JPH08182697A - 電気掃除機を用いる動物の診療方法及びその装置 - Google Patents

電気掃除機を用いる動物の診療方法及びその装置

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JPH08182697A
JPH08182697A JP34103794A JP34103794A JPH08182697A JP H08182697 A JPH08182697 A JP H08182697A JP 34103794 A JP34103794 A JP 34103794A JP 34103794 A JP34103794 A JP 34103794A JP H08182697 A JPH08182697 A JP H08182697A
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suction force
vacuum cleaner
suction
force adjuster
animal
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Hiroki Kanekura
博樹 金鞍
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の真空ポンプでは吸引できなかった胃内
の不消化物や直腸内の宿糞などを吸い出すために、吸水
型あるいは乾湿両用型電気掃除機の吸引力を自在に調節
できるようにする。 【構成】 両端が開口する中空の吸引力調節器本体と、
この吸引力調節器本体の前部上面に設けられた通気口
と、この通気口を囲むように前記吸引力調節器本体の外
側に一体成形された中空の気密函と、この気密函の壁面
に設けられた吸気量調節機構とよりなる吸引力調節器
を、電気掃除機のホースに接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、吸引力が強大な吸水
型あるいは乾湿両用型電気掃除機を利用し、従来の医療
用真空ポンプよりも優れた治療ができるようにした、電
気掃除機を用いる動物の診療方法及びその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、乳牛の胃内容物など動物の体
内から液状物を吸い出すときには、実公昭42−533
号公報、実開昭58−112310号公報、実開昭60
−180416号公報に開示されている如く、もっぱら
真空ポンプが使用されている。また、図10に示すよう
に、真空ポンプに接続する吸引カテーテル31には調節
バルブ32が付属しており、親指でバルブ32の口を塞
ぐと吸引開始し、指を離すと空気が流入して吸引停止と
いう操作ができるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、老齢の大型犬
に多発する胃捻転の緊急処置に、従来の真空ポンプは役
に立たなかった。すなわち、過食による胃拡張が胃捻転
に進行すると、嘔吐できずに胃がガスで膨張し、数時間
以内にショックまたは胃の絞扼性閉塞により死んでしま
う。ショック状態で動物病院に運ばれてきた患犬は、直
ちに開腹して胃内容物を除去し、よじれた胃を元通りに
整復しなければならない。ところが、従来はポンプと吸
引物貯溜タンクと吸引具との間を、内径が細い肉厚の耐
圧ゴム管で連結しなければならず、ゴム管よりも内径が
大きな吸引具を使用できなかった。そのため、切開した
胃の中から液体を吸引するとき、泥状に消化した餌が吸
引具内に詰まってしまい、吸液不能に陥りがちであっ
た。また、雑食性の犬の胃には、噛み砕かれた骨片や不
消化の草などの固形物が混在している場合が多く、これ
らは手やスプーンなどで掻き出すしか方法がなかった。
そのため、非常に手間のかかる大手術になってしまい、
切皮開始から縫合完了まで約2時間を要した。さらに、
手で掬い取った固形物から雫が落下し、術野を被布で覆
っていても腹内が汚染されがちであり、十分に細菌感染
症の予防処置を講じていながら、予後不良で失敗する場
合が少なくなかった。しかも、外科用手袋をはめた執刀
者の手が汚れるので、切開部の縫合など大切な後処置を
助手に任せなければならず、獣医師一人によるワンマン
手術が不可能であった。
【0004】本発明の発明者は、窮余の一策として、診
療室の床を掃除するための乾湿両用型電気掃除機に注目
し、太いホースの筒先を切開した胃に挿入してはどうか
と考えた。本機に内蔵の水フィルターには除菌機能があ
り、吸い込んだ胃内容物由来の細菌を室内に飛散させる
恐れはない。そこで、試しに満腹させた犬で実験してみ
たところ、期待通り全胃内容物を確実に吸引することが
できた。掃除機の集塵容器内に吸い込まれた胃内容物
は、密閉状態のまま室外に持ち出して処理することがで
きる。しかし、吸引力が強すぎるため、胃壁がホースの
筒先に吸い込まれてしまい、慌てて剥ぎ取った後に丸い
出血斑ができるほどであった。だが、市販の吸水型や乾
湿両用型電気掃除機には、一般の家庭用掃除機と違って
吸引力を調節する「強・中・弱」のボタンが備わってい
ない。従って、掃除機とは別体に、吸引力を調節できる
簡単な構造の付属品を介在させなければ、電気掃除機を
動物の診療に利用できないことが分かった。
【0005】さらに、猫に多発する慢性便秘による宿糞
を排出する方法として、実開平6−26819号公報に
開示された骨盤腔拡張プレートによる手術や、肛門に挿
入したパイプの中に糞塊を押し込んで排除する糞砕管が
提案されている。これに対して、発明者は全く別の方
法、すなわち直腸内に軟化剤や潤滑剤を注入して糞塊を
軟らかく滑りやすくした後、肛門に挿入できる最大限に
太いパイプを介し、電気掃除機の強力な吸引力で一挙に
排出できるはずだと考えた。このような新規の技術思想
は、従来の細い吸引カテーテルからは決して思い付かな
い。この新療法を実験するためにも、電気掃除機の吸引
力を調節しなければならず、これが克服すべき最重要の
課題である。
【0006】一方、従来の吸引カテーテル31に付属す
る調節バルブ32は、吸引断続のためだけのものであ
り、吸引力の強弱を加減する機能がない。しかも、指で
バルブ32の口を押さえると、通気路33が真空状態に
なる。そのため、図11に示すように、吸引路34を矢
印Iの方向に流れる血液や膿などの吸引物の一部が、真
空の通気路33の中へ矢印Hのように流入して充満す
る。それがバルブの口を塞ぐ指に付着するので、本来な
らば絶対に無菌でなければならない手術用ゴム手袋が吸
引物で汚染される。これは重大な欠点であった。例え
ば、喧嘩の傷が元で雄猫に多発する膿胸の場合、胸腔に
溜まった膿が肺を圧迫して呼吸困難を惹起するから、大
至急、カテーテルを胸に穿刺して排膿しなければならな
い。その過程でゴム手袋に膿が付着するので、止むを得
ずアルコール綿で膿を拭き取っているものの、果たして
本当に汚染を防げるのかどうか、常に不安であった。従
って、このような欠点がある吸引カテーテル用調節バル
ブは、電気掃除機の吸引力調節に利用することができな
い。
【0007】本発明は、上記の事情に基づき、吸水型や
乾湿両用型の電気掃除機の吸引力を自在に調節できるよ
うにした吸引力調節器を提供するとともに、これによっ
て電気掃除機を用いる動物の診療方法と、それを実行す
るための装置とを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る吸引力調節器は、両端に開口、すなわ
ち、後端部にホース接続口を備え、先端部に延長ホース
接続口を備える中空の吸引力調節器本体と、この吸引力
調節器本体の前部上面に設けられた通気口と、この通気
口を囲むように前記吸引力調節器本体の外側に一体成形
された中空の気密函と、この気密函の天井あるいは後壁
に設けられた吸気量調節機構とによって構成されてい
る。
【0008】前記吸気量調節機構は、前記気密函の壁に
開けられた三角形や円形の窓と、この窓の開き具合を加
減するための開閉自在な可動戸とで構成される。
【0009】本発明に係る電気掃除機を用いる動物の診
療方法は、真空ポンプの代わりに電気掃除機の吸引力を
利用するもので、詳しくは、吸水型あるいは乾湿両用型
電気掃除機の機外に前記吸引力調節器を付設して掃除機
の吸引力を自在に調節するとともに、この吸引力調節器
に吸引具を装着することによって、動物の体内から液状
物や固形物を吸い出したり、薬液など液状物を動物の体
内に注入したりすることを特徴とするものである。
【0010】本発明に係る方法を実行するための装置
は、フットスイッチを取り付けた電気掃除機と、この電
気掃除機のホースの先端に着脱自在に接続する吸引力調
節器と、この吸引力調節器の先端に接続する延長ホース
と、この延長ホースの先端に設けられた吸引具を装着す
るための連結器とよりなることを特徴とするものであ
る。
【0011】
【作用】上記のように構成された吸引力調節器は、使用
時に通気口が上に向くようにして電気掃除機のホースに
接続する。そして、吸気量調節機構の可動戸を引いて窓
を開けてから、電気掃除機を作動させる。窓の開き具合
を可動戸で加減することにより、電気掃除機に流入する
空気量を任意に調節できるから、吸引力の強弱を簡単か
つ自在に調節することができる。電気掃除機の吸引力は
強大であるので、動物診療に利用するたいていの場合、
常時、窓に細い隙間を開けたままで十分な吸引力が得ら
れる。この隙間の働きによって、吸引中に気密函内が真
空状態にならないから、吸引物が通気口から気密函内に
流入することは起こり得ない。
【0012】肛門パイプによる猫の宿糞排除など最強の
吸引力が必要な場合は、窓を密閉した状態で吸引するの
で、気密函内が真空になる。そのため、吸引物が気密函
内に充満するが、窓を閉じているので、吸引物は気密函
の外に漏れない。故に、宿糞特有の猛烈な悪臭が診療室
内に拡散することはない。
【0013】上記の働きをする吸引力調節器を用いるこ
とによって、吸引力調節機能がない吸水型や乾湿両用型
電気掃除機を利用し、従来の真空ポンプでは不可能だっ
た動物の診療が行なえるようになる。
【0014】
【実施例】以下、図面に示す実施例により、本発明を詳
細に説明する。ただし、図面はもっぱら解説のためのも
のであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0015】図1は、本発明の電気掃除機を用いる動物
の診療方法を実行するための最適な装置の実施例を示
す。図1において、1は電気掃除機で、市販の吸水型や
乾湿両用型のものを使用する。2はホースで、電気掃除
機に付属する耐圧管である。3は本発明の吸引力調節器
で、ホース2の先端部に接続して使用する。4は延長ホ
ースで、透明な可撓性の硬質管、あるいは蛇腹など耐圧
性の可曲管を好適とする。5は連結器で、外径や内径の
異なる各種吸引具を着脱自在に装着するためのものであ
る。場合によっては、延長ホース4と連結器5を省略
し、吸引力調節器3の先端部に吸引具を直接装着しても
よい。6は吸引具で、既存の各種医療用吸引具を任意に
選択して使用することができる。7はフットスイッチ
で、電気掃除機の作動開始と停止を執刀者が足で操作す
るためのものである。図1では、吸引力調節器3を手術
台10の縁に固定したスタンド9にフック8で吊り下げ
ている。こうすると、吸引力調節器3の位置が安定する
ので、吸引中、吸気量調節機構の窓を常に上向きにして
おくことができる。ただし、吸引力調節器3を助手に持
たせてもよいし、執刀者がホース2を肩にかついでもよ
い。
【0016】図2ないし図4は、本発明の装置に係る最
重要の吸引力調節器3の好適な実施例を示す。吸引力調
節器3は、吸引物の通過状況を観察したり、使用後の洗
浄結果を確認しやすくするために、アクリル樹脂など透
明で硬質の合成樹脂を材料として一体的に製造すること
が望ましい。図2とその正中線の側断面図である図3に
おいて、11は円筒状の吸引力調節器本体で、後端部に
開口するホース接続口12と先端部に開口する延長ホー
ス接続口13とが、それぞれ同径の正円形である。例え
ば、電気掃除機1のホース2の先端部に備わる吸い口の
内径が27mmの場合、ここへ挿入するホース接続口1
2の外径は27mm弱に成形する。ただし、この口径サ
イズは一例であって、数値を限定するものではない。電
気掃除機の機種や型式によってホース端の口径が異なる
から、共用の連結器を使用してもよい。また、両端の接
続口12、13が円形であれば本体11は箱形であって
もよく、吸引力調節器本体の形状を特に限定するもので
はない。
【0017】図2と図3に示した吸引力調節器3は、吸
引力調節器本体11の前部、すなわち延長ホース接続口
13に近位の筒体上面に、通気口14が開口している。
この通気口14を囲むようにして、本体11の外側に箱
型をした中空の気密函15が一体成形されている。この
気密函15の天井に、吸気量調節機構として、三角形の
窓16と引戸状の可動戸17が設けられている。この可
動戸17は、把手18に指先を引っ掛けて自在に開閉す
ることができる。窓16の形状を限定するものではない
が、図示した如く三角形に成形すると、吸気量の増減制
御が極めて容易にできる。なお、図3では、通気口14
の前縁に堤防状の防壁19を突設しているが、機能上、
必ずしも絶対不可欠の構成要素ではない。また、気密函
15の後方に付設したフック穴20は、吸引力調節器3
をスタンド9に係止するためのもので、形状や付設位置
は任意であるし、これを欠いても構わない。
【0018】図4に示す別の吸引力調節器3は、吸気量
調節機構を明示するために、左右を逆にしてホース接続
口12を左向きに描いたものである。図5においては、
円筒状をした吸引力調節器本体11の上に、通気口14
を囲むようにして円筒状の気密函15が一体成形されて
いる。この気密函15の後部に、吸気量調節機構として
円形の窓16を開け、ここに固定した放射状の隙間をも
つ中板に、換気扇状の可動戸17を回転自在に取り付け
ている。この可動戸17の回転軸に設けた把手18を左
右に回転させることによって、窓の開き具合を加減し、
吸引力を自在に調節することができる。さらに、この実
施例では、延長ホース接続口13を略円錐状に成形し、
各種サイズの延長ホースばかりでなく、口径の大きな吸
引具を直接装着できるようにしている。
【0019】上記の如く構成された吸引力調節器3は、
あらかじめ吸引力調節機構の窓16を開けてから使用す
る。電気掃除機が作動して吸引を開始すると、図3の矢
印Aに示すように、空気が窓16の隙間から気密函15
の中へ流れ込む。次いで、矢印Bのように通気口14を
通過し、矢印Cの方向、すなわちホースを経て掃除機内
に吸い込まれ、吸引力が低下する。窓16での吸気量調
節は、可動戸17を矢印Dのように動かすことによって
容易に行なえる。従って、電気掃除機の吸引力の強弱を
簡単かつ確実に調節することができる。
【0020】しかも、窓16を開けながら吸引すること
によって、気密函15の内部は真空状態にならない。こ
のため、吸引を停止したとき、吸引力調節器本体11の
中の吸引物が通気口14から気密函15内へ吹き上がる
ことはない。従って、使用中に窓16から吸引物が手術
室内に噴出することも起こり得ない。最強の吸引力を発
揮させるために窓16を閉じたとき、気密函15の内部
が真空状態になって吸引物が流入する。しかし、窓16
を閉じているから、吸引物が室内を汚染する恐れは全く
ない。吸引再開後、窓16に隙間を開ければ、気密函内
に充満していた吸引物は通気口14から速やかに吸い出
され、きれいに消失する。
【0021】図5は、本発明の装置の一部である連結器
5の一例を示すものである。このような公知の単純な形
状のものでも十分に連結機能を発揮し、例えば、猫の膀
胱に挿入する管径1mmの導尿用カテーテルでさえ、注
射針を介し、針基に連結器5を装着すれば電気掃除機に
接続することが可能である。図示した連結器5を使用す
るときは、小口径部に吸引具6を内挿あるいは外挿で装
着し、大口径部を延長ホース4の先端に装着したり、あ
るいは延長ホース4を省略して、直接、吸引力調節器3
の延長ホース接続口13に装着する。
【0022】
【診療例】以下、本発明の電気掃除機を用いる動物の診
療方法について、発明者が新たに開発した専用吸引具の
図面を基に詳しく説明する。ただし、例示した診療方法
は本発明の代表例であり、本発明の範囲を限定するもの
ではない。
【0023】図6は、犬の胃捻転を外科的に処置するた
めの吸引具6aを示す。内径が大きいほど胃内容物の吸
引に有効であるから、この吸引具6aは内径25mmの
円筒状で、先端に吸入口21を備え、後端部を延長ホー
ス4へ直に連結して使用する。吸入口21の縁から約3
cm後方の管壁を肉厚にして環溝22を形成し、ここへ
ゴムなどのクッション材23を巻いている。材質は透明
なポリカーボネートなどの合成樹脂を好適とするが、ス
テンレスなどの金属で製造してもよい。合成樹脂製のも
のは、使用前にエチレンオキサイドによるガス滅菌を施
す。
【0024】上記の胃捻転用吸引具6aは、次のように
使用する。ショック状態で来院した患犬には、応急処置
として、腹部の皮膚の上からパンパンに膨らんだ胃に留
置針を挿入してガスを抜く。ある程度へこんだら、胃液
が流出しないうちに抜針し、常法通り剃毛・消毒・切皮
して胃を露出させ、血管を避けて胃壁を切開する。従来
の術式だと、執刀者が手を差し入れるための大きな穴を
開けねばならなかったのであるが、本発明によれば、吸
引具6aの吸入口21を挿入するだけであるから、僅か
4cmほどを切開すればよい。切開前に、あらかじめ切
開予定部の周囲に仮縫糸25を縫い付けておくのがコツ
である。こうしておけば、仮縫糸25の両端を左手に持
って胃壁をテント状に吊り上げ、切開部から胃内容物を
溢れ出させないように注意しつつ、右手のメスで胃壁を
切開できる。しかる後、切開部へ吸入口21を挿入し、
図7に示すように、環溝22のところで仮縫糸25を縛
り付けて密閉する。きつく縛っても、クッション材23
の働きにより、胃壁24の損傷を無視できる程度にまで
軽減することができる。
【0025】吸引具6aの胃壁装着が終了したら、次
に、あらかじめ吸引力を調節しておいた装置の延長ホー
ス4に連結し、フットスイッチ7を踏んで吸引を開始す
る。密閉した胃の中から胃内容物を吸引するには、胃壁
を吸い込まない程度の弱い吸引力でも十分に有効であ
る。吸入口21を左右前後に動かせば、胃液はもちろん
のこと、胃内に存在するすべての固形物を2〜3分間で
完全に吸引することができる。従来の掻き出し作業に比
べれば、あっという間の短時間であり、顕著な効果を発
揮する。次に、胃壁の切開部に縫合糸を通し、この縫合
糸を左手で持ち上げながら、仮縫糸25を切除して吸引
具6aを取り外す。そして、縫合糸で切開部を縫合した
後、よじれた捻転部の再発防止処置を施し、腹を閉じて
手術完了となる。従来は2・3人がかりで約2時間を要
する大手術であったが、電気掃除機を利用する本発明に
よって、執刀者一人のワンマン手術でも約40分間で済
ませられるようになった。また、術野の汚染がないた
め、術後の細菌感染症が起きない。発明者の動物病院で
実施した5例とも、すべて順調に全快した。
【0026】図8は、猫の直腸内から宿糞を肛門パイプ
で排出するための吸引具6bを示す。この吸引具6b
は、猫の肛門へ挿入できる太さの外径をもつ円筒状のパ
イプであり、外径15mm、管厚1mmの透明なポリカ
ーボネートで試作した。吸入口21に、石のように固く
なった大きな糞塊を切断するための刃26を設けてい
る。図示したものは十宇形であるが、一枚刃でもよい。
【0027】上記の宿糞排出用吸引具6bは、次のよう
に使用する。まず、グリセリンのような潤滑液を肛門か
ら注入し、腹の皮膚の上から直腸内の糞塊を指で揉み潰
す。すべての糞塊が潰れることは稀であり、たいていの
場合、ピンポン玉ほどの大きな固い糞塊が残る。これを
軟化材で軟らかくさせてもよいが、実験の結果、刃物で
分断する方が早道であることが分かった。すなわち、電
気掃除機1に接続した吸引力調節器3の窓16を閉鎖
し、延長ホース4の先端に連結器5を介して装着した吸
引具6bを肛門に挿入する。そして、左手の指で腹の外
から大きな糞塊を押さえながら、右手で吸入口21を糞
塊に強く押しつけつつ、刃26によって切断する。糞塊
切断は手応えで分かるから、直ちにフットスイッチ7を
入れる。すると、最強の吸引力と潤滑液との協同作用に
よって、ほとんど一瞬のうちに直腸内の小糞塊と泥状に
潰れた糞が吸い出される。まごまごしていると、吸入口
21が腸壁に吸い付いてしまうから、吸引開始と同時
に、すかさず吸引具6bを後退させることがコツであ
る。吸引作動のまま肛門から抜き出せば、悪臭が掃除機
内に吸引され、診療室に悪臭が漂わない。その状態で吸
引具6bをバケツの水に突っ込み、吸引停止のスイッチ
を押す。鼻が曲がるほど耐えがたい悪臭源も、流水で洗
えば簡単に消失する。
【0028】図9は、電気掃除機の吸引力を利用して、
薬液などの液状物を動物の体内に注入するための装置の
一例を示す。これは市販のフトン収納袋の考えを基本と
して、これに液体通路を追加したもので、合成樹脂製の
透明な圧迫袋27と、ファスナー28と、リング29と
よりなる。これを使用するときは、ゴム製のヘソ状隔壁
を備えた既存の薬液袋30を圧迫袋27の中に入れ、ヘ
ソをリング29の穴にきちっとはめ合わせる。次に、電
気掃除機のホース2に接続した吸引具6を圧迫袋27に
差し込んで、ファスナー28を閉じる。吸引を開始する
と、圧迫袋27の内部の空気が矢印Fのように吸い込ま
れ、薬液袋30が大気圧によってが押し潰される。この
ため、リング29の穴に露出するヘソ状隔壁に針を刺せ
ば、矢印Gのように薬液が押し出されるわけである。薬
液ばかりでなく、輸血やリンゲル液の注入などにも応用
できる。
【0029】さらに、市販の三方活栓を利用することに
よって、上記圧迫袋27の実用価値が格段に高まる。例
えば、犬や猫の膀胱を洗浄するとき、尿道を経由して細
い導尿カテーテルを膀胱内に挿入し、このカテーテルの
尻穴に注射針を入れて、注射器で生理食塩水などを注入
したり、吸い出したりしていた。そこで、図示していな
いが、ABC3個の栓を持つ三方活栓の栓Aを導尿カテ
ーテルの尻穴に接続し、栓Bを圧迫袋27に収容した薬
液袋30のヘソに刺した針に接続する。そして、栓Cを
閉じ、図9.のように圧迫袋27から空気を吸い出せ
ば、薬液は栓Bと栓Aを通過して膀胱内に注入される。
次に栓Bを閉じ、栓Cに電気掃除機に連結した吸引具6
を接続して開栓すれば、膀胱内から洗浄液を吸い出すこ
とができる。注射器の操作によって注入と吸引を繰り返
す従来の方法は、注入速度や吸引速度が不安定であっ
た。注入速度が速過ぎて圧力が高まると、膀胱破裂とい
う最悪の不祥事を起こしかねず、神経を集中して慎重に
行なわなければならなかった。この点、吸引力調節器3
を付設した電気掃除機ならば、常に一定の速度に制御す
ることが可能である。このため、極めて安全に膀胱洗浄
ができる。これと同様に、猫の膿胸の排膿と胸腔内洗浄
ができるし、動物一般の腹腔内洗浄や腎不全の際の腹膜
透析などにも応用できる。また、歯石除去など獣医歯科
の分野でも、唾液吸引と口腔内洗浄に応用できる。
【0030】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の吸引力調節器によれば、吸引力調節機能が不備の吸水
型あるいは乾湿両用型電気掃除機の吸引力を自在に調節
することができる。このため、吸引力調節器を接続した
電気掃除機を用いることによって、動物の体内の液状物
はもちろんのこと、従来の真空ポンプでは不可能であっ
た胃内の不消化物や直腸内の宿糞などの固形物を吸い出
すことができる。また、吸引力調節器から吸引物が漏れ
出すことがなく、執刀者の手や手術室内を汚染する恐れ
が全くないから、獣医師一人の小病院でのワンマン手術
が可能になる。
【0031】しかも、簡単な構造の圧迫袋を用いて、薬
液などの液状物を動物の体内に注入することができる。
このため、電気掃除機を用いて注入と吸引を反復するこ
とにより、口腔や胸腔、腹腔、膀胱などを洗浄すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置全体を示す斜視図。
【図2】本発明の装置の吸引力調節器を示す斜視図。
【図3】図2の正中側断面図。
【図4】図2の変形例を示す斜視図。
【図5】本発明の装置に使用する連結器を示す斜視図。
【図6】本発明の装置の吸引具を示す斜視図。
【図7】図6の使用状態を説明する模式図。
【図8】本発明の装置の吸引具の別例を示す斜視図。
【図9】本発明の装置に使用する圧迫袋を示す斜視図。
【図10】従来例の使用状態を示す斜視図
【図11】従来例の正中側断面図
【符号の説明】
1:電気掃除機、 2:ホース 3:吸引力調節器、 4:延長ホース 5:連結器 6、6a、6b:吸引具 7:フットスイッチ、 8:フック 9:スタンド、 10:手術台 11:吸引力調節器本体、 12:ホース接続口 13:延長ホース接続口、 14:通気口 15:気密函、 16:窓 17:可動戸、 18:把手 19:防壁、 20:フック穴 21:吸入口、 22:環溝 23:クッション材、 24:胃壁 25:仮縫糸、 26:刃 27:圧迫袋 28:フアスナー 29:リング、 30:薬液袋 31:吸引カテーテル、 32:調節バルブ 33:通気路、 34:吸引路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気掃除機の吸引力を利用して、動物の
    体内から液状物や固形物を吸い出したり、動物の体内に
    液状物を注入したりすることを特徴とする、電気掃除機
    を用いる動物の診療方法
  2. 【請求項2】 吸水型あるいは乾湿両用型電気掃除機の
    吸引力を、機外に付設した吸引力調節器で自在に調節す
    ることによって、動物の体内から液状物や固形物を吸い
    出したり、動物の体内に液状物を注入したりすることを
    特徴とする、電気掃除機を用いる動物の診療方法。
  3. 【請求項3】 両端が開口する中空の吸引力調節器本体
    と、この吸引力調節器本体の前部上面に設けられた通気
    口と、この通気口を囲むように前記吸引力調節器本体の
    外側に一体成形された気密函と、この気密函の壁面に設
    けられた吸気量調節機構とよりなる、請求項1又は2記
    載の方法を実行する装置。
  4. 【請求項4】 フットスイッチを取り付けた電気掃除機
    と、この電気掃除機のホースの先端に着脱自在に接続す
    る吸引力調節器と、この吸引力調節器の先端に接続する
    延長ホースと、この延長ホースの先端に吸引具を装着す
    るための連結器とよりなる、請求項1又は2記載の方法
    を実行する装置。
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