JPH0819467B2 - 無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0819467B2
JPH0819467B2 JP2048357A JP4835790A JPH0819467B2 JP H0819467 B2 JPH0819467 B2 JP H0819467B2 JP 2048357 A JP2048357 A JP 2048357A JP 4835790 A JP4835790 A JP 4835790A JP H0819467 B2 JPH0819467 B2 JP H0819467B2
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昭彦 西本
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日本鋼管株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、無方向性電磁鋼板の製造方法に関するもの
である。
〔従来の技術〕
近年、小型モーター等の高効率化を中心に、コア材と
して用いられる電磁鋼板についても高磁束密度化の要求
が強い。
このような背景のもとで、Si≦1.0%のいわゆる低級
電磁鋼板は、鉄損は比較的高いものの磁束密度が高いと
いう特徴を有し、このためにその需要が増大しつつあ
る。そしてこれと呼応して、低級電磁鋼板の特性改善お
よび製造コスト低減に対する努力も数多くなされてお
り、なかでも製造コスト低減に関し、従来の「連続鋳造
→常温まで冷却→スラブ再加熱→熱間圧延」といういわ
ゆる再加熱法に代え、連続鋳造後、スラブの顕熱を利用
して再加熱なしに或いは軽加熱した後に熱間圧延を行
う、いわゆる直送圧延法が、加熱原単位を低減できる圧
延方法として注目を集めている。
一般に知られるように、電磁鋼板の製造において磁気
特性、特に粒径に強く依存する鉄損を低下させるために
は、粒成長性を阻害するMnSおよびAlNの析出・粗大化が
要件となるが、上記した直送圧延を行う場合にはこれが
極めて困難になる。これは、再加熱法では連続鋳造後常
温までスラブが徐冷される間および再加熱時のスラブ昇
温中に、MnSおよびAlNの析出・粗大化が自然に達成され
るのに対し、直送圧延法では、スラブの降温(軽加熱を
行う場合にはその際の昇温も含む)に費やされる時間が
再加熱法に比べて極端に短く、そのままではこの期間中
でのMnS、AlNの析出・粗大化があまり期待できないから
である。そこでこのような問題を解決するために、従
来、以下に示すような技術が開示されている。
特開昭52−108318号、 特開昭54−41219号 スラブを900℃前後で40min超保持し、MnSおよびAlNを
析出・粗大化させた後、1100℃前後に再加熱し熱間圧延
を行う。
特開昭58−123825号 S≦0.003%と極低S化し、事実上MnSフリーにする
か、或いはCa、REM添加によりMnSの析出・粗大化を容易
にさせた上で、スラブを900〜1150℃で30min超保持し、
その後熱間圧延を行う。
特開昭60−190521号 スラブを900℃以下まで徐冷し、MnS、AlNの析出・粗
大化を図った上で熱間圧延に供する。
〔発明が解決しようとする課題〕
このように従来MnS、AlNの析出・粗大化のための技術
が種々開示されているが、これらはそれぞれ次のような
問題を抱えており、十分なものとは言い難い。
特開昭52−108318号、 特開昭54−41219号 高温、長時間の保持を必要とし、その間のスケール増
加により表面性状が劣化する。またスケール増加を防止
するために保熱カバーを用いる場合には、保持そのもの
に長時間を要することに加えて、保熱カバーの装脱着に
も時間を要し、生産性の低下をきたす。さらに再加熱を
必須とするため、加熱原単位の低減を目的とする直送圧
延の意義そのものが薄れる。
特開昭58−123825号 極低S化やCa、REM添加のために製鋼コストが高い。
加えた上述した特開昭52−108318号や特開昭54−41219
号と同様に、高温、長時間の保持が必要であるため、そ
れらと同様の問題を生じる。
特開昭60−190521号 スラブの徐冷のみではMnS、AlNの析出・粗大化は不十
分であり、鉄損の上昇を招く。また、熱間圧延の開始が
900℃以下となるため、ミル負荷が著しく増大するとと
もに、巻取温度の確保が困難となり、熱延板の再結晶・
流成長不足に起因した磁気特性の劣化を生じる。
このように従来技術は特性、生産性、コストのいずれ
かに課題を残している。
本発明はこのような実情に鑑み、磁気特性および生産
性を低下させることなく、しかも低コストという直送圧
延の意義を十分に発揮し得る無方向性電磁鋼板の製造方
法を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、Si≦1.0%の低級無方向性電磁鋼板の
製造に直送圧延を適用する場合の条件について鋭意研究
を重ねた結果、Mn、S、Al量およびMn/S比の適正化を行
った特定成分の鋼スラブを連続鋳造後、成分に応じて決
まる特定の冷却速度以下で特定の温度域に冷却したとき
に、MnSおよびAlNの析出・粗大化が加速されること、し
たがって、その後はスラブの高温保持や再加熱を行うこ
となく、直ちに熱間圧延を行うだけで、再加熱法と同等
ないしはそれ以上の磁気特性を具備した無方向性電磁鋼
板が得られることを新たに知見し、本発明法を完成させ
たものである。
本発明は、以下に述べるように技術的認識ないし要素
に基づき構成されたものである。
(1)Si≦1.0%の低級材は、低Si鋼であることに起因
して元来粒成長性に優れ、しかも要求される鉄損値がそ
れ程厳しくないため、粒成長性不足による鉄損劣化が懸
念される直送圧延法に適した材料といえる(Si>1.0%
の高級材はこの対極にある)。
(2)MnSの析出・粗大化は主としてMnの拡散律速と考
えられ、Mn量を高め、MnSの析出・粗大化を促進せしめ
る。
(3)さらに、Mn/S比を高めることでMnSの析出・粗大
化を一層促進し、粒成長性を損なうことのないようにす
る。
(4)Sについては、従来技術は極低S化によるMnSフ
リーを指向しているが、本発明法では全く逆の思想とす
る。すなわち、本発明法ではMnSをAlNの析出・粗大化に
際しての核として活用するため、Sを所要量添加しMnS
数を必要量確保する。但し、言うまでもなく過度のS添
加は、たとえMn/S比を高めMnSを粗大化したとしても、M
nSの絶対量そのものが徒らに増加し粒成長性を劣化させ
る。したがって、この点からSの上限が決まる。
(5)上記のように、粗大且つ十分な量析出したMnSがA
lN析出核として働くため、AlN析出・粗大化が促進され
る。その場合MnSと同様、AlNの析出・粗大化も主として
Alの拡散律速であるため、Al量は所要量以上添加する。
(6)上記(2)で述べたように、Mn/S比はMnS粗大化
のためにある値以上を必要とするが、同時にその上限も
存在する。これは、Mn/S比が過度に高いとAlNの析出・
粗大化の核となるべきMnSが粗大化し過ぎ、この結果MnS
の数が減り、AlNの析出・粗大化が遅滞するからであ
る。さらに、このMn/S比の上限はAl量に応じて決められ
るべきものである。すなわち、Al量が多い程AlNの析出
・粗大化は加速するため、AlNの析出・粗大化を助ける
核となるべきMnSの必要最低量が引き下げられるためで
ある。
(7)このようにしてMnS、AlNの析出・粗大化が促進さ
せるように成分を調整したスラブを、連続鋳造後、特定
の冷却速度以下で冷却し、この間に主としてMnSの析出
・粗大化をなさしめる。ここで、特定の冷却速度以下と
したのは、上述のように成分を調整した鋼であっても、
冷却速度が早過ぎると、MnSの析出・粗大化のための時
間が十分確保されないからである。なお、この冷却速度
の上限がMnSの析出・粗大化を左右するMn量、Mn/S比に
応じて決まること、さらに、Al量によって、AlNの析出
・粗大化に必要なMnS核の最低量が変化することから、A
l量にも依存することは言うまでもない。また、冷却速
度の下限も考慮の必要がある。もちろんMnSの析出・粗
大化に対しては徐冷である程望ましいが、極端な徐冷は
実質上、従来技術が行っている保熱に等しく、表面製状
の劣化や生産性の低下を招くからである。
(8)スラブが冷却されるべき温度範囲もまた重要であ
る。すなわち、この温度が低過ぎると、続く熱間圧延で
スラブの変形能不足に起因した割れが発生したり、ミル
負荷が過大となりスラブの再加熱が必要となる。一方、
温度が高過ぎると、過飽和度との関係でMnSの析出・粗
大化の駆動力小さくなり、(7)で述べた適正冷却を行
ったとしても、MnSの析出・粗大化が十分達成されず、
このためスラブの高温保持が必須となってしまう。
(9)このように上記Mn、S、Al量およびMn/S比の適正
化を行い、当該スラブを特定温度域に特定の冷却速度以
下で冷却した場合には、MnSの析出・粗大化が促進さ
れ、これを核としてスラブ冷却、熱間圧延および冷延板
の焼鈍という各段階でのAlNの析出・粗大化も促進さ
れ、これより再加熱法と比べて遜色のない磁気特性が得
られる。
本発明はこのような事項に基づきなされたもので、そ
の特徴とする構成は以下の通りである。
(1)重量%にて、C≦0.0050%、0.1%≦Si≦1.0%、
0.5%≦Mn≦1.5%、P≦0.15%、0.003%≦S≦0.015
%、0.01%≦Al≦0.40%、N≦0.0050%、残部Feおよび
不可避的不純物からなり、且つ、 60≦(〔Mn〕/〔S〕)≦580〔Al〕1/2+17 但し、〔Mn〕:Mn含有量(重量%) 〔S〕:S含有量(重量%) 〔Al〕:Al含有量(重量%) を満足する成分の鋼を連続鋳造でスラブとなし、該スラ
ブを、 但し、〔Mn〕:Mn含有量(重量%) 〔S〕:S含有量(重量%) 〔Al〕:Al含有量(重量%) を満足する冷却速度CR(℃/min)で1000〜1100℃の温度
域に冷却し、次いで保熱または再加熱することなく直ち
に、巻取温度650℃以上の熱間圧延を行い、酸洗および
冷間圧延後、700℃以上900℃以下の温度にて焼鈍するこ
とを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(2)重量%にて、C≦0.0050%、0.1%≦Si≦1.0%、
0.5%≦Mn≦1.5%、P≦0.15%、0.003%≦S≦0.015
%、0.01%≦Al≦0.40%、N≦0.0050、残部Feおよび不
可避的不純物からなり、且つ、 60≦(〔Mn〕/〔S〕)≦580〔Al〕1/2+17 但し、〔Mn〕:Mn含有量(重量%) 〔S〕:S含有量(重量%) 〔Al〕:Al含有量(重量%) を満足する成分の鋼を連続鋳造でスラブとなし、該スラ
ブを、 但し、〔Mn〕:Mn含有量(重量%) 〔S〕:S含有量(重量%) 〔Al〕:Al含有量(重量%) を満足する冷却速度CR(℃/min)で1000〜1100℃の温度
域に冷却し、次いで保熱または再加熱することなく直ち
に、巻取温度650℃以上の熱間圧延を行い、酸洗および
冷間圧延後、700℃以上900℃以下の温度にて焼鈍し、次
いで絶縁被膜等の塗布・焼付けを行うことを特徴とする
無方向性電磁鋼板の製造方法。
〔作用〕
以下、試験例に基づき本発明の詳細およびその限定理
由につき説明する。
(1)Mn量、S量、Al量およびMn/S比 C:0.0027%、Si:0.31%、P:0.085%、Al:0.08%、N:
0.0029%が一定でMn量およびS量を種々変えた鋼(鋼a
群)について、そのスラブを連続鋳造後、20℃/minの冷
却速度で1070℃まで冷却し、直ちに仕上温度850℃、巻
取温度670℃の条件で熱間圧延して得られた熱延板(直
送圧延材)と、上記スラブを常法にしたがい一旦室温ま
で冷却し、その後1220℃に再加熱し、上記直送圧延材と
同一条件で熱間圧延した熱延板(再加熱材)とを、それ
ぞれ酸洗後、仕上厚0.5mmに冷間圧延し、次いで750℃で
焼鈍し、これら焼鈍板の磁気特性をJISエプスタイン法
で測定(以下の各試験例でも同一の測定法を用いた)し
た。第1図はこれら直送圧延材と再加熱材の鉄損(W
15/50)と磁束密度(B50)の下、すなわち、 ΔW15/50=〔W15/50(直送圧延材)〕− 〔W15/50(再加熱材)〕 ΔB50=〔B50(直送圧延材)〕−〔B50(再加熱材)〕 をMn量とS量との関係で示している。
また、C:0.0034%、Si:0.80%、P:0.051%、Al:0.27
%、N:0.0033%が一定でMn量およびS量を種々変えた鋼
(鋼b群)について、そのスラブを連属鋳造後、30℃/m
inの冷却速度で1020℃まで冷却し、直ちに仕上温度820
℃、巻取温度700℃の条件で熱間圧延して得られた熱延
板(直送圧延材)と、上記スラブを常法にしたがい一旦
室温まで冷却し、その後1250℃に再加熱し、上記直送圧
延材と同一条件で熱間圧延して得られた熱延板(再加熱
材)とを、それぞれ酸洗後、仕上厚0.5mmに冷間圧延
し、次いで850℃で焼純し、これら焼純板の磁気特性を
測定した。第2図はこれら直送圧延材と再加熱材との上
記ΔW15/50およびΔB50をMn量とS量との関係で示して
いる。
以上の第1図および第2図に示す結果から、直送圧延
材が再加熱材と比べて遜色ない鉄損値(ΔW15/50<0.3
W/kg)と再加熱材よりも高位の磁束密度(ΔB50>0.01
T)を持つのは、鋼a群、鋼b群という鋼種にかかわり
なく、Mn≧0.5%、0.003%≦S≦0.015%、〔Mn/S〕≧6
0の領域であることが判る。なお、Mn/Sの上限について
は、鋼a群で181、鋼b群で318と、上記(6)で述べた
ように、Al量に依存して変化している。これについては
後述する。
また、本発明に関する上記(1)〜(9)の説明で
は、MnSおよびAlNの析出・粗大化の促進と、これによる
粒成長性および鉄損改善という側面からだけ述べたが、
磁束密度についても上限限定された成分範囲において
は、直送圧延材のほうが再加熱材より高くなっており、
本発明では磁束密度の向上をも図ることができる。この
理由の詳細は必ずしも明確ではないが、次のような理由
が考えられる。すなわち、粒成長性の観点からは、直送
圧延材と再加熱材とではMnS、AlNの析出状況に差はない
ものの、プロセスの違いに起因して、再加熱材よりも直
送圧延材のほうが、析出物が微細で数が多く、さらに直
送圧延材ではAlNの大半はMnSを核として析出する等、両
者には細かい面での析出物の分布状態、性状に差があ
る。そして、このような違いに基づき、直送圧延材では
冷間圧延時の歪の入り方、分布が再加熱材とは異なり、
これが続く焼鈍後の集合組織形成に影響を及ぼし、上述
したような磁速密度の向上をもたらすものと考えられ
る。
なお、この磁束密度はMnSの析出量を通じ、0.003%≦
S<0.005%ではΔB50=0.01〜0.02T、0.005%≦S≦0.
015%ではΔB50>0.02Tと、S量によって異なってい
る。したがって、鉄損値だけの観点からは0.003%≦S
≦0.015%で十分であるが、磁束密度を加味した観点か
らは、0.005%≦S≦0.015%とすることが好ましい。
C:0.0027%、Si:0.31%、P:0.085%、N:0.0029%が一
定(鋼a群と同一)で、Mn量、S量およびMn/S比をMn≧
0.5%、0.003%≦S≦0.015%、Mn/S≧60の範囲(本発
明範囲)で変え、さらにAl量を種々変えた鋼(鋼c群)
と、C:0.0034%、Si:0.80%、P:0.051%、N:0.0033%が
一定(鋼b群と同一)で、Mn量、S量およびMn/S比を上
記鋼c群と同様の範囲で変え、さらにAl量を種々変えた
鋼(鋼d群)について、鋼c群については上述した鋼a
群(第1図)と同一製造プロセスで、また鋼d群につい
ては上述した鋼b群(第2図)と同一製造プロセスで、
それぞれ直送圧延材と再加熱材の焼鈍板を製造し、その
磁気特性を測定した。第3図はこれら直送圧延材と再加
熱材とのΔW15/50およびΔB50をMn/S比とAl量との関係
で示している。これによれば、上記(6)で述べたよう
に、直送圧延材のMn/S比の上限はAl量の関数として与え
られ、(Mn/S)≦(580〔Al〕1/2+17)の場合にのみ、
ΔW15/50<0.3W/kg、ΔB50>0.01Tという、再加熱材と
同程度の鉄損と再加熱材よりも高位の磁束密度を持つこ
とが判る。
また、同図によれば、上記(5)で述べたAl量の下限
が0.01%であることも判る。
以上の結果から、本発明では第4図に示すようにMn
量、S量、Al量およびMn/S比を以下のように規定した。
0.5%≦Mn≦1.5% 0.003%≦S≦0.015% (好ましくは0.005%≦S≦0.015%) 0.01%≦Al≦0.40% 60≦(〔Mn〕/〔S〕)≦580〔Al〕1/2+17 ここで、Mn量の上限を、1.5%としたのは、Mnを1.5%
を超えて添加しても磁気特性の改善はみられず、却って
コスト上昇を招くためである。同様に0.40%を超えるAl
の添加も徒らなコスト上昇を招き、加えて磁束密度の急
激な劣化も招くため、Al量の上限は0.40%とした。
(2)その他の成分 C:0.0050%を超えて含有させると、磁気特性の劣化およ
び磁気時効の増大を招くため、本発明ではC≦0.0050%
の極低炭素鋼をその対象とする。
Si:固有抵抗の増加を通じて鉄損の低下をもたらす元素
であるが、この効果が十分に発揮されるには0.1%以上
の添加が必要である。但し、1.0%を超えるSiの添加は
磁束密度の急激な低下を招くため、上限は1.0%とす
る。
P:磁気特性をあまり損なうことなく、硬度上昇および打
ち抜き性の向上をもたらす元素である。但し、0.15%超
の添加はこれらの効果が飽和するのみならず、磁気特性
の急激な劣化につながるため、その上限は0.15%とす
る。
N:上記(5)で述べたように、AlNの析出・粗大化はMnS
核の数とAl量に強く依存するため、この意味からはN量
は特に規定する必要はない。但し、Nが0.0050%を超え
ると、固溶N自体の増加を通じて磁気特性が劣化するた
め、上限は0.0050%とする。
(3)連続鋳造後のスラブ冷却条件 C:0.0027%、Si:0.31%、P:0.085%、N:0.0029%が一
定(鋼a群と同一)で、Mn量、S量、Al量およびMn/S比
を本発明範囲で種々変えた鋼(鋼a群)と、C:0.0034
%、Si:0.80%、P:0.051%、N:0.0033%が一定(鋼b群
と同一)で、Mn量、S量、Al量およびMn/S比を本発明範
囲で種々変えた鋼(鋼f群)について、直送圧延材につ
いては連続鋳造後のスラブ冷却速度CRを種々変えた製造
プロセスを採用しつつ、直送圧延材および再加熱材の焼
純板を製造し、それらの磁気特性を測定した。その製造
プロセスは、直送圧延材について上記スラブ冷却速度を
変えた以外は、鋼e群について上述した鋼a群(第1
図)と、また鋼f群については上述した鋼b群(第2
図)とそれぞれ同一とした。なお、上記スラブ冷却速度
CRは、スラブの1/4幅、板厚1/4位置での1400℃からの平
均冷却速度(℃/min)で規定した。
第5図はこれら直送圧延材と再加熱材とのΔW15/50
およびΔB50をMn量、Al量およびMn/S比の関係とスラブ
冷却速度CRとの関係で示している。これによれば、上記
(7)で述べたようにスラブ冷却速度CRの上限は、Mn
量、Al量、Mn/S比の関数である として各鋼種毎に異なり、スラブを連続鋳造後、上記冷
却速度以下で冷却された場合にのみ、ΔW15/50<0.3W/
kg、ΔB50>0.01Tと良好な磁気特性が得られている。ま
た、上記(7)で述べたように、極端な徐冷は実質上ス
ラブの高温保持と等しく、表面性状の劣化や生産性の低
下を招くため、これを防ぐ意味から冷却速度CRの下限は
5℃/minとする必要がある。
次に、C:0.0041%、Si:0.12%、Mn:0.52%、P:0.111
%、S:0.008%、Al:0.03%、N:0.0033%、Mn/S=65の組
成を有する鋼、すなわち、本発明鋼にあってはMn、Al、
Mn/S比がいずれも低めであり、MnSおよびAlNの析出・粗
大化に対して成分的にかなり不利な鋼(鋼g:この鋼のス
ラブ冷却速度の上限は、上記の計算により52℃/minであ
る)と、C:0.0023%、Si:0.85%、Mn:1.47%、P:0.051
%、S:0.006%、Al:0.37%、N:0.0017%、Mn/S=245の
組成を有する鋼、すなわち、本発明鋼にあってはMn、A
l、Mn/S比がいずれも高めであり、MnSおよびAlNの析出
・粗大化に対して成分的にかなり有利な鋼(鋼h:この鋼
のスラブ冷却速度の上限は、上限の計算により138℃/mi
nである)について、下記条件の製造プロセスにより直
送圧延材および再加熱材の焼鈍板を製造し、それらの磁
気特性を測定した。製造プロセス中、直送圧延材につい
ては、その連続鋳造後のスラブ冷却速度CRを、鋼gでは
7℃/min(本発明の上限値以下)、45℃/min(同上限値
以下)および55℃/min(同上限値超)の3水準、鋼hで
は20℃/min(同上限値以下)、130℃/min(同上限値以
下)および145℃/min(同上限値超)の3水準とし、こ
れらの冷却速度でスラブを種々の温度まで冷却後、直ち
に熱間圧延を開始した。一方、比較材としての再加熱材
については、その再加熱温度を鋼gでは1220℃、鋼hで
は1250℃として熱間圧延を行った。なお、熱間圧延以降
のプロセスは、鋼gについては上述した鋼a群(第1
図)と、また鋼hについては上述した鋼b群(第2図)
と同一である。
第6図は、鋼g、鋼hそれぞれについて、直送圧延材
と再加熱材とのΔW15/50をスラブ冷却温度との関係で
示している。これによれば、鋼g、鋼hとも、すなわち
MnS、AlNの析出・粗大化に有利な成分であると否とにか
かわらず、スラブの冷却速度が本発明範囲にある場合
(鋼gでは、7℃/min、45℃/min、鋼hでは20℃/min、
130℃/min)には、スラブ冷却温度が1000〜1100℃の範
囲において、直送圧延材はΔW15/50<0.3W/kgと、再加
熱材に比べて遜色のない鉄損を示す。これに対し、スラ
ブ冷却温度が1100℃超では、例え本発明鋼を本発明が規
定するスラブ冷却速度で冷却したとしても、ΔW15/50
>0.7W/kgとなり、優れた鉄損は得られない。
このような臨界温度の存在は上記(8)で述べたよう
に、MnSの析出・粗大化の駆動力の点から説明できる。
すなわぢ、連続鋳造後、所定の冷却速度でスラブが冷却
される際、温度が低下すればする程、MnSの過飽和度、
析出・粗大化の駆動力が増加する結果、MnSの析出・粗
大化は指数関数的変化をたどる。つまり、スラブ温度が
ある温度以下ではじめてMnSの析出・粗大化が急激に進
展することになる。したがって、MnSの析出・粗大化を
十分達成し、ひいてはこのMnSを核としてAlNの析出・粗
大化を促進するためには、スラブ冷却温度をある温度以
下とすることが必要となる。本発明法においては、この
温度が1100℃に該当する。
一方、スラブの冷却温度が1000℃を下回ると、上記
(8)で述べたように、スラブの変形能不足のため熱延
板でエッジ割れが発生したり、あるいは950℃未満では
ミル負荷増大のために熱間圧延自体が不可能となってし
まう。
なお、スラブの冷却速度が本発明の規定する範囲を超
える場合(鋼gで55℃/min、鋼hで145℃/min)には、
本発明鋼であっても、スラブの冷却温度にかかわりな
く、ΔW15/50>0.7W/kgであり、優れた鉄損が得られな
いことも確認できる。
また、ΔB50については、スラブ冷却速度を本発明範
囲内とし、スラブ冷却温度を1100℃以下とした場合に
は、いずれも0.02Tを超えたが、スラブ冷却温度が1100
℃超であったり、スラブ冷却速度が本発明範囲外の場合
には、いずれも0.02Tを下回る結果となった。
以上の結果から、本発明においては連続鋳造後、スラ
ブを鋼成分に応じて定まる所定の冷却速度以下で冷却す
ることに加え、その際のスラブの冷却温度域を1000℃以
上1100℃以下と規定する必要がある。
但し、上記冷却温度域の規定は、コストミニマム、生
産性マキシマムを前提としたものであり、コスト上ある
いは生産性上多少の余裕があり、スラブの再加熱が許容
される場合には、再加熱はMnSの析出・粗大化にはむし
ろ有利に働くため、スラブ冷却温度は1000℃を下回って
もよい。しかしながら、本発明者らの試算では、この温
度が600℃未満となると、再加熱に要するコスト、時間
が指数関数的に増加するため、600℃未満へのスラブの
降温は避けるべきである。また再加熱温度については、
熱間圧延性確保のため1000℃以上とすべきであることは
言うまでもないが、1150℃を超えると、一旦析出・粗大
化したMnSが再溶解するため、再加熱温度の上限は1150
℃とすることが望ましい。再加熱時間については、スラ
ブの均熱性確保、スケール増加防止の意味から10min以
上30min以下が適当と考えられる。
(4)その他の製造条件 熱延条件: 巻取温度が650℃未満では、MnS、AlNの析出・粗大化
が不十分となることに加えて、熱延板の再結晶・粗粒化
の進展も遅滞し、その結果、直送圧延材、再加熱材とも
磁気特性の絶対値そのものが劣化する。このため巻取温
度は650℃以上とする必要がある。
仕上温度については、MnS、AlNの析出・粗大化の進展
に対いては影響が小さいため特に規定する必要はない
が、巻取温度を確保する点から750℃以上とすることが
望ましい。
酸洗、冷間圧延条件: 特に規定の必要はなく、常法で行うことが可能であ
る。
焼鈍条件: 焼鈍温度が700℃未満の場合、上記熱延巻取温度と同
様に磁気特性の絶対値そのものが劣化するため、下限は
700℃とする。一方、焼鈍温度が900℃を超えると徒らな
コスト上昇を招くばかりでなく、フェライト粒の過度の
粗大化により、磁気特性上好ましくない集合組織が発達
し、これに起因して磁束密度が低下するため、上限は90
0℃とする。
〔実施例〕
第1表に示す鋼を用い、そのスラブを連続鋳造後、種
々の冷却速度にて種々の温度まで冷却した後、直ちに熱
間圧延して得られた熱延板(直送圧延材)と、比較材と
して上記スラブを一旦室温まで冷却した後、所定の温度
に再加熱し、次いで直送圧延材と同一条件で熱間圧延し
て得られた熱延板(再加熱材)について、これらを酸洗
後、仕上厚0.5mmに冷間圧延し、続いて3minの焼鈍を行
った。このようにして得られた鋼板のエプスタイン磁気
特性(直送圧延材および再加熱材の磁気特性と、両者の
磁気特性の差)を具体的な製造条件とともに第2−a表
〜第2−c表および第3−a表〜第3−c表に示す。
第2−a表〜第2−c表は鋼成分の影響を調べたもの
で、比較材については成分以外の条件はいずれも本発明
条件を満足している。同表によれば、本発明法による直
送圧延材は、ΔW15/50<0.3W/kg、ΔB50>0.01Tと、再
加熱材に較べて遜色のない鉄損値と、再加熱材よりも高
位の磁束密度を示すのに対し、比較鋼では、ΔB50につ
いては本発明鋼と同等の値を示すものはあるものの、鉄
損に関してはいずれもΔW15/50>0.7W/kgであり、直送
圧延により鉄損が大幅に劣化することが判る。
第3−a表〜第3−c表は、製造条件のうちスラブ冷
却速度とスラブ冷却温度の影響を調べたものである。こ
の場合もスラう冷却速度とスラブ冷却温度が本発明条件
を満足する直送圧延は、ΔW15/50<0.3W/kg、ΔB50
0.01Tと、再加熱材と較べても遜色のない鉄損値と、再
加熱材よりも高位の磁束密度が得られている。これに対
し、スラブ冷却速度やスラブ冷却温度が本発明範囲外の
比較例では、ΔB50は本発明材と同等のものはあるもの
の、鉄損はいずれもΔW15/50>0.7W/kgであり、直送圧
延材の鉄損は再加熱材に較べて大幅に上昇してしまう。
〔発明の効果〕 以上述べた本発明によれば、無方向性電磁鋼板の製造
に直接圧延を適用するにあたり、従来技術では必須であ
った鋼成分の特殊な調整や、スラブの高温・長時間保
持、再加熱といったコスト上昇や生産性低下を招く工程
を必要とせず、直送圧延本来の利点であるコストミニマ
ム、生産性マキシマムを実現しつつ、再加熱材と同等な
いしはそれ以上の磁気特性を有する無方向性電磁鋼板を
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、直送圧延材と再加熱材の磁気特
性の差(ΔW15/50、ΔB50)に対するMn量、S量および
Mn/S比の影響とその適正範囲を示すグラフである。第3
図は、直送圧延材と再加熱材の磁気特性の差に対するAl
量、Mn/S比の影響とその適正範囲を示すグラフである。
第4図は、Mn量、S量、Al量およびMn/S比に関する本発
明範囲を示すグラフである。第5図は、直送圧延材と再
加熱材の磁気特性の差に対する直送圧延材のスラブ冷却
速度の影響とその適正範囲を示すグラフである。第6図
は、直送圧延材と再加熱材の鉄損W15/50の差に対する
直送圧延材のスラブ冷却温度の影響とその適正範囲を示
すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%にて、C≦0.0050%、0.1%≦Si≦
    1.0%、0.5%≦Mn≦1.5%、P≦0.15%、0.003%≦S≦
    0.015%、0.01%≦Al≦0.40%、N≦0.0050%、残部Fe
    および不可避的不純物からなり、且つ、 60≦(〔Mn〕/〔S〕)≦580〔Al〕1/2+17 但し、〔Mn〕:Mn含有量(重量%) 〔S〕:S含有量(重量%) 〔Al〕:Al含有量(重量%) を満足する成分の鋼を連続鋳造でスラブとなし、該スラ
    ブを、 但し、〔Mn〕:Mn含有量(重量%) 〔S〕:S含有量(重量%) 〔Al〕:Al含有量(重量%) を満足する冷却速度CR(℃/min)で1000〜1100℃の温度
    域に冷却し、次いで保熱または再加熱することなく直ち
    に、巻取温度650℃以上の熱間圧延を行い、酸洗および
    冷間圧延後、700℃以上900℃以下の温度にて焼鈍するこ
    とを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】重量%にて、C≦0.0050%、0.1%≦Si≦
    1.0%、0.5%≦Mn≦1.5%、P≦0.15%、0.003%≦S≦
    0.015%、0.01%≦Al≦0.40%、N≦0.0050、残部Feお
    よび不可避的不純物からなり、且つ、 60≦(〔Mn〕/〔S〕)≦580〔Al〕1/2+17 但し、〔Mn〕:Mn含有量(重量%) 〔S〕:S含有量(重量%) 〔Al〕:Al含有量(重量%) を満足する成分の鋼を連続鋳造でスラブとなし、該スラ
    ブを、 但し、〔Mn〕:Mn含有量(重量%) 〔S〕:S含有量(重量%) 〔Al〕:Al含有量(重量%) を満足する冷却速度CR(℃/min)で1000〜1100℃の温度
    域に冷却し、次いで保熱または再加熱することなく直ち
    に、巻取温度650℃以上の熱間圧延を行い、酸洗および
    冷間圧延後、700℃以上900℃以下の温度にて焼鈍し、次
    いで絶縁皮膜等の塗布・焼付けを行うことを特徴とする
    無方向性電磁鋼板の製造方法。
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