JPH08188847A - 疲労特性にすぐれる複合組織鋼板及びその製造方法 - Google Patents

疲労特性にすぐれる複合組織鋼板及びその製造方法

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JPH08188847A
JPH08188847A JP5895A JP5895A JPH08188847A JP H08188847 A JPH08188847 A JP H08188847A JP 5895 A JP5895 A JP 5895A JP 5895 A JP5895 A JP 5895A JP H08188847 A JPH08188847 A JP H08188847A
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雅男 杵渕
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】伸びフランジ性を損なうことなく、疲労特性に
すぐれる3相複合組織鋼板を得る。 【構成】重量%で、C:0.03〜0.15、Si:
0.3〜1.5、Mn:0.1〜2.0、P:0.1以
下、Al:0.005〜0.1、S:0.005以下を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物よりなり、フェラ
イト相中に硬質のベイナイト相とマルテンサイト相を含
有し、フェライトの結晶粒径が4〜15μm、フェライ
トのビッカース硬さ(Hv)が140〜180、ベイナ
イトの結晶粒径が6μm以下、ベイナイトのビッカース
硬さ(Hv)が250〜400、マルテンサイトの結晶
粒径が6μm以下、マルテンサイトのビッカース硬さ
(Hv)が400〜700である3相複合組織からな
り、更に、硬質相全体の体積率が5〜40%であり、硬
質相全体の平均自由行程が20μm以下である疲労特性
にすぐれる複合組織鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、鉄道等の車両
において、プレス加工、打抜加工等によって形成され、
頻繁な繰り返し荷重の作用する構造部材に好適に用いる
ことができる疲労特性にすぐれる複合組織熱延鋼板及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、鉄道等の車両において、燃料費
用やエネルギー効率の向上の必要から軽量化の要求が高
く、従来の軟鋼板に代えて、高張力鋼板の使用が増加し
ている。しかも、これらの車両の寿命は、材料の疲労強
度で決まっているため、高強度であると共に、疲労特性
にすぐれる鋼板への要求が高い。
【0003】そこで、このような要求に応えるため、材
料の組成や微視組織を調整した種々の鋼板が開発されて
おり、代表的なものとしては、特開平4−136119
号公報等に記載されているように、フェライトを母相と
して、これに硬質の第2相を分散させることによって疲
労強度を改善したフェライト−マルテンサイト鋼、所謂
デュアル・フェイズ(Dual Phase)鋼が知られている。
【0004】しかし、上記用途向けの薄鋼板は、プレス
加工、打抜加工等を経て所要の部材に加工され、実用に
供されるので、加工性をにすぐれることが必要である。
上記デュアル・フェイズ鋼は、降伏比が低く、強度に比
べて伸びが大きく、成形性の面でもすぐれた特性を有し
ているが、伸びフランジ性の面で劣っており、そのため
に成形時に穴拡げ部から割れが発生する等の問題を有し
ている。
【0005】そこで、このようなデュアル・フェイズ鋼
における問題を解決するために、特開平1−03354
3号公報に記載されているように、低降伏比を有すると
共に、すぐれた強度−伸びバランスと伸びフランジ性を
有するフェライト−ベイナイト−マルテンサイトの3相
組織を持つ複合組織鋼板が提案されている。しかしなが
ら、このような3相複合組織鋼板によれば、伸びフラン
ジ性を付与した代償として、疲労強度が低いことが多
く、かくして、疲労特性が十分とはいえず、最適の微視
組織が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来の
複合組織鋼板における上述したような問題を解決して、
上記要望に応えるために、良好な伸びフランジ性を有す
るフェライト−ベイナイト−マルテンサイト複合組織鋼
板の疲労強度と微視組織の関係を明らかにすべく、鋭意
研究した結果、母相であるフェライトと、これより硬さ
の高いベイナイトとマルテンサイトの結晶粒径、硬さ及
び分散状態を制御することによって、伸びフランジ性を
損なうことなく、疲労特性にすぐれる3相複合組織鋼板
を得ることができることを見出して、本発明に至つたも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による疲労特性に
すぐれる複合組織鋼板は、重量%で、C 0.03〜0.
15%、Si 0.3〜1.5%、Mn 0.1〜2.0%、P
0.1%以下、Al 0.005〜0.1%、S 0.0
05%以下を含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりな
り、フェライト相中に硬質のベイナイト相とマルテンサ
イト相を含有し、フェライトの結晶粒径が4〜15μ
m、フェライトのビッカース硬さ(Hv)が140〜1
80、ベイナイトの結晶粒径が6μm以下、ベイナイト
のビッカース硬さ(Hv)が250〜400、マルテン
サイトの結晶粒径が6μm以下、マルテンサイトのビッ
カース硬さ(Hv)が400〜700である3相複合組
織からなり、更に、硬質相全体の体積率が5〜40%の
範囲にあり、硬質相全体の平均自由行程が20μm以下
であることを特徴とする。
【0008】本発明による複合組織鋼板には、上記元素
に加えて、Ca 0.01%以下を添加することができ
る。更に、本発明による複合組織鋼板には、上記Caに
加えて、又は上記Caとは別に、Cu 0.1〜2%、N
i 0.1〜2%、Cr 0.05〜2%、Mo 0.05〜
1%、V 0.01〜0.5%、Ti 0.01〜0.3%、
Nb 0.01〜0.2%、B 0.0005〜0.01%よ
りなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を添加する
ことができる。
【0009】このような複合組織鋼板は、本発明に従っ
て、上記化学成分を有する鋼を熱間圧延する際に、95
0〜800℃の範囲の温度で仕上圧延し、次いで、圧延
の後、5秒以内に冷却速度15℃/秒以上で冷却を開始
し、冷却する1次冷却を行ない、続いて、750〜60
0℃の温度域において冷却速度15℃/秒未満にて3〜
15秒間徐冷する2次冷却を行ない、続いて、冷却速度
15℃/秒以上にて冷却する3次冷却を行なった後、5
00℃以下の温度で巻取ることによって得ることができ
る。
【0010】このように、本発明によれば、硬質のベイ
ナイトとマルテンサイトを含むフェライト組織を有し、
それぞれの結晶粒径と硬さを限定し、更に、疲労亀裂の
伝播を阻止するうえで重要な硬質相の平均自由行程を規
定することによって、加工性を阻害することなく、疲労
特性を向上させてなる複合組織鋼板とその製造方法が提
供される。
【0011】本発明による複合組織鋼板の微視組織につ
いて説明する。先ず、フェライトの結晶粒径とビッカー
ス硬さの限定理由について述べる。フェライト結晶粒径
が粗大になればなるほど、引張強度、疲労強度共に低下
するので、十分な強度を得るために、本発明において
は、フェライトの結晶粒径の上限を15μmとする。一
方、結晶粒の微細化によって、高サイクル疲労強度は上
昇するが、しかし、過度の微細化は、低サイクル側での
寿命低下や疲労亀裂伝播の下限界値の低下を招く。本発
明においては、この低下を抑えるために下限を4μmと
する。
【0012】フェライトのビッカース硬さ(Hv)は、
フェライト中の疲労滑り帯や微視的な亀裂の発生に対す
る抵抗を高めるので、硬さが高いほど、疲労強度も向上
する。しかし、前述したように、必要特性の一つである
プレス成形性、伸びフランジ性、打抜加工等の成形性や
加工性は、硬さの増加により低下する。そこで、本発明
においては、成形性や加工性を阻害することなく、十分
な疲労強度を確保するために、フェライトのビッカース
硬さ(Hv)硬さの範囲を140〜180とする。
【0013】次に、本発明による複合組織鋼板におい
て、最も重要である硬質相の条件について述べる。硬質
の第2相をフェライト中に分散させる主たる目的は、フ
ェライト中に発生した疲労滑り帯や亀裂の伝播を硬質相
の粒界で阻止し、停留させることによって、疲労強度を
向上させることである。疲労滑り帯や亀裂の伝播を阻止
するためには、これらが十分に伝播する前に硬質相に遭
遇する必要があるが、この遭遇確率は、硬質相の粒径と
分散状態に左右される。例えば、ベイナイト量を一定と
したままで、ベイナイト粒径を変化させると、図1に示
すように、ベイナイト粒径が6μm以上では、疲労強度
の向上には寄与しない。マルテンサイトについても同様
である。従って、本発明においては、ベイナイト及びマ
ルテンサイトの結晶粒径をそれぞれ6μm以下とする。
【0014】本発明によれば、後述するように、これら
第2相量を必要以上に増加させないので、成形性や加工
性を阻害することなく、疲労強度を高めることができ
る。
【0015】更に、ベイナイトがより硬質であるとき、
疲労滑り帯や亀裂の阻止に一層有効である。図2に示す
ように、疲労滑り帯や亀裂の阻止に十分な効果を得るこ
とができるように、本発明によれば、ベイナイトのビッ
カース硬さ(Hv)の下限を250とする。しかし、ベ
イナイトの硬質化によるこのような疲労強度の向上の効
果は、ベイナイトのビッカース硬さ(Hv)が400を
越えても飽和するので、その上限を400とする。
【0016】また、マルテンサイト硬さの向上も、疲労
強度の向上に寄与する。マルテンサイトの少量の生成に
よって、上記効果を十分に得ることができるように、マ
ルテンサイトのビッカース硬さ(Hv)の下限を400
とする。しかし、硬質化しすぎても、必要以上に引張強
度を高め、その結果、成形性や加工性に悪影響を与える
ので、その上限を700とする。
【0017】尚、本発明において、ビッカース硬さ(H
v)が250〜700の場合、残留オーステナイトも疲
労強度の向上に寄与するので、硬質相には、このような
残留オーステナイトをも含むものとする。
【0018】次に、硬質相の平均自由行程の限定理由に
ついて述べる。前述したように、疲労滑り帯や亀裂が第
2相に遭遇する確率を決定する要因の一つに硬質相の分
散状態がある。この確率を決定する微視組織因子として
は、硬質相の面積率よりも、硬質相間の距離、即ち、硬
質相の平均自由行程が重要である。硬質相の平均自由行
程が大きければ、疲労滑り帯や亀裂が硬質相に遭遇する
前に十分な長さに成長するので、それらを硬質相で阻止
停留させることができない。即ち、図3に示すように、
平均自由行程が大きいときは、硬質相を含有させても、
疲労強度は殆ど向上しない。そこで、本発明によれば、
硬質相の平均自由行程を20μm以下とする。
【0019】最後に硬質相の体積率の限定理由を述べ
る。前述したように、プレス加工、打抜加工等によって
形成され、頻繁な繰り返し荷重の作用する構造部材に用
いられる鋼板に必要な特性は、良好な疲労特性と加工性
である。本発明では、加工性の一つの指標として、伸び
フランジ性を考慮したが、疲労特性の向上によって、伸
びフランジ性を劣化させないように、本発明において
は、硬質相全体の体積率を5〜40%の範囲に限定す
る。
【0020】本発明による複合組織鋼板によれば、以上
のように、フェライト、ベイナイト及びマルテンサイト
のそれぞれの結晶粒径とビッカース硬さ(Hv)が規定
されるうえに、硬質相全体の面積率と硬質相の平均自由
行程が規定される。
【0021】本発明によるこのような複合組織を有する
鋼板を実現するための鋼の化学成分について説明する。
【0022】Cは、適切な硬さの第2相を得るために必
要な元素であり、そのためには0.03%以上の添加が必
要である。しかし、0.15%を越えて添加するときは、
加工性及び溶接性の劣化が大きい。従って、本発明にお
いては、Cの添加量は0.03〜0.15%の範囲とする。
Siは、固溶強化元素であり、フェライトの硬さを高く
するために必要である。その効果を有効に発揮させるた
めには、0.3%以上の添加が必要である。しかし、1.5
%を越えて添加すると、フェライトの硬さが過度に上昇
して、成形性や加工性を低下させると共に、鋼板の表面
性状を劣化させる。従って、Si量は0.03〜1.5%の
範囲とする。
【0023】Mnは、熱間脆性を防止するために、0.1
%以上添加する必要があるが、2.0%を越えて添加する
と溶接性を損なう。従って、Mn添加量は0.1〜2.0の
範囲とする。Pは、置換型固溶強化元素として有効な元
素であり、高延性を与える効果がある。しかし、過多に
添加するときは、粒界に偏析し、脆化を招くので、その
上限を0.1%とする。
【0024】Alは、脱酸剤として、0.005%以上の
添加が必要であるが、過多に添加しても、その効果が飽
和するだけでなく、製造費用を徒に高くするのみである
ので、その上限を0.1%とする。Sは、通常、鋼に0.0
08%程度含まれているが、すぐれた成形性、特に、伸
びフランジ性を確保するために、本発明においては、0.
005%以下とする。
【0025】本発明においては、上記元素に加えて、C
aを鋼に添加することができる。このCaは、硫化物の
形態制御を通じて、延性、特に、伸びフランジ性を改善
する効果がある。しかし、過多に添加しても、その効果
が飽和するのみならず、鋼の清浄度を低下させるので、
その上限を0.01%とする。
【0026】本発明においては、上記元素に加えて、又
は上記元素とは別に、更に、Cu、Ni、Cr、Mo、
V、Ti、Nb及びBよりなる群から選ばれる少なくと
も1種の元素を鋼に添加することができる。
【0027】Cuは、固溶強化及び析出強化に有効な元
素であり、フェライトの硬さを向上させ、また、伸びフ
ランジ性を損なうことなく、鋼板を強化する働きがあ
る。また、疲労特性を向上させる効果もある。これらの
効果を発揮するためには、少なくとも0.1%を添加する
必要がある。しかし、過多に添加するととは、製造費用
を高くするので、2.0%を添加量の上限とする。
【0028】Niは、溶接性を阻害することなく、焼入
れ性及び靱性を向上させる効果があり、この効果を発揮
するには、少なくとも0.1%を添加する必要がある。し
かし、過多に添加するときは、製造費用を高くするの
で、2.0%を添加量の上限とする。Crは、焼入れ性を
向上させ、所定の組織を有利に与える元素である。この
効果を発揮するためには、0.05%以上添加する必要が
あるが、2.0%を越えて添加してもその効果は飽和し、
また、製造費用を高くする。従って、Cr添加量は0.0
5〜2.0%の範囲とする。
【0029】Moも、焼入れ性を向上させ、所定の組織
を有利に与える元素である。この効果を有効に得るため
には、0.05%以上添加する必要があるが、しかし、1.
0%を越えて添加しても、その効果は飽和し、また、製
造費用を高くする。従って、Mo添加量は0.05〜1.0
%の範囲とする。V、Ti及びNbは、析出強化元素で
あり、フェライト硬さを向上させる効果があるが、しか
し、過度に添加するときは、その効果が飽和し、製造費
用の点からも不利である。そこで、本発明においては、
これら元素の添加量は、V0.01〜0.5%、Ti0.01
〜0.30%、Nb0.01〜0.2%の範囲とする。
【0030】Bは、焼入れ性を向上させるのに有効な元
素である。この効果を有効に得るためには、少なくとも
0.0005%を添加する必要がある。しかし、過多に添
加するときは、その効果が飽和するだけでなく、延性を
低下させるので、その上限を0.01%とする。
【0031】次に、本発明による複合組織鋼板の製造方
法について述べる。熱間圧延における仕上温度は、得ら
れる熱延鋼板の全伸び、伸びフランジ性及び疲労特性に
重要な影響を与える。そこで、本発明によれば、先ず、
上述した化学成分を有する鋼を熱間圧延する際に、95
0〜800℃の範囲の温度で仕上圧延する。仕上温度を
このように規定するのは、Ar3変態点におけるフェライ
トの生成核を増大させるためであり、延性に必要なフェ
ライトを短時間に微細に生成させ、また、硬質相を微細
に分散させるためである。
【0032】仕上温度が950℃を越えるときは、仕上
圧延後の冷却過程において、十分な体積率にてフェライ
トを生成させると共に、フェライトと硬質相とを本発明
において規定する範囲の微細な粒径にするのが困難であ
る。仕上温度が800℃よりも低いときは、仕上圧延時
にフェライトに歪が多量に入って、面内方向性及び延性
を阻害し、加工性が劣化する。以上から、本発明におい
ては、仕上温度を800〜950℃の範囲の温度とす
る。
【0033】更に、本発明においては、上記仕上圧延後
の冷却過程も重要であり、圧延の後の冷却を1次、2次
及び3次の3段にて行なう。即ち、本発明によれば、1
次冷却は、圧延の後、5秒以内に2次冷却まで、冷却速
度15℃/秒以上にて急冷するものである。圧延後、1
次冷却までの時間が5秒を越えるときは、仕上圧延によ
って鋼に付与された歪が回復及び再結晶によって開放さ
れ、組織の細粒化が困難となる。通常、圧延の後、1〜
3秒程度で2次冷却が開始される。また、1次冷却の速
度が15℃/秒未満の場合も、フェライトが高温で生成
し、成長することによって、組織の微細化が困難とな
り、本発明の組織を得るのが困難となる。1次冷却の速
度は、温度制御の点から、通常、100℃/秒以下であ
る。
【0034】2次冷却は、600〜750℃の範囲の温
度域にて、15℃/秒未満の冷却速度で3〜15秒の範
囲の時間にわたって徐冷するものである。この2次冷却
によって、本発明にて規定する範囲の粒径のフェライト
を適量生成させると共に、硬質相の粒径と分散状態を制
御する。冷却時間が3秒未満のときは、十分なフェライ
ト量を得ることが困難であり、他方、15秒を越えると
きは、パーライトが生成して、本発明で規定する組織を
得ることが困難である。2次冷却の速度は、通常、5℃
/秒以上である。これよりも遅いときは、保温のために
特殊な設備が必要となるので好ましくない。
【0035】また、2次冷却の温度域が750℃よりも
高いときは、フェライト粒径が粗大となり、目的とする
フェライトを得ることが困難である。他方、2次冷却の
温度域が600℃よりも低いときは、パーライトが生成
し、本発明で規定する組織を得ることが困難である。
【0036】次に、3次冷却は、冷却速度15℃/秒以
上にて500℃以下の巻取温度まで冷却するものであ
る。この3次冷却は、巻取温度までの冷却過程におい
て、パーライトを生成させないためである。3次冷却の
速度は、温度制御の点から、通常、100℃/秒以下で
ある。
【0037】巻取温度は、500℃以下の温度である。
巻取温度が500℃を越えるときは、パーライト若しく
は粗大なベイナイトが生成し、本発明で規定する組織を
得ることが困難である。
【0038】以上のように本発明によれば、化学成分を
規定した鋼を所定の条件下に熱間圧延すると共に、その
後の冷却を3段にて行なって、組織をフェライト・ベイ
ナイト・マルテンサイトの複合組織とすると共に、それ
ら組織の粒径、硬さ、体積率及び平均自由行程を制御す
ることによって、目的とする疲労特性にすぐれる複合組
織鋼板を得ることができる。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0040】実施例1 表1に示す化学成分を有する鋼を真空溶製し、これを圧
延し、3段にて冷却し、巻き取った。製造条件を種々制
御することによって、実施例2に示すように、種々の複
合組織を有する鋼板を得ることができる。製造方法の一
例として、例えば、仕上圧延の後、720℃まで冷却速
度40℃/秒にて1次冷却し、次いで、冷却速度6℃/
秒にて10秒間、2次冷却し、その後、冷却速度40℃
/秒にて巻取温度まで3次冷却し、450℃で巻き取る
方法を挙げることができる。
【0041】このようにして得られた供試材の機械的性
質、硬さ及び顕微鏡組織観察結果を表2に示す。引張特
性は、JIS5号引張試験片で試験し、伸びフランジ性
は、鋼板にポンチ打抜きで直径10mmの穴を開け、先端
角60°の円錐ポンチで試験した穴拡げ率(λ)で評価
した。疲労強度は、両振り平面曲げ疲労試験で107
イクル以上で破断が認められなかった応力とした。
【0042】鋼1〜12は本発明鋼であり、鋼13〜1
7は比較鋼である。これらのうち、鋼11及び12は冷
延鋼板であり、その他は熱延鋼板である。本発明による
鋼板は、従来の鋼板と比較して、同じ引張強さで同等の
伸びフランジ性を有すると共に、引張強さの半分以上の
疲労特性を有する。化学成分が本発明て規定する範囲に
あっても、微視組織が本発明で規定する組織でないもの
は十分な疲労強度をもたない。また、微視組織が本発明
て規定するものであっても、化学成分、特に、S量が本
発明で規制する条件を満たさないものは、疲労強度にす
ぐれていても、伸びフランジ性に劣る。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】実施例2 表3に示す化学成分を有する鋼を真空溶製し、表4に示
す条件にて粗圧延して、厚さ30mmのスラブとし、これ
を4パスにて厚さ3.5mmの熱延板とした。仕上圧延の
後、いずれも5秒以内に、通常、1〜3秒程度にて、表
4に示す冷却速度にて1次冷却を行ない、続いて、表4
に示す開始温度から、表4に示す時間にわたって、徐冷
して、2次冷却を行ない、続いて、表4に示す冷却速度
にて3次冷却を行なった後、表4に示す温度で巻き取っ
た。
【0046】このようにして得られた供試材の機械的性
質、硬さ及び顕微鏡組織観察結果を表5に示す。引張特
性は、JIS5号引張試験片で試験し、伸びフランジ性
は、鋼板にポンチ打抜きで直径10mmの穴を開け、先端
角60°の円錐ポンチで試験した穴拡げ率(λ)で評価
した。疲労強度は、両振り平面曲げ疲労試験で107
イクル以上で破断が認められなかった応力とした。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明による複合組織鋼
板は、従来の3相複合組織鋼板と同等の加工性、特に、
伸びフランジ性を有しながら、すぐれた疲労特性を有し
ており、自動車、鉄道等の構造部材、特に、強加工の必
要な部材の製造に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、得られる鋼板におけるベイナイト粒径と疲
労強度との関係を示すグラフである。
【図2】は、得られる鋼板におけるベイナイトのビッカ
ース硬さ(Hv)と疲労強度との関係を示すグラフであ
る。
【図3】は、得られる鋼板における硬質相の平均自由工
程と疲労強度との関係を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 横幕 俊典 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C 0.03〜0.15%、 Si 0.3〜1.5%、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.1%以下、 Al 0.005〜0.1%、 S 0.005%以下 を含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、フェラ
    イト相中に硬質のベイナイト相とマルテンサイト相を含
    有し、フェライトの結晶粒径が4〜15μm、フェライ
    トのビッカース硬さ(Hv)が140〜180、ベイナ
    イトの結晶粒径が6μm以下、ベイナイトのビッカース
    硬さ(Hv)が250〜400、マルテンサイトの結晶
    粒径が6μm以下、マルテンサイトのビッカース硬さ
    (Hv)が400〜700である3相複合組織からな
    り、更に、硬質相全体の体積率が5〜40%であり、硬
    質相全体の平均自由行程が20μm以下である疲労特性
    にすぐれる複合組織鋼板。
  2. 【請求項2】重量%で、 C 0.03〜0.15%、 Si 0.3〜1.5%、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.1%以下、 Al 0.005〜0.1%、 S 0.005%以下、 Ca 0.01%以下 を含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、フェラ
    イト相中に硬質のベイナイト相とマルテンサイト相を含
    有し、フェライトの結晶粒径が4〜15μm、フェライ
    トのビッカース硬さ(Hv)が140〜180、ベイナ
    イトの結晶粒径が6μm以下、ベイナイトのビッカース
    硬さ(Hv)が250〜400、マルテンサイトの結晶
    粒径が6μm以下、マルテンサイトのビッカース硬さ
    (Hv)が400〜700である3相複合組織からな
    り、更に、硬質相全体の体積率が5〜40%であり、硬
    質相全体の平均自由行程が20μm以下である疲労特性
    にすぐれる複合組織鋼板。
  3. 【請求項3】重量%で、 (a) C 0.03〜0.15%、 Si 0.3〜1.5%、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.1%以下、 Al 0.005〜0.1%、 S 0.005%以下 を含有し、更に、 (b) Cu 0.1〜2%、 Ni 0.1〜2%、 Cr 0.05〜2%、 Mo 0.05〜1%、 V 0.01〜0.5%、 Ti 0.01〜0.3%、 Nb 0.01〜0.2%、 B 0.0005〜0.01% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
    し、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、フェライト相
    中に硬質のベイナイト相とマルテンサイト相を含有し、
    フェライトの結晶粒径が4〜15μm、フェライトのビ
    ッカース硬さ(Hv)が140〜180、ベイナイトの
    結晶粒径が6μm以下、ベイナイトのビッカース硬さ
    (Hv)が250〜400、マルテンサイトの結晶粒径
    が6μm以下、マルテンサイトのビッカース硬さ(H
    v)が400〜700である3相複合組織からなり、更
    に、硬質相全体の体積率が5〜40%であり、硬質相全
    体の平均自由行程が20μm以下である疲労特性にすぐ
    れる複合組織鋼板。
  4. 【請求項4】重量%で、 (a) C 0.03〜0.15%、 Si 0.3〜1.5%、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.1%以下、 Al 0.005〜0.1%、 S 0.005%以下、 Ca 0.01%以下 を含有し、更に、 (b) Cu 0.1〜2%、 Ni 0.1〜2%、 Cr 0.05〜2%、 Mo 0.05〜1%、 V 0.01〜0.5%、 Ti 0.01〜0.3%、 Nb 0.01〜0.2%、 B 0.0005〜0.01% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
    し、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、フェライト相
    中に硬質のベイナイト相とマルテンサイト相を含有し、
    フェライトの結晶粒径が4〜15μm、フェライトのビ
    ッカース硬さ(Hv)が140〜180、ベイナイトの
    結晶粒径が6μm以下、ベイナイトのビッカース硬さ
    (Hv)が250〜400、マルテンサイトの結晶粒径
    が6μm以下、マルテンサイトのビッカース硬さ(H
    v)が400〜700である3相複合組織からなり、更
    に、硬質相全体の体積率が5〜40%であり、硬質相全
    体の平均自由行程が20μm以下である疲労特性にすぐ
    れる複合組織鋼板。
  5. 【請求項5】重量%で、 C 0.03〜0.15%、 Si 0.3〜1.5%、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.1%以下、 Al 0.005〜0.1%、 S 0.005%以下 を含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼を熱間
    圧延する際に、950〜800℃の範囲の温度で仕上圧
    延し、次いで、圧延の後、5秒以内に冷却速度15℃/
    秒以上で冷却を開始し、冷却する1次冷却を行ない、続
    いて、750〜600℃の温度域において冷却速度15
    ℃/秒未満にて3〜15秒間徐冷する2次冷却を行な
    い、続いて、冷却速度15℃/秒以上にて冷却する3次
    冷却を行なった後、500℃以下の温度で巻取って、フ
    ェライト相中に硬質のベイナイト相とマルテンサイト相
    を含有し、フェライトの結晶粒径が4〜15μm、フェ
    ライトのビッカース硬さ(Hv)が140〜180、ベ
    イナイトの結晶粒径が6μm以下、ベイナイトのビッカ
    ース硬さ(Hv)が250〜400、マルテンサイトの
    結晶粒径が6μm以下、マルテンサイトのビッカース硬
    さ(Hv)が400〜700である3相複合組織からな
    り、更に、硬質相全体の体積率が5〜40%であり、硬
    質相全体の平均自由行程が20μm以下である疲労特性
    にすぐれる複合組織鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】重量%で、 C 0.03〜0.15%、 Si 0.3〜1.5%、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.1%以下、 Al 0.005〜0.1%、 S 0.005%以下、 Ca 0.01%以下 を含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼を熱間
    圧延する際に、950〜800℃の範囲の温度で仕上圧
    延し、次いで、圧延の後、5秒以内に冷却速度15℃/
    秒以上で冷却を開始し、冷却する1次冷却を行ない、続
    いて、750〜600℃の温度域において冷却速度15
    ℃/秒未満にて3〜15秒間徐冷する2次冷却を行な
    い、続いて、冷却速度15℃/秒以上にて冷却する3次
    冷却を行なった後、500℃以下の温度で巻取って、フ
    ェライト相中に硬質のベイナイト相とマルテンサイト相
    を含有し、フェライトの結晶粒径が4〜15μm、フェ
    ライトのビッカース硬さ(Hv)が140〜180、ベ
    イナイトの結晶粒径が6μm以下、ベイナイトのビッカ
    ース硬さ(Hv)が250〜400、マルテンサイトの
    結晶粒径が6μm以下、マルテンサイトのビッカース硬
    さ(Hv)が400〜700である3相複合組織からな
    り、更に、硬質相全体の体積率が5〜40%であり、硬
    質相全体の平均自由行程が20μm以下である疲労特性
    にすぐれる複合組織鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】重量%で、 (a) C 0.03〜0.15%、 Si 0.3〜1.5%、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.1%以下、 Al 0.005〜0.1%、 S 0.005%以下 を含有し、更に、 (b) Cu 0.1〜2%、 Ni 0.1〜2%、 Cr 0.05〜2%、 Mo 0.05〜1%、 V 0.01〜0.5%、 Ti 0.01〜0.3%、 Nb 0.01〜0.2%、 B 0.0005〜0.01% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
    し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼を熱間圧延す
    る際に、950〜800℃の範囲の温度で仕上圧延し、
    次いで、圧延の後、5秒以内に冷却速度15℃/秒以上
    で冷却を開始し、冷却する1次冷却を行ない、続いて、
    750〜600℃の温度域において冷却速度15℃/秒
    未満にて3〜15秒間徐冷する2次冷却を行ない、続い
    て、冷却速度15℃/秒以上にて冷却する3次冷却を行
    なった後、500℃以下の温度で巻取って、フェライト
    相中に硬質のベイナイト相とマルテンサイト相を含有
    し、フェライトの結晶粒径が4〜15μm、フェライト
    のビッカース硬さ(Hv)が140〜180、ベイナイ
    トの結晶粒径が6μm以下、ベイナイトのビッカース硬
    さ(Hv)が250〜400、マルテンサイトの結晶粒
    径が6μm以下、マルテンサイトのビッカース硬さ(H
    v)が400〜700である3相複合組織からなり、更
    に、硬質相全体の体積率が5〜40%であり、硬質相全
    体の平均自由行程が20μm以下である疲労特性にすぐ
    れる複合組織鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】重量%で、 (a) C 0.03〜0.15%、 Si 0.3〜1.5%、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.1%以下、 Al 0.005〜0.1%、 S 0.005%以下、 Ca 0.01%以下 を含有し、更に、 (b) Cu 0.1〜2%、 Ni 0.1〜2%、 Cr 0.05〜2%、 Mo 0.05〜1%、 V 0.01〜0.5%、 Ti 0.01〜0.3%、 Nb 0.01〜0.2%、 B 0.0005〜0.01% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
    し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼を熱間圧延す
    る際に、950〜800℃の範囲の温度で仕上圧延し、
    次いで、圧延の後、5秒以内に冷却速度15℃/秒以上
    で冷却を開始し、冷却する1次冷却を行ない、続いて、
    750〜600℃の温度域において冷却速度15℃/秒
    未満にて3〜15秒間徐冷する2次冷却を行ない、続い
    て、冷却速度15℃/秒以上にて冷却する3次冷却を行
    なった後、500℃以下の温度で巻取って、フェライト
    相中に硬質のベイナイト相とマルテンサイト相を含有
    し、フェライトの結晶粒径が4〜15μm、フェライト
    のビッカース硬さ(Hv)が140〜180、ベイナイ
    トの結晶粒径が6μm以下、ベイナイトのビッカース硬
    さ(Hv)が250〜400、マルテンサイトの結晶粒
    径が6μm以下、マルテンサイトのビッカース硬さ(H
    v)が400〜700である3相複合組織からなり、更
    に、硬質相全体の体積率が5〜40%であり、硬質相全
    体の平均自由行程が20μm以下である疲労特性にすぐ
    れる複合組織鋼板の製造方法。
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