JPH081706B2 - 光学的情報記憶媒体 - Google Patents

光学的情報記憶媒体

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JPH081706B2
JPH081706B2 JP61007605A JP760586A JPH081706B2 JP H081706 B2 JPH081706 B2 JP H081706B2 JP 61007605 A JP61007605 A JP 61007605A JP 760586 A JP760586 A JP 760586A JP H081706 B2 JPH081706 B2 JP H081706B2
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哲之 蔵田
裕至 肥塚
誠 角田
顯 津村
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、例えば光ディスク記憶再生装置に使用す
る記憶媒体、特にレーザー光を用いた時に光誘起反応に
よって情報を書込み、この書込み情報をレーザー光を用
いて読出すことのできる光学的情報記憶媒体に関するも
のである。
〔従来の技術〕
従来、光ディスク装置で使用される光学的記憶情報媒
体としての円板状記憶担体(以下、光ディスクと称す)
としては、通常、記録装置を備えているが、情報の記録
後、記録済みの情報を消去できない追記型の光ディスク
と、情報の記録後、その情報の消去が可能で、再度その
消去部分に情報を記録することのできる消去型の光ディ
スクが知られており、このような光ディスクを用いた光
ディスク装置が電子計算機の外部記憶装置として用いら
れている。
追記型の光ディスクを用いる追記型ディスク装置で
は、ガラス又はプラスチック基板表面に記憶媒体として
例えばテルル等の低融点の金属蒸着膜を形成した追記型
の光ディスクを高速回転させ、この回転時に、書込むべ
き情報に従って光変調させたレーザー光を光吸収層であ
る上述の金属蒸着膜に集光させ、この集光により熱的加
工を行なうことによって上述の金属蒸着膜に穴をあける
形で情報を書込む。この方式では熱的加工によって情報
が追記型の光ディスクに書込まれるために、一旦、金属
蒸着膜に記録されて記録された情報を消去することは不
可能である。
一方、消去型の光ディスクを用いる消去型光ディスク
装置では、例えばカー効果等の光磁気効果や結晶・非結
晶間の相転移を利用した方式を用いたものがある。例え
ば、相転移型の方式では、ガラス基板表面に記憶媒体と
してテルル系アモルファス金属層を形成した消去型の光
ディスクを高速回転させ、書込むべき情報に従って光変
調させたレーザー光を上述のアモルファス金属層に集光
させ、その変調したレーザー光の熱によって上述のアモ
ルファス金属層に相転移を生ぜしめ情報を書込み、この
書込み情報を消去する時には、連続レーザー光の熱を利
用して上述のアモルファス金属層に再び相転移を生ぜし
め、光ディスクを元の状態に戻す。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来の光学的情報記憶媒体は以上のように構成されて
いるので、レーザー光の集光できる約1μm径の面積に
1つの情報だけしか記録して記憶することができず、記
録済みの情報の記憶密度としては108ビット/cm2が限界
であり、また特に、従来の消去型の光学的情報記憶媒体
が消去型光ディスク装置に用いられると、情報の有無に
対するその記憶媒体の変化が小さいので情報の読出し時
におけるS/N比が小さくなるなどの問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解消するためにな
されたもので、光を集光できる微小面積、例えば約1μ
m径の面積に多重に情報を記録して記憶することがで
き、また、記憶密度を大幅に向上させることができ、さ
らに情報の読出し時におけるS/N比を大幅に向上させる
ことのできる光学的情報記憶媒体を得ることを目的とす
る。
〔問題点を解決するための手段〕
第1の発明に係る光学的情報記憶媒体は、少なくとも
光誘起反応前及び光誘起反応後のいずれかの吸収スペク
トル幅が互いに重ならない部分を有し、構成分子の少な
くとも一部を一定方向に配向しさせた2種類以上の記憶
材料を同一集光方向の異なる位置に配置した情報記憶媒
体を備えたものである。
また、第2の発明に係る光学的記憶媒体は、構成分子
の少なくとも一部を特定の2方向に配向させた、光誘起
反応を起こす1種類の記憶材料の配向方向を略平面内に
含む情報記憶媒体層を備えたものである。
〔作用〕
第1の発明における光学的情報記憶媒体は、2種類以
上の光誘起反応を生じる記憶材料を用いることにより同
一集光方向に複数の情報を多重に記録できるので、記録
密度を大幅に向上させることができ、しかも分子の少な
くとも一部を配向させることによって偏光特性等を利用
して書き込み時における書き込み効率を向上させ、且つ
読み出し時のS/N比を向上させることができる。より詳
細には、吸収スペクトル内の波長の情報記憶用の光を照
射されて光誘起反応を起こして吸収スペクトル又は屈折
率等の光学的特性を変化することにより情報を記憶し、
光の集光できる例えば約1μm径の記憶ビット領域の集
光方向に夫々の記憶材料の夫々のスペクトルに属する書
込み波長の異なる光を照射されることにより多重に情報
を記憶できるようになるばかりか、記憶材料の分子を特
定の一方向に配向することによって書込み時に偏光等を
利用できることからの情報の書込み効率の大幅な向上
と、偏光特性等を用いることによる情報の読出し時のS/
N比の大幅な向上を実現できる。
また、第2の発明における光学的情報記憶媒体は、1
種類の光誘起反応を生じる記憶材料分子を配向させるこ
とによって、1種類のみの記憶材料で多重記憶が可能に
なるとともに、記憶材料の分子の配向によって第1の発
明の作用と同様の作用をする。
〔実施例〕
以下、この発明の一実施例を図について説明する。
第1図この発明の一実施例による光学的情報記憶媒体
へのレーザー光による情報の書込み及び読出しを示す図
である。同図において、1は光学的情報記憶媒体であ
り、以下に述べる符号2〜6で示される構成要素から構
成されている。2は基板、3は基板2の片面上に設けら
れた電極、4は電極3上に設けられた情報を記憶してお
くための略平面状に設けられた情報記憶媒体層、5は情
報記憶媒体層4を電極3と共に挟む形で設けられた電
極、6は電極5上に設けられた基板である。7は情報記
憶媒体1の上、つまり基板6の上に配置された集光レン
ズであり、レーザー光8を情報記憶媒体層4に集光させ
る。但し、この実施例の場合において、情報記憶媒体層
4は単層である。基板2,6の材料としてはポリカーボネ
ート又はポリメチルメタクリレート等のプラスチック等
又はガラスが好んで用いられる。少なくとも電極5及び
基板6は情報記憶媒体層4に対して入射する書込み光お
よび読出し光を透過させることが必要なので透光性であ
ることが望ましい。電極3および同電極5は情報記憶媒
体層4中の情報記憶分子あるいは分子の一部を配向させ
るために用いる電極であり、その材料として、通常、
金,白金,パラジウム,銅,アルミニウム,ニッケル,
アルミニウム,ニッケル又はクロミウム等の金属や酸化
スズ,インジウム酸化物又はインジウム・錫酸化物等の
電極材料が用いられるが、勿論、これらに限られるもの
ではなく、それらの中から2種類以上の材料が併用され
ていても良い。勿論、この実施例においては、電極4に
金属材料が用いられる際には電極4は光の透過上半透明
状態で用いられる。
情報記憶媒体層4は、ある光吸収スペクトル幅(一部
赤外領域及び紫外領域を含む可視域:例えば、数nmから
100ないし200nmの幅)を有し、この吸収スペクトル内の
波長の光を受けると光誘起反応を起こして情報を記憶す
る記憶材料を、同一集光方向に少なくとも2種類以上含
む。情報記憶媒体層4に含まれる記憶材料としては、例
えば光誘起反応が可逆的な、フォトクロミック化合物、
フォトサーモクロミック化合物などが知られており、光
誘起反応が不可逆的なロイコ染料系、カラーフォーマー
などの材料が知られている(雑誌「現代化学」1983年1
月第28頁から第33頁参照)。また、この情報記憶媒体層
4に含まれる記憶材料は、その中の材料分子または分子
の一部である光感応基を一定方向に配向させることがで
きるものである。この配向によって、記憶材料の吸収ス
ペクトルが偏光に依存するようになる。電界によって配
向させることができる記憶媒体層4の内の材料は、いろ
いろ考えられるが、室温より高温において液晶相を示す
ものが望ましく、好んで用いられる。液晶性の材料は、
その分子自身が剛直で折れ曲がりにくい直鎖状の構造を
有していて、その分子間の相互作用が強いと分子同士が
平行に並ぶ方が、材料全体のエネルギーが低くなって安
定となる場合が多くある。すなわち、材料が液晶性を示
す場合、高温で分子が完全にランダムとなっても動き回
る液体(液相)になっている状態から少し温度が下がる
と全体の流動性があっても分子同士が平行に並ぶような
状態が実現される。従って、分子自身が液晶性を示すと
分子を一方向に配向できる。また、通常の液晶は分子量
が小さい低分子だが、高分子においてもその主鎖に剛直
な部分(液晶性を示すという意味でメソゲン基と呼ぶ)
を有する場合、液晶性を示す例が多くあり、このような
材料もその分子を一方向に配向させることができる。ま
た、その高分子液晶の側鎖に、光誘起反応を起こす材料
の分子を化学的に結合させて、高分子主鎖の液晶性を利
用して配向させることができる。
情報記憶媒体層4に含まれる記憶材料が液晶相を示す
材料としては、低分子または高分子液晶と上記材料の混
合系、主鎖または側鎖にメソゲン基と、光誘起反応が可
逆的なものと不可逆的なものとして前述した材料のクロ
モファーの両方を有する化合物が知られている。
液晶性を示す材料が高分子液晶材料である例として
は、少なくとも、高分子主鎖または側鎖にメソゲン基を
有する材料が知られている。
液晶性を示す記憶材料を情報記憶媒体層4の内の材料
として用いる場合、情報記憶媒体層4を液晶相を示す温
度領域まで情報記憶媒体1を加熱し、電極3と同5間に
電圧を印加し、これによって電界を情報記憶媒体層4に
形成して記憶材料の分子の少なくとも一部を配向させ、
その後光学的情報記憶媒体1を室温迄冷却することによ
って記憶材料の分子の少なくとも一部が配向した情報記
憶媒体層4を得ることができる。
また、記憶材料の分子の少なくとも一部が配向した情
報記憶媒体層を得る別の方法の1例としては、ラングミ
ュア・ブロジェット法(以下、LB法という)である。LB
法は、水面上に展開した材料の単分子層を基板に移しと
るものであり、より詳細には、非水溶液性の分子で、一
部に親水性の官能基(例えばカルボキシル基:−COOH)
を有する材料を有機溶媒に溶かしてゆっくりと水面上に
落とすと、溶液が水面上に均一に拡がると同時に溶媒が
蒸発すると水面上に分子が一層抱け拡がった膜ができ
る。これは、水面上の沖の油の膜のようなものである。
この一分子層は、親水基を水面側にして並んだ配向状態
になっている。そこで、この分子を基板に移したものが
ラングミュア・ブロシェット膜である。これによると、
一分子層の厚さでしかも分子が一定方向に配列した薄膜
を得ることができる。そのたい積の仕方によって、空間
的に互いに直角なX,Y,Z軸の各方向に分子が配向した3
種類のLB膜が得られるが、いずれもこの発明における情
報記憶媒体層4として使用することが可能である。情報
記憶媒体がLB膜となる材料の例としては、光誘起反応が
可逆的なものと不可逆的なものとして前述した材料と、
長鎖アルキル系化合物との混合系、光誘起反応が可逆的
なものと不可逆的なものとして前述した材料のクロモフ
ァーに、長鎖アルキルなどを結合させた化合物、などが
ある。
以下に、情報記憶媒体層4に含まれる記憶材料の1例
として液晶相を示す材料を用いた場合について説明す
る。
第2図は第1図で述べた情報記憶媒体層4の内の1つ
の記憶ビット領域の拡大図である。同図において、9〜
11は記憶材料である光感応基をそれぞれ示しており、こ
の実施例では、高分子液晶分子側鎖として存在する。第
2図に示されるように、光感応基9〜11は、同一集光方
向の異なる位置に配置されている。光感応基9〜11は、
後に図面により詳述するように、少なくとも光誘起反応
前及び光誘起反応後のいずれかの吸収スペクトル幅が重
ならない部分を有する。光感応量が高分子液晶の側鎖と
して含む材料としては、高分子主鎖または側鎖にメソゲ
ン基を含み、且つ、この側鎖に光誘起反応が可逆的なも
のと不可逆的なものとして前述した材料のクロモファー
を含む材料が知られている。
第3図は光感応基9〜11が夫々示す光吸収スペクトル
線図であり、同図において、12,13,14は光感応基9,10,1
1に夫々対応し、レーザー光が集光する約1μm径での
光誘起反応前の光吸収スペクトル曲線に相当する。ここ
で光感応基とはその光感応基が示す光吸収スペクトルの
幅にある波長の光を受けると不可逆的な光反応(光重合
反応、光異性化反応や光分解反応等)、又は可逆的な光
異性化反応等の光誘起反応を起こし、吸収スペクトル強
度や屈折率の変化を生ぜしめる光反応基である。光感応
基9〜11として不可逆反応を引き起こす光感応基を用い
る場合には、レーザー光を用いて一旦情報が光学的情報
記憶媒体1に記録されれば、その情報を消去することが
できない。これに対し、光感応基9〜11として可逆的な
光異性化反応を引き起こす光感応基を用いる場合には、
何度も情報の記録及びその消去が光学的情報記憶媒体1
に可能となる。可逆的な光異性化反応の1例としてはホ
トクロミック反応があり、その材料としては、アゾベン
ゼン系,スピロベンゾピラン,フルギド系,多環芳香族
化合物系,スピロナフトオキサジン系等の化合物がある
が、勿論これらに限られるものではない。
第3図における光感応基9〜11の吸収スペクトル曲線
12,13,14は夫々均一な吸収スペクトル曲線であり、多重
記憶のためには、それら光感応基9〜11の光誘起反応前
及び/又は光誘起反応後の吸収スペクトルが互いに重な
らないことが望ましいが、互いの吸収スペクトルが重な
らない部分を有していれば良い。光誘起反応前及び光誘
起反応後の吸収スペクトルが互いに重ならない部分を有
する材料の例としては、スピロピランとベンゾチオピラ
ンを組み合わせた場合の実測グラフを第4図に示す。
第4図において、ベンゾピラン中の無色体(Spiro
体)と着色体(Merocyanine体)の構成比が、紫外線照
射前と紫外線照射後とで異なることにより、照射前の吸
収スペクトル特性41と照射後の吸収スペクトル特性42と
が異なる。同様に、スピロピランについても、照射前の
吸収スペクトル特性43と照射後の吸収スペクトル特性44
とが異なる。第4図からわかるように、照射前において
も、照射後においても、スピロピランの吸収スペクトル
とベンゾチオピランの吸収スペクトルとは重ならない部
分を有している。
尚、第4図に示した無色体及び着色体の構造によれ
ば、光遊起反応が可逆的であること、光感応基が有機色
素であること、及び/又は有機色素がホトクロミック材
料であることを特徴とする実施例が実現できる。第4図
に示した無色体及び着色体の構造、例えば側鎖のR1基、
を変更することにより、情報記憶媒体が液晶相であるこ
と、液晶相を示す材料が少なくとも1種類以上の高分子
液晶材料からなること、高分子液晶材料の側鎖として1
種類以上含むこと、及び/又は情報記憶媒体層がLB膜か
らなることを特徴とする実施例が実現できる。
より詳細には、吸収スペクトル内の波長の情報記憶用
の光を照射されて光誘起反応を起こして吸収スペクトル
又は屈折率等の光学的特性を変化することにより情報を
記憶し、光の集光できる例えば約1μm径の記憶ビット
領域に夫々の記憶材料の夫々の吸収スペクトルに属する
書込み波長の光を照射されることにより多重に情報を記
憶できるようになるばかりか、記憶材料の分子を特定の
2方向に配向することによって書込み時に偏光等を利用
できることから情報の書込み効率の大幅な向上と、偏光
特性等を用いることによる情報の読出し時のS/N比の大
幅な向上を達成できる。
多重記憶が可能になった記憶材料の製法の実施例を次
に説明する。液晶性を示すフェニルベンゾエートを主鎖
に持つアクリル酸エステル系の液晶高分子にスピロピラ
ンを3重量%ベンゾチオピランを3重量%の混合した材
料を120℃以上でアイソトロピックな溶融状態としてそ
の溶融物から薄膜を作成する。その後、40℃以上のネマ
チック状態(液晶状態)に保持し、100:1の面内の一方
向への延伸処理を行って、スピロピランとベンゾチオピ
ランが延伸方向に配向した情報記憶媒体を得た。この薄
膜に400nm以下のUV光を発生する重水素ランプによる光
照射を行い、スピロピランとベンゾチオピランの着色体
であるメロシアニン体とした。着色体では、スピロピラ
ンは680nm付近をピークとするブロードな吸収を示し、
ベゾチオピランは570nm付近をピークとする吸収を示
す。この情報記憶媒体にハロゲンランプと分光器から得
た700nmの光を照射したところ、680nm付近に吸収をもつ
ベンゾチオピランのメロシアニン体からのスピロ体への
変化が進み、その吸収が減少した。また、試料中の同じ
場所への560nmの光照射によって、メロシアニン体のス
ピロピランの光吸収によるスピロ体の変化を起こすこと
ができた。これらの変化はそれぞれ独立に起こすことが
可能であった。これから、一つの記憶箇所で680nmに対
する吸収の有無と560nmに対する吸収の有無による2つ
の情報を記憶することができた。
光誘起反応を起こす光感応基が有機色素であると、有
機色素はその発色団の吸収スペクトルにおいて偏光特性
を示すので有機色素が配向しており、全体としても吸収
スペクトルに偏光特性が現われることになる。光感応基
が有機色素である材料の例としては、光誘起反応が可逆
的なものと不可逆的なものとして前述した材料の大部分
が有機色素の範疇に分類されているが、分類されないも
のとして、例えばフォトサーモクロミック材料のハロゲ
ン化樹脂のようなものがある。
この偏光特性は、色素が二色性色素であるとさらに顕
著となる。有機色素が二色性色素である材料の例として
は、細長い構造の分子、例えばアゾ系色素が知られてい
る。
以上の各実施例におけるように光誘起反応を起こす分
子又は光感応基が配向していれば、その配向に合う偏光
方向を待つレーザー光で書込み、読出しを行なえば非常
に大きなスペクトルの変化、すなわち、大きなS/N比が
得られる。
分子又は分子の一部である光感応基を配向させること
によってS/Nが向上することの原理を以下に説明する。
分子又は感応基が配向すると、分子に付随する光感応基
の遷移双極子モーメントが一方向に配向する。遷移双極
子モーメントが大きいほど、光の吸収率が大きく、その
方向と光の偏光方向が一致すると光の吸収率は最大にな
る。分子1個はフォトン1個によって変化すると仮定す
ると、分子がすべて配向していてその数が100個とし
て、その方向に偏光した光でフォトン100個を照射する
と全ての分子が変化する。これに対して、分子がランダ
ム分布していると、同じく偏光がランダムな100個のフ
ォトンを照射しても100個の分子を変化させることはで
きない。これは分子の双極子モーメントが3次元方向に
わたって分布しているからである。
また、分子が膜の2次元面内でランダムに分布してい
るとしても、ある偏光のフォトンがそのまま同じ向きの
分子に吸収されるとは限らないので、フォトンが100個
あっても分子100個を変化させることはできない。この
ように、分子の配向が揃えられていない場合は、吸収ス
ペクトルを変化させる効率が落ちるので、トータルとし
ては、S/N比が悪くなる。逆に言うと、分子を配向させ
ると効率が上がり、S/N比が改善される。
上記の実施例では光感応基9〜11を高分子物質の側鎖
に導入しているが、勿論、高分子物質の主鎖に導入して
もよい。また光感応基9〜11を夫々別の液晶または高分
子液晶の主鎖または側鎖に導入してもよい。また、光感
応基9〜11を含む物質が配向性を示す材料であればその
まま用いてもよく、また、他の液晶等と混合して用いて
もよい。もちろんこれらを組み他わせて用いても何ら支
障はない。
また、上記の実施例では、記憶材料は、少なくとも光
誘起反応前後のいずれかの吸収スペクトル幅がたがいに
重ならない部分を有する2種類以上の材料としたが、こ
れに替えて、光誘起反応の少なくともまた光感応基を情
報記憶媒体層4の略平面内の特定の2方向に配向させる
ことができれば、1種類の光感応基で多重度が2となる
記憶が可能となる。例えば、直交する2つの偏光に対し
て吸収が大きく変化するような材料を用いた場合で、2
つの直交するような方向に配向して、それに対応する光
の偏光に対して実質的に2種類の材料として振る舞う場
合は、1種類の光感応基で記憶多重度を2とすることが
可能である。
以上、光感応基を高分子主鎖または側鎖に導入する
時、更に光感応性物質を高分子マトリックスに分散する
際には、少なくとも光感応基または光感応物質が示す吸
収スペクトル領域で光誘起反応を阻害せぬように注意せ
ねばならない。
次に、光学的情報記憶媒体1に情報を記憶させ、記憶
した情報を読み出す方法の例について説明する。
情報を記憶するには第1図に示すように光誘起反応を
引き起こすに十分な強度のレーザー光8をレンズ7を用
いて情報記憶媒体層4に集光する。ここで第3図に見ら
れるように光感応基9に対応する吸収スペクトル曲線12
の極大値近傍の波長を有するレーザー光8が照射されれ
ば、光感応基9は光誘起反応を起こし、その反応部分で
はその波長における吸光度が減少し、情報が光学的情報
記憶媒体1に記憶される。なお光感応基10,11について
も光感応基9と同様にして情報を記憶する。
次に情報の読み出しであるが、光誘起反応を起こさせ
たと同じ波長の光で、光誘起反応を殆ど起こさない程度
の強度のレーザー光を用いれば、各波長の光の各吸光度
または各透過度によって情報の書込みの有無が判別でき
る。また、光誘起反応としてホトクロミック反応等の光
誘起反応によって光異性化し、元の吸収スペクトル領域
とは異なった波長領域に吸収スペクトルが出現するもの
であれば、新しく出現した吸収スペクトルの少なくとも
一部の波長を有するレーザー光を用いて情報の読出しが
可能である。しかし、この場合には、光誘起反応後の吸
収スペクトルが互いに重ならない部分を有するようにす
ることが大切であり、また情報記憶媒体層4において、
光誘起反応後の部分の吸収スペクトルと光誘起反応前の
部分の吸収スペクトルとが互いに重ならない部分を有す
るようにすることも大切である。
第2図及び第3図は多重度が3の場合であり、例え
ば、光感応基9だけを光誘起反応させれば、(1,0,0)
の記憶となる。更に、光感応基10も光誘起反応させれ
ば、(1,1,0)の情報の記憶となる。また更に、光感応
基11も光誘起反応させれば、(1,1,1)の情報の記憶と
なり、例えばこの記憶面積はレーザー光8のスポット径
約1μm内となる。
なお、レーザー光8を情報に従って変調させ、光学的
情報記憶媒体1を2次元的に移動させれば、光学的情報
記憶媒体1は略2次元的又は3次元的に情報を記憶する
ことができる。
上記実施例では吸収スペクトルの変化により記憶させ
たが、その他の光学的特性例えば屈折率の変化等で情報
を記憶してもよい。
〔発明の効果〕
以上のように、第1の発明によれば、2種類以上の光
誘起反応を生じる記憶材料を用いることにより同一集光
方向に複数の情報を多重に記録できるので、記録密度を
大幅に向上させることができるという効果がある。ま
た、分子の少なくとも一部を配向させるので、偏光特性
等を利用して書き込み時における書込み効率を向上さ
せ、且つ読み出し時のS/N比を向上させることができう
という効果がある。
また、第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え
て、1種類の光誘起反応を生じる記憶材料によって多重
記録が可能になるので、記憶材料の種類が少なくてすむ
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例による光学的情報記憶媒体
へのレーザー光による書込みを示す断面側面図、第2図
は第1図に示した情報記憶媒体層の内の1つの記憶領域
の1例を示す拡大図、第3図は情報記憶媒体層の光感応
基が示す吸収スペクトル線図、第4図は光誘起反応の前
及び後の吸収スペクトルが互いに重ならないことを示す
吸収スペクトル特性図である。 図において、1は情報記憶媒体、2,6は基板、3,5は電
極、4は情報記憶媒体層、9,10,11は光感応基、12,13,1
4は吸収スペクトル曲線。 なお、図中、同一符号は同一、又は相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津村 顯 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三 菱電機株式会社材料研究所内 (72)発明者 安藤 虎彦 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三 菱電機株式会社材料研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも光誘起反応前及び光誘起反応後
    のいずれかの吸収スペクトル幅が互いに重ならない部分
    を有し、構成分子の少なくとも一部を一定方向に配向さ
    せた2種類以上の記憶材料と、前記記憶材料を同一集光
    方向の異なる位置に配置した情報記憶媒体層とを備えた
    光学的情報記憶媒体。
  2. 【請求項2】上記光誘起反応が可逆的であることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の光学的情報記憶媒
    体。
  3. 【請求項3】上記光誘起反応が不可逆的であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の光学的情報記憶媒
    体。
  4. 【請求項4】上記記憶材料が液晶相を示す材料であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第3項のい
    ずれか1項に記載の光学的情報記憶媒体。
  5. 【請求項5】上記情報記憶媒体層の内の上記液晶相を示
    す材料が少なくとも1種類以上の高分子液晶材料からな
    ることを特徴とする特許請求の範囲第4項記載の光学的
    情報記憶媒体。
  6. 【請求項6】上記記憶材料が、高分子液晶材料の側鎖と
    して1種類以上含むことを特徴とする特許請求の範囲第
    5項記載の光学的情報記憶媒体。
  7. 【請求項7】上記記憶材料がラングミュア・プロジェッ
    ト膜からなることを特徴とする特許請求の範囲第1項な
    いし第3項のいずれか1項に記載の光学的情報記憶媒
    体。
  8. 【請求項8】上記記憶材料が有機色素であることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項ないし第7項のいずれか1
    項に記載の光学的情報記憶媒体。
  9. 【請求項9】上記有機色素が二色性色素であることを特
    徴とする特許請求の範囲第8項記載の光学的情報記憶媒
    体。
  10. 【請求項10】上記有機色素がホトクロミック材料であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第8項又は第9項記
    載の光学的情報記憶媒体。
  11. 【請求項11】構成分子の少なくとも一部を特定の2方
    向に配向させた、光誘起反応を起こす1種類の記憶材料
    と、上記記憶材料の配向方向を略平面内に含む情報記憶
    媒体層とを備えた光学的情報記憶媒体。
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