全部並びにDセグ
メントDHQ52 および重鎖J−μイントロンエンハンサー
を含む、6 kbのHindIII /Kpn I断片をこのクローンか
ら単離した。同じライブラリーをヒトμ特異的オリゴヌ
クレオチド: オリゴ−2 5′−cac caa gtt gac ctg cct ggt cac
aga cct gac cac cta tga − 3′ を用いてスクリーニングし、ファージクローンλ2.1 を
単離した。μスイッチ領域およびμ定常領域エクソンの
全部を含む、10.5 kb のHindIII /Xho I断片をこのク
ローンから単離した。それらの2断片を、Kpn I/Xho
Iで消化されたpNNO3 と一緒に連結せしめ、プラスミド
pJM1を得た。 2. pJM2 ファージクローンλ2.1 から4 kbのXho I断片を単離し
た。該断片は、ある種のIgD 発現B細胞中でのμ遺伝子
のδ関連欠失に関与するいわゆるΣμ要素〔H.Yasui
ら、Eur. J. Immunol. 19:1399 (1989);これは参考と
して本明細書中に組み込まれる〕を含む、pJM1の配列の
すぐ下流の配列を含有する。この断片をDNAポリメラ
ーゼIのクレノウ断片で処理し、そして XhoIで切断さ
れクレノウで処理されたpJM1と連結せしめる。生じたプ
ラスミドpJM2(図29)は、内部の XhoI部位を失ってい
るが、クレノウ酵素による不完全な反応の結果として
3′Xho Iを保持している。pJM2は完全なヒトJ領域、
重鎖J−μイントロンエンハンサー、μスイッチ領域お
よびμ定常領域エクソン全部、並びにμ遺伝子のδ関連
欠失に関与する2つの0.4 kbの直接反復σμおよびΣμ
を含有する。 3. D領域クローンの単離およびpDH1の作製 次のヒトD領域特異的オリゴヌクレオチド: オリゴ−4 5′−tgg tat tac tat ggt tcg ggg agt
tat tat aac cac agt gtc − 3′ を用いて、ヒト胎盤ゲノムライブラリーをD領域クロー
ンについてスクリーニングした。ファージクローンλ4.
1 とλ4.3 を単離した。D要素DK1,DN1およびD
M2〔Y. Ichihara ら、EMBO J. 7: 4141 (1988)〕を含む
5.5 kbの XhoI断片をファージクローンλ4.1 から単離
した。D要素DLR1 ,DXP1 ,DXP'1およびDA1を含む
上流の隣接5.2 kb XhoI断片をファージクローンλ4.3
から単離した。それらのD領域 XhoI断片の各々をプラ
スミドベクターpSP72 (Promega, Madison, WI)の SalI
部位中にクローニングし、2配列を結合する XhoI部位
を破壊した。次いで上流断片を XhoIと SmaIで切り出
し、下流断片を EcoRVと XhoIで切り出した。得られた
単離断片を SalIで消化されたpSP2と一緒に連結せし
め、プラスミドpDH1を与えた。pDH1は、少なくとも7つ
のDセグメントを含みXho I(5′)およびEcoRV
(3′)で切り出すことができる10.6kbの挿入断片を含
有する。 4. pCOR1 プラスミドpJM2をAsp718(Kpn Iのアイソシゾマー)で
消化し、そしてDNA ポリメラーゼIのクレノウ断片を用
いて突出末端をフィルインした。次いで生じたDNA を C
laIで消化し、挿入断片を単離した。この挿入断片をpD
H1の XhoI/EcoRV 挿入断片および XhoI/Cla I消化
pGPeと連結せしめ、pCOR1 を作製した(図30)。 5. pVH251 2つのヒト重鎖可変領域セグメントVH 251 とVH 105
〔Humphries ら、Nature 331:446 (1988)〕を含む10.3
kb のゲノムHindIII 断片をpSP72 中にサブクローニン
グし、プラスミドpVH251を与えた。6. pIGM1 プラスミドpCOR1 を XhoIで部分消化し、そしてpVH251
の単離Xho I/Sal I挿入断片を上流の XhoI部位にク
ローニングし、プラスミド pIGM1(図31)を作製した。
pIGM1 は、下記の配列要素の全部が NotIでの消化によ
りベクター配列を含まない単一断片において単離するこ
とができそしてマウス胚の前核中にマイクロインジェク
トすることができるように、2つの機能的ヒト可変領域
セグメント、少なくとも8つのヒトDセグメント、6つ
のヒトJH セグメント全部、ヒトμエンハンサー、ヒト
σμ要素、ヒトμスイッチ領域、ヒトμコードエクソン
全部およびヒトΣμ要素を、ラット重鎖3′エンハンサ
ーと共に含有する。 C.IgM とIgG を発現する小遺伝子座トランスジーンpH
C1の作製 1. γ定常領域クローンの単離 次のヒトIgG 定常領域遺伝子に特異的なオリゴヌクレオ
チド: オリゴ−29 5′−cag cag gtg cac acc caa tgc cca
tga gcc cag aca ctg gac − 3′ を用いてヒトゲノムライブラリーをスクリーニングし
た。ファージクローンλ29.4とλ29.5を単離した。γス
イッチ領域を含むファージクローンλ29.4の 4 kbHindI
II 断片を使って、ファージベクターラムダ FIXTM II
(Stratagene, La Jolla, CA)中にクローニングされたヒ
ト胎盤ゲノムDNAライブラリーを探査した。ファージ
クローンλSg1.13を単離した。異なるγクローンのサブ
クラスを決定するために、鋳型として上記3つのファー
ジクローンの各々のサブクローンを使ってそしてプライ
マーとして次のオリゴヌクレオチド: オリゴ−67 5′−tga gcc cag aca ctg gac − 3′ を使って、ジデオキシ配列決定反応を実施した。
【0313】ファージクローンλ29.5とλS γ1.13は両
方ともγ1サブクラスであると決定された。 2. pγe1 γ1コード領域を含むファージクローンλ29.5の7.8 kb
Hind III 断片をpUC18 中にクローニングした。生じた
プラスミドpLT1を XhoIで消化し、クレノウ断片で処理
し、そして再連結せしめて内部Xho I部位を破壊した。
生じたクローンpLT1xkをHindIII で消化し、挿入断片を
単離し、pSP72 中にクローニングしてプラスミドクロー
ンpLT1xks を作製した。ポリリンカー XhoI部位とヒト
配列由来のBamHI 部位のところでのpLT1xks の消化は、
γ1定常領域コードエクソンを含む7.6 kb断片を与え
た。この7.6 kb XhoI/BamHI 断片を、ファージクロー
ンλ29.5からの隣接の下流4.5 kb BamHI断片と一緒に、
XhoI/BamHI で消化されたpGPe中にクローニングし、
プラスミド pγe1を作製した。 pγe1は、ラット重鎖
3′エンハンサーに連結された、5 kbの下流配列と共に
γ1定常領域コードエクソンの全部を含有する。 3. pγe2 γ1スイッチ領域とスイッチ前繁殖不能転写物 (steril
e trans-cript)〔P. Siderasら、International Immuno
l. 1:631 (1989)〕の第一エクソンとを含む5.3 kbのHi
ndIII 断片をファージクローンλS γ1.13から単離し、
そして挿入断片の5′末端の近隣にポリリンカー XhoI
部位を有するpSP71 中にクローニングし、プラスミドク
ローンpSγ1sを作製した。pSγ1sの XhoI/Sal I挿入
断片をXho Iで消化された pγe1中にクローニングし、
プラスミドクローン pγe2を作製した(図32)。 pγe2
は、ラット重鎖3′エンハンサーに連結された、下流の
5kb配列と共に、γ1定常領域コードエクソン全部並び
に上流のスイッチ領域および繁殖不能転写物エクソンを
含有する。 4. pHC1 プラスミドpIGM1 を XhoIで消化し、43 kb 挿入断片を
単離し、そして XhoIで消化された pγe2中にクローニ
ングし、プラスミドpHC1を作製した(図31)。pHC1は、
下記の配列要素の全部が NotIでの消化によりベクター
配列を含まない単一断片において単離しそしてマウス胚
の前核中にマイクロインジェクトしてトランスジェニッ
ク動物を作製することができるように、ラット重鎖3′
エンハンサーと共に、2つの機能的ヒト可変領域セグメ
ント、少なくとも8つのヒトDセグメント、6つのヒト
H セグメント全部、ヒトJ−μエンハンサー、ヒトσ
μ要素、ヒトμスイッチ領域、ヒトμコードエクソン全
部、ヒトΣμ要素、およびヒトγ1定常領域(関連のス
イッチ領域および繁殖不能転写物関連エクソンを含む)
を含有する。 D.IgM とIgG を発現する小遺伝子鎖トランスジーンpH
C2の作製 1. ヒト重鎖V領域遺伝子 VH49.8 の単離 ヒト胎盤ゲノムDNAライブラリーラムダ FIXTM II (S
tratagene, La Jolla,CA)を、次のヒトVH1 ファミリー
特異的オリゴヌクレオチド: オリゴ−49 5′−gtt aaa gag gat ttt att cac ccc
tgt gtc ctc tcc aca ggt gtc − 3′ を用いてスクリーニングした。
【0314】ファージクローンλ49.8を単離し、そして
可変セグメントVH49.8を含む6.1 kbXbaI断片をpNNO3
中にサブクローニングし(ポリリンカー ClaI部位がVH
49.8の下流にそしてポリリンカー XhoI部位が上流にく
るように)、プラスミドpVH49.8 を作製した。この挿入
断片の800 bp領域を配列決定すると、VH49.8は転写解読
枠並びに完全なスプライシングシグナルおよび組換えシ
グナルを有することがわかり、よって該遺伝子が機能的
であることを指摘する(表2)(化4)(化5)。
【0315】
【化4】
【0316】
【化5】
【0317】2. pV2 プラスミドpUC12 中にサブクローニングされたヒトVH
IVファミリー遺伝子VH 4-21〔I. Sanz ら、EMBO J. 8:
3741 (1989)〕を含む4 kb XbaIゲノム断片をSmaIとH
indIII で切り出し、ポリメラーゼIのクレノウ断片で
処理した。平滑末端化された断片を、 ClaIで消化され
クレノウで処理されたpVH49.8 中にクローニングした。
生じたプラスミド pV2は、挿入断片の3′末端のユニー
ク SalI部位および5′末端のユニーク XhoI部位を使
って、同じ方向でVH4-21の上流に連結された、ヒト重鎖
遺伝子VH49.8を含む。 3. pSγ1-5' 近隣の上流3.1 kb XbaI断片と一緒に0.7 kb XbaI/Hi
ndIII 断片(プラスミド pγe2中の 5.3 kb γ1 スイッ
チ領域含有断片のすぐ上流で且つそれに隣接した配列を
表す)をファージクローンλSg1.13から単離し、そして
HindIII /XbaIで消化された pUC18ベクター中にクロ
ーニングした。生じたプラスミドpSγ1-5'は、γ1イソ
タイプにスイッチする前のB細胞中に見つかる繁殖不能
転写物(sterile transcript)〔P. Siderasら、Internat
ional Immunol., 1: 631 (1989)〕の開始部位の上流の
配列を表す3.8 kb挿入断片を含む。該転写物はイソタイ
プスイッチの開始に関係があり、そして上流のシス作用
性配列はしばしば転写調節に重要であるので、繁殖不能
転写物の正しい発現および関連するスイッチ組換えを促
進するためにそれらの配列がトランスジーン構成物中に
含まれる。 4. pVGE1 pSγ1-5'挿入断片を SmaIとHindIII で切り出し、クレ
ノウ酵素で処理し、そして次のオリゴヌクレオチドリン
カー: 5′−ccg gtc gac cgg − 3′ と連結せしめた。この連結生成物を SalIで消化し、 S
alIで消化されたpV2 に連結せしめた。
【0318】生じたプラスミドpVP は、2つの機能的ヒ
ト可変遺伝子セグメントVH49.8とVH4-21(表2(化4)
及び(化5)参照)の下流に連結された3.8 kbのγ1ス
イッチ5′隣接配列を含む。 SalIでの部分消化および
XhoIでの完全消化の後、アガロースゲル上での15kb断
片の精製により、pVP 挿入断片を単離する。次いで該挿
入断片を pγe2の XhoI部位中にクローニングし、プラ
スミドクローンpVGE1(図33)を作製する。pVGE1 は、
ヒトγ1定常遺伝子および関連のスイッチ領域の上流に
2つのヒト重鎖可変遺伝子セグメントを含有する。可変
領域と定常領域との間のユニーク SalI部位を用いて、
D,Jおよびμ遺伝子セグメントをクローニングするこ
とができる。γ1遺伝子の3′末端にラット重鎖3′エ
ンハンサーが連結され、そして挿入断片全体は NotI部
位により隣接される。 5. pHC2 プラスミドクローン pVGE1をSal Iで消化し、pIGM1 の
Xho I挿入断片をその中にクローニングした。生じたク
ローンpHC2(図31)は、4つの機能的ヒト可変領域セグ
メント、少なくとも8つのDセグメント、6つのヒトJ
H セグメント全部、ヒトJ−μエンハンサー、ヒトσμ
要素、ヒトμスイッチ領域、ヒトμコードエクソン全
部、ヒトΣμ要素、およびヒトγ1定常領域(繁殖不能
転写物開始部位の上流の4 kb隣接配列と共に、関連のス
イッチ領域と繁殖不能転写物関連エクソンを含む)を含
有する。
【0319】それらのヒト配列は、前記配列要素全部を
NotIでの消化によりベクター配列を含まない単一鎖上
に単離しそしてマウス胚の前核中にマイクロインジェク
トしてトランスジェニック動物を生ぜしめることができ
るように、ラット重鎖3′エンハンサーに連結される。
該挿入断片の5′末端のユニーク XhoI部位を使って、
追加のヒト可変遺伝子セグメントをその中にクローニン
グし、この重鎖小遺伝子座の組換え多様性を更に増大さ
せることができる。 E.トランスジェニックマウス プラスミドpIGM1 およびpHC1の NotI挿入断片をアガロ
ースゲル電気泳動によりベクター配列から単離した。精
製された挿入断片を、受精した(C57BL/6 × CBA)F2マ
ウスの胚の前核中にマイクロインジェクトし、そして生
存している胚を、Hogan らにより記載された通りに(B.
Hogan, F. Costantini およびE. Lacy,Methods of Man
ipulating the Mouse Embryo, 1986, Cold Spring Harb
or Laboratory, New York)偽妊娠した雌に移した。注
入された胚から発育したマウスを、尾部DNAのサザン
ブロット分析によりトランスジーン配列の存在について
分析した。既知量のクローン化DNAを含有する対照標
準物に比較したバンド強度により、トランスジーンコピ
ー数を評価した。
【0320】3〜8週齢において、それらの動物から血
清を単離し、そしてHarlowおよびLane (E. Harlow およ
びD. Lane,Antibodies: A Laboratory Manual, 1988, C
oldSpring Harbor Laboratory, New York) により記載
されたように、トランスジーンによりコードされるヒト
IgMおよびIgG1 の存在について ELISAによりアッセイ
した。マイクロタイタープレートのウエルを、ヒトIgM
に特異的なマウスモノクローナル抗体(クローンAF6, #
0285, AMAC, Inc. Westbrook, ME)およびヒトIgGに特
異的なマウスモノクローナル抗体(クローンJL512, #02
80, AMAC, Inc.Westbrook, ME)によりコーティングし
た。該ウエル中に血清試料を連続的に希釈し、予備吸着
させることによってマスウ免疫グロブリンとの交差反応
性を最小限にしたアフィニティー単離されたアルカリホ
スファターゼ接合ヤギ抗ヒトIg(多価)を用いて、特異
的免疫グロブリンの存在を検出した。
【0321】表1と図34は、プラスミドpHC1のトランス
ジーン挿入断片を注入した胚から発育した2匹の動物の
血清中のヒトIgMおよびIgG1 の存在についてのELISA
アッセイの結果を示す。このアッセイにより試験した対
照の非トランスジェニックマウスは全て、ヒトIgMおよ
びIgGの発現について陰性であった。 pIGM1 NotI挿入
断片を含有する2系統のマウス(系統 #6 と15)はヒト
IgMを発現するがヒトIgG1 を発現しない。我々はpHC1
挿入断片を含む6つの系のマウスを試験した。その結
果、4系統(系 #26, 38, 57および122 )がヒトIgMと
ヒトIgG1 の両方を発現し、2系統のマウス(系統 #19
および21)は検出可能なレベルのヒト免疫グロブリンを
発現しなかった。
【0322】ヒト免疫グロブリンを発現しなかったpHC1
トランスジェニックマウスは、マイクロインジェクトし
た胚から直接発育したものであり、該トランスジーンの
存在についてモザイクであり得る、いわゆるGO マウス
であった。サザンブロット分析は、それらのマウスの多
くが細胞あたり該トランスジーンの1つまたは少数のコ
ピーを含むことを示した。pIGM1 トランスジェニック動
物の血清中のヒトIgM、並びにpHC1トランスジェニック
動物の血清中のヒトIgMとIgG1 の検出は、トランスジ
ーン配列がVDJ連結、転写およびイソタイプスイッチ
を指令することにおいて正しく機能しているという証拠
を提供する。1匹の動物 (#18)は、サザンブロット分析
によりトランスジーンについて陰性であり、検出可能レ
ベルのヒトIgMまたはIgG1 を全く示さなかった。2番
目の動物(#38) は、サザンブロッティングによりアッセ
イすると該トランスジーンの約5コピーを含んでおり、
そして検出可能レベルのヒトIgMとIgG1 の両方を示し
た。トランスジーンを注入した胚から発育した11匹の動
物についてのELISA アッセイの結果を下表(表1)に要
約する。
【0323】
【表1】
【0324】表1は、組み込まれたトランスジーンDN
Aの存在と血清中のトランスジーンによりコードされる
免疫グロブリンとの間の相関関係を示す。pHC1トランス
ジーンを含むことがわかった動物のうちの2匹は、検出
可能なレベルのヒト免疫グロブリンを発現しなかった。
それらは共に低コピー動物であり、該トランスジーンの
完全なコピーが含まれていないか、または該動物が遺伝
的モザイクを有している(動物#21 について評価された
細胞あたり<1コピーにより指摘される)ことがあり、
そしてトランスジーン含有細胞が造血系統に移っていな
い場合がある。あるいは、トランスジーンがそれらの発
現に至らないゲノム領域中に組み込まれている場合があ
る。pIGM1 トランスジェニック動物の血清中のヒトIgM
の検出、並びにpHC1トランスジェニック動物の血清中の
ヒトIgMとIgG1 の検出は、トランスジーン配列がVD
J結合、転写およびイソタイプスイッチを指令する上で
正しく機能することを指摘する。 F.cDNAクローン VDJ連結およびクラススイッチ、並びにB細胞発達お
よび対立遺伝子排除におけるトランスジーンがコードす
るヒトB細胞レセプターの関与に関するpHC1トランスジ
ーンの機能性を評価するために、トランスジェニックマ
ウス脾臓mRNAから誘導した免疫グロブリンcDNAクローン
の構造を調べた。DおよびJセグメント用法、N領域の
付加、CDR3の長さ分布、並びに機能的mRNA分子をもたら
す接合部の頻度に焦点を合わせて、該トランスジーンに
よりコードされる重鎖の総合的多様性を調べた。VH105
とVH251 を組み込んだIgM およびIgGをコードする転写
物を調べた。
【0325】第11週の雄第二世代57系列pHC1トランスジ
ェニックマウスからポリアデニル化RNAを単離した。
このRNAを使ってオリゴdT開始一本鎖cDNAを合成し
た。次いで得られたcDNAを、次の4つの合成オリゴヌク
レオチドをプライマーとして使った4つの各PCR増幅
反応のための鋳型として使用した: VH251特異的オリゴ
−149 ctagct cga gtc caa gga gtc tgt gcc gag gtg
cag ctg (g,a,t,c) ;VH105 特異的オリゴ−150 gtt gct
cga gtg aaa ggt gtc cag tgt gag gtg cagctg (g,a,
t,c) ; ヒトγ1特異的オリゴ−151 ggc gct cga gtt c
ca cga cac cgt cac cgg ttc ; およびヒトμ特異的オ
リゴ−152 cct gct cga ggc agc caa cgg cca cgc tgc
tcg 。反応1はプライマー o-149とo-151 を使って VH2
51−γ1転写物を増幅せしめ、反応2はプライマー o-1
49とo-152 を使って VH251−μ転写物を増幅せしめ、反
応3はプライマー o-150とo-151 を使ってVH105 −γ1
転写物を増幅せしめ、そして反応3はプライマーo-150
とo-152 を使って VH105−μ転写物を増幅せしめた。
【0326】得られた0.5 kbのPCR産物をアガロース
ゲルから単離した。対応するELISAデータ(図40)と一
致して、μ転写物産物はγ転写物産物よりも豊富であっ
た。PCR産物を XhoIで消化し、プラスミドpNN03 中
にクローニングした。4つのPCR増幅の各々からの9
個のクローンのミニプレプから二本鎖プラスミドDNA
を単離し、そしてジデオキシ配列決定反応を実施した。
該クローンのうちの2つがDまたはJセグメントを含ま
ない欠失体であることがわかった。それらは正常のRN
Aスプライシング生成物からは誘導することができなか
ったので、おそらくPCR増幅中に導入された欠失から
生じたのであろう。該DNA試料のうちの1つは、2つ
の個々のクローンの混合物であることがわかり、そして
他の3つのクローンは読み取り可能なDNA配列を生成
しなかった(おそらくDNA試料が十分に純粋でなかっ
たためであろう)。
【0327】残りの30個のクローンからのVDJ接合部
のDNA配列を(化6)(及び化7)にまとめた。各配
列はユニークであり、遺伝子再配列の単一経路が優性で
ないこと、またはトランスジーン発現性B細胞の単一ク
ローンが優性でないことを示す。どの2配列も類似して
いないという事実は、免疫グロブリンの莫大な多様性が
2個のVセグメント、10個のDセグメントおよび6個の
Jセグメントのみを含む小型の小遺伝子座から発現され
得るという暗示でもある。該トランスジーン中に含まれ
るVセグメントの両方、6個のJセグメントの全部およ
び10個のDセグメントの7個がVDJ接合部に使われ
る。
【0328】加えて、両定常領域遺伝子(μとγ1)が
転写物中に含まれる。VH105 プライマーは実施した反応
においてVH105 に特異的であることがわかった。従っ
て、反応3および4からのクローンの多くがVH251 転写
物を含んでいた。更に、連結反応3のPCR産物から単
離されたクローンはIgGよりもむしろIgMをコードする
ことがわかった;しかしながら、これは、DNAを同一
ゲル上で単離したため、反応4からのPCR産物による
汚染を表すかもしれない。成人末梢血リンパ球(PB
L)から免疫グロブリン重鎖配列を増幅せしめそしてV
DJ接合部のDNA配列を決定した同様な実験が、細菌
Yamadaらにより報告された〔J. Exp. Med.173:395-407
(1991);これは参考として本明細書中に組み込まれ
る〕。このヒトPBLからのデータをpHC1トランスジェ
ニックマウスからの我々のデータと比較した。
【0329】
【化6】
【0330】
【化7】
【0331】G.Jセグメント選択 表2は、成人PBL免疫グロブリン転写物中に見つかる
Jセグメントに対して、pHC1トランスジーンによりコー
ドされる転写物中に取り込まれるJセグメントの分布を
比較した。それらの分布プロフィールは非常に類似して
おり、両系ともJ4セグメントが優性セグメントであ
り、次いでJ6セグメントが優性である。J2はヒトP
BL中およびトランスジェニック動物中で最も稀なセグ
メントである。
【0332】
【表2】
【0333】H.Dセグメント選択 Yamadaらにより分析されたクローンの49%(82のうち4
0)が、pHC1トランスジーン中に含まれるDセグメント
を含んでいた。他の11クローンは、該著者らにより既知
Dセグメントのいずれにも指定されなかった配列を含ん
だ。それらの指定されなかった11個のクローンのうちの
2つは、pHC1構成物中に含まれるDIR2セグメントの逆位
から誘導されるようだ。Ichiharaら〔EMBO J. 7: 4141
(1988)〕により予想されそしてSanz〔J. Immunol. 147:
1720-1729 (1991)〕により観察されたこの機構を、Yama
daら〔J. Exp. Med. 171:395-407 (1991)〕は考慮に入
れなかった。表2は、pHC1トランスジェニックマウスに
ついてのDセグメント分布とYamadaらによりヒトPBL
転写物について観察されたものとの比較である。Yamada
らのデータを、DIR2使用を包含しそしてpHC1トランスジ
ーン中にないDセグメントを除外するように再編集し
た。
【0334】表3は、Dセグメント組み込みの分布がト
ランスジェニックマウスとヒトPBLとにおいて非常に
類似していることを証明する。2つの優性なヒトDセグ
メントDXP'1 とDN1 は、トランスジェニックマウス中に
も高頻度で見つかる。2つの分布間の最も大きな相違点
は、ヒトに比べてトランスジェニックマウス中でのDHQ5
2 の高頻度である。DHQ52 の高頻度はヒト胎児肝臓中の
Dセグメント分布を思い出させる。Sanzは重鎖転写物の
14%がDHQ52 配列を含んだことを報告している。pHC1中
に見つからないDセグメントを分析から除外すれば、Sa
nzにより分析された胎児転写物の31%がDHQ52 を含んで
いる。これは、本発明者らがpHC1トランスジェニックマ
ウス中に観察した27%と同等である。
【0335】
【表3】
【0336】I.VDJ接合部の機能性 表4は、pHC1トランスジェニック動物から分析された30
個のクローンからのVDJ領域の推定アミノ酸配列を示
す。翻訳配列は、30個のVDJ接合部のうちの23個(77
%)が可変セグメントとJセグメントに関して枠内(in
-frame)であることを示す。
【0337】
【化8】
【0338】
【化9】
【0339】J.CDR3の長さ分布 表4は、pHC1トランスジェニックマウス中の枠内VDJ
接合部を有する転写物からのCDR3ペプチドの長さをヒト
PBL中のそれと比較したものである。ヒトPBLデー
タは同じくYamadaらから得られたものである。両分布は
類似しているが、トランスジェニックマウスの分布はヒ
トPBLから観察されたものよりもわずかに小さいCDR3
ペプチドの方に偏っていた。トランスジェニックマウス
におけるCDR3の平均長さは10.3アミノ酸である。これは
Sanz〔J. Immunol. 147:1720-1729 (1991)〕によりヒト
CDR3ペプチドについて報告された平均サイズと実質的に
同じである。
【0340】
【表4】
【0341】実施例13 再配列された重鎖トランスジーン A.再配列されたヒト重鎖VDJセグメントの単離 ファージベクターλEMBL3/SP6/T7 (Clonetech Laborato
ries, Inc., Palo Alto, CA)中にクローニングされた2
種のヒト白血球ゲノムDNAライブラリーを、ヒト重鎖
J−μイントロンエンハンサーを含むλ1.3 の1 kb Pac
I/HindIII 断片を用いてスクリーニングする。陽性ク
ローンを、次のVH 特異的オリゴヌクレオチド: オリゴ−7 5′−tca gtg aag gtt tcc tgc aag gca
tct gga tac acc ttc acc − 3′ オリゴ−8 5′−tcc ctg aga ctc tcc tgt gca gcc
tct gga ttc acc ttc agt − 3′ の混合物とのハイブリダイゼーションについて試験す
る。
【0342】VプローブとJ−μプローブの両方とハイ
ブリダイズするクローンを単離し、そして再配列された
VDJセグメントのDNA配列を決定する。 B.再配列されたヒト重鎖トランスジーンの作製 機能的VJセグメントを含む断片(転写解読枠およびス
プライスシグナル)を、プラスミド由来の XhoI部位が
挿入断片配列の5′末端に隣接するように、プラスミド
ベクターpSP72 中にサブクローニングする。機能的VD
Jセグメントを含むサブクローンを XhoIとPac I(Pa
c IはJ−μイントロンエンハンサー近くの部位を認識
する稀少な切断酵素である)で消化し、そして挿入断片
を XhoI/Pac Iで消化されたpHC2中にクローニング
し、機能的VDJセグメント、J−μイントロンエンハ
ンサー、μスイッチ要素、μ定常領域コードエクソンお
よびγ1定常領域(これは繁殖不能転写物関連配列、γ
1スイッチおよびコードエクソンを含む)を有するトラ
ンスジーン構成物を作製する。上述したように、このト
ランスジーン構成物を NotIで切り出し、そしてマウス
胚の前核中にマイクロインジェクトしてトランスジェニ
ック動物を作製する。
【0343】実施例14 軽鎖トランスジーン A.プラスミドベクターの作製 1. プラスミドベクターpGP1c プラスミドベクターpGP1a を NotIで消化し、そして次
のオリゴヌクレオチド: オリゴ−81 5′−ggc cgc atc ccg ggt ctc gag gtc
gac aag ctt tcg agg atc cgc − 3′ オリゴ−82 5′−ggc cgc gga tcc tcg aaa gct tgt
cga cct cga gac ccg gga tgc − 3′ をその中に連結せしめる。生じたプラスミドpGP1c は、
NotI部位により隣接された XmaI,XhoI,SalI,Hind
III およびBamHI 制限部位を有するポリリンンカーを含
む。 2. プラスミドベクターpGP1d プラスミドベクターpGP1a を NotIで消化し、そして次
のオリゴヌクレオチド: オリゴ−87 5′−ggc cgc tgt cga caa gct tat cga
tgg atc ctc gag tgc −3′ オリゴ−88 5′−ggc cgc act cga gga tcc atc gat
aag ctt gtc gac agc −3′ をその中に連結せしめる。生じたプラスミドpGP1d は、
NotI部位により隣接された SalI, HindIII,Cla I,B
amHIおよび XhoI制限部位を有するポリリンンカーを含
む。 B.JκおよびCκクローンの単離 ファージベクターλEMBL3/SP6/T7(Clonetech Laborato
ries, Inc., Palo Alto, CA )中にクローニングされた
ヒト胎盤ゲノムDNAライブラリーを、ヒトκ軽鎖J領
域特異的オリゴヌクレオチド: オリゴ−36 5′−cac ctt cgg cca agg gac acg act
gga gat taa acg taa gca − 3′ を用いてスクリーニングし、そしてファージクローン13
6.2 と136.5 を単離する。136.2 からJκ1 セグメント
を含む7.4 kb XhoI断片を単離し、プラスミドpNNO3 中
にサブクローニングしてプラスミドクローンp36.2 を作
製する。Cκ遺伝子セグメントと共にJκセグメント2
〜5を含む近隣の13 kb Xho I断片をファージクローン
136.5 から単離し、そしてプラスミドpNNO3 中にサブク
ローニングしてプラスミドクローンp36.5 を作製する。
それら2つのクローンを一緒にすると、Jκ1 の7.2 kb
上流で始まりCκの9 kb下流で終わる領域に及ぶ。 C.再配列された軽鎖トランスジーンの作製 1. 再配列された可変セグメントを発現させるためのC
κベクターpCK1 Cκ遺伝子を含むプラスミドクローン p36.5の13 kb Xh
o I断片を、9 kbの下流配列と一緒に、該挿入断片の
5′末端がプラスミドXho I部位に隣接した状態で、プ
ラスミドベクターpGP1c のSal I部位中にクローニング
する。生じたクローンpCK1は、再配列されたVJκセグ
メントを含むクローン化断片をユニーク5′Xho I部位
に収容することができる。次いで該トランスジーンを N
otIで切り出し、ゲル電気泳動によってベクター配列か
ら精製する。得られたトランスジーン構成物は、ヒトJ
−Cκイントロンエンハンサーを含むであろうし、ヒト
3′κエンハンサーを含むことができる。 2. 再配列された可変セグメントを発現させるための重
鎖エンハンサー含有CκベクターpCK2 マウス重鎖J−μイントロンエンハンサー〔J. Banerji
ら、Cell33: 729-740(1983)〕を含むマウスゲノムDN
Aの0.9 kb XbaI断片をpUC18 中にサブクローニング
し、プラスミドpJH22.1 を作製した。このプラスミドを
SphIにより線状化し、クレノウ酵素を用いて末端をフ
ィルインした。クレノウ処理されたDNAを次いでHind
III で消化し、そしてヒト重鎖μイントロンエンハンサ
ー〔Haydayら、Nature 307:334-340 (1984)〕を含むフ
ァージクローンλ1.3 (前の実施例)の MluI(クレノ
ウ)/HindIII 断片をそれと連結した。
【0344】生じたプラスミド pMHE1は、両者が単一の
BamHI/HindIII 断片上に切除されるように、pUC18 中
に一緒に連結されたマウスとヒトの重鎖μイントロンエ
ンハンサーから成る。この2.3 kb断片を単離し、pGP1c
中にクローニングして pMHE2を作製する。pMHE2 を Sal
Iで消化し、p36.5 の13 kb Xho I挿入断片をその中に
クローニングする。生じたプラスミドpCK2は、マウスと
ヒトの重鎖J−μイントロンエンハンサーがトランスジ
ーン挿入断片の3′末端に融合していること以外は、pC
K1と同一である。最終トランスジーンの発現を調節する
ために、異なるエンハンサー、即ちマウスまたはラット
の3′κまたは重鎖エンハンサー〔Meyer およびNeuber
ger, EMBO J. 8:1959-1964 (1989) ; Pettersonら、Na
ture 344:165-168 (1990)〕を使って類似構成物を作製
することができる。 3. 再配列されたκ軽鎖可変セグメントの単離 ファージベクターλEMBL3/SP6/T7 (Clonetech Laborato
ries, Inc., Palo Alto, CA)中にクローニングされた2
つのヒト白血球ゲノムDNAライブラリーを、p36.5 の
3.5 kb XhoI/Sma I断片を含むヒトκ軽鎖J領域を用
いてスクリーニングした。陽性クローンを、次のVκ特
異的オリゴヌクレオチド: オリゴ−65 5′−agg ttc agt ggc agt ggg tct ggg
aca gac ttc act ctc acc atc agc − 3′ とのハイブリダイゼーションについて試験した。Vプロ
ーブとJプローブの両方とハイブリダイズしたクローン
を単離し、そして再配列されたVJκセグメントのDN
A配列を決定する。 4. 再配列されたヒト軽鎖構成物を含有するトランスジ
ェニックマウスの作製 機能的VJセグメントを含む断片(転写解読枠およびス
プライススグナル)をベクターpCK1およびpCK2の XhoI
部位中にサブクローニングし、再配列されたκ軽鎖トラ
ンスジーンを作製する。 NotIでの消化により該トラン
スジーン構成物をベクター配列から単離する。アガロー
スゲル上で精製した挿入断片をマウス胚の前核中にマイ
クロインジェクトし、トランスジェニックマウスを作製
する。ヒトκ鎖を発現している動物を、重鎖小遺伝子を
含有するトランスジェニック動物(実施例14)と交配
し、ヒト抗体を完全に発現するマウスを作る。
【0345】VJκ組合せの全部が、広域スペクトルの
種々の重鎖VDJ組合せと安定な重鎖−軽鎖複合体を形
成できるわけではないので、それぞれ異なる再配列され
たVJκクローンを使って幾つかの異なる軽鎖トランス
ジーン構成物を作製し、そして重鎖小遺伝子座トランス
ジーンを発現するマウスと交配させる。二重トランスジ
ェニック(重鎖構成物と軽鎖構成物の両方)動物から、
末梢血、脾臓およびリンパ節リンパ球を単離し、ヒトお
よびマウスの重鎖および軽鎖免疫グロブリンに特異的な
蛍光抗体(Pharmingen, San Diego, CA )で染色し、そ
してFACScan 分析装置(Becton Dickinson, San Jose,
CA)を使ってフローサイトメトリーにより分析する。最
大数のB細胞の表面上に最高レベルのヒト重鎖/軽鎖複
合体を生じ且つ免疫細胞区分に悪影響を与えない(Bお
よびT細胞サブセット特異的抗体を用いたフローサイト
メトリー分析によりアッセイした時)再配列された軽鎖
トランスジーン構成物を、ヒトモノクローナル抗体の産
生のために選択する。 D.再配列されていない軽鎖小遺伝子座トランスジーン
の作製 1. 小遺伝子座トランスジーンを作製するためのJκ,
Cκ含有ベクターpJCK1p36.5 の13 kb のCκ含有 Xho
I挿入断片をクレノウ酵素で処理し、HindIIIで消化さ
れクレノウ処理されたプラスミドpGP1d 中にクローニン
グする。挿入断片の5′末端がベクター由来の ClaI部
位に隣接するようなプラスミドクローンを選択する。生
じたプラスミドp36.5-1dをCla Iで消化し、クレノウで
処理する。p36.2 のJκ1 含有7.4 kb XhoI挿入断片を
クレノウで処理し、そして ClaIで消化されクレノウ処
理されたp36.5-1d中にクローニングする。p36.2 挿入断
片がp36.5 挿入断片と同じ方向にあるクローンを選択す
る。このクローンpJCK1 (図35)は、7.2 kbの上流配列
および9 kbの下流配列と一緒に、完全なヒトJκ領域お
よびCκ領域を含む。
【0346】該挿入断片はヒトJ−Cκイントロンエン
ハンサーも含み、ヒト3′κエンハンサーを含むことも
ある。該挿入断片は、追加の3′隣接配列、例えば重鎖
または軽鎖エンハンサーをクローニングする目的でユニ
ーク3′ SalI部位により隣接される。ユニーク XhoI
部位は、再配列されていないVκ遺伝子セグメント中で
クローニングする目的で該挿入断片の5′末端に置かれ
る。ユニーク SalIおよびXho I部位は、最終のトラン
スジーン構成物をベクター配列から単離するために使わ
れる NotI部位により隣接される。 2. 再配列されていないVκ遺伝子セグメントの単離お
よびヒトIg軽鎖タンパク質を発現するトランスジェニッ
ク動物の作製 Vκ特異的オリゴヌクレオチドであるオリゴ−65(上
述)を使って、ファージベクターλEMBL3/SP6/T7(Clon
etech Laboratories, Inc., Palo Alto, CA )中にクロ
ーニングされたヒト胎盤ゲノムDNAを探査する。生じ
たクローンからの可変遺伝子セグメントを配列決定し、
機能的と思われるクローンを選択する。機能性を判断す
るための基準は、転写解読枠、完全なスプライス受容体
および供与体配列、並びに完全な組換え配列を含むこと
である。
【0347】選択された可変遺伝子セグメントを含むD
NA断片をプラスミドpJCK1 のユニーク XhoI部位にク
ローニングし、小遺伝子座構成物を作製する。得られた
クローンを NotIで消化し、挿入断片を単離し、そして
マウス胚の前核中にマイクロインジェクトしてトランス
ジェニック動物を作製する。それらの動物のトランスジ
ーンは、B細胞発達の際にV−J結合を受けるであろ
う。ヒトκ鎖を発現する動物を、重鎖小遺伝子座を含有
するトランスジェニック動物と交配し、ヒト抗体を完全
に発現するマウスを得る。
【0348】実施例15 ゲノム重鎖ヒトIgトランスジーン この実施例は、接合子中へのマイクロインジェクション
またはES細胞中への組み込みによりマウス生殖細胞中に
導入される、ヒトゲノム重鎖免疫グロブリントランスジ
ーンのクローニングを記載する。
【0349】Marzluff, W.F.ら,(1985) Transcription
and Translation : A Practical Approach, B.D. Hamme
s およびS.J. Higgins編, 89-129頁, IRL Press, Oxfor
d により記載されたようにして、新鮮なヒト胎盤組織か
ら核を単離する。単離された核(またはPBS で洗浄した
ヒト精母細胞)を 0.5%低融点アガロースブロック中に
埋め込み、そして核については500mM EDTA, 1% SDS中の
1mg/mlのプロテイナーゼKにより、精母細胞について
は500mM EDTA, 1% SDS, 10mM DTT中の1mg/mlのプロテ
イナーゼKにより、50℃にて18時間溶解せしめる。該ブ
ロックを40μg/mlのPMSF/TE中で50℃にて30分間インキ
ュベートすることにより、プロテイナーゼKを不活性化
する。次いでM. Finney によりCurrent Protocols in M
olecularBiology(F.Ausubel ら編, John Wiley & Son
s, 増補4, 1988, 例えば第2.5.1 章)中に記載された
ように、アガロース中で該DNAを制限酵素 NotIで消
化する。
【0350】Not Iで消化したDNAを、次いでAnand
ら, Nuc. Acids Res. 17:3425-3433(1989) により記載
されたようにパルスフィールドゲル電気泳動により分画
する。 NotI断片に富む画分をサザンハイブリダイゼー
ションによりアッセイし、この断片によってコードされ
る1または複数の配列を検出する。そのような配列は、
重鎖Dセグメント、Jセグメントおよびγ1定常領域と
共に6つのVH ファミリー全部の代表物を含む〔この断
片は、Bermanら(1988), 前掲によればHeLa細胞から670
kb断片として同定されているけれども、本発明者らはそ
れがヒト胎盤および精子DNAからのは830 kb断片であ
ることを発見した〕。この NotI断片を含む画分(図4
参照)を記載の如く〔McCormick ら、Technique 2:65
-71 (1990)〕ベクターpYACNNの NotI部位中に連結せし
める。プラスミドpYACNNは、pYACneo (Clontech)を Eco
RIで消化しそしてオリゴヌクレオチド5 ′−AAT TGC GG
CCGC − 3′の存在下で連結せしめることにより、調製
される。
【0351】Traverら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
86:5898-5902 (1989) により記載された通りに、重鎖 N
otI断片を含むYAC ベクターを単離する。クローン化さ
れたNotI挿入断片を、 M. Finney(前掲)により記載
されたようなパルスフィールドゲル電気泳動により高分
子量酵母DNAから単離する。1mMスペルミンの添加に
よりDNAを濃縮し、上述した通り単細胞胚の核に直接
マイクロインジェクトする。あるいは、DNAをパルス
フィールドゲル電気泳動により単離し、そしてリポフェ
クション〔Gnirkeら、EMBO J. 10:1629-1634(1991)〕に
よりES細胞中に導入するか、またはYAC をスフェロプラ
スト融合によりES細胞中に導入する。
【0352】実施例16 不連続ゲノム重鎖IgトランスジーンH 6 、Dセグメント、Jセグメント、μ定常領域およ
び一部のγ定常領域を含むヒトゲノムDNAの 85 kb S
peI断片は、本質的には実施例1に記載した通りのYAC
クローニングによって単離された。生殖細胞型可変領域
由来の断片、例えば多コピーのV1 〜V5 を含む上記の
670-830 kb NotI断片の上流の570 kb NotI断片、を含
有するYAC を上述の如く単離する。〔Bermanら(1988),
前掲は、各々が多数のVセグメントを含有する2つの57
0 kb NotI断片を検出した。〕この2断片を実施例1に
記載の如くマウス単細胞胚の核中に同時注入する。
【0353】典型的には、2つの異なるDNA断片の同
時注入は、染色体内の同一部位のところへの両断片の組
込みをもたらす。従って、該2断片各々の少なくとも1
コピーを含む生じたトランスジェニック動物の約50%
が、定常領域含有断片の上流に挿入されたVセグメント
断片を有する。それらの動物のうち、85 kb Spe I断片
の位置に関する570 kb NotI断片の方向性に依存して、
約50%がDNA逆位によりV−DJ結合を行い、そして
約50%が欠失によりV−DJ結合を行うだろう。生じた
トランスジェニック動物からDNAを単離し、そしてサ
ザンブロットハイブリダイゼーションにより両方のトラ
ンスジーンを含んでいることが示された動物(詳しく
は、多数のヒトVセグメントとヒト定常領域遺伝子の両
方を含む動物)を、標準技術に従って、ヒト免疫グロブ
リンを発現する能力について試験する。
【0354】実施例17 トランスジェニックB細胞中の機能的に再配列された可
変領域配列の同定 着目の抗原を使って、次の遺伝的特性:JH の欠失(実
施例10)については内因性所有鎖遺伝子座中の同型接合
性;再配列されていないヒト重鎖小遺伝子座トランスジ
ーン(実施例5および14)の単一コピーについては半接
合性;および再配列されたヒトκ軽鎖トランスジーン
(実施例6および14)の単一コピーについては半接合
性、を有するマウスを免疫化する〔HarlowおよびLane,
Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbo
r, New York (1988)を参照のこと〕。
【0355】免疫化スケジュールの後、脾臓を取り出
し、脾細胞を使ってハイブリドーマを調製する。着目の
抗原と反応性である抗体を分泌する個々のハイブリドー
マクローンからの細胞を使ってゲノムDNAを調製す
る。ゲノムDNAの試料を、ユニークな6塩基対配列を
認識する幾つかの異なる制限酵素で消化し、そしてアガ
ロースゲル上で分画する。サザンブロットハイブリダイ
ゼーションを使って2〜10kb範囲内の2つのDNA断片
を同定する。該断片の一方は、再配列されたヒト重鎖V
DJ配列の単一コピーを含み、もう一方は再配列された
ヒト軽鎖VJ配列の単一コピーを含む。それらの2断片
をアガロースゲル上でサイズ分画し、pUC18中に直接ク
ローニングする。クローン化された挿入断片を、定常領
域配列を含む重鎖および軽鎖発現カセット中にそれぞれ
サブクローニングする。
【0356】プラスミドクローン pγe1(実施例12)を
重鎖発現カセットとして使用し、再配列されたVDJ配
列を XhoI部位中にクローニングする。プラスミドクロ
ーンpCK1を軽鎖発現カセットとして使用し、再配列され
たVJ配列を XhoI部位中にクローニングする。生じた
クローンを一緒に使ってSP0 細胞をトランスフェクトせ
しめ、着目の抗原と反応する抗体を産生せしめる〔M.S.
Co ら、Proc. Natl.Acad. Sci. USA 88:2869 (199
1)〕。
【0357】あるいは、上述のクローン化ハイブリドー
マ細胞からmRNAを単離し、cDNAを合成するのに使う。発
現されるヒト重鎖および軽鎖VDJおよびVJ配列を、
次いでPCRにより増幅し、クローニングする〔J. W.
Larrich ら (1989) Biol. Technology, 7:934-938 〕。
それらのクローンのヌクレオチド配列を決定した後、同
じポリペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを合成
し、そしてC. Queenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
84:5454-5458 (1989) により記載されたようにして合成
発現ベクターを作製する。複合抗原によるトランスジェニック動物の免疫化 次の実験は、トランスジェニック動物がヒト赤血球上の
抗原のような複合抗原により好結果に免疫化することが
でき、そして正常マウスにおいて観察される応答速度論
に類似した速度論で応答することができることを証明す
る。
【0358】血液細胞は一般に適当な免疫原であり、赤
血球と白血球の表面上には多数の異なる型の抗原を含ん
で成る。ヒト血液による免疫化 一人の提供者からのヒト血液のチューブを収集し、機能
的に破壊された内因性重鎖遺伝子座(JH D)を有し且
つヒト重鎖小遺伝子構成物(HC1) を含有するトランスジ
ェニックマウスを免疫化するのに使った。それらのマウ
スを系112 と命名する。血液を洗浄し、50mlのハンクス
溶液中に再懸濁し、 1×108 細胞/mlに希釈した。次い
で28ゲージの針と1ccの注射器を使って 0.2ml(2 ×10
7 細胞)を腹腔内注射した。この免疫化プロトコールを
6週間に渡りほぼ毎週繰り返した。眼窩後方出血から採
血し、血清を収集し、それを特異抗体について試験する
ことにより、血清抗体価をモニタリングした。免疫前出
血を対照として取った。まさしく最後の免疫化の時、血
清またはハイブリドーマを得るためにそれらの動物を犠
牲にする3日前に、ハイブリドーマの生産を増大させる
ために尾部静脈内への1×108 細胞による免疫化を1回
行った。
【0359】
【表5】
【0360】マウス# 2343と2348は所望の表現型を有す
る:重鎖破壊背景上のヒト重鎖小遺伝子トランスジェニ
ック。ハイブリドーマの作製 上述の通り免疫化された約16週齢のトランスジェニック
マウス(表5)のマウス脾細胞を非分泌性HAT感受性
ミエローマ細胞系X63 Ag8.653 から成る融合相手と融合
せしめることにより、ハイブリドーマを作製した。ハイ
ブリドーマクローンを培養し、血液細胞抗原に対して特
異的な結合親和性を有する免疫グロブリンを含有するハ
イブリドーマ上清を、例えばフローサイトメトリーによ
り、同定した。フローサイトメトリー フローサイトメトリーを使って血清とハイブリドーマ上
清を試験した。提供者からの赤血球をハンクス溶液中で
4回洗浄し、50,000個の細胞を1.1 mlのポリプロピレン
微小管中に入れた。細胞をハイブリドーマからの上清ま
たは抗血清と共に染色媒質〔フェノールレッドまたはビ
オチン(Irvine Scientific) 、3%新生ウシ血清、0.1
%ナトリウムアジドを含まない1×RPMI培地〕中で氷上
で30分間インキュベートした。対照は他の遺伝子型を有
する同腹マウスから成った。次いで細胞をSorvall RT60
0B中で1000 rpmで5〜10分間4℃にて遠心することによ
り洗浄した。細胞を2回洗浄した後、蛍光生成試薬を使
って細胞表面上の抗体を検出した。2種類のモノクロー
ナル試薬を使って試験した。1つはFITCで標識されたマ
ウス抗ヒトμ重鎖抗体(Pharmagen, San Diego, CA)で
あり、もう1つはPEで標識されたラット抗マウスκ軽鎖
抗体(Becton-Dickenson, San Jose, CA)であった。そ
れらの試薬は両方とも同様な結果を与えた。全血(赤血
球と白血球)および白血球のみを標的細胞として使用し
た。両方の組が陽性結果を与えた。
【0361】トランスジェニックマウスおよび同腹対照
の血清を提供者からの赤血球または他の個体からの白血
球のいずれかと共にインキュベートし、洗浄し、次いで
抗ヒトIgM FITC 標識抗体により発色させ、フローサイ
トメーター中で分析した。結果は、ヒト小遺伝子座につ
いてトランスジェニックであるマウス(マウス 2343お
よび2348)からの血清がヒトIgM反応性を示し、一方全
ての同腹動物(2344,2345, 2346, 2347)からの血清は
該反応性を示さなかった。正常マウス血清(NS)とリ
ン酸塩緩衝化塩溶液(PBS)を負の対照として使用し
た。赤血球は未濾過であり、白血球はリンパ球のみを含
むように濾過された。比較を与えるためにx軸とy軸上
に線が引かれている。融合体2348からの 100の上清に関
してフローサイトメトリーを実施した。4つの上清が血
球細胞抗原に対する陽性反応性を示した。
【0362】実施例18 アンチセンスRNAによる内因性マウス免疫グロブリン
発現の減少 A.アンチセンスIg配列の発現用のベクター 1. クローニングベクターpGP1h の作製 ベクター pGP1b(前の実施例に記載)をXho IとBamHI
で消化し、そして次のオリゴヌクレオチド: 5′- gat cct cga gac cag gta cca gat ctt gtg aat t
cg -3′ 5′- tcg acg aat tca caa gat ctg gta cct ggt ctc g
ag -3′ と連結せしめてプラスミドpGP1h を作製した。このプラ
スミドは、次の制限部位: NotI, EcoRI, BglII, Asp7
18, Xho I, BamHI, Hind III, NotIを含むポリリンカ
ーを含有する。
【0363】2. pBCE1 の作製 プロモーター−リーダー配列エクソン、第一イントロン
およびヒトVH −Vファミリー免疫グロブリン可変遺伝
子セグメントの第二エクソンの一部を含む、pVH251(前
の実施例に記載)の0.8 kb XbaI/Bgl II断片を、Xba
I/Bgl IIで消化したベクターpNN03 中に挿入してプラ
スミドpVH251N を作製した。
【0364】ヒト成長ホルモン遺伝子〔hGH ; Seeburg
(1982)DNA 1:239-249 〕のコードエクソンを含む2.2
kb BamHI/EcoRI DNA断片を、BamHI /EcoRI で消化
したpGH1h中にクローニングした。生じたプラスミドを
BamHIで消化し、そしてpVH251N の BamHI/EcoRI 断片
をhGH 遺伝子と同じ方向において挿入し、プラスミドpV
hgh を作製した。
【0365】マウス重鎖J−μイントロンエンハンサー
〔Banerji ら (1983) Cell 33:729-740〕を含むマウス
ゲノムDNAの0.9 kb XbaI断片をpUC18 中にサブクロ
ーニングしてプラスミドpJH22.1 を作製した。このプラ
スミドを SphIで直鎖状にし、末端をクレノウ酵素でフ
ィルインした。次いでクレノウ処理したDNAをHindII
I で消化し、そしてヒト重鎖J−μイントロンエンハン
サー〔Haydayら (1984) Nature 307:334-340 〕を含む
ファージクローンλ1.3 (上記実施例)の1.4kb MluI
(クレノウ)/HindIII 断片をそれと連結せしめた。得
られたプラスミド pMHE1は、単一の BamHI/HindIII 断
片において切り出すことができるようにpUC18中に一緒
に連結されたマウスおよびヒトの重鎖J−μイントロン
エンハンサーから成る。
【0366】pMHE1 の BamHI/HindIII 断片を BamHI/
HindIII で切断されたpVhgh 中にクローニングし、B細
胞発現ベクター pBCE1を作製した。このベクター(図42
に描写)はユニーク XhoIおよびAsp718クローニング部
位を含有し、その中にアンチセンスDNA断片をクロー
ニングすることができる。それらのアンチセンス配列の
発現は、上流の重鎖プロモーター−エンハンサー組み合
わせにより指令され、下流のhGH 遺伝子配列はイントロ
ン配列に加えてトランスジーン構成物の発現を促進する
ポリアデニル化配列を提供する。pBCE1 から作製された
アンチセンストランスジーン構成物は NotIでの消化に
よりベクター配列から分離することができる。 B.IgM アンチセンストランスジーン構成物 下記オリゴヌクレオチド: 5′- cgc ggt acc gag agt cag tcc ttc cca aat gtc -
3′ 5′- cgc ctc gag aca gct gga atg ggc aca tgc aga -
3′ を、基質としてマウス脾臓cDNAを使ったポリメラーゼ連
鎖反応(PCR)によるマウス IgM定常領域配列の増幅
のためのプライマーとして使用した。得られた0.3 kbの
PCR産物をAsp718と XhoIで消化し、そしてAsp718/
Xho Iで消化したpBCE1 中にクローニングしてアンチセ
ンストランスジーン構成物pMAS1 を作製した。pMAS1 の
精製済 NotI挿入断片を、単独でまたは1もしくは複数
の別のトランスジーン構成物と組み合わせて、半日マウ
ス胚の前核中にマイクロインジェクトし、トランスジェ
ニックマウスを作製した。この構成物はマウスIgMのmR
NAとハイブリダイズするB細胞中のRNA転写物を発現
し、よってマウスIgMタンパク質の発現をダウンレギュ
レーションする。
【0367】pMAS1 とpHC1のようなヒト重鎖トランスジ
ーン小遺伝子座とを含有する二重トランスジェニックマ
ウス(両構成物の同時注入によるかまたは一重トランス
ジェニックマウスの交配により作製される)は、ヒト重
鎖小遺伝子座のみについてトランスジェニックであるマ
ウスよりも高い比率のB細胞上に、ヒトトランスジーン
によってコードされるIgレセプターを発現するだろう。
ヒト対マウスIgレセプター発現細胞の比は、一部はB細
胞の分化と発展を促進する因子および細胞に対する2集
団間の競争のためである。IgレセプターはB細胞発達に
おいて重要な役割を果たすので、表面上に減少したレベ
ルのIgMを発現する(マウスIg特異的アンチセンスダウ
ンレギュレーションのため)マウスIgレセプター発現B
細胞も、ヒトレセプターを発現する細胞も競争しないだ
ろう。 C.Igκアンチセンストランスジーン構成物 次の2つのオリゴヌクレオチド: 5′- cgc ggt acc gct gat gct gca cca act gta tcc -
3′ 5′- cgc ctc gag cta aca ctc att cct gtt gaa gct -
3′ を、基質としてマウス脾臓cDNAを使ったポリメラーゼ連
鎖反応(PCR)によるマウスIgκ定常領域配列の増幅
のためのプライマーとして使用した。得られた0.3 kbの
PCR産物をAsp718とXho Iで消化し、そしてAsp718/
Xho Iで消化したpBCE1 中にクローニングしてアンチセ
ンストランスジーン構成物 pKAS1を作製した。pMAS1 の
精製済 NotI挿入断片を、単独でまたは1もしくは複数
の別のトランスジーン構成物と組み合わせて、半日マウ
ス胚の前核中にマイクロインジェクトし、トランスジェ
ニックマウスを作製した。この構成物はマウスIgκ mRN
A とハイブリダイズするB細胞中のRNA転写物を発現
し、よってpMAS1 について上述したのと同様にマウスIg
κタンパク質の発現をダウンレギュレーションする。
【0368】実施例19 この実施例は、本発明のトランスジェニックマウスにお
ける好結果の免疫化と免疫応答を証明する。マウスの免疫化 1分子あたり 400以上のジニトロフェニル基と結合させ
たアオガイヘモシアニン(Calbiochem, La Jolla, Cali
fornia)(KLH-DNP)を以前発表された方法(Practical
Immunology, L. Hudson およびF.C. Hay, Blackwell Sc
ientific出版,第9頁,1980年)に従ってミョウバン沈
澱させた。ミョウバン沈澱させたKLH-DNP 400 μg を10
0 μlのリン酸塩緩衝化塩溶液(PBS)中の臭化ジメ
チルジオクタデシルアンモニウム 100μg と一緒に各マ
ウスに腹腔内注射した。6日後に眼窩後洞出血により血
清試料を収集した。血清中のヒト抗体反応性の分析 間接エンザイムリンクドイムノソルベントアッセイ(ELI
SA) を使って抗体の反応性および特異性を評価した。免
疫原による抗体誘導を分析するために幾つかの標的抗原
を試験した。タンパク質成分に対する反応性の同定には
アオガイヘモシアニン(Calbiochem)、ハプテンおよび
/または修飾アミノ基に対する反応性の同定にはウシ血
清アルブミン、そして全免疫原に対する反応性の同定に
はKLH-DNP を使用した。抗原へのヒト抗体結合は、マウ
ス免疫グロブリンとの交差反応性を全く持たないIgMお
よびIgGサブクラスに特異的な酵素接合体により検出し
た。
【0369】簡単に言えば、PBS中5μg/mlのタンパ
ク質を37℃にて一晩乾燥することによりマイクロタイタ
ープレートを抗原コーティングした。PBS、5%ニワ
トリ血清、0.5 % Tween-20中に希釈した血清試料をウ
エル中で室温にて1時間インキュベートし、次いで同希
釈剤中の抗ヒトIgG FcおよびIgG F(ab')−西洋ワサビペ
ルオキシダーゼまたは抗ヒトIgM Fc−西洋ワサビペルオ
キシダーゼと共にインキュベートした。室温で1時間
後、ABTS基質(Sigma, St. Louis, Missouri)の添加に
より酵素活性を評価し、30分後に415-490 nmで読み取っ
た。トランスジェニックマウス中の免疫応答におけるヒト重
鎖の関与 図43は、KLH-DNP による免疫化に対する3匹の同腹子マ
ウスの応答を表す。第1296号のマウスは再配列されてい
ないヒトIgMおよびIgGトランスジーンを有し、マウス
Ig重鎖破壊について同型接合性であった。第1299号のマ
ウスは無破壊の背景上にトランスジーンを有し、1301号
のマウスはそれらの遺伝子組のいずれも遺伝しなかっ
た。別の同腹子である第1297号のマウスはヒトトランス
ジーンを有し、マウス重鎖破壊に関して半接合性であっ
た。それを非免疫化対照として実験に組み入れた。
【0370】結果は、ヒトIgGとIgM応答は両方ともタ
ンパク質への接合という状況においてハプテンに対して
発生したことを証明する。ヒトIgMはKLH に対しても発
生したが、この時点では有意なレベルのヒトIgGは存在
しなかった。同じマウスからの免疫前血清試料では、同
じ標的抗原に対するヒト抗体の力価は有意でなかった。
【0371】実施例20 この実施例は、本発明のトランスジェニックマウスにお
けるヒト抗原による好結果の免疫化および免疫応答を証
明し、そしてヒトトランスジーンの可変領域配列中に無
作為でない体細胞変異が起こることを証明する。ヒト糖タンパク質抗原に対するヒト免疫グロブリン重鎖
を含んで成る抗体応答の証明 この実験に使用するトランスジェニックマウスは、機能
的内因性(マウス)重鎖生産の欠失をもたらすJ領域の
ところへのトランスジーンの導入(前掲)により作製さ
れた機能的に破壊されたマウス免疫グロブリン重鎖遺伝
子座について同型接合性であった。該トランスジェニッ
クマウスは、少なくとも1つの完全な再配列されていな
いヒト重鎖小遺伝子座トランスジーン(HC1 、前掲)も
含み、該トランスジーンは単一の機能的VH 遺伝子(V
H 251 )、ヒトμ定常領域遺伝子、およびヒトγ1定常
領域遺伝子を含んで成る。ヒト免疫グロブリントランス
ジーン産物を発現することが示されたトランスジェニッ
クマウス(前掲)をヒト抗原による免疫化のため選択
し、トランスジェニックマウスがヒト抗原免疫化に対し
て免疫応答を生じる能力を有することを証明した。HC1-
26系統のマウス3匹とHC1-57系統のマウス3匹(前掲)
にヒト抗原を注射した。
【0372】ミョウバン上に不溶化された精製済ヒト癌
胎児性抗原(CEA)100 μg を不完全フロイントアジ
ュバント中で0日目に注射し、次いで更に7,14,21お
よび28日目に不完全フロイントアジュバント中のミョウ
バン沈澱CEAを毎週注射した。CEAの注射前の各日
に眼窩後方出血により血清試料を収集した。各グループ
中の3匹のマウスの各々から同容量の血清を分析用にプ
ールした。
【0373】マイクロタイタープレート上に固定化した
ヒトCEAに結合したヒトμ鎖含有免疫グロブリンおよ
びヒトγ鎖含有免疫グロブリンをELISA アッセイにより
測定した。ヒトμ鎖含有免疫グロブリンおよびヒトγ鎖
含有免疫グロブリンについての ELISAアッセイの結果を
それぞれ図44および45に示す。7日目までは両系統につ
いて有意なヒトμ鎖Ig抗体価が検出され、約21日目まで
上昇が観察された。ヒトγ鎖Igについては、有意な抗体
価は遅れ、前者がHC1-57系統で14日目そして後者はHC1-
26系統で21日目に明らかになった。ヒトγ鎖Igの抗体価
は、実験の間じゅう時間と共に増加を示し続けた。観察
されたヒトμ鎖Ig応答は、平坦域に達した後、遅れて発
生する上昇し続けるγ鎖応答と組み合わせると、親和性
の成熟に伴って観察されるパターンに特徴的である。21
日目の試料の分析は、無関係の抗原であるアオガイヘモ
シアニン(KLH) に対する反応性の欠失を示した。これ
は、抗体応答が特異的な形でCEAに対して向けられた
ことを指摘する。
【0374】それらのデータは、再配列されていないヒ
ト免疫グロブリン遺伝子座に関してトランスジェニック
である動物が、(1)ヒト抗原(例えばヒト糖タンパク
質、CEA)に対して応答でき、(2)観察されたμか
らγへのクラススイッチにより例示されるようなイソタ
イプスイッチ(クラススイッチ)を受けることができ、
そして(3)それらの体液性免疫応答における親和性の
成熟の特徴を表すことを示す。一般に、それらのデータ
は、(1)ヒトIgトランスジェニックマウスが異種抗体
を誘導する能力を有すること、(2)単一のトランスジ
ーン重鎖可変領域が限定抗原に対して応答する能力を有
すること、(3)一次および二次応答形成に典型的な時
期に渡る応答速度論、(4)IgM からIgG への、トラン
スジーンによってコードされる体液性免疫応答のクラス
スイッチ、および(5)トランスジェニック動物がヒト
抗原に対してヒト配列抗体を産生する能力を有すること
を指摘する。ヒト重鎖トランスジーン小遺伝子座における体細胞変異
の証明 HC1 トランスジーンの多重コピーを含有するHC1-57系統
のトランスジェニックマウスを免疫グロブリン重鎖欠失
マウスと交配させ、HC1 トランスジーンを含み且つ内因
性マウス重鎖の両対立遺伝子に破壊を含むマウスを得た
(前掲)。それらのマウスは、マウスκおよびλ軽鎖と
共にヒトμおよびγ1重鎖を発現する(前掲)。それら
のマウスのうちの1匹を、1.5 カ月の期間に渡る反復腹
腔内注射により、ヒト癌胎児性抗原に対して高度免疫化
した。このマウスを犠牲にし、脾臓、鼠径部および腸間
膜のリンパ節、並びにパイヤー斑からリンパ系細胞を単
離した。該細胞を合わせ、全RNAを単離した。該RN
Aから第一鎖cDNAを合成し、次の2つのオリゴヌクレオ
チドプライマー: 149 5'- cta gtc cga gtc caa gga gtc tgt gcc gag g
tg cag ctg(g/a/t/c) -3' 151 5'- ggc gct cga gtt cca cga cac cgt cac cgg t
tc -3' を用いたPCR増幅のための鋳型として使用した。
【0375】それらのプライマーはVH251/γ1 cDNA配列
を特異的に増幅する。増幅された配列を XhoIで消化
し、ベクターpNN03 中にクローニングした。23個のラン
ダムクローンの挿入断片のDNA配列を図46〜51に示
す;生殖細胞配列からの配列変異が指摘され、ドットは
配列が生殖細胞と同じであることを示す。VH251 トラン
スジーンの生殖細胞配列と該cDNA配列との比較は、クロ
ーンのうちの3個が完全に未変異であり、他の23個は体
細胞変異を含むことを明らかにした。
【0376】3個の未変異配列のうちの1つは枠外(ou
t-of-frame)VDJ連結に由来する。特定の位置におい
て観察された体細胞変異は、ヒトリンパ球において観察
されたものと同様な頻度で且つ同様な分布パターンで起
こる〔Cai ら (1992) J. Exp. Med. 176:1073;これは
参考として本明細書中に組み込まれる〕。体細胞変異の
総体的頻度は約1%である;しかしながら、CDR1内の頻
度は約5%にまで及び、抗原結合に影響を及ぼすアミノ
酸変化への選択を指摘する。これは、ヒト重鎖配列の抗
原指令型親和性成熟を証明する。
【0377】実施例21 この実施例は、組み換わると完全なヒト軽鎖小遺伝子座
トランスジーンを形成する2つの別々のポリヌクレオチ
ドを同時導入することによる、好結果のトランスジーン
の形成を証明する。2つの重複DNA断片の同時注入による再配列されてい
ない軽鎖小遺伝子座トラスジーンの作製 1. 再配列されていない機能的Vκ遺伝子セグメントvk
65.3, vk65.5, vk65.8およびvk65.15 の単離 Vκ特異的オリゴヌクレオチドであるオリゴ−65(5'-
agg ttc agt ggc agtggg tct ggg aca gac ttc act ctc
acc atc agc -3')を使って、ファージベクターλEMBL3
/SP6/T7 (Clonetech Laborat-ories, Inc., Palo Alto,
CA) 中にクローニングされたヒト胎盤ゲノムDNAラ
イブラリーを探査した。陽性ファージクローンからのV
κセグメントを含有するDNA断片をプラスミドベクタ
ー中にサブクローニングした。
【0378】得られたクローンからの可変遺伝子断片を
配列決定し、機能的であると思われるクローンを選択し
た。機能性を判断する基準は次のものを含む:転写解読
枠、完全なスプライス受容体および供与体配列、並びに
完全な組換え配列。この方法により単離された4つの異
なるプラスミドクローンからの4つの機能的 Vκ遺伝子セグメント(vk65.3, vk65.5, vk65.8および
vk65.15 )のDNA配列を図52〜55に示す。4つのプラ
スミドクローン p65.3f, p65.5g1, p65.8 およびp65.15
f)を下記に説明する。 (1 a) p65.3f ファージクローンλ65.3の3 kb XbaI断片を、ベクター
由来のSal I部位が該挿入断片の3′末端に近位になり
且つベクター由来のBamHI 部位が該挿入断片の5′末端
に近位になるように pUC19中にサブクローニングした。
このクローンの3 kb BamHI/Sal I挿入断片を pGP1f中
にサブクローニングしてp65.3fを得た。 (1 b) p65.5g1 ファージクローンλ65.5の6.8 kb EcoRI断片を、ベクタ
ー由来のXho I部位が該挿入断片の5′末端に近位にな
り且つベクター由来の SalI部位が該挿入断片の3′末
端に近位になるようにpGP1f 中にサブクローニングし
た。得られたプラスミドをp65.5g1 と命名した。 (1 c) p65.8 ファージクローンλ65.8の 6.5 kb HindIII 断片をpSP7
2 中にクローニングしてp65.8 を得た。 (1 d) p65.15f ファージクローンλ65.16 の10 kb EcoRI 断片をpUC18
中にサブクローニングしてプラスミドp65.15.3を作製し
た。該プラスミド挿入断片中のVκ遺伝子セグメントを
4.6 kb EcoRI/HindIII 小断片にマッピングし、これを
pGP1f 中にサブクローニングした。得られたクローン p
65.15fは、挿入断片の5′および3′末端にそれぞれユ
ニークXho I部位およびSal I部位が置かれている。 2. pKV4 p65.8 のXho I/Sal I挿入断片を p65.15fの XhoI部
位中にクローニングしてプラスミドpKV2を作製した。p6
5.5g1 のXho I/Sal I挿入断片をpKV2の XhoI部位中
にクローニングしてpKV3を作製した。pKV3のXho I/Sa
l I挿入断片をp65.3fの XhoI部位中にクローニングし
てプラスミドpKV4を作製した。このプラスミドは、4つ
の機能的Vκ遺伝子セグメントを含む単一の21 kb Xho
I/SalI挿入断片を含有する。Not Iを使って挿入断
片全体を切り出すことができる。 3. pKC1B (3 a) pKcor ヒトゲノムDNAファージλクローンに由来する2つの
XhoI断片をプラスミドベクター中にサブクローニング
した。第一の断片である13 kb のJκ2−Jκ5/Cκ
含有断片をクレノウ酵素で処理し、そしてHindIII で消
化されクレノウ処理されたプラスミドpGP1d 中にクロー
ニングした。挿入断片の5′末端がベクター由来のCla
I部位に近いプラスミドクローン(pK-31 )を選択し
た。第二のXho I断片である、Jκ1を含有する7.4 kb
のDNA断片を、3′挿入断片XhoI部位がベクターSal
I部位への連結により破壊されるように、Xho I/Sal
Iで消化された pSP72中にクローニングした。
【0379】得られたクローンp36.2sは、Jκ1の4.5
kb上流に挿入断片由来のCla I部位、およびJκ1とJ
κ2の間に天然に存在するXho I部位の少し下流にポリ
リンカー由来の ClaI部位を含有する。このクローンを
Cla Iで消化して4.7 kb断片を遊離せしめ、該断片を正
しい5′→3′方向において、Cla Iで消化されたpK-3
1 中にクローニングし、全部で5個のヒトJκセグメン
ト、ヒトイントロンエンハンサー、Cκ、4.5 kbの5′
隣接配列を含有するプラスミドを作製した。このプラス
ミドpKcor は、挿入断片のそれぞれ5′および3′側に
ユニークな隣接XhoI部位およびSal I部位を含有す
る。 (3 b) pKcorB ヒト3′κエンハンサーを含有する4 kb BamHI断片〔Ju
dde, J.G. およびMax,E.E., Mol. Cell Biol. 12:5206
(1992);これは参考として本明細書中に組み込まれ
る〕を、5′末端がベクターのXho I部位に近位になる
ようにpGP1f 中にクローニングした。得られたプラスミ
ド p24BfをXho Iで切断し、pKcor の17.7kb Xho I/S
al I断片を該エンハンサー断片と同じ方向でその中に
クローニングした。得られたプラスミドpKcorBは、該挿
入断片の5′および3′末端にそれぞれユニークXho I
およびSal I部位を含有する。 (3 c) pKC1B pKcorBの XhoI/Sal I挿入断片をp65.3fのSal I部位
の中にクローニングして軽鎖小遺伝子座トランスジーン
プラスミド pKC1Bを作製した。このプラスミドは、5個
のJκセグメント、ヒトイントロンエンハンサー、ヒト
Cκ、およびヒト3′κエンハンサーを含有する。この
25 kb 挿入断片全体を NotI消化により単離することが
できる。 4. Co4 プラスミドpKV4とpKC1B からの2つの NotI挿入断片を
各々2.5 μg/mlの濃度でマイクロインジェクション緩衝
液中に混合し、そして上記実施例に記載のようにして半
日マウス胚の前核中に同時注入した。生成したトランス
ジーン動物は、2断片が一緒に組み込まれたトランスジ
ーン挿入断片(Co4 と命名、図56に示した組換えの生成
物)を含有する。pKV4挿入断片の3′の3 kbとpKC1B 挿
入断片の5′の3 kbは全く同じである。幾つかの組み込
み現象は3 kbの共通配列に渡って2断片の間で相同組換
えが起こったことを表す。Co4 は遺伝子座はトランスジ
ェニックマウス中のヒト配列軽鎖のレパートリーの発現
を指令するだろう。
【0380】本発明の好ましい態様の今までの記載は、
例示および説明のために与えられる。それらは排他的で
あるつもりはなく、また本発明を正確な開示形態に制限
するつもりはない。上記教示に照らして多数の改良およ
び変更が可能である。本明細書中の全ての刊行物および
特許出願は、あたかも各々の刊行物または特許出願が明
確に且つ個別に参考として本明細書中に組み込まれると
指摘されたかのように、参考として本明細書中に組み込
まれる。
【0381】実施例22 この例は、ヒトIgトランスジーンによりコードされる
ヒト免疫グロブリン鎖を含みかつ特異的免疫原と反応性
をもつモノクローナル抗体を分泌するマウスのハイブリ
ドーマクローンの産生の成功を実証している。
【0382】ヒト重鎖トランスジーン産物を取込むモノ
クローナル抗体の生成 1.ヒト重鎖トランスジーンを宿すマウスの免疫化 内因性重鎖遺伝子(上記実施例20を参照)のノックア
ウト(すなわち機能的分断)について同型接合でトラン
スジーンをコードするヒト重鎖を含むマウスを、精製さ
れたヒトCEAで免疫化し、その後適切な免疫応答期間
の後に脾細胞を収穫した。従来の技術を用いて(Kohler
及びMilstein, Eur.J.Immunol., :511-519 (1976);
Harlow及びLane、「抗体:その研究所マニュアル、Cold
SpringHarbor, New York (1988) 参照)ハイブリドー
マを生成するべく、マウスの脾細胞をマウス骨髄腫細胞
と融合させた。免疫化のために用いられたマウスは、単
一の機能的VH 遺伝子(VH251)、ヒトD及びJセグメ
ント、ヒトμ恒常領域、及びヒトγ1恒常領域遺伝子を
含むヒトの再配置されていない重鎖ミニ遺伝子座トラン
スジーンを内含していた。それが由来したトランスジェ
ニック系統はHC1−57(上記)と呼称された。
【0383】ミョウバン上で不溶化させた精製ヒトガン
胎児性抗原(CEA)(Cyrstal Chem、シカゴ, IL又は
Scripps Labs. サンディエゴ, CA)を100μg、完全
フロイントアジュバントの中で、0日目に注入し、その
後さらに7日目、14日目、21日目及び28日目に不
完全フロイントアジュバント中のミョウバン沈降したC
EAを週に一度注入した。さらに20μgの可溶性CE
Aを83日目に静脈内で投与し、その後92日目に、不
完全フロイントアジュバント中の50μgのミョウバン
沈降させたCEAを注入した。骨髄腫細胞と脾細胞の融
合に先立って血清試料中に、CEAに対するヒト重鎖応
答を確認した。
【0384】95日目に動物を安楽死させ、脾臓を除去
し、ポリエチレングリコールを用いてP3X63−Ag
8.653マウス骨髄腫細胞(ATCC CRL 1580, America
n Type Culture Collection, Rockville, MD)と融合さ
せた。2週間後、ELISAによりヒト重鎖μ又はγ恒
常領域エピトープを含む、CEAと特異的に反応する抗
体の存在について、融合ウエルからの上清をスクリーニ
ングした。簡単に言うと、2.5μg/mlでPVCマイ
クロタイタープレート上に精製されたヒトCEAをコー
ティングさせ、これを、PBS、0.5%のTwee
n、5%のニワトリ血清内で1:4又は1:5に希釈さ
れた培養上清と共にインキュベートした。
【0385】プレートを洗浄し、その後ひきつづき、ヒ
トIgG Fcに対し特異的なホースラディッシュペル
オキシダーゼで接合されたヤギ抗血清又はヒトIgM
Fc5Muに特異的なウサギ抗血清(Jackson Immuno R
esearch, West Grove, PA )を付加した。さらに洗浄し
た後、ABTS基質の付加により、捕獲された抗体に結
合された接合体の存在を確認した。独立した2つの融合
ウエルがCEAに対する実質的な結合力をもつ抗体を含
んでいることがわかった。クローニングの後、ELIS
Aにより、ヒトμ鎖及びマウスκ鎖の存在について、両
方のハイブリドーマが陽性であることがわかった。類似
の検定を用いて、いかなるマウスIgGもIgMも検出
されなかった。
【0386】2つの独立した親ハイブリドーマのサブク
ローニングの結果、92−09A−4F7−A5−2及
び92−09A−1D7−1−7−1と呼称される2つ
のクローンが得られた。両方の系統共、ブタペスト条約
に基づきATCC特許培養寄託所に寄託され、それぞれ
ATCC呼称HB11307及びHB11308を受け
た。これらの細胞系統からの培養上清に関し、ELIS
Aを用いていくつかの精製された標的タンパク質に対す
る反応性についてテストすることによって、特異性を評
価した。図57に示されているように、さまざまな抗原
に対するモノクローナル抗体の反応性を決定するための
ELISA検定は、CEA及びCEA関連抗原NCA−
2のみが有意の反応性を示すことを立証したが、これ
は、ヘテロハイブリッド免疫グロブリン分子の可変領域
について制限された反応性の発達を表わしている。
【0387】実施例23 この例は、ヒトIgミニ遺伝子座トランスジーンにより
コードされる再配置されたヒトVDJ遺伝子を、キメラ
ヒト/マウスIg鎖をコードするべく例えばトランスス
イッチメカニズムによって、内因性Ig恒常領域遺伝子
を含む写しとして転写させることができるということを
立証している。キメラヒト−マウス重鎖をコードするトランス−スイッ
チ写しの同定 内因性重鎖Jセグメント欠失について同型接合の高度免
疫されたHC1系統57のトランスジェニックマウスか
らRNAを分離させた(上記)。本書に参考として内含
されているTaylor et al.(1993) Nucleic Acids Res. 2
0 :6287に従ってcDNAを合成し、以下の2つのプラ
イマを用いてPCRにより増幅した: o−149(ヒトVH251): 5′−CTA GCT CGA GTC CAA GGA GTC TGT GCC GAG GTG
CAG CTG(G,A,T,C)−3′ o−249(マウスガンマ): 5′−GGC GCT CGA GCT GGA CAG GG(A/C) TCC A(G/T)
A GTT CCA −3′ オリゴヌクレオチドo−149は、HC1でコードされ
た可変遺伝子セグメントVH251に特異的であり、一方o
−249は、次のような特異性順序でマウス及びヒトの
両方のガンマ配列に対しハイブリッド形成する: マウスγ1=マウスγ2b=マウスγ3>マウスγ2a
≫ヒトγ1 PCR産物から生成された無作為に選択した10個のク
ローンからのDNA配列を決定し、これらを図58に示
す。2つのクローンが、ヒトVDJ及びマウスγ1を含
んでいた;4つのクローンがヒトVDJ及びマウスγ2
bを含んでいた。又4つのクローンがヒトVDJとマウ
スγ3を含んでいた。これらの結果は、トランスジェニ
ックB細胞の一分画の中で、トランスジーンでコードさ
れたヒトVDJが、クラススイッチ又は類似の組換えに
より内因性マウス重鎖遺伝子座内に組換わったというこ
とを表わしている。
【0388】実施例24 この例は、ヒトIg鎖をコードし発現するクローンか
ら、キメラヒト/マウスIg鎖をコードするクローンを
弁別するためのハイブリドーマプールのスクリーニング
方法について記述する。例えば、J領域で分断された内
因性重鎖遺伝子座について同型接合でありヒトIg重鎖
トランスジーンを含むトランスジェニックマウスから作
られたハイブリドーマクローンのプールの中で、トラン
ススイッチされたヒトVDJ−マウス恒常領域重鎖をコ
ードするハイブリドーマクローンを、ヒトVDJ−ヒト
恒常領域重鎖を発現するハイブリドーマクローンから同
定し分離することが可能である。キメラIg鎖を除去するためのハイブリドーマのスクリ
ーニング スクリーニングプロセスには、単独で又は任意には組合
わせた形で実施できる次の2つの段階が関与している:
(1)予備的なELISAに基づくスクリーン及び
(2)ハイブリドーマ候補の二次的分子特徴づけ。好ま
しくは、ヒトVDJ領域及びヒト恒常領域を発現するハ
イブリドーマ候補の初期同定のためには、予備的なEL
ISAに基づくスクリーンが用いられる。
【0389】(例えば、トランスジェニックマウス内で
の抗体応答を惹起するのに用いられる免疫原などの)抗
原との陽性の反応性を示すハイブリドーマを、マウス
μ,γ,κ及びλ及びヒトμ,γ及びκと特異的に反応
するモノクローナル抗体のパネルを用いてテストした。
ヒト重鎖及び軽鎖に対して陽性でありかつマウス鎖につ
いて陰性であるハイブリドーマだけが、ヒト免疫グロブ
リン鎖を発現するハイブリドーマ候補として同定され
る。かくして、ハイブリドーマ候補は、特定の抗原との
反応性を有し、ヒト恒常領域の特徴であるエピトープを
有することがわかる。
【0390】RNAをハイブリドーマ候補から分離し、
最初のストランドのcDNAを合成するのに使用する。
この最初のストランドのcDNAを次に、(1本鎖DN
Aを連結する)RNAリガーゼを用いて、予め定められ
た配列の唯一の1本鎖オリゴヌクレオチドに連結する。
連結されたcDNAを次に、2組のオリゴヌクレオチド
プライマーを用いてPCRにより2つの反応において増
幅させる。セットH(重鎖)は、(ELISAの結果に
応じて)ヒトμ又はヒトγ1のいずれかへと特異的にア
ニールするオリゴ、及び、オリゴ−X配列へとアニール
するオリゴを含む。こうして、ヒトミニ遺伝子座内へト
ランス再配置している可能性のあるマウスVセグメント
を含め、特別なVセグメントの検出に対抗する偏りが防
止される。第2の組のプライマ、つまりセットL(軽
鎖)は、ヒトκへと特異的にアニールするオリゴと、オ
リゴ−Xへと特異的にアニールするオリゴを含む。PC
R産物を分子クローニングし、ヒト及びマウスIg配列
に対する配列比較に基づいてハイブリドーマが唯一のヒ
ト抗体を産生しているか否かを確かめるため、そのいく
つかのDNA配列を決定する。
【0391】実施例25 この例は、ヒト軽鎖(κ)ミニ遺伝子座を宿すトランス
ジェニックマウスの産生を実証する。ヒトκミニ遺伝子座トランスジェニックマウス KC1 (上記のようなκ特異的オリゴヌクレオチドに対するハ
イブリダイゼーションによるヒトゲノミックDNAファ
ージライブラリから分離された)ファージクローンから
の13kbのXhoI Jκ2−Kκを含むフラグメント
をクレノウ酵素で処理し、pK−31を産生するべくp
GP1dのクレノウ処理されたHindIII 部位にクロ
ーニングさせた。これにより、インサートXhoI部位
が破壊され、唯一のポリリンカー誘導されたXhoI部
位はJκ2の隣りの5′末端に位置づけされた。唯一の
ポリリンカー誘導されたClaI部位をこのXhoI部
位とインセット配列の間に位置設定し、一方唯一のポリ
リンカー誘導されたSalI部位をインサートの3′末
端に位置設定する。
【0392】Jκ1及び上流配列を含む7.5kbのXh
oIフラグメントも同様に、(上述のようにκ特異的オ
リゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションによ
りヒトゲノミックDNAファージライブラリーから分離
された)ヒトゲノミックDNAファージクローンから分
離した。この7.5kbのXhoIフラグメントをpSP
72(Promega, Madison, Wisconsin )のSalI部位
内にクローニングさせ、かくして両方のXhoI部位を
破壊し、Jκ1の3′にポリリンカーClaI部位を位
置づけた。結果として得られたクローンをClaIで消
化させると、上流配列を4.5kbとJκ1を含む4.7
kbのフラグメントが放出された。
【0393】この4.7kbのフラグメントをpK−31
のClaI部位内にクローニングさせ、pKcorを作
り出した。残りの唯一の5′XhoI部位をポリリンカ
ー配列から誘導する。再配置されていないヒトVκIII
遺伝子セグメント65.8(プラスミドp65.8、実
施例21)を含む6.5kbのXhoI/SalI DN
AフラグメントをpKcorのXhoI部位内にクロー
ニングしてプラスミドpKC1を生成させた。pKC1
のNotIインサートを1/2日目のマウス胎児内に微
量注射してトランスジェニックマウスを生成した。2つ
の独立したpKC1誘導されたトランスジェニック系統
を樹立し、重鎖及び軽鎖ミニ遺伝子座を両方共含むマウ
スを繁殖させるのに用いた。これらの系統KC1−67
3及びKC1−674は、サザンブロットハイブリダイ
ゼーションにより、それぞれトランスジーンのおよそ1
及び10〜20のコピーの組込みを含むものとして見積
られた。KC1e マウス及びヒト重鎖J−μイントロンエンハンサーを両
方共含む2.3kbのインサートを切除するため、Bam
HI及びHindIII を用いてプラスミドpMHE1
(実施例13及び18)を消化した。このフラグメント
をクレノウ処理し、SalIリンカー(New England Bi
olabs, Beverly, Massachusetts )に連結させ、pKC
1の唯一の3′SalI部位の中にクローニングさせて
プラスミドpKC1eを生成した。pKC1eのNot
Iインサートを1/2日目のマウス胎児に微量注射して
トランスジェニックマウスを生成した。4つの独立した
pKC1e誘導されたトランスジェニック系統を樹立
し、重鎖及び軽鎖ミニ遺伝子座を両方共含むマウスを繁
殖させるのに使用した。これらの系統KC1e−139
9,KC1e−1403,KC1e−1527及びKC
1e−1536は、サザンブロットハイブリダイゼーシ
ョンにより、それぞれトランスジーンの約20〜50,
5〜10,1〜5及び3〜5のコピーの組込みを含むも
のであると見積られた。pKC2 再配置されていないヒトVκIII 遺伝子セグメント6
5.5(プラスミドp65.5gl、実施例21)を含
む6.8kbのXhoI/SalI DNAフラグメント
をpKC1の唯一の5′XhoI部位内にクローニング
してプラスミドpKC2を生成した。このミニ遺伝子座
トランスジーンは、2つの異なる機能的VκIII 遺伝子
セグメントを含む。1/2日目のマウス胎児の中にpK
C2のNotIインサートを微量注射してトランスジェ
ニックマウスを生成した。5つの独立したpKC2誘導
されたトランスジェニック系統を樹立し、重鎖及び軽鎖
ミニ遺伝子座の両方を含むマウスを繁殖させるのに用い
た。これらの系統KC2−1573,KC2−157
9,KC2−1588,KC2−1608及びKC2−
1610は、サザンブロットハイブリダイゼーションに
より、それぞれトランスジーンの約1〜5,10〜5
0,1〜5,50〜100及び5〜20のコピーの組込
みを含むものと見積られた。
【0394】実施例26 この例は、ヒトκトランスジーンを支持するトランスジ
ェニックマウスが、機能的ヒトκ鎖を含む抗体を形成す
る抗原誘発された抗体応答を発生させることができると
いうことを示している。ヒトIgκ軽鎖と結びつけられた抗体応答 HC1−57ヒト重鎖及びKC1eヒトκトランスジー
ンを含むトランスジェニックマウスを精製されたヒト可
溶性CD4(ヒト糖タンパク質抗原で免疫化した。ポリ
スチレンラテックス粒子(Polysciences, Warrington,
PA)に対する接合(コンジュゲーション)により不溶化
された精製ヒトCD4(NEN Researchの製品、Westwoo
d, MA)を20μg、0日目にジメチルジオクタデシル
臭化アンモニウム(Cal bio chem, San Diego, CA )を
伴う食塩水中で腹腔内注射し、その後20日目及び34
日目にさらに注射を行なった。
【0395】25日目と40日目に眼窩後方出血をと
り、ELISAにより、ヒトIgM又はヒトIgG重鎖
を含むCD4に対する抗体の存在についてスクリーニン
グした。簡単に言うと、PVCのマイクロタイタープレ
ート上に2.5μg/mlで精製されたヒトCD4をコー
ティングし、PBS、0.5%Tween−20、5%
のニワトリ血清中で1:4/1:5に希釈された培養上
清と共にインキュベートさせた。プレートを洗浄し、そ
の後、ヒトIgG Fcに特異的なホースラディッシュ
ペルオキシダーゼ接合されたヤギ抗血清又はヒトIgM
Fc5Muに特異的なウサギ抗血清(Jackson Immuno
Research, Westr Grove, PA)を付与した。
【0396】ABTS基質の付加によるさらなる洗浄後
に、捕獲された抗体に結合された接合体の存在を見極め
た。両方の出血において、抗原との反応性をもつヒトμ
を検出したが、γ反応性は基本的に検出不能であった。
40日目に、ヤギ抗ヒトκペルオキシダーゼ接合体(Si
gma, St.Louis, MO )での同じ検定を用いて抗原反応性
ヒトκ鎖についても試料をテストした。この時点でCD
4を結合するκ反応性が検出された。検定の結果は、図
59に示されている。
【0397】実施例27 この例は、機能的に分断されたマウス重鎖及び軽鎖遺伝
子座(重鎖及びκ鎖遺伝子座)について同型接合であ
り、しかも、機能的ヒト重鎖及び機能的ヒト軽鎖をコー
ドするべく産生的に再配置することのできるヒト軽鎖ト
ランスジーンとヒト重鎖トランスジーンを並行して宿す
マウスの生成の成功を示している。このようなマウスは
「0011」マウスと呼ばれ、ここで最初の2ケタの2
つのゼロはこのマウスに機能的な重鎖及び軽鎖遺伝子座
が欠如していることを表わし、次の2ケタの1は、この
マウスがヒト重鎖トランスジーン及びヒト軽鎖トランス
ジーンについて半接合であることを表わしている。この
例は、かかる0011マウスに予め定められた抗原に対
する特異的抗体応答を発生させる能力があること、又か
かる抗体応答にアイソタイプスイッチが関与しうること
を示している。0011/0012マウス:内因性Igノックアウト+
ヒトIgトランスジーン 上述のHC1−26トランスジェニックマウス系統とい
ったヒトHC1トランスジーンも宿し、機能的JH 領域
が欠如した機能的に分断された内因性重鎖遺伝子座(J
HD++又はJHΔ++と呼ばれる)について同型接合
であったマウスを、機能的JH 領域の欠如した機能的に
分断された内因性カッパ鎖遺伝子座(ここではJKD+
+又はJKΔ++と呼ばれる、図9参照)について同型
接合のマウスと同系交配させて、JHD++/JKD+
+と呼ばれるHC1トランスジーンを含む機能的に分断
された重鎖及びカッパ鎖遺伝子座(重鎖/カッパ鎖ノッ
クアウト)について同型接合のマウスを産生した。
【0398】かかるマウスを、同系交配により産生さ
せ、ゲノミックDNAのサザンブロットにより評価され
るとおりの遺伝子型に基づいて選択した。HC1−26
+/JKD++/JHD++マウスと呼ばれるこれらの
マウスを、ヒトカッパ鎖トランスジーンを宿すマウス
(系統KC2−1610,KC1e−1399及びKC
1e−1527;実施例25参照)と同系交配させ、機
能的に分断された重鎖及び軽鎖遺伝子座について同型接
合でしかもHC1トランスジーン及びKC2又はKC1
eトランスジーンについて半接合である子孫マウスを同
定するのに、ゲノミックDNAのサザンブロット分析を
用いた。
【0399】このようなマウスは番号で呼称され、以下
の略号を用いてその遺伝子型に関して同定された:すな
わち、HC1−26+はHC1−26系統のヒト重鎖ミ
ニ遺伝子座トランスジーン組込みに対する半接合を表わ
し;JHD++はJH ノックアウトに対する同型接合を
表わし;JKD++はJκノックアウトに対する同型接
合を表わし;KC2−1610+は、系統KC2−16
10の場合と同じように組込まれたKC2ヒトκトラン
スジーンについての半接合を表わし;KC1e−152
7+は、系統KC1e−1527の場合と同じように組
込まれたKC1eヒトκトランスジーンについての半接
合を表わし;KC1e−1399+は、系統KC1e−
1399の場合と同じように組込まれたKC1eヒトκ
トランスジーンについての半接合を表わす。
【0400】結果として得られた個々の子孫には各々数
字で表わした呼称(例えば6295,6907など。)
が与えられ、各々JH ノックアウト対立遺伝子、Jκノ
ックアウト対立遺伝子、HC1−26トランスジーン及
びκトランスジーン(KC2又はKC1e)の存在につ
いて評価され、各遺伝子座において半接合(+)又は同
型接合(++)のいずれかであることが決定された。表
10は、子孫マウスのいくつかの番号呼称、性別及び遺
伝子型を示している。
【0401】 表 6 ID番号 性別 Igコード 遺伝子型 6295 M 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC2 −1610+ 6907 M 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC1e−1527+ 7086 F 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC1e−1399+ 7088 F 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC1e−1399+ 7397 F 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC1e−1527+ 7494 F 0012 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC2 −1610++ 7497 M 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC1e−1399+ 7648 F 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC2 −1610+ 7649 F 0012 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC2 −1610++ 7654 F 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC2 −1610+ 7655 F 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC2 −1610+ 7839 F 0011 HC1−26+;JHD++ ;JKD++ ;KC1e−1399+ 7656 F 0001 HC1−26−;JHD++ ;JKD++ ;KC2 −1610+ 7777 F 1100 Co1−2141−;JHD +;JKD +
【0402】我々は、生後6週間の雌マウスから脾臓を
とり出した。サザンブロットハイブリダイゼーションに
より、マウス#7655は、HC1(系統26)及びK
C2(系統1610)トランスジーン取込みについて半
接合であり、マウスμ及びκJ領域のJHΔ及びJκΔ
ターゲティングされ欠失について同型接合であることが
見極められた。マウス#7656は、サザンブロットハ
イブリダイゼーションにより、KC2(系統1610)
トランスジーン組込みについて半接合でありマウスμ及
びκJ領域のJHΔ及びJκΔターゲッティングされた
欠失について同型接合であることが見極められた。マウ
ス#7777は、サザンブロットハイブリダイゼーショ
ンにより、マウスμ及びκJ領域のJHΔ及びJκΔタ
ーゲティングされた欠失について半接合であると見極め
られた。これらの欠失が劣性であることから、このマウ
スは表現型上野生型であるはずである。
【0403】0011マウスにおける内因性Ig鎖の発
(1)野生型マウス(7777)、(2)重鎖及びカッ
パノックアウト対立遺伝子について同型接合でヒト軽鎖
トランスジーン(7656)を宿す0001マウス及び
(3)重鎖及びカッパノックアウト対立遺伝子について
同型接合でヒト軽鎖トランスジーン及びヒト重鎖トラン
スジーン(7655)を宿す0011マウスから外植さ
れたリンパ球を選別するため、ヒトμ、マウスμ、ヒト
κ、マウスκ、又はマウスλのいずれかと反応性ある抗
体のパネルを用いたFACS分析を使用した。
【0404】我々は、Mishell 及びShiigi (Mishell,
B.B. & Shiigi.S.M. (eds) 細胞免疫学における選択さ
れた方法。W.H.Freeman & Co., New York, 1980 )によ
り記述されているように、脾臓から単細胞懸濁液を調製
し、NH4 Clで赤血球を溶解させた。リンパ球を以下
の試薬で染色する:ヨウ化プロピジウム(分子プロー
ブ、Eugene, OR)、FITC接合された抗ヒトIgM
(クローンG20−127;Pharmingen, サンディエ
ゴ, CA)、FITC接合された抗マウスIgM(クロー
ンR6−60.2;Pharmingen, サンディエゴ, CA)、
フィコエリトリン接合された抗ヒトIgκ(クローンH
P6062;Cal Tag, サウスサンフランシスコ, C
A)、FITC接合された抗マウスIgλ(クローンR
26−46;Pharmingen, サンディエゴ, CA)、FIT
C接合された抗マウスB220(クローンRA3−6B
2;Pharmingen, サンディエゴ, CA)、及びCy−クロ
ム接合された抗マウスB220(クローンRA3−6B
2:Pharmingen, サンディエゴ, CA)。我々は、FAC
Scanフロー血球計算器及びLYSISIIソフトウェ
ア(Becton Dickinson, サンホゼ, CA)を用いて染色さ
れた細胞を分析した。
【0405】マクロファージ及び残留赤血球を、前方及
び側方散乱をゲート・オンすることにより排除する。死
濁細胞は、ヨウ化プロピジウム陽性細胞をゲート・アウ
トすることにより排除する。図60及び図61のフロー
サイトメトリーデータは、サザンブロットハイブリダイ
ゼーションデータを確認し、マウス#7655がヒトμ
及びヒトκの両方を発現し、あったとしても比較的わず
かなマウスμ又はマウスκを発現することを実証してい
る。それでも、B細胞の有意な分画(約70〜80%)
がヒト重鎖及びマウスλ軽鎖から成るハイブリッドIg
レセプターを発現すると思われる。
【0406】図60は、細胞表面上でヒトμ又はマウス
μを発現するB細胞の相対的分布を示す;0011マウ
ス(7655)リンパ球はヒトμに対し陽性であるが、
相対的にマウスμが欠如している;0001マウス(7
656)リンパ球は、多くのヒトμ又はマウスμを発現
しない;野生型マウス(7777)リンパ球はマウスμ
を発現するが、ヒトμが欠如している。
【0407】図61は、細胞表面上でヒトκ又はマウス
κを発現するB細胞の相対的分布を示す;0011マウ
ス(7655)リンパ球はヒトκについて陽性である
が、相対的マウスκが欠如している;0001マウス
(7656)リンパ球は多くのヒトκ又はマウスκを発
現しない;野生型マウス(7777)リンパ球はマウス
κを発現するが、ヒトκが欠如している。
【0408】図62は、細胞表面上でマウスλを発現す
るB細胞の相対的分布を示す;0011マウス(765
5)リンパ球はマウスλについて陽性である;0001
マウス(7656)リンパ球は、有意なマウスλを発現
しない;野生型マウス(7777)リンパ球はマウスλ
を発現するが、0011マウス(7655)に比べ相対
的に低いレベルにある。
【0409】図63は、ヒトκ(トランスジーンでコー
ドされたもの)に比べての内因性マウスλについて陽性
のB細胞の相対的分布を示す。左上の図版は、機能的内
因性重鎖及び軽鎖対立遺伝子を有しヒトトランスジーン
(単複)が欠如している野生型マウスからの細胞の結果
を示す;細胞はマウスラムダについて陽性である。右上
の図版は、κノックアウトバックグラウンド(JKD+
+)を有しKC1e−1399系統のヒトκトランスジ
ーンの組込みを宿すマウス(#5822)からの細胞を
示す;細胞は、おおまかに比例する量でヒトκ又はマウ
スλについて陽性である。
【0410】左下図版は、κノックアウトバックグラウ
ンド(JKD++)を有しKC2−1610系統のヒト
κトランスジーン組込みを宿すマウス(#7132)か
らの細胞を示す:ヒトκに対してよりマウスλに対して
より多くの細胞が陽性であり、KC2−1610トラン
スジーン組込みがKC1e−1399トランスジーン組
込みほど効率が良くないということを表わしている可能
性がある。右下図版は、ヒトκミニ遺伝子座トランスジ
ーン(KCo4)を宿し機能的内因性マウスκ対立遺伝
子が欠如しているマウスからの細胞を示す。
【0411】図63に示されているデータは同様に、ト
ランスジーン間の表現型の可変性をも実証している。か
かる可変性は、組込まれたトランスジーンの結果もたら
される単数又は複数の表現型上の特徴(例えばアイソタ
イプスイッチ、高レベル発現、低マウスIgバックグラ
ウンド)を発現する個々のトランスジーン及び/又はト
ランスジェニック系統について選択するのが望ましいこ
とであるということを表わしている。一般に、(1)ト
ランスジーン、(2)トランスジーン組込みの部位、及
び/又は(3)遺伝的背景により異なっている多数の個
別のトランスジェニック系統を形成するため、別々に単
一又は多数のトランスジーン種(例えばpKC1e,p
KC2,KCo4)が利用される。
【0412】次のような望ましいパラメータについて個
々のトランスジェニック系統を検査する:(1)予め定
められた抗原に対する免疫応答を高める能力、(2)ト
ランスジーンでコードされた恒常領域内のアイソタイプ
スイッチの頻度及び/又は内因性(例えばマウス)Ig
恒常領域遺伝子に対するトランススイッチの頻度、
(3)トランスジーンでコードされた免疫グロブリン鎖
及び抗体の発現レベル、(4)内因性(例えばマウス)
免疫グロブリン、免疫グロブリン配列の発現レベル、及
び(5)産生的VDJ及びVJ再配置の頻度。標準的に
は、トランスジーンでコードされる(例えばヒト)免疫
グロブリン鎖を最大濃度で産生するトランスジェニック
系統が選択される:好ましくは、選択された系統は、ト
ランスジェニック動物の血清中で少なくとも約40μg
/mlのトランスジーンコードされた重鎖(例えばヒトμ
又はヒトγ)及び/又は少なくとも約100μg/mlの
トランスジーンコードされた軽鎖(例えばヒトκ)を産
生する。
【0413】マウスの免疫化を受けていない血清及び特
異的抗原つまりヒトCD4での免疫化の後の血清の中の
ヒト及びマウス免疫グロブリン鎖の発現について、マウ
スを検査した。図64はさまざまな遺伝子型の別々の4
匹の免疫化を受けていない0011マウスの血清の中に
存在するヒトμ、ヒトγ、マウスμ、マウスγ、ヒト
κ、マウスκ及びマウスλ鎖の相対的発現を示している
(nt=テストせず);ヒトκが最も豊富な軽鎖として
優勢であり、ヒトμ及びマウスγ(推定上はトランスス
イッチの産物)が最も豊富な重鎖であるが、系統間で可
変性が存在しており、このことは、ヒト鎖の発現を可能
にしながらマウス鎖の発現を最小限にする有利な遺伝子
型組合せを同定するための選択段階の有用性を表わして
いる。マウス#6907及び7088は、ヒトμからヒ
トγへのアイソタイプスイッチ(トランスジーン内のシ
ス・スイッチ)を示している。
【0414】図65は、さまざまな0011遺伝子型の
マウス内のヒトμ(huμ)、ヒトγ(huγ)、ヒト
κ(huκ)、マウスμ(msμ)、マウスγ(ms
γ)、マウスκ(msκ)、及びマウスλ(msλ)に
ついての血清免疫グロブリン鎖レベルを示している。0011マウス内の特異的抗体応答 0011マウス(#6295)を、次の免疫化計画に従
って免疫原性用量のヒトCD4を用いて免疫化した:0
日目、CD4マウス免疫血清100μlの腹腔内注入;
1日目、100μl中DDAを伴いラテックス溶球上で
20μgのヒトCD4(American Bio-Tech )を注入す
る;15日目、100μl中DDAを伴いラテックス溶
球上で20μgのヒトCD4(American Bio-Tech )を
注入する;29日目、100μl中DDAを伴いラテッ
クス溶球上で20μgのヒトCDA(American Bio-Tec
h )を注入する;43日目、100μl中DDAを伴い
ラテックス溶球上で20μgのヒトCD4(American B
io-Tech )を注入する。
【0415】図67は、抗CD4応答におけるヒトμ、
ヒトκ及びヒトγ鎖の存在を立証する3週間目及び7週
間目のCD4免疫化に対する相対的抗体応答を示す。ヒ
トγ鎖は、7週間目の血清中で著しく増大した発生量で
存在し、野生型動物におけるアイソタイプスイッチのも
のと似た時間的関係で重鎖トランスジーン内でのシス−
スイッチ(アイソタイプスイッチ)が発生していること
を表わしている。
【0416】図68は、さまざまなヒト重鎖及び軽鎖ト
ランスジーンの概略的寄せ集めを示す。
【0417】実施例28 この例は、マウスλ軽鎖遺伝子座のターゲティングされ
たノックアウトを提供する。マウスラムダ軽鎖遺伝子座のターゲティングされた失活 Ig重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子座とは異なり、マウスV
λJλ及びCλ遺伝子セグメントは、5′→3′アレイ
の形に配置された3つのグループにまとめられておら
ず、その代りに散在させられている。最も5′の部分は
2つのVセグメント(Vλ2及びVλX)で構成されて
おり、これら2つのセグメントの後には、3′方向に続
行して各々独自のJセグメント(Jλ2Cλ2及び偽遺
伝子Jλ4Cλ4)と結びつけられた2つの恒常領域エ
キソンが続いている。次にくるのは最も広く用いられる
Vセグメント(Vλ1)であり、このセグメントの後に
は恒常領域エキソンの第2のクラスター(Jλ3Cλ3
及びJλ1Cλ1)が続いている。全体として、遺伝子
座は約200kbにまたがり、2つのクラスター間の間隔
は〜20〜90kbである。
【0418】ラムダ遺伝子座の発現には、優越してJλ
2までのVλ2又はVλXの再配置そして稀にのみJλ
3又はJλ1に対してさらに3′の再配置が関与する。
Vλ1はJλ3及びJλ1の両方と組換え可能である。
かくして、遺伝子座の組換え及び発現を充分に削除する
ため、ラムダ遺伝子座を突然変異させることが可能であ
る。
【0419】2つのラムダ遺伝子クラスターの間の距離
は、マウスIg重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子座を失活させ
る上で用いられたとおりに、単一のち密なターゲッティ
ングされた欠失の生成を介して遺伝子座の発現を失活す
ることを困難にする。その代り、発現ラムダ軽鎖を削除
することになる小さい単一の欠失は、Jλ2Cλ2から
Jλ1Cλ1までに広がる約120kbにまたがっている
(図69)。こうしてラムダ恒常領域エキソンの全てな
らびにVλ1遺伝子セグメントが除去され、遺伝子座の
失活が確保される。
【0420】欠失された120kbがPGK発現カセット
内で選択可能な標識遺伝子neoと置換されている、置
換型ターゲティングベクター(Thomas及びCapecehi (19
87)前掲書中)が構築される。このマーカーは、ラムダ
遺伝子座に対する相同性を提供するため欠失にフランキ
ングするゲノミックラムダ配列内に埋め込まれており、
同様に、ベクターを相同的に組込んだ細胞についての富
化を可能にするため、相同性領域の1つの端部にHSV
−tk遺伝子を含むこともできる。ターゲティングされ
ている染色体DNAに対し同質遺伝子型のターゲティン
グベクターの使用が相同組換えの効率を増強することが
報告されていることから、ラムダ遺伝子座ゲノミックク
ローン配列は、ターゲティングされているES系統と同
質遺伝子型の系129/Svゲノミックファージライブ
ラリのスクリーニングによって得られる。
【0421】ラムダ遺伝子座に対する相同性の長さで相
異のあるターゲティングベクターが構築される。第1の
ベクター(図70中のベクター1)は、合計約8〜12
kbのラムダ遺伝子座配列によりフランキングされた標識
遺伝子を含む。置換ベクターが数kbのDNAの付加又は
検出を媒介するターゲティング事象については、これ
は、充分以上の相同性範囲であることが実証されてきた
(Hasty et al. (1991)、前掲書中;Thomas et al.(199
2) 前掲書中)。フランキングラムダ配列をさらに約4
0〜60kb伴うベクターも又構築される(図70中のベ
クター2)。少なくとも80kbのヒトIgミニ遺伝子座
が日常的にクローニングされ、プラスミドベクターpG
P1の中で増殖される(Taylor et al.(1993) 前掲書
) ラムダ遺伝子座の失活のための代替的なアプローチで
は、同じES細胞内において、例えば2つの恒常領域ク
ラスター又は2つのV領域遺伝子座の突然変異といった
2つの独立した突然変異が利用される。
【0422】恒常領域が両方共各々DNAの〜6kb内に
内含されているのに対しV遺伝子座の1つは〜19kbに
またがっていることから、ターゲティングベクターはJ
λ2Cλ2/Jλ4Cλ4及びJλ3Cλ3/Jλ1C
λ1遺伝子座を独立して欠失するように構築される。図
70に示されているように、各々のベクターは、各欠失
にフランキングする合計〜8〜12kbのラムダ遺伝子座
ゲノミックDNAによりとり囲まれた、PGK発現カセ
ット内の選択可能なマーカー(例えばneo又はpa
c)から成る。陽性−陰性選択による相同組換え事象の
ため富化するべく、ターゲティングベクターに対し、H
SV−tk遺伝子を付加することが可能である。
【0423】恒常領域遺伝子のうちの1つの欠失を支持
するクローンが生成されるように、ES細胞を2つのベ
クターで逐次的にターゲッティングさせる。次にこれら
のクローンを2つのベクターで逐次的にターゲティング
させて、恒常領域遺伝子座の1つの欠失を支持するクロ
ーンが生成されるようにし、その後これらのクローンを
残りの機能的恒常領域クラスターの欠失を生成するべく
ターゲティングさせる。両方のターゲティング事象がか
くして同じ細胞に対し向けられていることから、2つの
ターゲティングのために異なる選択可能なマーカーを使
用することが好ましい。図70に示されている概略的な
例においては、ベクターのうち一方はneo遺伝子を含
み、もう一方はpac(ピュロマイシンN−アセチルト
ランスフェラーゼ)遺伝子を含んでいる。
【0424】第3の潜在的に優性な選択可能マーカー
は、hyg(ハイグロマイシンホスフォトランスフェラ
ーゼ)遺伝子である。pac及びhyg遺伝子は両方
共、Ig重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子座の中にneo遺伝
子座をターゲティングするためにうまく使用されるPG
K発現構成体の中に挿入され得る。2つのラムダ恒常領
域クラスターは密に連鎖されるされていることから、2
つの突然変異が同じ染色体上にあることが重要である。
好ましくは独立した2つのターゲティング事象により同
じ対立遺伝子を突然変異させる確率は50%あり、突然
変異の連鎖は、2重にターゲティングされたES細胞か
ら誘導されたキメラの繁殖(交配)中のその同時分離に
より確立される。
【0425】実施例28 この例は、マウス重鎖遺伝子座のターゲティングされた
ノックアウトを提供する。マウス重鎖遺伝子座のターゲティングされた失活 ES細胞内での遺伝子ターゲティングによりマウス重鎖
遺伝子座恒常領域遺伝子のうちの少なくとも1つ好まし
くは実質的に全てを欠失するために、図70に示された
構造をもつ相同組換え遺伝子ターゲティングトランスジ
ーンを使用する。図70は、ターゲティングトランスジ
ーンの全体的概要図を示す。セグメント(a)は、欠失
されるべき恒常領域遺伝子(単複)の上流にある(すな
わちJH遺伝子に近接する)クローニングされたゲノミ
ックDNA配列である;セグメント(b)は、pgk−
neoといった正の選択マーカーを含み;セグメント
(c)は欠失すべき恒常領域遺伝子(単複)の下流にあ
る(すなわち恒常領域遺伝子(単複)及びJH 遺伝子に
対し遠位にある)クローニングされたゲノミックDNA
配列である;又任意のものであるセグメント(d)は、
負の選択マーカー遺伝子(例えばHSV−tk)を含
む。図71は、「免疫グロブリン遺伝子」、Honjo T. A
lt, FW及びRabbits TH (eds) Academic Press, NY (198
9) p129 からとったマウス重鎖遺伝子座の地図を示す。
【0426】ターゲティングトランスジーンは、図70
に従った構造を有し、ここで(1)(a)セグメント
は、クローンJH8.1の11.5kbのインサート(Ch
en etal.(1993) Int.Immunol. :647 )又は、マウ
スCμ遺伝子の上流にある少なくとも約1〜4kbの配列
を含む同等の部分であり、(2)(b)セグメントは上
述のとおりのpgk−neoであり、(3)(c)セグ
メントは、5′−gtg ttg cgt gta tca gct gaa acc ta
g aaa cag ggt gac cag −3′という配列をもつ末端標
識づけされたオリゴヌクレオチドでマウスゲノミックク
ローンライブラリをスクリーニングすることにより分離
されたマウスCα遺伝子のファージクローンから分離さ
れた4〜6kbのインサート又は図72に示された167
4bpの配列を含んでおり、(4)(d)セグメントは上
述のHSV−tk発現カセットを含んでいる。
【0427】代替的には、第1のターゲティングが相同
性領域すなわち恒常領域遺伝子(単複)、第1種の正の
選択マーカー遺伝子(pgk−neo)及びHSV−t
k負の選択マーカーにフランキングする配列に相同なセ
グメント(a)及び(c)を含んでいる、単数又は複数
の重鎖恒常領域遺伝子の段階的欠失を実施する。かくし
て、(a)セグメントは、Cγ3の上流にある領域に相
同な少なくとも約1〜4kbの配列を含むことができ、
(c)セグメントはCγ2aの上流にある領域に対して
相同な少なくとも約1〜4kbの配列を含むことができ
る。
【0428】このターゲティングトランスジーンはCγ
3,Cγ1,Cγ2b及びCγ2a遺伝子を欠失させ
る。この第1のターゲティングトランスジーンはES細
胞内に導入され、適正にターゲティングされた組換え体
が選択され(例えばG418で)、適正にターゲティン
グされたC領域欠失を生み出す。次にHSV−tkカセ
ットの喪失についての負の選択が行なわれる(例えばg
anciclovir又はFIAUで)。結果として得
られる適正にターゲティングされた第1図のC欠失組換
え体は、Cγ3,Cγ1,Cγ2b及びCγ2a遺伝子
が欠如した重鎖遺伝子座を有する。
【0429】第2のターゲティングトランスジーンは、
相同性領域すなわち、恒常領域遺伝子(単複)、第1の
種とは異なる第2種の正の選択マーカー遺伝子(例gp
t又はpae)及びHSV−tk負の選択マーカーにフ
ランキングする配列と相同なセグメント(a)及び
(c)を含んでいる。かくして、(a)セグメントは、
Cεの上流にある領域に対し相同な少なくとも約1〜4
kbの配列を含むことができ、(c)セグメントは、Cα
の上流にある領域に相同で少なくとも約1〜4kbの配列
を含むことができる。このターゲティングトランスジー
ンはCε及びCα遺伝子を欠失させる。
【0430】この第2のターゲティングトランスジーン
は、第1のターゲティング事象から得られた適正にター
ゲティングされたC−領域組換え型ES細胞の中へ導入
される。第2のノックアウト事象のために適正にターゲ
ティングされている(すなわち第2のターゲティングト
ランスジーンでの相同組換えによる)細胞は、第2種の
正の選択マーカー遺伝子に特異的な選択薬剤(例えば、
gptについて選択するためのミコフェノール酸;pa
cについて選択するためのピュロマイシン)を用いて選
択される。その後、HSV−tkカセットの喪失につい
ての負の選択が行なわれる(例えばganciclov
ir又はFIAUを用いて)。結果として得られるこれ
らの適正にターゲティングされた第2回目のC領域組換
え体は、Cγ3,Cγ1,Cγ2b,Cγ2a,Cε及
びCα遺伝子が欠如した重鎖遺伝子座を有する。
【0431】単数又は複数のC領域遺伝子が欠如した適
正にターゲティングされた第1回又は第2回目の組換え
型ES細胞を、上述のとおり、胚盤胞注入のために使用
し、キメラマウスを産生する。ターゲティングされた重
鎖対立遺伝子の生殖細胞系伝播が樹立され、結果として
得られた創立者マウスの繁殖(交配)を行なってC領域
ノックアウトに対して同型接合のマウスを生成する。こ
のようなC領域ノックアウトマウスは、JH ノックアウ
トマウスに比べていくつかの利点を有する:一例を挙げ
ると、C領域ノックアウトマウスは、ヒト重鎖トランス
ジーンと内因性重鎖遺伝子座恒常領域の間のトランスス
イッチを受ける能力が低下しており(又はこの能力が完
全に欠如している)、かくしてトランスジェニックマウ
ス内のキメラヒト/マウス重鎖の頻度を減少している。
μ及びデルタも同様に頻繁に相同ターゲティングによっ
て欠失させられているものの、マウスガンマ遺伝子のノ
ックアウトが好まれる。
【0432】内因性マウス重鎖遺伝子座内のその他のタ
ーゲティングされた病巣と合わせて、C領域ノックアウ
トを行なうことが可能である:中でも、マウス重鎖遺伝
子座の産生的VDJ再配置を排除するため及びヒト重鎖
トランスジーンとマウス重鎖遺伝子座の間のトランスス
イッチを排除又は削減するために、JH ノックアウトと
C領域欠失を組合わせることが可能である。いくつかの
実施態様については、内因性重鎖遺伝子座の単数又は複
数のC領域遺伝子が特定的に欠如しているもののその他
のいくつかのC領域遺伝子を保持しているマウスを産生
することが望ましい可能性がある。例えば、キメラヒト
/マウスIgAが有利な表現型を付与し実質的にマウス
の望ましい有用性と干渉しない場合、このIgAのトラ
ンススイッチによる産生を可能にするべくマウスCα遺
伝子を保持することが好ましい可能性がある。
【0433】実施例29 この例は、ヒトトランスジーンを宿すトランスジェニッ
クマウスから得られるリンパ球試料からの内因性(マウ
ス)免疫グロブリンを発現するリンパ球の半ビボ枯渇を
実証する。マウスIgを発現するリンパ球は、トランス
ジーン(単複)によりコードされるヒト免疫グロブリン
に対する実質的結合力が欠如している抗マウス免疫グロ
ブリン抗体に対する特異的結合により選択的に枯渇され
る。マウスIg−発現B細胞の半ビボ枯渇 ヒト重鎖ミニ遺伝子座トランスジーン(HC2)及びヒ
ト軽鎖ミニ遺伝子座トランスジーン(KCo4)に対し
て同型接合のマウスをC57BL/6(B6)同系繁殖
マウスと繁殖(交配)させ、2211マウス(すなわ
ち、機能的内因性マウス重鎖遺伝子座に対し同型接合
で、機能的内因性マウス軽鎖遺伝子座に対し同型接合
で、かつヒト重鎖トランスジーンの1つのコピーとヒト
軽鎖トランスジーンの1つのコピーを有するマウス)を
得る。かかる2211マウスは同様にB6主要及び非主
要組織適合抗原をも発現する。これらのマウスを、免疫
原性用量の抗原でプライミングさせ、約1週間後に脾細
胞を分離させる。
【0434】標準的方法(Wyso ckiet al.(1978). Pro
c.Natl.Acad.Sci. (U.S.A.) 75 ;2844;MACS磁気細胞
選別、Miltenyi Biotec Inc, Sunnyvale, CA)に従った
固相連結された抗体依存型細胞分離及び、それに続く、
マウスIgに関し陽性の残留細胞を実質的に除去するた
めの抗体依存型補体媒介の細胞溶解(「細胞免疫学にお
ける選択された方法」、Mishell BB及びShiigi SM (ed
s), W.H.Freeman and Company, New York, 1980, p211
〜212 )によって、マウスIgに関して陽性のB細胞を
除去する。枯渇された試料中の残りの細胞(例えば、ヒ
トIgについて陽性なB細胞、T細胞)を、好ましくは
発生するB細胞に対する付加的な抗マウスIg抗体と合
わせて、SCID/B6又はRAG/B6マウスに静脈
内注射する。再構成されたマウスを次に、さらに抗原に
対し免疫化させ、ハイブリドーマクローンを産生するた
めの抗体及び親和力の成熟した細胞を得る。
【0435】実施例30 体細胞キメラ内の完全にヒトの抗体の産生 体細胞キメラマウス内で完全にヒトの抗体を産生するた
めの方法が記述される。これらのマウスは、ヒト免疫グ
ロブリン(Ig)重鎖及び軽鎖トランスジーンを有し、
機能的マウスIg重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子が欠如した
胚幹(ES)細胞を、RAG−1又はRAG−2欠損マ
ウスからの胚盤胞の中に導入することによって生成され
る。
【0436】RAG−1及びRAG−2欠損マウス(Mo
mbaerts et al. (1992) Cell 68:869 ;Shinkai et a
l. (1992) Cell 68:855 )には、VDJ再配置を開始
しIgsをコードする遺伝子セグメント及びT細胞レセ
プタ(TCR)を組立てることができないため、マウス
B及びT細胞が欠如している。B及びT細胞の産生にお
けるこの欠陥は、RAG−2欠損動物から誘導された胚
盤胞内への野生型ES細胞の注入によって補完できる。
結果として得られたキメラマウスは、注入されたES細
胞から完全に誘導された成熟したB及びT細胞を産生す
る(Chen et al.(1993) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90
4528)。
【0437】キメラのB及び/又はT細胞全ての中に、
規定の突然変異及び/又は外因性DNA構成体を導入す
るために、注入されたES細胞の遺伝子操作を使用す
る。Chen et al. (1993), Proc.Natl.Acad.Sci. USA 9
0:4528−4532) RAG胚盤胞内に注入された時点で、B細胞が無い状態
でT細胞を作るキメラを産生した、Ig重鎖遺伝子座の
同型接合失活を有する生成されたES細胞(原文不明
瞭)。突然変異体ES細胞内への再配置されたマウス重
鎖のトランスフェクションの結果、B細胞の発達が救わ
れ、キメラ内でB細胞及びT細胞の両方が再生されるこ
とになる。
【0438】マウスIg重鎖又はカッパ軽鎖の合成が無
い状態で完全にヒトの抗体を発現するキメラマウスを生
成することが可能である。マウスIg重鎖及びカッパ軽
鎖遺伝子の両方の失活について同型接合であるES細胞
の中に、ヒトIg重鎖及び軽鎖構成体を導入する。この
ときES細胞を、RAG2欠損マウスから誘導された胚
盤胞の中に注入する。結果として得られるキメラは、マ
ウスIg重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子を発現することはで
きないもののヒトIg遺伝子は発現する注入されたES
細胞から排他的に誘導されたB細胞を含んでいる。免疫グロブリン重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子の失活につい
て同型接合のES細胞の生成 それぞれ既知の手順に従った(Chen et al.(1993) EMBO
J. 12:821 ;及びChen et al.(1993) Int.Immunol.
前掲書中)、ES細胞内でのIgJH 及びJκ/Cκ配
列のターゲティングされた欠失により、失活されたIg
重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子座を支持するマウスを生成し
た。2つの突然変異体系のマウスを合わせて繁殖させ
て、両方のIg遺伝子座の失活について同型接合の系を
生成した。この2重突然変異体の系を、ES細胞の誘導
のために使用した。使用されたプロトコルは、基本的
に、Robertson により記述されたものであった(198
7、「奇形ガン腫及び胚幹細胞;1つの実践的アプロー
チ」中。
【0439】p71 〜112 。E.J.Robertson 編、IRLプ
レス)。簡単に言うと、同系接合の2重突然変異体マウ
スの自然交配により、胚盤胞が生成された。受胎した雌
を妊娠2.5日目に卵巣摘出し、妊娠7日目に子宮から
「遅延した」胚盤胞を洗い流し、支持細胞上で培養し
て、それらの未分化状態の維持を助けた。その形態で同
定できる胚盤胞の内部細胞質量からの幹細胞をとり出
し、解離させ、支持細胞上で継代させた。正常な核型を
もつ細胞を同定し、雄細胞系統は、キメラを生成しマウ
スの生殖細胞に寄与するその能力についてテストされる
ことになる。雄キメラははるかに多くの子孫を産生でき
ることから、雌系統よりも雄ES細胞の方が好ましい。マウスIg重鎖及びカッパ軽鎖欠損ES細胞内へのヒト
Ig遺伝子の導入 HCS及びKC−CO4といったミニ遺伝子座構成体又
はJ1.3PといったYACクローンのいずれかとし
て、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子を突然変異
体ES細胞内に導入する。ヒトIg DNAでのES細
胞のトランスフェクションを、電気穿孔又は陽イオン脂
質でのリポフェクションといった技術によって行なう。
ヒトDNAを取込んだES細胞の選択を可能にするた
め、選択可能マーカーを構成体に連結させるか又はES
細胞へと構成体と同時トランスフェクションさせる。突
然変異体ES細胞は、Ig遺伝子失活を生成した遺伝子
ターゲティング事象の結果としてネオマイシンホスフォ
トランスフェラーゼ(neo)遺伝子を含んでいること
から、ヒトIg遺伝子をES細胞内に導入するため、ハ
イグロマイシンホスフォトランスフェラーゼ(hyg)
又はピュロマイシンN−アセチルトランスフェラーゼ
(pac)といったさまざまな選択可能なマーカーが使
用される。
【0440】ヒトIg重鎖及び軽鎖遺伝子は、異なる選
択可能マーカーを用いて、突然変異体ES細胞内に同時
に又は逐次的に導入することができる。トランスフェク
ションの後、適切な選択可能マーカーで細胞を選択し、
ヒト遺伝子配列の組込みを確認し分析するべく凍結しD
NA分析する目的で薬剤耐性コロニーを拡張させる。 キメラの生成 記述されているとおり(Bradley, A. (1987), 「奇形ガ
ン腫及び胚幹細胞:1つの実践的アプローチ」中、p113
〜151, E.J.Robertson編、IRLプレス)RAG−2胚
盤胞内にヒトIg重鎖及び軽鎖遺伝子を含むESクロー
ンを注入し、偽妊娠の雌の子宮内にトランスファさせ
る、血清試料のELISA検定により、ヒト抗体の存在
について子孫をスクリーニングする。ヒトモノクローナ
ル抗体の免疫化及び産生のために陽性動物を使用する。
【0441】実施例31 この例は、スイッチ組換えを受けるB細胞の欠失へと導
くマウス重鎖遺伝子座内へのターゲティングされたフレ
ームシフト突然変異の、ES細胞内の相同組換えを介し
ての導入について記述する。フレームシフトされたマウ
スは、ヒト配列免疫グロブリンをコードするマウス以外
の(例えばヒトの)トランスジーンを宿すための適切な
宿主である。
【0442】新しいフレームシフトされたマウスは、な
かでも、重鎖トランスジーン(単複)及び/又は軽鎖ト
ランスジーンによりコードされる非マウス(例えばヒ
ト)配列免疫グロブリンを発現させるため、及び導入さ
れたトランスジーンからのクラススイッチされた親和力
が成熟したヒト配列抗体を発現するハイブリドーマの分
離のために使用可能である。4つのマウスJH遺伝子セ
グメントのうちの1つの中、そしてマウスμ遺伝子の第
1のエキソンの中に、フレームシフトを導入する。導入
された2つのフレームシフト突然変異は、互いに補償し
合い、かくして、機能的VDJ連結のためにB細胞がフ
レームシフトされたJHを使用するときの完全に機能的
なマウスμ重鎖の発現を可能にする。残りのJH遺伝子
内で補償されないμ内のフレームシフトのため、その他
の3つのJHセグメントのいずれも機能的VDJジョイ
ニングに使用することができない。代替的には、多数の
マウスJH遺伝子の中に、補償するフレームシフトを工
作することもできる。
【0443】補償されフレームシフトされた免疫グロブ
リン重鎖対立遺伝子に対し同型接合のマウスは、ほぼ生
理学的レベルの末梢B細胞及び、マウスとヒトのμを両
方共含むほぼ生理学的レベルの血清IgMを有する。し
かしながら胚中心内に動員されたB細胞は、頻繁に、非
μアイソタイプへのクラススイッチを受ける。内因性マ
ウスμ鎖を発現するB細胞内のこのようなクラススイッ
チは、残りの非μCH遺伝子が補償するフレームシフト
を有していないことから、補償されていないフレームシ
フトmRNAの発現を導く。結果として得られるB細胞
は、B細胞レセプタを発現せず、欠失される。従って、
マウス重鎖を発現するB細胞はそれらがアイソタイプス
イッチの起こる分化段階にひとたび達した時点で欠失さ
れる。しかしながら、アイソタイプスイッチの能力をも
ちかかるアイソタイプ制限フレームシフトを含まない、
非マウス(例えばヒト)トランスジーンによりコードさ
れる重鎖を発現するB細胞は、アイソタイプスイッチ及
び/又は親和力成熟などを含むさらなる発達の能力をも
つ。
【0444】従って、フレームシフトを受けたマウスは
マウス重鎖(μ)に関して二次応答が損なわれている
が、トランスジーンコードされた重鎖に関しては有意な
二次応答を有する。クラススイッチを受けることのでき
る重鎖トランスジーンがこの突然変異体バックグラウン
ド内に導入された場合、非−IgM二次応答は、B細胞
を発現するトランスジーンにより支配される。かくして
これらのフレームシフトされたマウスからハイブリドー
マを発現する親和力成熟したヒト配列免疫グロブリンを
分離することが可能である。さらに、フレームシフトさ
れたマウスは一般に、ヒト重鎖トランスジーンが可変領
域の制限された能力範囲しかコードできない場合に有利
でありうるマウスIgMの免疫防御レベルを有する。
【0445】ヒト配列モノクローナル抗体を分泌するハ
イブリドーマを作るために、トランスジェニック突然変
異体マウスを免疫化し、その脾臓を骨髄腫細胞系統と融
合させ、結果として得られたハイブリドーマを、トラン
スジーンでコードされたヒト非μアイソタイプの発現に
ついてスクリーニングする。さらに、フレームシフトし
たマウスは、シススイッチのための活性基質として役立
つ転写されたVDJに隣接した機能的μスイッチ配列を
含むことになり(Gu et al,(1993) Cell 73;1155)、
かくしてキメラヒト/マウス抗体を発現するトランスス
イッチされたB細胞レベルを低下させるため、JH欠失
したマウスに比べ有利でありうる。フレームシフトベクターの構築 2つの別々のフレームシフトベクターを構築する。これ
らのベクターのうちの1つは、マウスJ4遺伝子セグメ
ントの3′末端で2つのヌクレオチドを導入するのに用
いられ、もう1つのベクターは、マウスμ遺伝子のエキ
ソン1の5′末端からこれらの同じ2つのヌクレオチド
を欠失させるために用いられる。 1.JHベクター ホスホグリセリン酸キナーゼプロモータの制御下でヘル
ペスチミジンキナーゼ遺伝子及びネオマイシン耐性遺伝
子を含むプラスミドベクター内に、マウス重鎖J領域及
びμイントロンエンハンサーを網羅する3.4kbのXh
oI/EcoRIフラグメントをサブクローニングする
(tk/neoカセット、 Hasty et al., (1991) Natu
re 350 :243 )。次に以下のオリゴヌクレオチドプラ
イマーを用いて2つの異なるPCRフラグメントを生成
するための基質として、このクローンを使用する: o−A1 5′−cca cac tct gca tgc tgc aga agc tt
t tct gta −3′ o−A2 5′−ggt gac tga ggt acc ttg acc cca gt
a gtc cag −3′ o−A3 5′−ggt tac ctc agt cac cgt ctc ctc ag
a ggt aag aat ggc ctc−3′ o−A4 5′−agg ctc cac cag acc tct cta gac ag
c aac tac −3′ SphI及びKpnIで消化される1.2kbのフラグメ
ントを増幅するため、オリゴヌクレオチドo−A1及び
o−A2を使用する。KpnI及びXbaIで消化され
る0.6kbのフラグメントを増幅するため、オリゴヌク
レオチドo−A3及びo−A4を使用する。次にこれら
2つの消化されたフラグメントを、SphI/XbaI
で消化されたプラスミドAの中にクローニングし、プラ
スミドBを生成する。
【0446】プラスミドBは、J4の末端に2ヌクレオ
チド挿入を含み、さらに挿入の上流に新しいKpnI部
位を含む。挿入のための診断マーカーとして、KpnI
部位を使用する。相同組換え効率を増大させるため、プ
ラスミドの5′XhoI部位及び3′EcoRI部位の
中に、付加的フランキング配列をクローニングすること
ができる。その後、SphI又はインサート内に単一の
部位をもつもう1つの制限酵素で、結果として得られた
プラスミドを消化し、胚幹細胞へと電気穿孔させ、これ
らの細胞を次に、Hasty et al (1991)、前掲書中、によ
り記述されているとおりに、G418で選択させる。サ
ザンブロットハイブリダイゼーションにより相同組換え
体を同定し、次にHasty et al により記述されていると
おりにFIAUにより選択させて、2塩基対挿入とJH
4内の新たなKpnI部位のみを含む欠失されたサブク
ローンを得る。これらを、KpnI消化されたDNAの
サザンブロットハイブリダイゼーションにより同定し、
PCR増幅されたJH4 DNAのDNA配列分析によ
り確認する。
【0447】結果として得られたマウスは、突然変異さ
れていない配列:すなわち ...TGGGGTCAAGGA ACCTCAGTCACCGTCTCCTCAG gtaagaatggcctctcc... TrpGlyGlnGlyThrSerValThrValSerSerGlu から突然変異体配列すなわち、 ...TGGGGTCAAGGT ACCTCAGTCACCGTCTCCTCAGAGgtaagaatggcctctcc... TrpGlyGlnGlyThrSerValThrValSerSerGlu へと変換されたJH4セグメントを含む。μエキソン1ベクター JH4遺伝子セグメント内への2塩基対挿入を工作する
べく上述したものと類似のインビトロ突然変異誘発を用
いて、第1のμエキソンの5′末端で2塩基対欠失を含
むベクターを作り出すため、PCR産物及びゲノミック
サブクローンを組立てる。さらに突然変異をマーキング
するため、AをGに変更することにより新しいXmnI
部位も下流に導入する。
【0448】突然変異を受けていないμ遺伝子の配列は
以下のとおりである: ...ctggtcctcagAGAGTCAGTCCTTCCCA AATGTCTTCCCCCTCGTC... GluSerGlnSerPheProAsnValPheProLeuVal 突然変異を受けたμ遺伝子の配列は以下のとおりであ
る。 XmnI ...ctggtcctcag AGTCAGTCCTTCCCG AATGTCTTCCCCCTCGTC... SerGlnSerPheProAsnValPheProLeuVal 突然変異体配列を含む相同組換えベクターを、JH4挿
入を含むES細胞系統へと線形化させ電気穿孔させる。
ネオマイシン耐性クローンから相同組換え体を同定す
る。JH挿入と同じ染色体上のフレームシフト挿入を含
むこれらの相同組換え体を、KpnI/BamHIで消
化されたDNAのサザンブロットハイブリダイゼーショ
ンにより同定する。野生型11.3kbから突然変異体9
kbまでのKpnI/BamHIを含むJ−μイントロン
のサイズを減少させる新しいKpnI部位とJH4挿入
を結びつける。次に、FIAUを用いて、挿入されたt
k/neoカセットの欠失のために、結果として得られ
たクローンを選択する。突然変異体μエキソンを含むク
ローンを、XmnIで消化されたDNAのサザンブロッ
トハイブリダイゼーションにより同定する。突然変異
は、PCR増幅されたμエキソン1DNAのDNA配列
分析により確認される。フレームシフトされたマウスの生成 次に、JH4内の2塩基対挿入及びμエキソン1内の2
塩基対欠失の両方を含むES細胞系統を、キメラを生成
するべく偽妊娠の雌の体内に挿入される胚盤胞段階の胚
の中に導入する。キメラ動物を繁殖させて生殖細胞系列
の伝播を得、結果として得られた動物を同型接合まで繁
殖させて、補償されたフレームシフトされた重鎖遺伝子
座に対し同型接合でかつマウス重鎖を発現するB細胞内
の二次体液性免疫応答が損なわれている突然変異体動物
を得る。
【0449】例えばpHC1又はpHC2といったヒト
重鎖トランスジーンを、フレームシフトされたマウスI
gH遺伝子座をもつマウスの中にかかるヒトトランスジ
ーンを宿すマウスを交雑育種することによってマウス重
鎖フレームシフトバックグラウンドへと繁殖させること
ができる。同系交配及び戻し交配を介して、μ補償され
フレームシフトされたマウスIgH対立遺伝子に対して
マウスIgH遺伝子座で同型接合で(すなわちマウスの
非μ鎖ではなくμ鎖のみの補償された枠内発現をするこ
とのできる)しかも機能的ヒト重鎖トランスジーン(例
えばpHC1又はpHC2)の少なくとも1つの組込み
コピーを宿すマウスを産生させる。かかるマウスは任意
には、上述のとおりの内因性マウスκ及び/又はλ遺伝
子のノックアウトを内含していてよく、又任意には、ヒ
ト又はその他の非マウス軽鎖トランスジーン(例、pK
C1e,pKC2など)を含む可能性がある。
【0450】代替的には、トランスジーン恒常領域遺伝
子(単複)内のフレームシフトにより補償されるフレー
ムシフトがトランスジーンJ遺伝子(単複)に含まれる
ように、ヒトトランスジーン(単複)(重鎖及び/又は
軽鎖)には補償フレームシャフトが含まれていてもよ
い、内因性恒常領域遺伝子に対するトランススイッチ
は、補償されず、切形の又はナンセンス産生を産生す
る;かかる補償されていないトランススイッチされた免
疫グロブリンを発現するB細胞に対し選択を行ない、こ
れを枯渇させる。
【0451】実施例32 D領域切除による内因性重鎖の失活 この例は、マウス生殖細胞系統免疫グロブリン重鎖D領
域を非機能的な再配置されたVDJセグメントで置換す
るための正−負選択相同組換えベクターについて記述す
る。結果として得られる対立遺伝子は、対立遺伝子内重
鎖クラススイッチを受けかくしてトランススイッチレベ
ルを活性トランスジーン遺伝子座まで減少させている状
態で、正常な非産生的対立遺伝子としてB細胞内で機能
する。D領域ターゲティング構成体 マウスD領域の上流にある8〜15kbのDNAフラグメ
ントを、Gen BankにリストアップされたDFL16.1
セグメントに対する公表済み配列の約50の連続したヌ
クレオチドを含むオリゴヌクレオチドプローブを用い
て、マウス系129ファージライブラリから分離し、サ
ブクローニングする。DFL16.1は、上流Dセグメ
ント(すなわち、V領域遺伝子クラスターに近位で、恒
常領域遺伝子クラスタに遠位のもの)である。
【0452】同様に、JH3,JH4,Eμ,Sμ及び
μ恒常領域の最初の2つのコーティングエキソンを含む
9.5kbのBamHIフラグメントを、マウス系129
ゲノミックファージライブラリーから分離しサブクロー
ニングする。次にマウスハイブリドーマ(あらゆる系)
から5〜10kbの再配置されたVDJを分離し、停止コ
ドンを含む合成リンカーをJセグメント内に挿入する。
V置換再配置が可能であるため、枠外VDJ連結よりも
Jの内部の停止リンカーが好まれる。
【0453】これら3つのフラグメントをPGKneo
正の選択カセット及びPGKHSVtk負の選択カセッ
トと合わせて組立てて、相同組換えにより129−誘導
ES細胞(例えばAB1)内のマウスD領域を削除する
ための正−負選択ベクターを形成する。ターゲティング
ベクターは、それ自体9.5kbのBamHIフラグメン
トに連結される再配置された5〜10kbの再配置済みV
DJにそれ自体連結されている正の選択カセット(例え
ばPGKneo)に8〜15kbのDNAフラグメントを
連結させることによって形成される。次に、ターゲティ
ング構成体のいずれかの端部で負の選択カセット(例え
ばPGKHSVtk)を連結させる。かかるD領域ター
ゲティングベクターの構成は、図73に概略的に示され
ている。
【0454】D領域ターゲティング構成体を、AB1
ES細胞内にトランスファし、正及び負の選択を上述の
とおりに行ない、適正にターゲティングされたES細胞
をクローニングする。胚盤胞注入のために、適正にター
ゲティングされたES細胞クローンを使用し、キメラマ
ウスを産生する。D領域失活された重鎖対立遺伝子を宿
す創立者マウスを産生するため、キメラマウスを繁殖さ
せる。機能的内因性重鎖遺伝子座が欠如した同型接合体
を産生するため、子孫の同系交配を行なう。
【0455】このような同型接合体を用いて、ヒトIg
トランスジーン(例えばpHC1,pHC2,pKC
2,pKC1e,KCo4)を宿すマウスまで交雑育種
し、(さらに、機能的D領域が欠如した同型接合体まで
もどし交配することにより)、機能的内因性重鎖遺伝子
座が欠如しかつヒト重(鎖)トランスジーン(そして好
ましくはヒト軽鎖トランスジーンも)を宿すマウスを生
み出す。
【0456】いくつかの機能的内因性軽鎖遺伝子座(例
えばλ遺伝子座)が残る実施態様においては、一般に、
トランスジーンがヒト軽鎖(例えばκ)ポリペプチドの
高レベル発現を誘導する転写制御配列を含み、かくして
トランスジーンの遺伝子座が残りの内因性軽鎖(例えば
λ)遺伝子座と有効に競合できるようにすることが好ま
しい。例えば、Co4カッパ軽鎖トランスジーンは、ト
ランスジェニック動物内の内因性λ遺伝子座と有効に競
合する能力に関してpKC1に比べ一般に好まれてい
る。
【0457】実施例33 この例は、ヒトVκ遺伝子座の一部分を含む酵母人工染
色体とヒトκ軽鎖ミニ遺伝子座の同時注入によるヒト軽
鎖トランスジーンV遺伝子の能力範囲の拡張について記
述する。Vκ含有YAC DNAとκミニ遺伝子座の同時注入に
よる機能的ヒト軽鎖Vセグメントの導入 一般に入手可能なICRF YACライブラリーのクロ
ーン4×17E1から、増幅されていないYAC DN
Aとして、ヒトVκ遺伝子座の一部を含む約450kbの
YACクローンを得た(Larin et al. (1991) Proc.Nat
l.Acad.Sci(U.S.A.) 88:4123;Imperial Cancer Rese
arch Fund 、ゲノム分析研究所、ロンドン, UK)。メー
カーの仕様に従って標準的なパルフフィールドゲル電気
泳動法により、予め増幅することなく、450kbのYA
Cクローンを分離した(CHEFDR−II、電気泳動セ
ル、Bio-Rad Laboratories, Richmond, CA)。臭化エチ
ジウムを用いて6つの個別のパルスフィールドゲルを染
色し、YACクローンDNAを含むゲル材料をゲルから
切除し、次に三角形のゲルトレイ内に流し込まれた新し
い(標準ゲル緩衝液中の低融点アガロース)ゲル内にこ
れを埋込む。標準電気泳動緩衝液に加えて2MのNaO
Acを伴う狭いアガロースゲルを用いて頂点において、
結果として得られた三角形のゲル(6つの切除されたY
AC含有ゲルブロックを内含する)を伸展させた。次に
ゲルを、標準ゲル緩衝液中に浸漬された電気泳動チャン
バ内に入れた。
【0458】Y形状のゲルフォーマは、電流(流動?)
が狭く高いソルトゲル部分までだけ流れるように、緩衝
液の表面より上に立上っている。緩衝液内へのNaOA
cの拡散を防ぐため、高ソルトゲル切片全体にわたり、
アクリルのブロックを置いた。次に、YAC DNAを
切片化された(埋込まれた)もとの切除ゲルから狭い高
ソルトゲル部分内へと電気泳動させた。低ソルトゲルか
ら高ソルトゲルへの遷移の時点で、三角形のゲルの頂点
でDNAの移動を有効に停止させる抵抗の低下が存在す
る。
【0459】電気泳動及び臭化エチジウムでの染色の
後、濃縮したYAC DNAを残りのゲルから切り離
し、アガロースをGELase(Epi Centre Technolog
ies, Madison, Wisconsin )で消化した。次に、結果と
して得られたYAC含有液体に塩化セシウムを付加し、
1.68g/mlの密度を得た。この溶液を36時間37
000rpm で遠心分離し、あらゆる汚染物質からYAC
DNAを分離した。結果として得られた密度勾配の
0.5ml分画を分離し、5mMのTris(pH7.4)、
5mMのNaCl、0.1MのEDTAに対してピークD
NA分画を透析した。
【0460】透析の後、結果として得られたYAC D
NAの0.65ml溶液の濃縮は、2μg/mlのDNAを
含んでいることがわかった。このYAC DNAを、2
0:1:1(マイクログラムYAC4×17E1:KC
1B:KV4)の比率で、プラスミドpKC1B及びp
KV4からの精製されたDNAインサートと混合した。
半日のB6CBF2の胚の前核の中に、結果として得ら
れた2μg/mlの溶液を注入し、95の存続する微量注
入された胚を偽妊娠の雌の卵管内に移送した。微量注入
された胚から発達した12匹のマウスが生まれた。
【0461】実施例34 この例は、失活した内因性免疫グロブリン遺伝子座に対
して同型接合でありかつHC1又はHC2重鎖トランス
ジーンを含む免疫化したトランスジェニックマウスの中
でのクラススイッチ、体細胞突然変異及びB細胞発達に
ついて記述する。
【0462】ヒト配列生殖細胞系統配置ミニ遺伝子座が
真正遺伝子座と置換できることを実証するために、我々
は、ヒト生殖細胞系統−配置IgHトランスジーンを含
む系を用いて、内因性IgHが欠如したマウス系を繁殖
させた。2つのトランスジーンミニ遺伝子座HC1及び
HC2は、それぞれ1つ及び4つの機能可変(V)セグ
メント、10及び16の多様性(D)セグメント、6つ
のジョイニング(JH)セグメント全て、及び両方のμ
及びγ1恒常領域セグメントを含む。ミニ遺伝子座は、
コーディングセグメントに密に連鎖されている--JH−
μイントロンエンハンサー及びμ及びγ1スイッチ配列
といった--ヒトシス作用性調節配列を含む。
【0463】これらは同様に、ラットIgH遺伝子座の
3′末端から誘導された付加的なエンハンサー要素も含
んでいる。我々は、HC1及びHC2トランスジェニッ
クマウスを、記述のとおり(前出)JHセグメント(J
HDマウス)が欠如し従って機能的重鎖再配置を受ける
ことのできない幹細胞由来の突然変異マウスと交配させ
た。結果として得られたトランスジェニック−JHDマ
ウスは、導入された重鎖配列に依存するB細胞を含んで
いる。免疫化及びハイブリドーマ 我々は、50〜100μgの抗原の腹腔内注入によりマ
ウスを免疫化した。抗原には、ヒトのガン胎児性抗原
(CEA;Crystal Chem, Chicago, IL )、ニワトリ卵
白リゾチーム(HEL;Pierce, Rockford, IL)及びキ
ーホールリンペットヘモシアニン(KLH;Pierce, Ro
ckford, IL)が含まれていた。一次注入のために、我々
は抗原を完全フロイントアジュバントと混合し、その後
の注入については不完全フロイントアジュバント(Gibc
o BRL, Gaithersburg, MD )を用いた。脾細胞を、非分
泌性マウス骨髄腫P3X63−Ag8.653(ATCC,
CRL1580 )と融合させた。
【0464】我々は、ELISAにより、ヒト重鎖配列
を含む特異的及び非特異的抗体の存在について血清試料
及びハイブリドーマ上清を検定した。非特異的抗体の検
出のために、我々は、ヒト重鎖アイソタイプ特異的抗体
(マウスMAbαヒトIgG1、クローンHP606
9、Cal bio chem, La Jolla, CA;マウスMAbαヒト
IgM、クローンCH6、The Binding Site, Birmingh
am, UK)でマイクロタイターウエルをコーティングし、
ペルオキシダーゼ接合抗血清(ポリクローナルヤギαヒ
トIgG(fc)からのホースラディッシュペルオキシ
ダーゼ接合の親和性精製されたfabフラグメント、c
at #109−036−098;親和性精製されたホ
ースラディッシュペルオキシダーゼ接合されたポリクロ
ーナルウサギαヒトIgM(fc),cat #309
−035−095。
【0465】Jackson Immuno Research, West Grove, P
A )を用いて発達させた。抗原特異的抗体の検出のた
め、我々はマイクロタイターウエルを抗原でコーティン
グし、ペルオキシダーゼ接合されたヒト重鎖アイソタイ
プ特異血清を用いて発達させた。我々は、過酸化水素及
び2,2′−アジノ−ビス−(3−エチルベンズチアゾ
リン−b−スルフォン酸、Sigma Chem.Co., St.Louis,
Mo)でのインキュベーションにより、結合ペルオキシダ
ーゼを検出した。反応産物を415nmで吸収により測定
し、490nmでの吸収について補正する。フローサイトメトリー 我々は、脾臓、骨髄及び腹腔から単細胞懸濁液を調製
し、 Mishell及びShiigiにより記述されているとおりに
NH4 Clで赤血球を溶解した。次の試薬でリンパ球を
染色した:すなわち、フィコエリトリン接合された抗マ
ウスIgκ(クローンX36;Becton Dickinson, San
Joss. CA),FITC接合された抗マウスIgD(クロ
ーンSBA1,Southern Biotech, AL),FITC接合
された抗マウスCD5(クローン53−7.3;Becton
Dickinson, San Jose. CA),FITC接合された抗マ
ウスIgλ(クローンR26−46);Pharmingen, Sa
n Diego, CA )及びCy−クロム接合された抗マウスB
220(クローンRA3−6B2;Pharmingen, San Di
ego, CA )、我々はFACScanクローン血球計算器
及びLYSISIIソフトウェア(Becton Dickinson, Sa
n Jose. CA)を用いて染色した細胞を分析した。前方及
び側方散乱器上でのゲーティングにより、大部分のマク
ロファージ、好中球及び残留赤血球を排除する。B細胞区画の救助 HC1トランスジェニック−JHD動物の腹腔内では、
CD5+B細胞の正常レベル及び従来のCD5-B細胞の正
常レベルの約4分の1が見られる。トランスジェニック
腹腔CD5+ B細胞は、正常な動物内での記述されたい
わゆるB−1細胞に類似している:すなわち、これらは
従来のB及びTリンパ球よりも大きく、脾臓内で見られ
る従来のB細胞よりも低いレベルのB220を発現し、
より高い割合のλ軽鎖発現細胞を含んでいる。脾臓B細
胞の90%以上がκを発現し、一方最高50%の腹腔B
細胞がλを発現する。かくして、従来のB細胞のレベル
は全ての組織内で均等に減少している一方で、自己更新
の能力がはるかに大きいものとして報告されているB−
1のレベルは、HC1トランスジェニック−JHD動物
において正常であると思われる。クラススイッチ トランスジェニック−JHDマウスにおいては、抗原に
対して反復的に露呈することにより、ヒトγ1抗体なら
びにμ抗体が結果として産生される。我々は、一週間の
間隔でトランスジェニック−JHDマウス内にヒトCE
Aを注入し、4週間にわたり抗原特異的IgM及びIg
G1の血清レベルを監視した(図74)。1週間目に、
検出可能なIgM応答があるがIgG1応答は全く無
い。しかしながらIgG1応答は2週間後IgM応答よ
りも大きく、IgM応答が比較的恒常な状態にとどまっ
ているのに対して増大し続けている。このパターン、す
なわち初期のIgM応答とそれに続くIgG反応は、二
次免疫応答に典型的なものであり、これは、トランスジ
ーン内に内含されているシス作用性配列が、クラススイ
ッチを導くサイトカインに対し応答しているかもしれな
いということを示唆している。我々は、各々文献中で論
述されてきた非μアイソタイプの発現について考えられ
る3つのメカニズムを考慮した。これらのメカニズムと
はすなわち、μ遺伝子の欠失が関与しない交互のスプラ
イシング;フランキング反復配列間の相同組換えを介し
てのμ遺伝子の欠失が関与した「δ−型」スイッチ;そ
してスイッチ領域間の非相同組換えである。以下で記述
する我々の実験の結果はスイッチ領域組換えモデルを表
わしている。
【0466】アイソタイプシフトを説明するのに2つの
タイプの非欠失性交互スプライシングメカニズムを喚起
することができる。第1に、μ及びγ1の両方をカバー
する単一の写しをトランスジーンから発現させることが
可能である;この写しは抗原に対する露出により誘発さ
れたサイトカインに応答して交互にスプライシングさせ
ることができた。代替的には、サイトカイン誘発された
γ1の上流で開始する不稔写しを、μ写しにトランスス
プライシングさせることができた。これらのメカニズム
のうちのいずれかがヒトγ1配列の発現の原因であった
ならば、μ及びγ1の両方を発現するハイブリドーマを
分離できるということを期待したであろう。しかしなが
ら、ヒトμ又はヒトγ1のいずれかを発現する数百のハ
イブリドーマをスクリーニングしてきたものの、かかる
二重産生者(μ+ ,γ1+ )ハイブリドーマは全く発見
されなかった。このことは、γ1の発現にμ遺伝子の欠
失が伴っていることを表わしている。
【0467】μ遺伝子の欠失は、μとγ1スイッチ領域
の間の非相同組換えによって、又はHC1及びHC2ト
ランスジーン内に含まれている2つのフランキングする
400bpの直接反復(σμ及びΣμ)の間の相同組換え
によって媒介されうる。σμ及びΣμの間の欠失組換え
は、いくつかのヒトB細胞のIgD+ ,IgM- 表現型
の原因であることが報告されてきた。第1のメカニズム
すなわち非相同スイッチ組換えは可変的な長さのスイッ
チ産物を産生するはずであるが、一方第2のメカニズム
すなわちσμ/Σμ組換えはつねに同じ産物を生成する
はずである。我々は、μを発現するもの1つとγ1を発
現するもの2つの計3つのハイブリドーマ(図75)か
ら分離したゲノミックDNAのサザンブロット分析を行
なった。γ1スイッチ領域のうち2つの中にのみトラン
スジーンγ1の上流にゲノミック再配置が発見される
(図76)。さらに、観察した構造のうちいずれもσμ
とΣμの間の相同組換えと両立性がない。従って、我々
の結果は、トランスジーンでコードされたμ及びγ1の
スイッチ領域の間での欠失性非相同組換えによって媒介
されるγ1アイソタイプ発現のためのモデルと一貫性を
有する。トランススイッチ ヒトγ1に加えて、HC1及びHC2トランスジェニッ
ク−JHDマウスの血清中にマウスγが見い出される。
これらの動物から、マウスγ発現ハイブリドーマも得ら
れた。非トランスジェニック同型接合JHD動物は、検
出可能なレベルのマウス免疫グロブリンを発現しないこ
とから、HC1及びHC2トランスジェニック−JHD
動物内のマウスγの発現は、トランススイッチ現象のせ
いであると思われる。我々が分析したトランスジェニッ
ク・ハイブリドーマの全ては、マウス又はヒトのいずれ
かの恒常領域配列を発現するものの両方を発現すること
はない。従ってトランススプライシングメカニズムが関
与する可能性は低い。トランススイッチ産物のcDNA
クローンを分離するためのPCR増幅を用い、結果とし
て得られるクローンのうちの10個のヌクレオチド配列
を決定した(図77)。PCR増幅中の5′オリゴヌク
レオチドはトランスジーンコードされたVH251に特
異的であり、3′オリゴヌクレオチドはマウスγ1,γ
2b及びγ3配列に特異的である。これら3つのマウス
恒常領域の全てを取込んだトランススイッチ産物の例が
見られる。体細胞突然変異 図7に示されているトランススイッチ産物の可変領域内
のヌクレオチドの約1%が、生殖細胞系統コーディング
を受けていない。これはおそらく、体細胞突然変異のせ
いであると思われる。突然変異を受けた配列は内因性遺
伝子座にトランスロケートされていたため、これらの突
然変異を導くシス作用性配列は、マウスγスイッチから
3′のどこにでも位置設定することができた。しかしな
がら以下で論述するとおり、かかるトランスロケーショ
ンを受けなかったVDJセグメント内の体細胞突然変異
も観察される。そしてこの結果は、重鎖体細胞突然変異
が必要とする配列がトランスジーン内に内含されている
ということを表わしている。
【0468】HC1及びHC2構成体が、トランスジェ
ニック−JHDマウス内で体細胞突然変異が起こるのに
充分なシス作用性配列を含んでいるか否かを決定するた
め、我々は、2つの独立したHC1トランスジェニック
系統そして1つのHC2系統から誘導されたcDNAク
ローンを分離し部分的に配列決定した。トランスジェニ
ック−JHDマウスからのγ1写しのいくつかが、広範
な体細胞突然変異を伴うV領域を含んでいることがわか
る。これらの突然変異を受けた写しの頻度は、免疫化の
反復に伴って増大するように思われる。図78及び79
は、2組のcDNA配列を示す:すなわち1組は、RN
Aを分離する5日前に抗原の一回の注入で免疫化したH
C1(系統26)トランスジェニック−JHDマウスか
ら誘導体されている;
【0469】第2の組は、RNAを分離する5カ月前か
ら始めて異なる日に3回抗原を注入することによって高
度免疫させたHC1(系統26)トランスジェニック−
JHDマウスから誘導されている;第2の組は、RNA
を分離する5カ月前から始めて異なる日に3回抗原を注
入することによって高度免疫させたHC1(系統26)
トランスジェニック−JHDマウスから誘導されている
(原文重複)。露呈後5日目から13のV領域のうちわ
ずか2つだけがいずれかの生殖細胞系統コーディングを
受けていないヌクレオチドを含んでいる。これらのVの
各々は単一のヌクレオチド変更しか含まず、この試料に
ついて0.1%未満の全体的体細胞突然変異頻度を与え
ている。これとは対照的に、高度免疫された動物からの
13のV配列のいずれも完全に生殖細胞系統ではなく、
全体的体細胞突然変異頻度は1.6%である。
【0470】単一の組織試料から分離されたμ及びγ1
写しの比較は、体細胞突然変異の頻度がクラススイッチ
を受けたトランスジーンコピーの場合よりも高いという
ことを示している。我々は高度免疫したCH1系統57
トランスジェニック−JHDマウスからの47の独立し
たμ及びγ1cDNAクローンを分離し、部分的に配列
決定した(図80及び81)。μcDNAクローンのほ
とんどは、生殖細胞系統配列との関係において修正され
ておらず、一方γ1クローンの半数以上は、多数の生殖
細胞系統コーディングを受けていないヌクレオチドを含
んでいる。γ1発現細胞は、μ発現細胞とは全く異な
り、2つのプロセスは必ずしも連関されていないもの
の、クラススイッチと体細胞突然変異は、B細胞の同じ
副次集団内で起こっている。
【0471】高度免疫を受けていないCH1トランスジ
ェニックマウス内にVH251遺伝子の広範な体細胞突
然変異は見られないが、特定の実験を受けていないHC
2トランスジェニックマウスにおいてはVH56p1及
びVH51p1遺伝子の中で著しい体細胞突然変異が発
見された。生後9週間の免疫化を受けていない雌のHC
2トランスジェニック動物から脾臓及びリンパ節RNA
を分離した。我々は、V及びγ1特異的プライマを用い
てHC2トランスジーン内の4つのV領域の各々を取込
むγ1写しを個別に増幅した。特異的PCR産物の各々
の相対的収量はVH56p1≫VH51p1>VH4.
21>VH251であった。この技術は厳密に定量的で
はないものの、HC2マウス内でのVセグメントの使用
における偏りを表わす可能性がある。
【0472】図82は、4つのV特異的プライマ全ての
等モル混合物を用いたPCR増幅から誘導された、無作
為にとり上げた23個のγ1cDNA配列を示してい
る。ここでも又、VH56p1(19/23クローン)
に向かっての偏りが見られる。さらに、VH56p1配
列は、V遺伝子セグメント内で2.1%の全体的頻度
で、著しい体細胞突然変異を示している。CDR3配列
を検査すると、19のうち17の個別のVH56p1ク
ローンが固有のものであるけれども、それらがわずか7
つの異なるVDJ組換え事象のみから誘導されている、
ということがわかる。従って、特定の実験を受けていな
い動物において、恐らくは内因性病原体又は自己抗原に
よりVH56p1発現B細胞が選択されるように思われ
る。この同じ遺伝子がヒトの胎児能力範囲内で過剰表示
されることが適切である可能性がある。
【0473】要約 上流シス作用性配列は、個々のスイッチ領域の機能性を
規定し、クラススイッチには必要なものである。HC1
トランスジーン内のクラススイッチが二次応答に関与す
る細胞に大幅に制限されており、全B細胞集団を横切っ
て無作為に発生しないという我々の観察は、トランスジ
ーンと共に内含される最低限の配列が充分なものである
ということを示唆している。この構成体の中に内含され
るγ配列は、γ1不稔写しの開始部位の上流わずか11
6個のヌクレオチドのところで始まっていることから、
スイッチ調節領域はち密なものである。
【0474】我々の結果から、これらの重要なシス作用
性調節要素が個々のγ遺伝子に密に連鎖されているか又
はHC1及びHC2トランスジーン内に含まれている
3′重鎖エンハンサーと結びつけられているかであると
いうことが立証される。HC1及びHC2インサート
は、体細胞突然変異を受けている可能性の高い配列に対
するマーカーとして役立ちうるトランスジーン自律性ク
ラススイッチを受けていることから、我々は内因性遺伝
子座へのトランスロケーションに由来したものでない高
度に突然変異を受けた写しを容易に見い出すことができ
た。我々は、3つの独立したトランスジェニック系統
(2つのHC1系統及び1つのHC2系統)の中に体細
胞突然変異を受けたγ写しを見い出した。従って、トラ
ンスジーンの組込み部位にフランキングする配列がこの
プロセスに影響を及ぼすという可能性は低い:その代
り、トランスジーン配列は、体細胞突然変異を導くのに
充分なものである。
【0475】実施例35 この実施例は、失活した内因性免疫グロブリン遺伝子座
について同型接合であり、ヒト配列重鎖及びヒト配列軽
鎖をコードするトランスジーン配列を含むマウスからの
ハイブリドーマの生成について記述する。ここで記述さ
れるハイブリドーマは、ヒト配列重鎖及びヒト配列軽鎖
を含むモノクローナル抗体を分泌し、T細胞上で発現さ
れる予め定められた抗原に結合する。この実施例は同様
に、ヒト由来の免疫原ヒトCD4に応えてヒト配列抗体
を作るマウスの能力、及びヒト抗原と反応性あるヒト配
列モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作る
ための供給源としてのかかるマウスの適性をも立証す
る。 A.ヒトCD4抗原で免疫化されたHC1トランスジェ
ニックマウスから誘導されたヒトIgモノクローナル抗
体の生成 機能的に分断されたJH 遺伝子座について同型接合でし
かも、ヒト配列重鎖をコードするべく再配置可能なトラ
ンスジーン及びヒト配列軽鎖をコードするべく再配列可
能なトランスジーンを宿すトランスジェニックマウスを
免疫化した。マウスの遺伝子型はHC1−26+ KCl
e−1536+ H +/+ K - であり、これはマウ
ス重鎖失活に対する同型接合、及びHC1ヒト配列重鎖
トランスジーン及びKCleヒト配列軽鎖トランスジー
ン生殖細胞系統コピーの存在を表わしていた。
【0476】マウスを、安定した形でトランスフェクシ
ョンされたポリヌクレオチドによりコードされたマウス
−ヒトハイブリッドCD4分子を発現するEL4細胞系
統(ATCC)の変異体で免疫化した。発現されたCD
4分子は、実質的にヒト様のCD4配列を含む。100
μlの完全フロイントアジュバント(CFA)を伴う1
00μlのPBSの中の約5×106 の細胞を、0日目
に腹腔内注入を介してマウス体内に導入した。7日目、
14日目、21日目、28日目、60日目及び77日目
に接種をくり返し行ない、18日目、35日目及び67
日目にテスト出血を行なった。81日目に脾臓を除去
し、標準的な方法(PEG融合)により約1.2×10
7 の融合パートナー細胞(P3×63Ag8.653細
胞系統:ATCC)に対して約7.2×107 の脾細胞
を融合させ、RPMI1640 15%FCS,4mMグ
ルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウムにHAT及びP
SN培地を加えたものの中で培養させた。多数の融合を
実施した。
【0477】ハイブリドーマを成長させ、CHO細胞内
で発現された精製組換え型可溶性ヒト配列CD4(Amer
ican Bio-Technologies, Inc.(ABT), Cambridge, MA )
及び/又はNEN-DuPontから得られるCD4といった市販
の供給源に対する結合力について、ELISAを用いて
上清をテストした。ABT試料は、ヒトCD4のV1
3 ドメインから成る精製された55kDのヒトCD4分
子を含んでいた。検定プレートに対して、組換え型ヒト
配列CD4(CHO−K1細胞内で産生されたもの)を
吸着させ、ハイブリドーマ上清からの抗体を捕獲するの
に用い、次に捕獲した抗体を、ヒトμ、ヒトκ、ヒト
γ、マウスμ又はマウスκのいずれかを結合する抗体の
パネルに対する結合力について評価した。
【0478】1つのハイブリドーマを、1F2と呼ばれ
るその培養プレートウエルからサブクローニングした。
ABT CD4調製物に対して結合された1F2抗体
は、ヒトμ及びヒトκについて陽性であり、ヒトγ、マ
ウスγ及びマウスκについて陰性であった。 B.ヒトCD4及びヒトIgEで免疫化されたHC2ト
ランスジェニックマウスから誘導されたヒトIgモノク
ローナル抗体の生成 重鎖トランスジーンHC2は図78,79に示され、上
で記述したきた(実施例34参照)。
【0479】図68に記されているヒト軽鎖トランスジ
ーンKCo4は、マウスゲノム内の単一部位での2つの
個別にクローニングされたDNAフラグメントの同時組
込みにより生成される。フラグメントは4つの機能的V
K セグメント、5Jセグメント、CK エキソンそしてイ
ントロン及び下流の両方のエンハンサー要素を含んでい
る(実施例21参照)(Meyer及びNeuberger (1989), EM
BO J. 8:1959-1964; Judde及びMax (1992), Mol.Cel
l Biol. 12:5206-5216 )。2つのフラグメントは共
通の3kb配列を共有していることから(図67参照)、
これらは、重複する配列の間の相同組換えの後、隣接す
る43kbのトランスジーンとしてゲノミックDNAの中
に潜在的に組込まれうる。
【0480】かかる組換え事象は、重複するDNAフラ
グメントの微量注入の時点で頻繁に発生することが立証
されてきた(Pieper et al.(1992), Nucleic Acids Re
s.20:1259-1264 )。同時注入されたDNAは同様に接
合体内に同時組込みされる傾向をもち、個々にクローニ
ングされたフラグメント内に含まれた配列は、その後B
細胞の発達中DNA再配置により連結されることにな
る。表11は、トランスジェニック系統のうち少なくと
も2つからのトランスジーンインサートが機能的である
ことを示す。4つのトランスジーンコーディングを受け
たVセグメントの各々及び5Jセグメントの各々を取込
んだVJ連結の例が、この36クローンの組の中に表わ
されている。
【0481】
【表6】
【0482】上記の表はKCo4トランスジェニックマ
ウスにおけるヒト軽鎖V及びJセグメントの使用を示
す。この表は、示されたヒトカッパー配列を含有する、
2つのトランスジェニック系に由来するcDNAから増
幅されたPCRクローンの数を示す。w個々のKCo4
トランスジェニックマウス(マウス#8490、3m
o.、雄性KCo4系4437;マウス#8867、
2.5mo.、雌性、KCo4系4436)から単離さ
れた脾臓RNAを用いてcDNAを合成した。Ck特異
的オリゴヌクレオチド5′TAG AAG GAA TTC AGC AGG CA
C ACA ACA GAG GCA GTT CCA 3′、並びに2つのVk特
異的オリゴヌクレオチド5′AGC TTC TCG AGCTCC TGC T
GC TCT GTT TCC CAG GTG CC3′及び5′CAG CTT CTC G
AG CTC CTG CTA CTC TGG CTC (C,A)CA GAT ACC 3′の
1:3混合物を用いてPCRによりcDNAを増幅し
た。このPCR生成物をXhoI及びEcoRIにより
消化し、そしてプラスミドベクター中にクローニングし
た。各動物からの無作為にとり上げた18個のクローン
につき、ジデオキシチェンターミネージョン法により部
分ヌクレオチド配列を決定した。各クローンの配列を未
組換え(unrearranged)トランスジーンのジャームライ
ン配列と比較した。
【0483】23の軽鎖ミニ遺伝子座陽性及び18の重
鎖陽性マウスが、注射した胚から発達した。機能的マウ
ス重鎖及びκ軽鎖遺伝子座が無い状態でヒト重鎖及びκ
軽鎖を含むマウスを得るため、内因性マウス重鎖(系J
HD)及びκ軽鎖遺伝子座(系JCKD)の中にターゲ
ティングされた突然変異を含むマウスを用いて、これら
のマウス及びその後代を繁殖させた。これらのマウスは
λB細胞のみを含んでいる。
【0484】表7は、体細胞突然変異がトランスジェニ
ックマウスのトランスジーンコーディングを受けたヒト
重鎖写しの可変領域の中で発生することを示している。
HC2トランスジェニックマウスからの23のcDNA
クローンを部分的に配列決定して可変領域内の生殖細胞
系統コーディングされていないヌクレオチドの頻度を決
定した。データには各クローンからのVセグメントコド
ン17〜94の配列のみが含まれており、N領域は含ま
れていない。RNAは、マウス5250の脾臓及びリン
パ節から分離した(HC2系統2550半接合、JHD
同型接合)、記述されているとおり(参考)一本鎖cD
NAを合成し、γ写しをPCRで増幅した。増幅したc
DNAをプラスミドベクターにクローニングし、ジデオ
キシ読み終り方法により23の無作為にとり上げたクロ
ーンを部分的に配列決定した。PCR導入されたヌクレ
オチド変更の頻度は、恒常領域配列から<0.2%とし
て見積られる。
【0485】
【表7】
【0486】フローサイトメトリー 我々は、FACScanフロー血球計算器及びLYSI
SIIソフトウェア(Becton Dickinson, San Jose. CA)
を用いて染色した細胞を分析した。以下の試薬を用いて
脾細胞を染色した;ヨウ化プロビシウム(分子プロー
ブ、Eugene, OR)、フィコエリトリン接合されたα−ヒ
トIgκ(クローンHP6062;Caltag, S.San Fran
cisco, CA )、フィコエリトリン接合されたα−マウス
Igκ(クローンX36;Becton Dickinson, San Jos
e. CA)、FITC接合されたα−マウスIgλ(クロ
ーンR26−46;Pharmingen, San diego, CA )、F
ITC接合されたα−マウスIgμ(クローンR6−6
0.2;Pharmingen, San diego, CA )、FITC接合
されたα−ヒトIgμ(クローンG20−127;Phar
mingen, San Diego, CA )、及びCy−クロム接合され
た抗−マウスB220(クローンRA3−6B2;Phar
mingen, San Diego, CA )。ヒトIgトランスジーンの発現 図83は、JHD及びJCKDの両方の突然変異につい
て同型接合であるKCo4及びHC2マウスからの脾細
胞のフロー血球計算法による分析を示す。ヒト配列HC
2トランスジーンは、JHD突然変異バックグラウンド
内でのB細胞の発達を救助し、脾臓内のB220+ 細胞
の相対的数を野生型動物の約半分まで回復させた。これ
らのB細胞はトランスジーンコーディングを受けた重鎖
を用いた細胞表面免疫グロブリンレセプタを発現した。
ヒトKCo4トランスジーンは同様に機能的であり、無
傷の内因性λ軽鎖遺伝子座をうまく競合した。重鎖及び
軽鎖ヒトトランスジーンを両方共含む(2重トランスジ
ェニック)JHD/JCKD同型接合突然変異体マウス
の中のB脾細胞のほぼ95%が、完全にヒト細胞表面I
gMκを発現した。
【0487】血清Igレベルを以下のとおりELISA
によって決定した:ヒトμ:マウスMabαヒトIgM
(クローンCH6、結合部位、Birmingham, UK)でコー
ティングされペルオキシダーゼ接合されたウサギαヒト
IgM(fc)(cat#309−035−095,Ja
ckson Immuno Research, West Grove, PA )で発達させ
られたマイクロタイターウエル。ヒトγ:マウスMAb
αヒトIgG1(クローンHP6069,Calbiochem,
La Jolla, CA)でコーティングされ、ペルオキシダーゼ
接合されたヤギαヒトIgG(fc)(cat#109
−036−098,Jackson Immuno Research, West Gr
ove, PA )で発達させられたマイクロタイターウエル。
【0488】ヒトκ:マウスMabαヒトIgκ(ca
t#0173,AMAC, Inc, Igκ(cat#A716
4,Sigma Chem. Co., St.Louis, MO )でコーティング
されたマイクロタイターウエル。マウスγ:ヤギαマウ
スIgG(cat#115−006−071,Jackson
Immuno Research, West Grove, PA )でコーティングさ
れたマイクロタイターウエル。マウスλ:ラットMAb
αマウスIgλ(cat#02171D,Pharmingen,
San Diego, CA )でコーティングされ、ペルオキシダー
ゼ接合されたウサギαマウスIgM(fc)(cat#
309−035−095,Jackson Immuno Research, W
est Grove, PA )で発達させられたマイクロタイターウ
エル。結合したペルオキシダーゼを、過酸化水素及び
2,2′−アジノ−ビス−13−エチルベンズチアゾリ
ン−6−スルフォン酸、Sigma Chem. Co., St.Louis, M
O )を用いたインキュベーションにより検出する。反応
産物を、415nmでの吸収により測定する。
【0489】2重トランスジェニックマウスは、血清中
で完全にヒトの抗体をも発現する。図84は、いくつか
の異なるトランスジェニック創立者動物から誘導された
重及びカッパ軽鎖失活について同型接合である18の個
々の2重トランスジェニックマウスに関する免疫グロブ
リンタンパク質の測定された血清レベルを示す。我々
は、検出可能なレベルのヒトμ,γ1及びκを発見し
た。我々は以上で、発現されたヒトγ1がトランスジー
ンμ及びγ1スイッチ領域の間のゲノミック組換えによ
る真正なクラススイッチの結果として得られるというこ
とを示した。その上、我々は、トランスジーン内部のク
ラススイッチが重鎖可変領域の体細胞突然変異により達
成されることを発見した。
【0490】ヒト免疫グロブリンに加えて、我々は血清
内のマウスγ及びλをも発見した。内因性遺伝子座が完
全に無傷であることからマウスλタンパク質の存在が予
想される。我々は他の箇所で、マウスγ発現が、内因性
重鎖遺伝子座内へのトランスジーンVDJセグメントの
トランススイッチ組換えの結果であるということを示し
た。当初野生型重鎖対立遺伝子及び再配置されたVDJ
トランスジーンについて立証されていたこのトランスス
イッチ現象(Durdik et al.(1989), Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 86:2346-2350 ; Gerstein et al.(1990),
63:537-548)は、下流重鎖恒常領域及びそのそれぞ
れのスイッチ要素がなおも無傷であることから、突然変
異体JHDバックグラウンド内で起こる。
【0491】2重トランスジェニックマウス内のヒトI
gMκの血清濃度は約0.1mg/mlであり、動物間又は
系統間での偏差はほとんど無い。しかしながら、ヒトγ
1、マウスγ及びマウスλレベルは0.1〜10マイク
ログラム/mlの範囲に及んでいる。個々の動物間で見ら
れたγレベルの変動は、γが誘発可能な恒常領域である
という事実の結果である可能性がある。発現はおそら
く、動物の健康、抗原に対する露呈そして場合によって
はMHCタイプといった要因により左右されると思われ
る。マウスλ血清レベルは、個々のトランスジェニック
系統と相関すると思われる唯一のパラメータである。
【0492】1回の組込みあたりのトランスジーンのコ
ピー数が最も少ない(約1〜2コピー)KCo4系統4
436マウスは、最高の内因性λレベルを有し、一方K
Co4系統の4437マウス(組込み一回あたり〜10
コピー)は最低のλレベルを有する。これは、κトラン
スジーンに続いて内因性λが再配置し、血清λレベルが
選択されずその代りに前駆体B細胞プールの相対的サイ
ズを反映しているような1つのモデルと一貫性をもつ。
多数の軽鎖インサートを含むトランスジーン遺伝子座
は、1つ以上のV〜Jへの組換え事象を受ける機会を有
する可能性があり、そのうちの1つが機能的なものとな
る確率は増大する。かくして、高いコピー系統は、より
小さい潜在的λ細胞プールを有することになる。ヒトCD4及びIgEでの免疫化 免疫応答に参加するトランスジェニックB細胞の能力を
テストするために、我々はヒトタンパク質抗原で2重ト
ランスジェニックマウスを免疫化し、ELISAにより
抗原特異的免疫グロブリンの血清レベルを測定した。腹
腔内注入により完全フロイントアジュバント内のポリス
チレン溶球(cat#08226,Polysciences Inc.,
Warrington, PA )に共役結合された50μgの組換え
型sCD4(cat,#013101,American Bio-T
echnologies Inc., Cambridge, MA )でマウスを免疫化
した。マウスの各々は、内因性μ及びκ遺伝子座の分断
について同型接合であり、ヒト重鎖トランスジーンHC
2系統2500及びヒトκ軽鎖トランスジーンKCo4
系統4437について半接合である。
【0493】方法 血清試料を、組換え型sCD4でコーティングされたマ
イクロタイターウエルへと希釈させた。ペルオキシダー
ゼ接合されたウサギαヒトIgM(fc)(Jackson Im
muno Research, West Grove, PA )又はペルオキシダー
ゼ接合されたヤギの抗ヒトIgκ(Sigma, St.Louis, M
O )を用いて、ヒト抗体を検出した。
【0494】図85は、組換えヒト可溶性CD4で免疫
化されたトランスジェニックマウスの一次応答を示す。
免疫化された4匹の動物は全て、抗原特異的ヒトIgM
応答を1週間目に示す。CD4特異的血清抗体は、ヒト
μ重鎖及びヒトκ軽鎖の両方を含んでいる。HC2トラ
ンスジーンの二次応答に参加する能力を評価するため、
我々は、抗原を反復的に注入することによりトランスジ
ェニックマウスを高度免疫し、誘発された抗体の重鎖ア
イソタイプを監視した。ヒト重鎖トランスジーンHC2
及びヒトκ軽鎖トランスジーンKCo4について同型接
合であるマウスを、0日目に完全フロイントアジュバン
ト内の25μgのヒトIgEκ(The Binding Site,Bir
mingham, UK)で免疫化した。その後、約一週間おきで
不完全フロイントアジュバント中でIgEκをマウスに
注入した。血清試料を1対10の割合で希釈させ、ヒト
IgE,λでコーティングされたプレート上で抗原特異
的ELISAを行なった。
【0495】図86は、これらの動物からの免疫応答の
標準的時間的経過を示している。我々は、完全フロイン
トアジュバント中のヒトIgEを2重トランスジェニッ
クマウスに注入し、その後週一回、不完全フロイントア
ジュバント内のIgEで追加免疫した。初期ヒト抗体応
答はIgMκであり、その後抗原特異的ヒトIgGκが
現われた。これらのマウス内の誘発された血清抗体は、
ヒトIgM又はBSAに対していかなる反応反応性も示
さなかった。ヒトIgGの経時的発達、(原文抜け)。
【0496】我々は、重鎖トランスジーンのインビトロ
でのクラススイッチを受ける能力もテストした;同じ重
鎖構成体(HC2、系統2550)について半接合であ
る脾臓B細胞が精製された形の動物は、LPS及び組換
え型マウスIL−4の存在下で、ヒトIgMからヒトI
gG1へとスイッチする。しかしながら、インビトロス
イッチは、LPS及び組換え型マウスIL−2又はLP
S独自の存在下で起こらなかった。
【0497】2重トランスジェニック/2重ノックアウ
ト(0011)マウスの脾臓、リンパ節、腹膜及び骨髄
内にヒトIgM発現細胞が見られる。腹腔には正常な数
のB細胞が含まれているものの、骨髄及び脾臓中のトラ
ンスジェニックB細胞の絶対数は、正常値の約10〜5
0%である。トランスジーン依存性のB細胞の発達にお
ける遅延の結果として、減少がもたらされる可能性があ
る。2重トランスジェニック/2重ノックアウト(00
11)マウスは同様に、これらのマウスにおけるヒト
μ、γ1及びκのレベルが有意なものである状態で、血
清中で完全にヒトの抗体を発現する。発現されたヒトγ
1は、トランスジーンμとγ1のスイッチ領域の間での
ゲノミック組換えによる真正のクラススイッチの結果と
して得られる。
【0498】さらに、トランスジーン内のクラススイッ
チには、トランスジーンによりコードされた重鎖可変領
域の体細胞突然変異が伴う。ヒト免疫グロブリンに加え
て、これらのマウス内にはマウスμ及びマウスλが見ら
れる。マウスμ発現は、トランスジーンVDJ遺伝子が
内因性マウス重鎖遺伝子座内に組込まれるトランススイ
ッチ組換えの結果であると思われる。もともと野生型重
鎖対立遺伝子及び再配置されたVDJトランスジーンに
ついて文献内に見られたトランススイッチは、マウス下
流重鎖恒常領域及びそのそれぞれのスイッチ要素がなお
も無傷であることから、我々のJH -/- バックグラウン
ド内で起こる。
【0499】トランスジェニックB細胞の免疫応答に参
加する能力を実証するため、我々は、ヒトタンパク質抗
原で0011マウスを免疫化し、抗原特異的免疫グロブ
リンの血清レベルを監視した。初期ヒト抗体応答はIg
Mであり、その後抗原特異的ヒトIgGの発現が続く
(図86及び図88)。ヒトIgG抗体が現われる前の
遅延は、抗原に対する二次応答とクラススイッチの間の
結びつきと一貫性をもつ。
【0500】ヒトCD4で免疫化されたトランスジェニ
ックマウスにおいては、CD4抗原に対するヒトIgG
の反応性は、2×10-2〜1.6×10-4の範囲の血清
濃度で検出可能であった。抗ヒトCD4ハイブリドーマの同定 ヒト重鎖トランスジーンHC2及びヒトκ軽鎖トランス
ジーンKCo4について同型接合のトランスジェニック
マウスを、0日目に完全フロイントアジュバント内の組
換え体ヒトCD4 20μgで免疫化した。その後、約
一週間の間隔をおいて不完全フロイントアジュバント中
のCD4をマウスに注入した。図88は、トランスジェ
ニックマウスの血清中のヒトCD4に対するヒト抗体応
答を示す。血清試料を1:50で希釈し、ヒトCD4で
コーティングされたプレート上で抗原特異性ELISA
を行なった。各々のラインは、個々の試料の測定値を表
わす。黒丸はIgMを、白丸はIgGを表わす。
【0501】ライン#7494(0012;HCl−2
6+;JHD++;JKD++;KC2−1610+
+)のマウスを0日目、13日目、20日目、28日
目、33日目及び47日目にヒトCD4で免疫化する
と、ヒトκ及びヒトμ又はγから成る抗ヒトCD4抗体
を産生した。28日目に、血清中にヒトμ及びヒトκが
見られた。47日目までに、ヒトCD4に対する血清応
答には、ヒトμ及びヒトγならびにヒトκが含まれてい
た。50日目に、P3×63−Ag8.653マウス骨
髄腫細胞で脾細胞を融合させ、培養した。700のウエ
ルのうち44(6.3%)がヒトγ及び/又はκ抗ヒト
CD4モノクローナル抗体を含んでいた。これらのウエ
ルのうち3つは、ヒトγ抗CD4モノクローナル抗体を
含んでいることが確認されたが、ヒトκ鎖(おそらくは
マウスλを発現する)が欠如していた。9つの1次ウエ
ルは、完全にヒトのIgMκ抗−CD4モノクローナル
抗体を含んでおり、さらなる特徴づけのため選択され
た。完全にヒトのIgMκ抗−CD4モノクローナル抗
体を発現する1つのこのようなハイブリドーマを2C1
1−8と呼称した。
【0502】限界希釈法により一次ハイブリドーマをク
ローニングし、CD4に対して反応性あるヒトμ及びκ
モノクローナル抗体の分泌について評価した。9つのハ
イブリドーマのうち5つがCD4ELISAにおいて陽
性にとどまった。ヒトCD4についてのこれらのヒトI
gMκモノクローナル抗体の特異性は、オバルブミン、
ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、キーホール
リンペットヘマシアニン及びガン胎児性抗原を含むその
他の抗原との反応性が欠如していることによって実証さ
れた。
【0503】これらのモノクローナル抗体が細胞表面上
のCD4(例えば未変性CD4)を認識できるか否かを
見極めるため、CD4+T細胞系統、SupT1との反
応性について、これら5つのクローンの上清もテストし
た。5つのヒトIgMκモノクローナル抗体のうち4つ
がこれらのCD4+細胞と反応した。これらのIgMκ
モノクローナル抗体の特異性をさらに確実にするため、
これらの抗体で、分離されたばかりのヒト末梢血リンパ
球(PBL)を染色した。5つの一次ハイブリッドのう
ちの4つから誘導されたクローンからの上清はCD4+
リンパ球のみに結合し、CD8+リンパ球には結合しな
かった(図87)。
【0504】図87は、ヒトPBLとのIgMκ抗CD
4モノクローナル抗体の反応性を示す。ヒトPBLを各
クローンからの上清又はアイソタイプ整合された負の対
照モノクローナル抗体及びそれに続くPEに接合された
マウス抗ヒトCD4モノクローナル抗体(上段)又はF
ITCに接合されたマウス抗ヒトCD8Ab(下段)の
いずれかを用いてインキュベートした。それぞれFIT
C又はPEに接合されたマウス抗ヒトμで、あらゆる結
合したヒトIgMκを検出した。クローンの1つ、2C
11−8(右側)及び対照IgMκ(左側)についての
代表的結果が示されている。予想通り、負の対照IgM
κはT細胞と反応せず、ヤギ抗ヒトμは、おそらくはヒ
トB細胞である約10%のPBLと反応した。IgMκ
抗−CD4モノクローナル抗体の産生のレベルの高さ及
び優れた成長は、発達のためのクローナルハイブリドー
マ細胞を選択する上で重要な要因である。ハイブリドー
マの1つ2C11−8からのデータは、最高5pg/細胞
/日が産生されうることを示している(図89)。第2
のクローンの場合にも類似の結果が見られた。一般に観
察されるように、細胞が定常期成長に入るにつれて産生
は劇的に増大する。図89は、細胞の成長及び小規模培
養におけるヒトIgMκ抗−CD4モノクローナル抗体
の分泌を示す。総量2mlの中に1mlあたり2×105
胞の割合で重複培養を播種した。その後4日間24時間
毎に、培養を収穫した。生存可能な細胞を計数すること
により細胞の成長を決定し、全ヒトμ(上の図版)につ
いてELISAによりIgMκ産生の量を計った。Ig
Mκの量を細胞の数で除することにより、一日細胞一個
あたりの産生を計算した(下の図版)。
【0505】図90は、ヒトIgMκ抗−CD4モノク
ローナル抗体のエピトープ地図作製を示す。IgMκ抗
−CD4モノクローナル抗体2C11−8(HB 11
668)により認識されるエピトープを位置設定するた
め競合結合フロー血球計算実験を使用した。これらの研
究のためには、CD4上の重複しないユニークエピトー
プに結合するマウス抗CD4モノクローナル抗体Leu
3a及びRPA−T4を用いた。減少する濃度のRPA
−TA又はLeu−3aのいずれかで予備インキュベー
トされその後ひきつづき2C11−8で染色させたCD
4+細胞のPE螢光を、PE接合されたヤギ抗ヒトIg
Mで検出した。Leu3aによるヒトIgMκ抗−CD
4モノクローナル抗体2C11−8の結合については濃
度依存性競合が存在したが、RPA−T4によるその結
合については存在しなかった。かくして、2C11−8
により認識されたエピトープは、モノクローナル抗体L
eu3aにより認識されたエピトープと類似していたか
又は同一であったが、RPA−T4により認識されたも
のとは全く異なっていた。
【0506】要約すると、我々は、未変性ヒトCD4と
特異的に反応しヒトPBLSをCD4+ 及びCD4-
次集団へと弁別するのに用いることのできるヒトIgM
κモノクローナル抗体を分泌する複数のハイブリドーマ
クローンを産生した。これらの抗体のうち少なくとも1
つはモノクローナル抗体Leu3aにより構成されたエ
ピトープに又はその近くに結合する。このエピトープに
対して誘導されたモノクローナル抗体は、混合型の白血
球応答を阻害するものであることが示されてきた(Engl
eman et al., J.Eyp.Med. (1981) 153:193 )。モノク
ローナル抗体Leu3aのキメラバージョンは、菌状息
肉腫を患う患者においていくつかの臨床的効力を示した
(Knox et al.(1991) Blood 77:20)。
【0507】我々は同様に、ヒトCD4免疫化に応答し
たマウスの一匹からハイブリドーマ細胞系統も分離し
た。クローニングされたハイブリドーマのうちの5つ
は、組換え型ヒトCD4に結合しその他の糖タンパク質
抗原のパネルと交叉反応しない(ELISAにより測定
される通り)ヒトIgGκ(ヒトγ1/ヒトκ)抗体を
分泌する。IgGκハイブリドーマ、4E4.2及び2
C5.1の2つにより分泌されたモノクローナル抗体に
対する免疫化用ヒトCD4抗原の結びつき及び解離の速
度を測定した。実験的に誘導された結合定数(Ka)は
それぞれ抗体4E4.2及び2C5.1について約9×
107 -1及び8×107 -1であった。これらのKa
の値は、その他の者による臨床的試験において用いられ
てきた(Chenet al.(1993) Int.Immunol. :647 )
マウスIgG抗ヒトCD4抗体の範囲内に入る。
【0508】ここで、ヒト免疫グロブリンを発現するB
細胞が発達を受け、マウス免疫系の情況の下で抗原に応
答するという結論を下したい。抗原反応性は免疫グロブ
リン重鎖アイソタイプスイッチ及び可変領域体細胞突然
変異を導く。我々は又、これらのマウスからモノクロー
ナルヒト配列抗体を得るのに従来のハイブリドーマ技術
を用いることができるということも実証してきた。従っ
てこれらのトランスジェニック抗体は、ヒト標的抗原に
対するヒト抗体の供給源である。
【0509】本発明のトランスジェニックマウスを、下
記の表B及びCから選択されたヒト抗原により免疫す
る。トランスジェニックマウスは前記ヒト抗原に結合す
るヒト抗体を生産する。免疫されたトランスジェニック
マウスからのB細胞を用いて、前記選択されたヒト抗原
に対するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ
を作製する。
【0510】 表B ヒトCD抗原 標示 認識される膜成分 CD1a gp49 CD1b gp45 CD1c gp43 CD2 CD58 (LFA-3)レセプタ、gp50 CD2R CD2 活性Tに限定されるエピトープ CD3 CD3 −複合体(5鎖)、gp/p 26, 20, 16 CD4 ClassII /HIV レセプタ、gp59 CD5 gp67 CD6 gp100 CD7 gp40 CD8 クラス1レセプタ、gp32, αα又はαβダイマー CD9 p24 CD10 gp100, CALLA CD11a LFA-1, gp180/95 CD11b C3biレセプタ、 gp155/95 CD11c gp150 /95 CDw12 p90-120 CD13 gp150 CD14 gp55 CD15 3-FAL, X−ハプテン CD16 FcRIII, gp50-65 CDw17 ラクトシルセラマイド CD18 CD11a, b, c に対するβ鎖 CD19 gp95 CD20 p37 /32 CD21 C3d /EBV-Rec. (CR2), p140 CD22 gp135, ミエリン関連gpに対する相同性 (MAG) CD23 FcεRII, gp45-50 CD24 gp41/38 CD25 IL-2R β鎖、gp55 CD26 gp120 CD27 p55(ダイマー) CD28 gp44 CD29 VLA β−抗原 β1−鎖、Plt GPIIa CD30 gp120, Ki-1 CD31 gp140, Plt, GPIIa CDw32 FcRII, GP40 CD33 gp67 CD34 gp105-120 CD35 CR1 CD36 gp90, Plt GPIV CD37 gp40-52 CD38 p45 CD39 gp70-100 CD40 gp50, NGF レセプタに対して相同 CD41 Plt GPIIb-IIIa 複合体及びGPIIb CD42a Plt GPIX, gp23 CD42b Plt GPIb, gp135 /25 CD43 ロイコシアリン、gp95
【0511】表C CD44 Pgp-1, gp80-95 CD45 LCA, T200 CD45RA 制限処理されたT200, gp220 CD45RB 制限処理されたT200 CD45RO 制限処理されたT200, gp180 CD46 膜コファクター蛋白質(MCP) 、gp66/56 CD47 gp47-52, N−連結グリカン CD48 gp41, PI−連結 CDw49b VLA-α2 鎖、Plt GPIa CDw49d VLA-α4 鎖、gp150 CDw49f VLA-α6 鎖、Plt GPIc CDw50 gp148 /108 CDw51 VNR-α鎖 CDw52 カンフ−1,gp21-28 CD53 gp32-40 CD54 ICAM-1 CD55 DAF (デシル保追因子) CD56 gp220 /135, NKH1, N-CANのアイソ型 CD57 gp110, HNK1 CD58 LFA-3, gp40-65 CD59 gp18-20 CDw60 NeuAc-NeuAc-Gal- CD61 Integrin β3-, VNR-β鎖、Plt GPIIIa CD62 GMP-140 (PADGEM), gp140 CD63 gp53 CD64 FcRI, gp75 CDw65 セラミド−ドデカサッカライド 4C CD66 ホスホプロテイン gp180-200 CD67 P100, PI−連結 CD68 gp110 CD69 gp32/28, AIM CDw70 Ki-24 CD72 gp43/39 CD73 p69 CD74 gp41/35/33 CDw75 P53 CD76 gp85/67 CD77 グロボトリアアオシルセラミド (Gb3) CDw78
【0512】上記表Bは本発明のトランスジェニックマ
ウスを免疫し、そしてヒト抗原に対するモノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマを発生させるためのヒト
の分化のクラスター(cluster of differentiation)
(CD)の例のリストである。上記表Cは、本発明のト
ランスジェニックマウスを免疫し、そしてヒト抗原に対
するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを発
生させるためのヒトの非−CD抗原の例のリストであ
る。
【0513】本発明のトランスジェニックマウスを表D
から選択されたヒト−病原体又は抗原により免疫する。
トランスジェニックマウスは、ヒト病原体と結合する抗
体を生産する。免疫されたトランスジェニックマウスか
らのB細胞を用いて、前記選択されたヒト病原体に対す
るモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製
する。
【0514】表D OKT3 OKT4 腫瘍壊死因子 IgE Her−2 IL−2レセプタ(p55,p75) Lym−1 フィブリン α−フエトプロテイン My9 インシュリン インシュリンレセプタ 癌胎児性抗原(CEA) グルコース転送蛋白質 β−インターフェロン γ−インターフェロン 組織プラスミノーゲンアクチベーター(PBA) α−インターフェロン 神経成長因子(NGF) 内皮成長因子(EGF) NGFレセプタ EGFレセプタ 血小板由来成長因子(PDGF) PGDFレセプタ インシュリン様成長因子(IGF−1) IGF−1レセプタ 毛様体向神経因子(CNFF) CNFFレセプタ 脳由来向神経因子(BDNF) BDNFレセプタ 神経分化因子(NDF) NDFレセプタ ヘパリン結合向神経因子(HBNF) HBNFレセプタ 形質転換成長因子α(TGF−α) TGF−αレセプタ 形質転換成長因子β(TGF−β) TGF−βレセプタ 骨成長因子−1(BMP−1,OMP−1) BMP−1レセプタ 骨成長因子−2(BMP−2,OMP−2) BMP−2レセプタ インターロイキン−1(IL−1) IL−1レセプタ インターロイキン−3(IL−3) IL−3レセプタ インターロイキン−4(IL−4) IL−4レセプタ インターロイキン−6(IL−6) IL−6レセプタ インターロイキン−8(IL−8) IL−8レセプタ インターロイキン−12(IL−12) IL−12レセプタ インターロイキン−13(IL−13) IL−13レセプタ 顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CS
F) 顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF) 幹細胞因子(SCGF) IL−1β転換酵素 GM−CSFレセプタ G−CSFレセプタ スロンモモジュリン 補体因子 補体レセプタ プロテインC カドヘリン ギャップジャンクションプロテイン ULA−4 ICAM−1 LFA−3 ELAM P−セレクチン E−セレクチン 多剤耐性蛋白質(MDR) 心房性ナトリウム利尿ペプチド T−細胞レセプタ(TCR)ペプチド サブスタンスP アンジオテンシン転換酵素(ACE) 共通急性リンパ球性白血病抗原(CALLA) B16(黒色腫抗原) じゅう毛性刺激ホルモン(FSH) 黄体形成ホルモン(LH)
【0515】上記表Dは、本発明のトランスジェニック
マウスを免疫し、そしてヒト病原体に対するモノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマを発生せしめるため
の、ヒト病原体及びその抗原の例のリストである。
【0516】表E HIV−1及びHIV−2ウィルス抗原(gp120,
gp160等) HIVプロテアーゼ HIV RNアーゼH サイトメガロウィルス(CMV)及びCMVウィルス抗
原(gH,gp等) ヒトT−細胞向リンパ性ウィルス−1(HTLV−2)
及びその表面抗原 ヒトT−細胞向リンパ性ウィルス−2(HTLV−2)
及び表面抗原 肝炎Aウィルス及びウィルス抗原 肝炎Bウィルス及びウィルス抗原(例えば、HBsAg, HBc
Ag, HBeAg) 肝炎Cウィルス及びウィルス抗原 肝炎Dウィルス及びウィルス抗原 肝炎Xウィルス及びウィルス抗原 ヒトパピローマウィルス(HPV)及びウィルス抗原 バリセラ・ゾスター(Varicella zoster)ウィルス及び
ウィルス抗原 単純ヘルペスIウィルス及びウィルス抗原 単純ヘルペスIIウィルス及びウィルス抗原 エボラ(又はアハブルグ)ウィルス及びウィルス抗原 日本脳炎Bウィルス(JBE)及びウィルス抗原 カリホルニア脳炎ウィルス及びウィルス抗原 灰白髄炎ウィルス及びウィルス抗原 コクサッキーウィルス及びウィルス抗原 リノウィルス及びウィルス抗原 狂犬病(ラブドビリデー科)ウィルス及びウィルス抗原 インフルエンザ(オルトミキソウィルス科)ウィルス及
びウィルス抗原 パラミキソウィルス科(パラインフルエンザ1〜5、mu
mps)ウィルス及び抗原 麻疹ウィルス及びウィルス抗原 呼吸シンシチアルウィルス(RSV)及びウィルス抗原 バリオラウィルス(天然痘)及びウィルス抗原 アデノウィルス(マスタデノウィルス)及びウィルス抗
原 エプスタイン−バール(単核症)ウィルス及びウィルス
抗原 プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falcipa
rum)及びウィルス抗原 コリネバクテリウム・ジフテリア及び表面抗原及び毒素 コリネバクテリウム・ヘモリティクム及び表面抗原及び
毒素 サルモネラ・スペーシス及び表面抗原及びLPS シゲラ・スペーシス及び表面抗原及びLPS プロテウス・ミラビリス・スペーシス及び表面抗原及び
LPS シュードモナス・アエルギノーサ及び表面抗原 ビブリオ・コリラ及び表面抗原及び毒素 ビブリオ・パラヘモリティクス及び表面抗原及び毒素 ナイゼリア・メニンジティディス及び表面抗原 ナイゼリア・ゴノルホエア及び表面抗原 バシルス・アンスラシス及び表面抗原 クロストリジウム・ボツリヌム及び表面抗原及び毒素 クロストリジウム・テタニ及び表面抗原及び毒素 クロストリジウム・ペルフリンゲンス及び表面抗原及び
毒素 ヘモフィルス・インフルエンザ及び表面抗原 トレコネマ・パリドウム及び表面抗原 リステリア・モノシトゲネス及び表面抗原 ノカルジア・アステロイデス及び表面抗原 ニューモシスティス・カルニー及び表面抗原 パステウレラ・ロイコトキシン スタフィロコッカス・エンテロトキシン及びヒアルロニ
ダーゼ及びコアギュラーゼ ストレプトコッカス(β−溶血性)及びヘモリシン及び
ストレプトキナーゼ グラム陰性リポポリサッカライド複合体(LPS)
【0517】上記の表Eは、本発明のトランスジェニッ
クマウスを免疫し、そしてヒト病原体に対するモノクロ
ーナル抗体を生産するハイブリドーマを発生させるため
のヒト病原体及びそれらの抗原の例のリストである。本
発明を理解の明確化の目的で例示によって幾分詳細に記
載してきたが、請求の範囲内で幾つかの変更および改良
を行えることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、再配列されていないゲノムDNA中お
よび再配列された免疫グロブリン重鎖遺伝子から発現さ
れるmRNA中の相補性決定領域CDR1,CDR2お
よびCDR3、並びにフレームワーク領域FR1,FR
2,FR3およびFR4を表す。
【図2】図2はヒトλ鎖遺伝子座を表す。
【図3】図3はヒトκ鎖遺伝子座を表す。
【図4】図4はヒト重鎖遺伝子座を表す。
【図5】図5は、ヒトγ3およびγ1定常領域を含有す
る25kb断片に次いでラット鎖3′エンハンサー配列を
含む700bp断片に連結された再配列されたIgM遺伝
子を含有するトランスジェン構成物を表す。
【図6】図6は、生体内相同組換えによって軽鎖トラン
スジェンを形成させるために使うことができる断片を表
す、ヒトκ鎖遺伝子座の制限地図である。
【図7】図7はpGP1の作製を示す。
【図8】図8はpGP1中に含まれるポリリンカーの構
成を示す。
【図9】図9は、本発明のヒト重鎖トランスジェンを作
製するのに使う断片を示す。
【図10】図10はpHIG1およびpCON1の作製
を示す。
【図11】図11は、pREG2を形成させるためにp
RE3(ラットエンハンサー3′)中に挿入されるヒト
Cγ1断片を示す。
【図12】図12は pHIG3′およびpCONの作
製を示す。
【図13】図13は、本発明のトランスジェンの作製に
使われるヒトD領域セグメントを含む断片を示す。
【図14】図14は、pHIG2(Dセグメント含有プ
ラスミド)の作製を示す。
【図15】図15は、本発明のトランスジェンの作製に
使われるヒトJκおよびヒトCκ遺伝子セグメントを包
含する断片を示す。
【図16】図16はpEμの構造を示す。
【図17】図17はpKapHの作製を示す。
【図18】図18は、マウスの内因性免疫グロブリン重
鎖遺伝子座を機能的に破壊するためのポジティブ−ネガ
ティブ選別ベクターの作製を示す。
【図19】図19は、マウスの内因性免疫グロブリン重
鎖遺伝子座を機能的に破壊するためのポジティブ−ネガ
ティブ選択ベクターの作製を示す。
【図20】図20は、マウスの内因性免疫グロブリン重
鎖遺伝子座を機能的に破壊するためのポジティブ−ネガ
ティブ選択ベクターの作製を示す。
【図21】図21は、マウスの内因性免疫グロブリン重
鎖遺伝子座を機能的に破壊するためのポジティブ−ネガ
ティブ選択ベクターの作製を示す。
【図22】図22は、マウスの内因性免疫グロブリン重
鎖遺伝子座を機能的に破壊するためのポジティブ−ネガ
ティブ選択ベクターの作製を示す。
【図23】図23は、マウスの内因性免疫グロブリン軽
鎖遺伝子座を機能的に破壊するためのポジティブ−ネガ
ティブ選別ベクターの作製を示す。
【図24】図24は、マウスの内因性免疫グロブリン重
鎖遺伝子座を機能的に破壊するためのポジティブ−ネガ
ティブ選択ベクターの作製を示す。
【図25】図25はκ鎖標的用ベクターの構造を示す。
【図26】図26はマウス重鎖標的用ベクターの構造を
示す。
【図27】図27はマウス重鎖標的用ベクターの構造を
示す。
【図28】図28はベクターpGPeの地図を示す。
【図29】図29はベクターpJM2の構造を示す。
【図30】図30はベクターpCOR1の構造を示す。
【図31】図31はpIGM1,pHC1およびpHC
2のトランスジェン構成物を示す。
【図32】図32はpγe2の構造を示す。
【図33】図33はpVGE1の構造を示す。
【図34】図34はpHC1トランスジェニックマウス
中でのヒトIg発現のアッセイ結果を示す。
【図35】図35はpJCK1の構造を示す。
【図36】図36は合成重鎖可変領域の作製を示す。
【図37】図37は、重鎖小遺伝子座構成物pIC
1 ,pHC1およびpHC2の略図である。
【図38】図38は、重鎖小遺伝子座構成物pIGG1
並びにκ軽鎖小遺伝子座構成物pKC1,pKVe1お
よびpKC2の略図である。
【図39】図39は、機能的に再配列された軽鎖遺伝子
を再構成するための方策を表す。
【図40】図40は血清ELISA結果を表す。
【図41】図41は、8匹のトランスジェニックマウス
からの血清のELISAアッセイの結果を表す。
【図42】図42はプラスミドpBCE1の略図であ
る。
【図43】図43は、KLH−DNP(37A),KL
H(37B)およびBSA−DNP(37C)に特異的
なIgGおよびIgMレベルを測定することによる、K
LH−DNPに対する本発明のトランスジェニックマウ
スの免疫応答を表す。
【図44】図44は、ヒト癌胎児性抗原(CEA)に結
合しそしてヒトμ鎖を含んで成る抗体の存在を証明する
ELISAデータを示す;各パネルは、免疫処置後の指
示日においてマウスから得られたプールした血清試料か
らの逆数系列希釈を示す。
【図45】図45は、ヒト癌胎児性抗原(CEA)に結
合しそしてヒトγ鎖を含んで成る抗体の存在を証明する
ELISAデータを示す;各パネルは、免疫処置後の指
示日においてマウスから得られたプールした血清試料か
らの逆数系列希釈を示す。
【図46】図46は、ヒト癌胎児性抗原(CEA)によ
って免疫処置されたHC1トランスジェニックマウスの
リンパ系組織から得られたmRNAより生成された23
個の無作為選択cDNAの整列された可変領域配列を、
生殖細胞トランスジェン配列(最上行)に比較して示
す。各行において、生殖細胞配列に対するヌクレオチド
変化は推定アミノ酸配列中の変化の上に表示される(も
しあれば)。重鎖CDR1,CDR2およびCDR3に
相当する領域が示されている。生殖細胞によってコード
されないヌクレオチドは小文字で示されている。推定ア
ミノ酸配列は、慣例的な一文字表記法を使ってヌクレオ
チド配列の下に与えられている。
【図47】図47は、ヒト癌胎児性抗原(CEA)によ
って免疫処置されたHC1トランスジェニックマウスの
リンパ系組織から得られたmRNAより生成された23
個の無作為選択cDNAの整列された可変領域配列を、
生殖細胞トランスジェン配列(最上行)に比較して示
す。各行において、生殖細胞配列に対するヌクレオチド
変化は推定アミノ酸配列中の変化の上に表示される(も
しあれば)。重鎖CDR1,CDR2およびCDR3に
相当する領域が示されている。生殖細胞によってコード
されないヌクレオチドは小文字で示されている。推定ア
ミノ酸配列は、慣例的な一文字表記法を使ってヌクレオ
チド配列の下に与えられている。
【図48】図48は、ヒト癌胎児性抗原(CEA)によ
って免疫処置されたHC1トランスジェニックマウスの
リンパ系組織から得られたmRNAより生成された23
個の無作為選択cDNAの整列された可変領域配列を、
生殖細胞トランスジェン配列(最上行)に比較して示
す。各行において、生殖細胞配列に対するヌクレオチド
変化は推定アミノ酸配列中の変化の上に表示される(も
しあれば)。重鎖CDR1,CDR2およびCDR3に
相当する領域が示されている。生殖細胞によってコード
されないヌクレオチドは小文字で示されている。推定ア
ミノ酸配列は、慣例的な一文字表記法を使ってヌクレオ
チド配列の下に与えられている。
【図49】図49は、ヒト癌胎児性抗原(CEA)によ
って免疫処置されたHC1トランスジェニックマウスの
リンパ系組織から得られたmRNAより生成された23
個の無作為選択cDNAの整列された可変領域配列を、
生殖細胞トランスジェン配列(最上行)に比較して示
す。各行において、生殖細胞配列に対するヌクレオチド
変化は推定アミノ酸配列中の変化の上に表示される(も
しあれば)。重鎖CDR1,CDR2およびCDR3に
相当する領域が示されている。生殖細胞によってコード
されないヌクレオチドは小文字で示されている。推定ア
ミノ酸配列は、慣例的な一文字表記法を使ってヌクレオ
チド配列の下に与えられている。
【図50】図50は、ヒト癌胎児性抗原(CEA)によ
って免疫処置されたHC1トランスジェニックマウスの
リンパ系組織から得られたmRNAより生成された23
個の無作為選択cDNAの整列された可変領域配列を、
生殖細胞トランスジェン配列(最上行)に比較して示
す。各行において、生殖細胞配列に対するヌクレオチド
変化は推定アミノ酸配列中の変化の上に表示される(も
しあれば)。重鎖CDR1,CDR2およびCDR3に
相当する領域が示されている。生殖細胞によってコード
されないヌクレオチドは小文字で示されている。推定ア
ミノ酸配列は、慣例的な一文字表記法を使ってヌクレオ
チド配列の下に与えられている。
【図51】図51は、ヒト癌胎児性抗原(CEA)によ
って免疫処置されたHC1トランスジェニックマウスの
リンパ系組織から得られたmRNAより生成された23
個の無作為選択cDNAの整列された可変領域配列を、
生殖細胞トランスジェン配列(最上行)に比較して示
す。各行において、生殖細胞配列に対するヌクレオチド
変化は推定アミノ酸配列中の変化の上に表示される(も
しあれば)。重鎖CDR1,CDR2およびCDR3に
相当する領域が示されている。生殖細胞によってコード
されないヌクレオチドは小文字で示されている。推定ア
ミノ酸配列は、慣例的な一文字表記法を使ってヌクレオ
チド配列の下に与えられている。
【図52】図52は、ヒストグラム形式での図40のデ
ータを示す;推定アミノ酸残基位置が縦座標として示さ
れ(左がアミノ末端方向であり、右がカルボキシ末端方
向である)そして配列変異の頻度が横座標として示され
る。
【図53】図53は、Vκ遺伝子セグメントを含有する
vk65.5と命名されたヒトDNA断片のヌクレオチ
ド配列を示す;Vκコード領域推定アミノ酸配列も示さ
れる;スプライシング配列と組換えシグナル配列(ヘプ
タマー/ノナマー)は枠内に示される。
【図54】図54は、Vκ遺伝子セグメントを含有する
vk65.8と命名されたヒトDNA断片のヌクレオチ
ド配列を示す;Vκコード領域推定アミノ酸配列も示さ
れる;スプライシング配列と組換えシグナル配列(ヘプ
タマー/ノナマー)は枠内に示される。
【図55】図55は、Vκ遺伝子セグメントを含有する
vk65.15と命名されたヒトDNA断片のヌクレオ
チド配列を示す;Vκコード領域推定アミノ酸配列も示
される;スプライシング配列と組換えシグナル配列(ヘ
プタマー/ノナマー)は枠内に示される。
【図56】図56は、同時に注入された2つの重複断片
の間での相同組換えによる軽鎖小遺伝子座の形成を示
す。
【図57】抗原結合の特異性を示すCEA及び非CEA
抗原と反応性あるモノクローナル抗体についてのELI
SAの結果を示す。
【図58】ヒトVDJ及びマウス恒常領域配列を有する
写しを増幅するべくPCRにより増幅された10個のC
DNAのDNA配列を示す。
【図59】ヒト重鎖ミニ遺伝子座トランスジーン及びヒ
トκミニ遺伝子座トランスジーンの両方を支持するマウ
スから得た血清のさまざまな希釈度に対するELISA
の結果を示している;マウスはヒトCD4で免疫化され
たものであり、示されているデータは、ヒトCD4と反
応性をもちそれぞれヒトκ、ヒトμ、又はヒトγエピト
ープを有する抗体を表わしている。
【図60】3つのマウス遺伝子型についてFACSによ
り決定される、ヒトμ又はマウスμについてのリンパ球
染色の相対的分布を示す。
【図61】3つのマウス遺伝子型についてFACSによ
り決定される、ヒトκ又はマウスκについてのリンパ球
染色の相対的分布を示す。
【図62】3つのマウス遺伝子型についてFACSによ
り決定される、マウスλについてのリンパ球染色の相対
的分布を示している。
【図63】4つのマウス遺伝子型についてFACSによ
り決定される、マウスλ又はヒトκについてのリンパ球
染色の相対的分布を示す。
【図64】免疫化されていない血清中のヒトμ、ヒト
γ、ヒトκ、マウスμ、マウスγ、マウスκ、及びマウ
スλ鎖の量を示す。
【図65】さまざまな遺伝子型の免疫化されていない0
011マウスの血清中のヒトμ、ヒトγ、ヒトκ、マウ
スμ、マウスγ、マウスκ、及びマウスλ鎖の量を示す
散乱プロットを示している。
【図66】0011マウスにおける抗ヒトCD4タイタ
ーを示す。
【図67】ヒトCD4での0011マウスの免疫化に続
く免疫化後3週間目又は7週間目に採取した血清中の抗
−CD4抗体内のヒトμ、ヒトγ、又はヒトκ鎖を含む
抗体力価を示す。
【図68】ヒト重鎖ミニ遺伝子座トランスジーンPHC
1及びPHC2、及び軽鎖ミニ遺伝子座トランスジーン
pKC1,pKCle及び指示された部位でPKC2と
Co4の間の相同組換えにより作り出された軽鎖ミニ遺
伝子座トランスジーンの概略図である。
【図69】Storb et al. (1989) 前掲書中、からとられ
た、ネズミラムダ軽鎖遺伝子座の連鎖地図を示す。点刻
囲みは偽遺伝子を表わす。相同遺伝子ターゲティングに
よるマウスλ遺伝子座の失活を概略的に表わしている。
【図70】重鎖恒常領域遺伝子といった遺伝子を欠失さ
せるための相同組換えターゲッティングトランスジーン
の構造を概略的に示す。
【図71】「免疫グロブリン遺伝子」、 Honjo, T, Al
t, FW, 及びRabbits TH (eds) Academic Press, NY (19
89) p129 から取られたBALB/cマウス重鎖遺伝子
座の地図を示す。構造遺伝子は上部ラインに閉じた囲み
で示されている。第2及び第3のラインは表示された記
号を伴って制限部位を示している。
【図72】マウス重鎖遺伝子座α恒常領域遺伝子のヌク
レオチド配列を示す。
【図73】マウス重鎖遺伝子座J4 遺伝子内に2つのbp
フレームシフトを導入するためのフレームシフトベクタ
ー(プラスミドB)の構成を示す。
【図74】高度免疫中のトランスジェニック動物のアイ
ソタイプ特異応答を示す。反応性のヒトμ及びγ1の相
対的レベルは、比色ELISA検定法(y−軸)によっ
て示されている。我々は、フロイントアジュバント中の
CEAの腹腔内注入により、同型接合のJHDバックグ
ラウンド内で3匹の生後7〜10週目の雄のHC1系統
57のトランスジェニック動物(#1991,#235
6,#2357)を免疫化した。図は、CEAでコーテ
ィングされたマイクロタイターウエルに対するプールし
た血清(各注入に先立って収集したもの)の250倍希
釈液の結合を描いている。
【図75】クラススイッチ組換えにより媒介されたトラ
ンスジーンでコードされたγ1アイソタイプの発現を示
す。2つの異なるヒトγ1発現ハイブリドーマ内の組込
まれたトランスジーンのゲノミック構造は、μ及びγ1
スイッチ領域の間の組換えと一貫性をもつ。図75は、
3つのトランスジーン発現ハイブリドーマから分離した
PacI/SfiI消化されたDNAのサザンブロット
を示す。左から右へ:クローン92−09A−5H1−
5、ヒトγ1+ /μ- ;クローン92−90A−4G2
−2、ヒトγ1+ /μ- ;クローン92−09A−4F
7−A5−2、ヒトγ1- ,μ+ 。3つのハイブリドー
マは全て、HCl−57の組込みについて半接合でJH
D分断について同型接合の生後7カ月のマウス(マウス
#1991)から誘導される。ブロットは、ヒトγ1ス
イッチ領域の3′半部分にまたがる2.3kbのBglII
/SfiI DNAフラグメントから誘導されたプロー
ブでハイブリッド形成される。μ発現ハイブリドーマの
中にはいかなるスイッチ産物も見い出せないが、2つの
γ1発現ハイブリドーマ92−09A−5H1−5及び
92−09A−4G2−2は、それぞれ、5.1kb及び
5.3kbのPacI/SfiIフラグメントを結果とし
てもたらすスイッチ産物を含む。
【図76】図76は、μからγ1へのクラススイッチを
産生させることのできる考えられる2つの欠失メカニズ
ムの図である。ヒトμ遺伝子には、μを欠失するべく組
換えできる400bpの直接的反復(σμ及びΣμ)がフ
ランキングしている。このメカニズムによるクラススイ
ッチングはつねに6.4kbのPacI/SfiIフラグ
メントを生成するが、一方μ及びγ1スイッチ領域の間
の組換えによるクラススイッチは、個々のスイッチ事象
の間でサイズの変動を示しながら、4kbと7kbの間のP
acI/SfiIフラグメントを生成する。図75で検
討されている2つのγ1発現ハイブリドーマは、μ及び
γ1スイッチ領域の間で組換えを受けていると思われ
る。
【図77】トランススイッチにより生成されたキメラヒ
ト/マウス免疫グロブリン重鎖を示す。トランススイッ
チ産物のcDNAクローンは、高度免疫されたHC1ト
ランスジェニック−JHDマウス(#2357;動物及
び免疫計画の説明については図74に対する凡例を参照
のこと)から分離した脾臓とリンパ節のRNAの混合物
の逆転写及びPCR増幅により生成された。10個の無
作為にとり出したクローンの部分的ヌクレオチド配列が
示されている。小文字は、コードされた生殖細胞系を表
わし、大文字は、既知の生殖細胞系配列に割当てること
のできないヌクレオチドを示す。これらは体細胞突然変
異、Nヌクレオチド又は切形Dセグメントであることが
考えられる。両面タイプはマウスγ配列を表わす。
【図78】再配置されたVH251トランスジーンが高
度免疫されたものの中での体細胞突然変異を受けること
を示している。
【図79】図78では抗原に対する一次反応を図79で
は二次反応を示すCH1系統26のマウスからのIgG
重鎖可変領域cDNAクローンの部分的ヌクレオチド配
列。生殖細胞系配列が上部に示され;生殖細胞系からの
ヌクレオチド変更は、各クローンについて表わされてい
る。1つの周期は、生殖細胞系配列との同一性を示し、
大文字はいかなる生殖細胞系源も同定されないことを示
している。配列は、Jセグメントの用途に応ってまとめ
られている。Jセグメントの各々の生殖細胞系配列が示
されている。CDR3配列内の小文字はHClトランス
ジーン内に含まれている既知のDセグメントに対する同
一性を表わす。割当てられたDセグメントは、各配列の
最後に表わされている。割当てされていない配列は、N
領域の付加又は体細胞突然変異から誘導されうる。又
は、場合によって、これらは単にあまりにも短かすぎて
既知のDセグメントから無作為のN個のヌクレオチドを
区別できないこともある。図78の一次応答:13の無
作為にとり上げたVH251−γ1cDNAクローン。
生後4週間の雌のHCl系統26−JHDマウス(#2
599)にKLH及び完全フロイントアジュバントを一
回だけ注入した。5日後に脾臓細胞RNAを分離した。
Vセグメント内の体細胞突然変異の全体的頻度は0.0
6%(2/3,198bp)である。図79の二次応答:
13の無作為にとり上げたVH251−γ1cDNAク
ローン。生後2カ月の雌HCl系統26−JHDマウス
(#3204)に対して1カ月にわたり3回HEL及び
フロイントアジュバントを注入した(一次注入は完全ア
ジュバントで、又追加免疫は1週間目と3週間目に不完
全アジュバントで);4カ月後に脾臓とリンパ節のRN
Aを分離した。Vセグメント内での体液性突然変異の全
体的頻度は1.6%(52/3,198bp)。
【図80】広範な体細胞突然変異がγ1配列に制限され
ていることを示している:体細胞突然変異及びクラスス
イッチはB細胞の同じ集団内で発生する。CEAに対し
高度免疫された(免疫化計画については図68参照)H
Cl系統57のトランスジェニック−JHDマウス(#
2357)の脾臓及びリンパ節細胞から分離したVH2
51 cDNAクローンの部分的ヌクレオチド配列。図
80:IgM:23の無作為にとり上げたVH251−
μcDNAクローン。CDRs1及び2の周囲残基を含
む156bpのセグメントのヌクレオチド配列。体細胞突
然変異の全体的レベルは0.1%(5/3,744bp)
である。
【図81】図81:IgG:23の無作為にとり上げた
VH251−γ1cDNAクローン。CDRs1〜3及
び周囲残基を含むセグメントのヌクレオチド配列。Vセ
グメント内の体細胞突然変異の全体的頻度は1.1%
(65/5,658bp)である。図80中のμ配列との
比較のため;最初の156個のヌクレオチドに対する突
然変異頻度は1.1%(41/3,588bpである)。
記号の説明については、図80及び81の凡例を参照の
こと。
【図82】VH51P1及びVH56P1が、免疫化を
受けていないマウス内の広範な体細胞突然変異を示す。
生後9週目の免疫化を受けていない雌のHC2系統25
50のトランスジェニック−JHDマウス(#525
0)からのIgG重鎖可変領域cDNAクローンの部分
的ヌクレオチド配列。19VH56p1セグメントでの
体細胞突然変異の全体的頻度は、2.2%(101/
4,674bp)である。単一のVH51p1セグメント
内の体細胞突然変異の全体的頻度は2.0%(5/24
6bp)である。記号の説明については図78及び79に
対する凡例を参照のこと。
【図83】分析された内因性Ig遺伝子座をもつ2重ト
ランスジェニックマウスは、ヒトIgMκ陽性B細胞を
含んでいる。異なる遺伝子型をもつ4匹のマウスの脾臓
から分離された細胞のFACS。左欄:対照マウス(#
9944、生後6週目の雌、JH+/−,JCκ+/
−;異型接合野生型マウス重鎖及びκ−軽鎖遺伝子座、
非トランスジェニック)。第2欄:ヒト重鎖トランスジ
ェニック(#9877、生後6週目の雌JH−/−,J
Cκ−/−,HC2系統2550±;分断されたマウス
の重鎖及びκ−軽鎖遺伝子座について同型接合で、HC
2トランスジーンについて半接合)。第3欄:ヒトκ−
軽鎖トランスジェニック(#9878、生後6週目の雌
JH−/−,JCκ−/−,KCo4系統4437+;
分断されたマウスの重鎖及びκ−軽鎖遺伝子座について
同型接合で、KCo4トランスジーンについて半接
合)。右欄:2重トランスジェニック(#9879、生
後6週目の雌、JH−/−m JCκ−/−,HC2系
統2550+,KCo4系統4437+;分断されたマ
ウスの重鎖及びκk−軽鎖遺伝子座について同型接合
で、HC2及びKCo4トランスジーンについて半接
合)。上段:マウスλ軽鎖(x軸)及びヒトκ軽鎖(y
軸)の発現について染色された脾細胞。第2段:ヒトμ
重鎖(x軸)及びヒトκ軽鎖(y軸)の発現について染
色された脾細胞、第3段:マウスのμ重鎖(x軸)及び
マウスのκ軽鎖(y軸)の発現について染色された脾細
胞。下段:マウスB220抗原の発現について染色され
た脾細胞のヒストグラム(対数螢光:x軸:細胞数:y
軸)。2つの色図版の各々について、表示された象眼の
各々の中の細胞の相対数は、ヨウ化プロピジウム染色及
び光散乱に基づくe−パラメータゲートの百分率として
与えられている。下段に表示されている試料の各々にお
けるB220+細胞の分画は、リンパ球光散乱ゲートの
百分率として与えられている。
【図84】2重トランスジェニックマウスの血清中の分
泌された免疫グロブリンレベル。内因性重鎖及びκ−軽
鎖遺伝子座分断について同型接合の18の個々のHC2
/KCo4 2重トランスジェニックマウスからのマウ
スγ及びλ及びヒトμ,γ及びκ。マウス:(+)HC
2系統2550(組込み1回につき最高5つのHC2コ
ピー)、KCo4系統4436(組込み1回につき1〜
2つのKCo4コピー);(○)HC2系統2550,
KCo4系統4437(組込み一回につき最高10個の
KCo4コピー);(×)HC2系統2550,KCo
4系統4583(組込み一回につき最高5つのKCo4
コピー);(□)HC2系統2572(組込み1回につ
き30〜50のHC2コピー、KCo4系統4437;
(△)HC2系統5467(組込み1回につき20〜3
0個のHC2コピー、KCo4系統4437。
【図85】ヒト抗原に対するヒト抗体応答を示す。図8
5:組換え型ヒト可溶性CD4に対する一次応答。ヒト
IgM及びヒトκ軽鎖のレベルが、4つの2重トランス
ジェニックマウスからの出血前(○)及び免疫化後
(●)の血清について報告されている。
【図86】図86:インビボでヒトIgGに対するスイ
ッチが起こる。非特異的交叉反応性を阻害するべく1.
5μ/mlの余分なIgE,κ及び1%の正常なマウス血
清の存在下で使用されたペルオキシダーゼ接合されたポ
リクローナル抗ヒトIgGを用いて、ヒトIgG(円)
を検出した。ヒトκ軽鎖(正方形)は、1%の正常なマ
ウスの血清の存在下でペルオキシダーゼ接合されたポリ
クローナル抗ヒトκ試薬を用いて、検出した。1匹のマ
ウス(#9344;HC2系統2550,KCo4系統
4436)からの代表的結果が示されている。各々の点
は、重複ウエルの平均からバックグラウンド吸収を引い
たものを表わしている。
【図87】ヒトCD8+リンパ球からヒトCD4+リン
パ球を弁別するハイブリドーマ上清を用いたヒトPBL
のFACS分析を示す。
【図88】トランスジェニックマウスの血清内のヒトα
−CD4IgM anf IgGを示す。
【図89】トランスジェニックマウスのα−ヒトCD4
ハイブリドーマモノクローナル、2C11−8をRPA
−TA及びLeu−3Aモノクローナルと比較する競合
結合実験を示す。
【図90】培養された2C11−8ハイブリドーマのI
g発現についての産生データを示す。本発明のトランス
ジェニックマウスを、下記の表B及びCから選択された
ヒト抗原により免疫する。トランスジェニックマウスは
前記ヒト抗原に結合するヒト抗体を生産する。免疫され
たトランスジェニックマウスからのB細胞を用いて、前
記選択されたヒト抗原に対するモノクローナル抗体を分
泌するハイブリドーマを作製する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 9358−4B // C12N 15/02 ZNA (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 5/00 B C12R 1:91)

Claims (41)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機能的に分断された内因性重鎖対立遺伝
    子の同型接合対、機能的に分断された内因性軽鎖対立遺
    伝子の同型接合対、非相同免疫グロブリン重鎖トランス
    ジーンの少なくとも1つのコピー、及び異種性免疫グロ
    ブリン重鎖トランスジーンの少なくとも1つのコピーを
    含み、抗原での免疫化に続いて抗体応答を行なう、トラ
    ンスジェニックマウス。
  2. 【請求項2】 前記機能的に分断された内因性重鎖対立
    遺伝子がJH 領域相同組換えノックアウトであり、前記
    機能的に分断された内因性軽鎖対立遺伝子がJk 領域相
    同組換えノックアウトであり、前記異種性免疫グロブリ
    ン重鎖トランスジーンがHC1又はHC2ヒトミニジーント
    ランスジーンであり、前記異種性軽鎖トランスジーンが
    KC2又はKCleヒトκトランスジーンであり、前記抗原が
    ヒト抗原である、請求項1に記載のトランスジェニック
    マウス。
  3. 【請求項3】 抗体応答には、ヒトμ鎖含有免疫グロブ
    リン及びヒトγ鎖含有免疫グロブリンを含む抗体の集団
    が含まれている、請求項1に記載のトランスジェニック
    マウス。
  4. 【請求項4】 抗体応答には、抗体の集団が含まれ、こ
    の集団が、 −ヒト配列可変領域とヒト配列恒常領域で基本的に構成
    されている重鎖及び軽鎖を含む抗体;及び −ヒト配列可変領域とマウス配列恒常領域で基本てき構
    成されている重鎖を含む抗体、を含んでいる、請求項1
    に記載のトランスジェニックマウス。
  5. 【請求項5】 マウス配列恒常領域がマウスγ恒常領域
    である、請求項4に記載のトランスジェニックマウス。
  6. 【請求項6】 約8×107 -1の解離定数でヒトCD4に
    特異的に結合する非相同免疫グロブリンの集団が非相同
    抗体に含まれている、請求項1に記載のトランスジェニ
    ックマウス。
  7. 【請求項7】 HC1-26+;JHD++;JKD++;KC2-1610++;HCl-2
    6+;JHD++;JKD++;KC2-1610+;HCl-26+;JHD++;JKD++;KCle-
    1527+; 及びHCl-26+;JHD++;JKD++;KCle-1399+.から成る
    グループの中から選択された遺伝子型を有する、請求項
    2に記載のトランスジェニックマウス。
  8. 【請求項8】 HCl-26+;JHD++;JKD++;KCle-1527+及びHC
    l-26+;JHD++;JKD++;KCle-1399+から成るグループの中か
    ら選ばれた遺伝子型を有し、抗体応答には、ヒトμ鎖含
    有免疫グロブリン、ヒトγ鎖含有免疫グロブリン及び、
    各々基本的にヒト可変領域及びマウス恒常領域から成る
    重鎖を含むキメラ免疫グロブリンを含む抗体の集団が含
    まれている、請求項2に記載のトランスジェニックマウ
    ス。
  9. 【請求項9】 (1)機能的スイッチ組換え配列を含み
    トランススイッチを行なうことのできる少なくとも1つ
    のマウス恒常領域遺伝子を含む同型接合の機能的に分断
    された内因性重鎖遺伝子座及び、(2)機能的ヒト重鎖
    可変領域をコードするべく再配置可能でしかもトランス
    スイッチを受けることのできる機能的スイッチ組換え配
    列を含むヒト重鎖トランスジーン、を含むゲノムを含む
    トランスジェニックマウス。
  10. 【請求項10】 機能的ヒト軽鎖可変領域をコードする
    べく再配置でき、ヒト配列軽鎖を発現するヒト軽鎖トラ
    ンスジーンをさらに含む、請求項9に記載のトランスジ
    ェニックマウス。
  11. 【請求項11】 同型接合の機能的に分断された内因性
    軽鎖遺伝子座をさらに含む、請求項9に記載のトランス
    ジェニックマウス。
  12. 【請求項12】 ヒトトランスジーンによりコードされ
    るヒト配列可変領域及び内因性マウス重鎖恒常領域遺伝
    子によりコードされるマウス恒常領域配列から成るキメ
    ラ重鎖及び軽鎖を含む抗体を含む血清をさらに含む、請
    求項11に記載のトランスジェニックマウス。
  13. 【請求項13】 基本的にヒト可変領域及びヒト恒常領
    域から成るヒト重鎖及び軽鎖を含む抗体が血清にさらに
    含まれている、請求項12に記載のトランスジェニックマ
    ウス。
  14. 【請求項14】 ヒトトランスジーンと内因性マウス重
    鎖恒常領域遺伝子の間のトランススイッチにより生成さ
    れた配列によってコードされたキメラ重鎖を検出可能な
    量有する血清を含むトランスジェニックマウス。
  15. 【請求項15】 第1の時点でヒト配列重鎖を産生し、
    第2の時点でヒト可変領域及びマウス恒常領域から成る
    キメラ重鎖を産生するべくトランススイッチするB細胞
    を含むトランスジェニックマウス。
  16. 【請求項16】 ヒト配列重鎖可変領域及びマウス配列
    重鎖恒常領域及びマウス配列重鎖恒常領域を含むキメラ
    重鎖を含むキメラ抗体を産生し、かつさらに、ヒト配列
    重鎖可変領域及びヒト配列重鎖恒常領域を含むヒト重鎖
    を含む抗体を産生するB細胞を含むトランスジェニック
    マウス。
  17. 【請求項17】 前記キメラ抗体がヒト配列軽鎖を含
    む、請求項16に記載のトランスジェニックマウス。
  18. 【請求項18】 キメラ抗体が、少なくとも約1×107
    -1の親和力で予め定められた抗原(例えば免疫原)に
    結合する、請求項17に記載のトランスジェニックマウ
    ス。
  19. 【請求項19】 予め定められた抗原がヒトCD4又はヒ
    トCEA である、請求項18に記載のトランスジェニックマ
    ウス。
  20. 【請求項20】 2つのヒトVH 遺伝子セグメント、8
    つのヒトD遺伝子セグメント、6つのヒトJH 遺伝子セ
    グメント、1つのヒトJ−μエンハンサー、1つのヒト
    μスイッチ領域、1つの完全ヒトμCH 遺伝子、1つの
    ヒト不稔写しプロモーター、1つのヒトγスイッチ領
    域、1つの完全ヒトγCH 遺伝子及び重鎖3′エンハン
    サーを含むヒト重鎖トランスジーンを含むゲノムを有
    し、前記未配置のヒト重鎖トランスジーンにマウスVH
    遺伝子セグメント、マウスD遺伝子セグメント、マウス
    H 遺伝子セグメント、マウスCH 遺伝子、マウススイ
    ッチ領域、及びマウス重鎖エンハンサーが欠如し、この
    マウスのBリンパ球がV−D−Jジョイニングにより前
    記未配置のヒト重鎖トランスジーンを再配置して、前記
    トランスジーン上の前記完全ヒトμ又は完全ヒトγCH
    遺伝子によりコードされた恒常領域に対するポリペプチ
    ド結合の中で発現される重鎖可変領域をコードする枠内
    ジョイニングされたV−D−J遺伝子を産生している、
    トランスジェニックマウス。
  21. 【請求項21】 前記ヒト重鎖トランスジーンが、プリ
    スイッチ不稔写しの第1のエキソン及びγ1スイッチ領
    域を含むヒト重鎖遺伝子座の 5.3kbのHind IIIフラグメ
    ントを含み、前記Bリンパ球が前記ヒト重鎖トランスジ
    ーンと再配置して、このトランスジェニックマウスのB
    リンパ球内でヒトμ又はヒトγ鎖として発現される重鎖
    可変領域をコードする枠内ジョイニングされたV−D−
    J遺伝子を形成している、請求項20に記載のトランスジ
    ェニックマウス。
  22. 【請求項22】 前記トランスジーンがさらにヒト重鎖
    遺伝子座の 0.7kbのXba I/Hind IIIフラグメントを含
    み、この 0.7kbのXba I/Hind IIIフラグメントが基本
    的に前記 5.3kbγ1フラグメントのすぐ上流にあってこ
    のフラグメントに隣接する配列で構成されており、さら
    に前記ヒト重鎖遺伝子座の隣接する上流の 3.1kbのXba
    Iフラグメントを含んでいる、請求項21に記載のトラン
    スジェニックマウス。
  23. 【請求項23】 前記ヒト重鎖トランスジーンには、結
    びつけられたスイッチ領域と不稔写しに付随するエキソ
    ン及びこの不稔写し開始部位の上流の約4kbのフランキ
    ング配列を含むヒトγ1恒常領域、及び、5′CAG GAT
    CCA GAT ATCAGT ACC TGA AAC AGG GCT TGC31 51GAG CAT
    GCA CAG GAC CTG GAG CAC ACA CAGCCT TCC 3′という
    オリゴヌクレオチドプライマーでPCR 増幅されうるラッ
    ト重鎖3′エンハンサーが含まれている、請求項22に記
    載のトランスジェニックマウス。
  24. 【請求項24】 前記ヒト重鎖トランスジーンにはpHCl
    のNotIインサートが含まれている、請求項23に記載のト
    ランスジェニックマウス。
  25. 【請求項25】 前記pHClのNotIインサートの1つの無
    傷の生殖細胞系コピーを含み、血清中でヒトμ及びヒト
    γ1鎖の両方を発現する、請求項24に記載のトランスジ
    ェニックマウス。
  26. 【請求項26】 前記ヒト重鎖トランスジーンがアイソ
    タイプスイッチを受け、かくして枠内ジョイニングされ
    たV−D−J遺伝子が、最初ヒトμ恒常領域に対するペ
    プチド結合内で発現され次にこのトランスジェニックマ
    ウスのBリンパ球の中のヒトγ恒常領域に対するペプチ
    ド結合の中で発現されるヒト重鎖可変領域をコードする
    ことになっている、請求項25に記載のトランスジェニッ
    クマウス。
  27. 【請求項27】 血清中でヒトμ及びヒトγ1鎖を発現
    し、各々のヒトμ又はヒトγ1鎖にはVDJ遺伝子とし
    て枠内ジョイニングされたヒトVH 遺伝子セグメント、
    ヒトD遺伝子セグメント及びヒトJH 遺伝子セグメント
    によりコードされるポリペプチド配列で基本的に構成さ
    れている可変領域が含まれている、pHCl又はpIGM1のNo
    tIインサートの無傷の組込まれた生殖細胞系コピーを含
    むトランスジェニックマウス。
  28. 【請求項28】 さらに、マウスJH 遺伝子セグメント
    が欠如した機能的に分断された内因性重鎖遺伝子座が含
    まれている、請求項20に記載のトランスジェニックマウ
    ス。
  29. 【請求項29】 ヒト又はヒトγ1恒常領域を含み前記
    ヒト重鎖トランスジーンによりコードされた免疫グロブ
    リン鎖をその血清中で発現し、基本的にpHClのNotIイン
    サートから成るヒト重鎖トランスジーンの無傷の組込ま
    れた生殖細胞系コピーを有するトランスジェニックマウ
    ス。
  30. 【請求項30】 トランスジェニックマウスの血清中で
    ヒト免疫グロブリンを含む抗体を産生するための方法に
    おいて、請求項1又は20に記載のトランスジェニックマ
    ウスを予め定められた抗原で免疫化する段階及び体液性
    免疫応答のための適切な時間の後この動物から血清を収
    集する段階を含む方法。
  31. 【請求項31】 請求項1又は20に記載のトランスジェ
    ニックマウスのB細胞を不死化することのできる第2の
    細胞と融合された、予め定められた抗原で免疫化された
    このB細胞を含むハイブリドーマにおいて、ヒト重鎖を
    含むモノクローナル抗体を再生し、このモノクローナル
    抗体が前記予め定められた抗原に結合するハイブリドー
    マ。
  32. 【請求項32】 予め定められた抗原がヒト抗原であ
    る、請求項31に記載のハイブリドーマ。
  33. 【請求項33】 ヒト抗原が CEA, CD4又はNCA-2であ
    る、請求項32に記載のハイブリドーマ。
  34. 【請求項34】 少なくとも1×107 -1の親和力で、
    モノクローナル抗体がヒト抗原に結合する、請求項31に
    記載のハイブリドーマ。
  35. 【請求項35】 ハイブリドーマが機能的に分断された
    マウス免疫グロブリン対立遺伝子を含んでいる、請求項
    31に記載のハイブリドーマ。
  36. 【請求項36】 約8×107 -1の親和力で、モノクロ
    ーナル抗体がヒトCD4に結合する、請求項34に記載のハ
    イブリドーマ。
  37. 【請求項37】 請求項31に記載のハイブリドーマによ
    り再生されるヒトモノクローナル抗体。
  38. 【請求項38】 前記ヒト抗原が、 CEA, CD4又はNCA-
    2である、請求項37に記載のヒトモノクローナル抗体。
  39. 【請求項39】 所定の抗原がヒトCD抗原である、請求
    項31に記載のハイブリドーマ。
  40. 【請求項40】 所定の抗原がヒト非−CD抗原である、
    請求項31に記載のハイブリドーマ。
  41. 【請求項41】 所定の抗原がヒト病原体又はヒト病原
    体の抗原である請求項31に記載のハイブリドーマ。
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