JPH08217447A - 単斜晶ジルコニアとその製造方法、およびそれを用いたジルコニア部材 - Google Patents

単斜晶ジルコニアとその製造方法、およびそれを用いたジルコニア部材

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JPH08217447A
JPH08217447A JP7024845A JP2484595A JPH08217447A JP H08217447 A JPH08217447 A JP H08217447A JP 7024845 A JP7024845 A JP 7024845A JP 2484595 A JP2484595 A JP 2484595A JP H08217447 A JPH08217447 A JP H08217447A
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zirconia
monoclinic
tetragonal
mol
monoclinic zirconia
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JP7024845A
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Inventor
Kazuhiro Yasuda
一浩 安田
Seiichi Suenaga
誠一 末永
Kunihiko Wada
国彦 和田
Shinji Arai
真次 荒井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温での機械的強度が大きく、かつ耐化学的
安定性に優れ、特に水蒸気雰囲気中による機械的強度の
劣化を抑制したジルコニア部材を得るために、相転移を
抑制した単斜晶ジルコニア、および高温強度、熱疲労特
性、水蒸気雰囲気や腐食雰囲気等に対する耐化学的安定
性に優れたジルコニア部材を提供する。 【構成】 Yおよびランタノイド系希土類元素から選ば
れる少なくとも 1種の元素が 2〜14mol%の範囲で固溶さ
れている単斜晶ジルコニア、あるいはScまたは、Scと Y
およびランタノイド系希土類元素から選ばれる少なくと
も 1種の元素との複合系が 4〜18mol%の範囲で固溶され
ている単斜晶ジルコニアである。ジルコニア部材は、上
記単斜晶ジルコニアを50重量% 以上含むものである。あ
るいは、上記単斜晶ジルコニアを 1重量% 以上含み、全
部が実質的に正方晶ジルコニアおよび立方晶ジルコニア
から選ばれる少なくとも 1種からなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、相転移を防止した単斜
晶ジルコニアとその製造方法、およびそれを用いた高温
強度、熱疲労特性、耐化学的安定性、耐水蒸気性等に優
れたジルコニア部材に関する。
【0002】
【従来の技術】ジルコニアは、セラミックス材料の中で
は靭性に優れていることからセラミックス刀等として、
また靭性に加えて融点が高く、高温強度に優れることか
ら固体電解質や耐火煉瓦等の高温部材として、あるいは
化学プラントや精錬等の断熱部材として広く利用されて
いる。特に、優れた機械的性質に加え、熱伝導率が低
く、熱膨張係数が金属に近いという利点を活かして、最
近では航空機ジェットエンジン、ガスタービンの動・静
翼、燃焼器等の遮熱コーティング材として有望視されて
いる。
【0003】ところで、純ジルコニアは室温では単斜晶
が安定で、温度を上げていくと順次正方晶、立方晶へと
結晶構造を変化させる特性を有している。この相変化
は、降温時にも全く逆の変化として起り、正方晶から単
斜晶へと変化する際の体積膨張に起因して、機械的強度
の低下を招いてしまう。そのため、一般的には安定化元
素と呼ばれる元素を含む化合物をジルコニアに加えて、
正方晶や立方晶といった高温で安定な結晶構造を室温で
も安定化させ、いわゆる安定化ジルコニアとして使用し
ている。これら安定化ジルコニアのうち、正方晶ジルコ
ニアは強度が大きく、また立方晶ジルコニアは熱衝撃抵
抗が大きいというような利点をそれぞれ有している。
【0004】しかし、上述した高温安定相のうち、より
高温で安定な立方晶ジルコニアを形成するためには、安
定化剤を大量に使用しなくてはならないという難点があ
った。また、正方晶ジルコニアは、高温で保持すると強
度低下が著しく、また水蒸気雰囲気中で使用すると、正
方晶が単斜晶に相転移して強度が低下するという問題
(一般にこの現象を水蒸気腐食と呼ぶ)を有していた。
この水蒸気腐食は、ジルコニアコーティング部材等にお
ける割れの発生原因となり、耐久性を著しく低下させて
いる。
【0005】さらに、上述した水蒸気雰囲気以外にも、
Na等のアルカリ金属を含む化合物やS化合物、V化合物
等が存在する腐食雰囲気中では、安定化ジルコニア特に
正方晶ジルコニアが腐食元素と化学反応を起こして単斜
晶に相変化する。この相変化によって強度劣化を起こし
たり、さらには剥離や損傷が発生するという問題があっ
た。これらは安定化ジルコニアを実用材として使用する
際の大きな制約となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の安定化ジルコニアのうち、立方晶ジルコニアはその形
成に大量の安定化剤が必要であり、また正方晶ジルコニ
アは高温での強度低下や水蒸気腐食等という問題を有し
ていた。さらに、従来の安定化ジルコニアは腐食雰囲気
に対する耐化学的安定性が低いという問題を有してい
た。これら安定化ジルコニアの不具合を改善するため
に、アルミナを分散させて高強度化したり、高密度化す
ることで耐化学的安定性を改善することが行われてきた
が、これらの手法を適用しても、現状では十分な改善は
なされていない。
【0007】一方、単斜晶ジルコニアは、耐化学的安定
性に優れるものの、昇・降温による単斜晶から正方晶お
よび正方晶から単斜晶という相転移により機械的強度が
著しく低下するという問題を有しており、このような相
転移を防止しない限り、到底構造材料としては使用する
ことができない。
【0008】このようなことから、高温で使用される遮
熱部材や耐食性部材、例えばガスタービンや化学プラン
トに用いられる機械的強度が要求される部材に対して、
高温強度および耐化学的安定性に優れたジルコニア部材
が切望されている。
【0009】本発明は、高温での機械的強度が大きく、
かつ耐化学的安定性に優れ、特に水蒸気雰囲気中による
機械的強度の劣化を抑制したジルコニア部材を得るため
になされたもので、耐化学的安定性に優れる単斜晶ジル
コニアの相転移を抑制し、相転移に伴う機械的強度の低
下を防止した単斜晶ジルコニアおよびその製造方法を提
供することを目的としている。また、本発明の他の目的
は、上記したような単斜晶ジルコニアを用いることによ
って、高温強度、熱疲労特性、水蒸気雰囲気や腐食雰囲
気等に対する耐化学的安定性に優れたジルコニア部材を
提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の単斜晶ジ
ルコニアは、請求項1に記載したように、イットリウム
およびランタノイド系希土類元素から選ばれる少なくと
も 1種の元素が 2〜14mol%の範囲で固溶されていること
を、あるいは請求項2に記載したように、スカンジウム
または、スカンジウムとイットリウムおよびランタノイ
ド系希土類元素から選ばれる少なくとも 1種の元素との
複合系が 4〜18mol%の範囲で固溶されていることを特徴
としている。
【0011】本発明の単斜晶ジルコニアの製造方法は、
請求項1記載の単斜晶ジルコニアの製造方法であって、
前記イットリウムおよびランタノイド系希土類元素から
選ばれる少なくとも 1種の元素が固溶されている正方晶
ジルコニアを、前記固溶元素量を 2〜14mol%の範囲で維
持しつつ、単斜晶ジルコニアに相転移させることを特徴
としており、あるいは請求項2記載の単斜晶ジルコニア
の製造方法であって、前記スカンジウムまたは、スカン
ジウムとイットリウムおよびランタノイド系希土類元素
から選ばれる少なくとも 1種の元素との複合系が固溶さ
れている正方晶ジルコニアを、前記固溶元素量を 4〜18
mol%の範囲で維持しつつ、単斜晶ジルコニアに相転移さ
せることを特徴としている。
【0012】本発明のジルコニア部材は、請求項1また
は請求項2記載の単斜晶ジルコニアを50重量% 以上含む
ことを、あるいは請求項1または請求項2記載の単斜晶
ジルコニアを 1重量% 以上含み、全部が実質的に正方晶
ジルコニアおよび立方晶ジルコニアから選ばれる少なく
とも 1種からなることを特徴としている。
【0013】本発明の単斜晶ジルコニアは、基本的に耐
化学的安定性に優れる単斜晶ジルコニアに対して、従来
の一般的な製造方法では実現不可能であった量の安定化
元素を固溶させたものである。このような過剰の安定化
元素を固溶させることによって、従来の単斜晶で生じて
いた昇温時の相転移(単斜晶→正方晶)を防止すると共
に、機械的強度の劣化原因となっていた降温時の相転移
(正方晶→単斜晶)の発生原因を除去し、これにより機
械的強度の劣化を防止したものである。また、耐化学的
安定性については、単斜晶ジルコニア本来の良好な性質
をそのまま保持している。
【0014】ここで、一般に単斜晶ジルコニアを含むジ
ルコニア部材は、焼成や溶射プロセスで高温(1273K以
上)に保持された後に冷却される。従来の単斜晶ジルコ
ニアは、高温への昇温時および高温からの降温時に生じ
る相転移、特に降温時の高温安定相の正方晶から単斜晶
への相転移によって、ジルコニア部材が自壊したり、ま
た機械的強度が著しく小さく。そのため、一般に単斜晶
ジルコニアはジルコニア部材として、特に高温部材とし
ては利用されていない。また、正方晶や立方晶と共存す
る単斜晶は存在していたが、これらは安定化元素を十分
に固溶していない従来の単斜晶であるため、高温焼成過
程やその後の降温過程で相転移を起こしてしまい、実用
材として用いた場合に強度低下の原因となっていた。そ
のため、単斜晶ジルコニアをジルコニア部材から除去す
ることが行われてきた。
【0015】本発明者らは、上述した昇温時および降温
時の相転移が、希土類元素等の安定化元素を過剰に固溶
した単斜晶ジルコニアでは起こらないことを見出し、本
発明を完成するに至った。このような本発明の単斜晶ジ
ルコニアをジルコニア部材に用いると、昇温時の単斜晶
から正方晶への相転移および降温時の正方晶から単斜晶
への相転移が起こらないため、これら相転移による強度
劣化が生じない。よって、このような本発明の単斜晶ジ
ルコニアを用いれば、高温での使用に耐え得るジルコニ
ア部材を提供することができる。また、本発明の単斜晶
ジルコニアは、安定化元素の固溶濃度が従来の安定化ジ
ルコニアよりは少ないため、コスト的にも有効である。
【0016】上述したような過剰の安定化元素を固溶す
る単斜晶ジルコニアが従来見出されていなかった原因と
しては、その製造方法が挙げられる。一般的なジルコニ
ア部材の製造方法としては、固相法、加熱溶融法、共沈
法等で作製した粉末を加熱処理するプロセスが挙げられ
る。しかし、固相法では単斜晶は生成されるものの、そ
の単斜晶には相転移を制御するに十分なほど安定化元素
を固溶させることはできない。また共沈法では、安定化
元素の濃度が低い組成では、相転移を制御するのに不十
分である単斜晶しか生成されないし、安定化元素の濃度
が高いと正方晶が安定化してしまう。例えば、従来の製
造方法では、単斜晶ジルコニアに希土類元素のうち 1番
イオン半径の大きいNdでは 2mol%未満程度、 1番イオン
半径の小さいScで 4mol%未満程度しか固溶しない(Masah
iko Yoshimura et al. J.Master.Sci. 25(1990) 2011-2
016)。
【0017】本発明の単斜晶ジルコニアは、上述した固
溶元素量より多くの安定化元素を含むものである。本発
明の安定化元素の固溶量は、従来の製造方法では安定化
ジルコニア(正方晶または立方晶)が安定化される領域
である(上記文献参照)。そこで、本発明においては、
一旦正方晶ジルコニアを作製し、この正方晶ジルコニア
を固溶元素量をほぼ維持させつつ単斜晶ジルコニアに相
転移させるという製造方法を適用する。このような製造
方法を適用することによって、上述したような過剰量の
安定化元素を固溶する単斜晶ジルコニア、言い換えると
従来の製造方法では正方晶や立方晶が安定化してしまう
固溶量範囲の単斜晶ジルコニアを得ることが可能とな
る。
【0018】また、上述したように、従来の単斜晶ジル
コニアは相転移に伴って機械的強度が劣化するという欠
点を有していたため、一般に用いられてきたジルコニア
部材は、安定化ジルコニアと呼ばれる正方晶や立方晶の
結晶構造を持つものであった。しかし、このような安定
化ジルコニアも、水蒸気やNa、 S、 V等の化合物が存在
するような腐食雰囲気に保持すると、安定であるはずの
正方晶や立方晶(高密度)が化学反応を起こして低密度
の単斜晶に相転移してしまう。また、正方晶ジルコニア
を高温で長時間使用すると、相分解を起こして単斜晶を
生成する。このような相転移や相分解に伴う体積膨張
が、従来の安定化ジルコニアの機械的強度の劣化原因と
なっていた。
【0019】これに対して、本発明の単斜晶ジルコニア
は、耐化学的安定性に優れるという単斜晶本来の性質を
維持していると共に、高温への昇温や高温保持によって
も相転移並びに相分解を起こさないため、従来の安定化
ジルコニアに見られた腐食雰囲気中での相転移や高温保
持による相分解等に伴う強度劣化を招くことがない。上
述したように、本発明の単斜晶ジルコニアは、従来の製
造方法による安定化元素濃度より過剰の安定化元素を固
溶させたことで、昇・降温時の相転移に伴う機械的強度
の劣化を招くことがなく、かつ従来の安定化ジルコニア
に比べて水蒸気雰囲気や腐食雰囲気等に対する耐化学的
安定性に優れ、さらに安定化元素濃度も従来の安定化ジ
ルコニア(特に立方晶ジルコニア)よりは少ないために
コスト的にも有利なジルコニアである。
【0020】本発明の単斜晶ジルコニアの具体的な構成
は、安定化元素の種類によって異なり、安定化元素のイ
オン半径(異種元素を複数混合した場合は平均イオン半
径)が大きいものほど安定化元素の固溶量は低濃度側に
移行する。つまり、イオン半径が大きい元素を安定化元
素として用いた場合には、固溶量の上限値および下限値
が共に低濃度側に移行する。
【0021】機械的強度の低下原因となる昇・降温時の
相転移を防止し、かつ耐化学的安定性に優れた単斜晶ジ
ルコニアを得るためには、例えば安定化元素としてイオ
ン半径が大きいNdを用いる場合には 2〜 8mol%、中間的
な Yでは 3〜 8.5mol%、イオン半径が小さいCeでは 4〜
14mol%の範囲で固溶させる必要がある。そこで、 Yおよ
びCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、
Lu等のランタノイド系希土類元素から選ばれる少なくと
も 1種の元素を安定化元素として用いた本発明の単斜晶
ジルコニアは、これら安定化元素が 2〜14mol%の範囲で
固溶していることを特徴とするものである。
【0022】また、イオン半径が 1番小さいScでは、 4
〜18mol%の範囲で固溶させた場合に相転移を防止するこ
とが可能となる。従って、Scまたは、Scと上述した Yお
よびランタノイド系希土類元素から選ばれる少なくとも
1種の元素との複合系を安定化元素として用いた本発明
の単斜晶ジルコニアは、これら安定化元素が 4〜18mol%
の範囲で固溶していることを特徴とするものである。
【0023】安定化元素濃度を上述した範囲に規定した
理由は、安定化元素の固溶量がそれぞれの下限値を下回
ると、機械的強度の劣化原因となる熱履歴による相転移
(単斜晶→正方晶または正方晶→単斜晶)が生じ、また
その製造時においては上記相転移が生じる単斜晶ジルコ
ニアの割合が大きくなってしまう。一方、安定化元素の
固溶量がそれぞれの上限値を上回ると、単斜晶としての
形態を保つことができないと共に、後に詳述する本発明
の製造方法を用いても単斜晶に相転移させることができ
ない。なお、上述したような安定化元素は、酸化物等の
化合物としてジルコニアに添加したり、あるいは共沈法
等で水酸化物状態で混合させる。
【0024】また、高温強度がより大きく、耐化学的安
定性が良好な本発明の単斜晶ジルコニアを得るために
は、安定化元素として Yおよびランタノイド系希土類元
素から選ばれる少なくとも 1種の元素を用いた場合には
2〜14mol%の範囲、安定化元素としてScまたは、Scと上
述した Yおよびランタノイド系希土類元素から選ばれる
少なくとも 1種の元素との複合系を用いた場合には 4〜
18mol%の範囲で固溶させることが好ましい。具体的に
は、Ndでは 2〜 7mol%、 Yでは 3〜 8mol%、Ceでは6〜1
4mol%、Scでは 4〜18mol%の範囲で固溶させることが望
ましい。さらに、製造コストをより一層削減するために
は、安定化元素として Yおよびランタノイド系希土類元
素から選ばれる少なくとも 1種の元素を用いた場合には
3〜 7mol%の範囲、安定化元素としてScまたは、Scと上
述した Yおよびランタノイド系希土類元素から選ばれる
少なくとも 1種の元素との複合系を用いた場合には 4〜
15mol%の範囲で固溶させることが好ましい。具体的に
は、Ndでは 2〜 7mol%、 Yでは 3〜 8mol%、Ceでは 6〜
14mol%、Scでは 4〜18mol%の範囲で固溶させることが望
ましい。
【0025】また、本発明の単斜晶ジルコニアにおいて
は、安定化元素として上述したScやYを含む希土類元素
と共に、カルシウムやマグネシウムを単斜晶に固溶させ
てもよく、これらにより高温での相転移や耐化学的安定
性を向上させることができる。なお、カルシウムやマグ
ネシウムを安定化元素として併用する場合においても、
その固溶量は基本的には上述した範囲とする。
【0026】本発明の単斜晶ジルコニアにおける安定化
元素の固溶量は、例えば以下のようにして求めることが
できる。例えば、安定化元素が Yの場合には、X線回折
で得られる (211)、 (112)、 (211)、 (022)、 (220)、
(300)、 (221)、 (310)、(131)、 (311)、 (032)、 (3
20)の回折ピークのうちの少なくとも 4つの回折ピーク
を用いて得られる格子定数、主としてa、b軸長と、文
献値(例えばHideoToraya, J.Am.Ceram.Soc.,72[4]662-
664(1989)等参照)の外挿直線とを比較し、格子定数の
変化から安定化元素の固溶量を見積る。
【0027】また、単斜晶ジルコニアの格子定数と安定
化元素量との関係が明らかでない場合には、以下の手法
を用いる。まず、最初に安定化ジルコニアの格子定数を
X線回折で得られる (004)および (400)の回折ピークか
ら求め、文献値(例えばMas-ahiko Yoshimura et al.
J.Master.Sci. 25(1990) 2011-2016 、Masahiro Yosh-i
mura Ceramic Bulletin Vol167, No.12,1988, 1950-195
5等参照)等からその安定化元素の濃度を見積る(濃度
(組成)A(%))。次に、水蒸気等を用いて安定化ジルコ
ニアを単斜晶ジルコニアに変化させた後、再度相転移せ
ずに残っている安定化ジルコニア(残部安定化ジルコニ
ア)の格子定数を測定する。また、X線回折ピークを用
いて相転移しなかった残部安定化ジルコニアの存在量
(Pa(%))、単斜晶ジルコニアの存在量(Pm(%))を算
出する。また先程測定した、相転移しなかった安定化ジ
ルコニアの格子定数を文献値と比較して、安定化ジルコ
ニアに固溶している安定化元素の量(Sa(%))を求め
る。これらの値から以下の式に従って、単斜晶ジルコニ
ア中に固溶している安定化元素の量(Sm(%))を求め
る。 Sm(%)=( 100A(%) −Sa(%)×Pa(%))/Pm(%) なお、上記単斜晶ジルコニアと残部の安定化ジルコニア
(正方晶、立方晶)との比率は、例えばGravie(単斜晶
と正方晶または立方晶のどちらか 1種との場合)やMill
er(単斜晶、正方晶、立方晶の全てを含む場合)により
提唱されている式を用いて算出する。
【0028】本発明のジルコニア部材は、まず第1に前
述したような過剰量の安定化元素を固溶した本発明の単
斜晶ジルコニアを50重量% 以上含むものである。ジルコ
ニア部材の主成分(具体的には50重量% 以上)として、
前述した昇・降温時に相転移を起こすことがなく、かつ
水蒸気雰囲気や腐食雰囲気等に対する耐化学的安定性に
優れ、さらに安定化元素濃度も低い本発明の単斜晶ジル
コニアを用いることにより、高温保持による機械的強度
の劣化がなく、かつ耐化学的安定性に優れたジルコニア
部材が得られる。本発明の単斜晶ジルコニアの存在量が
50重量% 未満であると、その効果を十分に得ることがで
きない。また、本発明の単斜晶ジルコニアは、安定化元
素の固溶量が正方晶や立方晶より少量であるため、製造
コストの削減においても有効である。
【0029】上記第1のジルコニア部材中における本発
明の単斜晶ジルコニア以外の構成相は、正方晶や立方晶
の安定化ジルコニアとすることが好ましいが、従来の単
斜晶を含有することを必ずしも除くものではない。ただ
し、従来の単斜晶は耐化学的安定性の向上に寄与せず、
逆に機械的強度の低下原因となるために、10重量% 以下
とする必要があり、さらには 5重量% 以下とすることが
望ましい。
【0030】さらに、本発明の単斜晶ジルコニア以外の
構成相は、使用用途によって選択することが好ましい。
例えば、耐化学的安定性をより向上させるためには、本
発明の単斜晶ジルコニアと立方晶ジルコニアとが混在し
たジルコニアを用いることが望ましく、さらにより一層
の製造コストの削減を図るためには、本発明の単斜晶ジ
ルコニアの存在量を90重量% 以上とすることが望まし
い。
【0031】上述した本発明の単斜晶ジルコニア以外の
構成相としての安定化ジルコニアは、それら正方晶や立
方晶の耐食性(特に正方晶ジルコニアの水蒸気腐食)を
向上させる観点から、安定化元素濃度を本発明の単斜晶
ジルコニアの固溶濃度量を超える量とすることが好まし
い。さらに、これらの安定化元素の固溶濃度は、微小領
域(1μm φ以下)において下限値を下回らないことがよ
り望ましい。
【0032】本発明における第2のジルコニア部材は、
上述した過剰量の安定化元素を固溶した本発明の単斜晶
ジルコニアを 1重量% 以上含み、全部が実質的に正方晶
ジルコニアおよび立方晶ジルコニアから選ばれる少なく
とも 1種からなるものである。この第2のジルコニア部
材は、従来の安定化ジルコニア部材中に含まれる単斜晶
を本発明の単斜晶ジルコニアとし、昇・降温時に生じる
体積変動を回避することによって、亀裂等の機械的強度
の低下原因を排除したものである。本発明の単斜晶ジル
コニア以外の構成相は、使用用途に応じて選択するもの
とする。
【0033】第2のジルコニア部材における本発明の単
斜晶ジルコニアの存在量を 1重量%以上と規定した理由
は、 1重量% 未満ではその効果が得られないと共に、X
線回折法では検出が困難であるからである。なお、具体
的な構成等については、上述した第1のジルコニア部材
に準ずるものとする。
【0034】本発明のジルコニア部材は、焼結体や耐火
物はもちろんのこと、金属や他のセラミックス部材への
コーティング材として用いることもできる。特に、材料
の耐食性、遮熱性を重視した部材への適用は、本発明の
ジルコニア部材の特性から有利である。
【0035】次に、本発明の単斜晶ジルコニアおよびジ
ルコニア部材の製造方法について述べる。本発明におい
ては、前述したように過剰量の安定化元素を単斜晶ジル
コニアに固溶させることが重要である。
【0036】まず、所定濃度の安定化元素が固溶した単
斜晶ジルコニア粉末を以下に詳述する方法に従って作製
する。本発明のジルコニア部材は、そのような単斜晶ジ
ルコニア粉末を用いて、各種製造プロセス(例えば焼成
プロセス)を適用して作製するするものである。また、
各種製造プロセス中において、ジルコニア部材中に本発
明の単斜晶ジルコニアを生成させることも可能である。
【0037】本発明で規定する濃度の安定化元素を固溶
させた単斜晶ジルコニアを作製する方法としては、予め
所定濃度の安定化元素を固溶した正方晶ジルコニアを作
製し、この正方晶ジルコニアを固溶元素量の変動を防止
しつつ単斜晶ジルコニアに相転移させる方法が挙げられ
る。具体的には、まず共沈法等により安定化剤と酸化ジ
ルコニウムとを混合した粉末を作製した後、焼成プロセ
ス、溶融急冷法または溶射法等で所定濃度の安定化元素
を固溶した正方晶ジルコニアを作製する。次に、この正
方晶ジルコニアに化学的処理を施すことによって、安定
化元素の固溶量を維持しつつ正方晶から単斜晶へと結晶
系を変化させる。
【0038】ここで重要なのは、安定化元素を正方晶か
ら流出させることなく、単斜晶に相転移させることであ
る。また、安定化元素の流出があった場合でも、本発明
で規定する単斜晶中の安定化元素の固溶量範囲の下限値
を下回らない手法を用いる。このような手法としては、
正方晶ジルコニアを水蒸気雰囲気や水中に保持した際に
起こる正方晶から単斜晶への相転移を利用する方法が例
示される。この手法は、安定化元素の流出を最小限に防
ぐことができるため、本発明において好適な手法という
ことができる。水蒸気雰囲気または水中に保持する際の
温度は 373〜673Kの範囲とすることが好ましく、このよ
うな条件下で正方晶ジルコニアを保持した後に剥離した
部分を粉砕することによって、過剰量の安定化元素を固
溶する(本発明で規定する固溶量範囲)、高温において
も相転移しない単斜晶ジルコニア粉末を得ることができ
る。
【0039】上述したような単斜晶ジルコニア粉末を用
いた各種プロセス(焼成プロセス等)、あるいは単斜晶
ジルコニア粉末から作製した焼結体をターゲットとして
用いて各種プロセス(成膜プロセス等)によって、本発
明の単斜晶ジルコニアを少なくとも含むジルコニア焼結
体やコーティング部材が得られる。このようなジルコニ
ア部材は、高温で相転移が起こらず、かつ機械的強度が
大きく、さらに耐化学的安定性に優れたものとなる。ま
た、正方晶から単斜晶へ相転移させる方法としては、機
械的な応力等で相転移させる方法を用いてもよい。この
応力を用いる手法は、特にCe系やSc系、またそれらの元
素と他の希土類元素またはアルカリ土類元素との複合系
に有効である。
【0040】また、製造プロセス中において、上述した
ような正方晶を単斜晶に変化させる方法としては、例え
ば以下の焼成方法が例示される。本発明の単斜晶ジルコ
ニアで規定する濃度の安定化元素を固溶した正方晶ジル
コニアと、安定化元素の固溶量が多い正方晶または立方
晶ジルコニアとを混合成形した後、ホットプレスを用い
て473K程度に保持する。その後、所定の焼成条件で焼成
を行う。このような手法を用いることで、本発明の単斜
晶ジルコニアで規定する濃度の安定化元素を固溶した正
方晶ジルコニアを、部材作製中に単斜晶に変化させるこ
とも可能である。また、473K程度の温度に保持する際に
水蒸気を用いると、正方晶から単斜晶に速やかに相転移
させることができる。
【0041】次に、ジルコニア焼結体の具体的な製造方
法について述べる。ジルコニア焼結体を製造するには、
上記で述べた正方晶ジルコニアに化学的処理を施すこと
で安定化元素を規定量固溶させた単斜晶ジルコニア粉末
を、室温から昇温して1173〜2073K程度の温度で 1〜 6
時間程度保持して仮焼する。この仮焼条件を変化させる
ことで、単斜晶と正方晶および立方晶との割合を任意に
変化させることができる。粉末の結晶相の割合を変化さ
せないときは、できるだけ低温で仮焼することが望まし
い。また、単斜晶よりも正方晶や立方晶の割合を多くし
たい場合には、高温で長時間処理を行うとよい。また、
仮焼の前に安定化元素をドープすることでも、正方晶や
立方晶の割合を増加させることができる。この仮焼粉末
を成形・焼成してジルコニア焼結体を作製する。焼成条
件は1623〜 2073K程度の温度で1〜 6時間程度保持する
ことが好ましい。また機械的強度を大きくするために
は、焼成温度を下げてできるだけ短時間で焼成すること
が望ましい。
【0042】次に、ジルコニアコーティング層の形成方
法を説明する。コーティング手法としては、溶射法、P
VD法等が適用できる。ガスタービン等の発電プラント
部材や化学プラント部材等、複雑形状部品には、溶射法
やEB−PVD法等を適用することが好ましく、また固
体電解質燃料電池の電解質部材やエレクトロニクス部材
のような薄膜部品や微小や部品には、PVD法を適用す
ることが望ましい。
【0043】例えば、溶射法では上記の化学的処理を施
して作製した単斜晶ジルコニア粉末を用いる。この粉末
をPVA水溶液等を用いて造粒し、さらに分級して溶射
粉末に適した10〜88μm の粒径のみの粉末を用いる。ま
たPVD法では、上記焼結体をターゲットとして用いる
ことで、本発明のジルコニアコーティング層を作製す
る。またPVD法例えばEB−PVD法等では、上記単
斜晶ジルコニア焼結体をターゲットに用いるが、正方晶
または立方晶ジルコニア焼結体をもう一つのターゲット
として用いることで、コーティングの構造を多層化した
り、微細組織を組合せることで機械的強度を高めること
が可能である。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0045】実施例1 まず、 Y元素濃度が 3.0mol%、 4.0mol%、 4.5mol%、
5.0mol%、 7.0mol%、8.0mol%、10.0mol%となるように、
Y2 O 3 を種々の組成比で配合した ZrO2 粉末を共沈法
により調製した。次いで、これら ZrO2 と Y2 O 3 との
混合粉末を、大気雰囲気中にて 1673K× 2時間の条件下
で焼成してジルコニア焼結体をそれぞれ得た。これらジ
ルコニア焼結体の主構成相は、正方晶であることをX線
回折により確認した。
【0046】次に、上記各ジルコニア焼結体を473K、1.
5MPaの水蒸気雰囲気下で25時間保持した。この水蒸気雰
囲気中での処理によって、上記ジルコニア焼結体の主構
成相である正方晶を本発明の単斜晶ジルコニアに変化さ
せた。水蒸気雰囲気中での処理後の各ジルコニア焼結体
から剥離した部分を粉砕して、目的とするジルコニア粉
末をそれぞれ得た。得られた各ジルコニア粉末の構成相
とその存在比を、X線回折およびGravieやMillerにより
提唱されている式を用いて求めた。これらの値を表1に
示す。
【0047】上述した各ジルコニア粉末を所定形状に成
形した後、大気雰囲気中にて 1873K× 2時間の条件で焼
成して、本発明のジルコニア部材であるジルコニア焼結
体をそれぞれ得た。これらジルコニア焼結体の構成相に
ついても、上述した方法で評価したところ、焼成工程前
とほとんど変化していなかった。このようにして得た各
ジルコニア焼結体を後述する特性評価に供した。
【0048】比較例1 Y元素濃度が 1.0mol%、 2.0mol%、16.0mol%、20.0mol%
となるように、 Y2 O3 を配合した ZrO2 粉末を用いる
以外は、上記実施例1と同一条件の粉末作製および焼成
工程、水蒸気雰囲気中での処理工程、粉砕工程、焼結工
程を行って、それぞれジルコニア焼結体を作製した。こ
れら各ジルコニア焼結体の構成相とその存在比を、上記
実施例1と同一方法で測定した。その結果を表1に併せ
て示す。また、これら各ジルコニア焼結体を後述する特
性評価に供した。
【0049】比較例2 Y元素濃度が 1.0mol%、 2.0mol%、 3.0mol%、 4.0mol
%、 4.5mol%、 5.0mol%、 7.0mol%、 8.0mol%、10.0mol
%となるように所定量の Y2 O 3 を秤り取り、これらを
純酸化ジルコニウム(単斜晶ジルコニア)粉末と湿式混
合した。これら各混合粉末を所定形状に成形した後、大
気雰囲気にて 1873Kで 2時間で焼成して、それぞれジル
コニア焼結体を作製した。これら各ジルコニア焼結体の
構成相とその存在比を、上記実施例1と同一方法で測定
した。その結果を表1に併せて示す。また、これら各ジ
ルコニア焼結体を後述する特性評価に供した。
【0050】比較例3 Y元素濃度が 1.0mol%、 2.0mol%、 3.0mol%、 4.0mol
%、 4.5mol%、 5.0mol%、 7.0mol%、 8.0mol%、10.0mol
%となるように、 Y2 O 3 を種々の組成比で配合した Zr
O2 粉末を共沈法により調製した。これら各混合粉末を
所定形状に成形した後、大気雰囲気にて 1873Kで 2時間
で焼成して、それぞれジルコニア焼結体を作製した。こ
れら各ジルコニア焼結体の構成相とその存在比を、上記
実施例1と同一方法で測定した。その結果を表1に併せ
て示す。また、これら各ジルコニア焼結体を後述する特
性評価に供した。
【0051】
【表1】 上述した各実施例および各比較例によるジルコニア焼結
体を用いて、 (1)高温保持後の強度、 (2)水蒸気雰囲気
中で保持した後の強度、をそれぞれ以下のようにして評
価した。
【0052】(1) 高温保持後の強度 まず、実施例1の各ジルコニア焼結体および比較例1、
2の各ジルコニア焼結体を、それぞれ10×10×50mmに切
断した後、これら試料を 1473Kで24時間保持した。室温
まで冷却した後に各試料の曲げ強度を測定した。それら
の測定結果を表2に示す。さらに、高温保持後の各試料
の構成相とその存在比を上記と同一方法で測定した。そ
の結果を表2に併せて示す。
【0053】(2) 水蒸気雰囲気中での保持後の強度 まず、実施例1の各ジルコニア焼結体および比較例3の
各ジルコニア焼結体を、それぞれ10×10×50mmに切断し
た後、これら試料を水蒸気圧が 1気圧の雰囲気中にて、
373Kで25時間保持した。その後に各試料の曲げ強度を測
定した。それらの測定結果を表3に示す。さらに、水蒸
気雰囲気中での保持後の各試料の構成相とその存在比を
上記と同一方法で測定した。その結果を表3に併せて示
す。
【0054】
【表2】
【表3】 表2から明らかなように、正方晶ジルコニアを水蒸気雰
囲気中で保持して得られた、 Yを 2.0〜10.0mol%の範囲
で固溶した単斜晶ジルコニアを含むジルコニア焼結体
は、高温での保持後においても大きい曲げ強度を有して
いるのに対し、 Y濃度が 2.0mol%未満もしくは14mol%を
超えるもの(比較例1)や湿式混合後焼成したもの(比
較例2)では、単斜晶ジルコニアへの Y固溶量が少なか
ったり、また単斜晶を維持することができないため、高
温での保持後の強度が小さいことが分かる。
【0055】同様に、表3から明らかなように、正方晶
ジルコニアを水蒸気雰囲気中で保持して得られた、 Yを
2.0〜 8.0mol%の範囲で固溶した単斜晶ジルコニアを含
むジルコニア焼結体は、水蒸気雰囲気中で保持した後に
おいても、大きい曲げ強度を有しているのに対し、共沈
法により調整した粉末を焼成したもの(比較例3)は、
水蒸気雰囲気により正方晶の大部分が単斜晶に変化して
強度低下が大きいことが分かる。
【0056】実施例2 安定化元素としてNd、Sm、Eu、Dy、Er、Ho、Yb、Luを用
いて、これら安定化元素の濃度が表4に示す濃度となる
ように、それぞれの酸化物を種々の組成比で配合した Z
rO2 粉末を共沈法により調製した。次いで、これらの混
合粉末を実施例1と同一条件で焼成してジルコニア焼結
体をそれぞれ得た。これらジルコニア焼結体の主構成相
は、正方晶であることをX線回折により確認した。
【0057】次に、上記各ジルコニア焼結体を473K、1.
5MPaの水蒸気雰囲気下で25時間保持した。この水蒸気雰
囲気中での処理によって、上記ジルコニア焼結体の主構
成相である正方晶を本発明の単斜晶ジルコニアに変化さ
せた。水蒸気雰囲気中での処理後の各ジルコニア焼結体
から剥離した部分を粉砕して、目的とするジルコニア粉
末をそれぞれ得た。得られた各ジルコニア粉末の構成相
とその存在比を、実施例1と同様にして求めた。これら
の値を表4に併せて示す。
【0058】上述した各ジルコニア粉末を所定形状に成
形した後、大気雰囲気中にて 1623K× 2時間の条件で焼
成して、本発明のジルコニア部材であるジルコニア焼結
体をそれぞれ得た。これらジルコニア焼結体の構成相に
ついても、上述した方法で評価したところ、焼成工程前
とほとんど変化していなかった。このようにして得た各
ジルコニア焼結体の高温保持後の強度を実施例1と同一
方法で測定した。その結果を表5に示す。
【0059】比較例4 各安定化元素の濃度を本発明の範囲外とする以外は、上
記実施例2と同一条件の焼成工程、水蒸気雰囲気中での
処理工程、粉砕工程、焼結工程を行って、それぞれジル
コニア焼結体を作製した。これら各ジルコニア焼結体の
構成相とその存在比を、上記実施例1と同一方法で測定
した。その結果を表4に併せて示す。また、これら各ジ
ルコニア焼結体の高温保持後の強度を実施例1と同一方
法で測定した。その結果を表5に示す。
【0060】比較例5 安定化元素としてNd、Sm、Eu、Dy、Er、Ho、Yb、Scを用
いて、これら安定化元素の濃度が表4に示す濃度となる
ように、それぞれの酸化物を所定量秤り取り、これらを
純酸化ジルコニウム(単斜晶ジルコニア)粉末と湿式混
合した。これら各混合粉末を所定形状に成形した後、大
気雰囲気にて 1623Kで 2時間で焼成して、それぞれジル
コニア焼結体を作製した。これら各ジルコニア焼結体の
構成相とその存在比を、上記実施例1と同一方法で測定
した。その結果を表4に併せて示す。また、これら各ジ
ルコニア焼結体の高温保持後の強度を実施例1と同一方
法で測定した。その結果を表5に示す。
【0061】
【表4】
【表5】 表5から明らかなように、正方晶ジルコニアを水蒸気雰
囲気中で保持して得られた、希土類元素を 2.0〜14.0mo
l%の範囲で固溶した単斜晶ジルコニアを含むジルコニア
焼結体は、高温での保持後においても大きい曲げ強度を
有しているのが分かる。特に、Ndでは 3.0mol%以上、Sm
では 3.5mol%以上、Eu、Dy、Erでは 4.0mol%以上、Yb、
Luでは 4.2mol%以上固溶した単斜晶ジルコニアを含むジ
ルコニア焼結体が強度特性に優れることが分かる。これ
に対して、希土類元素濃度が 2.0mol%未満もしくは14mo
l%を超えるもの(比較例4)や湿式混合後焼成したもの
(比較例5)では、単斜晶ジルコニアへの希土類元素の
固溶量が少なかったり、また単斜晶を維持することがで
きないため、高温での保持後の強度が小さいことが分か
る。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の単斜晶ジ
ルコニアは、強度低下を招く昇・降温時の相転移が抑制
されているため、本来の耐化学的安定性に優れるという
特性に加えて、機械的強度特に高温強度に優れるもので
ある。また、本発明の単斜晶ジルコニアの製造方法によ
れば、そのような単斜晶ジルコニアを再現性よく得るこ
とができる。従って、このような単斜晶ジルコニアを用
いることによって、高温強度、熱疲労特性、水蒸気雰囲
気や腐食雰囲気等に対する耐化学的安定性に優れたジル
コニア部材を提供することが可能となる。
【0063】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒井 真次 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イットリウムおよびランタノイド系希土
    類元素から選ばれる少なくとも 1種の元素が 2〜14mol%
    の範囲で固溶されていることを特徴する単斜晶ジルコニ
    ア。
  2. 【請求項2】 スカンジウムまたは、スカンジウムとイ
    ットリウムおよびランタノイド系希土類元素から選ばれ
    る少なくとも 1種の元素との複合系が 4〜18mol%の範囲
    で固溶されていることを特徴とする単斜晶ジルコニア。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の単斜晶ジルコニアの製造
    方法であって、 前記イットリウムおよびランタノイド系希土類元素から
    選ばれる少なくとも1種の元素が固溶されている正方晶
    ジルコニアを、前記固溶元素量を 2〜14mol%の範囲で維
    持しつつ、単斜晶ジルコニアに相転移させることを特徴
    とする単斜晶ジルコニアの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の単斜晶ジルコニアの製造
    方法であって、 前記スカンジウムまたは、スカンジウムとイットリウム
    およびランタノイド系希土類元素から選ばれる少なくと
    も 1種の元素との複合系が固溶されている正方晶ジルコ
    ニアを、前記固溶元素量を 4〜18mol%の範囲で維持しつ
    つ、単斜晶ジルコニアに相転移させることを特徴とする
    単斜晶ジルコニアの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4記載の単斜晶ジ
    ルコニアの製造方法において、 前記正方晶ジルコニアを水蒸気雰囲気中または水中で保
    持して、前記単斜晶ジルコニアに相転移させることを特
    徴とする単斜晶ジルコニアの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または請求項2記載の単斜晶ジ
    ルコニアを50重量%以上含むことを特徴とするジルコニ
    ア部材。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項2記載の単斜晶ジ
    ルコニアを 1重量%以上含み、全部が実質的に正方晶ジ
    ルコニアおよび立方晶ジルコニアから選ばれる少なくと
    も 1種からなることを特徴とするジルコニア部材。
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