JPH08187100A - 分泌蛋白質のn末端配列決定法 - Google Patents

分泌蛋白質のn末端配列決定法

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JPH08187100A
JPH08187100A JP7251800A JP25180095A JPH08187100A JP H08187100 A JPH08187100 A JP H08187100A JP 7251800 A JP7251800 A JP 7251800A JP 25180095 A JP25180095 A JP 25180095A JP H08187100 A JPH08187100 A JP H08187100A
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誠志 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分泌蛋白質の分泌後のN末端配列を簡単に決
定する方法を提供する。 【構成】 分泌蛋白質の分泌シグナル配列を含むN末端
ペプチドをコードするDNA断片を、マーカー蛋白質を
コードする遺伝子の上流に挿入したのち、該融合遺伝子
を動物細胞に導入して該融合蛋白質を発現させ、培養液
中に分泌された融合蛋白質を精製後、精製された融合蛋
白質のN末端配列を決定することによって、分泌蛋白質
の分泌後のN末端配列を決定する方法。 【効果】 上記の方法により、医薬として有用な分泌蛋
白質が分泌された後、どのようなN末端配列を有してい
るかを、該分泌蛋白質を単離精製することなく、そのc
DNAを用いて容易に決定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分泌蛋白質の分泌後の
N末端配列を決定する方法に関する。この方法により、
医薬として有用な分泌蛋白質が分泌された後、どのよう
なN末端配列を有しているかを容易に決定することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】細胞が生産している生理活性蛋白質は、
医薬、診断薬、バイオセンサー、バイオリアクターな
ど、産業界で広く利用されている。中でも分泌蛋白質は
医薬品として有望なものが多い。たとえば、インターフ
ェロン、エリスロポイエチン、血栓溶解剤など現在市販
されている蛋白質医薬の多くは分泌蛋白質である。
【0003】分泌蛋白質はそのN末端にシグナル配列と
呼ばれる疎水的な約20アミノ酸残基からなる配列を有
している。このシグナル配列の働きによって小包体中に
蛋白質が移動した後、シグナルペプチダーゼの作用によ
りシグナル配列が切断・除去される。したがって実際に
分泌された蛋白質は、シグナル配列を有していない。こ
の様な分泌蛋白質を医薬として用いる際、分泌された後
の蛋白質のN末端の配列を知る必要がある。従来、分泌
蛋白質のN末端配列を決定するためには、目的とする蛋
白質を血清中から単離するか、あるいは目的蛋白質をコ
ードしている遺伝子を動物培養細胞内で発現させ、分泌
蛋白質を単離精製した後、そのN末端配列を決定する方
法がとられてきた。しかし、分泌された蛋白質を大量に
単離精製して、そのN末端配列を決定するのは困難であ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分泌
蛋白質の分泌後のN末端配列を簡単に決定する方法を提
供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、任意のシグナル配列ペプチドをコードするDN
A断片を、マーカー蛋白質の遺伝子と融合させたのち、
動物細胞に導入すると、DNA断片がコードする蛋白質
とマーカー蛋白質の融合蛋白質が培養液に分泌されるこ
とを見いだし、これを利用することによって、培養液中
に分泌された融合蛋白質をマーカー蛋白質の親和性を利
用して精製後、精製された融合蛋白質のN末端配列を決
定する方法を構築し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、任意の分泌蛋白質の
分泌シグナル配列を含むN末端ペプチドをコードするD
NA断片を、マーカー蛋白質をコードする遺伝子の上流
に挿入したのち、該融合遺伝子を動物細胞に導入し、次
いで該動物細胞を培養して前記DNA断片によりコード
される蛋白質と前記マーカー蛋白質との融合蛋白質を発
現させ、培養液中に分泌された該融合蛋白質をそのマー
カー蛋白質を指標として精製後、精製された融合蛋白質
のN末端配列を決定することを特徴とする、分泌蛋白質
の分泌後のN末端配列を決定する方法を提供する。
【0007】また本発明は、大腸菌用複製オリジン、動
物細胞用複製オリジンとプロモーター、その下流に存在
するクローニング部位に挿入された任意の分泌蛋白質の
分泌シグナル配列を含むN末端ペプチドをコードするD
NA断片、その下流に、クローニング部位に挿入された
遺伝子のコーディング領域とフレームが合い、しかも分
泌された場合、それを指標として精製することが可能な
マーカー蛋白質をコードする領域を含むプラスミドベク
ターを提供する。
【0008】さらに本発明は、上記プラスミドベクター
を動物細胞に導入し、分泌蛋白質とマーカー蛋白質との
融合蛋白質を発現させ、分泌された該融合蛋白質を精製
後、精製された融合蛋白質のN末端配列を決定すること
を特徴とする、分泌蛋白質の分泌後のN末端配列を決定
する方法を提供する。
【0009】本発明は、動物細胞用プロモーター、任意
の分泌蛋白質のシグナル配列ペプチドをコードするDN
A断片、マーカー蛋白質をコードする遺伝子を含むベク
ター(図1)を作製し、これを動物細胞に導入してやれ
ば、マーカー蛋白質のN末端に任意のシグナル配列ペプ
チドが付加した融合蛋白質が細胞内で合成され、目的分
泌蛋白質のN末端ペプチドとマーカー蛋白質の融合蛋白
質が分泌されてくることを見いだしたことに基づいてい
る。
【0010】本発明は、次の3つの工程からなる。 工程1 目的とする蛋白質のN末端ペプチドをコードす
るDNA断片を、マーカー蛋白質をコードする遺伝子領
域を含む動物細胞用発現ベクターに組換える。 工程2 得られたベクターを動物細胞に導入して、融合
蛋白質を培養液中に分泌生産させる。 工程3 培養液中に分泌された融合蛋白質を単離精製
し、単離した融合蛋白質のN末端配列を、アミノ酸シー
ケンシングにより決定する。
【0011】工程1 目的とする蛋白質のN末端ペプチドをコードするDNA
断片を、動物細胞用発現ベクターに組換えるには、常法
を用いる。すなわち、動物細胞用プロモーター、クロー
ニング部位(制限酵素切断部位)、マーカー蛋白質をコ
ードする遺伝子が直列に接続されたベクターを用い、こ
の中のクローニング部位に目的とするDNA断片を挿入
する(図2、方法1)。目的とする蛋白質をコードする
cDNAがすでに動物細胞用発現ベクターに組換えられ
ている場合には、シグナル配列の下流に存在する適当な
制限酵素部位に、マーカー蛋白質をコードする遺伝子を
挿入してもよい(図2、方法2)。
【0012】本発明で用いる動物細胞用発現ベクター
は、大腸菌用複製オリジン、動物細胞用複製オリジンと
プロモーター、その下流に存在するクローニング部位、
その下流に、クローニング部位に挿入された遺伝子のコ
ーディング領域とフレームが合い、しかも分泌された場
合、その単離精製が可能なマーカー蛋白質をコードする
領域を含むプラスミドベクターである。
【0013】マーカー蛋白質としては、シグナル配列を
付加してやれば分泌でき、かつ分泌されたマーカー蛋白
質の検出および単離精製が容易なものが望ましい。たと
えば、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター
(ウロキナーゼ)、組織プラスミノーゲンアクチベータ
ー、血液凝固因子などのプロテアーゼ類、βーガラクト
シダーゼ等の酵素類、プロテインA、抗体等の蛋白質結
合因子類などがあげられる。マーカー蛋白質が本来分泌
蛋白質である場合には、これらの蛋白質由来のシグナル
配列ペプチドを除去したものを用いる。
【0014】図3に、本発明で使用したベクターpSS
D1の構造を示す。pSSD1は、SV40の複製オリ
ジンと初期プロモーター、16Sスプライシング部位、
シーケンシング用ユニバーサルプライマー部位(U)、
T7プロモーター、BglIIとEcoRV部位、ウロ
キナーゼの翻訳領域(137番目のProから411番
目のLeuまでを含む)、SV40のポリ(A)付加シ
グナル、pUC系ベクターの複製オリジン、β−ラクタ
マーゼ遺伝子、f1ファージのオリジンを含んでいる。
本ベクターを用いれば、一本鎖ファージDNA(cDN
Aのアンチセンス鎖を含む)を容易に調製でき、ユニバ
ーサルプライマーを用いて、クローン化されたDNA断
片の塩基配列を容易に決定することができる。
【0015】分泌蛋白質としては、血液やリンパ液など
の細胞外液の構成成分、サイトカイン、細胞外マトリッ
クスなどが例示できる。なお、膜蛋白質も分泌シグナル
配列を有するので、本発明の分泌蛋白質の範疇にはい
る。膜蛋白質としては、レセプター、トランスポータ
ー、イオンチャンネルなどが例示できる。
【0016】分泌蛋白質のN末端をコードするDNA断
片は、ゲノム由来、cDNA由来、合成DNAいずれで
もかまわない。ゲノムやcDNAの場合、適当な制限酵
素による切断片を用いても良いし、適当なプライマーを
用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により調製し
たDNA断片を用いてもよい。もし、DNA断片中に開
始コドンから始まるオープンリーディングフレームが存
在し、マーカー蛋白質をコードする遺伝子とフレームが
合っていると、これらの融合蛋白質を発現できるベクタ
ーが出来上がる。
【0017】工程2 工程1で作製したベクターで大腸菌を形質転換したの
ち、単一コロニー化し、各々から調製したプラスミド、
一本鎖DNA、あるいは一本鎖ファージを用いて、動物
細胞のトランスフェクションを行なう。
【0018】発現ベクターを動物細胞に導入するには、
リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、リポ
ソーム法、エレクトロポレーション法等を用いることが
出来る(例えば実験医学別冊「遺伝子工学ハンドブッ
ク」、羊土社、1991、参照)。あるいは、一本鎖フ
ァージを調製した後、これを用いてトランスフェクショ
ンを行なえば、より容易に遺伝子を動物細胞に導入する
ことができる[M.Yokoyama−Kobayas
hi and S.Kato、Biochem.Bio
phys.Res.Commun.192:935−9
39(1993)]。
【0019】動物細胞としては、ベクターに組み込まれ
た複製オリジンやプロモーターが働くものであればいか
なるものでもかまわない。本発明のベクターを用いる場
合、COS7、CHO細胞等が例示できる。該分泌蛋白
質が実際分泌されている細胞を用いることもできる。
【0020】発現ベクターを導入した動物細胞を適当な
条件下で培養した後、培養上澄を調製する。この中にマ
ーカー蛋白質が分泌されているかどうかは、用いたマー
カー蛋白質の検出法を用いて調べる。酵素の場合には、
対応する酵素活性検出法を用いる。マーカー蛋白質に対
する抗体がある場合には、これを用いて酵素免疫アッセ
イを行なえばよい。実施例で用いた場合に分泌されるウ
ロキナーゼは、人工基質ペプチドを用いる方法やフィブ
リンプレート法により検出できる。大量のサンプルを手
軽に、しかも微量のサンプルで検出できるという点で、
実施例に例示したフィブリンプレート法が適している。
【0021】工程3 もしマーカー蛋白質が培養液中に検出された場合には、
目的蛋白質のN末端ペプチドとマーカー蛋白質の融合蛋
白質が分泌されていることになる。したがって、大量ス
ケールで培養後、アフィニティークロマトグラフィー、
すなわちマーカー蛋白質に対して特異的に結合する物質
を固定化したゲル担体を詰めたカラムに培養液を通すこ
とにより、該融合蛋白質を容易に単離精製することがで
きる。単離精製された融合蛋白質のN末端の決定は、ア
ミノ酸シーケンサーを用いて容易に行なうことができ
る。
【0022】
【実施例】次に実施例により発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0023】DNAの組換えに関する基本的な操作およ
び酵素反応は、文献(”Molecular Clon
ing. A Laboratory Manua
l”、Cold Spring Harbor Lab
oratory、1989)に従った。制限酵素および
各種修飾酵素は特に記載の無い場合宝酒造社製のものを
用いた。各酵素反応の緩衝液組成、並びに反応条件は付
属の説明書に従った。
【0024】シグナル配列クローニング用ベクターの作
製 プラスミドpUC19(ファルマシア社)10μgを1
00単位のScaI、ついで100単位のPstIで消
化した後、0.8%アガロースゲル電気泳動にかけ、ゲ
ルからオリジンを含む大きい断片を単離精製した。プラ
スミドpKA1(特開平4−117292に記載)10
μgを100単位のScaI、ついで100単位のPs
tIで消化した後、0.8%アガロースゲル電気泳動に
かけ、ゲルからf1オリジンを含む小さい断片を単離精
製した。両者の断片をライゲーション後、大腸菌HB1
01の形質転換を行なった。形質転換体から単離したプ
ラスミド10μgを100単位のPvuII、ついで1
00単位のPstIで消化した後、0.8%アガロース
ゲル電気泳動にかけ、ゲルからオリジンを含む大きい断
片を単離精製した。
【0025】プラスミドpKA1(特開平4−1172
92に記載)10μgを100単位のAccIで消化し
た後、クレノウ断片処理によって平滑末端化し、ついで
100単位のPstIで消化した後、0.8%アガロー
スゲル電気泳動にかけ、ゲルからSV40オリジンを含
む小さい断片を単離精製した。両者の断片をライゲーシ
ョン後、大腸菌HB101の形質転換を行なった。形質
転換体からプラスミドを単離し、制限酵素地図から目的
とするプラスミドpKA1Uであることを確認した。す
なわち、pKA1Uは、pKA1が有していたpBR3
22由来のオリジンを、pUC由来のオリジンに置き換
えたものである。
【0026】pKA1U 1μgをBstXI10単位
で消化後、T4DNAポリメラーゼによりその末端を平
滑化し、T4DNAリガーゼによりリン酸化BglII
リンカーを接続した。このものをBglII20単位で
消化後、T4リガーゼにより環化し、pKA1UBを構
築した。pKA1UB1μgを、20単位のEcoR
V、20単位のKpnIで消化した後、大腸菌C75由
来アルカリフォスファターゼにより末端のリン酸基を除
去した。
【0027】ヒトフィブロサルコーマ細胞株HT−10
80のcDNAライブラリー(特開平4−117292
に記載)から任意に選択したクローンの塩基配列決定の
結果、ウロキナーゼの完全長cDNAを含むクローンp
KA1−UPAが得られた。
【0028】ヒトウロキナーゼ活性ドメインのN末端
(137番目のProから142番目のGlu)に相当
するcDNAの配列及びウロキナーゼ3’非翻訳領域の
配列を有する次の2種類の合成DNAオリゴマーをDN
A合成機(アプライドバイオシステム社)を用いて合成
した。 SSD1 5'-GGCGATATCCCTCCTCTCCTCCAGAAG-3' SSD2 5'-CGCGGTACCAGCAAGAAAGCGGGTGG-3'
【0029】これらの合成オリゴマーをプライマーとし
てPCR反応を行ない、ウロキナーゼ活性ドメインcD
NA を増幅した。すなわち、pKA1−UPAのPs
tI消化物より単離した1.2kbpの断片1ngを鋳
型に、各々1.8ナノモルのSSD1およびSSD2を
プライマーとして30サイクルのPCR反応を行なっ
た。PCR 生成物を40単位のEcoRVおよび30
単位のKpnIにより消化後、0.7%アガロースゲル
電気泳動にかけ、約860bpの断片を単離した。これ
らの断片を前項のベクター断片に4DNAリガーゼを用
いて連結し、pSSD1を構築した。
【0030】腫瘍壊死因子由来シグナル配列ペプチド/
ウロキナーゼ融合蛋白質の発現ベクター構築 pSSD1 1μgを10単位のEcoRVで完全に消
化した後、2単位のEcoRIで37℃、45秒間の部
分消化を行ない、大腸菌C75アルカリフォスファター
ゼにより末端リン酸基を除去した。
【0031】ヒト腫瘍壊死因子(TNF−α)完全長c
DNAを含むプラスミドpKA1−TNF(特開平4−
117292に記載)1μg のBalIおよびEcoR
I消化物を1.5% アガロースゲル電気泳動にかけ、
約500bpのcDNA断片をゲルより単離した。この
断片とベクター断片のT4DNAリガーゼ反応物を用い
て大腸菌JM109を形質転換した。得られた形質転換
体の有するプラスミドを解析し、ウロキナーゼcDNA
中の2ヵ所のEcoRI部位が無傷であり、かつウロキ
ナーゼcDNA5’側上流にTNFcDNA 断片が挿
入されているものを選択し、pSSD1−TNFとした
(図4)。
【0032】形質転換用サンプルは以下のように調製し
た。プラスミドpSSD1−TNFを有する大腸菌JM
109形質転換株のグリセロールストックから滅菌つま
ようじで少量を採取し、100μg/mlアンピシリン
含有2xYT2mlに植菌した。37℃で1時間30分
培養後、ヘルパーファージM13KO7懸濁液50μl
を加え、さらに16時間培養した。この培養液につい
て15、000回転、5分間の遠心を2回繰返し、大腸
菌体を完全に除去した上澄を得た。この上澄1.2ml
に対して20%ポリエチレングリコール、2.5MNa
Cl溶液0.3mlを添加し充分に混合し、室温にて1
0分間静置後、15、000回転、10分間の遠心を行
ない、沈澱を回収した。得られた沈澱を120μlのト
リス−EDTA(pH8.0)に懸濁し、この懸濁液を
形質転換に用いた。
【0033】COS7細胞のトランスフェクションおよ
び培養上澄の調製 サル腎臓由来培養細胞COS7は、10%ウシ胎児血清
を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、5
%CO2存在下、37℃で培養した。2x106個のCO
S7細胞を培養ボトル(ヌンク社、培養面積175平方
cm)に撒き、37℃で20〜22時間培養した。培地
除去後、リン酸緩衝液で細胞表面を洗浄し、さらに50
mMトリス塩酸(pH7.5)を含むDMEM(TDM
EM)で再度洗浄した。前項に述べたファージ懸濁液2
0μlを0.4mg/mlDEAEデキストラン含有T
DMEM15mlに混合し、この液をCOS7細胞に加
え、5%CO2存在下、37℃で培養した。3時間後、
10mMクロロキンを150μl添加し、さらに2時間
培養した。この液を除去し、TDMEMで細胞表面を洗
浄後、10%ウシ胎児血清含有DMEM40mlを加
え、5%CO2存在下、37℃で2日間培養した。培養
液を除去し、リン酸緩衝液10mlで細胞表面を洗浄し
た。この洗浄は2回繰返した。この後、血清を含まない
DMEM40mlを加え、さらに3日間培養した。培地
を回収し、遠心(5、000rpm、10分、4℃)お
よびろ過(3MMろ紙)により浮遊細胞などを除去し
た。この培養上澄に、塩化ナトリウムを終濃度0.5M
となるように加えた。
【0034】培養上澄のアッセイ 2%ウシフィブリノーゲン(マイルス社)、0.5%ア
ガロース、1mM塩化カルシウムを含む50mMリン酸
緩衝液(pH7.4)10mlに10単位のヒトトロン
ビン(持田製薬)を加え、直径9cm のプレート中で
固化させ、フィブリンプレートを調製した。トランスフ
ェクションしたCOS7細胞の培養上澄10μlをフィ
ブリンプレートに載せ、37℃、15時間インキュベー
トした。その結果、溶解円の形成が観測され、ウロキナ
ーゼ融合蛋白質の分泌が観測された。
【0035】ウロキナーゼ抗体固定化カラムの調製 臭化シアン活性化セファロース4B(ファルマシア社)
0.5gに1mM塩酸を加え、室温、15分間膨潤さ
せ、体積1.5mlのゲルを得た。このゲルを、グラス
フィルターG4上で、1mM塩酸で洗浄し、さらにカッ
プリング緩衝液A(0.1M炭酸水素ナトリウム、pH
8.5、0.5M塩化ナトリウム)で洗浄した。このゲ
ルに、カップリング緩衝液A5mlに溶解したヒト低分
子ウロキナーゼ抗体(ヤギ由来、biopool社)5
mgを加え、4℃、16時間反応させた。上澄を除去し
た後、このゲルにブロッキング緩衝液(1Mグリシン、
0.1M炭酸水素ナトリウム、pH8.0)4mlを加
え、室温にて4時間、反応させた。上澄を除去した後、
ゲルをカップリング緩衝液Aおよびカップリング緩衝液
B(0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5、0.5M塩
化ナトリウム)で、交互に4回洗浄した。さらに0.5
M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液pH7.
5で洗浄し、カラム(エコノカラム、直径1cm、Bi
oRad社)に充填し、4℃に保存した。
【0036】融合蛋白質の単離精製 前項に述べた低分子ウロキナーゼ抗体固定化カラムに、
カラム体積の10倍量以上の0.5M塩化ナトリウム含
有20mMリン酸緩衝液(pH7.5)を流し、平衡化
を行なった。このカラムに培養ボトル4本分のCOS7
細胞培養上澄をかけ、培養上澄中の融合蛋白質をカラム
に吸着させた。この後、0.5M塩化ナトリウム含有2
0mMリン酸緩衝液(pH7.5)を流し、流出液の2
80nmの吸収がバックグラウンド程度に低下するまで
洗浄した。次に2.5Mチオシアン酸カリウムを含む2
0mMリン酸緩衝液(pH7.5)を流し、その流出液
を0.5mlずつ分画した。各分画のウロキナーゼ活性
をフィブリンプレート法により測定した。
【0037】融合蛋白質のN末端配列決定 ウロキナーゼ活性の検出された分画をひとつにまとめ、
これを1mlづつ0.2M炭酸アンモニウムで平衡化し
たNAP10カラム(ファルマシア社)にかけ、1.5
mlの0.2M炭酸アンモニウムで溶出した。得られた
溶出液をまとめ、スピードバックにより数十μl程度ま
で濃縮した。この濃縮液をアミノ酸シーケンサー(AB
I、モデル477A)で解析し、そのN末端配列を決定
した。その結果、得られた融合蛋白質のN末端配列は、
Val−Arg−Ser−Ser−Ser−Arg−T
hr−Pro−Ser−Asp−Lysと解読された。
この配列は、ホルボールエステルで刺激したHL−60
細胞の培養上澄から精製されたTNF−αのN末端配列
[B.B.Aggarwal et al.、J.Bi
ol.Chem.、260:2345−2354(19
85)]と完全に一致した。
【0038】プラスミノーゲンアクチベーターインヒビ
ター1成熟蛋白質のN末端配列決定 (1)融合蛋白質発現ベクターの構築 プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PA
I1)の完全長cDNAを含むプラスミドpKA1−P
AI1[Kato et al.、Gene150:2
43−250(1994)]1μg のHindIII
およびStuI消化物を1.5% アガロースゲル電気
泳動にかけ、約900bpのcDNA断片をゲルより単
離した。この断片をpSSD1のHindIII−Ec
oRV断片と連結した後、T4DNAリガーゼ反応物を
用いて大腸菌JM109を形質転換した。得られた形質
転換体が有するプラスミドを解析し、ウロキナーゼプロ
テアーゼドメインcDNA5’側上流にPAI1cDN
A 断片が挿入されているものを選択し、pSSD1−
PAI1とした。
【0039】(2)融合蛋白質の発現 pSSD1−PAI1を有するf1ファージ粒子を上記
の方法に従ってCOS7細胞に導入し、融合蛋白質を発
現させた。3日間培養後、培地を回収し、5000rp
m、5分間の遠心により培養上澄を得た。
【0040】(3)融合蛋白質の部分精製 上述した低分子ウロキナーゼ抗体固定化カラムに、カラ
ム体積の10倍量以上の1M塩化ナトリウム、0.01
%Tween80含有20mMリン酸緩衝液(pH8.
0)を流し、平衡化を行なった。このカラムに培養ボト
ル4本分のCOS7細胞培養上澄をかけ、培養上澄中の
融合蛋白質をカラムに吸着させた。この後、1M塩化ナ
トリウム、0.01%Tween80含有20mMリン
酸緩衝液(pH8.0)を流し、流出液の280nmの
吸収がバックグラウンド程度に低下するまで洗浄した。
次に1M塩化ナトリウム、0.01%Tween80含
有0.3%アンモニア水(pH11.5)を流し、その
流出液を2mlずつ分画し、分画後直ちに酢酸を添加
し、pHを中性付近に調整した。各分画のウロキナーゼ
活性をフィブリンプレート法により測定した。
【0041】(4)融合蛋白質のN末端アミノ酸配列決
定 活性の検出された分画をひとつにまとめ、これを遠心型
濃縮装置(セントリコン-10)により0.1ml程度ま
で濃縮した。この濃縮液にトリクロロ酢酸を終濃度10
%となるように加え、蛋白質の沈澱物を得た。この沈澱
物を、電気泳動用サンプルバッファー(60mMトリス
塩酸、pH6.8、2%SDS、10%グリセロール、
0.025%ブロムフェノールブルー、14mMメルカ
プトエタノール)に溶解後、SDSーポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動にかけた。泳動終了後、ゲルをトランス
ファーバッファー(25mMトリス、192mMグリシ
ン、15%メタノール)中に20分間浸した。セミドラ
イブロッティング装置(ザルトリウス社製)を用い、カ
ソードバッファー(25mMトリス、40mMεーアミ
ノカプロン酸、20%メタノール、pH9.4)に浸し
た濾紙3枚、ゲル、メタノールおよびトランスファーバ
ッファーに浸したPVDF膜(バイオラッド社製)、ア
ノードバッファー#2(25mMトリス、10%メタノ
ール、pH10.4)に浸した濾紙2枚、アノードバッ
ファー#1(0.3Mトリス、10%メタノール、pH
10.4)に浸した濾紙1枚の順に重ね、80mA、2
時間通電し、ブロッティングを行なった。ブロッティン
グ後のPVDF膜を蒸留水で洗浄し、染色液(0.2%
クーマシーブリリアントブルー、45%メタノール)で
5分間染色し、90%メタノールで脱色後、乾燥した。
この膜から、目的とする融合蛋白質に該当するバンドを
切取り、アミノ酸シーケンサーによる解析に供した。そ
の結果、融合蛋白質のN末端にVal−His−His
−Pro−Proの配列が確認された。この配列はPA
I1の仮想シグナル切断部位からの配列に一致してい
た。
【発明の効果】本発明により、医薬として有用な分泌蛋
白質が分泌された後、どのようなN末端配列を有してい
るかを、該分泌蛋白質を単離精製することなく、該分泌
蛋白質をコードしているcDNAを用いて容易に決定す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 融合遺伝子の構造を示す図である。
【図2】 融合遺伝子を作製する工程を示す図である。
【図3】 pSSD1の構造を示す図である。
【図4】 TNF−αシグナル配列ペプチド/ウロキナ
ーゼ融合蛋白質cDNAの構造を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/68

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 任意の分泌蛋白質の分泌シグナル配列を
    含むN末端ペプチドをコードするDNA断片を、マーカ
    ー蛋白質をコードする遺伝子の上流に挿入したのち、該
    融合遺伝子を動物細胞に導入し、次いで該動物細胞を培
    養して前記DNA断片によりコードされる蛋白質と前記
    マーカー蛋白質との融合蛋白質を発現させ、培養液中に
    分泌された該融合蛋白質をそのマーカー蛋白質を指標と
    して精製後、精製された融合蛋白質のN末端配列を決定
    することを特徴とする、分泌蛋白質の分泌後のN末端配
    列を決定する方法。
  2. 【請求項2】 マーカー蛋白質がウロキナーゼである請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 大腸菌用複製オリジン、動物細胞用複製
    オリジンとプロモーター、その下流に存在するクローニ
    ング部位に挿入された任意の分泌蛋白質の分泌シグナル
    配列を含むN末端ペプチドをコードするDNA断片、そ
    の下流に、クローニング部位に挿入された遺伝子のコー
    ディング領域とフレームが合い、しかも分泌された場
    合、それを指標として精製することが可能なマーカー蛋
    白質をコードする領域を含むプラスミドベクター。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のプラスミドベクターを動
    物細胞に導入し、分泌蛋白質の分泌シグナル配列を含む
    N末端ペプチドとマーカー蛋白質との融合蛋白質を発現
    させ、分泌された該融合蛋白質を精製後、精製された融
    合蛋白質のN末端配列を決定することを特徴とする、分
    泌蛋白質の分泌後のN末端配列を決定する方法。
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