JPH0816726B2 - 酸化タンタル―シリカ干渉フィルター,それを用いた基板,干渉フィルター及び電気ランプ - Google Patents

酸化タンタル―シリカ干渉フィルター,それを用いた基板,干渉フィルター及び電気ランプ

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JPH0816726B2
JPH0816726B2 JP1296024A JP29602489A JPH0816726B2 JP H0816726 B2 JPH0816726 B2 JP H0816726B2 JP 1296024 A JP1296024 A JP 1296024A JP 29602489 A JP29602489 A JP 29602489A JP H0816726 B2 JPH0816726 B2 JP H0816726B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は酸化タンタルおよびシリカ層の交互に重ねて
作られた酸化タンタル−シリカ干渉フィルター,それを
用いた基板,干渉フィルターおよび電気ランプに関する
ものである。より詳細に述べると、本発明は少なくとも
12の層を有し、(i)50倍に拡大して観察されると、不
揃いのひび割れ模様を示し、(ii)1500−2000nmの波長
で拡散反射が約5%より小さい、酸化タンタルおよびシ
リカの層を交互に重ねて作られた、応力の小さい酸化タ
ンタル−シリカ干渉フィルター,それを用いた基板,干
渉フィルターおよび電気ランプに関するものである。
〔従来の技術〕
屈折率が異なる2つまたはそれ以上の成分層を交互に
重ねて作られる干渉フィルターとしての薄膜光被覆は技
術者にとっては周知のものである。このような被覆また
は膜は紫外線、可視および赤外線放射のような電磁放射
スペクトルのさまざまな部分からの光反射を選択的に反
射または透過するのに使われる。それらの膜または被覆
は反射器およびランプ球をおおうのにランプ製造の際に
用いられる。これらの薄膜光被覆が有効に使用されてい
る一例はフィラメントが発した電磁スペクトルの可視光
線部分は透過するが、フィラメントまたはアークにより
発せられた赤外線エネルギーはそれらに対して反射し、
白熱ランプの照射効率または効力を高めることである。
このおかげでフィラメントがその作動温度を保つのに必
要とする電気エネルギー量を減らすことができる。赤外
線放射を透過したい他のランプで使用される際には、こ
のようなフィルターはフィラメントまたはアークにより
発せられた紫外線および可視光線のようなスペクトルの
短い波長部分は反射する一方、可視光線放射を少ししか
含まない、あるいは全く含まない熱放射を供給するため
に赤外線部分はほとんど透過するということもできる。
この後者の形での使用としては、ヒーターが発する可視
放射が不必要な住宅用または工業用の典型的な放射ヒー
ターがあげられる。
500℃程度以上の高温にさらされても、使用可能な干
渉フィルターは高屈折材料である酸化タンタル(五酸化
タンタル Ta2O5)および低屈折率材料であるシリカ(S
iO2)の層を交互に重ねて作られた。このようなフィル
ターおよびそれを使用したランプは例えば米国特許第4,
588,923号,第4,663,557号および第4,689,519号の中で
明示されている。干渉フィルターは、内部にフィラメン
トを有するガラスランプ球の外面に施されており、ラン
プが使用されると干渉フィルターの作動温度はしばしば
800−900℃にも達する。これらの干渉フィルターまたは
被覆は主に蒸発技法またはスパッタリング技法を使って
施される。しかし、これらの技法により満足のいく干渉
フィルターは作り出せるが、平面以外の物に対しては均
一な被覆を施すことができないという点で制約があっ
た。ランプを作るのに使われる管の場合は、被覆が施さ
れる際スパッタリング室または真空の蒸発室内でその管
は回転されていなければならない。この技法は曲線状の
物体に均一に被覆を施すのには向いていない上、費用も
かなりかかる。
従って、米国特許第4,701,663号で明示されているよ
うな溶解堆積技法を使って干渉フィルターを作る試みが
なされた。この特許においては、膜は酸化タンタルとシ
リカの層を交互に重ねて作られてはいない。その代わり
に、二酸化チタンとシリカの層を交互に重ねて成り、さ
らにその技法は酸化タンタル−シリカ膜にも応用できる
と述べられている。しかし、その中ではまた、二酸化チ
タン−シリカ膜が約500−600℃の温度で熱せられると、
激しい応力が引起され、その結果膜にひびが入ったり、
シリカ基板がはがれたりすることも述べられている。こ
の特許の基本的なスラストはひび割れや膜のはがれを少
なくするために付加される五酸化リンや三酸化二ホウ素
のような応力を小さくする試薬をかなりの量シリカ層へ
付加することと関係がある。しかし、特許第4,701,663
号で述べられている通り、フィルターのシリカ層にこれ
らの付加物を加えると、光特性が著しく悪くなり、低品
質のフィルターとなってしまう。さらに、上述の特許で
述べられているようにこのような付加物をかなりの量シ
リカに加えると、フィルター内のシリカ材質の特性が比
較的低温でとけるガラスの特性に変化してしまう。
米国特許第4,734,614号の中で、シリカと酸化タンタ
ルの層を交互に重ねて成る干渉フィルターが高温で使用
される時に、激しい応力が引き起こされるという問題が
あることが認められている。このように同特許の第1
欄、54行目以下で酸化タンタルは物理的、化学的安定性
を制約し、800℃で30分加熱した後絵画の表面に生じた
亀裂のように目にみえる応力ひび割れを引起す多結晶形
状に結晶すると述べられている。この結果、可視放射、
赤外線放射両方とも散乱する不適当なフィルターとなっ
てしまう。酸化タンタルの代わりとして、五酸化ニオブ
の使用が提案されている。従って、複雑な形状に対して
比較的均一な被覆を施せる方法で作られ、かつ膜がひび
割れたり、基板からはがれたりするような応力を有さな
い、酸化タンタルとシリカが交互に重ねられて成る薄膜
光被覆干渉フィルターが必要となる。
〔発明の概要〕
光散乱が割合に小さく、高温での使用に適している酸
化タンタルとシリカの層が本質的に交互に重なって成る
比較的応力の小さい干渉フィルターとしての薄膜光被覆
が化学蒸着法(CVD)、好ましくは低圧化学蒸着法(LPC
VD)により石英のような適当な基板上に膜を形成し、続
いて粘着がまずかったり、膜がはがれたり、また光の散
乱が比較的大きくなったりする原因となる失敗にもつな
がる応力の形成を防ぐために上述の膜に熱処理を施すこ
とにより得られることがわかった。本発明に基づいて作
られた膜は比較的応力も光散乱も小さく、石英基板にし
っかりと粘着してすぐれた光特性を示す。このように本
発明は酸化タンタルおよびシリカの層が少なくとも12の
層を有し、(i)50倍の光倍率で観察されると、不ぞろ
いのひび割れ模様を示し、(ii)約1500−2000nmの波長
での拡散反射が5%より小さい酸化タンタルおよびシリ
カの層が交互に重なって本質的になる干渉フィルターに
関するものである。好ましくは、これらの干渉膜は少な
くとも全部で16の酸化タンタルおよびシリカの層が交互
に重なって成り、より好ましいのは少なくとも20、さら
に好ましいのは少なくとも全部で24の酸化タンタルおよ
びシリカの層が交互に重なって成ることである。また、
この膜は約1500−2000nmの波長で拡散反射が4%以下、
さらには3%以下になるように本発明に基づいて製造さ
れた。
しっかりと粘着され、比較的応力も光散乱も小さい本
発明の酸化タンタル−シリカ膜にとって不可欠かつ大切
な特色は膜が基質にはりつけられた後の膜に対する次の
熱処理である。特に、膜堆積工程が終了した後、被覆さ
れた基板は約550−675℃の温度に熱せられ、その後この
温度範囲内でおよそ0.5−5時間、できれば1−5時間
保たれねばならない。実施例においては、550−675℃の
熱処理の後、実際に膜が使用される際の温度にまで熱せ
られる。膜を約550−675℃の温度で保つか均熱すること
は本発明の膜を作る際斜方晶系五酸化タンタル結晶の結
晶作用により引き起こされる失敗にもつながる応力を防
ぐために重要である。これとは反対に、もし酸化タンタ
ル−シリカ膜に本発明の熱処理が施されないと、応力が
きわめて大きくなり、そのため干渉フィルターは約600
℃以上の高温にさらされた後、基板から膜がひどくはが
れたり、基板に対する膜の物理的粘着力が弱まったり、
完全になくなったり、あるいは光が著しく散乱したりす
る結果となる。これらの膜は石英管を含む石英基板上に
製造された。第1図に示された型のハロゲン白熱ランプ
はランプ製造前および製造後ともこれらの膜でおおわれ
た石英管から作られた。ランプは石英の外面が約900℃
となるランプ温度で作動された。そして、ランプを何千
回もの周期でつけたり消したりすることにより引き起こ
される熱周期にさらされた後でさえも比較的光散乱が小
さく、膜がはがれることもなくまた被覆の粘着もしっか
りしていた。
酸化タンタルは本来は五酸化タンタルTa2O5を意味
し、シリカは本来は少なくとも約95%のSiO2を意味す
る。明確に述べると、本発明の本質的に24のシリカおよ
び酸化タンタルの層が交互に重なってできた膜とはシリ
カおよび酸化タンタルの膜両方を合わせた合計が24とい
うことである。つまり、12のシリカ層と12の酸化タンタ
ル層が交互に重ねられているということである。
石英基板上に本発明の干渉膜を堆積するのに化学蒸着
法または低圧化学蒸着法を用いる場合、基板または物質
は約350−600℃の温度で堆積室に置かれる。物体がこの
温度に達した後、酸化タンタルまたはシリカのどちらか
の気体前駆物質が室に入れられ、そこで基板上に酸化タ
ンタルまたはシリカのどちらかの層を形成するために反
応を起させられるか、または分解される。この過程が望
ましい干渉フィルターができるまでシリカおよび酸化タ
ンタルの堆積を交互に重ねながら他の酸化物層に対して
何度もくり返される。
石英基板上に施され、本発明に従って熱処理をなされ
た干渉フィルターが900℃の熱周期に何千周期もさらさ
れた後の基板上からの損失はスコッチテープによる粘着
検査で測定されたように5%以下、一般には1%以下で
ある。これに比べて、熱処理が施されていない同じよう
な膜に熱周期が加えられた場合の膜損失は一般に50%以
上である。
〔実施例の詳細な説明〕
第1図は、赤外線放射をフィラメントに反射してそこ
で可視放射に変える本発明に基づいた酸化タンタル−シ
リカの干渉フィルターを外面に施したランプから成る本
発明の一実施例を示す。この種のランプは本発明に従っ
て干渉フィルターが12のシリカ層と12の酸化タンタル
層、計24層が交互に重ねられ、膜全体が厚さが約4.1ミ
クロンになるように作られており、ランプ効率は約20〜
50%高くなっている。第1図に示されたランプは約800
℃の高温に耐えられるガラス質の光透過材料、ここでは
石英から作られたランプ球10を有する。ランプ球10の各
端は、溶接のような適当な方法でモリブデン・フォイル
14に電気的、物理的に固定されたリード・コネクタ13が
そこを通ってシールされている締めつけシール部12を有
する。モリブデン・フォイル14はランプの締めつけシー
ル部12に密閉され、はめ込まれている。モリブデンまた
はタングステンのような適切な耐熱性金属から成るリー
ド線15は一端がモリブデン・フォイル14の残りの一端に
固定され、もう一端はタングステン・フィラメント17に
接続されている。このタングステン・フィラメント17は
ランプ球内部のフィラメント軸上で米国特許第3,168,67
0号で明示されている形のタングステン・コイル軸支持
部材のような複数の適当な支持部材18により支えられて
いる。本発明の薄膜光干渉フィルター20がランプの外面
に一様に施されている。上述の通り、膜20はランプから
発せられた放射エネルギーの通過帯域および阻止帯域特
性を調整するよう配置された酸化タンタルとシリカの層
が交互に重なってできている。シリカと酸化タンタルが
組合せられた層の数は少なくとも12、できれば少なくと
も16、より好ましいのは少なくとも20さらに好ましいの
は少なくとも24である。一実施例においては干渉膜20は
可視放射は通すが、タングステン・フィラメント17によ
り発せられた赤外線放射はフィラメントに向けて反射す
る。反対に、酸化タンタルおよびシリカの層が交互に重
なって成る干渉膜は赤外線放射は通すが、可視放射は反
射するよう設計されてもかまわない。さらに他の実施例
では、膜20は紫外線または全光スペクトルの特別な部分
内の放射は通し、一方通さない方がよい光は反射するよ
う設計することもできる。このように、膜は主に紫外線
放射を通すランプを製造するのに、また可視光領域にお
けるランプの一般色の透過特性を変えるのにも使うこと
ができる。
上述の記載はわかりやすく説明するためのものであ
り、本発明の非制限的な例ではない。
上述のように、本発明の干渉フィルターの薄膜光被覆
は化学蒸着法、好ましくは、低圧化学蒸着法で作られ
る。これらの方法においては、適当な金属酸化前駆物質
試薬または膜の各成分に対する試薬が別々に分解室に入
れられ、そこで熱せられた基板上に金属酸化物を形成す
るために分解されるか反応を起させられる。シリカおよ
び酸化タンタルのおのおの層はこの方法で望ましいフィ
ルター構造が得られるまで基板上にはりつけられる。こ
のような化学蒸着法は技術者にとっては周知のものであ
り、それらは、例えば、米国特許第4,006,481号,第4,2
11,803号,同第4,393,097号,同第4,435,445号,同第4,
508,054号,第4,565,747号および米国特許第4,775,203
号の中で明示されている。本発明に基づいて基板上に酸
化タンタルおよびシリカの金属酸化膜を形成する際に
は、基板または物質は堆積室内に置かれる。物質上の酸
化タンタルまたはシリカ膜の反応または分解おび共存堆
積を達成するために、物質が望ましい温度になるように
室は一般に炉の中に入れられる。これらの温度は通例約
350〜600℃の間で、使用される特有の試薬によって決ま
る。低圧化学蒸着法に関して述べれば、堆積室は真空
で、蒸気状の好ましい金属酸化物、つまり酸化タンタル
またはシリカの適切な有機金属前駆物質は堆積室に適当
な方法で流されることができる。試薬が堆積室に流れ込
むと、それは基板上に酸化タンタルまたはシリカのどち
らかの膜を堆積するために分解される。好ましい厚さの
膜が完成すると、試薬の流れは止められ、室は真空にな
る。そして、もう一方の物質に対する試薬がその物質が
好ましい厚さになるまで堆積室に流し込まれる。望まし
い多層の干渉フィルターができるまでこの過程がくり返
される。
低圧化学蒸着法によりシリカ膜を堆積する際本発明中
で使われるのに適した化合物の実例的なしかし非制限的
な例としては、ジアセトシ・ジブトキシ・シラン,テト
ラアセトキシ・シランおよびケイ素テトラキス・ヂエチ
ルオキシアミンがあげられる。低圧化学蒸着法により、
酸化タンタルの層を堆積するのに役立つ本発明において
使用されるのに適した試薬としてはタンタル・ペンタエ
トキシド,タンタル・イソプロポキシド,タンタル・メ
トキシド,タンタル・ブトキシド,タンタル・アルコキ
シドとタンタル五酸化物を混合したもの、そして水およ
び(または)酸素が含まれる。堆積室では、室を通って
試薬が移動するのを促進するためにキャリヤーガスを使
う必要はない。しかし、要求があれば不活性キャリヤー
ガスを使用することもできる。堆積工程中の室内の圧力
は一般に約0.1−2.0Torrの間であり、使用される試薬お
よび基板の温度によって決められる。化学蒸着法では大
気圧が使用されることもできる。堆積室内での気体試薬
の流動速度は一般に約10〜2,000SCCMであり、反応室の
大きさ、試薬、キャリヤーガスの有無および望ましい堆
積速度により決まる。酸化タンタルおよびシリカの各層
はこの方法によりプラスあるいはマイナス5%以内の均
一な厚さで堆積されることができ、平らな基板上でも湾
曲した基板上でもうまく堆積される。このような酸化タ
ンタルおよびシリカの均一な膜が厚さ約100〜約20,000
オングストロームに渡って作られることができる。本発
明の干渉フィルターのシリカと酸化タンタルが交互に重
なってできた層を形成する際には、まず酸化タンタルま
たはシリカの膜が堆積され、特有のシリカまたは酸化タ
ンタル試薬の室への流れが止められ、室は真空になる。
それから他の膜、つまり酸化タンタルまたはシリカに対
する前駆物質または反応物である試薬が室内に流し込ま
れる。干渉フィルターとして望ましい数の層が形成され
るまで、この工程がくり返される。
堆積室内で好ましい基板または物質上に望み通りの干
渉フィルターが形成された後、基板または物質は約560
−675℃内の臨界温度範囲に加熱されることにより熱処
理を施される。その後各酸化タンタル結晶の著しい結晶
成長なしに酸化タンタル検証または晶子を形成するため
に約1−5時間の間この温度内で保たれる。この加熱は
基板を550−675℃でまたは550−675℃以下の特殊な温度
体制で保つか、膜でおおわれた基板を上述の温度範囲で
ゆっくりと熱することにより行われる。堆積の後、膜で
おおわれた基板または物質は550−675℃の温度範囲に熱
せられる前に短時間いくらか冷されてもかまわない。例
えば、24の酸化タンタルおよびシリカ層から成る石英上
の干渉フィルムは450−500℃の堆積室から取出され、50
0℃の炉に入れられて550−675℃に加熱される前に15分
間200℃に冷されたが、これにより、800℃でランプが使
われた後膜に対する反作用が起こるということはなっ
た。加熱され、酸化タンタル晶子が形成するのに十分な
だけの時間550−675℃の温度範囲で保たれた後、膜でお
おわれた基板または物質は干渉膜が実際に使用される場
合にさらされるとほとんど同じ高温に加熱され、その温
度で約0.1−5時間保たれるのが望ましい。熱処理は膜
が形成された後の堆積室のもとの場所で行われてもよい
し、他の場所で行われてもよい。例えば、膜でおおわれ
た基板は500℃の温度で堆積室から取り出され、500℃で
炉に入れられる。そして1分間に1℃の割合で550−675
℃の温度まで1−5時間加熱され、続いて1分間に1℃
の割合で800℃まで加熱され、そして室温にさまされる
前に800℃で0.1−5時間保たれる。800℃で作動し、こ
のような方法で処理された被覆を有する第1図に示され
た型のタングステン・ハロゲンランプは室温と800℃ま
たは900℃の間で何千もの熱周期にさらされた後でさえ
も膜がはがれるということはない。
もし、膜でおおわれた物質が550−675℃の熱処理を施
される前に約675℃以上の温度(すなわち≧700℃)に加
熱され、それから室温にさまされると、失敗にもつなが
る応力が膜内で発生して基質へ粘着がうまくいかなかっ
たり、光特性が悪くなったりするであろう。酸化タンタ
ル結晶はC軸が最も長い斜方晶系である。各酸化タンタ
ル結晶または晶子の著しい結晶成長はC軸に沿った異方
性成長のために失敗につながる応力を酸化タンタル膜に
引き起こすことになる。特定の論理に拘束されるのを望
まないと、550−675℃の温度範囲内で膜を保持する結果
個々の晶子が著しく成長することなしに多数の酸化タン
タル晶子が形成され、またこのような結晶成長により生
じる失敗にもつながる応力もいっしょに形成されると考
えられている。温度は約600−675℃の間が望ましいだろ
う。なぜなら600℃以下の温度では、晶子形成に極端に
長い時間がかかり、商業的に実現不可能である。酸化タ
ンタル膜は化学蒸着法または低圧化学蒸着法により350
−550℃の温度で反応室に堆積されるには非結晶であ
り、斜方晶系酸化タンタル晶子の異方性成長が原因で起
る失敗にもつながる応力の形成をさけるために十分な量
の晶子を形成することが、次の550−675℃での熱処理に
より可能になると考えられている。
第3図は、低圧化学蒸着法により1インチの正方形で
ある平面状の石英基板上に実験室で堆積され、その後熱
処理を施されずに室温にさまされた酸化タンタル/シリ
カ干渉フィルターの切片を50倍率で拡大して撮影した写
真である。室温で数ケ月置かれた後、それは1時間以上
800℃の炉の中に入れられた。第4図もまた平面状の1
インチの正方形の石英基板上に堆積された第3図のもの
と類似した膜を約50倍率で拡大して撮影した写真である
が、第3図とはきわだった相違を示している。第4図の
方は膜堆積の後、堆積室から取出され、500℃の炉に入
れられた。ここで1分間に1℃の割合で500〜650℃の温
度まで加熱され、2時間置かれた。続いて、1分間に1
℃の割合で800℃まで加熱され、2時間置かれた。その
後炉から取り出されて、室温にさまされた。室温で数ケ
月置かれた後800℃の炉に1時間入れられた。
2つの膜の違いはすぐにわかる程はっきりしたもので
ある。第4図の加熱処理を施された膜は細かい、不ぞろ
いのひび割れ模様を示し、いく分細かい絵画の表面に生
じた亀裂のようである。そして、光の線は散乱光であ
る。これとは対称的に第3図では、ひび割れ模様は実質
的に第4図より大きく、太い線からはっきりとわかるよ
うに膜のはるかに多くの部分が基板から浮上っている。
その上写真の小さい円形部分からわかるように、膜のか
なりの部分が基板からはがれている。第3図、第4図ど
ちらの写真も暗い野外の光の条件の元で、サイズ・アク
シプラン(Zeiss Axioplan)顕微鏡を用いて撮影され
た。膜の粘着検査は第3図、第4図に示された基板に類
似した1インチの正方形の平面状石英基板上でふつうの
1/2インチのスコッチ銘柄のマジックテープを用いて、
それを各膜の上にこすりつけ、続いて基板に対して垂直
角度に引きはがすことにより行われた。熱処理が施され
ていない膜のこの検査における膜損失はおよそ50%以上
であったが、これに対し熱処理が施された膜の方は1%
以下の膜損失であった。24層のシリカと酸化タンタルの
層が交互に重なってできた(12の酸化タンタル層および
12のシリカ層)膜はその全厚さが約4.1ミクロンであ
る。シリカは450−500℃でのディアセトキシ・デイブト
キシ・シランの分解により堆積され、酸化タンタルはほ
とんど同じ温度でのタンタル・エトキシドから堆積され
る。
第2図は第3図、第4図で示された膜に対応する膜の
波長機能としての拡散反射率を示すグラフである。この
ように、第3図の膜に対応するグラフは第2図では断続
線で示されており(熱処理は施されておらず)、これに
対し、第2図に示された実線は第4図の膜に対応する。
両膜間の拡散反射特性における実質的な違いは一目でわ
かる。熱処理が施された膜の方は1500nmと2000nm間の波
長では拡散反射率は3%以下であった。一方熱処理が施
されていない膜の方は同じ波長での拡散反射率は平均し
て10%以上であった。
下記の表は第3図、第4図に対応する膜の透過率
(T)および反射率(R)に対する波長機能としての平
均値を示す。第3図、第4図の膜は一方は熱処理を施さ
れ、もう一方は熱処理を施されずに、長時間室温にさま
され、その後800℃の炉に一時間入れられた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に基づいた酸化タンタル−シリカ干渉膜
を外面に有する細長いタングステン・ハロゲン・ランプ
の側面図である。第2図は、本発明の熱処理を最初に施
されて、および施されずに800℃の温度に1時間さらさ
れた後の本発明の干渉膜に対する波長機能としての拡散
反射率を示すグラフである。第3図は本発明の熱処理を
施されずに800℃に加熱された、低圧化学蒸着法により
石英上に堆積された酸化タンタル−シリカ干渉フィルタ
ーの面のひび割れの状態を50倍率に拡大して取られた粒
子構造の写真である。第4図は800℃に加熱される前に
本発明に従って熱処理を施された、低圧化学蒸着法によ
り石英上に堆積された酸化タンタル−シリカ干渉フィル
ターの面のひび割れの状態を50倍率に拡大して取られた
粒子構造の写真である。 符号の説明 10……ランプ球 12……締めつけシール部 13……リード・コネクター 14……フォイル、15……リード線 17……フィラメント、18……支持部材 20……干渉フィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 チャールズ・ディーン チェッター アメリカ合衆国、オハイオ州 44143、メ イフィールド ヴィレッジ、ヘミングウェ イ ロード 6200

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】膜でおおわれた基板を形成するために、化
    学蒸着法により全層数が少なくとも12の酸化タンタルお
    よびシリカの層を交互に基板上に堆積し、続いて上述の
    膜でおおわれた基板が約600℃以上の高温にさらされる
    前にそれをおよそ0.5−5時間約550−675℃の温度で加
    熱することにより作られた、およそ600℃を越える温度
    でも使用可能な酸化タンタル−シリカ干渉フィルター膜
    をガラス基板上に形成する方法。
  2. 【請求項2】上記の膜におおわれた基板が550−675℃に
    0.5−5時間熱せられた後、さらに上記の膜が実際にさ
    らされるであろう高温で約0.1−5時間加熱される請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】上記フィルターが全体で少なくとも20の層
    からなる請求項第1項または第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】上記基板が石英からなる請求項第1項から
    第3項のいずれか1つに記載の方法。
  5. 【請求項5】上記高温が675℃を越える請求項第1項か
    ら第4項のいずれか1つに記載の方法。
  6. 【請求項6】上記膜が低圧化学蒸着法により堆積される
    請求項第1項から第5項のいずれか1つに記載の方法。
  7. 【請求項7】シリカが少なくともほぼ95%のSiO2含有量
    を有する請求項第1項から第6項のいずれか1つに記載
    の方法。
  8. 【請求項8】干渉膜でおおわれた基板であり、表面に化
    学蒸着法により全層数が少なくとも12の酸化タンタルお
    よびシリカの層が交互に堆積され、続いて上述の膜でお
    おわれた基板が約600℃以上の高温にさらされる前にそ
    れをおよそ0.5−5時間約550−675℃の温度で加熱する
    ことにより作られた、およそ600℃を越える温度でも使
    用可能な酸化タンタル−シリカ干渉フィルター膜を形成
    された基板。
  9. 【請求項9】干渉フィルター膜でおおわれた干渉フィル
    ターであり、ガラス基板上に化学蒸着法により全層数が
    少なくとも12の酸化タンタルおよびシリカの層が交互に
    堆積され、続いて上述の膜でおおわれたガラス基板が約
    600℃以上の高温にさらされる前にそれをおよそ0.5−5
    時間約550−675℃の温度で加熱することにより作られ
    た、およそ600℃を越える温度でも使用可能な酸化タン
    タル−シリカ干渉フィルター膜を形成された干渉フィル
    ター。
  10. 【請求項10】電気光源を内部に有する光透過ガラスラ
    ンプ球と、上記ランプ球の光透過ガラス上に化学蒸着に
    より全層数が少なくとも12の酸化タンタルおよびシリカ
    の層が交互に堆積され、続いて上述の膜でおおわれた上
    記ランプ球の光透過ガラスが約600℃以上の高温にさら
    される前にそれをおよそ0.5−5時間約550−675℃の温
    度で加熱することにより作られた、およそ600℃を越え
    る温度でも使用可能な酸化タンタル−シリカ干渉フィル
    ター膜からなることを特徴とする電気ランプ。
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